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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154269
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/70 20230101AFI20231012BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20231012BHJP
   G03B 11/00 20210101ALI20231012BHJP
   G03B 17/18 20210101ALI20231012BHJP
   H04N 23/75 20230101ALI20231012BHJP
   H04N 23/76 20230101ALI20231012BHJP
【FI】
H04N5/235
H04N5/232 945
G03B11/00
G03B17/18 Z
H04N5/238
H04N5/243
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063494
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100199314
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 寛
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆朗
(72)【発明者】
【氏名】山本 真一
(72)【発明者】
【氏名】岡本 渉
【テーマコード(参考)】
2H083
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H083AA05
2H083AA14
2H083AA26
2H102AA14
5C122EA20
5C122EA42
5C122FB17
5C122FF01
5C122FF02
5C122FF06
5C122FF07
5C122FH15
5C122FL03
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮影される画像において明るさを調整し易くすることができる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、入射する光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する撮像部と、撮像部を用いた画像撮影動作を制御する制御部と、画像撮影動作の結果として画像データを記録媒体に記録する記録部と、画像データが示す画像に対応して光が入射する入射面における位置別に、撮像部が光を受光する受光率を調整する調整部とを備える。制御部は、入射面において画像の一部に対応する位置の受光率と他の位置の受光率とを異ならせるように調整部を制御し、画像撮影動作において調整部により受光率を異ならせた状態における画像を撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを記録部に記録させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する撮像部と、
前記撮像部を用いた画像撮影動作を制御する制御部と、
前記画像撮影動作の結果として前記画像データを記録媒体に記録する記録部と、
前記画像データが示す画像に対応して前記光が入射する入射面における位置別に、前記撮像部が前記光を受光する受光率を調整する調整部とを備え、
前記制御部は、
前記入射面において前記画像の一部に対応する位置の受光率と他の位置の受光率とを異ならせるように前記調整部を制御し、
前記画像撮影動作において前記調整部により前記受光率を異ならせた状態における画像を前記撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを前記記録部に記録させる
撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記撮像部が撮像した撮像画像において露出に過不足がある部分領域を検出し、
前記入射面において前記部分領域に対応する位置の受光率を調整するように前記調整部を制御する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像画像を表示する操作画面に対するユーザの操作が入力可能な操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出した部分領域を前記操作画面に表示させて、前記部分領域と前記部分領域における受光率とのうちの少なくとも一方を変更するユーザ操作を、前記操作部において受け付ける
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記部分領域における露出の過不足が解消される受光率を検出する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記撮像画像を複数の領域に分割する分割線を認識して、前記分割された複数の領域から前記部分領域を検出する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記撮像画像における一部の領域を囲む枠形状を認識して、前記枠形状の内側又は外側を前記部分領域として検出する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記撮像画像における輝度と色値との少なくとも一方が所定レベルである領域を、前記部分領域として検出する
請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記受光率が調整される部分領域を設定して、設定された部分領域の内部と外部との間において前記受光率が次第に変化するように前記調整部を制御する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮像部が撮像した撮像画像を表示する操作画面上で、前記撮像画像における部分領域と前記部分領域における受光率とを指定するユーザ操作が入力可能な操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記操作部において入力されたユーザ操作に応じて、前記入射面において前記部分領域に対応する位置の受光率を調整するように前記調整部を制御する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記入射面における各位置に入射する光の光量に応じて、当該位置の光量が大きいほど前記受光率を低減するように前記調整部を前記位置毎に制御する
請求項1に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記調整部は、前記入射面における各位置において、入射する光の透過率を前記受光率として調整する電子ニュートラルデンシティフィルタで構成される
請求項1に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被写体像を撮像するための光を受光する比率を調整可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、可変ND(Neutral Density)フィルタを備えたデジタルカメラを開示している。可変NDフィルタは、撮像素子に入射する光量を制御するための光学素子であり、部分的に光の透過率を変えることができるものである。特許文献1のデジタルカメラは、1回の測光用の撮像によって、明るさの異なる複数の画素信号群を得るために可変NDフィルタを用いる一方、例えばレリーズボタンの押下によって撮像指示がなされると可変NDフィルタの全体の透過率を100%に戻している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/172437号
【特許文献2】特開2019-68402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、撮影される画像において明るさを調整し易くすることができる撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における撮像装置は、入射する光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する撮像部と、撮像部を用いた画像撮影動作を制御する制御部と、画像撮影動作の結果として画像データを記録媒体に記録する記録部と、画像データが示す画像に対応して光が入射する入射面における位置別に、撮像部が光を受光する受光率を調整する調整部とを備える。制御部は、入射面において画像の一部に対応する位置の受光率と他の位置の受光率とを異ならせるように調整部を制御し、画像撮影動作において調整部により受光率を異ならせた状態における画像を撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを記録部に記録させる。
【発明の効果】
【0006】
本開示における撮像装置によると、撮影される画像において明るさを調整し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の実施形態1に係るデジタルカメラの構成を示す図
図2】実施形態1のデジタルカメラにおける電子NDフィルタの構成を例示する図
図3】実施形態1におけるデジタルカメラの動作の概要を説明するための図
図4】実施形態1におけるデジタルカメラの全体動作を説明するためのフローチャート
図5】実施形態1におけるデジタルカメラの設定メニューの表示例を示す図
図6】デジタルカメラにおけるセミオートのフィルタ調整処理を例示するフローチャート
図7】デジタルカメラにおけるハーフモードを説明するための図
図8】デジタルカメラにおける額縁構図モードの表示例を示す図
図9】デジタルカメラにおけるゼブラモードの表示例を示す図
図10】デジタルカメラにおけるマニュアルのフィルタ調整処理を例示するフローチャート
図11】デジタルカメラにおけるフルオードモードを説明するための図
図12】デジタルカメラにおけるフルオートのフィルタ調整処理を例示するフローチャート
図13】フルオートモードにおける電子NDフィルタの透過率の配分を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。なお、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0009】
(実施形態1)
実施形態1では、本開示に係る撮像装置の一例としてのデジタルカメラについて説明する。
【0010】
1.構成
実施形態1に係るデジタルカメラの構成について、図1~2を用いて説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るデジタルカメラ100の構成を示す図である。本実施形態のデジタルカメラ100は、光学系110と、レンズ駆動部120とイメージセンサ140と、電子ND(ニュートラルデンシティ)フィルタ150とを備える。さらに、デジタルカメラ100は、画像処理部160と、バッファメモリ170と、制御部180と、操作部210と、表示モニタ220とを備える。さらに、デジタルカメラ100は、フラッシュメモリ240と、カードスロット190と、通信モジュール260とを備える。
【0012】
光学系110は、ズームレンズ及びフォーカスレンズ、絞り等を含む。ズームレンズは、光学系で形成される被写体像の倍率を変化させるためのレンズである。フォーカスレンズは、イメージセンサ140上に形成される被写体像のフォーカス状態を変化させるためのレンズである。ズームレンズ及びフォーカスレンズは、1枚又は複数枚のレンズで構成される。
【0013】
レンズ駆動部120は、フォーカスレンズ等の光学系110の各種レンズをそれぞれ駆動するための構成を含む。例えば、レンズ駆動部120はモータを含み、制御部180の制御に基づいてフォーカスレンズを光学系110の光軸に沿って移動させる。レンズ駆動部120においてフォーカスレンズを駆動する構成は、DCモータ、ステッピングモータ、サーボモータ、または超音波モータなどで実現できる。
【0014】
イメージセンサ140は、光学系110を介して入射される被写体像を撮像して画像データを生成する。イメージセンサ140により生成された画像データは、画像処理部160に入力される。
【0015】
イメージセンサ140は、所定のフレームレート(例えば、30フレーム/秒)で新しいフレームの画像データを生成する。イメージセンサ140における、撮像データの生成タイミングおよび電子シャッタ動作は、制御部180によって制御される。イメージセンサ140は、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ、またはNMOSイメージセンサなど、種々のイメージセンサを用いることができる。
【0016】
イメージセンサ140は、動画像や静止画像の撮像動作、スルー画像の撮像動作等を実行する。スルー画像は主に動画像であり、ユーザが構図を決めるために表示モニタ220に表示される。イメージセンサ140は、本実施形態における撮像部の一例である。
【0017】
電子NDフィルタ150は、可視光などの光の透過率が電子制御により変更可能なフィルタ素子であり、例えば液晶素子又はエレクトロクトミック素子などの各種物性素子で構成される。電子NDフィルタ150は、例えば光学系110とイメージセンサ140との間に配置される。本実施形態の電子NDフィルタ150は、光が入射する入射面における所定単位の位置毎に、透過率を変更可能に構成される。本実施形態における電子NDフィルタ150の構成例を図2に例示する。
【0018】
本実施形態における電子NDフィルタ150は、例えば図2に示すように、複数の画素51が2次元アレイ状に配置された入射面50を有する。電子NDフィルタ150は、光学系110から入射する光を介して、入射面50における電子NDフィルタ150の各画素51と、イメージセンサ140における撮像面上の所定数(1又は複数)の画素とが対応するように、イメージセンサ140に対して位置合わせされる。
【0019】
本実施形態の電子NDフィルタ150は、複数のガラス基板の間に液晶素子が封入されている。電子NDフィルタ150は、領域単位として画素51単位で入射面50上の領域ごと(位置別)に入射する光の透過率を独立に調整可能である。電子NDフィルタ150の入射面50においては、領域ごとに透過率を独立して制御できるようにガラス基板上には当該領域に対応した不図示の透明電極が配置され、不図示の駆動回路が領域ごとに駆動電圧を設定することで各複数の画素51の透過率を独立に調整できる。電子NDフィルタ150は、受光率の一例として透過率を調整する調整部の一例である。
【0020】
図1に戻り、画像処理部160は、イメージセンサ140から出力された画像信号に対して所定の処理を施して画像データを生成したり、画像データに各種の処理を施して、表示モニタ220に表示するための画像を生成したりする。所定の処理としては、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されない。画像処理部160は、ハードワイヤードな電子回路で構成してもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータ、プロセッサなどで構成してもよい。
【0021】
バッファメモリ170は、画像処理部160や制御部180のワークメモリとして機能する記録媒体である。バッファメモリ170は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などにより実現される。フラッシュメモリ240は不揮発性の記録媒体である。各メモリ170,240は、それぞれ本実施形態における記憶部の一例である。
【0022】
制御部180は、デジタルカメラ100全体の動作を制御する。制御部180は、制御動作や画像処理動作の際に、バッファメモリ170をワークメモリとして使用する。
【0023】
制御部180はCPUまたはMPUを含み、CPUまたはMPUがプログラム(ソフトウェア)を実行することで所定の機能を実現する。制御部180は、CPU等に代えて、所定の機能を実現するように設計された専用の電子回路で構成されるプロセッサを含んでもよい。すなわち、制御部180は、CPU、MPU、GPU、DSU、FPGA、ASIC等の種々のプロセッサで実現できる。制御部180は1つまたは複数のプロセッサで構成してもよい。
【0024】
カードスロット190は、メモリカード200を装着可能であり、制御部180からの制御に基づいてメモリカード200に対してアクセスをする。デジタルカメラ100は、メモリカード200に画像データを記録したり、メモリカード200から記録した画像データを読み出したりすることができる。
【0025】
操作部210は、ユーザからの操作(指示)を受け付ける操作部材の総称である。操作部210は、ユーザ操作を受け付けるボタン、レバー、ダイヤル、タッチパネル、ジョイスティック、スイッチ等を含み、例えば方向キー、決定ボタン、シャッタボタン、動画記録ボタン及びファンクションボタンなどを含む。また、操作部210は、表示モニタ220等に表示される仮想的なボタンやアイコンも含んでもよい。
【0026】
表示モニタ220は、種々の情報を表示する表示部の一例である。例えば、表示モニタ220は、イメージセンサ140で撮像され、画像処理部160で画像処理された画像データが示す画像(スルー画像)を表示する。また、表示モニタ220は、ユーザがデジタルカメラ100に対して種々の設定を行うためのメニュー画面等を表示する。表示モニタ220は、例えば、液晶ディスプレイデバイスまたは有機ELデバイスで構成できる。
【0027】
通信モジュール260は、通信規格IEEE802.11またはWi-Fi規格等に準拠した通信を行うモジュール(回路)である。デジタルカメラ100は、通信モジュール260を介して、他の機器と直接通信を行ってもよいし、アクセスポイント経由で通信を行ってもよい。通信モジュール260は、インターネット等の通信ネットワークに接続可能であってもよい。
【0028】
2.動作
以上のように構成されるデジタルカメラ100の動作について、以下説明する。本実施形態のデジタルカメラ100は、ユーザが所望する種々の撮影シーンにおいて電子NDフィルタ150により部分的に減光した画像を撮影する機能を有する。以下、こうしたデジタルカメラ100の動作の概要を説明する。
【0029】
2-1.動作の概要
図3(A),(B)は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の動作の概要を説明するための図である。
【0030】
図3(A)は、露出オーバーが生じた撮影シーンの一例のスルー画像G1を例示する。図3(B)は、本実施形態のデジタルカメラ100による図3(A)の撮影シーンの撮影結果の記録画像G2を例示する。
【0031】
図3(A)に例示する撮影シーンは、被写体としての風景が水平線を境界に二分割された構図において、比較的に明るい領域R1(以下「明領域R1」という)と、比較的に暗い領域R2(以下「暗領域R2」という)とを含む。図3(A)の例では、こうした二分割構図の明領域R1において、明るさが過多な露出オーバーを生じており、白飛びを含むなど不鮮明な被写体の映り具合になっている。
【0032】
上記のような撮影シーンにおける従来の対策としては、例えば明領域R1が露出オーバーにならなくなるまで露出値を低くする露出設定が考えられる。しかしながら、このような露出設定では、例えば図3(A)の暗領域R2において、明るさが不足した露出アンダーとなり、黒つぶれ等の不鮮明な映り具合を招いてしまう。
【0033】
そこで、本実施形態のデジタルカメラ100は、電子NDフィルタ150により透過率を領域別に制御することにより、例えば図3(A)のような撮影シーンであっても、図3(B)に示すように画像全体で鮮明な画像撮影を可能にする。
【0034】
例えば図3(A)の例において、本実施形態のデジタルカメラ100は、電子NDフィルタ150において明領域R1に対応する部分の透過率を選択的に低下させて、暗領域R2の透過率は維持する。これにより、例えば図3(A),(B)に示すように、明領域R1の露出オーバーを解消することができる。この際、暗領域R2の明るさは特に変更されず、露出アンダーも回避できる。このように、画像全体として露出の過不足を抑制して、デジタルカメラ100のダイナミックレンジを活かした撮影結果を得ることができる。
【0035】
本実施形態のデジタルカメラ100は、種々のユースケースに応じて上記のような電子NDフィルタ150を利用した画像撮影を行い易くする各種の動作を行う。本実施形態のデジタルカメラ100の動作の詳細を以下説明する。
【0036】
2-2.全体動作
本実施形態のデジタルカメラ100において上記のように電子NDフィルタ150を利用して画像を撮影する際の全体的な動作について、図4~5を用いて説明する。
【0037】
図4は、本実施形態におけるデジタルカメラ100の全体動作を説明するためのフローチャートである。図5は、におけるデジタルカメラ100の設定メニューの表示例を示す。図4のフローチャートに示す処理は、例えば図5に例示する設定メニューが表示モニタ220に表示された状態で開始され、デジタルカメラ100の制御部180によって実行される。
【0038】
本実施形態のデジタルカメラ100は、例えば図5に示すように、セミオートモード、マニュアルモード、及びフルオートモードといった各種の調整モードを有する。調整モードは、上述した電子NDフィルタ150を利用する画像撮影において透過率の調整が自動又は手動で実現される種々の動作モードである。
【0039】
セミオートモードは、デジタルカメラ100が、ユーザ所望の構図などに応じて自動的に電子NDフィルタ150を調整し、その状態からユーザによる微調整を促す調整モードである。図5の例において、セミオートモードは、例えば二分割構図(図3参照)のためのハーフモード、あるいは額縁構図モード、ゼブラモード、カラーゼブラモード等を含む。こうした各種セミオートモードについては後述する。
【0040】
マニュアルモードは、特にデジタルカメラ100による自動調整を行わずに、ユーザの操作にしたがう手動において電子NDフィルタ150を調整する調整モードである。フルオートモードは、特にユーザ操作を介さずに、デジタルカメラ100が画像撮影の状況に応じて自動的に電子NDフィルタ150を調整する調整モードである。
【0041】
例えば図4のステップS1において、制御部180は、図5に例示するように設定メニューを表示モニタ220に表示させた状態で、操作部210において、電子NDフィルタ150の調整モードに関するユーザ操作を受け付ける。こうしたユーザ操作に応じて、制御部180は、設定された電子NDフィルタ150の調整モードを示す設定情報を取得する(S1)。
【0042】
また、図5に例示する設定メニューは、電子NDフィルタ150の調整におけるグラデーションの要否の設定項目を含む。当該設定項目は、例えば透過率が別個に設定される2領域R1,R2(図3(A))間において透過率にグラデーションを掛けるか否か、即ち透過率を次第に変化させるか否かをON/OFFで設定する。制御部180は、例えば操作部210において上記設定項目についてのユーザ操作に従って、グラデーションの要否の設定情報を取得する(S2)。
【0043】
制御部180は、例えば以上のような電子NDフィルタ150についての設定情報を取得した状態で、表示モニタ220にライブビュー画面を表示させる(S3)。ステップS3では、電子NDフィルタ150は初期状態にあり、例えば全体的に透過率が100%などの初期値に設定される。例えば、図3(A),(B)の例において図3(A)に例示したスルー画像G1が、ステップS3のライブビュー画面に表示される。ライブビュー画面は、リアルタイムにスルー画像G1を表示してユーザ操作を受け付ける操作画面の一例である。
【0044】
又、制御部180は、例えば上記のように取得した設定情報に基づいて、設定された調整モードが(i)セミオートモード、(ii)マニュアルモード、及び(iii)フルオートモードのうちの何れであるかを判断する(S4)。制御部180は、例えば上記のようにライブビュー画面を表示させた状態において、設定された各種調整モードに応じて電子NDフィルタ150の各画素51の透過率を調整するための各種処理を行う(S5~S7)。
【0045】
例えば、設定された調整モードがセミオートモードである場合(S4で(i))、制御部180は、セミオートのフィルタ調整処理を行う(S5)。当該フィルタ調整処理(S5)では、各種セミオートモードで想定される構図等に応じて、透過率を調整する対象とする部分的な領域(すなわち部分領域)等を検出し、検出結果に対する微調整のユーザ操作を受け付ける。ステップS5の処理の詳細は後述する。
【0046】
また、設定された調整モードがマニュアルモードである場合(S4で(ii))、制御部180は、マニュアルのフィルタ調整処理を行う(S6)。当該フィルタ調整処理(S6)では、ユーザ操作にしたがって、ユーザが所望した部分領域とその透過率を電子NDフィルタ150に設定する。ステップS6の処理の詳細は後述する。
【0047】
また、設定された調整モードがフルオートモードである場合(S4で(iii))、制御部180は、フルオートのフィルタ調整処理を行う(S7)。当該フィルタ調整処理(S7)では、例えば撮影シーンにおける各部の明るさに応じて、自動的に電子NDフィルタ150の各画素51の透過率を調整する。ステップS7の処理の詳細は後述する。
【0048】
制御部180は、以上のように各種のフィルタ調整処理(S5~S7)において電子NDフィルタ150が調整された状態において、デジタルカメラ100による画像撮影の動作を実行する(S8)。例えば静止画撮影において、制御部180は、操作部210におけるシャッタボタン押下などのユーザ操作を検出するとイメージセンサ140に静止画の撮像動作を実行させて、生成された画像データを、カードスロット190を介してメモリカード200に記録する。ステップS8では、複数枚の静止画が撮影されてもよいし、連写撮影が行われてもよい。又、ステップS8は、特に静止画撮影に限らず、動画撮影であってもよい。
【0049】
以上の全体動作によると、本実施形態のデジタルカメラ100は、自動的に又はユーザ操作に応じた設定において電子NDフィルタ150における透過率を部分的に調整して(S5~S7)、画像撮影を行う(S8)。これにより、様々な撮影状況において適切に電子NDフィルタ150の調整が行え、露出の過不足を低減した画像撮影を行い易くできる。
【0050】
また、ステップS2のグラデーションの設定によると、デジタルカメラ100は、例えば図3(B)の例における記録画像G2において明領域R1と暗領域R2との間で透過率を連続的に変化するように調整する。これにより、例えば撮影結果の記録画像G2内で電子NDフィルタ150による明るさの変化を自然な印象にできる等、ユーザ所望の調整を行い易くできる。ステップS2のグラデーションの設定情報としては、要否のみに限らず、例えばグラデーションを掛ける範囲又は変化率などの詳細も、ユーザ設定可能であってもよい。
【0051】
2-2-1.セミオートのフィルタ調整処理
図4のステップS5におけるセミオートのフィルタ調整処理について、図6~9を用いて説明する。
【0052】
まず、制御部180は、例えば図4のステップS1で取得した調整モードの設定情報に基づいて、設定されたセミオートモードが、(i)ハーフモード、(ii)額縁構図モード、(iii)ゼブラモード、及び(iv)カラーゼブラモードのうちの何れであるのかを判断する(S11)。
【0053】
(1)ハーフモードについて
ハーフモードは、例えば図3に示したような二分割構図において、明領域R1と暗領域R2間の明るさの差異を低減するように各領域R1,R2の透過率を互いに異ならせる調整モードである。
【0054】
制御部180は、設定されたセミオートの調整モードがハーフモードである場合(S11で(i))、例えばスルー画像G1上で二分割構図における2領域を規定する分割線を認識する(S12)。次に、制御部180は、表示モニタ220のライブビュー画面に、認識した分割線を表示させる(S13)。ステップS13の表示例を図7(A)に示す。
【0055】
図7(A)は、図3(A)のスルー画像G1におけるステップS12の認識結果を例示する。例えば、制御部180は、スルー画像G1の画像認識により、図3(A)の例において水平線を、明領域R1と暗領域R2との間の分割線L1として認識する(S12)。制御部180は、こうした分割線L1の認識(S12)により、分割線L1を境界とした明領域R1又は暗領域R2といった部分領域を検出することができる。
【0056】
例えばステップS12において、制御部180は、被写体の形状認識又はエッジ抽出、明るさ解析などの画像認識により、スルー画像G1を分割するように所定方向に延在する直線を、分割線L1として検出する。分割線L1の所定方向は、例えばスルー画像G1(或いは入射面50)における水平方向などに予め設定される。所定方向は、水平方向に限らず、垂直方向であってもよいし、両方向間の各種の方向であってもよい。又、分割線L1は、直線に限らず、一部又は全体が屈曲もしくは湾曲する曲線であってもよい。
【0057】
制御部180は、例えば、図7(A)に例示するようなライブビュー画面が表示された状態(S13)において、操作部210において分割線L1の位置等を変更あるいは決定するユーザ操作を受け付ける(S14)。こうしたユーザ操作は、例えばライブビュー画面におけるタッチ操作、或いは所定のボタンの押下操作等に予め設定される。ステップS14では分割線L1の位置に限らず、分割線L1の方向または形状を変更するユーザ操作が入力可能であってもよい。
【0058】
制御部180は、分割線L1の変更操作が入力された場合(S14でYES)、入力されたユーザ操作に応じて、分割線L1の位置を変更してステップS13以降の処理を再び行う。例えば、ユーザは、図7(A)の例において分割線L1の位置を上下に移動させるように変更操作を入力してから、所望の位置にある状態で決定操作を入力できる。
【0059】
制御部180は、分割線L1の変更操作ではなく決定操作が入力された場合(S14でNO)、例えば、表示中の分割線L1に応じたフィルタ対応領域を決定して、フィルタ対応領域において露出オーバーが解消できる透過率を検出する(S15)。ステップS15の処理について、図7(A),(B)を用いて説明する。
【0060】
図7(B)は、図7(A)の分割線L1に応じたフィルタ対応領域R10を例示する。ステップS15において、制御部180は、例えばスルー画像G1における分割線L1とこれに分割される2領域R1,R2の明るさとに基づいて、電子NDフィルタ150の入射面50において、明領域R1に対応する領域をフィルタ対応領域R10に決定する。さらに、制御部180は、例えば、決定したフィルタ対応領域R10に対応する明領域R1において最も明るい画素の輝度が上限値「255」以下となるような、フィルタ対応領域R10の透過率を検出する(S15)。
【0061】
例えば、ステップS15において制御部180は、フィルタ対応領域R10の透過率を徐々に低下させながら、新たに撮像されるスルー画像G1において明領域R1における白飛びの有無の検出を繰り返す。或いは、制御部180は、まず明領域R1において白飛びがなくなると想定される程度までフィルタ対応領域R10の透過率を充分に低下させてから、明領域R1において輝度が最も高い画素とその輝度を検出して、当該画素の輝度が上限値近傍となる透過率を計算してもよい。
【0062】
制御部180は、例えば検出した透過率をフィルタ対応領域R10に設定するように電子NDフィルタ150を制御して、透過率の設定が反映された状態におけるイメージセンサ140の撮像結果のスルー画像G1を表示モニタ220に表示させる(S16)。この際、制御部180は、例えば操作部210において、フィルタ対応領域R10に設定された透過率を変更あるいは決定するユーザ操作を受け付ける(S17)。ステップS17の表示例を図7(C),(D)に例示する。
【0063】
図7(C)は、図7(A)の例においてユーザの決定操作(S14)に応じて、スルー画像G1上の領域R1’が透過率の調整対象として決定されてから、透過率の変更操作(S17)を受け付ける表示画面を例示する。制御部180は、図7(C)の例において上記領域R1’に対応する電子NDフィルタ150のフィルタ対応領域R10(図7(B))の透過率が80%に調整された状態のスルー画像G1と、領域R1’についての透過率のインジケータJ1とを表示モニタ230に表示させている。
【0064】
こうした表示画面(図7(C))の表示中に、デジタルカメラ100が操作部230においてステップS17で受け付けるユーザ操作は、所定のタッチ操作或いは方向キー、又は/及びダイヤル操作、決定ボタン等の操作に予め設定される。例えば、透過率を増減させるには、ステップS14で決定された領域R1’に対してユーザは物理的なダイヤルを用いて透過率を増加または減少させる方向に操作したり、インジケータJ1等に対するタッチ操作を行ったりすることで実現できる。
【0065】
また、本実施形態のデジタルカメラ100において、こうしたユーザ操作を受け付けるユーザインタフェースは、特に上記の例に限定されず、種々のユーザインタフェースを知用可能である。例えば、インジケータJ1に代えて透過率の諧調を示すバーJ2(図7(D))に対するユーザによるタッチ操作で透過率を増加または減少させてもよい。また、ステップS14で決定された領域R1’に対して更に部分的に透過率を増減させる場合は、ユーザは決定された領域R1’内の所定領域を表示画面上のタッチ操作又はジョイスティックの操作で指し示し、その後、ダイヤルを用いて透過率を増加または減少させる方向に操作してもよい。ユーザによって上記領域が指示された箇所は、表示画面上に当該箇所を表示させることが望ましい。
【0066】
図6に戻り、制御部180は、透過率の変更操作が入力された場合(S17でYES)、入力されたユーザ操作に応じて、フィルタ対応領域R10の透過率を変更してステップS16以降の処理を再び行う。ユーザは、ライブビュー画面において設定された透過率が反映されたスルー画像G1を確認しながら、透過率の変更操作または決定操作を入力できる。
【0067】
制御部180は、透過率の変更操作ではなく決定操作が入力された場合(S17でNO)、例えば、電子NDフィルタ150の現在の状態を調整結果として、ハーフモードのフィルタ調整処理(S5)を終了し、図4のステップS8に進む。
【0068】
以上のハーフモードのフィルタ調整処理(S11~S17)によると、ハーフモードで想定される二分割構図における2領域R1,R2間の明暗差を低減するように、電子NDフィルタ150の領域別の透過率を調整することができる。
【0069】
図7(B)では、グラデーション要否(図4のS2)がOFFの場合における透過率の設定を例示した。この場合、電子NDフィルタ150のフィルタ対応領域R10において、透過率が初期値「100%」から低減される一方、フィルタ対応領域R10外部は初期値で維持される。一方、グラデーション要否がONの場合、例えば、電子NDフィルタ150のフィルタ対応領域R10から外部に向けて次第に透過率が増大して、連続的に初期値に至るように設定される。
【0070】
以上の説明では、1つの分割線L1が認識される例を説明したが、デジタルカメラ100は、複数の分割線を認識してもよい。例えば、制御部180は、三分割構図において2つの分割線を認識してもよく、3つの領域のうちの中央などの一つを電子NDフィルタ150の調整対象としてもよい。また、電子NDフィルタ150の透過率が調整されるフィルタ対応領域の個数は1つに限らず、複数のフィルタ対応領域が設定されてもよい。
【0071】
(2)額縁構図モードについて
図8は、デジタルカメラ100における額縁構図モードの表示例を示す。額縁構図モードは、例えば図8に示すように、画像全体の中の一部が囲まれたような構図すなわち額縁構図において想定される明暗差を低減するように、電子NDフィルタ150を利用する調整モードである。
【0072】
例えば、図8の例では、屋外の風景が屋内の窓枠に囲まれて、囲み枠L2の内側の明領域R21と、外側の暗領域R22とが生じている。こうした額縁構図においては、囲み枠L2内の明領域R21における屋外の風景が白飛びしたり、暗領域R22における屋内の壁面などが黒つぶれしたりする事態が懸念される。そこで、額縁構図モードが設定された場合(S11で(i))、制御部180は、例えば上記のように明領域R21と暗領域R22とを規定する囲み枠L2を認識する(S18)。
【0073】
例えばステップS18において、制御部180は、スルー画像G1の画像認識によって矩形、三角形、多角形及び丸形といった所定形状を検出することにより、囲み枠L2を認識する。制御部180は、囲み枠L2の認識(S18)により、その内外の各領域R21,R22を検出できる。被写体において囲み枠L2に相当する部分は、必ずしも閉じた枠形状を有していなくてもよい。制御部180は、例えばスルー画像G1上で適宜補間して囲み枠L2を認識してもよい。又、囲み枠L2は、画像全体の端部を部分的に含んでいてもよい。又、ステップS18において、制御部180は、1つの囲み枠L2に限らず、複数の囲み枠を検出してもよい。
【0074】
制御部180は、例えば図8に示すように、認識した囲み枠L2を表示モニタ220に表示させて(S19)、操作部210において、囲み枠L2の変更あるいは決定のためのユーザ操作を受け付ける(S20)。囲み枠L2の変更操作は、例えば、囲み枠L2のサイズ、形状および位置等を変更可能である。
【0075】
制御部180は、囲み枠L2の変更操作が入力された場合(S20でYES)、入力されたユーザ操作に応じて囲み枠L2の位置等を変更してステップS19以降の処理を再び行う。一方、制御部180は、囲み枠L2の変更操作でなく決定操作が入力された場合(S20でNO)、制御部180は、例えば表示中の囲み枠L2内の明領域R21に対応するフィルタ対応領域についてステップS15以降の処理を行う。これにより、デジタルカメラ100は、例えば囲み枠L2内の明領域R21の露出オーバーを解消する透過率を検出する(S15)。
【0076】
以上のように、額縁構図モードのフィルタ調整処理(S18~S20,S15~S17)によると、額縁構図において想定される明暗差を低減するような、画像撮影における明るさの調整を行い易くできる。例えば図8の例において、囲み枠L2内の明領域R21における露出オーバーを回避して屋外の風景を鮮明に映しながら、且つ、囲み枠L2外の暗領域R22における露出アンダーを回避して屋内の壁面を鮮明に映すことができる。
【0077】
以上の説明では、囲み枠L2の内部のフィルタ対応領域の透過率を変更する例を説明したが、額縁構図モードは特にこれに限定されない。例えば、囲み枠L2の外部が内部よりも明るくて露出オーバーを生じている場合、制御部180は、ステップS15において囲み枠L2の外部領域のフィルタ対応領域を決定して、ステップS16以降で電子NDフィルタ150の透過率を低減する調整を行える。
【0078】
(3)ゼブラモードについて
図9は、デジタルカメラ100におけるゼブラモードの表示例を示す。ゼブラモードは、所謂ゼブラ表示機能と同様に白飛び等に応じた所定の輝度レベルを有する領域を検出して、電子NDフィルタ150に利用する調整モードである。
【0079】
デジタルカメラ100において設定された調整モードがゼブラモードである場合(S21で(iii))、制御部180は、例えばスルー画像G1における各画素の輝度に基づいて、輝度が所定レベルである明領域R31を検出して(S21)、表示モニタ220に表示させる(S22)。所定レベルは、例えば画像上の輝度の上限値「255」である。輝度の所定レベルは特に上記に限らず、上限値以下の所定範囲に設定されてもよい。
【0080】
図9の例において、表示モニタ220は、所謂ゼブラ表示機能と同様に、検出された明領域R31においてゼブラ模様を表示している。ゼブラモードの制御部180は、所謂ゼブラ表示機能と同様に、ライブビュー画面において所定の輝度レベルを有する領域にゼブラ模様を表示させる。制御部180は、こうしたゼブラ模様に加えて、ステップS21における検出結果の明領域R31を識別する境界線等を表示してもよい(S22)。
【0081】
制御部180は、例えば検出した明領域R31に対応するフィルタ対応領域についてステップS15以降の処理を行う。これにより、ステップS21で検出された明領域R31に対する透過率が変更される(S15)。この際、デジタルカメラ100は、その後に撮像されたライブビュー画面においてゼブラ表示を随時更新し得る。これにより、例えば透過率の制御により輝度が所定レベル未満になれば、ゼブラ模様は表示されなくなる。
【0082】
以上のように、ゼブラモードのフィルタ調整処理(S21~S22,S15~S17)によると、輝度が所定レベルである領域の透過率を選択的に低減して、露出オーバーを解消する調整を行い易くできる。
【0083】
以上の説明では、1つの明領域R31が検出される例を説明したが、ゼブラモードはこれに限定されない。例えば、制御部180は、輝度の所定レベルに基づき複数の部分領域を検出してもよい。又、輝度の所定レベルが複数、設定されてもよく、各レベルに応じた領域検出が実行可能である。又、こうした場合の透過率の設定は、領域毎に別々に行われてもよいし、統括的に行われてもよい。
【0084】
(4)カラーゼブラモードについて
カラーゼブラモードは、ゼブラモードにおいて検出対象とした輝度の代わりに色値を検出対象として、ゼブラモードと同様に電子NDフィルタ150の調整を行う調整モードである。
【0085】
デジタルカメラ100において設定された調整モードがカラーゼブラモードである場合(S21で(iv))、制御部180は、ゼブラモードのステップS21の代わりに、例えばスルー画像G1上で、特定色の色値が所定レベルである明領域を検出する(S23)。特定色は、例えばRGBにおいて予め設定された色である。所定レベルは、例えばゼブラモードと同様に設定可能である。
【0086】
制御部180は、特定色の明領域の検出結果に基づいて、ゼブラモードと同様にステップS22以降の処理を行う。こうしたカラーゼブラモードのフィルタ調整処理(S23,S22,S15~S17)によると、例えば白飛びの代わりに赤飛びといった特定の色の飽和状態に対して電子NDフィルタ150を利用して、色飽和を抑制した画像撮影を容易に実現することができる。
【0087】
以上のような各種のセミオートモードは、適宜併用されてもよい。例えば、制御部180は、ゼブラモードによる輝度に基づいた領域検出と、カラーゼブラモードによる色値に基づいた領域検出とを同時に行ってもよい。各々検出された領域について、透過率を調整することにより、例え白飛びと色飽和とを同時に抑制することができる。
【0088】
2-2-2.マニュアルのフィルタ調整処理
本実施形態のデジタルカメラ100は、特に上記のセミオートモードのように自動的な各種検出を行わずに、電子NDフィルタ150を調整してもよい。図4のステップS6におけるマニュアルのフィルタ調整処理の詳細について、図10を用いて説明する。
【0089】
例えば、まず、制御部180は、図4のステップS3で表示されたライブビュー画面上でユーザが透過率を調整したい領域を指定する操作を、操作部210において受け付けて、ユーザ指定の領域情報を取得する(S31)。例えば、ユーザ指定の領域情報は、ユーザ操作により指定された、スルー画像G1上の部分領域の位置、形状および個数などを含む。
【0090】
次に、制御部180は、取得したユーザ指定の領域情報に基づいて、表示モニタ220のライブビュー画面において、ユーザ操作による部分領域を可視化する表示制御を行う(S32)。ステップS32において、制御部180は、ライブビュー画面上で指定された領域を強調表示してもよいし、電子NDフィルタ150において、指定された部分領域のフィルタ対応領域の透過率を所定値(例えば最小値)に変更してもよい。
【0091】
上記の表示状態において、制御部180は、部分領域の変更或いは決定のためのユーザ操作を受け付ける(S33)。部分領域の変更操作が入力された場合(S33でYES)、制御部180は、入力されたユーザ操作に応じて部分領域を変更してステップS32以降の処理を再び行う。一方、制御部180は、部分領域の決定操作が入力された場合(S33でNO)、例えば、電子NDフィルタ150の入射面50において、表示中の部分領域に応じたフィルタ対応領域を決定する(S34)。ここで部分領域の変更は、ユーザが所定領域を表示画面上のタッチ操作又はジョイスティックの操作で指し示することで実現できる。こうした部分領域の設定時において、デジタルカメラ100は、例えばユーザ操作に応じて所定領域を拡大する画面表示を行ってもよい。
【0092】
また、制御部180は、例えばセミオートのフィルタ調整処理(図6)のステップS16,S17と同様に、ユーザ操作に応じてフィルタ対応領域の透過率を調整するための処理を行う(S35,S36)。例えば、制御部180は、決定したフィルタ対応領域における現在の透過率がライブビュー画面の表示に反映された状態(S35)で、操作部210において当該透過率の変更或いは決定のためのユーザ操作を受け付ける(S36)。ここで、透過率を増減させるには、決定されたフィルタ対応領域に対してユーザはダイヤルを用いて透過率を増加または減少させる方向に操作すれば実現できる。
【0093】
制御部180は、透過率の変更操作が入力された場合(S36でYES)、入力されたユーザ操作に応じて、フィルタ対応領域の透過率を変更してステップS35以降の処理を再び行う。一方、制御部180は、透過率の決定操作が入力された場合(S36でNO)、例えば、電子NDフィルタ150の現在の状態を調整結果として、マニュアルのフィルタ調整処理(S6)を終了し、図4のステップS8に進む。
【0094】
以上のマニュアルのフィルタ調整処理(S31~S36)によると、デジタルカメラ100は、ユーザ操作にしたがって、電子NDフィルタ150におけるフィルタ対応領域とその透過率とを調整することができる。
【0095】
2-2-3.フルオートのフィルタ調整処理
本実施形態のデジタルカメラ100は、特にユーザ操作を介さずに、自動的に電子NDフィルタ150を調整してもよい。図4のステップS7におけるフルオートのフィルタ調整処理の詳細について、図11~13を用いて説明する。
【0096】
図11(A)~(F)は、本実施形態のデジタルカメラ100におけるフルオードモードを説明するための図である。
【0097】
図11(A)は、フルオートモードによる調整前のスルー画像G1を例示する。図11(B)は、図11(A)のスルー画像G1における輝度と画素との対応関係を例示する。図11(B)の縦軸は輝度を示し、横軸は画素に対応する。図中の左側はより暗い画素に対応し、右側はより明るい画素に対応する(図11(D),(F)も同様)。
【0098】
図11(A),(B)は、電子NDフィルタ150の透過率が初期値として最大値「100%」に設定された状態を例示する。図11(A)のスルー画像G1では、背景が明る過ぎることによって白飛びが生じている。これに応じて、図11(B)のグラフでは、対応する画素の輝度が上限値「255」を潜在的に上回った状態を破線で図示している。
【0099】
図11(C),(D)は、図11(A),(B)の状態から画像全体において電子NDフィルタ150の透過率を低減された状態を例示する。例えば露出設定あるいは画面全体で一律制御の電子NDフィルタといった従来技術では、図11(A),(B)の状態の白飛びを解消するべく調整すると、図11(C)と同様に黒つぶれが生じてしまう。これに応じて、図11(D)のグラフでは、対応する画素の輝度が下限値「0」を潜在的に下回った状態を破線で図示している。
【0100】
以上のような白飛びおよび黒つぶれは、画像上の特定の領域に限らず、様々な位置に散在する場合も考えられる。そこで、本実施形態のデジタルカメラ100は、フルオートモードにおいて自動的に上記のような白飛びと黒つぶれとの双方を解消するべく、各画素の明るさ(即ち入射面50における光量)に応じて電子NDフィルタ150の透過率を調整する。図11(A)~(D)の例に対するフルオートモードの調整結果を図11(E),(F)に例示する。
【0101】
図11(E),(F)の例では、本実施形態のデジタルカメラ100におけるフルオートのフィルタ調整処理(図4のS7)により、最も明るい画素と最も暗い画素との明暗差が低減されて、図11(A)~(D)の白飛び黒つぶれが解消できている。こうしたフルオートモードの動作は、特にグラデーションの要否(図4のS2)を設定せずに行える。図12は、デジタルカメラ100におけるフルオートのフィルタ調整処理(S7)を例示するフローチャートである。
【0102】
まず、制御部180は、例えば図11(A),(B)に示すように電子NDフィルタ150の透過率が初期値(100%)の状態において、スルー画像G1上で最も暗い画素とその輝度を検出する(S41)。
【0103】
又、例えばステップS41において、制御部180は、図11(A)で白飛びしておらず図11(B)で上限値「255」未満の各画素の輝度値を取得し、当該画素と各々の輝度値とを対応付けて管理する。また、制御部180は、輝度が上限値「255」で白飛びした画素を特定してもよい。こうした画素の管理は、電子NDフィルタ150の1画素51に対応する複数画素を纏めて行われてもよい。
【0104】
次に、制御部180は、例えば図11(C),(D)に示すように電子NDフィルタ150の透過率を低減させて、最も明るい画素の輝度が上限値「255」となる透過率を検出する(S42)。
【0105】
例えばステップS42において、制御部180は、図11(B)では白飛びしていた各画素を含む画素群について、図11(D)の状態において各画素の輝度値を取得して、ステップS41における管理下の対応関係に追加する。これにより、例えば図11(B)の実線部分に加えて破線部分の範囲まで、全ての画像にわたる各画素と輝度値との対応関係を管理することができる。こうして管理される画素51毎の輝度値は、電子NDフィルタ150の入射面50に入射する光の光量に起因する。
【0106】
次に、制御部180は、ステップS41,S42で得られた各種情報に基づいて、例えば輝度値の大小に比例して透過率を割り当てる配分において電子NDフィルタ150の各画素51の透過率を設定する(S43)。ステップS43の処理を、図13を用いて説明する。
【0107】
図13は、フルオートモードにおける電子NDフィルタ150の透過率の配分を説明するための図である。図13の縦軸は、図11(B)と同様に各画素の輝度値を示し、横軸は電子NDフィルタ150の透過率を示す。
【0108】
ステップS43において、制御部180は、例えば図13に示すように、最も明るい画素の輝度値「355」から最も暗い画素「50」までの範囲における各輝度値と、透過率との対応関係を演算する。図13の例では、ステップS42で検出された透過率と最高の輝度値「355」とが対応付けされ、透過率が、対応する輝度値の減少に対して線形に増大するように設定されている。又、図13中に実線で示す設定では、最低の輝度値「50」が透過率の最大値「100%」に対応付けられている。
【0109】
制御部180は、例えば以上のような透過率と輝度値間の対応関係(図13)と、ステップS41~S42において管理した輝度値と画素間の対応関係(図11(B)参照)とに基づいて、図13の各輝度値に対応する透過率を、当該輝度値に対応する画素51に割り当てる(S43)。
【0110】
制御部180は、以上のような電子NDフィルタ150の透過率の調整により(S43)、フルオートモードのフィルタ調整処理(S7)を終了し、例えば図4のステップS8に進む。
【0111】
以上のフルオートモードのフィルタ調整処理(S41~43)によると、デジタルカメラ100は、スルー画像G1の輝度から撮影シーンにおいて入射する画素毎の光量を考慮して、自動的に電子NDフィルタ150の各画素51の透過率を調整できる。
【0112】
これにより、例えば図11(B)の例において上限値「255」を上回る画素には透過率が比較的低く設定され(図13)、図11(F)に示すように当該画素の輝度を上限値以下に抑えて、白飛びを解消できる(図11(A),(E))。又、例えば図11(D)の例において下限値「0」を下回る画素には透過率が比較的高く設定されて、図11(F)に示すように当該画素の輝度を下限値以上にでき、黒つぶれを回避できる(図11(C),(E))。
【0113】
以上の説明では、ステップS43における透過率の配分の一例を説明した。ステップS43における透過率の配分は、上記の例に限らず種々の配分が可能である。例えば、図13に破線で示すように、最低の輝度値に対応する透過率は最大値未満であってもよい。例えば、図11(F)に破線で示すように、最も暗い画素の輝度を下限値「0」に低減するように、最低の輝度値に対応する透過率が設定されてもよい。これにより、デジタルカメラ100のダイナミックレンジをより広く用いる明るさの調整を実現できる。
【0114】
3.まとめ
以上のように、本実施形態における撮像装置の一例のデジタルカメラ100は、撮像部の一例のイメージセンサ140と、制御部180と、記録部の一例のカードスロット190と、調整部の一例の電子NDフィルタ150とを備える。イメージセンサ140は、入射する光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する。制御部180は、イメージセンサ140を用いた画像撮影動作を制御する。カードスロット190は、画像撮影動作の結果として画像データを、記録媒体の一例のメモリカード200に記録する。電子NDフィルタ150は、画像データが示す画像に対応して光が入射する入射面50における位置別に、イメージセンサ140が光を受光する受光率の一例の透過率を調整する。制御部180は、入射面50において画像の一部に対応する位置の受光率と他の位置の受光率とを異ならせるように電子NDフィルタ150を制御する(S5~S7)。制御部180は、画像撮影動作において電子NDフィルタ150により受光率を異ならせた状態における画像をイメージセンサ140に撮像させて、当該画像を示す画像データをカードスロット190に記録させる(S8)。
【0115】
以上のデジタルカメラ100によると、電子NDフィルタ150により部分的に透過率を変更する調整の状態において画像撮影動作を行って、撮影される画像において明るさを調整し易くすることができる。
【0116】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、イメージセンサ140が撮像した撮像画像の一例のスルー画像G1において露出に過不足がある部分領域(例えば明領域R11)を検出し(S12)、入射面50において部分領域に対応する位置の受光率を調整するように電子NDフィルタ150を制御する(S15~S17)。これにより、電子NDフィルタ150を用いて露出の過不足を抑制でき、画像撮影における明るさの調整を行い易くできる。
【0117】
本実施形態のデジタルカメラ100は、スルー画像G1を表示する操作画面の一例のライブビュー画面に対するユーザの操作が入力可能な操作部210をさらに備える。制御部180は、検出した部分領域を操作画面に表示させて、部分領域と部分領域における受光率とのうちの少なくとも一方を変更するユーザ操作を、操作部において受け付ける(S13~S17)。これにより、デジタルカメラ100の検出結果をユーザに提示して微調整を促し、電子NDフィルタ150を用いた明るさの調整を行い易くすることができる。ユーザ操作は、部分領域と受光率との内の一方のみの変更であってもよい。
【0118】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、部分領域における露出の過不足が解消される受光率を検出する(S15)。これにより、露出の過不足が解消できる受光率が自動的に検出され、電子NDフィルタ150を用いた明るさの調整を行い易くすることができる。
【0119】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、スルー画像G1を複数の領域R1,R2に分割する分割線L1を認識して、分割された複数の領域R1,R2から明領域R1といった部分領域を検出する。これにより、デジタルカメラ100は、ユーザが二分割構図などを撮影したい際にその構図に合わせて、透過率を調整し得る部分領域を検出でき、画像撮影における明るさの調整を行い易くすることができる。
【0120】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、スルー画像G1における一部の領域R11を囲む枠形状L2を認識して、枠形状の内側又は外側を部分領域R11,R12として検出する(S18)。これにより、デジタルカメラ100は、ユーザが額縁構図を用いる際等に、この構図で想定される明暗差に応じて透過率を調整し得る部分領域を検出でき、画像撮影における明るさの調整を行い易くすることができる。
【0121】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、撮像画像における輝度と色値との少なくとも一方が所定レベルである領域を、部分領域として検出する(S21,S23)。これにより、例えばユーザはゼブラ表示機能のように白飛びを確認しつつ白飛びが生じた部分を選択的に減光できたり、白飛びに変えて色飽和を抑制できたりして、画像撮影における各種明るさの調整を行い易くすることができる。
【0122】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、受光率が調整される部分領域を設定して(S2)、設定された部分領域の内部と外部との間において受光率が次第に変化するように電子NDフィルタ150を制御する。こうしたグラデーションの設定により、電子NDフィルタ150により部分的に透過率を変更する際に、境界部分を自然な印象にし易くできる。
【0123】
本実施形態のデジタルカメラ100は、イメージセンサ140が撮像したスルー画像G1を表示する操作画面上で、スルー画像G1における部分領域と部分領域における受光率とを指定するユーザ操作が入力可能な操作部210をさらに備える。制御部180は、操作部において入力されたユーザ操作に応じて、入射面において部分領域に対応する位置の受光率を調整するように電子NDフィルタ150を制御する(S31~S36)。これにより、特にデジタルカメラ100の自動調整を用いないマニュアルモードにおいて、ユーザ所望の調整を行え、明るさ調整を行い易くすることができる。
【0124】
本実施形態のデジタルカメラ100において、制御部180は、入射面50における各位置に入射する光の光量に応じて、当該位置の光量が大きいほど受光率を低減するように電子NDフィルタ150を位置毎に制御する(S43)。これにより、デジタルカメラ100は、撮影状況における各部の明るさに応じて自動的に透過率を設定して、画像撮影における明るさ調整を行い易くすることができる。
【0125】
本実施形態のデジタルカメラ100において、調整部は、入射面50における各位置において、入射する光の透過率を受光率として調整する電子NDフィルタ150で構成される。これにより、領域制御の電子NDフィルタ150を用いて、画像撮影における明るさ調整を行い易くすることができる。
【0126】
(他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0127】
上記の実施形態1では、画素単位で透過率を調整可能な電子NDフィルタ150について説明した。本実施形態において、電子NDフィルタ150は、画素単位で調整可能でなくてもよく、例えば行単位または列単位で透過率を調整可能であってもよい。この場合であっても、デジタルカメラ100は、例えばハーフモードにおいて各単位方向に沿った分割線を認識して、部分領域に対する透過率を調整でき、上記実施形態と同様に露出の過不足を低減した調整を実現できる。
【0128】
上記の各実施形態では、調整部の一例として電子NDフィルタ150を説明したが、本実施形態の調整部は、電子NDフィルタ150に限定されない。例えば、本実施形態における調整部は、イメージセンサ140における各画素における光電変換の量子効率といった感度を受光率として調整する構成であってもよい。こうした調整部としては、例えば特許文献2等の公知技術を適用できる。この場合、調整部の入射面は撮像部の撮像面と合致し、撮像部と調整部とが一体的に構成されてもよい。
【0129】
また、上記の各実施形態では、露出オーバーを解消するようにフィルタ対応領域の透過率を調整する動作例を説明したが、特に露出オーバーに限らず露出アンダーを解消するように受光率が調整されてもよい。例えば、画素の感度を変更可能な調整部を用いて、露出アンダーの領域の感度を増大させてもよい。また、電子NDフィルタ150において、初期値を最大値よりも下げておき、露出アンダーの箇所に応じて透過率を増大させてもよい。
【0130】
また、上記の各実施形態では、スルー画像G1から被写体の明るさを検出するデジタルカメラ100の動作例を説明した。本実施形態のデジタルカメラ100は、特にこれに限らず、例えばイメージセンサ140とは別に測光センサを備えてもよい。本実施形態において、デジタルカメラ100の測光センサは、例えば調整部による調整とは独立して測光可能に構成されてもよい。本実施形態のデジタルカメラ100は、こうした測光センサによる測定結果を用いて、調整部の入射面における位置毎の受光率を調整することが容易である。
【0131】
また、上記の各実施形態では、デジタルカメラ100の記録部としてカードスロット190を例示したが、記録部はこれに限定されない。本実施形態において、記録部による記録先の記録媒体は、メモリカード200に限らず、例えばSSDドライブなどの外部記憶装置であってもよい。本実施形態において、記録部は、デジタルカメラ100から外部記憶装置へのデータ書き込みを行う各種インタフェース回路であってもよく、種々の通信規格に従ってデータ送信を行う各種の通信モジュールであってもよい。こうした記録部としての通信モジュールは、デジタルカメラ100から外部配信のために各種媒体へのデータ記録を行ってもよい。
【0132】
また、上記の各実施形態では、表示部の一例として表示モニタ220を例示した。本実施形態のデジタルカメラ100において、表示部は、表示モニタ220に限らず、例えばEVF(電子ビューファインダ)や、HDMI(登録商標)規格などで映像信号を出力する出力モジュール等であってもよい。
【0133】
また、上記の各実施形態では、光学系110及びレンズ駆動部120を備えるデジタルカメラ100を例示した。本実施形態の撮像装置は、光学系110及びレンズ駆動部120を備えなくてもよく、例えば交換レンズ式のカメラであってもよい。
【0134】
また、上記の各実施形態では、撮像装置の例としてデジタルカメラを説明したが、これに限定されない。本開示の撮像装置は、画像撮影機能を有する電子機器(例えば、ビデオカメラ、スマートフォン、タブレット端末等)であればよい。
【0135】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。
【0136】
(態様のまとめ)
以下、本開示に係る各種態様を列記する。
【0137】
本開示に係る第1の態様は、入射する光の受光により被写体像を撮像して、画像データを生成する撮像部と、撮像部を用いた画像撮影動作を制御する制御部と、画像撮影動作の結果として画像データを記録媒体に記録する記録部と、画像データが示す画像に対応して光が入射する入射面における位置別に、撮像部が光を受光する受光率を調整する調整部とを備え、制御部は、入射面において画像の一部に対応する位置の受光率と他の位置の受光率とを異ならせるように調整部を制御し、画像撮影動作において調整部により受光率を異ならせた状態における画像を撮像部に撮像させて、当該画像を示す画像データを記録部に記録させる、撮像装置である。
【0138】
第2の態様では、第1の態様の撮像装置において、制御部は、撮像部が撮像した撮像画像において露出に過不足がある部分領域を検出し、入射面において部分領域に対応する位置の受光率を調整するように調整部を制御する。
【0139】
第3の態様では、第1又は第2の態様の撮像装置が、撮像画像を表示する操作画面に対するユーザの操作が入力可能な操作部をさらに備え、制御部は、検出した部分領域を操作画面に表示させて、部分領域と部分領域における受光率とのうちの少なくとも一方を変更するユーザ操作を、操作部において受け付ける。
【0140】
第4の態様では、第1ないし第3の態様の何れかの撮像装置において、制御部は、部分領域における露出の過不足が解消される受光率を検出する。
【0141】
第5の態様では、第1ないし第4の態様の何れかの撮像装置において、制御部は、撮像画像を複数の領域に分割する分割線を認識して、分割された複数の領域から部分領域を検出する。
【0142】
第6の態様では、第1ないし第5の態様の何れかの撮像装置において、制御部は、撮像画像における一部の領域を囲む枠形状を認識して、枠形状の内側又は外側を部分領域として検出する。
【0143】
第7の態様では、第1ないし第6の態様の何れかの撮像装置において、制御部は、撮像画像における輝度と色値との少なくとも一方が所定レベルである領域を、部分領域として検出する。
【0144】
第8の態様では、第1ないし第7の態様の何れかの撮像装置において、制御部は、受光率が調整される部分領域を設定して、設定された部分領域の内部と外部との間において受光率が次第に変化するように調整部を制御する。
【0145】
第9の態様では、第1ないし第8の態様の何れかの撮像装置が、撮像部が撮像した撮像画像を表示する操作画面上で、撮像画像における部分領域と部分領域における受光率とを指定するユーザ操作が入力可能な操作部をさらに備え、制御部は、操作部において入力されたユーザ操作に応じて、入射面において部分領域に対応する位置の受光率を調整するように調整部を制御する。
【0146】
第10の態様では、第1ないし第9の態様の何れかの撮像装置において、制御部は、入射面における各位置に入射する光の光量に応じて、当該位置の光量が大きいほど受光率を低減するように調整部を位置毎に制御する。
【0147】
第11の態様では、第1ないし第10の態様の何れかの撮像装置において、調整部は、入射面における各位置において、入射する光の透過率を受光率として調整する電子ニュートラルデンシティフィルタで構成される。
【産業上の利用可能性】
【0148】
本開示の思想は、撮像機能を有する電子装置(デジタルカメラやカムコーダ、ボックスカメラ等の撮像装置、携帯電話、スマートフォン等)に適用することができる。
【符号の説明】
【0149】
100 デジタルカメラ
140 イメージセンサ
150 電子NDフィルタ
180 制御部
190 カードスロット
210 操作部
220 表示モニタ
図1
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