(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154245
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】旅行業務用のデータ構造及びこれを用いた会計処理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20231012BHJP
【FI】
G06Q40/00 420
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063447
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】397051922
【氏名又は名称】株式会社アジェンダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】山崎 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】銭谷 昌典
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】旅行業務において、売上や仕入の基準日前であってもその売上や仕入に対する入金や支払の対応付け及び評価を詳細に行いやすい。
【解決手段】出納データ400は、売上データ411、仕入データ412及び仕入調整データ413を含む売仕データ410、入金データ431及び支払データ432を含む入出金データ430並びに振分データ440を有している。売上データ411及び仕入データ412は、1つの仕入先に対する1つの予約である単位予約ごと又はそれより詳細な単位ごとの売上項目又は仕入項目を示している。振分データ440は、入金データ431及び支払データ432が示す入金及び支払と売上データ411及び仕入データ412が示す売上項目及び仕入項目とを対応付ける。振分データ440が示す振分の基準日が、振分先である売上項目又は仕入項目の基準日に対して過去の日付に設定可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
売上、仕入、入金及び支払の情報を含んだ会計情報に係る旅行業務用のデータ構造であって、
1つの仕入先に対する1つの予約である単位予約ごと又はそれより詳細な単位ごとの売上である単位売上を示す売上データと、
前記単位売上と一対一に対応する、前記単位予約ごと又はそれより詳細な単位ごとの仕入である単位仕入を示す仕入データと、
入金を示す入金データと、
支払を示す支払データと、
前記入金データが示す入金を前記売上データが示す売上に対して前記単位売上ごとに振り分ける入金振分を示す入金振分データと、
前記支払データが示す支払を前記仕入データが示す仕入に対して前記単位仕入ごとに振り分ける支払振分を示す支払振分データと、
前記単位売上、前記単位仕入、入金、支払、前記入金振分及び前記支払振分のそれぞれの基準日を示す基準日データとを含んでおり、
前記基準日データにおいて、前記入金振分及び前記支払振分の少なくともいずれかの基準日が、振分先である前記単位売上又は前記単位仕入の基準日に対して過去に設定可能であることを特徴とするデータ構造。
【請求項2】
請求項1に記載のデータ構造を有する出納データと、前記単位売上、前記単位仕入、入金、支払、前記入金振分及び前記支払振分のそれぞれについて、貸方勘定科目と借方勘定科目を示すデータとを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段における記憶内容に基づいて、前記単位売上、前記単位仕入、入金、支払、前記入金振分及び前記支払振分のそれぞれについて仕訳伝票を生成する仕訳処理を実行する仕訳処理手段とを備えており、
前記仕訳処理手段が、前記入金振分及び前記支払振分のそれぞれについて、振分先である前記単位売上又は前記単位仕入の基準日に対して過去のタイミングで前記仕訳処理を実行可能に構成されていることを特徴とする会計処理システム。
【請求項3】
前記仕訳処理手段が、
1又は複数の連続する仕訳日のそれぞれに関して、前記出納データが示す前記単位売上、前記単位仕入、入金、支払、前記入金振分及び前記支払振分のうち、前記基準日データが示す前記基準日が前記仕訳日に該当するものについて前記仕訳処理を実行可能であり、
前記入金振分の仕訳として、借方が前記入金の仕訳伝票における貸方勘定科目であり貸方が第1勘定科目である第1の前記仕訳処理を実行し、前記入金振分の振分先である前記単位売上が前記仕訳処理を実行済みである場合に、借方が前記第1勘定科目であり貸方が前記単位売上の仕訳伝票における借方勘定科目である第2の前記仕訳処理をさらに実行し、
前記支払振分の仕訳として、借方が前記支払の仕訳伝票における貸方勘定科目であり貸方が第2勘定科目である第3の前記仕訳処理を実行し、前記支払振分の振分先である前記単位仕入が前記仕訳処理を実行済みである場合に、借方が前記第1勘定科目であり貸方が前記単位仕入の仕訳伝票における借方勘定科目である第4の前記仕訳処理をさらに実行することを特徴とする請求項2に記載の会計処理システム。
【請求項4】
前記単位売上及び前記入金振分からなる第1組、前記単位仕入及び前記支払振分からなる第2組、前記入金及び前記入金振分からなる第3組、並びに、前記支払及び前記支振分からなる第4組の少なくともいずれかの組において、その組を構成する要素から生成された仕訳伝票に含まれる貸方の金額と借方の金額とを勘定科目ごとに合算した結果と、前記出納データが示す未収額、未払額及び未振分額のうち対応するものとを比較することで前記処理の結果を評価することを特徴とする請求項2又は3に記載の会計処理システム。
【請求項5】
前記第1及び第2の仕訳処理の両方が実行済みである前記入金振分から生成された仕訳伝票に含まれる貸方の金額と借方の金額とを前記第1勘定科目について合算すると貸方及び借方間で金額が一致するか否かに基づいて前記仕訳処理の結果を評価すると共に、
前記第3及び第4の仕訳処理の両方が実行済みである前記支払振分から生成された仕訳伝票に含まれる貸方の金額と借方の金額とを前記第2勘定科目について合計すると貸方及び借方間で金額が一致するか否かに基づいて前記仕訳処理の結果を評価することを特徴とする請求項3に記載の会計処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旅行業務用のデータ構造及びこれを用いた会計処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、旅行業務用の様々な会計処理システムが提案されている。特許文献1に記載のシステムはその一例である。特許文献1では、旅行に関する予約内容等を示す予約カード(旅行商品ファイル)が作成される(特許文献1の
図7)。予約カードには複数の販売商品に係る売上及び仕入の情報が含まれている。かかる予約カードに基づいて、売上及び仕入の基準日(例えば、旅行の出発日)以降のタイミングで売上、仕入、入金及び支払に関する仕訳が実行される。ここで、特許文献1に記載された例では、顧客からの入金が前受金として取り扱われ、仕入先への支払が前払金として取り扱われている(同文献の
図8)。そして、予約カード中の売上の合計額(総売上額)が前受金の合計額(総前受金額)を上回っている場合には未収としてその差額が自動計上される(同文献の
図5)。また、予約カード中の仕入の合計額(総仕入額)が前払金の合計額(総前払金額)を上回っている場合にはその差額が未払として自動計上される(同文献の
図5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムによると、予約カードに対して入金及び支払が対応付けられ、旅行の出発日等、売上及び仕入の基準日が到来してはじめて未収や未払が予約カード単位で計上される。このため、売上や仕入に対する入金や支払への対応付けとこれによる評価(未収額や未払額の把握等)が売上や仕入の基準日まで行えず、また、予約カード単位でしか把握できない。
【0005】
本発明の目的は、売上や仕入の基準日前であってもその売上や仕入に対する入金や支払の対応付け及び評価を詳細に行いやすい旅行業務用のデータ構造及びこれを用いた会計処理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る旅行業務用のデータ構造は、売上、仕入、入金及び支払の情報を含んだ会計情報に係る旅行業務用のデータ構造であって、1つの仕入先に対する1つの予約である単位予約ごと又はそれより詳細な単位ごとの売上である単位売上を示す売上データと、前記単位売上と一対一に対応する、前記単位予約ごと又はそれより詳細な単位ごとの仕入である単位仕入を示す仕入データと、入金を示す入金データと、支払を示す支払データと、前記入金データが示す入金を前記売上データが示す売上に対して前記単位売上ごとに振り分ける入金振分を示す入金振分データと、前記支払データが示す支払を前記仕入データが示す仕入に対して前記単位仕入ごとに振り分ける支払振分を示す支払振分データと、前記単位売上、前記単位仕入、入金、支払、前記入金振分及び前記支払振分のそれぞれの基準日を示す基準日データとを含んでおり、前記基準日データにおいて、前記入金振分及び前記支払振分の少なくともいずれかの基準日が、振分先である前記単位売上又は前記単位仕入の基準日に対して過去に設定可能である。
【0007】
本発明のデータ構造によると、単位予約又はそれより詳細な単位ごとの単位売上/単位仕入に入金/支払を紐づける入金振分/支払振分がある。そして、入金振分及び支払振分の基準日の少なくともいずれかがその振分先である単位売上又は単位仕入の基準日より過去に設定することが可能である。つまり、売上や仕入の基準日に対する入金や支払のタイミングに関わらず、売上や仕入の基準日より過去の基準日を設定しつつ入金/支払を単位売上/単位仕入に振り分けることが可能である。このため、売上や仕入の基準日に先行したタイミングで、売上/仕入に対する入金/支払の対応付け及び評価(例えば、未収額や未払額の把握)が可能になる。また、入金/仕入の振分が単位売上/単位仕入のそれぞれに対して行われるため、詳細な対応付け及び評価が可能になる。なお、本発明において、「振り分け」又は「振分」とは、入金の一部又は全部を単位売上に対応付けること、又は、支払の一部又は全部を単位仕入に対応付けることをいう。
【0008】
また、本発明に係る会計処理システムは、上記データ構造を有する出納データと、前記単位売上、前記単位仕入、入金、支払、前記入金振分及び前記支払振分のそれぞれについて、貸方勘定科目と借方勘定科目を示すデータとを記憶する記憶手段と、前記記憶手段における記憶内容に基づいて、前記単位売上、前記単位仕入、入金、支払、前記入金振分及び前記支払振分のそれぞれについて仕訳伝票を生成する仕訳処理を実行する仕訳処理手段とを備えており、前記仕訳処理手段が、前記入金振分及び前記支払振分のそれぞれについて、振分先である前記単位売上又は前記単位仕入の基準日に対して過去のタイミングで前記仕訳処理を実行可能に構成されている。
【0009】
本発明の会計処理システムによると、単位売上又は単位仕入に先行して入金又は仕入があった場合に、単位売上又は単位仕入の基準日より前のタイミングであっても、その入金又は仕入に係る入金振分又は支払振分について仕訳処理を実行可能である。したがって、入金及び支払並びにその振分に関する締め処理が早期に可能となる。
【0010】
また、本発明においては、前記仕訳処理手段が、1又は複数の連続する仕訳日のそれぞれに関して、前記出納データが示す前記単位売上、前記単位仕入、入金、支払、前記入金振分及び前記支払振分のうち、前記基準日データが示す前記基準日が前記仕訳日に該当するものについて前記仕訳処理を実行可能であり、前記入金振分の仕訳として、借方が前記入金の仕訳伝票における貸方勘定科目であり貸方が第1勘定科目である第1の前記仕訳処理を実行し、前記入金振分の振分先である前記単位売上が前記仕訳処理を実行済みである場合に、借方が前記第1勘定科目であり貸方が前記単位売上の仕訳伝票における借方勘定科目である第2の前記仕訳処理をさらに実行し、前記支払振分の仕訳として、借方が前記支払の仕訳伝票における貸方勘定科目であり貸方が第2勘定科目である第3の前記仕訳処理を実行し、前記支払振分の振分先である前記単位仕入が前記仕訳処理を実行済みである場合に、借方が前記第1勘定科目であり貸方が前記単位仕入の仕訳伝票における借方勘定科目である第4の前記仕訳処理をさらに実行することが好ましい。これによると、入金振分の仕訳処理において、その入金振分の振分先の単位売上が仕訳されているか否かに関わらず第1の仕訳処理が一旦なされる。そして、単位売上の仕訳処理が実行済みであると判定した場合に第2の仕訳処理を行い、これによって入金と売上を結びつける仕訳伝票を生成する。また、支払振分の仕訳処理において、その支払振分の振分先の単位仕入が仕訳されているか否かに関わらず第3の仕訳処理が一旦なされる。そして、単位仕入の仕訳処理が実行済みであると判定した場合に第4の仕訳処理を行い、これによって支払と仕入を結びつける仕訳伝票を出力する。したがって、振分先が仕訳済みか否かに関わらず仕訳を実行可能であるため、入金及び支払並びにその振分に関する締め処理が早期に可能となる。
【0011】
また、本発明においては、前記単位売上及び前記入金振分からなる第1組、前記単位仕入及び前記支払振分からなる第2組、前記入金及び前記入金振分からなる第3組、並びに、前記支払及び前記支振分からなる第4組の少なくともいずれかの組において、その組を構成する要素から生成された仕訳伝票に含まれる貸方の金額と借方の金額とを勘定科目ごとに合算した結果と、前記出納データが示す未収額、未払額及び未振分額のうち対応するものとを比較することで前記処理の結果を評価することが好ましい。これによると、互いに関連する2つの会計情報の組み合わせからなる第1組~第4組のそれぞれにおいて、各組を構成する要素から生成された貸方の金額と借方の金額とを勘定科目ごとに合算した場合に、その合算結果が元の会計情報から得られる未収額、未払額又は未振分額と対応しているという仕訳上の関係に基づき、仕訳処理を評価することが可能である。
【0012】
また、本発明においては、前記第1及び第2の仕訳処理の両方が実行済みである前記入金振分から生成された仕訳伝票に含まれる貸方の金額と借方の金額とを前記第1勘定科目について合算すると貸方及び借方間で金額が一致するか否かに基づいて前記仕訳処理の結果を評価すると共に、前記第3及び第4の仕訳処理の両方が実行済みである前記支払振分から生成された仕訳伝票に含まれる貸方の金額と借方の金額とを前記第2勘定科目について合計すると貸方及び借方間で金額が一致するか否かに基づいて前記仕訳処理の結果を評価することが好ましい。これによると、第1及び第2の仕訳処理の両方が実行済みである入金振分に関しては、これから生成された仕訳伝票に含まれる貸方の金額と借方の金額とを第1勘定科目について合計すると貸方及び借方間で金額が一致するという仕訳上の関係に基づき、仕訳処理を評価することが可能である。また、第3及び第4の仕訳処理の両方が実行済みである支払振分に関しては、これから生成された仕訳伝票に含まれる貸方の金額と借方の金額とを第2勘定科目について合計すると貸方及び借方間で金額が一致するという仕訳上の関係に基づき、仕訳処理を評価することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る会計処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1のシステムが有するサーバの構成を示す概略図である。
【
図3】
図3(a)は、
図1のシステムにおいて使用される出納データの一例を示す図である。
図3(b)は、
図1のシステムにおいて使用される出納データの別の一例を示す図である。
【
図4】
図1の会計処理システムにおいて、予約内容等を入力及び表示する画面である。
【
図5】
図4の「請求」が選択されると表示される画面である。
【
図6】
図4の「入金」が選択されると表示される画面である。
【
図7】
図1に係るシステムにおける支払消込画面である。
【
図8】
図4の「売仕」が選択されると表示される画面である。
【
図9】
図6において、「返金/振替依頼」が選択されると表示される画面である。
【
図10】
図9に係る処理が進んだ場合に
図9の画面の一部として表示される画像である。
【
図11】
図2のサーバが実行する仕訳処理における売上等の仕訳の内容を示す表である。
【
図12】
図2のサーバが実行する仕訳処理における入金等の仕訳の内容を示す表である。
【
図13】
図2のサーバが実行する仕訳処理における入金振分等の仕訳の内容を示す表である。
【
図14】
図2のサーバが実行する仕訳処理における売上及び仕入関連の仕訳処理のメインルーチンに係るフロー図である。
【
図15】
図14のメインルーチンから呼び出される売上・仕入仕訳サブルーチンに係るフロー図である。
【
図16】
図14のメインルーチンから呼び出される仕入調整仕訳サブルーチンに係るフロー図である。
【
図17】
図2のサーバが実行する仕訳処理における入出金及び振分関連の仕訳処理のメインルーチンに係るフロー図である。
【
図18】
図17のメインルーチンから呼び出される入出金仕訳サブルーチンに係るフロー図である。
【
図19】
図17のメインルーチンから呼び出される振分仕訳サブルーチンに係るフロー図である。
【
図20】
図17のメインルーチンから呼び出される振分逆仕訳サブルーチンに係るフロー図である。
【
図21】
図15の売上・仕入仕訳サブルーチン又は
図19の振分仕訳サブルーチンから呼び出される追加仕訳サブルーチンに係るフロー図である。
【
図22】
図2のサーバが実行する仕訳処理によって生成された仕訳結果を示す図である。
【
図23】
図2のサーバが実行する仕訳結果の評価処理の一例を説明するための図である。
図23(a)は、売上と入金振分の一例を示す模式図である。
図23(b)は、
図23(a)の売上及び入金振分に関してサーバが実行した仕訳処理の結果を示す表である。
図23(c)は、
図23(a)の仕訳結果に対してサーバが行った評価処理における合算結果を示す表である。
【
図24】
図2のサーバが実行する仕訳結果の評価処理の別の一例を説明するための図である。
図24(a)は、入金と入金振分の一例を示す模式図である。
図24(b)は、
図24(a)の入金及び入金振分に関してサーバが実行した仕訳処理の結果を示す表である。
図24(c)は、
図24(a)の仕訳結果に対してサーバが行った評価処理における合算結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<システム概要>
本発明の一実施形態に係る会計処理システム1について
図1~
図24を参照しつつ説明する。会計処理システム1は、旅行業務に含まれる会計業務を処理するためのシステムである。以下、その詳細について説明する。
【0015】
図1に示すように、会計処理システム1は、複数の端末100及びサーバ200を備えている。端末100及びサーバ200間は、インターネットNを通じたデータ通信が行われる。端末100及びサーバ200同士の通信には、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)等のインターネット用の通信プロトコルが使用される。端末100及びサーバ200のいずれも、コンピュータ等のハードウェアと、メモリデバイスに格納されたプログラムデータ等のソフトウェアとによって構築されている。これらのソフトウェアはインターネットによるダウンロード又は各種の記録媒体により配布可能である。コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリ、ハードディスクドライブ、並びに、入出力インタフェース等の各種インタフェースのハードウェアを含んでいる。端末100及びサーバ200のそれぞれにおいて、ハードウェアがソフトウェアに従って以下の通信処理等の処理を実行する。後述のブラウザ130はかかるソフトウェアの1つである。
【0016】
図2に示すように、サーバ200は、記憶部210(本発明でいう記憶手段)、データ管理部220、仕訳処理部230及び仕訳評価部240を有する。記憶部210は、端末100から送信された旅行に関する予約内容を示す情報、この予約内容に関連した会計情報等を記憶する。予約内容には、手配旅行、企画旅行、及び受託旅行等の旅行の種類が含まれる。手配旅行は、旅行者の希望する旅行先、スケジュール等の旅行内容に応じて航空券、宿泊、鉄道等の予約を仕入先に対して行うことが必要な旅行である。企画旅行は、旅行先やスケジュール等があらかじめ設定され、航空券、宿泊、鉄道等の予約もあらかじめセットとなった旅行である。受託旅行は、他社の商品に関する旅行である。予約内容は、旅行ごとの情報の集合からなる予約カードの単位にまとめられつつ、予約データ420として記憶部210に記憶される。予約カードは、旅行の申し込みを受けてから旅行が完了するまでの一連の業務を管理するための情報の単位であり、カルテとも呼ばれる。各予約カードには、1つの仕入先に対する1つの予約である単位予約が複数含まれている。単位予約は、予約業務の担当者が仕入先に対して1回の予約行為を行うことに対応する。この単位予約に対しては、仕入先によって1つの予約番号が割り当てられる。
【0017】
会計情報は出納データ400として記憶部210に記憶される。出納データ400は、旅行料金を示す売仕データ410、入出金を示す入出金データ430、旅行料金と入出金を関連付ける振分データ440及び請求書の内容を示す請求書データ450を含んでいる。
【0018】
売仕データ410は、顧客(旅行者等)に対して請求される売上を示す売上データ411、仕入先から請求される仕入を示す仕入データ412及び仕入の調整額を示す仕入調整データ413を含んでいる。売上データ411は、複数の売上項目(本発明における単位売上に対応)からなる売上明細を示す。売上データ411には、各売上項目の税区分及び税率を示すデータが含まれている。税区分は、「課税」「非課税」「不課税」「免税」のいずれに該当するかを示す。また、売上データ411には、各売上項目に係る基準日としての売上日を示すデータ(本発明でいう基準日データ)が含まれている。本実施形態における「売上日」は、売上における会計的な計上日に対応する。旅行の種類(手配旅行か企画旅行か等)やサービスごとにどのような日を計上日としなければならないかが会計上決められている。本会計処理システム1においても、かかる会計上の基準に基づいて売上日が設定されている。さらに、売上データ411には売上先を示すデータが含まれている。
【0019】
仕入データ412は、複数の売上項目と対応した複数の仕入項目(本発明における単位仕入に対応する)からなる仕入明細を示す。仕入データ412には、各仕入項目の税区分及び税率を示すデータが含まれている。税区分は、「課税」「非課税」「不課税」「免税」のいずれに該当するかを示す。また、仕入データ412には、各仕入項目に係る基準日を示すデータが含まれている。売上項目及び仕入項目は、それぞれ単位予約ごと、又はそれより詳細な単位ごとの旅行料金に関する項目であり、互いに1対1に対応している。仕入項目に係る基準日は売上日と一致している。さらに、仕入データ412には仕入先を示すデータが含まれている。
【0020】
仕入調整データ413は、仕入項目のいずれかと対応しており、その仕入項目に関する仕入額の調整が実行された場合に生成される。仕入額の調整は、後述の通り、為替変動等により支払額が元の仕入から変更される場合に、調整後の仕入額と支払額とを一致させるために実行される。
【0021】
入出金データ430は、旅行料金に関して発行された請求書に従ってなされる入出金を示す。本実施形態において、入出金は、現金や銀行振込等、様々な態様でなされる。また、入出金に用いられる振込口座は、旅行会社の担当部署ごとに異なる口座が用いられている等、複数に亘る場合がある。本実施形態においては、入出金の態様や振込口座を区別するために「入出金種別」が用いられている。入出金種別は、例えば、現金による入出金であるか銀行振込等による入出金であるかを示すと共に、振込による入金に関してはいずれの口座が用いられたかを示す。
【0022】
入出金には顧客からの入金及び仕入先への支払がある。入出金データ430は、入金の内容を示す入金データ431及び支払の内容を示す支払データ432を含んでいる。本実施形態における「入金」とは、原則、売上に対応する旅行料金を顧客から受け取ること又は受け取った料金をいう。入金データ431が示す入金額がプラス値である場合にはこのような顧客からの入金を示す。入金データ431が示す入金額がマイナス値である場合には顧客に対して返金がなされたことを示す。返金は、請求書の金額を超過する入金がなされた場合に実行される超過分の金額を返還する処理である。なお、入金の超過が発生した場合、後述の通り、返金の代わりに振替も実行可能である。本実施形態に係る入金の振替とは、入金者の意向に応じ、入金の超過分を、本来の請求書に対応する予約カードとは異なる予約カードの請求書に振り分ける処理である。入金データ431には、各入金に係る基準日としての入金日、入出金種別及び入金元を示すデータ(本発明でいう基準日データに対応)が含まれている。入金日は原則、入金がなされた日に対応する。入金元は、入金した者である個人の氏名や法人名を示す。
【0023】
本実施形態における「支払」とは、仕入に係る旅行料金を仕入先に払うこと又は払った料金をいう。支払データ432は、このような仕入先への支払額とその基準日としての支払日(本発明でいう基準日データに対応)を示す。また、支払データ432には、入出金種別及び支払先を示すデータが含まれている。支払先は、支払する相手である法人名を示す。支払先は、その支払いに対応する仕入の仕入先に一致する。
【0024】
振分データ440は、売仕データ410及び入出金データ430とを関連付けるデータである。上記の通り、入金は売上と対応しており、支払は仕入と対応している。振分データ440は、これらの対応関係を売上項目単位又は仕入項目単位で示すものである。本実施形態における「振分」とは、入金の一部又は全部を売上の明細に割り当てる(対応付ける)こと、又は、支払の一部又は全部を仕入の明細に割り当てる(対応付ける)ことをいう。また、振分データ440によって互いに対応付けられる入金又は支払と売上又は仕入の前者を「振分元」とし、後者を「振分先」とする。以下の説明において、振分を行うことを「振り分ける」等と表現することがある。例えば、振分は、従来の記帳上、入金を請求書と対応付けて打ち消し線で消していく消込作業に対応する。振分データ440には、各振分に係る基準日を示すデータ(本発明でいう基準日データ)が含まれている。この基準日は通常、対応する入金又は支払の入金日又は支払日と一致している。入金日及び支払日のいずれも売上日に対して過去の日付となり得る。このため、振分の基準日も振分先の売上又は仕入の基準日に対して過去の日付となり得る。
【0025】
請求書データ450は、顧客に対して発行された請求書の内容を示すデータである。各請求書は、請求明細として複数の請求項目からなる。各請求項目は各売上項目と対応している。請求書データ450は、請求先や、各請求項目における請求額等を示すデータと共に、売上データ411が示す各売上項目と各請求項目との対応付けを示すデータを含んでいる。請求書データ450が示す請求額には、プラス値を取る場合とマイナス値を取る場合とがある。前者は請求書に応じて顧客からの入金がなされる場合に対応し、後者は請求書に応じて顧客への返金がなされる場合に対応する。
【0026】
図3は出納データ400の一例を示す。
図3(a)には、請求書データ450、売上データ411、振分データ440及び入金データ431の各データが示す金額及び基準日が表されている。売上データ411における各項目は各売上項目に対応する。図中、これらの項目が各データの基準日に従って並んでいる。売上項目、振分及び入金の各項目を結ぶ直線は、振分による売上項目と入金の関連付けを示している。
【0027】
本実施形態では、後述の通り、各締日(例えば、各月末)における締め対象の項目に対して仕訳処理が実行される。
図3(a)の実線、一点鎖線、破線等からなる太い線は、締日を7月末、8月末、9月末、10月末、11月末及び12月末のそれぞれに設定した場合における締め対象の項目の境界を表している。つまり、各線は、それより上に配置された項目であって未だ締められていない項目が、その線の締日における締め対象であることを示す。
【0028】
図3(b)は、仕訳処理後の入金に対して振分の変更が行われた場合についての請求書データ450等の各データが示す金額及び基準日が表されている。売上項目、振分及び入金の各項目を結ぶ直線は、振分による売上項目と入金の関連付けを示している。
図3(b)の例では、9月末に一旦、仕訳処理が完了した振分データ440における9/30付の2つの項目の内容が更新されている。具体的には、振分データ440において、9/30付の2,000円の入金を、9/1付の1,000円の売上項目と9/5付の2,000円の売上項目とに9/30付で1,000円ずつ振り分ける項目が、10/1付で0円の内容に変更されている。これは、後述の通り、仕訳処理後に請求額の変更等により振分を変更する必要が生じた際に、仕訳処理後の振分の内容を変更する処理がなされた結果である。以下、かかる処理を「VOID処理」とする。また、請求額の変更等に伴って新たに生成された売上項目である9/15付の2,000円に対して9/30付の2,000円の入金を振り分ける10/1付の新たな振分が生成されている。
【0029】
また、記憶部210は仕訳方法データ460及び仕訳結果データ470を記憶する。仕訳方法データ460は仕訳処理の方法を示すデータである。仕訳方法データ460に従って生成された仕訳情報は仕訳結果データ470として記憶部210に記憶される。仕訳方法データ460及び仕訳結果データ470の詳細については後述する。
【0030】
データ管理部220は、端末100から受け取った種々の情報に基づいて出納データ400、予約データ420等を生成し、記憶部210に記憶させる。例えば、データ管理部220は、単位予約ごとの予約内容を示す予約情報を端末100から受け取る。かかる情報は、後述の通り
図4の画面IMI300の予約画像領域320を通じて単位予約ごとに入力される。データ管理部220は、端末100から送信された、予約状況やPAX、フライト情報等の具体的な予約内容等の情報を示す予約データ420を生成し、記憶部210に記憶させる。また、データ管理部220は、単位予約ごとの売上及び仕入に関する情報を端末100から受け取る。かかる情報は、後述の通り、
図4の画面IMI300の売仕情報領域330を通じて単位予約ごとに入力される。データ管理部220は、これに基づいて売仕データ410を生成し、記憶部210に記憶させる。また、データ管理部220は、後述の通り入金及び出金の内容を示す情報(
図6、
図7、
図10参照)を端末100から受け取り、これに基づいて入出金データ430を生成し、記憶部210に記憶させる。また、データ管理部220は、請求書の内容を示す情報を端末100から受け取る。かかる情報は、後述の通り、
図5の画面IMI20を通じて入力される。データ管理部220は、端末100から送信された情報を示す請求書データ450を生成し、記憶部210に記憶させる。
【0031】
また、データ管理部220は、後述の通り
図6の画面IMI30及び
図7の画面IMI50等を通じて入力された振分の内容に基づいて振分データ440を生成し、記憶部210に記憶させる。振分データ440の生成の方法は以下の通りである。データ管理部220は、例えば入金の振分に当たり、未振分の売上項目のうち、売上日が古い方から順に入金を振り分ける。つまり、データ管理部220は、最も古い売上日の売上項目から最も新しい売上日の売上項目に向かう順に以下を実行する。(1)売上項目における未収額が未振分の入金以上である場合には全額をその売上項目に振り分ける。また、(2)売上項目の金額が未振分の入金を下回っている場合には、未振分の入金のうち、その売上項目の金額分をその売上項目に振り分けると共に、振り分けた金額を除いた残額を次の売上項目以降に振り分ける。次の売上項目以降の振分については上記(1)及び(2)を繰り返す。
【0032】
これにより、
図3(a)の例では、7/1付の2,000円の入金が9/1付の売上項目及び9/5付の売上項目に1,000円ずつ振り分けられている。このように、9/1付の売上項目が7/1付の入金を下回っており且つ9/1付の売上項目及び9/5付の売上項目の合計値が7/1付の入金以上であることから、上記(2)の処理が実行されることにより、9/1付及び9/5付の2つの売上項目に7/1付の入金の全額が振り分けられている。ただし、9/5付の売上項目は2,000円であるため、これに対して1,000円が振り分けられると、この売上項目について未収額に対応する1,000円がこの時点で発生する。
【0033】
その後、この請求書に対し、
図3(a)に示す通り、8/15付で3,000円の入金がなされ、上記の通り画面IMI30を通じてその入金及び振分が入力されたとする。データ管理部220は、上記(1)(2)のように3,000円の入金を振り分ける。これにより、入金3,000円のうちの1,000円が、残額1,000円が発生していた9/5付の売上項目に振り分けられると共に、入金3,000円のうちの2,000円が9/15付の売上項目に振り分けられる。このように、9/5付の売上項目が8/15付の入金を下回っており且つ9/5付の売上項目及び9/15付の売上項目の合計値が8/15付の入金以上であることから、上記(2)の処理が実行されることにより、9/5付及び9/15付の2つの売上項目に8/15付の入金の全額が振り分けられている。11/1付の入金に対しても同様に振分が実行される。
【0034】
データ管理部220は、以上のような振分の内容に応じた
図3(a)に示すような振分データ440を入金ごとに生成する。振分データ440の各振分項目は、各売上項目と入金との関連付け及び振分額を示すと共に入金の日付と同じ日付を有している。
【0035】
支払の振分については、画面IMI50を通じて経理業務の担当者等が入力した内容に基づいて、データ管理部220が振分データ440を生成する。これにより、各売上項目に対する入金の振分と同様、各仕入項目に対する支払の振分がなされる。データ管理部220は、かかる振分の内容に応じた振分データ440を生成する。振分データ440の各振分項目は、各仕入項目と支払との関連付け及び振分額を示すと共に支払の日付と同じ日付を有している。
【0036】
また、データ管理部220は、以上の振分の結果に基づいて未収額及び未払額を算出する。具体的には、データ管理部220は、各売上項目に関して振り分けられた入金の金額をその売上項目の売上の金額から減算した結果を未収額とする。未収額が0円である場合、データ管理部220は、その売上項目について入金が完了したと判別する。また、データ管理部220は、各仕入項目に関して振り分けられた支払の金額をその項目の仕入の金額から減算した結果を未払額とする。未払額が0円である場合、データ管理部220は、その仕入項目について支払が完了したと判別する。
【0037】
その他、データ管理部220は、仕訳処理部230による後述の仕訳処理後の入金に関し、請求額の変更等がなされた場合に応じた出納データ400の処理を実行する。具体的には、上述の
図3(b)の例に示すように、振分データ440において請求額の変更等の対象に対応する仕訳処理後の振分(
図3(b)に示す9/30付の各1,000円)を示すデータの内容を、仕訳処理日より後の日付の0円の内容に変更するVOID処理が実行される。また、請求額の変更に伴う新たな売上(
図3(b)に示す9/15付の2,000円)が生成されると共に、これに対して入金を振り分ける新たな振分(
図3(b)に示す10/1付の2,000円)が生成される。
【0038】
仕訳処理部230は、記憶部210の仕訳方法データ460に従って、出納データ400が示す会計情報に対する仕訳処理を実行し、その結果を示す仕訳結果データ470を生成する。仕訳結果データ470は、各仕訳伝票の内容と共に、仕訳伝票の元データとなった出納データ400における売上項目、仕入項目、仕入調整額、入金、支払及び振分の各項目と各仕訳伝票との関連付けを示す。生成された仕訳結果データ470は記憶部210に記憶される。仕訳評価部240は、出納データ400が示す売上、入金等の会計情報と記憶部210の仕訳結果データ470が示す仕訳結果とが整合しているか否かを評価する。仕訳処理部230及び仕訳評価部240の処理の詳細については後述する。
【0039】
その他の処理として、サーバ200は、ブラウザ130の機能に基づいて端末100が実行する処理を指示するHTML(HyperText Markup Language)で記述されたプログラムや各種のデータを生成し、端末100へと送信する。また、サーバ200は、端末100から受信したリクエストに応じ、記憶部210の記憶内容等のデータを端末100へと送信する。
【0040】
端末100としては、ノート型又はデスクトップ型のパソコン、タブレット端末、スマートフォン等が用いられる。端末100には情報を表示するディスプレイ110が接続又は搭載されている。また、端末100には、紙媒体への記録を行うプリンター等の印刷装置140が接続されている。さらに、端末100には、マウス、タッチパッド又はタッチパネルディスプレイ等のポインティングデバイス、キーボード等の1つ以上の入力デバイス120が接続又は搭載されている。ユーザは、入力デバイス120を用いることで、後述のグラフィカルユーザインタフェース(GUI)画像中の各種のコントロール画像を選択・操作したり、選択したコントロール画像において文字入力を行ったりすることができる。
【0041】
端末100には、ウェブブラウザアプリケーション(以下、「ブラウザ130」という。)がインストールされている。ブラウザ130は、サーバ200から送信されるデータに基づき、端末100に以下の各種の処理を実行させる。例えば、端末100は、入力デバイス120を通じて旅行に関する予約内容並びに売上及び仕入の内容等をユーザ入力させるための
図4~
図8に示すGUI画像をディスプレイ110に表示させる。また、端末100は、GUI画像を通じて入力された内容をサーバ200に送信したり、GUI画像に表示するべき情報等、各種の処理に必要な情報をサーバ200にリクエストしたりする。かかるGUI画像にはログイン用の画像(不図示)が含まれる。旅行業務の従業者は、各自に割り当てられたログインIDを用いてログイン用の画像にID及びパスワードを入力することで本システムの利用を開始できる。ログインIDには、使用者の職責に応じた権限が設定されている。
【0042】
<端末におけるGUI>
以下、端末100におけるGUI画像を通じた各種処理について説明する。
図4に示すIMI300は、1つの予約カードに関する情報の入力及び閲覧を行うためのメイン画面のGUI画像である。かかる情報の入力及び閲覧は、予約業務の担当者が自身に割り当てられたシステムへのログインIDを用いて主に実行する。なお、業務統括責任者や予約業務以外の業務の担当者が自身に割り当てられたログインIDを用いて情報を入力・閲覧してもよい。
【0043】
IMI300は、予約カードを選択又は新規に作成するための別のGUI画像(不図示)を通じて選択又は新規作成された1つの予約カードと対応している。かかる別のGUI画像において、入力デバイス120を用いたユーザ入力によってIMI300の画面表示が指示されることにより、IMI300がディスプレイ110に表示される。IMI300は、予約カードにおける基本情報や旅行情報(旅行期間や目的地等、旅行者の氏名・連絡先等)の入力を行うためのカード基本領域(不図示)、予約内容の入力等を行うためのメイン領域370及びメイン画面とは別のGUI画像を表示するためのメニューコントロール画像や予約カード全体の売上・仕入の情報を表示する表示欄を含んだメニュー領域380を含んでいる。これらの領域のうち、メイン領域370は、ディスプレイ110の画面上に縦方向(以下、「画面縦方向」という。)に長く表示される。メイン領域370は、多くの場合、一画面で表示できず、よって、入力デバイス120を用いてIMI300の右脇に表示されるスクロールバーコントロール画像(不図示)を操作したり、マウスのボタンを操作したりすることで、画面の表示内容を画面縦方向にスクロールさせる。これによって、メイン領域370の各部分における情報や入力領域を順に画面に表示させる。一方、メニュー領域380は、メイン領域370のスクロールに追随せず、IMI300中の左脇の所定位置に維持される。
【0044】
メイン領域370は、1つ以上の旅行別領域350を含んでいる。旅行別領域350は、手配旅行、企画旅行、及び受託旅行等の旅行の種類ごとの領域である。いずれの旅行に係る旅行別領域350がメイン領域370に表示されるかは、上記の通り入力デバイス120を用いたユーザ入力によってIMI300の画面表示を行う指示がなされる際に指示される。本実施形態においては、手配旅行に係る旅行別領域350を主な例として説明するが、以下の説明における手配旅行に係る旅行別領域350の構成は企画旅行や受託旅行に係る旅行別領域350にも適用可能である。
【0045】
メイン領域370には1つ以上の旅行別領域350が画面縦方向に並んで表示される。これらは、上記の通り画面縦方向にスクロール可能に表示される。
図4に示すように、各旅行別領域350は1つ以上の手配入力画像領域310を含んでいる。手配入力画像領域310は、予約内容等の具体的な情報を入力するための領域である。各手配入力画像領域310は各単位予約と対応する。手配入力画像領域310に入力する内容に関わるサービスには、海外エア、国内エア、ホテル、船舶、レンタカー、鉄道、渡航書類、保険等がある。旅行別領域350内は、サービスごとに領域が画面縦方向に分割され、サービスごとの各領域においてそのサービスに係る手配入力画像領域310が画面縦方向に連続して表示される。手配旅行に係る旅行別領域350において、各サービスに係る手配入力画像領域310の最下部には手配入力画像領域310を追加するためのコントロール画像311が表示されている。入力デバイス120を用いて各コントロール画像311を選択することで、対応するサービスに関する手配入力画像領域310が最下部に追加される。手配入力画像領域310全体は、上記の通り画面縦方向にスクロール可能に表示される。
【0046】
手配旅行に係る各手配入力画像領域310は、予約内容等を入力するための画像領域である。手配入力画像領域310は、予約画像領域320及び売仕情報領域330を含んでいる。
【0047】
予約画像領域320は、予約内容をユーザ入力させると共に入力結果を表示する領域である。予約画像領域320は、画面縦方向に並んだ手配基本領域321、予約内容領域322及び利用者リスト領域323を含んでいる。売仕情報領域330は、利用者リスト領域323の右隣りに配置されている。これらのうち、手配基本領域321は、サービスの種類に依らず共通の内容を含んでおり、予約状況やPAX情報、手配期限や担当者等の情報をユーザ入力させると共にその入力結果を表示するためのコントロール画像を含んでいる。
【0048】
予約内容領域322は、サービスごとに異なる内容を含んでおり、予約内容の具体的な情報を入力・表示するためのコントロール画像を含んでいる。かかる具体的な情報には、例えば海外エア等の航空サービスであれば、
図4に示す通り、仕入先によって割り当てられた1つの予約番号(又は確認番号)を含むPNR(Passenger Name Record)や予約便のフライト情報(便名、出発日、発地、着地、発着時刻、座席クラス、座席数等)、マイレージカード番号、航空券番号等が含まれる。予約内容領域322は、日付を入力するための1つ以上のコントロール画像及びその項目名を含んでいる。かかる項目には、例えば、航空券や乗車券の発券日、宿泊期間開始日及び完了日、船舶やレンタカーの利用開始日及び完了日等がある。各サービスに係る手配入力画像領域310において、予約内容領域322に含まれる上記のような日付の項目には、そのサービスに係る旅行の売上日に相当する項目が必ず含まれている。そして、かかる売上日に相当する項目名が、その他の項目名とは視覚的に識別可能な態様で表示されている。
図4の手配入力画像領域310には、一例として、発券期限の日付を入力する欄である日付入力欄C1及びその項目名C2「発券期限日」、並びに売上日となる発券の日付を入力する欄である日付入力欄C3及びその項目名C4「発券日」が含まれている。このうち、項目名C4には波状の下線が施されており、その他の欄の項目名とは視覚的に識別可能な態様で表示されている。なお、かかる態様として、例えば、売上日の項目名を示す文字が、他の項目名とは異なる色、大きさ、太さであったり、下線が引いてあったり、囲んであったりしてもよい。この例に示すように、売上日は、予約内容領域322における情報入力の時点でそれより未来の日付に該当することになる。利用者リスト領域323は、サービスの利用者のリストを表示する領域である。利用者のリストに含まれる利用者は、上述のカード基本領域において入力された旅行者情報が示す旅行者のうち、手配基本領域321において入力されたPAX情報が示す旅行者である。
【0049】
予約画像領域320に入力された情報は、端末100からサーバ200に送信される。これに基づき、上記の通り、データ管理部220が予約データ420を生成する。かかる予約データ420は、予約画像領域320において入力された各情報を示すデータを含んでいる。
【0050】
売仕情報領域330は、サービスの種類に依らず共通の内容を含んでおり、予約内容と対応した1つ以上の売上項目に関する売上内容及び仕入内容をユーザ入力させると共に入力結果を表示するコントロール画像を含んでいる。売上内容には、各売上項目の名称、ラベル、PAX情報、売上単価及び数量が含まれている。売上項目の名称は、あらかじめ設定された名称リストから入力デバイス120を用いていずれかを選択することで入力される。その他の売上内容は、各売上項目について入力される。PAX情報及び数量は、手配基本領域321において入力されたPAX情報に基づいて自動で入力される。このうち、PAX情報は売上項目ごとに変更可能である。数量はPAX情報に対応する人数を示し、変更不可能である。仕入内容には、売上項目と1対1に対応する仕入項目として、仕入通貨、仕入単価及び仕入先が含まれている。また、売仕情報領域330には日付入力のためのコントロール画像C5が含まれている。予約内容領域322の日付入力欄C3に日付が入力されると、売仕情報領域330の日付入力欄C5にその日付が自動入力される。売上内容及び仕入内容が入力されると、売仕情報領域330の上部には、入力された売上内容における売上単価に数量を掛けた金額の合計が表示されると共に、入力された仕入内容における仕入単価に数量を乗じた金額の合計が表示される。
【0051】
売仕情報領域330に入力された情報は、端末100からサーバ200に送信される。これに基づき、上記の通りデータ管理部220が売仕データ410を生成する。かかる売仕データ410中、売上データ411は、売仕情報領域330において入力された各売上項目の情報、つまり、売上項目の名称、ラベル、PAX情報、売上単価及び数量を示すデータを含んでいる。売仕データ410中、仕入データ412は、売仕情報領域330において入力された各仕入項目の情報、つまり、仕入通貨、仕入単価及び仕入先を示すデータを含んでいる。
【0052】
メニュー領域380は、各種の処理を選択するための複数のコントロール画像を含んだメニューコントロール領域381及び予約カード全体の売上等の合計金額を表示する合計領域382を含んでいる。メニューコントロール領域381に含まれるコントロール画像には、他の画面が表示された状態からIMI300の画面表示に戻るコントロール画像C10、売仕明細画面を開くためのコントロール画像C11、請求明細画面を開くためのコントロール画像C12及び入金画面を開くためのコントロール画像C13が含まれている。これらのうち、コントロール画像C11~C13のいずれかを選択すると、後述の通り、売仕入力画面等、各種の情報を表示・入力するためのGUI画像がディスプレイ110に表示される。これらのGUI画像において表示・入力される情報は、メイン領域370に表示された予約カードの情報と関連付けられてサーバ200の記憶部210に記憶される。
【0053】
メニュー領域380において、入力デバイス120を用いてコントロール画像C12を選択すると、
図5に一例を示すように、請求書の発行に関するGUI画像からなる画面IMI20(上記請求明細画面)がディスプレイ110に表示される。画面IMI20を通じた請求書の発行業務は、予約業務の担当者が行うことが主に想定される。画面IMI20には、入力デバイス120を用いて、請求書の内容として入金予定日、請求額の通貨等を入力可能であると共に、請求明細として複数の請求項目(例えば、
図6の請求項目C21~C23)の内容を入力可能である。各請求項目は、手配入力画像領域310の各売上項目に対応している。かかる請求項目の内容は、手配入力画像領域310において入力した内容に応じて自動入力される。
【0054】
例えば、
図5の請求項目C21は、国内エアに係る手配入力画像領域310において入力した内容に応じて「印刷項目」欄に「国内航空券」が表示されている。「PAX」欄には「1」が表示され、「税区分」に「課税」が表示されている。なお、課税されない売上項目については「非課税」「不課税」「免税」のいずれかが表示される。
図5の例では「不課税」が表示されている。「税率」欄には10%が表示されている。「単価」欄には「1,000」が表示されている。「数量」欄には「1」が表示されている。「単価」及び「数量」に表示されるデフォルト値は、手配入力画像領域310において入力した各売上項目の「単価」及び「数量」に対応する。「金額」欄には「単価」と「数量」を乗じた金額が表示されている。「内税」欄には「税率」、「単価」、「数量」に応じた金額「90」が表示されている。「請求額」欄には、「金額」に応じた「1,000」が表示されている。「未請求額」欄には、過去に請求書を発行していない金額「1,000」が表示されている。なお、過去に請求書を発行している場合、その請求書を発行している金額を「金額」欄から減じた金額が表示される。
【0055】
上記のうち、「印刷項目」「税率」「単価」「請求額」の各欄は入力デバイス120を用いて入力内容を変更可能である。ただし、「請求額」の数値は手配入力画像領域310において入力した値を超えない範囲で変更可能である。また、「単価」は、これに「数量」を乗じて全ての請求項目について合計した額が「請求額」の合計と一致していれば、手配入力画像領域310において入力した値を超えた額を入力可能である。また、「税率」はあらかじめ設定された数値から選択可能である。「摘要」欄は、必要に応じて入力デバイス120を用いて入力可能である。
【0056】
同様にして、ホテルに係る手配入力画像領域310において入力した内容に応じて請求項目C22が表示されており、必要に応じて各項目の内容の記載を変更することができる。また、鉄道に係る手配入力画像領域310において入力した内容に応じて請求項目C23が表示されており、必要に応じて各項目の内容の記載を変更することができる。
【0057】
各請求項目の先頭に配置されたコントロール画像C26は、未チェックの状態とチェック済みの状態とを選択的に取り、入力デバイス120を用いた選択により状態が切り替わる。かかるコントロール画像の少なくともいずれかがチェック済みの状態を取っているときに、入力デバイス120を用いてコントロール画像C24を選択すると、画面IMI20をおいて入力された内容が端末100からサーバ200へと送信される。これに基づき、上記の通りデータ管理部220が、チェック済みの請求項目の内容を請求明細として含んだ請求書を示す請求書データ450を生成する。かかる請求書データ450は、各請求項目における単価、数量、税率等を示すデータと、各請求項目がいずれの売上項目と対応しているかを示すデータとを含んでいる。また、端末100に接続された印刷装置140によって請求書が印刷される。このように発行された請求書は、例えば予約業務の担当者が顧客に手渡ししたり発送したりする。一方、コントロール画像C25が選択されると、画面IMI20を通じた請求書の発行がキャンセルされる。
【0058】
図4のメニュー領域380において、入力デバイス120を用いてコントロール画像C13をクリックすると、
図6に一例を示す入金及びその消込に関するGUI画像からなる画面IMI30(上記入金画面)がディスプレイ110に表示される。顧客からの入金の態様は、予約業務の担当者が窓口等で顧客から現金を直接受け取ったりクレジットカード決済によって受け付けたりする場合や、銀行口座への振り込みによってなされる場合など、さまざまである。このうち、予約業務の担当者が窓口で受け付ける場合において、顧客からの入金が画面IMI30を通じて入力される。以下の通り、入力デバイス120を用いて画面IMI30の各入力欄に入金内容を入力すると共に、請求書の請求額に対して振り分けることで入金を消し込むことができる。
【0059】
画面IMI30は、入金の内容を入力するための領域30aと、請求書に対する入金の振り分け状況を示す領域30bとを含んでいる。領域30aは、予定状態と確定状態を選択的に取るコントロール画像C37を含んでいる。デフォルトでは、コントロール画像C37は予定状態(
図6に示す状態)を取る。この状態において以下の通り入金の内容の入力及び振分の操作が行われる。入金の内容の入力及び振分の操作がなされた後、入力デバイス120を用いてコントロール画像C37の「確定」が選択されると、コントロール画像C37が確定状態を取ると共に、入力された入金の内容が確定する。
【0060】
領域30aは、入金の金額、伝票番号、入金日、入金を受け付けた担当者の情報等を入力するためのコントロール画像を含んでいる。例えば、「入金日」の入力欄C31には入金のあった日付が入力される。「入金額」の入力欄C32には入金額が入力される。領域30bは、振分状況を示す文字や数値等の表示欄を含んでいる。例えば、「未振分額」の表示欄C33には、入力欄C32の金額のうち、振分が完了していない金額が表示される。表示欄C33の右隣りには「返金/振替依頼」ボタンのコントロール画像C38が配置されている。コントロール画像C38は、表示欄C33の金額が0円でない場合(未振分額が発生している場合)に入力デバイス120を用いて選択可能である。コントロール画像C38が選択されると、返金・振替の処理に係る後述の画面IMI60が表示される。
【0061】
領域30bの下部には、同じ予約カード内で発行された請求書が一覧として表示される。各請求書の表示欄C34には、「未振分額」の表示欄C33の金額が消し込まれる前の「請求額」、「未収額」、「振分額」等が表示されている。表示欄C34には「振分」のコントロール画像C35及び「取消」のコントロール画像C36が含まれている。入力デバイス120を用いて、いずれかの請求書に対応するコントロール画像C35が選択されると、選択された請求書を示す情報がサーバ200に送信される。サーバ200のデータ管理部220は、端末100から送信された情報に基づき、表示欄C33に表示された未振分額を請求書に対して振り分ける。例えば、当該請求書の請求額が未振分額以上である場合には、未振分額の全体が当該請求書に振り分けられる。一方、当該請求書の請求額が未振分額を下回っている場合には、未振分額のうち、請求額に相当する分が当該請求書に振り分けられる。具体的には、振分は、請求書に含まれる各請求項目に対応する売上項目に対して実行される。かかる振分の詳細については後述する。かかる振分の内容に応じ、表示欄C33の金額及び表示欄C34の未収額及び振分額が更新される。複数の請求書の一覧が領域30bに表示されている場合に、複数の請求書に跨って上記の振分を行うことで、1つの請求書の請求総額を超過した入金の振分を行うことができる。入力デバイス120を用いてコントロール画像C36が選択されると、振分が取り消されると共に表示欄C33及びC34の金額表示が振分前の状態に戻される。
【0062】
以上の通り入金の内容が入力されると共に振分の操作がなされた後、コントロール画像C37が選択されると、上記の通り入金及び振分の内容が確定する。なお、振分がなされた金額の合計が入力欄C32の入金額を下回った状態で入金及び振分の内容を確定させることが可能である。この場合、入力された入金について未振分の金額が残存することになる。確定した入金及び振分の内容は、端末100からサーバ200に送信される。これに基づき、上記の通り、データ管理部220が入出金データ430を生成すると共に、振分の内容を示す振分データ440を生成する。
【0063】
仕入に対する支払の消込については、主に経理業務の担当者が仕入先からの請求書に基づくか、支払に関する情報を手入力することで実行する。
図7に示す画面IMI50は、仕入先からの請求書に基づいて実行する場合に使用される。画面IMI50は、別のGUI画像(不図示)を通じて仕入先からの請求書のデータファイルを会計処理システム1に取り込んだ後、仕入先の請求書の明細におけるいずれかの項目を入力デバイス120を使用したユーザ入力に基づいて選択した結果、ディスプレイ110に表示される。サーバ200は、取り込まれた請求書のデータが示す仕入先の情報、請求額等に基づき、記憶部210に記憶された仕入データ412が示す仕入項目から、当該請求書に係る支払の消込候補となる仕入項目を検索する。検索対象となる仕入項目は、手配入力画像領域310の売仕情報領域330において入力されたものに対応する。また、検索範囲は、複数の予約カードに跨る複数の仕入項目に亘る。画面IMI50には、その検索結果に基づき、消込候補となる仕入項目C51~C53(一部のみ例示)が表示される。仕入項目C51~C53のそれぞれは、対応する予約カードの番号、対応するサービス、対応する売上項目名、支払予定日、訂正(チェックボックス)、調整額、その内訳及び未払額の表示欄を含んでいる。このうち、調整額及びその内訳には、訂正のチェックボックスにチェックがない場合、
図7に示すように、消込候補となる各仕入項目における仕入の合計金額及びその内訳がそのまま表示される。訂正のチェックボックスにチェックがなされる場合については後述する。未払額は、データ管理部220によって算出された、調整額に対する未払額を示す。未払額の表示欄の右隣りには振分額の入力のためのコントロール画像C54~C56が配置されている。コントロール画像C54~C56には、デフォルトで未払額に対応する金額が入力されている。これらの内容は、入力デバイス120を用いて変更可能である。コントロール画像C54~C56の上方には、これらの入力内容が示す振分額の合計に対応する金額を表示する表示欄C57が配置されている。画面IMI50の上部に配置された「振分実行」のコントロール画像C54が入力デバイス120を用いて選択されると、コントロール画像C54~C56に入力された振分額に応じて、各仕入項目に対し、支払の振分が実行される。コントロール画像C54~C56に入力された振分額が各仕入項目の仕入の合計金額と一致している場合(
図7に示す場合)には、訂正のチェックボックスにチェックがない状態で振分がなされる。これに対し、振分額が通貨レートの変動等により仕入の合計金額と一致しない場合には、訂正のチェックボックスにチェックがなされると、会計処理システム1によって仕入内容が自動で調整される。その上で、調整後の仕入の合計金額に対し、支払の振分が実行される。例えば、ある仕入項目における元の仕入内容が、単価101円及び数量2(つまり、合計202円)であるときに、振分額が205円と入力されたとする。この場合に訂正のチェックボックスにチェックがなされると、仕入内容の調整として、単価が1円追加されて102円とされると共に、単価1円及び数量1の仕入項目が1項目追加される。これにより、(元の単価101円+追加された単価1円)*数量2+追加された仕入項目1円=205円となる。つまり、振分額と一致するように仕入内容が調整される。なお、上記のような仕入項目の追加は、単価の調整だけで仕入内容が振分額と一致しない場合に限り、実行される。そして、調整後の仕入内容(合計205円)に対し、振分額205円の振分が実施される。かかる支払及び仕入に対する振分の内容並びに仕入内容の調整分は、端末100からサーバ200に送信される。これに基づき、上記の通り、データ管理部220が、追加された仕入項目(上記の例によると、仕入項目として追加された1円)に対応する仕入データ412と単価の調整額(上記の例によると、単価として追加された1円)を示す仕入調整データ413とを生成し、入出金データ430(支払データ432)を生成すると共に、振分の内容を示す振分データ440を生成する。
【0064】
手入力で支払の情報を入力する場合、経理担当者は、画面IMI50とは別のGUI画像(不図示)を通じ、支払額や振分先となる仕入、振分額等を入力する。入力された支払及び振分の内容は端末100からサーバ200に送信される。これに基づき、上記の通り、データ管理部220が入出金データ430(支払データ432)を生成すると共に、振分の内容を示す振分データ440を生成する。
【0065】
図8に示す画面IMI40は、売上内容及び仕入内容の明細を表示するための画像の一例である。画面IMI40は、いずれか1つの手配入力画像領域310において入力された1つの売上項目に関する売上内容及び仕入内容と対応している。画面IMI40は、
図4のメニュー領域380において入力デバイス120を用いてコントロール画像C11(
図4参照)を選択した後、別のGUI画像(不図示)を通じて予約カード内の売上・仕入の項目リストから、1つの手配入力画像領域310(1つの単位予約)において入力された1つの売上項目に対応するいずれか1つの項目を選択することで表示される。
図8の例では、画面IMI40として海外鉄道乗車券の売上項目の内容が表示されている。画面IMI40には、表示欄として、売上項目の名称、ラベル、税区分、PAX情報、仕入先、売上額・仕入額に関する情報(単価、数量、合計額、税額等)、利益(売上と仕入の差額)、請求額に関する情報(通貨及び合計額)、支払額(同上)に関する情報等の欄が含まれている。請求額に関する情報の表示欄の右側には、「未請求」の表示欄C40、請求状況を示す表示欄C41、「未収/未払」の表示欄C42、「予定日」の表示欄及び入金状況を示す表示欄C43が配置されている。このうち、表示欄C41は、
図5の画面IMI20を通じて請求書が発行済みであるか否かを表示する。
図8には、一例として、請求書が発行済みであることを示す「請求済」が表示されている。表示欄C42は、データ管理部220によって算出された未収額を表示する。
図8には一例として未収額「0」が表示されている。表示欄C43は、売上の全額について入金の消込がなされたか否かを表示する。
図8には、売上の全額に対して消込済みであることを示す「入金済」が表示されている。支払額に関する情報の表示欄の右側には、「未収/未払」の表示欄C44、「予定日」の表示欄及び入金状況を示す表示欄C45が配置されている。このうち、表示欄C44は、データ管理部220によって算出された未払額を表示する。
図8には一例として未払額「2,000」が表示されている。表示欄C45は、仕入の全額について支払の消込がなされたか否かを表示する。
図8には、一例として、仕入に対して消込が全くなされていない(部分的にもなされていない)ことを示す「未払」が表示されている。なお、仕入に対してその一部の金額に対応する支払が振り分けられている場合は「一部支払」と表示される。
【0066】
また、画面IMI40は、予定状態と確定状態を選択的に取るコントロール画像C46を含んでいる。デフォルトでは、コントロール画像C46は予定状態(
図8に示す状態)を取る。この状態において上記の通りの売上内容及び仕入内容の明細が表示される。この状態で、入力デバイス120を用いてコントロール画像C46の「確定」が選択されると、コントロール画像C46が確定状態を取ると共に、表示された内容に対応する売上項目及び仕入項目の内容が確定する。なお、仕入調整データ413が示す仕入調整額の内容は、画面IMI40とは異なる別の画面を用いて確定の処理が実行される。
【0067】
図6の画面IMI30において、コントロール画像C38を選択すると、
図9に一例を示すように、返金・振替に関するGUI画像からなる画面IMI60がディスプレイ110に表示される。返金は、請求書の合計金額を超過する入金がなされた場合に顧客に対して超過分を返還する処理である。振替は、同様の入金の超過分を別の予約カードの請求書に対して振り分ける処理である。画面IMI60は、返金又は振替の依頼を進めるためのボタンのコントロール画像C61、返金又は振替の基本情報を表示する領域60a、返金又は振替の対象となる未振分の入金の内容を表示する領域60b、返金又は振替のための必要情報を入力する領域60c、返金又は振替の対象となる入金等と関連する入金の内容を表示する領域60d及び返金の依頼が承認された場合に依頼の内容を表示する領域60eを含んでいる。
【0068】
コントロール画像C61は入力デバイス120を通じて選択可能である。返金又は振替に係る情報が領域60a~60cに入力された後にコントロール画像C61が選択されると、その入力内容に基づいて返金又は振替の依頼が発生し、その承認待ちの状態となる。領域60aは、返金や振替の依頼を識別する依頼番号、返金等の合計額である依頼額、返金先や振替先に対応する売上先、担当者情報、返金又は振替の理由の入力欄等を含んでいる。また、領域60aはコントロール画像C62及びC63を含んでいる。コントロール画像C62は、返金又は振替の依頼が承認待ちとなった後に、業務統括責任者がその依頼内容を承認するための画像であり、「未承認」の状態及び「承認」の状態を選択的に取る。これらの状態は入力デバイス120を通じた画像の選択によって切り替わる。どちらの状態を取っているかは画像の外観の切り替えによって表示される。
図9には未承認の状態が示されている。コントロール画像C63は、業務統括責任者による依頼の承認後、経理担当者が処理を実行したかどうかを入力するための画像であり、「未処理」の状態及び「実行」の状態を選択的に取る。これらの状態は入力デバイス120を通じた画像の選択によって切り替わる。どちらの状態を取っているかは画像の外観の切り替えによって表示される。
図9には未処理の状態が示されている。
【0069】
領域60bは未振分の入金のリストを含んでいる。
図9の例では1つの項目のみが表示されているが、同じ予約カード内の全ての候補からなる1つ又は複数の項目がリスト中に表示される。リストの各項目は、入金日、入金額等の入金の内容を表示する欄と、入金額のうち、未振分の金額に対応する未振分額を表示する欄と、未振分額のうち、入力デバイス120を用いて返金又は振替の対象となる金額を入力する欄C64とを含んでいる。領域60cは、返金と振替のいずれかを選択するためのコントロール画像C65並びに必要情報の入力欄C66及びC67を含んでいる。コントロール画像C65は、「返金」のラジオボタン及び「振替」のラジオボタンを含んでおり、入力デバイス120を用いてこれらを択一的に選択可能である。「返金」のラジオボタンを選択すると、入力欄C66が入力可能な状態になる。入力欄C66には、返金先の振り込み情報(銀行名、口座番号、口座名義等)が入力デバイス120を用いて入力される。「振替」のラジオボタンを選択すると、入力欄C67が入力可能な状態になる。入力欄C67には、振替先の請求書情報(請求番号)が入力デバイス120を用いて入力される。
【0070】
領域60dには、同じ予約カード内の入金のうち、領域60bで選択された入金と入金元や、領域C66で入力された振込先が同じである入金や返金のリストが表示される。
【0071】
領域60eは、
図9に示すデフォルトの状態では内容が表示されていない。「返金」のラジオボタン及びコントロール画像C61の選択により返金の依頼がなされた後、コントロール画像C62の選択により依頼の承認がなされると、領域60b及び60cに入力された返金の内容が端末100からサーバ200に送信される。これに基づき、データ管理部220が、返金の内容を示すような入金データ431を生成する。そして、データ管理部220が、かかる返金の内容を示す入金を、超過が生じた入金に振り分け、その振分の内容を示す振分データ440を生成する(
図12参照)。この振分データ440は、超過が生じた入金に対して返金の内容を示す入金を振り分けるデータとなる。そして、領域60eには、
図10に一例を示すように、上記の通り生成された入金データ431に対応する返金の情報が表示される。この情報には入金状況、入金額等が含まれている。入金額は、返金額に対応するマイナス値を有する。
【0072】
「振替」のラジオボタン及びコントロール画像C61の選択により振替の依頼がなされた後、コントロール画像C62及びC63の選択により依頼の承認及び処理の実行が進められると、その旨が端末100からサーバ200に送信される。これに基づき、データ管理部220が、領域60cにおいて入力された振替先の請求書に対して入金の超過分を振り分け、その振分の内容を示す振分データ440を生成する。
【0073】
<仕訳処理>
以下、仕訳処理部230による仕訳処理について
図11~21を参照しつつ説明する。本実施形態に係る仕訳対象項目(
図11~
図13参照)には、売上額、売上税額、仕入額(総額)、仕入税額(総額)、仕入額(純額)、仕入調整額(純額)、仕入調整税額(純額)、仕入調整額(総額)、仕入調整税額(総額)、入金、支払、入金振分(分割・前半)、支払振分(分割・前半)、入金振分(入金同士)、入出金種別部門、入金振分(分割・後半)、支払振分(分割・後半)及び入金振分(逆仕訳)がある。これらの項目中、「総額」とは、対応する売上を売上高として計上することを意味する。また、「純額」とは、対応する利益(売上から仕入を引いた額)を売上高として計上することを意味する。総額計上か純額計上かは旅行の種類に応じて選択される。例えば、手配旅行の場合は純額計上が選択され、企画旅行の場合は総額計上が選択される。
【0074】
仕訳処理部230は、仕訳方法データ470が示す仕訳の内容に基づき、上記仕訳対象項目のそれぞれに対して仕訳処理を実行する。
図11~
図13の各表は、仕訳方法データ470が示す仕訳の内容を表している。各表には、各仕訳対象項目に関する仕訳伝票の日付、借方勘定科目及び貸方勘定科目並びに各勘定科目に係る担当部門(部署)が含まれている。これらの表のうち、伝票日に複数の日付があるものは、複数の日付のうち最も後の日付が伝票日として選択される。
【0075】
各表の「借方」「貸方」の右側の項目は具体的な勘定科目の求め方を示す。この項目は、「AAAA(BBBB)@CCCC」の形式を有しており、AAAA、BBBB及びCCCCの各要素は以下の内容を示している。AAAAは、勘定科目の区分を示し、「売上高」「仕入高」「前受金」「前払金」「売掛金」「買掛金(仮受税、仮払税)」のいずれかの値を有する。なお、表において、仕訳処理の対象となるデータに勘定科目が直接ある場合には「勘定科目」と表記している。BBBBは、仕訳処理の種別であり、「手配」「受託」「保険」「企画」「支払」「入金」のいずれかの値を有する。このうち、「手配」「受託」「保険」「企画」は、売上項目又は仕入項目(表中、[売仕]と表記)に関連する仕訳の種別であり、売上項目・仕入項目が手配旅行、受託旅行、保険、企画旅行のいずれに属するかに応じて設定される。入金と支払にはそれぞれ固定の専用の種別が設定されている。CCCCは、どこの金銭を操作するかを表し、売上項目、入出金種別及びそれ以外(相手方である個人又は法人)のいずれかの値を有する。表中、「売仕担当部門」は、例えば、予約業務の担当者が所属する部門であり、「入出金部門」は経理業務の担当者が所属する部門である。
【0076】
仕訳処理部230は、各仕訳対象項目と出納データ400が示す金額との以下の対応関係に基づいて、各仕訳対象項目における仕訳の金額を出納データ400から取得する。仕訳対象項目中、
図11に示す売上額は、総額計上の場合には売上データ411が示す各売上項目の金額に対応し、純額計上の場合には売上データ411が示す売上項目から、これと対応する仕入データ412が示す仕入項目を減算した額に対応する。売上税額は売上に係る税金の額を示し、売上額と売上データ411が示す税率に基づいて算出される。仕入額(総額)は、仕入データ412が示す各仕入項目の金額に対応する。仕入税額(総額)は、仕入に係る税金の額を示し、仕入額(総額)と仕入データ412が示す税率に基づいて算出される。仕入額(純額)は、仕入データ412が示す各仕入項目の金額に対応する。
【0077】
仕入調整額(純額)及び仕入調整額(総額)は、上記の通り、為替変動等の理由で支払が元の仕入に一致しない場合であって、支払と仕入をデータ上一致させるために
図7に示す画面IMI50を通じて実行される仕入の調整に伴う仕入項目の金額である。
【0078】
図12に示す入金は入金データ431が示す各入金の額に対応する。支払は支払データ432が示す各支払の額に対応する。
図12に示す入金振分(分割・前半)及び
図13に示す入金振分(分割・後半)は、振分データ440が示す売上に対する入金の振分に対応する。本実施形態では、1つの振分に対して入金振分(分割・前半)及び入金振分(分割・後半)の2回に分けて仕訳処理が実行される。これらの仕訳において、入金振分(分割・前半)の貸方と入金振分(分割・後半)の借方の勘定科目(本発明における第1勘定科目に対応)が互いに一致している。これにより、これらの2回の仕訳が入金と売上項目を結び付ける役割を果たしている。
図12に示す支払振分(分割・前半)及び
図13に示す支払振分(分割・後半)は、振分データ440が示す仕入に対する支払の振分に対応する。本実施形態では、1つの振分に対して支払振分(分割・前半)及び支払振分(分割・後半)の2回に分けて仕訳処理が実行される。これらの仕訳において、支払振分(分割・前半)の貸方と支払振分(分割・後半)の借方の勘定科目(本発明における第2勘定科目に対応)が互いに一致している。これにより、これらの2回の仕訳が支払と仕入項目を結び付ける役割を果たしている。
図12に示す入金振分(入金同士)は、上記の通り、振分データ440が示す振分であって、超過が生じた入金に対する返金の内容を示す入金の振分に対応する。種別部門は入出金の種別(入出金の態様や口座等)を示す。
【0079】
図13に示す入金振分(逆仕訳)は、仕訳処理後の振分に対する請求額の変更等に伴う仕訳に関する。この仕訳は、一旦仕訳処理がなされた振分の仕訳を取り消すような内容を有している。具体的には、入金振分(逆仕訳)の借方勘定科目が取り消しの対象となる振分の仕訳の貸方勘定科目(図中、「元の貸方勘定」)となり、入金振分(逆仕訳)の貸方勘定科目が取り消しの対象となる振分の仕訳の借方勘定科目(図中、「元の借方勘定」)となる。
【0080】
仕訳処理部230は、仕訳処理に当たり、
図14~
図21のフローチャートに沿った処理を実行する。なお、以下において「XXX」の仕訳の実行は、
図11~
図13に示す仕訳の内容のうち、仕訳対象項目が「XXX」であるものが実行されることに対応するものとする。
【0081】
図14のフローチャートは、売上及び仕入関連の仕訳処理のメインルーチンに対応する。このルーチンは、旅行会社の会計処理方針に応じた一定の締め期間ごと、例えば月末締めの場合には、月初から月末までの1か月の締め期間ごとに実行される。まず、仕訳処理部230は、ステップS1及びS2として、締め期間に属する各日付を仕訳日とする売上・仕入仕訳サブルーチン及び仕入調整仕訳サブルーチンを順に実行する。売上・仕入仕訳サブルーチン及び仕入調整仕訳サブルーチンでは、後述の通り、売上額、仕入額、仕入調整額等の仕訳対象項目に対する仕訳が実行される。仕訳日は、前回の締め期間末日の翌日から開始され、これらのサブルーチンが1回実行されるたびに1日ずつ進められる。次に、仕訳処理部230は、S1及びS2において実行された仕訳の結果を示すデータを記憶部210の仕訳結果データ470に追加する(S3)。次に、仕訳処理部230は、今回の締め期間の末日まで仕訳を実行したかを判定する(S4)。末日まで実行していないと判定すると(S4、No)、仕訳処理部230は、次の日の仕訳に関するステップS1からの処理を実行する。末日まで実行したと判定すると(S4、Yes)、仕訳処理部230は
図14のフローチャートに係る一連の処理を終了する。これにより、締め期間の末日までの売上及び仕入関連の仕訳処理がすべて実行される。
【0082】
なお、ステップS1及びS2のサブルーチンの実行がエラーにより途中で終了した場合には、仕訳処理部230はロールバック処理を実行する(S5)。ロールバック処理は、そのときに仕訳を実行中であった日付の仕訳処理分に対してのみ実行される。つまり、ロールバック処理により、当該締め期間に関する仕訳処理が、エラーが発生したときにサブルーチンにおいて仕訳の対象とされた日付の前日までの仕訳が完了した直後の状態にまで戻される。そして、仕訳処理部230は
図14のフローチャートに係る一連の処理を終了する。
【0083】
仕訳処理部230は、売上・仕入仕訳サブルーチンとして、
図15のフローチャートに対応する処理を実行する。まず、仕訳処理部230は、売上データ411及び仕入データ412に基づき、締め対象となる売上項目及び仕入項目のリストを取得する(S11)。締め対象となるのは、売上日又は仕入日が仕訳日と一致する売上項目及び仕入項目である。次に、仕訳処理部230は、リスト中の1つの売上項目及びこれと対応する1つの仕入項目からなる項目ペアの1つについてステップS12~S17の処理を実行する。ステップS12として、仕訳処理部230は、上記項目ペアの売上項目及び仕入項目がいずれも確定済みであるか否かを判定する。未確定であると判定した場合(S12、未確定)、仕訳処理部230は、エラーが発生したものとしてサブルーチンの実行を終了し、メインルーチンである
図14のフローチャートによる処理に戻る。その後のエラー処理は上記の通りである。確定済みであると判定した場合(S12、確定済)、仕訳処理部230は、上記項目ペアの売上項目に対し、「売上額」及び「売上税額」の仕訳を実行する(S13及びS14)。かかる仕訳の内容は
図11に示す通りである。
【0084】
次に、仕訳処理部230は、上記項目ペアに含まれる仕入項目の仕訳方法が総額計上であるか純額計上であるかを判定する(S15)。かかる判定は、予約データ420に基づき、その仕入項目と対応した旅行の種類に応じて行われる。例えば、旅行の種類が手配旅行である場合には純額計上と判定され、旅行の種類が企画旅行である場合には総額計上と判定される。次に、上記項目ペアの仕入項目について、ステップS15の判定に応じて「仕入額(総額)」及び「仕入税額(総額)」の仕訳か、「仕入額(純額)」の仕訳が実行される(S15、総額→S17及びS18/S15、純額→S20及びS21)。次に、仕訳処理部230は、ステップS11で取得された項目のうち、ステップS13、S14、S16、S17及びS20におけるいずれの仕訳も実行されていないもの(未仕訳の項目)があるか否かを判定する(S17)。未仕訳の項目があると判定した場合(S18、Yes)、仕訳処理部230は、未仕訳の項目のうちのいずれか1つに関してステップS12からの処理を実行する。
【0085】
未仕訳の項目がないと判定した場合(S18、No)、仕訳処理部230は、後述の追加仕訳サブルーチンを実行する(S19)。仕訳処理部230は、追加仕訳サブルーチンを実行するに当たり、“追加仕訳実行リスト”を作成する。“追加仕訳実行リスト”は、追加仕訳の実行が必要な振分のリストである。かかる振分は、後述の振分仕訳サブルーチンのステップS69において作成された“要追加仕訳リスト”中の振分のうち、その振分先である売上項目又は仕入項目について、今回の売上・仕入仕訳サブルーチンの実行においてステップS13、S16又はS20の仕訳がなされたものに該当する。そして、仕訳処理部230は、“追加仕訳実行リスト”に含まれる振分に基づいて追加仕訳サブルーチンを実行する。次に、仕訳処理部230は、売上・仕入仕訳サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンである
図14のフローチャートによる処理に戻る。
【0086】
仕訳処理部230は、仕入調整仕訳サブルーチンとして、
図16のフローチャートに対応する処理を実行する。まず、仕訳処理部230は、仕入調整データ413に基づき、締め対象となる仕入調整のリストを取得する(S31)。締め対象となるのは、仕訳日と一致する仕入日の仕入項目と対応する仕入調整である。次に、仕訳処理部230は、リスト中の1つの仕入調整(以下、「当該仕入調整」という。)についてステップS32~S38の処理を実行する。ステップS32として、仕訳処理部230は、仕入調整が確定済みであるか否かを判定する。未確定であると判定した場合(S32、未確定)、仕訳処理部230は、エラーが発生したものとしてサブルーチンの実行を終了し、メインルーチンである
図14のフローチャートによる処理に戻る。その後のエラー処理は上記の通りである。
【0087】
確定済みであると判定した場合(S32、確定済)、仕訳処理部230は、当該仕入調整の仕訳方法が総額計上であるか純額計上であるかを判定する(S33)。かかる判定は、予約データ420に基づき、その仕入調整と対応した仕入項目における旅行の種類に応じて行われる。例えば、旅行の種類が手配旅行である場合には純額計上と判定され、旅行の種類が企画旅行である場合には総額計上と判定される。次に、ステップS33の判定に応じて「仕入調整額(総額)」及び「仕入調整税額(総額)」の仕訳か、「仕入調整額(純額)」及び「仕入調整税額(純額)」の仕訳が実行される(S33、総額→S34及びS35/S33、純額→S37及びS38)。かかる仕訳の内容は
図11に示す通りである。次に、仕訳処理部230は、ステップS31で取得された仕入調整のうち、ステップS34、S35、S37及びS38におけるいずれの仕訳も実行されていないもの(未仕訳の仕入調整)があるか否かを判定する(S36)。未仕訳の仕入調整があると判定した場合(S36、Yes)、仕訳処理部230は、未仕訳の仕入調整のうちのいずれか1つに関してステップS32からの処理を実行する。未仕訳の項目がないと判定した場合(S36、No)、仕訳処理部230は、仕入調整仕訳サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンである
図14のフローチャートによる処理に戻る。
【0088】
図17のフローチャートは、入出金及び振分関連の仕訳処理のメインルーチンに対応する。このルーチンは、旅行会社の会計処理方針に応じた一定の締め期間ごと、例えば月末締めの場合には1か月の締め期間ごとに実行される。まず、仕訳処理部230は、ステップS41~43として、締め期間に属する各日付を仕訳日とする入出金仕訳サブルーチン、振分仕訳サブルーチン及び振分逆仕訳サブルーチンを順に実行する。これらのサブルーチンは、後述の通り、入金、支払、入金振分、支払振分等の仕訳対象項目に対する仕訳が実行される。仕訳日は、前回の締め期間末日の翌日から開始され、これらのサブルーチンが1回実行されるたびに1日ずつ進められる。次に、仕訳処理部230は、S41~S43において実行された仕訳の結果を示すデータを記憶部210の仕訳結果データ470に追加する(S44)。次に、仕訳処理部230は、今回の締め期間の末日まで仕訳を実行したかを判定する(S45)。末日まで実行していないと判定すると(S45、No)、仕訳処理部230は、次の日の仕訳に関するステップS41からの処理を実行する。末日まで実行したと判定すると(S45、Yes)、仕訳処理部230は
図17のフローチャートに係る一連の処理を終了する。これにより、締め期間の末日までの入出金及び振分関連の仕訳処理がすべて実行される。
【0089】
仕訳処理部230は、入出金仕訳サブルーチンとして、
図18のフローチャートに対応する処理を実行する。まず、仕訳処理部230は、入金データ431及び支払データ432に基づき、締め対象となる入金及び支払のリストを取得する(S51)。締め対象となるのは、入金日又は支払日が仕訳日と一致する入金及び支払である。次に、仕訳処理部230は、リスト中の1つの入出金(入出金仕訳サブルーチンに係る以下の説明において「当該入出金」という。)についてステップS52~S55の処理を実行する。ステップS52において、仕訳処理部230は、当該入出金が入金であるか支払であるかを判定する。次に、ステップS52の判定に応じて「入金」仕訳か「支払」仕訳が実行される(S52、入金→S53/S52、支払→S55)。かかる仕訳の内容は
図12に示す通りである。次に、仕訳処理部230は、ステップS51で取得された入出金のうち、ステップS53及びS55におけるいずれの仕訳も実行されていないもの(未仕訳の入出金)があるか否かを判定する(S54)。未仕訳の入出金があると判定した場合(S54、Yes)、仕訳処理部230は、未仕訳の入出金のうちのいずれか1つに関してステップS52からの処理を実行する。未仕訳の項目がないと判定した場合(S54、No)、仕訳処理部230は、入出金仕訳サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンである
図17のフローチャートによる処理に戻る。
【0090】
仕訳処理部230は、振分仕訳サブルーチンとして、
図19のフローチャートに対応する処理を実行する。まず、仕訳処理部230は、入出金データ430及び振分データ440に基づき、締め対象となる振分のリストを取得する(S61)。締め対象となるのは、振分日が仕訳日と一致し、振分元が締め済の入出金であり且つ振分先が売上項目若しくは仕入項目又は締め済み(仕訳済み)の入金である振分である。次に、仕訳処理部230は、リスト中の1つの振分(以下、「当該振分」という。)についてステップS62~S67の処理を実行する。ステップS62において、仕訳処理部230は、当該振分の振分先が売上又は仕入であるか締め済の入金であるかを判定する(S62)。締め済の入金であると判定した場合(S62、締め済の入金)には、仕訳処理部230は、「入金振分(入金同士)」仕訳を実行し(ステップS71)、後述のステップS67の処理を実行する。
【0091】
振分先が売上項目又は仕入項目であると判定した場合(S62、売上項目/仕入項目)、仕訳処理部230は、「種別部門」仕訳を実行する(S63)。かかる仕訳の内容は
図12に示す通りである。次に、仕訳処理部230は、当該振分の振分先の項目が締め済み(仕訳済み)であるか否かを判定する(S64)。締め済みであると判定した場合(S64、Yes)、ステップS65の処理を実行する。ステップS64において振分先の項目が締め済でないと判定した場合(S64、No)、当該振分を“要追加仕訳リスト”に追加する(S69)。“要追加仕訳リスト”は、リストに追加された時点では振分先について仕訳が実行されておらず、振分先について仕訳が実行された後に追加的な仕訳(本実施形態において「追加仕訳」という。)が必要である振分のリストである。次に、仕訳処理部230は、当該振分の振分元が入金であるか支払であるかを判定する(S65)。振分元が入金であると判定した場合(S65、入金)、仕訳処理部230は、「入金振分(分割・前半)」の仕訳(本発明における第1の仕訳処理に対応)を実行する(S66)。一方、振分元が支払であると判定した場合(S65、支払)、仕訳処理部230は、「支払振分(分割・前半)」の仕訳(本発明における第3の仕訳処理に対応)を実行する(S70)。かかる仕訳の内容は
図12に示す通りである。これらの仕訳は、当該振分の振分先である売上項目又は仕入項目の基準日が振分元である入金又は支払の基準日より後であるか否かに関わらず実行されることになる。そして、仕訳処理部230は、ステップS67の処理を実行する。
【0092】
ステップS67において、仕訳処理部230は、ステップS61で取得された振分のうち、ステップS66、S70及びS71におけるいずれの仕訳も実行されていないもの(未仕訳の振分)があるか否かを判定する。未仕訳の振分があると判定した場合(S67、Yes)、仕訳処理部230は、未仕訳の振分のうちのいずれか1つに関してステップS62からの処理を実行する。未仕訳の項目がないと判定した場合(S67、No)、後述の追加仕訳サブルーチンを実行する(S68)。仕訳処理部230は、追加仕訳サブルーチンを実行するに当たり、“追加仕訳実行リスト”を作成する。“追加仕訳実行リスト”は、追加仕訳の実行が必要な振分のリストである。かかる振分は、今回の振分仕訳サブルーチンの実行においてステップS66又はS70の仕訳がなされた振分のうち、ステップS64において振分先の項目が締め済であると判定されたものに該当する。そして、仕訳処理部230は、“追加仕訳実行リスト”に含まれる振分に基づいて追加仕訳サブルーチンを実行する。次に、仕訳処理部230は、振分仕訳サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンである
図17のフローチャートによる処理に戻る。
【0093】
仕訳処理部230は、振分逆仕訳サブルーチンとして、
図20のフローチャートに対応する処理を実行する。まず、仕訳処理部230は、振分データ440に基づき、締め対象となる振分のリストを取得する(S81)。締め対象となるのは、振分の基準日が仕訳日と一致する振分であって、VOID処理がなされたものである。次に、仕訳処理部230は、リスト中の1つの振分について「入金振分(逆仕訳)」の仕訳を実行する。かかる仕訳の内容は
図13に示す通りである。次に、仕訳処理部230は、ステップS81で取得された振分のうち、ステップS82におけるいずれの仕訳も実行されていないもの(未仕訳の振分)があるか否かを判定する(S83)。未仕訳の振分があると判定した場合(S83、Yes)、仕訳処理部230は、未仕訳の振分のうちのいずれか1つに関してステップS82の処理を実行する。未仕訳の項目がないと判定した場合(S83、No)、仕訳処理部230は、振分逆仕訳サブルーチンの実行を終了し、メインルーチンである
図17のフローチャートによる処理に戻る。
【0094】
仕訳処理部230は、追加仕訳サブルーチンとして、
図21のフローチャートに対応する処理を実行する。まず、仕訳処理部230は、追加仕訳サブルーチンの呼び出し元のサブルーチン(売上・仕入仕訳サブルーチン又は振分仕訳サブルーチン)において作成された“追加仕訳実行リスト”に基づき、締め対象となる入出金のリストを取得する(S91)。締め対象となるのは、“追加仕訳実行リスト”に含まれる振分の振分元に対応する入金及び支払である。次に、仕訳処理部230は、リスト中の1つの入出金(追加仕訳サブルーチンに係る以下の説明において「当該入出金」という。)についてステップS92~S95の処理を実行する。ステップS92において、仕訳処理部230は、当該入出金が入金であるか支払であるかを判定する。次に、ステップS92の判定に応じて「入金振分(分割・後半)」の仕訳(本発明における第2の仕訳処理に対応)か「支払振分(分割・後半)」の仕訳(本発明における第4の仕訳処理に対応)が実行される(S92、入金→S93/S92、支払→S95)。かかる仕訳の内容は
図13に示す通りである。次に、仕訳処理部230は、ステップS91で取得された入出金のうち、ステップS93及びS95におけるいずれの仕訳も実行されていないもの(未仕訳の入出金)があるか否かを判定する(S94)。未仕訳の入出金があると判定した場合(S94、Yes)、仕訳処理部230は、未仕訳の入出金のうちのいずれか1つに関してステップS92からの処理を実行する。未仕訳の項目がないと判定した場合(S94、No)、仕訳処理部230は、追加仕訳サブルーチンの実行を終了し、呼び出し元のサブルーチンによる処理に戻る。
【0095】
図22の表は、
図3(a)の内容を示す出納データ400に基づいて仕訳処理部230が生成した仕訳結果データ470の内容を示している。仕訳伝票の内容は伝票日の順に並べられている。
図22の表において、「7/1」等の日付は伝票日を示す。「入金」「売上額」は仕訳対象項目(
図11及び
図12参照)を示す。「入金振分(前)」「入金振分(あと)」は、仕訳対象項目である入金振分(分割・前半)及び入金振分(分割・後半)をそれぞれ示す。「売上高」「売掛金」「前受金」「入出金」は、勘定科目の内容を示している。「予約」「経理」は各勘定科目に係る担当部門を示している。「借」及び「貸」は、借方勘定科目及び貸方勘定科目であることをそれぞれ示す。「1」「2」「3」「6」は金額の大きさを示す。具体的には、「1」は1,000円を、「2」は2,000円を、「3」は3,000円を、「6」は6,000円をそれぞれ示す。サーバ200は、これらの仕訳伝票の内容を、例えば月末締めで出力する。
図22に示すように、7月末締めの場合、伝票日が7/1~7/31の範囲にある仕訳伝票の内容がまとめて出力される。8月末締めの場合、同様に、伝票日が8/1~8/31の範囲にある仕訳伝票の内容がまとめて出力される。9月末締め、10月末締め、11月末締め及び12月末締めも同様である。出力は、ディスプレイ110への表示や印刷装置140による用紙への印刷、記録媒体への記録等、様々な態様でなされてよい。
【0096】
<仕訳評価処理>
以下、サーバ200が実行する仕訳評価処理について説明する。仕訳評価処理は、上述の通り、出納データ400が示す売上、入金等の会計情報と、仕訳処理部230によって生成され、記憶部210に格納された仕訳結果データ470が示す仕訳結果とが整合しているか否かの正否を評価する処理である。仕訳評価処理は、適宜のタイミングでサーバ200が自動で実行してもよいし、ユーザが指定したタイミングでサーバ200が実行してもよい。出納データ400における仕訳評価処理の対象は、出納データ400に含まれるデータのうち、仕訳処理済みのもの全てである。仕訳結果データ470における仕訳評価処理の対象は、出納データ400における仕訳評価処理の対象と対応するものである。整合の評価は、仕訳結果データ470が示す、売上項目、仕入項目、仕入調整額、入金、支払及び振分の各項目と仕訳伝票との関連付けに基づいて行われる。
【0097】
仕訳評価処理は、以下の[1]~[6]の評価を対象に対して行う。これらの評価の1つでも「否」の結果となった場合に、サーバ200は、「否」の結果となった項目に関する日付、金額等の情報、対応する仕訳伝票、[1]~[6]のいずれについての評価であるか等をシステムの管理者や開発元等に報告する。報告は、ディスプレイ110への表示や印刷装置140による用紙への印刷、記録媒体への記録等、様々な態様で出力されてよい。
【0098】
[1]各項目と仕訳伝票の関係性の評価
出納データ400が示す会計情報の各項目から借方及び貸方の1組からなる1つの仕訳が生成されているか否かを評価する。本実施形態の仕様によると、各項目から1つの仕訳が生成されることになる。例えば、売上データ411が示す1つの売上項目からは、貸方「売上高」及び借方「売掛金」からなる1つの仕訳が生成される。これに基づき、出納データ400が示す売上項目、仕入項目、仕入調整額、入金、支払及び振分の各項目について、その項目から1つの仕訳が生成されているか否かを判定する。生成されていると判定した場合に評価結果は正であり、生成されていないと判定した場合に評価結果は否である。なお、VOID処理がなされた振分については、
図20に示す振分逆仕訳サブルーチンにより「入金振分(逆仕訳)」の仕訳が追加で発生する。このため、振分自体の仕訳と追加で発生した仕訳との2つの仕訳が生じる。よって、VOID処理がなされた振分については、1つの項目から上記2つの仕訳が生成されているか否かが判定され、その判定結果に基づいて評価がなされる。
【0099】
[2]売上における未収額と仕訳における売掛金の一致性の評価
未収額が0円である1つの売上項目及びこれと対応する振分(本発明における第1組に対応)から生成された仕訳について、勘定科目ごとに、貸方の金額を合計した値から借方の金額を合計した値を減算することで得られる合算結果において、合算後の売掛金が当該1つの売上項目に関する未収額0円と一致するか否かを判定する。一致すると判定した場合に評価結果は正であり、一致しないと判定した場合に評価結果は否である。
【0100】
例えば、出納データ400が、
図23(a)に示す売上及びこれに対する2回の入金500円の振分並びにこれによる未収額0円を示しており、これに対応する仕訳結果データ470が示す仕訳伝票が
図23(b)の仕訳1~仕訳3の内容を有するものであったとする。このとき、勘定科目「売上高」は、貸方の合計が1,000円(=仕訳1の1,000円)であり、借方の合計が0円である。勘定科目「売掛金」は、貸方の合計が1,000円(=仕訳2の500円+仕訳3の500円)である一方で借方の合計が1,000円(=仕訳1の1,000円)であるため、貸方の合計から借方の合計を減算すると0円となる。勘定科目「前受金(予約)」は、貸方の合計が0円であり、借方の合計が1,000円(=仕訳2の500円+仕訳3の500円)である。このため、これら合算の結果には、
図23(c)に示すように、貸方として売上高1,000円が、借方として前受金(予約)1,000円が残る。また、勘定科目「売掛金」は合算の結果、貸方及び借方のいずれにも残らない。この合算結果は、出納データ400が示す未収額0円と一致している。このため、評価結果は正となる。
【0101】
[3]仕入における未払額と仕訳における買掛金の一致性の評価
未払額が0円である1つの仕入項目及びこれと対応する振分(本発明における第2組に対応)から生成された仕訳について、勘定科目ごとに、貸方を合計した値から借方の金額を合計した値を減算することで得られる合算結果において、合算後の買掛金が当該1つの仕入項目に関する未払額0円と一致するか否かを判定する。一致したと判定した場合に評価結果は正であり、一致しないと判定した場合に評価結果は否である。この評価は、[2]の評価において売上項目を仕入項目に、未収額を未払額に、売掛金を買掛金にそれぞれ変更したものと対応する。
【0102】
[4]入金における未振分額と仕訳における前受金の一致性の評価
未振分額が0円である1つの入金及びこれと対応する振分(本発明における第3組に対応)から生成された仕訳について、勘定科目ごとに、貸方を合計した値から借方の金額を合計した値を減算することで得られる合算結果において、合算した前受金(経理)が当該1つの入金に関する未振分額0円と一致するか否かを判定する。一致したと判定した場合に評価結果は正であり、一致しないと判定した場合に評価結果は否である。
【0103】
例えば、出納データ400が、
図24(a)に示す入金及びこれに対する2回の振分500円、つまり、未振分額0円を示しており、これに対応する仕訳結果データ470が示す仕訳伝票が
図24(b)の仕訳1~仕訳3の内容を有するものであったとする。このとき、勘定科目「前受金(経理)」は、貸方の合計が1,000円(=仕訳1の1,000円)である一方で借方の合計1,000円(=仕訳2の500円+仕訳3の500円)であるため、貸方の合計から借方の合計を減算すると0円となる。勘定科目「種別」は、貸方の合計が0円であり、借方の合計が1,000円(=仕訳1の1,000円)である。勘定科目「前受金(予約)」は、貸方の合計が1,000円(=仕訳2の500円+仕訳3の500円)である一方で借方の合計が0円である。このため、これら合算の結果には、
図24(c)に示すように、貸方として前受金(予約)1,000円が、借方として種別1,000円が残る。また、勘定科目「前受金(経理)」は合算の結果、貸方及び借方のいずれにも残らない。この合算結果は、出納データ400が示す未振分額0円と一致している。このため、評価結果は正となる。
【0104】
[5]支払における未振分額と仕訳における前払金の一致性の評価
1つの支払及びこれと対応する振分(本発明における第4組に対応)から生成された仕訳について、勘定科目ごとに、貸方を合計した値から借方の金額を合計した値を減算することで得られる合算結果において、合算した前払金(経理)が当該1つの支払に関する未振分額と一致するか否かを判定する。一致したと判定した場合に評価結果は正であり、一致しないと判定した場合に評価結果は否である。この評価は、[4]の評価において入金を支払に、前受金を前払金にそれぞれ変更したものと対応する。
【0105】
[6]前受金(予約)及び前払金(予約)の相殺の評価
前受金(予約)に係る評価は、入金振分(分割・前半)及び入金振分(分割・後半)の両方について仕訳済みの振分についてなされる。かかる振分から生成された仕訳において、勘定科目「前受金(売仕)」について、貸方を合計した値から借方を合計した値を減算した結果が0円となるのが正しい。つまり、0円となった場合に評価結果は正であり、0円でない場合に評価結果は否である。
【0106】
前払金(予約)に係る評価は、支払振分(分割・前半)及び支払振分(分割・後半)の両方について仕訳済みの振分についてなされる。かかる振分から生成された仕訳において、勘定科目「前払金(売仕)」について、貸方を合計した値から借方を合計した値を減算した結果が0円となるのが正しい。つまり、0円となった場合に評価結果は正であり、0円でない場合に評価結果は否である。
【0107】
<実施形態の効果>
以上説明した本実施形態における出納データ400によると、売上データ411が、単位予約又はそれより詳細な単位ごとの売上項目の内容を示している。仕入データ412が、単位予約又はそれより詳細な単位ごとの仕入項目の内容を示している。入金データ431が入金を、支払データ432が支払の内容をそれぞれ示す。振分データ440が、売上データ411の売上項目又は仕入データ412の仕入項目に対する入金又は支払の振分を示す。そして、振分データ440が示す入金の振分及び支払の振分において、その基準日が振分先である売上項目又は仕入項目の基準日より過去に設定され得る。つまり、売上項目や仕入項目の基準日に対する入金や支払のタイミングに関わらず、売上項目や仕入項目の基準日より過去の基準日を設定しつつ、入金又は支払を売上項目又は仕入項目に振り分けることが可能である(
図3(a)の9/1、9/5及び9/15付の売上に対応する7/1及び8/15付の入金の振分参照)。このため、売上項目や仕入項目の基準日に先行したタイミングで、売上項目又は仕入項目に対する入金又は支払の対応付け及び評価(例えば、未収額や未払額の把握)が可能になる。また、入金又は仕入の振分が売上項目又は仕入項目に対して行われるため、詳細な対応付け及び評価が可能になる。
【0108】
また、本実施形態における会計処理システム1によると、売上項目又は仕入項目に先行して入金又は仕入があった場合に、売上項目又は仕入項目の基準日より前のタイミングであっても、その入金又は仕入に係る振分について仕訳処理を実行可能である(
図3(a)の売上、振分及び入金に関する
図22の仕訳内容参照)。したがって、入金及び支払並びにその振分に関する締め処理が早期に可能となる。
【0109】
また、本実施形態に係る入金の仕訳処理において、その振分の振分先の売上項目が仕訳されているか否かに関わらず「入金振分(分割・前半)」の仕訳が一旦なされる(
図19のS66)。そして、売上項目の仕訳処理が実行済みである場合(
図15のS19又は
図19のS68における“追加仕訳実行リスト”に含まれる場合)に「入金振分(分割・後半)」の仕訳(
図21のS93)を行い、これによって入金と売上を結びつける仕訳伝票を生成する。また、支払の仕訳処理において、その振分の振分先の仕入項目が仕訳されているか否かに関わらず「支払振分(分割・前半)」の仕訳が一旦なされる(
図19のS70)。そして、仕入項目の仕訳処理が実行済みである場合(
図15のS19又は
図19のS68における“追加仕訳実行リスト”に含まれる場合)に「支払振分(分割・後半)」の仕訳を行い、これによって支払と仕入を結びつける仕訳伝票を出力する。したがって、振分先が仕訳済みか否かに関わらず仕訳を実行可能であるため、入金及び支払並びにその振分に関する締め処理が早期に可能となる。
【0110】
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。以下、上述の実施形態に係る変形例について説明する。
【0111】
例えば、上述の実施形態では、
図4の画面IMI30を通じ、顧客に対してプラス値の金額の請求書が発行されている。しかし、顧客に対してマイナス値の金額の請求書が発行されてもよい。かかる請求書は、割引を適用する場合等の様々な目的で発行される。この場合、かかる請求書に応じた返金が発生することが考えられる。このため、返金・振替に関するGUI画像からなる
図9の画面IMI60において、返金等の処理の候補となるリストの要素として、未振分の入金に加えて、又は代えて、発行済みのマイナス値の請求書に係る項目が領域60bに表示されてもよい。
【0112】
また、上述の実施形態では、予約業務の担当者が窓口で入金を受け付け、画面IMI30を通じて入金の内容を入力している。しかし、その他の態様の入金を受け付けることができるように会計処理システム1が構成されていてもよい。例えば、振込によって多数の入金がなされ、その入金のリストを示すデータファイルを顧客から受け取る場合、かかるデータファイルを取り込み、自動で売上項目に振り分けるように会計処理システム1が構成されていてもよい。この場合、データファイルが示す入金に係る情報に基づいて、いずれの入金がいずれの売上項目に対応するかを会計処理システム1が取得するように構成されていることが好ましい。例えば、請求書データ450が振込口座(バーチャル口座等)を示す口座データを含んでおり、データファイルにもかかる口座データが入金ごとに含まれていてもよい。これにより、口座データをキーとして請求書データ450が示す請求書を検索することで各入金と対応する請求書を特定することができる。
【0113】
また、上述の実施形態においては、本発明に係る会計処理システムが1つ以上の端末100及びサーバ200を含む複数のコンピュータを用いて実現されている。しかし、1つのコンピュータで実現されてもよい。また、1つ以上の端末100及びサーバ200がインターネットを通じて互いに接続されている。しかし、LAN(Local Area Network)等、インターネット以外の通信ネットワークを通じて互いに接続されてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態においては、汎用のアプリケーションであるブラウザ130を用いたいわゆるブラウザベースで端末100の機能が実現されている。しかし、ブラウザベースでなく、本システム専用のアプリケーションを用いて実現されてもよい。
【符号の説明】
【0115】
1 会計処理システム
100 端末
110 ディスプレイ
120 入力デバイス
130 ブラウザ
140 印刷装置
200 サーバ
210 記憶部
220 データ管理部
230 仕訳処理部
240 仕訳評価部
400 出納データ
410 売仕データ
411 売上データ
412 仕入データ
413 仕入調整データ
420 予約データ
430 入出金データ
431 入金データ
432 支払データ
440 振分データ
450 請求書データ
460 仕訳方法データ
470 仕訳結果データ