(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154316
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】パレット移動防止具及びパレット移動防止方法
(51)【国際特許分類】
B65G 1/14 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
B65G1/14 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063570
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】501359412
【氏名又は名称】株式会社リンテック21
(74)【代理人】
【識別番号】100144277
【弁理士】
【氏名又は名称】乙部 孝
(72)【発明者】
【氏名】富田 真次
(72)【発明者】
【氏名】田上 貴也
(72)【発明者】
【氏名】瀧田 秀雄
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022EE02
3F022FF02
3F022MM52
(57)【要約】
【課題】
既存のパレットラックの棚へ個別に簡易な設置ができるパレット移動防止具を提供することである。また、この発明の別の目的は、適用が簡便で、かつ確実にパレットの移動を防止できるパレット移動防止方法を提供する。
【解決手段】
パレットラックの棚に装着されるパレット移動防止具であって、前記棚の横部材に嵌り前後へずれないように前記横部材の前後を挟むように2個の壁部材を備え、前記2個の壁部材の上端を結ぶ屋根部材を備えその表面が全方位へのパレットの移動を妨げるように摩擦力を増す形態に形成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレットラックの棚に装着されるパレット移動防止具であって、
前記棚の横部材に嵌り前後へずれないように前記横部材の前後を挟むように2個の壁部材を備え、前記2個の壁部材の上端を結ぶ屋根部材を備えその表面が全方位へのパレットの移動を妨げるように摩擦力を増す形態に形成されることを特徴とするパレット移動防止具。
【請求項2】
前記屋根部材の表面に、複数の突起が設けられることを特徴とする請求項1に記載のパレット移動防止具。
【請求項3】
前記突起の形状が円柱状であることを特徴とする請求項2に記載のパレット移動防止具。
【請求項4】
前記屋根部材又は前記壁部材に接着層が設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載のパレット移動防止具。
【請求項5】
前記請求項4に記載されたパレット移動防止具を用いたパレット移動防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等による建屋の揺れ、振動、傾斜によって生じるパレットラックの棚からのパレットの移動及び落下を防止するパレット移動防止具及びパレット移動防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倉庫などで用いられるパレットラックの棚にはパレットに載った物品が積載されているが、地震の際には、パレットがパレットラックの棚からずり落ちる危険性が指摘されている。
【0003】
パレットの落下を防止するために、例えば特許文献1に開示される収納機ではパレットラックの棚の出入り口に扉を設ける構造が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、パレットラックの棚に所定の構造の落下防止装置を取り付ける発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2平9-2613号公報
【特許文献2】特開2013-237569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されるパレット落下を防止する収納棚は棚自身を大掛かりに変更する必要があり、既存のパレットラックの棚への適用は困難である。また、特許文献2に開示されるパレット落下防止用ストッパー体は、パレットの大きさに匹敵する用具を用いるので、費用の点および実装の手間の点で難点が有る。また既存の発明はパレットの落下防止に特化しており、横方向への移動などには効果が期待できない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の目的は、上述した事情に鑑みなされたもので、既存のパレットラックの棚へ個別に簡易な設置ができるパレット移動防止具を提供することである。
【0008】
また、この発明の別の目的は、適用が簡便で、かつ確実にパレットの移動を防止できるパレット移動防止方法を提供することである。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、この発明に係わるパレット移動防止具は、請求項1の記載によれば、パレットラックの棚に装着されるパレット移動防止具であって、前記棚の横部材に嵌り前後へずれないように前記横部材の前後を挟むように2個の壁部材を備え、前記2個の壁部材の上端を結ぶ屋根部材を備えその表面が全方位へのパレットの移動を妨げるように摩擦力を増す形態に形成されることを特徴とするパレット移動防止具である。
【0010】
また、目的を達成するため、この発明に係わるパレット移動防止具は、請求項2の記載によれば前記屋根部材の表面に、複数の突起が設けられることを特徴とする請求項1に記載のパレット移動防止具である。
【0011】
また、目的を達成するため、この発明に係わるパレット移動防止具は、請求項3の記載によれば 前記突起の形状が円柱状であることを特徴とする請求項2に記載のパレット移動防止具である。
【0012】
また、目的を達成するため、請求項4の記載によれば前記屋根部材又は前記壁部材に接着層が設けられることを特徴とする請求項2又は3に記載のパレット移動防止具である。
【0013】
また、目的を達成するため、請求項5の記載によれば前記請求項4に記載されたパレット移動防止具を用いたパレット移動防止方法である。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、既存のパレットラックの棚に容易に設置できるパレット移動防止具を提供することができる。
【0015】
また、この発明によれば、また、簡便にパレットの落下を防止するパレット移動防止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に掛かるパレット移動防止具の(A)斜視図、(B)底面図である。
【
図3】本発明に掛かるパレット移動防止具(A)設置の拡大図、(B)設置の全体図である。
【
図4】本発明に掛かるパレット移動防止具上にパレットが積載された状態の(A)拡大図、(B)全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を用いて本発明の実施例を説明する。
図1(A)は、本発明に掛かるパレット移動防止具10の斜視図である。パレット移動防止具10はパレットラックの棚の横部材に嵌り前後へずれないように前記横部材の前後を挟むように2個の壁部材1,4を備えている。そして2個の壁部材1,4の上端を屋根部材3で結び横断面視コの字型になる。
【0018】
屋根部材3の表面には全方位へのパレットの移動を妨げるように摩擦力を増す形態として複数の突起が設けられる。その形状は円柱状が好適であるが表面が円であれば四角錐、三角錐でも良い。パレットに接する面での突起の形状が円なので全方位どの方向に対しても同じ摩擦力を示す。突起の密度は要求される耐加重により決まる。突起の密度を上げると耐荷重が増加する。
【0019】
パレット移動防止具は、パレットラックの棚とパレットの間に敷かれてパレット移動防止具の表面とパレットの底面の摩擦力でパレットの移動を防止する。表面と底面の摩擦係数を大きくするためには、物理的な形状以外にパレット移動防止具の表面に粘着性の物質を塗布することも有効である。
【0020】
パレット移動防止具は軟質PVCなどを押し出し成形で勢作される。材料は軟質PVCに限らずゴム系の適宜な材料を用いることができる。寸法は、
図1において壁部材1,4の厚み7mm、高さ28mmとしたが、用いるパレットの大きさや重さにより変更が可能である。
【0021】
図1(B)は本発明に掛かるパレット移動防止具10の底面視図である。屋根部材3の底面及び壁部材1,4には、接着層が設けられる。具体的には、両面テープを用いることが好適である。パレットラックの棚の横部材を壁部材1,4で挟み接着し、屋根部材3の底面をパレットラックの棚の横部材の上面へ接着することで強固に移動防止具をパレットラックの棚へ固定することができる。
【0022】
図2(A),(B)は従来用いられているパレットラックの棚の前後方向へのパレットの移動を妨げてパレットの落下を防止するパレット落下防止具である。
図2(A),(B)共に表面の凸形状の断面に方向性が有り矢印方向への摩擦力が矢印方向と直角方向の摩擦力に比べて大きくなるように形成されている。
【0023】
図2(B)では前後方向に溝が刻まれここへベルトを掛けてパレットラックの棚の横部材へ共締めにすることで強固に固定することができる。パレットラックの棚の一部へ帯状の金属バンドなどで共締めされる。金属バンドの代わりにアラミド繊維で作られた帯を使うことも好ましい。また、固定用のボルト29で横部材へねじ止めてしもよい。
【0024】
図3(A)は本発明に掛かるパレット移動防止具10をパレットラックの棚の横部材へ接着により装着した様子を示す。装着の直前に分離テープを剥がし横部材へ嵌めて前後と上から圧着するだけで簡単にパレット移動防止具10をパレットラックの棚へ装着することができる。
【0025】
図3(B)は市販のパレットラックの棚50へ本発明に掛かるパレット移動防止具10を装着した説明図である。装着位置はパレットを置いた際にパレットが当たる場所に合わせる。パレットのサイズや形状とパレットラックの棚のサイズや形状に合わせる。棚の全ての横部材へパレット移動防止具10を付ける必要は無いので、適宜装着する場所を選ぶことができる。
【0026】
図4(A)はパレット40をパレットラックの棚へパレット移動防止具10介して載せた状態を拡大して示す。パレット40はパレットラックの棚50へ直接当たることなくパレット移動防止具10に支えられている。
【0027】
図4(B)は複数の荷物60を載せた状態のパレットラックの棚の様子を示す。全てのパレット40がパレット移動防止具10の上に載せられる。
【0028】
以上のように、本発明により、構造が簡単で安価に製造可能なパレット移動防止具10を提供することができる。また、本発明により、パレット移動防止具10を用いることでパレ取り付けが容易で強固にパレットの移動を防止するパレット移動防止方法を提供することができる。さらに、本発明のパレット移動防止具は、既存のパレットラックの棚を改造することなく簡便に取り付け可能であり使用者にとって利便性が高い。
【符号の説明】
【0029】
1 壁部材
2 突起
3 屋根部材
10 パレット移動防止具
21 直線凹凸
22 溝つき直線凹凸
23,24 断面形状
29 ボルト
31,32 側壁部材
40 パレット
50 パレットラックの棚