(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154388
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】発声設備
(51)【国際特許分類】
H04R 9/04 20060101AFI20231012BHJP
H04R 9/02 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H04R9/04 103
H04R9/02 102A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200635
(22)【出願日】2022-12-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】202220783975.6
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517409583
【氏名又は名称】エーエーシー マイクロテック(チャンヂョウ)カンパニー リミテッド
【住所又は居所原語表記】No.3 changcao road, Hi-TECH Industrial Zone, Wujin District, Changzhou City, Jiangsu Province, P.R. China
(71)【出願人】
【識別番号】511027518
【氏名又は名称】エーエーシーアコースティックテクノロジーズ(シンセン)カンパニーリミテッド
【氏名又は名称原語表記】AAC Acoustic Technologies(Shenzhen)Co.,Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】楊虎虎
(72)【発明者】
【氏名】魏威
(72)【発明者】
【氏名】印兆宇
(72)【発明者】
【氏名】陳志竹
【テーマコード(参考)】
5D012
【Fターム(参考)】
5D012BA05
5D012BB04
5D012BC04
5D012GA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ボイスコイルリード線の反転空間を節約し、声学性能を向上させる発声設備を提供する。
【解決手段】発声設備100は、フレーム1、フレーム1に固定される振動システム及び磁気回路システム3を備える。振動システムは、フレーム1に固定される振動板21、ボイスコイル22及びフレキシブル回路基板23を備える。フレキシブル回路基板23には、第1表面に配置される第1はんだパッド2311及び第2表面に配置される第2はんだパッドが設けられ、第1リード線221と第1はんだパッド2311とは電気的に接続され、第2リード線222と第2はんだパッドとは電気的に接続される。これにより、ボイスコイルリード線の反転を回避し、ボイスコイル22とフレキシブル回路基板23の相対的位置の一致性を向上させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発声設備であって、
前記発声設備は、フレーム、それぞれ前記フレームに固定される振動システム及び磁気ギャップを有し且つ前記振動システムを振動して発声させる磁気回路システムを備え、前記振動システムは、前記フレームに固定される振動板、前記磁気ギャップに插設され且つ前記振動板を振動して発声させるボイスコイル及び前記フレームに固定的に接続され且つ前記ボイスコイルに電気的に接続されるフレキシブル回路基板を備え、前記ボイスコイルは、第1リード線及び第2リード線を備え、前記第1リード線及び第2リード線は、それぞれ前記フレキシブル回路基板の両側に位置し、
前記フレキシブル回路基板は、前記振動板に向かう第1表面及び前記第1表面に対向する第2表面を備え、前記第1リード線及び前記第1表面は、前記フレキシブル回路基板の一側に位置し、前記第2リード線及び第2表面は、前記フレキシブル回路基板の他側に位置し、前記フレキシブル回路基板は、前記第1表面に設けられる第1はんだパッド及び前記第2表面に設けられる第2はんだパッドを備え、前記第1リード線と前記第1はんだパッドとが接続され、前記第2リード線と前記第2はんだパッドとが接続される、ことを特徴とする発声設備。
【請求項2】
前記フレキシブル回路基板は4つであり且つそれぞれ前記フレームの4つの角位置に設けられ、前記第1はんだパッド及び第2はんだパッドは、異なるフレキシブル回路基板に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載の発声設備。
【請求項3】
前記磁気回路システムは、磁気ヨーク、前記磁気ヨーク上に配置されるメイン磁性鋼及びサブ磁性鋼を備え、前記サブ磁性鋼は、前記メイン磁性鋼の外周側に位置し且つ前記メイン磁性鋼と前記磁気ギャップを形成し、相隣するサブ磁性鋼の間には前記フレキシブル回路基板を収容する収容部が形成される、ことを特徴とする請求項2に記載の発声設備。
【請求項4】
前記磁気回路システムは、前記メイン磁性鋼上に配置されるメインポーラーコア、前記サブ磁性鋼上に配置されるサブポーラーコアを更に備え、前記メインポーラーコアには、前記収容部に対向する逃がし孔が設けられ、前記フレキシブル回路基板の前記振動板に沿った振動方向における投影は、少なくとも一部が前記逃がし孔に位置する、ことを特徴とする請求項3に記載の発声設備。
【請求項5】
前記サブポーラーコアは、中空環状構造であり、前記逃がし孔は、前記サブポーラーコアの角位置に設けられる、ことを特徴とする請求項4に記載の発声設備。
【請求項6】
前記フレキシブル回路基板は、前記フレームに固定される第1弾性固定アーム、前記第1弾性固定アームと間隔をおいて設けられる第2弾性固定アーム及び前記第1弾性固定アームと前記第2弾性固定アームとを接続する弾性接続アームを備え、前記第1はんだパッドと前記第2はんだパッドは、前記第2弾性固定アームに位置する、ことを特徴とする請求項1に記載の発声設備。
【請求項7】
前記フレームには、前記フレキシブル回路基板の第1弾性固定アームを収容する収容溝が設けられ、前記第1弾性固定アームは、前記収容溝内に固定される、ことを特徴とする請求項6に記載の発声設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気音響変換分野に関し、特に携帯型電子製品分野で使用される発声設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発声設備は、主にフレーム、フレームに固定される振動システム及び磁気ギャップ有し且つ振動システムを振動して発声させる磁気回路システムを備え、フレーム、振動システム及び磁気回路システムが取り囲んで発声内腔を形成する。
【0003】
振動システムは、フレームに固定される振動板、磁気ギャップに插設され且つ振動板を振動して発声させるボイスコイル及びフレームに固定され且つボイスコイルに電気的に接続されるフレキシブル回路基板を備え、フレキシブル回路基板上のはんだパッドはいずれも振動板の方向に向いている。ボイスコイルは、第1リード線及び第2リード線を備え、それぞれボイスコイルの入線及び出線であり、第1リード線及び第2リード線は、それぞれフレキシブル回路基板の両側に位置する。そのため、第1リード線とフレキシブル回路基板上のはんだパッドは直接電気的に接続され、第2リード線反転させてボイスコイル及びフレキシブル回路基板の隙間を通過し、更にはんだパッドに接続する必要がある。このような構造の発声設備のボイスコイル及びフレキシブル回路基板の隙間の一致性を制御することができず、ボイスコイルがはんだパッドを外に押し、ボイスコイルとフレキシブル回路基板とが分離するリスクがある。また、ボイスコイルのリード線の反転する空間を増加する必要があるため、発声設備の内部空間を占めてしまい、発声設備の声学性能に影響する。
【0004】
そのため、新型の発声設備を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、声学性能を向上させる発声設備を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明は、発声設備であって、前記発声設備は、フレーム、それぞれ前記フレームに固定される振動システム及び磁気ギャップを有し且つ前記振動システムを振動して発声させる磁気回路システムを備え、前記振動システムは、前記フレームに固定される振動板、前記磁気ギャップに插設され且つ前記振動板を振動して発声させるボイスコイル及び前記フレームに固定的に接続され且つ前記ボイスコイルに電気的に接続されるフレキシブル回路基板を備え、前記ボイスコイルは、第1リード線及び第2リード線を備え、前記第1リード線及び第2リード線は、それぞれ前記フレキシブル回路基板の両側に位置し、前記フレキシブル回路基板は、前記振動板に向かう第1表面及び前記第1表面に対向する第2表面を備え、前記第1リード線及び前記第1表面は、前記フレキシブル回路基板の一側に位置し、前記第2リード線及び第2表面は、前記フレキシブル回路基板の他側に位置し、前記フレキシブル回路基板は、前記第1表面に設けられる第1はんだパッド及び前記第2表面に設けられる第2はんだパッドを備え、前記第1リード線と前記第1はんだパッドとが接続され、前記第2リード線と前記第2はんだパッドとが接続される、ことを特徴とする発声設備を提供する。
【0008】
好ましくは、前記フレキシブル回路基板は4つであり且つそれぞれ前記フレームの4つの角位置に設けられ、前記第1はんだパッド及び第2はんだパッドは、異なるフレキシブル回路基板に設けられる。
【0009】
好ましくは、前記磁気回路システムは、磁気ヨーク、前記磁気ヨーク上に配置されるメイン磁性鋼及びサブ磁性鋼を備え、前記サブ磁性鋼は、前記メイン磁性鋼の外周側に位置し且つ前記メイン磁性鋼と前記磁気ギャップを形成し、相隣するサブ磁性鋼の間には前記フレキシブル回路基板を収容する収容部が形成される。
【0010】
好ましくは、前記磁気回路システムは、前記メイン磁性鋼上に配置されるメインポーラーコア、前記サブ磁性鋼上に配置されるサブポーラーコアを更に備え、前記メインポーラーコアには、前記収容部に対向する逃がし孔が設けられ、前記フレキシブル回路基板の前記振動板に沿った振動方向における投影は、少なくとも一部が前記逃がし孔に位置する。
【0011】
好ましくは、前記サブポーラーコアは、中空環状構造であり、前記逃がし孔は、前記サブポーラーコアの角位置に設けられる。
【0012】
好ましくは、前記フレキシブル回路基板は、前記フレームに固定される第1弾性固定アーム、前記第1弾性固定アームと間隔をおいて設けられる第2弾性固定アーム及び前記第1弾性固定アームと前記第2弾性固定アームとを接続する弾性接続アームを備え、前記第1はんだパッドと前記第2はんだパッドは、前記第2弾性固定アームに位置する。
【0013】
好ましくは、前記フレームには、前記フレキシブル回路基板の第1弾性固定アームを収容する収容溝が設けられ、前記第1弾性固定アームは、前記収容溝内に固定される。
【発明の効果】
【0014】
従来技術に比較して、本発明の発声設備は、フレキシブル回路基板の両側にそれぞれ第1はんだパッド及び第2はんだパッドを設け、ボイスコイルの第1リード線及び第2リード線は、それぞれ第1はんだパッド及び第2はんだパッドにおいて電気的に接続されることで、ボイスコイルリード線の反転を回避し、ボイスコイルとフレキシブル回路基板との相対的位置の一致性を向上させ、ボイスコイルリード線の反転空間を節約し、製品の声学性能を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施例における技術手段をより明確に説明するために、以下では、実施例の説明に使用する必要がある添付図面を簡単に説明する。以下に説明する図面は、本発明の実施例を説明するものに過ぎず、当業者であれば、これらの図面から創造的な努力をしなくてもその他の図面を得ることができる。
【
図1】本発明に係る発声設備の立体構造概念図である。
【
図3】
図1におけるA-A線に沿った断面図である。
【
図4】本発明に係る発声設備におけるフレキシブル回路基板の構造概念図である。
【
図5】本発明に係る発声設備における部分構造組立図である。
【
図6】本発明に係る発声設備における他の部分構造組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明における技術手段について添付図面を参照して明確かつ詳細に説明する。説明する実施例は、本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。本発明の実施例に基づき、当業者であれば創造的な作業なく得られる全ての他の実施例は、本発明の保護範囲に含まれる。
【0017】
本発明により提供される発声設備100は、
図1~
図6に示すように、フレーム1、フレーム1に固定される振動システム2及び磁気ギャップ30が設けられ且つ振動システム2を振動して発声させる磁気回路システム3を備える。
【0018】
振動システム2は、フレーム1に固定される振動板21、磁気ギャップ30に插設され且つ振動板21を振動して発声させるボイスコイル22及び前記フレーム1に固定的に接続されるフレキシブル回路基板23を備え、前記フレキシブル回路基板23とボイスコイル22とは電気的に接続される。
【0019】
本実施例において、振動板21は、中央に位置するドーム211及び前記ドーム211に接続されるエッジ部212を更に備える。
【0020】
ボイスコイル22は、第1リード線221及び第2リード線222を備える。具体的に、第1リード線221がボイスコイルリード線の入線である場合、第2リード線222はボイスコイルリード線の出線になる。第1リード線221がボイスコイルリード線の出線である場合、第2リード線222はボイスコイルリード線の入線になる。即ち、第1リード線221及び第2リード線222のうちのいずれか一方が入線であれば、他方は出線になる。本実施形態において、フレキシブル回路基板23は、振動板21に向いて設けられる第1表面231及び第1表面231に対向する第2表面232を備え、第1リード線221及び第2リード線222は、それぞれフレキシブル回路基板23の両側に位置する。即ち、第1リード線221及び第1表面231は、フレキシブル回路基板23の一側に設けられ、第2リード線222及び第2表面232は、フレキシブル回路基板23の他側に設けられる。具体的に、第1リード線221及び第1表面231は、フレキシブル回路基板23の振動板21に近い一側に位置し、第2リード線222及び第2表面232は、フレキシブル回路基板23の振動板21から離れる一側に位置することができる。フレキシブル回路基板23には、第1表面231に配置される第1はんだパッド2311及び第2表面232に配置される第2はんだパッド2321が設けられ、第1リード線221と第1はんだパッド2311とは電気的に接続され、第2リード線222と第2はんだパッド2321とは電気的に接続される。これにより、ボイスコイルリード線は、直接フレキシブル回路基板23に電気的に接続されるため、ボイスコイルリード線の反転を回避し、ボイスコイル22とフレキシブル回路基板23の相対的位置の一致性を向上させ、ボイスコイルリード線の反転の空間を節約し、製品の声学性能を向上させる。
【0021】
フレキシブル回路基板23は4つであり、且つそれぞれフレーム1の4つの角位置に設けられ、前記フレーム1に固定される第1弾性固定アーム2301、前記第1弾性固定アーム2301と間隔をおいて設けられる第2弾性固定アーム2302及び前記第1弾性固定アーム2301と第2弾性固定アーム2302を接続する弾性接続アーム2303を備え、第1はんだパッド2311及び第2はんだパッド2321は、いずれも第2弾性固定アーム2302に位置する。
【0022】
具体的に、前記磁気回路システム3は、磁気ヨーク31、前記磁気ヨーク31上に配置されるメイン磁性鋼32とサブ磁性鋼322、前記メイン磁性鋼321上に配置されるメインポーラーコア331及びサブ磁性鋼上に配置されるサブポーラーコア332を備える。サブ磁性鋼322は、メイン磁性鋼321の外周側に位置し且つメイン磁性鋼321との間において前記磁気ギャップ30を形成する。サブ磁性鋼322は4つ備わり且つ2つずつ対応してメイン磁性鋼321の周りに設けられ、相隣するサブ磁性鋼322の間には、フレキシブル回路基板23を収容する収容部3220が形成される。サブポーラーコア332は中空環状構造であり、サブポーラーコア332の角位置には収容部3220に対応する逃がし孔3320が設けられ、フレキシブル回路基板23の前記振動板21に沿った振動方向における投影は、少なくとも一部が前記逃がし孔3320に位置する。本実施形態において、サブポーラーコア332の逃がし孔3320は、フレキシブル回路基板23の弾性接続アーム2303に振動空間を提供する。
【0023】
また、フレーム1には、フレキシブル回路基板23の第1弾性固定アーム2301を収容する収容溝10が設けられ、収容溝10は、振動板21の方向に凹んでおり、第1弾性固定アーム2301は、収容溝10内に収容されて固定される。
【0024】
従来技術に比較して、本発明の発声設備100は、フレキシブル回路基板23の両側にそれぞれ第1はんだパッド2311及び第2はんだパッド2312を設け、ボイスコイルの第1リード線221及び第2リード線222は、それぞれ第1はんだパッド2311及び第2はんだパッド2312において電気的に接続されることで、ボイスコイルリード線の反転を回避し、ボイスコイル22とフレキシブル回路基板23との相対的位置の一致性を向上させ、ボイスコイルリード線の反転空間を節約し、製品の声学性能を向上させる。
【0025】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、当業者であれば本発明の思想から逸脱することなく改良可能であるが、いずれも本発明の範囲に含まれるものとする。