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特開2023-154417シャトルを回路に挿入するための器具及び方法、並びにこのような器具を備えるコーティング製品を噴霧するための設備
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154417
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】シャトルを回路に挿入するための器具及び方法、並びにこのような器具を備えるコーティング製品を噴霧するための設備
(51)【国際特許分類】
   B05B 15/522 20180101AFI20231012BHJP
   B05B 12/14 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
B05B15/522
B05B12/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023060666
(22)【出願日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】FR2203162
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】516299279
【氏名又は名称】エクセル インダストリー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ タランティーニ
【テーマコード(参考)】
4D073
4F035
【Fターム(参考)】
4D073CC09
4F035BA12
4F035BA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シャトルを回路に挿入するための器具及び方法、並びにこのような器具を備えるコーティング製品を噴霧するための設備を提供すること。
【解決手段】器具50は、シャトルを、コーティング製品を循環させるための回路に挿入するように機能する。シャトルを受け入れるためのチャンバー56は、シャトルの分極の軸がチャンバーの長さ方向の軸X56に対して平行である位置でシャトルを受け入れるためのサイズである。口54は、チャンバーをボディの第一の端部52Aに接続する。制御レバー60は、第一の磁石62が、極が第一の極性を有するチャンバーに向かって配向して、長さ方向の軸X56に合わせて配置された第一の位置と、第二の磁石が64が、極が第一の極性とは反対の第二の極性を有するチャンバー56に向かって配向して、長さ方向の軸に合わせて配置された第二の位置との間でチャンバー56に対して移動可能である。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向の磁気分極(304、306)を有するシャトル(30)をコーティング製品を循環させるための回路(22)に挿入するための器具(50)であって、
前記シャトル(30)を受け入れるための受け入れチャンバー(56)であって、非磁性材料のボディ(52)で形成されていて、かつ前記シャトルの分極の軸(X30)が前記受け入れチャンバーの長さ方向の軸(X56)に対して平行である位置で前記シャトルを受け入れるためのサイズである、受け入れチャンバー(56);
前記受け入れチャンバーを前記器具のボディの第一の端部(52A)に接続するための口(54);
制御レバー(60)であって、少なくとも2つの磁石(62、64)を設けられていて、第一の磁石(62)が、極(N62)を第一の極性を有する前記受け入れチャンバー(56)に向かって配向して、前記受け入れチャンバーの前記長さ方向の軸(X56)に合わせて配置された第一の位置と、第二の磁石(64)が、極(P64)を前記第一の極性とは反対の第二の極性を有する前記受け入れチャンバーに向かって配向して、前記受け入れチャンバーの前記長さ方向の軸に合わせて配置された第二の位置との間で前記受け入れチャンバー(56)に対して移動可能である、制御レバー(60)
を備えることを特徴とする、器具。
【請求項2】
前記口(54)が、前記ボディ(52)の前記第一の端部(52A)と前記受け入れチャンバー(56)との間で収束する形状であること、及び前記シャトルを前記受け入れチャンバーへと、前記シャトルの分極の軸(X30)が前記受け入れチャンバーの前記長さ方向の軸(X56)に対して平行である位置に誘導するために構成されていること、を特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項3】
前記制御レバー(60)が前記第一の位置にあるときに、前記制御レバー(60)の前記2つの磁石(62、64)が、前記受け入れチャンバーの前記長さ方向の軸(X56)に対して垂直な方向(Δ60)に沿って並んで配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項4】
前記制御レバー(60)の2つの永久磁石(62、64)が、前記受け入れチャンバー(56)に対して前記口(54)とは反対側で、前記受け入れチャンバー(56)に面する前記制御レバーの面(60B)に取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載の器具。
【請求項5】
前記制御レバー(60)の前記2つの磁石(62、64)が、前記制御レバーの前記面と同一平面にあることを特徴とする、請求項4に記載の器具。
【請求項6】
前記ボディ(52)が、前記受け入れチャンバー(56)の中身を視認するための少なくとも1つの開口部(58)を設けられていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の器具。
【請求項7】
前記制御レバー(60)が、非磁性材料で作られた前記ボディ(52)と一体であること、及び前記制御レバーが、弾性変形によって、前記第一の位置と前記第二の位置との間で前記受け入れチャンバー(56)に対して移動可能であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の器具。
【請求項8】
前記第一の端部(52A)とは反対にある第二の端部(52B)において、前記コーティング製品を循環させるための回路(22)中にある前記シャトル(30)を外部に引き抜くための引き抜き構成要素(70B)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の器具。
【請求項9】
前記引き抜き構成要素が、前記制御レバー(60)の前記第一の位置において前記受け入れチャンバー(56)に向かって配向された前記極(N62)とは反対の、前記第一の磁石(62)の極(P62)と接触する磁性材料の要素(70)である、請求項8に記載の器具。
【請求項10】
前記引き抜き構成要素(70)が、前記ボディ(52)のチューブ状の部分(52C)の内部に配置されていて、前記ボディ(52)の外部形状(52D)が、前記流体循環回路(22)に属するパイプ(10)の1つの端部(10A)を成形するために構成されていることを特徴とする、請求項8に記載の器具。
【請求項11】
コーティング製品のための少なくとも1つの噴霧器(6)と、コーティング製品の少なくとも1つの供給源(14)と、コーティング製品を循環させるための回路(22)であって、それによって前記コーティング製品の前記噴霧器(6)が前記コーティング製品の前記供給源(14)から供給され、かつ少なくとも1つのシャトル(30)が循環する、コーティング製品を循環させるための回路(22)とを備える、コーティング製品を噴霧するための設備(2)であって、前記設備が、請求項1~10のいずれか1項に記載の器具(50)を備えること、及び前記設備が、前記器具(50)によって前記シャトル(30)を前記コーティング製品を循環させるための回路(22)に挿入するために配置されていることを特徴とする、設備。
【請求項12】
前記設備が、前記シャトル(30)を前記コーティング製品を循環させるための回路(22)に挿入するための管(36)をさらに備えること、及び前記管の内部直径(D36)が、前記シャトルの最大の直径(D30)よりも大きく、前記シャトル(30)を前記コーティング製品を循環させるための回路(22)に挿入するための前記器具(50)の前記受け入れチャンバー(56)の内部直径(D56)よりも小さいことを特徴とする、請求項11に記載の設備。
【請求項13】
前記コーティング製品を循環させるための回路(22)が、前記シャトルのための循環パイプ(10)と、前記シャトル(30)を前記コーティング製品を循環させるための回路に挿入するための管(36)とを備えること、前記管と、前記シャトル(30)を前記コーティング製品を循環させるための回路(22)に挿入するための前記器具の部分(52D)とが、同じ形状(361、362、52D1、52D2)を有すること、及び前記管と同じ形状を有する前記器具の部分(52D)が、前記シャトルのための前記循環パイプ(10)の1つの端部(10A)を前記管に取り付けるために、前記1つの端部(10A)を成形するように構成されていることを特徴とする、請求項11に記載の設備。
【請求項14】
前記設備が、前記シャトル(30)を前記コーティング製品を循環させるための回路(22)に挿入するための管(36)を備えること、及び前記管が、前記シャトル(30)を前記コーティング製品を循環させるための回路(22)に挿入するための前記器具(50)の前記ボディ(52)の前記非磁性材料のブリネル硬さよりも厳密に高いブリネル硬さを有する材料で作られていることを特徴とする、請求項11に記載の設備。
【請求項15】
軸方向の磁気分極を有するシャトル(30)をコーティング製品を循環させるための回路(22)に挿入するための方法であって、
a)請求項1~10のいずれか1項に記載の器具(50)の前記口(54)を前記シャトル(30)の近くに移動させる工程であって、前記器具の前記制御レバー(60)が、前記第一の位置にあり、前記受け入れチャンバー(56)の前記長さ方向の軸(X56)に合わせて配置された、前記制御レバー(60)の前記第一の磁石(62)によって及ぼされる磁気吸引の効果の下で、前記シャトルが前記器具の前記受け入れチャンバー(56)に入ることを可能とする移動工程;
b)前記コーティング製品を循環させるための回路の入口管(36)に対向して、前記器具のための前記受け入れチャンバーを配置する(A1)工程;及び
c)前記器具の前記制御レバー(60)を、前記制御レバーの前記第二の位置に移動させて(A2)、前記第二の磁石(64)が前記シャトルに対して前記受け入れチャンバーの外部への磁気的な反発力(A3)を及ぼすように、前記第二の磁石(64)を前記受け入れチャンバーの前記長さ方向の軸(X56)に合わせて配置することによって、前記受け入れチャンバー(56)から前記管(36)に前記シャトル(30)を放出する(A3)工程
からなるステップを少なくとも含むことを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向の磁気分極を有するシャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための器具に関する。さらに、本発明は、このような器具を備える、コーティング製品を噴霧するための設備に関する。最後に、本発明は、このような器具によって、コーティング製品のための循環回路にシャトルを挿入するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーティング製品を噴霧するための設備の分野において、例えば国際公開第2021/009046号から、シャトル(言い換えればスクレーパー(scraper))を、噴霧器を供給することが意図されたコーティング製品を循環させるための回路に属するパイプの内部で循環させる仕方は知られている。このような先行技術による設備は、一般的には十分なものである。このような設備において、シャトルは、設備が作動しているときに回路に挿入され、次いで、特にはメンテナンス操作の間に、定期的に確認及び/又は交換される必要がある。したがって、単純な手法でシャトルを回路に挿入又は再挿入することが必要であり、これは、通常は、ホースの接続を断つことによって、流体循環回路のステーションにおいて行われる。シャトルは磁気分極していて、正と負の磁極を有していて、特には回路中のシャトルを検出するために設備の磁気要素と相互作用すること、及び/又は例えばステーションにおいて推進放出装置と相互作用することが意図されている。したがって、シャトルが回路に挿入又は再挿入されるときに、シャトルを所定の向きに配向することが必要である。
【0003】
このようなシャトルは比較的小さい寸法、7ミリメートル(mm)程度の長さ及び4mm程度の直径を有し、このことは、特に操作者がグローブを着けて作業をしている場合に、シャトルを扱うのを比較的困難にする。したがって、設備の動作の間又はメンテナンス操作の間に、シャトルが地面に落ちる、又はさらにはシャトルを紛失するリスクがある。コーティング製品を循環させるための回路に関して誤った極性方向でシャトルを挿入してしまうリスクもあり、このことは設備の全体的又は部分的な故障を引き起こす。
【0004】
欧州特許第0666448号明細書から、球状のコアを有し、したがって軸方向の磁気分極を有しないシャトルの使用の仕方は知られている。このようなシャトルを制御するのは慎重な扱いを要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特に、本発明は、軸方向の磁気分極を有するシャトルを、コーティング製品を循環させるための回路に挿入又は再挿入するための新たな器具、言い換えれば新たなツールを提案することによって、これらの欠点を克服することを意図している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的のために、本発明は、軸方向の磁気分極を有するシャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための器具に関する。本発明によれば、器具は、
シャトルを受け入れるための受け入れチャンバーであって、非磁性材料のボディ(52)で形成されていて、かつシャトルの分極の軸が受け入れチャンバーの長さ方向の軸に対して平行である位置でシャトルを受け入れるためのサイズである、受け入れチャンバー;
受け入れチャンバーを器具のボディの第一の端部に接続する口;
制御レバーであって、少なくとも2つの磁石を設けられていて、第一の磁石が、極を第一の極性を有する受け入れチャンバーに向かって配向して、受け入れチャンバーの長さ方向の軸に合わせて配置された第一の位置と、第二の磁石が、極を第一の極性とは反対の第二の極性を有する受け入れチャンバーに向かって配向して、受け入れチャンバーの長さ方向の軸に合わせて配置された第二の位置との間で受け入れチャンバーに対して移動可能である、制御レバー
を備える。
【0007】
本発明によれば、器具のボディに設けられた、シャトルを受け入れるためのチャンバーは、シャトルをボディの内部の所定の位置に保持するために使用することができ、操作者は、流体循環回路のステーションのシャトル入口領域の近くにシャトルを移動させることによって取り扱うことができる。操作者は、もはや手でシャトルを保持する必要はなく;操作者は、特に流体循環のステーションのより近くにシャトルを移動させるために、シャトルを取り扱うための器具を使用することができる。本発明の器具の口はシャトルを受け入れチャンバーに誘導するために使用することができる。一方で、制御レバーに設けられた第一及び第二の磁石は、第一の磁石については、シャトルに吸引力を適用して、所定の軸方向の配向で、受け入れチャンバー中のシャトルの位置を維持するために、第二の磁石については、チャンバーの外に、流体循環回路のステーションの方向にシャトルを放出するように力を適用するために、使用することができる。
【0008】
本発明の有利ではあるが必須ではない態様によれば、このような器具は、以下の特徴うち1つ又は複数を、個別に、又は任意の技術的に許容される組み合わせにしたがって、組み込んでいてよい。
口は、ボディの第一の端部と受け入れチャンバーとの間で収束する形状であり、シャトルを受け入れチャンバーへと、シャトルの分極の軸が受け入れチャンバーの長さ方向の軸に対して平行である位置に誘導するために構成されている。
制御レバーが第一の位置にあるとき、制御レバーの2つの磁石は、受け入れチャンバーの長さ方向の軸に対して垂直な方向に沿って並んで配置されている。
制御レバーの2つの永久磁石は、受け入れチャンバーに対して口とは反対側で、受け入れチャンバーに面して配置された制御レバーの面に取り付けられている。
制御レバーの2つの磁石は、制御レバーの面と同一平面にある。
ボディは、受け入れチャンバーの中身を視認するための少なくとも1つの開口部を設けられている。
制御レバーは非磁性材料で作られたボディと一体であり、制御レバーは、弾性変形によって、第一の位置と第二の位置の間で受け入れチャンバーに対して移動可能である。
器具は、第一の端部とは反対にある第二の端部において、コーティング製品を循環させるための回路中にあるシャトルを引き抜くための引き抜き構成要素を備える。
引き抜き構成要素は、制御レバーの第一の位置において受け入れチャンバーに向かって配向された極とは反対の、第一の磁石の極と接触する磁性材料である。
引き抜き構成要素は、ボディのチューブ状の部分の内部に配置されていて、ボディの外部形状は、流体循環回路が属するパイプの1つの端部を成形するために構成されている。
【0009】
第二の態様によれば、本発明は、コーティング製品を供給される少なくとも1つの噴霧器と、コーティング製品の少なくとも1つの供給源と、コーティング製品を循環させるための回路であって、それによってコーティング製品の噴霧器がコーティング製品の供給源から供給され、かつ少なくとも1つのシャトルが循環する、コーティング製品を循環させるための回路とを備える、コーティング製品を噴霧するための設備に関する。本発明によれば、このような設備は、上記の器具を備えていて、器具によって、シャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するために配置されている。
【0010】
本発明の設備は、上記の器具と実質的に同じ利点を有する。
【0011】
本発明の有利であるが必須ではない態様によれば、このような設備は、以下の特徴うち1つ又は複数を、個別に、又は任意の技術的に許容される組み合わせにしたがって、組み込んでいてよい。
設備は、シャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための管をさらに備えていて、管の内部直径は、シャトルの最大の直径よりも大きく、シャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための器具の受け入れチャンバーの内部直径よりも小さい。
コーティング製品を循環させるための回路は、シャトルのための循環パイプと、シャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための管とを備えていて、管と、シャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための器具の部分とは、同じ形状を有していて、管と同じ形状を有する器具の部分は、シャトルのための循環パイプの1つの端部を管に取り付けるために、その1つの端部を成形するように構成されている。
設備は、シャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための管を備えていて、管は、シャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための器具のボディの非磁性材料のブリネル硬さよりも厳密に高いブリネル高さを有する材料で作られている。
【0012】
第三の態様によれば、本発明は、軸方向の分極を有するシャトルをコーティング製品を循環させるための回路に挿入するための方法であって、
a)上記の器具の前記口を前記シャトルの近くに移動させる工程であって、器具の制御レバーが、第一の位置にあり、受け入れチャンバーの長さ方向の軸に合わせて配置された、制御レバーの第一の磁石によって及ぼされる磁気吸引の効果の下で、シャトルが器具の受け入れチャンバーに貫通することを可能とする移動工程;
b)コーティング製品を循環させるための回路の入口管に対向して、器具のための受け入れチャンバーを配置する工程;及び
c)器具の制御レバーを、制御レバーの第二の位置に移動させて、第二の磁石がシャトルに対して受け入れチャンバーの外部への磁気的な反発力を及ぼすように、第二の磁石を受け入れチャンバーの長さ方向の軸に合わせて配置することによって、受け入れチャンバーから管にシャトルを放出する工程
からなるステップを少なくとも含む方法に関する。
【0013】
本発明の方法は、単純に実施することができ、かつ分極した部分の所定の配向で、回路にシャトルを安全に配置するために信頼性があるものである。
【0014】
単に例としてのみ与えられ、添付の図面を参照してされる本発明の原理にしたがうコーティング製品を噴霧するための設備及び器具の実施態様の以下の詳細な説明に照らして、本発明はより良く理解され、本発明の利点はより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明による器具を組み込んだ、本発明によるコーティング製品を噴霧するための設備の原理の模式図である。
図2図1に示される設備の器具と、器具に対するシャトルの3つのあり得る空間的位置に示されるシャトルとの拡大スケールの斜視図である。
図3】器具の前方部分を部分的に取り払った、図2の細部IIIの拡大図である。
図4】器具の長さ方向の断面である。
図5】器具の使用の2つの位置における、シャトルが器具の受け入れチャンバー中の位置にあるときの、2つの挿入図A)及びB)についての、拡大スケールでの図4の細部Vを示す。
図6】本発明による方法の実施の際の、図1に示される設備の一部の、及び本発明の器具の斜視図である。
図7図6に示される方法の工程の最後における、器具の前方部分を部分的に取り払った、1つの別の角度からの、設備、シャトル及び器具の一部の斜視図である。
図8図6に示されるものとは異なる、器具の使用の際の、図6と類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に模式的に示されている設備2は、運搬軸X4に沿ってコンベヤ4によって移動させられる物体Oに対してコーティング製品を適用することが意図されている。図1において、物体Oは自動車の扉の形態で示されている。実際には、このような物体は、自動車のボディの全部又は一部、並びにより一般的には家庭用器具のハウジング、自転車のフレーム又は装飾品等のコーティングされる任意の物体からなってよい。
【0017】
設備2は、静電型のコーティング製品噴霧器6であって、ボウル8を設けられた、パイプ10によってコーティング製品を供給される静電型のコーティング製品噴霧器6を備えていて、貯蔵器によって形成されたコーティング製品の幾つかの供給源14に接続された色変更ユニット12において選択された液体コーティング製品を循環させる。図1においては、単純化のために、幾つかの供給源14のうち1つのみが示されている。
【0018】
噴霧器6は、多軸ロボットのアーム又はレシプロケーターに取り付けられてよい。
【0019】
噴霧器6の型は限定されるものではない。1つの変形において、噴霧器6はボウルを有しない。1つの別の変形によれば、噴霧器6は静電型ではない。1つのさらに別の変形によれば、噴霧器6はマニュアルガンである。
【0020】
1つの変形において、設備2は、噴霧器6の型又は異なる型等の、色変更ユニット12から供給される複数の噴霧器6を備える。
【0021】
色変更ユニット12は、パイプ10の上流端部10Aに接続された第一のステーション18に流体的に接続されている。パイプ10の下流端部10Bは第二のステーション20に接続され、第二のステーション20は端部ステーションと呼ばれ、噴霧器6に組み込まれている。
【0022】
要素12~20は、供給源14と噴霧器6との間で液体コーティング製品を循環させるための回路22をともに形成する。
【0023】
有利には、少なくとも、コーティング製品のための変更ユニットとステーション18とは、設備2の操作の間にアース電位にされる。
【0024】
操作の際に高電圧にされる噴霧器6と、絶えずアース電位に保持される色変更ユニット12との間のガルバニック絶縁を提供するために、溶媒又は洗浄製品等の液体によってステーション18と20との間でシャトル30を押すことによって、パイプ10中のシャトル30を循環させて、パイプ10中に存在するコーティング製品を排出して、それによって物体Oの表面を被覆するために十分な容積を形成する。このようにして、パイプ10及び噴霧器6を十分にすすいで、コーティング製品の損失を限定的なものにすることができる。
【0025】
シャトル30は、用語「スクレーパー」ともいわれる場合がある。
【0026】
有利には、パイプ10は、合成材料、例えばポリテトラフルオロエチレン又はPTFEで作られたホースであり、すすぐことを可能とする良好な特性と、シャトルとの十分な摩擦係数である良好な特性とを有し、パイプ10の端部10Aと10Bとの間のシャトル30の移動に適合する曲率の半径を有する構成で、ステーション18と20との間に挿入される。
【0027】
下記で説明されるように、パイプ10の材料は、ある特定の弾性と、冷間で塑性的に変形する能力とをパイプ10に与える。
【0028】
電空制御モジュール32は、ステーション18と関連付けられて、ステーション18に停まったシャトルを選択的に保持するか、又は離れさせる。この目的のために、制御モジュール32は、シャトルを選択的にブロックするためのピン(図示されていない)、並びに磁気推進放出装置(これもまた図示されていない)を備える。シャトルが、パイプ10の端部10Aと10Bとの間のシャトルの移動の最後において端部ステーション20に到達するとき、シャトルは、シャトルを押すのに使用される液体によってステーション20の底部に対して押される。第一のステーション18へのシャトル30の戻りは、噴霧器6から来る空気圧をシャトルに適用することによって得られる。
【0029】
ステーション18及び20は、シャトル30を受け入れるためのガレージを形成する内部ハウジング(図示されていない)をそれぞれ設けられている。国際公開第2021/009046号の技術的教示を本明細書において適用することができる。
【0030】
パイプ10の端部10A及び10Bは、それぞれ第一のステーション18の出口管(cannula)36及び第二のステーション20の入口管38に適合及び接続される。X36は、管36の長さ方向の軸及び中央軸を意味する。
【0031】
管は、鋼、好ましくは303グレードのステンレス鋼、又は別の剛性材料、特には金属、から作られる。菅は、第一のステーションのボディから離れて移動するときに収束円錐台外部形状の第一の端部部分361と、パイプ10の端部10Aを管に固定するのに使用されるナット(図示されていない)のねじ山37に第一の部分を接続する、円形の基部を有する円筒外部形状の第二の部分362とを備える。管36の最小の内部直径はD36によって示されている。
【0032】
設備2が始動するとき、シャトル30は、管36の端部10Aの接続を断つことによって、及び管36を通してシャトル30をステーション18に挿入することによって、コーティング製品を循環させるための回路22に挿入される。
【0033】
このようにするために、本発明にしたがって、操作者は器具50を使用し、器具は「ツール」とも呼ばれる場合があり、器具は設備2に属するものであり、非磁性材料、例えばポリアミド、特にはPA12等から作られるボディ52を備える。ボディ52は、器具50の長さ方向の軸X50に沿って延伸していて、ボディ52は、前方端部とも呼ばれるボディ52の第一の長さ方向の端部52Aにおいて、チャンバーの長さ方向の軸X56に重なるシャトルの長さ方向の軸X30を有するシャトル30を受け入れるための寸法にされたチャンバー56に向かって収束する口54を画定する。
【0034】
管36及びボディ52がそれぞれ作られる材料を考えると、管36の材料は、ボディ52の非磁性材料のブリネル硬さよりも厳密に大きいブリネル硬さを有する。実際には、管の材料のブリネル硬さは、グレード303のステンレス鋼のブリネル硬さ(180kg/mm)に近い値で選択することができ、一方でボディ52の材料のブリネル硬さは、PA12ポリアミドのブリネル硬さ(8kg/mm)に近い値で選択することができる。
【0035】
慣例的には、器具50の前部は、ボディ52の前方端部52Aの側部に位置し、器具の後部は、その端部の反対に位置するとみなされる。
【0036】
長さ方向の軸X50及びX56は本明細書においては重なる。しかし、これは必須ではない。
【0037】
実際には、シャトル30は、軸X30を中心とする延伸した形状と、軸X30に垂直である円形の断面とを有する。シャトル30は、図示されていない磁石、特には永久磁石、例えばネオジム磁石を備える。シャトルの非磁性材料のケーシングは、中央部分302並びに端部部分302及び304を備える。シャトルの磁石は、非磁性材料のケーシングに埋め込まれていて、その負極及び正極は、それぞれ部分304及び306の内部に配置されている。それによって、シャトル30は軸方向の磁気分極を有し、反対の分極の2つの極304及び306は、その2つの端部に位置する。軸X30はシャトルの分極軸である。シャトルはバレル形状であり、端部部分の直径は中央部分から離れるにつれて減少し、パイプ10の曲がった領域でシャトルが詰まるのを妨げる。
【0038】
図2において、シャトル30は、器具50に対する3つのあり得る位置で示されている。実際には、シャトル30は、器具50に対する任意の位置に配置することができる。
【0039】
受け入れチャンバー56の内部寸法は、軸X30及びX56が重なる構成においてのみシャトル30が受け入れチャンバー56に受け入れられることができるように、操作のクリアランス内で、シャトル30の長さL30及び最大の直径D30に応じて選択される。特に、受け入れチャンバー56の内部直径D56は、シャトル30の最大直径D30よりも、15%未満の範囲で、大きく選択される。
【0040】
実際には、管36及び受け入れチャンバー56のそれぞれの寸法は、直径D36が直径D30よりも大きく、好ましくは厳密に大きく、かつ内部直径D56よりも小さく、好ましくは厳密に小さくなるように、シャトル30の最大直径D30に応じて選択することができる。
【0041】
例えば3.85mmに等しい直径D30を有するシャトルについて、直径D36は4mmに等しく選択することができ、直径D56は4.5mmに等しく選択することができる。直径D56の値に対する製造公差は、0.3mm程度であってよい。
【0042】
口54は、受け入れチャンバー56に近くなるにつれて軸X50に向かって収束する表面S54を有する。実際には、表面S54は、円錐台状であり、軸X50を中心とするように選択することができる。
【0043】
表面S54は、口54の入口においてシャトル30がいかなる位置にあっても、軸X30及びX56が重なる位置に向かって、受け入れチャンバー56に向かってシャトル30を誘導するために構成される。
【0044】
1つの変形において、受け入れチャンバー56は、軸X30及びX50が平行であり、重ならない位置においてシャトル30を受け入れるために構成されてよい。
【0045】
ボディ52は、ボディ52によって画定される平面P52の両方の側に配置された2つの開口部58を設けられていて、軸X50を含む。図3及び7においては、口54、チャンバー56、及びチャンバー中にあるシャトル30を視認するために、図2の平面P52の右に位置する前方端部52Aの一部は省略されている。
【0046】
特には器具50の1つの側から受け入れチャンバー56中のシャトル30の存在を検知するために、受け入れチャンバー56は、ボディ52の外部から2つの開口部58を介して視認することができる。
【0047】
ボディ52の一部は制御レバー60を画定する。言い換えれば、制御レバー60はボディ52の残部と一体である。
【0048】
制御レバー60は、ボディ52の外部表面S52を含む円形の断面を有する円筒状のケーシングの本質的に内部に配置される。制御レバーは、ボディ52の外側から、外部表面S52に開口しているノッチ61を介してアクセス可能である。
【0049】
Y50は器具50の横方向の軸であって、軸X50に対して垂直であり、かつノッチ61の中央を通る軸を示している。軸X50及びY50は、平面P52に含まれる。制御レバーは、ノッチ61の内側で、軸X50及びY50に対して平行な平面において、特に図2~4、6及び7並びに図5の挿入図A)に示される第一の無負荷位置と、操作者が制御レバーを押したときにノッチ61の底部61Aに到達する、図5の挿入図B)に示される第二の位置との間で、移動可能である。制御レバー60の第一の位置は、レバー60の静止構成、すなわち操作者によってレバー60に何ら力が及ぼされていない構成に対応する。
【0050】
制御レバー60は、第一の磁石62及び第二の磁石64を画定する。本明細書において、磁石62及び64は、永久磁石、好ましくはネオジム磁石である。
【0051】
永久磁石62及び64は、制御レバー60がその第一の位置にあるときに、軸Y50に対して平行かつ軸X56に対して垂直な方向Δ60に沿って並んで配置される。
【0052】
永久磁石62及び64のそれぞれは、制御レバー60がその第一の位置にあるときに、それぞれ長さ方向の軸X62及びX64に沿って、軸X50に対して平行に延伸している。軸X64は軸X62に対して平行であるが、X62に対して横方向にずれている。軸X62及びX64は、方向Δ60に対して垂直である。軸X62及びX64は、制御レバー60がその第一の位置にあるときに、軸X50に対して平行である。
【0053】
磁石62は軸方向の分極を有し、軸X62に沿って口54に向かって、及び受け入れチャンバー56に向かって、すなわち器具50の前方に向かって配向されたマイナス極又は負極N62と、器具50の後方に向かって、口及び受け入れチャンバーに対向して配向されたプラス極又は正極P62とを有する。さらに、第二の磁石64も軸方向の分極を有し、器具50の前方に向かって、したがって口54に向かって配向されたプラス極又は正極P62と、器具の後方に向かって、口に対向して配向されたマイナス極又は負極N64とを有する。
【0054】
それによって、第一の永久磁石62の負極N62は器具50の前方に向かって方向づけられていて、一方で第二の永久磁石64の正極P64は器具50の前方に向かって方向づけられているため、2つの永久磁石62及び64は、2つの軸X62及びX64に沿って、対向する方向に、軸方向に分極されている。
【0055】
図2~4、6及び7に示される第一の位置において、並びに図5の挿入図A)において、制御レバー60は、一般に受け入れチャンバー56に合わせて配置された構成で第一の磁石62を保持する。言い換えれば、制御レバー60の第一の位置において、軸X62及びX56はほぼ整列される。「ほぼ整列される」は、対象の軸が、整列されているか、若しくは平行であるか、又はその間に5度未満の角度を形成するか、又は直径D30の10%未満の距離だけお互いから横方向にずれているかのいずれかを意味する。
【0056】
本明細書において、軸X62、X56及びX50は、制御レバー60がその第一の位置にあるときに重なる。
【0057】
図3に見られるように、口54に対向する受け入れチャンバー56の底部66は、オリフィス68によって貫通されていて、それに対向して永久磁石62の負極N62は制御レバー60の第一の位置に配置される。
【0058】
このような位置において、永久磁石62は、特に受け入れチャンバー56及び口54において伝播する磁場を発する。
【0059】
第一及び第二の永久磁石62及び64は、ボディ52の端部52Aに最も近い制御レバー60の端部60Aに設けられた第一及び第二のハウジング63及び65にそれぞれ受け入れられる。ハウジング63及び65は、制御レバー60がその第一の位置にあるときに、軸X50に対して垂直であり、かつ軸Y50に対して平行である制御レバー60の端面60Bに面している。端面60Bは器具50の前方に向かって配向されているため、端面60Bは、レバー60の前方面と呼ばれる場合もある。
【0060】
前方面60Bは、受け入れチャンバー56に面して、口54に対向して配置される。好ましくは、永久磁石62及び64は、前方面60Bと同一平面にある。
【0061】
前方面60Bに対向して、第一及び第二のハウジング63及び65のそれぞれは、ダクト67及び69に沿ってそれぞれ延伸され、ボディ52の後部に開口する。
【0062】
ダクト67は、ボディ52の前方端部52Aに対向する後方端部52Bに、ハウジング63を接続し、ダクト67は、ボディ52の残部と一体であるチューブ52C中に設けられていて、チューブ52Cの外部直径D52は、管36の内部直径よりも厳密に大きく、このことは、必要な場合には、チューブ52Cを管36にかみ合わせることを可能とする。
【0063】
磁性材料、例えば鋼で作られたロッド70は、ダクト67中に配置され、前方面60Bに配置された極と反対の、すなわち極N62と反対の永久磁石62の極P62に面する。言い換えれば、ロッド70は、第一の端部70Aを介して、永久磁石62の正極P62に面する。このようなロッドは、第一の端部70Aとは反対にある、その第二の端部70Bが位置する端部52Bへと延伸している。
【0064】
ロッド70は、その端部70Aと70Bとの間の中間領域70Cにおいて塑性的に変形する。図4のスケールを考えると、このような変形は目に見えない。領域70Cにおけるロッド70のこのような局所的な変形は、軸X50に完全には沿っていない形状をもたらし、このことはダクト67におけるロッド70の詰まりを引き起こす。
【0065】
さらに、金属で作られたロッド70は、制御レバー60のための補強要素を形成し、これは、ロッドが制御レバーをその先述の第一の位置に弾性的に戻す傾向があるという意味である。それによって、制御レバー60は、その第一及び第二の位置の間で、受け入れチャンバー56に対して、ボディ52及びロッド70の弾性変形によって、移動可能である。
【0066】
レバー60がその第一の位置にあるとき、ダクト69は空であり、軸X50に平行な方向に沿って、ボディ52の別の部分に形成されるダクト71に連続して配置される。
【0067】
第二の永久磁石64の負極N64を画定し、かつ面60Bとは逆にある、第二の永久磁石64の側部に推力を及ぼすことによって、第二の永久磁石64のハウジング65から第二の永久磁石64を引き抜くことが適しているとき、ダクト69及び71は、ロッド70の形状に相当する形状を有するニードルを受け入れることができる。これは、器具50の組み立ての間に、第二の永久磁石64の組み立ての方向に関するエラーが起こった場合に、必要であることがある。
【0068】
同様に、磁石の組み立ての方向に関するエラーが起こった場合には、ロッド70が挿入される前に、又はロッド70が引き抜かれた後に、ロッド70よりもわずかに長いニードルを使用して、第一の永久磁石62のハウジング63の外に第一の永久磁石62を動かすことができる。
【0069】
器具50の製造の間に、受け入れチャンバー56を通して、ハウジング63及び65中に永久磁石62及び64をそれぞれ挿入するために、オリフィス68を使用することができる。
【0070】
器具の操作は以下で説明するとおりである。
【0071】
ボディ52の前方端部52Aがシャトル30の近くに移動させられたとき、及び制御レバーがその第一の位置にあるとき、シャトルは、口54を貫通し、図5の挿入図A)の位置において受け入れチャンバー56に到達するまで、第一の永久磁石62によって作られる磁場によって引き寄せられ、ここで、永久磁石62の負極N62の磁気吸引の効果の下で、シャトル30の正に分極した部分306は、受け入れチャンバー56の底部66に面している。このような磁気吸引は、図5の挿入図A)において矢印A0によって表されている。
【0072】
言い換えれば、レバー60がその第一の位置にあるとき、第一の永久磁石62は、シャトルを受け入れチャンバー56中に、軸X30及びX56が整列された位置で、かつそれらの軸に沿ってシャトルの分極された部分304及び306の所与の配向で、吸引及び配置することを可能とする。
【0073】
このような現象は、器具50がシャトル30のより近くに移動させられたとき、部分304及び306の配向に関係なく、及び軸X30の方向に関係なく起こり、これは、図2において、シャトル30の3つのあり得る位置によって示されている。
【0074】
それによって、例えばシャトルが操作者の手のひらの中に保持されているとき、器具50をシャトル30のより近くに移動させることは、シャトルを、受け入れチャンバー56の内部で、器具50のボディ52に対して所与の位置に移動させる。操作者によるシャトル30の続く取り扱いは、このようにして、器具50によって容易になり、これはシャトル30単独で取り扱うよりも易しい。言い換えれば、シャトル30の初期位置に関わらず、器具50をシャトルの近くに移動させることで十分であり、シャトルは、器具50によって受け取られ、口54の表面S54によってチャンバー56へと誘導され、チャンバー56で、第一の永久磁石62の作用によって、シャトルは所定の配向で受け入れられ固定される。
【0075】
上で説明されるようにシャトル30が器具50によって受け取られたとき、及び開口部58のうち1つを介して見ることによって受け入れチャンバー56中にシャトル30が存在することを確認した後、実際に手の中に器具50を保持している操作者は、軸X50を軸X36に整列させて、図6における矢印A1によって示される軸方向の並進移動で、器具50をステーション18のより近くに移動させることができる。
【0076】
これは、器具50を図7の構成に移動させる効果を有し、図7の構成において、ボディ52の端部52Aは管36を囲んでいて、シャトル30は管36の入口に配置されていて、次いで軸X30、X56及びX36が整列される。
【0077】
図7に見られるように、表面S54の形状は、管36との任意の直接的な相互作用を妨げる。言い換えれば、管36にシャトル30の中心を合わせることは、器具50とステーション18とのタイミングの悪い接触によって妨げられない。
【0078】
このような構成において、操作者は、レバー60の端部60Aに対して、図7において矢印A2によって示される、長さ方向の軸X50に垂直な力を及ぼす。実際には、このような力は、軸Y50に対して、及び方向Δ60に対して平行である。この力は、図5の挿入図B)に示されるように、制御レバー60をその第二の位置に移動させる効果を有し、ここで、第二の永久磁石64は、オリフィス68と、シャトル30の正に分極した部分306に対向している。前方面60Bにおいて露出した磁石64の極は第二の永久磁石64のプラス極P64であるため、第二の永久磁石64とシャトル30とをより近くに移動させることは、シャトル30に対して磁気的な反発力を、すなわち図5の挿入図B)において矢印A3によって示される、チャンバー56の外部に向かってシャトルを放出する力を及ぼす効果を有する。このような磁気的な反発力は、シャトル30を、底部66から離れて、及び軸X56に沿って、すなわち管36の内部に向かって、軸X36に沿って動かす。
【0079】
したがって、シャトル30は、管36を通って、所定の配向で、ステーション18に挿入され、これは、器具50によるシャトル30の受け取りに次ぐ、受け入れチャンバー56中のシャトル30の配向の直接的な結果である。
【0080】
矢印A0及びA3は軸X56に沿って整列されていて、底部66に向かう及び底部66から離れる2つの反対の方向にそれぞれ配向されている。
【0081】
したがって、器具50は、シャトル30を受け取るために、及び所与の配向でシャトル30を回路22に挿入するために有効である。
【0082】
このことは、その配向を維持しつつシャトル30がパイプ10中を循環することを可能とし、このことはステーション18及び20に組み込まれた他の磁性要素と相互作用するために有用である。
【0083】
ステーション18の内部へのシャトル30の放出は、器具50が管36に対して正しく配置された後に、制御レバー60に対する操作者の単純な加圧によって行われる。開口部58は、操作者が、このような放出を視認して、所望の操作が実際に行われたことを確認することを可能とする。
【0084】
したがって、器具50の取り扱いは、特に単純であり、本質的には3つの工程を含む。
【0085】
ボディ52に設けられたピクトグラム51によって説明される第一の工程において、操作者は口54をシャトル30の近くに移動させる。これは、図2に示される複数の位置のうち1つであるか、又は別の位置であってよく、次いで長さ方向の軸X56に合わせて配置される第一の永久磁石62の作用の下で受け入れチャンバー56までシャトルが貫通することを可能とする。シャトルは、残りの操作のために自動的に正しく配置される。
【0086】
第二の工程において、操作者は、図6の矢印A1の方向にしたがって、受け入れチャンバー56が管36に面して配置されるまで、受け入れチャンバー56をステーション18の近くに移動させる。これはボディ52に付された第二のピクトグラム53によって示されている。
【0087】
第三の工程において、操作者は、矢印A2によって示される力を及ぼす。これはピクトグラム55に対応する。それによって、制御レバー60はその第二の位置に移動され、したがって、第二の永久磁石64はチャンバー56の長さ方向の軸X56に合わせて配置され、このことは、正に分極した部分306と、制御レバーの前方面60Bに配置された第二の永久磁石64の正極P64との間の磁気的な反発によって、矢印A3の方向にシャトル30を放出する効果を有する。
【0088】
シャトル30がステーション18中にあるとき、チューブ52Cは、チューブ10の端部10Aを管36の外部寸法に成形するためのテンプレートとして使用することができる。この目的のために、チューブ52Cとボディ52の主部分との間の連結領域は、主部分に近づくにつれてチューブ52Cの直径が次第に増加するバルジ52Dを備える。このようなバルジは管36の外部形状の等倍の形であり、管の第一の端部部分361の形状と同一の外部形状の円錐台状の部分52D1と、管の第二の部分362の形状と同一の外部形状を有する円形の基部を有する円柱状部分52D2とを備える。それによって、チューブ52Cをパイプ10に、その端部10Aまで、バルジ52Dによってカバーされるまで挿入することによって、端部10Aを拡張して、塑性変形によってその端部を管36の外部形状に近い内部形状に成形することができ、このことは管の周りの端部10Aの続く配置をし易くする。
【0089】
ステーション18中に位置するシャトル30を回収することが必要であるとき、図8に示されるように、図6において示される方向に対して反対の方向に器具50が使用される。
【0090】
このような場合、シャトル30の正に分極した部分306は、管36の自由端部と同じ高さであるか、又は管を介してアクセス可能であるかのいずれかである。
【0091】
次いで、軸X50を軸X36と整列させた後に、図8において矢印A4によって示されるように、チューブ52Cを管36の近くに移動させることができる。
【0092】
ロッド70の端部70Bは磁性材料で作られているため、端部70Bは、分極された部分306によってある程度磁化される。それによって、部分70Bと306との間に磁気吸引力が及ぼされ、このことは、矢印A4によって示される先述の接近移動とは反対の方向に、器具50に対して軸方向の牽引力を及ぼすことによって、シャトル30をステーション18から引き抜くことを可能にする。
【0093】
それによって、ロッド70の第二の端部70Bは、コーティング製品を循環させるための回路22内にあるシャトル30をその回路から外に引き抜くための構成要素を形成する。したがって、本発明の器具は、シャトル30を回路に挿入するのに使用することができるだけでなく、必要な場合には、例えばメンテナンス操作のために、シャトルをその回路から引き抜くのにも使用することができる。
【0094】
1つの変形において、磁石62及び64は電磁石である。このような場合において、器具50は、電磁石を作動させるための手段を備える。このようなアプローチは、永久磁石に基づくアプローチよりも経済的ではなく、失敗を起こしやすい。
【0095】
1つの変形において、第一及び第二の永久磁石62及び64の極性は、図に示される極性に対して逆転されている。このような場合において、シャトル30は、図に示される方向に対して逆の方向で管36に挿入される。
【0096】
1つの別の変形において、シャトル30の回路22への挿入は、第二のステーション20において行われてもよい。
【0097】
1つのさらに別の変形において、制御レバー60は、永久磁石又は永久磁石ではない2つより多くの磁石を備える。
【0098】
1つの別の変形において、制御レバーは、ボディ52と一体ではない、ボディ52に付加された部品からなってもよい。
【0099】
先述の変形は、本発明の構想の範囲内で、新たな実施態様をもたらすように組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】