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特開2023-154233拡声放送システム、及び、IPスピーカー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154233
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】拡声放送システム、及び、IPスピーカー
(51)【国際特許分類】
   H04R 27/00 20060101AFI20231012BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20231012BHJP
   G10K 15/02 20060101ALI20231012BHJP
   H04M 11/04 20060101ALN20231012BHJP
【FI】
H04R27/00 C
H04M11/00 302
G10K15/02
H04M11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063423
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000223182
【氏名又は名称】TOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】菅瀬 真
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 隆志
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 亮介
(72)【発明者】
【氏名】豊永 倫士
(72)【発明者】
【氏名】久保田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】福本 聡
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博俊
(72)【発明者】
【氏名】倶羅 真也
(72)【発明者】
【氏名】土山 勝
(72)【発明者】
【氏名】エラード ジェームス クマリジャ
【テーマコード(参考)】
5D208
5K201
【Fターム(参考)】
5D208BA01
5D208BC01
5K201BA03
5K201BA06
5K201BA07
5K201BB08
5K201CD09
5K201EA05
5K201EF07
(57)【要約】
【課題】用途及び/又は重要度に応じて、適切な拡声モードを自動的に選択する。
【解決手段】拡声放送システム(1)は、IPスピーカー(20)と、端末(10)と、を備える。IPスピーカー(20)は、所定のプロトコルを用いて音声データ又は拡声に関する拡声指令を受信し、音声データ又は拡声指令に基づいた複数の拡声モードを実行可能である。端末(10)は、IPスピーカー(20)と接続され、所定のプロトコルを用いて、IPスピーカー(20)に対して音声データ又は拡声指令を送信する。IPスピーカー(20)は、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを決定する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のプロトコルを用いて音声データ又は拡声に関する拡声指令を受信し、前記音声データ又は前記拡声指令に基づいた複数の拡声モードを実行可能なIPスピーカーと、
前記IPスピーカーと接続され、前記所定のプロトコルを用いて、前記IPスピーカーに対して前記音声データ又は前記拡声指令を送信する端末と、
を備え、
前記IPスピーカーは、
予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを決定する、
拡声放送システム。
【請求項2】
前記IPスピーカーは複数設けられ、
複数の拡声モードは、ユニキャスト放送モードを含み、
前記ユニキャスト放送モードでは、複数のIPスピーカーのうち1のIPスピーカーが、前記端末から受信した音声データを拡声する、請求項1に記載の拡声放送システム。
【請求項3】
複数のIPスピーカーは、それぞれ、複数のグループのいずれかに属し、
複数の拡声モードは、マルチキャスト放送モードを含み、
前記マルチキャスト放送モードでは、複数のグループのうちいずれかに属するIPスピーカーが、前記端末から受信した音声データを拡声する、請求項2に記載の拡声放送システム。
【請求項4】
属するIPスピーカー数が多いグループに対するマルチキャスト放送モードを優先して実行する、請求項3に記載の拡声放送システム。
【請求項5】
前記IPスピーカーは、前記IPスピーカーに拡声させる内蔵音源データを記憶する記憶部を有し、
複数の拡声モードは、内蔵音源拡声モードを含み、
前記内蔵音源拡声モードでは、前記IPスピーカーが、受信した前記拡声指令に従って、前記内蔵音源データを拡声する、請求項1に記載の拡声放送システム。
【請求項6】
前記記憶部は、複数の内蔵音源データを記憶し、
前記内蔵音源拡声モードでは、複数の内蔵音源データのうちいずれかを優先して拡声させる、請求項5に記載の拡声放送システム。
【請求項7】
前記拡声指令を送信するプロトコルは、HTTPプロトコルである、請求項5に記載の拡声放送システム。
【請求項8】
前記音声データの送受信は、SIPを用いて実行される、請求項1に記載の拡声放送システム。
【請求項9】
所定のプロトコルを用いて音声データ又は拡声に関する拡声指令を受信するネットワークインタフェースと、
前記音声データ又は前記拡声指令に基づいた拡声モードを実行する処理部と、
を備え、
前記拡声モードは複数存在し、
前記処理部は、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを決定する、
IPスピーカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、IPスピーカーに音声を拡声させる拡声放送システム、及び、音声を拡声するIPスピーカーに関する。
【背景技術】
【0002】
インターカムシステム(IP通話システム)は、主として構内通話を行うシステムである。典型的には、インターカムシステムは、1つ以上の通話端末と、1つ以上のスピーカーのような拡声機器を含む。各通話端末は、マイクやスピーカーを備え、ネットワークを介して相互に接続されている。各通話端末は、SIPプロトコル等所定のプロトコルに従って、入力された音声を別の通話先の通話端末に伝送することで、構内通話を行う。また、各通話端末は、入力された音声を拡声機器に送信することで、拡声機器からの拡声方法を行う。インターカムシステムの一例が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-114951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通話端末と拡声機器とにより構成されるシステムにおいては、用途及び/又は重要度に応じて異なる拡声方法(拡声モード)で拡声を行いたいとの要請がある。例えば、通話端末で入力した音声を、用途及び/又は重要度に応じて選択した特定の拡声機器を用いて拡声したい場合がある。また、例えば、用途及び/又は重要度に応じて、拡声機器に内蔵した特定の音源データを拡声したい場合、などがある。
【0005】
本開示は、音声を入力するための端末と拡声機器とを備えるシステムにおいて、用途及び/又は重要度に応じて、適切な拡声モードを自動的に選択することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の拡声放送システムは、IPスピーカーと、端末と、を備える。IPスピーカーは、所定のプロトコルを用いて音声データ又は拡声に関する拡声指令を受信し、音声データ又は拡声指令に基づいた複数の拡声モードを実行可能である。端末は、IPスピーカーと接続され、所定のプロトコルを用いて、IPスピーカーに対して音声データ又は拡声指令を送信する。この拡声放送システムにおいて、IPスピーカーは、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを決定する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の拡声放送システムでは、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、IPスピーカーが自動的に選択している。これにより、本開示の拡声放送システムは、用途及び/又は重要度に応じて適切な拡声モードを自動的に選択し、用途及び/又は重要度に応じた適切な拡声を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、拡声放送システムの構成を示す図である。
図2図2は、端末の構成を示す図である。
図3図3は、IPスピーカーの構成を示す図である。
図4図4は、IPスピーカーのグループ分けの一例を示す図である。
図5図5は、グループを識別する識別情報の一例を示す図である。
図6図6は、ページングゲートウェイに記憶される識別情報の一例を示す図である。
図7A図7Aは、IPスピーカーにて設定される許可情報の一例を示す図である。
図7B図7Bは、IPスピーカーにて設定される許可情報の一例を示す図である。
図7C図7Cは、IPスピーカーにて設定される許可情報の一例を示す図である。
図7D図7Dは、IPスピーカーにて設定される許可情報の一例を示す図である。
図7E図7Eは、IPスピーカーにて設定される許可情報の一例を示す図である。
図8図8は、実行の優先度を表すテーブルの一例を示す図である。
図9図9は、ユニキャスト放送モード又はマルチキャスト放送モードにおける拡声放送システムの動作を示すフローチャートである。
図10図10は、IPスピーカーにおける拡声モードの実行動作を示すフローチャートである。
【0009】
1.第1実施形態
(1)拡声放送システムの構成
図1を用いて、本開示の拡声放送システム1を説明する。図1は、拡声放送システム1の構成を示す図である。拡声放送システム1は、例えば、災害時の避難誘導、BGM等の音楽再生、工場や店舗などにおける放送、複数の場所にまたがって存在する施設等に対する放送などの用途に用いられるシステムである。そのため、拡声放送システム1は、複数の方法で拡声を実行できる。以降の説明では、拡声の方法を「拡声モード」と呼ぶ。拡声放送システム1は、例えば、通話端末等により入力した音声等を特定のスピーカーにより拡声する、音声等を複数のスピーカーにより同時に拡声する、スピーカーの内蔵音源を拡声する、等を拡声モードとして実行できる。
【0010】
拡声放送システム1は、複数の端末10と、複数のIPスピーカー20と、ページングゲートウェイ30と、を備える。拡声放送システム1において、複数の端末10と、複数のIPスピーカー20と、ページングゲートウェイ30と、ネットワークNは、例えば、WAN、LANなどのネットワークである。また、ネットワークNは、有線のネットワークであってもよいし、セルラー通信等の無線のネットワークであってもよい。
【0011】
端末10は、ネットワークNを介して、IPスピーカー20から発したい音声データ、IPスピーカー20に対して各種機能を実行させるための指令(拡声指令と呼ぶ)を送信する。各端末10には、ネットワークN上で自己を固有に識別する識別子(例えば、IPアドレス)が割り当てられている。端末10は、IP通話用のプロトコルに準拠して音声データの送信を行う。IP通話用のプロトコルの一例は、IETF(Internet Engineering Task Force:インターネット技術タスクフォース)により標準化されRFC3261にて規定されているSIP(Session Initiation Protocol)である。一方、端末10は、インターネット上で使用されているプロトコルを用いて、拡声指令を送信する。
【0012】
IPスピーカー20は、拡声放送を行いたい場所に設置され、ネットワークNを介して受信した音声データ又は拡声指令に基づいた拡声を実行する。拡声放送システム1には、5台のIPスピーカー20a~20eが設けられている。拡声放送システム1に設けるIPスピーカー20a~20eの台数は5に限られない。拡声放送システム1の用途及び規模等に応じて、任意の台数のIPスピーカー20を設けることができる。
【0013】
各IPスピーカー20にはネットワーク上の固有の識別情報(例えば、IPアドレス)が割り当てられている。IPスピーカー20は、IP通話用プロトコルに準拠して、音声データを受信する。また、IPスピーカー20は、インターネットプロトコルを用いて、拡声指令を受信する。また、各IPスピーカー20は、予め受信許可の設定がなされたマルチキャストアドレスにより送信される(マルチキャストされる)音声データを受信する。
【0014】
また、各IPスピーカー20は、内部に複数の音源データ(内蔵音源データSDと呼ぶ)を記憶しており、この複数の内蔵音源データのうち拡声指令によって選択されたものを拡声可能となっている。
【0015】
ページングゲートウェイ30は、ネットワークNを介してIP通話用のプロトコルで受信した音声データを、マルチキャストにて送信する機能を有する、いわば、ユニキャスト―マルチキャスト変換器である。ページングゲートウェイ30は、ネットワークN上で自己を識別する識別子(例えば、IPアドレス)が割り当てられている。ページングゲートウェイ30は、後述するように、受信した音声データを、予め設定されたグループの識別子を指定してネットワークN上に送信する。
【0016】
(2)端末の構成
図2を用いて、端末10の構成を説明する。図2は、端末10の構成を示す図である。端末10は、処理部101と、記憶部103と、ネットワークインタフェース105と、マイク107と、入力部109と、表示部111と、を有する。
【0017】
処理部101は、CPUやMPU等を含み、記憶部103に記憶されたコンピュータープログラムを実行することで、端末10に関する各種機能を実行する。
【0018】
記憶部103は、メモリー(RAM、ROM)と記憶装置(HDD、SSDなど)により構成され、データの記憶領域を構成する。記憶部103には、コンピュータープログラム以外にも、端末10の機能を実現するために必要なデータ等が記憶されている。具体的には、記憶部103は、後述するマルチキャスト用グループの識別情報を記憶する。また、後述するユニキャストを行うために、記憶部103は、各IPスピーカー20の識別子(例えば、IPアドレス)のリストを記憶している。
【0019】
ネットワークインタフェース105は、端末10をネットワークNに接続する。ネットワークインタフェース105は、例えば、イーサーネット(登録商標)カードである。
【0020】
マイク107は、端末10の筐体から外側に集音方向が向けられた電気音響変換器であり、端末10に対して話しかける話者の音声を集音して音声データを出力する。入力部109は、ボタン、スイッチ、タッチパネル等の、ユーザの操作を受け付ける入力デバイスである。
【0021】
表示部111は、各種の表示を行う。端末10により音声を拡声するIPスピーカー20を選択する際に、表示部111は、IPスピーカー20のリスト、及び/又は、後述するIPスピーカー20のマルチキャスト用のグループのリストを表示する。IPスピーカー20のリストは、後述するユニキャストを行うIPスピーカー20を特定するためのものであり、記憶部103に記憶されたIPスピーカー20の識別子に対応付けられている。一方、マルチキャスト用のグループのリストは、記憶部103に記憶されたマルチキャスト用のグループの識別情報に対応付けられている。
【0022】
ユニキャストにて音声を拡声させたい場合、ユーザは、表示部111に表示されたIPスピーカー20のリストから、音声を拡声させたいIPスピーカー20を、入力部109を用いて選択できる。一方、マルチキャストにて音声を拡声させたい場合、ユーザは、表示部111に表示されたマルチキャスト用のリストから、音声を拡声させたいグループを、入力部109を用いて選択できる。
【0023】
(3)IPスピーカーの構成
図3を用いて、IPスピーカー20の構成を説明する。図3は、IPスピーカー20の構成を示す図である。IPスピーカー20は、処理部201と、記憶部203と、ネットワークインタフェース205と、スピーカー207と、を有する。
【0024】
処理部201は、CPUやMPU等を含み、記憶部103に記憶されたコンピュータープログラムを実行することで、IPスピーカー20に関する各種機能を実行する。
【0025】
記憶部203は、メモリー(RAM、ROM)と記憶装置(HDD、SSDなど)により構成され、データの記憶領域を構成する。記憶部203には、コンピュータープログラム以外にも、IPスピーカー20の機能を実現するために必要なデータ等が記憶されている。詳細には、記憶部203には、複数の内蔵音源データSDが記憶されている。また、記憶部203は、後述するマルチキャスト用グループの設定登録情報を記憶する。
【0026】
ネットワークインタフェース205は、IPスピーカー20をネットワークNに接続する。ネットワークインタフェース205は、所定のプロトコルを用いて、拡声する音声データ又は拡声指令を受信する。ネットワークインタフェース205は、例えば、イーサーネット(登録商標)カードである。
【0027】
スピーカー207は、IPスピーカー20の筐体から外側に放音方向が向けられた電気音響変換器であり、音声データが再生されて得た音声を出力する。
【0028】
(4)IPスピーカーのグループ分けとマルチキャスト
以下、複数のIPスピーカー20のグループ分けと、このグループ分けに基づくマルチキャストを説明する。拡声放送システム1において、複数のIPスピーカー20は、マルチキャスト用の複数のグループにグループ分けされる。すなわち、各IPスピーカー20は、複数のグループのいずれかに属する。例えば、図4に示すように、複数のIPスピーカー20は、第1グループG1と、第2グループG2と、第3グループG3と、第4グループG4にグループ分けされる。図4は、IPスピーカー20のグループ分けの一例を示す図である。
【0029】
例えば、第1グループG1には、全てのIPスピーカー20a~20eが属している。第2グループG2には、4台のIPスピーカー20a~20dが属している。第3グループG3には、2台のIPスピーカー20b、20cが属している。第4グループG4には、3台のIPスピーカー20c~20eが属している。図4に示す例では、各IPスピーカー20は、複数のグループに属している。
【0030】
なお、上記のグループ分けは一例であって、用途等に応じて任意のグループ分けが可能である。また、1つのグループのみに属するIPスピーカー20が存在してもよいし、いずれのグループにも属さないIPスピーカー20が存在してもよい。
【0031】
拡声放送システム1では、上記の各グループには、ネットワークN上での識別子(例えば、IPアドレス)が割り当てられている。拡声放送システム1では、この識別子を指定して音声データを送信することで、当該識別子にて識別されるグループに属する複数のIPスピーカー20に音声を拡声させることができる。このため、拡声を指令する端末10においては、各グループがどの識別子を有するかについての識別情報が記憶部103に記憶されている。図5に、グループをIPアドレスで識別する場合の識別情報の例を示す。図5は、グループを識別する識別情報の一例を示す図である。図5に示す識別情報では、第1グループG1に対して「239.255.0.1」とのIPアドレスが割り当てられ、第2グループG2に対して「239.255.0.2」とのIPアドレスが割り当てられ、第3グループG3に対して「239.255.0.3」とのIPアドレスが割り当てられている。
【0032】
また、図5に示す識別情報において、第4グループG4には、ページングゲートウェイ30の識別子(192.168.1.2とのIPアドレス)が割り当てられている。すなわち、第1グループG1~第3グループG3に対して割り当てられた識別子(239.255.0.*とのIPアドレス)は、端末10でこの識別子を指定すれば、端末10から当該識別子で指定したグループに属する複数のIPスピーカー20に直接的に一度に音声データをマルチキャスト送信するための識別子である。このような音声データの送信方法は、「直接マルチキャスト」とも呼ばれる。一方、第4グループG4に対して割り当てられた識別子(192.168.1.2とのIPアドレス)は、端末10でこの識別子を指定すれば、端末10からこの識別子を有する機器(すなわち、ページングゲートウェイ30)へ音声データを一旦ユニキャスト送信し、その後、当該機器が、所定のグループに属するIPスピーカー20に音声データをマルチキャスト送信するための識別子である。このような音声データの送信方法は、「間接マルチキャスト」とも呼ばれる。
【0033】
具体的には、図5に示す識別情報を有する拡声放送システム1では、第1グループG1~第3グループG3に属するIPスピーカー20に対しては、端末10からマルチキャスト用アドレスを指定して直接音声データがマルチキャスト送信される(直接マルチキャスト)。一方、第4グループG4に属するIPスピーカー20に対しては、端末10からページングゲートウェイ30へいったんIP通話用プロトコルを用いて音声データがユニキャスト送信され、その後、ページングゲートウェイ30から第4グループG4に属するIPスピーカー20へ音声データがマルチキャスト送信される(間接マルチキャスト)。このため、ページングゲートウェイ30には、図6に示すような、間接マルチキャストにて音声を拡声させるグループに割り当てられた識別子(例えば、IPアドレス)をリスト化した識別情報が記憶されている。図6は、ページングゲートウェイ30に記憶される識別情報の一例を示す図である。図6に示す識別情報では、第4グループG4に対して「239.255.0.4」とのマルチキャスト用IPアドレスが割り当てられている。
【0034】
このように、拡声放送システム1では、直接マルチキャストと間接マルチキャストとを混在させることができる。また、拡声放送システム1において、直接マルチキャストのみを採用してもよいし、又は、間接マルチキャストのみを採用してもよい。さらに、1つのグループについて、直接マルチキャストと間接マルチキャストとを混在させてもよい。どのグループを直接マルチキャストにするか間接マルチキャストにするかについては、任意に設定できる。
【0035】
一方、端末10からの拡声指令に基づいて動作するIPスピーカー20においては、マルチキャストに関連してどの識別子を指定して送信された音声データを許可するかについての許可情報が記憶部203に記憶されている。例えば、図4に示すようなグループ分けがされている場合、第1グループG1と第2グループG2に属するIPスピーカー20aの記憶部203には、図7Aに示すような、第1グループG1の識別子(IPアドレス)と第2グループの識別子(IPアドレス)とを含む許可情報が記憶される。図7Aは、IPスピーカー20aにて設定される許可情報の一例を示す図である。第1グループG1~第3グループG3に属するIPスピーカー20bの記憶部203には、図7Bに示すような、第1グループG1~第3グループG3の識別子を含む許可情報が記憶される。図7Bは、IPスピーカー20bにて設定される許可情報の一例を示す図である。
【0036】
第1グループG1~第4グループG4に属するIPスピーカー20cの記憶部203には、図7Cに示すような、第1グループG1~第4グループG4の識別子を含む許可情報が記憶される。図7Cは、IPスピーカー20cにて設定される許可情報の一例を示す図である。第1グループG1、第2グループG2、第4グループG4に属するIPスピーカー20dの記憶部203には、図7Dに示すような、第1グループG1、第2グループG2、第4グループG4の識別子を含む許可情報が記憶される。図7Dは、IPスピーカー20dにて設定される許可情報の一例を示す図である。第1グループG1と第4グループG4に属するIPスピーカー20eの記憶部203には、図7Eに示すような、第1グループG1と第4グループG4の識別子を含む許可情報が記憶される。図7Eは、IPスピーカー20eにて設定される許可情報の一例を示す図である。
【0037】
(4)拡声放送システムによる拡声動作
(4-1)概要
以下、拡声放送システム1による拡声動作を説明する。まず、拡声動作の概要を説明する。拡声放送システム1においては、端末10から送信される音声データ又は拡声に関する指令(拡声指令)に基づいて、複数の拡声モードをIPスピーカー20に実行させることができる。詳細には、ユニキャスト放送モードと、マルチキャスト放送モード(直接マルチキャスト又は間接マルチキャスト)と、内蔵音源拡声モードと、IPスピーカー20に実行させることができる。
【0038】
ユニキャスト放送モードは、端末10が送信した音声データを、複数のIPスピーカー20のうち特定の1台のIPスピーカー20に拡声させるモードである。マルチキャスト放送モードは、端末10が送信した音声データを、複数のIPスピーカー20のうち、特定のグループに属する複数台のIPスピーカー20に拡声させるモードである。内蔵音源拡声モードは、IPスピーカー20の記憶部203に記憶されている内蔵音源データSDを、当該IPスピーカー20に拡声させるモードである。
【0039】
また、拡声放送システム1では、各IPスピーカー20に対して、複数の拡声モードのうちいずれを優先して実行するかの設定がなされている。この設定は、例えば、図8に示すような、拡声モードの実行の優先度を表すテーブルTAを、IPスピーカー20の記憶部203に記憶することで実現できる。図8は、実行の優先度を表すテーブルTAの一例を示す図ある。なお、図8に示すテーブルTAは、例えば、IPスピーカー20cに対して設定された実行の優先度を示す。その他、例えば、IPスピーカー20に設けた複数のスイッチ(例えば、DIPスイッチ)のONとOFFの組み合わせによって、上記の設定を行うようにすることもできる。
【0040】
なお、拡声放送システム1では、複数のIPスピーカー20において同一のマルチキャストグループに対しては共通の優先度が設定されていてもよいし、IPスピーカー20毎に異なる実行の優先度が設定されてもよい。
【0041】
複数の拡声モードの実行の優先度は、例えば、以下の規則に従って決定できる。なお、以下の優先度決定のための規則は一例であって、以下に説明する規則とは異なる規則により、優先度を決定することもできる。
【0042】
マルチキャスト放送モードにおいては、属するIPスピーカー20の数が多いグループに対するマルチキャスト放送モードを優先して実行する。例えば、全てのグループに属するIPスピーカー20cにおいては、第1グループG1に対するマルチキャスト放送モードが最優先される。それ以降、第2グループG2に対するマルチキャスト放送モード、第4グループG4に対するマルチキャスト放送モード、第3グループG3に対するマルチキャスト放送モードの順で優先される。これにより、より広い範囲に拡声する必要がある音声データを優先して拡声できる。
【0043】
また、マルチキャスト放送モードの中で、直接マルチキャストと間接マルチキャストの間で優先度が決められていてもよい。例えば、直接マルチキャストの方が間接マルチキャストよりも優先される設定でもよい。
【0044】
ユニキャスト放送モードとマルチキャスト放送モードとの間では、例えば、ユニキャスト放送モードの優先度を、優先度の高いマルチキャスト放送モードと優先度が低いマルチキャストの間に配置する。詳細には、以下のように優先度が決定される。例えば、IPスピーカー20cにおいては、第1グループG1に対するマルチキャスト放送モード、第2グループG2に対するマルチキャスト放送モード、ユニキャスト放送モード、第4グループG4に対するマルチキャスト放送モード、第3グループG3に対するマルチキャスト放送モードの順で優先される。
【0045】
内蔵音源拡声モードにおいては、内蔵音源に応じて優先度が設定されてもよい。例えば、内蔵音源#1を災害発生時等の非常時に避難誘導を促すメッセージに係る音源とし、内蔵音源#2を平時に流されるBGMや広告宣伝放送等に係る音源とした場合に、内蔵音源#1を拡声する内蔵音源拡声モード、内蔵音源#2を拡声する内蔵音源拡声モードの順で優先されてもよい。
【0046】
(4-2)ユニキャスト放送モード/マルチキャスト放送モードの動作
以下、図9を用いて、ユニキャスト放送モード又はマルチキャスト放送モードにおける、拡声放送システム1の動作を説明する。図9は、ユニキャスト放送モード又はマルチキャスト放送モードにおける拡声放送システム1の動作を示すフローチャートである。
【0047】
まず、ユーザが、端末10の表示部111に表示されたIPスピーカー20のリスト又はグループのリストを参照し、入力部109を用いて、音声を拡声したいIPスピーカー20又はグループを選択する(ステップS11)。
【0048】
特定のIPスピーカー20又はグループが選択された後、ユーザが、マイク107に向けて音声を発すると、マイク107にて取得される。その後、端末10が、音声データを、ステップS1で選択されたIPスピーカー又はグループの識別子を指定して送信する(ステップS12)。
【0049】
例えば、端末10にてIPスピーカー20bが選択されると、端末10は、音声データを、IP通話用プロトコルを用いて、IPスピーカー20b宛にユニキャスト送信する。例えば、端末10にて第1グループG1が選択されると、端末10は、音声データを、第1グループG1の識別子(例えば、「239.255.0.1」とのIPアドレス)を指定してネットワークNにマルチキャスト送信する。例えば、端末10にて第4グループG4が選択されると、端末10は、音声データを、IP通話用プロトコルを用いて、ページングゲートウェイ30の識別子(例えば、「192.168.1.2」とのIPアドレス)を指定してユニキャスト送信する。この結果、音声データが、ページングゲートウェイ30に送信される。音声データを受信したページングゲートウェイ30は、受信した音声データを、第4グループG4の識別子(例えば、「239.255.0.4」とのIPアドレス)を指定してネットワークNにマルチキャスト送信する。
【0050】
IPスピーカー20は、音声データの送信先として指定された識別子を参照し、音声データの受信を許可するか否かを判断する(ステップS13)。IPスピーカー20の識別子が指定されて音声データがユニキャスト送信されてきた場合、指定された識別子が自身の識別子である場合に、IPスピーカー20は、当該音声データの受信を許可する。一方、グループの識別子が指定されて音声データがマルチキャスト送信されてきた場合、指定された識別子が記憶部203に記憶されている許可情報に含まれていれば、IPスピーカー20は、当該音声データの受信を許可する。
【0051】
音声データの受信を許可する場合(ステップS13で「Yes」)、IPスピーカー20は、受信した音声データを再生してスピーカー207より拡声する(ステップS14)。一方、音声データの受信を許可しない場合(ステップS13で「No」)、IPスピーカー20は、送信されてきた音声データを無視する。
【0052】
(4-3)内蔵音源拡声モードの動作
以下、内蔵音源拡声モードにおける、拡声放送システム1の動作を簡単に説明する。まず、ユーザが、端末10の入力部109を用いて、内蔵音源拡声モードを実行させたいIPスピーカー20と、このIPスピーカー20に拡声させる内蔵音源データSDと、を選択する。その後、端末10が、内蔵音源拡声モードの実行を指令する拡声指令を、HTTP(Hyper-Text Transport Protocol)を用いて選択したIPスピーカー20に送信する。この拡声指令には、拡声させたい内蔵音源データSDの識別情報が含まれる。具体的には、拡声指令は、例えば、HTTPプロトコルで規定されている所定のメソッド(例えば、GETメソッドやPOSTメソッド)と内蔵音源データSDの識別情報を示す変数とにより構成される。
【0053】
例えば、端末10は表示部111にIPスピーカー20のリストと、各IPスピーカー20の記憶部203に記憶されている内蔵音源データSDのリストとを表示し、入力部109を用いたIPスピーカー20と内蔵音源データSDの選択操作を受け付ける。内部音源拡声モードを実行するIPスピーカー20と、当該IPスピーカー20内の内蔵音源データSDとが選択されると、選択されたIPスピーカー20に対して、選択された内蔵音源データSDを拡声するよう指令する拡声指令(例えば、内蔵音源データSDの識別情報を指示するHTTPコマンド)をユニキャスト送信する。例えば、IPスピーカー20cの内蔵音源#2が選択されると、端末10は、内蔵音源#2の識別情報を指示するHTTPコマンドを拡声指令として生成し、この拡声指令をIPスピーカー20cに対してユニキャスト送信する。
【0054】
IPスピーカー20は、上記拡声指令を受信すると、拡声指令に含まれる内蔵音源データSDの識別情報に基づいて拡声する内蔵音源データSDを記憶部203から選択し、選択した内蔵音源データSDを再生してスピーカー207より拡声する。
【0055】
(4-4)IPスピーカーにおける拡声モードの実行動作
図10を用いて、IPスピーカー20における拡声モードの実行動作を説明する。図10は、IPスピーカー20における拡声モードの実行動作を示すフローチャートである。この実行動作は、IPスピーカー20が音声データ又は拡声指令を受信したときに実行される。
【0056】
まず、IPスピーカー20の処理部201が、IPスピーカー20において複数の音声データ又は拡声指令が受信されているか否かを判断する(ステップS1)。ここでいう「複数の音声データ又は拡声指令が受信されている」とは、複数の音声データ又は拡声指令が同時に受信された場合だけでなく、1つの拡声モードの実行中に新たな音声データ又は拡声指令が受信された場合も含む。
【0057】
複数の音声データ又は拡声指令が受信されていない、すなわち、拡声モードの実行がなされていない状態で1つの音声データ又は拡声指令が受信された場合(ステップS1で「No」)、処理部201は、受信した音声データ又は拡声指令による拡声モードを実行する(ステップS2)。
【0058】
一方、複数の音声データ又は拡声指令が受信されている場合(ステップS1で「Yes」)、処理部201は、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、受信した複数の音声データ又は拡声指令による拡声モードのうち、いずれの拡声モードを実行するかを決定する(ステップS3)。詳細には、IPスピーカー20にて設定された実行の優先度に基づいて、例えば、上記にて説明した規則に従って、実行する拡声モードを決定する。
【0059】
実行する拡声モードを決定後、処理部201は、ステップS3で決定した拡声モードを実行する(ステップS4)。例えば、ある拡声モードを実行中に、より優先度の高い拡声モードに係る音声データ又は拡声指令が新たに受信された場合には、現在実行中の拡声モードを中止して、新たに受信した音声データ又は拡声指令による拡声モードを実行する。もしくは、ある拡声モードを実行中に、より優先度の低い拡声モードに係る音声データ又は拡声指令が新たに受信された場合には、新たに受信した音声データ又は拡声指令による拡声モードを実行することなく、現在実行中の拡声モードを継続する。
【0060】
図8で例示したIPスピーカー20cの優先度設定に基づき一例を示すと、例えば、IPスピーカー20cは、第2グループG2のマルチキャスト放送(優先度3)に係る音声データを受信して再生しているときに、内蔵音源#1(優先度2)を指定した拡声指令を受信すると、優先度3と優先度2とを比較し、内蔵音源#1を拡声する内部音源拡声モードを実行すると決定し(ステップS3)、現在実行中の第2グループG2のマルチキャスト放送に係る音声データの再生を停止して、受信した拡声指令に従って内蔵音源#1の再生を開始する(ステップS4)。
【0061】
また、例えば、IPスピーカー20cは、ユニキャスト放送(優先度4)に係る音声データを受信して再生しているときに、第3グループG3のマルチキャスト放送(優先度6)に係る音声データを受信すると、優先度4と優先度6とを比較し、ユニキャスト放送モードを実行すると決定し(ステップS3)、受信した第3グループG3のマルチキャスト放送に係る音声データは再生することなく、ユニキャスト放送に係る音声データの再生を継続する(ステップS4)。
【0062】
上記のように、拡声放送システム1では、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、IPスピーカー20が自動的に選択している。これにより、拡声放送システム1は、その用途及び/又は重要度に応じて適切な拡声モードを自動的に選択し、用途及び/又は重要度に応じた適切な拡声を行うことができる。
【0063】
本開示の拡声放送システム1を用いることで、例えば、工場等の施設内で管理人室や各フロアからなされる放送や、複数拠点にまたがる店舗間や各店舗内でなされる放送について、用途及び/又は重要度に応じた高度で最適な放送制御を行うことができる。
【0064】
(5)変形例
上記の端末10は、音声データの取得と、音声データ及び拡声指令の送信と、を主な機能として備えていた。しかし、これに限られず、端末10は、複数の端末10間でIP通話が可能な通話端末であってもよい。
【0065】
例えば、複数の拡声指令を同時に受信した場合には、複数の拡声指令の実行順を、拡声モードの実行の優先度に基づいて決定し、決定した順に拡声指令(拡声モード)を実行してもよい。
【0066】
音声データを送信するためのIP通話用プロトコルとして、上記ではSIPを例示した。しかし、IP通話用プロトコルをこれに限られない。音声データを送信するためのIP通話用プロトコルとして、例えば、ONVIF(Open Network Video Interface Forum)(登録商標)規格に準拠したプロトコル(ONVIF(登録商標)プロトコル)で規定されているAudio Back Channel(オーディオバックチャネル)を用いてもよい。この場合、端末10は、ONVIF(登録商標)規格のAudio Back Channelを用いて音声データをRTSP(Real Time Streaming Protocol)で送信可能なプログラムがインストールされた、VMS(Video Management System)上のONVIF(登録商標)クライアントである。
【0067】
上記の拡声放送システム1では、SIPを用いた通信のためのSIPサーバーを設けていなかった。つまり、拡声放送システム1では、SIPを用いた音声データの送信をサーバーレスで実行していた。しかし、これに限られず、端末10からIPスピーカー20又はページングゲートウェイ30にSIPを用いて音声データを送信するために、SIPサーバーを設けてもよい。
【0068】
2.本開示の特徴
(1)拡声放送システムは、IPスピーカーと、端末と、を備える。IPスピーカーは、所定のプロトコルを用いて音声データ又は拡声に関する拡声指令を受信し、音声データ又は拡声指令に基づいた複数の拡声モードを実行可能である。端末は、IPスピーカーと接続され、所定のプロトコルを用いて、IPスピーカーに対して音声データ又は拡声指令を送信する。この拡声放送システムにおいて、IPスピーカーは、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを決定する。
【0069】
本開示の拡声放送システムでは、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、IPスピーカーが自動的に選択している。これにより、本開示の拡声放送システムは、用途及び/又は重要度に応じて適切な拡声モードを自動的に選択し、用途及び/又は重要度に応じた適切な拡声を行うことができる。
【0070】
(2)上記(1)の拡声放送システムにおいて、IPスピーカーは複数設けられてもよい。また、複数の拡声モードは、ユニキャスト放送モードを含んでもよい。ユニキャスト放送モードでは、複数のIPスピーカーのうち1のIPスピーカーが、端末から受信した音声データを拡声してもよい。これにより、端末を用いて取得した音声データを、1つの特定のIPスピーカーにより拡声することができる。
【0071】
(3)上記(2)の拡声放送システムにおいて、複数のIPスピーカーは、それぞれ、複数のグループのいずれかに属してもよい。また、複数の拡声モードは、マルチキャスト放送モードを含んでもよい。マルチキャスト放送モードでは、複数のグループのうちいずれかに属するIPスピーカーが、端末から受信した音声データを拡声してもよい。これにより、端末を用いて取得した音声データを、特定のグループに属するIPスピーカーにより拡声することができる。
【0072】
(4)上記(3)の拡声放送システムにおいて、属するIPスピーカー数が多いグループに対するマルチキャスト放送モードを優先して実行してもよい。これにより、より広い範囲に拡声する必要がある音声を優先して拡声できる。
【0073】
(5)上記(1)~(4)のいずれかの拡声放送システムにおいて、IPスピーカーは、IPスピーカーに拡声させる内蔵音源データを記憶する記憶部を有してもよい。また、複数の拡声モードは、内蔵音源拡声モードを含んでもよい。内蔵音源拡声モードでは、IPスピーカーが、受信した拡声指令に従って、内蔵音源データを拡声してもよい。これにより、端末からの拡声指令により、IPスピーカーに内蔵された音源データ(内蔵音源データ)を当該IPスピーカーに拡声させることができる。
【0074】
(6)上記(5)の拡声放送システムにおいて、記憶部は、複数の内蔵音源データを記憶してもよい。また、内蔵音源拡声モードでは、複数の内蔵音源データのうちいずれかを優先して拡声させてもよい。これにより、用途及び/又は重要度に応じて選択された適切な内蔵音源データを拡声できる。
【0075】
(7)上記(5)又は(6)の拡声放送システムにおいて、拡声指令を送信するプロトコルは、HTTPプロトコルであってもよい。これにより、容易に拡声指令を送信できる。
【0076】
(8)上記(1)~(7)のいずれかの拡声放送システムにおいて、音声データの送受信は、SIPを用いて実行されてもよい。これにより、音声データの送受信に最適なプロトコルで端末からIPスピーカーへの音声データの送信を実行できる。
【0077】
(9)本開示のIPスピーカーは、ネットワークインタフェースと、処理部と、を備える。ネットワークインタフェースは、所定のプロトコルを用いて音声データ又は拡声に関する拡声指令を受信する。処理部は、音声データ又は拡声指令に基づいた拡声モードを実行する。このIPスピーカーにおいて、拡声モードは複数存在する。また、処理部は、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかを決定する。
【0078】
本開示のIPスピーカーでは、複数の拡声モードのうちいずれの拡声モードを実行するかが、予め決められた拡声モードの実行の優先度に基づいて自動的に選択されている。これにより、本開示のIPスピーカーは、用途及び/又は重要度に応じて適切な拡声モードを自動的に選択し、用途及び/又は重要度に応じた適切な拡声を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本開示は、IPスピーカーに音声を拡声させる拡声放送システム、及び、音声を拡声するIPスピーカーに適用可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 :拡声放送システム
10 :端末
101 :処理部
103 :記憶部
105 :ネットワークインタフェース
107 :マイク
109 :入力部
20 :IPスピーカー
20a~20e :IPスピーカー
201 :処理部
203 :記憶部
205 :ネットワークインタフェース
207 :スピーカー
30 :ページングゲートウェイ
G1 :第1グループ
G2 :第2グループ
G3 :第3グループ
G4 :第4グループ
N :ネットワーク
SD :内蔵音源データ
TA :テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9
図10