(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154267
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】データ処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20231012BHJP
【FI】
G06Q30/02 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063491
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 シン
(72)【発明者】
【氏名】二宮 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】戸沢 信晴
(72)【発明者】
【氏名】武井 一
(72)【発明者】
【氏名】坂本 佳孝
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB02
(57)【要約】
【課題】業務フローに基づいた業務支援を行うことが可能な業務支援装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】一又は複数のデータ供給元からデータを収集する収集手段と、前記収集手段が収集した前記データをデータ種別毎に区分し、区分したデータ毎にフォーマットを共通化する前処理を実行する前処理手段と、前記前処理が施された前記データの各々に含まれるデータ項目に基づいて、当該データの集計又は分析を、データ種別毎又はデータ種別間で横断的に実行するデータ処理手段と、前記データ処理手段の処理結果を出力する出力手段と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一又は複数のデータ供給元からデータを収集する収集手段と、
前記収集手段が収集した前記データをデータ種別毎に区分し、区分したデータ毎にフォーマットを共通化する前処理を実行する前処理手段と、
前記前処理が施された前記データの各々に含まれるデータ項目に基づいて、当該データの集計又は分析を、データ種別毎又はデータ種別間で横断的に実行するデータ処理手段と、
前記データ処理手段の処理結果を出力する出力手段と、
を備えるデータ処理装置。
【請求項2】
前記前処理手段は、前記データ種別毎に区分したデータに含まれるデータ項目と、当該データ種別についての基準となるデータ項目の構成とが相違する場合、相違したデータ項目を修正するための前処理を前記データに実行する、
請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記前処理手段は、前記データ種別毎に区分したデータに、前記基準となるデータ項目の一部が不足している場合、不足分のデータ項目を前記データに追加する前処理を実行する、
請求項2に記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記前処理手段は、前記不足分のデータ項目のデータ値に、空欄又は前記データ処理手段での処理対象から除外することを指示するデータ値を設定して前記データに追加する、
請求項3に記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記前処理手段は、前記データに含まれるデータ項目のデータ値から、前記不足分のデータ項目のデータ値が導出可能か否かを判定し、導出可能と判定した場合、前記データに含まれるデータ項目のデータ値から導出したデータ値を、前記不足分のデータ項目のデータ値に設定して前記データに追加する、
請求項3又は4に記載のデータ処理装置。
【請求項6】
データ処理装置のコンピュータを、
一又は複数のデータ供給元からデータを収集する収集手段と、
前記収集手段が収集した前記データをデータ種別毎に区分し、区分したデータ毎にフォーマットを共通化する前処理を実行する前処理手段と、
前記前処理が施された前記データの各々に含まれるデータ項目に基づいて、当該データの集計又は分析を、データ種別毎又はデータ種別間で横断的に実行するデータ処理手段と、
前記データ処理手段の処理結果を出力する出力手段と、
して機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小売店等の店舗では商取引に係るデータが発生している。一方で、店舗で販売する商品を製造するメーカ等では、どのような商品がどのような顧客に購入されているのか等を分析し、分析結果に基づいて販促等のプロモーションを行っている。例えば、従来、POS端末で入力された顧客データと、販売時点の販売データとを対応付けた販売・顧客データを受信し、集計・分析等のデータ処理を行ってメーカ等の所定の相手に提供する技術が提案されている。
【0003】
また、近年では、上記した店舗で発生するデータ以外にも、複数の発生源で様々な種別のデータが発生している。このようなビッグデータには様々な情報が含まれるため、集計・分析等を行うことで、プロモーション等の展開に利用することが考えられる。
【0004】
しかしながら、様々な発生源で発生するデータは、同じ種別のデータであっても、データを使用するデータシステム毎にデータ項目やフォーマットが異なることが一般的である。そのため、従来では、データ処理を行うシステムをデータシステム毎に構築することが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、様々なデータのデータ処理を集約して行うことが可能なデータ処理装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のデータ処理装置は、収集手段と、前処理手段と、データ処理手段と、出力手段とを備える。収集手段は、一又は複数のデータ供給元からデータを収集する。前処理手段は、前記収集手段が収集した前記データをデータ種別毎に区分し、区分したデータ毎にフォーマットを共通化する前処理を実行する。データ処理手段は、前記前処理が施された前記データの各々に含まれるデータ項目に基づいて、当該データの集計又は分析を、データ種別毎又はデータ種別間で横断的に実行する。出力手段は、前記データ処理手段の処理結果を出力する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態に係るデータ処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るデータ処理サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るデータ処理サーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る購買情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るスキャン情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る投稿情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係るプロモーション情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態の前処理部が実行する前処理の一例を説明するための図である。
【
図9】
図9は、実施形態のデータ処理サーバが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0009】
図1は、実施形態に係るデータ処理システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、データ処理システム1は、各店舗10に設けられる取引用端末11及び店舗サーバ12と、ユーザ端末20と、プロモーションサーバ30と、データ処理サーバ40とを有する。
【0010】
店舗サーバ12、ユーザ端末20及びプロモーションサーバ30は、インターネット等のネットワークNaを介して、データ処理サーバ40と通信可能に接続される。なお、店舗10、ユーザ端末20、及びプロモーションサーバ30は、データ供給元の一例である。
【0011】
取引用端末11及び店舗サーバ12は、小売店等の店舗10の各々に設けられる。同一の店舗10に設けられた取引用端末11と店舗サーバ12とは、LAN(Local Area network)等のネットワークNbを介して通信可能に接続される。
【0012】
取引用端末11は、POS端末等の商品販売データ処理装置である。取引用端末11は、店舗10に来店したユーザが購入する商品を登録する登録処理と、登録した商品の決済処理とを実行する。また、取引用端末11は、一取分の商品の登録処理及び決済処理の処理結果を、購買情報として店舗サーバ12に送信する。
【0013】
取引用端末11は、登録処理と決済処理との両方を実行するものに限らず、何れか一方の処理を実行するものであってもよい。例えば、セミセルフと呼ばれる方式の商品販売データ処理装置では、登録処理を行う登録装置と、決済処理を行う会計装置とが個別に設けられる。この場合、取引用端末11は、登録装置と会計装置との各々であってもよいし、両方を含めた概念としてもよい。
【0014】
また、取引用端末11は、店舗内においてユーザに貸し出されるタブレット端末等の端末装置や、ユーザが所持するスマートフォン等の端末装置(例えばユーザ端末20)であってもよい。係る構成では、ユーザは、取引用端末11に設けられたカメラ等を用いて、バーコード等の形態で商品に付された商品コードをスキャンすることで、店舗内を移動しながら商品の登録や登録した商品の取り消しを行うことができる。また、ユーザは、取引用端末11を用いた電子決済、又は取引用端末11で登録した商品の情報を店舗内に設置された会計装置に送信することで、商品の会計を行うことができる。なお、取引用端末11は、自己の装置で登録及び取り消しされた商品の情報やスキャンの順序を、スキャン情報として店舗サーバ12に送信する。
【0015】
店舗サーバ12は、各店舗10に設けられるサーバ装置である。店舗サーバ12は、各商品の商品コードと、当該商品の商品名、分類及び価格等の商品情報とを関連付けた商品マスタを記憶し、当該商品マスタを取引用端末11の各々に提供する。
【0016】
また、店舗サーバ12は、取引用端末11の各々から送信される各種のデータを受信し、当該データをデータ処理サーバ40に送信する。具体的には、店舗サーバ12は、取引用端末11から送信されたスキャン情報や購買情報を受信し、図示しない記憶装置に保存する。そして、店舗サーバ12は、記憶装置に保存したスキャン情報や購買情報を、所定のタイミングでデータ処理サーバ40に送信する。
【0017】
なお、データ処理サーバ40にデータを送信するタイミングは特に問わず、任意に設定することが可能である。例えば、店舗サーバ12は、1日1回等の定期的なスケジュールでデータ処理サーバ40にデータを送信してもよい。また、例えば、店舗サーバ12は、取引用端末11からデータを受信する度に、データ処理サーバ40にデータを送信してもよい。
【0018】
ユーザ端末20は、ユーザが所持する端末装置である。ユーザ端末20は、例えば、PC(Personal Computer)等の据置型の端末装置や、ノートPCやタブレット端末、スマートフォン等の携帯型の端末装置によって実現される。
【0019】
ユーザ端末20には、各種のプログラムが記憶される。ユーザ端末20では、自装置のプロセッサとプログラムとが協働し、各種の処理を実行する。例えば、ユーザ端末20は、上述した店舗10において登録処理を行うことで、取引用端末11として機能する。また、例えば、ユーザ端末20は、SNS(Social Networking Service)のクライアントとして機能する。この場合、ユーザ端末20は、自装置のユーザがSNSに投稿した情報を、投稿情報としてデータ処理サーバ40に送信する。なお、投稿先のSNSは特に問わず、公知・公用のサービスであってもよいし、データ処理システム1が提供する独自のサービスであってもよい。
【0020】
プロモーションサーバ30は、販促等のプロモーション企画を管理するサーバ装置である。プロモーションサーバ30は、例えば、商品を製造・販売する企業や、広告等を制作する広告代理店等によって管理される。
【0021】
プロモーションサーバ30は、操作者の操作に応じて、プロモーションの対象となる商品や、プロモーションを行う期間、プロモーション方法等を指示したプロモーション情報を生成し、店舗10(例えば、店舗サーバ12)に送信する。店舗10では、プロモーションサーバ30から送信されたプロモーション情報に基づきプロモーションを行うことで、対象商品の販促等を行う。なお、プロモーションサーバ30は、生成したプロモーション情報をデータ処理サーバ40に送信してもよい。
【0022】
データ処理サーバ40は、データ処理装置の一例である。データ処理サーバ40は、ネットワークNaに接続された各装置からデータを収集し、当該データを加工した処理結果を所定の提供先に提供する。
【0023】
具体的には、データ処理サーバ40は、収集したデータのうち、同種のデータを纏めて取り扱うことを可能とするため、データフォーマットを共通化する加工処理を実行する。また、データ処理サーバ40は、加工処理を施した各種のデータに含まれるデータ項目に基づいて、当該データを同一種別毎又は異なる種別間で横断的に集計又は分析し、処理結果となる処理結果情報を生成する。そして、データ処理サーバ40は、生成した処理成果情報を、例えばプロモーションサーバ30等の外部装置に出力する。
【0024】
なお、本実施形態では、データ処理サーバ40が単体のサーバ装置によって実現される例を説明するが、これに限らず、例えばクラウド・コンピューティング等の技術により、複数台のサーバ装置によって実現されてもよい。
【0025】
次に、上述したデータ処理サーバ40の構成について説明する。
【0026】
図2は、データ処理サーバ40のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、データ処理サーバ40は、CPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、及びRAM(Random Access Memory)43等のコンピュータ構成を備える。
【0027】
CPU41は、プロセッサの一例であり、データ処理サーバ40の各部を統括的に制御する。ROM42は、各種プログラムを記憶する。RAM43は、プログラムや各種データを展開するワークスペースである。
【0028】
また、データ処理サーバ40は、記憶部44と、表示部45と、操作部46と、通信部47とを備える。
【0029】
記憶部44は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成されており、電源を遮断しても記憶内容を維持する。記憶部44は、CPU41が実行することが可能なプログラムや各種の設定情報を記憶する。また、記憶部44は、後述する各種の変換テーブルを記憶する。また、記憶部44は、店舗10の各々で使用される商品マスタを記憶してもよい。
【0030】
また、記憶部44は、店舗10、ユーザ端末20及びプロモーションサーバ30等の外部装置から送信された各種のデータを記憶するためのデータ記憶部441と、当該データの処理結果となる処理成果情報を記憶するための処理結果記憶部442とを有する。
【0031】
表示部45は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスで構成される。表示部45は、CPU41の制御の下、各種の情報を表示する。操作部46は、キーボード、ポインティングデバイス等を有する。操作部46は、操作者から受け付けた操作内容をCPU41に出力する。なお、操作部46は、表示部45の表示画面に設けられるタッチパネルであってもよい。
【0032】
通信部47は、ネットワークNaに接続可能な通信インタフェースである。通信部47は、ネットワークNaを介して店舗10(店舗サーバ12)、ユーザ端末20、プロモーションサーバ30等の外部装置と通信を行う。
【0033】
次に、
図3を参照して、データ処理サーバ40の機能構成について説明する。
図3は、データ処理サーバ40の機能構成の一例を示す図である。
【0034】
図3に示すように、データ処理サーバ40は、データ収集部411と、前処理部412と、データ処理部413と、データ提供部414とを機能構成として備える。
【0035】
データ処理サーバ40が備える機能構成の一部又は全ては、データ処理サーバ40のプロセッサ(例えばCPU41)とメモリ(例えばROM42、記憶部44)に記憶されたプログラムとの協働により実現されるソフトウェア構成であってもよい。また、データ処理サーバ40が備える機能構成の一部又は全ては、データ処理サーバ40に搭載された専用回路等で実現されるハードウェア構成であってもよい。
【0036】
データ収集部411は、収集手段の一例である。データ収集部411は、通信部47を介して、店舗10、ユーザ端末20、及びプロモーションサーバ30等の外部装置から各種のデータを収集し、収集したデータをデータ記憶部441に記憶する。
【0037】
具体的には、データ収集部411は、店舗10(店舗サーバ12)の各々から送信される購買情報やスキャン情報等を収集する。また、データ収集部411は、ユーザ端末20の各々から送信されるスキャン情報や投稿情報を収集する。また、データ収集部411は、プロモーションサーバ30から送信されるプロモーション情報を収集する。
【0038】
以下、データ収集部411が収集するデータのデータ構成例について説明する。
【0039】
図4は、購買情報のデータ構成の一例を示す図である。
図4に示すように、購買情報50は、データ項目として、店舗ID51、取引ID52、取引日時53、ユーザID54、登録商品55、合計点数56、合計金額57、支払金額58、及びお釣り59等を有する。
【0040】
店舗ID51は、購買情報を送信した店舗10を識別可能な店舗識別子である。取引ID52は、店舗ID51に対応する店舗10で行われた各取引を識別可能な取引識別子である。取引日時53は、取引IDに対応する取引が行われた日時を示す日時情報である。ユーザID54は、取引IDに対応する取引を行ったユーザを識別するためのユーザ識別子である。
【0041】
登録商品55は、取引IDに対応する取引で購入された商品に関する情報を保持する。具体的には、登録商品55は、商品コード、商品名、価格、点数等の細目で構成される。ここで、商品コードは、購入された商品の商品識別子である。商品名は、商品コードに対応する商品の名称である。価格は、商品コードに対応する商品の価格(単価)である。また、点数は、商品の購入数を意味する。
【0042】
合計点数56は、取引IDに対応する取引で購入された商品の合計点数である。合計点数56は、登録商品55に登録された各商品の点数の合計値に対応する。合計金額57は、取引IDに対応する取引で購入された商品の合計金額である。合計金額57は、登録商品55に登録された各商品の価格と点数との乗算値を、合計した金額に対応する。支払金額58は、取引IDに対応する取引でユーザが支払った金額である。お釣り59は、取引IDに対応する取引で発生したお釣りの金額である。お釣り59は、支払金額58から合計金額57を減算した金額に対応する。
【0043】
なお、購買情報のデータ項目は、
図4の例に限定されるものではない。例えば、取引時にユーザIDの入力を必須としない店舗10もあるため、ユーザID54のデータ項目が存在しない購買情報が含まれてもよい。また、合計点数56や合計金額57のデータ項目は、登録商品55のデータ項目から導出可能であるため、合計点数56や合計金額57が存在しない購買情報が含まれてもよい。
【0044】
図5は、スキャン情報のデータ構成の一例を示す図である。
図5に示すように、スキャン情報60は、データ項目として、店舗ID61、取引ID62、ユーザID63、及び操作履歴64等を有する。
【0045】
店舗ID61は、スキャン情報を送信した店舗10の店舗識別子である。取引ID62は、本スキャン情報に関係する取引の取引識別子である。ユーザID63は、本スキャン情報に関係するスキャン操作を行ったユーザのユーザ識別子である。
【0046】
操作履歴64は、商品の登録及び取り消し操作の履歴を保持する。具体的には、操作履歴64は、商品コード、商品名、価格、操作種別、操作日時等の細目で構成される。ここで、登録又は取り消しの対象となった商品の商品識別子である。商品名は、商品コードに対応する商品の名称である。価格は、商品コードに対応する商品の価格である。操作種別は、登録又は取り消しの何れの操作かを識別するための情報である。操作日時は、登録又は取り消しが行われた日時を示す日時情報である。
【0047】
なお、スキャン情報のデータ項目は、
図5の例に限定されるものではない。例えば、取引時にユーザIDの入力を必須としない店舗10もあるため、ユーザID63のデータ項目が存在しないスキャン情報が含まれてもよい。また、例えば、決済時に取引IDを付与する店舗10もあるため、取引ID62が存在しないスキャン情報が含まれてもよい。
【0048】
また、本実施形態では、購買情報50及びスキャン情報60に格納される商品コードや商品名は、店舗10の各々で共通とするが、この形態に限定されるものではない。例えば、同一種別の商品であっても、店舗10毎に異なる商品コードや商品名が付されることがある。
【0049】
このような場合、データ処理サーバ40は、商品の種別毎に、各店舗10が使用する複数の商品コード及び商品名を関連付けた変換テーブル(以下、商品変換テーブル)を記憶部44等に予め記憶する。これにより、データ処理サーバ40では、同一種別の商品が複数の商品コード又は商品名で表される場合であっても、商品変換テーブルを用いることで、何れの商品コード又は商品名からでも共通する商品を特定することができる。
【0050】
図6は、投稿情報のデータ構成の一例を示す図である。
図6に示すように、投稿情報70は、データ項目として、投稿日時71、ユーザID72、及び投稿内容73等を有する。
【0051】
投稿日時71は、SNSへの投稿が行われた日時を示す日時情報である。ユーザID72は、SNSへの投稿を行ったユーザのユーザ識別子である。投稿内容73は、ユーザID72に対応するユーザがSNSに投稿したコメント等の内容を保持する。例えば、投稿内容73は、ユーザが購入した商品に関するコメントを保持する。
【0052】
なお、投稿情報のデータ項目は、
図6の例に限定されるものではない。例えば、投稿情報は、投稿先のSNSを識別可能なデータ項目を含んでもよい。
【0053】
また、本実施形態では、購買情報50、スキャン情報60及び投稿情報70に格納されるユーザIDは、同一人物のユーザで共通であるとするが、この形態に限定されるものではない。例えば、同一人物のユーザであっても、店舗10毎に異なるユーザIDが付されることがある。また、同一人物のユーザであっても、店舗10で使用するユーザIDと、SNSで使用するユーザIDとでは異なることがある。このように、同一人物のユーザであっても、店舗10や用途に応じて、複数のユーザIDを使い分けている場合がある。
【0054】
このような場合、データ処理サーバ40は、ユーザ毎に、当該ユーザが使用する複数のユーザIDを関連付けた変換テーブル(以下、ユーザID変換テーブル)を予め記憶する。これにより、データ処理サーバ40では、同一人物のユーザが複数のユーザIDを使用している場合であっても、ユーザID変換テーブルを用いることで、何れのユーザIDからでも共通するユーザを特定することができる。
【0055】
図7は、プロモーション情報のデータ構成の一例を示す図である。
図7に示すように、プロモーション情報80は、データ項目として、プロモーションID81、プロモーション期間82、プロモーション対象83、及びプロモーション内容84等を有する。
【0056】
プロモーションID81は、各プロモーションを識別するプロモーション識別子である。プロモーション期間82は、プロモーションを行う期間を指示する。プロモーション対象83は、プロモーションの対象となる商品の商品名等を指示する。プロモーション内容84は、プロモーションを行う方法や条件等を保持する。例えば、プロモーション内容84には、値引率(又は割引率)を指示する情報や、サービスポイントの付与に係る還元率の増加を指示する情報等を保持する。
【0057】
なお、プロモーション情報のデータ項目は、
図7の例に限定されるものではない。例えば、プロモーション対象83は、商品に限らず、特定の店舗を対象としてもよい。この場合、プロモーションサーバ30は、プロモーション対象83が存在しないプロモーション情報や、プロモーション対象83が空欄のプロモーション情報をデータ処理サーバ40に送信してもよい。
【0058】
図3に戻り、前処理部412は、前処理手段の一例である。前処理部412は、データ収集部411が収集したデータに対し、フォーマットの共通化等の前処理を施す。具体的には、前処理部412は、データ記憶部441から処理対象となるデータを読み出す。
【0059】
ここで、読み出し対象となるデータは、条件等を定めることで任意に設定することが可能である。例えば、前処理部412は、各データに含まれるに日時情報に基づき、1日分のデータを日毎に読み出してもよいし、1月分等の所定期間分のデータを読み出してもよい。また、例えば、前処理部412は、プロモーション情報に含まれるプロモーション期間に基づき、当該期間に該当するデータを読み出してもよい。
【0060】
また、前処理部412は、読み出したデータを種別毎に分類する。例えば、前処理部412は、読み出したデータを、購買情報、スキャン情報、投稿情報、及びプロモーション情報の各種別で分類する。
【0061】
そして、前処理部412は、同種のデータ毎にフォーマットを共通化するための前処理を実行する。例えば、前処理部412は、前処理の一例として、上述した商品変換テーブルやユーザID変換テーブルを用いて、同一人物のユーザや同種の商品を共通化するための名寄せを実行する。また、前処理部412は、前処理の一例として、誤記、表記のゆれを削除又は修正するデータクレンジングを実行する。なお、データクレンジングについては、例えば、前処理部412は、誤記及び表記ゆれの類型と、その修正方法を対応付けたデータテーブルに基づいて実行する。
【0062】
また、前処理部412は、同種のデータを構成するデータ項目について、基準とする構成と異なる場合、該当するデータ項目を修正するための前処理を実行する。具体的には、前処理部412は、不足分のデータ項目を追加する処理や、不要なデータ項目を除外するための処理を実行する。
【0063】
図8を参照して、データ項目の追加又は削除に係る前処理について説明する。
図8は、前処理部412が実行する前処理の一例を説明するための図である。ここで、
図8(a)は、基準とするデータ項目の構成を示している。また、
図8(b)、(c)は、前処理部412が読み出したデータのデータ項目の構成例を示している。
【0064】
例えば、
図8(b)のデータ構成の場合、「項目2」に対応するデータ項目が「項目X」となっている。この場合、前処理部412は、基準とするデータ構成と比較し、
図8(b)のデータ構成について「項目2」が存在せず、不要な「項目X」が含まれると判定する。次いで、前処理部412は、
図8(b)のデータから、不要と判定した「項目X」を取り除き、不足分の「項目2」を
図8(b)のデータに追加する処理を実行する。
【0065】
なお、新たに組み込んだ「項目2」のデータ値は、空欄であってもよいし、予め定められた定型のデータ値(以下、定型データ値ともいう)であってもよい。例えば、定型データ値は、該当するデータ項目を、データ処理部413の処理対象から除外することを指示するデータ値等であってもよい。
【0066】
また、前処理部412は、「項目X」や他のデータ項目の内容から、不足分の「項目2」のデータ値を導出可能か判定し、導出可能な場合には、導出したデータ値を「項目2」として追加してもよい。
【0067】
例えば、不足分の「項目2」が上述した購買情報50の合計点数56や合計金額57であり、既存のデータ項目として登録商品55が存在する場合、前処理部412は、登録商品55から商品の合計点数や合計金額を算出して、「項目2」のデータ値を導出する。そして、前処理部412は、導出したデータ値を「項目2」とし、「項目X」に代えて登録する。
【0068】
また、例えば、
図8(c)のデータ構成の場合、「項目2」が欠けた状態となっている。この場合、前処理部412は、基準とするデータ構成と比較し、
図8(c)のデータ構成について「項目2」が存在しないと判定する。そして、前処理部412は、
図8(b)の場合と同様に、不足分の「項目2」を
図8(c)のデータに追加する処理を実行する。
【0069】
前処理部412は、上記の前処理を行うことで、同種のデータのフォーマットを共通化する。これにより、データ処理サーバ40では、後段のデータ処理部413の処理において、各種データに対するデータ処理を汎用的に行うことができる。
【0070】
図3に戻り、データ処理部413は、データ処理手段の一例である。データ処理部413は、前処理部412で前処理が施されたデータを集計又は分析し、処理結果となる処理結果情報を生成する。また、データ処理部413は、生成した処理結果情報を処理結果記憶部442に記憶する。
【0071】
具体的には、データ処理部413は、前処理が施されたデータのデータ項目に基づき、当該データをデータ種別毎に集計又は分析し、処理結果情報を生成する。
【0072】
例えば、データ処理部413は、購買情報50に含まれる登録商品55に基づいて、店舗10の各々で販売された、特定の商品の特定期間における合計点数や金額を集計する。更に、データ処理部413は、ユーザID63を用いて、商品の購入傾向をユーザ毎に分析したり、特定期間における商品の購入数や合計金額をユーザ毎に集計したりする。
【0073】
また、例えば、データ処理部413は、スキャン情報60に含まれる操作履歴64に基づいて、商品毎の取り消し頻度を集計する。更に、データ処理部413は、ユーザID63を用いて、商品の登録順序の傾向をユーザ毎に分析したり、商品の取り消し頻度をユーザ毎に集計したりする。
【0074】
また、例えば、データ処理部413は、投稿情報70の投稿内容73を参照し、SNSで言及された商品を商品名毎に集計する。更に、データ処理部413は、ユーザID72を用いて、SNSへの投稿数をユーザ毎に集計したり、商品への言及度合いをユーザ毎に分析したりする。また、例えば、データ処理部413は、プロモーション情報80のプロモーション期間82やプロモーション対象83を参照し、商品毎のプロモーション頻度を集計する。
【0075】
また、データ処理部413は、前処理が施されたデータのデータ項目に基づき、当該データを複数のデータ種別間で横断的に集計又は分析し、処理結果情報を生成する。
【0076】
例えば、データ処理部413は、購買情報50に含まれる登録商品55と、投稿情報70の投稿内容73に含まれる商品名等とに基づいて、SNSで言及された商品と、当該商品の販売数との相関関係を分析する。また、データ処理部413は、プロモーション情報80に含まれる各データ項目と、購買情報50に含まれる登録商品55とに基づいて、プロモーション期間に販売されたプロモーション対象の商品の販売数を集計する。更に、データ処理部413は、プロモーション期間の前後で販売数を比較することで、プロモーション内容に設定されたプロモーション方法の効果等を分析したりする。
【0077】
なお、集計及び分析の対象や方法は上記例に限らず、任意に設定することが可能である。例えば、データ処理部413は、処理結果情報の提供先となる企業等からの要求に応じて、集計及び分析の対象や方法を設定する。
【0078】
データ提供部414は、出力手段の一例である。データ提供部414は、通信部47を介して、データ処理部413での処理結果を外部装置に出力(送信)する。具体的には、データ提供部414は、処理結果記憶部442に記憶された処理結果情報を読み出し、読み出した処理結果情報を、データの集計や分析を依頼した依頼先の外部装置に提供する。
【0079】
処理結果情報の提供先は特に問わず、任意に設定することが可能である。
図3では、プロモーションサーバ30を提供先とした例を示している。この場合、例えば、データ処理サーバ40は、プロモーションサーバ30が店舗10に対して実施したプロモーションの効果を分析し、分析結果を示した処理結果情報をプロモーションサーバ30に提供してもよい。これにより、プロモーションサーバ30では、プロモーション情報で規定したプロモーションの効果を確認しながら、次のプロモーション企画を検討することができる。
【0080】
なお、分析結果情報の提供先はプロモーションサーバ30に限らず、例えば、特定の店舗10や店舗10を運営する企業を提供先としてもよい。
【0081】
以下、上述したデータ処理サーバ40の動作例について説明する。
図9は、データ処理サーバ40が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0082】
まず、データ収集部411は、店舗10、ユーザ端末20及びプロモーションサーバ30等の外部装置からデータを収集する(ステップS11)。データ収集部411は、データを収集すると、収集したデータをデータ記憶部441に記憶する。
【0083】
続いて、前処理部412は、データ記憶部441から所定期間分のデータを読み出す(ステップS12)。次いで、前処理部412は、読み出したデータをデータ種別毎に区分する(ステップS13)。次いで、前処理部412は、区分したデータに前処理を施すことで、データ種別毎にフォーマットを共通化する(ステップS14)。
【0084】
続いて、データ処理部413は、フォーマットが共通化されたデータを、データ種別毎又はデータ種別間で横断的に集計又は分析する(ステップS15)。データ処理部413は、集計又は分析が完了すると、処理結果となる処理結果情報を処理結果記憶部442に記憶する。
【0085】
続いて、データ提供部414は、処理結果記憶部442に記憶された処理結果情報を、集計又は分析を依頼した依頼元に提供し(ステップS16)、本処理を終了する。
【0086】
以上のように、本実施形態のデータ処理サーバ40は、一又は複数のデータ供給元からデータを収集し、収集したデータをデータ種別毎に区分して、区分したデータ毎にフォーマットを共通化する前処理を行う。また、データ処理サーバ40は、データの各々に含まれるデータ項目に基づいて、前処理が施された前記データの集計又は分析を、データ種別毎又はデータ種別間で横断的に実行し、その処理結果を出力する。
【0087】
これにより、データ処理サーバ40は、データ供給元から収集した各種のデータを汎用的に取り扱うことが可能となるため、様々なデータのデータ処理を集約して行うことができる。
【0088】
なお、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、ROMや記憶部等に予め組み込まれた状態で提供される。上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0089】
さらに、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、上述の実施形態の各装置で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するように構成してもよい。
【0090】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態やその変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
1 データ処理システム
10 店舗
11 取引用端末
12 店舗サーバ
20 ユーザ端末
30 プロモーションサーバ
40 データ処理サーバ
411 データ収集部
412 前処理部
413 データ処理部
414 データ提供部
441 データ記憶部
442 処理結果記憶部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0092】