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特開2023-154413蓄電システムにおいて隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタ
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  • 特開-蓄電システムにおいて隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタ 図1
  • 特開-蓄電システムにおいて隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタ 図2
  • 特開-蓄電システムにおいて隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタ 図3
  • 特開-蓄電システムにおいて隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタ 図4
  • 特開-蓄電システムにおいて隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタ 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154413
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】蓄電システムにおいて隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 11/01 20060101AFI20231012BHJP
   H01R 4/34 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H01R11/01 P
H01R4/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060516
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】102022000006839
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(71)【出願人】
【識別番号】519463178
【氏名又は名称】フェラーリ エッセ.ピー.アー.
【氏名又は名称原語表記】FERRARI S.p.A.
【住所又は居所原語表記】Via Emilia Est, 1163, 41100 MODENA, Italy
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルカ ポッジョ
(72)【発明者】
【氏名】エレナ リガブエ
(72)【発明者】
【氏名】エンリコ ベントゥーリ
【テーマコード(参考)】
5E012
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5E012BA34
(57)【要約】      (修正有)
【課題】蓄電システムにおいて、隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタを提供する。
【解決手段】電気コネクタ4は、2つの第1の貫通孔8が設けられ、2つの電池モジュール3の2つの端子5に横たわるように構成された導体バー7と、それぞれが導体バー7の第1の貫通孔8を介してクリアランスをもって配置され、対応する端子5のねじ穴6にねじ締めされるように構成された2つのねじ9と、導体バー7上に横たえられ、それぞれが対応する第1の貫通孔8と位置合わせされた、2つの第2の貫通孔11を有する保持シート10と、を有する。各ねじ9は、対応する第2の貫通孔11にねじ込まれる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電システム(1)において、隣接する2つの電池モジュール(3)の端子(5)同士を接続する電気コネクタ(4)であって、
2つの第1の貫通孔(8)が設けられ、2つの前記電池モジュール(3)の2つの前記端子(5)に横たわるように構成された、導体バー(7)と、
2つの前記電池モジュール(3)の前記端子(5)とは反対側で、前記導体バー(7)上に横たえられ、それぞれが対応する前記第1の貫通孔(8)と位置合わせされた、2つの第2の貫通孔(11)を有する、保持シート(10)と、
それぞれが前記保持シート(10)の前記第2の貫通孔(11)、及び前記導体バー(7)の前記第1の貫通孔(8)を介して配置され、対応する端子(5)のねじ穴(6)にねじ締めされるように構成された、2つのねじ(9)と、を備え、
前記ねじ(9)のそれぞれが、対応する前記第1の貫通孔(8)を介してクリアランスをもって配置され、かつ前記ねじ(9)のそれぞれが、対応する前記第2の貫通孔(11)にねじ込まれていることを特徴とする、電気コネクタ(4)。
【請求項2】
電気絶縁材料で作製され、上部及び下部で開口し、内部に前記導体バー(7)及び前記保持シート(10)を収容する、シェル(12)を備える、請求項1に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項3】
電気絶縁材料で作製され、上部で前記シェル(12)を閉じるように前記シェル(12)に結合された蓋(13)を備える、請求項2に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項4】
前記導体バー(7)が、前記シェル(12)内に完全に係止されており、したがって、前記シェル(12)に対していかなる移動も発生させることができない、請求項2に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項5】
前記保持シート(10)が、前記シェル(12)内に収容されることで、前記保持シート(10)が横方向に移動すること、すなわち前記ねじ(9)の長手方向軸に垂直な平面内で移動することを可能にする、請求項2に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項6】
前記保持シート(10)が前記シェル(12)の内側に挿入され、前記保持シート(10)が前記ねじ(9)に結合されると、前記シェル(12)から取り出すことができない、請求項2に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項7】
前記シェル(12)が、前記保持シート(10)を前記シェル(12)に挿入することができる、少なくとも1つの貫通スリット(14)を横方向に有する、請求項6に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項8】
前記シェル(12)が、横方向に互いに反対側にある2つの貫通スリット(14)を有し、前記保持シート(10)が、前記シェル(12)の内部空間よりも長いため、前記保持シート(10)が、両側で対応する前記スリット(14)に係合することによってのみ、前記シェル(12)の内側に配置され得る、請求項7に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項9】
前記保持シート(10)が、2つの端部において、前記保持シート(10)の中央部分と比較して幅が小さい、2つの付属部(15)を有する、請求項8に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項10】
前記貫通スリット(14)が、前記第1の貫通孔(8)に対して位置合わせされていないため、前記保持シート(10)が前記貫通スリット(14)に挿入されると、前記第2の貫通孔(11)を対応する前記第1の貫通孔(8)と位置合わせするために、前記貫通スリット(14)に対して垂直に平行移動されなければならない、請求項7に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項11】
前記シェル(12)に対して非対称な位置又は形状を有し、前記シェル(12)が単一の所定の向きでのみ、前記蓄電システム(1)の開口部と係合するように構成された、少なくとも1つの隆起部(16)を、前記シェル(12)が備える、請求項2に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項12】
前記導体バー(7)が、互いに同一のものであり、互いに重なり合う複数のシート(17)からなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項13】
前記ねじ(9)のそれぞれが、頭部(18)、並びに、前記頭部(18)から突出し、前記頭部(18)と接して配置されたねじ山のない中間部(19)、及び前記頭部(18)の反対側に配置されたねじ付き端部(20)を有する円筒体からなる、請求項1から11のいずれか一項に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項14】
前記ねじ(9)のそれぞれの、ねじ山のない前記中間部(19)が、前記ねじ付き端部(20)の直径よりも小さい直径を有する、請求項11に記載の電気コネクタ(4)。
【請求項15】
前記ねじ(9)のそれぞれの、ねじ山のない前記中間部(19)が、少なくとも前記ねじ付き端部(20)の長さと少なくとも同じ長さを有する、請求項13に記載の電気コネクタ(4)。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本特許出願は、2022年4月6日に出願されたイタリア特許出願第102022000006839号の優先権を主張し、その全開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、蓄電システムにおいて、隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続する、電気コネクタに関する。
【背景技術】
【0003】
車両は、単一の電気モータ又は数個の電気モータを備えることができる(その場合、完全電気駆動となる)。あるいは、燃焼エンジンと組み合わされた、1つ又はそれ以上の電気モータを備えることができる(その場合、完全電気駆動、燃焼駆動、又はハイブリッド駆動となる)。
【0004】
電気モータ(又は各電気モータ)は、駆動輪に機械的に接続され、かつ、電力変換器を介して、蓄電システムに電気的に接続される。
【0005】
蓄電システムは、(総電圧を増加させるために)互いに直列に接続された、(通常、「パウチ」型、又はプリズム型の)2つの電気化学セル群からなる。蓄電システムは、大きな寸法及び大きな重量を有し得る(特に完全電気駆動装置の場合、蓄電システムは500kgを超える重量になり得る)。
【0006】
現代の車両において、蓄電システムは、車両の床板に組み込むことができるように、平坦かつ(比較的)薄型の構造を有する。この構成では、蓄電システムは、(路面に面する車両の底部を構成する)下壁、上壁、並びに、下壁と上壁に垂直であり、下壁と上壁を互いに接続する側壁を有する、容器を備える。この容器の内部には、個別の電気化学セル群があり、それぞれが対応する電池モジュールを形成する。
【0007】
米国特許出願第2018114961号には、互いに隣接してベースプレートに取り付けられた複数の電池モジュールを備える、車両用蓄電システムが開示されている。電池モジュールをベースプレートに結合するために、各電池モジュールには管状及び中空の接続体が設けられ、ベースプレートに設けられたねじ孔にねじ込まれる、それぞれのねじがそこに挿入される。
【0008】
欧州特許出願第21206804.3号には、下壁を備える容器、並びに、容器の内部に収容された複数の電池モジュールを備える、車両用蓄電システムが開示されている。各電池モジュールは、電気化学セル群、並びに、容器の下壁に対して垂直方向を向き、電気化学セル群をそれらの間に挟むように、電気化学セル群の両側に互いに平行に配置された、2つの収容壁を有する。各収容壁は、少なくとも1つの管状接続体を有する。下壁には、下壁に固定され、下壁から垂直に突出し、接続体と係合する、複数の係止ピンがある。
【0009】
蓄電システムの容器内に電池モジュールを機械的に固定することに加え、電池モジュールを互いに(典型的には直列に)接続する必要もある。特に、隣接する2つの電池モジュールは、対応する2つの端子を有する(それぞれ、中心にねじ穴を有する銅製ブロックからなる)。それらは、電気コネクタによって互いに電気的に接続されなければならない。電気コネクタは、隣接する2つの電池モジュールの端子上に横たわる(「ブリッジ」を形成する)ような寸法であり、その端部に2つの貫通孔を有する、銅製の導体バーを備える。電気接続部の導体バーが隣接する2つの電池モジュールの端子上に横たえられると、対応する端子のねじ穴にねじ込むために、2つのねじが導体バーの貫通孔に挿入される。
【0010】
米国特許第7667952号及び米国特許出願第2017352964号には、蓄電システムにおいて、隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための、電気コネクタが開示されている。電気コネクタは、具体的には、2つの貫通孔が設けられ、2つの電池モジュールの2つの端子上に横たわるように構成された導体バー、並びに、それぞれがクリアランスを持って導体バーの貫通孔を介して配置され、対応する端子のねじ穴にねじ込まれるように構成された、2つのねじを備える。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、蓄電システムにおいて、隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための電気コネクタを提供することであり、この電気コネクタは、接続をより安全にし、接続の電気抵抗を低減し、同時に、製造が容易で経済的なものである。
【0012】
本発明によれば、添付の特許請求の範囲で説明される、蓄電システムにおいて隣接する2つの電池モジュールの端子を互いに接続するための、電気コネクタが提供される。
【0013】
添付の特許請求の範囲は、本発明の好ましい実施形態を説明し、本発明の不可欠な部分を形成するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
ここで、本発明の非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照して、本発明の説明を行う。
図1】より明瞭にするために部品を取り除いた、車両の蓄電システムの分解斜視図である。
図2図1の蓄電システムの、本発明による電気コネクタによって互いに接続された2つのモジュールの、より明瞭にするために一部を取り除いた平面図である。
図3図2の電気コネクタの、分解斜視図である。
図4図2の電気コネクタの、別の分解斜視図である。
図5図2の電気コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、番号1は、全体として、化学電池を備えた道路車両(特に自動車)の、蓄電システムを示す。
【0016】
蓄電システム1は、容器2、及び複数の電池モジュール3(具体的には、15個の電池モジュール3)を備える。容器2内に配置される各電池モジュール3は、(まず)他の電池モジュール3とは別個独立であり、内部に直方体形状(すなわち、「パウチ」型又はプリズム型)の電気化学セル群を収容する。
【0017】
図2によれば、個別の電池モジュール3は、複数の電気コネクタ4によって、互いに電気的に直列に接続される。
【0018】
図3及び図5によれば、各電気コネクタ4は、隣接する2つの電池モジュール3の端子5を互いに接続する。特に、各端子5は、対応する電気コネクタ4の機械的接続をもたらすための、ねじ切りされた止まり穴6を有する。
【0019】
図3図4、及び図5によれば、各電気コネクタ4は、(通常は銅製の)導体バー7を備え、導体バー7は、端部に2つの貫通孔8を備え、電池モジュール3の2つの端子5上に横たわるように構成される。更に、各電気コネクタ4は、2つのねじ9を備え、各ねじ9は、クリアランスを持って導体バー7の貫通孔8を介して配置され、対応する端子5のねじ穴6にねじ締めされる(すなわち、ねじ締めされるように構成される)。
【0020】
導体バー7の各貫通孔8は、対応するねじ9が所与のクリアランスをもって貫通孔8内を移動できるように、対応するねじ9の直径よりも大きい寸法を有しており、組立公差を補うために、その位置を調整することができる。好ましい実施形態によれば、導体バー7の各貫通孔8は、横方向寸法よりも大きい長手方向寸法を有する(すなわち、各貫通孔8は長方形の形状を有し、長手方向寸法が横方向寸法に優る)。各貫通孔8の縦方向寸法及び横方向寸法の両方は、対応するねじ9が長手方向及び横方向の両方で所与のクリアランスをもって貫通孔8内を移動できるように、対応するねじ9の直径よりも大きい(そのため、組立公差を補うために、その位置を調整することができる)。
【0021】
各電気コネクタ4は、(通常は銅製の)保持シート10を備える。保持シートは導体バー7上に横たわり、各端部に、それぞれが対応する貫通孔8と位置合わせされた、2つの貫通孔11を有する。各ねじ9は、対応する貫通孔11にねじ込まれる。言い換えれば、対応する貫通孔11に挿入するために、対応する貫通孔11にねじ込まなければならない。つまり、各ねじ9のねじ山は、ねじ締め動作を経なければ、ねじ9が対応する孔11を通過することができないものである(すなわち、各ねじ9のねじ山外径は、対応する貫通孔11の幅よりも大きい)。
【0022】
好ましい実施形態によれば、保持シート10の各貫通孔11は、横方向寸法よりも大きい長手方向寸法を有し(すなわち、各貫通孔11は長方形の形状を有し、長手方向寸法が横方向寸法に優る)、したがって導体バー7の貫通孔8の形状を再現するものである。保持シート10の各貫通孔11は、各ねじ9のねじ山外径よりも大きい長手方向寸法と、各ねじ9のねじ山外径よりも(わずかに)小さい横方向寸法とを有する(したがって、貫通孔11に挿入するためには、ねじ9を貫通孔11にねじ込まなければならない)。
【0023】
2つのねじ9は、予め保持シート10の貫通孔11にねじ込まれており、これにより2つのねじ9が保持シート10に拘束される。このようにして、ねじ9は、常に保持シート10に結合されたままであり、作業者の誤った、又は不器用な取り扱いによって「紛失」することがない(保持シート10の貫通孔11を介してねじを緩めなければ、保持シート10から取り外すことができない)。
【0024】
各電気コネクタ4は、電気絶縁材料で作製され、上部及び下部で開口し、内部に導体バー7を収容するシェル12を備える。好ましくは(必ずしもそれが必須ではないが)、各電気コネクタ4は、電気絶縁材料で作製され、シェル12を上部で閉じるためにシェル12に結合された、蓋13も備える。シェル12は、導体バー7の周りにオーバーモールドすることができ、あるいは、予め成形されたシェル12に(挿入力をもって)、導体バー7を(通常はシェル12の所与の弾性変形によって)挿入することができる。
【0025】
好ましい実施形態によれば、保持シート10は、シェル12の内側に収容され(挿入され、係止されている)、ねじ9に結合されるとシェル12から取り外すことができない。このようにして、ねじ9は、常にシェル12(したがって、電気コネクタ4)に結合されたままであり、作業者の誤った、又は不器用な取り扱いによって「紛失」することがない(保持シート10の貫通孔11を介してねじを緩めなければ、保持シート10から取り外すことができない)。
【0026】
好ましい実施形態によれば、保持シート10はシェル12内に収容され、例えば、保持シート10の(限定的な)横方向の移動(すなわち、ねじ9の長手方向軸に垂直な平面内の移動)を行うことができる。このようにして、ねじ9が拘束された保持シート10は、組立公差を補うためにその位置を(わずかに)調整することができる。言い換えれば、保持シート10は、シェル12の内側で、(限定的な)横方向の移動(すなわち、ねじ9の長手方向軸に垂直な平面内の移動)を可能にする。
【0027】
一方、導体バー7は、シェル12に完全に係止されているため、シェル12に対して移動することができない。
【0028】
具体的には、シェル12は、横方向の両側に、保持シート10をシェル12の内側に挿入することができる、2つの貫通スリット14を有する(あるいは、片側のみに配置された単一の貫通スリット14があり得る)。保持シート10は、好ましくは、対応するスリット14を両側で係合させるだけで保持シート10をシェル12の内側に配置することができるように、シェル12の内部空間よりも長い。このようにして、ねじ9を保持シート10の対応する貫通孔11に挿入(ねじ止め)した場合、保持シート10は、ねじ11の存在によって移動することができないため、スリット14から取り外すことができず、かつ、対応するスリット14の内側に配置された保持シート10の端部によって移動することができないため、保持シート10は上方向に取り外すことができない。したがって、保持シート10、及び保持シート10の対応する貫通孔11に挿入(ねじ止め)されたねじ9からなるアセンブリは、(各ねじ9を対応する貫通孔11から取り外さなければ)シェル12から分離することができない。
【0029】
好ましい実施形態によれば、各電気コネクタ4の保持シート10の中央部は、(クリアランスなくスリット14と実質的に係合するように)スリット14の幅と実質的に同じ幅を有する。しかし、各電気コネクタ4の保持シート10は、2つの端部では、中央部よりも小さい幅の2つの付属部15を有し、保持シート10をシェル12に挿入すると、保持シート10の付属部15が対応するスリット14と係合する(すなわち、それらは対応するスリット14内にある)。
【0030】
好ましい実施形態によれば、シェル12の貫通スリット14は、導体バー7の貫通孔8に対して位置合わせされていないため、保持シート10をスリット14に挿入した後、導体バー7の対応する貫通孔8と貫通孔11を位置合わせするために、貫通スリット14に対して垂直に保持シート10を平行移動させなければならない。保持シート10の両端に幅の小さい付属部15が存在することによって、保持シート10のこの平行移動が可能となる。保持シート10の付属部15の非対称な配置により、保持シート10が単一の向きにしか正しく挿入できないことが確実になる(すなわち、保持シート10が反対方向、したがって望ましくない向きで挿入された場合、保持シート10の貫通孔11を、導体バー7の対応する貫通孔8と位置合わせすることができない)。
【0031】
好ましい実施形態によれば、各電気コネクタ4のシェル12は、隆起部16を備える。この隆起部16は、シェル12に対して非対称な位置又は形状を有し、シェル12が単一の所定の向きでのみ、蓄電システム1のそれぞれの開口部に係合するように構成される。すなわち、隆起部16によって、各電気コネクタ4が常に単一の所定の向きのみで蓄電システム1に取り付けられ得ることが確実となり、したがって、いかなる種類の位置決めの間違いも回避される。
【0032】
好ましい実施形態によれば、各電気コネクタ4の導体バー7は、互いに同一のものであり、互いに重なり合う複数のシート17からなる。このように、導体バー7にはより大きな可撓性があるため、組立公差によって起こり得る不具合に対して、より容易に調整することができる(すなわち、導体バー7の可撓性がより大きいことで、導体バー7の組立公差をより良好に補うことができる)。言い換えれば、導体バー7のシート状構造によって、導体バー7の可撓性が著しく向上し、組立公差を補う、より大きな能力が確実となる。例として、導体バー7は、互いに同一のものであり、互いに重なり合い、それぞれが約1ミリメートルの厚さを有する、6~8枚のシート17で構成することができる。
【0033】
好ましい実施形態によれば、各ねじ9は、頭部18、並びに、頭部18から突出し、頭部18と接して配置された、ねじ山のない中間部19、及び頭部18の反対側に配置された、ねじ付き端部20を有する円筒体からなる。ねじ付き端部20は、端子5の対応するねじ穴6にねじ込まれ、ねじ山のない中間部19は、端子5の対応するねじ穴6の外側にある。各ねじ9のねじ山のない中間部19は、好ましくは、ねじ付き端部20の直径よりも小さい直径を有するため、中間部19は、保持シート10の対応する貫通孔11に対して全方向にクリアランスを有する。言い換えれば、ねじ付き端部20は、ねじ締めして初めて保持シート10の対応する貫通孔11を通過し得るが、中間部19は、保持シート10の対応する貫通孔11の内側で、所与のクリアランスで「緩んでいる」ことができる。
【0034】
好ましい実施形態によれば、各ねじ9において、ねじ山のない中間部19の長さは、ねじ付き端部20の長さと、(少なくとも)同じである。このようにして、電気コネクタ4が端子5上に横たえられると、両方のねじ9は、各中間部19と保持シート10の対応する貫通孔11との間に存在するクリアランスのおかげで、電気コネクタ4を水平に維持したまま、(端子5の対応するねじ穴6にねじ締めされる用意をしつつ)上方に自由に摺動することができる(したがって、ねじ9のねじ締め中に、導体バー7及び端子5にいかなる張力も生じさせることなく、ねじ9を端子5の対応するねじ穴6に、簡単かつ理想的にねじ締めすることができる)。
【0035】
本明細書に記載の実施形態は、互いに組み合わせることができ、そのために本発明の保護範囲を超えることはない。
【0036】
上述した電気コネクタ4は、多くの利点を有する。
【0037】
まず、上記に開示した電気コネクタ4では、隣接する2つの電池モジュール3の端子5を互いに接続することができ、比較的大きな組立公差が存在する場合でも、低い電気抵抗で安定した電気接続がもたらされる。
【0038】
上記に開示した電気コネクタ4では、取付け作業中、及びメンテナンス作業中の両方において、電気的絶縁が確実となる。
【0039】
上記に開示した電気コネクタ4では、電気コネクタ4のねじ9を決して紛失することがないため、電気コネクタ4を扱い設置する作業者に高い安全性をもたらす。実際に、ねじ9を紛失すると、モジュール3間(その空間は非常に小さい)で紛失したねじ9を見つけることは困難であり、危険であるため、重大な問題を引き起こす可能性がある(電圧下の部品に誤って触れる危険性を常に伴う)。
【0040】
最後に、上記に開示した電気コネクタ4では、簡単かつ迅速に、隣接する2つの電池モジュール3の端子5を、互いに電気的に接続することが可能となる。
【符号の説明】
【0041】
1 蓄電システム
2 容器
3 電池モジュール
4 電気コネクタ
5 端子
6 ねじ穴
7 導体バー
8 貫通孔
9 ねじ
10 保持シート
11 貫通孔
12 シェル
13 蓋
14 貫通スリット
15 付属部
16 隆起部
17 シート
18 頭部
19 中間部
20 端部
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】