(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154210
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】空調システム
(51)【国際特許分類】
F24F 5/00 20060101AFI20231012BHJP
F24D 3/02 20060101ALI20231012BHJP
F24D 3/08 20060101ALI20231012BHJP
F24D 3/00 20220101ALI20231012BHJP
F24D 3/18 20060101ALI20231012BHJP
F24F 11/67 20180101ALI20231012BHJP
【FI】
F24F5/00 101A
F24D3/02 A
F24D3/08 A
F24D3/00 B
F24D3/18
F24F5/00 L
F24F11/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063379
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】可児 佳幹
【テーマコード(参考)】
3L054
3L070
3L260
【Fターム(参考)】
3L054BF02
3L054BF06
3L070BB01
3L070BB14
3L070BC02
3L070BC14
3L070CC01
3L260AB06
3L260CB62
3L260FA02
3L260FB25
(57)【要約】
【課題】2つの熱源を備える空調システムで、いずれかの空調装置で冷房運転を行いながら、他の空調装置で暖房運転又は乾燥運転を行うことができる空調システムを提供する。
【解決手段】空調システム1Aは、第1熱源10と第1空調装置3との間で熱交換器31の流路31aを経由させて熱媒を循環させ得る第1熱媒回路40と、第2熱源20と熱交換器31の流路31bとの間で熱媒を循環させ得る第2熱媒回路50と、第2熱源20と第2空調装置4との間で熱媒を循環させ得る第3熱媒回路60と、第2熱源20と熱交換器31の流路31bとの間の熱媒の循環を遮断し得る弁装置54とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源と、
熱媒を加熱可能な第2熱源と、
熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで該屋内空間の空調を行う第1空調装置と、
熱媒と前記屋内空間と異なる所定の空間との熱交換を行うことで該所定の空間の空調を行う第2空調装置と、
熱媒を流す第1流路及び第2流路を有し、該第1流路及び該第2流路のそれぞれを流れる熱媒の間の熱交換を行う熱交換器と、
前記第1熱源と前記第1空調装置との間で前記熱交換器の第1流路を経由させて熱媒を循環させ得るように該第1熱源、該第1空調装置及び該熱交換器の第1流路に接続された第1熱媒回路と、
前記第2熱源と前記熱交換器の第2流路との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該熱交換器の第2流路に接続された第2熱媒回路と、
前記第2熱源と前記第2空調装置との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該第2空調装置に接続された第3熱媒回路と、
前記第2熱源と前記第2空調装置との間で前記第3熱媒回路を介して熱媒を循環させ得る状態で、該第2熱源と前記熱交換器の第2流路との間の熱媒の循環を遮断し得るように構成された第A弁装置とを備えることを特徴とする空調システム。
【請求項2】
請求項1記載の空調システムにおいて、
前記第1熱媒回路における前記熱交換器の第1流路の上流側から下流側に該第1流路を経由させずに熱媒を流し得るように該第1流路に並列に接続されたバイパス路と、
前記熱交換器の第1流路及び前記バイパス路のうち、該第1流路を開通させると共に該バイパス路を遮断する動作状態と、該第1流路を遮断すると共に該バイパス路を開通させる動作状態とに動作可能に構成された第B弁装置とをさらに備えることを特徴とする空調システム。
【請求項3】
請求項1記載の空調システムにおいて、
前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置に流入させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置に流入させる熱媒を流す流路に接続する流入側連絡路と、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置から流出させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置から流出させる熱媒を流す流路に接続する流出側連絡路と、前記流入側連絡路及び前記流出側連絡路のうちの少なくとも一方の連絡路を遮断し得るように構成された第C弁装置とをさらに備えることを特徴とする空調システム。
【請求項4】
熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源と、
熱媒を加熱可能な第2熱源と、
熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで該屋内空間の空調を行う第1空調装置と、
熱媒と前記屋内空間と異なる所定の空間との熱交換を行うことで該所定の空間の空調を行う第2空調装置と、
熱媒を流す第1流路及び第2流路を有し、該第1流路及び該第2流路のそれぞれを流れる熱媒の間の熱交換を行う熱交換器と、
前記第1熱源と前記第1空調装置との間で前記熱交換器の第1流路を経由させて熱媒を循環させ得るように該第1熱源、該第1空調装置及び該熱交換器の第1流路に接続された第1熱媒回路と、
前記第2熱源と前記熱交換器の第2流路との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該熱交換器の第2流路に接続された第2熱媒回路と、
前記第2熱源と前記第2空調装置との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該第2空調装置に接続された第3熱媒回路と、
前記第1熱媒回路における前記熱交換器の第1流路の上流側から下流側に該第1流路を経由させずに熱媒を流し得るように該第1流路に並列に接続されたバイパス路と、
前記熱交換器の第1流路及び前記バイパス路のうち、該第1流路を開通させると共に該バイパス路を遮断する動作状態と、該第1流路を遮断すると共に該バイパス路を開通させる動作状態とに動作し得るように構成された第B弁装置とを備えることを特徴とする空調システム。
【請求項5】
請求項4記載の空調システムにおいて、
前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置に流入させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置に流入させる熱媒を流す流路に接続する流入側連絡路と、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置から流出させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置から流出させる熱媒を流す流路に接続する流出側連絡路と、前記流入側連絡路及び前記流出側連絡路のうちの少なくとも一方の連絡路を遮断し得るように構成された第C弁装置とをさらに備えることを特徴とする空調システム。
【請求項6】
熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源と、
熱媒を加熱可能な第2熱源と、
熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで該屋内空間の空調を行う第1空調装置と、
熱媒と前記屋内空間と異なる所定の空間との熱交換を行うことで該所定の空間の空調を行う第2空調装置と、
前記第1熱源と前記第1空調装置との間で前記第2熱源を経由させて熱媒を循環させ得るように該第1熱源、該第1空調装置及び該第2熱源に接続された第1熱媒回路と、
前記第1熱媒回路における前記第2熱源の上流側から下流側に該第2熱源を経由させずに熱媒を流し得るように該第2熱源に並列に接続されたバイパス路と、
前記第2熱源と前記第2空調装置との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該第2空調装置に接続された第3熱媒回路と、
前記第1熱媒回路における前記第2熱源を通る流路と前記バイパス路とのうち、該第2熱源を通る流路を遮断すると共に前記バイパス路を開通させる第1動作状態と、該第2熱源を通る流路を開通させると共に前記バイパス路を遮断する第2動作状態とに動作可能であると共に、前記第2熱源と前記第2空調装置との間で前記第3熱媒回路を介して熱媒を循環させ得る状態で前記第1動作状態に動作し得るように構成された第D弁装置とを備えることを特徴とする空調システム。
【請求項7】
請求項6記載の空調システムにおいて、
前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置に流入させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置に流入させる熱媒を流す流路に接続する流入側連絡路と、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置から流出させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置から流出させる熱媒を流す流路に接続する流出側連絡路と、前記流入側連絡路及び前記流出側連絡路のうちの少なくとも一方の連絡路を遮断し得るように構成された第C弁装置とをさらに備えることを特徴とする空調システム。
【請求項8】
請求項3又は5又は7記載の空調システムにおいて、
前記第1熱源はヒートポンプ方式の熱源、前記第2熱源は燃焼式の熱源であり、
前記第2空調装置は、その空調運転に必要な熱媒の温度が互いに異なる2種類の運転モードである高温モード及び低温モードで、前記所定の空間への放熱を行う空調運転を実行し得るように構成されており、
前記第1空調装置の冷房運転を行いながら前記第2空調装置の空調運転を低温モードで行う場合と、前記第2空調装置の空調運転を高温モードで行う場合とにおいて、前記第C弁装置を、前記少なくとも一方の連絡路を遮断する動作状態に動作させ、前記第1空調装置の暖房運転を行いながら前記第2空調装置の空調運転を低温モードで行う場合に、前記第C弁装置を、前記流入側連絡路及び前記流出側連絡路の両方を開通させる動作状態に動作させるように構成されていることを特徴とする空調システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒を利用する空調システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱媒を使用して屋内空間等の空調(暖房又は冷房)を行う空調システムとして、例えば特許文献1に見られる空調システムが知られている。この空調システムは、ヒートポンプ方式の熱源と燃焼式の熱源とを備えており、複数の空調装置(例えば冷暖房器を有する室内空調機と、床暖房装置)が接続された熱媒回路を流れる熱媒を、主にヒートポンプ方式の熱源により加熱し、加熱量が不足する場合には、ヒートポンプ方式の熱源に加えて、燃焼式の熱源により熱媒を加熱することができるように構成されている。
【0003】
さらに、該空調システムは、ヒートポンプ方式の熱源により熱媒を冷却することもできる。そして、該空調システムでは、熱媒を加熱した状態で、室内空調機や床暖房装置で暖房運転を行い、熱媒を冷却した状態で室内空調機で冷房運転を行うことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、熱媒を利用する複数の空調装置を備える空調システムでは、いずれかの空調装置で暖房運転(又は乾燥運転)を行い、他の空調装置で冷房運転を行うことが要求される場合がある。例えば、浴室に配置される浴室暖房装置と、居間等の室内に配置される室内空調装置とを備える空調システムでは、夏場等に、室内空調装置で冷房運転を行いながら、浴室での衣類乾燥等のために浴室暖房装置で暖房運転(又は乾燥運転)を行うことが要求され得る。
【0006】
しかしながら、特許文献1に見られる如き空調システムでは、該空調システムに含まれる複数の空調装置に同時に(並行して)供給し得る熱媒は、加熱された熱媒及び冷却された熱媒のいずれか一方のみの熱媒である。このため、いずれかの空調装置で冷房運転を行いながら、他の空調装置で暖房運転(又は乾燥運転)を行うようなことはできない。また、いずれかの空調装置に供給する温度と、他の空調装置に供給する熱媒の温度とを比較的大きい温度差で異ならせるようにすることも困難である。
【0007】
本発明はかかる背景に鑑みてなされたものであり、2つの熱源を備える空調システムで、いずれかの空調装置で冷房運転を行いながら、他の空調装置で暖房運転又は乾燥運転を行うことができる空調システムを提供することを目的とする。
【0008】
あるいは、2つの熱源を備える空調システムで、いずれかの空調装置に供給する熱媒の温度と、他の空調装置に供給する熱媒の温度との温度差を比較的大きくして、これらの空調装置の運転を並行して行うことができる空調システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の空調システムの第1の態様は、熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源と、
熱媒を加熱可能な第2熱源と、
熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで該屋内空間の空調を行う第1空調装置と、
熱媒と前記屋内空間と異なる所定の空間との熱交換を行うことで該所定の空間の空調を行う第2空調装置と、
熱媒を流す第1流路及び第2流路を有し、該第1流路及び該第2流路のそれぞれを流れる熱媒の間の熱交換を行う熱交換器と、
前記第1熱源と前記第1空調装置との間で前記熱交換器の第1流路を経由させて熱媒を循環させ得るように該第1熱源、該第1空調装置及び該熱交換器の第1流路に接続された第1熱媒回路と、
前記第2熱源と前記熱交換器の第2流路との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該熱交換器の第2流路に接続された第2熱媒回路と、
前記第2熱源と前記第2空調装置との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該第2空調装置に接続された第3熱媒回路と、
前記第2熱源と前記第2空調装置との間で前記第3熱媒回路を介して熱媒を循環させ得る状態で、該第2熱源と前記熱交換器の第2流路との間の熱媒の循環を遮断し得るように構成された第A弁装置とを備えることを特徴とする(第1発明)。
【0010】
これによれば、第A弁装置を、第2熱源と熱交換器の第2流路との間の熱媒の循環を遮断するように動作させた状態では、第1熱源と第1空調装置との間で第1熱媒回路を介して熱媒を循環させることと、第2熱源と第2空調装置との間で第3熱媒回路を介して熱媒を循環させることとを、第1空調装置を経由して循環する熱媒と第2空調装置を経由して循環する熱媒との間の熱交換を発生させずに、並行して実行することが可能である。
【0011】
このため、例えば、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源により冷却しながら、第2空調装置に供給する熱媒を第2熱源により加熱することが可能となる。あるいは、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源で加熱することと、第2空調装置に供給する熱媒を第2熱源により加熱することとを並行して行うと共に、第1熱源による熱媒の加熱量と第2熱源による熱媒の加熱量とを異ならせることで、第1空調装置及び第2空調装置のそれぞれ供給される熱媒の温度に比較的大きな温度差を持たせることも可能である。
【0012】
よって、第1発明によれば、いずれかの空調装置(第1空調装置)で冷房運転を行いながら、他の空調装置(第2空調装置)で暖房運転又は乾燥運転を行うことが可能となる。あるいは、いずれかの空調装置(第1空調装置)に供給する熱媒の温度と、他の空調装置(第2空調装置)に供給する熱媒の温度との温度差を比較的大きくして、これらの空調装置の運転を並行して行うことが可能となる。
【0013】
なお、第1発明の空調システムでは、第A弁装置を、第2熱源と熱交換器の第2流路との間の熱媒の循環を遮断しないように動作させた状態では、例えば第1熱源と第1空調装置との間で熱交換器の第1流路を経由させて熱媒を循環させつつ、該熱媒を第1熱源により加熱することと、第2熱源と熱交換器の第2流路との間で熱媒を循環させつつ、該熱媒を第2熱源により加熱することとを、並行して実行することが可能である。そして、この場合、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源により加熱することに加えて、さらに第2熱源により熱交換器を介して加熱することが可能である。
【0014】
上記第1発明では、前記第1熱媒回路における前記熱交換器の第1流路の上流側から下流側に該第1流路を経由させずに熱媒を流し得るように該第1流路に並列に接続されたバイパス路と、
前記熱交換器の第1流路及び前記バイパス路のうち、該第1流路を開通させると共に該バイパス路を遮断する動作状態と、該第1流路を遮断すると共に該バイパス路を開通させる動作状態とに動作可能に構成された第B弁装置とをさらに備えることが好ましい(第2発明)。
【0015】
これによれば、第1熱媒と第1空調装置との間で熱媒を循環させる場合に、第B弁装置を、熱交換器の第1流路を遮断すると共にバイパス路を開通させる動作状態に動作させることで、熱交換器を経由させずに(バイパス路を経由させて)熱媒を循環させることができる。このため、第1熱源により加熱される熱媒が熱交換器で放熱したり、第1熱源により冷却された熱媒が熱交換器で吸熱してしまうのを防止することができる。ひいては、第1空調装置の運転時のエネルギー損失を低減することが可能となる。
【0016】
上記第1発明又は第2発明では、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置に流入させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置に流入させる熱媒を流す流路に接続する流入側連絡路と、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置から流出させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置から流出させる熱媒を流す流路に接続する流出側連絡路と、前記流入側連絡路及び前記流出側連絡路のうちの少なくとも一方の連絡路を遮断し得るように構成された第C弁装置とをさらに備えるという態様を採用し得る(第3発明)。
【0017】
これによれば、第C弁装置により、流入側連絡路及び流出側連絡路のうちの少なくとも一方の連絡路を遮断した状態では、前記第1発明又は第2発明で説明した効果を奏し得る。そして、第C弁装置を、流入側連絡路及び流出側連絡路を開通させる状態に動作させた場合には、第1熱源と第2空調装置との間で流入側連絡路及び流出側連絡路を経由させて熱媒を循環させることが可能となる。
【0018】
このため、第1熱源で加熱又は冷却された熱媒を第2空調装置に供給して、該第2空調装置の空調運転を行うことが可能となる。この場合、第2空調装置に加熱又は冷却された熱媒を供給することと並行して、第1空調装置に加熱又は冷却された熱媒を供給することとも可能である。
【0019】
また、本発明の空調システムの第2の態様は、熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源と、
熱媒を加熱可能な第2熱源と、
熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで該屋内空間の空調を行う第1空調装置と、
熱媒と前記屋内空間と異なる所定の空間との熱交換を行うことで該所定の空間の空調を行う第2空調装置と、
熱媒を流す第1流路及び第2流路を有し、該第1流路及び該第2流路のそれぞれを流れる熱媒の間の熱交換を行う熱交換器と、
前記第1熱源と前記第1空調装置との間で前記熱交換器の第1流路を経由させて熱媒を循環させ得るように該第1熱源、該第1空調装置及び該熱交換器の第1流路に接続された第1熱媒回路と、
前記第2熱源と前記熱交換器の第2流路との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該熱交換器の第2流路に接続された第2熱媒回路と、
前記第2熱源と前記第2空調装置との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該第2空調装置に接続された第3熱媒回路と、
前記第1熱媒回路における前記熱交換器の第1流路の上流側から下流側に該第1流路を経由させずに熱媒を流し得るように該第1流路に並列に接続されたバイパス路と、
前記熱交換器の第1流路及び前記バイパス路のうち、該第1流路を開通させると共に該バイパス路を遮断する動作状態と、該第1流路を遮断すると共に該バイパス路を開通させる動作状態とに動作し得るように構成された第B弁装置とを備えることを特徴とする(第4発明)。
【0020】
これによれば、第B弁装置を、熱交換器の第1流路を遮断すると共にバイパス路を開通させる動作状態に動作させた状態では、第1熱源と第1空調装置との間でバイパス路を経由させて循環させることと、第2熱源と第2空調装置との間で第3熱媒回路を介して熱媒を循環させることとを、第1空調装置を経由して循環する熱媒と第2空調装置を経由して循環する熱媒との間の熱交換を発生させずに、並行して実行することが可能である。なお、この場合、さらに、第2熱源と熱交換器の第2流路との間で第2熱媒回路を介して熱媒を循環させることが並行して行われてもよい。
【0021】
このため、例えば、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源により冷却しながら、第2空調装置に供給する熱媒を第2熱源により加熱することが可能となる。あるいは、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源で加熱することと、第2空調装置に供給する熱媒を第2熱源により加熱することとを並行して行うと共に、第1熱源による熱媒の加熱量と第2熱源による熱媒の加熱量とを異ならせることで、第1空調装置及び第2空調装置のそれぞれ供給される熱媒の温度に比較的大きな温度差を持たせることも可能である。
【0022】
よって、第4発明によれば、いずれかの空調装置(第1空調装置)で冷房運転を行いながら、他の空調装置(第2空調装置)で暖房運転又は乾燥運転を行うことが可能となる。あるいは、いずれかの空調装置(第1空調装置)に供給する熱媒の温度と、他の空調装置(第2空調装置)に供給する熱媒の温度との温度差を比較的大きくして、これらの空調装置の運転を並行して行うことが可能となる。
【0023】
なお、第4発明の空調システムでは、第B弁装置を、熱交換器の第1流路を開通させると共にバイパス路を遮断する動作状態に動作させた状態では、例えば第1熱源と第1空調装置との間で熱交換器の第1流路を経由させて熱媒を循環させつつ、該熱媒を第1熱源により加熱することと、第2熱源と熱交換器の第2流路との間で熱媒を循環させつつ、該熱媒を第2熱源により加熱することとを、並行して実行することが可能である。そして、この場合、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源により加熱することに加えて、さらに第2熱源により熱交換器を介して加熱することが可能である。
また、第4発明の空調システムでは、前記第1発明の如き第A弁装置を備える態様及び備えない態様のいずれの態様も採用し得る。
【0024】
上記第4発明では、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置に流入させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置に流入させる熱媒を流す流路に接続する流入側連絡路と、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置から流出させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置から流出させる熱媒を流す流路に接続する流出側連絡路と、前記流入側連絡路及び前記流出側連絡路のうちの少なくとも一方の連絡路を遮断し得るように構成された第C弁装置とをさらに備えるという態様を採用し得る(第5発明)。
これによれば、前記第3発明と同様の効果を奏することができる。
【0025】
また、本発明の第3の態様は、熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源と、
熱媒を加熱可能な第2熱源と、
熱媒と屋内空間との熱交換を行うことで該屋内空間の空調を行う第1空調装置と、
熱媒と前記屋内空間と異なる所定の空間との熱交換を行うことで該所定の空間の空調を行う第2空調装置と、
前記第1熱源と前記第1空調装置との間で前記第2熱源を経由させて熱媒を循環させ得るように該第1熱源、該第1空調装置及び該第2熱源に接続された第1熱媒回路と、
前記第1熱媒回路における前記第2熱源の上流側から下流側に該第2熱源を経由させずに熱媒を流し得るように該第2熱源に並列に接続されたバイパス路と、
前記第2熱源と前記第2空調装置との間で熱媒を循環させ得るように該第2熱源及び該第2空調装置に接続された第3熱媒回路と、
前記第1熱媒回路における前記第2熱源を通る流路と前記バイパス路とのうち、該第2熱源を通る流路を遮断すると共に前記バイパス路を開通させる第1動作状態と、該第2熱源を通る流路を開通させると共に前記バイパス路を遮断する第2動作状態とに動作可能であると共に、前記第2熱源と前記第2空調装置との間で前記第3熱媒回路を介して熱媒を循環させ得る状態で前記第1動作状態に動作し得るように構成された第D弁装置とを備えることを特徴とする(第6発明)。
【0026】
これによれば、第D弁装置を、前記第1動作状態に動作させた状態では、第1熱源と第1空調装置との間でバイパス路を経由させて循環させることと、第2熱源と第2空調装置との間で第3熱媒回路を介して熱媒を循環させることとを、第1空調装置を経由して循環する熱媒と第2空調装置を経由して循環する熱媒との間の熱交換を発生させずに、並行して実行することが可能である。
【0027】
このため、例えば、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源により冷却しながら、第2空調装置に供給する熱媒を第2熱源により加熱することが可能となる。あるいは、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源で加熱することと、第2空調装置に供給する熱媒を第2熱源により加熱することとを並行して行うと共に、第1熱源による熱媒の加熱量と第2熱源による熱媒の加熱量とを異ならせることで、第1空調装置及び第2空調装置のそれぞれ供給される熱媒の温度に比較的大きな温度差を持たせることも可能である。
【0028】
よって、第6発明によれば、いずれかの空調装置(第1空調装置)で冷房運転を行いながら、他の空調装置(第2空調装置)で暖房運転又は乾燥運転を行うことが可能となる。あるいは、いずれかの空調装置(第1空調装置)に供給する熱媒の温度と、他の空調装置(第2空調装置)に供給する熱媒の温度との温度差を比較的大きくして、これらの空調装置の運転を並行して行うことが可能となる。
【0029】
なお、第6発明の空調システムでは、第D弁装置を、前記第2動作状態に動作させた状態では、例えば第1熱源と第1空調装置との間で第2熱源を経由させて熱媒を循環させつつ、該熱媒を第1熱源により加熱することと、第2熱源により加熱することとを、並行して実行することが可能である。従って、第1空調装置に供給する熱媒を第1熱源により加熱することに加えて、さらに第2熱源により加熱することが可能である。
【0030】
上記第6発明では、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置に流入させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置に流入させる熱媒を流す流路に接続する流入側連絡路と、前記第1熱媒回路のうち、前記第1空調装置から流出させる熱媒を流す流路を、前記第3熱媒回路のうち、前記第2空調装置から流出させる熱媒を流す流路に接続する流出側連絡路と、前記流入側連絡路及び前記流出側連絡路のうちの少なくとも一方の連絡路を遮断し得るように構成された第C弁装置とをさらに備えるという態様を採用し得る(第7発明)。
これによれば、前記第3発明と同様の効果を奏することができる。
【0031】
上記第3発明、第5発明、又は第7発明(流入側連絡路、流出側連絡路、及び第C弁装置を備える発明)では、前記第1熱源はヒートポンプ方式の熱源、前記第2熱源は燃焼式の熱源であり、前記第2空調装置は、その空調運転に必要な熱媒の温度が互いに異なる2種類の運転モードである高温モード及び低温モードで、前記所定の空間への放熱を行う空調運転を実行し得るように構成されているという態様を採用し得る。
【0032】
この場合、さらに、前記第1空調装置の冷房運転を行いながら前記第2空調装置の空調運転を低温モードで行う場合と、前記第2空調装置の空調運転を高温モードで行う場合とにおいて、前記第C弁装置を、前記少なくとも一方の連絡路を遮断する動作状態に動作させ、前記第1空調装置の暖房運転を行いながら前記第2空調装置の空調運転を低温モードで行う場合に、前記第C弁装置を、前記流入側連絡路及び前記流出側連絡路の両方を開通させる動作状態に動作させるように構成されているという態様を採用し得る(第8発明)。
【0033】
これによれば、第2空調装置の空調運転を高温モード及び低温モードのいずれの運転モードで行う場合であっても、第1空調装置での空調運転が冷房運転及び暖房運転のいずれの空調運転であるかによらずに、該第1空調装置及び該第2空調装置のそれぞれの空調運転を並行して行うことができる。また、第2空調装置の空調運転を低温モードで行う場合には、熱媒を加熱する熱源としてヒートポンプ方式の熱源である第1熱源を使用するので、エネルギー効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】第1実施形態の空調システムの構成を示す図。
【
図2】第1実施形態(又は第3実施形態)の空調システムの制御に関する構成を示すブロック図。
【
図3】第1実施形態(又は第2実施形態又は第3実施形態)の空調システムに備えた浴室暖房装置の作動に関する処理を示すフローチャート。
【
図8】第2実施形態の空調システムの構成を示す図。
【
図10】第2実施形態の空調システムの作動説明図。
【
図11】第2実施形態の空調システムの作動説明図。
【
図12】第2実施形態の空調システムの作動説明図。
【
図13】第3実施形態の空調システムの構成を示す図。
【
図14】第3実施形態の空調システムの作動説明図。
【
図15】第3実施形態の空調システムの作動説明図。
【
図16】第3実施形態の空調システムの作動説明図。
【
図17】第3実施形態の空調システムの作動説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態を
図1~
図7を参照して以下に説明する。
図1に示すように、本実施形態の空調システム1Aは、空調装置として、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、及び浴室暖房装置4を備えると共に、熱媒を加熱又は冷却可能な第1熱源としてのヒートポンプユニット10と、熱媒を加熱可能な第2熱源としての燃焼式熱源機20とを備えるシステムである。この空調システム1Aにおける熱媒としては、例えば、水や不凍液等が使用され得る。
【0036】
暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3及び浴室暖房装置4は、いずれも熱媒を流通させる流路(図示省略)を有し、該流路を流れる熱媒と、それぞれが配置される屋内空間との熱交換を行うことで、該屋内空間の暖房又は冷房を行う公知の空調装置である。暖房用空調装置2は、それが配置される屋内空間を暖房するための空調装置であり、例えば、ファンコンベクター、パネルラジエター、床暖房装置等により構成される。また、冷暖房用空調装置3は、それが配置される屋内空間を冷房又は暖房するための空調装置であり、例えば、ファンコイルユニットにより構成される。また、浴室暖房装置4は、それが配置される浴室の暖房、乾燥、換気等を行い得る空調装置である。
【0037】
なお、本実施形態では、本発明における第1空調装置に相当するものは、冷暖房用空調装置3であり、本発明における第2空調装置に相当するものは、浴室暖房装置4である。このことは、後述する第2実施形態及び第3実施形態でも同様である。以降の説明では、暖房用空調装置2及び冷暖房用空調装置3を区別する必要が無いときは、これらを単に空調装置2,3という。
【0038】
ヒートポンプユニット10は、公知の構成のヒートポンプ11を備えている。該ヒートポンプ11は、熱媒側熱交換器12と、図示しない圧縮機、外気側熱交換器、及び膨張機構を含む冷媒回路13とを備える。この場合、冷媒回路13は、冷媒を、外気側熱交換器から圧縮機、熱媒側熱交換器12、膨張機構を順に経由させて循環させることが可能であり、この状態では、屋外の外気から外気側熱交換器を介して冷媒に吸収した熱を、後述する第1熱媒回路40を流れる熱媒に熱媒側熱交換器12を介して放熱することで該熱媒を加熱することが可能である。
【0039】
また、冷媒回路13は、冷媒を、熱媒側熱交換器12から、圧縮機、外気側熱交換器、膨張機構を順に経由させて循環させることも可能であり、この状態では、後述する第1熱媒回路40を流れる熱媒から熱媒側熱交換器12を介して冷媒に吸収した熱を、外気側熱交換器を介して外気に放熱することで該熱媒を冷却することが可能である。従って、ヒートポンプユニット10は、熱媒を加熱又は冷却可能な熱源としての機能を有するものである。
【0040】
燃焼式熱源機20は、熱媒を加熱する加熱部21を備える。この加熱部21は、バーナ22と、バーナ22の燃焼熱により加熱される熱交換器23とにより構成される。バーナ22は、例えばガスバーナであり、図示しない燃料供給源から、燃料供給路24を介して燃料ガスが供給されると共に、図示しない燃焼ファンの作動により燃焼用空気が供給される。燃料供給路24には、これを開閉可能な開閉弁25と、バーナ22への燃料ガスの供給量を調整するための燃料調整弁26とが組付けられている。開閉弁25は電磁弁等により構成され、燃料調整弁26は比例弁等により構成され得る。
【0041】
バーナ22は、燃焼ファンを作動させると共に開閉弁25を開弁制御した状態で、図示しない点火装置により点火することで燃焼運転を開始する。そして、バーナ22の燃焼運転中は、燃料調整弁26と燃焼ファンとを制御することで、該バーナ22の燃焼量を制御することが可能である。さらに、開閉弁25を閉弁制御することで、バーナ22が消火される。なお、バーナ22の燃料は、気体燃料に限らず、灯油等の液体燃料であってもよい。
【0042】
加熱部21の熱交換器23は、後述する第2熱媒回路50又は第3熱媒回路60を介して熱媒が流通するように第2熱媒回路50及び第3熱媒回路60に接続されており、バーナ22の燃焼運転により与えられる燃焼熱を該熱媒に放熱することで、該熱媒を加熱し得るように構成されている。なお、加熱部21は、熱交換器23の上流側から下流側に熱交換器23を経由させずに熱媒を流すバイパス路や、該バイパス路を通る熱媒の流量と熱交換器23を通る熱媒の流量との比率を調整するための制御弁を備えていてもよい。
【0043】
空調システム1Aは、さらに、ヒートポンプ11で加熱される熱媒と加熱部21で加熱される熱媒との間で熱交換を行う液-液式の熱交換器31を含む熱交換器ユニット30と、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3のそれぞれとをこれらの間で熱媒を循環させ得るように接続する第1熱媒回路40と、燃焼式熱源機20の熱交換器23と熱交換器ユニット30の熱交換器31とをこれらの間で熱媒を循環させ得るように接続する第2熱媒回路50と、燃焼式熱源機20の熱交換器23と浴室暖房装置4とをこれらの間で熱媒を循環させ得るように接続する第3熱媒回路60と、第1熱媒回路40を第3熱媒回路60に接続する連絡路70a,70bとを備える。
【0044】
熱交換器ユニット30の熱交換器31は、ヒートポンプ11で加熱される熱媒を流す第1流路31aと加熱部21で加熱される熱媒を流す第2流路31bとをこれらの間で熱交換を行い得るように備える。
【0045】
第1熱媒回路40は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から空調装置2,3のそれぞれに熱媒を供給する往路41と、空調装置2,3のそれぞれから熱媒側熱交換器12に熱媒を還流させる復路42とを有し、往路41及び復路42のうちの一方、例えば往路41に,熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31aと、該第1流路31aの上流側から下流側に該第1流路31aを経由させずに熱媒を流し得るバイパス路41eとを含むように構成されている。
【0046】
具体的には、第1熱媒回路40の往路41は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12の熱媒流出口を熱交換器31の第1流路31aの熱媒流入口に接続する第1往路41aと、該熱交換器31の第1流路31aの熱媒流出口に上流端が接続された第2往路41bと、該第2往路41bから空調装置2,3のそれぞれに対応して分岐され、空調装置2,3のそれぞれの熱媒流入口に各々下流端が接続された第3往路41c,41dと、第1往路41aの途中部から分岐されて、第2往路41bの途中部に合流された(ひいては、熱交換器31の第1流路31aに並列に接続された)バイパス路41eとを備える。
【0047】
また、第1熱媒回路40の復路42は、空調装置2,3のそれぞれの熱媒流出口に各々上流端が接続された第1復路42a、42bと、該第1復路42a、42bの下流側に連接されると共にヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12の熱媒流入口に下流端が接続された第2復路42cとを備える。
【0048】
そして、往路41の第1往路41aとバイパス路41eとの接続部の上流側の第1往路41aには、熱媒を流す動力源としての電動式のポンプ43が組付けられている。該ポンプ43は、本実施形態では、ヒートポンプユニット10に搭載されている。ただし、ポンプ43は、例えば、熱交換器ユニット30に搭載されていてもよく、あるいは、ヒートポンプユニット10及び熱交換器ユニット30の外部に配置されていてもよい。また、ポンプ43は、例えば、往路41のうち、第2往路41bとバイパス路41eとの接続部の下流側の第2往路41b、あるいは、復路42のうちの第2復路42cに組付けられていてもよい。
【0049】
また、第1往路41aとバイパス路41eとの接続部には電動式の三方弁44が組付けられている。該三方弁44は、本発明における第B弁装置に相当する。該三方弁44は、その上流側の第1往路41aから、熱交換器31の第1流路31aのみに熱媒を流す動作状態(三方弁44の上流側の第1往路41aに対して熱交換器31の第1流路31aを開通させると共にバイパス路41eを遮断する動作状態)と、上流側の第1往路41aから、バイパス路41eのみに熱媒を流す動作状態(三方弁44の上流側の第1往路41aに対して熱交換器31の第1流路31aを遮断すると共にバイパス路41eを開通させる動作状態)とに作動させることが可能である。
【0050】
なお、三方弁44は、熱交換器31の第1流路31aに流れる熱媒の流量とバイパス路41eに流れる熱媒の流量との比率を所要の目標比率(第1流路31aの流量をゼロにする場合とバイパス路41eの流量をゼロにする場合とを含む)に調整し得るように構成されていてもよい。
【0051】
三方弁44は、本実施形態では、熱交換器ユニット30に搭載されている。ただし、三方弁44は、熱交換器ユニット30の外部に配置されていてもよい。また、三方弁44は、第2往路41bとバイパス路41eとの接続部に組付けられていてもよい。あるいは、三方弁44の代わりに、第1往路41aとバイパス路41eとの接続部から第2往路41bとバイパス路41eとの接続部までの熱交換器31の第1流路31aを通る流路と、バイパス路41eとのそれぞれに開閉可能な開閉弁もしくは流量制御弁を備えてもよい。
【0052】
また、暖房用空調装置2に対応する第3往路41cと、冷暖房用空調装置3に対応する第3往路41dとには、それぞれを開閉可能な熱動弁45,46が各々組付けられている。なお、熱動弁45,46のそれぞれは、第1復路42a,42bのそれぞれに組付けられていてもよく、あるいは、空調装置2,3のそれぞれに搭載されていてもよい。
【0053】
第1熱媒回路40は上記のように構成されているので、熱動弁45,46の一方又は両方を開弁させた状態でポンプ43を作動させると、熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から往路41、空調装置2,3の一方又は両方、及び復路42を順に経由して熱媒側熱交換器12に還流することで、熱媒側熱交換器12と空調装置2,3の一方又は両方との間で熱媒を循環させることができる。この場合、三方弁44の作動制御によって、熱交換器31の第1流路31a及びバイパス路41eのいずれか一方(又は両方)を経由させて熱媒を流すことができる。
【0054】
第2熱媒回路50は、燃焼式熱源機20の加熱部21の熱交換器23から熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bに熱媒を供給する往路51と、熱交換器31の第2流路31bから加熱部21の熱交換器23に熱媒を還流させる復路52とを備える。
【0055】
往路51は、加熱部21の熱交換器23の熱媒流出口を熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bの熱媒流入口に接続するように配設され、復路52は、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bの熱媒流出口を加熱部21の熱交換器23の熱媒流入口に接続するように配設されている。
【0056】
そして、復路52には、熱媒を流す動力源としてのポンプ53が組付けられている。また、復路52には、それを開閉可能な開閉弁54がポンプ53の上流側で組付けられている。開閉弁54は、熱動弁、電磁弁等により構成され得る。該開閉弁54は、本発明における第A弁装置に相当するものであり、第2熱源20と熱交換器31の第2流路31bとの間の熱媒の循環を遮断する弁装置として機能し得る。
【0057】
本実施形態では、ポンプ53は燃焼式熱源機20に搭載され、開閉弁54は熱交換器ユニット30に搭載されている。ただし、ポンプ53は燃焼式熱源機20の外部に配置されていてもよく、開閉弁54は熱交換器ユニット30の外部に配置されていてもよい。また、ポンプ53及び開閉弁54の一方又は両方は、往路51に組付けられていてもよい。
【0058】
第2熱媒回路50は上記のように構成されているので、開閉弁54を開弁させた状態でポンプ53を作動させると、熱媒が、加熱部21の熱交換器23から往路51、熱交換器31の第2流路31b、及び復路52を順に経由して加熱部21の熱交換器23に還流することで、加熱部21の熱交換器23と熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bとの間で熱媒を循環させることができる。また、開閉弁54を閉弁させた状態では、第2熱源20と熱交換器31の第2流路31bとの間の熱媒の循環を遮断することができる。
【0059】
第3熱媒回路60は、燃焼式熱源機20の加熱部21の熱交換器23から浴室暖房装置4に熱媒を供給する往路61と、浴室暖房装置4から加熱部21の熱交換器23に熱媒を還流させる復路62とを備える。本実施形態では、往路61は、第2熱媒回路50の往路51の途中部から分岐され、その下流端が浴室暖房装置4の熱媒流入口に接続されている。復路62は、その上流端が浴室暖房装置4の熱媒流出口に接続され、下流端が第2熱媒回路50の復路52の途中部(ポンプ53と開閉弁54との間の途中部)に接続されている。
【0060】
従って、本実施形態では、第2熱媒回路50の往路51のうち、第3熱媒回路60の往路61との接続部から上流側の流路と、第2熱媒回路50の復路52のうち、第3熱媒回路60の復路62との接続部から下流側の流路とが、第2熱媒回路50と第3熱媒回路60とで共用の流路となっている。また、ポンプ53が第2熱媒回路50と第3熱媒回路60とで共用のポンプとなっている。
【0061】
そして、往路61には、それを開閉可能な熱動弁63が組付けられている。なお、熱動弁63は復路62に組付けられていてもよく、あるいは、浴室暖房装置4に搭載されていてもよい。
【0062】
第3熱媒回路60は上記のように構成されているので、熱動弁63を開弁させた状態でポンプ53を作動させると、熱媒が、加熱部21の熱交換器23から第2熱媒回路50の往路51の上流側部分(第3熱媒回路60の往路61との接続部よりも上流側の部分)、往路61、浴室暖房装置4、復路62、及び第2熱媒回路50の復路62の下流側部分(第3熱媒回路60の復路62との接続部よりも下流側の部分)を順に経由して加熱部21の熱交換器23に還流することで、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させることができる。
【0063】
この場合、第2熱媒回路50の開閉弁54を閉弁させた状態では、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間でのみ、熱媒を循環させることができる。また、開閉弁54を開弁させた状態では、加熱部21の熱交換器23と、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31b及び浴室暖房装置4の両方との間で熱媒を循環させることができる。
【0064】
なお、本実施形態では、ポンプ53を第2熱媒回路50と第3熱媒回路60とで共用しているが、第2熱媒回路50と第3熱媒回路60とで各別のポンプを備えていてもよい。例えば、第2熱媒回路50の往路51のうち、第3熱媒回路60の往路61との接続部よりも下流側の流路、又は、第2熱媒回路50の復路52のうち、第3熱媒回路60の復路62との接続部よりも上流側の流路に第2熱媒回路50用のポンプを備えると共に、第3熱媒回路60の往路61又は復路62に第3熱媒回路60用のポンプを備えてもよい。
【0065】
連絡路70a,70bのうち、連絡路70aは、第1熱媒回路40の往路41の途中部(熱動弁45,46よりも上流側の途中部)、例えば第2往路41bの途中部を第3熱媒回路60の往路61の途中部(熱動弁63よりも上流側の途中部)に接続するように配設され、連絡路70bは、第1熱媒回路40の復路42の途中部、例えば第2復路42cの途中部を、第3熱媒回路60の復路62の途中部に接続するように配設されている。連絡路70aは、本発明における流入側連絡路に相当し、連絡路70bは本発明における流出側連絡路に相当する。
【0066】
そして、連絡路70a,70bには、それぞれを開閉可能な開閉弁71a,71bが各々組付けられている。開閉弁71a,71bは、本発明における第C弁装置に相当するものであり、熱動弁や電磁弁等により構成され得る。このように連絡路70a,70bのそれぞれに開閉弁71a,71bが組付けられているので、開閉弁71a,71b及び熱動弁63を開弁させた状態で、第1熱媒回路40のポンプ43を作動させると、熱媒が、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から、第1熱媒回路40の往路41(連絡路70aとの接続部から上流側の往路41)、連絡路70a、第3熱媒回路60の往路61(連絡路70aとの接続部から下流側の往路61)、浴室暖房装置4、第3熱媒回路60の復路62(連絡路70bとの接続部から上流側の復路62)、連絡路70b、第1熱媒回路40の復路42(連絡路70bとの接続部から下流側の復路42)を順に経由して熱媒側熱交換器12に還流することで、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させることができる。
【0067】
この場合、開閉弁71a,71b及び熱動弁63を開弁させることと併せて、第1熱媒回路40の熱動弁45,46の一方又は両方を開弁させることで、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と、浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させることに加えて、熱媒側熱交換器12と、空調装置2,3に一方又は両方との間で熱媒を循環させることもできる。
【0068】
また、開閉弁71a,71bを閉弁させた状態では、連絡路70a,70bが遮断されることで、第1熱媒回路40から浴室暖房装置4に熱媒が流れるのを阻止することができる。なお、連絡路70a,70bのそれぞれに開閉弁71a,71bを備えずとも、いずれか一方の連絡路70a又は70bにだけ、開閉弁71a又は71bを備えるようにしてもよい。
【0069】
次に、
図2を参照して、空調システム1Aは、さらに、該空調システム1Aの運転制御を行う制御装置80と、空調システム1Aの運転操作をユーザが行うためのリモコン85とを備えている。該制御装置80は、例えば、図示しないマイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ(RAM、ROM等)、インターフェース回路、通信回路等を含む1つ以上の電子回路ユニットにより構成される。
【0070】
例えば、制御装置80は、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、浴室暖房装置4、ヒートポンプユニット10、燃焼式熱源機20、及び熱交換器ユニット30に各々搭載され、且つ相互に通信を行いつつ協働して空調システム1Aの運転制御を実行可能な複数の電子回路ユニットの集合体として構成され得る。この場合、いずれかの電子回路ユニットが空調システム1Aの全体の作動を統括する上位の制御装置、他の電子回路ユニットが、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、ヒートポンプユニット10、燃焼式熱源機20、及び熱交換器ユニット30のそれぞれの局所的な作動制御を行う制御装置として機能するように電子回路ユニットの集合体が構成されていてもよい。
【0071】
上記制御装置80には、空調システム1Aに備えられた複数の温度センサ90等の複数のセンサのそれぞれのセンシング信号(検出信号)が入力される。本実施形態では、温度センサ90には、例えば
図1に示すように、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から第1熱媒回路40の往路41(第1往路41a)を通って三方弁44に流入する熱媒の温度(熱媒側熱交換器12から流出する熱媒の温度)を検出する温度センサ90a、熱交換器31の第1流路31a及びバイパス路41eの下流側で往路41(第2往路41b)を通って空調装置2,3に供給される熱媒の温度を検出する温度センサ90b、加熱部21の熱交換器23から第2熱媒回路50の往路51に流出する熱媒の温度を検出する温度センサ90c、該往路51から熱交換器31の第2流路31bに流入する熱媒の温度を検出する温度センサ90d、及び、熱交換器31の第2流路31bから第2熱媒回路50の復路52に流出する温度を検出する温度センサ90eが含まれる。
【0072】
また、制御装置80は、リモコン85と有線又は無線による通信を行うことが可能である。その通信により、制御装置80は、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、及び浴室暖房装置4の運転等に関する指令情報をリモコン85から受信したり、該リモコン85に様々な報知情報を送信して出力させることが可能である。
【0073】
なお、空調システム1Aは、1つのリモコン85に限らず、複数のリモコンを備えていてもよい。例えば、空調システム1Aは、暖房用空調装置2、冷暖房用空調装置3、及び浴室暖房装置4のそれぞれ毎に各別のリモコンを備えていてもよい。
【0074】
そして、制御装置80は、実装されたハードウェア構成とプログラム(ソフトウェア構成)とにより実現される機能として、空調装置2,3及び浴室暖房装置4の運転に係る制御処理を実行する機能を有する。この場合、制御装置80は、制御対象要素としてのヒートポンプ11、加熱部21のバーナ22、三方弁44、熱動弁45,46,63、開閉弁54,71a,71b、ポンプ43,53の作動制御を行うことが可能であり、その作動制御を通じて空調装置2,3及び浴室暖房装置4の運転を制御する。
【0075】
ヒートポンプ11の作動制御では、冷媒回路13の流路の切替制御や圧縮機の作動制御を行うことで、熱媒の加熱又は冷却の切替えや、ヒートポンプ11の出力の制御が行われる。また、バーナ22の作動制御では、燃料供給路24の開閉弁25及び燃料調整弁26、並びに、図示しない点火装置及び燃焼ファンの作動制御を行うことで、バーナ22の点火、燃焼量の調整及び消火が行われる。補足すると、
図2では制御対象要素に関し、括弧付きの参照符号が記載されているが、これらの参照符号は、後述の第3実施形態に関する参照符号である。
【0076】
次に、本実施形態の空調システム1Aの作動を説明する。まず、空調装置2,3の暖房運転時の作動を説明する。空調装置2,3の暖房運転時には、制御装置80は、ヒートポンプ11を暖房用の運転モード(熱媒側熱交換器12に加熱された冷媒を流すように冷媒回路13を作動させる運転モード)で作動させると共に、空調装置2,3にそれぞれ対応する熱動弁45,46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。
【0077】
これにより、熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3との間で第1熱媒回路40を介して循環しつつ、熱媒側熱交換器12で加熱された熱媒が空調装置2,3に供給されることで、空調装置2,3の暖房運転(空調装置2,3から屋内空間への放熱運転)が行われる。
【0078】
この場合、制御装置80は、空調装置2,3に供給される熱媒の温度(温度センサ90bで検出される温度)が所要の目標温度(例えば40~60℃の範囲内の温度)になるようにヒートポンプ11の出力を制御することで、熱媒の温調制御を行う。該目標温度は、リモコン85で設定される暖房温度である暖房設定温度(又は暖房の強弱度合いの設定値)に応じて決定される。
【0079】
そして、空調装置2,3に供給される熱媒の温度を、ヒートポンプ11の作動だけで目標温度に昇温させることができる場合には、制御装置80は、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31a及びバイパス路41eのうちのバイパス路41eだけに熱媒を流すように第1熱媒回路40の三方弁44を動作させる。
【0080】
これにより、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3との間での熱媒の循環は、
図4に示す如く、バイパス路41eを経由して行われる。ここで、
図4では、熱媒が流れる流路を実線の太線で示し、熱媒が流れない流路を破線で示している。このことは、後述する
図5~
図17でも同様である。なお、
図4では、浴室暖房装置4に関する熱媒の流れも示されているが、これについては後述する。
【0081】
補足すると、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12で加熱された熱媒の全体もしくは一部を熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31aを経由させて空調装置2,3に供給することも可能である。ただし、空調装置2,3への熱媒の供給途中での放熱ロスを極力抑制するために、該熱媒の全体をバイパス路41eを経由させて空調装置2,3に供給することが望ましい。
【0082】
また、空調装置2,3での熱媒の放熱量が大きい場合等、ヒートポンプ11を上限の出力で作動させても、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から空調装置2,3に供給される熱媒の温度を目標温度まで昇温させることができない場合には、ヒートポンプ11に加えて、燃焼式熱源機20を補助的に使用して熱媒を加熱することが行われる。
【0083】
この場合、制御装置80は、ヒートポンプ11及びポンプ43を作動させることに加えて、燃焼式熱源機20の加熱部21のバーナ22の燃焼運転を開始させると共に、第2熱媒回路50の開閉弁54を開弁させた状態でポンプ53を作動させ、さらに、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31a及びバイパス路41eのうちの第1流路31aのみに、又は第1流路31a及びバイパス路41eの両方に熱媒を流すように三方弁44を動作させる。
【0084】
これにより、
図7に示す如く、加熱部21の熱交換器23でバーナ22の燃焼運転により加熱された熱媒が第2熱媒回路50で熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bを経由して循環しつつ、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3との間での熱媒の循環が熱交換器31の第1流路31aを経由して行われる。ひいては、空調装置2,3に供給される熱媒は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12で加熱されることに加えて、熱交換器31の第1流路31aを流れる過程で、熱交換器31の第2流路31bを流れる熱媒(加熱部21の熱交換器23で加熱された熱媒)との熱交換によって加熱される。
【0085】
そして、制御装置80は、ヒートポンプ11を上限出力もしくはこれに近い一定出力で作動させつつ、空調装置2,3に供給される熱媒の温度(温度センサ90bで検出される温度)が目標温度になるように加熱部21のバーナ22の燃焼量を調整することで、該熱媒の温調制御を行う。なお、この温調制御では、バーナ22の燃焼量を調整することに加えて、あるいは、バーナ22の燃焼量を一定の燃焼量に維持した状態で、熱交換器31の第1流路31aを流れる熱媒の流量とバイパス路41eを流れる熱媒の流量との比率を三方弁44を介して調整することで、空調装置2,3に供給される熱媒の温調制御を行うことも可能である。
【0086】
補足すると、上記の説明では、空調装置2,3の両方で暖房運転を行う場合に関して説明したが、空調装置2,3の一方だけで暖房運転を行う場合には、熱動弁45,46のうち、暖房運転を行う空調装置2又は3に対応する熱動弁45又は46だけが開弁される。そして、ヒートポンプ11及びポンプ43が、空調装置2,3の両方での暖房運転の場合と同様に作動される。さらに、暖房運転を行う空調装置2又は3に供給される熱媒の温度を、ヒートポンプ11だけでは目標温度に昇温させることができない場合には、空調装置2,3の両方での暖房運転の場合と同様に、開閉弁54が開弁されると共に、バーナ22の燃焼運転とポンプ53の作動とが行われる。
【0087】
次に、冷暖房用空調装置3の冷房運転時の作動を説明する。冷暖房用空調装置3の冷房運転時には、制御装置80は、ヒートポンプ11を冷房用の運転モード(熱媒側熱交換器12に冷却された冷媒を流すように冷媒回路13を作動させる運転モード)で作動させると共に、冷暖房用空調装置3に対応する熱動弁46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。また、制御装置80は、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31a及びバイパス路41eのうちのバイパス路41eだけに熱媒を流すように第1熱媒回路40の三方弁44を動作させる。
【0088】
これにより、
図5に示すように、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で第1熱媒回路40のバイパス路41eを経由して循環しつつ、熱媒側熱交換器12で冷却された熱媒が冷暖房用空調装置3に供給されることで、冷暖房用空調装置3の冷房運転(冷暖房用空調装置3による屋内空間からの吸熱運転)が行われる。なお、
図5では、浴室暖房装置4に関する熱媒の流れも示されているが、これについては後述する。
【0089】
次に、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行う場合の作動を説明する。本実施形態の空調システム1Aでは、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転は、浴室暖房装置4に供給する熱媒を加熱するための熱源としてヒートポンプ11を用いる運転モード(以降、HP加熱運転モードという)と、熱源として燃焼式熱源機20を用いる運転モード(以降、燃焼加熱運転モードという)との2種類の運転モードで行い得る。
【0090】
そして、制御装置80は、リモコン85の操作によって、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が指示されたとき、その暖房運転又は乾燥運転をHP加熱運転モード及び燃焼加熱運転モードのいずれの運転モードで行うかを、例えば
図3のフローチャートに示す如く決定する。
【0091】
具体的には、STEP1において、制御装置80は、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転で要求される熱媒の温度である要求熱媒温度が高温(例えば80℃)であるか、低温(例えば40~60℃)であるか(高温であるか否か)を判断する。この判断は、リモコン85で設定される浴室の目標温度、あるいは、暖房もしくは乾燥の強弱度合に基づいて行われる。
【0092】
なお、要求熱媒温度が高温である場合の浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転は、本発明における高温モードでの空調運転に相当し、要求熱媒温度が高温でない場合(低温である場合)の浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転は、本発明における低温モードでの空調運転に相当する。
【0093】
STEP1の判断結果が肯定的である場合には、制御装置80は、STEP2において、浴室暖房装置4の運転モードを燃焼加熱運転モードに決定すると共に、浴室暖房装置4に供給する熱媒の目標温度として高温の要求熱媒温度(例えば80℃)を設定する。
【0094】
この燃焼加熱運転モードでは、制御装置80は、第2熱媒回路50の開閉弁54と、連絡路70a,70bの開閉弁71a,71bとを閉弁状態に維持すると共に、浴室暖房装置4用の熱動弁63を開弁させた状態で、ポンプ53を作動させ、さらに、加熱部21のバーナ22の燃焼運転を開始させる。そして、制御装置80は、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90cで検出される温度)が上記高温の要求熱媒温度(80℃)になるようにバーナ22の燃焼量を制御する。
【0095】
これにより、
図4に第3熱媒回路60に関して示すように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒が循環しながら、上記高温側温度(80℃)に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。ひいては、浴室暖房装置4の高温モードでの暖房運転又は乾燥運転が行われる。
【0096】
このように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させながら、浴室暖房装置4の高温モードでの暖房運転又は乾燥運転を行うことは、空調装置2,3の一方又は両方で暖房運転が行われている場合、あるいは、冷暖房用空調装置3で冷房運転が行われている場合でも上記と同様に行われる。例えば、
図4では、空調装置2,3の暖房運転が、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転と並行して行われる場合の熱媒の流れを示している。
【0097】
また、STEP1の判断結果が否定的である場合(要求熱媒温度が低温である場合)には、制御装置80は、STEP3において、ヒートポンプ11が冷房用の運転モードで作動中であるか否かを判断する。そして、このSTEP3の判断結果が肯定的である場合には、制御装置80は、STEP4において、浴室暖房装置4の運転モードを燃焼加熱運転モードに決定すると共に、浴室暖房装置4に供給する熱媒の目標温度として低温の要求熱媒温度(例えば60℃)を設定する。
【0098】
この燃焼加熱運転モードでは、制御装置80は、第2熱媒回路50の開閉弁54と、連絡路70a,70bの開閉弁71a,71bとを閉弁状態に維持すると共に、浴室暖房装置4用の熱動弁63を開弁させた状態で、ポンプ53を作動させ、さらに、加熱部21のバーナ22の燃焼運転を開始させる。そして、制御装置80は、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90cで検出される温度)が上記低温の要求熱媒温度(60℃)になるようにバーナ22の燃焼量を制御する。
【0099】
これにより、
図5に第3熱媒回路60に関して示すように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒が循環しながら、上記低温の要求熱媒温度(60℃)に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。ひいては、浴室暖房装置4の低温モードでの暖房運転又は乾燥運転が行われる。これと並行して、
図5に第1熱媒回路40に関して示すように、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で熱媒が循環しつつ、冷暖房用空調装置3の冷房運転が前記した如く行われる。
【0100】
前記STEP3の判断結果が否定的である場合には、制御装置80は、STEP5において、浴室暖房装置4の運転モードをHP加熱運転モードに決定する。このHP加熱運転モードでは、制御装置80は、連絡路70a,70bの開閉弁71a,71bと、浴室暖房装置4用の熱動弁63を開弁させた状態で、ヒートポンプ11を暖房用の運転モードで作動させると共にポンプ43を作動させ、さらに、熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31a及びバイパス路41eのうちのバイパス路41eだけに熱媒を流すように第1熱媒回路40の三方弁44を動作させる。なお、空調装置2,3のいずれかの暖房運転が既に行われている場合には、ヒートポンプ11及びポンプ43の作動が継続されたまま、連絡路70a,70bの開閉弁71a,71bと、浴室暖房装置4用の熱動弁63が開弁される。
【0101】
そして、制御装置80は、空調装置2、3の暖房運転の場合と同様に、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90bで検出される温度)がリモコン85で設定された暖房温度(もしくは暖房の強弱度合)に応じて決定される低温の要求熱媒温度(40~60℃の範囲内の温度)になるようにヒートポンプ11の出力を調整することで、熱媒の温調制御を行う。
【0102】
これにより、
図6に示す如く、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と浴室暖房装置4との間で連絡路70a,70bを通って熱媒が循環しながら、低温の要求熱媒温度に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。なお、
図6では、浴室暖房装置4に加えて、空調装置2,3でも暖房運転が行われる場合の熱媒の流れを示している。
【0103】
以上説明したように、本実施形態の空調システム1Aでは、高温の要求熱媒温度での(高温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合、あるいは、冷暖房用空調装置3の冷房運転中に低温の要求熱媒温度での(低温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合には、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で第3熱媒回路60を介して熱媒を循環させることで、高温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転、あるいは、低温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を、冷暖房用空調装置3の冷房運転を行いながら実行できる。
【0104】
さらに、空調装置2,3の両方又は一方で暖房運転が行われている場合であっても、空調装置2,3の両方又は一方に供給する熱媒の温度(40~60℃の範囲の温度)よりも高い温度(80℃)の熱媒を浴室暖房装置4に供給して、高温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を実行できる。
【0105】
また、冷暖房用空調装置3の冷房運転時以外で、低温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合には、空調装置2,3の両方又は一方で暖房運転が行われているか否かによらずに、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させながら、該ヒートポンプ11により熱該を加熱することができるので、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を高いエネルギー効率で実行することができる。
【0106】
補足すると、本実施形態では、第2熱媒回路50に開閉弁54を備えたが、該開閉弁54を省略してもよい。この場合、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を前記燃焼加熱運転モードで実行する場合に、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒が循環することと並行して、加熱部21の熱交換器23と、熱交換器31の第2流路31bとの間で熱媒が循環することになる。
【0107】
ただし、この場合、空調装置2,3の両方又は一方での暖房運転時、あるいは、冷暖房用空調装置3での冷房運転時に、第1熱媒回路40でバイパス路41eを経由させて熱媒を循環させることで、浴室暖房装置4に供給される熱媒と、空調装置2,3の両方又は一方に供給される熱媒との熱交換が発生するのが防止される。従って、空調装置2,3の両方又は一方と、浴室暖房装置4とにそれぞれ所要の温度の熱媒を供給しつつ、空調装置2,3の両方又は一方の空調運転(暖房運転又は冷房運転)と、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行うことができる。
【0108】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を
図8~
図12を参照して説明する。なお、本実施形態の空調システム1Bは、第1実施形態の空調システム1Aと熱媒回路の一部の構成だけが相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0109】
図8を参照して、本実施形態の空調システム1Bは、第1実施形態の空調システム1Aから第1熱媒回路40からバイパス路41e及び三方弁44を除去した構成のものである。この場合、第1熱媒回路40の往路41の第1往路41aは、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から流れる熱媒の全量が熱交換器ユニット30の熱交換器31の第1流路31aに流れるように該第1流路31aに接続され、第2往路41bは、熱交換器31の第1流路31aを経由した熱媒だけが流入するように該第1流路31aに接続されている。
【0110】
そして、本実施形態の空調システム1Bでは、制御装置80は、
図2に示す制御対象要素(括弧付きの参照符号でない参照符号を付した制御対象要素)のうち、三方弁44以外の制御対象要素(ヒートポンプ11、加熱部21のバーナ22、熱動弁45,46,63、開閉弁54,71a,71b、ポンプ43,53)の作動制御を行い得るように構成されており、その作動制御を通じて空調装置2,3及び浴室暖房装置4の運転を制御することが可能である。
本実施形態の空調システム1Bの構成は、以上説明した事項以外は、第1実施形態の空調システム1Aと同じである。
【0111】
次に、本実施形態の空調システム1Bの作動を説明する。まず、空調装置2,3の暖房運転時には、制御装置80は、第1実施形態の場合と同様に、ヒートポンプ11を暖房用の運転モードで作動させると共に、空調装置2,3にそれぞれ対応する熱動弁45,46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。
【0112】
これにより、
図9に第1熱媒回路40に関して示すように、熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3との間で第1熱媒回路40を介して循環しつつ、熱媒側熱交換器12で加熱された熱媒が空調装置2,3に供給されることで、空調装置2,3の暖房運転が行われる。この場合、第1熱媒回路40での熱媒の循環は、定常的に熱交換器31の第1流路31aを経由して行われる。
【0113】
このとき、制御装置80は、空調装置2,3に供給される熱媒の温度(温度センサ90bで検出される温度)が、リモコン85で設定される暖房設定温度(又は暖房の強弱度合いの設定値)に応じて決定した所要の目標温度(例えば40~60℃の範囲内の温度)になるようにヒートポンプ11の出力を制御することで、熱媒の温調制御を行う。
【0114】
また、空調装置2,3での熱媒の放熱量が大きい場合等、ヒートポンプ11を上限の出力で作動させても、空調装置2,3に供給される熱媒の温度を目標温度まで昇温させることができない場合には、ヒートポンプ11に加えて、燃焼式熱源機20を補助的に使用して熱媒を加熱することが行われる。
【0115】
この場合、制御装置80は、ヒートポンプ11及びポンプ43を作動させることに加えて、燃焼式熱源機20の加熱部21のバーナ22の燃焼運転を開始させると共に、第2熱媒回路50の開閉弁54を開弁させた状態でポンプ53を作動させる。
【0116】
これにより、
図12に示す如く、加熱部21の熱交換器23でバーナ22の燃焼運転により加熱された熱媒が第2熱媒回路50で熱交換器ユニット30の熱交換器31の第2流路31bを経由して循環しつつ、該熱交換器31の第2流路31bを流れる熱媒と第1流路31aを流れる熱媒との熱交換が行われる。このため、第1実施形態と同様に、空調装置2,3に供給される熱媒は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12で加熱されることに加えて、熱交換器31の第2流路31bを流れる熱媒からの伝熱によって加熱される。
【0117】
そして、制御装置80は、ヒートポンプ11を上限出力もしくはこれに近い一定出力で作動させつつ、空調装置2,3に供給される熱媒の温度(温度センサ90bで検出される温度)が目標温度になるように加熱部21のバーナ22の燃焼量を調整することで、該熱媒の温調制御を行う。
【0118】
補足すると、上記の説明では、空調装置2,3の両方で暖房運転を行う場合に関して説明したが、空調装置2,3の一方だけで暖房運転を行う場合には、熱動弁45,46のうち、暖房運転を行う空調装置2又は3に対応する熱動弁45又は46だけが開弁される。そして、加熱部21のバーナ22の燃焼運転を行わない場合(ヒートポンプ11だけで熱媒を目標温度まで昇温させることができる場合)、あるいは、バーナ22の燃焼運転を行う場合(ヒートポンプ11だけでは熱媒を目標温度まで昇温させることができない場合)のいずれの場合でも、空調装置2,3の両方で暖房運転を行う場合と同様に、目標温度に温調制御された熱媒が空調装置2又は3に供給される。
【0119】
また、冷暖房用空調装置3の冷房運転時には、制御装置80は、第1実施形態の場合と同様に、ヒートポンプ11を冷房用の運転モードで作動させると共に、冷暖房用空調装置3に対応する熱動弁46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。
【0120】
これにより、
図10に第1熱媒回路40に関して示すように、熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で第1熱媒回路40を介して(熱交換器31の第1流路31aを経由して)循環しつつ、熱媒側熱交換器12で冷却された熱媒が冷暖房用空調装置3に供給されることで、冷暖房用空調装置3の冷房運転(冷暖房用空調装置3による屋内空間からの吸熱運転)が行われる。
【0121】
次に、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行う場合においては、制御装置80は、第1実施形態と同様に
図3のフローチャートに従って、浴室暖房装置4の運転モードとして、HP加熱運転モード又は燃焼加熱運転モードを選定する。そして、燃焼加熱運転モードを選定した場合(
図3のSTEP1の判断結果が肯定的である場合、又はSTEP3の判断結果が肯定的である場合)には、制御装置80は、第1実施形態と同様に、第2熱媒回路50の開閉弁54と、連絡路70a,70bの開閉弁71a,71bとを閉弁状態に維持すると共に、浴室暖房装置4用の熱動弁63を開弁させた状態で、ポンプ53を作動させ、さらに、加熱部21のバーナ22の燃焼運転を開始させる。
【0122】
さらに、制御装置80は、高温の要求熱媒温度(例えば80℃)での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転が要求された場合(
図3のSTEP1の判断結果が肯定的である場合)には、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90cで検出される温度)が高温の要求熱媒温度(80℃)になるようにバーナ22の燃焼量を制御する。
【0123】
これにより、
図9に第3熱媒回路60に関して示すように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒が循環しながら、高温の要求熱媒温度(80℃)に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。ひいては、高温の要求熱媒温度での(高温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転が行われる。
【0124】
このように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させながら、高温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行うことは、空調装置2,3の一方又は両方で暖房運転が行われている場合、あるいは、冷暖房用空調装置3で冷房運転が行われている場合でも上記と同様に行われる。例えば、
図9では、空調装置2,3の暖房運転が、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転と並行して行われる場合の熱媒の流れを示している。
【0125】
また、冷暖房用空調装置3で冷房運転が行われているときに、燃焼加熱運転モードでの浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を低温の要求熱媒温度で行う場合(
図3のSTEP3の判断結果が肯定的である場合)には、制御装置80は、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90cで検出される温度)が低温の要求熱媒温度(例えば60℃)になるようにバーナ22の燃焼量を制御する。
【0126】
これにより、
図10に第3熱媒回路60に関して示すように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒が循環しながら、低温の要求熱媒温度(60℃)に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。ひいては、低温の要求熱媒温度での(低温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転が行われる。これと並行して、
図10に第1熱媒回路40に関して示すように、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で熱媒が循環しつつ、冷暖房用空調装置3の冷房運転が前記した如く行われる。
【0127】
また、制御装置80は、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行う場合において、HP加熱運転モードを選定した場合(
図3のSTEP3の判断結果が否定的である場合)には、連絡路70a,70bの開閉弁71a,71bと、浴室暖房装置4用の熱動弁63を開弁させた状態で、ヒートポンプ11を暖房用の運転モードで作動させると共にポンプ43を作動させる。なお、空調装置2,3のいずれかの暖房運転が既に行われている場合には、ヒートポンプ11及びポンプ43の作動は継続される。
【0128】
そして、制御装置80は、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90bで検出される温度)がリモコン85で設定された暖房温度(もしくは暖房の強弱度合)に応じて決定される低温の要求熱媒温度(例えば40~60℃の範囲内の温度)になるようにヒートポンプ11の出力を調整することで、熱媒の温調制御を行う。
【0129】
これにより、
図11に示す如く、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と浴室暖房装置4との間で連絡路70a,70bを通って熱媒が循環しながら、低温の要求熱媒温度に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。ひいては、低温の要求熱媒温度での(低温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転が行われる。なお、
図11では、浴室暖房装置4に加えて、空調装置2,3でも暖房運転が行われる場合の熱媒の流れを示している。
【0130】
以上説明した空調システム1Bでは、高温の要求熱媒温度での(高温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合、あるいは、冷暖房用空調装置3の冷房運転中に低温の要求熱媒温度での(低温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合には、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で第3熱媒回路60を介して熱媒を循環させることで、高温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転、あるいは、低温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を、冷暖房用空調装置3の冷房運転を行いながら実行できる。
【0131】
さらに、空調装置2,3の両方又は一方で暖房運転が行われている場合であっても、空調装置2,3の両方又は一方に供給する熱媒の温度(40~60℃の範囲の温度)よりも高い温度(80℃)の熱媒を浴室暖房装置4に供給して、高温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を実行できる。
【0132】
また、冷暖房用空調装置3の冷房運転時以外で、低温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合には、空調装置2,3の両方又は一方で暖房運転が行われているか否かによらずに、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させながら、該ヒートポンプ11により熱該を加熱することができるので、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を高いエネルギー効率で実行することができる。
【0133】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を
図13~
図17を参照して説明する。なお、本実施形態の空調システム1Cは、第1実施形態の空調システム1Aと熱媒回路の一部の構成だけが相違するものであるので、第1実施形態と同一の事項については説明を省略する。
【0134】
図13を参照して、本実施形態の空調システム1Cは、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3のそれぞれとをこれらの間で熱媒を循環させ得るように接続する第1熱媒回路40を第1実施形態と異なる構成で備えると共に、燃焼式熱源機20の熱交換器23と浴室暖房装置4とをこれらの間で熱媒を循環させ得るように接続する第3熱媒回路60と、第1熱媒回路40を第3熱媒回路60に接続する連絡路70a,70bとを第1実施形態と同様の構成で備える。
【0135】
第1熱媒回路40は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から空調装置2,3のそれぞれに熱媒を供給する往路41と、空調装置2,3のそれぞれから熱媒側熱交換器12に熱媒を還流させる復路42とを有し、往路41及び復路42のうちの一方、例えば往路41が、燃焼式熱源機20の加熱部21の熱交換器23を経由する流路(後述の第1往路41f及び第2往路41g)と、該熱交換器23の上流側から下流側に該熱交換器23を経由させずに熱媒を流し得るバイパス路41hとを含むように構成されている。
【0136】
具体的には、第1熱媒回路40の往路41は、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12の熱媒流出口を加熱部21の熱交換器23の熱媒流入口に接続する第1往路41fと、該熱交換器23の熱媒流出口に上流端が接続された第2往路41gと、該第2往路41gから空調装置2,3のそれぞれに対応して分岐され、空調装置2,3のそれぞれの熱媒流入口に各々下流端が接続された第3往路41c,41dと、第1往路41fの途中部から分岐されて、第2往路41gの途中部に合流された(ひいては、熱交換器23に並列に接続された)バイパス路41hとを備える。
【0137】
また、第1熱媒回路40の復路42は、第1実施形態と同じ構成であり、空調装置2,3のそれぞれの熱媒流出口に各々上流端が接続された第1復路42a、42bと、該第1復路42a、42bの下流側に連接されると共にヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12の熱媒流入口に下流端が接続された第2復路42cとを備える。
【0138】
そして、往路41のうち、第1往路41fとバイパス路41hとの接続部の上流側の往路41fと、該接続部の下流側の往路41fとには、熱媒を流す動力源としての電動式のポンプ43,47が各々組付けられている。本実施形態では、ポンプ43は、ヒートポンプユニット10に搭載され、ポンプ47は燃焼式熱源機20に搭載されている。ただし、ポンプ43は、ヒートポンプユニット10の外部に配置されていてもよく、ポンプ47は、燃焼式熱源機20の外部に配置されていてもよい。
【0139】
なお、ポンプ43は、例えば、往路41のうち、第2往路41gとバイパス路41hとの接続部の下流側の第2往路41g、あるいは、復路42のうちの第2復路42cに組付けられていてもよい。また、ポンプ47は、例えば、第2往路41gと第3熱媒回路60の往路61との接続部の上流側の第2往路41gに組付けられていてもよい。
【0140】
また、第1往路41fとバイパス路41hとの接続部には電動式の三方弁48が組付けられている。該三方弁48は、本発明における第D弁装置に相当する。該三方弁48は、その上流側の第1往路41fから、下流側の第1往路41fのみに熱媒を流す動作状態(三方弁48の上流側の第1往路41fに対して下流側の第1往路41fを開通させると共にバイパス路41hを遮断する動作状態)と、上流側の第1往路41fから、バイパス路41hのみに熱媒を流す動作状態(三方弁48の上流側の第1往路41fに対して下流側の第1往路41fを遮断すると共にバイパス路41hを開通させる動作状態)とに作動させることが可能である。
【0141】
なお、三方弁48は、その下流側の第1往路41fに流れる熱媒の流量とバイパス路41hに流れる熱媒の流量との比率を所要の目標比率(下流側の第1往路41fの流量をゼロにする場合とバイパス路41hの流量をゼロにする場合とを含む)に調整し得るように構成されていてもよい。
【0142】
また、三方弁48は、例えば、ヒートポンプユニット10又は燃焼式熱源機20に搭載されていてもよい。また、三方弁48は、第2往路41gとバイパス路41hとの接続部に組付けられていてもよい。あるいは、三方弁48の代わりに、第1往路41fとバイパス路41hとの接続部から第2往路41gとバイパス路41hとの接続部までの熱交換器23を通る流路と、バイパス路41hとのそれぞれに開閉可能な開閉弁もしくは流量制御弁を備えてもよい。
【0143】
本実施形態では、第1熱媒回路40は上記のように構成されているので、熱動弁45,46の一方又は両方を開弁させた状態でポンプ43を作動させると、熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から往路41、空調装置2,3の一方又は両方、及び復路42を順に経由して熱媒側熱交換器12に還流することで、熱媒側熱交換器12と空調装置2,3の一方又は両方との間で熱媒を循環させることができる。この場合、三方弁48の作動制御によって、加熱部21の熱交換器23及びバイパス路41hのいずれか一方(又は両方)を経由させて熱媒を流すことができる。なお、加熱部21の熱交換器23を経由させて熱媒を流す場合に、ポンプ43に加えて、ポンプ47を作動させてもよい。
【0144】
第3熱媒回路60は、第1実施形態と同様に、燃焼式熱源機20の加熱部21の熱交換器23から浴室暖房装置4に熱媒を供給する往路61と、浴室暖房装置4から加熱部21の熱交換器23に熱媒を還流させる復路62とを備える。この場合、本実施形態では、往路61は、第1熱媒回路40の第2往路41gとバイパス路41hとの接続部の上流側の第2往路41gの途中部から分岐され、その下流端が浴室暖房装置4の熱媒流入口に接続されている。復路62は、その上流端が浴室暖房装置4の熱媒流出口に接続され、下流端が第1熱媒回路40のポンプ47と三方弁48との間の第1往路41fの途中部に接続されている。
【0145】
従って、本実施形態では、第1熱媒回路40の往路41のうち、第1往路41fと第3熱媒回路60の復路62の接続部から、第2往路41gと第3熱媒回路60の往路61との接続部までの流路が、第1熱媒回路40と第3熱媒回路60とで共用の流路となっている。
【0146】
そして、往路61には、第1実施形態と同様に、該往路61を開閉可能な熱動弁63が組付けられている。なお、熱動弁63は復路62に組付けられていてもよく、あるいは、浴室暖房装置4に搭載されていてもよい。
【0147】
本実施形態では、第3熱媒回路60は上記のように構成されているので、熱動弁63を開弁させた状態でポンプ47を作動させると、熱媒が、加熱部21の熱交換器23から第1熱媒回路40の第2往路41gの上流側部分(第3熱媒回路60の往路61との接続部よりも上流側の部分)、往路61、浴室暖房装置4、復路62、及び第1熱媒回路40の第1往路41fの下流側部分(第3熱媒回路60の復路62との接続部よりも下流側の部分)を順に経由して加熱部21の熱交換器23に還流することで、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させることができる。
【0148】
また、本実施形態の空調システム1Cでは、制御装置80は、
図2の括弧付きの参照符号で示す制御対象要素であるヒートポンプ11、加熱部21のバーナ22、三方弁48、熱動弁45,46,63、開閉弁71a,71b、ポンプ43,47の作動制御を行うことが可能であり、その作動制御を通じて空調装置2,3及び浴室暖房装置4の運転を制御する。
【0149】
また、本実施形態の空調システム1Cは、複数の温度センサ90として、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12から第1熱媒回路40の往路41(第1往路41f)を通って三方弁48に流入する熱媒の温度(熱媒側熱交換器12から流出する熱媒の温度)を検出する温度センサ90f、加熱部21の熱交換器23及びバイパス路41hの下流側で往路41(第2往路41g)を通って空調装置2,3に供給される熱媒の温度を検出する温度センサ90g、加熱部21の熱交換器23から第1熱媒回路40の第2往路41gに流出する熱媒の温度を検出する温度センサ90hが備えられている。
本実施形態の空調システム1Cの構成は、以上説明した事項以外は、第1実施形態の空調システム1Aと同じである。
【0150】
次に、本実施形態の空調システム1Cの作動を説明する。まず、空調装置2,3の暖房運転時の作動を説明する。空調装置2,3の暖房運転時には、制御装置80は、ヒートポンプ11を暖房用の運転モード(熱媒側熱交換器12に加熱された冷媒を流すように冷媒回路13を作動させる運転モード)で作動させると共に、空調装置2,3にそれぞれ対応する熱動弁45,46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。
【0151】
これにより、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3との間で第1熱媒回路40を介して循環しつつ、熱媒側熱交換器12で加熱された熱媒が空調装置2,3に供給されることで、空調装置2,3の暖房運転(空調装置2,3から屋内空間への放熱運転)が行われる。
【0152】
次に、本実施形態の空調システム1Cの作動を説明する。まず、空調装置2,3の暖房運転時には、制御装置80は、第1実施形態の場合と同様に、ヒートポンプ11を暖房用の運転モードで作動させると共に、空調装置2,3にそれぞれ対応する熱動弁45,46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。さらに、制御装置80は、加熱部21の熱交換器23とバイパス路41hとのうちのバイパス路41hだけに熱媒を流すように第1熱媒回路40の三方弁48を動作させる。
【0153】
これにより、
図14に第1熱媒回路40に関して示すように、熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3との間で第1熱媒回路40を介して循環しつつ、熱媒側熱交換器12で加熱された熱媒が空調装置2,3に供給されることで、空調装置2,3の暖房運転が行われる。この場合、第1熱媒回路40での熱媒の循環は、バイパス路41hを経由して行われる。
【0154】
このとき、制御装置80は、空調装置2,3に供給される熱媒の温度(温度センサ90gで検出される温度)が、リモコン85で設定される暖房設定温度(又は暖房の強弱度合いの設定値)に応じて決定した所要の目標温度(例えば40~60℃の範囲内の温度)になるようにヒートポンプ11の出力を制御することで、熱媒の温調制御を行う。
【0155】
また、空調装置2,3での熱媒の放熱量が大きい場合等、ヒートポンプ11を上限の出力で作動させても、空調装置2,3に供給される熱媒の温度を目標温度まで昇温させることができない場合には、ヒートポンプ11に加えて、燃焼式熱源機20を補助的に使用して熱媒を加熱することが行われる。
【0156】
この場合、制御装置80は、ヒートポンプ11及びポンプ43を作動させることに加えて、加熱部21の熱交換器23とバイパス路41hとのうちの熱交換器23のみに、又は、熱交換器23とバイパス路41hの両方に熱媒を流すように三方弁48を動作させ、さらに燃焼式熱源機20の加熱部21のバーナ22の燃焼運転を開始させる。
【0157】
これにより、
図17に示す如く、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と空調装置2,3との間で、熱媒が加熱部21の熱交換器23とバイパス路41hとを経由して(又は熱交換器23のみを経由して)循環すると共に、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12で加熱された熱媒の一部(又は全体)が加熱部21の熱交換器23でさらに加熱される。
【0158】
そして、制御装置80は、ヒートポンプ11を上限出力もしくはこれに近い一定出力で作動させつつ、空調装置2,3に供給される熱媒の温度(温度センサ90gで検出される温度)が目標温度になるように加熱部21のバーナ22の燃焼量を調整することで、該熱媒の温調制御を行う。なお、この温調制御では、バーナ22の燃焼量を調整することに加えて、あるいは、バーナ22の燃焼量を一定の燃焼量に維持した状態で、熱交換器23を流れる熱媒の流量とバイパス路41hを流れる熱媒の流量との比率を三方弁48を介して調整することで、空調装置2,3に供給される熱媒の温調制御を行うことも可能である。
【0159】
補足すると、上記の説明では、空調装置2,3の両方で暖房運転を行う場合に関して説明したが、空調装置2,3の一方だけで暖房運転を行う場合には、熱動弁45,46のうち、暖房運転を行う空調装置2又は3に対応する熱動弁45又は46だけが開弁される。そして、ヒートポンプ11、ポンプ43及び三方弁48が、空調装置2,3の両方での暖房運転の場合と同様に作動される。さらに、暖房運転を行う空調装置2又は3に供給される熱媒の温度を、ヒートポンプ11だけでは目標温度に昇温させることができない場合には、空調装置2,3の両方での暖房運転の場合と同様に、加熱部21の熱交換器23に熱媒を流すように三方弁48が作動されると共に、バーナ22の燃焼運転とが行われる。
【0160】
なお、空調装置2,3の両方又は一方に供給する熱媒の一部(又は全体)を加熱部21の熱交換器23を経由させる場合には、熱交換器23を流れる熱媒の流量とバイパス路41hを流れる熱媒の流量との比率を所要の比率にするために、三方弁48の作動制御と併せて、ポンプ47を作動させてもよい。この場合、ポンプ47の回転数を調整することで、熱交換器23を流れる熱媒の流量を制御することが可能である。
【0161】
また、冷暖房用空調装置3の冷房運転時には、制御装置80は、第1実施形態の場合と同様に、ヒートポンプ11を冷房用の運転モードで作動させると共に、冷暖房用空調装置3に対応する熱動弁46を開弁させた状態でポンプ43を作動させる。さらに、制御装置80は、加熱部21の熱交換器23とバイパス路41hとのうちのバイパス路41hだけに熱媒を流すように第1熱媒回路40の三方弁48を動作させる。
【0162】
これにより、
図15に第1熱媒回路40に関して示すように、熱媒がヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間で第1熱媒回路40のバイパス路41hを経由して循環しつつ、熱媒側熱交換器12で冷却された熱媒が冷暖房用空調装置3に供給されることで、冷暖房用空調装置3の冷房運転(冷暖房用空調装置3による屋内空間からの吸熱運転)が行われる。
【0163】
次に、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行う場合においては、制御装置80は、第1実施形態と同様に
図3のフローチャートに従って、浴室暖房装置4の運転モードとして、HP加熱運転モード又は燃焼加熱運転モードを選定する。そして、燃焼加熱運転モードを選定した場合(
図3のSTEP1の判断結果が肯定的である場合、又はSTEP3の判断結果が肯定的である場合)には、制御装置80は、連絡路70a,70bの開閉弁71a,71bとを閉弁状態に維持すると共に、三方弁48を、その上流側の第1往路41fを下流側の第1往路41f(加熱部21の熱交換器23に至る流路)に対して遮断する動作状態(バイパス路41hのみに開通させる動作状態)に作動させ、さらに浴室暖房装置4用の熱動弁63を開弁させる。そして、制御装置80は、ポンプ47を作動させると共に、加熱部21のバーナ22の燃焼運転を開始させる。
【0164】
さらに、制御装置80は、高温の要求熱媒温度での(高温モードでの)浴室暖房装置4での暖房運転又は乾燥運転が要求された場合(
図3のSTEP1の判断結果が肯定的である場合)には、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90hで検出される温度)が高温の要求熱媒温度(例えば80℃)になるようにバーナ22の燃焼量を制御する。
【0165】
これにより、
図14に第3熱媒回路60に関して示すように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒が循環しながら、上記高温の要求熱媒温度(80℃)に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。ひいては、高温の要求熱媒温度での(高温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転が行われる。
【0166】
このように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させながら、高温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行うことは、空調装置2,3の一方又は両方で暖房運転が行われている場合、あるいは、冷暖房用空調装置3で冷房運転が行われている場合でも上記と同様に行われる。例えば、
図14では、空調装置2,3の暖房運転が、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転と並行して行われる場合の熱媒の流れを示している。
【0167】
また、冷暖房用空調装置3で冷媒運転が行われているときに、燃焼加熱運転モードでの浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を低温の要求熱媒温度で行う場合(
図3のSTEP3の判断結果が肯定的である場合)には、制御装置80は、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90hで検出される温度)が低温の要求熱媒温度(例えば60℃)になるようにバーナ22の燃焼量を制御する。
【0168】
これにより、
図15に第3熱媒回路60に関して示すように、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で熱媒が循環しながら、上記低温の要求熱媒温度(60℃)に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。ひいては、低温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転が行われる。これと並行して、
図15に第1熱媒回路40に関して示すように、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と冷暖房用空調装置3との間でバイパス路41hを経由して熱媒が循環しつつ、冷暖房用空調装置3の冷房運転が前記した如く行われる。
【0169】
また、制御装置80は、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行う場合において、HP加熱運転モードを選定した場合(
図3のSTEP3の判断結果が否定的である場合)には、連絡路70a,70bの開閉弁71a,71bと、浴室暖房装置4用の熱動弁63を開弁させた状態で、ヒートポンプ11を暖房用の運転モードで作動させると共にポンプ43を作動させる。また、制御装置80は、三方弁48を、その上流側の第1往路41fをバイパス路41hのみに開通させる(下流側の第1往路41fに対して遮断する)動作状態に作動させる。なお、空調装置2,3のいずれかの暖房運転が既に行われている場合には、ヒートポンプ11及びポンプ43の作動は継続される。
【0170】
そして、制御装置80は、浴室暖房装置4に供給される熱媒の温度(温度センサ90gで検出される温度)がリモコン85で設定された暖房温度(もしくは暖房の強弱度合)に応じて決定される低温の要求熱媒温度(例えば40~60℃の範囲内の温度)になるようにヒートポンプ11の出力を調整することで、熱媒の温調制御を行う。
【0171】
これにより、
図16に示す如く、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と浴室暖房装置4との間で連絡路70a,70bを通って熱媒が循環しながら、低温の要求熱媒温度に温調制御された熱媒が浴室暖房装置4に供給される。ひいては、低温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転が行われる。なお、
図16では、浴室暖房装置4に加えて、空調装置2,3でも暖房運転が行われる場合の熱媒の流れを示している。
【0172】
以上説明した空調システム1Cでは、高温の要求熱媒温度での(高温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合、あるいは、冷暖房用空調装置3の冷房運転中に低温の要求熱媒温度での(低温モードでの)浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合には、加熱部21の熱交換器23と浴室暖房装置4との間で第3熱媒回路60を介して熱媒を循環させることで、高温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転、あるいは、低温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を、冷暖房用空調装置3の冷房運転を行いながら実行できる。
【0173】
さらに、空調装置2,3の両方又は一方で暖房運転が行われている場合であっても、空調装置2,3の両方又は一方に供給する熱媒の温度(40~60℃の範囲の温度)よりも高い温度(80℃)の熱媒を浴室暖房装置4に供給して、高温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を実行できる。
【0174】
また、冷暖房用空調装置3の冷房運転時以外で、低温の要求熱媒温度での浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転の実行が要求された場合には、空調装置2,3の両方又は一方で暖房運転が行われているか否かによらずに、ヒートポンプ11の熱媒側熱交換器12と浴室暖房装置4との間で熱媒を循環させながら、該ヒートポンプ11により熱該を加熱することができるので、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を高いエネルギー効率で実行することができる。
【0175】
[他の実施形態]
本発明は以上説明した第1~第3実施形態に限らず、他の実施形態を採用することもできる。以下に他の実施形態をいくつか例示する。前記各実施形態では、燃焼加熱運転モードでの浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を、冷暖房用空調装置3の冷房運転時だけでなく、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を高温モードで行うことが要求される場合にも実行した。
【0176】
ただし、燃焼加熱運転モードでの浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を、例えば、冷暖房用空調装置3の冷房運転時にだけ実行するようにしてもよい。そして、冷暖房用空調装置3の冷房運転時以外の状況では、空調装置2,3で暖房運転を行うか否かによらずに、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転をHP加熱運転モードで実行するようにしてもよい。この場合、冷暖房用空調装置3の冷房運転時における燃焼加熱運転モードでの浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転は高温モードでの運転及び低温モードでの運転のいずれでもよい。
【0177】
また、前記各実施形態では、燃焼加熱運転モードでの浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を行う場合に、浴室暖房装置4に供給する熱媒の温度を高温側温度(例えば80℃)又は低温側温度(例えば60℃)のいずれかに温調制御したが、該熱媒の温度を高温側温度及び低温側温度のいずれか一方のみに温調制御してもよい。あるいは、該熱媒の目標温度をリモコン85で設定された暖房設定温度(又は暖房の強弱度合)に応じて可変的に設定して、該熱媒の温調制御を行ってもよい。
【0178】
また、前記各実施形態では、浴室暖房装置4の暖房運転又は乾燥運転を、燃焼加熱運転モード又はHP加熱運転モードで実行し得るようにしたが、例えば燃焼加熱運転モードでのみ実行し得るようにしてもよい。この場合には、連絡路70a,70b及び開閉弁71a,71bは不要である。
【0179】
また、前記各実施形態では、連絡路70a,70bにそれぞれ、第C弁装置としての開閉弁71a,71bを備えたが、連絡路70a,70bの一方だけに、開閉弁71a又は71bを備えてもよい。また、連絡路70a,70bを遮断し得る弁装置(第C弁装置)として、開閉弁71a,71bの代わりに、例えば
図18Aに示すように三方弁72a,72bを備えてもよく、あるいは、例えば
図18Bに示すように四方弁73及び開閉弁74を備えてもよい。
【0180】
図18Aに示す例では、三方弁72aは、第3熱媒回路60の往路61と連絡路70aとの接続部に組付けられ、三方弁72bは、第3熱媒回路60の復路62と連絡路70bとの接続部に組付けられている。この場合、三方弁72aの上流側の往路61を、下流側の往路61に対して開通させると共に連絡路70aに対して遮断するように三方弁72aを動作させ、且つ、三方弁72bの上流側の復路62を、下流側の復路62に対して開通させると共に連絡路70bに対して遮断するように三方弁72bを動作させることで、連絡路70a、70bが浴室暖房装置4に対して遮断される。
【0181】
また、三方弁72aの下流側の往路61を、上流側の往路61に対して遮断すると共に連絡路70aに対して開通させるように三方弁72aを動作させ、且つ、三方弁72bの上流側の復路62を、下流側の復路62に対して遮断すると共に連絡路70bに対して開通させるように三方弁72bを動作させることで、連絡路70a、70bが浴室暖房装置4に対して開通する。
【0182】
また、
図18Bに示す例では、四方弁73は、第3熱媒回路60の復路62の途中部に組付けられ、連絡路70a、70bが接続されている。該四方弁73は、第1ポート73a~第4ポート73dの4つのポートを有し、第1ポート73a及び第2ポート73bが連通すると共に、第3ポート73c及び第4ポート73dが連通する第1動作状態(
図18Bに示す四方弁73内に実線で示す流路が形成される状態)と、第1ポート73a及び第4ポート73dが連通すると共に、第2ポート73b及び第3ポート73cが連通する第2動作状態(
図18Bに示す四方弁73内に破線で示す流路が形成される状態)とに動作可能である。
【0183】
そして、四方弁73の第1ポート73aと第2ポート73bとが復路62の下流側と上流側とに各々接続され、第3ポート73cと第4ポート73dとが連絡路70a,70bに各々接続されている。さらに、四方弁73の第1ポート73aは、開閉弁74を介して往路61にも接続されている。該開閉弁74は例えば熱動弁等により構成される。
【0184】
図18Bに示す例では、四方弁73及び開閉弁74が上記の如く備えられているので、四方弁73を上記の第1動作状態に動作させると共に、開閉弁74を閉弁させることで、連絡路70a、70bが浴室暖房装置4に対して遮断される。また、四方弁73を上記の第2動作状態に動作させると共に、開閉弁74を開弁させることで、連絡路70a、70bが浴室暖房装置4に対して開通する。
【0185】
また、前記各実施形態では、第1熱源として、ヒートポンプ方式の熱源であるヒートポンプユニット10を例示し、第2熱源として燃焼式の熱源である燃焼式熱源機20を例示した。ただし、第1熱源及び第2熱源は、他の種類の熱源であってもよい。例えば、第1熱源及び第2熱源は、両方とも、ヒートポンプ方式の熱源、あるいは、燃焼式の熱源であってもよい。
【0186】
また、前記各実施形態では、第2空調装置として浴室暖房装置4を例示したが、第2空調装置は、浴室暖房装置4に限られない。例えば、第2空調装置は、季節によらずに、暖房又は乾燥を必要とする保管庫等に配置される空調装置であってもよい。さらに、第2空調装置は、暖房運転又は乾燥運転を行い得るものに限らず、さらに、冷房運転を行い得る空調装置であってもよい。この場合、前記したHP加熱運転モードでは、第2空調装置の冷房運転を実行可能である。
【符号の説明】
【0187】
1A,1B,1C…空調システム、3…冷暖房用空調装置(第1空調装置)、4…浴室暖房装置(第2空調装置)、10…ヒートポンプユニット(第1熱源、ヒートポンプ方式の熱源)、20…燃焼式熱源機(第2熱源、燃焼式の熱源)、31…熱交換器、31a…第1流路、31b…第2流路、40…第1熱媒回路、41e…バイパス路、44…三方弁(第B弁装置)、48…三方弁(第D弁装置)、50…第2熱媒回路、54…開閉弁(第A弁装置)、60…第3熱媒回路、70a…連絡路(流入側連絡路)、70b…連絡路(流出側連絡路)、71a,71b…開閉弁(第C弁装置)、72a,72b…三方弁(第C弁装置)、73…四方弁(第C弁装置)、74…開閉弁(第C弁装置)。