(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154355
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】開閉体停止装置、電動ブラインド、開閉体付勢具
(51)【国際特許分類】
E06B 9/264 20060101AFI20231012BHJP
【FI】
E06B9/264 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063648
(22)【出願日】2022-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000134958
【氏名又は名称】株式会社ニチベイ
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正則
(74)【代理人】
【識別番号】110003362
【氏名又は名称】弁理士法人i.PARTNERS特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長嶺 陽一
(72)【発明者】
【氏名】高木 浩二
(72)【発明者】
【氏名】中島 勝輝
【テーマコード(参考)】
2E043
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043AA04
2E043BB12
2E043BB15
2E043BC02
2E043BD02
2E043BE04
2E043BE14
2E043CA03
2E043DA01
(57)【要約】
【課題】開閉体の状態に起因する当該開閉体の停止位置のばらつきを低減可能な技術を提供する。
【解決手段】開閉体を開閉するモータを停止するスイッチと、前記開閉体により一方向に押圧されることで前記スイッチを作動させる作動部と、前記一方向とは逆方向に前記開閉体を付勢可能な付勢部とを備えた。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉体を開閉するモータを停止するスイッチと、
前記開閉体により一方向に押圧されることで前記スイッチを作動させる作動部と、
前記一方向とは逆方向に前記開閉体を付勢可能な付勢部と
を備えることを特徴とする開閉体停止装置。
【請求項2】
前記付勢部は、前記作動部を介して前記開閉体を付勢し、
前記作動部は前記付勢部の付勢力より強い力で押圧された場合、前記スイッチを作動させる
ことを特徴とする請求項1記載の開閉体停止装置。
【請求項3】
前記スイッチは、
前記作動部により作用されることで前記モータを停止する作用体と、
前記作用体を支持する支持台と
を有し、
前記付勢部は、前記支持台と前記作動部との間に設けられ、前記作動部を前記逆方向に付勢する
ことを特徴とする請求項1記載の開閉体停止装置。
【請求項4】
前記スイッチ、前記作動部、及び前記付勢部を収容するケースを更に備え、
前記付勢部は、一端が前記ケースに連結され、他端が前記作動部に連結されることにより、前記作動部を前記逆方向に付勢する
ことを特徴とする請求項1記載の開閉体停止装置。
【請求項5】
前記作動部は、
前記ケースに形成された開口から該ケース外に突出する突出部と、
前記突出部の上端と連結する平板状の基部と
を有し、
前記付勢部は、一端が該基部と対向する前記ケースの内壁面と連結し、他端が前記基部の下面と連結する
ことを特徴とする請求項4記載の開閉体停止装置。
【請求項6】
前記付勢部は、前記開閉体が前記作動部を押圧するに先立って該開閉体と当接し、該開閉体を前記逆方向に付勢する
ことを特徴とする請求項1記載の開閉体停止装置。
【請求項7】
前記付勢部は、
前記作動部を収容するヘッドボックスに係合可能な係合部と、
前記係合部と連結し、前記開閉体が前記作動部を押圧するに先立って該開閉体と当接する弾性変形可能な当接部と
を有することを特徴とする請求項6記載の開閉体停止装置。
【請求項8】
前記作動部と前記スイッチとの間に設けられる弾性部材を更に備え、
前記作動部は、前記開閉体により押圧されることで前記弾性部材を介して前記スイッチを押圧し、前記スイッチを作動させる
ことを特徴とする請求項1記載の開閉体停止装置。
【請求項9】
前記付勢部及び前記弾性部材はコイルスプリングであり、一方のコイルスプリングが囲繞されるように他方のコイルスプリングの内部に配置される
ことを特徴とする請求項8記載の開閉体停止装置。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一項記載の開閉体停止装置を備えることを特徴とする電動ブラインド。
【請求項11】
前記開閉体として、内部に前記作動部が収容されたヘッドボックスから吊り下げられ、前記モータにより昇降可能なスラット群を更に備え、
前記作動部は、前記ヘッドボックスに形成された開口から該ヘッドボックス外に突出する突出部を有し、該突出部が前記スラット群における最上段のスラットにより前記一方向に押圧された場合、前記スイッチを作動させる
ことを特徴とする請求項10記載の電動ブラインド。
【請求項12】
前記最上段のスラットにおける前記突出部に対向する位置に設けられ、該スラットの強度を補強する補強部
を更に備えることを特徴とする請求項11記載の電動ブラインド。
【請求項13】
開閉体を開閉するモータを停止するスイッチと、突出部が設けられ該突出部が前記開閉体により一方向に押圧されることで前記スイッチを作動させる作動部と、前記作動部を前記突出部が外部に突出するように収容するヘッドボックスとを有する電動ブラインドに取り付け可能な開閉体付勢具であって、
前記ヘッドボックスの外壁に係合可能な係合部と、
前記係合部と連結し、前記開閉体と当接することにより、該開閉体を前記一方向とは逆方向に付勢する付勢部と
を備えることを特徴とする開閉体付勢具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、スラット等の開閉体を停止させる開閉体停止装置、該開閉体停止装置を備える電動ブラインド、及び開閉体付勢具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の開閉体停止装置を備える電動ブラインドとして、下記特許文献1に示される電動ブラインドが知られている。この電動ブラインドは、ブラインド本体内に設けたモータと、モータへの電力の供給を行う電源と、モータの回転を制御可能な制御部とを有し、モータの駆動力によってブラインドの昇降を行い、ブラインド本体内のモータと電源との間を接続する電源ラインに、ブラインドが所定位置まで昇降したことを検出するリミットスイッチを接続すると共に、リミットスイッチが作動したときにダイオードを介してモータの両端子を短絡する短絡ラインを配線したことを特徴としている。
【0003】
この特徴によれば、開閉体であるブラインドが所定位置まで昇降するとリミットスイッチが作動し、ブラインドを瞬時に停止させることができるため、ブラインドの停止位置がばらつくことを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した電動ブラインドが備えるものを含め、既存のリミットスイッチは、例えばスラットの整列具合や畳み込み具合など、開閉体の状態によっては当該開閉体を通常とは異なる停止位置で停止させるように作動してしまい、その結果、開閉体の停止位置がばらついてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、開閉体の状態に起因する当該開閉体の停止位置のばらつきを低減可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様は、開閉体を開閉するモータを停止するスイッチと、前記開閉体により一方向に押圧されることで前記スイッチを作動させる作動部と、前記一方向とは逆方向に前記開閉体を付勢可能な付勢部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、開閉体の状態に起因する当該開閉体の停止位置のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る電動ブラインドの構成を示す正面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る電動ブラインドが備えるリミットスイッチを示す斜視図である。
【
図3】第1の実施形態に係るリミットスイッチを示す斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す分解斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。
【
図6】付勢バネを有していないリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。
【
図7】第1の実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。
【
図8】スラットの整列具合に起因するボトムレールの停止位置のばらつきを説明するための図である。
【
図9】スラットの畳み込み具合に起因するボトムレールの停止位置のばらつきを説明するための図である。
【
図10】第1の実施形態に係るリミットスイッチの動作を説明するための図である。
【
図11】第1の実施形態に係るリミットスイッチの動作を説明するための図である。
【
図12】第1の実施形態の変形例に係る電動ブラインドの構成を示す正面図である。
【
図13】第2の実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。
【
図14】第3の実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。
【
図15】第4の実施形態に係るスラット付勢具を示す斜視図である。
【
図16】第4の実施形態に係るスラット付勢具を示す斜視図である。
【
図17】第4の実施形態に係るスラット付勢具がヘッドボックスに取り付けられた状態を示す縦断面図である。
【
図18】第5の実施形態に係るスラット付勢具を示す斜視図である。
【
図19】第5の実施形態に係るスラット付勢具を示す斜視図である。
【
図20】第5の実施形態に係るスラット付勢具がヘッドボックスに取り付けられた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、開閉体として複数のスラットからなるスラット群とボトムレールとを備える電動ブラインドに本発明を適用した場合を例にとり説明を行う。なお、本実施形態においては、開閉体が設けられた際の室内側の面を正面、室外側の面を背面、正面と背面とからなる方向を前後方向、開閉装置の長手方向を左右方向と称して以後説明を行う。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0011】
<第1の実施形態>
(全体構成)
第1の実施形態に係る電動ブラインドの構成について
図1を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る電動ブラインドの構成を示す正面図である。なお、この図においてはボトムレールが最下降位置まで下降され、スラットが水平、即ち全開状態にある電動ブラインドが示されている。また、
図1においてはヘッドボックスのみ、その内部が示されている。
【0012】
図1に示されるように、本実施形態に係る電動ブラインド1は、ヘッドボックス2と、複数のスラットからなるスラット群3と、ボトムレール4とを備える。
【0013】
ヘッドボックス2は、複数の不図示のブラケットを介して窓枠等に固定され、その内部に、駆動軸21、モータ22、2つの昇降回転ドラム23、エンコーダ24、スイッチング電源25、制御ユニット26、及び駆動ユニット27、2つのリミットスイッチ5が収容されている。
【0014】
スラット群3は、ヘッドボックス2とボトムレール4との間において、上下方向に各スラットが整列状態で配置されるようラダーコード31により支持されている。ラダーコード31は、一端が対応する昇降回転ドラム23に連結されてヘッドボックス2から垂下すると共に、他端がボトムレール4に連結され、スラット群3の各スラットを挟むようにその前方及び後方に前後一対の縦コードが配されて、不図示の中段コードによって各スラットを個別に支持している。したがって、ラダーコード31は昇降回転ドラム23の回転に応じて傾動し、この傾動に応じてスラット群3は全閉、水平(全開)、または反全閉状態等に傾動回転する。
【0015】
ボトムレール4は、昇降回転ドラム23に巻取り及び巻解き可能に一端が連結された不図示の昇降コードの他端と連結することにより、電動ブラインド1の最下端に位置するように吊り下げ支持されている。昇降コードが昇降回転ドラム23により巻取り及び巻解きがなされることによりボトムレール4は昇降移動し、当該昇降移動によりスラット群3がボトムレール4上で重畳されていくことで昇降(開閉)することとなる。本実施形態においては、これらスラット群3及びボトムレール4が電動ブラインド1の開閉体を構成する。
【0016】
駆動軸21は、ヘッドボックス2内において回転可能に支持されており、その一端(図中左端部)がモータ22に連結される。駆動軸21は、2つの昇降回転ドラム23に一体回転可能に挿通されており、モータ22の回転駆動を各昇降回転ドラム23に伝達する。昇降回転ドラム23は、駆動軸21からの回転駆動力に応じて、昇降コードの巻解き方向への回転および巻取り方向への回転を行う。また、駆動軸21は2つの昇降回転ドラム23の間に配置されたエンコーダ24に挿通されており、エンコーダ24によりその回転角度が検出される。
【0017】
スイッチング電源25は、電源用コネクタ251を介して入力された交流電力を直流電力に変換し、変換された直流電力を制御ユニット26及び駆動ユニット27を駆動するために供給する。制御ユニット26は、エンコーダ24からの駆動軸21の角度を示す検出信号や、不図示の受信アンテナを介した電動ブラインド1のリモートコントロール用の端末装置からの指令信号等を受け付け、これらの信号に基づき駆動ユニット27を制御する。制御ユニット26は、CPU(Central Processing Unit)やメモリを有し、これらが協働することで電動ブラインド1に係る各種機能を実行する。このような機能としては、モータ22の駆動制御等が挙げられる。駆動ユニット27は、制御ユニット26からの制御信号に応じてモータ22を駆動する。
【0018】
リミットスイッチ5は、レバー53(
図2~4参照)がヘッドボックス2の下面に形成された開口から外部に突出してヘッドボックス2内に組み付けられており、モータ22とスイッチング電源25との間を接続する不図示の電源ラインに接続されている。リミットスイッチ5は、ボトムレール4の停止を示す指令信号が制御ユニット26において受信されない状態でボトムレール4の上昇が継続され、スラット群3の最上段のスラット301によりレバー53が押圧されると、その常閉接点から常開接点へと接点が切り替わる(OFFの状態からONの状態)ことでモータ22の両端子を不図示のダイオードを介して短絡させ、モータ22を強制的に停止させることで、ボトムレール4の上昇を停止させる。つまり本実施形態に係るリミットスイッチ5は、ボトムレール4の上限位置を定める上限リミットスイッチとして機能する。本実施形態においてリミットスイッチ5は、左右方向に離間して2つ設けられているが、スラット群3の左右方向長さに応じて1つまたは3つ以上、設けるようにしてもよい。
【0019】
(リミットスイッチ5の構成)
本実施形態に係るリミットスイッチ5の構成について詳細に説明する。
図2及び
図3は、それぞれ本実施形態に係るリミットスイッチをそれぞれ示す斜視図であり、
図4は、その構成を示す分解斜視図である。
図5は、本実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。なお、
図2はリミットスイッチ5を上方から見た斜視図となっており、
図3及び
図4は下方から見た斜視図となっている。また
図5は、リミットスイッチ5を側方から見た縦断面図となっている。
【0020】
図2~
図5に示されるようにリミットスイッチ5は、上部に開口が形成された略箱状のケース51を有しており、その上部開口を覆うように基板52がケース51に取り付けられている。ケース51と基板52とで画成される収容空間には、レバー53と、タクタイルスイッチ54と、付勢バネ56と、伝達バネ55とが収容される。ケース51の下端部には、それぞれ先端が互いに離間するように前後方向に広がる一対の係合部511が一体的に設けられている。リミットスイッチ5は、これら係合部511がヘッドボックス2内においてヘッドボックス2の内壁に係合することにより、ヘッドボックス2内において移動不能に組み付けられる。
【0021】
レバー53は、前後方向に離間する一対の孔部531が穿設された、水平方向に延在する平板状のベースプレート532を有する。レバー53は、ケース51の底壁512に設けられた前後方向に離間する一対の柱状部材513が一対の孔部531にそれぞれ挿通されることにより、ケース51に対して水平方向(前後左右方向)において移動不能に、且つ上下方向において移動可能に設けられる。
【0022】
ベースプレート532には、その略中央に下方に突出する中空円筒状の下方突出部533と、上方に僅かに突出する中空円筒状の上方突出部534とが設けられている。ケース51の底壁512の略中央には、その周縁部が下方に僅かに隆起する円形の孔部514が穿設されている。下方突出部533は、この孔部514に挿通されることでケース51外に突出することができる。ボトムレール4が上昇された場合、下方突出部533は、最上段のスラット301と当接し、更なるボトムレール4の上昇に応じて当該スラット301により上方に押圧される。レバー53は、上述したように上下方向において移動可能にケース51に設けられているため、この押圧により上方に移動することができる。
【0023】
上方突出部534は、その内周壁に伝達バネ55の下端が周接するように嵌合されると共に、その外周壁に付勢バネ56の下端が僅かな隙間を有して巻回されている。なお、ベースプレート532の上面における周縁部(不図示)は上方に僅かに隆起しており、付勢バネ56の下端はこの周縁部と上方突出部534との間で係止されることが好ましい。
【0024】
タクタイルスイッチ54は、基板52の下面に設けられたベース541と、ベース541に対して上方に移動可能に設けられたプランジャ542とを備える。ベース541とプランジャ542との間には例えば1mm等の所定の間隔が形成されており、この隙間分プランジャ542が上方に移動することができる。
【0025】
ボトムレール4の上昇に応じてプランジャ542が所定の隙間分移動した場合、タクタイルスイッチ54はOFFの状態からONの状態に切り替わり、モータ22の回転駆動を停止させる。これにより昇降回転ドラム23による昇降コードの巻取りが停止され、ボトムレール4の上昇が停止されることとなる。このようなタクタイルスイッチ54としては、例えばオムロン株式会社製のシール型タクタイルスイッチ(形式:形B3W-4050)等が挙げられる。
【0026】
伝達バネ55は、その中心軸が上下方向を向くように巻回された所謂コイルスプリングであり、その周面が付勢バネ56に囲繞されるように付勢バネ56の内部に位置付けられる。伝達バネ55は、その下端が上述したように上方突出部534に嵌合することでレバー53に係止されると共に、上端がタクタイルスイッチ54のプランジャ542に当接、好ましくは係止されている。これにより伝達バネ55は、レバー53が上方に押圧されて押し上げられた場合、その押圧力をプランジャ542に伝達しプランジャ542を押圧する。つまりレバー53は伝達バネ55を介して押圧力を伝達可能にプランジャ542と連結される形となる。
【0027】
なお、プランジャ542が押圧されてからモータ22が停止するまでの間に、ボトムレール4の上昇が継続されて過度にレバー53を押圧する、所謂オーバーランが生じる可能性がある。伝達バネ55は、このオーバーランによりレバー53の過度な押圧がなされた場合、その押圧力を上下に圧縮されることで吸収することができる。この吸収によりプランジャ542が強く押し込まれるといった事態を回避することができ、延いてはタクタイルスイッチ54の損傷を防止することができる。
【0028】
付勢バネ56は、その中心軸が上下方向を向くように巻回された所謂コイルスプリングであり、その下端が上述したようにレバー53に係止されると共に、上端がタクタイルスイッチ54のベース541下面に当接、好ましくは係止されている。付勢バネ56は、ある程度圧縮された状態でレバー53とベース541との間に設けられることが好ましく、これにより常時ベース541に対してレバー53を下方に付勢することができる。なお、付勢バネ56の付勢力は、スラットを撓らせることが可能な力以上であり、モータ22によりボトムレール4を上昇させる力未満となるように設計することが好ましい。
【0029】
図6は付勢バネを有していないリミットスイッチの構成を示す縦断面図であり、
図7は本実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。
図6及び
図7は、リミットスイッチを側方から見た縦断面図となっている。
【0030】
例えば、
図6に示されるように、リミットスイッチが付勢バネ56を有していない場合、ボトムレール4の上昇に応じて最上段のスラット301により下方突出部533が上方に押圧されると、レバー53は小さな押圧力F1でも上方に移動し、タクタイルスイッチ54がONの状態となってしまう。これに対して
図7に示される本実施形態に係るリミットスイッチ5のように、レバー53が付勢バネ56により下方に付勢されていると、その付勢力未満の小さな押圧力ではレバー53が上方に移動することはなく、タクタイルスイッチ54のOFFの状態が維持される。一方、
図7に示されるように、当該付勢力を超える大きな押圧力F2がレバー53に加わると、付勢バネ56が上方に圧縮されると共に、レバー53が上方に移動されてプランジャ542が押圧されることとなる。
【0031】
次に、
図6を参照して説明した付勢バネ56を有していないリミットスイッチを用いた場合において生じる、ボトムレール4の停止位置のばらつきについて、2つのパターンを例示して説明する。
図8はスラットの整列具合に起因するボトムレールの停止位置のばらつきを説明するための図であり、側方から見た電動ブラインド1が模式的に示されている。また、
図9はスラットの畳み込み具合に起因するボトムレールの停止位置のばらつきを説明するための図であり、正面から見た電動ブラインド1が模式的に示されている。なお、
図8及び
図9に示される符号h1~h4は、それぞれヘッドボックス2下端からボトムレール4下端までの長さを示している。
【0032】
ボトムレール4を上限位置にまで上昇させる場合、スラット群3が全閉または反全閉となった後にボトムレール4が上昇し、ボトムレール4上に最下段のスラットから最上段のスラット301まで整列状態となるように順次重なる(ラダーコード31を介して重なる)こととなる。最上段のスラット301まで重なり終えた後、レバー53が最上段のスラット301により上方に押圧されることでボトムレール4の上昇が停止する。
図8(a)は、スラット群3が整列状態にありボトムレール4の上昇が停止した状態が示されている。この状態においてボトムレール4は上限位置に達したこととなる。
【0033】
一方、ボトムレール4上に最下段のスラットから最上段のスラットまで順次重なる際、例えば最上段のスラット301が昇降コードやラダーコード31に引っ掛かる等により、正しく下方のスラット上に重ならずに傾斜したままの場合がある。このような場合、最上段のスラット301が傾斜した状態でリミットスイッチ5を押圧し、ボトムレール4の上昇が停止することとなる。
図8(b)は、最上段のスラット301が傾斜した状態にありボトムレール4の上昇が停止した状態が示されている。この状態においてボトムレール4は上限位置に達したこととなる。
【0034】
スラットが傾斜した状態では、当該スラットがその下方のスラット上に重なる正常な状態と比較して、上下方向に大きなスペースが生じる。そのため、
図8(a)と
図8(b)とを比較するとわかるように、それぞれボトムレール4が上限位置において停止しているものの、ヘッドボックス2下端からボトムレール4下端までの長さh2は、当然h1よりも長くなる。したがって、最上段のスラット301を含め、スラットが傾斜した状態を維持してしまうと、ボトムレール4の停止位置にばらつきが生じてしまう。
【0035】
同様に、ボトムレール4を上限位置にまで上昇させる場合において、ボトムレール4上に最下段のスラットから最上段のスラット301まで順次重なる際、通常はラダーコード31がスラット間に挟み込まれることなく左右方向に蛇行するように畳み込まれることとなる。
図9(a)は、ラダーコード31の縦コードがスラット間に挟み込まれることなく正しく畳み込まれ、リミットスイッチ5が押圧されることでボトムレール4の上昇が停止した状態が示されている。この状態においてボトムレール4は上限位置に達したこととなる。
【0036】
一方、ボトムレール4上に最下段のスラットから最上段のスラット301まで順次重なる際、ラダーコード31の種類(材質や太さ、形状)やその配設形態によっては、ラダーコード31の縦コードがスラット間に挟み込まれて畳み込まれる場合がある。このような場合、ラダーコード31の縦コードがスラット間に挟み込まれて畳み込まれた状態が維持されたままリミットスイッチ5を押圧し、ボトムレール4の上昇が停止することとなる。
図9(b)は、ラダーコード31の縦コードがスラット間に挟み込まれて畳み込まれたままボトムレール4の上昇が停止した状態が示されている。この状態においてボトムレール4は上限位置に達したこととなる。
【0037】
図9(b)に示されるように、ラダーコード31の縦コードがスラット間に挟み込まれて畳み込まれた状態では、スラット間の隙間が部分的に増大することがある。この時、
図9(a)と
図9(b)とを比較するとわかるように、それぞれボトムレール4が上限位置において停止しているものの、ヘッドボックス2下端からボトムレール4下端までの長さh4は、当然h3よりも長くなる。したがって、ラダーコード31の縦コードがスラット間に挟み込まれて畳み込まれた状態では、ボトムレール4の停止位置にばらつきが生じてしまう。なお、
図9(b)は、スラット群3における下部のスラット間にラダーコード31の縦コードが挟み込まれた例を示しているが、上部のスラット間に挟み込まれた場合においても同様のことが言える。下部のスラット間にラダーコード31の縦コードが挟み込まれた場合はスラットの重みで挟み込まれた縦コードが潰れることもあるが、上部のスラット間に挟み込まれた場合はそのようなことが生じにくいため、上述したボトムレール4の停止位置のばらつきがより顕著になる傾向がある。
【0038】
ここで、ボトムレール4が上限位置に達してリミットスイッチ5が押圧されることでタクタイルスイッチ54がOFFの状態からONの状態に切り替わると、現在のボトムレール4の位置を新たな上限停止位置とするように、制御ユニット26にメモリされているエンコーダ24のカウント値がリセットされる。そのため、ボトムレール4の上限停止位置がばらつくと、上限停止位置を基準とした下限停止位置もばらついてしまう。その結果、ボトムレール4を下限位置まで下降させると床(躯体)や窓枠等に衝突してしまったり、開口部を意図した通りに遮蔽できなかったりするという問題が生じ得る。また、複数の電動ブラインド1を左右方向に連装する場合、ボトムレール4の位置が揃わないという問題が生じ得る。
【0039】
(リミットスイッチ5の動作)
次に、本実施形態に係るリミットスイッチ5の動作を、
図10を参照しつつ説明する。
図10は、本実施形態に係るリミットスイッチの動作を説明するための図である。
図10においては、
図8を参照して説明した最上段のスラット301が傾斜した状態におけるリミットスイッチ5の動作が示されている。
図10(a-1)~(c-1)にはそれぞれ側方から見た電動ブラインド1が模式的に示されており、
図10(a-2)~(c-2)にはそれぞれ対応する(a-1)~(c-1)の状態におけるリミットスイッチ5を側方から見た縦断面図が示されている。
【0040】
図10(a-1)に示されるように、最上段のスラット301が傾斜した状態でボトムレール4が上昇し、レバー53の下方突出部533に当接した時点(下方突出部533を押圧していない状態)では、
図10(a-2)に示されるように、レバー53が上方に移動しておらずタクタイルスイッチ54はOFFの状態となっている。したがって、ボトムレール4は更なる上昇が可能な状態にある。
【0041】
更にボトムレール4が上昇すると、最上段のスラット301により下方突出部533が押圧される。しかしながら、付勢バネ56によりレバー53は下方に付勢されているため、最上段のスラット301はレバー53を介して下方に付勢される形となり、単に傾斜された状態にある最上段のスラット301では、この付勢力を超える押圧力をレバー53に加えることができない。よって、
図10(b-1)に示されるように、ボトムレール4は停止することなく上昇し続ける。当該上昇に応じて最上段のスラット301は、その下方のスラットにより押圧される形となるため、漸次傾斜角度が小さくなるように傾斜が修正されることとなる。この状態では、
図10(b-2)に示されるように、当然レバー53が上方に移動せずにタクタイルスイッチ54はOFFの状態が維持される。したがって、ボトムレール4は更なる上昇が可能な状態にある。
【0042】
続けてボトムレール4が上昇すると、
図10(c-1)に示されるように、最上段のスラット301は、その下方のスラット上に一様に重なる状態、つまり
図8(a)を参照して説明したようにスラット群3が整列状態となる。この状態においては、最上段のスラット301は他のスラット及びボトムレール4と一体となって、ボトムレール4の上昇による押圧力をレバー53に加えることができる。上述したように、本実施形態に係る付勢バネ56の付勢力は、モータ22によるボトムレール4を上昇させる力未満に設計されている。したがって、
図10(c-2)に示されるように、レバー53が付勢バネ56の付勢力に抗して押圧されて上方に移動することにより、タクタイルスイッチ54はONの状態となり、ボトムレール4の上昇が停止される。この時、ヘッドボックス2下端からボトムレール4下端までの長さは、h2から通常時のh1へと縮小されるため、ボトムレール4の停止位置のばらつきが解消されている。
【0043】
次に、本実施形態に係るリミットスイッチ5の動作を、
図11を参照しつつ説明する。
図11は、本実施形態に係るリミットスイッチの動作を説明するための図である。
図11においては、
図9を参照して説明したラダーコード31の縦コードがスラット間に挟み込まれて畳み込まれた状態におけるリミットスイッチ5の動作が示されている。
図11(a-1)~(c-1)にはそれぞれ正面から見た電動ブラインド1が模式的に示されており、
図11(a-2)~(c-2)にはそれぞれ対応する(a-1)~(c-1)の状態におけるリミットスイッチの縦断面図が示されている。
【0044】
図11(a-1)に示されるように、ラダーコード31の縦コードがスラット間に挟み込まれて畳み込まれた状態においてボトムレール4が上昇し、最上段のスラット301がレバー53の下方突出部533に当接した時点(下方突出部533を押圧していない状態)では、
図11(a-2)に示されるように、レバー53が上方に移動しておらずタクタイルスイッチ54はOFFの状態となっている。したがって、ボトムレール4は更なる上昇が可能な状態にある。
【0045】
更にボトムレール4が上昇すると、最上段のスラット301により下方突出部533が押圧される。しかしながら、付勢バネ56によりレバー53は下方に付勢されているため、最上段のスラット301はレバー53を介して下方に付勢される形となり、最上段のスラット301によるレバー53の押圧に先立って、ボトムレール4の上昇によりスラット間に挟み込まれて畳み込まれたラダーコード31の圧縮が生じ、これに応じてスラット間の隙間が縮小されることとなる。よって、
図11(b-1)に示されるように、ボトムレール4が停止することなく上昇し続ける。この状態では、
図11(b-2)に示されるように、当然レバー53が上方に移動せずにタクタイルスイッチ54はOFFの状態が維持される。したがって、ボトムレール4は更なる上昇が可能な状態にある。
【0046】
続けてボトムレール4が上昇すると、
図11(c-1)に示されるように、スラット間に挟み込まれて畳み込まれたラダーコード31の圧縮の増大によるスラット間の隙間の縮小が促進される。これらラダーコード31の圧縮、スラット間の隙間の縮小がある程度促進されると、ボトムレール4の上昇が最上段のスラット301に伝達されることとなり、ボトムレール4の上昇による押圧力をレバー53に加えることができる。したがって、
図11(c-2)に示されるように、レバー53が付勢バネ56の付勢力に抗して押圧されて上方に移動することにより、タクタイルスイッチ54はONの状態となり、ボトムレール4の上昇が停止される。この時、ヘッドボックス2下端からボトムレール4下端までの長さは、h4から通常時と同等なh3へと縮小されるため、ボトムレール4の停止位置のばらつきが解消されている。
【0047】
以上に説明した本実施形態によれば、レバー53が付勢バネ56の付勢力よりも強い押圧力で押圧されなければタクタイルスイッチ54が作動しないため、付勢力未満の押圧力がレバー53に作用する状況においては開閉体の好ましくない状態(スラットの不揃いやラダーコード31の畳み込み具合等)に起因する開閉体の停止位置のばらつきを吸収することができ、当該ばらつきを低減することができる。より具体的には、開閉体の上限停止位置のばらつきを低減することで、上限停止位置を基準とした下限停止位置のばらつきを低減することができる。また、この付勢バネ56は、タクタイルスイッチ54のベース541とレバー53との間に設けられているため、既存のリミットスイッチの構造を流用することができ、極めて有用な効果を低コストで実現することができる。
【0048】
<変形例1>
図12は、第1の実施形態の変形例に係る電動ブラインドの構成を示す正面図である。なお、
図12に示される部分拡大図は、上方から見たスラットクリップ6が示されている。
図12に示されるように、本変形例に係る電動ブラインド1は、レバー53の下方突出部533に対向する最上段のスラット301の範囲にスラットクリップ6が取り付けられている。
【0049】
スラットクリップ6は、
図12における部分拡大図に示されるように、最上段のスラット301を部分的に補強する板状の補強部材であり、本変形例においては平面視X字状に形成され、最上段のスラット301の取付面(下面)を覆うと共に、その前後方向両端部に上方に折り返された爪部61が形成されている。この爪部61にて最上段のスラット301における前後方向両端部を挟むことにより、スラットクリップ6は、最上段のスラット301に対して着脱自在となっている。
【0050】
スラットクリップ6は、一般的にはラダーコード31や昇降コードが配される範囲に取り付けられるものである。一方、本変形例においては、このようなスラットクリップ6がレバー53の下方突出部533に対向する範囲に取り付けられており、最上段スラット301の補強部として作用する。下方突出部533と最上段のスラット301とが当接したとき、スラットクリップ6は最上段スラット301が下方に撓ることを抑制する。このように、最上段のスラット301により下方突出部533を上方に押圧する際、最上段のスラット301が下方突出部533により変形することを防止することができる。なお、スラットクリップ301を最上段スラット301の上面を覆うように取り付けられてもよい。この場合、下方突出部533と最上段のスラット301との当接を防止することができるため、同様に、最上段のスラット301により下方突出部533を上方に押圧する際、最上段のスラット301が下方突出部533により変形や損傷することを防止することができる。
【0051】
<第2の実施形態>
図13は、本実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。
図13に示されるように、本実施形態に係るリミットスイッチ5Aは、第1の実施形態に係るリミットスイッチ5と比較して、付勢バネ56に代わり、ケース51の底壁512の上面に係止されている一対の付勢バネ56Aを備える点が異なる。
【0052】
一対の付勢バネ56Aは、前後方向において間に下方突出部533が位置するように互いに離間して配置されており、それぞれケース51の柱状部材513の外周壁に僅かな隙間を有して巻回された所謂コイルスプリングである。付勢バネ56Aは、その上端がレバー53のベースプレート532に設けられた係止部535に連結することで係止されると共に、下端がケース51の底壁512に設けられた係止部515に連結することで係止され、レバー53を下方に付勢している。一対の付勢バネ56Aは、常時レバー53を付勢するためにある程度伸長した状態で設けられることが好ましい。
【0053】
以上に説明した本実施形態によれば、付勢バネ56Aはレバー53のベースプレート532とケース51の底壁512との間に設けられるため、レバー53が上方に押圧されたとしても、その押圧力は付勢バネ56Aの付勢力を超えるまでタクタイルスイッチ54に伝達されることはない。したがって、本実施形態に係るリミットスイッチは、第1の実施形態に係るリミットスイッチ5と同様の効果を奏することができる。また、タクタイルスイッチのベースが小さく付勢バネ56を設けるスペース無い場合であっても、本実施形態によれば付勢バネ56Aをその効果が低減されることなくリミットスイッチ5に設けることができる。
【0054】
なお、本実施形態においては、付勢バネ56Aが前後方向においてレバー53をバランスよく付勢するために対をなして設けられているが、付勢するバランスを考慮しないのであれば、1つのみ設けるようにしてもよく、その場合であっても開閉体の停止位置のばらつき低減の効果を奏することができる。
【0055】
また、第1の実施形態においては付勢バネ56がある程度圧縮された状態で取り付けられることで常時レバー53を下方に付勢し、第2の実施形態においては付勢バネ56Aがある程度伸長された状態で取り付けられることで常時レバー53を下方に付勢すると説明した。しかしながら、これらに限定するものではなく、それぞれの形態において付勢バネ56,56Aを圧縮/伸長せずに取り付けるようにしても良い。この場合、ボトムレール4の上昇に応じた最上段のスラット301からの押圧力が、付勢バネ56,56Aの弾性力未満であると、当該押圧力がプランジャ542に伝達することはなく、開閉体の停止位置のばらつき低減の効果を奏することができる。
【0056】
<第3の実施形態>
図14は、本実施形態に係るリミットスイッチの構成を示す縦断面図である。
図14に示されるように、本実施形態に係るリミットスイッチ5Bは、第1の実施形態に係るリミットスイッチ5と比較して、伝達バネ55が設けられておらず、レバー53に代わり上方突出部534が直接にプランジャ542を押圧可能に上方に延在しているレバー53Bを備える点が異なる。
【0057】
本実施形態によれば、伝達バネ55が設けられていないため、オーバーランが生じた場合において、レバー53Bに加えられる過度な押圧力を吸収することができないものの、付勢バネ56による開閉体の停止位置のばらつき低減の効果は実現できる。
【0058】
なお、第1~第3の実施形態においては、伝達バネ55及び付勢バネ56がコイルスプリングであると説明したがこれに限定するものではなく、板バネ等の弾性を有する弾性体であれば同様の効果を実現できることは言うまでもない。
【0059】
<第4の実施形態>
図15及び
図16は本実施形態に係るスラット付勢具を示す斜視図であり、
図17は本実施形態に係るスラット付勢具がヘッドボックスに取り付けられた状態を示す縦断面図である。なお、
図15はスラット付勢具56Cを上方から見た斜視図となっており、
図16は下方から見た斜視図となっている。また
図17は、スラット付勢具56Cを側方から見た縦断面図となっている。
【0060】
図15~
図17に示されるように、本実施形態に係るスラット付勢具56Cは、側方から見て略コ字状に形成されており、プラスチック等の可撓性を有する材料で一体的に構成することが好ましい。スラット付勢具56Cは、上下方向に延在してヘッドボックス2の正面壁及び背面壁に係合可能な一対の係合プレート561と、一対の係合プレート561それぞれの下端に一体的に連結された支持プレート562とを備える。
【0061】
一対の係合プレート561には、それぞれの上端部が互いに接近するよう傾斜する爪部561aが形成されており、この爪部561aがヘッドボックス2の正面壁及び背面壁に形成された凹部に係合することができる。これら一対の係合プレート561と支持プレート562とにより、スラット付勢具56Cは、ヘッドボックス2の正面、背面、底面を覆うようにヘッドボックス2に対して着脱自在に取り付けることができる。
【0062】
支持プレート562における略中央には、リミットスイッチ5Cの下方突出部533が挿通可能な円形の孔部563が穿設されており、これによりスラット付勢具56Cは、下方突出部533を阻害せずにリミットスイッチ5Cの下方に取り付けることができる。なお、本実施形態に係るリミットスイッチ5Cは、
図6を参照して説明した付勢バネ56が設けられていないリミットスイッチである。
【0063】
支持プレート562の下方には、支持プレート562と同一形状、つまり同一位置に孔部563が穿設された付勢プレート564が設けられており、支持プレート562と付勢プレート564とは、それらの前後方向両端部において屈曲部565を介して連結されている。屈曲部565は、薄板状部材が側方から見てM字状に左右に蛇行するように屈曲することで形成されており、これにより上下方向への弾性を有する板バネとして機能する。つまり屈曲部565は、付勢プレート564の上方への移動を可能としているが、その際には屈曲部565の弾性力を超える押圧力が必要となる。また、屈曲部565の上下方向長さ、換言すれば支持プレート562と付勢プレート564との距離は、下方突出部533下端が付勢プレート564の下面よりも上方に位置する長さ、好ましくは付勢プレート564上面よりも上方に位置する長さとなっている。
【0064】
次に、スラット付勢具56Cの使用方法及び効果について説明する。先ず、
図17に示されるように、スラット付勢具56Cをリミットスイッチ5Cの下方に位置するようヘッドボックス2に取り付ける。この状態においてボトムレール4が上昇すると、最上段のスラット301と付勢プレート564とが当接することとなる。この状態においてボトムレール4の上昇がなされると、最上段のスラット301により付勢プレート564を押圧することとなるが、屈曲部565の弾性力を超えるまで付勢プレート564は上方に移動しない。そのため、反力として最上段のスラット301を下方に付勢する形となり、第1の実施形態に係る付勢バネ56と同様、開閉体の停止位置のばらつきの低減が実現される。
【0065】
一方、屈曲部565の弾性力を超える押圧力で付勢プレート564が押圧されると、付勢プレート564が上方に移動すると共に、付勢プレート564の孔部563から下方突出部533が露出される。露出された下方突出部533は、最上段のスラット301と当接して上方に押圧される。これによりリミットスイッチ5Cのタクタイルスイッチ54がONの状態となる。
【0066】
以上に説明した本実施形態によれば、スラット付勢具56Cを取り付けることにより、付勢バネ56を有していないリミットスイッチ5Cを備える電動ブラインドに対して、第1の実施形態に係る電動ブラインド1と同様の機能を付与することができる。また、本実施形態によれば、最上段のスラット301は付勢プレート564と一様に面接触する。このことから、スラット付勢具56Cを備える電動ブラインドでは、接触面が小さい下方突出部533と最上段のスラット301が接触する第1の実施形態に係る電動ブラインド1と比較して、最上段のスラット301に与える負荷を分散でき、その変形や損傷することを防止することができる。
【0067】
<第5の実施形態>
図18及び
図19は本実施形態に係るスラット付勢具を示す斜視図であり、
図20は本実施形態に係るスラット付勢具がヘッドボックスに取り付けられた状態を示す縦断面図である。なお、
図18はスラット付勢具56Dを上方から見た斜視図となっており、
図19は下方から見た斜視図となっている。また
図20は、スラット付勢具56Dを側方から見た縦断面図となっている。
【0068】
図18~
図20に示されるように、本実施形態に係るスラット付勢具56Dは、第4の実施形態に係るスラット付勢具56Cと比較して、支持プレート562に孔部563Dが形成され、屈曲部565が設けられておらず、付勢プレート564が一方の係合プレート561に連結されている点が異なる。
【0069】
孔部563Dは、支持プレート562の略全域に亘る方形状に形成されており、付勢プレート564が進入可能なサイズとなっている。付勢プレート564は、前後方向一端部において一方の係合プレート561と連結され、その他端部が一端部よりも下方に位置するように傾斜している。
【0070】
付勢プレート564と連結する係合プレート561は、その左右方向略中央部分に支持プレート562よりも下方に突出する突出部分561bが形成されており、この突出部分561bが付勢プレート564と連結されている。これにより、付勢プレート564の上面よりもレバー53の下方突出部533を上方に位置させることができる。また、付勢プレート564の支持プレート562からの傾斜角度は適宜であるが、最上段のスラット301から押圧されていない通常時において、下方突出部533が孔部563から露出しない角度以上、最上段のスラット301との当接時に当該スラット301に対して跡が残るといった過度な負荷が加わらない角度以下とするとよい。
【0071】
付勢プレート564に形成されている孔部563は、第4の実施形態に係る付勢プレート564に形成された孔部563よりも前後方向においてサイズが大きい楕円状に形成されている。これは付勢プレート564が上方に揺動したとしても、孔部563の縁にレバー53の下方突出部533が接触しないためである。
【0072】
以上に説明した本実施形態によれば、付勢プレート564が、その一端部のみ係合プレート561の突出部分561bに連結されるため、当該連結部分を支点として上方に向かって揺動可能な板バネとして機能する。したがって、付勢プレート564は、最上段のスラット301により押圧される場合、その押圧力が付勢プレート564の弾性力を超えるまで上方に揺動しない。そのため、反力として最上段のスラット301を下方に付勢する形となり、第4の実施形態に係るスラット付勢具56Cと同様、開閉体の停止位置のばらつきの低減が実現される。
【0073】
一方、付勢プレート564は、その弾性力を超える押圧力で押圧されると、上方に揺動すると共に、付勢プレート564の孔部563から下方突出部533が露出される。露出された下方突出部533は、最上段のスラット301と当接して上方に押圧される。これによりリミットスイッチ5Cのタクタイルスイッチ54がONの状態となる。
【0074】
なお、第1~第5の実施形態においては、スラット群3を備える電動の横型ブラインドに本発明を適用した場合を説明したがこれに限定するものではなく、開口部を開閉する開閉体を備える開閉装置であれば如何なる装置であっても本発明は適用可能である。そのような開閉装置としては、電動の縦型ブラインド、プリーツスクリーン、ハニカムスクリーン、ロールスクリーン、シャッター等の電動の遮蔽装置や間仕切り装置が挙げられる。
【0075】
また、第1~第5の実施形態においては、リミットスイッチ5,5A,5Bを構成するスイッチとしてタクタイルスイッチ54を用いたが、これに代えてマイクロスイッチ等の他のスイッチを用いるようにしてもよい。
【0076】
また、第1~第5の実施形態においては、リミットスイッチ5,5A,5Bは上限リミットスイッチであると説明したがこれに限定するものではなく、如何なるリミットスイッチ、及び当該リミットスイッチを備える開閉装置においても本発明は適用可能である。
【0077】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の各実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0078】
1 電動ブラインド
3 スラット群(開閉体)
5 リミットスイッチ(開閉体停止装置)
51 ケース
53 レバー(作動部)
532 ベースプレート(基部)
533 下方突出部(作動部、突出部)
54 タクタイルスイッチ(スイッチ)
541 ベース(支持台)
542 プランジャ(作用体)
55 伝達バネ(弾性部材)
56,56A,56B 付勢バネ(付勢部、弾性部材)
56C,56D スラット付勢具(開閉体付勢具)
561 係合プレート(係合部)
564 付勢プレート(付勢部、当接部)
565 屈曲部(付勢部)
6 スラットクリップ(補強部)