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特開2023-154211シャッタ制御装置、及び、シャッタ制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154211
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】シャッタ制御装置、及び、シャッタ制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
B60K11/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063380
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】小林 啓二
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038AA06
3D038AB01
3D038AC01
3D038AC17
(57)【要約】
【課題】熱交換対象への空気の流量を適切に制御することにより環境への負荷の低減を図る。
【解決手段】車両50に設けられる熱交換対象60に流入する空気の流量を制御するシャッタ21の開度を制御する装置であり、熱交換対象60に流入する空気の温度を測定する外気温センサ13と、熱交換対象60に流入する空気の風量を測定する風量センサ14と、シャッタ21を開閉するモータ22の動作を制御する制御部11と、を備え、制御部11は、外気温センサ13が測定した空気の温度、及び、風量センサ14が測定した空気の風量、に基づいて、モータ22の動作を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられる熱交換対象に流入する空気の流量を制御するシャッタの開度を制御する装置であり、
前記熱交換対象に流入する空気の温度を測定する外気温センサと、
前記熱交換対象に流入する空気の風量を測定する風量センサと、
前記シャッタを開閉するモータの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記外気温センサが測定した前記空気の温度、及び、前記風量センサが測定した前記空気の風量、に基づいて、前記モータの動作を制御する、
シャッタ制御装置。
【請求項2】
前記外気温センサは、前記熱交換対象における前記空気の流入側に設けられている、
請求項1に記載のシャッタ制御装置。
【請求項3】
前記外気温センサは、前記シャッタの前記空気の流出側に設けられている、
請求項2に記載のシャッタ制御装置。
【請求項4】
前記熱交換対象の温度を測定する温度センサを備え、
前記制御部は、前記空気の温度、及び、前記空気の風量に基づいて、前記熱交換対象の温度が所定の目的温度の範囲内となるように、前記モータの動作を制御する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のシャッタ制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記空気の温度と前記熱交換対象の温度との差、及び、前記空気の風量に応じて、前記モータの動作を制御する、
請求項4に記載のシャッタ制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記空気の温度と前記熱交換対象の温度との差が正の値である場合に、前記空気の風量が第1の閾値となるように、前記モータの動作を制御する、
請求項4に記載のシャッタ制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記空気の温度と前記熱交換対象の温度との差が負の値である場合に、前記空気の風量が第2の閾値となるように、前記モータの動作を制御する、
請求項4に記載のシャッタ制御装置。
【請求項8】
車両に設けられる熱交換対象に流入する空気の流量を制御するシャッタの開度を制御するコンピュータで実行可能なプログラムであり、
前記熱交換対象に流入する空気の温度を測定するステップと、
前記熱交換対象に流入する空気の風量を測定するステップと、
前記シャッタを開閉するモータの動作を制御するステップと、
を前記コンピュータに実行させ、
前記モータの動作を制御するステップでは、前記空気の温度、及び、前記空気の風量、に基づいて、前記モータの動作を制御する、
シャッタ制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッタ制御装置、及び、シャッタ制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載されるエンジンやバッテリなどは、適切な温度条件で動作させるために、動作により発する熱を冷却(交換)する必要がある。エンジンやバッテリなどの熱交換を行う対象(以下「熱交換対象」という。)に、熱交換に用いられる空気を適切に供給するために、シャッタやフラップなどの遮蔽部材(以下「シャッタ」という。)を用いて空気の流量を制御する装置が知られている(特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-103717号公報
【特許文献2】特開2011-68233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両において、熱交換対象の冷却は、車体の前面に吹く風の強さ、あるいは、熱交換対象の前面における温度(外気温)などの条件も影響する。
【0005】
しかしながら、従来のシャッタの動作を制御する装置は、エンジンの油温またはバッテリの温度などの熱交換対象の温度に応じて開閉され、車体の内部に空気を取り入れていた。このため、シャッタの動作を制御する装置においては、熱交換対象の温度以外の条件に応じて、シャッタの開閉の程度をより適切に判断することが求められている。
【0006】
内燃機関のエンジンにおいて、動作時におけるエンジンの温度は、排出ガスに含まれる物質に影響を及ぼす。つまり、内燃機関を搭載する車両において、熱交換器(ラジエータ)への空気の流量を適切に制御することにより、排出ガスに含まれる物質を低減し、ひいては環境への負荷を低減することが期待されている。また、二次電池式電気自動車(Battery Electric Vehicle:BEV)に搭載される走行用バッテリは、動作時における温度条件が、バッテリの寿命に影響を及ぼす。つまり、走行用バッテリを熱交換対象とする場合において、走行用バッテリへの空気の流量を適切に制御することにより、バッテリ寿命が延長され、ひいては環境への負荷の軽減が期待されている。
【0007】
本発明は、上述の課題を一例とするものであり、熱交換対象への空気の流量を適切に制御することにより環境への負荷の低減を図るシャッタ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るシャッタ制御装置は、車両に設けられる熱交換対象に流入する空気の流量を制御するシャッタの開度を制御する装置であり、前記熱交換対象に流入する空気の温度を測定する外気温センサと、前記熱交換対象に流入する空気の風量を測定する風量センサと、前記シャッタを開閉するモータの動作を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記外気温センサが測定した前記空気の温度、及び、前記風量センサが測定した前記空気の風量、に基づいて、前記モータの動作を制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシャッタ制御装置によれば、熱交換対象への空気の流量を適切に制御することにより環境への負荷の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態に係るシャッタ制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図2図1に示すシャッタ制御装置における、熱交換対象の例である水冷式ラジエータを備えるバッテリ装置の構成を概略的に示す模式図である。
図3図1に示すシャッタ制御装置における、熱交換対象の例である水冷式クーラを備えるバッテリ装置の構成を概略的に示す模式図である。
図4図1に示すシャッタ制御装置における、熱交換対象の例である水冷式ラジエータとクーラとを併用するバッテリ装置の構成を概略的に示す模式図である。
図5図1に示すシャッタ制御装置における、熱交換対象の例である空冷式バッテリ装置の構成を概略的に示す模式図である。
図6図1に示すシャッタ制御装置における、熱交換対象の例である内燃機関エンジン用の水冷式ラジエータ装置の構成を概略的に示す模式図である。
図7】車両の幅方向における外気温センサの取り付け位置の例を概略的に示す模式図である。
図8】車両の進行方向における外気温センサの取り付け位置の例を概略的に示す模式図である。
図9図1に示すシャッタ制御装置による処理を示すフローチャートである。
図10図9に示すフローチャートにおける、走行中の処理を示すフローチャートである。
図11図9に示すフローチャートにおける、停車中の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係るシャッタ制御装置について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係るシャッタ制御装置の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、シャッタ制御装置10は、車両50に搭載されている。車両50には、熱交換対象60が搭載されている。シャッタ制御装置10は、熱交換対象60に流入する空気の流量を制御するシャッタ装置20のシャッタ21の開度を制御する。シャッタ制御装置10の詳細は後述する。なお、本実施形態において車両50の前方とは、車両50の前進時の進行方向である。また、車両50の後方とは、前方とは反対方向、すなわち、車両50の後退時の進行方向である。
【0014】
シャッタ装置20は、シャッタ21とモータ22とを備える。シャッタ21は、熱交換対象60よりも前方側に設けられている。シャッタ21は、熱交換対象60の前方側において、複数が並んで設けられている。シャッタ装置20は、シャッタ21が回転してその開度(以下「シャッタ21の開度」という。)が変化すると、フロントグリル51から流入しシャッタ装置20を通過する空気の流量が変化し、熱交換対象60に流入する空気の流量が変化する。つまり、シャッタ装置20は、熱交換対象60に流入する空気の流量を制御する。
【0015】
モータ22は、シャッタ21を回転させ、その開度を調整する駆動装置である。モータ22の動作は、制御部11によって制御される。
【0016】
熱交換対象60は、車両50において、熱交換を行う対象の装置である。熱交換対象60は、例えば、内燃機関のエンジン、二次電池式電気自動車における走行用バッテリなど、適切な温度条件で動作させるために、動作により発する熱を冷却(交換)する必要がある装置である。熱交換対象60は、シャッタ装置20の後方側となる位置に配置されている。このため、フロントグリル51の開口から車両50の内部に導入された空気は、熱交換対象60を通って熱交換に用いられる。以下に説明する熱交換対象60の構成は一例である。このため、熱交換対象60の構成は以下の構成に限定されない。
【0017】
図2は、シャッタ制御装置10における、熱交換対象60の例である水冷式ラジエータ62を備えるバッテリ装置の構成を概略的に示す模式図である。図2に示すように、熱交換対象60が水冷式ラジエータ62を備えるバッテリ装置である場合に、熱交換対象60は、電池パック61、水冷式ラジエータ62、冷却液流路63、冷却液ポンプ64、及び、冷却液タンク72を備える。図2に示すバッテリ装置において、冷媒は冷却液流路63を流れる冷却液である。また、図2に示すバッテリ装置において、冷却対象は電池パック61である。電池パック61は、バッテリ装置を構成するリチウムイオン二次電池やリチウムイオンポリマー二次電池などの二次電池である。なお、電池パック61を構成する二次電池の種類は以上のものに限定されない。シャッタ装置20を通過した空気は、水冷式ラジエータ62に導入される。水冷式ラジエータ62は、電池パック61を通って循環する冷却液を、空気に触れて空気との熱交換が行われることにより冷却する熱交換器である。冷却液流路63は、電池パック61と水冷式ラジエータ62との間で冷却液を循環させるための流路である。冷却液ポンプ64は、冷却液流路63の内部において冷却液を循環させるためのポンプである。
【0018】
図3は、シャッタ制御装置10における、熱交換対象60の例である水冷式クーラ65を備えるバッテリ装置の構成を概略的に示す模式図である。図3に示すように、熱交換対象60が水冷式クーラ65を備えるバッテリ装置である場合に、熱交換対象60は、電池パック61、水冷式クーラ65、冷却液流路63、冷却液ポンプ64、及び、冷却液タンク72を備える。図3に示すバッテリ装置において、図2に示したバッテリ装置と同様の構成は説明を省略する。水冷式クーラ65は、凝縮器651、蒸発器652、膨張弁653、及び、圧縮機654を備える。図3に示すバッテリ装置において、水冷式クーラ65を流れるR32などの冷媒ガスである。また、図3に示すバッテリ装置において、冷却対象は冷却液流路63内の冷却液である。シャッタ装置20を通過した空気は、水冷式クーラ65の凝縮器651に導入される。凝縮器651は、冷媒を液化させて熱を空気へ放出する。蒸発器652は、冷却液から熱を吸収して冷媒を蒸発させ、冷却液を冷却する。蒸発器652により冷却された冷却液は、冷却液流路63を通って電池パック61に入り、電池パック61を冷却する。膨張弁653は、冷媒を急激に膨張させ低温低圧にする。圧縮機654は、冷媒を圧縮し高温高圧にして送り出す。
【0019】
図4は、シャッタ制御装置における、熱交換対象60の例である水冷式ラジエータ62と水冷式クーラ65とを併用するバッテリ装置の構成を概略的に示す模式図である。図4に示すバッテリ装置において、冷媒は冷却液流路63を流れる冷却液、及び、水冷式クーラ65を流れるR32などの冷媒ガスである。また、図4に示すバッテリ装置において、冷却対象は電池パック61である。図4に示すように、熱交換対象60が水冷式ラジエータ62と水冷式クーラ65とを併用するバッテリ装置である場合に、熱交換対象60は、図2に示した水冷式ラジエータ62の構成と図3に示した水冷式クーラ65の構成とを備える。電池パック61に流入する冷却液は、水冷式ラジエータ62及び蒸発器652それぞれとの間で循環する。図4に示すバッテリ装置において、シャッタ装置20を通過した空気は、水冷式ラジエータ62及び水冷式クーラ65の凝縮器651に導入される。水冷式ラジエータ62は、冷却液を、空気と触れることにより冷却する。凝縮器651は、空気と触れることにより冷媒を液化させて熱を空気へ放出する。
【0020】
図5は、シャッタ制御装置における、熱交換対象の例である空冷式バッテリ装置の構成を概略的に示す模式図である。図5に示すように、熱交換対象60が強制空冷式のバッテリ装置である場合に、熱交換対象60は、電池パック61に空気の吸気口611と排気口612とを備える。図5に示すバッテリ装置において、冷媒は吸気口611から導入される空気である。また、図5に示すバッテリ装置において、冷却対象は電池パック61である。電池パック61の内部は、吸気口611と排気口612とを備えることで、外部に連通している。吸気口611の前方側には、空調機66を備える。空調機66は、シャッタ装置20を通過して車両50の外部から流入した空気により電池パック61を冷却し、電池パック61から受熱した吸気口611に送出する。排気口612の後方側には、ファン67を備える。ファン67は、電池パック61内部の空気を外部に排出する。
【0021】
図6は、シャッタ制御装置における、熱交換対象の例である内燃機関エンジン用の水冷式ラジエータ装置の構成を概略的に示す模式図である。図6に示すように、熱交換対象60が内燃機関エンジン用の水冷ラジエータ装置である場合に、熱交換対象60は、水冷式ラジエータ68、ファン69を備える。図6に示す水冷式ラジエータ装置において、冷媒は冷却液流路71を流れる冷却液である。また、図6に示す水冷式ラジエータ装置において、冷却対象はエンジン70である。水冷式ラジエータ68は、エンジン70を通って循環する冷却液を、シャッタ装置20を通過した空気に触れて空気との熱交換が行われることにより冷却する熱交換器である。冷却液流路71は、エンジン70と水冷式ラジエータ68との間で冷却液を循環させるための流路である。水冷式ラジエータ68により冷却された冷却液は、エンジン70から受熱してエンジン70を冷却し、再び水冷式ラジエータ68に循環する。ファン69は、水冷式ラジエータ68に送風して水冷式ラジエータ68を冷却する。
【0022】
次に、シャッタ制御装置10の構成について説明する。シャッタ制御装置10は、制御部11と、回転位置検出部12と、外気温センサ13と、風量センサ14と、温度センサ15とを備える。
【0023】
回転位置検出部12は、モータ22の回転軸の位置情報を検出する。回転位置検出部12は、検出したモータ22の回転軸の位置情報を制御部11に出力する。
【0024】
外気温センサ13は、車両50の外部から熱交換対象60に流入する空気の温度を測定する。
【0025】
図7は、車両50の幅方向における外気温センサ13の取り付け位置の例を概略的に示す模式図である。図7に示すように、外気温センサ13は、1台の車両50に対して2つ取り付ける場合、車両の幅方向において進行方向右側の外気温センサ13Aと左側の外気温センサ13Bとのように1つずつ取り付けるのが望ましい。外気温センサ13は、1台の車両50に対して1つ取り付ける場合、図1に示すように車両50の幅方向において中央付近に取り付けるのが望ましい。
【0026】
図8は、車両50の進行方向における外気温センサ13の取り付け位置の例を概略的に示す模式図である。図8に示すように、外気温センサ13は、熱交換対象60における空気の流入側、車両50においては熱交換対象60に対して進行方向前方側に設けられているのが望ましい。外気温センサ13は、シャッタ21から見ての空気の流出側、車両50においてはシャッタ21に対して進行方向後方側に設けられているのが望ましい。
【0027】
具体的には、図2に示した水冷式ラジエータ62を備えるバッテリ装置では、水冷式ラジエータ62の前面に外気温センサ13を取り付けるのが望ましい。図3に示した水冷式クーラ65を備えるバッテリ装置では、外気を吸い込む凝縮器651の前面に外気温センサ13を取り付けるのが望ましい。図4に示した水冷式ラジエータ62と水冷式クーラ65を備えるバッテリ装置では、水冷式ラジエータ62若しくは凝縮器651の前面に外気温センサ13を取り付けるのが望ましい。図5に示した左(b)強制空冷式のバッテリ装置では、空調機66の前面に外気温センサ13を取り付けるのが望ましい。
【0028】
風量センサ14は、熱交換対象60に流入する空気の風量を測定する。シャッタ制御装置10において、風量センサ14に替えて風速センサを用いてもよい。風量センサ14は、車両50の進行方向においてフロントグリル51の後方側でありシャッタ21の前方側に取り付けるのが望ましい。
【0029】
温度センサ15は、熱交換対象60の温度を測定する。温度センサ15は、上述した水冷式ラジエータ62,68の水温を測定する。温度センサ15は、電池パック61内部の温度を測定してもよい。
【0030】
車速センサ16は、車両50の車速を測定する。
【0031】
制御部11は、シャッタ21を開閉するモータ22の動作を制御する。制御部11は、外気温センサ13が測定した空気の温度、及び、風量センサ14が測定した空気の風量、に基づいて、熱交換対象60の温度が所定の目的温度の範囲内となるように、モータ22の動作を制御する。制御部11は、車速判定部111、停車中シャッタ制御部113、走行中シャッタ制御部114、モータ駆動制御部115を備える。
【0032】
図1に示す制御部11の各ブロックは、制御部11のCPUがプログラムを実行することによって実現されるファンクション(機能)を表したものである。制御部11の各ブロックは、ハードウエア的には、コンピュータのCPUやRAM(Random Access Memory)をはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウエア的にはコンピュータで実行可能なプログラム(シャッタ制御プログラム)等によって実現される。ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。従って、これらの機能ブロックはハードウエア、ソフトウエアの組み合わせによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0033】
車速判定部111は、車速センサ16が測定した車両50の車速(例えば、時速0キロメートル以上か否か)から、車両50が走行中であるか否かを判定する。車速判定部111は、車両50が走行中であるか否かの判定結果に応じて、走行中のシャッタ21の動作を制御する走行中シャッタ制御を実行するか、または、停車中のシャッタ21の動作を制御する停車中シャッタ制御を実行するか、を判定する。車速判定部111は、判定結果が停車中シャッタ制御である場合には、停車中シャッタ制御部113に停車中シャッタ制御処理の実行を指示する。また、車速判定部111は、判定結果が走行中シャッタ制御である場合には、走行中シャッタ制御部114に走行中シャッタ制御処理の実行を指示する。
【0034】
停車中シャッタ制御部113は、車両50が停車中である場合に、温度センサ15から取得した熱交換対象60の温度が所定の温度以上であるか否かを判定する。停車中シャッタ制御部113の処理における、熱交換対象60の所定の温度は、例えば、水冷式ラジエータ62,68の水温や電池パック61の温度のあらかじめ定められた閾値である。停車中シャッタ制御部113は、熱交換対象60の温度が所定の温度以上である場合に、外気温センサ13から取得した外気温に応じて、シャッタ21の開度を判断する。停車中シャッタ制御部113において、外気温の閾値Xは、例えば、冬場のような低温時には、熱交換対象60に搭載される電池パック61やエンジンを冷やす必要がない場合に、シャッタ21の開度を閉方向に動作させるための閾値である。外気温の閾値Yは、例えば、夏場のような高温時に、電池パック61やエンジンを熱しない方がよい場合に、シャッタ21の開度を開方向に動作させるための閾値である。停車中シャッタ制御部113は、シャッタ21の開度の判断結果をモータ駆動制御部115に送信する。
【0035】
走行中シャッタ制御部114は、車両50が走行中である場合に、風量センサ14から空気の風量を、外気温センサ13から外気温を、それぞれ取得する。走行中シャッタ制御部114は、空気の温度と熱交換対象60の温度との差Dを算出する。走行中シャッタ制御部114は、空気の温度と熱交換対象60の温度との差D、及び、空気の風量に応じて、シャッタ21の動作を制御する。具体的に、走行中シャッタ制御部114は、空気の温度と熱交換対象60の温度との差Dが負の値である場合に、空気の風量が第1の閾値W1となるように、シャッタ21の動作を制御する。また、走行中シャッタ制御部114は、空気の温度と熱交換対象60の温度との差が0以上の正の値である場合、空気の風量を減少させるために、空気の風量が第2の閾値W2となるように、シャッタ21の動作を制御する。第1の閾値W1と第2の閾値W2は、第1の閾値W1の方が第2の閾値W2よりも大きな値である。具体的には、第1の閾値W1は、例えば、車両50が高速で走行している場合のように、風量が大きい場合に適用される。第2の閾値W2は、例えば、車両50が低速で走行している場合のように、風量が少ない場合に適用される。走行中シャッタ制御部114は、シャッタ21の開度の判断結果をモータ駆動制御部115に送信する。
【0036】
モータ駆動制御部115は、停車中シャッタ制御部113及び走行中シャッタ制御部114により処理されたシャッタ21の動作の制御状態に応じて、シャッタ21を動作させるモータ22の動作を制御する。モータ駆動制御部115は、回転位置検出部12から取得したモータ22の回転軸の位置からシャッタ21の開度を特定してモータ22の動作を制御する。
【0037】
図9は、シャッタ制御装置10による処理を示すフローチャートである。図10は、図9に示すフローチャートにおける、走行中シャッタ制御部114の処理を示すフローチャートである。図11は、図9に示すフローチャートにおける、停車中シャッタ制御部113の処理を示すフローチャートである。図9から図11を参照して、シャッタ制御装置10により実現される上記の機能部が実行する処理を説明する。
【0038】
図9に示すように、車速判定部111は、車両50が起動すると車速センサ16から車速を取得する(ステップS101)。車速判定部111は、取得した車速に基づいて、車両50が走行中であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0039】
車速判定部111は、取得した車速から走行中であると判定した場合は(S102:YES)、走行中のシャッタ21の動作を制御する走行中シャッタ制御であると判定する。または、車速判定部111は、取得した車速から停車中であると判定した場合は(S102:NO)、停車中のシャッタ21の動作を制御する停車中シャッタ制御であると判定する。
【0040】
走行中シャッタ制御部114は、車速判定部111による走行中シャッタ制御処理の実行の指示に応じて、走行中シャッタ制御を実行する(ステップS103)。
【0041】
図10に示すように、走行中シャッタ制御部114は、風量センサ14から空気の風量を取得する(ステップS1031)。走行中シャッタ制御部114は、温度センサ15から熱交換対象60の温度を取得する(ステップS1032)。走行中シャッタ制御部114は、外気温センサ13から外気温を取得する(ステップS1033)。
【0042】
走行中シャッタ制御部114は、空気の温度と熱交換対象60の温度との差Dを算出する(ステップS1034)。
【0043】
走行中シャッタ制御部114は、空気の温度と熱交換対象60の温度との差Dが0以上であるか否かを判定する(ステップS1035)。
【0044】
走行中シャッタ制御部114は、差Dが0以上である場合に(S1035:YES)、空気の風量が第2の閾値W2よりも大きな値であるか否かを判定する(ステップS1036)。一方、走行中シャッタ制御部114は、差Dがマイナスの値である場合に(S1035:NO)、空気の風量が第1の閾値W1よりも大きな値であるか否かを判定する(ステップS1037)。
【0045】
走行中シャッタ制御部114は、空気の風量が第2の閾値W2よりも大きな値である場合(S1036:YES)、シャッタ21の開度を減少させて熱交換対象60に流入する空気の風量を減少させるために、シャッタ21が閉方向に動作するようにモータ22の駆動を制御する(ステップS1038)。一方、走行中シャッタ制御部114は、空気の風量が第2の閾値W2以下の値である場合(S1036:NO)、シャッタ21の開度を維持して熱交換対象60に流入する空気の風量を維持するように、モータ22の駆動を制御する(ステップS1038)。
【0046】
走行中シャッタ制御部114は、空気の風量が第1の閾値W1よりも大きな値である場合(S1037:YES)、シャッタ21の開度を維持して熱交換対象60に流入する空気の風量を維持するように、モータ22の駆動を制御する(ステップS1039)。一方、走行中シャッタ制御部114は、空気の風量が第1の閾値W1以下の値である場合(S1037:NO)、シャッタ21の開度を増加させて熱交換対象60に流入する空気の風量を増加させるために、シャッタ21が開方向に動作するようにモータ22の駆動を制御する(ステップS1030)。走行中シャッタ制御部114は、以上の処理を終了すると図9に示す処理に戻る。
【0047】
停車中シャッタ制御部113は、車速判定部111による停車中シャッタ制御処理の実行の指示に応じて、停車中シャッタ制御を実行する(ステップS104)。
【0048】
図11に示すように、停車中シャッタ制御部113は、温度センサ15から熱交換対象60の温度を取得する(ステップS1041)。停車中シャッタ制御部113は、熱交換対象60の温度が所定の温度以上であるか否かを判定する(ステップS1042)。停車中シャッタ制御部113は、熱交換対象60の温度が所定の温度未満の場合に(S1042:NO)、S1041,S1042の処理を繰り返す。
【0049】
熱交換対象60の温度が所定の温度以上である場合に(S1042:YES)、停車中シャッタ制御部113は、外気温センサ13から外気温を取得する(ステップS1043)。停車中シャッタ制御部113は、外気温が所定の閾値X以下であるか否かを判定する(ステップS1044)。外気温がX以下である場合に(S1044:YES)、停車中シャッタ制御部113は、シャッタ21を閉じて熱交換対象60に流入する空気の風量を減少させるために、シャッタ21が全閉するようにモータ22の駆動を制御する(ステップS1045)。
【0050】
一方、外気温がXよりも大きい値である場合に(S1044:NO)、停車中シャッタ制御部113は、外気温が所定の閾値Y以上であるか否かを判定する(ステップS1046)。閾値Yは、閾値Xより大きい(高い温度である)。外気温がY以上である場合に(S1046:YES)、停車中シャッタ制御部113は、シャッタ21を開いて熱交換対象60に流入する空気の風量を増加させるために、シャッタ21が全開するようにモータ22の駆動を制御する(ステップS1047)。外気温がY未満である場合に(S1046:NO)、停車中シャッタ制御部113は、シャッタ21が半開となるようにモータ22の駆動を制御する(ステップS1048)。走行中シャッタ制御部114は、以上の処理を終了すると図9に示す処理に戻る。
【0051】
図9に示すように、走行中シャッタ制御部114及び停車中シャッタ制御部113による処理が終了すると、制御部11は、車両50のメインスイッチがオフであるか否かを判定する(ステップS105)。制御部11は、メインスイッチがオフではない(オンである)場合に(S105:NO)、S101以降の処理を繰り返す。一方、メインスイッチがオフの場合に(S105:YES)、制御部11は、処理を終了する。
【0052】
以上のように構成されているシャッタ制御装置10は、熱交換対象60に流入する空気の温度を測定する外気温センサ13と、空気の風量を測定する風量センサ14と、シャッタ21を開閉するモータ22の動作を制御する制御部と、備える。制御部11は、空気の温度、及び、空気の風量、に基づいて、モータ22の動作を制御する。このように、外気温と、風量という、シャッタ21の開度を熱交換対象60の冷却に寄与する2つの要素に基づいて制御をするため、いずれか1つのセンサを用いる場合よりも精度よく、電池パック61やエンジンなどの熱交換対象60の冷却を行うことができる。
特に、シャッタ制御装置10を備える車両50が、熱交換対象60としてリチウムイオンバッテリの電池パック61を搭載するBEVである場合に、リチウムイオンバッテリは、所定の温度帯で動作させることが好ましい。リチウムイオンバッテリは、所定の温度帯の範囲を超えると最高のパフォーマンスを発揮できない。具体的には、所定の温度帯よりも温度が下がると、バッテリの電解液の働きが悪くなり、低温時は寒いほど容量が下がり、寒いほど内部抵抗は上がり、出力電流及び作動電圧が下がる。また、所定の温度帯よりも高い温度になると、電池が劣化し、寿命が短くなり、異常発熱による不具合も生じうる。従って、リチウムイオンバッテリは、適切な温度に管理することにより、所望の性能発揮や寿命の向上を図ることができる。
【0053】
従って、シャッタ制御装置10によれば、熱交換対象への空気の流量を適切に制御することにより環境への負荷の低減を図ることができる。
【0054】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0055】
10…シャッタ制御装置、11…制御部、12…回転位置検出部、13,13A,13B…外気温センサ、14…風量センサ、15…温度センサ、16…車速センサ、20…シャッタ装置、21…シャッタ、22…モータ、50…車両、51…フロントグリル、60…熱交換対象、61…電池パック、62,68…水冷式ラジエータ、63,71…冷却液流路、64…冷却液ポンプ、65…水冷式クーラ、66…空調機、67,69…ファン、70…エンジン、72…冷却液タンク、111…車速判定部、113…停車中シャッタ制御部、114…走行中シャッタ制御部、115…モータ駆動制御部、611…吸気口、612…排気口、651…凝縮器、652…蒸発器、653…膨張弁、654…圧縮機
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