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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154334
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】野菜収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 27/00 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
A01D27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063606
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(71)【出願人】
【識別番号】504352788
【氏名又は名称】オサダ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
(72)【発明者】
【氏名】長田 秀治
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 和晃
(72)【発明者】
【氏名】大宮 秀郷
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA10
2B072BA30
2B072CA12
2B072DA02
2B072DA05
2B072DA11
2B072EA11
(57)【要約】
【課題】爪が茎葉部の抵抗に負けることなく、茎葉部を掻き上げることが可能な野菜収穫機が要望されている。
【解決手段】野菜収穫機は、引き抜き搬送装置の前方に立設され、圃場の作物の茎葉部を掻き上げる掻き上げ装置3を備えている。掻き上げ装置3は、爪18Bが茎葉部に掻き上げ作用する作用側において、爪18Bのうち掻き上げ方向Sとは反対側に位置する背部に沿って設けられ、掻き上げベルト18よりも硬い材質で構成され、爪18Bが背部側に倒れるのを規制する倒れ規制部材22を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場から作物を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置と、
前記引き抜き搬送装置の前方に立設され、圃場の作物の茎葉部を掻き上げる掻き上げ装置と、を備え、
前記掻き上げ装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転可能な下側輪体と、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転可能な上側輪体と、前記下側輪体及び前記上側輪体に巻き付けられ、前記茎葉部に掻き上げ作用する掻き上げベルトと、を有し、
前記掻き上げベルトは、前記下側輪体及び前記上側輪体に巻き付けられるベルト本体と、前記ベルト本体の外周部に設けられ、前記茎葉部に掻き上げ作用する多数の爪と、を有し、かつ、前記多数の爪と前記ベルト本体とが弾性部材によって一体に形成され、
前記掻き上げ装置は、前記爪が前記茎葉部に掻き上げ作用する作用側において、前記爪のうち掻き上げ方向とは反対側に位置する背部に沿って設けられ、前記掻き上げベルトよりも硬い材質で構成され、前記爪が前記背部側に倒れるのを規制する倒れ規制部材を有している野菜収穫機。
【請求項2】
前記倒れ規制部材は、前記背部と前記ベルト本体の外周面とに亘るように曲がる形状の金属板によって構成されている請求項1に記載の野菜収穫機。
【請求項3】
前記倒れ規制部材は、前記爪にのみ固定されている請求項2に記載の野菜収穫機。
【請求項4】
前記爪は、側面視で前記背部側に突出して屈曲する形状に形成され、
前記倒れ規制部材は、前記爪のうち屈曲部に対して先端側部分と根元側部分とに亘って設けられている請求項2に記載の野菜収穫機。
【請求項5】
前記倒れ規制部材は、前記先端側部分及び前記根元側部分に固定されている請求項4に記載の野菜収穫機。
【請求項6】
前記掻き上げ装置は、前記作用側における前記ベルト本体の内周面に沿って設けられ、前記ベルト本体が内周側に変位するのを規制する変位規制部材を有している請求項1に記載の野菜収穫機。
【請求項7】
前記掻き上げ装置は、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心に対して一方側に偏倚した位置に設けられ、
前記掻き上げ装置は、前記爪が下降する戻り経路の下側部分を、機体左右方向で前記中心とは反対側から覆う外カバーを有している請求項1から6の何れか一項に記載の野菜収穫機。
【請求項8】
前記外カバーは、機体左右方向で前記中心とは反対側に向かって膨らむ形状に形成されている請求項7に記載の野菜収穫機。
【請求項9】
前記掻き上げ装置は、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心に対して一方側に偏倚した位置に設けられ、
前記掻き上げ装置は、前記爪が下降する戻り経路の下側部分を、機体左右方向で前記中心側から覆う内カバーを有している請求項1から6の何れか一項に記載の野菜収穫機。
【請求項10】
前記内カバーは、前記内カバーの上端と前記内カバーの下端とに亘る単一の平面状の板状部材によって構成されている請求項9に記載の野菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜収穫機として、例えば、特許文献1に記載の野菜収穫機が知られている。従来の野菜収穫機は、圃場から作物を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置(文献では「抜き取り搬送装置〔2〕」)と、引き抜き搬送装置の前方に立設され、圃場の作物の茎葉部を掻き上げる掻き上げ装置(文献では「分草装置〔21〕」)と、を備えている。掻き上げ装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転可能な下側輪体と、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転可能な上側輪体と、下側輪体及び上側輪体に巻き付けられ、茎葉部に掻き上げ作用する掻き上げベルトと、を備えている。掻き上げベルトは、下側輪体及び上側輪体に巻き付けられるベルト本体と、ベルト本体の外周部に設けられ、茎葉部に掻き上げ作用する多数の爪と、を備えている。多数の爪とベルト本体とは、弾性部材によって一体に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-63678号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の野菜収穫機では、爪が茎葉部の抵抗に負けて茎葉部を掻き上げることができない場合がある。
【0005】
上記状況に鑑み、爪が茎葉部の抵抗に負けることなく、茎葉部を掻き上げることが可能な野菜収穫機が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の特徴は、圃場から作物を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置と、前記引き抜き搬送装置の前方に立設され、圃場の作物の茎葉部を掻き上げる掻き上げ装置と、を備え、前記掻き上げ装置は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転可能な下側輪体と、機体左右方向に沿って延びる回転軸心周りで回転可能な上側輪体と、前記下側輪体及び前記上側輪体に巻き付けられ、前記茎葉部に掻き上げ作用する掻き上げベルトと、を有し、前記掻き上げベルトは、前記下側輪体及び前記上側輪体に巻き付けられるベルト本体と、前記ベルト本体の外周部に設けられ、前記茎葉部に掻き上げ作用する多数の爪と、を有し、かつ、前記多数の爪と前記ベルト本体とが弾性部材によって一体に形成され、前記掻き上げ装置は、前記爪が前記茎葉部に掻き上げ作用する作用側において、前記爪のうち掻き上げ方向とは反対側に位置する背部に沿って設けられ、前記掻き上げベルトよりも硬い材質で構成され、前記爪が前記背部側に倒れるのを規制する倒れ規制部材を有していることにある。
【0007】
本特徴構成によれば、爪が茎葉部の抵抗を受けて背部側に倒れようとしても、爪が背部側に倒れるのが倒れ規制部材によって規制されることになる。これにより、爪が茎葉部の抵抗に負けることなく、茎葉部を掻き上げることができる。
【0008】
さらに、本発明において、前記倒れ規制部材は、前記背部と前記ベルト本体の外周面とに亘るように曲がる形状の金属板によって構成されていると好適である。
【0009】
本特徴構成によれば、爪が茎葉部の抵抗を受けて背部側に倒れようとしても、倒れ規制部材がベルト本体の外周面に受け止められることになる。これにより、爪が背部側に倒れるのを確実に規制することができる。
【0010】
さらに、本発明において、前記倒れ規制部材は、前記爪にのみ固定されていると好適である。
【0011】
本特徴構成によれば、倒れ規制部材がベルト本体に固定されていないことになる。ここで、倒れ規制部材がベルト本体に固定されている場合、ベルト本体のうち倒れ規制部材が固定されている部分が、下側輪体又は上側輪体に接触すると、ベルト本体のうち倒れ規制部材が固定されている部分が、下側輪体又は上側輪体の外周形状に沿って曲がることになる。そうすると、倒れ規制部材をベルト本体に固定する部材(例えば、ビス)が外れたり、倒れ規制部材のうちベルト本体に固定されている部分が曲がったりする等の破損の虞がある。しかし、本特徴構成によれば、倒れ規制部材がベルト本体に固定されていないため、このようなことがない。
【0012】
さらに、本発明において、前記爪は、側面視で前記背部側に突出して屈曲する形状に形成され、前記倒れ規制部材は、前記爪のうち屈曲部に対して先端側部分と根元側部分とに亘って設けられていると好適である。
【0013】
本特徴構成によれば、倒れ規制部材が爪の屈曲形状に沿う形状に形成されていることになる。これにより、爪が背部側に倒れるのを確実に規制することができる。
【0014】
さらに、本発明において、前記倒れ規制部材は、前記先端側部分及び前記根元側部分に固定されていると好適である。
【0015】
本特徴構成によれば、倒れ規制部材が爪に複数箇所で固定され、かつ、当該固定箇所が屈曲部を挟んで両側に位置していることになる。これにより、倒れ規制部材を爪に確実に固定することができる。
【0016】
さらに、本発明において、前記掻き上げ装置は、前記作用側における前記ベルト本体の内周面に沿って設けられ、前記ベルト本体が内周側に変位するのを規制する変位規制部材を有していると好適である。
【0017】
ここで、倒れ規制部材がベルト本体の外周面に受け止められると、ベルト本体が倒れ規制部材に押されて内周側に変位する虞がある。そして、ベルト本体が内周側に変位すると、爪が背部側に倒れてしまうことになる。しかし、本特徴構成によれば、ベルト本体が倒れ規制部材によって内周側に押されても、ベルト本体の内周側への変位が変位規制部材によって規制されることになる。これにより、爪が背部側に倒れるのを確実に規制することができる。
【0018】
さらに、本発明において、前記掻き上げ装置は、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心に対して一方側に偏倚した位置に設けられ、前記掻き上げ装置は、前記爪が下降する戻り経路の下側部分を、機体左右方向で前記中心とは反対側から覆う外カバーを有していると好適である。
【0019】
ここで、爪が倒れ規制部材によって補強されている構成では、圃場の作物の茎葉部が戻り経路に引き込まれると、戻り経路を下降する爪が当該茎葉部に上方から強く作用して、当該茎葉部が掻き上げ装置と引き抜き搬送装置との間に叩き込まれて詰まってしまう虞がある。しかし、本特徴構成によれば、戻り経路の下側部分が外カバーによって機体左右方向で引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心とは反対側から覆われていることになる。これにより、掻き上げ装置に対して機体左右方向で引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心とは反対側に位置する圃場の作物の茎葉部が、戻り経路に引き込まれないようにすることができる。
【0020】
さらに、本発明において、前記外カバーは、機体左右方向で前記中心とは反対側に向かって膨らむ形状に形成されていると好適である。
【0021】
本特徴構成によれば、外カバーの膨らむ形状によって、外カバーの際に位置する圃場の作物の茎葉部と戻り経路との機体左右方向の間隔が、ある程度確保されることになる。これにより、上述したような、作物の茎葉部が戻り経路への引き込まれるのを、より起こり難くすることができる。
【0022】
さらに、本発明において、前記掻き上げ装置は、前記引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心に対して一方側に偏倚した位置に設けられ、前記掻き上げ装置は、前記爪が下降する戻り経路の下側部分を、機体左右方向で前記中心側から覆う内カバーを有していると好適である。
【0023】
ここで、爪が倒れ規制部材によって補強されている構成では、圃場の作物の茎葉部が戻り経路に引き込まれると、戻り経路を下降する爪が当該茎葉部に上方から強く作用して、当該茎葉部が掻き上げ装置と引き抜き搬送装置との間に叩き込まれて詰まってしまう虞がある。しかし、本特徴構成によれば、戻り経路の下側部分が内カバーによって機体左右方向で引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心側から覆われていることになる。これにより、掻き上げ装置に対して機体左右方向で引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心側に位置する圃場の作物の茎葉部が、戻り経路に引き込まれないようにすることができる。
【0024】
さらに、本発明において、前記内カバーは、前記内カバーの上端と前記内カバーの下端とに亘る単一の平面状の板状部材によって構成されていると好適である。
【0025】
本特徴構成によれば、内カバーが引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心に近付かないことになる。これにより、内カバーの際に位置する圃場の作物(引き抜き搬送装置による引き抜き対象の作物)の茎葉部に内カバーが干渉して当該茎葉部の姿勢が乱れてしまうことがないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】人参収穫機を示す左側面図である。
図2】掻き上げ装置を示す左側面図である。
図3図2におけるIII-III断面図である。
図4】爪及び倒れ規制部材を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では、矢印Fの方向を「機体の前側」、矢印Bの方向を「機体の後側」、矢印Lの方向を「機体の左側」、矢印Rの方向を「機体の右側」とする。
【0028】
〔人参収穫機の全体構成〕
図1には、人参収穫機(本発明に係る「野菜収穫機」に相当)を示している。本実施形態において、作物とは、人参を意味している。本収穫機は、走行機体1と、運転者が搭乗する運転部2と、圃場の作物の茎葉部を掻き上げる掻き上げ装置3と、圃場から作物を引き抜いて後方に向けて搬送する引き抜き搬送装置4と、作物を主部(収穫対象部)とその他の部分(茎葉部等)とに切断するカッタ5と、収穫対象部を回収する回収部6と、収穫対象部を回収部6に向けて搬送する後搬送装置7と、を備えている。
【0029】
走行機体1は、クローラ走行装置8と、クローラ走行装置8に支持される機体フレーム9と、を備えている。運転部2は、走行機体1の前部における機体左右方向の一方側(右側)の箇所に設けられている。引き抜き搬送装置4は、走行機体1の前部における機体左右方向の他方側(左側)の箇所に設けられている。掻き上げ装置3は、引き抜き搬送装置4の前方に後倒れに傾斜する状態で立設されている。掻き上げ装置3は、上フレーム10及び下フレーム11を介して引き抜き搬送装置4に支持されている。カッタ5は、引き抜き搬送装置4の後部と後搬送装置7との間に設けられている。回収部6は、運転部2の後方に設けられている。後搬送装置7は、引き抜き搬送装置4の後部の下方(カッタ5の下方)と回収部6とに亘って設けられている。
【0030】
走行機体1が前進するのに伴って、圃場の作物の茎葉部が掻き上げ装置3によって掻き上げられると共に、圃場の作物が引き抜き搬送装置4によって引き抜かれて後方に向けて搬送されることになる。そして、作物がカッタ5によって収穫対象部と茎葉部等とに切断された後、収穫対象部が後搬送装置7に供給される一方、茎葉部等が引き抜き搬送装置4の後端部から排出されて圃場に落下することになる。そして、後搬送装置7において、収穫対象部が回収部6まで搬送されながら、補助者によって選別されることになる。最終的には、回収部6において、収穫対象部が図示しない回収袋(フレキシブルコンテナバッグ)に回収されることになる。
【0031】
引き抜き搬送装置4は、前下がりに傾斜する状態で設けられている。引き抜き搬送装置4は、機体左右方向に沿って延びる揺動軸心X1周りで上下揺動可能に構成されている。引き抜き搬送装置4と機体フレーム9とに亘って、引き抜き搬送装置4を上下揺動させるための油圧シリンダ12が設けられている。引き抜き搬送装置4は、圃場の作物の周囲の土を解す土解し刃13と、圃場から作物を引き抜いて後方に向けて搬送する左右の搬送ベルト14と、を備えている。土解し刃13が圃場に潜り込んだ状態で振動して土解し刃13によって作物の周囲の土が解されながら、左右の搬送ベルト14によって圃場から作物が引き抜かれて後方に向けて搬送されることになる。
【0032】
〔掻き上げ装置〕
図2に示すように、掻き上げ装置3は、ケース15と、下側プーリ16(本発明に係る「下側輪体」に相当)と、上側プーリ17(本発明に係る「上側輪体」に相当)と、掻き上げベルト18と、変位規制部材19と、外カバー20と、内カバー21と、倒れ規制部材22と、を備えている。なお、図2には、ケース15の左側部を取り外した状態の掻き上げ装置3の左側面図を示している。ケース15の内部には、下側プーリ16、上側プーリ17、掻き上げベルト18及び変位規制部材19が設けられている。下側プーリ16は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心X2周りで回転可能なように、ケース15の下部に支持されている。上側プーリ17は、機体左右方向に沿って延びる回転軸心X3周りで回転可能なように、ケース15の上部に支持されている。
【0033】
図2において、回転軸心X2と回転軸心X3とを通る直線をL1、回転軸心X2と回転軸心X3との軸心間距離をD1、軸心間距離D1の中心をC1、掻き上げ方向をS1で示している。掻き上げ装置3において、直線L1に対して前側を、爪18Bが茎葉部に掻き上げ作用する作用側、直線L1に対して後側を、爪18Bが茎葉部に掻き上げ作用しない非作用側という。
【0034】
掻き上げベルト18は、下側プーリ16及び上側プーリ17に巻き付けられるベルト本体18Aと、茎葉部に掻き上げ作用する多数の爪18Bと、を備えている。掻き上げベルト18は、作用側を爪18Bが上昇し、かつ、非作用側を爪18Bが下降するように、駆動されるように構成されている。掻き上げ装置3は、作用側に位置し、爪18Bが上昇する掻き上げ経路R1と、非作用側に位置し、爪18Bが下降する戻り経路R2と、を備えている。多数の爪18Bとベルト本体18Aとは、弾性部材(例えば、ゴム)によって一体に形成されている。
【0035】
爪18Bは、ベルト本体18Aの外周部にベルト本体18Aから外周側に突出する状態で設けられている。爪18Bは、側面視で背部側に突出して屈曲する形状に形成されている。爪18Bの背部とは、作用側において、爪18Bのうち掻き上げ方向S1とは反対側に位置する部分である。爪18Bは、屈曲部18Baに対して先端側に位置する先端側部分18Bbと、屈曲部18Baに対して根元側(ベルト本体18A側)に位置する根元側部分18Bcと、を備えている。
【0036】
変位規制部材19は、ベルト本体18Aが内周側に変位するのを規制するものである。変位規制部材19は、作用側におけるベルト本体18Aの内周面に沿って設けられている。変位規制部材19は、軸心間距離D1の中心C1に対して上側の位置と下側の位置とに亘って延びている。変位規制部材19の下端部は、下側プーリ16の近傍(直上方)の位置している。変位規制部材19は、ケース15に支持されている。具体的には、変位規制部材19は、ケース15の右側部に固定されている。
【0037】
図3において、引き抜き搬送装置4(左右の搬送ベルト14)の機体左右方向の中心をC2で示している。圃場から引き抜かれた作物は、中心C2を通って後方に向けて搬送されることになる。掻き上げ装置3は、中心C2に対して一方側(左側)に偏倚した位置に設けられている。
【0038】
図2及び図3に示すように、外カバー20は、戻り経路R2を機体左右方向で中心C2とは反対側(左側)から覆っている。本実施形態では、外カバー20は、戻り経路R2の下側部分(中心C1よりも下側部分)及び戻り経路R2の上側部分(中心C1よりも上側部分)を左側から覆っている。外カバー20は、ケース15の左側部に左側からあてがわれた状態で固定されている。外カバー20は、機体左右方向で中心C2とは反対側(左側)に向かって膨らむ形状に形成されている。具体的には、外カバー20は、平面視で外カバー20の後側ほど戻り経路R2側の爪18Bから離間するように左側に向かって膨らむ形状に形成されている。
【0039】
内カバー21は、戻り経路R2を機体左右方向で中心C2側(右側)から覆っている。本実施形態では、内カバー21は、戻り経路R2の下側部分(中心C1よりも下側部分)及び戻り経路R2の上側部分(中心C1よりも上側部分)を右側から覆っている。内カバー21は、ケース15の右側部に右側からあてがわれた状態で固定されている。内カバー21は、内カバー21の上端と内カバー21の下端とに亘る単一の平面状の板状部材によって構成されている。すなわち、内カバー21は、平板によって構成されている。
【0040】
〔倒れ規制部材〕
図4に示すように、倒れ規制部材22は、爪18Bが背部側に倒れるのを規制するものである。倒れ規制部材22は、全ての爪18Bの背部に沿ってそれぞれ設けられている。倒れ規制部材22は、掻き上げベルト18よりも硬い材質で構成されている。本実施形態では、倒れ規制部材22は、金属板によって構成されている。倒れ規制部材22は、爪18Bの背部とベルト本体18Aの外周面とに亘るように曲がる形状に形成されている。倒れ規制部材22は、爪18Bのうち屈曲部18Baに対して先端側部分18Bbと根元側部分18Bcとに亘って設けられている。倒れ規制部材22は、先端側部分18Bbに沿う部分22aと、根元側部分18Bcに沿う部分22bと、ベルト本体18Aに沿う部分22cと、を備えている。倒れ規制部材22(部分22a)の先端は、爪18Bの先端よりもベルト本体18Aの外周側に出っ張っていない。
【0041】
倒れ規制部材22は、複数(本実施形態では、三つ)のビス23によって爪18Bに固定されている。具体的には、倒れ規制部材22は、先端側部分18Bbに一つのビス23によって固定され、根元側部分18Bcに二つのビス23によって固定されている。倒れ規制部材22は、爪18Bのみに固定されている。すなわち、倒れ規制部材22は、ベルト本体18Aに固定されていない。
【0042】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態では、倒れ規制部材22は、金属板によって構成されている。しかし、倒れ規制部材22は、掻き上げベルト18よりも硬い材質で構成されていれば、金属以外の材質で構成されていてもよい。
【0043】
(2)上記実施形態では、倒れ規制部材22は、爪18Bのうち屈曲部18Baに対して先端側部分18Bbと根元側部分18Bcとに亘って設けられている。しかし、倒れ規制部材22は、先端側部分18Bbまで達していなくてもよい。
【0044】
(3)上記実施形態では、掻き上げ装置3は、変位規制部材19を備えている。しかし、掻き上げ装置3は、変位規制部材19を備えていなくてもよい。
【0045】
(4)上記実施形態では、外カバー20は、戻り経路R2の下側部分及び戻り経路R2の上側部分を左側から覆っている。しかし、外カバー20は、戻り経路R2の下側部分のみを左側から覆っていてもよい。あるいは、掻き上げ装置3は、外カバー20を備えていなくてもよい。
【0046】
(5)上記実施形態では、内カバー21は、戻り経路R2の下側部分及び戻り経路R2の上側部分を右側から覆っている。しかし、内カバー21は、戻り経路R2の下側部分のみを右側から覆っていてもよい。あるいは、掻き上げ装置3は、内カバー21を備えていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、人参収穫機の他、大根収穫機や玉ねぎ収穫機にも利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
3 掻き上げ装置
4 引き抜き搬送装置
16 下側プーリ(下側輪体)
17 上側プーリ(上側輪体)
18 ベルト
18A ベルト本体
18B 爪
18Ba 屈曲部
18Bb 先端側部分
18Bc 根元側部分
19 変位規制部材
20 外カバー
21 内カバー
22 倒れ規制部材
C2 引き抜き搬送装置の機体左右方向の中心
R2 戻り経路
S 掻き上げ方向
X2 回転軸心
X3 回転軸心
図1
図2
図3
図4