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  • 特開-増毛毛材取付器具 図1
  • 特開-増毛毛材取付器具 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154307
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】増毛毛材取付器具
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20231012BHJP
   A41G 5/00 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
A41G3/00 Z
A41G5/00
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063555
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000126676
【氏名又は名称】株式会社アデランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 和人
(57)【要約】
【課題】多数の作業者が増毛用の毛材の取付作業を好適に実施可能とする。
【解決手段】増毛毛材取付器具1は、ガイド部材3に対して筒状部材5が、ガイド部材3の突出方向に沿った方向側(軸方向側)に移動可能に、位置決め部材6によって位置決め固定されている。このため、ガイド部材3の先端と、筒状部材5の先端との距離を、各作業者にとって作業のし易い距離に設定した上で、増毛用の毛材の取付作業を実施することができる。また、取付作業の途中で、作業のし易い距離に変更することも、容易に実施することができる。すなわち、多数の作業者が、自身の感覚や癖など個別の好みに適した距離に、ガイド部材3と筒状部材5の相対位置を設定することができる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の毛髪からなる毛材を自毛に結び付けることで増毛を可能とする増毛作業において結び目を形成するために利用可能な増毛毛材取付器具であって、
作業者が把持可能な把持部と、
把持部から一方側に突出して先端が尖って形成されたガイド部材と、
そのガイド部材の突出方向に対して傾斜した端面部分を含んで構成され、前記ガイド部材の周囲に対して所定の間隙が設けられる傾斜部と、前記ガイド部材の周囲を囲う筒状に形成された筒状部とを有する筒状部材と、
前記筒状部材と前記ガイド部材との間に介在し、前記ガイド部材に対して前記筒状部材を、前記突出方向に沿った方向側に移動可能に位置決め固定する位置決め固定手段とを備えていることを特徴とする増毛毛材取付器具。
【請求項2】
前記位置決め固定手段として、前記ガイド部材の外周側に位置し、前記筒状部材の前記筒状部の内側に圧入した状態で配置される位置決め部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の増毛毛材取付器具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増毛用の毛材を自毛に結び付ける際に利用可能な増毛毛材取付器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数本の毛髪からなる毛材を自毛に結び付けることで増毛を可能とする増毛方法が知られており、その増毛をする場合に、自毛を巻き付けて結び目を形成するために利用可能な増毛毛材取付器具(毛巻き杆)が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5199496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、増毛用の毛材を取り付ける作業は、小さな結び目を形成する細かな作業のため、作業者毎に使い勝手のよい増毛毛材取付器具が異なる可能性があり、多数の作業者に適した増毛毛材取付器具を準備することが難しいという問題点があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、多数の作業者が増毛用の毛材の取付作業を好適に実施可能な増毛毛材取付器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の増毛毛材取付器具は、複数本の毛髪からなる毛材を自毛に結び付けることで増毛を可能とする増毛作業において結び目を形成するために利用可能な増毛毛材取付器具であって、作業者が把持可能な把持部と、把持部から一方側に突出して先端が尖って形成されたガイド部材と、そのガイド部材の突出方向に対して傾斜した端面部分を含んで構成され、前記ガイド部材の周囲に対して所定の間隙が設けられる傾斜部と、前記ガイド部材の周囲を囲う筒状に形成された筒状部とを有する筒状部材と、前記筒状部材と前記ガイド部材との間に介在し、前記ガイド部材に対して前記筒状部材を、前記突出方向に沿った方向側に移動可能に位置決め固定する位置決め固定手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この請求項1に記載の増毛毛材取付器具によれば、ガイド部材に対して位置決め固定手段によって位置決め固定された筒状部材を、作業者毎に使用し易い位置まで移動して位置決め固定することができる。
【0008】
請求項2に記載の増毛毛材取付器具は、請求項1に記載の増毛毛材取付器具において、前記位置決め固定手段として、前記ガイド部材の外周側に位置し、前記筒状部材の前記筒状部の内側に圧入した状態で配置される位置決め部材が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、多数の作業者が増毛用の毛材の取付作業を好適に実施可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の増毛毛材取付器具を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は分解図、(d)は(b)のD-D線における断面図である。
図2】筒状部材の位置を移動した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の増毛毛材取付器具1は、複数本の毛髪からなる毛材を自毛に結び付けることで増毛を可能とする増毛作業において結び目を形成するために利用可能な器具であり、ガイド部材3に対して筒状部材5を、作業者毎に使用し易い位置まで移動して位置決め固定することが可能に構成されている。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は増毛毛材取付器具1を例示した図であり、図1(a)は平面図であり、図1(b)は正面図、図1(c)は分解図、図1(d)は図1(b)のD-D線における断面図である。
【0013】
増毛毛材取付器具1は、図1(a)に示すように、把持部2と、ガイド部材3と、筒状部材5と、位置決め部材6とを備えている。作業者は、毛材を自毛に結んだ後、その結び目分より自毛の先端側に抜け止め用の結び目を作る場合に、増毛毛材取付器具1を使用する。結び目は、自毛を筒状部材5の周りに巻いた後に、ガイド部材3と筒状部材5との間の間隙部分にフック(かぎ針)を差し込んで自毛を引き出すことで、形成することができる。
【0014】
把持部2は、作業者が把持可能な部位であり、例えば、木材や樹脂により形成される。把持部2の内部には、ガイド部材3の基端部分が入り込んだ状態となっている。把持部2の先端側には留め具4が設けられ、留め具4の内部に設けられる固定具(図示せず)により、ガイド部材3が把持部2から抜け出さないように固定される。
【0015】
ガイド部材3は、把持部2から一方側に突出して先端が尖った形状に形成された金属製の部材である。ガイド部材3は、先端から一定の区間が次第に太幅となる細長円錐形状の先細部3aと、一定の太さで形成された定幅部3bとを含めて構成される。先細部3aは、把持部2から突出した全範囲の半分以上を占める構成とされている。この先細部3aを長く設定することによりガイド部材3と筒状部材5との間隙の幅を大きく設定することができ、作業者の作業性を向上することができる。
【0016】
先細部3aの長さは、ガイド部材3が把持部2から突出した長さ(突出長さ)の略30%以上とすることがよく、略40%以上とすることが好ましく、略50%以上とすることが好適である。ガイド部材3の突出長さが55mmである場合、先細部3aの長さは、略15mm以上とすることがよく、略25mm以上とすることが好適であり、例えば、30mmに設定される。
【0017】
定幅部3bの長さは、位置決め部材6を固定して支持するのに十分な長さが設定され、位置決め部材6に対して略同一の長さ以上に設定されることが好ましい。定幅部3bを長く設定する分、位置決め部材6を安定した状態で配置可能な範囲を長くすることができる。
【0018】
筒状部材5は、ガイド部材3の周囲に対して一定の間隙を有するように設けられる筒状の部材により構成される。筒状部材5には、ガイド部材3の周囲を囲う筒状に形成された筒状部5aと、ガイド部材3の突出方向に対して斜めに端面5cが形成された傾斜部5bとが設けられている。筒状部5aは、筒状部材5をグラつかせず安定的に支持するための部位である。筒状部5aの長さは、位置決め部材6の長さの半分以上とすることがよく、略同一の長さに設定されることが好ましい。
【0019】
傾斜部5bは、ガイド部材3の周囲に対して一定の間隙が設けられ、ガイド部材3の突出方向に対して傾斜した端面5cの部分を含んで構成される部位である。傾斜部5bは、端面5cによってガイド部材3が位置する中央側(図1(a)の上側)に凹んだ形状部分を形成し、結び目を形成する場合に傾斜部5bの内側にフック(かぎ針)が差し込まれて自毛が引き出される。
【0020】
筒状部材5において、図1(b)に示す側面視における傾斜部5bの角度Aは、小さく設定されることが好ましく、これにより、ガイド部材3の先端部分に形成される毛材の結び目等の視認性を高めて作業性を向上することができる。この角度Aは、略15度以下に設定されることが好ましく、略10度以下とすることが好適であり、例えば、略8度に設定される。
【0021】
筒状部材5の傾斜部5bは、ガイド部材3の軸方向において、ガイド部材3の全体の長さ(先細部3aの長さ(例えば、30mm)と定幅部3bの長さ(例えば、25mm)とを含む全長(突出長さ、例えば、55mm))より短く、先細部3aのみの長さ(突出長さから定幅部3bの長さ分を減算した長さ、例えば、30mm)より長く形成されることが好ましい。傾斜部5bの長さは、先細部3aを30mmとした場合、30mmを超えた長さに設定されることが好ましく、例えば、33mmの長さに設定される。これにより、傾斜部5bの内側に定幅部3bの一部を位置させることができ、筒状部材5の外形を小さく構成しつつ、広幅の間隙部分を利用して結び目を形成することができる。筒状部材5の材料としては、硬質で透明度の高い樹脂材料を用いることが、作業性を良好とするために好ましく、例えば、ABS樹脂や、アクリル樹脂で形成されることが好ましい。
【0022】
位置決め部材6は、筒状部材5とガイド部材3との間に介在し、ガイド部材3に対して筒状部材5を位置決め固定するための部材である。位置決め部材6は、筒状部材5の筒状部5aと略同一の長さに設定されることが好ましく、例えば、10mmの長さに設定される。これにより、周囲が完全に囲われた筒状部5aの内側に位置決め部材6を完全に収めることを可能にして見栄えを良くし、且つ、ガイド部材3に対して筒状部材5を安定した状態に支持することができる。
【0023】
ここで、ガイド部材3に対して筒状部材5を位置決め固定するための支持部分の長さが大きく設定されると、その分、ガイド部材3に対して筒状部材5を傾き難くすることができる。また、筒状部5aで位置決め部材6の周囲が完全に囲われて筒状部材5の剛性が高められているので、作業中においてガイド部材3に対して筒状部材5がブレるような状況を少なくすることができる。これにより、ガイド部材3と筒状部材5との間の間隙の大きさを一定に維持し易くすることができ、増毛用の取付作業を実施し易くすることができる。
【0024】
位置決め部材6は、筒状部材5より弾性変形が容易な材料により構成されることが好ましく、例えば、シリコン樹脂により構成されている。図1(c)に示すように、位置決め部材6の内径D2は、ガイド部材3の定幅部3bの外径D1と略一致し、例えば、いずれも略2.0mmに設定される。また、位置決め部材6の外径D3は、筒状部材5の内径D4と略一致し、例えば、いずれも略4.0mmに設定される。位置決め部材6は、ガイド部材3と筒状部材5との間で圧入された状態となる厚みを有する設定とされている。
【0025】
位置決め部材6は、筒状部材5の筒状部5aの内側に嵌め込まれた状態にして、ガイド部材3に差し込むことで取り付けることができる。ガイド部材3の根元部分まで位置決め部材6及び筒状部材5の筒状部5aが押し込まれることで、ガイド部材3と筒状部材5とが一体化される。
【0026】
なお、ガイド部材3と筒状部材5の先端は尖った形状に形成されているので、図1(b)に示すように、ガイド部材3と筒状部材5の先端を覆うカバー部材9が設けられることが好ましい。例えば、カバー部材9は、内径を、筒状部材5の外径(例えば、6mm)と略一致させた筒状の樹脂部材を切断して形成することができ、これにより、カバー部材9を容易に製造することができる。
【0027】
次に、図2を参照して、ガイド部材3に対して筒状部材5を移動して位置決め固定する方法について説明する。図2には、図2(a)の状態に対して筒状部材5の位置を移動した状態を、図2(b)及び図2(c)として示している。
【0028】
図2(a)には、ガイド部材3の根元部分まで位置決め部材6及び筒状部材5の筒状部5aが押し込まれた状態を示している。この状態において、ガイド部材3に対して、位置決め部材6及び筒状部材5は、完全に固定されているわけでなく、一定以上の力を加えることで、筒状部材5をガイド部材3の先端側に引き出すように移動することができる。
【0029】
図2(b)に示すように、筒状部材5は、ガイド部材3の先端側に向けて移動させることができる。筒状部材5を、位置決め部材6の長さL1より短い長さL2分、移動させると、ガイド部材3の軸方向におけるガイド部材3の先端と、筒状部材5の先端との距離は、元の距離D5から、近づいた距離D6へと変化する。この筒状部材5の移動は、位置決め部材6の長さL1の範囲内で実施することができ、無段階で位置調整を実施することができる。
【0030】
また、図2(c)に示すように、位置決め部材6と共に筒状部材5を移動することで、位置決め部材6の長さに制限されずに、筒状部材5を移動することができる。この場合、ガイド部材3の定幅部3bの範囲内において筒状部材5を移動させることにより、筒状部材5を安定させた状態にして作業を実施することができる。ここで、筒状部材5の先端が、ガイド部材3の軸方向におけるガイド部材3の先端と一致した場合(D6の長さが「0」となる場合)において、位置決め部材6の全体が定幅部3bに含まれるように、ガイド部材3の定幅部3bの長さを設定することが好ましい。
【0031】
以上説明したように、本発明の増毛毛材取付器具1は、位置決め固定手段としての位置決め部材6によって、ガイド部材3に対して筒状部材5が、ガイド部材3の突出方向に沿った方向側(軸方向側)に移動可能に位置決め固定されている。このため、ガイド部材3の先端と、筒状部材5の先端との距離を、各作業者にとって作業のし易い距離に設定した上で、増毛用の毛材の取付作業を実施することができる。また、取付作業の途中で、作業のし易い距離に変更することも、容易に実施することができる。すなわち、多数の作業者が、自身の感覚や癖など個別の好みに適した距離に、ガイド部材3と筒状部材5の相対位置を移動することができる。これにより、増毛用の毛材の取付作業を、各作業者が好適に実施することができる。
【0032】
なお、本発明は、上述した発明の実施の形態に限定されず、上記した各効果と同様の効果を奏する別の実施の形態に変更できることは勿論である。
【0033】
例えば、上記実施の形態においては、ガイド部材3と筒状部材5とのいずれに対しても位置決め部材6が相対的に移動可能な場合について例示したが、ガイド部材3と筒状部材5とのいずれかに位置決め部材6が移動不能に固定された構成としてもよく、例えば、ガイド部材3に位置決め部材6を接着固定してもよく、この場合であっても、ガイド部材3に対して筒状部材5を移動可能に構成することができる。
【0034】
また、位置決め部材6が単一の部材により構成される場合について例示したが、長さの短い2つ以上の位置決め部材6によって筒状部材5を位置決め固定するように構成してもよい。また、位置決め部材6が筒状部材5とは別の部品により構成される場合を例示したが、位置決め部材6を省略し、位置決め部材6に相当する部位を、筒状部材5に一部品として一体的に形成してもよい。例えば、金型を利用した樹脂成形により位置決め部材6と筒状部材5とを一体化した形状の部品を成形し、位置決め固定手段としての機能を含む筒状部材5としてもよい。
【0035】
また、筒状部材5を透明な材料によって構成する場合について例示したが、これに代えて、または、これに加えて、黒色などで着色された筒状部材5を用いてもよく、この場合には、白色やシルバー色などの髪色の場合において透明な場合より筒状部材5に巻き付けた自毛を確認し易い可能性があり、ガイド部材3に対して筒状部材5が固定されていないので、透明な筒状部材5と、着色された筒状部材5とを、容易に交換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の増毛毛材取付器具は、多数の作業者が増毛用の毛材の取付作業を好適に実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 :増毛毛材取付器具
2 :把持部
3 :ガイド部材
5 :筒状部材
5a :筒状部
5b :傾斜部
5c :端面
6 :位置決め部材(位置決め固定手段)

図1
図2