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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154420
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】電力変換システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20231012BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20231012BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20231012BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231012BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20231012BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M7/48 M
H02J7/35 K
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 180
H02J3/46
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023061159
(22)【出願日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】63/328,267
(32)【優先日】2022-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】112111919
(32)【優先日】2023-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】500065716
【氏名又は名称】ダーフォン エレクトロニクス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】劉 偉霖
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
5H770
【Fターム(参考)】
5G066HA11
5G066HA15
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA02
5G066JB03
5G066KA06
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA05
5G503GB03
5G503GB06
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA05
5H770CA06
5H770DA10
5H770DA22
5H770EA30
5H770HA02Y
5H770HA03W
5H770HA03Y
5H770LA00Y
5H770LA01Y
5H770LA03Y
5H770LB07
(57)【要約】      (修正有)
【課題】充電式電池の充電率に基づいて、その出力する交流電周波数を調整できる電力変換システムを提供する。
【解決手段】電力変換システム100は、交流電源ポート、第1直流電源ポート16、第2直流電源ポート90、高圧コンデンサーC、第1直流コンバーター、第2直流コンバーター、電源インバーター及びマイクロコントロールユニットを含む。マイクロコントロールユニットは、電力変換システムの高圧コンデンサーの両端の電圧差Vbusに基づいて、電力変換システムが出力する交流電力の周波数Fを調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換システム(Power conversion system;PCS)であって、
第1太陽光発電インバーターにカップリングされた交流電源ポートと、
充電式電池にカップリングされた第1直流電源ポートと、
太陽光パネルにカップリングされた第2直流電源ポートと、
高圧コンデンサーと、
前記高圧コンデンサーと前記第1直流電源ポートとの間にカップリングされた第1直流コンバーターと、
前記高圧コンデンサーと前記第2直流電源ポートとの間にカップリングされた第2直流コンバーターと、
前記高圧コンデンサーと前記交流電源ポートとの間にカップリングされた電源インバーター(DC/AC inverter)と、
前記高圧コンデンサーの両端の電圧差に基づいて、前記電力変換システムが前記交流電源ポートから出力する交流電の周波数を調整するマイクロコントロールユニット(microcontroller unit;MCU)とを含み、
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッド(off-grid)の発生を検出し、かつ、前記電圧差が第1臨界値より大きい場合、前記マイクロコントロールユニットは前記交流電源ポートから出力される前記交流電の周波数を中断周波数に設定して、前記太陽光発電インバーターの電気エネルギーの出力を停止させ、
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記電圧差が前記第1臨界値と第2臨界値との間にある連続時間が予設定時間の長さを超えた場合、前記マイクロコントロールユニットは前記交流電源ポートが出力する前記交流電の周波数を前記中断周波数に設定し、
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記電圧差が前記第2臨界値と第3臨界値との間にある場合、前記マイクロコントロールユニットは前記交流電源ポートが出力する前記交流電の周波数を第1予設定値上げる調整を行い、
前記第1臨界値は前記第2臨界値より大きく、前記第2臨界値は前記第3臨界値より大きい、電力変換システム。
【請求項2】
前記第1臨界値は465ボルトから475ボルトであり、前記第2臨界値は445ボルトから455ボルトであり、前記第3臨界値は425ボルトから435ボルトである、請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項3】
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記充電式電池の現段階の充電率が第1予設定比率より大きく、前記対外出力電力が第1予設定電力より小さい場合、前記マイクロコントロールユニットは前記交流電の周波数を高めて、前記太陽光発電インバーターの電気エネルギーの出力を停止させる、請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項4】
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記充電式電池の現段階の充電率が前記第1予設定比率より大きく、前記対外出力電力が前記第1予設定電力より小さく、かつ、前記電圧差が前記第1臨界値より小さいと判断された場合、前記電力変換システムは前記充電式電池からの電気エネルギーを受けて負荷に提供する、請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項5】
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記充電式電池の現段階の充電率が前記第1予設定比率より大きく、前記対外出力電力が前記第1予設定電力より小さく、かつ、前記電圧差が前記第1臨界値より小さいと判断された場合、前記電力変換システムは前記充電式電池からの電気エネルギーを受けて負荷に提供する、請求項3に記載の電力変換システム。
【請求項6】
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記充電式電池の現段階の充電率が第1予設定比率より大きいと判断された場合、前記マイクロコントロールユニットは前記交流電の周波数を第1周波数に調整して、前記太陽光発電インバーターの電気エネルギーの出力を停止させる、請求項1に記載の電力変換システム。
【請求項7】
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記充電式電池の現段階の充電率が前記第1予設定比率より小さくて第2予設定比率より大きく、かつ、前記対外出力電力の負の値が第1予設定電力より大きいと判断された場合、前記マイクロコントロールユニットは前記交流電源ポートが出力する前記交流電の周波数を第1予設定値上げる調整を行う、請求項6に記載の電力変換システム。
【請求項8】
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記充電式電池の現段階の充電率が第3予設定比率より小さいと判断された場合、前記交流電源ポートが出力する前記交流電の周波数を第2予設定値下げる調整を行う、請求項7に記載の電力変換システム。
【請求項9】
前記マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、前記充電式電池の現段階の充電率が前記第1予設定比率より小さくて前記第2予設定比率より大きく、前記対外出力電力の負の値が前記第1予設定電力より大きくなく、かつ、前記対外出力電力が第2予設定電力より小さいと判断された場合、前記マイクロコントロールユニットは前記交流電源ポートが出力する前記交流電の周波数を第3予設定値上げる調整を行う、請求項8に記載の電力変換システム。
【請求項10】
前記第2予設定値は前記第3予設定値に等しい、請求項9に記載の電力変換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力変換システム(Power conversion system;PCS)に関し、特に、充電式電池の充電率に基づいてその出力する交流電周波数を調整できる電力変換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換システム(Power conversion system;PCS)は二方向の電力変換インバーターであり、オングリッド(on-grid)とオフグリッド(off-grid)の電気エネルギーの貯蔵に応用できる。電力変換システムを如何にして有効に操作するかは、従来から当該技術分野の重要課題とされてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、充電式電池の充電率に基づいてその出力する交流電周波数を調整できる電力変換システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の電力変換システムは、交流電源ポート、第1直流電源ポート、第2直流電源ポート、高圧コンデンサー、第1直流コンバーター、第2直流コンバーター、電源インバーター及びマイクロコントロールユニットを含む。交流電源ポートは第1太陽光発電インバーターにカップリングされる。第1直流電源ポートは充電式電池にカップリングされる。第2直流電源ポートは太陽光パネルにカップリングされる。第1直流コンバーターは高圧コンデンサーと第1直流電源ポートとの間にカップリングされる。第2直流コンバーターは高圧コンデンサーと第2直流電源ポートとの間にカップリングされる。電源インバーターは高圧コンデンサーと交流電源ポートとの間にカップリングされる。マイクロコントロールユニットは、高圧コンデンサーの両端の電圧差(voltage difference)に基づいて、電力変換システムが交流電源ポートから出力する交流電の周波数を調整するためのものである。なお、マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、電圧差が第1臨界値より大きい場合、マイクロコントロールユニットは交流電源ポートから出力される交流電の周波数を中断周波数に設定して、太陽光発電インバーターの電気エネルギーの出力を停止させる。マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、電圧差が第1臨界値と第2臨界値の間にある連続時間が予設定時間の長さを超えた場合、マイクロコントロールユニットは交流電源ポートから出力される交流電の周波数を中断周波数に設定する。マイクロコントロールユニットが商用電源のオフグリッドの発生を検出し、かつ、電圧差が第2臨界値と第3臨界値の間にある場合、マイクロコントロールユニットは交流電源ポートから出力される交流電の周波数を第1予設定値上げる調整を行う。第1臨界値は第2臨界値より大きく、第2臨界値は第3臨界値より大きい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の一実施例の電力変換システム及びカップリングされた商用電源、負荷、充電式電池、太陽光発電インバーターと太陽光パネルの機能ブロック図。
図2図1の太陽光発電インバーターの対外出力電力比率と電力変換システムが出力する交流電の周波数との関係図。
図3A図1のマイクロコントロールユニットが電力変換システムを制御するフローチャート。
図3B図1のマイクロコントロールユニットが電力変換システムを制御するフローチャート。
図4図1のマイクロコントロールユニットが電力変換システムを制御する別のフローチャート。
図5A図1のマイクロコントロールユニットが電力変換システムを制御する別のフローチャート。
図5B図1のマイクロコントロールユニットが電力変換システムを制御する別のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は本発明の一実施例の電力変換システム(Power conversion system;PCS)100及びそれにカップリングされた商用電源10、負荷60、充電式電池70、太陽光発電インバーター(Photovoltaic inverter;PV inverter)50、太陽光パネル80及び太陽光パネル92の機能ブロック図である。太陽光パネル80と太陽光パネル92は、照射光を電気エネルギーに変換する。太陽光発電インバーター50は、太陽光パネル80で生成された直流電を交流電に変換し、かつ、変換後の交流電を負荷60及び/または電力変換システム100に提供する。
【0007】
電力変換システム100は商用電源接続ポート12、交流電源ポート14、直流電源ポート16、高圧コンデンサーC、直流コンバーター20、電源インバーター22、電圧電流計30、直流コンバーター82、直流電源ポート90及びマイクロコントロールユニット(microcontroller unit;MCU)40を含む。電力変換システム100は商用電源接続ポート12によって商用電源10に接続され、かつ、商用電源10から電力を受けることができる。直流電源ポート16は充電式電池70にカップリングされ、電力変換システム100は直流電源ポート16によって充電式電池70に対し充電を行い、または、充電式電池70から電力を受けることができる。電圧電流計30は交流電源ポート14にカップリングされて、電力変換システム100が交流電源ポート14から出力する電圧Va及び電流Iaを検出する。ここで、電圧Va及び電流Iaはそれぞれ交流電の電圧及び交流電の電流である。マイクロコントロールユニット40は電力変換システムの操作を制御し、かつ、充電式電池70から充電状態信号SOCを受信する。マイクロコントロールユニット40は充電状態信号SOCに基づいて、充電式電池70の現段階の充電率を取得し、かつ、電圧電流計30が検出した電圧Va及電流Iaに基づいて、電力変換システム100の対外出力電力P_Invを取得する。対外出力電力P_Invが正であれば、電力変換システム100が交流電源ポート14によって外部へ電気エネルギーを出力することを示し、対外出力電力P_Invが負であれば、電力変換システム100が交流電源ポート14によって外部から電気エネルギーを受けることを示す。直流コンバーター20は高圧コンデンサーCと直流電源ポート16との間にカップリングされ、充電式電池70が出力する直流電圧Vbを高圧コンデンサーCの両端の電圧差Vbusに変換する。直流コンバーター82は高圧コンデンサーCと直流電源ポート90との間にカップリングされ、太陽光パネル92が出力する直流電圧を高圧コンデンサーCの両端の電圧差Vbusに変換する。従って、電圧差Vbusの大きさは、直流電圧Vbと太陽光パネル92が出力する直流電圧が共にして決定するものである。電源インバーター22は高圧コンデンサーCと交流電源ポート14との間にカップリングされ、電圧差Vbusを交流電形式の電圧Vaに変換し、交流電圧Vaの周波数はFである。
【0008】
図2を参照すると、図2図1の太陽光発電インバーター50の対外出力電力比率と電力変換システム100が出力する交流電の周波数Fとの間の関係図である。図2の横軸は電力変換システム100が交流電源ポート14から出力する交流電の周波数Fを示し、図2の縦軸は太陽光発電インバーター50の対外出力電力比率を示す。図2の縦軸において100と記されているところは太陽光発電インバーター50が最大値(即ち100%)で出力することを示し、縦軸において0と記されているところは太陽光発電インバーター50の出力停止を示す。また、周波数FがF_StartとF_Stopとの間にある時、対外出力電力比率と周波数Fは線形の逆相関になり、即ち、この時対外出力電力比率が大きい程、交流電の周波数Fが低くなる。ここで、F_min<F_normal<F_Start<F_Stopであり、F_minは電力変換システム100が出力する交流電の周波数Fの最小値を示し、F_normalは電力変換システム100の一般的な通常操作の周波数であり、F_Startに対応する対外出力電力比率は100%に相当し、F_Stopに対応する対外出力電力比率は0%に相当する。なお、F_minを「最小周波数」と略し、F_normalを「一般周波数」と略し、F_Startを「始動周波数」と略し、F_Stopを「停止周波数」と略してもよい。始動周波数F_Startは例えば60ヘルツ(Hz)であり、停止周波数F_Stopは例えば60.5ヘルツ(Hz)である。さらに、太陽光発電インバーター50の電気エネルギー出力を強制的に中断させて、電力変換システム100を過周波数保護に移行させる中断周波数F_tripがある(F_Tripは例えば60.6ヘルツ(Hz)である。交流電の周波数Fが一旦F_Trip以上に達すると、太陽光発電インバーター50は電気エネルギーの出力を停止するため、周波数F_tripを「中断周波数」とも呼ぶ)。
【0009】
直流コンバーター82は高圧コンデンサーCの両端の電圧差Vbusを検出し、かつ、電圧差Vbusのデータをマイクロコントロールユニット40に転送して、マイクロコントロールユニット40が電圧差Vbusに基づいて周波数Fを調整し、太陽光発電インバーター50の出力電力を制御する。さらに言うと、マイクロコントロールユニット40により商用電源のオフグリッド(off-grid)の発生が検出された場合(例えば、商用電源接続ポート12と商用電源10との間の接続が切断され、または商用電源10が停電になった場合)、マイクロコントロールユニット40は電圧差Vbusに基づいて周波数Fを調整し、さらに太陽光発電インバーター50の出力電力を調整する。例を挙げると、電圧差Vbusの正常値は400から430ボルトであり、電圧差Vbusが450ボルトを超えた時、高圧コンデンサーCに蓄積されたエネルギーが過剰であることを意味するため、この時、マイクロコントロールユニット40は、太陽光パネル92を先にオフにして、その後太陽光発電インバーター50をオフにする。また、電圧差Vbusが450ボルトより小さいが430ボルトより大きい場合、周波数Fを高めて、太陽光発電インバーター50にその出力する電気エネルギーを低減させる。
【0010】
図3A図3Bを参照すると、図3A図3B図1のマイクロコントロールユニット40が電力変換システム100を制御するフローチャートである。マイクロコントロールユニット40により商用電源のオフグリッド(off-grid)の発生が検出された場合(例えば、商用電源接続ポート12と商用電源10との間の接続が切断され、または商用電源10が停電になった場合)または再接続してオングリッド給電する場合、マイクロコントロールユニット40は図3A図3Bが示すプロセスを実行し、当該プロセスは以下のステップを含む。
【0011】
ステップS200:マイクロコントロールユニット40は電力変換システム100がグリッドに再接続されたか否かを判断する。なお、電力変換システム100が商用電源10に再接続され、または太陽光発電インバーター50が給電を開始した場合、電力変換システム100がグリッドに再接続されたことを意味する。マイクロコントロールユニット40は電力変換システム100がグリッドに再接続されたと判断した場合、ステップS201を実行し、逆の場合、ステップS204を実行する。
【0012】
ステップS201:マイクロコントロールユニット40は充電状態信号SOCに基づいて、充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S1より小さいか否を判断する。なお、予設定比率S1は10%から80%の間にあり、マイクロコントロールユニット40は充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S1より小さくないと判断した時、ステップS202を実行し、逆の場合、ステップS203を実行する。
【0013】
ステップS202:マイクロコントロールユニット40はそのタイマーがカウントした時間Tをリセットし(T=0)、かつ、電力変換システム100が交流電源ポート14から出力する交流電の周波数Fを中断周波数F_tripに設定して、太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力を停止させ、電力変換システム100を過周波数保護に移行させて、ステップS201に戻る。
【0014】
ステップS203:マイクロコントロールユニット40は周波数Fを停止周波数F_Stopから予設定値Min_Step下げる調整を行って(即ち、F=F_Stop-Min_Step)、太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力を再開させ、かつ、ステップS200に戻る。予設定値Min_Stepは((F_Stop-F_Start)/8)に等しくてもよい。
【0015】
ステップS204:マイクロコントロールユニット40は、高圧コンデンサーCの両端の電圧差Vbusが臨界値V2より大きいか否かを判断する。なお、臨界値V2は例えば、445ボルトから455ボルトであってもよい。マイクロコントロールユニット40は電圧差Vbusが臨界値V2より大きいと判断した場合、ステップS205を実行し、逆の場合、ステップS210を実行する。
【0016】
ステップS205:マイクロコントロールユニット40中のタイマーがカウントした時間に1を足す。
【0017】
ステップS206:マイクロコントロールユニット40は高圧コンデンサーCの両端の電圧差Vbusが臨界値V3より大きいか否かを判断する。なお、臨界値V3は465ボルトから475ボルトの間にあってもよい。マイクロコントロールユニット40は電圧差Vbusが臨界値V3より大きいと判断した場合、ステップS207を実行し、逆の場合、ステップS208を実行する。
【0018】
ステップS207:マイクロコントロールユニット40は周波数Fを(F_Trip+Max_step)まで上げて、交流電源ポート14にカップリングされた太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力を停止させ、過周波数保護に移る。ここで、Max_stepは例えば0.3ヘルツであり、または((F_Stop-F_Start)/2)に等しい。さらに言うと、交流電の周波数Fが一旦F_Trip以上に達すると、太陽光発電インバーター50は電気エネルギーの出力を停止するため、交流電の周波数Fが(F_Trip+Max_step)に等しい時、太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力をより確実に停止させることができる。ステップS200に戻る。
【0019】
ステップS208:マイクロコントロールユニット40はそのタイマーの現在のカウントした時間Tが予設定時間の長さThより大きいか否かを判断する。予設定時間の長さThは例えば5秒であって、マイクロコントロールユニット40はそのタイマーが現在カウントした時間Tが予設定時間の長さThより大きいと判断した場合、ステップS209を実行し、逆の場合、ステップS204に戻る。
【0020】
ステップS209:マイクロコントロールユニット40は周波数Fを(F_Trip+Max_step)まで上げて、交流電源ポート14にカップリングされた太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力を停止させ、過周波数保護に移る。マイクロコントロールユニット40がステップS209を実行した後、ステップS200に戻る。
【0021】
ステップS210:マイクロコントロールユニット40はそのタイマーの現在のカウントした時間Tをリセットする(T=0);
ステップS211:マイクロコントロールユニット40は高圧コンデンサーCの両端の電圧差Vbusが臨界値V1より大きいか否かを判断する。なお、臨界値V1は425ボルトから435ボルトであってもよい。マイクロコントロールユニット40は電圧差Vbusが臨界値V1より大きいと判断した場合、ステップS212を実行し、逆の場合、ステップS204に戻る。
【0022】
ステップS212:マイクロコントロールユニット40は周波数FをMax_stepまで高めて、即ち、F=(F+Max_step)となり、太陽光発電インバーター50にその出力する電気エネルギーを低減させる。ステップS204に戻る。
【0023】
太陽光発電インバーター50は電圧または周波数が正常な作業範囲を超えたことを検出すると、保護を起動し(例えば、過電圧、不足電圧、過周波数、不足周波数、単独運転(Islanding)・・・等の状況)、それ以上にグリッドへ電力を出力せず、ここで、マイクロコントロールユニット40は太陽光発電インバーター50が遮断された否かを判断し、その状態によって電力変換システム100の交流出力周波数を調整して、太陽光発電インバーター50を再接続させてオングリッド給電できるかを決定する。太陽光発電インバーター50は商用電源端の電圧と周波数が正常な作業範囲を満たすことを検出した場合、グリッドに再接続して給電できる条件が成立したと判断し、太陽光発電インバーター50は所定秒数(例えば、オングリッド法規定に定めた300秒)をカウントした後、グリッドに接続して出力を行う。
【0024】
本発明の別の実施例において、マイクロコントロールユニット40は電圧差Vbusに基づいて図3A図3Bのプロセスを実行するほか、充電式電池70の現段階の充電率に基づいて,図4のフローチャート4のプロセスを実行する。図4のプロセスは以下のステップを含む。
【0025】
ステップS200:このステップは図3AにおけるステップS200と同じく、即ち、マイクロコントロールユニット40は電力変換システム100がグリッドに再接続されたか否かを判断し、マイクロコントロールユニット40は電力変換システム100がグリッドに再接続されたと判断した場合、図3AのステップS201を実行し、逆の場合、ステップS302を実行する。
【0026】
ステップS302:マイクロコントロールユニット40は充電状態信号SOCに基づいて、充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S2より大きいか否かを判断する。なお、予設定比率S2(例えば、20%から90%の間にある)、マイクロコントロールユニット40は充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S2より大きいと判断した場合、ステップS304を実行し、逆の場合、ステップS200に戻る。
【0027】
ステップS304:マイクロコントロールユニット40は対外出力電力P_Invが予設定電力P1より小さいか否かを判断する。なお、予設定電力P1(例えば、500ワット)は、異なる制御要求に応じて調整可能である。マイクロコントロールユニット40は対外出力電力P_Invが予設定電力P1より小さいと判断した場合、ステップS306を実行し、逆の場合、ステップS200に戻る。
【0028】
ステップS306:マイクロコントロールユニット40は電力変換システム100が交流電源ポート14から出力する交流電の周波数Fを上げて、交流電源ポート14にカップリングされた太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力を停止させ、過周波数保護に移る。例えば、マイクロコントロールユニット40は交流電の周波数Fを(F_Trip+Max_step)まで上げる。ここで、F_Tripは例えば60.6ヘルツ(Hz)であり、Max_stepは例えば0.3ヘルツである。さらに言うと、交流電の周波数Fが一旦F_Trip以上に達すると、太陽光発電インバーター50は電気エネルギーの出力を停止するため、周波数F_tripを中断周波数と呼んでよい。従って、當交流電の周波数Fが(F_Trip+Max_step)に等しい時、太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力をより確実に停止させることができる。マイクロコントロールユニット40はステップS306を実行した後、ステップS200に戻る。
【0029】
本発明の別の実施例において、マイクロコントロールユニット40は電圧差Vbusに基づいて図3A図3Bのプロセスを実行するほか、充電式電池70の現段階の充電率に基づいて図5A図5Bのプロセスを実行する。図5A図5Bのプロセスは以下のステップを含む。
【0030】
ステップS200:このステップは図3AにおけるステップS200と同じく、即ち、マイクロコントロールユニット40は電力変換システム100がグリッドに再接続されたか否かを判断し、マイクロコントロールユニット40は電力変換システム100がグリッドに再接続されたと判断した場合、図3AのステップS201を実行し、逆の場合、ステップS401を実行する。
【0031】
ステップS401:マイクロコントロールユニット40は充電状態信号SOCに基づいて、充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S2より大きいか否かを判断する。なお、予設定比率S2は20%から90%の間にあってよい。マイクロコントロールユニット40は充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S2より大きいと判断した場合、ステップS402を実行し、逆の場合、ステップS403を実行する。
【0032】
ステップS402:マイクロコントロールユニット40は電力変換システム100が交流電源ポート14から出力する交流電の周波数Fを(F_Trip+Max_Step)まで上げて、交流電源ポート14にカップリングされた太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力を停止させ、過周波数保護に移る。なお、F_Tripは例えば62ヘルツ(Hz)であり、Max_stepは例えば0.3ヘルツである。さらに言うと、交流電の周波数Fが一旦F_Trip以上に達すると、太陽光発電インバーター50は電気エネルギーの出力を停止するため、周波数F_Tripを“中断周波数”と呼んでもよい。従って、交流電の周波数Fが(F_Trip+Max_step)に等しい時、太陽光発電インバーター50の電気エネルギーの出力をより確実に停止させることができる。また、Max_Stepは((F_Stop-F_Start)/2)に等しくてもよいが、F_TripはF_Stopより大きい。マイクロコントロールユニット40はステップS402を実行した後、ステップS200に戻る。
【0033】
ステップS403:マイクロコントロールユニット40は充電状態信号SOCに基づいて、充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S3より大きいか否かを判断する。なお、予設定比率S3は予設定比率S2より小さく、かつ、15%から85%の間にあってよい。マイクロコントロールユニット40は充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S3より大きいと判断した場合、ステップS404を実行し、逆の場合、ステップS407を実行する。
【0034】
ステップS404:マイクロコントロールユニット40は、対外出力電力P_Invの負の値(即ち、-P_Inv)が予設定電力P2より大きいか否かを判断する。なお、対外出力電力P_Invの負の値が正である場合、電力変換システム100が外部から電力を受けることを示し、予設定電力P2は例えば1000ワットであるが、これに限定されない。マイクロコントロールユニット40は対外出力電力P_Invの負の値が予設定電力P2より大きいと判断しなかった場合、ステップS405を実行する。マイクロコントロールユニット40は対外出力電力P_Invの負の値が予設定電力P2より大きいと判断した場合、ステップS409を実行する。
【0035】
ステップS405:マイクロコントロールユニット40は対外出力電力P_Invが予設定電力P1より小さいか否かを判断する。なお、予設定電力P1は予設定電力P2より小さく、予設定電力P1は例えば500ワットであるが、これに限定されない。対外出力電力P_Invが予設定電力P1より小さいと判断された場合、ステップS406を実行し、逆の場合、ステップS401に戻る。
【0036】
ステップS406:マイクロコントロールユニット40は周波数Fを予設定値Min_Step上げる調整を行って(即ち、F=F+Min_Step)、ステップS401に戻る。なお、予設定値Min_Stepは((F_Stop-F_Start)/8)に等しくてもよいが、このステップで周波数Fを最も高くしてF_Stopまで調整することができ、即ち、このステップにおける周波数Fの最大値F_MaxはF_Stopである。ステップS406の効果は、充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S3より大きく、かつ、対外出力電力P_Invが予設定電力P1より小さい場合、周波数Fを上げる調整により、太陽光発電インバーター50の出力電力を下げることができる。
【0037】
ステップS407:マイクロコントロールユニット40は充電状態信号SOCに基づいて、充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S1より小さいか否かを判断する。なお、予設定比率S1は予設定比率S2及びS3より小さく、かつ、10%から80%の間にあってもよい。マイクロコントロールユニット40は充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S1より小さいと判断した場合、ステップS408を実行し、逆の場合、ステップS401に戻る。
【0038】
ステップS408:マイクロコントロールユニット40は周波数Fを予設定値Min_Step下がる調整を行って(即ち、即:F=F-Min_Step)、ステップS401に戻る。なお、このステップで周波数Fを最も低くしてF_Startまで調整することができ、即ち、このステップにおける周波数Fの最小値F_MinはF_Startである。ステップS408の効果は、充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S1より小さい場合、周波数Fを下げる調整により、太陽光発電インバーター50の出力電力を上げることができる。
【0039】
ステップS409:マイクロコントロールユニット40は周波数Fを予設定値Mid_Step上げる調整を行って(即ち、F=F+Mid_Step)、ステップS401に戻る。なお、予設定値Mid_Stepは((F_Stop-F_Start)/4)に等しくてもよいが、このステップで周波数Fを最も高くしてF_Stopまで調整することができ、即ち、このステップにおける周波数Fの最大値F_MaxはF_Stopである。ステップS409の効果は、充電式電池70の現段階の充電率が予設定比率S3より大きく、かつ、電力変換システム100が外部から受ける電力が予設定電力P2より大きい場合、周波数Fを上げる調整により、太陽光発電インバーター50の出力電力を下げることができる。
【0040】
本発明のマイクロコントロールユニット40は商用電源のオフグリッドの発生を検出した場合、電力変換システム100に交流電周波数Fを出力させ、太陽光発電インバーター50が単独(Islanding)保護にならないよう誘導し、発電してグリッドに提供し、そのエネルギーを負荷60と電力変換システム100に提供し、マイクロコントロールユニット40は高圧コンデンサーCの両端の電圧差Vbus、充電式電池70の現段階の充電率、及び対外出力電力P_Invの正負と大きさに基づいて、電力変換システム100が出力する交流電の周波数を動的に調整し、これにより、電力変換システム100全体の電力潮流を効率的に制御できる。
【0041】
以上は本発明の好ましい実施例に過ぎず、請求の範囲の記載範囲内において施された等価な変更と修飾も本発明の範囲に属する
【符号の説明】
【0042】
10 商用電源
12 商用電源接続ポート
14 交流電源ポート
16、90 直流電源ポート
20、82 直流コンバーター
22 電源インバーター
30 電圧電流計
40 マイクロコントロールユニット
50 太陽光発電インバーター
60 負荷
70 充電式電池
80、92 太陽光パネル
100 電力変換システム
C 高圧コンデンサー
F 周波数
F_min 最小周波数
F_normal 一般周波数
F_Start 始動周波数
F_Stop 停止周波数
F_Trip 中断周波数
Ia 電流
P_Inv 電力
Va 電圧
Vb 直流電圧
Vbus 電圧差
SOC 充電状態信号
S200~S212、S302~S306、S401~S409 ステップ
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
【外国語明細書】