(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015425
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】整流子、電動機及び整流子の製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 13/00 20060101AFI20230125BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20230125BHJP
H01R 39/04 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H02K13/00 H
H02K13/00 E
H02K15/02 P
H01R39/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020007003
(22)【出願日】2020-01-20
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】従野 知子
(72)【発明者】
【氏名】中野 圭策
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 和雄
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 勇輝
(72)【発明者】
【氏名】藤田 克敏
【テーマコード(参考)】
5H613
5H615
【Fターム(参考)】
5H613AA01
5H613AA02
5H613BB04
5H613BB08
5H613GA03
5H613KK03
5H613PP05
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB14
5H615PP26
5H615SS08
5H615SS44
(57)【要約】
【課題】別の不具合が発生することを抑制しつつ、整流子の回転時に整流子片が浮くことを抑制することができる整流子等を提供する。
【解決手段】整流子14は、樹脂成形体20と、樹脂成形体20に固定された複数の整流子片30とを備え、複数の整流子片30の各々は、樹脂成形体20の外周面に接する接触面と、樹脂成形体20から露出し、複数の整流子片30のうち隣接する整流子片に対向する対向面とを有し、前記接触面における表面の微小凹部の最大深さは、前記対向面における表面の微小凹部の最大深さよりも大きい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形体と、
前記樹脂成形体に固定された複数の整流子片とを備え、
前記複数の整流子片の各々は、
前記樹脂成形体の外周面に接する接触面と、
前記樹脂成形体から露出し、前記複数の整流子片のうち隣接する整流子片に対向する対向面とを有し、
前記接触面における表面の微小凹部の最大深さは、前記対向面における表面の微小凹部の最大深さよりも大きい、
整流子。
【請求項2】
前記樹脂成形体は、電動機の回転軸が挿入される貫通孔を有し、
前記整流子片は、前記電動機のブラシに接する前面を有し、
前記接触面における表面の微小凹部の最大深さは、前記前面における表面の微小凹部の最大深さよりも大きい、
請求項1に記載の整流子。
【請求項3】
前記複数の整流子片のうち隣り合う2つの整流子片の間の間隔における外周側の周方向に沿った長さは、当該間隔における内周側の周方向に沿った長さよりも大きい、
請求項1又は2に記載の整流子。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の整流子と、
前記整流子が取り付けられた回転軸を有する回転子と、
前記回転子に作用する磁力を発生させる固定子とを備える、
電動機。
【請求項5】
電動機の回転軸が挿入される貫通孔を有する樹脂成形体と前記回転軸を中心として環状に配置された複数の整流子片とを備える整流子の製造方法であって、
前記複数の整流子片を筒状のバスケットに円環状に配置する工程と、
前記複数の整流子片の各々の表面の少なくとも一部を粗面化する工程と、
前記複数の整流子片が配置された前記バスケットの内周部に液状の樹脂を注入して硬化することで、前記複数の整流子片が固定された前記樹脂成形体を形成する工程とを含む、
整流子の製造方法。
【請求項6】
前記複数の整流子片を前記バスケットに配置する工程を行った後に、前記複数の整流子片の各々の表面の少なくとも一部を粗面化する工程を行う、
請求項5に記載の整流子の製造方法。
【請求項7】
前記複数の整流子片の各々は、前記樹脂成形体の外周面に接する接触面と、前記樹脂成形体から露出し、前記複数の整流子片のうち隣接する整流子片に対向する対向面とを有し、
前記整流子片を粗面化する工程では、粗面化処理を施すことで前記接触面及び前記対向面のうち前記接触面のみを粗面化する、
請求項6に記載の整流子の製造方法。
【請求項8】
前記バスケットは、樹脂製である、
請求項5~7のいずれか1項に記載の整流子の製造方法。
【請求項9】
電動機の回転軸に挿入される貫通孔を有する樹脂成形体と前記回転軸を中心として環状に配置された複数の整流子片とを備える整流子の製造方法であって、
前記複数の整流子片の母材となる筒状の整流子母材の表面の少なくとも一部を粗面化する工程と、
前記整流子母材の内周部に液状の樹脂を注入して硬化することで、前記整流子母材が固定された前記樹脂成形体を形成する工程と、
前記整流子母材を前記複数の整流子片に分離する工程とを含む、
整流子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、整流子、整流子を備える電動機及び整流子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機は、電気掃除機等の家庭用電気機器分野をはじめとして、自動車等の電装分野にも広く用いられている。例えば、電気掃除機に搭載される電動送風機には、回転ファンを回転させるために電動機が用いられている。
【0003】
電動機としては、ブラシを用いる整流子電動機、及び、ブラシを用いないブラシレス電動機が知られている。このうち、整流子電動機は、固定子と、回転子と、回転子の回転軸に取り付けられた整流子と、整流子に摺接するブラシとを備える。
【0004】
整流子電動機に用いられる整流子は、例えば、回転軸が挿入される貫通孔を有する筒状の整流子本体と、整流子本体の外周面に等間隔に固定された複数の整流子片とを有する。このような構成の整流子としては、複数の整流子片が樹脂によってモールドされたモールド整流子が知られている。モールド整流子において、整流子本体は、樹脂によって構成された樹脂成形体である。
【0005】
自動車又は電気掃除機に用いられる整流子電動機では、回転子が高速回転するため、回転子の回転軸に取り付けられた整流子も高速回転することになる。このとき、整流子としてモールド整流子を用いると、樹脂成形体に固定された整流子片が高速回転時の遠心力によって樹脂成形体から浮くおそれがある。
【0006】
そこで、従来、整流子の回転時に整流子片が浮くことを抑制するために、整流子片における樹脂成形体との接触面を粗面化する技術が提案されている(例えば、特許文献1、2)。整流子片の表面を粗面化することで樹脂成形体との密着性を高めることができるので、高速回転時の整流子片の浮きを抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002-51506号公報
【特許文献2】特開2017-158416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、整流子片の表面の全面を粗面化すると、別の不具合が発生することが分かった。そこで、別の不具合が発生しないようにすると、整流子の回転時に整流子片が浮くことを抑制することができなくなる。
【0009】
本開示は、別の不具合が発生することを抑制しつつ、整流子の回転時に整流子片が浮くことを抑制することができる整流子及び整流子の製造方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示に係る整流子の一態様は、樹脂成形体と、前記樹脂成形体に固定された複数の整流子片とを備え、前記複数の整流子片の各々は、前記樹脂成形体の外周面に接する接触面と、前記樹脂成形体から露出し、前記複数の整流子片のうち隣接する整流子片に対向する対向面とを有し、前記接触面における表面の微小凹部の最大深さは、前記対向面における表面の微小凹部の最大深さよりも大きいる。
【0011】
また、本開示に係る電動機の一態様は、上記の整流子と、前記整流子が取り付けられた回転軸を有する回転子と、前記回転子に作用する磁力を発生させる固定子とを備える。
【0012】
また、本開示に係る整流子の製造方法の一態様は、電動機の回転軸が挿入される貫通孔を有する樹脂成形体と前記回転軸を中心として環状に配置された複数の整流子片とを備える整流子の製造方法であって、前記複数の整流子片を筒状のバスケットに円環状に配置する工程と、前記複数の整流子片の各々の表面の少なくとも一部を粗面化する工程と、前記複数の整流子片が配置された前記バスケットの内周部に液状の樹脂を注入して硬化することで、前記複数の整流子片が固定された前記樹脂成形体を形成する工程とを含む。
【0013】
また、本開示に係る整流子の製造方法の他の一態様は、電動機の回転軸に挿入される貫通孔を有する樹脂成形体と前記回転軸を中心として環状に配置された複数の整流子片とを備える整流子の製造方法であって、前記複数の整流子片の母材となる筒状の整流子母材の表面の少なくとも一部を粗面化する工程と、前記整流子母材の内周部に液状の樹脂を注入して硬化することで、前記整流子母材が固定された前記樹脂成形体を形成する工程と、前記整流子母材を前記複数の整流子片に分離する工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
別の不具合が発生することを抑制しつつ、整流子の回転時に整流子片が浮くことを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る電動送風機1の外観斜視図である。
【
図2】実施の形態に係る電動送風機の半断面図である。
【
図4】(a)は、実施の形態に係る整流子14の側面図であり、(b)は、(a)のIVb-IVb線における同整流子の断面図であり、(c)は、(a)及び(b)のIVc-IVc線における同整流子の断面図である。
【
図5】実施の形態に係る整流子の製造方法(バスケット工法)のフローチャートである。
【
図6】実施の形態に係る整流子の製造方法で用いられる整流子片(フック曲げを行う前の状態)の斜視図である。
【
図7】実施の形態に係る整流子の製造方法で用いられるバスケットの斜視図である。
【
図8】実施の形態に係る整流子の製造方法において、バスケットに整流子片を配置する工程を説明するための図である。
【
図9】実施の形態に係る整流子の製造方法において、整流子片を粗面化する工程を説明するための図である。
【
図10】実施の形態に係る整流子の製造方法において、樹脂成形体を樹脂成形する工程を説明するための図である。
【
図11】実施の形態に係る整流子の製造方法において、バスケットを除去する工程を説明するための図である。
【
図12】実施の形態に係る整流子の製造方法において、整流子片のフック曲げを行う工程を説明するための図である。
【
図13】実施の形態に係る整流子の他の製造方法(アンダーカット工法)のフローチャートである。
【
図14】バスケット工法を用いた製造方法により実際に作製した整流子について、樹脂成形体と整流子片との接触界面における断面SEM像である。
【
図15】実施例の整流子の強度を説明するための図である。
【
図16】実施の形態に係る整流子の製造方法で用いられる他の整流子片(フック曲げを行う前の状態)の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態等は、一例であって本開示を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0017】
なお、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0018】
(実施の形態)
まず、本開示に係る整流子が用いられる電気機器の一例として電動送風機1について説明する。
図1は、実施の形態に係る電動送風機1の外観斜視図である。
図2は、同電動送風機1の半断面図であり、回転軸13の軸心Cを通る平面で切断したときの断面を示している。なお、
図2に示される矢印は、電動送風機1内に吸引した空気の流れを示している。
【0019】
図1及び
図2に示すように、電動送風機1は、回転子11及び固定子12を有する電動機2と、電動機2の回転軸13に取り付けられた回転ファン3と、回転ファン3から排出された空気が流れ込むエアガイド4と、回転ファン3及びエアガイド4を覆うファンケース5と、回転子11及び固定子12を収納するフレーム6と、フレーム6の開口部を跨るように配置されたブラケット7とを備える。
【0020】
電動機2は、回転ファン3を回転させるファンモータである。本実施の形態における電動機2は、ブラシ付きの整流子電動機であり、回転子11と、固定子12と、回転軸13と、整流子14と、ブラシ15と、第1軸受け16と、第2軸受け17とを備える。また、本実施の形態における電動機2は、直流により駆動する直流電動機(DCモータ)である。
【0021】
回転子11(ロータ)は、固定子12に作用する磁力を発生する。本実施の形態において、回転子11が発生する主磁束の向きは、回転軸13の軸心Cの方向(回転軸方向)と直交する方向である。
【0022】
回転子11は、回転軸13を有しており、固定子12が発生する磁力によって、回転軸13を回転中心として回転する。つまり、回転子11は、回転軸13の軸心Cを回転中心として回転する。回転子11は、例えば、40,000rpmで高速回転する。
【0023】
回転子11は、固定子12とエアギャップを介して配置されている。具体的には、回転子11の表面と固定子12の表面との間には微小なエアギャップが存在する。本実施の形態における回転子11は、インナーロータであり、固定子12の内側に配置されている。
【0024】
回転子11は、電機子であり、回転子鉄心(ロータコア)11aと、回転子鉄心11aに巻回された巻線コイル11b(ロータコイル)とを有する。
【0025】
回転子鉄心11aは、巻線コイル11bが巻回された電機子コアである。本実施の形態において、回転子鉄心11aは、複数の電磁鋼板が回転軸13の軸心Cの方向に積層された積層体である。なお、回転子鉄心11aは、電磁鋼板の積層体に限るものではなく、磁性材料によって構成されたバルク体であってもよい。
【0026】
なお、回転子鉄心11aは、複数のティースを有する。複数のティースは、回転軸13の軸心Cと直交する方向(ラジアル方向)に放射状に延在している。また、複数のティースは、回転軸13の回転方向に亘って等間隔に存在している。
【0027】
巻線コイル11bは、回転子鉄心11aに巻き回されている。巻線コイル11bは、複数のティースの各々に巻回されたコイルを有する。コイルは、ティースに複数回巻回されている。具体的には、コイルは、インシュレータを介してティースに分布巻きで巻き回された分布巻コイルである。
【0028】
巻線コイル11bは、整流子14と電気的に接続されている。具体的には、巻線コイル11bは、整流子14の整流子片と電気的に接続されている。整流子14を介して巻線コイル11bに電流が流れることで、回転子11は、固定子12に作用させる磁力を発生させる。
【0029】
固定子12(ステータ)は、回転子11と向かい合って位置しており、回転子11に作用する磁力を発生させる。固定子12は、電機子である回転子11とともに磁気回路を構成している。
【0030】
具体的には、固定子12は、回転子11の回転子鉄心11aを囲むように配置されている。固定子12は、エアギャップ面にN極とS極とが周方向に交互に表れるように構成されている。この場合、固定子12は、周方向に沿って複数の永久磁石が配置されるように構成されていてもよいし、複数のティースを有するステータコアとステータコアに巻回された巻線コイルとによって構成されていてもよい。本実施の形態において、固定子12は、複数の電磁鋼板が積層されたステータコアのティースに巻線コイルが巻回された界磁組立体である。固定子12は、例えば、フレーム6に固定されている。
【0031】
回転軸13は、回転子11が回転する際の中心となる長尺状のシャフトである。回転軸13は、例えば金属棒であり、回転子11の中心に固定されている。具体的には、回転軸13は、回転子11の両側に延在するように、回転子11の回転子鉄心11aの中心を貫いた状態で回転子鉄心11aに固定されている。回転軸13は、回転子鉄心11aに形成された中心孔に圧入したり、焼き嵌めしたりすることで回転子鉄心11aに固定されている。
【0032】
回転子11から一方側(回転ファン3側)に突出する回転軸13の第1部位13aは、第1軸受け16に支持されている。本実施の形態において、回転軸13の第1部位13aは、回転軸13の出力側の部位(出力軸)である。具体的には、回転軸13の第1部位13aは、第1軸受け16から突出している。第1軸受け16から突出した回転軸13の第1部位13aの先端部には、電動機2によって駆動される負荷として回転ファン3が取り付けられている。
【0033】
一方、回転子11から他方側に突出する回転軸13の第2部位13bは、第2軸受け17に支持されている。本実施の形態において、回転軸13の第2部位13bは、回転軸13の反出力側の部位(反出力軸)である。
【0034】
整流子14は、回転軸13に取り付けられている。したがって、整流子14は、回転軸13とともに回転する。本実施の形態において、整流子14は、回転軸13の第2部位13bに取り付けられている。具体的には、整流子14は、回転軸13における回転子鉄心11aと第2軸受け17との間の部位に取り付けられている。なお、整流子14の詳細な構成については後述する。
【0035】
整流子14には、ブラシ15が接触している。具体的には、ブラシ15は、整流子14の複数の整流子片の各々と接触している。ブラシ15は、回転子11の巻線コイル11bに電力を供給するための給電ブラシである。ブラシ15が整流子片に接触することで、電源端子を介してブラシ15に供給される電機子電流が、整流子片を介して巻線コイル11bに流れる。
【0036】
一例として、ブラシ15は、カーボンによって構成された導電性のカーボンブラシである。具体的には、ブラシ15は、銅等の金属を含むカーボンブラシである。また、ブラシ15は、長尺状の棒状部材である。本実施の形態において、ブラシ15は、長尺状の略直方体である。このようなブラシ15は、例えば、黒鉛粉と銅紛とバインダー樹脂と硬化剤とを混錬した混錬物を粉砕して略直方体に圧縮成形して焼成することで作製することができる。
【0037】
ブラシ15は、整流子14に摺接可能に一対設けられている。一対のブラシ15は、整流子14を挟持するように、整流子14を挟んで対向して配置される。具体的には、一対のブラシ15の内側の先端部は、整流子14に当接している。より具体的には、各ブラシ15は、トーションバネ等のブラシバネによって整流子14に向けて押圧が付与されており、整流子14に弾接している。本実施の形態において、ブラシ15の長手方向の内側(回転軸13側)の端面が整流子14との接触面となっている。なお、ブラシ15は、ブラシ箱に収納されている。
【0038】
第1軸受け16及び第2軸受け17は、回転軸13を回転自在に支持する。つまり、回転軸13は、回転自在な状態で第1軸受け16と第2軸受け17とに支持されている。第1軸受け16及び第2軸受け17は、例えば、ベアリングである。具体的には、第1軸受け16及び第2軸受け17は、玉軸受けであるが、これに限るものではなく、すべり軸受け等の他の軸受けであってもよい。本実施の形態において、第1軸受け16は、ブラケット7に固定されており、第2軸受け17は、フレーム6の底部に固定されている。
【0039】
以上のように構成される電動機2では、ブラシ15に供給される電流が整流子14を介して電機子電流(駆動電流)として回転子鉄心11aに巻き回された巻線コイル11bに流れることで、回転子11に磁束が発生する。そして、この回転子11に生じた磁束と固定子12から生じる磁束との相互作用によって生成された磁気力が回転子11を回転させるトルクとなる。このとき、整流子14の整流子片とブラシ15とが接する際の位置関係によって電流が流れる方向が切り替えられる。このように、電流が流れる方向が切り替えられることで、回転子11と固定子12との間に発生する磁力の反発力と吸引力とで一定方向の回転力が生成され、回転子11が回転する。
【0040】
回転子11が回転することによって、回転子11が取り付けられた回転軸13は、軸心Cを中心として回転する。これにより、電動機2の回転軸13に取り付けられた回転ファン3が回転する。
【0041】
回転ファン3は、ファンケース5とフレーム6とにより構成される外郭筐体(ハウジング)内に空気を吸引する。一例として、回転ファン3は、高い吸引圧力が得られる遠心ファンである。回転ファン3が回転することにより風圧が発生し、ファンケース5に形成された吸気口5aから空気が吸い込まれ、回転ファン3から空気が排出される。回転ファン3から排出された空気はエアガイド4に流れ込む。
【0042】
エアガイド4は、気体の流れを整流するためのガイド板として回転ファン3の外周に配置された複数のディフューザ翼を有する。例えば、エアガイド4は、回転ファン3の回転によってファンケース5に形成された吸気口5aから吸引された空気の流れを整流して旋回流を生成し、吸引した気体をフレーム6へと滑らかに流し込む。
【0043】
ファンケース5は、回転ファン3を覆うカバーである。ファンケース5は、フレーム6に固定されている。また、ファンケース5は、外気を吸引するための吸気口5aを有している。回転ファン3が回転することで、ファンケース5に形成された吸気口5aからファンケース5内に空気が流れ込む。
【0044】
フレーム6は、電動機2を収納する筐体(ケース)である。具体的には、フレーム6は、開口部を有する有底筒状体である。フレーム6は、例えばアルミニウム等の金属材料によって構成されているが、樹脂材料によって構成されていてもよい。また、フレーム6の底部の側壁には、回転ファン3の回転によって吸引した空気を外部に排出するために複数の排気口6aが設けられている。
【0045】
ブラケット7は、エアガイド4とともにフレーム6の開口部を覆う板部材である。本実施の形態において、ブラケット7は、フレーム6の開口部を完全に塞ぐことなく、フレーム6の開口部を部分的に覆っている。具体的には、ブラケット7は、フレーム6の開口部を跨るように配置されている。これにより、フレーム6にブラケット7が取り付けられた状態において、フレーム6にはエアガイド4で整流された空気の通風路として開口が存在しており、エアガイド4で整流された空気は、この開口を通過してフレーム6内に流入する。なお、ブラケット7にも、エアガイド4で整流された空気が通過する開口孔が形成されている。
【0046】
このように構成される電動送風機1では、電動機2が備える回転子11が回転すると、回転ファン3が回転し、ファンケース5が有する吸気口5aからファンケース5の内部に空気が吸引される。これにより、回転ファン3の内部に空気が流れ込む。回転ファン3に吸引された空気は、回転ファン3のファン翼により高圧に圧縮されて、回転ファン3の外周側部から径方向に排出される。回転ファン3の外周側部から排出された空気は、回転ファン3を囲むエアガイド4のディフューザ翼によってファンケース5の外周部へと導かれる。ファンケース5の外周部へと導かれた空気は、エアガイド4とファンケース5との間の空間部で旋回流となり、フレーム6内に流入する。フレーム6内に流入した空気は、フレーム6の排気口6aから電動送風機1の外に排出される。
【0047】
[整流子の構成]
次に、本実施の形態に係る電動送風機1の電動機2に用いられる整流子14の詳細な構成について、
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、実施の形態に係る整流子14の斜視図である。
図4において、(a)は、同整流子14の側面図であり、(b)は、(a)のIVb-IVb線における同整流子14の断面図であり、(c)は、(a)及び(b)のIVc-IVc線における同整流子14の断面図である。
【0048】
図3及び
図4に示すように、整流子14は、樹脂成形体20と、複数の整流子片30とを有する。整流子14は、モールド整流子であり、複数の整流子片30が樹脂によってモールドされた構成となっている。
【0049】
樹脂成形体20は、モールド整流子である整流子14の樹脂部分である。また、樹脂成形体20は、整流子14の本体(整流子本体)である。樹脂成形体20は、電動機2の回転軸13が挿入される貫通孔21を有する。樹脂成形体20は、貫通孔21の中心軸を筒軸とする略筒状体である。樹脂成形体20の筒軸方向は、回転軸13の軸心Cの方向と一致している。つまり、樹脂成形体20の軸心は、回転軸13の軸心Cと一致し、樹脂成形体20の周方向は、回転軸13の回転方向と一致している。
【0050】
樹脂成形体20は、例えば、熱硬化性樹脂等の樹脂材料によって構成されている。樹脂成形体20を構成する熱硬化性樹脂としては、例えばフェノール樹脂を用いることができる。樹脂成形体20は、トランスファー成形用の金型を用いたトランスファー成形により所定の形状に形成することができる。なお、樹脂成形体20は、ガラス繊維等の補強繊維が分散された樹脂材料によって構成されているとよい。これにより、樹脂成形体20の耐久性を向上させることができる。
【0051】
複数の整流子片30は、回転軸13を囲むように環状に配列されている。本実施の形態において、複数の整流子片30は、回転軸13の周方向に沿って円環状に並べられている。つまり、複数の整流子片30は、樹脂成形体20の周方向に沿って円環状に並べられている。
【0052】
複数の整流子片30の各々は、回転軸13の軸心方向に沿って延在する長尺状の形状である。各整流子片30は、その長手方向が回転軸13の軸心Cの方向と平行となる姿勢で配列されている。具体的には、複数の整流子片30の各々は、樹脂成形体20を囲むようにして、各整流子片30の長手方向が樹脂成形体20の筒軸方向となる姿勢で樹脂成形体20の周方向に沿って等間隔に配列されている。
【0053】
複数の整流子片30は、銅等の金属材料等からなる導電性材料によって構成された導電端子である。本実施の形態において、各整流子片30は、銅合金によって構成されている。複数の整流子片30は、回転軸13の周方向に沿って互いに絶縁分離された状態で配列されている。つまり、隣り合う2つの整流子片30は、回転軸13の回転方向に互いに絶縁分離されている。
【0054】
複数の整流子片30の各々は、樹脂成形体20に固定されている。具体的には、各整流子片30は、表面の一部が露出するように樹脂成形体20に一部が埋め込まれることで樹脂成形体20に固定されている。つまり、各整流子片30は、樹脂成形体20の外周面に接している。
【0055】
複数の整流子片30の各々は、少なくとも表面の一部が樹脂成形体20から露出する露出部31と、樹脂成形体20に埋設された埋設部32と、電動機2の回転子11の巻線コイル11bが接続されるフック部33とを有する。
【0056】
露出部31は、電動機2のブラシ15が摺接する摺接部として機能する。露出部31は、樹脂成形体20から露出する露出面として、前面31a及び側面31bを有する。前面31aは、第1露出面であり、電動機2のブラシ15が接する接触面である。側面31bは、第2露出面であり、複数の整流子片30のうち隣接する整流子片30に対向する対向面である。つまり、隣り合う2つの整流子片30は、隙間をあけて配置されており、隣り合う2つの整流子片30において、一方の整流子片30の対向面と他方の整流子片30の対向面とはその隙間を介して対面している。
【0057】
また、
図4の(c)に示すように、複数の整流子片30のうち隣り合う2つの整流子片30の間の間隔における外周側の周方向に沿った長さW1は、当該間隔における内周側の周方向に沿った長さW2よりも大きくなっている(W1>W2)。
【0058】
露出部31は、さらに、樹脂成形体20の外周面に接する接触面として、背面31cを有する。背面31cは、前面31aに背向する面であり、樹脂成形体20から露出していない。
【0059】
埋設部32は、露出部31の背面31cに設けられている。具体的には、埋設部32は、背面31cから樹脂成形体20側に突出するように設けられている。本実施の形態において、各整流子片30には、2つの埋設部32が設けられている。2つの埋設部32は、隙間をあけて整流子片30の長手方向に沿って並んでいる。
【0060】
埋設部32は、樹脂成形体20の外周面に接する接触面として、埋設面32cを有する。本実施の形態において、埋設部32の全体が樹脂成形体20に埋め込まれているので、埋設部32の表面の全面が樹脂成形体20の外周面に接している。つまり、埋設部32の表面の全面が埋設面32cである。
【0061】
なお、埋設部32の露出部31側の根元部分には、埋設部32の一部がくびれたくびれ部が形成されている。本実施の形態において、埋設部32の断面形状は、逆台形状になっている。
【0062】
フック部33は、整流子片30の端部に設けられている。具体的には、フック部33は、露出部31の一方の端部に設けられている。本実施の形態において、フック部33は、露出部31の回転子11側の端部に設けられている。フック部33は、整流子片30の一部を折り曲げることで形成される。
【0063】
このように、各整流子片30は、樹脂成形体20の外周面に接する接触面として、露出部31の背面31cと埋設部32の埋設面32cとを有する。背面31cと埋設面32cは、整流子片30の裏側の面であり、樹脂成形体20の外周面と面接触している。
【0064】
そして、整流子片30では、樹脂成形体20との接触面である背面31c及び埋設面32cにおける表面の微小凹部の最大深さが、隣接する整流子片30に対向する対向面である側面31bにおける表面の微小凹部の最大深さよりも大きくなっている。本実施の形態において、背面31c及び埋設面32cにおける表面の微小凹部の最大深さは、前面31aにおける表面の微小凹部の最大深さよりも粗くなっている。
【0065】
つまり、樹脂成形体20の外周面に接する接触面である背面31c及び埋設面32cの中心線平均粗さは、樹脂成形体20から露出する露出面である側面31b及び前面31aの中心線平均粗さよりも大きくなっている。
【0066】
具体的には、整流子片30における樹脂成形体20の外周面に接する接触面である背面31c及び埋設面32cには、粗面化処理が施されており、背面31c及び埋設面32cは、粗面になっている。つまり、埋設部32は、表面の全面が粗面化されている。粗面化された背面31c及び埋設面32cの算術平均粗さ(Ra)は、例えば1μm以上である。
【0067】
なお、前面31a及び側面31bを粗面化させることなく背面31c及び埋設面32cを粗面化する場合、背面31c及び埋設面32cの算術平均粗さ(Ra)の上限は、特に限定されないが、背面31c及び埋設面32cの算術平均粗さ(Ra)は、一例として、50μm以下であり、好ましくは10μm以下である。
【0068】
粗面化処理としては、エッチング液によって整流子片30の表面をエッチングする化学処理を用いてもよいし、ローレット加工等によって整流子片30の表面を凹凸加工する機械加工処理を用いてもよい。
【0069】
一方、整流子片30における隣接する整流子片30に対向する対向面である側面31bには、粗面化処理が施されていない。また、整流子片30におけるブラシ15に接する接触面である前面31aにも、粗面化処理が施されていない。したがって、側面31b及び前面31aは、無垢の金属面のままになっている。
【0070】
このように、露出部31の表面は、部分的に粗面化されており、露出部31における前面31a、側面31b及び背面31cのうち、背面31cは粗面化されているが、前面31a及び側面31bは粗面化されていない。
【0071】
なお、本実施の形態において、背面31c及び埋設面32cの両方が側面31bよりも表面の微小凹部の最大深さよりも大きくなっているが、背面31c及び埋設面32cの少なくとも一方が側面31bよりも表面の微小凹部の最大深さが大きくなっていればよい。また、本実施の形態では、前面31a及び側面31bには、粗面化処理が施されていないが、背面31c及び埋設面32cの一方又は両方が側面31bよりも表面の微小凹部の最大深さが大きくなっていれば、前面31a及び側面31bの一方又は両方に粗面化処理を施してもよい。つまり、前面31a及び側面31bの一方又は両方は、粗面化された粗面であってもよい。あるいは、側面31b及び前面31aの一方又は両方に機械的又は化学的な平滑処理を施してもよい。つまり、前面31a及び側面31bの一方又は両方は、平滑面であってもよい。また、フック部33の表面は、粗面化されていてもよいし、粗面化されていなくてもよい。
【0072】
[整流子の製造方法]
次に、実施の形態に係る整流子14の製造方法について、
図5~
図12を用いて説明する。
図5は、実施の形態に係る整流子14の製造方法のフローチャートである。
図6~
図12は、同整流子14の製造方法における各工程を説明するための図である。
【0073】
本実施の形態における整流子14は、バスケット工法により製造される。具体的には、樹脂成形時の金型となるバスケットに複数の整流子片を配置して樹脂成形体を樹脂成形することで整流子14を製造する。以下、本実施の形態における整流子14の製造方法について詳細に説明する。
【0074】
まず、整流子片を樹脂成形する前に、
図5に示すように、整流子片30Mを予め作製しておくとともに(S11)、バスケット100を予め作製しておく(S12)。
【0075】
具体的には、フック部33を形成する前の状態の整流子片30として、
図6に示される形状の整流子片30Mを作製する(S11)。
図6に示すように、整流子片30M(テーターバー)は、露出部31及び埋設部32が形成された金属片である。本実施の形態において、整流子片30Mは、銅合金によって構成されている。具体的には、整流子片30Mは、銅板にプレス打ち抜き加工を施すことで作製することができる。なお、整流子片30Mは、フック部33及び粗面が形成されていないこと以外は、上記整流子片30と同じ形状である。
【0076】
また、整流子片30Mを樹脂成形する際に用いる治具として、
図7に示される形状のバスケット100を作製する(S12)。
【0077】
図7に示すように、バスケット100は、整流子片30Mを樹脂成形する際に整流子片30Mを保持するホルダであるとともに整流子片30Mを収納する容器である。具体的には、バスケット100は、略円筒状の部材であり、複数の整流子片30Mを収納するための収納部として複数の凹部110を有する。各凹部110は、バスケット100の筒軸方向に延在するように溝状に形成されており、整流子片30Mが嵌まる形状になっている。複数の凹部110は、上面視において、バスケット100の内周面に沿って円環状に配列されている。また、バスケット100は、隣り合う2つの凹部110の間に位置する凸部120を有する。凸部120は、バスケット100の筒軸方向に延在するように突条に形成されている。
【0078】
バスケット100は、例えば、樹脂材料を用いて射出成形により形成することができる。樹脂製のバスケット100を用いることで、熱及び圧力によりバスケット100が整流子片30Mの形状になじみやすくなる。
【0079】
なお、バスケット100は、樹脂製に限らず、金属製であってもよい。金属製のバスケット100は、樹脂製のバスケット100と比べて、剛性が高く、熱及び圧力に強いので、繰り返して何度も用いることができる。
【0080】
このように、整流子片30Mを樹脂成形する前に整流子片30Mを作製するとともにバスケット100を作製しておくが、整流子片30Mの作製工程とバスケット100の作製工程とは、どちらを先に行ってもよい。また、整流子片30Mの作製工程とバスケット100の作製工程とは同時に行ってもよい。
【0081】
次に、
図5に示すように、
図6に示される整流子片30Mを、
図7に示される筒状のバスケット100に配置する(S13)。この場合、円環状の配列となるように複数の整流子片30Mを筒状のバスケット100に組み付ける。
【0082】
具体的には、
図8の(a)に示すように、整流子片30Mの埋設部32が内側に向くようにして整流子片30Mをバスケット100の凹部110に挿入する。つまり、整流子片30Mの前面31aが外側(バスケット100の内面側)に向くとともに整流子片30Mの背面31cが内側を向くようにして、整流子片30Mをバスケット100の凹部110に挿入する。このとき、バスケット100に設けられた複数の凹部110の全てに整流子片30Mを挿入する。これにより、
図8の(b)に示すように、複数の整流子片30Mが円環状に整列されてバスケット100に収納されて保持されることになる。なお、この状態において、整流子片30は、バスケット100の凹部110に固定されておらず、凹部110に対して遊嵌した状態で配置されている。
【0083】
バスケット100に配置された整流子片30Mは、露出部31の前面31a及び側面31bがバスケット100に覆われる。具体的には、凹部110に挿入された整流子片30Mは、前面31a及び側面31bがバスケット100の凹部110に密着している。一方、整流子片30Mにおける露出部31の背面31c及び埋設部32の埋設面32cは、バスケット100に覆われておらずにバスケット100の内側に向いた状態となる。つまり、背面31c及び埋設面32cは、露出した状態となる。
【0084】
次に、
図5に示すように、複数の整流子片30Mの各々の表面の少なくとも一部を粗面化する(S14)。具体的には、整流子片30Mに粗面化処理を施すことで整流子片30Mの表面を粗面化することができる。本実施の形態では、粗面化処理として、エッチング液によって整流子片30Mの表面をエッチングする化学処理を用いている。例えば、
図9に示すように、複数の整流子片30Mが配置されたバスケット100をエッチング液200が収容されたエッチング槽に入れて、複数の整流子片30Mをバスケット100とともにエッチング液200に浸漬することで、整流子片30Mの表面の一部を粗面化する。
【0085】
このとき、整流子片30Mは、整流子片30Mの裏面である露出部31の背面31c及び埋設部32の埋設面32cが露出しているので、整流子片30Mにおける背面31c及び埋設面32cの表面がエッチング液200によりエッチングされて粗面化される。これにより、整流子片30Mにおける背面31c及び埋設面32cの表面に微小凹凸が形成される。なお、本実施の形態では、整流子片30Mは、銅合金によって構成されているので、エッチング液200としては、銅合金を粗面化できるものを用いている。
【0086】
一方、整流子片30Mにおける前面31a及び側面31bは、バスケット100に密着しているので、エッチング液200にさらされない。つまり、整流子片30Mにおける前面31a及び側面31bは、バスケット100によってマスキングされた状態になるので、エッチング液200が付与されず粗面化されない。
【0087】
このように、本実施の形態では、整流子片30Mに粗面化処理を施しているが、整流子片30Mの表面の全面を粗面化するのではなく、整流子片30Mの表面の一部を選択的に粗面化している。具体的には、整流子片30Mにおいて、樹脂成形体20との接触面と、隣接する整流子片30Mに対向する対向面とのうち、樹脂成形体20との接触面のみを選択的に粗面化している。より具体的には、整流子片30Mにおける背面31c及び埋設面32cと前面31a及び側面31bとのうち背面31c及び埋設面32cのみを選択的に粗面化している。つまり、整流子片30Mを粗面化する工程では、隣接する整流子片30Mに対向する対向面である側面31bとブラシ15に接する接触面である前面31aとには粗面化処理を施さない。
【0088】
これにより、樹脂成形体20との接触面である背面31c及び埋設面32cにおける表面の微小凹部の最大深さは、隣接する整流子片30Mに対向する対向面である側面31bにおける表面の微小凹部の最大深さよりも大きくなっているとともに、ブラシ15との接触面である前面31aにおける表面の微小凹部の最大深さよりも大きくなっている。
【0089】
次に、整流子片30Mの表面の一部に粗面化処理を施した後、
図5に示すように、樹脂成形により樹脂成形体20を形成する(S15)。具体的には、複数の整流子片30Mが配置されたバスケット100の内周部に液状の樹脂を注入して硬化することで、
図10に示すように、複数の整流子片30Mが固定された樹脂成形体20を形成する。
【0090】
この場合、液状の樹脂は、複数の整流子片30Mの内側に注入される。つまり、液状の樹脂は、複数の整流子片30Mで囲まれる領域に注入される。このとき、液状の樹脂が硬化する際、液状の樹脂は、整流子片30M側とは反対側の方向(つまり内方)に向かって収縮することになるが、バスケット100に配置された整流子片30Mは、バスケット100に固定されていないので、樹脂の収縮に追従することができる。つまり、樹脂成形体20の樹脂成形時に樹脂の収縮に伴って整流子片30Mが径方向内側に移動する。これにより、樹脂成形体20と整流子片30Mとが離れないので、樹脂の収縮に伴って樹脂成形体20と整流子片30Mとの界面に乖離が発生することを抑制できる。したがって、樹脂成形体20と整流子片30Mとを強固に接合することができる。
【0091】
なお、樹脂成形体20の樹脂成形としては、トランスファー成形又は射出成形を用いることができる。また、本実施の形態では、液状の樹脂を構成する樹脂として、フェノール樹脂からなる熱硬化性樹脂を用いている。また、樹脂成形体20を樹脂成形する際、樹脂成形体20に貫通孔21も形成している。
【0092】
次に、
図5に示すように、バスケット100を除去する。例えば、バスケット100を押し出すことで、複数の整流子片30Mが固定された樹脂成形体20からバスケット100を取り外すことができる。これにより、複数の整流子片30Mが固定された樹脂成形体20とバスケット100とを分離して、
図11に示すように、複数の整流子片30Mが外周面に固定された樹脂成形体20を得ることができる。
【0093】
次に、
図5に示すように、アニール処理を施す(S17)。例えば、温度が200度以上300度以下で、アニール時間が16時間以上24時間以下の条件で、複数の整流子片30Mが固定された樹脂成形体20をアニールする。これにより、樹脂成形体20の樹脂を完全に固化することができる。
【0094】
次に、
図5に示すように、樹脂成形体20に固定された複数の整流子片30Mに対して、表面処理を施すとともにフック曲げを行う(S18)。例えば、内径及び外径を整えるために切削加工等の機械加工を施して整流子片30Mの表面を削る等の表面処理を行った後、フォーミングによりフック曲げを行うことで各整流子片30Mにフック部33を形成する。
【0095】
これにより、
図5に示すように、整流子14が完成する(S19)。具体的には、
図12に示されるように、フック部33が形成された整流子片30を有する整流子14が完成する。
【0096】
なお、本実施の形態では、複数の整流子片30Mをバスケット100に配置する工程を行った後に、複数の整流子片30Mの各々の表面の少なくとも一部を粗面化する工程を行ったが、これに限らない。
【0097】
例えば、複数の整流子片30Mの各々の表面の少なくとも一部を粗面化する工程を行った後に、複数の整流子片30Mをバスケット100に配置する工程を行ってもよい。この場合、粗面化した表面が内側に向くように複数の整流子片30Mをバスケット100に配置する。つまり、エッチング等による粗面化処理を施して整流子片30Mにおける背面31c及び埋設面32cを粗面化した後に、背面31c及び埋設面32cが内側に向くように複数の整流子片30Mをバスケット100に配置する。
【0098】
また、このように整流子片30Mの粗面化処理を先に行う場合は、整流子片30Mの前面31a及び側面31bについては粗面化することなく、整流子片30Mにおける背面31c及び埋設面32cのみを粗面化するとよい。例えば、エッチングにより粗面化する場合、整流子片30Mにおける前面31a及び側面31bにマスキングを行ってエッチング液を付与することで、整流子片30Mにおける背面31c及び埋設面32cのみを選択的に粗面化することができる。
【0099】
また、本実施の形態では、バスケット100を用いたバスケット工法によって整流子14を製造したが、これに限らない。
【0100】
例えば、バスケット100を用いないアンダーカット工法によって整流子14を製造してもよい。アンダーカット工法で整流子14を製造する場合、
図13に示されるフローで整流子14を製造することができる。
【0101】
この場合、
図13に示すように、まず、複数の整流子片30の母材となる筒状の整流子母材を作製する(S21)。具体的には、銅等の金属材料によって構成された円筒状の整流子母材を作製する。
【0102】
次に、整流子母材の表面の少なくとも一部を粗面化する(S22)。具体的には、エッチング等によって整流子母材の表面のうち整流子片30の背面31c及び埋設面32cに対応する部分の表面を粗面化する。
【0103】
次に、樹脂成形により樹脂成形体を形成する(S23)。具体的には、表面の一部を粗面化した円筒状の整流子母材の内周部に液状の樹脂を注入して硬化することで、整流子母材が固定された樹脂成形体を形成する。
【0104】
次に、整流子母材を複数の整流子片30に分離する(S24)。具体的には、メタルソーによって整流子母材にスリットを形成することで、樹脂成形体が固定された整流子母材を複数の整流子片30に分離する。
【0105】
なお、その後は、上記実施の形態と同様に、アニール処理(S17)と表面加工及びフック曲げ(S18)とを順次行うことで、整流子14を完成させることができる(S19)。
【0106】
[作用効果]
次に、本実施の形態に係る整流子14の作用効果について、本開示に至った経緯を含めて説明する。
【0107】
上述のように、従来、整流子の回転時に整流子片が浮くことを抑制するために、整流子片における樹脂成形体との接触面を粗面化する技術が提案されている。
【0108】
しかしながら、整流子片の表面の全面を粗面化した整流子を実際に作製してみると、別の不具合が発生することが分かった。
【0109】
例えば、整流子片の表面の全面を粗面化すると、整流子片の側面(隣接する整流子との対向面)まで粗面化されてしまう。この場合、粗面化によって整流子片の表面の微小凹凸の深さが大きくなりすぎると、バスケット工法により整流子を製造したときに、バスケットに整流子片を配置して樹脂成形する際に、整流子片の側面とバスケットとの隙間から液状の樹脂が漏れ出すという不具合が発生した。
【0110】
このような課題に対して本願発明者らが鋭意検討した結果、本願発明者らは、整流子片の表面の全面を粗面化するのではなく整流子片の表面を選択的に粗面化するという着想を得た。具体的には、整流子片の表面を部分的に微小凹部を形成して、微小凹部の最大深さを部分的に異ならせるという着想を得た。
【0111】
そして、本実施の形態における整流子14では、各整流子片30において、樹脂成形体20との接触面である背面31c及び埋設面32cにおける表面の微小凹部の最大深さが、隣接する整流子片30に対向する対向面である側面31bにおける表面の微小凹部の最大深さよりも大きくなっている。
【0112】
この構成により、整流子片30の側面31bでは微小凹部の深さが小さくなっているので、上記のように、バスケット工法により整流子14を製造する場合、バスケット100に整流子片30Mを配置して樹脂成形する際に、整流子片30Mの側面31bとバスケット100の凸部120との隙間から液状の樹脂が漏れ出すことを抑制することができる。つまり、樹脂成形体20との接触面である背面31c及び埋設面32cについては微小凹部の深さを深くして樹脂成形体20と整流子片30との接合強度を大きくしつつも、整流子片30の側面31bについては微小凹部の深さを小さくして樹脂成形体20の樹脂成形時の樹脂漏れを抑制することができる。これにより、樹脂成形時の樹脂漏れという不具合が発生することを抑制しつつ、整流子14の回転時に整流子片30が浮くことを抑制することができる。なお、樹脂漏れが発生すると、(1)バスケット100を整流子片30から剥離することが困難になる、(2)整流子片30の姿勢が悪化する、(3)電動機の駆動時に樹脂漏れに由来して硬化した樹脂によりブラシがダメージを受けてしまう、などの不具合を引き起こす。
【0113】
また、本実施の形態における整流子14では、整流子片30において、樹脂成形体20との接触面である背面31c及び埋設面32cにおける表面の微小凹部の最大深さが、ブラシ15との接触面である前面31aにおける表面の微小凹部の最大深さよりも大きくなっている。
【0114】
また、本実施の形態における整流子14では、
図4の(c)に示すように、複数の整流子片30のうち隣り合う2つの整流子片30の間の間隔における外周側の周方向に沿った長さ(W1)は、当該間隔における内周側の周方向に沿った長さ(W2)よりも大きくなっている。具体的には、隣り合う2つの整流子片30の間において、外周側の長さが内周側の長さよりも長くなっている。
【0115】
この構成により、整流子14の回転時に整流子片30が浮くことを一層抑制することができる。この点について、以下説明する。
【0116】
モールド整流子は、樹脂成形により製造する。この場合、トランスファー成形用の金型に複数の整流子片を環状に並べて、複数の整流子片を金型に固定した状態で金型に液状の熱硬化性樹脂を注入して複数の整流子片の内側で液状の熱硬化性樹脂を硬化させることで、各々の一部が樹脂成形体に埋め込まれた複数の整流子片とからなるモールド整流子を製造することができる。トランスファー成形の他、射出成形によりモールド整流子を製造することができる。
【0117】
このとき、整流子片が動かないように整流子片を金型で固定した状態で樹脂成形すると、金型に注入された液状の熱硬化性樹脂が硬化して樹脂成形体として成形する際に、複数の整流子片の内側に注入された液状の熱硬化性樹脂が整流子片側とは反対側の方向(つまり径方向内側)に向かって収縮することになるので、樹脂成形体の外側に位置する整流子片と樹脂成形体とが離れて、整流子片と樹脂成形体との界面に乖離が発生する。このため、整流子片の表面を粗面化したとしても、回転子が回転したときに整流子片が浮くことを十分に抑制することができなくなるおそれがある。
【0118】
これに対して、本実施の形態における整流子14では、隣り合う2つの整流子片30の間において、外周側の長さが内周側の長さよりも長くなっている。
【0119】
この構成により、バスケット工法により整流子14を製造する場合、バスケット100に配置された複数の整流子片30Mの内側に液状の樹脂を注入して樹脂成形体20を樹脂成形するときに、上記のように、バスケット100の凹部110に配置された整流子片30Mは、バスケット100の凹部110に固定されておらず、動くことができる状態で凹部110に保持されている。このため、バスケット100の凹部110に配置された整流子片30Mは、樹脂の収縮に伴って径方向内側に移動することができる。これにより、樹脂成形体20と整流子片30Mとが離れないので樹脂成形体20と整流子片30Mとを強固に接合することができる。したがって、整流子14の回転時に整流子片30が浮くことを一層抑制することができる。
【0120】
また、本実施の形態において、埋設部32の露出部31側の根元部分には、埋設部32の一部がくびれたくびれ部が形成されている。このように、埋設部32にくびれ部を形成することによって、樹脂成形体20を構成する樹脂がくびれ部の凹部に入り込む。これにより、くびれ部によるアンカー効果によって埋設部32と樹脂成形体20との結合強度を向上させることができるので、回転子11が回転したときに整流子片30が樹脂成形体20を構成する樹脂から浮き上がることを一層抑制することができる。
【0121】
以上、本実施の形態に係る整流子14によれば、別の不具合が発生することを抑制しつつ、整流子14の回転時に整流子片30が浮くことを抑制することができる。
【0122】
また、本実施の形態に係る電動機2は、この整流子14を備えているので、高い信頼性を有する電動機を提供することができる。
【0123】
[実施例]
以下、実際に作製した実施例の整流子14について説明する。
【0124】
図14は、上記のバスケット工法を用いた製造方法により実際に作製した整流子14について、樹脂成形体20と整流子片30との接触界面における断面SEM像(5000倍)を示している。具体的には、整流子片30の露出部31の背面31cと樹脂成形体20の外周面との接触界面における断面SEM像を示している。
【0125】
図14に示すように、粗面化処理におけるエッチングによって整流子片30の露出部31の背面31cが粗面化されていることが分かる。
図14では、整流子片30の背面31cに、最大深さが数μm程度の微小凹部を有する凹凸部が形成されていることが分かる。
【0126】
なお、
図14では、整流子片30の露出部31の背面31cにおける表面状態が示されているが、整流子片30の埋設部32の埋設面32cについても背面31cと同様にエッチングされて粗面化されているので、埋設面32cについても
図14に示されるような表面状態になっていた。
【0127】
また、実際に作製した整流子の強度を評価したので、その評価結果について
図15を用いて説明する。
【0128】
図15において、実施例1は、アンダーカット工法により作製した整流子14である。実施例2、3、4は、バスケット工法により作製した整流子14である。なお、実施例2、3、4では、エッチングによる粗面化処理を施す際にエッチング液200に浸漬する時間を調整して背面31c及び埋設面32cにおける微小凹部の凹凸深さを変えた。この場合、エッチング液200に浸漬する時間を長くすることで、凹凸深さを深くすることができる。一方、比較例は、粗面化処理(エッチング処理)を施すことなくバスケット工法により作製した整流子である。
【0129】
なお、実施例1~4では、粗面化処理(エッチング処理)を行う際、上記のように、整流子片30における背面31c及び埋設面32cと前面31a及び側面31bとのうち背面31c及び埋設面32cのみを選択的に粗面化した。また、各整流子の整流子片としては、銅合金によって構成されたものを用いた。
【0130】
そして、粗面化処理が施された実施例1~4の整流子について、整流子片の凹凸深さを測定した。各整流子の凹凸深さは、次のようにして算出した。具体的には、整流子片における樹脂成形体との接触面のサンプル断面として、離散的に10個のエリアの断面SEM画像を取得し、断面SEM画像をもとに10個の各エリアにおける微小凹部の最大深さ(
図14参照)を測定し、10個の最大深さの平均値を計算し、その平均値を各整流子の凹凸深さとした。その結果、
図15に示すように、実施例1、2、3、4の各整流子の凹凸深さは、それぞれ、20μm、5μm、10μm、20μmであった。
【0131】
また、これらの各整流子の強度を測定し、相対的に評価した。具体的には、樹脂成形体20を押し出して樹脂成形体と整流子片とを分離させるのに必要な荷重を測定し、その荷重を各整流子の強度として評価した。なお、
図15では、実施例4の整流子の強度を1とし、比較例及び実施例1~3の整流子の強度を規格化して相対的に表している。
【0132】
その結果、
図15に示すように、実施例1~4の整流子は、比較例の整流子と比べて、高い強度を得ることができ、整流子片が樹脂成形体から分離しにくくなることが分かった。つまり、整流子片30における背面31c及び埋設面32cと前面31a及び側面31bとのうち背面31c及び埋設面32cのみを選択的に粗面化することで、整流子片30が樹脂成形体20から分離しにくい整流子14を得ることができる。
【0133】
また、実施例2の整流子は、実施例1の整流子よりも凹凸深さが小さいにも関わらず、実施例1の整流子と同等の強度を有することが分かる。また、実施例4の整流子は、実施例1の整流子と比べて、2倍以上の強度を有することが分かる。これは、バスケット工法で整流子を作製することで、樹脂成形体の樹脂成形時に樹脂の収縮に伴って整流子片が径方向内側に移動して樹脂成形体と整流子片とが離れずに強固に接合したからであると考えられる。つまり、アンダーカット工法ではなくバスケット工法によって整流子を作製することで、整流子片の浮きを効果的に抑制できる整流子を得ることができる。
【0134】
また、実施例2~4の整流子から分かるように、バスケット工法によって整流子を作製する場合には、整流子片の凹凸深さを10μm以上にすることで、高い強度を有する整流子を得ることができる。具体的には、実施例3の整流子は、実施例2の整流子と比べて、凹凸深さが2倍になることで、2倍程度の強度を得ることができているが、実施例4の整流子は、実施例3の整流子と比べて凹凸深さが2倍になっているにもかかわらす、実施例3の整流子と同等の強度しか得られていない。つまり、凹凸深さが10μm以上になると、整流子の強度は、整流子片の凹凸深さに比例しなくなり飽和する。したがって、バスケット工法で整流子を作製する場合には、整流子片の凹凸深さは10μm以上にするとよりよい。
【0135】
(変形例)
以上、本開示に係る整流子及び整流子を備える電動機等について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0136】
例えば、上記実施の形態において、バスケット100に配置する整流子片30Mとしては、露出部31における幅広部と幅狭部との接続部分が直角であるものを用いたが、これに限らない。例えば、
図16に示される整流子片30MAのように、露出部31における幅広部と幅狭部との接続部分34を湾曲させてRを付けたものを用いてもよい。これにより、整流子片30MAをバスケット100の凹部110に挿入しやすくなる。
【0137】
また、上記実施の形態において、整流子14は、回転軸13の第2部位13bに取り付けられていたが、これに限らない。例えば、整流子14は、回転軸13の第1部位13aに取り付けられていてもよい。この場合、整流子14は、例えば、回転軸13における回転子鉄心11aと第1軸受け16との間の部位に取り付けられる。
【0138】
また、上記実施の形態における電動送風機1は、例えば、電気掃除機又はエアタオル等に用いることができる。また、電動送風機1は、電気掃除機又はエアタオルに限らず、自動車用機器に適用してもよいし、その他の家庭用機器又は産業用機器に適用してもよい。
【0139】
また、上記実施の形態において、電動機2は、電動送風機1に用いる場合について説明したが、これに限らない。電動機2は、電動送風機以外の電気機器に用いてもよい。この場合、電動機2は、家庭用機器又は産業用機器等の種々の製品に用いることができる。
【0140】
その他、上記実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0141】
本開示の技術は、整流子電動機の整流子として利用することができる。また、本開示の技術は、整流子だけではなく、整流子を備える電動機、この電動機を備える電動送風機及びこの電動送風機を備える電気掃除機等の種々の電気機器等に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0142】
1 電動送風機
2 電動機
3 回転ファン
4 エアガイド
5 ファンケース
5a 吸気口
6 フレーム
6a 排気口
7 ブラケット
11 回転子
11a 回転子鉄心
11b 巻線コイル
12 固定子
13 回転軸
13a 第1部位(出力軸)
13b 第2部位(反出力軸)
14 整流子
15 ブラシ
16 第1軸受け
17 第2軸受け
20 樹脂成形体
21 貫通孔
30、30M、30MA 整流子片
31 露出部
31a 前面
31b 側面(対向面)
31c 背面(接触面)
32 埋設部
32c 埋設面
33 フック部
100 バスケット
110 凹部
120 凸部
200 エッチング液