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特開2023-154284サブアクスル着脱治具及びこれを用いたサブアクスル着脱方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154284
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】サブアクスル着脱治具及びこれを用いたサブアクスル着脱方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/084 20060101AFI20231012BHJP
   E02D 7/00 20060101ALI20231012BHJP
   E02F 9/02 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B62D55/084
E02D7/00 Z
E02F9/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063519
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】武藤 啓志
【テーマコード(参考)】
2D050
【Fターム(参考)】
2D050CB11
2D050EE24
(57)【要約】
【課題】サブアクスルをアクスル本体に対して着脱することが可能なサブアクスル着脱治具及びこれを用いたサブアクスル着脱方法を提供する。
【解決手段】建設機械の走行体を構成するクローラ装置の装着部として、アクスル本体25を長手方向に延長する態様で軸支持されるサブアクスル26の着脱治具30において、サブアクスル26を載置する架台31と、架台を移動可能とするキャスター32と、架台の傾斜を調整可能なアジャスター33と、サブアクスル26の先端部を架台上で拘束する拘束手段34と、サブアクスル26の基端部の軸孔に対して支持軸27を挿抜可能な挿抜手段35とを備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の走行体を構成するクローラ装置の装着部として、アクスル本体を長手方向に延長する態様で軸支持されるサブアクスルの着脱治具において、
前記サブアクスルを載置する架台と、
前記架台を移動可能とするキャスターと、
前記架台の傾斜を調整可能なアジャスターと、
前記サブアクスルの先端部を前記架台上で拘束する拘束手段と、
前記サブアクスルの基端部の軸孔に対して支持軸を挿抜可能な挿抜手段と、
を備えていることを特徴とするサブアクスル着脱治具。
【請求項2】
前記拘束手段は、前記サブアクスルを回動させる回動軸と、該回動軸まわりの前記サブアクスルの回動を規制する固定軸とを備えていることを特徴とする請求項1記載のサブアクスル着脱治具。
【請求項3】
前記挿抜手段は、前記架台に設けられた支柱と、該支柱に取り付けられ、前記支持軸を吊り上げ可能に保持する手動式の荷役機械とを備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のサブアクスル着脱治具。
【請求項4】
請求項1記載のサブアクスル着脱治具を用いたサブアクスル着脱方法であって、
前記架台を前記サブアクスルの真下に配置する段階と、
前記架台上に前記サブアクスルを載置する段階と、
前記拘束手段で前記サブアクスルの先端部を拘束する段階と、
前記挿抜手段で前記サブアクスルの基端部の軸孔から支持軸を抜き取る段階と、
前記サブアクスルを前記アクスル本体から分離する段階と、
を順に行うことを特徴とするサブアクスル着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サブアクスル着脱治具及びこれを用いたサブアクスル着脱方法に関し、詳しくは、クローラ式建設機械の分解・輸送の際に用いられるサブアクスル着脱治具及びこれを用いたサブアクスル着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型のクローラ式建設機械、例えば大型杭打機では、輸送時における質量制限のため、下部走行体のトラックフレームからクローラ装置を取り外して別々に輸送し、現場でこれらを組み立てて使用している。このため、クローラ装置の着脱を容易に行えるように、専用の治具が開発され、運用に至っている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-6809号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
輸送質量の低減対策では、クローラ装置などの大型部品を分解するだけでは十分とはいえない機種もある。その場合、ウインチドラムなどを取り外す大掛かりな作業を伴い、迅速性が求められる現場で行うには作業負担が大きいという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、サブアクスルをアクスル本体に対して着脱することが可能なサブアクスル着脱治具及びこれを用いたサブアクスル着脱方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のサブアクスル着脱治具は、建設機械の走行体を構成するクローラ装置の装着部として、アクスル本体を長手方向に延長する態様で軸支持されるサブアクスルの着脱治具において、前記サブアクスルを載置する架台と、前記架台を移動可能とするキャスターと、前記架台の傾斜を調整可能なアジャスターと、前記サブアクスルの先端部を前記架台上で拘束する拘束手段と、前記サブアクスルの基端部の軸孔に対して支持軸を挿抜可能な挿抜手段とを備えていることを特徴としている。
【0007】
また、前記拘束手段は、前記サブアクスルを回動させる回動軸と、該回動軸まわりの前記サブアクスルの回動を規制する固定軸とを備えていることを特徴としている。さらに、前記挿抜手段は、前記架台に設けられた支柱と、該支柱に取り付けられ、前記支持軸を吊り上げ可能に保持する手動式の荷役機械とを備えていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明のサブアクスル着脱方法は、前記サブアクスル着脱治具を用いたサブアクスル着脱方法であって、前記架台を前記サブアクスルの真下に配置する段階と、前記架台上に前記サブアクスルを載置する段階と、前記拘束手段で前記サブアクスルの先端部を拘束する段階と、前記挿抜手段で前記サブアクスルの基端部の軸孔から支持軸を抜き取る段階と、前記サブアクスルを前記アクスル本体から分離する段階とを順に行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、サブアクスル着脱治具が、サブアクスルを載置する架台と、架台を移動可能とするキャスターと、架台の傾斜を調整可能なアジャスターと、サブアクスルの先端部を架台上で拘束する拘束手段と、サブアクスルの基端部の軸孔に対して支持軸を挿抜可能な挿抜手段とを備えているので、簡単な構成でサブアクスルを安全に着脱することができる。すなわち、架台にサブアクスルを載置した後、その先端部を拘束した状態で基端部の支持軸を挿抜するので、サブアクスルを架台上で安定させることができ、輸送の際に行われる分解・組立作業の容易化に資するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一形態例におけるサブアクスル着脱治具が適用される杭打機の側面図である。
図2】同じくクローラ装置を取り外した状態のベースマシンの側面図である。
図3】同じく平面図である。
図4】同じくサブアクスル着脱治具の側面図である。
図5】同じく正面図である。
図6】同じく平面図である。
図7】同じくサブアクスル着脱治具を使用するための段取りを示す側面図である。
図8】同じくサブアクスルの先端部を拘束した状態を示す側面図である。
図9】同じく平面図である。
図10】同じく荷役機械を使用するための段取りを示す側面図である。
図11】同じく荷役機械でサブアクスルからシャフトを抜き取った状態を示す側面図である。
図12】同じくサブアクスルを外側に回動させた状態を示す平面図である。
図13】同じくサブアクスル着脱治具を退避させた状態を示す側面図である。
図14】同じく平面図である。
図15】同じくサブアクスル着脱治具を吊り上げ可能な状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図15は、本発明の一形態例におけるサブアクスル着脱治具を建設機械の一例である杭打機に適用した図である。杭打機11は、図1に示すように、下部走行体12及び該下部走行体12の上部に旋回可能に設けられた上部旋回体13からなるベースマシン14と、上部旋回体13の前部に着脱可能に設けられたリーダブラケット15と、該リーダブラケット15の前端部に起伏可能に設けられたリーダ16と、リーダブラケット15の両側面に設けられた左右一対のフロントジャッキ17と、上部旋回体13の後部に設けられた左右一対のアウトリガジャッキ18と、リーダ16を上部旋回体13の後部から支持する左右一対のバックステー19と、上部旋回体13の後部上方に設けられた起伏可能なガントリ20とを備えている。
【0012】
リーダ16の前面には、オーガなどの作業装置(図示せず)がリーダ16に沿って昇降可能に設けられており、上部旋回体13に搭載した複数のウインチドラム(図示せず)にそれぞれ巻回した各ワイヤを巻き取ったり、巻き出したりするとともに、上部旋回体13に搭載した油圧ユニット(図示せず)を作動させることにより、作業装置の昇降を含めた各種作業を行うようにしている。
【0013】
このような杭打機11を輸送する際には、質量や大きさに応じて複数に分解されてトレーラなどの輸送車にそれぞれ積載される。まず、上部旋回体13からは、リーダ16、バックステー19、ガントリ20などの大型部品が取り外される。そして、ベースマシン14を輸送するため、図2及び図3に示すように、嵩上げ用のスペーサ21を装着したフロントジャッキ17及びアウトリガジャッキ18をそれぞれ伸長させてベースマシン14を上昇させ、下部走行体12において、クレーンの吊り動作で左右のクローラ装置22をトラックフレーム23から分離した状態とする。
【0014】
トラックフレーム23は、旋回ベアリングを有するセンターフレーム24と、該センターフレーム24の前後に設けられた前後一対のアクスル本体25,25とからなり、アクスル本体25,25の長手方向両端部には、クローラ装置22の装着部として、アクスル本体25を長手方向に延長する態様で軸支持される4箇所のサブアクスル26が設けられている。
【0015】
サブアクスル26は、対称形状のブラケット構造を有する2つで一組をなし、本形態例の場合、1つだけでも約200kgの質量がある。サブアクスル26の基端部には、アクスル本体25との重合部に整合する軸孔26aが設けられ(図6)、この軸孔26aにシャフト(支持軸)27を挿通した状態で、アクスル本体25に対して片持ち状に軸支持されている。一方、サブアクスル26の先端部は、上下二股形状の部分にクローラ装置22の連結部材(図示せず)を挿入して連結させる2箇所の軸孔26b,26cが設けられ、各軸孔26b,26cには、先端の軸孔26bから順に第1ピン(回動軸)28及び第2ピン(固定軸)29がそれぞれ挿通されている。
【0016】
ここで、輸送質量の低減対策としてアクスル本体25からサブアクスル26を取り外す場合、輸送架台を兼ねたサブアクスル着脱治具30が使用される。サブアクスル着脱治具30は、図4乃至図6に示すように、人手で操作が可能な台車構造を有しており、基本的には、一組のサブアクスル26,26を載置する架台31と、該架台31を移動可能とするキャスター32と、架台31の傾斜を調整可能なアジャスター33と、サブアクスル26の先端部を架台31上で拘束する拘束手段34と、サブアクスル26の基端部の軸孔26aに対してシャフト27を挿抜可能な挿抜手段35とを備えている。
【0017】
架台31は、形鋼や板材を組み合わせたフレーム構造を有し、中央部に一組のサブアクスル26,26を載置するための平坦状の載置部31aが設けられている。また、架台31の手前側(図4の右側)には、サブアクスル26の先端部(上下二股形状)に挿入される板体31bが嵩上げ状態で設けられ、該板体31bの上面には、キャスター32で支持された状態の架台31を押し引きするバーハンドル31cが設けられている。さらに、架台31のフレーム部には、サブアクスル26,26を搭載して吊り上げるための複数の吊り孔31dが設けられている。
【0018】
アジャスター33は、キャスター32の位置に対応する前後左右4箇所に設けられており、例えば、架台31の底部を上下方向に貫通するプッシャーボルトからなる。所望位置のプッシャーボルトを締め込むと地面Gからの反発力が得られ、架台31の傾斜調整が行えるようになる。
【0019】
拘束手段34は、図6にも示すように、サブアクスル26を回動させる第1ピン(回動軸)28と、該第1ピン28まわりのサブアクスル26の回動を規制する第2ピン(固定軸)29とを含むもので、板体31bにおいて、片側3つの軸孔31e,31f,31gを両側に合計6つ設けることで、第1ピン28及び第2ピン29を挿抜可能に構成している。
【0020】
各軸孔31e,31f,31gのうち、サブアクスル26の軸孔26bに整合する1つの軸孔31eを選択し、第1ピン28を挿入してサブアクスル26を回動可能に軸支した状態で、残り2つのうち内側の軸孔31fを選択し、第2ピン29を挿入してサブアクスル26を回動不能に軸支すると、一組のサブアクスル26,26は、互いに平行をなして載置部31a上に拘束される。一方、外側の軸孔31gを選択し、第2ピン29を挿入してサブアクスル26を回動不能に軸支すると、一組のサブアクスル26,26は、互いにハの字状をなして載置部31a上に拘束される。
【0021】
挿抜手段35は、架台31に設けられた支柱36と、該支柱36に取り付けられ、シャフト(支持軸)27を吊り上げ可能に保持する手動式の荷役機械37とを備えている。支柱36は、サブアクスル26,26同士の間を通過可能な太さの角パイプからなり、中間位置で回動ピン36aを中心に手前側に折り畳むことが可能な可倒式のものである。支柱36を倒した状態(図4の想像線)では、これと一体で倒される当て板部36bの板面がサブアクスル26上面に当接し、サブアクスル26に設けられたタップ孔26dを用いて蝶ボルト38で両者が固定される。
【0022】
支柱36の上端部両側には上シャックル39が取り付けられ、シャフト27に下シャックル39が取り付けられ、これら上下シャックル39,39を介して荷役機械37が接続されている。荷役機械37は、例えば、手動式の引張り装置として周知のレバーブロック(登録商標、以下同じ)であり、シャフト27,27の数に対応して2つ用意されている。レバーブロックの上下フック37a,37bをシャックル39,39に係合した状態で、レバーの往復操作を行うと、チェーンの長さが短縮して張力が付与され、シャフト27の挿抜が行えるようになる。
【0023】
以下では、サブアクスル着脱治具30を使用してサブアクスル26の着脱を行う方法を、図7乃至図15を参照しながら説明する。サブアクスル着脱治具30は4台用意され、8つ全てのサブアクスル26を部品単位で運べるようになっている。まず、トラックフレーム23から左右のクローラ装置22を取り外した状態で、作業対象の一組目のサブアクスル26,26が上部旋回体13の一側部、例えば運転室13aの近傍に位置するようにトラックフレーム23を旋回させる(図3)。
【0024】
サブアクスル着脱治具30は、図7に示すように、支柱36を起立させて、架台31をサブアクスル26に対向させた状態から、サブアクスル26の下方空間に差し込まれる。このとき、必要に応じてフロントジャッキ17及びアウトリガジャッキ18をそれぞれ伸縮させてベースマシン14の高さ調整が行われる。
【0025】
次いで、図8に示すように、架台31をサブアクスル26の真下に配置するとともに、板体31bをサブアクスル26の先端部(上下二股形状)に挿入した状態で、プッシャーボルトを締め込んでアジャスター33を調整する。これにより、サブアクスル26が載置部31a上に載置されてサブアクスル26と架台31との傾斜が整合した状態となる。
【0026】
次いで、同軸性が得られた一方の軸孔26b,31eに第1ピン28を、他方の軸孔26c,31fに第2ピン29をそれぞれ挿入してサブアクスル26の先端部を拘束する。反対側のサブアクスル26も同様にして先端部を拘束することで、図9に示すように、一組のサブアクスル26,26同士が平行をなして載置部31a上に安定的に保持される。
【0027】
次いで、図10に示すように、支柱36の上端部両側と2本のシャフト27,27の上端部とにシャックル39,39を装着した後、上下シャックル39,39同士の間に、荷役機械37として2つのレバーブロックをそれぞれ介挿させた待機状態とする。そして、片方のレバーブロックを往復操作してチェーンの長さを短縮させる。これにより、図11に示すように、サブアクスル26の基端部の軸孔26aからシャフト27が抜き取られ、サブアクスル26の軸支持状態、すなわち、アクスル本体25とサブアクスル26との連結状態が解除される。
【0028】
次いで、シャフト27を吊した状態(図11)で、図12に示すように、第2ピン29を、板体31bにおいて内側の軸孔31fから外側の軸孔31gに差し替えることで、サブアクスル26を第1ピン28まわりに内側から外側に回動させる。反対側も同様にしてサブアクスル26を第1ピン28まわりに内側から外側に回動させる。これにより、アジャスター33を解除する際にアクスル本体25とサブアクスル26とが上下方向に押し付けられる不具合をなくすことができる。こうして、図13及び図14に示すように、一組のサブアクスル26,26をハの字状に保持した状態で、アジャスター33を解除した後、架台31とアクスル本体25とを分離し、架台31をアクスル本体25から遠ざけるように退避させる。
【0029】
次いで、第2ピン29を、板体31bにおいて外側の軸孔31gから内側の軸孔31fに差し替えることで、ハの字状をなすサブアクスル26,26をそれぞれ第1ピン28まわりに外側から内側に回動させる。これにより、サブアクスル26,26が載置部31a上に平行をなして保持される。そして、レバーブロックを往復操作してチェーンの長さを伸ばすと、吊り状態にあるシャフト27が下方に移動し、サブアクスル26の基端部の軸孔26aに挿入される。こうした作業を、もう片方のシャフト27についても実施する。
【0030】
最後に、図15に示すように、レバーブロックを取り外した状態で支柱36を倒し、サブアクスル26上面に蝶ボルト38で固定する。こうしたサブアクスル26の分離作業を、トラックフレーム23を適宜旋回させながら、残りの3箇所に対して同様に実施する。サブアクスル26の搭載が完了した4台のサブアクスル着脱治具30は、吊り孔31dを使用してクレーンで吊り上げられ、輸送車の荷台に整列状態で積載される。そして、輸送先の現場に搬入されると、杭打機11を組み立てる過程において、上述と逆の手順でトラックフレーム23に組み付けられる。
【0031】
このように、本発明によれば、サブアクスル着脱治具30が、サブアクスル26を載置する架台31と、架台31を移動可能とするキャスター32と、架台31の傾斜を調整可能なアジャスター33と、サブアクスル26の先端部を架台31上で拘束する拘束手段34と、サブアクスル26の基端部の軸孔26aに対して支持軸27を挿抜可能な挿抜手段35とを備えているので、簡単な構成でサブアクスル26を安全に着脱することができる。すなわち、架台31にサブアクスル26を載置した後、その先端部を拘束した状態で基端部の支持軸27を挿抜するので、サブアクスル26を架台上で安定させることができ、輸送の際に行われる分解・組立作業の容易化に資するものとなる。
【0032】
また、拘束手段34が、サブアクスル26を回動させる回動軸28と、該回動軸28まわりのサブアクスル26の回動を規制する固定軸29とを備えているので、サブアクスル26の安定状態を簡単なピン結合で作ることができ、しかも、サブアクスル26を回動させるだけの簡単な動作でサブアクスル26をアクスル本体25に対して接近又は離間できることから、位置と角度(傾斜)が厳格に求められる軸の挿抜作業に特に有効である。
【0033】
さらに、挿抜手段35が、架台31に設けられた支柱36と、該支柱36に取り付けられ、支持軸27を吊り上げ可能に保持する手動式の荷役機械37とを備えているので、簡単かつ安価な構成で支持軸27の挿抜機能が得られ、杭打機11が使用される現場の多様な環境に適うサブアクスル着脱治具30が達成される。
【0034】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、架台や各部の構成は人手で取り扱うことができれば種々の構成が考えられ、搭載するサブアクスルの形状や大きさに応じて適宜変更を加えることができる。また、サブアクスルの着脱時に用いられる機器として、例えば水準器などのように傾斜の程度(レベル)をチェックできるものを使用してもよい。さらに、実施例では杭打機を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、他のクローラ式の大型建設機械にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
11…杭打機、12…下部走行体、13…上部旋回体、13a…運転室、14…ベースマシン、15…リーダブラケット、16…リーダ、17…フロントジャッキ、18…アウトリガジャッキ、19…バックステー、20…ガントリ、21…スペーサ、22…クローラ装置、23…トラックフレーム、24…センターフレーム、25…アクスル本体、26…サブアクスル、26a,26b,26c…軸孔、26d…タップ孔、27…シャフト(支持軸)、28…第1ピン(回動軸)、29…第2ピン(固定軸)、30…サブアクスル着脱治具、31…架台、31a…載置部、31b…板体、31c…バーハンドル、31d…吊り孔、31e,31f,31g…軸孔、32…キャスター、33…アジャスター、34…拘束手段、35…挿抜手段、36…支柱、36a…回動ピン、36b…当て板部、37…荷役機械、37a,37b…フック、38…蝶ボルト、39…シャックル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15