(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154341
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】物体検出装置および物体検出方法
(51)【国際特許分類】
G01S 15/931 20200101AFI20231012BHJP
【FI】
G01S15/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063615
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 浩司
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 秀顕
(72)【発明者】
【氏名】伊丹 栄二
(72)【発明者】
【氏名】田口 憲一
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB13
5J083AC28
5J083AC29
5J083AD01
5J083AD04
5J083AD15
5J083AE01
5J083AE06
5J083AE08
5J083AF10
5J083BA01
5J083BE21
5J083BE53
5J083CA01
(57)【要約】
【課題】検出した物体が移動物体か否かを高精度に判定する。
【解決手段】実施形態の物体検出装置は、車両に搭載された物体検出センサによって所定周期で得られるセンサ情報に基づいて、前記車両の外部の物体の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された前記物体の位置の時系列の変化量に基づいて、前記物体が移動物体か否かを判定する判定部と、を備える。移動物体の位置の変化量の閾値として、下限側の第1の閾値と上限側の第2の閾値が設定されている。前記判定部は、前記位置の変化量が前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値以下である場合、前記物体が移動物体であると判定する判定部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された物体検出センサによって所定周期で得られるセンサ情報に基づいて、前記車両の外部の物体の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記物体の位置の時系列の変化量に基づいて、前記物体が移動物体か否かを判定する判定部と、を備え、
移動物体の位置の変化量の閾値として、下限側の第1の閾値と上限側の第2の閾値が設定されており、
前記判定部は、前記位置の変化量が前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値以下である場合、前記物体が移動物体であると判定する判定部と、を備える物体検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記位置の変化量が前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値以下である回数が2回以上の所定回数に達すると、前記物体が移動物体であると判定する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記物体検出センサは、前記車両のスイング式のドアに設置されており、
前記判定部は、前記位置の変化量が前記第2の閾値より大きい場合、または、前記位置が検出不能となった場合、前記物体が移動物体ではないと判定する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記物体検出センサは、前記車両のスイング式のドアに設置されており、
前記物体検出装置は、
前記ドアの開閉角度を検出する開閉角度検出部と、
前記ドアの開閉を駆動する駆動部を制御する制御部と、をさらに備え、
前記判定部は、前記移動物体が前記ドアに近づく方向に移動していると判定した場合、前記移動物体と前記ドアとの間の距離、および、前記移動物体の移動速度または移動ベクトルを算出するとともに、前記開閉角度検出部が検出した現在の開閉角度に基づいて、前記移動物体と前記ドアとが接触すると予測される開閉角度である接触開閉角度を算出し、
前記制御部は、前記ドアが前記接触開閉角度よりも所定角度だけ小さい角度分の開放動作をしたときに停止するように前記駆動部を制御する、請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記移動物体が前記ドアから離れる方向に移動していると判定した場合、前記移動物体の移動速度を算出し、
前記制御部は、前記ドアの開閉速度が前記移動速度よりも小さくなるように前記駆動部を制御する、請求項4に記載の物体検出装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記物体が移動物体ではないと判定した場合、前記物体の前回検出された位置と前記ドアとの間の距離を算出し、
前記制御部は、当該距離に基づいて前記ドアが前記物体に接触しないように前記駆動部を制御する、請求項4または請求項5に記載の物体検出装置。
【請求項7】
位置検出部が、車両に搭載された物体検出センサによって所定周期で得られるセンサ情報に基づいて、前記車両の外部の物体の位置を検出する位置検出ステップと、
判定部が、前記位置検出ステップによって検出された前記物体の位置の時系列の変化量に基づいて、前記物体が移動物体か否かを判定する判定ステップと、を含み、
移動物体の位置の変化量の閾値として、下限側の第1の閾値と上限側の第2の閾値が設定されており、
前記判定ステップは、前記位置の変化量が前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値以下である場合、前記物体が移動物体であると判定する、物体検出方法。
【請求項8】
前記物体検出センサは、前記車両のスイング式のドアに設置されており、
前記判定ステップは、前記移動物体が前記ドアに近づく方向に移動していると判定した場合、前記移動物体と前記ドアとの間の距離、および、前記移動物体の移動速度または移動ベクトルを算出するとともに、前記ドアの開閉角度を検出する開閉角度検出部が検出した現在の開閉角度に基づいて、前記移動物体と前記ドアとが接触すると予測される開閉角度である接触開閉角度を算出し、
制御部が、前記ドアが前記接触開閉角度よりも所定角度だけ小さい角度分の開放動作をしたときに停止するように、前記ドアの開閉を駆動する駆動部を制御する制御ステップを、さらに含む、請求項7に記載の物体検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、物体検出装置および物体検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、超音波式の物体検出センサによって探査波(超音波)を物体に送信し、物体によって反射した探査波を受信して各種演算を行うことによって物体の位置などを算出する技術がある。
【0003】
また、物体位置算出結果は、例えば、車両のドア(スイングドアなど)の開閉制御に用いられる。つまり、物体位置算出結果を用いて、ドアが物体に衝突しないようにドアの開閉を制御する。そのため、物体位置算出結果には高い精度が求められる。また、検出した物体が移動物体(歩行者、車両など)か否かを正確に判定することも重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-76408号公報
【特許文献2】特開2004-284410号公報
【特許文献3】国際公開第2009/090696号公報
【特許文献4】特開2007-280144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、検出した物体が移動物体か否かを判定する場合の精度の点で改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、検出した物体が移動物体か否かを高精度に判定することができる物体検出装置および物体検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の物体検出装置は、例えば、車両に搭載された物体検出センサによって所定周期で得られるセンサ情報に基づいて、前記車両の外部の物体の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された前記物体の位置の時系列の変化量に基づいて、前記物体が移動物体か否かを判定する判定部と、を備える。移動物体の位置の変化量の閾値として、下限側の第1の閾値と上限側の第2の閾値が設定されている。前記判定部は、前記位置の変化量が前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値以下である場合、前記物体が移動物体であると判定する判定部と、を備える。
この構成により、位置の変化量が第1の閾値より大きく、かつ、第2の閾値以下である場合に物体が移動物体であると判定することで、検出した物体が移動物体か否かを高精度に判定することができる。
【0008】
また、前記物体検出装置では、例えば、前記判定部は、前記位置の変化量が前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値以下である回数が2回以上の所定回数に達すると、前記物体が移動物体であると判定する。
この構成により、位置の変化量が第1の閾値より大きく、かつ、第2の閾値以下である回数が2回以上の所定回数に達することを、物体が移動物体であると判定することの条件とすることで、検出した物体が移動物体か否かをより高精度に判定することができる。
【0009】
また、前記物体検出装置では、例えば、前記物体検出センサは、前記車両のスイング式のドアに設置されている。前記判定部は、前記位置の変化量が前記第2の閾値より大きい場合、または、前記位置が検出不能となった場合、前記物体が移動物体ではないと判定する。
この構成により、例えば、車両のドアに設置されている物体検出センサがドアの移動とともに移動して、縁石などの低い物体の位置が急に検出不能となった場合などでもその物体が移動物体ではないと高精度に判定することができる。
【0010】
また、前記物体検出装置では、例えば、前記物体検出センサは、前記車両のスイング式のドアに設置されている。前記物体検出装置は、前記ドアの開閉角度を検出する開閉角度検出部と、前記ドアの開閉を駆動する駆動部を制御する制御部と、をさらに備える。前記判定部は、前記移動物体が前記ドアに近づく方向に移動していると判定した場合、前記移動物体と前記ドアとの間の距離、および、前記移動物体の移動速度または移動ベクトルを算出するとともに、前記開閉角度検出部が検出した現在の開閉角度に基づいて、前記移動物体と前記ドアとが接触すると予測される開閉角度である接触開閉角度を算出し、前記制御部は、前記ドアが前記接触開閉角度よりも所定角度だけ小さい角度分の開放動作をしたときに停止するように前記駆動部を制御する。
この構成により、ドアが物体に接触しないようにしながらドアの開放動作を行うことができる。
【0011】
また、前記物体検出装置では、例えば、前記判定部は、前記移動物体が前記ドアから離れる方向に移動していると判定した場合、前記移動物体の移動速度を算出し、前記制御部は、前記ドアの開閉速度が前記移動速度よりも小さくなるように前記駆動部を制御する。
この構成により、ドアから離れる方向に移動している物体に対してドアが追いついて接触してしまう可能性を低減できる。
【0012】
また、前記物体検出装置では、例えば、前記判定部は、前記物体が移動物体ではないと判定した場合、前記物体の前回検出された位置と前記ドアとの間の距離を算出し、前記制御部は、当該距離に基づいて前記ドアが前記物体に接触しないように前記駆動部を制御する。
この構成により、物体が移動物体ではないと判定した場合、物体の前回検出された高精度な位置を用いることで、ドアが物体に接触する可能性を低減できる。
【0013】
また、本発明の実施形態の物体検出方法は、例えば、位置検出部が、車両に搭載された物体検出センサによって所定周期で得られるセンサ情報に基づいて、前記車両の外部の物体の位置を検出する位置検出ステップと、判定部が、前記位置検出ステップによって検出された前記物体の位置の時系列の変化量に基づいて、前記物体が移動物体か否かを判定する判定ステップと、を含む。移動物体の位置の変化量の閾値として、下限側の第1の閾値と上限側の第2の閾値が設定されている、前記判定ステップは、前記位置の変化量が前記第1の閾値より大きく、かつ、前記第2の閾値以下である場合、前記物体が移動物体であると判定する。
この構成により、位置の変化量が第1の閾値より大きく、かつ、第2の閾値以下である場合に物体が移動物体であると判定することで、検出した物体が移動物体か否かを高精度に判定することができる。
【0014】
また、前記物体検出センサは、例えば、前記車両のスイング式のドアに設置されている。前記判定ステップは、前記移動物体が前記ドアに近づく方向に移動していると判定した場合、前記移動物体と前記ドアとの間の距離、および、前記移動物体の移動速度または移動ベクトルを算出するとともに、前記ドアの開閉角度を検出する開閉角度検出部が検出した現在の開閉角度に基づいて、前記移動物体と前記ドアとが接触すると予測される開閉角度である接触開閉角度を算出する。制御部が、前記ドアが前記接触開閉角度よりも所定角度だけ小さい角度分の開放動作をしたときに停止するように、前記ドアの開閉を駆動する駆動部を制御する制御ステップを、さらに含む。
この構成により、ドアが物体に接触しないようにしながらドアの開放動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態の物体検出装置が搭載される車両を上方から見た平面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の物体検出装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態の物体検出装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態の複数の送受信部の機能概要の説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態においてドアの移動によって縁石がセンサの検出領域から外れる場合の説明図である。
【
図6A】
図6Aは、実施形態の物体検出装置による処理を示すフローチャートである。
【
図6B】
図6Bは、実施形態の物体検出装置による処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用、結果、および効果は、例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも1つを得ることが可能である。
【0017】
図1は、実施形態の物体検出装置が搭載される車両10を上方から見た平面図である。
図1における左上の矢印で示す方向を、車両10の前後左右方向とする。
【0018】
図1に示すように、物体検出装置が搭載される車両10には、物体検出装置が備える複数の送受信部11RFa,11RFb,11RBa,11RBb,11LFa,11LFb,11LBa,11LBbが、車両10の各ドア12RF,12RB,12LF,12LB(ヒンジを軸として回動することにより開閉するスイング式のドア)の、例えば飾り板に設けられている。
【0019】
送受信部11RFaは、例えば、右前方のドア12RFの開閉端側の端部近傍に設けられている。送受信部11RFaの上下位置は、ドア12RF下部の飾り板に送受信部11RFaを嵌めこむことで、ドア12RFの下側位置とすることができる。あるいは、送受信部11RFaの上下位置は、ドア12RFの上下端に対する中央位置や、ドア12RFの最も外側に迫り出した位置などとすることもできる。送受信部11RFbは、例えば、ドア12RFの送受信部11RFaよりも車両10の前方寄りに、送受信部11RFaから所定距離離間して設けられている。送受信部11RFbの上下位置は、例えば送受信部11RFaの上下位置と等しい。つまり、送受信部11RFb(第1の送受信部の例)と送受信部11RFa(第2の送受信部の例)は、水平方向に所定距離離間して配置されている。また、送受信部11LFa,11LFbは、例えば、左前方のドア12LFの、送受信部11RFa,11RFbとそれぞれ対応する位置に設けられている。
【0020】
送受信部11RBaは、例えば、右後方のドア12RBの開閉端側の端部近傍に設けられている。送受信部11RBaの上下位置は、ドア12RB下部の飾り板に送受信部11RFaを嵌めこむことで、ドア12RBの下側位置とすることができる。あるいは、送受信部11RBaの上下位置は、ドア12RBの上下端に対する中央位置や、ドア12RBの最も外側に迫り出した位置などとすることもできる。送受信部11RBbは、例えば、ドア12RBの送受信部11RBaよりも車両10の前方寄りに、送受信部11RBaから所定距離離間して設けられている。送受信部11RBbの上下位置は、例えば送受信部11RBaの上下位置と等しい。つまり、11RBbと送受信部11RBaは、水平方向に所定距離離間して配置されている。送受信部11LBa,11LBbは、例えば、左後方のドア12LBの、送受信部11RBa,11RBbとそれぞれ対応する位置に設けられている。
【0021】
これ以降、複数の送受信部11RFa,11RFb,11RBa,11RBb,11LFa,11LFb,11LBa,11LBbを特に区別しないときは、単に送受信部11(物体検出センサ)等と記載する。また、複数のドア12RF,12RB,12LF,12LBを特に区別しないときは、単にドア12等と記載する。
【0022】
送受信部11は、超音波等の探査波を送信するセンサまたはソナーである。また、送受信部11は、物体によって反射された探査波を受信する受信機としても機能する。送受信部11は、各ドア12の周辺に探査波を送受信することで、各ドア12近傍に存在する物体を検出する。
【0023】
物体検出装置が搭載される車両10には、また、物体検出装置が備える複数のドア開度調節部13RF,13RB,13LF,13LBが、車両10の各ドア12RF,12RB,12LF,12LBの、例えばアウターパネル内部に設けられている。
【0024】
ドア開度調節部13RFは、例えば、右前方のドア12RFのヒンジ側の端部近傍に設けられている。ドア開度調節部13RBは、例えば、右後方のドア12RBのヒンジ側の端部近傍に設けられている。ドア開度調節部13LFは、例えば、左前方のドア12LFのヒンジ側の端部近傍に設けられている。ドア開度調節部13LBは、例えば、左後方のドア12LBのヒンジ側の端部近傍に設けられている。
【0025】
これ以降、複数のドア開度調節部13RF,13RB,13LF,13LBを特に区別しないときは、単にドア開度調節部13(駆動部)等と記載する。
【0026】
ドア開度調節部13は、いずれかのドア12の近傍に障害物となり得る物体が存在するときは、そのドア12の開度を調節して、ドア12と物体との衝突を回避する。
【0027】
図2は、実施形態の物体検出装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。物体検出装置1は、送受信部11による受信結果等に基づいて、車両10の各ドア12周辺の物体を検出する。障害物となり得る物体を検出したときは、物体検出装置1は、ドア開度調節部13により物体との衝突を回避する。
【0028】
図2に示すように、物体検出装置1は、複数の送受信部11RFa,11RFb,11RBa,11RBb,11LFa,11LFb,11LBa,11LBb、複数のドア開度調節部13RF,13RB,13LF,13LB、物体検出部20、および車内ネットワーク20eを備える。
【0029】
複数の送受信部11は、車内ネットワーク20eに接続され、車内ネットワーク20eを介して、送受信情報を物体検出部20へ送信する。複数のドア開度調節部13は、車内ネットワーク20eに接続され、車内ネットワーク20eを介して、物体検出部20からの制御を受けて、各ドア12の開度を調節する。
【0030】
物体検出部20は、複数の送受信部11のそれぞれから取得した送受信情報に基づいて、物体の存在や物体の位置などを判定する。物体検出部20は、検出した物体に関する情報をドア開度調節部13へ出力してドア12との衝突を抑制する。
【0031】
物体検出部20は、ECU(Electronic Control Unit)等のマイクロコンピュータを含むコンピュータである。物体検出部20は、CPU(Central Processing Unit)20aと、ROM(Read Only Memory)20bと、RAM(Random Access Memory)20cと、SSD(Solid State Drive)20dと、を備える。なお、CPU20a、ROM20b及びRAM20cは、同一パッケージ内に集積されていてもよい。
【0032】
CPU20aは、ハードウェアプロセッサの例であって、ROM20b等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して、当該プログラムにしたがって各種の演算処理および制御を実行する。
【0033】
ROM20bは、各プログラム及びプログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM20cは、CPU20aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。SSD20dは、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、物体検出部20の電源がオフされた場合にあってもデータを維持する。
【0034】
車内ネットワーク20eは、例えば、CAN(Controller Area Network)である。車内ネットワーク20eは、複数の送受信部11、複数のドア開度調節部13、および物体検出部20を互いに信号及び情報を送受信可能に電気的に接続する。
【0035】
図3は、実施形態の物体検出装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、物体検出装置1の物体検出部20は、処理部21および記憶部22を有する。
【0036】
記憶部22は、処理部21が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。例えば、記憶部22は、処理部21が実行する物体検出プログラムを記憶する。記憶部22は、物体検出プログラムの実行に必要な数値データを記憶する。また、記憶部22は、物体検出プログラムの実行に必要なドア軌跡データなどを記憶する。
【0037】
処理部21は、複数の送受信部11による受信結果に基づいて物体の位置を算出する。処理部21は、例えば、CPU20aの機能として実現される。処理部21は、距離処理部211、物体処理部212、判定部213、反射強度処理部214、開閉角度検出部215、制御部216を有する。処理部21は、例えば、記憶部22に格納された物体検出プログラムを読み込むことによって、各部211~216として機能する。また、各部211~216の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field-Programmable Gate Array)を含む回路等のハードウェアによって実現してもよい。
【0038】
以下、複数の送受信部11のうち、例をとる場合は、主に送受信部11RFa,11RFbを例にとるが、他の送受信部11についても同様である。
【0039】
距離処理部211は、送受信部11RFaが探査波を送信した場合に、送受信部11RFaによる受信結果と送受信部11RFbによる受信結果に基づいて第1の点を算出し、送受信部11RFbが探査波を送信した場合に、送受信部11RFaによる受信結果と送受信部11RFbによる受信結果に基づいて第2の点を算出する。また、距離処理部211は、第1の点と第2の点との離間距離を算出する。また、距離処理部211は、その離間距離が所定の離間距離閾値以上か否かを判定する。
【0040】
物体処理部212(位置検出部)は、距離処理部211によって演算された情報に基づき、物体の位置、外形等を判定する。物体処理部212は、送受信部11によって所定周期(例えば数十~数百ミリ秒程度)で得られるセンサ情報に基づいて、車両10の外部の物体の位置を検出する。具体的には、例えば、物体処理部212は、第1の点と第2の点に基づいて、物体の位置を算出する。また、物体処理部212は、第1の点と第2の点の離間距離に応じて物体が壁状かポール状かなどを判定する。
【0041】
判定部213は、各種判定を実行する。判定部213は、例えば、物体処理部212によって検出された物体の位置の時系列の変化量に基づいて、物体が移動物体か否かを判定する。例えば、移動物体の位置の変化量の閾値として、下限側の第1の閾値と上限側の第2の閾値が設定されている。第1の閾値は、例えば、物体が歩行者の場合の通常の変化量よりも少し小さい値として設定される。また、第2の閾値は、例えば、物体が歩行者の場合に考えられる変化量の最大値よりも少し大きい値として設定される。ただし、第1の閾値と第2の閾値の値は、これらに限定されない。
【0042】
判定部213は、例えば、位置の変化量が第1の閾値より大きく、かつ、第2の閾値以下である場合、物体が移動物体であると判定する。この場合、物体が歩行者などの移動物体である可能性が高いからである。また、判定部213は、位置の変化量が第1の閾値より大きく、かつ、第2の閾値以下である回数が2回以上の所定回数に達すると、物体が移動物体であると判定するようにしてもよい。そうすれば、判定精度がさらに向上する。
【0043】
また、判定部213は、位置の変化量が第2の閾値より大きい場合、または、位置が検出不能となった場合、物体が移動物体ではないと判定する。これについて、
図4、
図5を用いて説明する。
【0044】
図4は、実施形態の複数の送受信部11の機能概要の説明図である。
図4に示すように、複数の送受信部11は、それぞれが、ドア12の外側に向けて探査波を放射状に送信し、また、自身に向かう探査波を受信するように構成されている。このとき、複数の送受信部11のうち、同じドア12に設けられる送受信部11同士は、対になって連動するよう構成される。例えば、
図4に示すドア12RFに設けられた2つの送受信部11RFa,11RFbは協働して動作する。これにより、ドア12RF近傍の物体を検出する。
【0045】
具体的には、送受信部11RFa,11RFbは、それぞれが探査波の送受信を行う期間と、探査波の受信のみを行う期間とを交互に繰り返す。このとき、送受信部11RFaは、送受信部11RFbが探査波の受信を行っている期間には探査波の送受信を行う。また、送受信部11RFaは、送受信部11RFbが探査波の送受信を行っている期間には探査波の受信のみを行う。送受信部11RFbは、送受信部11RFaが探査波の受信を行っている期間には探査波の送受信を行う。また、送受信部11RFbは、送受信部11RFaが探査波の送受信を行っている期間には探査波の受信のみを行う。以下では、送受信部11をセンサ11とも呼ぶ。
【0046】
例えば、センサ11が設置されているドア12の移動によって、それまで検出されていた縁石が、途中でセンサ11の検出領域から外れる場合がある。
図5は、実施形態においてドア12の移動によって縁石Cがセンサ11の検出領域Rから外れる場合の説明図である。
【0047】
図5(a)において、地面G上の縁石Cは、センサ11の検出領域R内に入っている。その後、センサ11が設置されているドア12が開放動作によって縁石Cに近づくものとする。そうすると、
図5(b)に示すように、縁石Cは、センサ11の検出領域Rから外れる場合がある。
【0048】
センサ11の検出領域Rをもっと下方に向ければ、そのような可能性を低減できるが、その場合、地面Gを物体と検出してしまうおそれがあるので、そのような対応にも限界がある。そこで、このような場合に対応するために、判定部213によって、物体の位置が急に検出不能となった場合、物体が移動物体ではないと判定する。つまり、移動物体が移動して存在しなくなったのではなく、縁石などの低い物体が存在するものとして扱う。
【0049】
また、ドア12が閉鎖動作を行う場合、逆に、それまで検出されていなかった縁石Cが突然検出される場合がある。そこで、このような場合に対応するために、判定部213によって、位置の変化量が第2の閾値より大きい場合、物体が移動物体ではないと判定する。つまり、移動物体が高速に移動してきたのではなく、縁石などの低い物体がもともと存在したものとして扱う。
【0050】
図3に戻って、反射強度処理部214は、送受信部11RFaおよび送受信部11RFbが受信した探査波の強度を表す反射強度を算出する。また、反射強度処理部214は、その反射強度が所定の反射強度閾値以上か否かを判定する。これにより、検出したものが物体なのかノイズなのかの識別などができる。
【0051】
開閉角度検出部215は、ドア12の開閉角度を、所定のセンサ情報などに基づいて検出する。
【0052】
制御部216は、各種制御を実行する。制御部216は、例えば、ドア12の開閉を駆動するドア開度調節部13を制御する。また、判定部213と制御部216が協調動作することで、ドア12が物体と接触(衝突)しないようにしながら、ドア12の開閉を制御する。これについて、以下に詳述する。
【0053】
判定部213は、移動物体がドア12に近づく方向に移動していると判定した場合、移動物体とドア12との間の距離、および、移動物体の移動速度または移動ベクトル(移動速度と移動方向)を算出する。さらに、判定部213は、それらの情報と、開閉角度検出部215が検出したドア12の現在の開閉角度に基づいて、移動物体とドア12とが接触すると予測される開閉角度である接触開閉角度を算出する。
【0054】
具体的には、例えば、判定部213は、ドア12の全閉位置と、ドア12の全開位置と、ドア12の開閉時の軌跡とで囲まれた領域内に物体が存在するか否かを判定し、物体が領域内に存在する場合には、物体とドア12との接触位置を算出し、その接触位置に対応した開閉角度である接触開閉角度を算出する。
【0055】
その場合、制御部216は、ドア12が接触開閉角度よりも所定角度だけ小さい角度分の開放動作をしたときに停止するようにドア開度調節部13を制御する。
【0056】
また、判定部213は、移動物体がドア12から離れる方向に移動していると判定した場合、移動物体の移動速度を算出する。その場合、制御部216は、ドア12の開閉速度が移動速度よりも小さくなるようにドア開度調節部13を制御する。
【0057】
また、判定部213は、物体が移動物体ではないと判定した場合、物体の前回(前回周期で)検出された位置とドア12との間の距離を算出する。その場合、制御部216は、当該距離に基づいてドア12が物体に接触しないようにドア開度調節部13を制御する。
【0058】
次に、
図6A、
図6Bを参照して、物体検出装置による処理について説明する。
図6A、
図6Bは、実施形態の物体検出装置による処理を示すフローチャートである。なお、この一連の処理は、例えば、数ミリ秒~数十ミリ秒の周期で実行される。また、センサ11によるセンサ情報の取得は、それよりも長く、例えば、数十ミリ秒~数百ミリ秒の周期で実行される。また、ドア12の開放動作と閉鎖動作のうち、開放動作に関する処理である。
【0059】
ステップS1において、処理部21は、センサ取得情報があるか否かを判定し、Yesの場合はステップS2に進み、Noの場合はステップS13に進む。
【0060】
ステップS2において、処理部21は、ボデー基準座標を算出する。つまり、センサ情報はセンサ11の設置位置を基準にしたセンサ基準座標系なので、そのセンサ基準座標系のセンサ情報を、車両10のボデーの位置を基準にしたボデー基準座標系に変換する。
【0061】
次に、ステップS3において、処理部21は、ボデー基準座標のフィルタ制御を実行する。このフィルタ制御では、例えば、ノイズの除去や、ドア12の軌道範囲を外れているデータの除去や、反射エネルギーの強い情報の抽出などを行う。
【0062】
次に、ステップS4において、物体処理部212は、物体の位置を、仮障害物位置として算出する。
【0063】
次に、ステップS5において、判定部213は、仮障害物位置の変化量(現在値と前回値の差)がA1(第2の閾値)よりも大きいか否かを判定し、Yesの場合はステップS6に進み、Noの場合はステップS17に進む。なお、物体の位置が急に検出不能になった場合も、このステップS5でYesとなったものとする。
【0064】
ステップS6において、判定部213は、動的物体フラグの有無を判定し、Yes(動的物体フラグが「1」(動的物体(移動物体)であることを示すフラグ))の場合はステップS7に進み、No(動的物体フラグが「0」(動的物体(移動物体)でないことを示すフラグ))の場合はステップS8に進む。
【0065】
ステップS7において、判定部213は、障害物位置を仮障害物位置で更新し、動的物体フラグを「1」とする。その後、ステップS9に進む。
【0066】
ステップS8において、判定部213は、前回障害物位置を保持することで障害物位置とし、動的物体フラグを「0」とする。その後、ステップS9に進む。
【0067】
ステップS17において、判定部213は、仮障害物位置の変化量がA2(第1の閾値)よりも大きいか否かを判定し、Yesの場合はステップS18に進み、Noの場合はステップS22に進む。
【0068】
ステップS18において、判定部213は、動的物体がドア12に近づく方向に移動しているのか否かを判定し、Yesの場合はステップS19に進み、Noの場合はステップS23に進む。
【0069】
ステップS19において、判定部213は、動的物体に対するドア12の相対速度が相対速度閾値S1(接近時用の閾値)よりも大きいか否かを判定し、Yesの場合はステップS20に進み、Noの場合はステップS21に進む。
【0070】
ステップS20において、制御部216は、ドア12の開放動作に関して低速制御(あ)を実施する。低速制御(あ)は、ドア12を通常よりも低速で移動させる制御である。低速にする程度は、予め決めた割合によって決定してもよいし、あるいは、動的物体とドア12との相対速度に応じて決定してもよい。その後、ステップS21に進む。
【0071】
ステップS21において、判定部213は、障害物位置を仮障害物位置で更新し、動的物体フラグを「1」とする。その後、ステップS9に進む。
【0072】
ステップS23において、判定部213は、動的物体に対するドア12の相対速度が相対速度閾値S2(離反時用の閾値)よりも大きいか否かを判定し、Yesの場合はステップS24に進み、Noの場合はステップS25に進む。
【0073】
ステップS24において、制御部216は、ドア12の開放動作に関して低速制御(い)を実施する。低速にする程度は、予め決めた割合によって決定してもよいし、あるいは、動的物体とドア12との相対速度に応じて決定してもよい。その後、ステップS25に進む。
【0074】
ステップS25において、判定部213は、障害物位置を仮障害物位置で更新し、動的物体フラグを「1」とする。その後、ステップS9に進む。
【0075】
ステップS22において、判定部213は、障害物位置を仮障害物位置で更新し、動的物体フラグを「0」とする。その後、ステップS9に進む。
【0076】
ステップS13において、判定部213は、動的物体フラグの有無を判定し、Yes(動的物体フラグが「1」)の場合はステップS14に進み、No(動的物体フラグが「0」)の場合はステップS16に進む。
【0077】
ステップS14において、物体処理部212は、物体の動きも踏まえて推定障害物位置を算出する。
【0078】
次に、ステップS15において、距離処理部211は、推定障害物位置とドア12の位置の差分をとることで、障害物距離(障害物までの距離)を算出する。その後、ステップS10に進む。
【0079】
ステップS16において、距離処理部211は、前回障害物位置とドア12の位置の差分をとることで、障害物距離を算出する。その後、ステップS10に進む。
【0080】
ステップS9において、距離処理部211は、障害物位置とドア12の位置の差分をとることで、障害物距離を算出する。その後、ステップS10に進む。
【0081】
ステップS10において、判定部213は、障害物距離が距離閾値D1(例えば10cm程度)未満か否かを判定し、Yesの場合はステップS26に進み、Noの場合はステップS11に進む。
【0082】
ステップS26において、制御部216は、ドア開度調節部13を制御してドア12を停止させる。
【0083】
ステップS11において、判定部213は、障害物距離が距離閾値D2(例えば30cm程度)未満か否かを判定し、Yesの場合はステップS12に進み、Noの場合はステップS1に戻る。
【0084】
ステップS12において、制御部216は、ドア12の開放動作に関して低速制御(う)を実施する。つまり、障害物距離が距離閾値D1(例えば10cm程度)未満になればドア12を停止させるが、その前に、障害物距離が距離閾値D2(例えば30cm程度)未満になった以降に低速制御(う)を実施する。低速にする程度は、予め決めた割合によって決定してもよいし、あるいは、動的物体とドア12との距離や相対速度に応じて決定してもよい。その後、ステップS1に戻る。
【0085】
この一連の処理について、物体ごとの処理の流れについて説明する。例えば、物体が歩いている人物の場合、動的物体フラグは、以前のステップS21またはステップS25によって「1」となっている。
【0086】
そして、ステップS5でNoになり、ステップS17でYesになる。そして、人物がドア12に近づく方向に速い速度で移動している場合、ステップS19でYesとなるので、ステップS20で低速制御(あ)が実施され、人物とドア12が接触する可能性を低減できる。
【0087】
また、人物がドア12から遠ざかる方向に遅い速度で移動している場合、ステップS23でYesとなるので、ステップS24で低速制御(い)が実施され、ドア12が人物を追いかけて追いついて接触してしまう可能性を低減できる。
【0088】
また、例えば、物体が縁石の場合、動的物体フラグは、以前のステップS22によって「0」となっている。そして、縁石の位置が急に検出不能になった場合、ステップS5でYesになり、ステップS6でNoになる。そして、ステップS8で前回障害物位置を保持することで障害物位置とすることで、縁石の正しい位置に基づいてその後の処理を実施できる。これにより、縁石がないと誤認識することによってドア12が縁石に接触してしまう可能性を低減できる。
【0089】
このように、本実施形態によれば、物体の位置の変化量が第1の閾値より大きく、かつ、第2の閾値以下である場合に物体が移動物体であると判定することで、検出した物体が移動物体か否かを高精度に判定することができる。つまり、例えば、人と縁石を例にとると、距離情報が段階的に変化もしくは一定閾値内での変化に対しては物体を人と判定し、距離情報が瞬間的に変化もしくは一定閾値以上での変化に対しては物体を人ではなく縁石と判定することができる。
【0090】
また、位置の変化量が第1の閾値より大きく、かつ、第2の閾値以下である回数が2回以上の所定回数に達することを、物体が移動物体であると判定することの条件とすることで、検出した物体が移動物体か否かをより高精度に判定することができる。
【0091】
また、車両10のドア12に設置されている物体検出センサがドア12の移動とともに移動して、縁石などの低い物体の位置が急に検出不能となった場合などに、その物体が移動物体ではないと高精度に判定することができる。これにより、ドア12が縁石に接触しないようにしながらドア12の開放動作を行うことができる。つまり、縁石の前回検出された高精度な位置を用いることで、ドア12が物体に接触する可能性を低減できる。
【0092】
また、ステップS24の低速制御(い)によって、ドア12から離れる方向に遅く速度で移動している物体に対してドア12が追いついて接触してしまう可能性を低減できる。
【0093】
また、従来技術では、センサ11のデータを離散的なサンプリング周期でしか取得できないことに起因してドア12と物体との接触の可能性が増大するという問題があった。しかし、本実施形態によれば、所定の条件下で上述の低速制御(あ)~(う)を実施することで、ドア12と物体との接触の可能性を低減できる。
【0094】
また、従来技術では、探査波の反射波を検出する場合に、検出信号の値が上昇し始めたときではなく、検出信号の値が閾値に達したときに反射波を検出したと判定するので、その分の時間の誤差が発生することによってドア12と物体との接触の可能性が増大するという問題があった。しかし、本実施形態によれば、所定の条件下で上述の低速制御(あ)~(う)を実施することで、ドア12と物体との接触の可能性を低減できる。
【0095】
また、上述の一連の処理によって物体の位置を高精度に検出できるので、例えば、物体が移動物体の場合であっても、ドア12が移動物体まで遠い時点でドア12の動作を停止させてしまう可能性を低減し、ドア12を物体の適度な手前位置で精度良く停止することができる。
【0096】
また、縁石のような低い物体についても、センサ11の配置変更や個数増加を要することなく、ドア12との接触の可能性を低減できる。
【0097】
以上、本発明の実施形態を例示したが、上記実施形態および変形例はあくまで例であっ
て、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態や変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各実施形態や各変形例の構成や形状は、部分的に入れ替えて実施することも可能である。
【0098】
例えば、上述の実施形態では、物体検出部20は1つのECUにて構成されることとしたが、これに限定されない。物体検出部20は複数のECUにて構成されていてもよい。このとき、物体検出部20の一部の機能を1つのECUが担い、物体検出部20の他の機能を他のECUが担うようにしてもよい。
【0099】
また、上述の実施形態では、1枚のドア12に対し2つの送受信部11が設けられることとしたが、これに限定されない。例えば、物体検出センサとして、ミリ波レーダーを使用する場合は、1枚のドア12に対して1つのミリ波レーダーを設けるようにしてもよい。
【0100】
また、障害物の移動ベクトル(移動速度、移動方向)を求め、障害物が意図しないベクトル方向に動いた場合に動的物体と判定してもよい。
【0101】
また、上述の実施形態では、例えば、XY座標の二次元平面で動的物体を判定しているが、物体検出センサが例えばミリ波レーダーであって物体の三次元情報を得られる場合は、XYZ座標の三次元空間で動的物体を判定してもよい。これにより、高さ方向の情報を物体検出で用いることで、ドア12よりも充分に低い動物(猫など)に対しての誤検出を防ぐことができる。
【0102】
また、検出対象の物体は、人、縁石などの上述したものに限定されず、壁、自転車、電柱などであってもよい。
【0103】
また、移動物体として人を想定する場合は、精度を高める上でスマートキーやUWB(Ultra Wide Band)といった近距離測距技術を活用してもよい。UWBを用いる場合は、例えば、運転者が所持するスマートフォンにUWBのアプリを入れ、スマートフォンと車両10との距離を測定し、その測定結果を活用すればよい。
【0104】
また、上述の実施形態では、センサ11が設置される対象を車両10としたが、これに限定されない。センサ11が設置される対象は、移動によって周囲の環境が時々刻々と変化する移動ロボットなどの移動体全般である。
【符号の説明】
【0105】
1…物体検出装置、10…車両、11RFa,11RFb,11RBa,11RBb,11LFa,11LFb,11LBa,11LBb…送受信部、12RF,12RB、12LF,12LB…ドア、13RF,13RB、13LF,13LB…ドア開度調節部、20…物体検出部、21…処理部、22…記憶部、211…距離処理部、212…物体処理部、213…判定部、214…反射強度処理部、215…開閉角度検出部、216…制御部。