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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154354
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】ロボット制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/06 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
B25J13/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063647
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138771
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 将明
(72)【発明者】
【氏名】本田 英嗣
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CY36
3C707JU01
(57)【要約】
【課題】筐体内の内部空間の利用効率を高め、筐体内のユニットに対するアクセスを可能としながら筐体を小型化する。
【解決手段】ロボット制御装置は、ロボット制御装置を構成する筐体と、筐体の内部に設けられる第1ユニットおよび第2ユニットと、筐体の内部に設けられ、第1ユニットの位置を固定する位置決め部と、位置決め部に対して着脱可能に設けられたカバー部と、を備える。第1ユニットは、位置決め部またはカバー部の少なくとも一方により筐体内に保持され、カバー部を位置決め部から取り外すことにより、第2ユニットに対して接近離反方向に移動可能に構成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記ロボット制御装置を構成する筐体と、
前記筐体の内部に設けられる第1ユニットおよび第2ユニットと、
前記筐体の内部に設けられ、前記第1ユニットの位置を固定する位置決め部と、
前記位置決め部に対して着脱可能に設けられたカバー部と、を備え、
前記第1ユニットは、前記位置決め部または前記カバー部の少なくとも一方により前記筐体内に保持され、前記カバー部を前記位置決め部から取り外すことにより、前記第2ユニットに対して接近離反方向に移動可能に構成されている、
ロボット制御装置。
【請求項2】
前記第1ユニットの前記接近離反方向における移動をガイドするように前記筐体内に設けられたスライダ部、をさらに備える、
請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記カバー部が、金属により形成される、
請求項1または2に記載のロボット制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ロボットを制御する制御装置を開示している。この制御装置は、制御装置の内部に上下段にユニットが配置され、さらに上段ユニットが前後に少なくとも1つが配置され、上段ユニットの前方ユニットが制御装置の外側に引き出されて上段ユニットの奥側ユニットがアクセスされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-31316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、筐体内の内部空間の利用効率を高め、筐体内のユニットに対するアクセスを可能としながら筐体を小型化できるロボット制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ロボットを制御するロボット制御装置であって、前記ロボット制御装置を構成する筐体と、前記筐体の内部に設けられる第1ユニット及び第2ユニットと、前記筐体の内部に設けられ、前記第1ユニットの位置を固定する位置決め部と、前記位置決め部に対して着脱可能に設けられたカバー部と、を備え、前記第1ユニットは、前記位置決め部または前記カバー部の少なくとも一方により前記筐体の内部に保持されるとともに、前記カバー部を前記位置決め部から取り外すことにより、前記第1ユニットを前記第2ユニットに対して接近離反方向に移動可能に構成されている、ロボット制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ロボット制御装置において、筐体における限られた内部空間の利用効率を高めて、全てのユニットに対するアクセスを可能としながら、筐体を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1に係るロボット制御装置の外観を表す斜視図
図2図1に示した扉を省略して表した筐体の斜視図
図3図2に示した筐体の内部を同図の矢印イ方向から見た正面図
図4図3のA-A矢視図
図5図3のB-B矢視図
図6】第1ユニットがスライドされた筐体の内部を正面視で表した動作説明図
図7図6のC-C矢視図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(実施の形態に至る経緯)
従来、特許文献1等のロボット用の制御装置は、一部のユニットを制御盤筐体(以下、単に「筐体」と称する)の外部(例えば、制御装置の前方および側方の外側)に引き出すため、スライダおよびヒンジから構成される大掛かりなユニット可動部および固定構造が必要となり、筐体の小型化が困難という課題があった。
【0009】
そこで、以下の実施の形態では、筐体内の内部空間の利用効率を高め、筐体内のユニットに対するアクセスを可能としながら筐体を小型化できるロボット制御装置の例を説明する。
【0010】
以下、適宜図面を参照しながら、本開示に係るロボット制御装置を具体的に開示した実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0011】
図1は、実施の形態1に係るロボット制御装置11の外観を表す斜視図である。実施の形態1に係るロボット制御装置11は、ロボット(図示略)を制御するための制御装置である。ここで、ロボットは、6軸関節型の溶接ロボット(マニピュレータ)を一例として挙げることができるが、ロボットの種別や用途は限定されない。溶接ロボットは、例えば自動車あるいは工業製品等を生産するための生産工場内に配備された溶接作業ライン等に設置される。溶接ロボットは、ティーチングペンダントを用いたティーチング等によって予め設定された所定の溶接線に沿って、ロボット先端側の溶接トーチを移動させる。ロボット制御装置11は、溶接トーチが所定の溶接線に沿って移動するように溶接ロボットの動作を制御する。ロボット制御装置11は、この動作を制御するための各種の電子部品が実装された回路基板を有する複数のユニットを筐体内に収容している。
【0012】
実施の形態1に係るロボット制御装置11は、装置全体の外殻を構成する金属製の筐体13を有する。筐体13は、例えば各面が四角形の六面体で形成される。筐体13は、6つの外面のうち一側面が開口部15(図2参照)となり、この開口部15を開閉自在とする扉17を備える。扉17は、例えば図1における矢印イ方向の正面視で、右側を釣元として蝶番19等のヒンジにより開閉自在に支持される。
【0013】
図2は、図1に示した扉17を省略して表した筐体13の斜視図である。筐体13は、開口部15に設けた扉17が開かれることにより、作業者(例えばロボット制御装置11のメンテナンスを行う人物)によってその内部に収容される各ユニットへのアクセスが可能となる。すなわち、筐体13は、作業者によるメンテナンス時に、作業者が開口部15から内部に手を入れることにより各ユニットに対する作業が可能となる。このため、筐体13の内部には、アクセスを可能とするためのメンテナンス空間Smが存在している。扉17の表面は、開扉によりメンテナンス空間Smを開放する前に、各ユニットへ給電されている一次側電源を遮断するための主幹ブレーカ(図示略)における外部操作ハンドル21の操作部23が表出されるようになっていてもよい(図1参照)。
【0014】
筐体13の底板25は四角形状を有する。矢印イ方向の正面視において、底板25の左右の辺部からは、一対の平行な側板27が起立する。一対の平行な側板27は、上辺部同士が天板29により接続される。底板25と、一対の側板27と、天板29の前縁は、開口部15を包囲する。また、筐体13では、開口部15の反対側(つまり、矢印イ方向の正面視から見た奥側)が、背板31(図3または図4参照)により塞がれる。背板31の右下部分には、各ユニットや一次側電源用のケーブルが通されるケーブル挿通筒33(図4参照)が背板31を貫通して設けられている。ケーブル挿通筒33は、各ユニットや一次側電源用のケーブルの他に、例えばロボットの制御ケーブル等のケーブルが通される引き出し口としても機能する。なお、ケーブル挿通筒33(図4参照)の位置は、上述した背板31の右下部分に配置されることに限定されない。
【0015】
図3は、図2に示した筐体13の内部を同図の矢印イ方向から見た正面図である。筐体13の内部には、第1ユニット35(図2参照)および第2ユニット37が設けられる。第1ユニット35および第2ユニット37は、それぞれの外殻が左右方向(つまり、矢印イ方向の正面視から見た左右方向)に薄厚な偏平な箱状に形成される。なお、第1ユニット35、第2ユニット37、他のユニット39(後述参照)の形状は薄厚な偏平な箱状に限定されなくてよいし、一部のユニットにおいては箱状に形成されずに内部の基板等がむき出して(つまり、露出)して設けられてもよい。これら第1ユニット35および第2ユニット37のそれぞれは、最大表面が、右側の側板27と平行となり、右側の側板27に近い位置から第2ユニット37、第1ユニット35の順で、右側の側板27に片寄せられて(近接して)配置される。また、筐体13の内部には、最大表面が背板31と平行となり、外殻が前後方向(つまり、矢印イ方向の正面視から見た前後方向)に薄厚な偏平な箱状に形成される他のユニット39が配置されている。
【0016】
図4は、図3のA-A矢視図である。筐体13の内部は、他のユニット39と開口部15との間が、上述したメンテナンス空間Smとなる。なお、メンテナンス空間Smは、他のユニット39と開口部15との間に設けられる空間であるが、実際には図4に図示されていない他の基板もしくはケーブル等が配置されるため図示されている容積よりも狭くなる。このため、第1ユニット35および第2ユニット37は、他のユニット39の手前側(つまり、矢印イ方向の正面視から見た手前側)に確保されているメンテナンス空間Smを侵食しないように、平面視において、他のユニット39からオフセットされて右側の側板27に片寄せられて配置される。これにより、他のユニット39と、第1ユニット35とは、互いに物理的に干渉しないようにメンテナンス空間Smを利用したメンテナンスが可能となっている。
【0017】
筐体13には、第1ユニット35および第2ユニット37の奥側(つまり、矢印イ方向の正面視から見た奥側)となる位置に、右側の側板27に垂直で、かつ奥側(つまり、矢印イ方向の正面視から見た奥側)の背板31に平行な仕切板41が設けられている。この仕切板41は、メンテナンス空間Smには侵入しないように、他のユニット39からオフセットされて右側の側板27に片寄せられて配置されている。筐体13は、背板31および底板25の入隅部と、仕切板41とによって配線ダクトDwを構成してもよい。配線ダクトDwに纏められた電線は、短距離でケーブル挿通筒33に通すことが容易となる。
【0018】
この仕切板41には、上下左右方向(つまり、矢印イ方向の正面視から見た上下左右方向)の略中間部に(図3参照)、位置決め部43が設けられている。位置決め部43は、例えば永久磁石を備えたキャッチ装置である。キャッチ装置は、磁気吸着力により第1ユニット35を固定解除可能に筐体13の内部における所定位置に吸着固定する。一方、第2ユニット37は、僅かな間隙45を有し、第1ユニット35から離間した位置で、右側の側板27に固定されている。
【0019】
第1ユニット35には、カバー部47が着脱自在に取り付けられる。カバー部47は、例えば金属により形成されている。カバー部47は、第1ユニット35の前面、第2ユニット37に対向する第1ユニット35の側面を覆い、奥側(つまり、矢印イ方向の正面視から見た奥側)の縦縁が仕切板41と平行に折り曲げられた平面視略Z字形で形成される。カバー部47は、例えば板金加工により形成される。なお、カバー部47は、必ずしも第1ユニット35の前面を覆わなくてもよく、例えば第1ユニット35の前面側が開放された構造であってもよい。
【0020】
第1ユニット35に取り付けられたカバー部47は、位置決め部43に対して磁気吸着力により着脱可能となる。つまり、第1ユニット35は、カバー部47を介して位置決め部43により位置決め保持される。なお、カバー部47は、第1ユニット35にネジ留めされることにより固定され、かつ、ネジが外されることにより第1ユニット35から取り外されてもよい。また、第1ユニット35は、位置決め部43により、金属製の外殻が直接吸着されて位置決め保持されてもよい。あるいは、位置決め部43は、上述した永久磁石を備えたキャッチ方式のもの(マグネットキャッチャー)ではなく、いわゆるドアキャッチ方式のもの(ドアキャッチャー)でもよい。この場合、位置決め部43は、ドアキャッチ方式で第1ユニット35を固定および位置決めする。すなわち、第1ユニット35は、位置決め部43またはカバー部47の少なくとも一方により筐体13の内部に保持される。例えば第1ユニット35が位置決め部43により保持される場合(言い換えると、位置決め部43が第1ユニット35とカバー部47とを締結する場合)、第1ユニット35の筐体13内の保持を簡易に解除できるので、作業者のメンテナンス時の作業工数の増大を抑制可能となる。また例えば第1ユニット35がカバー部47により保持される場合(言い換えると、カバー部47が第1ユニット35と位置決め部43とを締結する場合)、カバー部47によって第1ユニット35を保持できるので第1ユニット35の強度を確保できる。
【0021】
第1ユニット35は、カバー部47を位置決め部43から取り外すことにより、第1ユニット35を第2ユニット37に対して接近離反方向(つまり、図4の紙面左右方向)に移動可能に構成されている。ロボット制御装置11は、第1ユニット35の接近離反方向における移動をガイドするように筐体13の内部に設けられたスライダ部49をさらに備える。
【0022】
図5は、図3のB-B矢視図である。仕切板41の開口部側の表面には、第1ユニット35を上下方向から挟むスライダ部49が、上下に各一つずつ第1ユニット35の移動方向に延在して取り付けられている。スライダ部49は、仕切板41の左端縁からメンテナンス空間Smへ突出しない(図4参照)。つまり、スライダ部49は、仕切板41の左端縁が、左端の終端となっている。
【0023】
この上下のスライダ部49は、第1ユニット35の上面及び下面と平行になって仕切板41から開口部15に向かって突出する。上下一対のスライダ部49は、第1ユニット35の上面および下面の後部に係合することにより、第1ユニット35を、第2ユニット37に対して接近離反方向にスライド自在に保持している。
【0024】
スライダ部49は、例えば仕切板41に固定される固定レールと、この固定レールに入れ子構造により嵌合して接近離反方向にスライドが可能となる可動レールとにより構成することができる。固定レールは、仕切板41を切り起こし加工することにより形成してもよい。可動レールは、第1ユニット35の外殻を構成する板金材を切り起こし加工することにより形成してもよい。なお、スライダ部49の構成は、これに限定されない。
【0025】
スライダ部49は、筐体13の構成部材(仕切板41等)や第1ユニット35の構成部材(板金材)を用いて形成することにより、専用部材を追加せずに簡素な構造で構成できる。
【0026】
次に、上述した実施の形態1に係るロボット制御装置11の作用を説明する。
【0027】
ロボット制御装置11は、ロボットを制御するロボット制御装置11であって、ロボット制御装置11を構成する筐体13と、筐体13の内部に設けられる第1ユニット35および第2ユニット37と、筐体13の内部に設けられ、第1ユニット35の位置を固定する位置決め部43と、位置決め部43に対して着脱可能に設けられたカバー部47と、を備える。第1ユニット35は、位置決め部43またはカバー部47の少なくとも一方により筐体13の内部に保持され、カバー部47を位置決め部43から取り外すことにより、第1ユニット35を第2ユニット37に対して接近離反方向に移動可能に構成されている。
【0028】
ロボット制御装置11では、筐体13が、装置全体の外殻を構成する。筐体13は、内部に、複数のユニットを収容する。複数のユニットは、電線により相互に接続されたり、または筐体外のロボットに接続されたりする。複数のユニットには、例えば第1ユニット35および第2ユニット37が含まれる。また、筐体13は、第1ユニット35の位置を固定するための位置決め部43を内部に有する。この位置決め部43には、カバー部47が着脱可能となって設けられる。
【0029】
第1ユニット35は、位置決め部43またはカバー部47の少なくとも一方により筐体13の内部に保持される。第1ユニット35は、筐体13の内部で移動可能に設けられているが、位置決め部43またはカバー部47の少なくとも一方に保持されることにより、移動が規制されて筐体13の内部で保持される。第1ユニット35は、この筐体13の内部で保持された状態が、ロボット制御装置11における通常の運用状態となる。
【0030】
ところで、ロボット制御装置11は、複数のユニットのそれぞれに対してメンテナンスが必要となる場合がある。メンテナンスは、例えばユニットが有する基板や、基板に実装される電気部品に対する調整や電流電圧の測定あるいは交換等の作業である。したがって、筐体13は、これらの作業を行うために、外部から内部へアクセスできるようになっている。
【0031】
筐体13は、例えば各面が四角形の六面体で形成される。この場合、筐体13は、6つの外面のうち一側面が開口部15となり、この開口部15に設けた扉17が開かれることにより、内部に収容される各ユニットへのアクセスが可能となる。すなわち、メンテナンス時には、作業者が開口部15から内部に手を入れることにより各ユニットに対する作業が可能となる。このため、筐体13の内部には、アクセスを可能とするためのメンテナンス空間Smが存在する。
【0032】
ロボット制御装置11は、このメンテナンス空間Smにより、開口部15から入れられた手によって第1ユニット35や他のユニット39への作業が可能となる。ここで、第2ユニット37は、通常の運用時、メンテナンス空間Smによってはアクセスが不能となっている。その結果、ロボット制御装置11は、第2ユニット37に対して専用のメンテナンス空間Smを設けていない分、メンテナンス空間Smを必要最小限とすることができ、装置全体の小型化を実現させている。
【0033】
図6は、第1ユニット35がスライドされた筐体13の内部を正面視で表した動作説明図である。ロボット制御装置11は、カバー部47を位置決め部43から取り外すことにより、第1ユニット35が第2ユニット37に対して接近離反方向に移動可能となる。第1ユニット35は、通常の運用状態においては、第2ユニット37に最も接近した状態で保持されている(図4参照)。筐体13の内部は、第1ユニット35を挟んで第2ユニット37と反対側がメンテナンス空間Smとなる。第1ユニット35は、カバー部47が位置決め部43から取り外されることにより第2ユニット37から離反する方向Mへと移動が可能となる。第2ユニット37から離反する方向Mに移動した第1ユニット35は、他のユニット39のメンテナンス空間Smに侵入する。このため、他のユニット39は、開口部15より挿入された手による一部のアクセスが遮られることになる。
【0034】
図7は、図6のC-C矢視図である。その一方で、ロボット制御装置11は、第1ユニット35が第2ユニット37から離反する方向Mへ移動されることにより、第1ユニット35と第2ユニット37との間に新たな空間が確保されることになる。この空間は、第2ユニット37のための専用メンテナンス空間Spとなる。専用メンテナンス空間Spは、開口部15より外部へ開放される。つまり、第2ユニット37は、筐体13の開口部15から入れられた手が、この専用メンテナンス空間Spを通ることでアクセスが可能となる。第2ユニット37の専用メンテナンス空間Spは、通常の運用状態におけるメンテナンス空間Smの一部分Seを侵食することにより、新たな専用メンテナンス空間Spとして確保されるようになっている。
【0035】
このため、ロボット制御装置11は、従来構造のように、一部のユニットを筐体13の外部に移動させるための大掛かりなユニット可動部や固定構造が不要となり、第1ユニット35の可動距離を小さく設定してユニット同士を密に配置できるので、筐体13の小型化が実現できる。
【0036】
また、第1ユニット35は、カバー部47が外されることにより、基板に実装された電気部品等と、カバー部47との間に存在していた余剰空間が第2ユニット37の専用メンテナンス空間Spとして開放されることになる。これにより、余剰空間も作業空間として使用できるようになり、より良好なメンテナンス性を確保できる。
【0037】
更に、第1ユニット35および第2ユニット37は、その可動距離を小さく設定できるので、ユニット間を接続するケーブル51を短くすることができるとともに、ケーブル51の取り外し、再取り付けの煩雑な作業も不要となる。
【0038】
また、作業者は第1ユニット35と第2ユニット37とを繋ぐケーブル51を付け外しすることなくメンテナンス空間Spに容易にアクセスできるので、第1ユニット35と第2ユニット37との間の接続を前部(つまり、開口部15側)に集約する必要がなくなり、奥部(つまり、背板31側)にケーブル51の配置等の設計自由度を向上させることができる。
【0039】
これにより、ロボット制御装置11では、限られた内部空間(メンテナンス空間Sm)の利用効率を高めて、全てのユニットに対するアクセスを可能としながら、筐体13を小型化できる。
【0040】
また、ロボット制御装置11は、第1ユニット35の接近離反方向における移動をガイドするように筐体13の内部に設けられたスライダ部49をさらに備える。
【0041】
このロボット制御装置11では、筐体13の内部に、スライダ部49が設けられる。スライダ部49は、第1ユニット35の移動を、第2ユニット37に対して接近離反方向でガイドする。より具体的に、ロボット制御装置11は、筐体13の内部を、開口部15から見た正面視において、手前のメンテナンス空間Smの奥側に、他のユニット39が、例えば左側の側板27に片寄せられて配置される。一方、第1ユニット35及び第2ユニット37は、通常の運用状態において、他のユニット39の手前側に確保されているメンテナンス空間Smを侵食しないように、開口部15から見た正面視において、他のユニット39からオフセットされて右側の側板27に片寄せられて配置される。
【0042】
ロボット制御装置11は、スライダ部49を内部に備えることにより、第1ユニット35が第2ユニット37から離反する方向Mへ移動可能となり、第1ユニット35と第2ユニット37との間に、新たな空間を確保できる。すなわち、第2ユニット37のための専用メンテナンス空間Spを確保することができる。
【0043】
また、ロボット制御装置11では、カバー部47が、金属により形成される。
【0044】
このロボット制御装置11では、第1ユニット35の外殻を構成するカバー部47が、金属(板金材)からなる。カバー部47は、第1ユニット35に取り付けられると、例えば第1ユニット35の接地回路に導通接続される。これにより、ロボット制御装置11は、第1ユニット35のカバー部47を利用して、隣接したユニットの空間ノイズ(例えば、静電誘導、電磁誘導、電磁波)を遮蔽することができる。すなわち、第2ユニット37の空間ノイズを遮蔽することができる。これにより、ロボット制御装置11では、専用の遮蔽部材を用いずに安価にノイズ干渉を低減させることができるとともに、省スペース化も同時に達成することができる。
【0045】
したがって、実施の形態1に係るロボット制御装置11によれば、筐体13における限られた内部空間(メンテナンス空間Sm)の利用効率を高めて、全てのユニットに対するアクセスを可能としながら、筐体13を小型化できる。
【0046】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本開示は、筐体内の内部空間の利用効率を高めて、筐体内全てのユニットに対するアクセスを可能としながら、筐体を小型化できるロボット制御装置として有用である。
【符号の説明】
【0048】
11 ロボット制御装置
13 筐体
35 第1ユニット
37 第2ユニット
43 位置決め部
47 カバー部
49 スライダ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7