(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154275
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】開先加工機、治具及び治具セット
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
B23Q3/06 303B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063504
(22)【出願日】2022-04-06
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-05
(71)【出願人】
【識別番号】592098687
【氏名又は名称】株式会社桂スチール
(74)【代理人】
【識別番号】100159499
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 義典
(74)【代理人】
【識別番号】100120329
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 一規
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(74)【代理人】
【識別番号】100106264
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 耕治
(74)【代理人】
【識別番号】100199808
【弁理士】
【氏名又は名称】川端 昌代
(74)【代理人】
【識別番号】100139354
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 昌子
(74)【代理人】
【識別番号】100208708
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 健志
(74)【代理人】
【識別番号】100215371
【弁理士】
【氏名又は名称】古茂田 道夫
(74)【代理人】
【識別番号】230116643
【弁護士】
【氏名又は名称】田中 厳輝
(72)【発明者】
【氏名】三木 桂吾
【テーマコード(参考)】
3C016
【Fターム(参考)】
3C016CA03
3C016CB03
3C016CB04
3C016CC01
3C016CE01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】簡易にかつ確実にH形鋼を固定した状態で開先加工を行うことができる開先加工機を提供する。
【解決手段】本発明の一態様に係る開先加工機は、端部において幅広なフランジを有するH形鋼Sに開先加工を行うことができる開先加工機であって、上記フランジを固定可能な固定機構と、上記H形鋼が固定された状態で開先加工を行う加工部10とを備え、上記固定部が、上記フランジの幅広部Faの下端を載置可能な載置部と、上記載置部の上方に配され、上記幅広部Faの上端を下方に押圧可能な押圧部材16と、上記フランジの上記幅広部Fa以外の上端に当接する当接部材14とを有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うことができる開先加工機であって、
上記フランジを固定可能な固定機構と、
上記H形鋼が固定された状態で開先加工を行う加工機構とを備え、
上記固定機構が、
上記フランジの幅広部分の下端を載置可能な載置部と、
上記載置部の上方に配され、上記幅広部分の上端を下方に押圧可能な押圧部材と、
上記フランジの上記幅広部分以外の上端に当接する当接部材と
を有する開先加工機。
【請求項2】
上記当接部材が上下に位置調節可能である請求項1に記載の開先加工機。
【請求項3】
上記固定機構が、上記幅広部分の下端に取り付けられる下部補助部材を有し、
上記下部補助部材が、上記フランジの軸方向に延びるとともに、上記幅広部分の下端を支持する支持部を有する請求項1又は請求項2に記載の開先加工機。
【請求項4】
上記押圧部材が、油圧式シリンダーによって上記幅広部分の上端を押圧する請求項1又は請求項2に記載の開先加工機。
【請求項5】
上記H形鋼を支持しつつ上記載置部に向けて搬送するための高さ調節可能な支持台をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の開先加工機。
【請求項6】
上記載置部に向けて敷設されるガイドレールをさらに備え、
上記支持台が上記ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられる請求項5に記載の開先加工機。
【請求項7】
端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うために、このフランジの上端に取り付けられる治具であって、
上記フランジの幅広部分の上端に載置される基部と、
上記基部に固定され、上記フランジの上記幅広部分以外の上端に当接する当接部と
を備える治具。
【請求項8】
端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うために、このフランジの下端に取り付けられる治具であって、
上記フランジの軸方向に延びるとともに、上記フランジの幅広部分の下端を支持する支持部を備える治具。
【請求項9】
請求項7に記載の治具と請求項8に記載の治具とを備える治具セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開先加工機、治具及び治具セットに関する。
【背景技術】
【0002】
H形鋼等の形鋼は、鉄骨構造物の柱、梁、桁等に用いられる。形鋼には、施工時の溶接強度の向上、作業性の向上等を目的として、開先加工やスカラップ加工等の切削加工が行われる場合がある。このような加工を行うための機械として、例えば開先加工機が挙げられる。開先加工機は、形鋼の端部を所定の切削位置に固定した状態で、開先カッター等によって形鋼のフランジに開先加工を行う。例えば特許文献1には、H形鋼におけるフランジの上端に当接しH形鋼を受面上に押圧する上部クランプを備える開先加工機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、H形鋼の中には、フランジの幅が一定でなく、フランジの上端の高さが形鋼の長手方向に沿って変化するものもある。このようなH形鋼に対して特許文献1の技術を用いると、上部クランプとフランジとの当接部分を大きくし難いために、H形鋼を確実に固定できないおそれがある。さらに、開先加工時にH形鋼の振動等によって加工精度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、簡易にかつ確実にH形鋼を固定した状態で開先加工を行うことができる開先加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る開先加工機は、端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うことができる開先加工機であって、上記フランジを固定可能な固定機構と、上記H形鋼が固定された状態で開先加工を行う加工機構とを備え、上記固定機構が、上記フランジの幅広部分の下端を載置可能な載置部と、上記載置部の上方に配され、上記幅広部分の上端を下方に押圧可能な押圧部材と、上記フランジの上記幅広部分以外の上端に当接する当接部材とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様に係る開先加工機は、簡易にかつ確実にH形鋼を固定した状態で開先加工を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る開先加工機によって開先加工される形鋼である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る開先加工機の模式的平面図である。
【
図4】
図4は、
図1の形鋼を固定した状態における
図2の開先加工機の模式的正面図である。
【
図5】
図5は、H形鋼のウェブ部分を省略して示される
図4の開先加工機の部分斜視図である。
【
図6】
図6は、
図4の開先加工機の模式的VI-VI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本発明の一態様に係る開先加工機は、端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うことができる開先加工機であって、上記フランジを固定可能な固定機構と、上記H形鋼が固定された状態で開先加工を行う加工機構とを備え、上記固定機構が、上記フランジの幅広部分の下端を載置可能な載置部と、上記載置部の上方に配され、上記幅広部分の上端を下方に押圧可能な押圧部材と、上記フランジの上記幅広部分以外(以下、中央部分という)の上端に当接する当接部材とを有する。
【0011】
当該開先加工機は、上記載置部に載置された上記フランジの幅広部分を上記押圧部材が下方に押圧することによって、H形鋼を上下方向に固定する。また、上記当接部材が、上記フランジの上記中央部分の上端に当接することによって、上記フランジの上記中央部分の振動を抑制できる。このため、当該開先加工機は、端部において幅広なフランジを有するH形鋼であっても簡易にかつ確実にH形鋼を固定した状態で開先加工を行うことができる。
【0012】
上記当接部材が上下に位置調節可能であることが好ましい。このように上記当接部材が上下に位置調節可能であることによって、上記中央部分の上端の高さに合わせて上記当接部材を適切に上記中央部分の上端に当接させることができる。
【0013】
上記固定機構が、上記幅広部分の下端に取り付けられる下部補助部材を有し、上記下部補助部材が、上記軸方向に延びるとともに上記幅広部分の下端を支持する支持部を有することが好ましい。一般に開先加工機の載置部は、H形鋼の位置を容易に調整できるようローラコンベア等で構成される場合がある。このような場合に、上記幅広部分の下端の軸方向長さが小さいと、上記幅広部分の下端と上記載置部との接触面積を十分に確保できないおそれがある。一方、上述の通り上記固定機構が上記下部補助部材を有することによって、上記下部補助部材を介して上記幅広部分の下端を上記載置部に安定して載置することができる。
【0014】
上記押圧部材が、油圧式シリンダーによって上記幅広部分の上端を押圧することが好ましい。このように、上記押圧部材が油圧式シリンダーによって上記幅広部分の上端を押圧することによって、上記H形鋼をより確実に固定することができる。
【0015】
上記H形鋼を支持しつつ上記載置部に向けて搬送するための高さ調節可能な支持台をさらに備えることが好ましい。このように支持台をさらに備えることによって、上記形鋼を加工位置に搬送するための作業を容易に行うことができる。また、支持台が高さ調節可能であることによって、上記H形鋼の形状に対応して適切な高さで上記H形鋼を支持することができる。
【0016】
上記載置部に向けて敷設されるガイドレールをさらに備え、上記支持台が上記ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられることが好ましい。このように上記載置部に向けて敷設されるガイドレールをさらに備ることによって、上記H形鋼を加工位置に搬送するための作業をより容易に行うことができる。
【0017】
本発明の他の一態様に係る治具は、端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うために、上記フランジの上端に取り付けられる治具であって、上記フランジの幅広部分の上端に載置される基部と、この基部に固定され、上記フランジの上記幅広部分以外(以下、中央部分という)の上端に当接する当接部とを備える。
【0018】
当該治具は、上記形鋼に開先加工を行う際に、上記基部を下方に押圧することによって、形鋼を上下方向に固定できる。また、上記当接部が、上記フランジの上記中央部分の上端に当接することによって、上記フランジの上記中央部分の振動を抑制できる。このため、当該治具は、端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行う際に、簡易にかつ確実にH形鋼を固定した状態とすることができる。
【0019】
本発明のさらに他の一態様に係る治具は、端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うために、上記フランジの下端に取り付けられる治具であって、上記フランジの軸方向に延びるとともに、上記フランジの幅広部分の下端を支持する支持部を備える。
【0020】
上述の通り、開先加工機の載置部がローラコンベア等で構成される場合に、上記幅広部分の下端の軸方向長さが小さいと、上記幅広部分の下端と上記載置部との接触面積を十分に確保できないおそれがある。一方、当該治具は、上記フランジの軸方向に延びるとともに、上記フランジの幅広部分の下端を支持するため、上記幅広部分の下端が上記載置部に安定して載置された状態とすることができる。
【0021】
本発明のさらに他の一態様に係る治具セットは、上述のフランジの上端に取り付けられる治具と上述のフランジの下端に取り付けられる治具とを備える。
【0022】
当該治具セットは、上述のフランジの上端に取り付けられる治具と上述のフランジの下端に取り付けられる治具とを備えるため、端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行う際に、簡易にかつ確実にH形鋼を固定した状態とすることができる。
【0023】
なお、本明細書において、「下」とは鉛直下方を意味し、「上」とはその反対側を意味する。また、「下端」とはフランジの幅方向が上下方向と一致している状態における下端を意味し、「上端」とはフランジの幅方向が上下方向と一致している状態における上端を意味し、「軸方向」とは上記形鋼の長手方向を意味する。
【0024】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しつつ説明する。
【0025】
当該開先加工機について説明するにあたり、まず
図1を参照して、当該開先加工機によって加工されるH形鋼の一例であるH形鋼Sについて説明する。
【0026】
[H形鋼]
図1のH形鋼Sは、端部において幅広な一対のフランジFを有する。一対のフランジFは、それぞれH形鋼Sの軸方向を長手方向として延びる板状部材である。一対のフランジFの面は平行に対向している。また、H形鋼SのウェブWは矩形状の板状部材であり、その短手方向が一対のフランジFの対向する面に垂直となるように、一対のフランジFの間に架け渡されている。
【0027】
フランジFは、それぞれ上記軸方向における両端に幅(フランジFの短手方向の長さ)が最大となる幅広部分(幅広部Fa)を有する。また、フランジFは、幅広部Faの間に幅広部Faよりも幅が小さい中央部分(幅狭部Fb)を有する。幅広部Fa及び幅狭部Fbの幅は、上記軸方向に沿ってそれぞれ一定である。幅狭部Fbの幅は、幅広部Faの幅に比べ、フランジFの短手方向両端から縮小されている。
【0028】
[開先加工機]
図2から
図8の開先加工機1は、H形鋼SのフランジFの幅広部Faに開先加工を行う。
【0029】
開先加工機1は、H形鋼Sに開先加工を行うための一対の加工部10、101を備える。一対の加工部10、101はそれぞれ、フランジFの幅広部Faの下端を載置するための載置部(後述する第一載置面121a及び第二載置面193a)を有する。また、開先加工機1は、H形鋼Sを加工部10、101の上記載置部に向けて搬送するための搬送部20を備える。一対の加工部10、101は、H形鋼Sの搬送方向(X軸方向)に距離を空けて配置される。加工部10が固定されている一方で、加工部101は加工部10に対して接近又は離反するように移動可能である。
【0030】
開先加工機1の構成の詳細を説明する前に、
図2から
図4を参照して、H形鋼Sが一対の加工部10、101に配置されるまでの手順を説明する。
【0031】
まず、H形鋼Sは一対の加工部10、101の間に配置され、搬送部20の後述する支持台22によって支持される(
図2及び
図3)。H形鋼Sは、軸方向が上記搬送方向と一致するように、かつフランジFの幅方向が上下方向(Z軸方向)と一致するように支持台22に載置される。このようにH形鋼Sが載置されることによって、フランジFの軸方向両端の幅広部Faが一対の加工部10、101に向けられる。
【0032】
次に、H形鋼Sが加工部10、101の上記載置部に搬送、載置される前に、後述する当接部材14及び下部補助部材18が、フランジFの開先加工を行う対象となる幅広部Faにそれぞれ取り付けられる。当接部材14は幅広部Faの上端に、下部補助部材18は幅広部Faの下端に取り付けられる。
【0033】
H形鋼Sは、当接部材14及び下部補助部材18が取り付けられた後、支持台22によって支持されつつ、上記搬送方向に沿って加工部10の上記載置部に向けて搬送される。ここで、H形鋼Sの搬送方法としては、例えば手動で支持台22上のH形鋼Sをスライド移動させる方法であってもよい。H形鋼Sの軸方向一方側の幅広部Faが加工部10の上記載置部に達すると、この幅広部Faの下端は下部補助部材18を介して加工部10の上記載置部に載置される。
【0034】
さらに、幅広部Faを上記載置部に載置した後、加工部101を加工部10に接近させる。加工部101の上記載置部がH形鋼Sの軸方向他方側の幅広部Faに達すると、この幅広部Faの下端は下部補助部材18を介して加工部101の上記載置部に載置される。これにより、H形鋼Sの軸方向両端の幅広部Faが、加工部10、101の上記載置部に載置される。その後、H形鋼Sは、軸方向両端の幅広部Faの端部が所定の切削位置に配置されるよう位置調整された後、
図4に示す通り、一対の加工部10、101によって固定、加工される。
【0035】
<搬送部>
搬送部20は、H形鋼Sを支持しつつ加工部10の上記載置部に向けて搬送するための支持台22と、上記載置部に向けて上記搬送方向に沿って敷設されるガイドレール21とを有する。支持台22はガイドレール21に沿って移動可能に、ガイドレール21に取り付けられる。このように支持台22が上記搬送方向に沿って移動可能であることによって、H形鋼Sの搬送時に、H形鋼Sの軸方向長さや重心位置に対応して支持台22の位置を容易に調整できる。また、加工部101もガイドレール21に沿って移動可能に、ガイドレール21に取り付けられている。
【0036】
(ガイドレール)
ガイドレール21は、上記搬送方向に沿って平行に、かつ上記搬送方向の直交方向(Y軸方向)に間隔を空けて配置される一対のレールとして構成される。支持台22及び加工部101は、上記一対のレールの上に移動可能に取り付けられる。上記一対のレールは、特に限定されないが、例えば上記搬送方向に沿って延びかつ上方に突出する断面矩形状の突出部をそれぞれ有する。
【0037】
上記一対のレール(上記突出部)の間隔の下限としては、1500mmが好ましく、2000mmがより好ましい。一方、上記一対のレールの間隔の上限としては、3000mmが好ましく、2500mmがより好ましい。上記一対のレールの間隔が上記下限に満たないと、H形鋼SのウェブWの幅が大きい場合等に、上記一対のレールに取り付けられた支持台22によってH形鋼Sを安定して支持できないおそれがある。逆に、上記一対のレールの間隔が上記上限を超えると、上記一対のレールに取り付けられた支持台22が大き過ぎて、H形鋼Sを搬送する作業の効率が低下するおそれがある。
【0038】
上記一対のレールの長手方向長さの下限としては、16mが好ましく、20mがより好ましい。一方、上記一対のレールの長手方向長さの上限としては、30mが好ましく、25mがより好ましい。上記一対のレールの長手方向長さが上記下限に満たないと、H形鋼Sの軸方向長さが大きい場合に、H形鋼Sを適切に搬送できないおそれがある。逆に、上記一対のレールの長手方向長さが上記上限を超えると、H形鋼Sの搬送距離が大き過ぎて、H形鋼Sを搬送する作業の効率が低下するおそれがある。
【0039】
(支持台)
支持台22は、平面視略矩形状の台である。本実施形態において、支持台22は、平面視で短手方向が上記搬送方向に一致し、かつ長手方向が上記直交方向に一致するように配置される。支持台22は、一対のフランジFの幅狭部Fbの下端を支持する。H形鋼Sを安定して支持するため、支持台22は上記搬送方向に沿って複数配置されることが好ましい。支持台22は、最上部に支持部を、最下部にレール係合部221を有する。
【0040】
上記支持部は、最上部にローラを複数有する。各ローラは、長手方向が上記直交方向を向き、かつ略水平となるように配置される。これら複数のローラは、幅狭部Fbの下端を支持するための略水平の支持面222を形成する。このように、支持面222が上記複数のローラによって形成されていることによって、支持面222上でH形鋼Sを上記搬送方向に容易にスライド移動させることが可能であるため、H形鋼Sの搬送が容易となる。
【0041】
上記ローラの長手方向長さの下限としては、1500mmが好ましく、2000mmがより好ましい。一方、上記ローラの長手方向長さの上限としては、3000mmが好ましく、2500mmがより好ましい。上記ローラの長手方向長さが上記下限に満たないと、H形鋼SのウェブWの幅が大きい場合等に、支持台22によってH形鋼Sを安定して支持できないおそれがある。逆に、上記ローラの長手方向長さが上記上限を超えると、支持台22が大き過ぎて、H形鋼Sを搬送する作業の効率が低下するおそれがある。なお、支持面222の上記直交方向長さは、上記ローラの長手方向長さに一致する。
【0042】
支持面222は高さ調節可能であることが好ましい。支持面222は、H形鋼Sの開先加工される部分(幅広部Fa)の下端の高さが上記載置部の高さと略一致するように幅狭部Fbの下端部を支持する。換言すると、
図3及び
図4に示す通り、支持面222は、幅広部Faの下端の高さと幅狭部Fbの下端の高さとの差分だけ、上記載置部よりも高く幅狭部Fbの下端部を支持する。したがって、支持台22の支持面222が高さ調節可能であることによって、幅広部Faの下端の高さと幅狭部Fbの下端の高さとの差分の大きさに対応して適切な高さでH形鋼Sを支持することができる。これにより、様々なフランジFの形状に対応して適切な高さでH形鋼Sを支持することができる。支持面222の高さを調整する方法としては、例えば支持面222を支持しつつ上下方向に伸縮する押圧シリンダー等が挙げられる。
【0043】
レール係合部221は、支持台22の上部を支持しつつ、支持台22が上記搬送方向に沿って移動可能となるように上記一対のレールに係合する。レール係合部221の下端には、例えば上記一対のレールの上記突出部に係合可能かつ下に凹な一対の断面矩形状の凹部が形成される。
【0044】
<加工部>
加工部10は、フランジFを固定可能な固定機構と、H形鋼Sが固定された状態で開先加工を行う加工機構とを備える。
【0045】
図2から
図8に示す通り、上記固定機構は、フランジFの幅広部Faの下部を挟持固定するための下部バイス19を有する。下部バイス19は、幅広部Faの下端が載置される第二載置面193aを有する。上記固定機構はまた、第二載置面193aの上方に配され、幅広部Faの上端を下方に押圧可能な押圧部材16と、フランジFの幅狭部Fbの上端に当接する当接部材14と、幅広部Faの下端に取り付けられる下部補助部材18とを有する。
【0046】
一方、上記加工機構は、幅広部Faに開先加工を行うための切削ヘッダー17を有する。
【0047】
加工部10は、H形鋼Sが載置される載置台12と、押圧部材16、切削ヘッダー17及び下部バイス19を支持する支持フレーム13と、上記固定機構、上記加工機構、載置台12及び支持フレーム13を格納する筐体11とをさらに備える。
【0048】
加工部10は、H形鋼Sの搬送方向の直交方向に距離を空けて、上記固定機構、上記加工機構及び支持フレーム13を一対備える。筐体11は、一対の上記固定機構、上記加工機構及び支持フレーム13を格納する。このように加工部10が上記直交方向に距離を空けて、上記固定機構、上記加工機構及び支持フレーム13を一対備えることによって、H形鋼Sの一対のフランジFを同時に開先加工することができる。
【0049】
上記搬送方向において、加工部10に対置される加工部101は、ガイドレール21に沿って移動可能となるように、下端にガイドレール21に係合する係合構造を備える。この係合構造は、例えばガイドレール21の上記突出部に係合可能かつ下に凹な一対の断面矩形状の凹部として構成される。加工部101の構成は、上記係合構造を除き、加工部10と同様とすることができる。加工部101の上記係合構造を除く各構成は、上記直交方向に平行な直線を軸として、加工部10の各構成と線対象に配置される。以下、加工部10の構成について詳細に説明する。
【0050】
(筐体)
図2及び
図3に示す通り、筐体11は、土台部111と、4つの柱部112と、2つの第一梁部113と、第二梁部114とを有する。土台部111は、上記搬送方向に沿う端辺及び上記直交方向に沿う端辺で囲まれる平面視略矩形状の上面を有する。柱部112は断面略矩形状である。4つの柱部112は、土台部111の上記上面の四隅に立設される。すなわち、4つの柱部112は、上記搬送方向に距離を空けて立設される2つの柱部112を一対として、二対で構成される。2つの第一梁部113は、それぞれ上記一対の柱部112上に水平に載置される。第二梁部114は、2つの第一梁部113の間に上記直交方向に沿って架け渡されている。
【0051】
土台部111の高さ(上下方向長さ)としては、例えば400mm以上600mm以下とできる。
【0052】
一対の柱部112の上記直交方向を向く内側面と、他の一対の柱部112の上記直交方向を向く内側面との間隔の下限としては、1500mmが好ましく、2000mmがより好ましい。一方、上記間隔の上限としては、3000mmが好ましく、2500mmがより好ましい。上記間隔が上記下限に満たないと、H形鋼SのウェブWの幅が大きい場合等に、H形鋼Sを筐体11内に搬送し難くなるおそれがある。逆に、上記間隔が上記上限を超えると、筐体11がH形鋼Sよりも大きすぎてH形鋼Sの位置を上記直交方向に調整するための作業効率が低下するおそれがある。
【0053】
土台部111の上記上面と第二梁部114の下面との間隔の下限としては、2500mmが好ましく、3000mmがより好ましい。一方、上記間隔の上限としては、4000mmが好ましく、3500mmがより好ましい。上記間隔が上記下限に満たないと、筐体11内に押圧部材16や切削ヘッダー17を配置するスペースを十分に確保できないおそれがある。逆に、上記間隔が上記上限を超えると、筐体11が大きすぎて当該開先加工機1を格納するスペースを圧迫するおそれがある。
【0054】
(支持フレーム)
図6に示す通り、支持フレーム13は、土台部111と第二梁部114との間に上下方向に立設される断面略矩形状の柱状部材である。支持フレーム13は、上記直交方向に距離を空けて一対設けられる。それぞれの支持フレーム13は、押圧部材16、切削ヘッダー17及び下部バイス19を支持する。
【0055】
一対の支持フレーム13のうちY軸負方向側(以降、固定側という)の支持フレーム13は、第二梁部114に固定される。一方、一対の支持フレーム13のうちY軸正方向側(以降、可動側という)の支持フレーム13は、第二梁部114に上記搬送方向の直交方向に沿って移動可能に取り付けられる。換言すると、可動側の支持フレーム13は、固定側の支持フレーム13に接近又は離反するように移動可能である。このように支持フレーム13の一方が移動可能であることによって、H形鋼SのウェブWの短手方向長さ(ウェブWの幅)に対応して、可動側の支持フレーム13に取り付けられた押圧部材16、切削ヘッダー17及び下部バイス19の位置を上記直行方向に調整できる。
【0056】
加工部10では、例えば固定側の上記固定機構によって固定側に配置されたフランジFを固定した後、可動側の支持フレーム13を上記直行方向に位置調整した上で、可動側の上記固定機構によって可動側に配置されたフランジFをさらに固定することができる。
【0057】
(載置台)
載置台12は、土台部111に載置される平面視略矩形状の台である。本実施形態において、載置台12は、平面視で短手方向が上記搬送方向に一致し、かつ長手方向が上記直交方向に一致するように配置される。
図3及び
図5に示す通り、載置台12は、上記搬送方向において支持フレーム13と支持台22との間に、かつ支持フレーム13に隣接して配置される。
【0058】
載置台12は、その最上面にローラ121を複数有する。各ローラ121は、長手方向が上記直交方向を向きかつ略水平となるように配置される。
【0059】
複数のローラ121は、略水平の第一載置面121aを形成する。上述の通り、H形鋼Sが支持台22によって支持されつつ上記搬送方向に沿って第一載置面121aに搬送された後、H形鋼Sの軸方向一方側の幅広部Faは第一載置面121aに載置される。この幅広部Faは、第一載置面121aから上記搬送方向に沿って後述する切削位置に向けて搬送される。このように複数のローラ121が略水平の第一載置面121aを形成することによって、第一載置面121aに載置されたH形鋼Sを上記搬送方向に沿って切削位置に容易に搬送できる。
【0060】
ローラ121の長手方向長さの下限としては、1500mmが好ましく、2000mmがより好ましい。一方、ローラ121の長手方向長さの上限としては、3000mmが好ましく、2500mmがより好ましい。ローラ121の長手方向長さが上記下限に満たないと、H形鋼SのウェブWの幅が大きい場合に、載置台12にH形鋼Sを載置できないおそれがある。逆に、ローラ121の長手方向長さが上記上限を超えると、支持台22がH形鋼Sよりも大きすぎてH形鋼Sの位置を上記直交方向に調整するための作業効率が低下するおそれがある。なお、第一載置面121aの上記直交方向長さは、ローラ121の長手方向長さに一致する。
【0061】
第一載置面121aの床面からの高さ(載置台12及び土台部111の上下方向長さの和)の下限としては、1000mmが好ましく、1200mmがより好ましい。一方、第一載置面121aの高さの上限としては、1800mmが好ましく、1600mmがより好ましい。第一載置面121aの高さが上記下限に満たないと、例えば手動でH形鋼Sを搬送する場合に、H形鋼Sの位置が低いことによって作業効率が低下するおそれがある。逆に、第一載置面121aの高さが上記上限を超えると、例えば手動でH形鋼Sを搬送する場合に、H形鋼Sの位置が高いことによって作業効率が低下するおそれがある。
【0062】
(切削ヘッダー)
図5及び
図7に示す通り、切削ヘッダー17は、支持フレーム13の側面のうち上記搬送方向において載置台12の反対側を向く側面(X軸負方向を向く側面)に上下移動可能に取り付けられる。
【0063】
切削ヘッダー17は、切削ヘッダー17から支持フレーム13の内側面側(固定側の支持フレーム13の場合、Y軸正方向を向く側面側)に突出するように開先カッターを装着する。装着された上記開先カッターが切削ヘッダー17とともに上下に移動することによって、フランジFの幅広部Faの端部に開先加工を行うことができる。切削ヘッダー17に装着された上記開先カッターの上記搬送方向における位置は、上記搬送方向における切削位置を意味する。また、上記開先カッターが上記直交方向に伸縮移動することによって、上記直交方向における切削位置が調整される。
【0064】
切削ヘッダー17及び上記開先カッターの形状としては、既知の切削ヘッダー17及び開先カッターの形状と同様とできる。また、切削ヘッダー17には、上記開先カッター以外に例えばスカラップカッター、追込カッター等を装着してもよい。
【0065】
(下部バイス)
図7及び
図8に示す通り、下部バイス19は、支持フレーム13の内側面に取り付けられる。下部バイス19は、正面視で上記搬送方向において載置台12と切削ヘッダー17との間に配置される。下部バイス19は、固定バイス191、可動バイス192及びローラ193を有する。
【0066】
固定バイス191は、支持フレーム13の内側面から上記直交方向に距離を空けて配置される当接面191aを有する。当接面191aは、上下方向及び上記搬送方向に延在する。当接面191aは、支持フレーム13の内側面に対向する。固定バイス191は、例えば支持フレーム13の内側面から上記直交方向に延びる梁部と、この梁部から上方に延びかつ当接面191aを有する固定当接部とを有する。すなわち、固定バイス191は側面視で例えば略L字形に構成される。
【0067】
可動バイス192は、支持フレーム13の内側面と上記固定当接部との間に配置される。可動バイス192は、当接面191aに対して接近又は離反するように移動可能な可動当接部を有する。フランジFの幅広部Faの位置を上記切削位置に対応して調整する際に、フランジFの幅広部Faは固定バイス191の上記固定当接部と可動バイス192の上記可動当接部との間に配置される。上記切削位置に対応して位置調整されたフランジFの幅広部Faは、上記可動当接部が当接面191aに接近することによって、厚さ方向(上記直交方向)に挟持固定される。
【0068】
可動バイス192は、例えば固定バイス191の上記梁部に回転可能に取り付けられる。また、可動バイス192は、例えば下部に上記梁部に対する回転支点を有し、かつ上部に回転に伴って当接面191aに対して接近又は離反する上記可動当接部を有する。
【0069】
ローラ193は、例えば支持フレーム13の内側面と当接面191aとの間を架け渡すように複数設けられる。ローラ193は、長手方向が上記直交方向を向き、かつ略水平となるように配置される。
【0070】
複数のローラ193は、略水平の第二載置面193aを形成する。第二載置面193aは第一載置面121aと面一である。H形鋼Sの軸方向一方側の幅広部Faは、上述の通り第一載置面121aから上記搬送方向に沿って搬送されると、さらに第二載置面193aに載置される。ただし、軸方向一方側の一対の幅広部Faに対して同時に開先加工を行う場合は、可動側の支持フレーム13が下部バイス19とともに上記直行方向に位置調整された後、一対の幅広部Faが固定側の下部バイス19の第二載置面193a及び可動側の下部バイス19の第二載置面193aにそれぞれ載置される。第二載置面193aが第一載置面121aと面一であることによって、幅広部Faは容易に第二載置面193aに載置される。また、第二載置面193aに載置された幅広部Faの位置は、上記切削位置に対応して調整される。上述の通り、複数のローラ193が略水平の第二載置面193aを形成することによって、第二載置面193aに載置されたH形鋼Sの位置を、上記搬送方向に沿って切削位置に容易に調整できる。
【0071】
第二載置面193aに載置された幅広部Faを挟持固定できるよう、上記固定当接部及び上記可動当接部は第二載置面193aよりも上方に突出している。
【0072】
ローラ193の長手方向長さの下限としては、70mmが好ましく、80mmがより好ましい。一方、ローラ193の長手方向長さの上限としては、100mmが好ましく、90mmがより好ましい。ローラ193の長手方向長さが上記下限に満たないと、H形鋼SのフランジFの厚さが大きい場合に、幅広部Faを固定バイス191と可動バイス192との間に配置できないおそれがある。逆に、ローラ193の長手方向長さが上記上限を超えると、当接面191aが支持フレーム13から離れ過ぎて、幅広部Faを上記開先カッターの上記直交方向における切削位置に配置し難くなるおそれがある。なお、第二載置面193aの上記直交方向における長さは、ローラ193の長手方向長さに一致する。
【0073】
(下部補助部材)
図5及び
図6に示す通り、下部補助部材18は、下部補助部材本体181と固定板182とを有する。下部補助部材本体181は、上下方向に延びる側板及びこの側板に垂直に連結される支持板181aから構成される断面L字形の棒状部材である。下部補助部材本体181の長手方向長さは、幅広部Faの軸方向長さよりも大きい。一方、固定板182は、長手方向長さが下部補助部材本体181の長手方向長さと一致する板状部材である。
【0074】
下部補助部材18は、上述の通りH形鋼Sが第一載置面121aに載置される前に、フランジFの幅広部Faの下端に取り付けられる。下部補助部材18は、フランジFの下端に取り付けられる治具として使用される。
【0075】
下部補助部材本体181、すなわち上記側板及び支持板181aの長手方向長さの下限としては、200mmが好ましく、300mmがより好ましい。下部補助部材本体181の長手方向長さの上限としては、800mmが好ましく、600mmがより好ましい。下部補助部材本体181の長手方向長さが上記下限に満たないと、下部補助部材本体181の長手方向長さが幅広部Faの軸方向長さに満たないために、下部補助部材本体181の取り付けが困難となるおそれがある。一方、下部補助部材本体181の長手方向長さが上記上限を超えると、下部補助部材18の長手方向長さが大きいために、取り付け作業の効率が低下するおそれがある。
【0076】
下部補助部材本体181は、上記側板が幅広部Faの外側面(固定側のフランジFの幅広部Faの場合、Y軸負方向を向く側面)に当接し、かつ支持板181aが幅広部Faの下端を支持するように配置される。下部補助部材本体181は、長手方向がフランジFの幅広部Faから幅狭部Fbに向かってH形鋼Sの軸方向に沿って延びるように配置される。固定板182は、幅広部Faの内側面(固定側のフランジFの幅広部Faの場合、Y軸正方向を向く側面)に当接しかつ長手方向がフランジFの幅広部Faから幅狭部Fbに向かってH形鋼Sの軸方向に沿って延びるように配置される。
【0077】
支持板181aの短手方向長さ(上記長手方向に直交する水平方向長さ)の下限としては、10mmが好ましく、12mmがより好ましい。支持板181aの短手方向長さの上限としては、16mmが好ましく、14mmがより好ましい。支持板181aの短手方向長さが上記下限に満たないと、幅広部Faの下端を安定して支持できないおそれがある。逆に、支持板181aの短手方向長さが上記上限を超えると、幅広部Faの厚さが小さい場合に支持板181aが上記直交方向に幅広部Faを超えて突出することにより、下部バイス19が幅広部Faを挟持できないおそれがある。
【0078】
固定板182が配置される際、固定板182の下端は幅広部Faの下端よりも上方に位置する。このため、幅広部Faの内側面は、少なくとも上下方向に最下端から固定板182の下端までの範囲で露出している。このように、幅広部Faの内側面が背面視で少なくとも上下方向に最下端から固定板182の下端までの範囲で露出することによって、幅広部Faの内側面が固定バイス191の当接面191aと当接する領域を確保することができる。
【0079】
下部補助部材本体181及び固定板182の長手方向長さは幅広部Faの軸方向長さよりも大きいため、下部補助部材本体181の上記側板は、部分的に幅広部Faを介さずに固定板182に対向している。このため下部補助部材18は、例えば上記側板と固定板182とを水平方向に貫通するボルトによって固定される。
【0080】
固定板182は、厚さ方向に貫通する貫通孔182aを有する。固定板182が貫通孔182aを有することによって、貫通孔182aを通るボルトを配置することができる。上記ボルトは、先端が幅広部Faに当接するように固定することができる。このように貫通孔182aを用いて先端が幅広部Faに当接するボルトを固定することによって、下部補助部材本体181の上記側板と固定板182との間で幅広部Faが厚さ方向に移動することを確実に抑制できる。
【0081】
図8に示す通り、H形鋼Sが下部補助部材18とともに第二載置面193aに載置されると、支持板181aは第二載置面193aと幅広部Faの下端との間に配置される。支持板181aは、H形鋼Sの軸方向に延びるとともに部分的に幅広部Faの下端を支持する。第二載置面193aは複数のローラ193によって形成されているため、幅広部Faの下端を第二載置面193aに直接載置すると、幅広部Faの軸方向長さが小さい場合等に幅広部Faの下端と第二載置面193aとの接触面積を十分に確保できないおそれがある。一方、上述の通り支持板181aがH形鋼Sの軸方向に延びるとともに幅広部Faの下端を支持することによって、H形鋼Sを安定して第二載置面193aに載置することができる。
【0082】
フランジFの幅広部Faは、下部補助部材18とともに第二載置面193aに載置されると、上記切削位置に対応して位置調整された後、下部バイス19によって挟持固定される。具体的には、固定バイス191の当接面191aが幅広部Faの内側面の上述の露出している範囲に直接当接する。一方、可動バイス192は、固定バイス191の当接面191aに接近することで、下部補助部材本体181の上記側板を介して幅広部Faを挟持固定する。
【0083】
(当接部材)
図5及び
図6に示す通り、当接部材14は、フランジFの幅広部Faの上端に載置される基部141と、固定板142と、フランジFの幅狭部Fbの上端に当接する当接部143とを有する。
【0084】
当接部材14は、上述の通りH形鋼Sが第一載置面121aに載置される前に、フランジFの幅広部Faの上端に取り付けられる。当接部材14は、フランジFの上端に取り付けられる治具として使用される。
【0085】
基部141は、下方に突出する突出部を有する断面略上下反転L字形の棒状部材である。基部141の長手方向長さは、フランジFの幅広部Faの軸方向長さよりも大きい。
【0086】
図5、
図6及び
図8に示す通り、基部141は幅広部Faの上端に載置される。このとき、上記突出部の内側面141a(固定側の基部141の場合、Y軸負方向を向く側面)は、幅広部Faの内側面(固定側のフランジFの場合、Y軸正方向を向く側面)と当接するように配置される。また、基部141は、長手方向がフランジFの幅広部Faから幅狭部Fbに向かってH形鋼Sの軸方向に沿って延びるように配置される。基部141の長手方向長さはフランジFの幅広部Faの軸方向長さよりも大きいため、基部141は部分的に幅広部Faに載置され、かつ部分的に幅広部FaからH形鋼Sの軸方向に延長している(以下、延長部分という)。
【0087】
固定板142は、幅広部Faを挟んで基部141の上記突出部の内側面141aに対向するように配置される。固定板142及び基部141は、例えば固定板142及び基部141を水平方向に貫通するボルトによって固定される。また、幅広部Faをより確実に固定するため、例えば固定板142を水平方向に貫通し、かつ幅広部Faの外側面に当接するボルトをさらに固定してもよい。
【0088】
基部141の長手方向長さの下限としては、200mmが好ましく、300mmがより好ましい。基部141の長手方向長さの上限としては、800mmが好ましく、600mmがより好ましい。基部141の長手方向長さが上記下限に満たないと、基部141の長手方向長さが幅広部Faの軸方向長さに満たないために、後述する当接部143を配置できないおそれがある。一方、基部141の長手方向長さが上記上限を超えると、基部141の長手方向長さが大きいために、作業効率が低下するおそれがある。
【0089】
基部141の短手方向長さ(上記長手方向に直交する水平方向長さ)の下限としては、50mmが好ましく、60mmがより好ましい。基部141の長手方向長さの上限としては、120mmが好ましく、110mmがより好ましい。基部141の短手方向長さが上記下限に満たないと、基部141の強度が不十分となるおそれがある。逆に、基部141の短手方向長さが上記上限を超えると、基部141の短手方向長さが幅広部Faの厚さよりも大きくなり過ぎて、当接部材14の幅広部Faへの取り付けが困難となるおそれがある。
【0090】
本実施形態において、基部141は、後述する押圧部材本体161の下部が当接可能な凹部を上部に有する。上記凹部は、
図8に示すように例えば基部141の天面と上記突出部の外側面(固定側の基部141の場合、Y軸正方向を向く側面)とで形成される隅角部に形成される。上記凹部は、側面視で押圧部材本体161の下部に当接する上下方向の当接面と水平面とで形成される断面L字形である。基部141の上部は、後述するように押圧部材本体161の下部に形成された切れ込みによって上記直交方向に挟持固定される。基部141の短手方向長さ(上記直交方向長さ)を、上記切れ込みによって挟持可能な幅に対応させると、基部141の短手方向長さが不十分となり当接部材14を幅広部Faの上端に安定して取り付けできないおそれがある。一方、上述の通り基部141が、上部に押圧部材本体161の下部の上記切れ込みが当接可能な凹部を有することによって、当接部材14を幅広部Faの上端に安定して取り付け可能、かつ押圧部材本体161の下部によって挟持可能となるように基部141を構成しやすい。
【0091】
基部141は、当接部143を配置するための上下方向に貫通する貫通孔を有する。H形鋼Sの形状に合わせて当接部143の上記軸方向における配置を適切に調整するため、基部141は上記貫通孔を上記軸方向に沿って複数有する。
【0092】
基部141の上記突出部は、当接部143を固定するための固定用孔を有する。上記固定用孔は、上下方向に沿って複数設けられる。複数の上記固定用孔は、例えば基部141の上記突出部の外側面から水平方向に上記貫通孔まで貫通するもの、及び上記突出部の外側面のみを貫通するものの両方を含んでいてもよい。
【0093】
当接部材14は、基部141が押圧部材16により上方から押さえられることによって、幅広部Faの上端を第二載置面193aに向けて押圧する。このように当接部材14が上方から押さえられることによって、フランジFの幅広部Faを上下方向に固定できる。
【0094】
当接部143は、例えば円柱形の柱状部材である。当接部143は、上述の基部141の延長部分における上記貫通孔を貫通し、かつフランジFの幅狭部Fbの上端に当接するように配置される。すなわち、当接部143は、フランジFの上端に当接するように、少なくとも部分的に基部141の上記延長部分から下方に延びる。上述の通り上記貫通孔が上記軸方向に沿って複数設けられているため、H形鋼Sの形状に合わせて、当接部143の配置を適切に調整することができる。また、複数の当接部143を複数の上記貫通孔にそれぞれ配置することもできる。
【0095】
当接部143は、フランジFの幅狭部Fbの上端に当接する部分に対して、基部141の上記貫通孔を貫通する部分が縮径化されていてもよい(不図示)。このように当接部143の上記貫通孔を貫通する部分が縮径化されていることによって、基部141の上記貫通孔を小さくすることができる。これにより、基部141の強度を確保しやすい。
【0096】
当接部143は側部に水平方向の固定用孔を有するとよい。当接部143が側部に固定用孔を有することによって、上記突出部の上記固定用孔から当接部143の上記固定用孔に水平方向にピンを通すことで当接部143を固定することができる。また、当接部143は、側部に固定用孔を上下方向に沿って複数有するとよい。このように当接部143が側部に固定用孔を上下方向に沿って複数有することによって、H形鋼Sの形状に合わせて、当接部143を上下に位置調節可能となる。
【0097】
当接部143の長手方向長さの下限としては、400mmが好ましく、500mmがより好ましい。当接部143の長手方向長さの上限としては、800mmが好ましく、700mmがより好ましい。当接部143の長手方向長さが上記下限に満たないと、幅広部Faの幅と幅狭部Fbの幅との差分が大きい場合に、当接部143を幅狭部Fbの上端に当接させることが困難となるおそれがある。逆に、当接部143の長手方向長さが上記上限を超えると、当接部143を固定するための作業性が低下するおそれがある。
【0098】
当接部143のフランジFの幅狭部Fbの上端に当接する部分における直径の下限としては、50mmが好ましく、70mmがより好ましい。上記直径の上限としては、120mmが好ましく、100mmがより好ましい。上記直径が上記下限に満たないと、フランジFの幅狭部Fbを安定して固定できないおそれがある。逆に、上記直径が上記上限を超えると、当接部143が他の部材と干渉しやすくなるおそれがある。
【0099】
(押圧部材)
押圧部材16は、当接部材14の基部141に当接する押圧部材本体161と、押圧部材本体161を上方から押圧する押圧シリンダー162とを有する。
【0100】
押圧部材本体161は、支持フレーム13の内側面から搬送方向の直交方向に突出する平面視略矩形状の部材である。本実施形態において、押圧部材本体161の長手方向はH形鋼Sの搬送方向に一致し、押圧部材本体161の短手方向は上記直交方向に一致する。押圧部材本体161は、支持フレーム13よって上下移動可能に支持される。押圧部材本体161は、押圧シリンダー162によって上方から鉛直方向に押圧される上部と、基部141に当接する下部とを有する。
【0101】
図8に示す通り、押圧部材本体161の上記下部は、基部141の上部を挟持固定するための側面視で三角形状の切れ込みを有する。この切れ込みは、内側面161aと傾斜面161bとで構成される。内側面161aは上記長手方向及び上下方向に延在する。傾斜面161bは、側面視で内側面161aの上端縁から斜め下方に支持フレーム13に向かって延びる。このように押圧部材本体161の上記下部が側面視で三角形状の切れ込みを有することによって、基部141の上部の上記直交方向幅に合わせて、押圧部材本体161の上記下部が基部141の上部を挟持固定できる。押圧部材本体161の上記下部が基部141の上部を挟持固定する際、上記切れ込みの内側面161aは基部141の上部に形成された上述の凹部と当接する。
【0102】
押圧部材本体161の上記切れ込みの内側面161aと固定バイス191の当接面191aとは面一であることが好ましい。当接部材14の構成や配置によっては、H形鋼Sに開先加工を行う際に当接部材14を介さずにH形鋼Sの幅広部Faの上端を押圧部材本体161で直接押圧する場合が想定される。この場合、内側面161aと当接面191aとが面一であると、上記直交方向にH形鋼Sの幅広部Faを挟持固定しやすい。すなわち、押圧部材本体161の内側面161aと固定バイス191の当接面191aとが面一であることによって、当接部材14の異なる構成や配置に対応して開先加工を行うことが容易となる。なお、本実施形態においては、押圧部材本体161の内側面161a、基部141の内側面141a及び固定バイス191の当接面191aが面一となる。
【0103】
押圧シリンダー162は、例えば第二梁部114の下面から押圧部材本体161の上記上面にかけて下方に延びる。H形鋼Sが上記切削位置に対応して位置調整された後、押圧シリンダー162は押圧部材本体161の上部を下方に押圧する。押圧シリンダー162が押圧部材本体161の上部を下方に押圧すると、押圧部材本体161が下方に移動し、さらに押圧部材本体161の上記下部が当接部材14の上部を挟持固定しつつ下方に押さえる。
【0104】
押圧シリンダー162としては、油圧式シリンダー、空圧式シリンダー、電動シリンダー等が挙げられる。これらの中でも、作動圧力が高く、振動が少ない油圧式シリンダーが好ましい。
【0105】
(利点)
当該開先加工機1は、載置面193aに載置されたH形鋼SのフランジFの幅広部Faを押圧部材16が下方に押圧することによって、H形鋼を上下方向に固定する。また、当接部材14が、フランジFの幅狭部Fbの上端に当接することによって、フランジFの幅狭部Fbの振動を抑制できる。このため、当該開先加工機1は、端部において幅広なフランジを有するH形鋼Sであっても簡易にかつ確実にH形鋼Sを固定した状態で開先加工を行うことができる。
【0106】
[その他の実施形態]
上記実施形態は、本発明の構成を限定するものではない。したがって、上記実施形態は、本明細書の記載及び技術常識に基づいて上記実施形態各部の構成要素の省略、置換又は追加が可能であり、それらは全て本発明の範囲に属するものと解釈されるべきである。
【0107】
上記実施形態では、フランジFの軸方向における両端を同時に開先加工する場合を説明したが、フランジFの軸方向における一端のみを開先加工してもよい。また、加工部を1つのみ設ける構成としてもよい。
【0108】
上記実施形態では、一対のフランジFを同時に開先加工する場合を説明したが、フランジFの一方のみを開先加工してもよい。また、加工部に切削ヘッダーを1つのみ設ける構成としてもよい。
【0109】
上記実施形態では、切削ヘッダーに開先カッターを装着するものとしたが、切削ヘッダーにスカラップカッター、追込カッター等をさらに装着し、開先加工と同時にスカラップ加工を行うことが可能な構成としてもよい。
【0110】
上記実施形態では、開先加工されるH形鋼は、軸方向における両端に幅が最大となる幅広部分を有するものとしたが、本発明の開先加工対象は上記H形鋼に限定されない。本発明によって開先加工されるH形鋼は、例えば軸方向における一端にのみ幅広部分を有するものであってもよく、幅広部分以外の部分の幅が上記軸方向に沿って変化してもよい。さらに、フランジFの下端は面一であってもよい。
【0111】
開先加工される形鋼のフランジFの下端が面一の場合、この形鋼を固定する際に下部補助部材を下端に取り付けなくてもよい。この場合、フランジFの下端は、本発明の下部バイスの載置面上に直接載置される。
【0112】
下部補助部材は、フランジの下端又はウェブの下面を支持するために、下部補助部材本体又は固定板から上方に突出する追加の補助部材を有していてもよい。
【0113】
上記実施形態では、当接部材の当接部として円柱形の柱状部材を用いる場合を説明したが、上記当接部は角柱であってもよい。また、上記当接部としては、当接部材の基部に固定され、かつフランジの幅広部分以外の上端に当接可能な柱状以外の部材であってもよい。
【0114】
上記実施形態では、フランジの幅広部分の上端に当接部材の基部を載置し、押圧部材が当接部材の基部を押さえる場合を説明したが、当接部材が基部を有さずに、押圧部材がフランジの幅広部分を直接押圧しつつ、フランジの幅広部分以外の上端に当接するように当接部材が押圧部材から下方に突出する構成としてもよい。
【0115】
上記実施形態では、H形鋼の上端に当接部材を載置し、押圧部材が当接部材の基部を押さえる場合を説明したが、当接部材と押圧部材とは一体化していてもよい。
【0116】
上記実施形態では、当接部材の固定及び下部補助部材の固定のためにボルトを利用する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。当接部材の固定及び下部補助部材の固定のために、例えばピン等を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の開先加工機は、上述の通り端部において幅広なフランジを有するH形鋼を容易かつ確実に固定した状態で開先加工を行うことができるため、種々の形状のH形鋼の開先加工に適用できる。
【符号の説明】
【0118】
1 開先加工機
10 加工部
101 加工部
11 筐体
111 土台部
112 柱部
113 第一梁部
114 第二梁部
12 載置台
121 ローラ
121a 第一載置面
13 支持フレーム
14 当接部材
141 基部
141a 内側面
142 固定板
143 当接部
16 押圧部材
161 押圧部材本体
161a 内側面
161b 傾斜面
162 押圧シリンダー
17 切削ヘッダー
18 下部補助部材
181 下部補助部材本体
181a 支持板
182 固定板
182a 貫通孔
19 下部バイス
191 固定バイス
191a 当接面
192 可動バイス
193 ローラ
193a 第二当接面
20 搬送部
21 ガイドレール
22 支持台
221 レール係合部
222 支持面
S H形鋼
F フランジ
Fa 幅広部
Fb 幅狭部
W ウェブ
【手続補正書】
【提出日】2022-06-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うことができる開先加工機であって、
上記フランジを固定可能な固定機構と、
上記H形鋼が固定された状態で開先加工を行う加工機構とを備え、
上記固定機構が、
上記フランジの幅広部分の下端を載置可能な載置部と、
上記載置部の上方に配され、上記幅広部分の上端を下方に押圧可能な押圧部材と、
上記フランジの上記幅広部分以外の上端に当接する当接部材と
を有する開先加工機。
【請求項2】
上記当接部材が上下に位置調節可能である請求項1に記載の開先加工機。
【請求項3】
上記固定機構が、上記幅広部分の下端に取り付けられる下部補助部材を有し、
上記下部補助部材が、上記フランジの軸方向に延びるとともに、上記幅広部分の下端を支持する支持部を有する請求項1又は請求項2に記載の開先加工機。
【請求項4】
上記押圧部材が、油圧式シリンダーによって上記幅広部分の上端を押圧する請求項1又は請求項2に記載の開先加工機。
【請求項5】
上記H形鋼を支持しつつ上記載置部に向けて搬送するための高さ調節可能な支持台をさらに備える請求項1又は請求項2に記載の開先加工機。
【請求項6】
上記載置部に向けて敷設されるガイドレールをさらに備え、
上記支持台が上記ガイドレールに沿って移動可能に取り付けられる請求項5に記載の開先加工機。
【請求項7】
端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うために、このフランジの上端に取り付けられる治具であって、
上記フランジの幅広部分の上端に載置される基部と、
上記基部に固定され、上記フランジの上記幅広部分以外の上端に当接する当接部と
を備える治具。
【請求項8】
載置部を有する開先加工機を用いて端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うために、このフランジの下端に取り付けられる治具であって、
治具本体と固定板とを備え、
上記治具本体が、上下方向に延びる側板とこの側板に垂直に連結される支持板とを有する断面L字形の棒状部材であり、
上記治具本体が、その長手方向が上記H形鋼の軸方向に沿って延びるように配置され、
上記側板が、上記フランジの幅広部分の一方の側面に当接するように配置され、
上記支持板が、上記フランジの幅広部分の下端と上記載置部との間に配置された状態で、上記フランジの幅広部分の下端を支持し、
上記固定板が、上記フランジの幅広部分の他方の側面に当接しつつ上記側板に連結される治具。
【請求項9】
端部において幅広なフランジを有するH形鋼に開先加工を行うために、このフランジの上端に取り付けられる第一治具と、上記フランジの下端に取り付けられる第二治具とを備え、
上記第一治具が、上記フランジの幅広部分の上端に載置される基部と、上記基部に固定され、上記フランジの上記幅広部分以外の上端に当接する当接部とを有し、
上記第二治具が、上記フランジの軸方向に延びるとともに、上記フランジの幅広部分の下端を支持する支持部を有する治具セット。