IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電機株式会社の特許一覧 ▶ 横河メータ&インスツルメンツ株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154353
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】挿抜機構
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/14 20060101AFI20231012BHJP
   F16D 65/16 20060101ALI20231012BHJP
   F16D 127/04 20120101ALN20231012BHJP
   F16D 127/06 20120101ALN20231012BHJP
【FI】
H05K7/14 P
F16D65/16
F16D127:04
F16D127:06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063646
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】596157780
【氏名又は名称】横河計測株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】関根 諒
【テーマコード(参考)】
3J058
5E348
【Fターム(参考)】
3J058AB21
3J058BA80
3J058FA50
5E348AA31
5E348DE04
5E348DE18
(57)【要約】      (修正有)
【課題】容易で確実な挿抜を実現し易い挿抜機構を提供する。
【解決手段】挿抜機構において、操作アセンブリ4は、保持体5と、回転可能に保持体5に保持される回転部6と、回転付勢部12と、回転部6が第1回転位置から第2回転位置まで回転するのを規制するロック位置と解除位置との間で動作可能に保持体5に保持されるロック部7と、ロック付勢部8と、ロック部7をロック位置から解除位置に動作させる解除操作部9と、回転部6を第2回転位置から第1回転位置に動作させる回転操作部10と、を有する。回転部6は、第2回転位置から第1回転位置までの回転部6の回転に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L1が増加する差し込み用凸部6aを有する。ロック部7は、解除位置からロック位置までのロック部7の動作に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L3が増加する解除部7aを有する。
【選択図】図9A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持体と、
挿抜方向に平行でない回転軸線を中心に第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能に前記保持体に保持される回転部と、
前記回転部を前記第1回転位置と前記第2回転位置の間で前記第2回転位置の側に回転させる付勢力を与える回転付勢部と、
前記回転部が前記第1回転位置から前記第2回転位置まで回転するのを規制するロック位置と、前記回転部が前記第1回転位置から前記第2回転位置まで回転するのを規制しない解除位置との間で動作可能に前記保持体に保持されるロック部と、
前記ロック部を前記解除位置と前記ロック位置の間で前記ロック位置の側に動作させる付勢力を与えるロック付勢部と、
ロック解除用操作を受けることにより、前記ロック付勢部の前記付勢力に抗して前記ロック部を前記ロック位置から前記解除位置に動作させる解除操作部と、
挿し込み用操作を受けることにより、前記回転付勢部の前記付勢力に抗して前記回転部を前記第2回転位置から前記第1回転位置に動作させる回転操作部と、を有し、
前記回転部が、前記第2回転位置から前記第1回転位置までの前記回転部の回転に応じて前記挿抜方向と前記回転軸線に垂直な出入方向における前記保持体からの飛び出し量が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量が減少する差し込み用凸部を有し、
前記ロック部が、前記解除位置から前記ロック位置までの前記ロック部の動作に応じて前記出入方向における前記保持体からの飛び出し量が増加し、その逆の動作に応じて当該飛び出し量が減少する解除部を有する、挿抜機構。
【請求項2】
前記回転部が、前記第1回転位置から前記第1回転位置よりも前記第2回転位置側の第3回転位置までの前記回転部の回転に応じて前記出入方向における前記保持体からの飛び出し量が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量が減少する抜き出し用凸部を有する、請求項1に記載の挿抜機構。
【請求項3】
前記回転部が、前記回転部が前記第1回転位置にある時に前記ロック部に前記第1回転位置から前記第2回転位置に向かう方向に当接するように径方向に突出するロック用凸部を有する、請求項1に記載の挿抜機構。
【請求項4】
前記回転部と前記回転操作部を有するレバーを有する、請求項1に記載の挿抜機構。
【請求項5】
前記保持体、前記回転部、前記回転付勢部、前記ロック部、前記ロック付勢部、前記解除操作部及び前記回転操作部を有する挿抜体と、
前記挿抜体を挿抜される被挿抜部と、を有し、
前記被挿抜部が、前記回転部が前記第2回転位置から前記第1回転位置まで回転する時に前記差し込み用凸部に当接する被係合凸部を有する、請求項1に記載の挿抜機構。
【請求項6】
前記被挿抜部が電子機器本体であり、前記挿抜体が、前記電子機器本体に挿し込みによって電気的に接続されるモジュールである、請求項5に記載の挿抜機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は挿抜機構に関する。
【背景技術】
【0002】
挿抜体を被挿抜部に挿抜するための挿抜機構が知られている(例えば特許文献1~2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-164168号公報
【特許文献2】特開2004-343506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、容易で確実な挿抜を実現し易い挿抜機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様の挿抜機構は以下のとおりである。
【0006】
[1]
保持体と、
挿抜方向に平行でない回転軸線を中心に第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能に前記保持体に保持される回転部と、
前記回転部を前記第1回転位置と前記第2回転位置の間で前記第2回転位置の側に回転させる付勢力を与える回転付勢部と、
前記回転部が前記第1回転位置から前記第2回転位置まで回転するのを規制するロック位置と、前記回転部が前記第1回転位置から前記第2回転位置まで回転するのを規制しない解除位置との間で動作可能に前記保持体に保持されるロック部と、
前記ロック部を前記解除位置と前記ロック位置の間で前記ロック位置の側に動作させる付勢力を与えるロック付勢部と、
ロック解除用操作を受けることにより、前記ロック付勢部の前記付勢力に抗して前記ロック部を前記ロック位置から前記解除位置に動作させる解除操作部と、
挿し込み用操作を受けることにより、前記回転付勢部の前記付勢力に抗して前記回転部を前記第2回転位置から前記第1回転位置に動作させる回転操作部と、を有し、
前記回転部が、前記第2回転位置から前記第1回転位置までの前記回転部の回転に応じて前記挿抜方向と前記回転軸線に垂直な出入方向における前記保持体からの飛び出し量が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量が減少する差し込み用凸部を有し、
前記ロック部が、前記解除位置から前記ロック位置までの前記ロック部の動作に応じて前記出入方向における前記保持体からの飛び出し量が増加し、その逆の動作に応じて当該飛び出し量が減少する解除部を有する、挿抜機構。
【0007】
このような構成によれば、保持体、回転部、回転付勢部、ロック部、ロック付勢部、解除操作部及び回転操作部を有する挿抜体を被挿抜部に挿し込む時に、ロック部の解除部を被挿抜部の被係合凸部に当接させることによってロック部をロック位置から解除位置まで移動させ、その結果、回転付勢部の付勢力によって回転部を第1回転位置から第2回転位置まで回転させることができるので、差し込み用凸部が被挿抜部の被係合凸部に挿し込み方向に当接して挿し込みを妨げるのを回避することができる。
【0008】
また、差し込み用凸部を被挿抜部の被係合凸部よりも奥まで挿し込んでから回転操作部に挿し込み用操作を与えることにより、回転部を第2回転位置から第1回転位置まで回転させ、その回転に応じて出入方向における保持体からの飛び出し量が増加する差し込み用凸部によって被係合凸部を奥側から押し、その反力によって挿抜体を被挿抜部に対して挿し込み方向に容易に移動させることができる。したがって、挿抜体が電子機器本体に挿し込みによって電気的に接続されるモジュールである場合に、そのような電気的な接続を容易且つ確実に実現できる。なお、「飛び出し量が増加する」とは、飛び出した状態から飛び出し量が増加する場合と、飛び出していない状態から飛び出す場合との両方を含む。また、回転部が第2回転位置から第1回転位置まで回転して挿抜体が被挿抜部に挿し込まれるのに応じて、ロック部の解除部が被係合凸部を挿し込み方向に乗り越え、その結果、ロック付勢部の付勢力によってロック部が解除位置からロック位置まで復帰する。したがって、回転部が第1回転位置から第2回転位置まで回転するのをロック部が規制し、その結果、挿抜体が不意に抜け出すのを抑制することができる。
【0009】
また、挿抜体を被挿抜部から抜き出す時に、解除操作部にロック解除用操作を与えることにより、ロック付勢部の付勢力に抗してロック部をロック位置から解除位置に動作させ、その結果、回転付勢部の付勢力によって回転部を第1回転位置から第2回転位置に向けて回転させることができる。したがって、出入方向における保持体からの差し込み用凸部の飛び出し量が減少し、差し込み用凸部が被挿抜部の被係合凸部に抜き出し方向に当接して抜き出しを妨げるのを回避することができるため、挿抜体を被挿抜部から抜き出すことができる。
【0010】
したがって、[1]に記載の挿抜機構によれば、容易で確実な挿抜を実現し易くすることができる。
【0011】
[2]
前記回転部が、前記第1回転位置から前記第1回転位置よりも前記第2回転位置側の第3回転位置までの前記回転部の回転に応じて前記出入方向における前記保持体からの飛び出し量が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量が減少する抜き出し用凸部を有する、[1]に記載の挿抜機構。
【0012】
このような構成によれば、挿抜体を被挿抜部から抜き出す時に、解除操作部にロック解除用操作を与えてから回転操作部に挿し込み用操作と逆の抜き出し用操作を与えることにより、回転部を第1回転位置から第3回転位置まで回転させることによって、その回転に応じて抜き出し用凸部を被挿抜部の被係合凸部に挿し込み方向に押し付け、その反力によって挿抜体を被挿抜部に対して抜き出し方向に移動させることができる。したがって、挿抜体が電子機器本体に挿し込みによって電気的に接続されるモジュールである場合に、そのような電気的な接続の解除を容易に実現できる。
【0013】
[3]
前記回転部が、前記回転部が前記第1回転位置にある時に前記ロック部に前記第1回転位置から前記第2回転位置に向かう方向に当接するように径方向に突出するロック用凸部を有する、[1]又は[2]に記載の挿抜機構。
【0014】
このような構成によれば、構造の簡素化を実現し易くすることができる。
【0015】
[4]
前記回転部と前記回転操作部を有するレバーを有する、[1]~[3]の何れか1項に記載の挿抜機構。
【0016】
このような構成によれば、構造の簡素化を実現し易くすることができる。
【0017】
[5]
前記解除部が凸状をなす、[1]~[4]の何れか1項に記載の挿抜機構。
【0018】
このような構成によれば、構造の簡素化を実現し易くすることができる。
【0019】
[6]
前記ロック部が前記ロック位置と前記解除位置との間で前記挿抜方向と平行でない方向に移動する、[1]~[5]の何れか1項に記載の挿抜機構。
【0020】
このような構成によれば、構造の簡素化を実現し易くすることができる。
【0021】
[7]
前記ロック部が前記ロック位置と前記解除位置との間で前記出入方向と平行でない方向に移動する、[6]に記載の挿抜機構。
【0022】
このような構成によれば、構造の簡素化を実現し易くすることができる。
【0023】
[8]
前記保持体、前記回転部、前記回転付勢部、前記ロック部、前記ロック付勢部、前記解除操作部及び前記回転操作部を有する挿抜体と、
前記挿抜体を挿抜される被挿抜部と、を有し、
前記被挿抜部が、前記回転部が前記第2回転位置から前記第1回転位置まで回転する時に前記差し込み用凸部に当接する被係合凸部を有する、[1]~[7]の何れか1項に記載の挿抜機構。
【0024】
このような構成によれば、容易で確実な挿抜を実現し易くすることができる。
【0025】
[9]
前記被挿抜部が電子機器本体であり、前記挿抜体が、前記電子機器本体に挿し込みによって電気的に接続されるモジュールである、[8]に記載の挿抜機構。
【0026】
このような構成によれば、電子機器本体に対するモジュールの容易で確実な挿抜を実現し易くすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本開示によれば、容易で確実な挿抜を実現し易い挿抜機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】参考例に係る挿抜機構を示す斜視図である。
図2図1に示す挿抜体(モジュール)の斜視図である。
図3A図2に示す挿抜体のロック状態の操作アセンブリの側面図である。
図3B図3Aに示す状態の操作アセンブリの斜視図である。
図3C図3Bとは別の角度で示す斜視図である。
図3D】更に別の角度で示す斜視図である。
図4A図2に示す挿抜体の解除状態の操作アセンブリの側面図である。
図4B図4Aに示す状態の操作アセンブリの斜視図である。
図4C図4Bとは別の角度で示す斜視図である。
図4D】更に別の角度で示す斜視図である。
図5A図2に示す挿抜体の抜き出し用操作時の操作アセンブリの側面図である。
図5B図5Aに示す状態の操作アセンブリの斜視図である。
図6図1に示す挿抜機構の挿し込み開始時の状態を示す一部断面側面図である。
図7図1に示す挿抜機構の挿し込み完了時の状態を示す一部断面側面図である。
図8図1に示す挿抜機構の抜き出し開始時の状態を示す一部断面側面図である。
図9A】一実施形態に係る挿抜機構における挿抜体のロック状態の操作アセンブリの側面図である。
図9B図9Aに示す状態の操作アセンブリの斜視図である。
図9C図9Bとは別の角度で示す斜視図である。
図9D】回転付勢部の配置を示す説明図である。
図10図9Aに示すロック状態の挿抜体の挿し込みを開始した時の挿抜機構の状態を示す一部断面側面図である。
図11A図10に示す状態から挿し込みが進行し、解除状態になった時の状態を示す一部断面側面図である。
図11B図11Aに示す状態の操作アセンブリの斜視図である。
図12A図11Aに示す状態から挿し込みが進行し、抜き出し用凸部が被係合凸部に当接した時の状態を示す一部断面側面図である。
図12B図12Aに示す状態の操作アセンブリの斜視図である。
図13図12Aに示す状態から挿し込みを完了させた時の状態を示す一部断面側面図である。
図14A図13に示す状態からロック解除用操作を行った時の状態を示す一部断面側面図である。
図14B図14Aに示す状態の操作アセンブリの斜視図である。
図15図14Aに示す状態から抜き出し用操作を行った時の状態を示す一部断面側面図である。
図16図9Aに示す操作アセンブリの一変形例の斜視図である。
図17図9Aに示す操作アセンブリの一変形例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本開示の実施形態を詳細に例示説明する。
【0030】
実施形態を説明する前にまず参考例について説明する。
【0031】
図1図2に示す参考例の挿抜機構1は、挿抜体2と被挿抜部3を有し、被挿抜部3が測定器などの電子機器本体であり、挿抜体2が、電子機器本体に挿し込みによって電気的に接続されるモジュールである。
【0032】
挿抜体2は操作アセンブリ4を有し、操作アセンブリ4は保持体5、回転部6、ロック部7、ロック付勢部8、解除操作部9及び回転操作部10を有する。また操作アセンブリ4は、例えば、図示するように回転部6と回転操作部10を有するレバー11を有する。
【0033】
図3A図4Dに示すように、回転部6は、挿抜方向X(すなわち、挿し込み方向X1又はその逆方向である抜き出し方向X2)に平行でない回転軸線Oを中心に第1回転位置(図3A図3Dに示す位置)と第2回転位置(図4A図4Dに示す位置)との間で回転可能に保持体5に保持される。回転軸線Oは、例えば、図示するように挿抜方向Xに垂直である。
【0034】
回転部6は、差し込み用凸部6a、抜き出し用凸部6b及びロック用凸部6cを有する。
【0035】
差し込み用凸部6aは、第2回転位置から第1回転位置までの回転部6の回転に応じて挿抜方向Xと回転軸線Oに垂直な出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L1が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量L1が減少する。
【0036】
抜き出し用凸部6bは、第1回転位置から第1回転位置よりも第2回転位置側の第3回転位置(図5A図5Bに示す位置)までの回転部6の回転に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L2が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量L2が減少する。
【0037】
ロック用凸部6cは、図3A図3B等に示すように、回転部6が第1回転位置にある時にロック部7に第1回転位置から第2回転位置に向かう方向に当接するように回転軸線Oの径方向に突出する。
【0038】
ロック部7は、回転部6が第1回転位置から前記第2回転位置まで回転するのを規制するロック位置(図3A図3Bに示す位置)と、回転部6が第1回転位置から第2回転位置まで回転するのを規制しない解除位置(図4A図4Bに示す位置)との間で動作可能に保持体5に保持される。ロック部7は、ロック位置と解除位置との間で、例えば、図示するように挿抜方向Xに摺動によって移動する。
【0039】
ロック付勢部8は、ロック部7を解除位置とロック位置の間でロック位置の側に動作させる付勢力を与える。ロック付勢部8は、例えば、図示するように圧縮ばねによって構成される。
【0040】
解除操作部9は、図8中に白抜き矢印で示すようにロック解除用操作を受けることにより、ロック付勢部8の付勢力に抗してロック部7をロック位置から解除位置に動作させる。解除操作部9は、例えば、図示するように挿し込み方向X1に押し込まれる押しボタンによって構成される。解除操作部9は、ロック部7と別体に設けてロック部7を挿し込み方向X1に押圧可能に保持体5に配置してもよいし、ロック部7と一体に設けてもよい。
【0041】
回転操作部10は、図7中に太線矢印で示すように挿し込み用操作を受けることにより、回転部6を第2回転位置から第1回転位置に動作させる。
【0042】
図1及び図6図8に示すように、被挿抜部3(電子機器本体)は、回転部6が第2回転位置から第1回転位置まで回転する時に差し込み用凸部6aに当接する被係合凸部3aを有する。
【0043】
参考例の挿抜機構1によれば、以下の方法によって挿抜を行うことができる。
【0044】
挿抜体2を被挿抜部3に挿し込むためには、まず、解除操作部9にロック解除用操作を与えてロック付勢部8の付勢力に抗してロック部7をロック位置から解除位置に移動させ、回転操作部10に挿し込み用操作と逆の抜き出し用操作を与えて回転部6を第1回転位置から第2回転位置まで回転させた解除状態にする。そしてこの状態で、図6に示すように挿抜体2を被挿抜部3に挿し込むことにより、差し込み用凸部6aが被挿抜部3の被係合凸部3aに挿し込み方向X1に当接して挿し込みを妨げるのを回避することができる。
【0045】
また、差し込み用凸部6aを被挿抜部3の被係合凸部3aよりも奥まで挿し込んでから回転操作部10に挿し込み用操作を与えることにより、図7に示すように、回転部6を第2回転位置から第1回転位置まで回転させ、その回転に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L1が増加する差し込み用凸部6aによって被係合凸部3aを奥側から押し、その反力によって挿抜体2を被挿抜部3に対して挿し込み方向X1に容易に移動させることができる。したがって、被挿抜部3としての電子機器本体に対する挿抜体2としてのモジュールの挿し込みによる電気的な接続を容易且つ確実に実現できる。また、回転部6が第2回転位置から第1回転位置まで回転して挿抜体2が被挿抜部3に挿し込まれると、ロック付勢部8の付勢力によってロック部7が解除位置からロック位置まで復帰する。したがって、回転部6が第1回転位置から第2回転位置まで回転するのをロック部7が規制するロック状態となり、その結果、挿抜体2が不意に抜け出すのを抑制することができる。
【0046】
また、挿抜体2を被挿抜部3から抜き出すためには、図8に示すように解除操作部9にロック解除用操作を与えてから回転操作部10に抜き出し用操作を与えることにより、回転部6を第1回転位置から第3回転位置まで回転させることによって、その回転に応じて抜き出し用凸部6bを被挿抜部3の被係合凸部3aに挿し込み方向X1に押し付け、その反力によって挿抜体2を被挿抜部3に対して抜き出し方向X2に移動させることができる。したがって、被挿抜部3としての電子機器本体に対する挿抜体2としてのモジュールの電気的な接続の解除を容易且つ確実に実現できる。
【0047】
また、上記の操作によって回転部6を第1回転位置から第2回転位置まで回転させることにより、出入方向Yにおける保持体5からの差し込み用凸部6aの飛び出し量L1が減少し、差し込み用凸部6aが被挿抜部3の被係合凸部3aに抜き出し方向X2に当接して抜き出しを妨げるのを回避することができるため、挿抜体2を被挿抜部3から抜き出すことができる。
【0048】
しかし、本参考例の挿抜機構1によれば、ロック状態のままで挿抜体2を被挿抜部3に挿し込もうとした場合には、回転部6の差し込み用凸部6aが被挿抜部3の被係合凸部3aに挿し込み方向X1に当接し、挿し込みを行うことができず不便である。また、その挿し込みのためには、解除操作部9と回転操作部10の両方に操作を行う必要があり、この点でも不便である。
【0049】
そこで、本開示の一実施形態では、図9A図10に示すように、特に回転付勢部12と解除部7aを設けることによってこのような問題点を解決する。
【0050】
本実施形態の挿抜機構1は、参考例の場合と同様に、被挿抜部3が測定器などの電子機器本体であり、挿抜体2が、電子機器本体に挿し込みによって電気的に接続されるモジュールである。
【0051】
挿抜体2は操作アセンブリ4を有し、操作アセンブリ4は保持体5、回転部6、回転付勢部12、ロック部7、ロック付勢部8、解除操作部9及び回転操作部10を有する。また操作アセンブリ4は、例えば、図示するように回転部6と回転操作部10を有するレバー11を有する。
【0052】
図9A図11Bに示すように、回転部6は、挿抜方向Xに平行でない回転軸線Oを中心に第1回転位置(図9A図9Cに示す位置)と第2回転位置(図11A図11Bに示す位置)との間で回転可能に保持体5に保持される。回転軸線Oは、例えば、図示するように挿抜方向Xに垂直である。
【0053】
回転部6は、差し込み用凸部6a、抜き出し用凸部6b及びロック用凸部6cを有する。
【0054】
差し込み用凸部6aは、第2回転位置から第1回転位置までの回転部6の回転に応じて挿抜方向Xと回転軸線Oに垂直な出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L1が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量L1が減少する。
【0055】
抜き出し用凸部6bは、第1回転位置から第1回転位置よりも第2回転位置側の第3回転位置(図15中に二点鎖線で示す位置)までの回転部6の回転に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L2が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量L2が減少する。
【0056】
ロック用凸部6cは、図9A図9B等に示すように、回転部6が第1回転位置にある時にロック部7に第1回転位置から第2回転位置に向かう方向に当接するように回転軸線Oの径方向に突出する。
【0057】
回転付勢部12は、回転部6を第1回転位置と第2回転位置の間で第2回転位置の側に回転させる付勢力を与える。例えば、回転付勢部12は回転部6を少なくとも、第1回転位置から、出入方向Yにおける保持体5からの抜き出し用凸部6bの飛び出し量L2がゼロになる第4回転位置(図示省略)まで回転させる付勢力を与えるように構成される。回転付勢部12は、例えば、図9D等に示すようにトーションばねによって構成される。なお、回転付勢部12は、例えば、図16に示すように引張りばねによって構成してもよいし、例えば板ばねなど、トーションばねや引張りばね以外のばね等によって構成してもよい。
【0058】
ロック部7は、回転部6が第1回転位置から前記第2回転位置まで回転するのを規制するロック位置(図9A図9Bに示す位置)と、回転部6が第1回転位置から第2回転位置まで回転するのを規制しない解除位置(図11A図11Bに示す位置)との間で動作可能に保持体5に保持される。ロック部7は、ロック位置と解除位置との間で、例えば、図示するように挿抜方向Xと出入方向Yの両方に平行でない方向に摺動によって移動する。
【0059】
またロック部7は、図9A図9B及び図11A図11Bに示すように、解除位置からロック位置までのロック部7の動作に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L3が増加し、その逆の動作に応じて当該飛び出し量L3が減少する解除部7aを有する。解除部7aは、例えば、図示するように回転軸線Oに沿う方向に見た時に円弧状をなす凸状をなす。なお、解除部7aは、例えば、図17に示すように回転軸線Oに沿う方向に見た時に三角形状をなす凸状をなす構成としてもよいし、円弧状や三角形状以外の凸状をなす構成としてもよいし、凸状をなさない構成としてもよい。
【0060】
ロック付勢部8は、ロック部7を解除位置とロック位置の間でロック位置の側に動作させる付勢力を与える。ロック付勢部8は、例えば、図示するように圧縮ばねによって構成される。なお、ロック付勢部8は、例えばトーションばねなど、圧縮ばね以外のばね等によって構成してもよい。
【0061】
解除操作部9は、図14A中に白抜き矢印で示すようにロック解除用操作を受けることにより、ロック付勢部8の付勢力に抗してロック部7をロック位置から解除位置に動作させる。解除操作部9は、例えば、図示するように挿し込み方向X1に押し込まれる押しボタンによって構成される。解除操作部9は、ロック部7と別体に設けてロック部7を挿し込み方向X1に押圧可能に保持体5に配置してもよいし、ロック部7と一体に設けてもよい。
【0062】
回転操作部10は、図13中に太線矢印で示すように挿し込み用操作を受けることにより、回転部6を第2回転位置から第1回転位置に動作させる。
【0063】
図13に示すように、被挿抜部3(電子機器本体)は、回転部6が第2回転位置から第1回転位置まで回転する時に差し込み用凸部6aに当接する被係合凸部3aを有する。
【0064】
本実施形態の挿抜機構1によれば、以下の方法によって挿抜を行うことができる。
【0065】
挿抜体2を被挿抜部3に挿し込む時には、図10に示すように、ロック部7の解除部7aを被挿抜部3の被係合凸部3aに当接させることにより、図11Aに示すように、被係合凸部3aによって解除部7aを介してロック部7をロック位置から解除位置まで押し込むことができる。したがって、回転付勢部12の付勢力によって回転部6を第1回転位置から第2回転位置まで回転させた解除状態にすることができるので、差し込み用凸部6aが被挿抜部3の被係合凸部3aに挿し込み方向X1に当接して挿し込みを妨げるのを回避し易くすることができる。特に、回転付勢部12を、上述したように回転部6を少なくとも第1回転位置から第4回転位置まで回転させる付勢力を与えるように構成した場合には、回転付勢部12によって抜き出し用凸部6bの飛び出し量L2がゼロになり、その結果、よりスムーズな挿し込みを実現することができる。
【0066】
そして、図12Aに示すように、差し込み用凸部6aを被挿抜部3の被係合凸部3aよりも奥まで挿し込んでから、図13に示すように、回転操作部10に挿し込み用操作を与えることにより、回転部6を第2回転位置から第1回転位置まで回転させ、その回転に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L1が増加する差し込み用凸部6aによって被係合凸部3aを奥側から押し、その反力によって挿抜体2を被挿抜部3に対して挿し込み方向X1に容易に移動させることができる。したがって、被挿抜部3としての電子機器本体に対する挿抜体2としてのモジュールの挿し込みによる電気的な接続を容易且つ確実に実現できる。また、回転部6が第2回転位置から第1回転位置まで回転して挿抜体2が被挿抜部3に挿し込まれると、ロック付勢部8の付勢力によってロック部7が解除位置からロック位置まで復帰する。したがって、回転部6が第1回転位置から第2回転位置まで回転するのをロック部7が規制するロック状態となり、その結果、挿抜体2が不意に抜け出すのを抑制することができる。
【0067】
また、挿抜体2を被挿抜部3から抜き出すためには、図14Aに示すように、解除操作部9にロック解除用操作を与えることにより、ロック付勢部8の付勢力に抗してロック部7をロック位置から解除位置に動作させ、その結果、回転付勢部12の付勢力によって回転部6を第1回転位置から第2回転位置に向けて回転させることができる。したがって、出入方向Yにおける保持体5からの差し込み用凸部6aの飛び出し量L1が減少し、差し込み用凸部6aが被挿抜部3の被係合凸部3aに抜き出し方向X2に当接して抜き出しを妨げるのを回避することができるため、挿抜体2を被挿抜部3から抜き出すことができる。
【0068】
またその際、図15に示すように、回転操作部10に挿し込み用操作と逆の抜き出し用操作を与えることにより、回転部6を第1回転位置から第3回転位置まで回転させることによって、その回転に応じて抜き出し用凸部6bを被挿抜部3の被係合凸部3aに挿し込み方向X1に押し付け、その反力によって挿抜体2を被挿抜部3に対して抜き出し方向X2に移動させることができる。したがって、被挿抜部3としての電子機器本体に対する挿抜体2としてのモジュールの電気的な接続の解除を容易且つ確実に実現できる。
【0069】
本開示は前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0070】
したがって、前述した実施形態に係る挿抜機構1は、保持体5と、挿抜方向Xに平行でない回転軸線Oを中心に第1回転位置と第2回転位置との間で回転可能に保持体5に保持される回転部6と、回転部6を第1回転位置と第2回転位置の間で第2回転位置の側に回転させる付勢力を与える回転付勢部12と、回転部6が第1回転位置から第2回転位置まで回転するのを規制するロック位置と、回転部6が第1回転位置から第2回転位置まで回転するのを規制しない解除位置との間で動作可能に保持体5に保持されるロック部7と、ロック部7を解除位置とロック位置の間でロック位置の側に動作させる付勢力を与えるロック付勢部8と、ロック解除用操作を受けることにより、ロック付勢部8の付勢力に抗してロック部7をロック位置から解除位置に動作させる解除操作部9と、挿し込み用操作を受けることにより、回転付勢部12の付勢力に抗して回転部6を第2回転位置から第1回転位置に動作させる回転操作部10と、を有し、回転部6が、第2回転位置から第1回転位置までの回転部6の回転に応じて挿抜方向Xと回転軸線Oに垂直な出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L1が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量L1が減少する差し込み用凸部6aを有し、ロック部7が、解除位置からロック位置までのロック部7の動作に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L3が増加し、その逆の動作に応じて当該飛び出し量L3が減少する解除部7aを有する、挿抜機構1である限り、種々変更可能である。
【0071】
例えば、ロック部7は、ロック位置と解除位置との間で挿抜方向Xと出入方向Yの両方に平行でない方向に移動する構成に限らず、例えば、ロック位置と解除位置との間で出入方向Yに移動可能に構成してもよいし、ロック位置と解除位置との間で回転可能に構成してもよい。回転部6と回転操作部10は、レバー11によって形成される構成に限らない。回転部6はロック用凸部6cを有する構成に限らない。回転部6は抜き出し用凸部6bを有する構成に限らない。挿抜機構1は電子機器以外に適用してもよい。
【0072】
なお、前述した実施形態に係る挿抜機構1は、回転部6が、第1回転位置から第1回転位置よりも第2回転位置側の第3回転位置までの回転部6の回転に応じて出入方向Yにおける保持体5からの飛び出し量L2が増加し、その逆の回転に応じて当該飛び出し量L2が減少する抜き出し用凸部6bを有する、挿抜機構1であることが好ましい。
【0073】
前述した実施形態に係る挿抜機構1は、回転部6が、回転部6が第1回転位置にある時にロック部7に第1回転位置から第2回転位置に向かう方向に当接するように径方向に突出するロック用凸部6cを有する、挿抜機構1であることが好ましい。
【0074】
前述した実施形態に係る挿抜機構1は、回転部6と回転操作部10を有するレバー11を有する、挿抜機構1であることが好ましい。
【0075】
前述した実施形態に係る挿抜機構1は、解除部7aが凸状をなす、挿抜機構1であることが好ましい。
【0076】
前述した実施形態に係る挿抜機構1は、ロック部7がロック位置と解除位置との間で挿抜方向Xと平行でない方向に移動する、挿抜機構1であることが好ましい。
【0077】
前述した実施形態に係る挿抜機構1は、ロック部7がロック位置と解除位置との間で出入方向Yと平行でない方向に移動する、挿抜機構1であることが好ましい。
【0078】
前述した実施形態に係る挿抜機構1は、保持体5、回転部6、回転付勢部12、ロック部7、ロック付勢部8、解除操作部9及び回転操作部10を有する挿抜体2と、挿抜体2を挿抜される被挿抜部3と、を有し、被挿抜部3が、回転部6が第2回転位置から第1回転位置まで回転する時に差し込み用凸部6aに当接する被係合凸部3aを有する、挿抜機構1であることが好ましい。
【0079】
前述した実施形態に係る挿抜機構1は、被挿抜部3が電子機器本体であり、挿抜体2が、電子機器本体に挿し込みによって電気的に接続されるモジュールである、挿抜機構1であることが好ましい。
【符号の説明】
【0080】
1 挿抜機構
2 挿抜体
3 被挿抜部
3a 被係合凸部
4 操作アセンブリ
5 保持体
6 回転部
6a 差し込み用凸部
6b 抜き出し用凸部
6c ロック用凸部
7 ロック部
7a 解除部
8 ロック付勢部
9 解除操作部
10 回転操作部
11 レバー
12 回転付勢部
L1 差し込み用凸部の飛び出し量
L2 抜き出し用凸部の飛び出し量
L3 解除部の飛び出し量
O 回転軸線
X 挿抜方向
X1 挿し込み方向
X2 抜き出し方向
Y 出入方向
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17