(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154428
(43)【公開日】2023-10-19
(54)【発明の名称】合理的なポリプロイド性アデノ随伴ウイルスベクターならびにその製造法および使用法
(51)【国際特許分類】
C12N 7/01 20060101AFI20231012BHJP
C12N 15/88 20060101ALI20231012BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20231012BHJP
C12N 15/864 20060101ALN20231012BHJP
C07K 14/015 20060101ALN20231012BHJP
C12N 15/35 20060101ALN20231012BHJP
【FI】
C12N7/01 ZNA
C12N15/88 Z
A61K48/00
C12N15/864 100Z
C07K14/015
C12N15/35
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125955
(22)【出願日】2023-08-02
(62)【分割の表示】P 2019565168の分割
【原出願日】2018-07-31
(31)【優先権主張番号】62/668,056
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/678,675
(32)【優先日】2018-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501345323
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノース カロライナ アット チャペル ヒル
【氏名又は名称原語表記】THE UNIVERSITY OF NORTH CAROLINA AT CHAPEL HILL
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】リ チェンウェン
(72)【発明者】
【氏名】サムルスキ リチャード ジュード
(57)【要約】 (修正有)
【課題】単離アデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオン、該AAVビリオンの作製方法および使用方法を提供する。
【解決手段】本発明は、ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを提供し、このポリプロイド性AAVカプシドは、1つまたは2つ以上の第1のAAV血清型に由来するカプシドタンパク質VP1と、1つまたは2つ以上の第1のAAV血清型に由来するカプシドタンパク質VP2と、1つまたは2つ以上の第2のAAV血清型に由来するカプシドタンパク質VP3とを任意の組み合わせで含み、第1のAAV血清型の少なくとも1つは、第2のAAV血清型の少なくとも1つと異なり、かつ第3のAAV血清型の少なくとも1つと異なる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、
2つのウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、
存在するウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質とは異なる血清型に由来し、
VP1が1つの血清型にのみ由来し、VP2が1つの血清型にのみ由来し、かつ、VP3が1つの血清型にのみ由来する、
前記単離AAVビリオン。
【請求項2】
3つのウイルス構造タンパク質全てが存在する、請求項1に記載の単離AAVビリオン。
【請求項3】
3つのウイルス構造タンパク質全てが、異なる血清型に由来する、請求項2に記載の単離AAVビリオン。
【請求項4】
3つの構造タンパク質のうちの1つだけが、異なる血清型に由来する、請求項2に記載の単離AAVビリオン。
【請求項5】
他の2つのウイルス構造タンパク質と異なる1つのウイルス構造タンパク質が、VP1である、請求項4に記載の単離AAVビリオン。
【請求項6】
他の2つのウイルス構造タンパク質と異なる1つのウイルス構造タンパク質が、VP2である、請求項4に記載の単離AAVビリオン。
【請求項7】
他の2つのウイルス構造タンパク質と異なる1つのウイルス構造タンパク質が、VP3である、請求項4に記載の単離AAVビリオン。
【請求項8】
少なくとも101個のビリオンである、請求項1~7のいずれか一項に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項9】
少なくとも107個のビリオンである、請求項8に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項10】
少なくとも107~1015個のビリオンである、請求項8に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項11】
少なくとも109個のビリオンである、請求項8に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項12】
少なくとも1010個のビリオンである、請求項8に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項13】
少なくとも1011個のビリオンである、請求項8に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項14】
少なくとも95%同種である、請求項10に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項15】
少なくとも99%同種である、請求項10に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項16】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオンを作製する方法であって、
AAVビリオンの形成のための条件下で細胞を第1の核酸配列および第2の核酸配列と接触させる工程を含み、
AAVビリオンが、少なくともVP1およびVP3ウイルス構造タンパク質から形成され、
第1の核酸が、第1のAAV血清型にのみ由来するVP1をコードするが、VP3を発現することはできず、
第2の核酸配列が、第1のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来するVP3をコードし、かつさらに、VP1を発現することはできず、
AAVビリオンが、第1の血清型にのみ由来するVP1および第2の血清型にのみ由来するVP3を含み、かつ、
VP2が発現されるとき、それが1つの血清型にのみ由来する、
前記方法。
【請求項17】
第1の核酸が、第1の核酸から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP2およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げる変異をVP1の開始コドン中に有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
1つの血清型にのみ由来するVP2が発現される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
VP2が、VP1と異なる血清型およびVP3と異なる血清型に由来する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
VP2が、VP1と同じ血清型に由来する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
VP2が、VP3と同じ血清型に由来する、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
AAVビリオンが、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質から形成され、
ウイルス構造タンパク質が、第1のAAV血清型にのみ由来する第1の核酸および第1のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、さらに、
第1の核酸がA2スプライスアクセプター部位中に変異を有し、さらに、第2の核酸がA1スプライスアクセプター部位中に変異を有し、かつ、
ポリプロイド性AAVビリオンが、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項25】
第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
ウイルス構造タンパク質が、第2および第3の血清型とは異なる第1のAAV血清型にのみ由来する第1の核酸配列、第1および第3のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸配列、ならびに第1および第2のAAV血清型とは異なる第3のAAV血清型にのみ由来する第3の核酸配列にコードされ、さらに、
第1の核酸配列が、第1の核酸から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP2およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第2の核酸配列が、第2の核酸配列から転写されるRNAからのVP1およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP1およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第3の核酸配列が、第3の核酸から転写されるRNAからのVP1およびVP2の翻訳を妨げる変異をVP1およびVP2の開始コドン中に有し、
AAVビリオンが、第1の血清型にのみ由来するVP1、第2の血清型にのみ由来するVP2、および第3の血清型にのみ由来するVP3を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項28】
第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
第3のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
第1の核酸配列が、第1の核酸配列から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げるVP2およびVP3の開始コドン中の変異ならびにA2スプライスアクセプター部位中の変異を有し、さらに、第2の核酸配列が、第2の核酸配列から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げるVP1の開始コドン中の変異ならびにA1スプライスアクセプター部位中の変異を有し、かつ、AAVポリプロイド性カプシドが、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項32】
第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
ウイルス構造タンパク質が、2以上の異なるAAV血清型のDNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸配列にコードされ、さらに、
第1の核酸配列から転写されるRNAからVP2およびVP3が翻訳できないように、VP2およびVP3に対する開始コドンが変異されており、さらに、
カプシドタンパク質が、単一のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げる変異をVP1の開始コドン中に有し、かつ、
ポリプロイド性AAVカプシドが、DNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸配列由来のVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項35】
ウイルス構造タンパク質が、2以上の異なるAAV血清型のDNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸配列にコードされ、さらに、
第1の核酸から転写されるRNAからVP2およびVP3が翻訳できないように、VP2およびVP3に対する開始コドンが変異されており、そして、
第1の核酸のA2スプライスアクセプター部位が変異されており、さらに、
カプシドタンパク質が、単一のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸配列にコードされ、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げるVP1の開始コドン中の変異ならびにA1スプライスアクセプター部位中の変異を有し、かつ、
ポリプロイド性AAVカプシドが、DNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸由来のVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項36】
AAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、表1または表3から選択されるAAV、および各AAVの任意のキメラからなる群より選択される、請求項15に記載のビリオン。
【請求項37】
請求項16に記載の方法によって生産される、ビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項38】
請求項18に記載の方法によって生産される、ビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項39】
異種遺伝子が、疾患を処置するためのタンパク質をコードする、請求項38に記載のAAVビリオン。
【請求項40】
疾患が、リソソーム蓄積症、例えば、ムコ多糖症(例えば、スライ症候群[-グルクロニダーゼ]、ハーラー症候群[a-L-イズロニダーゼ]、シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハーラー-シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハンター症候群[イズロン酸スルファターゼ]、サンフィリポ症候群A[ヘパランスルファミダーゼ]、B[N-アセチルグルコサミニダーゼ]、C[アセチル-CoA:a-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ]、D[N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ]、モルキオ症候群A[ガラクトース-6-硫酸スルファターゼ]、B[-ガラクトシダーゼ]、マロトー-ラミー症候群[N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ]など)、ファブリー病(a-ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、またはグリコーゲン蓄積症(例えば、ポンペ病;リソソーム酸性a-グルコシダーゼ)から選択される、請求項39に記載のAAVビリオン。
【請求項41】
ウイルス構造タンパク質の少なくとも1つがキメラウイルス構造タンパク質である、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離AAVビリオン。
【請求項42】
キメラウイルス構造タンパク質が、AAV血清型に由来するが、他のウイルス構造タンパク質とは異なる、請求項41に記載の単離AAVビリオン。
【請求項43】
ウイルス構造タンパク質のいずれもキメラウイルス構造タンパク質ではない、請求項1~7のいずれか一項に記載の単離AAVビリオン。
【請求項44】
キメラウイルス構造タンパク質と少なくとも1つの他のウイルス構造タンパク質との間で血清型の重複がない、請求項41に記載の単離AAVビリオン。
【請求項45】
請求項16~35のいずれか一項に記載の方法を使用して形質導入を調節する方法。
【請求項46】
形質導入を増強する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
請求項16~35のいずれか一項に記載の方法を使用することを含む、AAVビリオンの向性を変化させる方法。
【請求項48】
請求項16~35のいずれか一項に記載の方法を使用することを含む、AAVビリオンの免疫原性を変化させる方法。
【請求項49】
請求項16~35のいずれか一項に記載の方法を使用することを含む、組織におけるベクターゲノムコピー数を増加させる方法。
【請求項50】
請求項16~35のいずれか一項に記載の方法を使用することを含む、導入遺伝子発現を増加させるための方法。
【請求項51】
有効量の請求項1~7、36、43、および44のいずれか一項に記載のビリオン、請求項8~15、37~42、および44のいずれか一項に記載のビリオンの実質的に同種の集団、または請求項16~35のいずれか一項に記載の方法によって作製されたビリオンを投与する工程を含む、疾患を処置する方法であって、
異種遺伝子が、疾患を有する対象への遺伝子療法による処置に好適な疾患を処置するためのタンパク質をコードする、
前記方法。
【請求項52】
疾患が、遺伝性疾患、がん、免疫学的疾患、炎症、自己免疫疾患、および変性疾患から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
複数の投与が行われる、請求項51および52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
事前投与に応答して形成される中和抗体を回避するために、異なるポリプロイド性ビリオンを使用する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
請求項1~15および36~44のいずれか一項に記載のAAVビリオンを投与する工程を含む、たった1つの血清型に全て由来するウイルス構造タンパク質を有する粒子を有するAAVベクターに対して、形質導入、コピー数、および導入遺伝子発現のうちの少なくとも1つを増加させる方法。
【請求項56】
AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分なウイルスカプシド構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、ウイルスカプシド構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルスカプシド構造タンパク質と異なり、かつ、該ビリオンが、同じタイプの各構造タンパク質のみを含有する、単離AAVビリオン。
【請求項57】
AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有し、
2つのウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、存在する他のウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質と異なり、かつ、該ビリオンが、同じタイプの各構造タンパク質のみを含有する、
請求項56に記載の単離AAVビリオン。
【請求項58】
3つのウイルス構造タンパク質全てが存在する、請求項57に記載の単離AAVビリオン。
【請求項59】
第4のAAV構造タンパク質をさらに含む、請求項58に記載の単離AAVビリオン。
【請求項60】
AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、VP1.5、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有し、
2つのウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、存在するウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質とは異なる血清型に由来し、
VP1が1つの血清型にのみ由来し、VP2が1つの血清型にのみ由来し、VP1.5が1つの血清型にのみ由来し、かつ、VP3が1つの血清型にのみ由来する、
請求項56に記載の単離AAVビリオン。
【請求項61】
ウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質の少なくとも1つと異なるキメラタンパク質である、請求項57~60のいずれか一項に記載の単離AAVビリオン。
【請求項62】
VP3のみがキメラであり、VP1およびVP2が非キメラである、請求項61に記載のビリオン。
【請求項63】
VP1およびVP2のみがキメラであり、VP3のみが非キメラである、請求項61に記載のビリオン。
【請求項64】
キメラがAAV血清型2および8由来のサブユニットから構成され、VP3がAAV血清型2に由来する、請求項63に記載のビリオン。
【請求項65】
全てのウイルス構造タンパク質が、異なる血清型に由来する、請求項56~64のいずれか一項に記載の単離AAVビリオン。
【請求項66】
構造タンパク質の1つのみが、異なる血清型に由来する、請求項56~64のいずれか一項に記載の単離AAVビリオン。
【請求項67】
少なくとも107個のビリオンである、請求項56~66のいずれか一項に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項68】
少なくとも107~1015個のビリオンである、請求項67に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項69】
少なくとも109個のビリオンである、請求項67に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項70】
少なくとも1010個のビリオンである、請求項67に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項71】
少なくとも1011個のビリオンである、請求項67に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項72】
少なくとも95%同種である、請求項67~71のいずれか一項に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項73】
少なくとも99%同種である、請求項72に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項74】
AAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、表1または表3から選択されるAAV、および各AAVの任意のキメラからなる群より選択される、請求項56~73のいずれか一項に記載のビリオン。
【請求項75】
請求項73に記載のビリオンの実質的に同種の集団。
【請求項76】
異種遺伝子が、疾患を処置するためのタンパク質をコードする、請求項56~74のいずれか一項に記載のAAVビリオン。
【請求項77】
疾患が、リソソーム蓄積症、例えば、ムコ多糖症(例えば、スライ症候群[-グルクロニダーゼ]、ハーラー症候群[a-L-イズロニダーゼ]、シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハーラー-シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハンター症候群[イズロン酸スルファターゼ]、サンフィリポ症候群A[ヘパランスルファミダーゼ]、B[N-アセチルグルコサミニダーゼ]、C[アセチル-CoA:a-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ]、D[N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ]、モルキオ症候群A[ガラクトース-6-硫酸スルファターゼ]、B[-ガラクトシダーゼ]、マロトー-ラミー症候群[N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ]など)、ファブリー病(a-ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、またはグリコーゲン蓄積症(例えば、ポンペ病;リソソーム酸性a-グルコシダーゼ)から選択される、請求項76に記載のAAVビリオン。
【請求項78】
ウイルス構造タンパク質のいずれもキメラウイルス構造タンパク質ではない、請求項56~60および66~77のいずれか一項に記載の単離AAVビリオン。
【請求項79】
キメラウイルス構造タンパク質と少なくとも1つの他のウイルス構造タンパク質との間で血清型の重複がない、請求項57~78のいずれか一項に記載の単離AAVビリオン。
【請求項80】
有効量の請求項56~66、74、76~79のいずれか一項に記載のビリオン、または請求項67~73および75のいずれか一項に記載のビリオンの実質的に同種の集団を投与する工程を含む、疾患を処置する方法であって、
異種遺伝子が、疾患を有する対象への遺伝子療法による処置に好適な疾患を処置するためのタンパク質をコードする、
前記方法。
【請求項81】
疾患が、遺伝性疾患、がん、免疫学的疾患、炎症、自己免疫疾患、および変性疾患から選択される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
複数の投与が行われる、請求項80および81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
事前投与に応答して形成される中和抗体を回避するために、異なるポリプロイド性ビリオンを使用する、請求項82に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下、2018年5月7日に出願された米国仮出願第62/668,056号;および2018年5月31日に出願された米国仮出願第62/678,675号の恩典を主張するものであり、その各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
政府支援の声明
本発明は、米国立衛生研究所によって授与された助成金番号DK084033、AI117408、AI072176、CA016086、CA151652、HL125749およびHL112761の下で政府支援によってなされた。米国政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
配列表の電子出願に関する記述
米国特許法施行規則第1.821条の下で提出された、名称5470-786WO2_ST25.txt、111,597バイトサイズ、2018年7月31日に作成され、EFS-Webにより出願されたASCIIテキスト形式の配列表が、紙コピーの代わりに提供される。この配列表は、その開示のために参照より本明細書に組み入れられる。
【0004】
技術分野
本発明は、所望の特性を有する合理的なポリプロイド性ビリオンの生産のための方法、ビリオン、そのようなビリオンの実質的に同種の集団、実質的に同種の集団を生産する方法、およびその使用を対象にする。
【背景技術】
【0005】
発明の背景
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは100を超える臨床試験で使用され、特に盲および血友病Bの処置に有望な結果を出している。AAVは、非病原性であり、広い組織向性を有し、分裂細胞または非分裂細胞に感染することができる。より重要なことに、AAVベクター形質導入は、前臨床試験および臨床試験で長期の治療的導入遺伝子発現を誘導した。今のところ、遺伝子送達のために単離された12種類の血清型のAAVがある。それらの中で、AAV8は、マウス肝臓のターゲティングのために最良であることが示されている。FIX欠損を有する前臨床動物における幅広い研究と第I/II相臨床試験が、AAV2およびAAV8を使用して血友病Bを有する患者において実施された。これらの試験からの結果は、非常に有望ではあるが、AAV/FIXの投与を受けた患者からのFIXの発現は、同じベクター投与量/kgを使用しても、動物モデルで達成された発現と比例しなかった。FIXをコードするAAV8粒子1×1011個を使用してFIXノックアウトマウスに全身投与すると、血中で正常レベルの160%のFIXが検出された。しかし、AAV8/FIX粒子2×1011個が投与された場合、霊長類においてはFIXの40%しか達成されず、ヒトにおいてはFIXの1%未満しか見出されなかった。これらの種の間でのAAVベクター形質導入後の一貫しないFIX発現は、異なる種における肝実質細胞の向性の変更が原因であり得る。AAV FIX臨床試験からの別の興味深い知見は、AAV形質導入肝実質細胞を全滅させ、治療の失敗を招くカプシド特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答である。この現象は、AAV送達後の動物モデルにおいては見出されておらず、このことは、前臨床試験と臨床試験との間にまた別の変化があることを示している。はるかに高い用量のAAV/FIXベクターを使用した場合には、AAV2またはAAV8のいずれかを使用した臨床試験の両方においてFIX発現が検出された。しかし、血中FIXレベルは、それぞれ注射の4週間後または9週間後に減少した。さらなる研究により、AAVベクター感染がカプシド特異的CTL応答を誘発し、この応答がAAV形質導入肝実質細胞を除去したようであることが示唆された。したがって、これらの臨床試験からの結果は、ベクターカプシドの負荷を増すことなくAAV形質導入を増強するための効果的なアプローチを探求する必要性を強調している。AAVカプシド抗原効果を減少させるどのようなベクター改善も、厄介なベクター生産という懸念材料に影響を与え、実現可能な遺伝子治療薬の開発にとって歓迎すべき追加となるであろう。
【0006】
効率的な複製のためにヘルパーウイルスを必要とする非病原性依存性パルボウイルスであるアデノ随伴ウイルス(AAV)は、その安全性および簡単さのため、遺伝子療法用のウイルスベクターとして利用される。AAVは、広範囲の宿主を有し、分裂細胞および非分裂細胞の両方を形質転換することが可能な細胞型向性を有する。現在までのところ、12種類のAAV血清型および100種類を超えるバリアントが同定されている。異なる血清型カプシドは、組織または培養細胞において異なる感染性を有し、それは、細胞表面の主受容体および共受容体または細胞内輸送経路自体に依存する。AAV2およびAAV3についてのヘパリン硫酸プロテオグリカン(HSPG)、ならびにAAV5についてのN-結合型シアル酸のように、AAVのいくつかの血清型の主受容体は決定されているが、AAV7およびAAV8の主受容体は同定されていない。興味深いことに、培養細胞におけるAAVベクターの形質導入効率が、常に動物での形質導入効率に転換されるわけではない。例えば、AAV8は、マウス肝臓において他の血清型よりもずっと高い導入遺伝子の発現を誘導するが、培養細胞株では誘導しない。
【0007】
上記12種類の血清型のうち、いくつかのAAV血清型およびバリアントが臨床試験に使用されている。最初に特徴付けられたカプシドとして、AAV2は、レーバー先天黒内障についてのRPE 65および血友病Bについての第IX因子(FIX)などの遺伝子送達に最も広く使用されている。AAVベクターの適用は安全であることが証明されており、これらの臨床試験で治療効果が達成されているものの、AAVベクターの主な難題のうちの1つは、比較的膨大な数のウイルスゲノムを必要とする、その低感染性である。AAV8ベクターは、血友病Bの患者におけるいくつかの臨床試験で使用されている別のベクターである。AAV8/FIX肝臓標的指向型送達からの結果により、マウス、非ヒト霊長類およびヒトの間で導入遺伝子の発現にはっきりした種差があることが実証された。FIX遺伝子を有するAAV8 1010vgは、FIXノックアウトマウスにおいて生理レベルを上回るFIX発現(>100%)に達することができたが、高用量(2×1012vg/kg体重)だけがヒトにおいて検出可能なFIX発現を誘導することができた。上記のこれらの結果に基づき、AAVの形質導入を増強するための効果的な戦略の開発が、依然として必要である。
【0008】
大部分の人々はAAVに自然に曝露されている。結果として、集団の大部分は、血液および他の体液中に特定の血清型のAAVに対する中和抗体(Nab)を生じている。Nabの存在は、将来的な臨床試験におけるAAVのより広い適用にとって別の大きな難題を提起する。AAVの形質導入を増強するまたはNab活性を回避するために、多くのアプローチ、特に合理的設計および指向性進化法に基づくAAVカプシドの遺伝子修飾が探究されている。いくつかのAAV変異体が、インビトロまたは動物モデルにおいてNabを回避する能力と共に高い形質導入を実証しているものの、カプシド組成の修飾は、親AAVの細胞向性を変更する能力を提供する。
【0009】
本発明は、組み合わされた望ましい特徴を有するAAVベクターの、当技術分野における必要性に取り組むものである。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らの過去の研究は、異なるAAV血清型(AAV1~AAV5)由来のカプシドが、AAVビリオンをアセンブルするのに適合性であったこと(ビリオン、カプシド、ウイルス粒子、および粒子という用語は、本出願において互換的に使用される)、および、ほとんどの単離されたAAVモノクローナル抗体が、異なるAAVサブユニットに位置するいくつかの部位を認識したことを示している。加えて、キメラAAVカプシドによる研究は、他の血清型由来の主受容体に対するドメインまたは組織特異的ドメインの導入によってより高い形質導入を達成することができることを実証した。AAV2カプシドへのAAV9グリカン受容体の導入は、AAV2形質導入を増強する。AAV6からAAV2カプシドへの100aaドメインの置換は、筋肉向性を増加させる。本発明者らは、2以上のAAV血清型由来のカプシドからなるポリプロイド性AAVベクターが、より高い形質導入のために個々の血清型から利点を得るが、ある特定の態様においては、親に由来する向性を排除しない可能性があることを発見した。その上、Nabの大部分が立体構造エピトープを認識すること、および、ポリプロイド性ビリオンが変化したその表面構造を有することができることから、これらのポリプロイド性ウイルスは、Nabによる中和を回避する能力を有する可能性がある。
【0011】
混合またはモザイクカプシドシェルを有するrAAVを生成するための1つのアプローチは、AAV血清型の混合物由来のカプシドタンパク質(VP1、VP2、およびVP3)をコードするAAVヘルパープラスミドを加えることであった。この方法論は、時に、クロスドレッシング(cross-dressing)と呼ばれる。ある特定の態様において、クロスドレッシングは、ある特定のビリオンの抗原性パターンを変化させることができる。しかしながら、多種多様なビリオンが生産される。その上、生産されるビリオンは、血清型の混合物を有するモザイク体である。その結果、生産されるビリオンの集団は、抗原応答を誘発するだろういくつかの粒子を保持する。したがって、所定のビリオンの実質的に同種の集団を得ることが望ましいだろう。
【0012】
本発明者らは、今般、そのようなキメラのまたはシャッフルされたビリオンの合理的な設計および生産を可能にする方法論を発見した。得られたビリオンは、そのカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3が少なくとも2つの異なる血清型に由来することを表すために、ポリプロイド、ハプロイド、またはトリプロイドと呼ばれることもある。カプシドは、遺伝子療法のために単離された12種類のAAV血清型、そのような遺伝子の他の種、変異体血清型、シャッフル血清型、例えば、AAV2 VP1.5およびAAV4 VP2、AAV4 VP3、または所望の他の任意のAAV血清型を含めたいずれのAAV血清型に由来することもできる。この方法は、ビリオンの実質的に同種の集団をもたらす、所望のビリオンのみの感染性ウイルスの生産を可能にする。
【0013】
AAVビリオンは、T=1正二十面体対称性を有し、3つの構造ウイルスタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる。60コピーの1:1:8~10(それぞれ、VP1:VP2:VP3)の比の3つのウイルスタンパク質がビリオンを形成する(Rayaprolu, V., et al., J. Virol. 87(24): 13150-13160 (2013)。
【0014】
一態様において、AAVビリオンは、他のVPと異なる血清型由来のウイルス構造タンパク質VP1、VP2、およびVP3の少なくとも1つを有する単離ビリオンであり、各VPは、1つの血清型にのみ由来する。例えば、VP1はAAV2にのみ由来し、VP2はAAV4にのみ由来し、VP3はAAV8にのみ由来する。
【0015】
代替的な一態様において、AAVゲノムをカプシド封入することができるビリオン粒子を形成するのに必要なAAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する少なくとも1つのウイルスタンパク質が他のウイルスタンパク質の少なくとも1つと異なる、ビリオン粒子を構築することができる。存在するウイルスタンパク質(VP1、VP2、および/またはVP3)それぞれについて、そのタンパク質は、同じタイプ(例えば、全てAAV2 VP1)である。一例として、ウイルスタンパク質の少なくとも1つがキメラウイルスタンパク質であり、他の2つのウイルスタンパク質の少なくとも1つがキメラではない。一態様において、VP1およびVP2はキメラであり、VP3のみが非キメラである。例えば、最適なのは、AAV2由来のVP3のみと対合されたキメラAAV2/8由来のVP1/VP2(AAV2のN末端およびAAV8のC末端)から構成されるウイルス粒子;または、最適なのは、AAV2由来のVP3のみと対合されたキメラVP1/VP2 28m-2P3(AAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端、VP3開始コドンの変異なし)である。別の態様において、VP3のみがキメラであり、VP1およびVP2は非キメラである。別の態様において、ウイルスタンパク質の少なくとも1つは、完全に異なる血清型由来である。例えば、最適なのは、AAV3にのみ由来するVP3と対合されたキメラVP1/VP2 28m-2P3である。別の例として、キメラは存在しない。
【0016】
一態様において、AAVゲノム(2つのAAV ITR間の異種遺伝子を含む)をカプシド封入するAAVビリオンを、2つのウイルス構造タンパク質VP1およびVP3だけで形成することができる。一態様において、このビリオンは、立体構造的に正しい、すなわち、T=1正二十面体対称性を有する。一態様において、ビリオンは感染性である。
【0017】
集団は、少なくとも101個のビリオン、少なくとも102個のビリオン、少なくとも103個のビリオン、少なくとも104個のビリオン、少なくとも105個のビリオン、…少なくとも1010個のビリオン、少なくとも1011個のビリオン、少なくとも1012個のビリオン、少なくとも1015個のビリオン、少なくとも1017個のビリオンである。一態様において、集団は、少なくとも100のウイルス粒子である。一態様において、集団は、109~1012個のビリオンである。
【0018】
一態様において、集団は、少なくとも1×104のウイルスゲノム(vg)/ml、少なくとも1×105のウイルスゲノム(vg)/ml、少なくとも1×106のウイルスゲノム(vg)/ml、少なくとも1×107のウイルスゲノム(vg)/ml、少なくとも1×108のウイルスゲノム(vg)/ml、少なくとも1×109のウイルスゲノム(vg)/ml、少なくとも1×1010vg/ml当たり、少なくとも1×1011vg/ml当たり、少なくとも1×1012vg/ml当たりである。一態様において、集団は、約1×105vg/ml~約1×1013vg/mlの範囲である。
【0019】
実質的に同種の集団は、所望のビリオンだけが少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも93%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.9%である。一態様において、集団は、完全に同種である。
【0020】
AAV2およびAAV8は、臨床適用に使用されてきた。一態様において、本発明者らはまず、AAV2およびAAV8由来のハプロイドAAVウイルスを、インビトロおよびインビボでの形質導入効率について、さらには、Nab回避能、すなわち抗原性応答などの免疫応答についても特徴付けた。その研究では、本発明者らは、ハプロイドベクターのウイルス収量が損なわれなかったこと、および、ヘパリン結合プロファイルが、AAV2カプシドサブユニットタンパク質の組み込みに関連していたことを見いだした。ハプロイドベクターAAV2/8は、マウスの筋肉および肝臓においてより高い形質導入を開始した。FIX欠損マウスモデルに適用したとき、AAV8群と比較してより高いFIX発現および改善された出血表現型補正がハプロイドベクター処置マウスにおいて観察された。重要なことに、ハプロイドウイルスAAV2/8は、A20に対して低い結合親和性を有しており、抗AAV2血清からの中和を回避することができた。次のポリプロイド性ウイルスAAV2/8/9を、3つの血清型(AAV2、8および9)のカプシドから作製した。ハプロイドAAV2/8/9の中和抗体回避能は、親の血清型で免疫化された血清に対して大幅に改善されたことが実証された。
【0021】
したがって、一態様において、本発明は、1つまたは2つ以上の第1のAAV血清型に由来するカプシドタンパク質VP1と、1つまたは2つ以上の第2のAAV血清型に由来するカプシドタンパク質VP3とを任意の組み合わせで含むアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドであって、第1のAAV血清型の少なくとも1つが第2のAAV血清型の少なくとも1つと異なる、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを提供する。好ましくは、そのような集団は、実質的に同種である。いくつかの態様において、本発明のカプシドは、カプシドタンパク質VP2を任意の組み合わせで含み、カプシドタンパク質VP2は、1つまたは2つ以上の第3のAAV血清型に由来し、ここで、1つまたは2つ以上の第3のAAV血清型の少なくとも1つは、第1のAAV血清型および/または第2のAAV血清型と異なる。
【0022】
いくつかの態様において、AAVビリオンは、少なからず典型的な3つのウイルス構造タンパク質VP1、VP2、およびVP3から形成することができる(例えば、Wang, Q. et al., "Syngeneic AAV Pseudo-particles Potentiate Gene Transduction of AAV Vectors," Molecular Therapy: Methods and Clinical Development, Vol. 4, 149-158 (2017) を参照のこと)。そのようなウイルスカプシドもまた、本発明の範囲内に収まる。例えば、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分なウイルスカプシド構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、ウイルスカプシド構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルスカプシド構造タンパク質と異なり、そして、各ウイルスカプシド構造タンパク質が、もっぱら同じタイプのものである、単離AAVビリオンである。さらなる態様において、単離AAVビリオンは、AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、VP1.5、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有し、ここで、2つのウイルスタンパク質は、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、存在するウイルス構造タンパク質の少なくとも1つは、他のウイルス構造タンパク質と異なる血清型に由来し、VP1は1つの血清型にのみ由来し、VP2は1つの血清型にのみ由来し、VP1.5は1つの血清型にのみ由来し、そして、VP3は1つの血清型にのみ由来する。例えば、VP1.5はAAV血清型2に由来することができ、そして、VP3はAAV血清型8に由来することができる。
【0023】
いくつかの態様において、本発明のカプシドは、1つまたは2つ以上の第4のAAV血清型に由来するカプシドタンパク質VP1.5を任意の組み合わせで含み、ここで、1つまたは2つ以上の第4のAAV血清型の少なくとも1つは、第1のAAV血清型および/または第2のAAV血清型と異なる。いくつかの態様において、本明細書に記載のAAVカプシドタンパク質は、カプシドタンパク質VP2を含むことができる。
【0024】
したがって、ある特定の態様において、ウイルス構造タンパク質の少なくとも1つは、キメラウイルス構造タンパク質であることができる、すなわち、2以上のタンパク質由来のセグメントを含有することができる。一態様において、キメラウイルス構造タンパク質は全て、同じ血清型由来である。別の態様において、キメラウイルス構造タンパク質は、2以上の血清型由来の成分から構成されるが、これらの血清型は、少なくとも1つの他の血清型と異なる。一態様において、ウイルス構造タンパク質は、キメラではない。一態様において、キメラAAV構造タンパク質は、イヌパルボウイルス由来の構造アミノ酸を含まない。一態様において、キメラAAV構造タンパク質は、b19パルボウイルス由来の構造アミノ酸を含まない。一態様において、キメラAAV構造タンパク質は、イヌパルボウイルス由来の構造アミノ酸もb19パルボウイルス由来の構造アミノ酸も含まない。一態様において、キメラAAV構造タンパク質は、AAV由来の構造アミノ酸のみを含む。
【0025】
いくつかの態様において、他のウイルスタンパク質と異なる少なくとも1つのウイルスタンパク質を含有するビリオンだけが生産される。例えば、VP1およびVP2が同じ血清型に由来し、VP3が代替血清型に由来するのが最適である。他の態様において、VP1が1つの血清型に由来し、そして、VP2およびVP3が別の血清型に由来するのが最適である。別の態様において、VP1が1つの血清型に由来し、VP2が第2の血清型に由来し、そして、VP3がさらに別の血清型に由来する、粒子だけが生産される。
【0026】
これは、例えば、部位特異的欠失および/または付加によって、スプライスドナー部位、スプライスアクセプター部位、開始コドン、およびそれらの組み合わせを変化させることによって行うことができる。
【0027】
AAV血清型2を例示的なウイルスとして使用して、M11がVP1開始コドンであり、M138がVP2開始コドンであり、そして、M203がVP3開始コドンである。開始コドンの欠失、典型的には、M11およびM138の置換による欠失は、VP1およびVP2の発現を動作不能にする一方で、VP3開始コドンの同様の欠失は十分ではない。これは、ウイルスカプシドORFが、開始コドンとして様々な強度を有する多数のATGコドンを含有するためである。したがって、VP3を発現しない構築物を設計する際には、代替VP3種が確実に生産されないように注意する必要がある。VP3に関して、M138の除去が必要であるか、または、VP2が望まれるがVP3が望まれない場合、M203に加えてM211および235の欠失が典型的には最良のアプローチである(Warrington, K. H. Jr., et al., J. of Virol. 78(12): 6595-6609 (June 2004))。これは、置換などの変異または当技術分野において公知の他の手段によって行うことができる。他の血清型における対応する開始コドンを容易に決定することもできるし、例えばVP3における追加のATG配列が代替開始コドンとして機能できるかどうかを判定することもできる。
【0028】
これは、ハプロイドまたはトリプロイドウイルス粒子などの実質的に同種のポリプロイド性ビリオン集団の集団を生産するための方法を可能にする。
【0029】
本発明はまた、カプシドタンパク質VP1およびカプシドタンパク質VP2を任意の組み合わせで含むAAVカプシドであって、カプシドタンパク質VP1が、1つまたは1つよりも多い第1のAAV血清型由来であり、カプシドタンパク質VP2が、1つまたは1つよりも多い第2のAAV血清型由来であり、第1のAAV血清型のうちの少なくとも1つが、第2のAAV血清型のうちの少なくとも1つと異なる、AAVカプシドを提供する。
【0030】
いくつかの態様では、カプシドは、カプシドタンパク質VP3を任意の組み合わせで含み、カプシドタンパク質VP3は、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型由来であり、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型のうちの少なくとも1つが、第1のAAV血清型および/または第2のAAV血清型と異なる。いくつかの態様では、本明細書に記載のAAVカプシドは、カプシドタンパク質VP1.5を含むことができる。
【0031】
本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドが、カプシドタンパク質VP1およびカプシドタンパク質VP1.5を任意の組み合わせで含み、カプシドタンパク質VP1が、1つまたは1つよりも多い第1のAAV血清型由来であり、カプシドタンパク質VP1.5が、1つまたは1つよりも多い第2のAAV血清型由来であり、第1のAAV血清型のうちの少なくとも1つが、第2のAAV血清型のうちの少なくとも1つと異なる、AAVカプシドをさらに提供する。
【0032】
さらなる態様では、本発明は、(a)本発明のAAVカプシドと(b)少なくとも1つの末端反復配列を含み、AAVカプシドにより包まれた核酸とを含むウイルスベクターを提供する。ウイルスベクターは、AAV粒子であることができ、本発明のカプシドタンパク質、カプシド、ウイルスベクター、および/またはAAV粒子は、薬学的に許容される担体をさらに含む組成物中に存在することができる。
【0033】
任意の前記請求項記載のAAVカプシドを含むAAV粒子を作製する方法であって、(a)AAV粒子を組み立てるために必要な全ての機能および遺伝子を一緒に提供する1種もしくは複数種のプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトする工程;(b)1種もしくは複数種の核酸構築物をパッケージング細胞株もしくはプロデューサー細胞株に導入して、AAV粒子を組み立てるために必要な全ての機能および遺伝子を一緒に提供する工程;(c)AAV粒子を組み立てるために必要な全ての機能および遺伝子を一緒に提供する1種もしくは複数種の組み換えバキュロウイルスベクターを宿主細胞に導入する工程;ならびに/または(d)AAV粒子を組み立てるために必要な全ての機能および遺伝子を一緒に提供する1種または複数種の組み換えヘルペスウイルスベクターを宿主細胞に導入する工程
を含む方法が、本明細書にさらに提供される。
【0034】
さらなる態様では、本発明は、核酸を細胞に投与する方法であって、細胞を本発明のウイルスベクターおよび/または本発明の組成物と接触させる工程を含む方法を提供する。
【0035】
核酸を対象に送達する方法であって、対象に本発明のウイルスベクターおよび/または組成物を投与する工程を含む方法もまた、本明細書に提供される。
【0036】
加えて、障害または疾患の有益な処置における医薬として使用するための、本発明のカプシドタンパク質、カプシド、ウイルスベクター、AAV粒子、および/または組成物が、本明細書に提供される。
【0037】
本発明のこれらおよび他の局面は、後述の本発明の説明に、より詳細に扱われる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】インビトロでのハプロイドウイルスの形質導入プロファイル。ハプロイドまたは親のウイルスをHuh7細胞またはC2C12細胞に10
4vg/細胞で加えた。ルシフェラーゼアッセイのために形質導入の48時間後に細胞を溶解した。データは、3つの別個の感染の平均を表し、標準偏差をエラーバーによって示す。
【
図2】マウス筋肉におけるハプロイドウイルスの形質導入。1×10
10vgのハプロイドウイルス、親のウイルスまたはAAV2およびAAV8と混合したウイルスを、C57BL/6マウスに直接筋肉注射を介して注射した。各群に4匹のマウスを含めた。(パネルA)1週間後、IVIS撮像システムによってルシフェラーゼ遺伝子発現を撮像した。(パネルB)光子シグナルを測定および算出した。データは、各群4匹の注射マウスについてのルシフェラーゼ遺伝子発現値の平均を表し、標準偏差をエラーバーによって示す。仰向け:左脚-AAV8またはハプロイドまたは混合ウイルス、右脚-AAV2。
【
図3】マウス肝臓におけるハプロイドウイルスの形質導入。3×10
10vgのハプロイドウイルスを、静脈注射を介して投与した。注射後1週目に、IVIS撮像システムによってルシフェラーゼ発現を撮像し(パネルA)、光子シグナルを測定および算出した(パネルB)。注射後2週目に、マウスを安楽死させ、DNA抽出用に肝臓を摘出し、qPCRによって肝臓におけるAAVゲノムコピーを測定し(パネルC)、AAVゲノムコピー数当たりの相対的ルシフェラーゼ発現を算出した(パネルD)。データは、4匹のマウスからの平均および標準偏差を表す。
【
図4】ハプロイドウイルス送達を介したfixの治療レベル。FIXノックアウトマウスに、尾静脈を介して1×10
10vgの各ベクターを注射した。注射の1、2および4週間後に、血液試料を収集した。(パネルA)酵素結合免疫吸着測定法によってhFIXタンパク質レベルを試験した。(パネルB)hFIX特異的凝固一段階法によってhFIX機能を試験した。注射後6週目に、食塩溶液中のヘモグロビン含量のA575における吸光度を測定することによって失血を決定した(パネルC)。データは、5匹のマウス(ノックアウトマウスおよび正常マウス、AAV処置なし、対照として)または8匹のマウス(AAV8 FIXまたはAAV2/8 1:3/FIX処置群)からの平均および標準偏差を表す。
【
図5】AAV2およびAAV8由来のハプロイドAAV82の形質導入。パネルA.AAVカプシドサブユニットの組成。パネルB.ハプロイドウイルスについてのウェスタンブロット。パネルC.肝臓形質導入の代表的な撮像および定量化。パネルD.筋肉形質導入の代表的な撮像および定量化。
【
図6】トリプロイドウイルスAAV2/8/9による肝臓形質導入。3×10
10vgのハプロイドウイルスを、後眼窩静脈を介して注射した。注射後1週目に、IVIS撮像システムによってルシフェラーゼ遺伝子発現を撮像し(パネルA)、光子シグナルを測定および算出した(パネルB)。データは、5匹のマウスからの平均および標準偏差を表す。
【
図8】カプシドタンパク質VP1の開始コドンを変異させることによるハプロイド設計。
【
図9】スプライスアクセプター部位A2を変異させることによるハプロイド設計。
【
図10】スプライスアクセプター部位A1を変異させることによるハプロイド設計。
【
図11】VP2/VP3に対するカプシドタンパク質の開始コドンおよびスプライスアクセプター部位A2を変異させることによるハプロイド設計。
【
図12】カプシドタンパク質VP1の開始コドンおよびスプライスアクセプター部位A1を変異させることによるハプロイド設計。
【
図13】2つのプラスミドを使用したハプロイドベクターの生産。
【
図14】3つのプラスミドを使用したハプロイドベクターの生産。
【
図15】4つのプラスミドを使用したハプロイドベクターの生産。
【
図16】所望の特徴を有するビリオンを得るためのDNAシャッフリングの使用を示す略図。
【
図17】VP1およびVP2に対する開始コドンが変異されている、AAV2カプシドタンパク質に対するDNA配列(SEQ ID NO:139)を含む、プラスミド。
【
図18】VP1に対する開始コドンが変異されている、AAV2カプシドタンパク質に対するDNA配列(SEQ ID NO:140)を含む、プラスミド。
【
図19】VP2およびVP3に対する開始コドンが変異されている、AAV2カプシドタンパク質に対するDNA配列(SEQ ID NO:141)を含む、プラスミド。
【
図20】VP2に対する開始コドンが変異されている、AAV2カプシドタンパク質に対するDNA配列(SEQ ID NO:142)を含む、プラスミド。
【
図21】新規ポリプロイド性AAVカプシドを生成するために置換されている単一または複数のサブユニット。
【
図22】
図22A~C:ハプロイドベクターH-AAV82の肝臓形質導入。(22A)AAVカプシドサブユニットの組成。2つのプラスミド(一方はVP1およびVP2をコードし、別のものはVP3をコードする)の共トランスフェクションからハプロイドAAVウイルスを生産した。(22B)3×10
10のAAVベクター粒子を、C57BLマウスに後眼窩静脈を介して注射した。1週間後に撮像を実施した。(22C)肝臓形質導入の定量化。データは、5匹のマウスの平均および標準偏差を表した。
【
図23】
図23A~B:ハプロイドベクターH-AAV82の筋肉形質導入。1×10
9のAAV/luc粒子を、マウスの後肢の筋肉に注射した。注射後3週目に、3分間撮像した。仰向け:左脚-ハプロイドAAV、右脚-AAV2。(23A)代表的な撮像。(23B)筋肉注射後の4匹のマウスのデータ。AAV2に対するハプロイドAAVからの形質導入によって形質導入の増加倍率を算出した。
【
図24】
図24A~C:ハプロイドベクターH-AAV92の肝臓形質導入。(24A)AAVカプシドサブユニットの組成。2つのプラスミド(一方はAAV9 VP1およびVP2をコードし、別のものはAAV2 VP3をコードする)の共トランスフェクションからハプロイドAAVウイルスを生産した。(24B)3×10
10のAAVベクター粒子を、C57BLマウスに後眼窩静脈を介して注射した。1週間後に撮像を実施した。(24C)肝臓形質導入の定量化。データは、5匹のマウスの平均および標準偏差を表した。
【
図25】
図25A~C:ハプロイドベクターH-AAV82G9の肝臓形質導入。(25A)AAVカプシドサブユニットの組成。2つのプラスミド(一方はAAV8 VP1およびVP2をコードし、別のものはAAV2G9 VP3をコードする)の共トランスフェクションからハプロイドAAVウイルスを生産した。(25B)3×10
10のAAVベクター粒子を、C57BLマウスに後眼窩静脈を介して注射した。AAV投与後1週目に、撮像を行った。(25C)肝臓形質導入の定量化。データは、5匹のマウスの平均および標準偏差を表した。
【
図26-1】
図26A~D:ハプロイドAAV83、AAV93およびAAVrh10-3の肝臓形質導入。(26A)AAVカプシドサブユニットの組成。(26B)代表的な撮像。(26C)肝臓形質導入の定量化。(26D)マウスラミン(発現レベルについての内部対照)と比較した場合の指定の器官におけるウイルスゲノムの定量化。
【
図27】
図27A~D:AAV2およびAAV8由来のハプロイドAAV82の形質導入。(27A)AAVカプシドサブユニットの組成。(27B)ハプロイドウイルスについてのウェスタンブロット。(27C)肝臓形質導入の代表的な撮像および定量化。(27D)筋肉形質導入の代表的な撮像および定量化。
【
図28】結合およびトラフィッキングに関するハプロイドの能力の分析。
【発明を実施するための形態】
【0039】
発明の詳細な説明
本発明は、本発明の代表的な態様が示される添付の図面を参照して、ここに記載される。しかし、本発明は、異なる形態で具体化される場合があり、本明細書に示される態様に限定されると見なされるべきではない。これらの態様はむしろ、本開示が十分かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように、提供される。
【0040】
特に定義しないかぎり、本明細書に使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書における発明の説明に使用される専門用語は、特定の態様だけを記載することを目的としており、本発明を限定することを意図しない。本明細書において言及される全ての刊行物、特許出願、特許、アクセッション番号、および他の参照は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0041】
本発明の明細書および添付の特許請求の範囲におけるAAVカプシドウイルス構造タンパク質の全てのアミノ酸の位置の呼称は、VP1カプシドサブユニットの付番(ネイティブなAAV2 VP1カプシドタンパク質:GenBankアクセッション番号AAC03780またはYP680426)に関するものである。本明細書に記載される修飾が、AAV cap遺伝子内に挿入されたならば、カプシドサブユニットを構成する構造ウイルスタンパク質VP1、VP2、および/またはVP3に修飾を生じ得ることが当業者により理解されるであろう。あるいは、カプシドサブユニットを独立して発現させて、カプシドサブユニット(VP1、VP2、VP3、VP1+VP2、VP1+VP3、またはVP2+VP3)のうちの1または2つだけに修飾を達成することができる。
【0042】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲に以下の用語が使用される。
【0043】
文脈が明らかに他のことを指し示さないかぎり、単数形(a, an, the)は、複数形も含むことが意図される。
【0044】
さらに、本明細書に使用される「約」という用語は、ポリヌクレオチド配列またはポリペプチド配列の長さの量、用量、時間、温度、およびその他などの測定可能な値を指す場合、特定の量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%、またはさらには±0.1%の変動を包含することが意味される。
【0045】
また、本明細書において使用される「および/または」は、関連する記載事項のうちの1つまたは複数のうちの任意および全ての可能な組み合わせに加えて、択一(「または」)で解釈された場合は、組み合わせの欠如を指し、かつこれらを包含する。
【0046】
本明細書において使用される「から本質的になる」という移行句は、特許請求の範囲が、その請求項で引用された特定の材料または工程ならびに請求された発明の「基本的かつ新規な特徴に実質的に影響しないもの」を包含すると解釈するべきであることを意味する。In re Herz, 537 F.2d 549, 551-52, 190 USPQ 461,463(CCPA 1976)(原文で強調)を参照されたく、MPEP §2111.03も参照されたい。したがって、本発明の請求項において使用される場合、「から本質的になる」という用語は、「含む」と同等であると解釈されることが意図されない。文脈が他のことを指し示さないかぎり、本明細書に記載される本発明の様々な特徴を任意の組み合わせで使用できることが具体的に意図される。
【0047】
そのうえ、本発明はまた、本発明のいくつかの態様において本明細書に示される任意の特徴または特徴の組み合わせを排除または省略できることも想定する。
【0048】
さらに例証すると、例えば本明細書が特定のアミノ酸をA、G、I、L、および/またはVから選択できると示す場合、この言葉はまた、これらのアミノ酸の任意の各サブセット、例えばA、G、I、またはL;A、G、I、またはV;AまたはG;Lのみなどが本明細書において明確に示されたかのように、このような下位組み合わせよりアミノ酸を選択できることも示している。そのうえ、このような言葉はまた、特定のアミノ酸のうちの1種または複数種を(例えば否定的条件により)放棄できることも示す。例えば、特定の態様では、このような可能な各放棄が本明細書において明白に示されるかのように、アミノ酸は、A、G、またはIではなく;Aではなく;GまたはVではないなどである。
【0049】
本明細書において使用される「低減する(reduce)」、「低減する(reduces)」、「低減」という用語および類似の用語は、少なくとも約25%、35%、50%、75%、80%、85%、90%、95%、97%またはそれよりも大きい減少を意味する。
【0050】
本明細書において使用される「増強する(enhance)」、「増強する(enhances)」、「増強」という用語および類似の用語は、少なくとも約25%、50%、75%、100%、150%、200%、300%、400%、500%またはそれよりも大きい増加を示す。
【0051】
本明細書において使用される「パルボウイルス」という用語は、自律複製パルボウイルスおよびデペンドウイルスを含む、パルボウイルス科(Parvoviridae)を包含する。自律的パルボウイルスには、パルボウイルス属、エリスロウイルス属、デンソウイルス属、イテラウイルス属、およびコントラウイルス属のメンバーが含まれる。例示的な自律的パルボウイルスには、非限定的に、マウス微小ウイルス、ウシパルボウイルス、イヌパルボウイルス、ニワトリパルボウイルス、ネコ汎白血球減少ウイルス、ネコパルボウイルス、ガチョウパルボウイルス、H1パルボウイルス、バリケンパルボウイルス、B19ウイルス、および現在公知またはのちに発見される任意の他の自律的パルボウイルスが含まれる。他の自律的パルボウイルスは、当業者に公知である。例えば、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapter 69(4th ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。
【0052】
本明細書において使用される「アデノ随伴ウイルス」(AAV)という用語には、非限定的に、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型および3B型を含む)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、および現在公知またはのちに発見される任意の他のAAVが含まれる。例えば、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapter 69 (4th ed., Lippincott-Raven Publishers)を参照されたい。いくつかの比較的新しいAAV血清型およびクレードが同定されている(例えば、Gao et al., (2004) J. Virology 78:6381-6388;Moris et al., (2004) Virology 33-:375- 383;および表3を参照されたい)。
【0053】
AAVおよび自律的パルボウイルスの様々な血清型のゲノム配列、ならびにネイティブな末端反復(TR)、Repタンパク質、およびカプシドサブユニット配列は、当技術分野において公知である。このような配列は、文献またはGenBankなどの公的データベース中に見出すことができる。例えば、GenBankアクセッション番号NC_002077、NC_001401、NC_001729、NC_001863、NC_001829、NC_001862、NC_000883、NC_001701、NC_001510、NC_006152、NC_006261、AF063497、U89790、AF043303、AF028705、AF028704、J02275、J01901、J02275、X01457、AF288061、AH009962、AY028226、AY028223、NC_001358、NC_001540、AF513851、AF513852、AY530579を参照されたく;これらの開示は、パルボウイルスおよびAAVの核酸配列およびアミノ酸配列を教示するために参照により本明細書に組み入れられる。例えば、また、Srivistava et al., (1983) J. Virology 45:555;Chiarini et al., (1998) J. Virology 71:6823;Chiarini et al., (1999) J. Virology 73:1309;Bantel-Schaal et al., (1999) J. Virology 73:939;Xiao et al., (1999) J. Virology 73:3994;Muramatsu et al., (1996) Virology 221:208;Shade et al., (1986) J. Virol. 58:921;Gao et al., (2002) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 99:11854;Moris et al., (2004) Virology 33-:375- 383;国際公開公報第00/28061号、国際公開公報第99/61601号、国際公開公報第98/11244号;および米国特許第6,156,303号も参照されたく;これらの開示は、パルボウイルスおよびAAVの核酸配列およびアミノ酸配列を教示するために参照により本明細書に組み入れられる。表1も参照されたい。
【0054】
自律的パルボウイルスおよびAAVのカプシド構造は、BERNARD N. FIELDS et al., VIROLOGY, volume 2, chapters 69 & 70(4th ed., Lippincott-Raven Publishers)に、より詳細に記載されている。AAV2(Xie et al., (2002) Proc. Nat. Acad. Sci. 99:10405-10)、AAV4(Padron et al., (2005) J. Virol. 79: 5047-58)、AAV5(Walters et al., (2004) J. Virol. 78: 3361-71)ならびにCPV(Xie et al., (1996) J. Mol. Biol. 6:497-520およびTsao et al., (1991) Science 251: 1456-64)の結晶構造の記載も参照されたい。
【0055】
本明細書において使用される「向性」という用語は、ある特定の細胞または組織中へのウイルスの優先的侵入を指し、その後に任意で、ウイルスゲノムにより運搬される配列の細胞中での発現(例えば転写および任意で翻訳)、例えば組み換えウイルスについては関心対象の異種核酸の発現が続く。
【0056】
本明細書において使用される「全身向性」および「全身形質導入」(および同等の用語)は、本発明のウイルスカプシドまたはウイルスベクターが、体全体の組織(例えば、脳、肺、骨格筋、心臓、肝臓、腎臓および/または膵臓)に対して向性を示し、かつ/またはそれに形質導入することを示す。本発明の複数の態様では、中枢神経系(例えば、脳、神経細胞、その他)の全身形質導入が観察される。他の態様では、心筋組織の全身形質導入が達成される。
【0057】
本明細書において使用される「選択的向性」または「特異的向性」は、ある特定の標的細胞および/またはある特定の組織へのウイルスベクターの送達および/または特異的形質導入を意味する。
【0058】
特に示さないかぎり、「効率的な形質導入」もしくは「効率的な向性」、または類似の用語は、適切な対照を基準として決定することができる(例えば、それぞれ対照の形質導入または向性の少なくとも約50%、60%、70%、80%、85%、90%、95%、100%、125%、150%、175%、200%、250%、300%、350%、400%、500%またはそれよりも大きい)。特定の態様では、ウイルスベクターは、神経細胞および心筋細胞に効率的に形質導入するまたは効率的な向性を有する。適切な対照は、所望の向性および/または形質導入プロファイルを含む多様な要因に依存するであろう。
【0059】
同様に、ウイルスが標的組織に「効率的に形質導入しない」もしくは「効率的な向性を有しない」かどうか、または類似の用語を、適切な対照を基準として決定することができる。特定の態様では、ウイルスベクターは、肝臓、腎臓、性腺および/または生殖細胞に対して効率的に形質導入しない(すなわち、効率的な向性を有しない)。特定の態様では、組織(例えば肝臓)の形質導入(例えば、望ましくない形質導入)は、所望の標的組織(例えば、骨格筋、横隔膜筋、心筋および/または中枢神経系の細胞)の形質導入レベルの20%以下、10%以下、5%以下、1%以下、0.1%以下である。
【0060】
本発明のいくつかの態様では、本発明のカプシドを含むAAV粒子は、ある特定の組織/細胞の効率的な形質導入、および形質導入が望ましくないある特定の組織/細胞に対して非常に低レベルの形質導入(例えば、低減した形質導入)という複数の表現型を示すことができる。
【0061】
本明細書において使用される「ポリペプチド」という用語は、特に示さないかぎり、ペプチドおよびタンパク質の両方を包含する。
【0062】
「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチド塩基の配列であり、RNA、DNAまたはDNA-RNAハイブリッド配列(天然および非天然ヌクレオチドの両方を含む)であり得るが、代表的な態様では、一本鎖または二本鎖DNA配列のいずれかである。
【0063】
本明細書において使用される、「単離された」ポリヌクレオチド(例えば、「単離されたDNA」または「単離されたRNA」)は、天然に存在する生物またはウイルスのその他の成分のうちの少なくともいくつか、例えば、ポリヌクレオチドと関連して一般に見出される細胞もしくはウイルスの構造成分または他のポリペプチドもしくは核酸から少なくとも部分的に分離された、ポリヌクレオチドを意味する。代表的な態様では、「単離された」ヌクレオチドは、出発材料と比較して、少なくとも約10倍、100倍、1000倍、10,000倍またはそれよりも大きく濃縮されている。
【0064】
同様に、「単離された」ポリペプチドは、天然に存在する生物またはウイルスのその他の成分のうちの少なくともいくつか、例えば、細胞もしくはウイルスの構造成分またはポリペプチドと関連して一般に見出される他のポリペプチドもしくは核酸から少なくとも部分的に分離されているポリペプチドを意味する。代表的な態様では、「単離された」ポリペプチドは、出発物質と比較して少なくとも約10倍、100倍、1000倍、10,000倍またはそれよりも大きく濃縮されている。
【0065】
「単離された細胞」は、通常その自然状態で関連している他の成分から分離された細胞を指す。例えば、単離された細胞は、培地中の細胞および/または本発明の薬学的に許容される担体中の細胞であることができる。したがって、単離された細胞は、対象内に送達および/または導入することができる。いくつかの態様では、単離された細胞は、対象から取り出され、本明細書に記載のようにエクスビボ操作され、次に対象に戻された細胞であることができる。
【0066】
ビリオンの集団は、本明細書に記載の方法のいずれかによって生成することができる。一態様において、集団は、少なくとも101個のビリオンである。一態様において、集団は、少なくとも102個のビリオン、少なくとも103個のビリオン、少なくとも104個のビリオン、少なくとも105個のビリオン、少なくとも106個のビリオン、少なくとも107個のビリオン、少なくとも108個のビリオン、少なくとも109個のビリオン、少なくとも1010個のビリオン、少なくとも1011個のビリオン、少なくとも1012個のビリオン、少なくとも1013個のビリオン、少なくとも1014個のビリオン、少なくとも1015個のビリオン、少なくとも1016個のビリオン、または少なくとも1017個のビリオンである。ビリオンの集団は、異種であることもでき、同種(例えば、実質的に同種または完全に同種)であることもできる。
【0067】
「実質的に同種の集団」は、その用語が本明細書において使用される場合、その中に混入物質ビリオン(同一でないもの)がほとんど存在しない、ほとんど同一のビリオンの集団を指す。実質的に同種の集団は、少なくとも90%同一のビリオン(例えば、所望のビリオン)であり、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%同一のビリオンであることができる。
【0068】
完全に同種であるビリオンの集団は、同一のビリオンのみを含有する。
【0069】
本明細書において使用されるように、ウイルスベクターまたはウイルス粒子またはウイルス粒子の集団を「単離」または「精製」すること(または文法的同等語)により、ウイルスベクターまたはウイルス粒子またはウイルス粒子の集団が、出発物質中の他の成分の少なくともいくつかから少なくとも部分的に分離されることが意味される。代表的な態様では、「単離された」または「精製された」ウイルスベクターまたはウイルス粒子またはウイルス粒子の集団は、出発物質と比較して少なくとも約10倍、100倍、1000倍、10,000倍またはそれよりも大きく濃縮されている。
【0070】
「治療用ポリペプチド」は、細胞もしくは対象中のタンパク質における不在もしくは欠損に起因する症状を緩和、低減、予防、遅延および/もしくは安定化することができるポリペプチド、ならびに/または他のやり方で対象に利益、例えば、抗がん作用もしくは移植片生存可能性の改善もしくは免疫応答の誘導を付与するポリペプチドである。
【0071】
「処置する」、「処置すること」、または「の処置」という用語(およびその文法的変形)により、対象の状態の重症度が低減される、少なくとも部分的に改善もしくは安定化されること、および/または少なくとも1つの臨床症候においていくらかの緩和、軽減、減少もしくは安定化が達成され、かつ/もしくは疾患もしくは障害の進行に遅延があることが意味される。
【0072】
「予防する」、「予防すること」および「予防」という用語(およびその文法的変形)は、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症候の発症の予防および/もしくは遅延、ならびに/または本発明の方法の不在下で起こるであろう重症度と比較した疾患、障害および/もしくは臨床症候の発症の重症度の低減を指す。予防は、完全、例えば、疾患、障害および/または臨床症候の全くの不在であることができる。予防は、また、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症候の出現ならびに/または発症の重症度が本発明の不在下で起こるであろう重症度よりも実質的に小さいような、部分的であることもできる。
【0073】
本明細書において使用される「処置有効」量は、対象にいくらかの改善または利益を提供するために十分な量である。別様に述べると、「処置有効」量は、対象における少なくとも1つの臨床症候にいくらかの緩和、軽減、減少または安定化を提供する量である。当業者は、いくらかの利益が対象に提供されるかぎり、治療効果は完全または治癒的である必要がないことを認識するであろう。
【0074】
本明細書において使用される「予防有効」量は、本発明の方法の不在下で起こるであろうことと比較して、対象における疾患、障害および/もしくは臨床症候の発症を予防および/もしくは遅延させるため、ならびに/または対象における疾患、障害および/もしくは臨床症候の発症の重症度を低減および/もしくは遅延させるために十分な量である。当業者は、いくらかの予防的利益が対象に提供されるかぎり、予防レベルが完全である必要がないと認識するであろう。
【0075】
「異種ヌクレオチド配列」および「異種核酸分子」という用語は、本明細書において互換的に使用され、ウイルス中に天然に存在しない核酸配列を指す。一般的に、異種核酸分子または異種ヌクレオチド配列は、関心対象のポリペプチドおよび/または非翻訳RNAをコードするオープンリーディングフレームを含む(例えば、細胞および/または対象への送達のため)。
【0076】
本明細書において使用される、「ウイルスベクター」、「ベクター」または「遺伝子送達ベクター」という用語は、核酸送達ビヒクルとして機能し、ビリオン内にパッケージングされたベクターゲノム(例えば、ウイルスDNA[vDNA])を含むウイルス(例えばAAV)粒子を指す。あるいは、いくつかの状況では、「ベクター」という用語は、ベクターゲノム/vDNA単独を指すために使用され得る。
【0077】
「rAAVベクターゲノム」または「rAAVゲノム」は、1種または複数種の異種核酸配列を含むAAVゲノム(すなわち、vDNA)である。rAAVベクターは、ウイルスを生成するために、一般的にシスの末端反復(TR)だけを必要とする。全ての他のウイルス配列は必要ではなく、トランスで供給され得る(Muzyczka, (1992) Curr. Topics Microbiol. Immunol. 158:97)。典型的には、rAAVベクターゲノムは、ベクターによって効率的にパッケージングされることができる導入遺伝子のサイズを最大限にするように、1つまたは複数のTR配列だけを保持する。構造タンパク質および非構造タンパク質のコード配列は、トランスで提供され得る(例えば、プラスミドなどのベクターから、または配列をパッケージング細胞中に安定的に組み入れることによる)。本発明の態様では、rAAVベクターゲノムは、典型的にはベクターゲノムの5'および3'末端にあり、異種核酸と近接するが、それと連続する必要がない、少なくとも1つのTR配列(例えば、AAV TR配列)、任意で2つのTR(例えば、2つのAAV TR)を含む。TRは、相互に同じまたは異なることができる。
【0078】
「末端反復」または「TR」という用語には、ヘアピン構造を形成し、末端逆位反復として機能する(すなわち、複製、ウイルスパッケージング、組み入れおよび/またはプロウイルス救出、その他などの所望の機能を媒介する)任意のウイルス末端反復または合成配列が含まれる。TRは、AAV TRまたは非AAV TRであることができる。例えば、他のパルボウイルス(例えば、イヌパルボウイルス(CPV)、マウスパルボウイルス(MVM)、ヒトパルボウイルスB-19)のTR配列などの非AAV TR配列または任意の他の適切なウイルス配列(例えば、SV40複製起点として役立つSV40ヘアピン)をTRとして使用することができ、このTRを短縮化、置換、欠失、挿入および/または付加によりさらに修飾することができる。さらに、TRは、Samulskiらの米国特許第5,478,745号に記載されているような「ダブルD配列」などの部分合成または完全合成であることができる。
【0079】
「AAV末端反復」または「AAV TR」は、非限定的に血清型1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12または現在公知もしくはのちに発見される任意の他のAAVを含む任意のAAV由来であり得る(例えば、表1参照)。AAV末端反復は、それが所望の機能、例えば、複製、ウイルスのパッケージング、組み入れ、および/またはプロウイルス救済、その他を媒介するかぎり、ネイティブな末端反復配列を有する必要がない(例えば、ネイティブなAAV TR配列が、挿入、欠失、短縮化および/またはミスセンス変異により変更され得る)。
【0080】
AAVタンパク質VP1、VP2、およびVP3は、一緒に相互作用して正二十面体の対称性のAAVカプシドを形成するカプシドタンパク質である。VP1.5は、米国特許出願公開第2014/0037585号に記載されているAAVカプシドタンパク質である。
【0081】
本発明のウイルスベクターは、さらに、国際公開公報第00/28004号およびChao et al., (2000) Molecular Therapy 2:619に記載されているように、「標的指向型(targeted)」ウイルスベクター(例えば、定方向の向性を有する)および/または「ハイブリッド」パルボウイルス(すなわち、ウイルスTRおよびウイルスカプシドが、異なるパルボウイルス由来である)であることができる。
【0082】
本発明のウイルスベクターは、さらに、国際公開公報第01/92551号(その開示は、その全体で参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているような二重鎖パルボウイルス粒子であることができる。したがって、いくつかの態様では、二本鎖(二重鎖)ゲノムを本発明のウイルスカプシド中にパッケージングすることができる。
【0083】
さらに、ウイルスカプシドまたはゲノムエレメントは、挿入、欠失および/または置換を含む他の修飾を含有することができる。
【0084】
「キメラ」ウイルス構造タンパク質は、本明細書において使用される場合、野生型と比べてカプシドタンパク質のアミノ酸配列中の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)のアミノ酸残基が置換によって修飾されている、ならびに、野生型と比べてアミノ酸配列中の1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10など)のアミノ酸残基が挿入および/または欠失によって修飾されている、AAVウイルス構造タンパク質(カプシド)を意味する。いくつかの態様において、1つのAAV血清型由来の完全または部分的なドメイン、機能性領域、エピトープなどを、異なるAAV血清型の対応する野生型ドメイン、機能性領域、エピトープなどと任意の組み合わせで置き換えて、本発明のキメラカプシドタンパク質を生産することができる。他の態様において、置換は全て、同じ血清型からの置換である。他の態様において、置換は全て、AAVまたは合成物からの置換である。キメラカプシドタンパク質の生産は、当技術分野において周知のプロトコルに従って行うことができ、そして、多数のキメラカプシドタンパク質が文献にも本明細書にも記載されており、これらを本発明のカプシドに含めることができる。
【0085】
代替的な一態様において、AAVゲノムをカプシド封入することができるビリオン粒子を形成するのに必要なAAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する少なくとも1つのウイルスタンパク質が他のウイルスタンパク質の少なくとも1つと異なる、ビリオン粒子を構築することができる。存在するウイルスタンパク質(VP1、VP2、および/またはVP3)それぞれについて、そのタンパク質は、同じタイプ(例えば、全てAAV2 VP1)である。一例として、ウイルスタンパク質の少なくとも1つがキメラウイルスタンパク質であり、他の2つのウイルスタンパク質の少なくとも1つがキメラではない。一態様において、VP1およびVP2はキメラであり、VP3のみが非キメラである。例えば、最適なのは、AAV2由来のVP3のみと対合されたキメラAAV2/8由来のVP1/VP2(AAV2のN末端およびAAV8のC末端)から構成されるウイルス粒子;または、最適なのは、AAV2由来のVP3のみと対合されたキメラVP1/VP2 28m-2P3(AAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端、VP3開始コドンの変異なし)である。別の態様において、VP3のみがキメラであり、VP1およびVP2は非キメラである。別の態様において、ウイルスタンパク質の少なくとも1つは、完全に異なる血清型由来である。例えば、最適なのは、AAV3にのみ由来するVP3と対合されたキメラVP1/VP2 28m-2P3である。別の例として、キメラは存在しない。
【0086】
本明細書において使用される、「アミノ酸」という用語は、任意の天然に存在するアミノ酸、その修飾形態、および合成アミノ酸を包含する。
【0087】
天然に存在する左旋性(L-)アミノ酸を表2に示す。
【0088】
あるいは、アミノ酸は、修飾アミノ酸残基(非限定的な例を表4に示す)であることができ、かつ/または翻訳後修飾(例えば、アセチル化、アミド化、ホルミル化、ヒドロキシル化、メチル化、リン酸化または硫酸化)により修飾されたアミノ酸であることができる。
【0089】
さらに、天然に存在しないアミノ酸は、Wang et al., Annu Rev Biophys Biomol Struct. 35:225-49 (2006)により記載されているような「非天然」アミノ酸であることができる。これらの非天然アミノ酸は、関心対象の分子をAAVカプシドタンパク質と化学的に連結するために有利に使用することができる。
【0090】
本明細書において使用される「相同組み換え」という用語は、2つの類似または同等のDNA分子の間でヌクレオチド配列が交換される遺伝子組み換えの1種を意味する。相同組み換えは、また、DNA配列の新しい組み合わせも生成する。これらのDNAの新しい組み合わせは遺伝的変異に相当する。相同組み換えは、また、ウイルスの異なる株および種の間で遺伝物質を交換するために遺伝子の水平移動にも使用される。
【0091】
本明細書において使用される、「遺伝子編集」、「ゲノム編集」、または「ゲノム操作」という用語は、操作ヌクレアーゼまたは「分子ハサミ」を使用して生きた生物のゲノム中でDNAが挿入、欠失または置換される、遺伝子操作の1種を意味する。これらのヌクレアーゼは、ゲノム中の所望の位置で部位特異的二本鎖切断(DSB)を生み出す。
【0092】
本明細書において使用される「遺伝子送達」という用語は、遺伝子療法の適用のために外来DNAが宿主細胞に移入されるプロセスを意味する。
【0093】
本明細書において使用される「CRISPR」という用語は、CRISPR-Cas9ゲノム編集技法の基礎を形成する細菌防御システムの特徴である、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピートを表す。
【0094】
本明細書において使用される「ジンクフィンガー」という用語は、折り畳みを安定化するための1つまたは複数の亜鉛イオンの配位によって特徴付けられる小型タンパク質構造モチーフを意味する。
【0095】
いくつかの態様では、本発明のAAV粒子は、異なるインビトロおよびインビボ適用に適した一連の望ましい表現型を呈するように設計された合成ウイルスベクターであることができる。したがって、一態様では、本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)を含むAAV粒子を提供する。
【0096】
本発明は、異なるインビトロおよびインビボ適用に適した一連の望ましい表現型を呈する合成ウイルスベクターのアレイを提供する。特に、本発明は、個別のカプシド中に異なるAAV血清型由来のカプシドタンパク質を組み合わせることが、各個別のカプシドにおいて複数の望ましい表現型を有する改良されたAAVカプシドの開発を可能にするという予想外の発見に基づく。そのようなキメラのまたはシャッフルされたビリオンは、そのカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3が少なくとも2つの異なる血清型に由来するということを表すために、ポリプロイド、ハプロイド、またはトリプロイドと呼ばれることもある。そのようなビリオンを生産するための新しい方法が本明細書に記載される。望ましくないオープンリーディングフレームの翻訳を妨げることによって、これらの方法は、生成されたビリオンの同種の集団の生産をもたらす。
【0097】
同種(例えば、実質的にまたは完全に)の組換えビリオンの集団を生成できることは、望ましくないビリオン/混入ビリオンの特性(例えば、形質導入特異性または抗原性)の引き継ぎを劇的に低減または除去する。
【0098】
AAVビリオンは、T=1正二十面体対称性を有し、3つの構造ウイルスタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる。60コピーの1:1:8~10(それぞれ、VP1:VP2:VP3)の比の3つのウイルスタンパク質がビリオンを形成する(Rayaprolu, V., et al., J. Virol. 87(24): 13150-13160 (2013)。
【0099】
一態様において、AAVビリオンは、他のVPと異なる血清型由来のウイルス構造タンパク質VP1、VP2、およびVP3の少なくとも1つを有する単離ビリオンであり、各VPは、1つの血清型にのみ由来する。例えば、VP1はAAV2にのみ由来し、VP2はAAV4にのみ由来し、そして、VP3はAAV8にのみ由来する。
【0100】
一態様において、2つのAAV ITR間の異種遺伝子を含むAAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを、2つのウイルス構造タンパク質VP1およびVP3だけで形成することができる。一態様において、このビリオンは、立体構造的に正しい、すなわち、T=1正二十面体対称性を有する。一態様において、ビリオンは感染性である。
【0101】
感染性ビリオンは、VP1/VP3 VP1/VP2/VP3を含む。典型的には、VP2/VP3のみのビリオンおよびVP3のみのビリオンは感染性ではない。
【0102】
これらのビリオン集団を生成するために使用されるウイルス構造タンパク質は、遺伝子療法のために単離された12種類のAAV血清型、そのような遺伝子の他の種、変異体血清型、シャッフル血清型、例えば、AAV2 VP1.5およびAAV4 VP2、AAV4 VP3、または所望の他の任意のAAV血清型のいずれかに由来することもできる。
【0103】
例えば、血清型2、8および9由来のAAVヘルパープラスミドの共トランスフェクションにより生成される本明細書に記載のトリプロイドAAV2/8/9ベクターは、AAV2よりもずっと高く、AAV8と類似のマウス肝臓の形質導入を有する。重要なことに、トリプロイドAAV2/8/9ベクターは、親血清型で免疫処置された血清からの中和抗体を回避する能力が改善されている。AAV3は、全身投与後にマウス全身にあまり効率的に形質導入されないものの、VP3がAAV3由来であり、VP1/VP2がAAV8、9またはrh10由来である本明細書に記載のハプロイドベクターH-AAV83またはH-AAV93またはH-rh10-3は、全身の形質導入を誘導するだけでなく、AAV3と比較して肝臓および他の組織においてずっと高い形質導入を誘導する。
【0104】
したがって、一態様において、本発明は、ウイルスカプシドを有するアデノ随伴ウイルス(AAV)であって、カプシドが、1つまたは2つ以上の第1のAAV血清型に由来するタンパク質VP1と、1つまたは2つ以上の第2のAAV血清型に由来するカプシドタンパク質VP3とを任意の組み合わせで含み、第1のAAV血清型の少なくとも1つが第2のAAV血清型の少なくとも1つと異なる、アデノ随伴ウイルス(AAV)を提供する。少なくとも1つのウイルス構造タンパク質が2以上の血清型に由来するとき、本発明者らは、モザイクカプシドをもたらす、時にクロスドレッシングと呼ばれる現象に言及する。その一方で、ウイルスカプシドタンパク質の各々が同じ血清型に由来するとき、たとえウイルスタンパク質の少なくとも1つが異なる血清型に由来したとしても、モザイクカプシドはもたらされない。例えば、AAV2由来のVP1、AAV6由来のVP2、およびAAV8由来のVP3。
【0105】
いくつかの態様において、本発明のカプシドは、1つまたは2つ以上の第3のAAV血清型に由来するカプシドタンパク質VP2を任意の組み合わせで含み、ここで、1つまたは2つ以上の第3のAAV血清型の少なくとも1つは、第1のAAV血清型および/または第2のAAV血清型と異なる。いくつかの態様において、本明細書に記載のAAVカプシドは、カプシドタンパク質VP1.5を含むことができる。VP1.5は、米国特許公報第2014/0037585号に記載されており、VP1.5のアミノ酸配列は、本明細書に提供される。
【0106】
いくつかの態様において、他のウイルスタンパク質と異なる少なくとも1つのウイルスタンパク質を含有するビリオンだけが生産される。例えば、VP1およびVP2が同じ血清型に由来し、VP3が代替血清型に由来するのが最適である。他の態様において、VP1が1つの血清型に由来し、VP2およびVP3が別の血清型に由来するのが最適である。別の態様において、VP1が1つの血清型に由来し、VP2が第2の血清型に由来し、VP3がさらに別の血清型に由来する、粒子だけが生産される。
【0107】
これは、例えば、部位特異的欠失および/または付加によって、スプライスドナー部位、スプライスアクセプター部位、開始コドンおよびそれらの組み合わせを変化させることによって行うことができる。
【0108】
これは、ハプロイドまたはトリプロイドウイルス粒子などの実質的に同種のポリプロイド性ビリオン集団の集団を生産するための方法を可能にする。
【0109】
いくつかの態様において、AAVビリオンは、少なからず典型的な3つのウイルス構造タンパク質VP1、VP2、およびVP3から形成することができる(例えば、Wang, Q. et al., "Syngeneic AAV Pseudo-particles Potentiate Gene Transduction of AAV Vectors," Molecular Therapy: Methods and Clinical Development, Vol. 4, 149-158 (2017) を参照のこと)。そのようなウイルスカプシドもまた、本発明の範囲内に収まる。例えば、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分なウイルスカプシド構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、ウイルスカプシド構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルスカプシド構造タンパク質と異なり、そして、各ウイルスカプシド構造タンパク質が、もっぱら同じタイプのものである、単離AAVビリオンである。さらなる態様において、単離AAVビリオンは、AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、VP1.5、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有し、ここで、2つのウイルスタンパク質は、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、存在するウイルス構造タンパク質の少なくとも1つは、他のウイルス構造タンパク質と異なる血清型に由来し、VP1は1つの血清型にのみ由来し、VP2は1つの血清型にのみ由来し、VP1.5は1つの血清型にのみ由来し、VP3は1つの血清型にのみ由来する。例えば、VP1.5はAAV血清型2に由来することができ、VP3はAAV血清型8に由来することができる。
【0110】
いくつかの態様では、本発明のカプシドは、カプシドタンパク質VP1.5を任意の組み合わせで含み、その際、カプシドタンパク質VP1.5は、1つまたは1つよりも多い第4のAAV血清型由来であり、1つまたは1つよりも多い第4のAAV血清型のうちの少なくとも1つは、第1のAAV血清型および/または第2のAAV血清型と異なる。いくつかの態様では、本明細書に記載のAAVウイルス構造タンパク質は、ウイルス構造タンパク質VP2を含むことができる。
【0111】
本発明はまた、カプシドタンパク質VP1およびカプシドタンパク質VP2を任意の組み合わせで含むAAVカプシドであって、カプシドタンパク質VP1が、1つまたは1つよりも多い第1のAAV血清型由来であり、カプシドタンパク質VP2が、1つまたは1つよりも多い第2のAAV血清型由来であり、第1のAAV血清型のうちの少なくとも1つが、第2のAAV血清型のうちの少なくとも1つと異なる、AAVカプシドも提供する。いくつかの態様では、ビリオン中にキメラウイルス構造タンパク質は存在しない。
【0112】
いくつかの態様では、本発明のAAV粒子は、カプシドタンパク質VP3を任意の組み合わせで含むカプシドを含むことができ、その際、カプシドタンパク質VP3は、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型由来であり、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型のうちの少なくとも1つは、第1のAAV血清型および/または第2のAAV血清型と異なる。いくつかの態様では、本明細書に記載のAAVカプシドは、カプシドタンパク質VP1.5を含むことができる。
【0113】
本発明は、アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを含むAAV粒子であって、カプシドが、カプシドタンパク質VP1およびカプシドタンパク質VP1.5を任意の組み合わせで含み、カプシドタンパク質VP1が、1つまたは1つよりも多い第1のAAV血清型由来であり、カプシドタンパク質VP1.5が、1つまたは1つよりも多い第2のAAV血清型由来であり、第1のAAV血清型のうちの少なくとも1つが、第2のAAV血清型のうちの少なくとも1つと異なる、AAV粒子をさらに提供する。
【0114】
いくつかの態様では、カプシドは、カプシドタンパク質VP3を任意の組み合わせで含み、その際、カプシドタンパク質VP3は、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型由来であり、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型のうちの少なくとも1つは、第1のAAV血清型および/または第2のAAV血清型と異なる。いくつかの態様では、本明細書に記載のAAVカプシドは、カプシドタンパク質VP1.5を含むことができる。
【0115】
本発明は、カプシドタンパク質VP1およびカプシドタンパク質VP1.5を任意の組み合わせで含むアデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドであって、カプシドタンパク質VP1が、1つまたは1つよりも多い第1のAAV血清型由来であり、カプシドタンパク質VP1.5が、1つまたは1つよりも多い第2のAAV血清型由来であり、第1のAAV血清型のうちの少なくとも1つが、第2のAAV血清型のうちの少なくとも1つと異なる、AAVカプシドをさらに提供する。
【0116】
いくつかの態様では、本発明のAAVカプシドは、カプシドタンパク質VP3を任意の組み合わせで含み、その際、カプシドタンパク質VP3は、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型由来であり、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型のうちの少なくとも1つは、第1のAAV血清型および/または第2のAAV血清型と異なる。いくつかの態様では、本明細書に記載のAAVカプシドタンパク質は、カプシドタンパク質VP2を含むことができる。
【0117】
本発明のカプシドのいくつかの態様では、1つまたは1つよりも多い第1のAAV血清型、1つまたは1つよりも多い第2のAAV血清型、1つまたは1つよりも多い第3のAAV血清型および1つまたは1つよりも多い第4のAAV血清型は、表1に記載するAAV血清型からなる群より任意の組み合わせで選択される。
【0118】
本発明のいくつかの態様では、本明細書に記載のAAVカプシドは、カプシドタンパク質VP2を欠く。
【0119】
本発明のカプシドのいくつかの態様では、キメラカプシドVP1タンパク質、キメラカプシドVP2タンパク質、キメラカプシドVP3タンパク質および/またはキメラカプシドVP1.5タンパク質を含む。
【0120】
いくつかの態様では、本発明のAAVカプシドは、AAV AAV2/8/9、H-AAV82、H-AAV92、H-AAV82G9、AAV2/8 3:1、AAV2/8 1:1、AAV2/8 1:3、またはAAV8/9であることができ、その全ては、本明細書に提供される実施例の部に記載されている。
【0121】
本明細書に記載の他のカプシドタンパク質および/または現在公知もしくはのちに開発される他のカプシドタンパク質との任意の組み合わせで本発明のカプシド中に含まれることができるAAVカプシドタンパク質の非限定的な例には、LK3、LK01-19、AAV-DJ、Olig001、rAAV2-レトロ、AAV-LiC、AAV0Kera1、AAV-Kera2、AAV-Kera3、AAV 7m8、AAV1,9、AAVr3.45、AAVクローン32、AAVクローン83、AAV-U87R7-C5、AAV ShH13、AAV ShH19、AAV L1-12、AAV HAE-1、AAV HAE-2、AAVバリアントShH10、AAV2.5T、AAV LS1-4、AAV Lsm、AAV1289、AAVHSC 1-17、AAV2 Rec 1-4、AAV8BP2、AAV-B1、AAV-PHP.B、AAV9.45、AAV9.61、AAV9.47、AAVM41、AAV2ディスプレイ型ペプチド、AAV2-GMN、AAV9-ペプチドディスプレイ型、AAV8およびAAV9ペプチドディスプレイ型、AAVpo2.1、AAVpo4、AAVpo5、AAVpo6、AAV rh、AAV Hu、AAV-Go.1、AAV-mo.1、BAAV、AAAV、AAV8 K137R、AAV Anc80L65、AAV2G9、AAV2 265挿入型-AAV2/265D、AAV2.5、AAV3 SASTG、AAV2i8、AAV8G9、AAV2チロシン変異体AAV2 Y-F、AAV8 Y-F、AAV9 Y-F、AAV6 Y-F、AAV6.2およびそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0122】
非限定的な例として、本発明のAAVカプシドタンパク質およびウイルスカプシドは、例えば、国際公開公報第00/28004号に記載されているように、別のウイルス、任意で別のパルボウイルスまたはAAV由来のカプシドサブユニットの全部または一部分を含むことができる点で、キメラであることができる。
【0123】
以下の刊行物は、野生型カプシドタンパク質および/または現在公知もしくはのちに同定される他のキメラもしくはバリアントカプシドタンパク質との任意の組み合わせで本発明のAAVカプシドに組み入れることができる、キメラまたはバリアントカプシドタンパク質を記載している。
【0124】
【0125】
米国特許商標庁の発行済みの特許および公開済みの出願の包袋に記載されている以下の生物学的配列ファイルは、野生型カプシドタンパク質および/または現在公知もしくはのちに同定される他のキメラもしくはバリアントカプシドタンパク質との任意の組み合わせで本発明のAAVカプシドに組み入れることができるキメラまたはバリアントカプシドタンパク質を記載するものである(例証目的、米国特許出願第11/486,254号は米国特許出願第11/486,254号に対応する):11486254.raw、11932017.raw、12172121.raw、12302206.raw、12308959.raw、12679144.raw、13036343.raw、13121532.raw、13172915.raw、13583920.raw、13668120.raw、13673351.raw、13679684.raw、14006954.raw、14149953.raw、14192101.raw、14194538.raw、14225821.raw、14468108.raw、14516544.raw、14603469.raw、14680836.raw、14695644.raw、14878703.raw、14956934.raw、15191357.raw、15284164.raw、15368570.raw、15371188.raw、15493744.raw、15503120.raw、15660906.raw、および15675677.raw。
【0126】
AAV血清型の任意の組み合わせから、VP1およびVP3、ならびに存在する場合はVP1.5およびVP2の任意の組み合わせを採用して、本発明のAAVカプシドを生成することができると理解される。例えば、AAV血清型の任意の組み合わせ由来のVP1タンパク質は、AAV血清型の任意の組み合わせ由来のVP3タンパク質と組み合わせることができ、それぞれのVP1タンパク質は、異なる血清型の任意の比で存在することができ、それぞれのVP3タンパク質は、異なる血清型の任意の比で存在することができ、VP1およびVP3タンパク質は、異なる血清型の任意の比で存在することができる。存在する場合、AAV血清型の任意の組み合わせ由来のVP1.5および/またはVP2タンパク質は、AAV血清型の任意の組み合わせ由来のVP1およびVP3タンパク質と組み合わせることができ、それぞれのVP1.5タンパク質は、異なる血清型の任意の比で存在することができ、それぞれのVP2タンパク質は、異なる血清型の任意の比で存在することができ、それぞれのVP1タンパク質は、異なる血清型の任意の比で存在することができ、それぞれのVP3タンパク質は、異なる血清型の任意の比で存在することができ、VP1.5および/またはVP2タンパク質は、異なる血清型の任意の比でVP1およびVP3タンパク質と組み合わせて存在することができることが、さらに理解される。
【0127】
例えば、それぞれのウイルスタンパク質および/またはそれぞれのAAV血清型は、A:B、A:B:C、A:B:C:D、A:B:C:D:E、A:B:C:D:E:F、A:B:C:D:E:F:G、A:B:C:D:E:F:G:H、A:B:C:D:E:F:G:H:IまたはA:B:C:D:E:F:G:H:I:Jの比であることができる、任意の比で組み合わせることができ、その際、Aは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Bは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Cは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Dは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Eは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Fは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Gは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Hは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Iは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができ;Jは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100、その他であることができる。
【0128】
VP1、VP1.5、VP2および/またはVP3カプシドタンパク質のいずれもが、同じタンパク質型と比べて、かつ/または異なるカプシドタンパク質と比べて、キメラカプシドタンパク質として本発明のカプシド中に、任意の組み合わせおよび比で存在できることが、理解される。
【0129】
さらなる態様では、本発明は、(a)本発明のAAVカプシド;および(b)少なくとも1つ末端反復配列を含む核酸分子を含む、それから本質的になる、および/またはそれからなるウイルスベクターであって、核酸分子がAAVカプシドにより包まれている、ウイルスベクターをさらに提供する。いくつかの態様では、ウイルスベクターは、AAV粒子であることができる。
【0130】
いくつかの態様では、本発明のウイルスベクターは、骨格筋、心筋および/または横隔膜筋に対して全身的または選択的向性を有することができる。いくつかの態様では、本発明のウイルスベクターは、肝臓に対して低減した向性を有することができる。
【0131】
本発明は、本発明のカプシドタンパク質、カプシド、ウイルスベクター、AAV粒子組成物および/または薬学的製剤と薬学的に許容される担体とを含む薬学的製剤であることができる組成物をさらに提供する。
【0132】
いくつかの非限定的な例では、本発明は、3回軸ループ4におけるアミノ酸配列中に修飾を含む(Opie et al., J. Viral. 77: 6995-7006 (2003))、AAVカプシドタンパク質(VP1、VP1.5、VP2および/またはVP3)ならびに修飾AAVカプシドタンパク質を含むウイルスカプシドおよびウイルスベクターを提供する。本発明者らは、このループ中の修飾が、修飾AAVカプシドタンパク質を含むウイルスベクターに、(i)肝臓の低減した形質導入、(ii)内皮細胞を通過する増強した移動、(iii)全身形質導入;(iv)筋肉組織(例えば、骨格筋、心筋および/もしくは横隔膜筋)の増強した形質導入、ならびに/または(v)脳組織(例えば、ニューロン)の低減した形質導入を非限定的に含む1つまたは複数の望ましい特性を付与できることを発見した。したがって、本発明は、従来のAAVベクターと関連する制限のいくつかに取り組むものである。例えば、AAV8およびrAAV9ベクターをベースとするベクターは、内皮細胞関門を容易に通過するので、全身核酸送達にとって魅力的であるが、rAAV8またはrAAV9の全身投与は、大部分のベクターが肝臓に送達され、それにより、骨格筋などの他の重要な標的組織の形質導入を低減することを招く。
【0133】
ある態様において、修飾AAVカプシドは、DNAシャッフリングを通じて作製されたVP1、VP2、および/またはVP3からなり、指向性進化法を通じて細胞タイプ特異的ベクターを開発することができる。AAVによるDNAシャッフリングは、Li, W. et al., Mol. Ther. 16(7): 1252-12260 (2008)に一般的に記載されており、これは参照によって本明細書に組み入れられる。ある態様において、2以上の異なるAAV血清型、AAVキメラまたは他のAAVに由来するカプシド遺伝子に対するDNA配列を使用して、DNAシャッフリングを使用することで、VP1、VP2、および/またはVP3を作製することができる。ある態様において、ハプロイドAAVは、DNAシャッフリングによって作製されたVP1、DNAシャッフリングによって作製されたVP2、および/またはDNAシャッフリングによって作製されたVP3からなることができる。
【0134】
ある態様において、ハプロイドAAV由来のVP1は、AAV2、AAV8、およびAAV9のカプシドゲノムを制限酵素および/またはDNaseを使用してランダムに断片化することによって作製することもでき、AAV2/8/9の部分からなるVP1カプシドタンパク質ライブラリーが生成される。この態様において、DNAシャッフリングによって作製されたAAV2/8/9 VP1カプシドタンパク質は、異なる血清型由来の、ある態様においては、AAV3由来のVP2および/またはVP3タンパク質と組み合わせることもできる。これによって、カプシドが、DNAシャッフリングを通じて一緒にランダムに接続されたAAV2、AAV8、およびAAV9に由来するアミノ酸を含むVP1と、ネイティブなAAV3 VP2および/またはVP3に由来するアミノ酸のみを含むVP2および/またはVP3とからなる、ハプロイドAAVをもたらすだろう。ある態様において、VP1、VP2、および/またはVP3を作製するためのドナーは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAVキメラもしくは他のAAV、または表1もしくは表3から選択されるものを含めた任意のAAVであることができる。ある特定の態様において、シャッフルVP1は、例えば、VP1のみ、またはVP1/VP2のみ、またはVP3のみを発現する。
【0135】
別の態様において、VP1、VP2、および/またはVP3をコードする核酸を、DNAシャッフリングを通じて作製することができる。一態様において、DNAシャッフリングによって作製された第1の核酸は、VP1をコードするだろう。この同じ態様において、DNAシャッフリングによって作製された第2の核酸は、VP2およびVP3をコードするだろう。別の態様において、DNAシャッフリングによって作製された第1の核酸は、VP1をコードするだろう。この同じ態様において、DNAシャッフリングによって作製された第2の核酸は、VP2をコードし、そして、第3の核酸は、VP3をコードするだろう。さらなる態様において、DNAシャッフリングによって作製された第1の核酸は、VP1およびVP2をコードし、そして、DNAシャッフリングによって作製された第2の核酸は、VP3をコードするだろう。追加の態様において、DNAシャッフリングによって作製された第1の核酸は、VP1およびVP3をコードし、そして、DNAシャッフリングによって作製された第2の核酸は、VP2をコードするだろう。
【0136】
本発明の複数の態様では、心筋および/または骨格筋の形質導入(個別の骨格筋、複数の骨格筋、またはあらゆる種類の骨格筋をベースに決定される)は、肝臓における形質導入レベルと比べて少なくとも約5倍、10倍、50倍、100倍、1000倍またはそれよりも高い。
【0137】
特定の態様では、本発明の修飾AAVカプシドタンパク質は、3回軸ループ4(例えば、ネイティブなAAV2 VP1カプシドタンパク質のアミノ酸位置575~600[両端を含む]または別のAAV由来のカプシドタンパク質の対応する領域)のアミノ酸配列中に1つまたは複数の修飾を含む。本明細書において使用されるアミノ酸配列中の「修飾」には、それぞれが1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個またはそれよりも多いアミノ酸を含むことができる置換、挿入および/または欠失が含まれる。特定の態様では、修飾は置換である。例えば、特定の態様では、1つのAAV由来の3回軸ループ4からの1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25個またはそれよりも多いアミノ酸を、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質のアミノ酸位置575~600または別のAAV由来のカプシドタンパク質の対応する位置の中に置換することができる。しかし、本発明の修飾ウイルスカプシドは、1つのAAVカプシド由来のアミノ酸が別のAAVカプシド中に置換されているAAVカプシドに限定されず、置換および/または挿入されたアミノ酸は、任意の起源由来であることができ、さらに、天然に存在するまたは部分的もしくは完全に合成であることができる。
【0138】
本明細書に記載される、いくつかのAAV由来のカプシドタンパク質の核酸配列およびアミノ酸配列は、当技術分野において公知である。したがって、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質のアミノ酸位置575~600(両端を含む)またはアミノ酸位置585~590(両端を含む)に「対応する」アミノ酸は、任意の他のAAVについて(例えば、配列アライメントを使用することにより)容易に決定することができる。
【0139】
いくつかの態様では、本発明は、本発明の修飾カプシドタンパク質を、現在公知またはのちに発見される任意のAAVのカプシドタンパク質を修飾することにより生成できることを想定する。さらに、修飾すべきAAVカプシドタンパク質は、天然に存在するAAVカプシドタンパク質(例えば、AAV2、AAV3aもしくは3b、AAV4、AAV5、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、またはAAV12カプシドタンパク質あるいは表3に示されるAAVのいずれか)であることができるが、それに限定されるわけではない。当業者は、AAVカプシドタンパク質への多様な操作が当技術分野において公知であり、本発明が、天然に存在するAAVカプシドタンパク質の修飾に限定されないと理解するであろう。例えば、修飾すべきカプシドタンパク質は、天然に存在するAAVと比較してすでに変更を有し得る(例えば、天然に存在するAAVカプシドタンパク質、例えば、AAV2、AAV3a、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11および/もしくはAAV12または現在公知もしくはのちに発見される任意の他のAAVから得られる)。このようなAAVカプシドタンパク質も、本発明の範囲内である。
【0140】
例えば、いくつかの態様では、修飾すべきAAVカプシドタンパク質は、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質配列(例えば、PCT公報WO2006/066066)のアミノ酸264のすぐ後にアミノ酸挿入を含むことができ、かつ/またはPCT公報WO2009/108274に記載されているように変更されたHIループを有するAAVであることができ、かつ/または精製を容易にするためにポリ-His配列を含有するように修飾されたAAVであることができる。別の例証的な例として、AAVカプシドタンパク質は、挿入または置換としてその中に組み入れられたペプチドターゲティング配列を有することができる。さらに、AAVカプシドタンパク質は、カプシドタンパク質中に置換および/または挿入された別のAAV由来の大きなドメインを含むことができる。
【0141】
したがって、特定の態様では、修飾すべきAAVカプシドタンパク質は、天然に存在するAAVから得ることができるが、カプシドタンパク質中に挿入および/もしくは置換された1つもしくは複数の外来配列(例えば、ネイティブなウイルスに対して外因性)をさらに含み、かつ/または1つもしくは複数のアミノ酸の欠失により変更されている。
【0142】
それゆえに、本明細書において特定のAAVカプシドタンパク質(例えば、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11もしくはAAV12カプシドタンパク質または表1、その他に示されるAAVのいずれか由来のカプシドタンパク質)を参照する場合、ネイティブなカプシドタンパク質および本発明の修飾以外の変更を有するカプシドタンパク質を包含することが意図される。このような変更には、置換、挿入および/または欠失が含まれる。特定の態様では、カプシドタンパク質は、ネイティブなAAVカプシドタンパク質配列と比較してその中に挿入された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個、20個未満、30個未満、40個未満、50個未満、60個未満、または70個未満のアミノ酸を(本発明の挿入以外に)含む。本発明の態様では、カプシドタンパク質は、ネイティブなAAVカプシドタンパク質配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個、20個未満、30個未満、40個未満、50個未満、60個未満、または70個未満のアミノ酸置換を(本発明によるアミノ酸置換以外に)含む。本発明の態様では、カプシドタンパク質は、ネイティブなAAVカプシドタンパク質配列と比較して1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20個、20個よりも多い、30個よりも多い、40個よりも多い、50個よりも多い、60個よりも多い、または70個よりも多いアミノ酸の欠失を(本発明のアミノ酸欠失以外に)含む。
【0143】
AAV血清型2を例示的なウイルスとして使用して、M11がVP1開始コドンであり、M138がVP2開始コドンであり、そして、M203がVP3開始コドンである。開始コドンの欠失、典型的には、M11およびM138の置換による欠失は、VP1およびVP2の発現を動作不能にする一方で、VP3開始コドンの同様の欠失は十分ではない。これは、ウイルスカプシドORFが、開始コドンとして様々な強度を有する多数のATGコドンを含有するためである。したがって、VP3を発現しない構築物を設計する際には、代替VP3種が確実に生産されないように注意する必要がある。VP3に関して、M138の除去が必要であるか、または、VP2が望まれるがVP3が望まれない場合、M203に加えてM211および235の欠失が典型的には最良のアプローチである(Warrington, K. H. Jr., et al., J. of Virol. 78(12): 6595-6609 (June 2004))。これは、置換などの変異または当技術分野において公知の他の手段によって行うことができる。他の血清型における対応する開始コドンを容易に決定することもできるし、例えばVP3における追加のATG配列が代替開始コドンとして機能できるかどうかを判定することもできる。
【0144】
したがって、例えば、「AAV2カプシドタンパク質」という用語には、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質配列(GenBankアクセッション番号AAC03780参照)を有するAAVカプシドタンパク質ならびにネイティブなAAV2カプシドタンパク質配列中に置換、挿入および/または欠失(前述の段落に記載)を含むAAVカプシドタンパク質が含まれる。
【0145】
特定の態様では、AAVカプシドタンパク質は、ネイティブなAAVカプシドタンパク質配列を有する、またはネイティブなAAVカプシドタンパク質配列と少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%もしくは99%類似もしくは同一なアミノ酸配列を有する。例えば、特定の態様では、「AAV2」カプシドタンパク質は、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質配列およびネイティブなAAV2カプシドタンパク質配列と少なくとも約75%、80%<85%、90%、95%、97%、98%または99%類似または同一な配列を包含する。
【0146】
2つ以上のアミノ酸配列の間の配列類似性または同一性を決定する方法は、当技術分野において公知である。配列類似性または同一性は、非限定的に、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2,482 (1981)の局所配列同一性アルゴリズム、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48,443 (1970)の配列同一性アライメントアルゴリズム、Pearson & Lipman, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 2444 (1988)の類似性検索法、これらのアルゴリズムのコンピューター実装(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Drive, Madison, WIの中のGAP、BESTFIT、FASTA,およびTFASTA)、Devereux et al., Nucl. Acid Res. 12, 387-395 (1984)により記載されたBest Fit配列プログラム、または検査を含む、当技術分野において公知の標準的な技法を使用して決定され得る。
【0147】
別の適切なアルゴリズムは、Altschul et al., J. Mol. Biol. 215, 403-410, (1990)およびKarlin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90, 5873-5787 (1993)に記載されているBLASTアルゴリズムである。特に有用なBLASTプログラムは、Altschul et al., Methods in Enzymology, 266, 460-480 (1996);http://blast.wustl/edu/blast/README.htmlから得られるWU-BLAST-2プログラムである。WU-BLAST-2は、任意でデフォルトの値に設定されたいくつかの検索パラメータを使用する。パラメータは、動的値であり、特定の配列の組成および関心対象の配列が検索されている特定のデータベースの組成に応じてプログラム自体により確立される。しかし、これらの値は、感度を上げるために調整され得る。
【0148】
さらに、追加的に有用なアルゴリズムは、Altschul et al., (1997) Nucleic Acids Res. 25, 3389-3402により報告されたようなギャップドBLASTである。
【0149】
本発明のいくつかの態様では、修飾は、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質(VP1番号付けを使用)のアミノ酸位置585~590(両端を含む)の領域中に、または他のAAV(ネイティブなAAV2 VP1カプシドタンパク質:GenBankアクセッション番号AAC03780もしくはYP680426)の対応する位置に、すなわち、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質のアミノ酸位置585~590(VP1番号付け)に対応するアミノ酸に行うことができる。ネイティブなAAV2カプシドタンパク質の位置585~590に「対応する」、他のAAV血清型または修飾AAVカプシド中のアミノ酸位置は、当業者に明らかであり、配列アライメント技法(例えば、国際公開公報第2006/066066号の
図7参照)および/または結晶構造解析(Padron et al., (2005) J. Virol. 79: 5047-58)を使用して容易に決定することができる。
【0150】
例証すると、修飾は、全ての下流配列の位置が移動されるように、挿入および/または欠失をすでに含有するAAVカプシドタンパク質中に導入することができる。この状況で、AAV2カプシドタンパク質中のアミノ酸位置585~590に対応するアミノ酸位置は、依然として当業者に容易に同定可能である。例証すると、カプシドタンパク質は、アミノ酸位置264の後に挿入を含有するAAV2カプシドタンパク質であることができる(例えば、国際公開公報第2006/066066号を参照されたい)。585位から590位にわたり見出されるアミノ酸(例えば、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質中のRGNRQA(SEQ ID NO:1))は、今度は586位から591位であるが、依然として当業者に同定可能である。
【0151】
本発明はまた、本発明の修飾AAVカプシドタンパク質を含む、それから本質的になる、またはそれからなるウイルスカプシドも提供する。特定の態様では、ウイルスカプシドは、さらに自律的パルボウイルスカプシドまたはディペンドウイルスカプシドであり得るパルボウイルスカプシドである。任意で、ウイルスカプシドは、AAVカプシドである。特定の態様では、AAVカプシドは、AAV1、AAV2、AAV3a、AAV3b、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、または表1に示される、もしくは他の方法で公知もしくはのちに発見される任意の他のAAVであり、かつ/あるいは1つまたは複数の挿入、置換および/または欠失により前述のいずれかから得られるものである。
【0152】
本発明の複数の態様において、単離AAVビリオンまたは実質的に同種のAAVビリオン集団は、1つの血清型のVP1、VP2、およびVP3を発現する1つの核酸ヘルパープラスミドと別の血清型のVP1、VP2、およびVP3を発現する別の核酸ヘルパープラスミドとの混合物の発現生成物ではなく、そのような発現は、「クロスドレッシング」と呼ばれる。
【0153】
本発明の複数の態様において、単離AAVビリオンは、モザイクカプシドを含まず、そして、実質的に同種のAAVビリオン集団は、実質的に同種のモザイクカプシド集団を含まない。
【0154】
2018年3月15日に出願されたPCT/US18/22725における任意の開示が、本出願の請求項のいずれか1つまたは複数に定義される通りの本発明の範囲内に収まるか、または、本出願もしくはそれから導き出される任意の特許において将来出願され得る補正された請求項に定義されるべき任意の発明の範囲内に収まる限り、ならびに、そのまたはそれらの請求項が適用される1以上のあらゆる関連国の法律が、PCT/US18/22725の開示が、当該国におけるまたは当該国のための当該請求項に対する当技術分野の最先端の一部であることを提供する限り、本発明者らは、これにより、本出願またはそれから導き出される任意の特許の無効化を防ぐのに必要な範囲に限って、本出願またはそれから導き出される任意の特許の請求項から前記開示を放棄する権利を有する。
【0155】
例であり、かつ、限定されないが、本発明者らは、現在もしくは将来補正される本出願またはそれから導き出される任意の特許の任意の請求項から、以下の主題のいずれか1つまたは複数を放棄する権利を有する:
A. PCT/US18/22725の実施例9に開示される任意の主題;または
B. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、2つのAAVヘルパープラスミドまたは3つのプラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
C. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、AAV2およびAAV8またはAAV9である2つのAAVヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
D. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、AAV2、AAV8、およびAAV9である3つのAAVヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
E. VP1/VP2が1つのAAVベクターカプシドまたはAAV血清型に由来し、VP3が代替物に由来する、例えば、VP1/VP2が1つのAAV血清型にのみ(そのカプシドに)由来し、VP3が1つの代替AAV血清型にのみ由来する、ハプロイドベクターと呼ばれるベクタービリオン;または
F. 以下から選択される、いずれか1つまたは複数のAAVベクタービリオン:
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8またはハプロイドAAV8/2またはハプロイドAAV82またはH-AAV82と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
VP1/VP2が異なる血清型に由来するベクター;または
AAV9由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV92またはH-AAV92と呼ばれる);または
AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2G9由来のVP3カプシドサブユニットを有するベクター(ハプロイドAAV2G9またはH-AAV2G9と呼ばれる)であって、AAV9グリカン受容体結合部位がAAV2中に移植されている、ベクター;または
AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV83またはH-AAV83と呼ばれる);または
AAV9由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV93またはH-AAV93と呼ばれる);または
AAVrh10由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAVrh10-3またはH-AAVrh10-3と呼ばれる);または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1/VP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1/VP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
28m-2VP3またはハプロイド2m-2VP3またはハプロイドベクター28m-2VP3と呼ばれるベクターであって、キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有し、そして、VP3カプシドサブユニットがAAV2に由来する、ベクター;または
キメラAAV8/2またはキメラAAV82と呼ばれるベクターであって、キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端を有し、VP3開始コドンの変異を有さず、そして、VP3カプシドサブユニットがAAV2に由来する、ベクター;または
キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有する、ベクター;または
G. Fのベクターのいずれか1つの、集団、例えば実質的に同種の集団、例えば1010の粒子の集団、例えば実質的に同種の1010の粒子の集団;または
H. Aおよび/またはBおよび/またはCおよび/またはDおよび/またはEおよび/またはFおよび/またはGのベクターまたはベクター集団のいずれか1つを生産する方法;または
I. それらの任意の組み合わせ。
【0156】
限定されないが、本発明者らは、上記の放棄の権利の保有が、本出願に添付される通りの請求項1~30および[00437]に記載される通りのパラグラフ1~83に少なくとも適用されることを表明する。修飾ウイルスカプシドは、例えば、米国特許第5,863,541号に記載されたように、「カプシド媒体」として使用することができる。修飾ウイルスカプシドによりパッケージングされ、細胞内に移入することができる分子には、異種DNA、RNA、ポリペプチド、有機小分子、金属、またはその組み合わせが含まれる。
【0157】
異種分子は、AAV感染で自然に見られない分子、例えば、野生型AAVゲノムによりコードされない分子として定義される。さらに、治療的に有用な分子は、宿主標的細胞への分子の移入のためにウイルスカプシドの外側と関連することができる。このような関連した分子は、DNA、RNA、有機小分子、金属、糖質、脂質および/またはポリペプチドを含むことができる。本発明の一態様では、治療的に有用な分子は、カプシドタンパク質と共有結合的に連結している(すなわち、コンジュゲートまたは化学的に結合している)。分子を共有結合的に連結する方法は、当業者に公知である。
【0158】
本発明の修飾ウイルスカプシドはまた、新規なカプシド構造に対する抗体を産出することにも役立つ。さらなる代替として、外因性アミノ酸配列は、例えば、対象に投与して外因性アミノ酸配列に対する免疫応答を生成するために、細胞への抗原提示のために修飾ウイルスカプシド中に挿入され得る。
【0159】
他の態様では、ウイルスカプシドは、関心対象のポリペプチドをコードする核酸または機能性RNAを送達するウイルスベクターの投与の前および/または投与と同時に(例えば相互に数分または数時間以内で)、ある特定の細胞部位をブロックするために投与することができる。例えば、本発明のカプシドは、肝臓細胞上の細胞受容体をブロックするために送達することができ、送達ベクターは、続いてまたは同時に投与することができ、このことは、肝臓細胞の形質導入を低減し、他の標的(例えば、骨格筋、心筋および/または横隔膜筋)の形質導入を増強する場合がある。
【0160】
代表的な態様によると、修飾ウイルスカプシドは、本発明による修飾ウイルスベクターの前および/またはそれと同時に対象に投与することができる。さらに、本発明は、本発明の修飾ウイルスカプシドを含む組成物および薬学的製剤を提供し;任意で組成物は、本発明の修飾ウイルスベクターも含む。
【0161】
本発明はまた、本発明の修飾ウイルスカプシドおよびカプシドタンパク質をコードする核酸分子(任意で、単離された核酸分子)も提供する。さらに、核酸分子を含むベクターならびに本発明の核酸分子および/またはベクターを含む細胞(インビボまたは培養)が提供される。適切なベクターには、非限定的に、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、アルファウイルス、ワクシニア、ポックスウイルス、バキュロウイルス、およびその他)、プラスミド、ファージ、YAC、BAC、およびその他が含まれる。このような核酸分子、ベクターおよび細胞は、例えば、本明細書に記載の修飾ウイルスカプシドまたはウイルスベクターの生成のための試薬(例えば、ヘルパーパッケージング構築物またはパッケージング細胞)として使用することができる。
【0162】
本発明によるウイルスカプシドは、当技術分野において公知の任意の方法を使用して、例えばバキュロウイルスからの発現により生成することができる(Brown et al., (1994) Virology 198:477-488)。
【0163】
いくつかの態様では、本発明のAAVカプシドタンパク質への修飾は、「選択的」修飾である。このアプローチは、サブユニット全体またはAAV血清型の間の大きなドメイン交換を用いる以前の研究(例えば、国際公開公報第00/28004号およびHauck et al., (2003) J. Virology 77:2768-2774を参照されたい)と対照的である。特定の態様では、「選択的」修飾は、約20、18、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3または2個未満の連続アミノ酸の挿入および/または置換および/または欠失を招く。
【0164】
本発明の修飾カプシドタンパク質およびカプシドは、現在公知もしくはのちに同定される任意の他の修飾をさらに含むことができる。
【0165】
ウイルスカプシドは、所望の標的組織に存在する細胞表面分子と相互作用するようにウイルスカプシドに指令するターゲティング配列(例えば、ウイルスカプシド中に置換または挿入されたもの)を含む標的指向型ウイルスカプシドであることができる(例えば、国際公開公報第00/28004号およびHauck et al., (2003) J. Virology 77:2768-2774);Shi et al., Human Gene Therapy 17:353-361 (2006)[AAVカプシドサブユニットの520位および/または584位でのインテグリン受容体結合モチーフRGDの挿入を記載している];ならびに米国特許第7,314,912号[AAV2カプシドサブユニットのアミノ酸447位、534位、573位および587位に続いてRGDモチーフを含有するP1ペプチドの挿入を記載している]を参照されたい)。挿入を許容するAAVカプシドサブユニット内の他の位置は、当技術分野において公知である(例えば、Grifman et al., Molecular Therapy 3:964-975 (2001)により記載されている449位および588位)。
【0166】
例えば、本発明のウイルスカプシドのいくつかは、関心対象の大部分の標的組織(例えば、肝臓、骨格筋、心臓、横隔膜筋、腎臓、脳、胃、腸、皮膚、内皮細胞、および/または肺)に対して相対的に非効率的な向性を有する。ターゲティング配列は、これらの低形質導入ベクターに有利に組み入れられて、それにより、ウイルスカプシドに所望の向性および任意で特定の組織に対する選択的向性を付与することができる。ターゲティング配列を含むAAVカプシドタンパク質、カプシドおよびベクターは、例えば、国際公開公報第00/28004号に記載されている。別の可能性として、低形質導入ベクターを所望の標的組織に再方向付けする手段として、Wang et al., Annu Rev Biophys Biomol Struct. 35:225-49 (2006))により記載されるように1つまたは複数の天然に存在しないアミノ酸をAAVカプシドサブユニット中の直行性部位(orthogonal site)に組み入れることができる。これらの非天然アミノ酸を有利に使用して、非限定的に、グリカン(マンノース-樹状細胞ターゲティング);特定のがん細胞型を標的とした送達のためのRGD、ボンベシンまたは神経ペプチド;増殖因子受容体、インテグリン、およびその他などの特定の細胞表面受容体を標的としたファージディスプレイより選択されるRNAアプタマーまたはペプチドを含む、関心対象の分子をAAVカプシドタンパク質に化学的に連結することができる。アミノ酸を化学的に修飾する方法は、当技術分野において公知である(例えば、Greg T. Hermanson, Bioconjugate Techniques, 1st edition, Academic Press, 1996を参照されたい)。
【0167】
代表的な態様では、ターゲティング配列は、特定の細胞型に感染を方向付けるウイルスカプシド配列(例えば、自律的パルボウイルスカプシド配列、AAVカプシド配列、または任意の他のウイルスカプシド配列)であり得る。
【0168】
別の非限定的な例として、ヘパリン結合ドメイン(例えば、呼吸器合胞体ウイルスのヘパリン結合ドメイン)が、結果として生じる変異体にヘパリン結合性を付与するために典型的にはHS受容体と結合しない(例えば、AAV4、AAV5)カプシドサブユニット中に挿入または置換される場合がある。
【0169】
B19は、初代赤血球前駆細胞に、グロボシドをその受容体として感染する(Brown et al., (1993) Science 262:114)。B19の構造は、解像度8Åで決定されている(Agbandje-McKenna et al., (1994) Virology 203:106)。グロボシドと結合するB19カプシドの領域は、β-バレル構造EとFとの間のループアウト領域であるアミノ酸399~406の間(Chapman et al., (1993) Virology 194:419)にマッピングされている(Chipman et al., (1996) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 93:7502)。したがって、B19カプシドのグロボシド受容体結合ドメインは、それを含むウイルスカプシドまたはウイルスベクターを赤血球細胞にターゲティングさせるために、AAVカプシドタンパク質中に置換される場合がある。
【0170】
代表的な態様では、外因性ターゲティング配列は、ウイルスカプシドまたは修飾AAVカプシドタンパク質を含むウイルスベクターの向性を変更するペプチドをコードする任意のアミノ酸配列であり得る。特定の態様では、ターゲティングペプチドまたはタンパク質は、天然に存在する、またはその代わりに完全もしくは部分的に合成であり得る。例示的なターゲティング配列には、細胞表面受容体および糖タンパク質と結合するリガンドおよび他のペプチド、例えばRGDペプチド配列、ブラジキニン、ホルモン、ペプチド増殖因子(例えば、上皮増殖因子、神経増殖因子、線維芽細胞増殖因子、血小板由来増殖因子、インスリン様増殖因子IおよびII、その他)、サイトカイン、メラニン細胞刺激ホルモン(例えば、α、βまたはγ)、神経ペプチドおよびエンドルフィン、およびその他、ならびに標的細胞のそれらの同族受容体に対する能力を保持するその断片が含まれる。他の例示的なペプチドおよびタンパク質には、サブスタンスP、ケラチノサイト増殖因子、神経ペプチドY、ガストリン放出ペプチド、インターロイキン2、ニワトリ卵白リゾチーム、エリスロポエチン、ゴナドリベリン、コルチコスタチン、β-エンドルフィン、リュー-エンケファリン、リモルフィン、α-ネオ-エンケファリン、アンジオテンシン、ニューマジン(pneumadin)、血管作動性腸管ペプチド、ニューロテンシン、モチリン、および上記のその断片が含まれる。なおさらなる代替として、毒素(例えば、破傷風毒素またはヘビ毒素、例えばα-ブンガロトキシン、およびその他)由来の結合ドメインを、ターゲティング配列としてカプシドタンパク質中に置換することができる。なおさらなる代表的な態様では、AAVカプシドタンパク質は、Cleves(Current Biology 7:R318 (1997))により記載されるように「非古典的」搬入/搬出シグナルペプチド(例えば、線維芽細胞増殖因子-1および-2、インターロイキン1、HIV-1 Tatタンパク質、ヘルペスウイルスVP22タンパク質、およびその他)のAAVカプシドタンパク質中への置換により修飾することができる。特定の細胞による取り込みを指令するペプチドモチーフも包含され、例えば、FVFLPペプチドモチーフは、肝臓細胞による取り込みをトリガーする。
【0171】
関心対象の任意の細胞型を認識するペプチドを同定するために、ファージディスプレイ技法および当技術分野において公知の他の技法が使用され得る。
【0172】
ターゲティング配列は、受容体(例えば、タンパク質、糖質、糖タンパク質またはプロテオグリカン)を含む、細胞表面結合部位を標的とする任意のペプチドをコードし得る。細胞表面結合部位の例には、非限定的に、ヘパラン硫酸、コンドロイチン硫酸、および他のグリコサミノグリカン、ムチン上に見られるシアル酸部分、糖タンパク質、およびガングリオシド、MHC I糖タンパク質、膜糖タンパク質上に見られる、マンノース、N-アセチル-ガラクトサミン、N-アセチル-グルコサミン、フコース、ガラクトース、およびその他を含む糖質構成成分が含まれる。
【0173】
特定の態様では、ヘパラン硫酸(HS)またはヘパリン結合ドメインは、ウイルスカプシド中に(例えば、そうでなければHSまたはヘパリンに結合しないAAVにおいて)置換される。HS/ヘパリン結合は、アルギニンおよび/またはリジンが豊富な「塩基性パッチ」により媒介されることは、当技術分野において公知である。例示的な態様では、モチーフBXXB[配列中、「B」は、塩基性残基であり、Xは、中性および/または疎水性である]に続く配列。1つの非限定的な例として、BXXBはRGNRである。特定の態様では、BXXBは、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質中のアミノ酸位置262~265にかけて、または別のAAVのカプシドタンパク質における対応する位置で置換されている。
【0174】
適切なターゲティング配列の他の非限定的な例には、Mueller et al., Nature Biotechnology 21:1040-1046 (2003)により同定された冠動脈内皮細胞をターゲティングするペプチド(コンセンサス配列
);Grifman et al., Molecular Therapy 3:964-975 (2001)により記載されているような腫瘍ターゲティングペプチド(例えば、NGR、NGRAHA(SEQ ID NO:5));Work et al., Molecular Therapy 13:683-693 (2006)により記載されているような肺または脳ターゲティング配列
;Hajitou et al., TCM 16:80-88 (2006)により記載された血管ターゲティング配列
;Koivunen et al., J. Nucl. Med. 40:883-888 (1999)により記載されているようなターゲティングペプチド
、XXXY
*XXX[式中、Y
*はホスホ-Tyrである](SEQ ID NO:41)、
、およびGSL);ならびにNewton & Deutscher, Phage Peptide Display in Handbook of Experimental Pharmacology, pages 145-163, Springer-Verlag, Berlin (2008)により記載されているような腫瘍ターゲティングペプチド
が含まれる。
【0175】
なおさらなる代替として、ターゲティング配列は、細胞内への侵入をターゲティングする別の分子との化学結合のために使用できる(例えば、そのR基を経由して化学結合することができるアルギニンおよび/またはリジン残基を含むことができる)ペプチドであり得る。
【0176】
別の選択肢として、本発明のAAVカプシドタンパク質またはウイルスカプシドは、国際公開公報第2006/066066号に記載されているような変異を含むことができる。例えば、カプシドタンパク質は、ネイティブなAAV2カプシドタンパク質のアミノ酸位置263、705、708および/もしくは716に選択的アミノ酸置換または別のAAV由来のカプシドタンパク質中に対応する変化を含むことができる。追加的または代替的に、代表的な態様では、カプシドタンパク質、ウイルスカプシドまたはベクターは、AAV2カプシドタンパク質のアミノ酸位置264のすぐ後の選択的アミノ酸挿入または他のAAV由来のカプシドタンパク質中に対応する変化を含む。「アミノ酸位置Xのすぐ後」により、挿入が、表示されたアミノ酸位置の直後であることが意図される(例えば、「アミノ酸位置264の後」は、位置265での点挿入またはより大きな挿入、例えば位置265~268などを示す)。本発明の前述の態様は、本明細書に記載のように細胞または対象に異種核酸を送達するために使用することができる。例えば、修飾ベクターを使用して、本明細書に記載のムコ多糖症(例えば、スライ症候群[β-グルクロニダーゼ]、ハーラー症候群[α-L-イズロニダーゼ]、シャイエ症候群[α-L-イズロニダーゼ]、ハーラー-シャイエ症候群[α-L-イズロニダーゼ]、ハンター症候群[イズロン酸スルファターゼ]、サンフィリポ症候群A[ヘパランスルファミダーゼ]、B[N-アセチルグルコサミニダーゼ]、C[アセチル-CoA:α-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ]、D[N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ]、モルキオ症候群A[ガラクトース-6-硫酸スルファターゼ]、B[β-ガラクトシダーゼ]、マロトー-ラミー症候群[N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ]、その他)、ファブリー病(α-ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、またはグリコーゲン蓄積症(例えば、ポンペ病;リソソーム酸性α-グルコシダーゼ)などのリソソーム蓄積症を処置することができる。
【0177】
当業者は、いくつかのAAVカプシドタンパク質について、対応するアミノ酸位置がウイルス中に部分的もしくは完全に存在するか、またはその代わりに完全に不在かどうかに応じて、対応する修飾が、挿入および/または置換であることを認識するであろう。同様に、AAV2以外のAAVを修飾する場合、特定のアミノ酸位置は、AAV2における位置と異なる場合がある(例えば、表3を参照されたい)。本明細書の他のどこかに記述するように、対応するアミノ酸位置は、周知の技法を使用して当業者に容易に明らかになるであろう。
【0178】
代表的な態様では、カプシドタンパク質中の挿入および/または置換および/または欠失の結果として、(i)その領域における親水性ループ構造を維持するアミノ酸;(ii)ループ構造の立体配置を変更するアミノ酸;(iii)荷電アミノ酸;および/あるいは(iv)AAV2カプシドタンパク質中の264の後でリン酸化もしくは硫酸化されることができるアミノ酸、または翻訳後修飾(例えばグリコシル化)により他の方法で電荷もしくは別のAAVのカプシドタンパク質中に対応する変化を獲得することができるアミノ酸の挿入、置換および/または再配置が生じる。挿入/置換に適したアミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリン、ロイシン、リジン、アルギニン、トレオニン、セリン、チロシン、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、フェニルアラニン、チロシンまたはグルタミンが含まれる。特定の態様では、トレオニンは、カプシドサブユニット内に挿入または置換される。いくつかの他のAAVにおける対応する位置の非限定的な例を表3(位置2)に示す。特定の態様では、アミノ酸の挿入または置換は、トレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸またはフェニルアラニンである(この位置にそれぞれトレオニン、グルタミン酸またはフェニルアラニンを有するAAVを除く)。
【0179】
本発明のこの局面により、いくつかの態様では、AAVカプシドタンパク質は、AAV2、AAV3aまたはAAV3bカプシドタンパク質におけるアミノ酸位置264の後に、あるいはそれぞれ非AAV2、AAV3aもしくはAAV3b配列を含むように修飾された、および/または1つもしくは複数のアミノ酸の欠失により修飾された(すなわち、AAV2、AAV3aもしくはAAV3bから得られた)AAV2、AAV3aまたはAAV3bカプシドタンパク質における対応する位置に、アミノ酸挿入を含む。AAV2(またはAAV3aもしくはAAV3b)のカプシドサブユニットにおける位置264に対応するアミノ酸は、AAV2(またはAAV3aもしくはAAV3b)から得られた出発ウイルスから容易に同定可能であり、次にこのサブユニットを本発明によりさらに修飾することができる。挿入に適したアミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリン、ロイシン、リジン、アルギニン、トレオニン、セリン、チロシン、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、フェニルアラニン、チロシンまたはグルタミンが含まれる。
【0180】
他の態様では、AAVカプシドタンパク質は、AAV1カプシドタンパク質のアミノ酸位置265、AAV8カプシドタンパク質のアミノ酸位置266、もしくはAAV9カプシドタンパク質のアミノ酸位置265に、またはそれぞれ非AAV1、非AAV8もしくは非AAV9配列を含むように修飾され、かつ/もしくは1つもしくは複数のアミノ酸の欠失(すなわち、AAV1、AAV8もしくはAAV9から得られる欠失)により修飾された、AAV1、AAV8もしくはAAV9カプシドタンパク質の対応する位置に、アミノ酸置換を含む。AAV1およびAAV9カプシドサブユニットの265位およびAAV8カプシドサブユニットの266位に対応するアミノ酸は、AAV1、AAV8またはAAV9から得られた出発ウイルスから容易に同定可能であり、次にこのアミノ酸を本発明によりさらに修飾することができる。挿入に適したアミノ酸には、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリン、ロイシン、リジン、アルギニン、トレオニン、セリン、チロシン、グリシン、アラニン、プロリン、アスパラギン、フェニルアラニン、チロシンまたはグルタミンが含まれる。
【0181】
本発明の代表的な態様では、カプシドタンパク質は、AAV2カプシドタンパク質のアミノ酸位置264または別のカプシドタンパク質の対応する位置の後にトレオニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、またはフェニルアラニンを含む(すなわち、挿入)。
【0182】
他の代表的な態様では、本発明の修飾カプシドタンパク質またはウイルスカプシドは、国際公開公報第2007/089632号に記載されているような1つまたは複数の変異をさらに含む(例えば、AAV2カプシドタンパク質のアミノ酸位置531または別のAAV由来のカプシドタンパク質の対応する位置でのE7K変異)。
【0183】
さらなる態様では、修飾カプシドタンパク質またはカプシドは、国際公開公報第2009/108274号に記載されているような変異を含むことができる。
【0184】
別の可能性として、AAVカプシドタンパク質は、Zhongら(Virology 381: 194-202 (2008);Proc. Nat. Acad. Sci. 105: 7827-32 (2008))により記載されているような変異を含むことができる。例えば、AAVカプシドタンパク質は、アミノ酸位置730にYF変異を含むことができる。
【0185】
上記修飾は、相互に組み合わせて、および/または現在公知もしくはのちに発見される任意の他の修飾と共に、本発明のカプシドタンパク質またはカプシド中に組み入れることができる。
【0186】
本発明はまた、本発明の修飾カプシドタンパク質およびカプシドを含むウイルスベクターも包含する。特定の態様では、ウイルスベクターは、パルボウイルスベクター(例えば、パルボウイルスカプシドおよび/またはベクターゲノムを含む)、例えば、AAVベクター(例えば、AAVカプシドおよび/またはベクターゲノムを含む)である。代表的な態様では、ウイルスベクターは、本発明の修飾カプシドタンパク質サブユニットおよびベクターゲノムを含む修飾AAVカプシドを含む。
【0187】
例えば、代表的な態様では、ウイルスベクターは、(a)本発明の修飾カプシドタンパク質を含む修飾ウイルスカプシド(例えば、修飾AAVカプシド);および(b)末端反復配列(例えば、AAV TR)を含む核酸であって、末端反復配列を含む核酸が、修飾ウイルスカプシドにより包まれている核酸を含む。核酸は、任意で、2つの末端反復(例えば、2つのAAV TR)を含むことができる。
【0188】
代表的な態様では、ウイルスベクターは、関心対象のポリペプチドまたは機能性RNAをコードする異種核酸を含む組み換えウイルスベクターである。組み換えウイルスベクターは、下により詳細に説明される。
【0189】
いくつかの態様では、本発明のウイルスベクターは、(i)本発明の修飾カプシドタンパク質を有しないウイルスベクターによる形質導入のレベルと比較して、低減した肝臓の形質導入を有し;(ii)本発明の修飾カプシドタンパク質を有しないウイルスベクターにより観察されたレベルと比較して、動物対象においてウイルスベクターによる増強した全身形質導入を示し;(iii)本発明の修飾カプシドタンパク質を有しないウイルスベクターによる移動のレベルと比較して、内皮細胞を通過する増強した移動を実証し、かつ/あるいは(iv)本発明の修飾カプシドタンパク質を有しないウイルスベクターによる形質導入のレベルと比較して、筋肉組織(例えば、骨格筋、心筋および/もしくは横隔膜筋)の形質導入における選択的増強、ならびに/または(v)脳組織(例えば、ニューロン)の低減した形質導入を示す。いくつかの態様では、ウイルスベクターは、筋肉に向けた全身形質導入を有し、例えば、ウイルスベクターは、全身にわたる複数の骨格筋群に形質導入し、任意で、心筋および/または横隔膜筋に形質導入する。
【0190】
さらに、本発明のいくつかの態様では、修飾ウイルスベクターは標的組織の効率的な形質導入を示す。
【0191】
本発明の修飾カプシドタンパク質、ウイルスカプシド、ウイルスベクターおよびAAV粒子は、ネイティブな状態で存在するまたは見出されるようなカプシドタンパク質、カプシド、ウイルスベクターおよびAAV粒子を除くことが当業者により理解されるであろう。
【0192】
ウイルスベクターを生成する方法
本発明は、本発明の創意に富むウイルスベクターをAAV粒子として生成する方法をさらに提供する。したがって、本発明は、本発明のAAVカプシドを含むAAV粒子を作製する方法であって、(a)AAV粒子を組み立てるために必要な全ての機能および遺伝子を一緒に提供する1種または複数種のプラスミドを宿主細胞にトランスフェクトすること;(b)1種もしくは複数種の核酸構築物をパッケージング細胞株もしくはプロデューサー細胞株に導入して、AAV粒子を組み立てるために必要な全ての機能および遺伝子を一緒に提供する工程;(c)AAV粒子を組み立てるために必要な全ての機能および遺伝子を一緒に提供する1種もしくは複数種の組み換えバキュロウイルスベクターを宿主細胞に導入する工程;ならびに/または(d)AAV粒子を組み立てるために必要な全ての機能および遺伝子を一緒に提供する1種もしくは複数種の組み換えヘルペスウイルスベクターを宿主細胞に導入する工程を含む、方法を提供する。AAVビリオンを形成するための条件は、細胞(例えば哺乳動物細胞または昆虫細胞)中でAAVベクターを生成するための標準的な条件であり、非限定的な例として、AdヘルバープラスミドまたはHSVなどの他のヘルパーウイルスの存在下での細胞のトランスフェクションが含まれる。
【0193】
本発明のウイルスベクターを作製する様々な方法の非限定的な例は、ClementおよびGrieger("Manufacturing of recombinant adeno-associated viral vectors for clinical trials" Mol. Ther. Methods Clin Dev. 3:16002 (2016))およびGriegerら("Production of recombinant adeno-associated virus vectors using suspension HEK293 cells and continuous harvest of vector from the culture media for GMP FIX and FLT1 clinical vector" Mol Ther 24(2):287-297 (2016))に記載されており、これらの全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0194】
代表的な一態様では、本発明は、ウイルスベクターを生成する方法であって、細胞に、(a)少なくとも1つのTR配列(例えば、AAV TR配列)を含む核酸鋳型、ならびに(b)核酸鋳型の複製およびAAVカプシド内への包み込みに十分なAAV配列(例えば、AAV rep配列および本発明のAAVカプシドをコードするAAV cap配列)を提供することを含む方法を提供する。任意で、核酸鋳型は、少なくとも1つの異種核酸配列をさらに含む。特定の態様では、核酸鋳型は、異種核酸配列(存在する場合)に対して5'および3'に位置する2つのAAV ITR配列を含むが、それらは、異種核酸配列と直接連続する必要はない。
【0195】
核酸鋳型ならびにAAV repおよびcap配列は、AAVカプシド内にパッケージングされた核酸鋳型を含むウイルスベクターが細胞中で生成されるような条件で提供される。方法は、細胞からウイルスベクターを収集する工程をさらに含むことができる。ウイルスベクターは、培地からおよび/または細胞を溶解することにより収集することができる。
【0196】
一態様において、cap配列が、1つの血清型にのみ由来する核酸配列(第1の核酸配列)から3つのウイルス構造タンパク質VP1、VP2、およびVP3全てを発現できないように、核酸鋳型は変更される。この変更は、例えば、ウイルス構造タンパク質の少なくとも1つに対する開始コドンを除去することによる変更であることができる。鋳型はまた、第1の核酸配列が発現することができないウイルス構造タンパク質をコードしかつそれを発現することができる異なる血清型に由来する、少なくとも1つの追加の核酸配列(第2の核酸配列)を含有し、ここで、第2の核酸配列は、第1の核酸配列が発現することができるウイルス構造タンパク質を発現することができない。一態様において、第1の核酸配列は、ウイルス構造タンパク質の2つを発現することができるが、第2の核酸配列は、残りのウイルス配列のみを発現することができる。例えば、第1の核酸配列は、1つの血清型由来のVP1およびVP2を発現することができるが、VP3は発現できず、そして、第2の核酸配列は、代替血清型由来のVP3を発現することができるが、VP1またはVP2は発現できない。鋳型は、3つのウイルス構造タンパク質の他のいずれも発現することができない。一態様において、第1の核酸配列は、3つのウイルス構造タンパク質の1つだけを発現することができ、第2の核酸配列は、第1以外の他の2つのウイルス構造タンパク質のみを発現することができる。
【0197】
別の態様において、第3の血清型由来の第3の核酸配列がある。この態様において、3つの核酸配列の各々は、3つのカプシドウイルス構造タンパク質VP1、VP2、およびVP3の1つだけを発現することができ、そして、各々、該配列の別のものによって発現されるウイルス構造タンパク質を発現することなく、その結果、カプシド中のウイルス構造タンパク質の各々が全て同じ血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3を含有するカプシドがまとめて生産され、この態様において、VP1、VP2、およびVP3は全て異なる血清型に由来する。
【0198】
発現を妨げるための変更は、当技術分野において公知の任意の手段による変更であることができる。例えば、開始コドン、スプライスアクセプター、スプライスドナー、およびそれらの組み合わせを除去することである。欠失および付加だけでなく、リーディングフレームを変化させる部位特異的変化も使用することができる。核酸配列を合成によって生産することもできる。これらのヘルパー鋳型は、典型的には、ITRを含有しない。
【0199】
細胞は、AAVウイルス複製に許容性の細胞であることができる。当技術分野において公知の任意の適切な細胞が採用され得る。特定の態様では、細胞は哺乳動物細胞である。別の選択肢として、細胞は、複製欠損ヘルパーウイルスから欠失された機能を提供するトランス相補パッケージング細胞株、例えば、293細胞または他のElaトランス相補細胞であることができる。
【0200】
AAVのreplication配列およびcapsid配列は、当技術分野においての公知の任意の方法により提供され得る。現行のプロトコルは、典型的には、単一のプラスミド上にAAV rep/cap遺伝子を発現する。AAVのreplication配列およびパッケージング配列は、一緒に提供される必要はないが、そうすることが好都合であり得る。AAV repおよび/またはcap配列は、任意のウイルスまたは非ウイルスベクターにより提供される場合がある。例えば、rep/cap配列は、ハイブリッドアデノウイルスまたはヘルペスウイルスベクターにより提供される場合がある(例えば、欠失アデノウイルスベクターのElaまたはE3領域に挿入される)。EBVベクターは、また、AAV capおよびrep遺伝子を発現するために採用される場合がある。この方法の1つの利点は、EBVベクターがエピソーム性であるものの、継続的な細胞分裂を通して高いコピー数を維持することである(すなわち「EBVベースの核エピソーム」と称される染色体外エレメントとして細胞に安定的に組み入れられる、Margolski, (1992) Curr. Top. Microbiol. Immun. 158:67を参照されたい)。
【0201】
さらなる代替として、rep/cap配列が細胞に安定的に組み入れられる場合がある。典型的には、AAV rep/cap配列は、これらの配列の救済および/またはパッケージングを防ぐために、TRと近接しない。
【0202】
核酸鋳型は、当技術分野において公知の任意の方法を使用して細胞に提供することができる。例えば、鋳型は、非ウイルス(例えば、プラスミド)またはウイルスベクターにより供給することができる。特定の態様では、核酸鋳型は、ヘルペスウイルスまたはアデノウイルスベクターにより供給される(例えば、欠失アデノウイルスのElaまたはE3領域に挿入される)。別の例証として、Palombo et al., (1998) J. Virology 72:5025は、AAV TRと近接するレポーター遺伝子を有するバキュロウイルスベクターを記載している。EBVベクターは、また、rep/cap遺伝子に関して上に記載されたように、鋳型を送達するために採用される場合がある。
【0203】
別の代表的な態様では、核酸鋳型は、複製rAAVウイルスにより提供される。なお他の態様では、核酸鋳型を含むAAVプロウイルスは、細胞の染色体に安定的に組み入れられる。
【0204】
ウイルス力価を高めるために、増殖性AAV感染を促進するヘルパーウイルスの機能(例えば、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス)を細胞に提供することができる。AAVの複製に必要なヘルパーウイルス配列は、当技術分野において公知である。典型的には、これらの配列は、ヘルパーアデノウイルスまたはヘルペスウイルスベクターにより提供される。あるいは、アデノウイルスまたはヘルペスウイルス配列は、別の非ウイルスまたはウイルスベクターにより例えば、Ferrari et al., (1997) Nature Med. 3:1295、ならびに米国特許第6,040,183号および同第6,093,570号により記載されたように、効率的なAAV生成を促進する全てのヘルパー遺伝子を有する非感染性アデノウイルスミニプラスミドとして提供することができる。
【0205】
さらに、ヘルパーウイルスの機能は、ヘルパー配列が染色体中に包埋された、または安定な染色体外エレメントとして維持された、パッケージング細胞により提供され得る。一般的に、ヘルパーウイルスの配列は、AAVビリオン中にパッケージングすることができず、例えば、TRと近接しない。
【0206】
当業者は、単一のヘルパー構築物上にAAVのreplicationおよびcapsid配列ならびにヘルパーウイルス配列(例えば、アデノウイルス配列)を提供することが有利な場合があることを認識している。このヘルパー構築物は、非ウイルス構築物またはウイルス構築物であり得る。非限定的な一例として、ヘルパー構築物は、AAV rep/cap遺伝子を含むハイブリッドアデノウイルスまたはハイブリッドヘルペスウイルスであることができる。
【0207】
特定の一態様では、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターにより供給される。このベクターは、さらに核酸鋳型をさらに含むことができる。AAV rep/cap配列および/またはrAAV鋳型は、アデノウイルスの欠失領域(例えば、E1aまたはE3領域)に組み入れることができる。
【0208】
さらなる態様では、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターにより供給される。この態様によると、rAAV鋳型は、プラスミド鋳型として提供することができる。
【0209】
別の例証的な態様では、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーベクターにより提供され、rAAV鋳型は、プロウイルスとして細胞に組み入れられる。あるいは、rAAV鋳型は、細胞内に染色体外エレメントとして(例えば、EBVベースの核エピソームとして)維持されるEBVベクターにより提供される。
【0210】
さらなる例示的な態様では、AAV rep/cap配列およびアデノウイルスヘルパー配列は、単一のアデノウイルスヘルパーにより提供される。rAAV鋳型は、別々の複製ウイルスベクターとして提供することができる。例えば、rAAV鋳型は、rAAV粒子または第2の組み換えアデノウイルス粒子により提供することができる。
【0211】
前述の方法により、ハイブリッドアデノウイルスベクターは、典型的には、アデノウイルスの複製およびパッケージングに十分なアデノウイルス5'および3'シス配列(すなわち、アデノウイルス末端反復およびPAC配列)を含む。AAV rep/cap配列および存在する場合に、rAAV鋳型は、アデノウイルス骨格中に包埋され、5'および3'シス配列と近接し、それにより、これらの配列は、アデノウイルスカプシド中にパッケージングされる場合がある。上記のように、アデノウイルスヘルパー配列およびAAV rep/cap配列は、これらの配列がAAVビリオン中にパッケージングされないように、一般的に、TRと近接しない。
【0212】
Zhangら((2001) Gene Ther. 18:704-12)は、アデノウイルスとAAV repおよびcap遺伝子との両方を含むキメラヘルパーについて記載している。
【0213】
ヘルペスウイルスはまた、AAVパッケージング法におけるヘルパーウイルスとしても使用される場合がある。
【0214】
AAV Repタンパク質をコードするハイブリッドヘルペスウイルスは、拡大縮小できるAAVベクター生成スキームを有利に促進し得る。AAV-2 repおよびcap遺伝子を発現するハイブリッド単純ヘルペスウイルスI型(HSV-1)ベクターが記述されている(Conway et al., (1999) Gene Therapy 6:986および国際公開公報第00/17377号)。
【0215】
さらなる代替として、バキュロウイルスベクターを使用して昆虫細胞において本発明のウイルスベクターを生成して、例えば、Urabe et al., (2002) Human Gene Therapy 13:1935-43に記載されているようにrep/cap遺伝子およびrAAV鋳型を送達することができる。
【0216】
混入ヘルパーウイルスを含まないAAVベクターストックは、当技術分野において公知の任意の方法によって取得可能である。例えば、AAVおよびヘルパーウイルスは、サイズに基づき容易に区別され得る。AAVはまた、ヘパリン基質に対する親和性に基づきヘルパーウイルスから分離除去され得る(Zolotukhin et al. (1999) Gene Therapy 6:973)。いかなる混入ヘルパーウイルスも複製不適格であるように、欠失型複製欠損ヘルパーウイルスを使用することができる。さらなる代替として、後期遺伝子発現を欠如するアデノウイルスヘルパーが採用される場合がある。それは、アデノウイルス初期遺伝子の発現だけが、AAVウイルスのパッケージングを媒介するために必要とされるからである。後期遺伝子の発現を欠損するアデノウイルス変異体は、当技術分野において公知である(例えば、ts100Kおよびts149アデノウイルス変異体)。
【0217】
組み換えウイルスベクター
本発明は、細胞に核酸分子を投与する方法であって、細胞を本発明のウイルスベクター、AAV粒子および/または組成物もしくは薬学的製剤と接触させることを含む方法を提供する。
【0218】
本発明は、核酸を対象に送達する方法であって、対象に本発明のウイルスベクター、AAV粒子および/または組成物もしくは薬学的製剤を投与することを含む方法をさらに提供する。
【0219】
特定の態様では、対象は、ヒトであり、いくつかの態様では、対象は、遺伝子療法プロトコルにより処置できる障害を有する、またはその危険がある。このような障害の非限定的な例には、デュシェンヌまたはベッカー型筋ジストロフィーを含む筋ジストロフィー、血友病A、血友病B、多発性硬化症、糖尿病、ゴーシェ病、ファブリー病、ポンペ病、がん、関節炎、筋消耗、うっ血性心不全または末梢動脈疾患を含む心疾患、内膜肥厚、てんかん、ハンチントン病、パーキンソン病またはアルツハイマー病を含む神経障害、自己免疫疾患、嚢胞性線維症、サラセミア、ハーラー症候群、スライ症候群、シャイエ症候群、ハーラー-シャイエ症候群、ハンター症候群、サンフィリポ症候群A、B、C、D、モルキオ症候群、マロトー-ラミー症候群、クラッベ病、フェニルケトン尿症、バッテン病、脊髄性脳性運動失調、LDL受容体欠損、高アンモニア血症、貧血、関節炎、黄斑変性を含む網膜変性障害、アデノシンデアミナーゼ欠損、代謝障害、および腫瘍形成性のがんを含むがんが含まれる。
【0220】
本発明の方法のいくつかの態様では、本発明のウイルスベクター、AAV粒子および/または組成物もしくは薬学的製剤は、骨格筋、心筋および/または横隔膜筋に投与することができる。
【0221】
本明細書に記載の方法では、本発明のウイルスベクター、AAV粒子および/または組成物もしくは薬学的製剤は、全身経路を介して(例えば、静脈内、動脈内、腹腔内など)本発明の対象に投与/送達することができる。いくつかの態様では、ウイルスベクターおよび/または組成物は、脳室内、大槽内、実質内、頭蓋内および/またはくも膜下腔内経路を介して対象に投与することができる。特定の態様では、本発明のウイルスベクターおよび/または薬学的製剤は、静脈内投与される。
【0222】
本発明のウイルスベクターは、細胞への核酸分子のインビトロ、エクスビボ、およびインビボ送達に有用である。特に、ウイルスベクターは、哺乳動物細胞を含む動物細胞に核酸分子を送達または移入するために有利に採用することができる。
【0223】
任意の関心対象の異種核酸配列を、本発明のウイルスベクターで送達し得る。関心対象の核酸分子には、治療用ポリペプチド(例えば、医学的もしくは獣医学的使用のため)および/または免疫原性ポリペプチド(例えば、ワクチン用)を含むポリペプチドをコードする核酸分子が含まれる。
【0224】
治療用ポリペプチドには、非限定的に、嚢胞性線維症膜貫通型調節タンパク質(CFTR)、ジストロフィン(ミニ-およびマイクロ-ジストロフィンを含む、例えば、Vincent et al., (1993) Nature Genetics 5:130;米国特許出願公開第2003/017131号;国際公開公報第2008/088895号、Wang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:13714-13719 (2000);およびGregorevic et al., Mol. Ther. 16:657-64 (2008)を参照されたい)、ミオスタチンプロペプチド、フォリスタチン、アクチビンII型可溶性受容体、IGF-1、IカッパBドミナント変異体などの抗炎症ポリペプチド、サルコスパン(sarcospan)、ユートロフィン(Tinsley et al., (1996) Nature 384:349)、ミニ-ユートロフィン、凝固因子(例えば、第VIII因子、第IX因子、第X因子、その他)、エリスロポエチン、アンジオスタチン、エンドスタチン、カタラーゼ、チロシンヒドロキシラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、レプチン、LDL受容体、リポタンパク質リパーゼ、オルニチントランスカルバミラーゼ、β-グロビン、α-グロビン、スペクトリン、α1-アンチトリプシン、アデノシンデアミナーゼ、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、グルコセレブロシダーゼ、スフィンゴミエリナーゼ、リソソームヘキソサミニダーゼA、分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ、RP65タンパク質、サイトカイン(例えば、α-インターフェロン、β-インターフェロン、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターロイキン-4、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、リンホトキシン、およびその他)、ペプチド増殖因子、神経栄養因子およびホルモン(例えば、ソマトトロピン、インスリン、インスリン様増殖因子1および2、血小板由来増殖因子、上皮増殖因子、線維芽細胞増殖因子、神経成長因子、神経栄養因子-3および-4、脳由来神経栄養因子、骨形成タンパク質[RANKLおよびVEGFを含む]、グリア由来増殖因子、形質転換増殖因子-αおよび-β、およびその他)、リソソーム酸性α-グルコシダーゼ、α-ガラクトシダーゼA、受容体(例えば、腫瘍壊死増殖因子-α可溶性受容体)、S100A1、パルブアルブミン、アデニリルシクラーゼ6型、カルシウムハンドリングをモジュレートする分子(例えば、SERCA2A、PP1阻害剤1およびその断片[例えば、国際公開公報第2006/029319号および同第2007/100465号])、Gタンパク質共役受容体キナーゼ2型ノックダウンに影響する分子、例えば切断型構成的活性bARKct、IRAPなどの抗炎症因子、抗ミオスタチンタンパク質、アスパルトアシラーゼ、モノクローナル抗体(単鎖モノクローナル抗体を含む;例示的なMabは、Herceptin(登録商標)Mabである)、神経ペプチドおよびその断片(例えば、ガラニン、ニューロペプチドY(米国特許第7,071,172号参照)、バソヒビンおよび他のVEGF阻害剤などの血管新生阻害剤(例えば、バソヒビン2[WOJP2006/073052参照])が含まれる。他の例証的な異種核酸配列は、自殺遺伝子生成物(例えば、チミジンキナーゼ、シトシンデアミナーゼ、ジフテリア毒素、および腫瘍壊死因子)、がん治療に使用される薬物に対する耐性を付与するタンパク質、腫瘍抑制遺伝子生成物(例えば、p53、Rb、Wt-1)、TRAIL、FAS-リガンド、ならびにそれを必要とする対象において治療効果を有する任意の他のポリペプチドをコードする。AAVベクターは、また、モノクローナル抗体および抗体断片、例えば、ミオスタチンに対する抗体または抗体断片を送達するために使用することもできる(例えば、Fang et al., Nature Biotechnology 23:584-590 (2005)を参照されたい)。
【0225】
ポリペプチドをコードする異種核酸配列には、レポーターポリペプチド(例えば、酵素)をコードするものが含まれる。レポーターポリペプチドは、当技術分野において公知であり、それらには、非限定的に、緑色蛍光タンパク質(GFP)、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、ルシフェラーゼ、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子が含まれる。
【0226】
任意で、異種核酸分子は、分泌型ポリペプチド(例えば、そのネイティブな状態で分泌型ポリペプチドである、または、例えば当技術分野において公知のように分泌シグナル配列との機能的関連により、分泌されるように操作されたポリペプチド)をコードする。
【0227】
あるいは、本発明の特定の態様では、異種核酸分子は、アンチセンス核酸分子、リボザイム(例えば、米国特許第5,877,022号に記載)、スプライセオソーム媒介トランススプライシングに影響するRNA(Puttaraju et al., (1999) Nature Biotech. 17:246;米国特許第6,013,487号;米国特許第6,083,702号参照)、遺伝子サイレンシングを媒介するsiRNA、shRNAまたはmiRNAを含む干渉性RNA(RNAi)(Sharp et al., (2000) Science 287:2431参照)、および「ガイド」RNAなどの他の非翻訳RNA(Gorman et al., (1998) Proc. Nat. Acad. Sci. USA 95:4929;Yuanらの米国特許第5,869,248号)、およびその他をコードする場合がある。例示的な非翻訳RNAには、多剤耐性(MDR)遺伝子生成物に対するRNAi(例えば、腫瘍を処置および/もしくは予防するためならびに/または化学療法による損傷を予防するために心臓に投与するため)、ミオスタチンに対するRNAi(例えば、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのため)、VEGFに対するRNAi(例えば、腫瘍を処置および/または予防するため)、ホスホランバンに対するRNAi(例えば、心血管疾患を処置するため、例えば、Andino et al., J. Gene Med. 10:132-142 (2008)およびLi et al., Acta Pharmacol Sin. 26:51-55 (2005)を参照されたい);ホスホランバン阻害またはドミナントネガティブ分子、例えばホスホランバンS16E(例えば、心血管疾患を処置するため、例えば、Hoshijima et al. Nat. Med. 8:864-871 (2002)参照)、アデノシンキナーゼに対するRNAi(例えば、てんかんのため)、ならびに病原生物およびウイルスに対するRNAi(例えば、Bおよび/またはC型肝炎ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、CMV、単純ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス、その他)が含まれる。
【0228】
さらに、選択的スプライシングを指令する核酸配列を送達することができる。例証すると、ジストロフィンのエクソン51の5'および/または3'スプライス部位に相補的なアンチセンス配列(または他の阻害配列)をU1またはU7核内低分子(sn)RNAプロモータと併せて送達して、このエクソンのスキッピングを誘導することができる。例えば、アンチセンス/阻害配列の5'に位置するU1またはU7 snRNAプロモータを含むDNA配列をパッケージングし、本発明の修飾カプシド中に送達することができる。
【0229】
ウイルスベクターはまた、宿主細胞染色体の座位と相同性を共有し、それと組み換えする異種核酸分子を含む場合もある。このアプローチを利用して、例えば、宿主細胞における遺伝的欠陥を修正することができる。
【0230】
本発明はまた、例えば、ワクチン接種用の、免疫原性ポリペプチド、ペプチドおよび/またはエピトープを発現するウイルスベクターも提供する。核酸分子は、非限定的に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、インフルエンザウイルス、HIVまたはSIV gagタンパク質、腫瘍抗原、がん抗原、細菌抗原、ウイルス抗原、およびその他由来の免疫原を含む、当技術分野において公知の関心対象の任意の免疫原をコードし得る。
【0231】
ワクチンベクターとしてのパルボウイルスの使用は当技術分野において公知である(例えば、Miyamura et al., (1994) Proc. Nat. Acad. Sci USA 91:8507;Youngらの米国特許第5,916,563号、Mazzaraらの米国特許第5,905,040号、Samulskiらの米国特許第5,882,652号、および同第5,863,541号を参照されたい)。抗原は、パルボウイルスカプシド中にもたらされる場合がある。あるいは、免疫原または抗原は、組み換えベクターゲノム中に導入された異種核酸分子から発現される場合がある。本明細書において記載および/または当技術分野において公知の、関心対象の任意の免疫原または抗原を、本発明のウイルスベクターにより提供することができる。
【0232】
免疫原性ポリペプチドは、免疫応答を誘発するため、ならびに/または非限定的に、微生物、細菌、原虫、寄生虫、真菌および/もしくはウイルス感染および疾患を含む、感染および/もしくは疾患から対象を防御するために適した、任意のポリペプチド、ペプチド、および/またはエピトープであることができる。例えば、免疫原性ポリペプチドは、オルトミクソウイルス免疫原(例えば、インフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)表面タンパク質もしくはインフルエンザウイルス核タンパク質、もしくはウマインフルエンザウイルス免疫原などのインフルエンザウイルス免疫原)またはレンチウイルス免疫原(例えば、ウマ伝染性貧血ウイルス免疫原、サル免疫不全ウイルス(SIV)免疫原、もしくはヒト免疫不全ウイルス(HIV)免疫原、例えばHIVもしくはSIVエンベロープGP160タンパク質、HIVもしくはSIVマトリックス/カプシドタンパク質、およびHIVもしくはSIV gag、polおよびenv遺伝子生成物)であることができる。免疫原性ポリペプチドは、また、アレナウイルス免疫原(例えば、ラッサ熱ウイルスヌクレオカプシドタンパク質およびラッサ熱エンベロープ糖タンパク質などのラッサ熱ウイルス免疫原)、ポックスウイルス免疫原(例えば、ワクシニアL1またはL8遺伝子生成物などのワクシニアウイルス免疫原)、フラビウイルス免疫原(例えば、黄熱病ウイルス免疫原または日本脳炎ウイルス免疫原)、フィロウイルス免疫原(例えば、エボラウイルス免疫原、またはマールブルグウイルス免疫原、例えばNPおよびGP遺伝子生成物)、ブニヤウイルス免疫原(例えば、RVFV、CCHF、および/またはSFSウイルス免疫原)、またはコロナウイルス免疫原(例えば、感染性ヒトコロナウイルス免疫原、例えばヒトコロナウイルスエンベロープ糖タンパク質、またはブタ伝染性胃腸炎ウイルス免疫原、またはトリ伝染性気管支炎ウイルス免疫原)であることもできる。免疫原性ポリペプチドは、さらに、ポリオ免疫原、ヘルペス免疫原(例えば、CMV、EBV、HSV免疫原)、ムンプス免疫原、麻疹免疫原、風疹免疫原、ジフテリア毒素もしくは他のジフテリア免疫原、百日咳抗原、肝炎(例えば、A型肝炎、B型肝炎、C型肝炎、その他)免疫原、および/または免疫原として当技術分野において現在公知もしくはのちに同定される任意の他のワクチン免疫原であることができる。
【0233】
あるいは、免疫原性ポリペプチドは、任意の腫瘍細胞抗原またはがん細胞抗原であることができる。任意で、腫瘍抗原またはがん抗原は、がん細胞の表面に発現される。例示的ながん細胞抗原および腫瘍細胞抗原は、S.A. Rosenberg(Immunity 10:281 (1991))に記載されている。他の例証となるがん抗原および腫瘍抗原には、非限定的に:BRCA1遺伝子生成物、BRCA2遺伝子生成物、gp100、チロシナーゼ、GAGE-1/2、BAGE、RAGE、LAGE、NY-ESO-1、CDK-4、β-カテニン、MUM-1、カスパーゼ-8、KIAA0205、HPVE、SART-1、PRAME、p15、メラノーマ腫瘍抗原(Kawakami et al., (1994) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3515;Kawakami et al., (1994) J. Exp. Med., 180:347;Kawakami et al., (1994) Cancer Res. 54:3124)、MART-1、gp100 MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、CEA、TRP-1、TRP-2、P-15、チロシナーゼ(Brichard et al., (1993) J. Exp . Med. 178:489);HER-2/neu遺伝子生成物(米国特許第4,968,603号)、CA 125、LK26、FB5(エンドシアリン(endosialin))、TAG 72、AFP、CA19-9、NSE、DU-PAN-2、CA50、SPan-1、CA72-4、HCG、STN(シアリルTn抗原)、c-erbB-2タンパク質、PSA、L-CanAg、エストロゲン受容体、乳脂肪グロブリン、p53腫瘍抑制タンパク質(Levine, (1993) Ann. Rev. Biochem. 62:623);ムチン抗原(国際公開公報第90/05142号);テロメラーゼ;核マトリックスタンパク質;前立腺酸性ホスファターゼ;パピローマウイルス抗原;および/または以下のがんと関連することが現在公知もしくはのちに発見される抗原:メラノーマ、腺がん、胸腺腫、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫)、肉腫、肺がん、肝臓がん、結腸がん、白血病、子宮がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がん、脳がんおよび現在公知またはのちに同定される任意の他のがんまたは悪性状態が含まれる(例えば、Rosenberg, (1996) Ann. Rev. Med. 47:481-91を参照されたい)。
【0234】
さらなる代替として、異種核酸分子は、望ましくは細胞中でインビトロ、エクスビボ、またはインビボ生成される任意のポリペプチド、ペプチドおよび/またはエピトープをコードすることができる。例えば、ウイルスベクターを培養細胞に導入して、発現された遺伝子生成物をそこから単離し得る。
【0235】
関心対象の異種核酸分子は適切な制御配列と機能的に関連できることが、当業者により理解されるであろう。例えば、異種核酸分子は、転写/翻訳制御シグナル、複製起点、ポリアデニル化シグナル、配列内リボソーム進入部位(IRES)、プロモータ、および/またはエンハンサ、およびその他などの発現制御エレメントと機能的に関連することができる。
【0236】
さらに、関心対象の異種核酸分子の調節発現は、転写後レベルで、例えば、オリゴヌクレオチド、小分子および/またはスプライシング活性を特定の部位で選択的にブロックする他の化合物の存在または不在により異なるイントロンの選択的スプライシングを(例えば、WO2006/119137に記載されているように)調節することにより、達成することができる。
【0237】
当業者は、所望のレベルおよび組織特異的発現に応じて、多様なプロモータ/エンハンサエレメントを使用できることを認識している。プロモータ/エンハンサは、所望の発現パターンに応じて構成的または誘導性であることができる。プロモータ/エンハンサは、ネイティブまたは外来であることができ、天然または合成配列であることができる。外来とは、転写開始領域が、転写開始領域の導入される野生型宿主に見られないことを意図する。
【0238】
特定の態様では、プロモータ/エンハンサエレメントは、処置すべき標的細胞または対象に対してネイティブであることができる。代表的な態様では、プロモータ/エンハンサエレメントは、異種核酸配列に対してネイティブであることができる。
【0239】
プロモータ/エンハンサエレメントは一般的に、それが関心対象の標的細胞において機能するように選択される。さらに、特定の態様では、プロモータ/エンハンサエレメントは、哺乳動物プロモータ/エンハンサエレメントである。プロモータ/エンハンサエレメントは、構成的または誘導性であり得る。
【0240】
誘導性発現制御エレメントは、典型的には、異種核酸配列の発現に調節をもたらすことが理想的な適用において有利である。遺伝子送達用の誘導性プロモータ/エンハンサエレメントは、組織特異的または選好的プロモータ/エンハンサエレメントであることができ、それらには、筋肉特異的または選好的(心筋、骨格筋および/または平滑筋特異的または選好的を含む)、神経組織特異的または選好的(脳特異的または選好的を含む)、眼特異的または選好的(網膜特異的および角膜特異的を含む)、肝臓特異的または選好的、骨髄特異的または選好的、膵臓特異的または選好的、脾臓特異的または選好的、および肺特異的または選好的プロモータ/エンハンサエレメントが含まれる。他の誘導性プロモータ/エンハンサエレメントには、ホルモン誘導性および金属誘導性エレメントが含まれる。例示的な誘導性プロモータ/エンハンサエレメントには、非限定的に、Tet on/offエレメント、RU486誘導性プロモータ、エクジソン誘導性プロモータ、ラパマイシン誘導性プロモータ、およびメタロチオネインプロモータが含まれる。
【0241】
異種核酸配列が転写され、次に標的細胞において翻訳される態様では、挿入されたタンパク質コード配列の効率的な翻訳のために、特異的開始シグナルが一般的に含められる。ATG開始コドンおよび隣接配列を含む場合があるこれらの外因性翻訳制御配列は、天然および合成の両方の多様な起源であることができる。
【0242】
本発明によるウイルスベクターは、分裂細胞および非分裂細胞を含む広範囲の細胞内に異種核酸分子を送達するための手段を提供する。例えば、ポリペプチドをインビトロで生成するためまたはエクスビボもしくはインビボ遺伝子療法のためにウイルスベクターを採用して、関心対象の核酸分子を細胞にインビトロで送達することができる。ウイルスベクターは、それを必要とする対象に核酸を送達して、例えば、免疫原性もしくは治療用ポリペプチドまたは機能性RNAを発現させる方法に追加的に有用である。このようにして、ポリペプチドまたは機能性RNAを対象においてインビボで生成することができる。対象は、ポリペプチドの欠損を有するせいで、ポリペプチドを必要とする対象であり得る。
【0243】
さらに、対象におけるポリペプチドまたは機能性RNAの生成が何らかの有益効果を与える可能性を理由として、この方法を実施することができる。
【0244】
また、ウイルスベクターを使用して、関心対象のポリペプチドまたは機能性RNAを培養細胞または対象において(例えば、ポリペプチドを生成するためまたは例えばスクリーニング方法に関連して対象に及ぼす機能性RNAの効果を観察するためのバイオリアクターとして対象を使用して)生成することもできる。
【0245】
一般に、本発明のウイルスベクターを採用して、ポリペプチドまたは機能性RNAをコードする異種核酸分子を送達して、治療用ポリペプチドまたは機能性RNAを送達することが有益な任意の障害または疾患状態を処置および/または予防することができる。例証となる疾患状態には、非限定的に:嚢胞性線維症(嚢胞性線維症膜貫通型調節タンパク質)および他の肺疾患、血友病A(第VIII因子)、血友病B(第IX因子)、サラセミア(β-グロビン)、貧血(エリスロポエチン)および他の血液障害、アルツハイマー病(GDF;ネプリライシン)、多発性硬化症(β-インターフェロン)、パーキンソン病(グリア細胞株由来神経栄養因子[GDNF])、ハンチントン病(反復を除去するためのRNAi)、筋萎縮性側索硬化症、てんかん(ガラニン、神経栄養因子)、および他の神経障害、がん(エンドスタチン、アンジオスタチン、TRAIL、FAS-リガンド、インターフェロンを含むサイトカイン;VEGFまたは多剤耐性遺伝子生成物に対するRNAiを含むRNAi、mir-26a[例えば、肝細胞がんについて])、糖尿病(インスリン)、デュシェンヌ型を含む筋ジストロフィー(ジストロフィン、ミニ-ジストロフィン、インスリン様増殖因子I、サルコグリカン[例えば、α、β、γ]、ミオスタチンに対するRNAi、ミオスタチンプロペプチド、フォリスタチン、アクチビンII型可溶性受容体、抗炎症ポリペプチド、例えば、IカッパBドミナント変異体、サルコスパン、ユートロフィン、ミニ-ユートロフィン、エクソンスキッピングを誘導するためのジストロフィン遺伝子中のスプライスジャンクションに対するアンチセンスまたはRNAi[例えば、WO2003/095647参照]、エクソンスキッピングを誘導するためのU7 snRNAに対するアンチセンス[例えば、WO2006/021724参照]、およびミオスタチンまたはミオスタチンプロペプチドに対する抗体または抗体断片)およびベッカー病、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、ハーラー病(α-L-イズロニダーゼ)、アデノシンデアミナーゼ欠損(アデノシンデアミナーゼ)、グリコーゲン貯蔵疾患(例えば、ファブリー病[α-ガラクトシダーゼ]およびポンペ病[リソソーム酸性α-グルコシダーゼ])および他の代謝障害、先天性肺気腫(α1-アンチトリプシン)、レッシュ-ナイハン症候群(ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ)、ニーマン-ピック病(スフィンゴミエリナーゼ)、テイ-サックス病(リソソームヘキソサミニダーゼA)、メープルシロップ尿症(分枝鎖ケト酸デヒドロゲナーゼ)、網膜変性疾患(および眼および網膜の他の疾患;例えば、黄斑変性についてのPDGFおよび/または例えば、I型糖尿病における網膜障害を処置/予防するためのバソヒビンもしくはVEGFの他の阻害剤もしくは他の血管新生阻害剤)、脳などの実質臓器の疾患(パーキンソン病[GDNF]、星状細胞腫[エンドスタチン、アンジオスタチンおよび/またはVEGFに対するRNAi]、神経膠芽腫[エンドスタチン、アンジオスタチンおよび/またはVEGFに対するRNAi]を含む)、肝臓、腎臓、うっ血性心不全または末梢動脈疾患(PAD)を含む心臓(例えば、プロテインホスファターゼ阻害剤I(I-1)およびその断片(例えば、I1C)を送達することによる、serca2a、ホスホランバン遺伝子を調節するジンクフィンガータンパク質、Barkct、β2-アドレナリン受容体、β2-アドレナリン受容体キナーゼ(BARK)、ホスホイノシチド-3キナーゼ(PI3キナーゼ)、S100A1S100Al、パルブアルブミン、アデニリルシクラーゼ6型、切断型構成的活性bARKctなどのGタンパク質共役受容体キナーゼ2型ノックダウンを引き起こす分子;カルサルシン(calsarcin)、ホスホランバンに対するRNAi;ホスホランバンS16E、その他などのホスホランバン阻害分子またはドミナントネガティブ分子)、関節炎(インスリン様増殖因子)、関節障害(インスリン様増殖因子1および/または2)、内膜肥厚(例えば、enos、inosを送達することによる)、移植心の生存を改善する(スーパーオキシドジスムターゼ)、AIDS(可溶性CD4)、筋消耗(インスリン様増殖因子I)、腎臓欠損(エリスロポエチン)、貧血(エリスロポエチン)、関節炎(IRAPおよびTNFα可溶性受容体などの抗炎症因子)、肝炎(α-インターフェロン)、LDL受容体欠損(LDL受容体)、高アンモニア血症(オルニチントランスカルバミラーゼ)、クラッベ病(ガラクトセレブロシダーゼ)、バッテン病、SCA1、SCA2およびSCA3を含む脊髄性脳性運動失調、フェニルケトン尿症(フェニルアラニンヒドロキシラーゼ)、自己免疫疾患、ならびにその他が含まれる。本発明は、臓器移植の後に移植の成功を増加するためおよび/または臓器移植もしくは補助的療法の(例えば、サイトカイン生成をブロックするために免疫抑制剤もしくは阻害性核酸を投与することによる)負の副作用を低減するためにさらに使用することができる。別の例として、例えば、骨折またはがん患者における外科的除去の後に、骨形成タンパク質(BNP2、7、その他、RANKLおよび/またはVEGFを含む)を骨同種移植片と共に投与することができる。
【0246】
また、本発明を使用して、人工多能性幹細胞(iPS)を生成することもできる。例えば、本発明のウイルスベクターを使用して、成体線維芽細胞、皮膚細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、脂肪細胞、心臓細胞、神経系細胞、上皮細胞、内皮細胞、およびその他などの非多能性細胞中に幹細胞関連核酸を送達することができる。幹細胞に関連する因子をコードする核酸は、当技術分野において公知である。幹細胞および多能性に関連するこのような因子の非限定的な例には、Oct-3/4、SOXファミリー(例えば、SOX1、SOX2、SOX3および/もしくはSOX15)、Klfファミリー(例えば、Klf1、Klf2、Klf4および/もしくはKlf5)、Mycファミリー(例えば、C-myc、L-mycおよび/もしくはN-myc)、NANOGならびに/またはLIN28が含まれる。
【0247】
また、本発明を実施して、糖尿病(例えば、インスリン)などの代謝障害、血友病(例えば、第IX因子または第VIII因子)、ムコ多糖症(例えば、スライ症候群[β-グルクロニダーゼ]、ハーラー症候群[α-L-イズロニダーゼ]、シャイエ症候群[α-L-イズロニダーゼ]、ハーラー-シャイエ症候群[α-L-イズロニダーゼ]、ハンター症候群[イズロン酸スルファターゼ]、サンフィリポ症候群A[ヘパランスルファミダーゼ]、B[N-アセチルグルコサミニダーゼ]、C[アセチル-CoA:α-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ]、D[N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ]、モルキオ症候群A[ガラクトース-6-硫酸スルファターゼ]、B[β-ガラクトシダーゼ]、マロトー-ラミー症候群[N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ]、その他)、ファブリー病(α-ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、またはグリコーゲン蓄積症(例えば、ポンペ病;リソソーム酸性α-グルコシダーゼ)などのリソソーム蓄積症を処置および/または予防することができる。
【0248】
遺伝子移入は、疾患状態のための治療法を理解および提供するために実質的な潜在的有用性を有する。欠陥遺伝子が公知であり、クローニングされている、いくつかの遺伝性疾患がある。一般に、上記疾患状態は、一般的に劣性遺伝する、通常は酵素の欠損状態、および典型的には優性遺伝する、調節タンパク質または構造タンパク質を伴い得る不平衡状態の2つのクラスに分かれる。欠損状態の疾患について、遺伝子移入を使用して、代償療法のために、およびアンチセンス変異を使用して疾患に関する動物モデルを生み出すために罹患組織中に正常遺伝子を入れることができる。不平衡疾患状態について、遺伝子移入を使用してモデル系で疾患状態を生み出すことができ、次に、この疾患状態と対抗することを図ってこのモデルを使用することができる。したがって、本発明によるウイルスベクターは、遺伝性疾患の処置および/または予防を可能にする。
【0249】
また、細胞にインビトロまたはインビボで機能性RNAを提供するために、本発明によるウイルスベクターを採用し得る。細胞における機能性RNAの発現は、例えば、細胞による特定の標的タンパク質の発現を低下させることができる。したがって、機能性RNAを投与して、それを必要とする対象における特定のタンパク質の発現を減少させることができる。また、機能性RNAを細胞にインビトロ投与して、遺伝子発現および/または細胞生理を調節して、例えば、細胞もしくは組織培養系またはスクリーニング方法を最適化することもできる。
【0250】
加えて、本発明によるウイルスベクターは、関心対象の核酸が、細胞培養系またはその代わりにトランスジェニック動物モデルで一過性または安定的に発現される診断およびスクリーニング方法に用途を見つける。
【0251】
また、本発明のウイルスベクターは、当業者に明らかなように、遺伝子ターゲティング、クリアランス、転写、翻訳、その他を判断するためのプロトコルにおける使用を非限定的に含む、様々な非治療目的で使用することもできる。ウイルスベクターは、また、安全性(拡散、毒性、免疫原性、その他)を評価するためにも使用することができる。このようなデータは、例えば、臨床有効性の評価前の規制承認プロセスの一部として米国食品医薬品局により考慮される。
【0252】
さらなる局面として、本発明のウイルスベクターは、対象における免疫応答を生成するために使用される場合がある。この態様により、免疫原性ポリペプチドをコードする異種核酸配列を含むウイルスベクターを対象に投与することができ、対象により免疫原性ポリペプチドに対する能動免疫応答が開始される。免疫原性ポリペプチドは、本明細書上記の通りである。いくつかの態様では、防御免疫応答が誘発される。
【0253】
あるいは、ウイルスベクターは、細胞にエクスビボで投与される場合があり、変更された細胞が対象に投与される。異種核酸を含むウイルスベクターは、細胞に導入され、細胞が対象に投与され、そこで免疫原をコードする異種核酸が発現され、対象において免疫原に対する免疫応答を誘導することができる。特定の態様では、細胞は、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞)である。
【0254】
「能動免疫応答」または「能動免疫」は、「リンパ細網組織内の免疫担当細胞の分化および増殖を伴い、抗体の合成もしくは細胞媒介反応性の発生、またはその両方に繋がる、免疫原と遭遇後の宿主組織および細胞の関与」により特徴付けられる。Herbert B. Herscowitz, Immunophysiology: Cell Function and Cellular Interactions in Antibody Formation、in IMMUNOLOGY: BASIC PROCESSES 117(Joseph A. Bellanti ed., 1985)。別様に述べると、能動免疫応答は、感染またはワクチン接種による免疫原への曝露後の宿主により開始される。能動免疫は、「能動免疫処置された宿主から非免疫宿主への、事前に形成された物質(抗体、伝達因子、胸腺移植片、およびインターロイキン2)の移入」(同上)を経由して獲得される受動免疫と対照的であることができる。
【0255】
本明細書において使用される「防御」免疫応答または「防御」免疫は、それが疾患の発生を予防または低減する点で、免疫応答が対象にいくらかの利益を付与することを示す。あるいは、防御免疫応答または防御免疫は、(例えば、がんもしくは腫瘍の形成を予防することにより、がんもしくは腫瘍の退縮を引き起こすことにより、および/または転移を予防することにより、および/または転移結節の成長を予防することにより)疾患、特にがんまたは腫瘍の処置および/または予防に有用であり得る。防御効果は、処置の利益がその任意の欠点を上回るかぎり、完全または部分的であり得る。
【0256】
特定の態様では、異種核酸分子を含むウイルスベクターまたは細胞は、下記のように免疫原的有効量で投与することができる。
【0257】
本発明のウイルスベクターはまた、1種または複数種のがん細胞抗原(もしくは免疫学的に類似の分子)またはがん細胞に対する免疫応答を生成する任意の他の免疫原を発現するウイルスベクターの投与によりがん免疫療法のために投与することができる。例証すると、免疫応答は、例えば、がんを有する患者を処置するため、および/または対象においてがんが発生することを予防するために、がん細胞抗原をコードする異種核酸を含むウイルスベクターを投与することにより、対象においてがん細胞抗原に対して生成することができる。ウイルスベクターは、本明細書に記載のように、対象にインビボで、またはエクスビボ方法を使用することにより投与される場合がある。あるいは、がん抗原は、ウイルスカプシドの一部として発現される、またはその他の方法でウイルスカプシドと(例えば、上記のように)関連することができる。
【0258】
別の代替として、当技術分野において公知の任意の他の治療用核酸(例えば、RNAi)またはポリペプチド(例えば、サイトカイン)は、がんを処置および/または予防するために投与することができる。
【0259】
本明細書において使用される、「がん」という用語は、腫瘍形成性のがんを包含する。
【0260】
同様に、「がん性組織」という用語は、腫瘍を包含する。「がん細胞抗原」は、腫瘍抗原を包含する。
【0261】
「がん」という用語は、それが当技術分野において理解される意味、例えば、身体の遠位部位に拡散する(すなわち、転移する)潜在性を有する、制御されない組織成長を有する。例示的ながんには、非限定的に、メラノーマ、腺がん、胸腺腫、リンパ腫(例えば、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫)、肉腫、肺がん、肝臓がん、結腸がん、白血病、子宮がん、乳がん、前立腺がん、卵巣がん、子宮頸がん、膀胱がん、腎臓がん、膵臓がん、脳がんおよび現在公知またはのちに同定される任意の他のがんまたは悪性状態が含まれる。代表的な態様では、本発明は、腫瘍形成性がんを処置および/または予防する方法を提供する。
【0262】
「腫瘍」という用語は、当技術分野において、例えば、多細胞生物内の未分化細胞の異常な塊としても理解される。腫瘍は、悪性または良性であることができる。代表的な態様では、本明細書開示の方法は、悪性腫瘍を予防および処置するために使用される。
【0263】
「がんを処置する」、「がんの処置」という用語および同等の用語により、がんの重症度が低減されるもしくは少なくとも部分的に除去される、ならびに/または疾患の進行が減速および/もしくは制御される、ならびに/または疾患が安定化することが意図される。特定の態様では、これらの用語は、がんの転移が予防されるもしくは低減されるもしくは少なくとも部分的に除去されるおよび/または転移結節の成長が予防されるもしくは低減されるもしくは少なくとも部分的に除去されることを示す。
【0264】
「がんの予防」または「がんを予防する」という用語および同等の用語により、この方法が、がんの発生率および/または発生の重症度を少なくとも部分的に除去もしくは低減する、および/または遅延することが意図される。別様に述べると、対象におけるがんの発生は、可能性もしくは確率が低減および/または遅延し得る。
【0265】
特定の態様では、がんを有する対象から細胞を取り出し、本発明によるがん細胞抗原を発現するウイルスベクターに接触させる場合がある。次に、改変細胞を対象に投与し、それにより、がん細胞抗原に対する免疫応答が誘発される。この方法は、インビボで十分な免疫応答を開始することができない(すなわち、促進抗体を十分な量で生成することができない)免疫無防備状態の対象に有利に採用することができる。
【0266】
免疫応答は、免疫調節サイトカイン(例えば、α-インターフェロン、β-インターフェロン、γ-インターフェロン、ω-インターフェロン、τ-インターフェロン、インターロイキン-1α、インターロイキン-1β、インターロイキン-2、インターロイキン-3、インターロイキン-4、インターロイキン-5、インターロイキン-6、インターロイキン-7、インターロイキン-8、インターロイキン-9、インターロイキン-10、インターロイキン-11、インターロイキン-12、インターロイキン-13、インターロイキン-14、インターロイキン-18、B細胞増殖因子、CD40リガンド、腫瘍壊死因子-α、腫瘍壊死因子-β、単球走化性タンパク質-1、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、およびリンホトキシン)により増強され得ることが、当技術分野において公知である。それゆえに、免疫調節サイトカイン(好ましくは、CTL誘導サイトカイン)が、ウイルスベクターと併せて対象に投与される場合がある。
【0267】
サイトカインは、当技術分野において公知の任意の方法により投与し得る。外因性サイトカインが対象に投与される場合があり、またはその代わりに、サイトカインをコードする核酸が、適切なベクターを使用して対象に送達され、サイトカインがインビボで生成される場合がある。
【0268】
対象、薬学的製剤、および投与様式
本発明によるウイルスベクター、AAV粒子およびカプシドは、獣医学的および医学的適用の両方に用途が見出される。適切な対象には、トリおよび哺乳動物の両方が含まれる。本明細書において使用される「トリ」という用語には、非限定的に、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、シチメンチョウ、キジ、オウム、インコ、およびその他が含まれる。本明細書において使用される「哺乳動物」という用語には、非限定的に、ヒト、非ヒト霊長類、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ネコ、イヌ、ウサギ、その他が含まれる。
【0269】
ヒト対象には、新生児、乳児、若年、成人および老人対象が含まれる。
【0270】
代表的な態様では、対象は、本発明の方法を「必要とする」。
【0271】
特定の態様では、本発明は、薬学的に許容される担体中の本発明のウイルスベクターおよび/またはカプシドおよび/またはAAV粒子ならびに任意で他の薬剤、医薬品、安定化剤、緩衝剤、担体、佐剤、希釈剤、その他を含む薬学的組成物を提供する。注射について、担体は、典型的には液体であろう。他の投与方法について、担体は、固体または液体のいずれかであり得る。吸入投与について、担体は、呼吸用であり、任意で固体または液体粒子状形態であることができる。対象への投与または他の薬学的使用のために、担体は、無菌および/または生理的に適合性である。
【0272】
「薬学的に許容される」により、有毒またはその他不要でない物質、すなわち、いかなる望ましくない生物学的作用も引き起こさずに対象に投与され得る物質が意味される。
【0273】
本発明の一局面は、細胞に核酸分子をインビトロで移入する方法である。ウイルスベクターは、特定の標的細胞に適した標準的な形質導入方法により、細胞に適切な感染多重度で導入され得る。投与すべきウイルスベクターの力価は、標的細胞の種類および数ならびに特定のウイルスベクターに応じて可変であり、過度の実験なしに当業者により決定されることができる。代表的な態様では、少なくとも約103感染単位、任意で少なくとも約105感染単位が、細胞に導入される。
【0274】
ウイルスベクターが導入される細胞は、非限定的に、神経系細胞(末梢および中枢神経系の細胞、特に、脳細胞、例えばニューロンおよび乏突起膠細胞を含む)、肺細胞、眼細胞(網膜細胞、網膜色素上皮、および角膜細胞を含む)、上皮細胞(例えば、腸および呼吸上皮細胞)、筋肉細胞(例えば、骨格筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞および/または横隔膜筋細胞を含む)、樹状細胞、膵臓細胞(島細胞を含む)、肝細胞、心筋細胞、骨細胞(例えば、骨髄幹細胞)、造血幹細胞、脾臓細胞、ケラチノサイト、線維芽細胞、内皮細胞、前立腺細胞、生殖細胞、およびその他を含む、任意の種類であることができる。代表的な態様では、細胞は、任意の前駆細胞であることができる。さらなる可能性として、細胞は、幹細胞(例えば、神経幹細胞、肝臓幹細胞)であることができる。なおさらなる代替として、細胞は、がんまたは腫瘍細胞であることができる。そのうえ、細胞は、前述のように、任意の起源種由来であることができる。
【0275】
改変細胞を対象に投与するために、ウイルスベクターを細胞にインビトロで導入することができる。特定の態様では、細胞は対象から取り出されたものであり、ウイルスベクターがその中に導入され、次に細胞が対象に戻される。エクスビボ操作のために対象から細胞を取り出し、その後対象に導入し戻す方法は、当技術分野において公知である(例えば、米国特許第5,399,346号を参照されたい)。あるいは、組み換えウイルスベクターをドナー対象由来の細胞に、培養細胞に、または任意の他の適切な起源の細胞に導入することができ、細胞がそれを必要とする対象(すなわち、「レシピエント」対象)に投与される。
【0276】
エクスビボ核酸送達に適した細胞は、上記の通りである。対象に投与すべき細胞の投与量は、対象の年齢、状態および種、細胞の種類、細胞により発現される核酸、投与様式、ならびにその他に応じて変動する。典型的には、少なくとも細胞約102~約108個または少なくとも細胞約103~約106個が、薬学的に許容される担体中の1用量あたりで投与される。特定の態様では、ウイルスベクターが形質導入された細胞が、薬学的担体と一緒に対象に処置有効量または予防有効量で投与される。
【0277】
いくつかの態様では、ウイルスベクターは、細胞に導入され、この細胞を対象に投与して、送達されたポリペプチド(例えば、導入遺伝子としてまたはカプシド中に発現されたもの)に対する免疫原性応答を誘発することができる。典型的には、免疫原的有効量のポリペプチドを発現している細胞の量が、薬学的に許容される担体と一緒に投与される。「免疫原的有効量」は、薬学的製剤が投与される対象においてポリペプチドに対する能動免疫応答を誘起するために十分な、発現されたポリペプチドの量である。特定の態様では、投与量は、防御免疫応答(上に定義)を生成するために十分である。
【0278】
免疫原性ポリペプチドを投与する利益がその任意の欠点より勝るかぎり、付与される防御の程度は完全または永続性である必要はない。
【0279】
本発明のさらなる局面は、ウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドを対象に投与する方法である。本発明によるウイルスベクターおよび/またはカプシドをそれを必要とするヒト対象または動物に投与することは、当技術分野において公知の任意の手段によることができる。任意で、ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、薬学的に許容される担体中に処置有効用量または予防有効用量で送達される。
【0280】
本発明のウイルスベクターおよび/またはカプシドをさらに投与して、免疫原性応答を(例えば、ワクチンとして)誘発することができる。典型的には、本発明の免疫原性組成物は、ウイルスベクターおよび/またはカプシドの免疫原性有効量を薬学的に許容される担体と一緒に含む。任意で、投与量は、防御免疫応答(上に定義)を生成するために十分である。免疫原性ポリペプチドを投与する利益がその任意の欠点より勝るかぎり、付与される防御の程度は完全または永続性である必要はない。対象および免疫原は、上記の通りである。
【0281】
対象に投与されるべきウイルスベクターおよび/またはカプシドの投与量は、投与様式、処置および/または予防すべき疾患または状態、個別の対象の状態、特定のウイルスベクターまたはカプシド、および送達すべき核酸、およびその他に依存し、日常的な方法で決定することができる。治療効果を達成するための例示的な用量は、少なくとも約105、106、107、108、109、1010、1011、1012、1013、1014、1015形質導入単位、任意で約108~約1013形質導入単位の力価である。
【0282】
特定の態様では、所望のレベルの遺伝子発現を様々な間隔の期間、例えば、毎時、毎日、毎週、毎月、毎年、その他にわたり達成するために、1回よりも多い投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、その他、またはより多い投与)が採用され得る。投薬は単一投与量または累積(一続きの投薬)であることができ、当業者により容易に決定されることができる。例えば、疾患または障害の処置は、本明細書開示の薬学的組成物のウイルスベクターの有効用量の1回投与を含む場合がある。あるいは、疾患または障害の処置は、例えば、1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回、または1週間に1回などの一連の期間にわたり実施される、ウイルスベクターの有効用量の複数回投与を含む場合がある。投与のタイミングは、個別の症状の重症度などの要因に応じて、個体毎に異なることができる。例えば、本明細書開示のウイルスベクターの有効用量を6ヶ月に1回不定期間または個体がもはや治療を必要としなくなるまで、個体に投与することができる。当業者は、処置の経過全体を通して個体の状態を監視できること、および投与される本明細書開示のウイルスベクターの有効量を適宜調整できることを認識しているであろう。
【0283】
一態様では、ウイルスベクターの投与期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、またはそれよりも長い。さらなる態様では、投与が停止される期間は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月、またはそれよりも長い。
【0284】
例示的な投与様式には、経口、直腸、経粘膜、鼻腔内、吸入(例えば、エアロゾルを介する)、口腔(例えば、舌下)、膣、くも膜下腔内、眼内、経皮、子宮内(または卵内)、非経口(例えば、静脈内、皮下、皮内、筋肉内[骨格筋、横隔膜筋および/または心筋への投与を含む]、皮内、胸膜内、脳内、および関節内)、局所(例えば、皮膚および気道表面を含む粘膜表面の両方に、ならびに経皮投与)、リンパ内、およびその他、ならびに直接組織または器官注射(例えば、肝臓、骨格筋、心筋、横隔膜筋または脳への)が含まれる。投与は、また、腫瘍へのものであることもできる(例えば、腫瘍またはリンパ節の内部または近く)。任意の所与の場合における最も適切な経路は、処置および/もしくは予防される状態の性質および重症度ならびに使用される特定のベクターの性質に依存するであろう。
【0285】
本発明による骨格筋への投与には、非限定的に、四肢(例えば、上腕、前腕、大腿、および/または下腿)、背部、頸部、頭部(例えば、舌)、胸部、腹部、骨盤/会陰、および/または指における骨格筋への投与が含まれる。適切な骨格筋には、非限定的に、小指外転筋(手の)、小指外転筋(足の)、足の母指外転筋、第5中足骨外転筋(abductor ossis metatarsi quinti)、手の短母指外転筋、手の長母指外転筋、短内転筋、足の母指内転筋、長内転筋、大内転筋、手の母指内転筋、肘筋、前斜角筋、膝関節筋、上腕二頭筋、大腿二頭筋、上腕筋、腕橈骨筋、頬筋、烏口腕筋、皺眉筋、三角筋、口角下制筋、下唇下制筋、顎二腹筋、背側骨間筋(手の)、背側骨間筋(足の)、短橈側手根伸筋、長橈側手根伸筋、尺側手根伸筋、小指伸筋、指伸筋、足の短指伸筋、足の長指伸筋、足の短母指伸筋、足の長母指伸筋、示指伸筋、手の短母指伸筋、手の長母指伸筋、橈側手根屈筋、尺側手根屈筋、短小指屈筋(手の)、短小趾屈筋(足の)、足の短指屈筋、足の長指屈筋、深指屈筋、浅指屈筋、足の短母指屈筋、足の長母指屈筋、手の短母指屈筋、手の長母指屈筋、前頭筋、腓腹筋、オトガイ舌骨筋、大殿筋、中殿筋、小殿筋、薄筋、頸腸肋筋、腰腸肋筋、胸腸肋筋、腸骨筋(illiacus)、下双子筋、下斜筋、下直筋、棘下筋、棘間筋、横突間筋(intertransversi)、外側翼突筋、外側直筋、広背筋、口角挙筋、上唇挙筋、上唇鼻翼挙筋、上眼瞼挙筋、肩甲挙筋、長回旋筋(long rotators)、頭最長筋、頸最長筋、胸最長筋、頭長筋、頸長筋、虫様筋(手の)、虫様筋(足の)、咬筋、内側翼突筋、内側直筋、中斜角筋、多裂筋、顎舌骨筋、下頭斜筋、上頭斜筋、外閉鎖筋、内閉鎖筋、後頭筋、肩甲舌骨筋、小指対立筋、母指対立筋、眼輪筋、口輪筋、掌側骨間筋、短掌筋、長掌筋、恥骨筋、大胸筋、小胸筋、短腓骨筋、長腓骨筋、第三腓骨筋、梨状筋、底側骨間筋、足底筋、広頸筋、膝窩筋、後斜角筋、方形回内筋、円回内筋、大腰筋、大腿方形筋、足底方形筋、前頭直筋、外側頭直筋、大後頭直筋、小後頭直筋、大腿直筋、大菱形筋、小菱形筋、笑筋、縫工筋、最小斜角筋、半膜様筋、頭半棘筋、頸半棘筋、胸半棘筋、半腱様筋、前鋸筋、短回旋筋(short rotators)、ヒラメ筋、頭棘筋、頸棘筋、胸棘筋、頭板状筋、頸板状筋、胸鎖乳突筋、胸骨舌骨筋、胸骨甲状筋、茎突舌骨筋、鎖骨下筋、肩甲下筋、上双子筋、上斜筋、上直筋、回外筋、棘上筋、側頭筋、大腿筋膜張筋、大円筋、小円筋、胸部の筋、甲状舌骨筋、前脛骨筋、後脛骨筋、僧帽筋、上腕三頭筋、中間広筋、外側広筋、内側広筋、大頬骨筋および小頬骨筋、ならびに当技術分野において公知の任意の他の適切な骨格筋が含まれる。
【0286】
ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、四肢灌流、(任意で、脚および/もしくは腕の四肢分離灌流;例えば Arruda et al., (2005) Blood 105: 3458-3464を参照されたい)、ならびに/または直接筋肉内注射により骨格筋に送達することができる。特定の態様では、ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、対象(例えば、DMDなどの筋ジストロフィーを有する対象)の肢(腕および/または脚)に四肢灌流、任意で四肢分離灌流(例えば、静脈内または関節内投与により)投与される。本発明の態様では、本発明のウイルスベクターおよび/またはカプシドは、「水力学的」技法を採用せずに有利に投与することができる。先行技術のベクターの組織送達(例えば、筋肉へ)は、しばしば、水力学的技法(例えば、大量の静脈内/静脈内投与)により増強され、それは、脈管構造中の圧力を増加させ、ベクターが内皮細胞関門を通過する能力を促進する。特定の態様では、本発明のウイルスベクターおよび/またはカプシドは、大量注入および/または上昇した脈管内圧力(例えば、通常の収縮期圧よりも大きい、例えば、通常の収縮期圧から5%、10%、15%、20%、25%以下の血管内圧の増加)などの、水力学的技法の不在下で投与することができる。このような方法は、浮腫、神経損傷および/またはコンパートメント症候群などの、水力学的技法と関連する副作用を低減または回避し得る。
【0287】
心筋への投与には、左房、右房、左室、右室および/または中隔への投与が含まれる。ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、静脈内投与、大動脈内投与などの動脈内投与、直接的心臓注射(例えば、左房、右房、左室、右室内に)、および/または冠状動脈灌流により心筋に送達することができる。
【0288】
横隔膜筋への投与は、静脈内投与、動脈内投与、および/または腹腔内投与を含む、任意の適切な方法によることができる。
【0289】
標的組織への送達はまた、ウイルスベクターおよび/またはカプシドを含むデポーを送達することにより達成することもできる。代表的な態様では、ウイルスベクターおよび/もしくはカプシドを含むデポーは、骨格筋、心筋および/もしくは横隔膜筋組織内に植え込まれる、または組織を、ウイルスベクターおよび/もしくはカプシドを含むフィルムもしくは他のマトリックスと接触させることができる。このような植え込み可能なマトリックスまたは基材は、米国特許第7,201,898号に記載されている。
【0290】
特定の態様では、本発明によるウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドは、骨格筋、横隔膜筋および/または心筋に(例えば、筋ジストロフィー、心疾患[例えば、PADまたはうっ血性心不全]を処置および/または予防するために)投与される。
【0291】
代表的な態様では、本発明は、骨格筋、心筋および/または横隔膜筋の障害を処置および/または予防するために使用される。
【0292】
代表的な態様では、本発明は、それを必要とする対象における筋ジストロフィーを処置および/または予防する方法であって、本発明のウイルスベクターの処置または予防有効量を哺乳動物対象に投与することを含む方法を提供し、その際、ウイルスベクターは、ジストロフィン、ミニ-ジストロフィン、マイクロ-ジストロフィン、ミオスタチンプロペプチド、フォリスタチン、アクチビンII型可溶性受容体、IGF-1、抗炎症ポリペプチド、例えば、IカッパBドミナント変異体、サルコスパン、ユートロフィン、マイクロ-ジストロフィン、ラミニン-α2、α-サルコグリカン、β-サルコグリカン、γ-サルコグリカン、δ-サルコグリカン、IGF-1、ミオスタチンもしくはミオスタチンプロペプチドに対する抗体もしくは抗体断片、および/またはミオスタチンに対するRNAiをコードする異種核酸を含む。特定の態様では、ウイルスベクターは、本明細書の他の箇所に記載するように骨格筋、横隔膜筋および/または心筋に投与することができる。
【0293】
あるいは、本発明は、骨格筋、心筋または横隔膜筋に核酸を送達するために実施することができ、それは、障害(例えば、糖尿病[例えば、インスリン]などの代謝障害、血友病[例えば、第IX因子もしくは第VIII因子]、ムコ多糖症[例えば、スライ症候群、ハーラー症候群、シャイエ症候群、ハーラー-シャイエ症候群、ハンター症候群、サンフィリポ症候群A、B、C、D、モルキオ症候群、マロトー-ラミー症候群、その他]またはゴーシェ病[グルコセレブロシダーゼ]もしくはファブリー病[α-ガラクトシダーゼA]またはポンペ病[リソソーム酸性αグルコシダーゼ]などのグリコーゲン蓄積症などのリソソーム蓄積症)を処置および/または予防するために、通常は血中を循環するポリペプチド(例えば、酵素)もしくは機能性RNA(例えば、RNAi、マイクロRNA、アンチセンスRNA)の生成のためのプラットフォームとしてまたは他の組織への全身送達のために使用される。代謝障害を処置および/または予防するための他の適切なタンパク質は、本明細書に記載されている。関心対象の核酸を発現させるためのプラットフォームとしての筋肉の使用は、米国特許出願公開第2002/0192189号に記載されている。
【0294】
したがって、一局面として、本発明は、さらに、それを必要とする対象における代謝障害を処置および/または予防する方法であって、本発明のウイルスベクターの処置または予防有効量を対象の骨格筋に投与することを含む方法を包含し、その際、ウイルスベクターは、ポリペプチドをコードする異種核酸を含み、代謝障害は、ポリペプチドにおける欠損および/または欠陥の結果である。例証となるポリペプチドをコードする代謝障害および異種核酸は、本明細書に記載されている。任意で、ポリペプチドは、分泌される(例えば、そのネイティブな状態で分泌型ポリペプチドである、または例えば、当技術分野において公知の分泌型シグナル配列との機能的関連により分泌されるように操作されている、ポリペプチド)。本発明の任意の特定の理論により限定されることなく、本態様により、骨格筋への投与は、全身循環中へのポリペプチドの分泌および標的組織への送達を招くことができる。骨格筋にウイルスベクターを送達する方法は、本明細書により詳細に記載される。
【0295】
本発明はまた、全身送達のためにアンチセンスRNA、RNAiまたは他の機能性RNA(例えば、リボザイム)を生成するため実施することもできる。
【0296】
本発明はまた、それを必要とする対象において先天性心不全またはPADを処置および/または予防する方法であって、本発明のウイルスベクターの処置または予防有効量を哺乳動物対象に投与することを含む方法も提供し、その際、ウイルスベクターは、例えば、筋小胞体(sarcoplasmic endoreticulum)Ca2+-ATPアーゼ(SERCA2a)、血管新生因子、ホスファターゼ阻害剤I(I-1)およびその断片(例えば、I1C)、ホスホランバンに対するRNAi;ホスホランバンS16Eなどのホスホランバン阻害またはドミナントネガティブ分子、ホスホランバン遺伝子を調節するジンクフィンガータンパク質、β2-アドレナリン受容体、β2-アドレナリン受容体キナーゼ(BARK)、PI3キナーゼ、カルサルカン(calsarcan)、β-アドレナリン受容体キナーゼ阻害剤(βARKct)、プロテインホスファターゼ1阻害剤1およびその断片(例えば、I1C)、S100A1、パルブアルブミン、アデニリルシクラーゼ6型、切断型構成的活性bARKctなどのGタンパク質共役受容体キナーゼ2型ノックダウンを引き起こす分子、Pim-1、PGC-1α、SOD-1、SOD-2、EC-SOD、カリクレイン、HIF、チモシン-β4、mir-1、mir-133、mir-206、mir-208および/またはmir-26aをコードする異種核酸を含む。
【0297】
注射剤は、従来の形態で、液剤もしくは懸濁剤、注射前に液体中で溶解もしくは懸濁するのに適した固体形態、またはエマルションのいずれかとして、調製することができる。あるいは、本発明のウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドは、全身的よりもむしろ局所的に、例えばデポー製剤または徐放製剤の状態で投与され得る。さらに、ウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドは、外科的に植え込み可能なマトリックスに接着させて(例えば、米国特許出願公開第2004/0013645号に記載されているように送達することができる。本明細書開示のウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドは、任意の適切な手段により、任意で、ウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドから構成される呼吸可能な粒子のエアロゾル懸濁物を投与することにより、対象の肺に投与することができ、それを対象が吸入する。呼吸可能な粒子は、液体または固体であることができる。ウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドを含む液体粒子のエアロゾルは、当業者に公知であるように、圧力駆動エアロゾルネブライザーまたは超音波ネブライザーなどの任意の適切な手段により生成される場合がある。例えば、米国特許第4,501,729号を参照されたい。ウイルスベクターおよび/またはカプシドを含む固体粒子のエアロゾルは、同様に、薬学分野において公知の技法により、任意の固体粒子状医薬エアロゾル発生装置を用いて生成される場合がある。
【0298】
ウイルスベクターおよびウイルスカプシドは、CNS(例えば、脳、眼)の組織に投与することができ、本発明の不在下で観察されるよりも広い分布のウイルスベクターまたはカプシドを有利に与え得る。
【0299】
特定の態様では、本発明の送達ベクターは、遺伝障害、神経変性障害、精神障害および腫瘍を含む、CNSの疾患を処置するために投与され得る。CNSの例証となる疾患には、非限定的に、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、カナバン病、リー病、レフサム病、トゥレット症候群、原発性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性筋萎縮症、ピック病、筋ジストロフィー、多発性硬化症、重症筋無力症、ビンスワンガー病、脊髄または頭部損傷による外傷、テイ-サックス病、レッシュ-ナイハン病、てんかん、脳梗塞、気分障害を含む精神障害(例えば、うつ病、双極性感情障害、持続性感情障害、二次気分障害)、統合失調症、薬物依存(例えば、アルコール依存症および他の物質依存症)、神経症(例えば、不安、強迫障害、身体表現性障害、解離症、悲嘆、産後うつ病)、精神病(例えば、幻覚および妄想)、認知症、パラノイア、注意欠陥障害、精神性的障害、睡眠障害、疼痛性障害、摂食または体重障害(例えば、肥満、悪液質、神経性食欲不振症、および過食症)ならびにCNSのがんおよび腫瘍(例えば、下垂体腫瘍)が含まれる。
【0300】
CNSの障害には、網膜、後索(posterior tract)、および視神経に及ぶ眼の障害(例えば、網膜色素変性、糖尿病性網膜症および他の網膜変性疾患、ぶどう膜炎、加齢性黄斑変性、緑内障)が含まれる。
【0301】
全てではないにしろ大部分の眼の疾患および障害は、3種類の徴候:(1)血管新生、(2)炎症、および(3)変性のうちの1つまたは複数と関連する。本発明の送達ベクターを採用して、抗血管新生因子;抗炎症因子;細胞変性を遅らせる、細胞の節約を促進する、または細胞の成長を促進する因子、およびこれらの組み合わせを送達することができる。
【0302】
例えば、糖尿病性網膜症は、血管新生により特徴付けられる。糖尿病性網膜症は、眼内(例えば、硝子体中)または眼周囲(例えば、テノン下領域中)のいずれかに1種または複数種の抗血管新生因子を送達することにより処置することができる。また、1種または複数種の神経栄養因子が、眼内(例えば、硝子体内)または眼周囲のいずれかに共送達される場合もある。
【0303】
ぶどう膜炎は、炎症を伴う。1種または複数種の抗炎症因子を、本発明の送達ベクターの眼内(例えば、硝子体または前房)投与により投与することができる。
【0304】
網膜色素変性は、比較すると、網膜変性により特徴付けられる。代表的な態様では、網膜色素変性は、1種または複数種の神経栄養因子をコードする送達ベクターの眼内(例えば、硝子体)投与により処置することができる。
【0305】
加齢性黄斑変性は、血管新生および網膜変性の両方を伴う。この障害は、1種もしくは複数種の神経栄養因子をコードする本発明の送達ベクターを眼内(例えば、硝子体)に、および/または1種もしくは複数種の抗血管新生因子をコードする本発明の送達ベクターを眼内もしくは眼周囲(例えば、テノン下領域中)に投与することにより処置することができる。
【0306】
緑内障は、増加した眼圧および網膜の神経節細胞の喪失により特徴付けられる。緑内障のための処置は、本発明の送達ベクターを使用して興奮毒性損傷から細胞を保護する1種または複数種の神経保護剤を投与することを含む。このような薬剤には、眼内に、任意で硝子体内に送達されたN-メチル-D-アスパラギン酸塩(NMDA)アンタゴニスト、サイトカイン、および神経栄養因子が含まれる。
【0307】
他の態様では、本発明は、発作を処置するため、例えば、発作の発生、発生率または重症度を低減するために使用される場合がある。発作のための治療的処置の効力は、行動(例えば、震え、眼もしくは口のチック)および/または電気記録手段(大部分の発作は、電気記録的異常のシグネチャーを有する)により判断することができる。したがって、また、本発明を使用して、てんかんを処置することもでき、てんかんは、経時的な複数の発作により特色付けられる。
【0308】
代表的な一態様では、ソマトスタチン(またはその活性断片)を、本発明の送達ベクターを使用して脳に投与し、下垂体腫瘍を処置する。この態様によると、ソマトスタチン(またはその活性断片)をコードする送達ベクターが、下垂体へのマイクロ注入により投与される。同様に、このような処置を使用して、先端巨大症(下垂体からの成長ホルモンの異常分泌)を処置することができる。ソマトスタチンの核酸(例えば、GenBankアクセッション番号J00306)およびアミノ酸(例えば、GenBankアクセッション番号P01166;プロセシングされた活性ペプチドソマトスタチン-28およびソマトスタチン-14を含有)の配列は、当技術分野において公知である。
【0309】
特定の態様では、ベクターは、米国特許第7,071,172号に記載されたような分泌シグナルを含むことができる。
【0310】
本発明の代表的な態様では、ウイルスベクターおよび/またはウイルスカプシドは、CNS(例えば、脳または眼)に投与される。ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、脊髄、脳幹(延髄、脳橋)、中脳(視床下部、視床、視床上部、下垂体、黒質、松果体)、小脳、終脳(線条体、後頭葉、側頭葉、頭頂葉および前頭葉を含む大脳。皮質、基底核、海馬および扁桃体(portaamygdala))、辺縁系、新皮質、線条体、大脳、および下丘に導入される場合がある。ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、また、網膜、角膜および/または視神経などの眼の異なる領域にも投与される場合がある。
【0311】
ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、送達ベクターのより分散した投与のために、脳脊髄液中に(例えば、腰椎穿刺により)送達される場合がある。
【0312】
ウイルスベクターおよび/またはカプシドはさらに、血液脳関門が撹乱された状況(例えば、脳腫瘍または脳梗塞)では、CNSに血管内投与される場合がある。
【0313】
ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、非限定的に、くも膜下腔内、眼内、脳内、脳室内、静脈内(例えば、マンニトールなどの糖の存在下で)、鼻腔内、耳内、眼内(例えば、硝子体内、網膜下、前房)および眼周囲(例えば、テノン下領域)送達、ならびに運動ニューロンへの逆行性送達を伴う筋内送達を含む、当技術分野において公知の任意の経路によりCNSの所望の領域に投与することができる。
【0314】
特定の態様では、ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、CNS中の所望の領域または区画への直接的注射(例えば、定位注射)により、液体製剤として投与される。他の実施形態では、ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、所望の領域への局所適用により、またはエアロゾル製剤の鼻腔内投与により提供され得る。眼への投与は、液滴の局所適用によるものであり得る。さらなる代替として、ウイルスベクターおよび/またはカプシドは、固体の徐放製剤として投与され得る(例えば、米国特許第7,201,898号を参照されたい)。
【0315】
なお追加的な態様では、ウイルスベクターは、運動ニューロンに関与する疾患および障害(例えば、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、その他)を処置および/または予防するための逆行性輸送のために使用することができる。例えば、ウイルスベクターを筋肉組織に送達することができ、そこからベクターは、ニューロン中に移行することができる。
【0316】
この態様の他の局面では、ウイルスベクターは、疾患または障害の重症度を例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低減する。この態様のなお他の局面では、ウイルスベクターは、疾患または障害の重症度を、例えば、約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減する。
【0317】
本明細書に開示のウイルスベクターは、本明細書開示のウイルスベクターを溶解するために十分な量で溶媒、エマルションまたは他の希釈剤を含み得る。この態様の他の局面では、本明細書開示のウイルスベクターは、溶媒、エマルションまたは希釈剤を、例えば、約90%(v/v)未満、約80%(v/v)未満、約70%(v/v)未満、約65%(v/v)未満、約60%(v/v)未満、約55%(v/v)未満、約50%(v/v)未満、約45%(v/v)未満、約40%(v/v)未満、約35%(v/v)未満、約30%(v/v)未満、約25%(v/v)未満、約20%(v/v)未満、約15%(v/v)未満、約10%(v/v)未満、約5%(v/v)未満、または約1%(v/v)未満の量で含み得る。この態様の他の局面では、本明細書開示のウイルスベクターは、溶媒、エマルションまたは他の希釈剤を、例えば、約1%(v/v)~90%(v/v)、約1%(v/v)~70%(v/v)、約1%(v/v)~60%(v/v)、約1%(v/v)~50%(v/v)、約1%(v/v)~40%(v/v)、約1%(v/v)~30%(v/v)、約1%(v/v)~20%(v/v)、約1%(v/v)~10%(v/v)、約2%(v/v)~50%(v/v)、約2%(v/v)~40%(v/v)、約2%(v/v)~30%(v/v)、約2%(v/v)~20%(v/v)、約2%(v/v)~10%(v/v)、約4%(v/v)~50%(v/v)、約4%(v/v)~40%(v/v)、約4%(v/v)~30%(v/v)、約4%(v/v)~20%(v/v)、約4%(v/v)~10%(v/v)、約6%(v/v)~50%(v/v)、約6%(v/v)~40%(v/v)、約6%(v/v)~30%(v/v)、約6%(v/v)~20%(v/v)、約6%(v/v)~10%(v/v)、約8%(v/v)~50%(v/v)、約8%(v/v)~40%(v/v)、約8%(v/v)~30%(v/v)、約8%(v/v)~20%(v/v)、約8%(v/v)~15%(v/v)、または約8%(v/v)~12%(v/v)の範囲の量で含み得る。
【0318】
本明細書の局面は、疾患または障害を患う個体を部分的に処置することを開示する。本明細書において使用される、「処置する」という用語は、個体における疾患もしくは障害の臨床症候を低減もしくは除去すること;または個体における疾患もしくは障害の臨床症候の発症を遅延もしくは予防することを指す。例えば、「処置する」という用語は、疾患または障害により特徴付けられる状態の症候を、例えば、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも100%低減することを意味することができる。特定の疾患または障害と関連する実際の症候は、周知であり、非限定的に、疾患もしくは障害の位置、疾患もしくは障害の原因、疾患もしくは障害の重症度、および/または疾患もしくは障害により冒された組織もしくは器官を含む要因を考慮することにより、当業者によって決定されることができる。当業者は、特定の種類の疾患または障害と関連する適切な症候または指標を知っており、個体が本明細書開示の処置のための候補であるかどうかをどのように判定するかを知っている。
【0319】
この態様の局面では、本明細書開示のウイルスベクターの治療有効量は、疾患または障害と関連する症候を、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低減する。この態様の他の局面では、本明細書開示のウイルスベクターの治療有効量は、疾患または障害と関連する症候を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%低減する。この態様のなお他の局面では、本明細書開示のウイルスベクターの治療有効量は、疾患または障害と関連する症候を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減する。
【0320】
一態様では、本明細書開示のウイルスベクターは、患者に投与されるウイルスベクター中にコードされるタンパク質のレベルおよび/または量を、同じ処置を受けていない患者と比較して、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%増加させることが可能である。この態様の他の局面では、ウイルスベクターは、疾患または障害を患う個体における疾患または障害の重症度を、同じ処置を受けていない患者と比較して、例えば、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%、または約50%~約70%低減することが可能である。
【0321】
この態様の局面では、本明細書開示のウイルスベクターの治療有効量は、個体におけるウイルスベクター内にコードされるタンパク質の量を、同じ処置を受けていない個体と比較して、例えば、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%増加させる。この態様の他の局面では、本明細書開示のウイルスベクターの治療有効量は、個体における疾患もしくは障害の重症度を、例えば、最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%もしくは最大で100%低減する、または個体における疾患もしくは障害の重症度を維持する。この態様のなお他の局面では、本明細書開示のウイルスベクターの治療有効量は、個体における疾患または障害の重症度を、例えば、約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%、または約30%~約50%低減または維持する。
【0322】
ウイルスベクターは、個体または患者に投与される。個体または患者は、典型的にはヒトであるが、非限定的に、家畜化されているか否かに関わらずイヌ、ネコ、トリ、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、爬虫類および他の動物を含む動物であることができる。
【0323】
一態様では、本発明のウイルスベクターを使用して、非限定的に、中枢神経系、網膜、心臓、肺、骨格筋および肝臓を含む特定の組織を標的とするAAVを生み出すことができる。これらの標的指向型ウイルスベクターを使用して、組織特異的な疾患を、または第IX因子(FIX)、第VIII因子、FVIIIおよび当技術分野において公知の他のタンパク質などの特定の正常組織に内因性生成されるタンパク質の生成のために処置することができる。
【0324】
中枢神経系の疾患
一態様では、中枢神経系の疾患を、AAVを使用して処置することができ、その際、AAVは、任意のAAV血清型であることができるレシピエントAAVならびにAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10のうちの1つまたは複数より選択されるドナーカプシドを含む。一態様では、レシピエントAAVは、AAV2であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10のうちの1つまたは複数より選択される。別の態様では、レシピエントAAVは、AAV3であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10のうちの1つまたは複数より選択される。
【0325】
網膜疾患
一態様では、網膜疾患を、AAVを使用して処置することができ、その際、AAVは、任意のAAV血清型であることができるレシピエントAAVおよびAAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10のうちの1つまたは複数より選択されるドナーカプシドを含む。一態様では、レシピエントAAVは、AAV2であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10のうちの1つまたは複数より選択される。別の態様では、レシピエントAAVは、AAV3であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV7、AAV8、AAV9またはAAV10より選択される。
【0326】
心臓疾患
さらなる態様では、心臓の疾患を、AAVを使用して処置することができ、その際、AAVは、任意のAAV血清型であることができるレシピエントAAVおよびAAV1、AAV3、AAV4、AAV6またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択されるドナーカプシドを含む。追加的な態様では、レシピエントAAVは、AAV2であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV3、AAV4、AAV6またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択される。別の態様では、レシピエントAAVは、AAV3であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV3、AAV4、AAV6またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択される。
【0327】
肺疾患
一態様では、肺疾患を、AAVを使用して処置することができ、その際、AAV血清型は、任意のAAV血清型であることができるレシピエントAAVおよびAAV1、AAV5、AAV6、AAV9またはAAV10のうちの1つまたは複数より選択されるドナーカプシドを含む。別の態様では、レシピエントAAVは、AAV2であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV5、AAV6、AAV9またはAAV10のうちの1つまたは複数より選択される。さらなる態様では、レシピエントAAVは、AAV3であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV5、AAV6、AAV9またはAAV10のうちの1つまたは複数より選択される。
【0328】
骨格筋疾患
さらなる態様では、骨格筋の疾患を、AAVを使用して処置することができ、その際、AAV血清型は、任意のAAV血清型であることができるレシピエントAAVおよびAAV1、AAV2、AAV6、AAV7、AAV8、またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択されるドナーカプシドを含む。別の態様では、レシピエントAAVは、AAV2であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV2、AAV6、AAV7、AAV8、またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択される。態様では、レシピエントAAVは、AAV3であり、ドナーカプシドは、AAV1、AAV2、AAV6、AAV7、AAV8、またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択される。
【0329】
肝臓疾患
一態様では、肝臓の疾患を、AAVを使用して処置することができ、その際、AAV血清型は、任意のAAVであることができるレシピエントAAVおよびAAV2、AAV3、AAV6、AAV7、AAV8、またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択されるドナーカプシドを含む。追加的な態様では、レシピエントAAVは、AAV2であり、ドナーカプシドは、AAV2、AAV3、AAV6、AAV7、AAV8、またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択される。さらなる態様では、レシピエントAAVは、AAV3であり、ドナーカプシドは、AAV2、AAV3、AAV6、AAV7、AAV8、またはAAV9のうちの1つまたは複数より選択される。
【0330】
いくつかの態様において、本出願は、以下のパラグラフのいずれかに定義され得る:
1. AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、
2つのウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、
存在するウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質とは異なる血清型に由来し、
VP1が1つの血清型にのみ由来し、VP2が1つの血清型にのみ由来し、かつ、VP3が1つの血清型にのみ由来する、
前記単離AAVビリオン。
2. 3つのウイルス構造タンパク質全てが存在する、パラグラフ1の単離AAVビリオン。
3. 3つのウイルス構造タンパク質全てが、異なる血清型に由来する、パラグラフ2の単離AAVビリオン。
4. 3つの構造タンパク質のうちの1つだけが、異なる血清型に由来する、パラグラフ2の単離AAVビリオン。
5. 他の2つのウイルス構造タンパク質と異なる1つのウイルス構造タンパク質が、VP1である、パラグラフ4の単離AAVビリオン。
6. 他の2つのウイルス構造タンパク質と異なる1つのウイルス構造タンパク質が、VP2である、パラグラフ4の単離AAVビリオン。
7. 他の2つのウイルス構造タンパク質と異なる1つのウイルス構造タンパク質が、VP3である、パラグラフ4の単離AAVビリオン。
8. 少なくとも101個のビリオンである、パラグラフ1~7のいずれかのビリオンの実質的に同種の集団。
9. 少なくとも107個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
10. 少なくとも107~1015個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
11. 少なくとも109個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
12. 少なくとも1010個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
13. 少なくとも1011個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
14. 少なくとも95%同種である、パラグラフ10のビリオンの実質的に同種の集団。
15. 少なくとも99%同種である、パラグラフ10のビリオンの実質的に同種の集団。
16. アデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオンを作製する方法であって、
AAVビリオンの形成のための条件下で細胞を第1の核酸配列および第2の核酸配列と接触させる工程を含み、
AAVビリオンが、少なくともVP1およびVP3ウイルス構造タンパク質から形成され、
第1の核酸が、第1のAAV血清型にのみ由来するVP1をコードするが、VP3を発現することはできず、
第2の核酸配列が、第1のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来するVP3をコードし、かつさらに、VP1を発現することはできず、
AAVビリオンが、第1の血清型にのみ由来するVP1および第2の血清型にのみ由来するVP3を含み、かつ、
VP2が発現されるとき、それが1つの血清型にのみ由来する、
前記方法。
17. 第1の核酸が、第1の核酸から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP2およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げる変異をVP1の開始コドン中に有する、パラグラフ16の方法。
18. 1つの血清型にのみ由来するVP2が発現される、パラグラフ16の方法。
19. VP2が、VP1と異なる血清型およびVP3と異なる血清型に由来する、パラグラフ18の方法。
20. VP2が、VP1と同じ血清型に由来する、パラグラフ18の方法。
21. VP2が、VP3と同じ血清型に由来する、パラグラフ18の方法。
22. 第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ16の方法。
23. 第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ16の方法。
24. AAVビリオンが、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質から形成され、
ウイルス構造タンパク質が、第1のAAV血清型にのみ由来する第1の核酸および第1のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、さらに、
第1の核酸がA2スプライスアクセプター部位中に変異を有し、さらに、第2の核酸がA1スプライスアクセプター部位中に変異を有し、かつ、
ポリプロイド性AAVビリオンが、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、
パラグラフ18の方法。
25. 第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ24の方法。
26. 第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ24の方法。
27. ウイルス構造タンパク質が、第2および第3の血清型とは異なる第1のAAV血清型にのみ由来する第1の核酸配列、第1および第3のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸配列、ならびに第1および第2のAAV血清型とは異なる第3のAAV血清型にのみ由来する第3の核酸配列にコードされ、さらに、
第1の核酸配列が、第1の核酸から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP2およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第2の核酸配列が、第2の核酸配列から転写されるRNAからのVP1およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP1およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第3の核酸配列が、第3の核酸から転写されるRNAからのVP1およびVP2の翻訳を妨げる変異をVP1およびVP2の開始コドン中に有し、
AAVビリオンが、第1の血清型にのみ由来するVP1、第2の血清型にのみ由来するVP2、および第3の血清型にのみ由来するVP3を含む、
パラグラフ18の方法。
28. 第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ27の方法。
29. 第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ27の方法。
30. 第3のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ27の方法。
31. 第1の核酸配列が、第1の核酸配列から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げるVP2およびVP3の開始コドン中の変異ならびにA2スプライスアクセプター部位中の変異を有し、さらに、第2の核酸配列が、第2の核酸配列から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げるVP1の開始コドン中の変異ならびにA1スプライスアクセプター部位中の変異を有し、かつ、AAVポリプロイド性カプシドが、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、パラグラフ18の方法。
32. 第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ31の方法。
33. 第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ31の方法。
34. ウイルス構造タンパク質が、2以上の異なるAAV血清型のDNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸配列にコードされ、さらに、
第1の核酸配列から転写されるRNAからVP2およびVP3が翻訳できないように、VP2およびVP3に対する開始コドンが変異されており、さらに、
カプシドタンパク質が、単一のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げる変異をVP1の開始コドン中に有し、かつ、
ポリプロイド性AAVカプシドが、DNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸配列由来のVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、
パラグラフ18の方法。
35. ウイルス構造タンパク質が、2以上の異なるAAV血清型のDNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸配列にコードされ、さらに、
第1の核酸から転写されるRNAからVP2およびVP3が翻訳できないように、VP2およびVP3に対する開始コドンが変異されており、そして、
第1の核酸のA2スプライスアクセプター部位が変異されており、さらに、
カプシドタンパク質が、単一のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸配列にコードされ、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げるVP1の開始コドン中の変異ならびにA1スプライスアクセプター部位中の変異を有し、かつ、
ポリプロイド性AAVカプシドが、DNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸由来のVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、
パラグラフ18の方法。
36. AAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、表1または表3から選択されるAAV、および各AAVの任意のキメラからなる群より選択される、パラグラフ15のビリオン。
37. パラグラフ16の方法によって生産される、ビリオンの実質的に同種の集団。
38. パラグラフ18の方法によって生産される、ビリオンの実質的に同種の集団。
39. 異種遺伝子が、疾患を処置するためのタンパク質をコードする、パラグラフ38のAAVビリオン。
40. 疾患が、リソソーム蓄積症、例えば、ムコ多糖症(例えば、スライ症候群[-グルクロニダーゼ]、ハーラー症候群[a-L-イズロニダーゼ]、シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハーラー-シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハンター症候群[イズロン酸スルファターゼ]、サンフィリポ症候群A[ヘパランスルファミダーゼ]、B[N-アセチルグルコサミニダーゼ]、C[アセチル-CoA:a-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ]、D[N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ]、モルキオ症候群A[ガラクトース-6-硫酸スルファターゼ]、B[-ガラクトシダーゼ]、マロトー-ラミー症候群[N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ]など)、ファブリー病(a-ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、またはグリコーゲン蓄積症(例えば、ポンペ病;リソソーム酸性a-グルコシダーゼ)から選択される、パラグラフ39のAAVビリオン。
41. ウイルス構造タンパク質の少なくとも1つがキメラウイルス構造タンパク質である、パラグラフ1~7のいずれかの単離AAVビリオン。
42. キメラウイルス構造タンパク質が、AAV血清型に由来するが、他のウイルス構造タンパク質とは異なる、パラグラフ41の単離AAVビリオン。
43. ウイルス構造タンパク質のいずれもキメラウイルス構造タンパク質ではない、パラグラフ1~7のいずれかの単離AAVビリオン。
44. キメラウイルス構造タンパク質と少なくとも1つの他のウイルス構造タンパク質との間で血清型の重複がない、パラグラフ41の単離AAVビリオン。
45. パラグラフ16~35のいずれかの方法を使用して形質導入を調節する方法。
46. 形質導入を増強する、パラグラフ45の方法。
47. パラグラフ16~35のいずれかの方法を使用することを含む、AAVビリオンの向性を変化させる方法。
48. パラグラフ16~35のいずれかの方法を使用することを含む、AAVビリオンの免疫原性を変化させる方法。
49. パラグラフ16~35のいずれかの方法を使用することを含む、組織におけるベクターゲノムコピー数を増加させる方法。
50. パラグラフ16~35のいずれかの方法を使用することを含む、導入遺伝子発現を増加させるための方法。
51. 有効量のパラグラフ1~7、36、43、および44のいずれかのビリオン、パラグラフ8~15、37~42、および44のいずれかのビリオンの実質的に同種の集団、またはパラグラフ16~35のいずれかの方法によって作製されたビリオンを投与する工程を含む、疾患を処置する方法であって、
異種遺伝子が、疾患を有する対象への遺伝子療法による処置に好適な疾患を処置するためのタンパク質をコードする、
前記方法。
52. 疾患が、遺伝性疾患、がん、免疫学的疾患、炎症、自己免疫疾患、および変性疾患から選択される、パラグラフ51の方法。
53. 複数の投与が行われる、パラグラフ51および52のいずれかの方法。
54. 事前投与に応答して形成される中和抗体を回避するために、異なるポリプロイド性ビリオンを使用する、パラグラフ53の方法。
55. パラグラフ1~15および36~44のいずれかのAAVビリオンを投与する工程を含む、たった1つの血清型に全て由来するウイルス構造タンパク質を有する粒子を有するAAVベクターに対して、形質導入、コピー数、および導入遺伝子発現のうちの少なくとも1つを増加させる方法。
56. AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分なウイルスカプシド構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、ウイルスカプシド構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルスカプシド構造タンパク質と異なり、かつ、該ビリオンが、同じタイプの各構造タンパク質のみを含有する、単離AAVビリオン。
57. AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有し、
2つのウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、存在する他のウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質と異なり、かつ、該ビリオンが、同じタイプの各構造タンパク質のみを含有する、
パラグラフ56の単離AAVビリオン。
58. 3つのウイルス構造タンパク質全てが存在する、パラグラフ57の単離AAVビリオン。
59. 第4のAAV構造タンパク質をさらに含む、パラグラフ58の単離AAVビリオン。
60. AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、VP1.5、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有し、
2つのウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、存在するウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質とは異なる血清型に由来し、
VP1が1つの血清型にのみ由来し、VP2が1つの血清型にのみ由来し、VP1.5が1つの血清型にのみ由来し、かつ、VP3が1つの血清型にのみ由来する、
パラグラフ56の単離AAVビリオン。
61. ウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質の少なくとも1つと異なるキメラタンパク質である、パラグラフ57~60のいずれかの単離AAVビリオン。
62. VP3のみがキメラであり、VP1およびVP2が非キメラである、パラグラフ61のビリオン。
63. VP1およびVP2のみがキメラであり、VP3のみが非キメラである、パラグラフ61のビリオン。
64. キメラがAAV血清型2および8由来のサブユニットから構成され、VP3がAAV血清型2に由来する、パラグラフ63のビリオン。
65. 全てのウイルス構造タンパク質が、異なる血清型に由来する、パラグラフ56~64のいずれかの単離AAVビリオン。
66. 構造タンパク質の1つのみが、異なる血清型に由来する、パラグラフ56~64のいずれかの単離AAVビリオン。
67. 少なくとも107個のビリオンである、パラグラフ56~66のいずれかのビリオンの実質的に同種の集団。
68. 少なくとも107~1015個のビリオンである、パラグラフ67のビリオンの実質的に同種の集団。
69. 少なくとも109個のビリオンである、パラグラフ67のビリオンの実質的に同種の集団。
70. 少なくとも1010個のビリオンである、パラグラフ67のビリオンの実質的に同種の集団。
71. 少なくとも1011個のビリオンである、パラグラフ67のビリオンの実質的に同種の集団。
72. 少なくとも95%同種である、パラグラフ67~71のいずれかのビリオンの実質的に同種の集団。
73. 少なくとも99%同種である、パラグラフ72のビリオンの実質的に同種の集団。
74. AAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、表1または表3から選択されるAAV、および各AAVの任意のキメラからなる群より選択される、パラグラフ56~73のいずれかのビリオン。
75. パラグラフ73のビリオンの実質的に同種の集団。
76. 異種遺伝子が、疾患を処置するためのタンパク質をコードする、パラグラフ56~74のいずれかのAAVビリオン。
77. 疾患が、リソソーム蓄積症、例えば、ムコ多糖症(例えば、スライ症候群[-グルクロニダーゼ]、ハーラー症候群[a-L-イズロニダーゼ]、シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハーラー-シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハンター症候群[イズロン酸スルファターゼ]、サンフィリポ症候群A[ヘパランスルファミダーゼ]、B[N-アセチルグルコサミニダーゼ]、C[アセチル-CoA:a-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ]、D[N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ]、モルキオ症候群A[ガラクトース-6-硫酸スルファターゼ]、B[-ガラクトシダーゼ]、マロトー-ラミー症候群[N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ]など)、ファブリー病(a-ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、またはグリコーゲン蓄積症(例えば、ポンペ病;リソソーム酸性a-グルコシダーゼ)から選択される、パラグラフ76のAAVビリオン。
78. ウイルス構造タンパク質のいずれもキメラウイルス構造タンパク質ではない、パラグラフ56~60および66~77のいずれかの単離AAVビリオン。
79. キメラウイルス構造タンパク質と少なくとも1つの他のウイルス構造タンパク質との間で血清型の重複がない、パラグラフ57~78のいずれかの単離AAVビリオン。
80. 有効量のパラグラフ56~66、74、76~79のいずれかのビリオン、またはパラグラフ67~73および75のいずれかのビリオンの実質的に同種の集団を投与する工程を含む、疾患を処置する方法であって、
異種遺伝子が、疾患を有する対象への遺伝子療法による処置に好適な疾患を処置するためのタンパク質をコードする、
前記方法。
81. 疾患が、遺伝性疾患、がん、免疫学的疾患、炎症、自己免疫疾患、および変性疾患から選択される、パラグラフ80の方法。
82. 複数の投与が行われる、パラグラフ80および81のいずれかの方法。
83. 事前投与に応答して形成される中和抗体を回避するために、異なるポリプロイド性ビリオンを使用する、パラグラフ82の方法。
84.出願人が以下の通り放棄する、パラグラフ1~7、36、39~44、56~66、74、76~79の単離AAVビリオン、パラグラフ8~15、37~38、67~73、75の実質的に同種の集団、ならびに16~35、45~55、および80~83の方法:2018年3月15日に出願されたPCT/US18/22725における任意の開示が、本出願の請求項のいずれか1つまたは複数に定義される通りの本発明の範囲内に収まるか、または、本出願もしくはそれから導き出される任意の特許において将来出願され得る補正された請求項に定義されるべき任意の発明の範囲内に収まる限り、ならびに、そのまたはそれらの請求項が適用される1以上のあらゆる関連国の法律が、PCT/US18/22725の開示が、当該国におけるまたは当該国のための当該請求項に対する当技術分野の最先端の一部であることを提供する限り、本発明者らは、これにより、本出願またはそれから導き出される任意の特許の無効化を防ぐのに必要な範囲に限って、本出願またはそれから導き出される任意の特許の請求項から前記開示を放棄する権利を有する。
【0331】
例であり、かつ、限定されないが、本発明者らは、現在もしくは将来補正される本出願またはそれから導き出される任意の特許の任意の請求項から、以下の主題のいずれか1つまたは複数を放棄する権利を有する:
A. PCT/US18/22725の実施例9に開示される任意の主題;または
B. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、2つのAAVヘルパープラスミドまたは3つのプラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
C. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、AAV2およびAAV8またはAAV9である2つのAAVヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
D. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、AAV2、AAV8、およびAAV9である3つのAAVヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
E. VP1/VP2が1つのAAVベクターカプシドまたはAAV血清型に由来し、VP3が代替物に由来する、例えば、VP1/VP2が1つのAAV血清型にのみ(そのカプシドに)由来し、VP3が1つの代替AAV血清型にのみ由来する、ハプロイドベクターと呼ばれるベクタービリオン;または
F. 以下から選択される、いずれか1つまたは複数のAAVベクタービリオン:
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8またはハプロイドAAV8/2またはハプロイドAAV82またはH-AAV82と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
VP1/VP2が異なる血清型に由来するベクター;または
AAV9由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV92またはH-AAV92と呼ばれる);または
AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2G9由来のVP3カプシドサブユニットを有するベクター(ハプロイドAAV2G9またはH-AAV2G9と呼ばれる)であって、AAV9グリカン受容体結合部位がAAV2中に移植されている、ベクター;または
AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV83またはH-AAV83と呼ばれる);または
AAV9由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV93またはH-AAV93と呼ばれる);または
AAVrh10由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAVrh10-3またはH-AAVrh10-3と呼ばれる);または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1/VP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1/VP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
28m-2VP3またはハプロイド2m-2VP3またはハプロイドベクター28m-2VP3と呼ばれるベクターであって、キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有し、そして、VP3カプシドサブユニットがAAV2に由来する、ベクター;または
キメラAAV8/2またはキメラAAV82と呼ばれるベクターであって、キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端を有し、VP3開始コドンの変異を有さず、そして、VP3カプシドサブユニットがAAV2に由来する、ベクター;または
キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有する、ベクター;または
G. Fのベクターのいずれか1つの、集団、例えば実質的に同種の集団、例えば1010の粒子の集団、例えば実質的に同種の1010の粒子の集団;または
H. Aおよび/またはBおよび/またはCおよび/またはDおよび/またはEおよび/またはFおよび/またはGのベクターまたはベクター集団のいずれか1つを生産する方法;または
I. それらの任意の組み合わせ。
【0332】
限定されないが、本発明者らは、上記の放棄の権利の保有が、本出願に添付される通りの請求項1~30および[00437]に記載される通りのパラグラフ1~83に少なくとも適用されることを表明する。修飾ウイルスカプシドを、例えば、米国特許第5,863,541号に記載されているような「カプシドビヒクル」として使用することができる。修飾ウイルスカプシドによってパッケージングされて細胞に移送することができる分子は、異種DNA、RNA、ポリペプチド、有機低分子、金属またはそれらの組み合わせを含む。
【0333】
いくつかの態様において、本出願は、以下のパラグラフのいずれかに定義され得る:
1. AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する3つのウイルス構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、ウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、そして、存在するVP1およびVP2ウイルス構造タンパク質が同じ血清型に由来し、VP3血清型が代替血清型に由来し、そして、VP1およびVP2が単一の血清型にのみ由来し、VP3が単一の血清型にのみ由来する、単離AAVビリオン。
2. VP1およびVP2がAAV血清型8または9に由来し、VP3がAAV血清型3または2に由来する、パラグラフ1の単離AAVビリオン。
3. VP1およびVP2がAAV血清型8に由来し、VP3がAAV血清型2G9に由来する、パラグラフ1の単離AAVビリオン。
4. AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する3つのウイルス構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、ウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、そして、存在するVP1およびVP2ウイルス構造タンパク質が同じキメラ血清型に由来し、VP3血清型がキメラ血清型ではなく、そして、VP1およびVP2が単一のキメラ血清型にのみ由来し、VP3が単一の血清型にのみ由来し、VP1およびVP2がキメラAAV血清型28mに由来し、VP3がAAV血清型2に由来する、単離AAVビリオン。
5. VP1およびVP2がAAV血清型AAV rh10に由来し、VP3がAAV血清型2G9に由来する、パラグラフ1の単離AAVビリオン。
6. AAVビリオンの形成のための条件下で細胞を第1の核酸配列および第2の核酸配列と接触させる工程を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオンを作製する方法であって、AAVビリオンが、VP1、VP2、およびVP3ウイルス構造タンパク質から形成され、第1の核酸が、第1のAAV血清型にのみ由来するVP1およびVP2をコードするが、VP3を発現することができず、そして、第2の核酸配列が、第1のAAV血清型と異なる代替AAV血清型由来のVP3をコードし、さらにVP1もVP2も発現することができず、そして、AAVビリオンが、第1の血清型にのみ由来するVP1およびVP2ならびに第2の血清型にのみ由来するVP3を含む、方法。
7. パラグラフ6の方法によって生産される、AAVビリオン。
8. VP1およびVP2がAAV血清型8または9に由来し、VP3がAAV血清型3または2に由来する、パラグラフ2の方法。
9. VP1およびVP2がAAV血清型8に由来し、VP3がAAV血清型2G9に由来する、パラグラフ2の方法。
10. AAVビリオンの形成のための条件下で細胞を第1の核酸配列および第2の核酸配列と接触させる工程を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)ビリオンを作製する方法であって、AAVビリオンが、VP1、VP2、およびVP3ウイルス構造タンパク質から形成され、第1の核酸が、第1のキメラAAV血清型にのみ由来するVP1およびVP2をコードするが、VP3を発現することができず、そして、第2の核酸配列が、代替AAV血清型由来のVP3をコードし、さらにVP1もVP2も発現することができず、VP1およびVP2がAAV血清型28mに由来し、VP3がAAV血清型2に由来する、方法。
11. VP1およびVP2がAAV血清型AAV rh10に由来し、VP3がAAV血清型2G9に由来する、パラグラフ2の方法。
12. VP1/VP2が1つのAAVベクターカプシドに由来し、VP3が代替物に由来する、ハプロイドベクター。
13. VP1/VP2がAAV8に由来し、VP3がAAV2に由来する、ハプロイドベクターAAV82(H-AAV82)。
14. VP1/VP2がAAV9に由来し、VP3がAAV2に由来する、ハプロイドベクターAAV92(H-AAV92)。
15. VP1/VP2がAAV8に由来し、VP3がAAV2G9に由来し、AAV2G9がAAV2中に移植されたAAV9グリカン受容体結合部位を有する、ハプロイドベクターAAV82 G9(H-AAV82G9)。
16. VP1/VP2がAAV8に由来し、VP3がAAV3に由来する、ハプロイドベクターAAV83(H-AAV83)。
17. VP1/VP2がAAV9に由来し、VP3がAAV3に由来する、ハプロイドベクターAAV93(H-AAV93)。
18. VP1/VP2がAAVrh10に由来し、VP3がAAV3に由来する、ハプロイドベクターAAVrh10-3(H-AAVrh10-3)。
19. キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有し、VP3カプシドサブユニットがAAV2に由来する、ベクター28m-2VP3(H-28m-2VP3)。
20. キメラAAV8/2またはキメラAAV82と呼ばれるベクターであって、キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端を有し、VP3開始コドンの変異を有さず、そして、VP3カプシドサブユニットがAAV2に由来する、ベクター。
【0334】
いくつかの態様において、本出願は、以下のパラグラフのいずれかに定義され得る:
1. AAVビリオンの形成のための条件下で細胞を第1の核酸配列および第2の核酸配列と接触させる工程を含む、ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを作製する方法であって、AAVカプシドが、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質から形成され、カプシドタンパク質が、第1のAAV血清型にのみ由来する第1の核酸および第1のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、さらに、第1の核酸が、第1の核酸から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP2およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げる変異をVP1の開始コドン中に有し、そして、ポリプロイド性AAVカプシドが、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、方法。
2. 第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ1の方法。
3. 第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ1の方法。
4. AAVビリオンの形成のための条件下で細胞を第1の核酸配列および第2の核酸配列と接触させる工程を含む、ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを作製する方法であって、AAVカプシドが、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質から形成され、カプシドタンパク質が、第1のAAV血清型にのみ由来する第1の核酸および第1のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、さらに、第1の核酸がA2スプライスアクセプター部位中に変異を有し、さらに、第2の核酸がA1スプライスアクセプター部位中に変異を有し、そして、ポリプロイド性AAVカプシドが、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、方法。
5. 第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ4の方法。
6. 第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ4の方法。
7. AAVビリオンの形成のための条件下で、細胞を、第1の核酸配列、第2の核酸配列、および第3の核酸配列と接触させる工程を含む、ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを作製する方法であって、AAVカプシドが、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質から形成され、カプシドタンパク質が、第2および第3の血清型とは異なる第1のAAV血清型にのみ由来する第1の核酸、第1および第3のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸、ならびに第1および第2のAAV血清型とは異なる第3のAAV血清型にのみ由来する第3の核酸にコードされ、さらに、第1の核酸が、第1の核酸から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP2およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP1およびVP3の開始コドン中に有し、さらに、第3の核酸が、第3の核酸から転写されるRNAからのVP1およびVP2の翻訳を妨げる変異をVP1およびVP2の開始コドン中に有し、そして、ポリプロイド性AAVカプシドが、第1の血清型にのみ由来するVP1、第2の血清型にのみ由来するVP2および第3の血清型にのみ由来するVP3を含む、方法。
8. 第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ7の方法。
9. 第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ7の方法。
10. 第3のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ7の方法。
11. AAVビリオンの形成のための条件下で細胞を第1の核酸配列および第2の核酸配列と接触させる工程を含む、ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを作製する方法であって、AAVカプシドが、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質から構築され、カプシドタンパク質が、第1のAAV血清型にのみ由来する第1の核酸および第1のAAV血清型とは異なる第2のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、さらに、第1の核酸が、第1の核酸から転写されるRNAからのVP2およびVP3の翻訳を妨げる変異をVP2およびVP3の開始コドン中に、ならびに変異をA2スプライスアクセプター部位中に有し、さらに、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げるVP1の開始コドン中の変異ならびにA1スプライスアクセプター部位中の変異を有し、そして、AAVポリプロイド性カプシドが、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、方法。
12. 第1のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ11の方法。
13. 第2のAAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ11の方法。
14. 細胞を、AAVビリオンの形成のための条件下、第1の核酸および第2の核酸と接触させる工程を含む、ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを作製する方法であって、AAVカプシドが、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質から形成され、カプシドタンパク質が、2以上の異なるAAV血清型のDNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸にコードされ、さらに、第1の核酸から転写されるRNAからVP2およびVP3が翻訳できないように、VP2およびVP3に対する開始コドンが変異されており、さらに、カプシドタンパク質が、単一のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げる変異をVP1の開始コドン中に有し、そして、ポリプロイド性AAVカプシドが、DNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸由来のVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、方法。
15. 細胞を、AAVビリオンの形成のための条件下、第1の核酸および第2の核酸と接触させる工程を含む、ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)カプシドを作製する方法であって、AAVカプシドが、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質から形成され、カプシドタンパク質が、2以上の異なるAAV血清型のDNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸にコードされ、さらに、第1の核酸から転写されるRNAからVP2およびVP3が翻訳できないように、VP2およびVP3に対する開始コドンが変異されており、そして、第1の核酸のA2スプライスアクセプター部位が変異されており、さらに、カプシドタンパク質が、単一のAAV血清型にのみ由来する第2の核酸にコードされ、第2の核酸が、第2の核酸から転写されるRNAからのVP1の翻訳を妨げるVP1の開始コドン中の変異ならびにA1スプライスアクセプター部位中の変異を有し、そして、ポリプロイド性AAVカプシドが、DNAシャッフリングを通じて作製された第1の核酸由来のVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含む、方法。
16. AAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ14および15の方法。
17. AAVカプシドが、実質的に同種のカプシドタンパク質を有する、パラグラフ1~16のいずれかの方法。
18. ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)の実質的に同種のカプシドタンパク質が、VP1である、パラグラフ17の方法。
19. 実質的に同種のカプシドタンパク質が、VP2である、パラグラフ17の方法。
20. 実質的に同種のカプシドタンパク質が、VP3である、パラグラフ17の方法。
21. 実質的に同種のカプシドタンパク質が、VP1およびVP2、VP1およびVP3、VP2およびVP3、またはVP1およびVP2およびVP3である、パラグラフ17の方法。
22. ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)が、実質的に同種のAAVカプシド集団中にある、パラグラフ1~21のいずれかの方法。
23. ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)が、1つの血清型のみのカプシドタンパク質VP1を含む実質的に同種のAAVビリオン集団中にある、パラグラフ22の方法。
24. ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)が、1つの血清型のみのカプシドタンパク質VP2を含む実質的に同種のAAVビリオン集団中にある、パラグラフ22の方法、パラグラフ17の方法。
25. ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)が、1つの血清型のみのカプシドタンパク質VP3を含む実質的に同種のAAVビリオン集団中にある、パラグラフ22の方法。
26. ポリプロイド性アデノ随伴ウイルス(AAV)が、1つの血清型のみのカプシドタンパク質VP1およびVP2、または1つの血清型のみのVP1およびVP3、または1つの血清型のみのVP2およびVP3、または1つの血清型のみのVP1を含む実質的に同種のAAVビリオン集団中にある、パラグラフ22の方法。
27. パラグラフ1~26のいずれかの方法を使用して調製される、ポリプロイド性AAV。
28. VP1およびVP3のみから構築される、パラグラフ1~27のいずれかのポリプロイド性AAV。
29. パラグラフ1~28のいずれかの方法を使用して調製される、ポリプロイド性AAVであって、さらに異種遺伝子を含む、ポリプロイド性AAV。
30. 異種遺伝子が、疾患を処置するためのタンパク質をコードする、パラグラフ29のポリプロイド性AAV。
31. 疾患が、リソソーム蓄積症、例えば、ムコ多糖症(例えば、スライ症候群[-グルクロニダーゼ]、ハーラー症候群[a-L-イズロニダーゼ]、シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハーラー-シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハンター症候群[イズロン酸スルファターゼ]、サンフィリポ症候群A[ヘパランスルファミダーゼ]、B[N-アセチルグルコサミニダーゼ]、C[アセチル-CoA:a-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ]、D[N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ]、モルキオ症候群A[ガラクトース-6-硫酸スルファターゼ]、B[-ガラクトシダーゼ]、マロトー-ラミー症候群[N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ]など)、ファブリー病(a-ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、またはグリコーゲン蓄積症(例えば、ポンペ病;リソソーム酸性a-グルコシダーゼ)から選択される、パラグラフ30のポリプロイド性AAV。
【0335】
いくつかの態様において、本出願は、以下のパラグラフのいずれかに定義され得る:
1. AAVカプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3からなる群に由来する少なくとも2つのウイルス構造タンパク質を有する単離AAVビリオンであって、2つのウイルスタンパク質が、AAVゲノムをカプシド封入するAAVビリオンを形成するのに十分であり、存在する他のウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質と異なり、そして、該ビリオンが、同じタイプの各構造タンパク質のみを含有する、単離AAVビリオン。
2. 3つのウイルス構造タンパク質全てが存在する、パラグラフ1の単離AAVビリオン。
3. ウイルス構造タンパク質の少なくとも1つが、他のウイルス構造タンパク質の少なくとも1つと異なるキメラタンパク質である、パラグラフ1および2の単離AAVビリオン。
4. VP3のみがキメラであり、VP1およびVP2が非キメラである、パラグラフ3のビリオン。
5. VP1およびVP2のみがキメラであり、VP3のみが非キメラである、パラグラフ3のビリオン。
6. キメラがAAV血清型2および8由来のサブユニットからなり、VP3がAAV血清型2に由来する、パラグラフ5のビリオン。
7. 3つのウイルス構造タンパク質全てが、異なる血清型に由来する、パラグラフ1~6の単離AAVビリオン。
8. 3つの構造タンパク質のうちの1つだけが、異なる血清型に由来する、パラグラフ1~6の単離AAVビリオン。
9. 少なくとも107個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
10. 少なくとも107~1015個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
11. 少なくとも109個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
12. 少なくとも1010個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
13. 少なくとも1011個のビリオンである、パラグラフ8のビリオンの実質的に同種の集団。
14. 少なくとも95%同種である、パラグラフ9~13のビリオンの実質的に同種の集団。
15. 少なくとも99%同種である、パラグラフ14のビリオンの実質的に同種の集団。
16. AAV血清型が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、もしくはAAV11、または表1もしくは表3から選択されるAAV、または各AAVの任意のキメラである、パラグラフ1~15のビリオン。
17. パラグラフ16のビリオンの実質的に同種の集団。
18. 異種遺伝子が、疾患を処置するためのタンパク質をコードする、パラグラフ1~17のAAVビリオン。
19. 疾患が、リソソーム蓄積症、例えば、ムコ多糖症(例えば、スライ症候群[-グルクロニダーゼ]、ハーラー症候群[a-L-イズロニダーゼ]、シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハーラー-シャイエ症候群[a-L-イズロニダーゼ]、ハンター症候群[イズロン酸スルファターゼ]、サンフィリポ症候群A[ヘパランスルファミダーゼ]、B[N-アセチルグルコサミニダーゼ]、C[アセチル-CoA:a-グルコサミニドアセチルトランスフェラーゼ]、D[N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ]、モルキオ症候群A[ガラクトース-6-硫酸スルファターゼ]、B[-ガラクトシダーゼ]、マロトー-ラミー症候群[N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼ]など)、ファブリー病(a-ガラクトシダーゼ)、ゴーシェ病(グルコセレブロシダーゼ)、またはグリコーゲン蓄積症(例えば、ポンペ病;リソソーム酸性a-グルコシダーゼ)から選択される、パラグラフ18のAAVビリオン。
20. ウイルス構造タンパク質のいずれもキメラウイルス構造タンパク質ではない、パラグラフ1~2および8~19のいずれかの単離AAVビリオン。
21. キメラウイルス構造タンパク質と少なくとも1つの他のウイルス構造タンパク質との間で血清型の重複がない、パラグラフ1~19の単離AAVビリオン。
22. 有効量のパラグラフ1~9、16、18~21のいずれかのビリオンまたはパラグラフ10~15および17のいずれかのビリオンの実質的に同種の集団を投与する工程を含む、疾患を処置する方法であって、
異種遺伝子が、疾患を有する対象への遺伝子療法による処置に好適な疾患を処置するためのタンパク質をコードする、
前記方法。
23. 疾患が、遺伝性疾患、がん、免疫学的疾患、炎症、自己免疫疾患、および変性疾患から選択される、パラグラフ22の方法。
24. 複数の投与が行われる、パラグラフ22および23のいずれかの方法。
25. 事前投与に応答して形成される中和抗体を回避するために、異なるポリプロイド性ビリオンを使用する、パラグラフ24の方法。
26.出願人が以下の通り放棄する、パラグラフ1~25の単離AAVビリオン:2018年3月15日に出願されたPCT/US18/22725における任意の開示が、本出願の請求項のいずれか1つまたは複数に定義される通りの本発明の範囲内に収まるか、または、本出願もしくはそれから導き出される任意の特許において将来出願され得る補正された請求項に定義されるべき任意の発明の範囲内に収まる限り、ならびに、そのまたはそれらの請求項が適用される1以上のあらゆる関連国の法律が、PCT/US18/22725の開示が、当該国におけるまたは当該国のための当該請求項に対する当技術分野の最先端の一部であることを提供する限り、本発明者らは、これにより、本出願またはそれから導き出される任意の特許の無効化を防ぐのに必要な範囲に限って、本出願またはそれから導き出される任意の特許の請求項から前記開示を放棄する権利を有する。
【0336】
例であり、かつ、限定されないが、本発明者らは、現在もしくは将来補正される本出願またはそれから導き出される任意の特許の任意の請求項から、以下の主題のいずれか1つまたは複数を放棄する権利を有する:
A. PCT/US18/22725の実施例9に開示される任意の主題;または
B. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、2つのAAVヘルパープラスミドまたは3つのプラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
C. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、AAV2およびAAV8またはAAV9である2つのAAVヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
D. 異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなる個々のポリプロイド性ベクタービリオンを生産するための、AAV2、AAV8およびAAV9である3つのAAVヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生産されるかまたは生産可能である、ポリプロイド性ベクタービリオンと呼ばれるベクタービリオン;または
E. VP1/VP2が1つのAAVベクターカプシドまたはAAV血清型に由来し、VP3が代替物に由来する、例えば、VP1/VP2が1つのAAV血清型にのみ(そのカプシドに)由来し、VP3が1つの代替AAV血清型にのみ由来する、ハプロイドベクターと呼ばれるベクタービリオン;または
F. 以下から選択される、いずれか1つまたは複数のAAVベクタービリオン:
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8またはハプロイドAAV8/2またはハプロイドAAV82またはH-AAV82と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
VP1/VP2が異なる血清型に由来するベクター;または
AAV9由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV92またはH-AAV92と呼ばれる);または
AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV2G9由来のVP3カプシドサブユニットを有するベクター(ハプロイドAAV2G9またはH-AAV2G9と呼ばれる)であって、AAV9グリカン受容体結合部位がAAV2中に移植されている、ベクター;または
AAV8由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV83またはH-AAV83と呼ばれる);または
AAV9由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAV93またはH-AAV93と呼ばれる);または
AAVrh10由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV3由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター(ハプロイドAAVrh10-3またはH-AAVrh10-3と呼ばれる);または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1/VP2カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV2由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1カプシドサブユニットおよびAAV8由来のVP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV2由来のVP1/VP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるベクター(ハプロイドAAV2/8と呼ばれる)であって、AAV8由来のVP1/VP2/VP3カプシドサブユニットを有する、ベクター;または
28m-2VP3またはハプロイド2m-2VP3またはハプロイドベクター28m-2VP3と呼ばれるベクターであって、キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有し、そして、VP3カプシドサブユニットがAAV2に由来する、ベクター;または
キメラAAV8/2またはキメラAAV82と呼ばれるベクターであって、キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端を有し、VP3開始コドンの変異を有さず、そして、VP3カプシドサブユニットがAAV2に由来する、ベクター;または
キメラVP1/VP2カプシドサブユニットがAAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有する、ベクター;または
G. Fのベクターのいずれか1つの、集団、例えば実質的に同種の集団、例えば1010の粒子の集団、例えば実質的に同種の1010の粒子の集団;または
H. Aおよび/またはBおよび/またはCおよび/またはDおよび/またはEおよび/またはFおよび/またはGのベクターまたはベクター集団のいずれか1つを生産する方法;または
I. それらの任意の組み合わせ。
【0337】
限定されないが、本発明者らは、上記の放棄の権利の保有が、本出願に添付される通りの請求項1~30および[00437]に記載される通りのパラグラフ1~83に少なくとも適用されることを表明する。修飾ウイルスカプシドを、例えば、米国特許第5,863,541号に記載されているような「カプシドビヒクル」として使用することができる。修飾ウイルスカプシドによってパッケージングされて細胞に移送することができる分子は、異種DNA、RNA、ポリペプチド、有機低分子、金属またはそれらの組み合わせを含む。
【実施例0338】
実施例1:形質導入増強および中和抗体回避のためのポリプロイド性アデノ随伴ウイルスベクターの適用
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、血友病患者および失明患者の臨床試験において使用され成功を収めている。AAV形質導入を増強して中和抗体活性を回避する効果的な戦略の検討は、依然として不可欠である。過去の研究は、AAV血清型由来のカプシドの適合性および1つのビリオンの異なるカプシドサブユニット上に位置するAAV Nabの認識部位を示している。この研究では、本発明者らは、AAV2およびAAV8ヘルパープラスミドを異なる比(3:1、1:1および1:3)で共トランスフェクションして、ハプロイドカプシドをアセンブルし、それらの形質導入およびNab回避活性を研究した。ハプロイドウイルス収量は、親の場合と類似しており、そして、ヘパリン硫酸結合能は、AAV2カプシドインプットと正に相関していた。カプシドタンパク質を混合することによってこれらのハプロイドベクターの向性が変化したかどうかを判定するために、ヒトHuh7細胞株およびマウスC2Cl2細胞株を形質導入することによってハプロイドウイルスの形質導入有効性を分析した(
図1)。ハプロイドベクター形質導入は、Huh7細胞においてAAV2よりも低かったが、ハプロイドベクターAAV2/8 3:1は、C2C12細胞においてAAV2の場合よりも3倍高い形質導入を誘導した。
【0339】
筋肉注射後、ハプロイドウイルスは全て、親のAAVベクターよりも高い形質導入(AAV2より2~9倍)を誘導し、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3で最高であった。全身投与後、AAV8単独の場合よりも、4倍高い形質導入がハプロイドAAV2/8 1:3 を用いて肝臓で観察された。ハプロイドAAV2/89およびそれらの親のベクターを、C57Bl6マウスの後肢の筋肉に直接注射した。対照として、3:1、1:1および1:3の比のAAV2およびAAV8ウイルスの混合物もまた調査した。簡易比較のために、片脚にAAV2を注射し、反対の脚にハプロイドベクターを注射した。AAV2と比較して、類似の筋肉形質導入が親のAAV8カプシドについて達成された(
図2)。C2C12細胞での結果に反して、ハプロイドウイルスの全てから増強された筋肉形質導入が観察された(
図2)。ハプロイドベクターAAV2/9 1:1およびAAV2/8 1:3は、それぞれ、AAV2よりも4倍および2倍高い形質導入を達成した。とりわけ、ハプロイドベクターAAV2/8 3:1の筋肉形質導入は、AAV2の場合よりも6倍超高かった。しかしながら、対照(親のベクターを物理的に混合したことによる注射)は全て、AAV2ベクターと類似の形質導入効率を有していた。
【0340】
さらに、本発明者らは、治療用IX因子カセットをハプロイドAAV2/8 1:3カプシドにパッケージングし、それらをFIXノックアウトマウスに尾静脈を介して注射した。AAV8のウイルスベクターと比較して、より高いFIX発現および改善された表現型補正が、ハプロイドAAV2/8 1:3ウイルスベクターを用いて達成された。加えて、ハプロイドウイルスAAV2/8 1:3は、AAV2中和を回避することができ、AAV2との非常に低いNab交差反応性を有していた。
【0341】
ポリプロイド性ウイルスのNab回避能を改善するために、本発明者らは、AAV2、AAV8およびAAV9ヘルパープラスミドを1:1:1の比で共トランスフェクトすることによって、トリプロイドベクターAAV2/8/9ベクターを生産した。全身投与後、AAV8を用いた場合よりも2倍高い形質導入が、トリプロイドベクターAAV2/8/9を用いて肝臓で観察された。中和抗体分析は、AAV2/8/9ベクターが、親の血清型で免疫化されたマウス血清由来の中和抗体活性を回避することができたことを実証した。これらの結果は、ポリプロイド性ウイルスが、形質導入の増強およびNab認識の回避に対して親の血清型から潜在的に有意性を獲得し得ることを示している。この戦略を、中和抗体陽性患者の将来の臨床試験において検討すべきである。
【0342】
異なるcap遺伝子を有するヘルパープラスミドの数は、限定されることなく、特定の処置レジメンの具体的な要件に基づいて混合および適合させることができる。
【0343】
細胞株
HEK293細胞、Huh7細胞およびC2C12細胞を、10%ウシ胎児血清および10%ペニシリン-ストレプトマイシンを含有するダルベッコ改変イーグル培地中、5% CO2、37℃で維持した。
【0344】
組換えAAVウイルス生産
組換えAAVを三重プラスミドトランスフェクション系によって生産した。15cmのディッシュのHEK293細胞に、9μgのAAV導入遺伝子プラスミドpTR/CBA-Luc、12μgのAAVヘルパープラスミドおよび15μgのAdヘルパープラスミドXX680をトランスフェクトした。トリプロイドAAV2/8ビリオンを生成するために、トランスフェクトされるAAV2またはAAV8に対する各ヘルパープラスミドの量を、1:1、1:3および3:1の3種の異なる比で共トランスフェクトした。ハプロイドAAV2/8/9ベクターを作製するために、各血清型に対するヘルパープラスミドの比は、1:1:1であった。トランスフェクションの60時間後、HEK293細胞を収集して溶解した。上清をCsCl勾配超遠心分離に供した。ウイルス力価を定量PCRによって決定した。
【0345】
ウェスタンおよび免疫ブロット
ウイルス力価に従って、同じ量のビリオンを各レーンに負荷し、続いて、NuPage 4~10%ポリアクリルアミドビス-トリスゲル(Invitrogen, Carlsbad, CA)上で電気泳動し、次いで、iBlot(登録商標)2ドライブロッティングシステム(Invitrogen, Carlsbad, CA)を介してPVDFメンブレンに転写した。メンブレンを、AAVカプシドタンパク質に特異的なB1抗体とインキュベートした。
【0346】
ネイティブ免疫ブロットアッセイを以前に記載の通りに行った。簡潔に述べると、精製したカプシドを、バキュームドットブロッターを使用することによってHybond-ECLメンブレン(Amersham, Piscataway, NJ)に転写した。メンブレンを10%ミルクPBS中で1時間ブロッキングし、次いで、モノクローナル抗体A20またはADK8とインキュベートした。メンブレンをペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウス抗体とl時間インキュベートした。Amersham Imager 600(GE Healthcare Biosciences, Pittsburg, PA)によってタンパク質を可視化した。
【0347】
インビトロ形質導入アッセイ
組換えウイルスによって平底24ウェルプレート中1×104vg/細胞で、Huh7細胞およびC2C12細胞を形質導入した。48時間後、細胞を採取し、ルシフェラーゼアッセイ系(Promega, Madison, WI)によって評価した。
【0348】
ヘパリン阻害アッセイ
Huh7細胞またはC2C12細胞への組換えウイルスの結合を阻害する可溶性ヘパリンの能力をアッセイした。簡潔に述べると、AAV2、AAV8、ハプロイドウイルスAAV2/8 1:1、AAV2/8 1:3およびAAV2/8 3:1を、DMEM中、可溶性HSの存在下または非存在下、37℃で1時間インキュベートした。プレインキュベーション後、組換えウイルスの混合物と可溶性HSをHuh7細胞またはC2C12細胞に加えた。形質導入の48時間後、細胞を採取し、ルシフェラーゼアッセイによって評価した。
【0349】
ハプロイドAAVカプシドからの抗原提示は、インビボでのAAV8の場合と類似する
カプシド抗原提示の効力を研究するために、本発明者らは、pXR2-OVAおよびpXR8-OVAの1:3の比でのトランスフェクションによって、ハプロイドAAV2/8 OVA 1:3ベクターを生産した。1×10
11vgのAAV2/8-OVAおよびAAV8-OVAベクターを、後眼窩注射を介してC57BL/6マウスに投与した。3日後、CFSE標識OT-1マウス脾臓細胞をC57BL/6マウスに移入した。OT-1脾臓細胞を移入後10日目に、フローサイトメトリーによってT細胞増殖を測定した。AAVベクター投与なしの対照マウスと比較して、AAV2/8-OVA 1:3またはAAV8-OVAを受けたマウスでは、OT-1 T細胞増殖が大幅に増加した(
図5)。しかしながら、OT-1細胞増殖に関して、AAV2/8-OVA 1:3とAAV8-OVA群との間で差はなかった。
【0350】
動物研究
この研究において実施された動物実験は、C57BL/6マウスおよびFIX-/-マウスで実行した。UNC動物実験委員会(IACUC)によって承認されている通りのNIHガイドラインに従ってマウスを維持した。6週齢の雌C57BL/6マウスに、後眼窩注射を介して3×1010vgの組換えウイルスを注射した。D-ルシフェリン基質(Nanolight Pinetop, AZ)の腹腔内(i.p.)注射後、Xenogen IVIS Lumina(Caliper Lifesciences, Waltham, MA)を使用して注射の1週間後にルシフェラーゼ発現を撮像した。Living Image(PerkinElmer, Waltham, MA)を使用して、生物発光画像を分析した。筋肉形質導入のために、1×1010のAAV/Luc粒子を6週齢の雌C57BL/6の腓腹筋に注射した。マウスを指定の時点に撮像した。
【0351】
次に、マウス肝臓におけるハプロイドウイルスの形質導入効率を評価した。AAV2およびAAV8ウイルスの混合物も対照として注射した。3×10
10vgの用量の組換えウイルスをC57BL/6マウスに後眼窩静脈を介して注射し、AAV注射後3日目に撮像を行った。ハプロイドウイルスAAV2/8 1:3は、他のハプロイド組み合わせ、親のウイルスの混合物および親のAAV8に対しても、マウス肝臓において最も高い形質導入効率を誘導した(
図3Aおよび3B)。ハプロイドベクターAAV2/8 1:3の形質導入効率は、AAV8の場合より約4倍高かった(
図3B)。他のハプロイドウイルスからの肝臓形質導入は、親のAAV8からの場合よりも低かったが、AAV2よりは高かった(
図3Aおよび3B)。注射後7日目に、マウスを屠殺し、肝臓を摘出し、そして、ゲノムDNAを単離した。肝臓におけるルシフェラーゼ遺伝子コピー数をqPCRによって決定した。肝臓形質導入効率の結果とは異なり、ウイルス組成に関係なく類似のAAVベクターゲノムコピー数が肝臓において見いだされた(
図3C)。導入遺伝子発現を遺伝子コピー数に対して正規化したとき、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3は、他のあらゆるハプロイドベクター組み合わせまたは親の血清型と比べ、最も高い相対導入遺伝子発現を誘導した(
図3D)。
【0352】
FIXノックアウト雄マウス(FIX KOマウス)に、尾静脈注射を介して1×1010vgを与えた。注射後の様々な時点に、後眼窩叢から採血した。6週目に、マウス出血分析を実施した。
【0353】
肝臓におけるルシフェラーゼ発現の定量
撮像研究に利用した動物を、組換えウイルス注射後4週目に屠殺し、肝臓を収集した。肝臓を細かく切り刻み、受動溶解バッファ中でホモジナイズした。肝臓溶解物を遠心分離した後、上清中のルシフェラーゼ活性を検出した。組織溶解物中の総タンパク質濃度を、Bradfordアッセイ(BioRad, Hercules, CA)を使用して測定した。
【0354】
肝臓におけるAAVゲノムコピー数の検出
細かく切り刻んだ肝臓をプロテアーゼKによって処理した。PureLink Genomic DNA mini Kit(Invitrogen, Carlsbad, CA)によって全ゲノムDNAを単離した。ルシフェラーゼ遺伝子をqPCRアッセイによって検出した。マウスラミン遺伝子を内部対照とした。
【0355】
ヒトFIX発現、機能および尾出血時間アッセイ
ヒトFIX発現、一段階hFIX活性アッセイおよび尾出血時間アッセイを以前に記載の通り実施した。中和アッセイのために、Huh7細胞を、48ウェルプレート中に各ウェル当たり105細胞の密度で播種した。マウス抗体の2倍希釈物をAAV-Luc(1×108vg)と37℃で1時間インキュベートした。混合物を細胞に加え、37℃で48時間インキュベートした。細胞を受動溶解バッファ(Promega, Madison, WI)で溶解し、ルシフェラーゼ活性を測定した。Nab力価は、ルシフェラーゼ活性が無血清対照より50%低い最大希釈として定義した。
【0356】
統計分析
データを平均±SDとして提示した。スチューデントのt検定を使用して、全ての統計分析を行った。P値<0.05を統計的に有意な差と見なした。
【0357】
AAV2/8 1:3が、動物疾患モデルにおいて治療的導入遺伝子発現を増加できるかどうかを試験した。ヒトFIX(hFIXまたはヒトIX因子)を治療用遺伝子として使用し、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3/hFIXを、FIXノックアウト(KO)マウスに尾静脈を介して1×10
10vg/マウスの用量で注射した。ハプロイドベクターは、ヒト最適化FIX導入遺伝子をコードし、肝臓特異的プロモータTTRによって駆動される。注射後1、2および4週目に、血液循環におけるhFIX発現および活性を、それぞれ、ELISAおよび一段階因子活性によって分析した。6週目に、インビボhFIX機能に関する失血を、テールクリッピングアッセイを使用して評価した。野生型C57BL/6マウスにおけるハプロイドAAVベクターを用いた高い肝臓形質導入の観察と一致して、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3肝臓ターゲティングは、注射の2週間後、AAV8ベクターよりもはるかに多いhFIXを生産した(
図4A)。AAV2/8 1:3のより高いhFIXタンパク質発現は、予測通り、高いFIX活性に関連していた(
図4B)。AAV2/8 1:3/hFIX注射を受けたマウスの失血は、野生型C57BL/6マウスの場合と類似しており、KOマウスの場合よりもはるかに低かった(
図4C)。AAV8およびAAV2/8 1:3/hFIX注射を受けたマウス間で失血に関して統計的に有意差はなかったが、AAV8マウスは、AAV2/8 1:3マウスの場合より少し多い失血であった(
図4C)。
【0358】
Nabを回避するハプロイドウイルスAAV2/8の能力
ハプロイドウイルスが、親のベクターに応答して生成されたNabを回避できるかどうかを研究するために、免疫ブロットアッセイによるモノクローナル抗体を使用したNab結合アッセイを実施した。ウイルスゲノム含有粒子の3つの希釈物をニトロセルロースメンブレンに吸着させ、無傷のAAV2またはAAV8をそれぞれ認識するNab A20またはADK8でプローブ化した。A20およびADK9に対するハプロイドウイルスの中和プロファイルは、ネイティブ免疫ブロットのデータと類似していた(表5)。ハプロイドAAV2/8 1:3は、AAV2血清およびA20中和をほぼ完全に回避したが、このことは、このハプロイドウイルスが、抗AAV2 Nabを有する個体に使用できる潜在性を有することを示唆している(表5)。
【0359】
ハプロイドウイルスのインビトロ特徴付け
本発明者らの過去の研究は、AAV1、2、3および5カプシド間のカプシド適合性を実証している。AAV導入遺伝子およびアデノウイルスヘルパーpXX6-80を用いた、2つの血清型由来のAAVヘルパープラスミドの異なる比でのトランスフェクションによってハプロイドウイルスを生産した。親ベクターと比較して、いくつかの細胞株においてハプロイドウイルスからの増強された形質導入が観察された。AAV2は、その生物学に関してかつ遺伝子送達ビヒクルとして十分に特徴付けられており、そして、AAV8は、マウス肝臓における高い形質導入の理由で多くの注目を集めている。両血清型は、血友病患者のいくつかの臨床試験で利用されている。AAV血清型2および8カプシドがハプロイドウイルスを形成する可能性およびそれらの形質導入プロファイルを調査するために、本発明者らは、AAV2およびAAV8のヘルパープラスミドを3:1、1:1および1:3の比でトランスフェクトしてハプロイドベクターを作製した。ハプロイドウイルスの全てを、セシウム勾配を使用して精製し、Q-PCRによって力価測定した。ハプロイドウイルスと親のAAV2またはAAV8との間でウイルス収量に有意差はなかった。ハプロイドウイルスのカプシドタンパク質が発現されたかどうかを判定するために、AAV2およびAAV8のカプシドタンパク質を認識するモノクローナル抗体B1を使用して、精製したハプロイドウイルス由来の等価なウイルスゲノムに対してウェスタンブロット分析を実施した。全てのハプロイドウイルスにおいて、AAV2およびAAV8由来のVP2カプシドの混合物が観察され、ハプロイドウイルス中のAAV2またはAAV8由来のVP2カプシドの強度は、2つのヘルパープラスミドの比に関連していた。これらの結果は、AAV2およびAAV8由来のカプシドが適合性であり、AAVビリオンへ集合可能であったことを示唆した。
【0360】
カプシドタンパク質を混合することによってハプロイドウイルスの向性が変化したかどうかを判定するために、ヒトHuh7細胞株およびマウスC2Cl2細胞株を形質導入することによってハプロイドウイルスの形質導入有効性を分析した。AAV8の形質導入効率は、該細胞株の両方においてAAV2よりもはるかに低かった。全てのハプロイドベクターからの形質導入は、AAV8の場合よりも高く、その効率は、両細胞株においてAAV2カプシドの添加と正に相関した。ハプロイドベクター形質導入は、Huh7細胞においてAAV2よりも低かったが、ハプロイドベクターAAV2/8 3:1は、C2C12細胞においてAAV2よりも3倍高い形質導入を誘導した。
【0361】
このインビトロ形質導入データは、ウイルス調製物が個々の血清型ベクターの混合物ではなくハプロイドベクターからなることを裏付けており、ハプロイドベクターがAAV形質導入を増強し得ることを示している。ヘパリン硫酸プロテオグリカンがAAV2の主受容体として同定されている。次に、本発明者らは、ヘパリン結合能の阻害がハプロイドウイルスの形質導入を変化させたかどうかを調査した。AAVベクターと可溶性ヘパリンとのプレインキュベーションは、AAV2形質導入をHuh7細胞とC2C12細胞の両方においてほぼ100%ブロックし、AAV8形質導入をHuh7細胞およびC2C12細胞においてそれぞれ37%および56%ブロックした。可溶性ヘパリンによるハプロイドベクター形質導入の阻害は、両細胞株においてAAV2カプシドのインプットに依存していた。より多いAAV2カプシドインプットで、形質導入のより高い阻害が観察された。この結果は、ハプロイドウイルスが、効果的な形質導入に親ベクター由来の両主受容体を使用し得ることを示唆している[
図1]。
【0362】
ハプロイドウイルスの筋肉形質導入の増加
上記の通り、ハプロイドウイルスAAV2/8 3:1の形質導入効率は、筋肉細胞株C2C12において、AAV2およびAAV8の場合よりも高い。次に、本発明者らは、インビトロでの高い形質導入がマウス筋肉組織に転換されたかどうかを研究した。AAV2/8ハプロイドおよび親ベクターを、C57BL/6マウスの後肢の筋肉に直接注射した。対照として、3:1、1:1および1:3の比のAAV2およびAAV8ウイルスの混合物も調査した。簡易比較のために、片脚にAAV2を注射し、他方の脚に試験ベクターを注射した。各ウイルスについて合計1×10
10vgのベクターを投与した。AAV2と比較して、類似の筋肉形質導入がAAV8について達成された。C2C12細胞での結果に反して、ハプロイドウイルスの全てから増強された筋肉形質導入が観察された[
図2]。
【0363】
ハプロイドベクターAAV2/8 1:1およびAAV2/8 1:3は、AAV2よりも4倍および2倍高い形質導入をそれぞれ達成した。注目すべきことに、ハプロイドベクターAAV2/8 3:1の筋肉形質導入は、AAV2の場合よりも6倍超高かった。しかしながら、混合ウイルスは全て、AAV2と類似の形質導入効率を有していた。これらの結果は、ハプロイドウイルスが筋肉形質導入を増加できることを示唆しており、2つのカプシドプラスミドの共トランスフェクションから生産されたウイルスがハプロイドであることをさらに裏付けている。
【0364】
ハプロイドウイルスの増強された肝臓形質導入
AAV2およびAAV8は、血友病B患者のいくつかの臨床試験において肝臓ターゲティングに使用されている。本発明者らはまた、マウス肝臓におけるハプロイドウイルスの形質導入効率を評価した。AAV2およびAAV8と混合したウイルスも対照として注射した。3×10
10vgの用量のAAV/lucベクターをC57BLマウスに後眼窩静脈を介して投与した;AAV注射後3日目に撮像を行った。ハプロイドウイルスAAV2/8 1:3は、他のハプロイド、混合ウイルスおよびさらには親のAAV8と比べ、マウス肝臓において最も高い形質導入効率を誘導した[
図3Aおよび3B]。ハプロイドベクターAAV2/8 1:3の形質導入効率は、AAV8の場合より約4倍高かった[
図3B]。他のハプロイドウイルスからの肝臓形質導入は、親ベクターAAV8からの場合よりも低かったが、AAV2よりは高かった[
図3Aおよび3B]。注射後7日目に、マウスを屠殺し、肝臓を採取し、ゲノムDNAを単離した。肝臓におけるルシフェラーゼ遺伝子コピー数をqPCRによって決定した。肝臓形質導入効率の結果とは異なり、ハプロイドウイルスにもAAV血清型2および8にも関係なく類似のAAVベクターゲノムコピー数が肝臓において見出された[
図3C]。導入遺伝子発現を遺伝子コピー数に対して正規化したとき、肝臓における導入遺伝子発現と一致して、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3は、他のあらゆるハプロイドベクターおよび血清型と比べ、最も高い相対導入遺伝子発現を誘導した[
図3D]。肝臓におけるハプロイドウイルスの形質導入プロファイルは、筋肉形質導入におけるものとは異なっており、全てのハプロイドウイルスが親の血清型の場合よりも高い導入遺伝子発現を誘導し、AAV2/8 3:1からのものが最良であった。
【0365】
血友病Bマウスモデルにおけるハプロイドベクターによる増大された治療的FIX発現および改善された出血表現型補正
上の結果に基づき、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3は、AAV8よりもはるかに高い肝臓形質導入を誘導した。次に、本発明者らは、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3が、動物疾患モデルにおいて治療的導入遺伝子発現を増加できるかどうかをさらに試験した。本発明者らは、ヒトFIX(hFIX)を治療用物質として使用し、そして、ヒト最適化FIX導入遺伝子をコードしておりかつ肝臓特異的プロモータTTRによって駆動されるハプロイドベクターAAV2/8 1:3/hFIXを、FIXノックアウト(KO)マウスに1×10
10vg/マウスの用量で尾静脈を介して注射した。注射後1、2および4週目に、血液循環におけるhFIX発現および活性を、それぞれ、ELISAおよび一段階因子活性によって分析した。6週目に、インビボhFIX機能に関する失血を、テールクリッピングアッセイを使用して評価した。野生型C57BL/6マウスにおけるハプロイドAAVベクターを用いた高い肝臓形質導入の観察と一致して、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3肝臓ターゲティングは、注射の2週間後、AAV8ベクターよりもはるかに多いhFIXを生産した[
図4A]。AAV2/8 1:3のより高いhFIXタンパク質発現は、高いFIX活性に密接に関連していた[
図4B]。AAV2/8 1:3/hFIX注射を受けたマウスの失血は、野生型C57BL/6マウスの場合と類似しており、KOマウスの場合よりも低かった[
図4C]。しかしながら、AAV8処置マウスは、野生型マウスの場合よりも失血が多かった[
図4C]。これらのデータは、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3が、肝臓からの治療的導入遺伝子発現を増加させ、疾患表現型補正を改善することを示している。
【0366】
ハプロイドウイルスAAV2/8の中和抗体を回避する能力
個々のハプロイドウイルスビリオンは各々、異なるAAV血清型カプシド由来の60個のサブユニットからなる。1つの血清型由来のいくつかのカプシドサブユニットの異なる血清型由来の他のカプシドサブユニットへの挿入は、ビリオン表面構造を変化させ得る。ほとんどのAAVモノクローナル抗体が、1つの単一ビリオンの異なるサブユニット上の残基を認識することがよく知られている。ハプロイドウイルスが親ベクターから生成されたNabを回避することができるかどうかを研究するために、まず本発明者らは、免疫ブロットアッセイによるモノクローナル抗体を使用したNab結合アッセイを実施した。ウイルスゲノム含有粒子の3つの希釈物をニトロセルロースメンブレンに吸着させ、無傷のAAV2またはAAV8をそれぞれ認識するNab A20またはADK8をプローブとした。全てのハプロイドウイルスおよびAAV2とAAV8の混合物とのウイルスは、モノクローナル抗体ADK8またはA20によって認識された。ハプロイドウイルスのA20との反応性は、より多くのAAV2カプシドをハプロイドウイルスビリオンに組み込むことによって増加した。しかしながら、カプシド比に関係なく、ハプロイドウイルス間で抗AAV8 Nab ADK8の認識について明らかな変化はなかった。とりわけ、A20へのハプロイドAAV2/8 1:3の結合は、親のAAV2およびAAV2とAAV8と(1:3比)の混合物のウイルスの場合よりもはるかに弱く、このことは、ハプロイドAAV2/8 1:3ビリオン表面にA20結合部位が枯渇していることを示している。
【0367】
次に、本発明者らは、AAV免疫化マウス由来の血清に対するハプロイドウイルスの免疫学的プロファイルを分析した。Nab力価を使用して、ベクター形質導入を阻害する血清の能力を評価した。注射後4週目に、親ウイルスで処置したマウスから血清を収集した。表5に示す通り、A20またはADK8に対するハプロイドウイルスの中和プロファイルは、ネイティブ免疫ブロット由来のデータと類似していた。AAV8とAAV2との間でNab交差反応性はなかった。興味深いことに、AAV8免疫化マウス血清が、AAV8カプシドの組み込み量に関係なく、AAV8ウイルスおよびハプロイドウイルスの全てに対して類似の中和活性を有していたが、AAV2およびAAV8と混合したウイルスに対しては有していなかった。混合ウイルスに対するAAV8血清の阻害がないことは、試験細胞株におけるAAV2からAAV8までの優れた形質導入によって説明され得る。しかしながら、ハプロイドウイルスは、AAV2血清からの中和を部分的に回避した。ハプロイドAAV2/8 1:1の形質導入は、ウイルスと抗AAV2血清のインキュベーション後、親のAAV2よりも16倍減少した。ハプロイドウイルスについてのAAV2血清Nabを回避する能力は、AAV2およびAAV8と混合したウイルスの場合よりもはるかに高かった。際だったことに、ハプロイドAAV2/8 1:3は、AAV2血清およびA20中和をほぼ完全に回避したが、このことは、ハプロイドウイルスが、抗AAV2 Nabを有する個体に使用できる潜在性を有することを示唆している(表5)。
【0368】
3つの血清型から作製されたトリプロイドベクターを用いた改善された中和抗体回避能
上記の本発明者らのデータは、ハプロイドAAV2/8ウイルスが、AAV8中和抗体活性を回避できなかったが、AAV8からのカプシド統合の量に依存するAAV2中和抗体を回避する能力を有していたことを実証した。より多くの血清型カプシドから作製されたポリプロイド性ウイルスがNab回避能を改善したかどうかを研究するために、本発明者らは、トリプロイドウイルスAAV2/8/9(1:1:1比)を作製した。トリプロイドベクターAAV2/8/9をマウスに注射した後、AAV2と比較して、トリプロイドウイルスAAV2/8/9は、AAV8よりも2倍高い形質導入を肝臓において誘導した。AAV8ならびにハプロイドベクターAAV2/9およびAAV8/9(トリプロイドベクターが2つのAAVヘルパープラスミドから1:1の比で作製された)の中で肝臓形質導入の差は観察されなかった。AAV9全身投与は、AAV8よりも高い肝臓形質導入を誘導したことが示された。中和抗体アッセイを実施したとき、ハプロイドAAV2/8/9ベクターは、そのNab回避能を、AAV2、8および9と比較してそれぞれ約20倍、32倍および8倍改善した(表6)。
【0369】
この研究では、ポリプロイド性AAVビリオンを2つの血清型または3つの血清型のカプシドからアセンブルした。AAV2主受容体ヘパリンへのハプロイドウイルスの結合能は、AAV2カプシドインプットの量に依存していた。ハプロイドウイルスは全て、親のAAV2ベクターよりも高い形質導入有効性をマウスの筋肉および肝臓において達成した一方で、ハプロイドウイルスAAV2/8 1:3は、親のAAV8ベクターよりも顕著な肝臓形質導入の増強を有していた。AAV8と比較して、ヒトFIXを送達するためのハプロイドウイルスAAV2/8 1:3の全身投与は、はるかに高いFIX発現および改善された血友病表現型補正をFIX-/-マウスにおいて誘導した。重要なことに、ハプロイドウイルスAAV2/8 1:3は、抗AAV2血清の中和を回避することができた。ハプロイドAAV2/8ビリオンへのAAV9カプシドの統合は、中和抗体回避能をさらに改善した。
【0370】
AAV2の主受容体はHSPGであるが、AAV8の主受容体は依然として不明である。ハプロイドウイルスがAAV2およびAAV8の両方由来の受容体を使用できるかどうかを研究するために、本発明者らは、ヘパリン阻害アッセイを実施して、ヘパリン受容体モチーフに結合するハプロイドウイルスの能力を試験した。Huh7細胞株およびC2C12細胞株におけるヘパリン阻害結果は、ハプロイドウイルスが、効果的な形質導入にAAV2カプシドのヘパリン受容体モチーフを使用することを裏付けている。ある程度まで、AAV8もまた、ヘパリンの存在下で減少した形質導入効率を示したが、形質導入効率は、AAV2の場合よりも依然として高い。
【0371】
臨床試験における効率的な形質導入の最も困難な局面の1つは、AAVベクターに対する中和抗体の広範な出現率である。AAVベクターのNab媒介性クリアランスは、AAV遺伝子導入の繰り返し投与の制限因子となっている。いくつかの研究は、中和抗体認識部位の合理的変異または指向性進化法アプローチによって、Nab回避のためにAAVカプシドを遺伝子修飾することを検討している。カプシド変異は、AAV向性および形質導入効率を変化させ得る。加えて、AAVビリオン上のNab結合部位の同定は、臨床試験におけるベクター適用に後れを取っており、ポリ血清(poly sera)から全てのNab結合部位を見つけ出すことは不可能である。過去の研究は、いくつかのAAVモノクローナル抗体の認識部位が1つのビリオンの異なるサブユニット上に広がっていることを実証している。AAV8カプシドがAAV2ビリオンに導入されると、AAV2免疫化血清からのA20結合能および中和活性は、ハプロイドウイルスに対して劇的に減少した。AAV8ビリオンへのAAV2カプシドの統合は、無傷のAAV8モノクローナル抗体ADK8に結合する能力を減少させず、抗AAV8血清の中和活性を回避しなかった(表5)。このことは、ポリ血清からの全てのNab認識部位が、AAV8ビリオンの同じサブユニット上に位置し得ることを示唆している。また、結果は、AAV2ビリオンに統合されたAAV8カプシドが、ウイルスの細胞内トラフィッキングにおいて主要な役割を果たし得ることを示唆している。
【0372】
トリプロイドウイルスを3つの血清型AAV2、8および9のカプシドから作製したとき、トリプロイドベクターAAV2/8とは異なり、ハプロイドAAV2/8/9ウイルスは、AAV2、8または9免疫化マウス由来の血清の中和抗体活性を回避する能力を有し、このことは、AAV8およびAAV9が類似の形質導入経路を共有していることを示唆している。
【0373】
この研究からの数種類の証拠は、2または3つのAAVヘルパープラスミドのトランスフェクションからのポリプロイド性ビリオンアセンブルを裏付けている。(1)ウェスタンブロット分析を使用して、ハプロイドウイルスから異なるサイズの2つのVP2バンドが表示された。これらのVP2は、異なる血清型からのサイズと一致する。(2)形質導入プロファイルはC2C12細胞対Huh7細胞で異なっていた。ハプロイドAAV2/8 3:1ベクターは、特に、AAV2を用いた場合よりも低い形質導入をHuh7細胞において実証したが、C2C12細胞ではより高かった。(3)親ベクターAAV2およびAAV8、ならびにAAV2およびAAV8の混合物とのウイルスと比較して、全てのハプロイドAAV2/8ウイルスでより高い筋肉形質導入が実証された。(4)トリプロイドウイルスAAV2/8 1:3は、AAV8と比較して増強された肝臓向性を有していた。(5)A20およびADK8へのハプロイドウイルスの結合パターンは、AAV2およびAAV8の混合物とのウイルスとは異なる。(6)AAV2血清中和活性のプロファイルは、ハプロイドウイルスと混合ウイルスとの間で異なる。(7)トリプロイドAAV2/8/9ウイルスは、あらゆる親の血清型で免疫化されたマウス由来の血清の中和抗体活性を回避する。
【0374】
これらのポリプロイド性ウイルスは、インビトロおよびインビボでの形質導入効率を増強し、親ベクター免疫化血清からの中和さえ回避する。治療用導入遺伝子FIXを送達するためのポリプロイド性ウイルスの適用は、FIX欠損マウスにおいて、FIX発現を増加させ、血友病表現型補正を改善できた。これらの結果は、ハプロイドAAVベクターが、形質導入を増強してNabを回避する能力を有することを示している。
【0375】
実施例2:理論的ポリプロイド方法論の応用によるAAVビリオンと1つのAAVベクター由来のVP1/VP2および代替物由来のVP3とのアセンブルによるハプロイドAAVベクターからの増強されたAAV形質導入
上記研究において、本発明者らは、増加したAAV形質導入が、2つのAAVヘルパープラスミド(AAV2およびAAV8またはAAV9)または3つのプラスミド(AAV2、AAV8およびAAV9)のトランスフェクションによって生産されるポリプロイド性ベクターを使用して達成されることを実証している。これらの個々のポリプロイド性ベクタービリオンは、異なる血清型由来の異なるカプシドサブユニットからなり得る。例えば、AAV2ヘルパーおよびAAV8ヘルパープラスミドのトランスフェクションによって生成されるハプロイドAAV2/8は、効果的な形質導入のため1つのビリオンに異なる組み合わせのカプシドサブユニットを有し得る:AAV8由来のVP1およびAAV2由来のVP2/VP3、またはAAV8由来のVP1/VP2およびAAV2由来のVP3、またはAAV2由来のVP1およびAAV8由来のVP2/VP3、またはAAV2由来のVP1/VP2およびAAV8由来のVP3、またはAAV8由来のVP1およびAAV2由来のVP3、またはAAV2由来のVP1およびAAV8由来のVP3、またはAAV2由来のVP1/VP2/VP3、またはAAV8由来のVP1/VP2/VP3。以下の研究において、本発明者らは、増強された形質導入が、1つのAAVベクターカプシド由来のVP1/VP2および代替物由来のVP3を有するハプロイドベクターから達成できることを見出した。
【0376】
異なるAAV血清型によるVP1、VP2、およびVP3の生成は、これらの異なるタンパク質を生産するために2つの異なる戦略を提供する。興味深いことに、VPタンパク質は、VP1、VP2、およびVP3に対する重複配列を有する単一CAPヌクレオチド配列から翻訳される。
【0377】
Cap遺伝子は、3つのタンパク質VP1、VP2、およびVP3をコードする。上図に示す通り、VP1は、VP2およびVP3タンパク質を含有し、VP2は、VP3タンパク質を含有する。したがって、Cap遺伝子は、3つのセグメント、VP1の開始点-VP2の開始点-VP3の開始点-3つ全てのVPタンパク質の末端を有する。
【0378】
2つの異なるAAV血清型(AおよびBとする)由来のCap遺伝子を供給源とする場合、3つのCapタンパク質の6つの可能な組み合わせがある。1つの場合には、任意の血清型(またはキメラもしくは他の天然に存在しないAAV)であることができる血清型Aとして特定されるVP1は、第1の血清型Aにのみ由来し、血清型Bとして特定されるVP2/VP3は、血清型Bにのみ由来し、VP1の血清型(またはキメラもしくは他の天然に存在しないAAV)と異なる血清型である。1つの場合には、VP1およびVP2の両方が第1の血清型Aにのみ由来し、VP3が血清型Bにのみ由来する。第1の血清型のVP1および第2の血清型のVP2/VP3;または第1の血清型由来のVP1/VP2および第2の血清型由来のVP3を作製する方法は、本明細書に示される実施例に開示される。1つの場合には、VP1およびVP3は第1の血清型にのみ由来し、VP2は第2の血清型にのみ由来する。
【0379】
3つの異なるAAV血清型(A、BおよびCとする)由来のCap遺伝子を供給源とする場合、3つのCapタンパク質の6つの可能な組み合わせがある。この場合には、任意の血清型(またはキメラもしくは他の天然に存在しないAAV)であることができる血清型Aとして特定されるVP1は、VP2およびVP3の血清型とは異なる第1の血清型に由来し;VP1およびVP3の血清型(またはキメラもしくは他の天然に存在しないAAV)と異なる血清型である血清型Bとして特定されるVP2は、第2の血清型に由来し;そして、VP1の血清型(またはキメラもしくは他の天然に存在しないAAV)およびVP2の血清型と異なる血清型である血清型Cとして特定されるVP3の血清型は、第3の血清型に由来する。第1の血清型のVP1、第2の血清型のVP2および第3の血清型のVP3を作製する方法は、本明細書に示される実施例に開示される。
【0380】
ある態様において、VP1が第1の血清型Aとして特定され、そして、VP2およびVP3が第2の血清型Bとして特定されるとき、一態様において、これは、VP1が血清型Aにのみ由来すること、VP2およびVP3が血清型Bにのみ由来することを意味すると理解される。別の態様において、VP1が第1の血清型Aとして、VP2が第2の血清型Bとして、VP3が第3の血清型Cとして特定されるとき、一態様において、これは、VP1が血清型Aにのみ由来すること;VP2が血清型Bにのみ由来すること;そして、VP3が血清型Cにのみ由来することを意味すると理解される。以下の実施例により詳細に記載する通り、一態様において、2つの異なる血清型を使用してハプロイドベクターを作製するために、血清型A由来のVP1のみ発現する血清型A(またはキメラもしくは他の天然に存在しないAAV)由来のVP1に対するヌクレオチド配列、ならびに、第2の血清型にのみ由来するVP2および/またはVP3、または代替的に第2の血清型にのみ由来するVP2、および第3の血清型にのみ由来するVP3に対する第2のヌクレオチド配列を含むこともできる(例えば、
図13~15を参照のこと)。一態様において、VP1/VP2は第1の血清型にのみ由来し、VP3は第2の血清型にのみ由来する。
【0381】
3つの異なるCap遺伝子の場合、ヘルパープラスミドを、3つのAAV血清型由来の特定のVPタンパク質に対するヌクレオチド配列の完全コピーを用いて生成することができる。個々のCap遺伝子は、その特定のAAV血清型(A、BおよびCとする)に関連するVPタンパク質を生成する。
【0382】
ある態様において、VP1が第1の血清型Aとして特定され、VP2が第2の血清型Bとして特定され、VP3が第3の血清型Cとして特定されるとき、一態様において、これは、VP1が血清型Aにのみ由来すること;VP2が血清型Bにのみ由来すること、VP3が血清型Cにのみ由来することを意味すると理解される。以下の実施例により詳細に記載する通り、そのようなハプロイドベクターを作製するために、血清型A由来のVP1のみ発現し、血清型A由来のVP2またはVP3を発現しない、血清型A由来のVP1に対するヌクレオチド配列;血清型BのVP2を発現し、血清型BのVP3を発現しない、第2のヌクレオチド配列;および血清型CのVP3を発現する第3のヌクレオチド配列を含むだろう。
【0383】
ある特定の態様において、ハプロイドビリオンは、VP1およびVP3カプシドタンパク質のみ含む。ある特定の態様において、ハプロイドビリオンは、VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質を含む。
【0384】
ハプロイドビリオンを形成するためのVP1とVP3との様々な組み合わせ;またはハプロイドビリオンを形成するためのVP1/VP2/VP3の様々な血清型組み合わせのこれらの態様の各々において、カプシドタンパク質を発現するヌクレオチド配列は、1つまたは複数のベクター、例えばプラスミドから発現させることができることに留意すべきである。一態様において、ヌクレオチド配列間の組換えが、特に1つのベクター、例えばプラスミドなどから発現されるときに大幅に低減されるように、VP1またはVP2またはVP3を発現する核酸配列は、コドン最適化される。
【0385】
AAV8由来のVP1/VP2およびAAV2由来のVP3のC末端を有する理論的ハプロイドベクターは、AAV形質導入を増強させる
AAV2カプシドとAAV8カプシドの比が任意のハプロイドベクターAAV2/8は、AAV2または同じ比のAAV2ベクターおよびAAV8ベクターの混合物とのウイルスよりも高い肝臓形質導入を誘導したことが実証されている。個々のハプロイドAAV2/8ベクター中のどのAAVサブユニットが、AAV2よりも高い形質導入に寄与しているかを解明するために、本発明者らは、AAV8 VP1/VP2のみ、AAV2 VP3のみ、AAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有するキメラVP1/VP2(28m-2VP3)、またはVP3開始コドンの変異を有さずAAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端を有するキメラAAV8/2を発現する異なる構築物を作製した。これらのプラスミドを使用して、異なる組み合わせのハプロイドAAVベクターを生産した。1×1010のこれらのハプロイドベクター粒子をマウスに後眼窩静脈を介して注射した後、肝臓形質導入効率を評価した。キメラAAV82ベクター(AAV82)は、AAV2よりも少し高い肝臓形質導入を誘導した。しかしながら、ハプロイドAAV82(H-AAV82)は、AAV2よりもはるかに高い肝臓形質導入を有していた。ハプロイドベクター28m-2vp3を用いて肝臓形質導入のさらなる増加が観察された。本発明者らはまた、これらのハプロイドベクターをマウスの筋肉に投与した。比較を容易にするため、マウスが仰向けになった状態で、右脚にAAV2ベクターを注射し、左脚にハプロイドベクターを注射した。AAV注射後3週目に撮像した。肝臓における観察と一致して、全てのハプロイドベクターおよびキメラベクターがより高い筋肉形質導入を有しており、ハプロイドベクター28m-2vp3からのものが最良であった。この結果は、AAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有するキメラVP1/VP2が、ハプロイドAAV82ベクターの高い肝臓形質導入の原因であることを示している。
【0386】
他の血清型由来のVP1/VP2およびAAV2由来のVP3を有するハプロイドベクターからの増強されたAAV肝臓形質導入
本発明者らは、AAV8由来のVP1/VP2およびAAV2由来のVP3を有するハプロイドベクターAAV82が上記の通り肝臓形質導入を増加させることを示している。次に、本発明者らは、VP1/VP2が異なる血清型に由来する他のハプロイドビリオンも形質導入を増加させるかどうかを調べようと考える。前臨床研究において、AAV9は、異なる組織を効率的に形質導入すると示されている。本発明者らは、VP1/VP2がAAV9に由来しかつVP3がAAV2に由来するハプロイドAAV92ベクター(H-AAV92)を作製した。全身投与後、1週目に撮像を実施した。AAV2を用いた場合より約4倍高い肝臓形質導入がH-AAV92を用いて達成された。このデータは、他の血清型由来のVP1/VP2もまた、AAV2形質導入を増加させることができることを示している。
【0387】
AAV2変異体または他の血清型由来のVP3を有するハプロイドベクターからの増強されたAAV肝臓形質導入
AAV9は、効果的な形質導入のために主受容体としてグリカンを使用する。本発明者らの過去の研究において、本発明者らは、AAV9グリカン受容体結合部位をAAV2に移植してAAV2G9を作製し、AAV2G9がAAV2よりも高い肝臓向性を有することを見出した。本明細書において、本発明者らは、VP1/VP2がAAV8に由来しかつVP3がAAV2G9に由来するハプロイドベクター(H-AAV82G9)を作製した。マウスへの全身注射後、AAV2G9と比較して、H-AAV82G9適用後1週目および2週目の両方で10倍超のより高い肝臓形質導入が観察された。VP3が他の血清型に由来しかつVP1/VP2が異なる血清型またはバリアントに由来するハプロイドベクターを研究するために、本発明者らは、他の構築物:AAV3 VP3のみ、AAV rh10 VP1/VP2のみをクローニングし、そして、様々な組み合わせの異なるハプロイドベクター(H-AAV83、H-AAV93およびH-AAVrh10-3)を作製した。マウスへの全身注射後、1週目に撮像を行った。他のハプロイドベクターから得られた結果と一致して、AAV3を用いた場合よりも高い肝臓形質導入がハプロイドベクター(H-AAV83、H-AAV93およびH-AAVrh10-3)を用いて達成された。興味深いことに、これらのハプロイドベクターはまた、撮像プロファイルに基づき全身形質導入を誘導したが、これは、唯一肝臓を効率的に形質導入したAAV2由来のVP3を有するハプロイドベクター5の結果とは異なる。まとめると、1つの血清型由来のVP1/VP2および代替物由来のVP3を有するハプロイドベクターは、形質導入を増強させることができ、おそらく向性を変化させることができる。
【0388】
1つのAAV血清型由来のVP1/VP3および別のAAV血清型由来のVP2を有するハプロイドベクターは、AAV形質導入を増強し、抗体中和を回避する
VP2が1つの血清型に由来し、VP1/VP3が異なる血清型に由来するハプロイドベクターを研究するために、いくつかの構築物を生成する。AAV2 VP2のみを発現する構築物を生成する。これは、例えば
図10に示される、VP3開始コドンの変異と組み合わされた、AAV2 VP1開始コドンの変異および/またはAAV2 VP1スプライスアクセプター部位の変異の組み込みによって達成される。AAV8 VP1/3のみを発現する構築物も生成する。これは、AAV8 VP2開始コドンの変異の組み込みによって達成される。同様に、AAV2 VP1/3のみを発現する構築物、およびAAV8 VP2のみを発現する構築物を生成する。
【0389】
ルシフェラーゼ導入遺伝子をコードし、AAV2VP1およびAAV8VP1/3を有するかまたはAAV8VP1およびAAV2 VP1/3を有する実質的に同種のハプロイドベクター集団を、これらの構築物から適切なプラスミドおよびヘルパーウイルスを使用して作製する。1×1010のこれらのハプロイドベクター粒子をマウスに後眼窩静脈を介して注射し、そして、1週間後に撮像によって肝臓形質導入効率を評価する。AAV2を用いた場合よりも高い肝臓形質導入が同種のハプロイドベクター集団を用いて達成されること、および、AAV2またはAAV8を用いた活性と比較してはるかに低いNab交差反応性がハプロイドベクターを用いて見られることが予想される。さらに、同種のハプロイドベクター集団は、全身形質導入も誘導し得るが(例えば、撮像プロファイルに基づいて特定される通り)、これは、AAV2またはAAV8のいずれかを使用した結果と異なる。
【0390】
これらの例では、本発明者らは、適合性の血清型由来のVP1/VP2およびVP3から作製されたハプロイドウイルスがまた、形質導入を増加させることを実証する。マウスへの2×1010vgのAAVベクターの全身注射後、血清型7、8、9およびrh10由来のVP1/VP2ならびにAAV2またはAAV3由来のVP3からなるハプロイドAAVベクターが、AAV2のみおよびAAV3のみのカプシドと比較して、肝臓、心臓および脳を含む複数の組織タイプにわたって2~7倍の形質導入の増加を呈することが見いだされた。これらの組織は、加えて、より高いベクターゲノムコピー数をこれらの組織において有していたが、このことは、非同族VP1/VP2の組み込みが、AAV受容体結合および細胞内トラフィッキングに影響を及ぼし得ることを示している。加えて、AAV2またはAAV8 VP1/VP2のいずれかとAAV2またはAAV8 VP3とを組み合わせて、キメラおよびハプロイドカプシドを作製した。これらのハプロイドAAVベクターをマウスに注射したとき、AAV8 VP1/2およびAAV2 VP3からなるハプロイドAAVベクターは、AAV2 VPだけからなるウイルスより5倍高い形質導入を有していた。注目すべきことに、AAV2由来のVP3と対合されたキメラAAV2/8(AAV2のN末端およびAAV8のC末端)由来のVP1/VP2からなるハプロイドベクターは、AAV2 VP3と対合されたAAV8 VP1/VP2からなるカプシドと比較して、50倍の導入遺伝子発現の増加を有していた。AAV8 VP3由来のカプシドが同じ割合であることを考慮すれば、AAV2とAAV8との間のVP1/2 N末端領域に違いがあり、これは、AAV2のVP1/2 N末端とその同族VP3との間の「相互作用」を示し得る。まとめると、本明細書に提示される仕事は、複数の組織タイプにわたって形質導入を増加させることができる現在のAAV生産戦略に関する洞察を提供する。
【0391】
ハプロイドベクターをまたマウスの筋肉に注射する。簡単な比較のため、マウスが仰向けになった状態で、右脚にAAV2ベクターを注射し、左脚にハプロイドベクターを注射する。AAV注射後3週目に、撮像する。ハプロイドベクターによる筋肉における増強された形質導入も予想される。
【0392】
同種のハプロイドウイルス集団の中和抗体を回避する能力
ハプロイドウイルスが親ベクターから生成されたNabを回避することができるかどうかを研究するために、免疫ブロットアッセイによるモノクローナル抗体を使用したNab結合アッセイを実施する。ウイルスゲノム含有粒子の3つの希釈物をニトロセルロースメンブレンに吸着させ、無傷のAAV2またはAAV8をそれぞれ認識するNab A20またはADK8でプローブ化する。同種のハプロイドウイルス集団は、モノクローナル抗体ADK8またはA20による認識を検出不可能なまで大きく低減させることが予想される。
【0393】
次に、AAV免疫化マウス由来の血清を使用した同種のハプロイドウイルス集団の免疫学的プロファイルを生成する。Nab力価を使用して、ベクター形質導入を阻害する血清の能力を評価する。注射後4週目に、親ウイルスで処置したマウスから血清を収集する。A20またはADK8に対するハプロイドウイルスの中和プロファイルを比較し、これがネイティブ免疫ブロットから得られたデータと類似すると予想される。AAV8とAAV2との間でNab交差反応性が見られないと予想される。同種のハプロイドウイルス集団は、AAV2血清またはAAV8血清のいずれか由来の中和を少なくとも部分的に、おそらくは完全に回避すると予想される。
【0394】
1つのAAV血清型由来のVP2/VP3および別のAAV血清型由来のVP1を有するハプロイドベクターは、AAV形質導入を増強し、抗体中和を回避する
VP1が1つの血清型に由来し、VP2/VP3が異なる血清型に由来するハプロイドベクターを研究するために、いくつかの構築物を生成する。AAV2 VP1のみを発現する構築物を生成する。これは、AAV2 VP2開始コドンの変異、例えば
図7および
図21に示される通りのAAV2 VP3開始コドンの変異、または例えば
図9に示される通りのVP2およびVP3スプライスアクセプター部位の変異、または例えば
図11に示される通りの両方の変異の組み込みによって達成される。AAV8 VP2/3のみを発現する構築物を生成する。これは、例えば
図21に参照されるAAV8 VP1開始コドンおよび/または例えば
図12に参照されるスプライスアクセプター部位の変異の組み込みによって達成される。同様に、AAV2 VP2/3のみを発現する構築物を生成し、AAV8 VP1のみを発現する構築物を生成する。
【0395】
ルシフェラーゼ導入遺伝子をコードし、AAV2 VP1およびAAV8 VP2/3を有するかまたはAAV8 VP1およびAAV2 VP2/3を有する実質的に同種のハプロイドベクター集団を、これらの構築物から適切なプラスミドおよびヘルパーウイルスを使用して作製する。1×1010のこれらのハプロイドベクター粒子をマウスに後眼窩静脈を介して注射し、1週間後に撮像によって肝臓形質導入効率を評価する。AAV2を用いた場合よりも高い肝臓形質導入が同種のハプロイドベクター集団を用いて達成されること、および、AAV2またはAAV8を用いた活性と比較してはるかに低いNab交差反応性がハプロイドベクターを用いて見られることが予想される。さらに、同種のハプロイドベクター集団は、全身形質導入も誘導し得るが(例えば、撮像プロファイルに基づいて特定される通り)、これは、AAV2またはAAV8のいずれかを使用した結果と異なる。
【0396】
ハプロイドベクターをまたマウスの筋肉に注射する。簡単な比較のため、マウスが仰向けになった状態で、右脚にAAV2ベクターを注射し、左脚にハプロイドベクターを注射する。AAV注射後3週目に、撮像する。ハプロイドベクターによる筋肉における増強された形質導入も予想される。
【0397】
同種のハプロイドウイルス集団の中和抗体を回避する能力
ハプロイドウイルスが親ベクターから生成されたNabを回避することができるかどうかを研究するために、免疫ブロットアッセイによるモノクローナル抗体を使用したNab結合アッセイを実施する。ウイルスゲノム含有粒子の3つの希釈物をニトロセルロースメンブレンに吸着させ、無傷のAAV2またはAAV8をそれぞれ認識するNab A20またはADK8でプローブ化する。同種のハプロイドウイルス集団は、モノクローナル抗体ADK8またはA20による認識を検出不可能なまで大きく低減させることが予想される。
【0398】
次に、AAV免疫化マウス由来の血清を使用した同種のハプロイドウイルス集団の免疫学的プロファイルを生成する。Nab力価を使用して、ベクター形質導入を阻害する血清の能力を評価する。注射後4週目に、親ウイルスで処置したマウスから血清を収集する。A20またはADK8に対するハプロイドウイルスの中和プロファイルを比較し、これがネイティブ免疫ブロットから得られたデータと類似すると予想される。AAV8とAAV2との間でNab交差反応性が見られないと予想される。同種のハプロイドウイルス集団は、AV2血清またはAAV8血清のいずれか由来の中和を少なくとも部分的に、おそらくは完全に回避すると予想される。
【0399】
1つのAAV血清型由来のVP1、別のAAV血清型由来のVP2および第3のAAV血清型由来のVP3を有するトリプロイドベクターは、AAV形質導入を増強し、抗体中和を回避する
VP1、VP2、およびVP3の各々が異なるAAV血清型に由来するトリプロイドベクターを研究するために、いくつかの構築物を生成する。AAV2 VP1のみを発現する構築物を生成する。これは、例えば
図7に示される通りのAAV2 VP2開始コドンの変異およびVP3開始コドンの変異の組み込み、または例えば
図9に示される通りのVP2/3に対するスプライスアクセプター部位の変異の組み込みによって達成される。AAV9 VP2のみを発現する構築物を生成する。これは、AAV9 VP1開始コドンにおける変異の組み込みおよび/またはAAV9 VP1スプライスアクセプター部位における変異の組み込み、ならびにVP3開始コドンの変異によって達成される。代替的に、これは、VP1に対する上流コード配列を除くAAV9 Capコード配列の断片を合成すること、およびVP3開始コドンの変異によって達成される。AAV8 VP3のみを発現する構築物を生成する。これは、AAV8 VP1開始コドンおよび/またはスプライスアクセプター部位における変異の組み込み、ならびにAAV8 VP2開始コドンにおける変異の組み込みによって達成される。代替的に、これは、VP1およびVP2に対する上流コード配列を除くAAV8 Capコード配列の断片を合成することによって達成される。
【0400】
ルシフェラーゼ導入遺伝子をコードし、AAV2 VP1、AAV9 VP2およびAAV8 VP3を有する実質的に同種のトリプロイドベクター集団を、これらの構築物から適切なプラスミドおよびヘルパーウイルスを使用して作製する(例えば、
図13、14および15を参照のこと)。1×10
10のこれらのトリプロイドベクター粒子をマウスに後眼窩静脈を介して注射し、1週間後に撮像によって肝臓形質導入効率を評価する。AAV2、AAV9またはAAV8を用いた場合よりも高い肝臓形質導入が同種のトリプロイドベクター集団を用いて達成されること、および、AAV2、AAV8またはAAV8のいずれかを用いた活性と比較してはるかに低いNab交差反応性がトリプロイドベクターを用いて見られることが予想される。さらに、同種のトリプロイドベクター集団は、全身形質導入も誘導し得る(例えば、撮像プロファイルに基づいて特定される通り)。
【0401】
トリプロイドベクターをまたマウスの筋肉に注射する。簡単な比較のため、マウスが仰向けになった状態で、右脚にAAV2ベクター、AAV9ベクターまたはAAV8ベクターを注射し、左脚にトリプロイドベクターを注射する。AAV注射後3週目に、撮像する。トリプロイドベクターによる筋肉における増強された形質導入が予想される。
【0402】
同種のトリプロイドウイルス集団の中和抗体を回避する能力
個々のハプロイドウイルスビリオンは各々、それぞれ異なるAAV血清型カプシド由来の60のサブユニットからなる。3つの異なる血清型に由来する血清型カプシドタンパク質を組み合わせることは、ビリオン表面構造を変化させると予想される。ほとんどのAAVモノクローナル抗体が、1つの単一ビリオンの異なるサブユニット上の残基を認識することがよく知られている。トリプロイドウイルスが親ベクターから生成されたNabを回避することができるかどうかを研究するために、免疫ブロットアッセイによるモノクローナル抗体を使用したNab結合アッセイを実施する。ウイルスゲノム含有粒子の3つの希釈物をニトロセルロースメンブレンに吸着させ、無傷のAAV2またはAAV8をそれぞれ認識するNab A20またはADK8でプローブ化する。同種のトリプロイドウイルス集団は、モノクローナル抗体ADK8またはA20による認識を検出不可能なまで大きく低減させることが予想される。
【0403】
次に、AAV免疫化マウス由来の血清を使用した同種のトリプロイドウイルス集団の免疫学的プロファイルを生成する。Nab力価を使用して、ベクター形質導入を阻害する血清の能力を評価する。注射後4週目に、親ウイルスで処置したマウスから血清を収集する。A20またはADK8に対するトリプロイドウイルスの中和プロファイルを比較し、これがネイティブ免疫ブロットから得られたデータと類似すると予想される。AAV8とAAV2との間でNab交差反応性が見られないと予想される。同種のトリプロイドウイルス集団は、AAV2血清、AAV9血清またはAAV8血清のいずれか由来の中和を少なくとも部分的に、おそらくは完全に回避すると予想される。
【0404】
実施例3:ポリプロイド性アデノ随伴ウイルスベクターは、形質導入を増強させ、中和抗体を回避する
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、血友病患者および盲患者の臨床試験において使用され成功を収めている。AAVベクターの適用は、安全であると証明されており、これらの臨床試験において治療効果を示しているが、主要な課題の1つは、比較的大量のウイルスゲノムを必要とするその低い感染力である。加えて、その集団の大部分は、血中および他の体液中にAAVに対する中和抗体(Nab)を有する。Nabの存在は、将来の臨床試験におけるより広いAAV適用に対する別の主要な課題をもたらす。AAV形質導入を増強させ、中和抗体活性を回避する効果的な戦略が強く求められている。過去の研究は、AAV血清型由来のカプシドの適合性および1つのビリオンの異なるカプシドサブユニット上に位置するAAV Nabの認識部位を示している。この研究では、本発明者らは、異なるAAVヘルパープラスミドの共トランスフェクションから生産されたポリプロイド性AAVウイルスが、増強されたAAV形質導入およびNabの回避のための能力を有するかどうかを研究することを提案する。本発明者らは、AAV2およびAAV8ヘルパープラスミドを異なる比(3:1、1:1および1:3)で共トランスフェクトして、ハプロイドカプシドをアセンブルした。ハプロイドウイルス収量は、親の場合と類似しており、このことは、これらの2つのAAVカプシドが適合性であったことを示唆している。Huh7細胞株およびC2Cl2細胞株では、AAV8の形質導入効率は、AAV2からのものよりもはるかに低かった;しかしながら、全てのハプロイドベクターからの形質導入は、AAV8からのものよりも高かった。ハプロイドベクターの形質導入効率およびヘパリン硫酸結合能は、統合されるAAV2カプシドの量と正に相関していた。これらの結果は、ハプロイドウイルスベクターが、それらの親のウイルス特性を保持し、増強された形質導入に親ベクターを活用することを示している。筋肉注射後、ハプロイドウイルスは全て、親のAAVベクターよりも高い形質導入(AAV2より2~9倍)を誘導し、ハプロイドベクターAAV2/8 3:1で最高であった。
【0405】
全身投与後、AAVS単独を用いた場合よりも4倍高い形質導入がハプロイドベクターAAV2/8 1:3を用いて肝臓において観察された。重要なことに、本発明者らは、治療用IX因子カセットをハプロイドベクターAAV2/8 1:3カプシドにパッケージングし、それらをFIXノックアウトマウスに尾静脈を介して注射した。AAVSの場合と比較して、より高いFIX発現および改善された表現型補正が、ハプロイドベクターAAV2/8 1:3ウイルスベクターを用いて達成された。際だったことに、ハプロイドウイルスAAV2/8 1:3は、AAV2中和を回避することができ、AAV2との非常に低いNab交差反応性を有していた。しかし、AAVS中和抗体は、ハプロイドベクターAAV2/8形質導入をAAV8と同じ効率で阻害することができる。次に、本発明者らは、AAV2、AAV8およびAAV9ヘルパープラスミドを1:1:1の比で共トランスフェクトすることによって、トリプロイドベクターAAV2/8/9ベクターを生産した。全身投与後、AAV8を用いた場合よりも2倍高い形質導入がトリプロイドベクターAAV2/8/9を用いて肝臓で観察された(
図6)。中和抗体分析は、AAV2/8/9ベクターが、AAV2/8トリプロイドベクターとは異なり、親の血清型で免疫化されたマウス血清由来の中和抗体活性を回避することができたことを実証した。結果は、ポリプロイド性ウイルスが、形質導入の増強に対して親の血清型から潜在的に有意性を獲得し得、かつ、Nab認識の回避のための能力を有することを示している。この戦略を、中和抗体陽性患者の将来の臨床試験において検討すべきである。
【0406】
実施例4:AAVカプシドサブユニットの置換は、形質導入を増強させ、中和抗体を回避する
血液疾患および盲障害を有する患者の臨床試験において、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを使用して治療効果が達成された。しかしながら、AAVカプシド特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)および中和抗体(Nab)という2つの懸念事項がAAVベクター適用の拡大を制限している。低用量のAAVベクターを用いたAAV形質導入の増強は、カプシド抗原負荷を潜在的に減少させ、かつ、願わくは、導入遺伝子発現を損なうことなく、カプシドCTL媒介性のAAV形質導入標的細胞のクリアランスを除去する。現在、12の血清型および100を超えるバリアントまたは変異体が、それらの異なる組織向性および形質導入効率に起因して遺伝子送達に検討されている。AAV血清型間でカプシドの適合性があり、1つの血清型由来の特定のアミノ酸の別のAAVカプシドへの統合がAAV形質導入を増強させることが実証されている。異なる血清型からの効果的なAAV形質導入に異なる機序を活用することによって、AAVカプシドサブユニットが異なる血清型に由来するモザイクウイルスをインビトロおよびインビボで使用して増強されたAAV形質導入が達成された。AAVベクターとモノクローナル中和抗体との相互作用に関する最近の構造研究は、Nabが、1つのビリオン表面のいくつかの異なるサブユニット上の残基に結合することを実証しており、このことは、AAVビリオンのサブユニットアセンブルの変化が、AAV Nab結合部位を取り除き、次いでNab活性を回避し得ることを示唆している。本発明者らは、モザイクAAVベクターがNab活性を回避することができることを実証している。これらの結果は、AAVカプシドサブユニットの置換が、AAV形質導入および中和抗体回避の能力を増強する潜在性を有することを示している。
【0407】
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターは、血液疾患および盲障害を有する患者の臨床試験において適用され成功を収めている。2つの懸念事項が広範なAAVベクター適用を制限している:AAVカプシド特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答媒介性のAAV形質導入標的細胞の排除および中和抗体(Nab)媒介性のAAV形質導入の遮断。カプシド抗原提示が用量依存的であることが実証されており、このことは、低用量のAAVベクターを用いたAAV形質導入の増強が、カプシド抗原負荷を潜在的に減少させ、かつ、願わくは、導入遺伝子発現を損なうことなく、カプシドCTL媒介性のAAV形質導入標的細胞のクリアランスを除去することを示している。導入遺伝子カセットの最適化、AAVカプシドの修飾および薬理学的物質によるAAVトラフィッキングの干渉を含むいくつかのアプローチがこの目的に検討されている。AAVカプシドの修飾は、AAV向性を変化させ得る;とりわけ、AAV形質導入効率はヒト組織において知られていない。いくつかの臨床試験が進行中であるが、動物モデルからの観察に基づきAAVベクターが経験的に選択された。AAV形質導入を増強させるための薬理学的試薬は、通常、不要な副作用を有する。カプシドの修飾からその向性を変化させることなくかつ薬理学的処置から副作用なしに、AAV形質導入を増強させる理想的な戦略を開発することが必須である。現在、遺伝子送達に検討されている12の血清型および100を超えるバリアントまたは変異体がある。効果的なAAV形質導入は、標的細胞表面上への受容体および共受容体を介した結合、エンドソームへのエンドサイトーシス、エンドソームからの脱出、核侵入、AAVビリオンの脱殻とそれに続く導入遺伝子発現を含む工程を伴う。増強された形質導入のための新規AAVベクターを合理的に設計するために、本発明者らは、キメラウイルスAAV2.5(AAV1から5aa置換されたAAV2変異体)およびAAV2G9(AAV9由来のガラクトース受容体がAAV2カプシドに移植された)を開発した。両方のキメラ変異体はそれぞれ、AAV2よりもはるかに高い形質導入をマウスの筋肉および肝臓において誘導する。これらの観察は、これらのキメラウイルスが、両方のAAV血清型由来の特性を増強された形質導入に使用し得ることを示している(例えば、AAV2G9は、2つの主受容体であるヘパリンおよびガラクトースを効果的な細胞表面結合に使用する)。ウイルスアセンブルに対する異なるAAV血清型由来のカプシドサブユニット間の適合性と、AAV血清型2への他の血清型(1または9)由来の特定のアミノ酸の統合が、AAV2形質導入を筋肉および肝臓において増強させたことを実証した本発明者らの予備段階の結果に基づき、本発明者らは、他の血清型由来のいくつかのカプシドサブユニットの置換が、異なる血清型からの効果的なAAV形質導入に異なる機序を活用することによって、AAV形質導入を増強させることができると推論する。加えて、天然に存在するAAVに対する既存の抗体は、血友病Bおよび他のAAV遺伝子導入研究の成功に影響を及ぼした。一般的なヒト集団では、50%前後が中和抗体を保有する。Nab回避AAVベクターを設計するために、化学修飾、異なる血清型のAAVベクター、カプシドのインサイチュー合理的設計およびコンビナトリアル変異誘発ならびにNab力価の生物学的枯渇(空カプシド利用、B細胞枯渇および血漿アフェレーシス)を含むいくつかのアプローチが考慮されている。これらのアプローチは、低い効率もしくは副作用またはAAV向性の変化を有する。AAVベクターとモノクローナル中和抗体との相互作用に関する最近の構造研究は、Nabが、1つのビリオン表面のいくつかの異なるサブユニット上の残基に結合することを実証しており、このことは、AAVビリオンのサブユニットアセンブルの変化が、AAV Nab結合部位を取り除き、次いでNab活性を回避し得ることを示唆している。本発明者らは、新規モザイクAAVベクターが、様々な組織において形質導入を増強させる潜在性を有し、中和抗体活性を回避することができるという概念を強く裏付けている結果を有する。
【0408】
疾患の処置
例えば、中枢神経系、心臓、肺、骨格筋、および肝臓の疾患;例えば、パーキンソン病、アルツハイマー病、嚢胞性線維症、ALS、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、重症筋無力症、および血友病AまたはBを含む、疾患の処置のための以下の実施例5~6の各々において、特定のAAV血清型およびモザイクを使用して生成される本明細書に記載のカプシドビリオンは、実施例2の合理的なポリプロイド法を使用して代替的に生成され、VP1が第1の血清型にのみ由来し、VP2および/もしくはVP3が第2の血清型にのみ由来するハプロイドカプシド;または、例えばVP1、VP2、およびVP3の各々が異なる血清型に由来するハプロイドカプシドを生成する。そのようなビリオンを作製するための代替法はまた、例えば、実施例7~15に記載される。
【0409】
実施例5:2以上の異なるAAV血清型由来のVP1/VP2/VP3を用いた中枢神経系(CNS)の疾患の処置
最初の実験では、2つのヘルパープラスミドを使用する。第1のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびAAV4由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、グルタミン酸デカルボキシラーゼ65(GAD65)および/またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ67(GAD67)に対するヌクレオチド配列をコードし、そのヌクレオチド配列は、2つのITR間に挿入される。治療用のGAD65および/またはGAD67を含有する核酸配列をカプシド封入するために、ポリプロイド性ビリオンを使用することができる。以下の実施例において、カプシドを、例えば実施例2の合理的なポリプロイド法を使用して調製し、例えば、VP1が1つの血清型にのみ由来し、VP3が代替血清型にのみ由来し、VP2が存在してもしなくてもよいハプロイドカプシドを生産することができる。VP2が存在するとき、それは、VP1もしくはVP3のいずれかと同じであり得る1つの血清型にのみ由来するかまたは第3の血清型由来であることができ、または、モザイクハプロイドカプシドをもたらす上記のクロスドレッシング方法論によってカプシドを調製することができる。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用してパーキンソン病に関連する中枢神経系組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、パーキンソン病を処置するためのGAD65および/またGAD67タンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、パーキンソン病を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV4のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有することができる。
【0410】
さらなる実験では、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV5由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、バッテン病を処置するためのCLN2に対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用してパーキンソン病に関連する中枢神経系組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、バッテン病を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、バッテン病を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV5のみからなるウイルスベクターよりも関連する中枢神経系組織に対して高い特異性を有する。
【0411】
別の実験では、3つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV4由来のCap遺伝子を有する。第3のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV5由来のCap遺伝子を有する。第4のプラスミドは、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、アルツハイマー病を処置するための神経成長因子(NGF)に対するヌクレオチド配列をコードする。4つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV4およびAAV5)を利用してアルツハイマー病に関連する中枢神経系組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、アルツハイマー病を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、アルツハイマー病を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV4またはAAV5のみからなるウイルスベクターよりも関連する中枢神経系組織に対して高い特異性を有する。
【0412】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV4由来のVP2およびAAV5由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、カナバン病を処置するための2つのITR間に挿入されたAACに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV2、AAV4およびAAV5)を利用してカナバン病に関連する中枢神経系組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、カナバン病を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、カナバン病を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV2、AAV4またはAAV5のみからなるウイルスベクターよりも関連する中枢神経系組織に対して高い特異性を有する。
【0413】
2以上の異なるAAV血清型由来のVP1/VP2/VP3を用いた心臓の疾患の処置
一実験において、2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびAAV6由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、心疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して心臓の疾患に関連する心臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、心疾患を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、心疾患を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV6のみからなるウイルスベクターよりも関連する心臓組織に対して高い特異性を有する。
【0414】
さらなる実験では、2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、心疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して心臓の疾患に関連する心臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。実際に、心疾患を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連する心臓組織に対して高い特異性を有する。
【0415】
一実験において、3つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV6由来のCap遺伝子を有する。第3のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する。第4のプラスミドは、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。4つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV6、およびAAV9)を利用して心疾患に関連する心臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、心疾患を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、心疾患を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV6またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連する心臓組織に対して高い特異性を有する。
【0416】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV3由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。2つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV2、AAV3およびAAV9)を利用して心疾患に関連する心臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、心疾患を処置するためのヌクレオチド配列をコードする。実際に、心疾患を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV2、AAV3またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連する心臓組織に対して高い特異性を有する。
【0417】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV6由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3およびAAV6)を利用して心疾患に関連する心臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、心疾患を処置するためのヌクレオチド配列をコードする。実際に、心疾患を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV6のみからなるウイルスベクターよりも関連する心臓組織に対して高い特異性を有する。
【0418】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する。2つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV6、およびAAV9)を利用して心疾患に関連する心臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、心疾患を処置するためのヌクレオチド配列をコードする。実際に、心疾患を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV6またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連する心臓組織に対して高い特異性を有する。
【0419】
2以上の異なるAAV血清型由来のVP1/VP2/VP3を用いた肺の疾患の処置
一実験において、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV9由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、2つのITR間に挿入された嚢胞性線維症を処置するためのCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して嚢胞性線維症に関連する肺組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、嚢胞性線維症を処置するためのCFTRに対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、嚢胞性線維症を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0420】
一実験において、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV10由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、2つのITR間に挿入された嚢胞性線維症を処置するためのCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して嚢胞性線維症に関連する肺組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、嚢胞性線維症を処置するためのCFTRに対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、嚢胞性線維症を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV10のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0421】
一実験において、3つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する。第3のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV10由来のCap遺伝子を有する。第4のプラスミドは、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、嚢胞性線維症を処置するためのCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする。4つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV9およびAAV10)を利用して嚢胞性線維症に関連する肺組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、嚢胞性線維症を処置するためのCFTRに対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、嚢胞性線維症を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV9またはAAV10のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0422】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、嚢胞性線維症を処置するための2つのITR間に挿入されたCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV2およびAAV9)を利用して嚢胞性線維症に関連する中枢神経系組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、嚢胞性線維症を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、嚢胞性線維症を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0423】
さらなる実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV10由来のVP2およびAAV10由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、嚢胞性線維症を処置するための2つのITR間に挿入されたCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3およびAAV10)を利用して嚢胞性線維症に関連する中枢神経系組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、嚢胞性線維症を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、嚢胞性線維症を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV10のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0424】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV10由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、嚢胞性線維症を処置するための2つのITR間に挿入されたCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV2、AAV9およびAAV10)を利用してカナバン病に関連する中枢神経系組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、嚢胞性線維症を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、嚢胞性線維症を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV2、AAV9またはAAV10のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0425】
2以上の異なるAAV血清型由来のVP1/VP2/VP3を用いた骨格筋の疾患の処置
以下の実験について、骨格筋疾患は、限定されないが、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肢帯型筋ジストロフィー、脳性麻痺、重症筋無力症および筋萎縮性側索硬化症(ALS)であることができる。
【0426】
一実験において、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV8由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、2つのITR間に挿入された骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して骨格筋の疾患に関連する骨格筋に対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、骨格筋疾患を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV8のみからなるウイルスベクターよりも関連する骨格筋組織に対して高い特異性を有する。
【0427】
一実験において、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV9由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、2つのITR間に挿入された骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して骨格筋の疾患に関連する骨格筋に対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、骨格筋疾患を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連する骨格筋組織に対して高い特異性を有する。
【0428】
一実験において、3つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV8由来のCap遺伝子を有する。第3のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する。第4のプラスミドは、2つのITR間に挿入された骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする。4つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV8およびAAV9)を利用して骨格筋の疾患に関連する骨格筋に対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、骨格筋疾患を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV8またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0429】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3およびAAV9)を利用して骨格筋疾患に関連する骨格筋組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、骨格筋疾患を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連する骨格筋組織に対して高い特異性を有する。
【0430】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV8由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3およびAAV8)を利用して骨格筋疾患に関連する骨格筋組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、骨格筋疾患を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV8のみからなるウイルスベクターよりも関連する骨格筋組織に対して高い特異性を有する。
【0431】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV8およびAAV9)を利用して骨格筋疾患に関連する骨格筋組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、骨格筋疾患を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV8またはAAV9のみからなるウイルスベクターよりも関連する骨格筋組織に対して高い特異性を有する。
【0432】
2以上の異なるAAV血清型由来のVP1/VP2/VP3を用いた肝臓の疾患の処置
一実験において、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV6由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのIX因子(FIX)に対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して血友病Bに関連するFIXに対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Bを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV6のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0433】
一実験において、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV7由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのIX因子(FIX)に対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して血友病Bに関連するFIXに対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Bを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV7のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0434】
一実験において、3つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV6由来のCap遺伝子を有する。第3のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV7由来のCap遺伝子を有する。第4のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのIX因子(FIX)に対するヌクレオチド配列をコードする。4つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV6およびAAV7)を利用して血友病Bに関連する肝臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、血友病Bを処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Bを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV6またはAAV7のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0435】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV6由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのFIXに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV2およびAAV6)を利用して血友病Bに関連する肝臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、血友病Bを処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Bを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV6のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0436】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV7由来のVP2およびAAV7由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのFIXに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3およびAAV7)を利用して血友病Bに関連する肝臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、血友病Bを処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Bを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV7のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0437】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV7由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのFIXに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV6およびAAV7)を利用して血友病Bに関連する肝臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、血友病Bを処置するためのヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Bを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV6またはAAV7のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0438】
一実験において、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV6由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Aを処置するためのVIII因子(FVIII)に対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して血友病Aに関連するFVIIIに対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Aを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV6のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0439】
一実験において、この場合も同様に2つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRepおよびAAV7由来のCap遺伝子を有する。第3のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Aを処置するためのFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型を利用して血友病Aに関連するFVIIIに対する特異性を部分的に増加させることによって、骨格筋の疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Aを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV7のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0440】
一実験において、3つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。第1のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有し、そして、第2のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV6由来のCap遺伝子を有する。第3のヘルパープラスミドは、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV7由来のCap遺伝子を有する。第4のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Aを処置するためのFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする。4つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV6およびAAV7)を利用して血友病Bに関連する肝臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、血友病Aを処置するためのFVIIIタンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Aを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV6またはAAV7のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0441】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV6由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV2およびAAV6)を利用して血友病Aに関連する肝臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、血友病Aを処置するためのFVIIIに対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Aを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV2またはAAV6のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0442】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV7由来のVP2およびAAV7由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Aを処置するためのFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3およびAAV7)を利用して血友病Bに関連する肝臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、血友病Aを処置するためのFVIIIに対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Aを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたハプロイドウイルスは、AAV3またはAAV7のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0443】
別の実験では、1つのヘルパープラスミドを使用するが、Rep遺伝子およびCap遺伝子の供給源としてのAAV血清型が異なる。ヘルパープラスミドは、AAV2由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV7由来のVP3を有する。第2のプラスミドは、2つのITR間に挿入された血友病Aを処置するためのFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする。2つのプラスミドから生成されたトリプロイドAAVは、本発明の方法に従ってVP1、VP2、およびVP3をコードするタンパク質を供給する複数のAAV血清型(例えば、AAV3、AAV6およびAAV7)を利用して血友病Aに関連する肝臓組織に対する特異性を部分的に増加させることによって、血友病Bを処置するためのFVIIIに対するヌクレオチド配列を含有する。実際に、血友病Aを患っている患者の肝臓組織を処置するためにこの方法によって作製されたトリプロイドウイルスは、AAV3、AAV6またはAAV7のみからなるウイルスベクターよりも関連組織に対して高い特異性を有する。
【0444】
実施例6:パーキンソン病の疾患処置を処置するための本発明のAAVの使用
パーキンソン病を患っている45歳の男性患者を、AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド、ならびに、AAV2由来のRep遺伝子およびAAV4由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド、ならびに、グルタミン酸デカルボキシラーゼ65(GAD65)および/またはグルタミン酸デカルボキシラーゼ67(GAD67)に対するヌクレオチド配列をコードし、そのヌクレオチド配列が2つのITR間に挿入された第3のプラスミドを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)から生成されたAAVで処置する。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、パーキンソン病を処置するためのGAD65および/またはGAD67タンパク質に対するヌクレオチド配列を含有する。AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、振戦の頻度の低減および患者の平衡の改善を示す。時間と共に患者はまた、患者がAAVの投与前に患っていた幻覚および妄想の数および重症度の低減を経験する。
【0445】
バッテン病の処置
バッテン病を患っている8歳の男性患者を、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド、ならびに、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV5由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミドを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)から生成されたAAVで処置する。第3のプラスミドは、バッテン病を処置するためのCLN2に対するヌクレオチド配列をコードし、ここで、CLN2遺伝子は、2つのITR間に挿入されている。3つのプラスミドから生成されたハプロイドAAVは、バッテン病を処置するためのヌクレオチド配列を含有する。AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、精神の鋭敏さの増加を示す。加えて、患者は、患者がAAVの投与前に患っていた発作の低減ならびに徴候および運動技能の改善を経験する。
【0446】
アルツハイマー病の処置
アルツハイマー病を患っている73歳の女性患者を、AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV4由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、AAV3由来のRep遺伝子およびAAV5由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミドを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)から生成されたAAVで処置する。第4のプラスミドは、アルツハイマー病を処置するための神経成長因子(NGF)に対するヌクレオチド配列をコードし、ここで、NGFは、2つのITR間に挿入されている。トリプロイドAAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、精神の鋭敏さおよび短期記憶の増加を示す。患者はまた、AAVの投与前よりも、他者とより良好に意思疎通することができ、より独力で動作し始める。
【0447】
心疾患の処置
心疾患を患っている63歳の男性患者を、以下のいずれかを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)から生成されたAAVで処置する:
(1)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV2由来のRep遺伝子およびAAV6由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、心疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(2)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、心疾患を処置するためのタンパク質に対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(3)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV6由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミド;ならびに、第3のプラスミドに含有されかつ2つのITR間に挿入された、心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する第4のプラスミド;
(4)AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV3由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する第2のプラスミド;
(5)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV6由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する第2のプラスミド;または
(6)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された心疾患を処置するためのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含有する第2のプラスミド。
ここで、ポリプロイド性AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、心疾患に関連する症状の低減を示し、患者の心臓健康の同等の改善を示す。
【0448】
嚢胞性線維症の処置
嚢胞性線維症を患っている19歳の女性を、以下のいずれかを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)から生成されたAAVで処置する:
(1)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRepおよびAAV10由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(2)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV10由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする第4のプラスミド;
(3)AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;
(4)AAV3由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV10由来のVP2およびAAV10由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;または
(7)AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV10由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたCFTRに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド。
ここで、AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、患者の肺への損傷の増加の遅延;肺機能の喪失の増加の低減ならびに肝臓が損傷する速度の低減および肝硬変の重症度の増加の減速を示す。同じ患者はまた、患者が苦しみ始めていた嚢胞性線維症関連糖尿病の重症度の低減を経験する。
【0449】
骨格筋疾患-筋萎縮性側索硬化症(ALS)の処置
筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患っている33歳の男性を、以下のいずれかを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)から生成されたAAVで処置する:
(1)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV2由来のRepおよびAAV8由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたスーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)に対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(2)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRepおよびAAV9由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたSOD1に対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(3)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV8由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたSOD1に対するヌクレオチド配列をコードする第4のプラスミド;
(4)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたSOD1に対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;
(5)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV8由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたSOD1に対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;または
(6)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたSOD1に対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド。
ここで、AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、脳および脊髄における運動ニューロンへの損傷の進行の減速または停止ならびに患者の脳と筋肉との間の伝達の維持を含む、ALSに関連する症状の低減を示す。
【0450】
デュシェンヌ型筋ジストロフィーの処置
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)を患っている5歳の男性を、以下のいずれかを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株から生成されたAAVで処置する:
(1)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV2由来のRepおよびAAV8由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたジストロフィンに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(2)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRepおよびAAV9由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたジストロフィンに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(3)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV8由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたジストロフィンに対するヌクレオチド配列をコードする第4のプラスミド;
(4)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたジストロフィンに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;
(5)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV8由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたジストロフィンに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;または
(6)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたジストロフィンに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド。
ここで、AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、患者の骨格筋への損傷および消耗の増加の遅延、ならびにデュシェンヌ型筋ジストロフィーの結果としての心臓および肺が受ける損傷の遅延または停止を示す。
【0451】
重症筋無力症の処置
重症筋無力症(MG)を患っている33歳の女性を、以下のいずれかを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株から生成されたAAVで処置する:
(1)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV2由来のRepおよびAAV8由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、患者がもはやMGを患わないような遺伝子に対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(2)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRepおよびAAV9由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、患者がもはやMGを患わないような遺伝子をコードする第3のプラスミド;
(3)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV8由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、患者がもはやMGを患わないような遺伝子をコードする第4のプラスミド;
(4)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、患者がもはやMGを患わないような遺伝子をコードする第2のプラスミド;
(5)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV8由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、患者がもはやMGを患わないような遺伝子をコードする第2のプラスミド;または
(6)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、患者がもはやMGを患わないような遺伝子をコードする第2のプラスミド。
ここで、AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、患者の身体の筋肉と神経との間の伝達の断絶の増加の減速を示し、その結果、筋肉制御の喪失の重症度の減速または停止をもたらす。AAVの投与後、患者の運動機能は安定し、もはや悪化することなく、また患者の呼吸もAAVの投与後悪化しない。
【0452】
肢帯型筋ジストロフィーの処置
肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)を患っている13歳の男性を、以下のいずれかを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株から生成されたAAVで処置する:
(1)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV2由来のRepおよびAAV8由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、ミオチリン、テレトニン、カルパイン-3、アルファ-サルコグリカンおよびベータ-サルコグリカンを非限定的に含むLGMDに関連する変異を有する15の遺伝子の1つに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(2)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRepおよびAAV9由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、ミオチリン、テレトニン、カルパイン-3、アルファ-サルコグリカンおよびベータ-サルコグリカンを非限定的に含むLGMDに関連する変異を有する15の遺伝子の1つに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(3)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV8由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV9由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、ミオチリン、テレトニン、カルパイン-3、アルファ-サルコグリカンおよびベータ-サルコグリカンを非限定的に含むLGMDに関連する変異を有する15の遺伝子の1つに対するヌクレオチド配列をコードする第4のプラスミド;
(4)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV9由来のVP2およびAAV9由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、ミオチリン、テレトニン、カルパイン-3、アルファ-サルコグリカンおよびベータ-サルコグリカンを非限定的に含むLGMDに関連する変異を有する15の遺伝子の1つに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;
(5)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV8由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、ミオチリン、テレトニン、カルパイン-3、アルファ-サルコグリカンおよびベータ-サルコグリカンを非限定的に含むLGMDに関連する変異を有する15の遺伝子の1つに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;または
(6)AAV3由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV8由来のVP2およびAAV由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された、ミオチリン、テレトニン、カルパイン-3、アルファ-サルコグリカンおよびベータ-サルコグリカンを非限定的に含むLGMDに関連する変異を有する15の遺伝子の1つに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド。
ここで、LGMDに関連する15の異なる遺伝子の1つを各々コードする1以上のAAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、追加の筋肉の消耗および萎縮の遅延または停止を示す。
【0453】
肝臓の疾患-血友病Bの処置
IX因子(FIX)の欠損から生じる血友病Bを患っている9歳の男性を、以下のいずれかを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株から生成されたAAVで処置する:
(1)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV2由来のRepおよびAAV6由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのFIXに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(2)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRepおよびAAV7由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入された血友病Bを処置するためのFIXに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(3)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV6由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV7由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたFIXに対するヌクレオチド配列をコードする第4のプラスミド;
(4)AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV6由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたFIXに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;
(5)AAV2由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV7由来のVP2およびAAV7由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたFIXに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;または
(6)AAV2由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV7'由来のVP3を有するヘルパープラスミド、ならびに2つのITR間に挿入されたFIXに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド。
ここで、AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、出血エピソードの低減を含む血友病Bの重症度の低減を示す。
【0454】
血友病Aの処置
VIII因子(FVIII)の欠損から生じる血友病Aを患っている8歳の男性を、以下のいずれかを含有する、細胞株、例えば、ATCC No. PTA 13274のHEK293単離細胞株から生成されたAAVで処置する:
(1)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV2由来のRepおよびAAV6由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(2)AAV2由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRepおよびAAV7由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする第3のプラスミド;
(3)AAV3由来のRep遺伝子およびCap遺伝子を有する第1のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV6由来のCap遺伝子を有する第2のヘルパープラスミド;AAV3由来のRep遺伝子およびAAV7由来のCap遺伝子を有する第3のヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする第4のプラスミド;
(4)AAV2由来のRepおよびAAV2由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV6由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;
(5)AAV2由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV7由来のVP2およびAAV7由来のVP3を有するヘルパープラスミド;ならびに、2つのITR間に挿入されたFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド;または
(6)AAV2由来のRepおよびAAV3由来のVP1、AAV6由来のVP2およびAAV7'由来のVP3を有するヘルパープラスミド、ならびに2つのITR間に挿入されたFVIIIに対するヌクレオチド配列をコードする第2のプラスミド。
ここで、AAVが患者に投与され、投与の直後に患者は、出血エピソードの低減を含む血友病Aの重症度の低減を示す。
【0455】
実施例7.2つの異なる血清型および開始コドンの変異からのハプロイドカプシドの作製
この実施例では、ポリプロイド性AAVビリオンを2つの異なる血清型のカプシドからアセンブルする。ヘルパープラスミドが2つの異なる血清型由来のVP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質に対する核酸配列を含むように、第1のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3に対するヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションし、そして、第2のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3に対するヌクレオチド配列を同じまたは異なるヘルパープラスミドにライゲーションする。VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質をコードする第1および第2の血清型ヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションする前またはライゲーションした後のいずれかに、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を提供するようにカプシドヌクレオチド配列を変更する。この実施例では、
図7に示される通り、第1の血清型のVP1ヌクレオチド配列は、VP2およびVP3カプシドタンパク質に対する開始コドンを変異させることによって変更されている。この実施例では、VP2のACG開始部位およびVP3の3つのATG開始部位を、これらのコドンが、第1の血清型由来のVP2およびVP3カプシドタンパク質のヌクレオチド配列から転写されるRNAの翻訳を開始できないように変異させる。同様に、
図8に示される通り、VP1のATG開始部位を、このコドンが、VP1をコードするRNAの翻訳を開始できないが、VP2およびVP3の両方に対しては翻訳を開始できるように、第2の血清型のカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列で変異させる。したがって、この実施例では、第1の血清型にのみ由来するVP1を含むがVP2もVP3も含まず、第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含むがVP1を含まない、ポリポイドAAVビリオンを作製する。
【0456】
開始コドンの変異を通じてポリプロイド性AAVビリオンを作製するこの技法の適用において、
図19に示されるプラスミドから転写されるRNAからVP1のみが翻訳されるように、AAV2のVP2およびVP3の開始コドンを
図19に強調して示す通り変異させた。この技法のさらなる適用において、
図19に示されるプラスミドから転写されるRNAからVP1ではなくVP2およびVP3が翻訳されるように、AAV2のVP1の開始コドンを
図18に強調して示す通り変異させた。したがって、開始コドンの変異は、VP1、VP2、およびVP3の1つまたは複数の発現をノックアウトする方法を提供する。
【0457】
実施例8.2つの異なる血清型および開始コドンの変異からのハプロイドカプシドの作製
この実施例では、ポリプロイド性AAVビリオンを2つの異なる血清型のカプシドからアセンブルする。ヘルパープラスミドが2つの異なる血清型由来のVP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質を含むように、第1のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3に対するヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションし、そして、第2のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3を同じまたは異なるヘルパープラスミドにライゲーションする。VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質をコードする第1および第2の血清型ヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションする前またはライゲーションした後のいずれかに、第1の血清型にのみ由来するVP1およびVP3ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2を提供するようにカプシドヌクレオチド配列を変更する。この実施例では、VP2のACG開始部位を、このコドンが、第1の血清型由来のVP2カプシドタンパク質のヌクレオチド配列から転写されるRNAの翻訳を開始できないように変異させる。同様に、VP1およびVP3のATG開始部位を、これらのコドンが、VP1およびVP3をコードするRNAの翻訳を開始できないが、両方のVP2に対しては翻訳を開始できるように、第2の血清型のカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列で変異させる。したがって、この実施例では、第1の血清型にのみ由来するVP1およびVP3を含むがVP2を含まず、第2の血清型にのみ由来するVP2を含むがVP1およびVP3を含まない、ポリポイドAAVビリオンを作製する。
【0458】
開始コドンの変異を通じてポリプロイド性AAVビリオンを作製するこの技法の適用において、
図20に示されるプラスミドから転写されるRNAからVP1およびVP3が翻訳されるように、AAV2のVP2の開始コドンを
図20に強調して示す通り変異させた。したがって、開始コドンの変異は、VP1、VP2、およびVP3の1つまたは複数の発現をノックアウトする方法を提供する。
【0459】
実施例9.2つの異なる血清型およびスプライスアクセプター部位の変異からのハプロイドカプシドの作製
この実施例では、ポリプロイド性AAVビリオンを2つの異なる血清型のカプシドからアセンブルする。ヘルパープラスミドが2つの異なる血清型由来のVP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質を含むように、第1のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3に対するヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションし、そして、第2のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3を同じまたは異なるヘルパープラスミドにライゲーションする。VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質をコードする第1および第2の血清型ヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションする前またはライゲーションした後のいずれかに、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を提供するようにカプシドヌクレオチド配列を変更する。この実施例では、
図9に示される通り、第1の血清型のヌクレオチド配列は、A2スプライスアクセプター部位を変異させることによって変更されている。この実施例では、A2スプライスアクセプター部位を変異させることによって、第1の血清型由来のVP2およびVP3カプシドタンパク質は生産されない。同様に、
図10に示される通り、A1スプライスアクセプター部位を変異させることによって、第2の血清型由来のVP1カプシドタンパク質は生産されない一方で、VP2およびVP3カプシドタンパク質が生産される。したがって、この実施例では、第1の血清型にのみ由来するVP1を含むがVP2もVP3も含まず、第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含むがVP1を含まない、ポリポイドAAVビリオンを作製する。
【0460】
実施例10.2つの異なる血清型ならびに開始コドンおよびスプライスアクセプター部位の変異からのハプロイドカプシドの作製
この実施例では、ポリプロイド性AAVビリオンを2つの異なる血清型のカプシドからアセンブルする。ヘルパープラスミドが2つの異なる血清型由来のVP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質を含むように、第1のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3に対するヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションし、そして、第2のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3を同じまたは異なるプラスミドにライゲーションする。VP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質をコードする第1および第2の血清型ヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションする前またはライゲーションした後のいずれかに、第1の血清型にのみ由来するVP1ならびに第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を提供するようにカプシドヌクレオチド配列を変更する。この実施例では、
図11に示される通り、第1の血清型のヌクレオチド配列は、VP2およびVP3カプシドタンパク質に対する開始コドンを変異させ、A2スプライスアクセプター部位を変異させることによって変更されている。この実施例では、VP2のACG開始部位およびVP3の3つのATG開始部位をA2スプライスアクセプター部位と一緒に変異させる。結果として、第1の血清型のVP1カプシドタンパク質のみが生産される。第1の血清型由来のVP2カプシドタンパク質もVP3カプシドタンパク質も生産されない。同様に、
図12に示される通り、VP1のATG開始部位をA1スプライスアクセプター部位と一緒に変異させる。結果として、第2の血清型のVP2およびVP3カプシドタンパク質のみが生産される。第2の血清型由来のVP1カプシドタンパク質は生産されない。したがって、この実施例では、第1の血清型にのみ由来するVP1を含むがVP2もVP3も含まず、第2の血清型にのみ由来するVP2およびVP3を含むがVP1を含まないポリポイドAAVビリオンを生産する。
【0461】
実施例11.2つのプラスミドを使用した2つの異なる血清型からのハプロイドカプシドの作製
この実施例では、AAV5由来のVP1およびAAV9由来のVP2/VP3を含むハプロイドAAVビリオンを、2つのプラスミドを使用して作製する。
図13に示される通り、プラスミド骨格をAd初期遺伝子およびRep(例えば、AAV2由来)と一緒に含むヘルパープラスミドを作製する。このヘルパープラスミドに、AAV5にのみ由来するカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列およびAAV9にのみ由来するカプシドタンパク質をコードする別個のヌクレオチド配列がライゲーションされている。AAV5のカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関して、このヌクレオチド配列は、翻訳を妨げるように変異されたVP2/VP3に対する開始コドンを有しており、かつ/または、A2スプライスアクセプター部位は、スプライシングを妨げるように変異されている。AAV9のカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関して、このヌクレオチド配列は、翻訳を妨げるように変異されたVP1に対する開始コドンを有しており、かつ/または、A1スプライスアクセプター部位は、スプライシングを妨げるように変異されている。ヘルパープラスミドを、2つのITRを有する導入遺伝子をコードするプラスミドと一緒に、ATCC No. PTA 13274のHEK293細胞株にトランスフェクションする(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)。ウイルスを上清から精製して、特徴付ける。
図13に示される通り、ウイルスカプシドは、
図13の下に示されるビリオンに見られるように、AA9のVP2/VP3(明灰色で示される)およびAAV5のVP1(暗灰色で示される)を含む。
【0462】
実施例12.3つのプラスミドを使用した2つの異なる血清型からのハプロイドカプシドの作製
この実施例では、AAV5由来のVP1およびAAV9由来のVP2/VP3を含むハプロイドAAVビリオンを、3つのプラスミドを使用して作製する。
図14に示される通り、Ad初期遺伝子を含む第1のヘルパープラスミドを作製する。プラスミド骨格をRep(例えば、AAV2)と一緒に含む第2のヘルパープラスミドを作製する。この第2のヘルパープラスミドに、AAV5にのみ由来するカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列およびAAV9にのみ由来するカプシドタンパク質をコードする別個のヌクレオチド配列がライゲーションされている。AAV5のカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関して、このヌクレオチド配列は、翻訳を妨げるように変異されたVP2/VP3に対する開始コドンを有しており、かつ/または、A2スプライスアクセプター部位は、スプライシングを妨げるように変異されている。AAV9のカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関して、このヌクレオチド配列は、翻訳を妨げるように変異されたVP1に対する開始コドンを有しており、かつ/または、A1スプライスアクセプター部位は、スプライシングを妨げるように変異されている。ヘルパープラスミドを、2つのITRを有する導入遺伝子をコードするプラスミドと一緒に、ATCC No. PTA 13274のHEK293細胞株にトランスフェクションする(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)。ウイルスを上清から精製して、特徴付ける。
図14に示される通り、ウイルスカプシドは、
図13の下に示されるビリオンに見られるように、AAV9のVP2/VP3(明灰色で示される)およびAAV5のVP1(暗灰色で示される)を含む。
【0463】
実施例13.4つのプラスミドを使用した2つの異なる血清型からのハプロイドカプシドの作製
この実施例では、AAV5由来のVP1およびAAV9由来のVP2/VP3を含むハプロイドAAVビリオンを、4つのプラスミドを使用して作製する。
図15に示される通り、Ad初期遺伝子を含む第1のヘルパープラスミドを作製する。プラスミド骨格をRep(例えば、AAV2)と一緒に含む第2のヘルパープラスミドを作製する。この第2のヘルパープラスミドに、AAV5にのみ由来するカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列がライゲーションされている。プラスミド骨格をRepと一緒に含む第3のヘルパープラスミドを作製する。この第3のヘルパープラスミドに、AAV9にのみ由来するカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列がライゲーションされている。第4のプラスミドは、導入遺伝子および2つのITRを含む。AAV5のカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関して、このヌクレオチド配列は、翻訳を妨げるように変異されたVP2/VP3に対する開始コドンを有しており、かつ/または、A2スプライスアクセプター部位は、スプライシングを妨げるように変異されている。AAV9のカプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列に関して、このヌクレオチド配列は、翻訳を妨げるように変異されたVP1に対する開始コドンを有しており、かつ/または、A1スプライスアクセプター部位は、スプライシングを妨げるように変異されている。ヘルパープラスミドを、2つのITRを有する導入遺伝子をコードするプラスミドと一緒に、ATCC No. PTA 13274のHEK293細胞株にトランスフェクションする(例えば、米国特許第9,441,206号を参照のこと)。ウイルスを上清から精製して、特徴付ける。
図14に示される通り、ウイルスカプシドは、
図13の下に示されるビリオンに見られるように、AA9のVP2/VP3(明灰色で示される)およびAAV5のVP1(暗灰色で示される)を含む。
【0464】
実施例14.3つの異なる血清型および開始コドンの変異からのハプロイドカプシドの作製
この実施例では、ポリプロイド性AAVビリオンを3つの異なる血清型のカプシドからアセンブルする。ヘルパープラスミドが3つの異なる血清型由来のVP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質に対する核酸配列を含むように、第1のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3、第2のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3ならびに第3のAAV血清型にのみ由来するVP1、VP2、およびVP3に対するヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションすることで、ヘルパープラスミドを構築する。3つの異なる血清型の各々由来のVP1、VP2、およびVP3カプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションする前またはライゲーションした後のいずれかに、第1の血清型にのみ由来するVP1、第2の血清型にのみ由来するVP2および第3の血清型にのみ由来するVP3を提供するようにカプシドヌクレオチド配列を変更する。この実施例では、第1の血清型のVP1ヌクレオチド配列は、VP2およびVP3カプシドタンパク質に対する開始コドンを変異させることによって変更されている。この実施例では、VP2のACG開始コドンおよびVP3の3つのATG開始コドンを、これらのコドンが、第1の血清型由来のVP2およびVP3カプシドタンパク質のヌクレオチド配列から転写されるRNAの翻訳を開始できないように変異させる。同様に、第2の血清型のVP1およびVP3ヌクレオチド配列は、VP1およびVP3カプシドタンパク質に対する開始コドンを変異させることによって変更されている。この実施例では、VP1のATG開始部位およびVP3の3つのATG開始コドンを、これらのコドンが、VP1およびVP3カプシドタンパク質のヌクレオチド配列から転写されるRNAの翻訳を開始できないように変異させる。さらに、第3の血清型のVP1およびVP2ヌクレオチド配列は、VP1およびVP2カプシドタンパク質に対する開始コドンを変異させることによって変更されている。この実施例では、VP1のATG開始コドンおよびVP2のACG開始コドンを、これらのコドンが、VP1およびVP2カプシドタンパク質のヌクレオチド配列から転写されるRNAの翻訳を開始できないように変異させる。したがって、この実施例では、第1の血清型にのみ由来するVP1を含むがVP2もVP3も含まず;第2の血清型にのみ由来するVP2を含むがVP1もVP2も含まず;第3の血清型にのみ由来するVP3を含むがVP1もVP2も含まない、ポリポイドAAVビリオンを作製する。
【0465】
実施例15.DNAシャッフリングを使用した2つの異なる血清型からのハプロイドカプシドの作製
この実験では、1つのAAV血清型にのみ由来するAAVカプシドタンパク質からおよび3つの異なるAAV血清型のDNAシャッフリングから作製された核酸から、ポリプロイド性AAVビリオンを作製する。この実施例では、AAV1、AAV2およびAAV8に対するヌクレオチドカプシドタンパク質配列を、1種または複数種の制限酵素および/またはDNaseによる処理に供し、DNAを50~100bp長のDNA断片に切断する。次いで、DNA断片の混合物を、プライマーなしのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に供する。PCRを、複数回繰り返すか、または、PCRによって作製されたDNA分子がカプシド遺伝子をコードする核酸のサイズに達するまで繰り返す。この時点で、制限酵素認識部位に対する配列を含むプライマーを加える別ラウンドのPCRを実行して、新たに作製されたDNAのヘルパープラスミドへのライゲーションを可能にする。ヘルパープラスミドにライゲーションする前に、AAV1/2/8ヌクレオチド配列を配列決定し、この配列から転写されるRNAからのVP2およびVP3カプシドタンパク質の翻訳を開始できるヌクレオチド配列内の任意の開始コドンを、翻訳を妨げるように変異させる。この様にして、AAV1/2/8は、VP1のみ生産することができ、そして、AAV1/2/8ヌクレオチド配列をヘルパープラスミドにライゲーションする。この実験では、AAV9のカプシドタンパク質(VP1、VP2、およびVP3)をコードするヌクレオチド配列も、同じまたは異なるヘルパープラスミドにライゲーションする。DNAシャッフリングによって作製されたAAV1/2/8ヌクレオチド配列由来のVP1ならびにAAV9にのみ由来するVP2およびVP3を有するポリプロイド性AAVビリオンを作製するために、AAV9のVP1のATG開始コドンを、VP1をコードするRNAから翻訳できないように変異させる。したがって、この実施例では、AAV1/2/8のカプシドタンパク質ヌクレオチド配列をDNAシャッフリングすることによって作製されたヌクレオチド配列由来のVP1を含むがVP2もVP3も含まず、AAV9にのみ由来するVP2およびVP3を含むがVP1を含まない、ポリポイドAAVビリオンを作製する。
【0466】
DNAシャッフリングの一例が
図16に示され、これは、8つのAAV血清型由来のVP1、VP2、およびVP3をコードする核酸から開始し、核酸をまずDNase I断片化を通じて処理し、その後、8つのAAV由来の核酸の様々な断片をアセンブルおよび増幅する。AAVカプシドタンパク質をコードするDNAシャッフルされた核酸が生成され、これが次いで、カプシドのライブラリーを作製するように発現される。次いで、これらのカプシドを動物に対して試験して、特異的な組織向性および/または低減された免疫原性を示すカプシドをスクリーニングし、有望であるものをさらなる開発に選択する(
図16)。
【0467】
実施例16.ハプロイドベクターH-AAV829の肝臓形質導入
3つのAAVを用いて実験を実行した。
図22Aでは、AAVカプシドサブユニットの組成を示す。AAV8由来のVP1のみのアミノ酸とAAV2由来のVP2およびVP3をコードするアミノ酸を組み合わせたハイブリッドAAV(AAV82)を示す。2つのプラスミド(一方はVP1およびVP2をコードし、別のものはVP3をコードする)のHEK293細胞への共トランスフェクションから、2つのハプロイドAAVウイルスを生産した。3つのAAVであるAAV82、28m-2vp3およびH-AAV82を、親のAAV2対照と一緒に、C57BL6マウスに後眼窩静脈を介して3×10
10粒子の用量で注射した(
図22B)。1週間後に撮像を実施した(
図22B)。5匹のマウスの平均および標準偏差を示したデータに基づいて肝臓形質導入を定量した(
図22C)。
【0468】
実施例17.ハプロイドベクターH-AAV82の筋肉形質導入
次に、実施例23からの3つのAAV(AAV82、H-AAV82および28m-vp3)をマウスの後肢の筋肉に1×10
9のAAV/luc粒子の用量で注射した。注射後3週目に、
図23Aに見られるように3分間撮像した。撮像を仰向けで実行した:左脚-AAV82、H-AAV82または28m-vp3および右脚-AAV2親AAV。
図23Bは、筋肉注射後の4匹のマウスのデータを提供し、親AAV2に対するAAV82、H-AAV82または28m-vp3からの形質導入によって形質導入の増加倍率を算出した。
【0469】
実施例18.ハプロイドベクターH-AAV92の肝臓形質導入
この実験では、VP1およびVP2がAAV9にのみ由来し、VP3がAAV3にのみ由来するハプロイドAAV92を作製する(
図24A)。2つのプラスミド(一方はAAV9 VP1およびVP2をコードし、別のものはAAV2 VP3をコードする)のHEK293細胞への共トランスフェクションから、H-AAV92を生産した。H-AAV92および親AAV2を、C57BL6マウスに後眼窩静脈を介して3×10
10粒子の用量で注射した(
図24B)。1週間後に撮像を実施した(
図24B)。5匹のマウスの平均および標準偏差を示したデータに基づいて肝臓形質導入を定量した(
図24C)。
【0470】
実施例19.ハプロイドベクターH-AAV82G9の肝臓形質導入
この実験では、VP1およびVP2がAAV8にのみ由来し、VP3がAAV2G9にのみ由来するハプロイドAAV82G9を作製する(
図25A)。2つのプラスミド(一方はAAV8 VP1およびVP2をコードし、別のものはAAV2G9 VP3をコードする)のHEK293細胞への共トランスフェクションから、H-AAV82G9を生産した。H-AAV82G9およびAAV2G9を、C57BL6マウスに後眼窩静脈を介して3×10
10粒子の用量で注射した(
図25B)。1週間後に撮像を実施した(
図25B)。5匹のマウスの平均および標準偏差を示したデータに基づいて肝臓形質導入を定量した(
図25C)。
【0471】
最後に、本明細書の局面は、具体的な態様を参照することによって明らかにされるが、当業者であれば、これらの開示された態様が本明細書に開示される主題の原理を単に例証したものにすぎないことを容易に認識することを理解すべきである。それ故、開示される主題は、本明細書に記載の特定の方法論、プロトコルおよび/または試薬などに決して限定されるものではないことを理解すべきである。そういう意味で、本明細書の精神から逸脱することなく、本明細書の教示に従って、開示される主題に対する様々な修正もしくは変更またはその代替構成を施すことができる。最後に、本明細書において使用される専門用語は、特定の態様を説明することを目的としているにすぎず、特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図したものではない。したがって、本発明は、まさに示されかつ説明された通りのものに、限定されるものではない。
【0472】
本発明を実施する上で本発明者らの知る最良の形態を含めた本発明の特定の態様が本明細書に記載される。当然のことながら、当業者には、前述の説明を読めば、これらの記載されている態様に対する変形が明らかになるであろう。本発明者は、当業者が必要に応じてそのような変形を用いることを予想しており、そして、本発明者は、本発明が本明細書に具体的に記載されるもの以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、準拠法によって認められる通りの、本明細書に添付される特許請求の範囲に列記される主題の全ての修正および等価物を含む。さらに、本明細書に別途指示されるかまたは文脈に矛盾することが明らかである場合を除き、上記の態様の全ての可能な変形の任意の組み合わせが本発明に包含される。
【0473】
本発明の代替的な態様、要素または工程の群分けは、限定的なものとして解釈されるべきではない。群のメンバーは各々、個別にまたは本明細書に開示される他の群のメンバーとの任意の組み合わせで、言及および特許請求され得る。利便性および/または特許性を理由に、ある群の1以上のメンバーが群に包含されても群から削除されてもよいことが予想される。このような包含または削除がある場合、本明細書は、その群を、修正されたものとして、したがって、添付の特許請求の範囲において使用されるあらゆるマーカッシュ群の記載を満たすものとして含有すると見なされる。
【0474】
別途指示のない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される、特徴、項目、量、パラメータ、特性、期間などを表す数値はいずれも、全ての場合において「約」という用語によって修飾されるものと理解されるべきである。本明細書において使用される場合、「約」という用語は、そのように条件付けされた特徴、項目、量、パラメータ、特性または期間が、記載される特徴、項目、量、パラメータ、特性または期間の値の上下±10パーセントの範囲を包含することを意味する。したがって、反対の指示のない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、変動し得る近似値である。少なくとも、かつ、請求項の範囲への等価論の適用を限定することを試みるものではないが、各数値表示は少なくとも、報告される有効桁数を考慮に入れ、通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。本発明の広い範囲を記載する数値範囲および値は近似値であるが、具体例に記載される数値範囲および値は、可能な限り正確に報告したものである。しかしながら、いかなる数値範囲も値も、本来、それぞれの試験測定にみられる標準偏差から必然的に生じるある種の誤差を含有する。本明細書における値の数値範囲の列記は、その範囲内に収まる別個の各数値に個別に言及するのを省略する方法としての役割を果たしているにすぎない。本明細書に別途指示のない限り、数値範囲の個々の各値は、それが個別に本明細書に列記された場合と同様に本明細書に組み入れられる。
【0475】
本明細書に記載の全ての方法は、本明細書に別途指示されるかまたは文脈に矛盾することが明らかである場合を除き、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供されるいずれかおよび全ての例、または例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、本発明をより良好に例証することを意図しているにすぎず、他に特許請求される本発明の範囲の限定を提起するものではない。本明細書における言語は、本発明の実施に必須のあらゆる特許請求されていない要素を示すものと解釈されるべきではない。
【0476】
本明細書に開示される具体的な態様は、特許請求の範囲において、言語「からなる」または言語「から本質的になる」を使用してさらに限定され得る。特許請求の範囲において使用されるとき、出願されたものであるか補正により追加されたものであるかにかかわらず、移行用語「からなる」は、特許請求の範囲において特定されていない任意の要素、段階または成分を排除する。移行用語「から本質的になる」は、特許請求の範囲を、特定されている材料または段階ならびに基本的なおよび新規な特徴に実質的に影響を与えないものに限定する。このように特許請求される本発明の態様は、本明細書にて本質的にまたは明示的に記載され、本明細書にて可能となる。
【0477】
本明細書において参照および特定される特許、特許公開および他の刊行物は全て、例えば、本発明と関連して使用され得るそのような刊行物に記載される組成物および方法論を記載および開示する目的で、個別にかつ明示的にその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。これらの刊行物は、単に本出願の出願日よりも前に開示されたという理由で提供されるものである。これに関して、いかなる点においても、先行発明またはその他の理由によって本発明者らがそのような開示に先行する権利がないことを認めるものと解釈されるべきではない。これらの文献の日付に関する陳述または内容に関する説明は全て、本出願者等に入手可能な情報に基づくものであり、これらの文献の日付または内容の正確さに関する承認となるものではない。
【0478】
実施例20.キメラカプシドタンパク質およびAAVハプロイドウイルスベクター形質導入
上に説明した通り、1つまたは2つのウイルスVPタンパク質だけが発現される、カプシドORFの開始コード中に変異がある、AAVヘルパープラスミドの一連の構築物を作製した。VP1/2タンパク質が2つの異なる血清型(AAV2およびAAV8)から駆動されるキメラAAVヘルパー構築物も作製した。これらの構築物を使用して、ハプロイドウイルスベクターの一群を生産し、マウスにおける形質導入有効性を評価した。AAV2のみおよびAAV3のみのベクターと比較して、血清型7、8、9およびrh10由来のVP1/VP2ならびAAV2またはAAV3由来のVP3を有するハプロイドベクターから増強された形質導入が達成されたことが見いだされた。AAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有するキメラVP1/VP2カプシドならびにAAV2由来のVP3から作製されたAAVベクターは、はるかにより高い形質導入を誘導したことがさらに示された。本明細書に提供されるデータは、AAVベクターのさらなる適用のためのAAV形質導入を増強する簡単かつ効果的な方法を示す。
【0479】
他の血清型由来のVP1/VP2およびAAV2由来のVP3を有するハプロイドベクターは、AAV肝臓形質導入を増強する
AAV8 VP1/2を発現するプラスミドおよびAAV2 VP3を発現するプラスミドを1:1の比で共トランスフェクションすることによって、ハプロイドウイルスを生産した。結果は、AAV8由来のVP1/VP2およびAAV2由来のVP3を有するハプロイドベクターAAV82が、肝臓形質導入を増加させたことを示した(
図22Bおよび22C)。
【0480】
AAV9のVP1/VP2およびAAV2のVP3を使用して、ハプロイドAAV92ベクター(H-AAV92)を生産した(
図24A)。全身投与後、1週目に撮像を実施した。AAV2の場合より約4倍高い肝臓形質導入がH-AAV92を用いて達成された(
図24Bおよび24C)。このデータは、他の血清型由来のVP1/VP2がAAV2形質導入を増加させることができることを示している。
【0481】
AAV2変異体由来のVP3を有するハプロイドベクターからの増強されたAAV肝臓形質導入
AAV9ベクターは、その効果的な形質導入のために主受容体としてグリカンを使用する。過去の研究において、AAV9グリカン受容体結合部位をAAV2カプシドに移植してAAV2G9を作製し、AAV2G9がAAV2よりも高い肝臓向性を有することが見いだされた。VP1/VP2がAAV8に由来し、VP3がAAV2G9に由来するハプロイドベクター(H-AAV82G9)が本明細書に記載される(
図25A)。マウスへの全身注射後、AAV2G9と比較して、H-AAV82G9適用後1週目および2週目の両方で10倍超のより高い肝臓形質導入が観察された(
図25Bおよび25C)。このデータは、他の血清型由来のVP1/VP2をAAV2変異体VP3に統合することで肝臓形質導入を増加させることができたことを示している。
【0482】
AAV3由来のVP3を有するハプロイドベクターからの増強されたAAV肝臓形質導入
VP3が他の血清型に由来し、VP1/VP2が異なる血清型またはバリアントに由来するハプロイドベクターであって、開始コードが変異され、AAV3 VP3のみまたはAAV rh10 VP1/VP2のみを発現するようにVPタンパク質構築物が作製された、ハプロイドベクター。異なるハプロイドH-AAV83(AAV8由来のVP1/VP2およびAAV3由来のVP3)、H-AAV93(AAV9由来のVP1/VP2およびAAV3由来のVP3)およびH-AAVrh10-3(AAV rh10由来のVP1/VP2およびAAV3由来のVP3)ベクターを生産し(
図26A)、マウスに全身投与を介して注射した。1週目に撮像を行った。
図26Bおよび26Cに示される通り、AAV3の場合より高い肝臓形質導入がハプロイドベクター(H-AAV83、H-AAV93およびH-AAVrh10-3)を用いて達成された。これは、他のハプロイドベクターから得られた結果と一致している。さらに、これらのハプロイドベクターはまた、
図26Bおよび26Dに示される通り、他の組織からの形質導入も増強した。興味深いことに、これらのハプロイドベクターはまた、撮像プロファイルに基づき全身形質導入を誘導したが、これは、唯一肝臓を効率的に形質導入したAAV2由来のVP3を有するハプロイドベクターの結果とは異なる(
図22および24)。まとめると、1つの血清型由来のVP1/VP2および代替物由来のVP3を有するハプロイドベクターは、形質導入を増強させることができ、おそらくそれらの向性を変化させることができた。
【0483】
AAV8由来のVP1/VP2のC末端およびAAV2由来のVP3を有するハプロイドベクターは、AAV形質導入を増強する
AAV8 VP1/VP2のみ、AAV2 VP3のみ、AAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有するキメラVP1/VP2(28m-2VP3)、またはVP3開始コドンの変異を有さずAAV8由来のN末端およびAAV2由来のC末端を有するキメラAAV8/2を発現した一連の構築物を生成した(
図27A)。これらのプラスミドを使用して、1:1のプラスミド比で異なる組み合わせのハプロイドAAVベクターを生産した(
図27B)。1×10
10のこれらのハプロイドベクター粒子をマウスに後眼窩静脈を介して注射した後、肝臓形質導入効率を評価した(
図27C)。キメラAAV82ベクター(AAV82)は、AAV2よりも少し高い肝臓形質導入を誘導した。しかしながら、ハプロイドAAV82(H-AAV82)は、AAV2よりもはるかに高い肝臓形質導入を有していた。ハプロイドベクター28m-2vp3を用いて肝臓形質導入のさらなる増加が観察された。これらのハプロイドベクターをマウスの筋肉に投与した。簡単な比較のため、マウスが仰向けになった状態で、右脚にAAV2ベクターを注射し、そして、左脚にハプロイドベクターを注射した。AAV注射後3週目に、撮像した。肝臓における観察と一致して、全てのハプロイドベクターおよびキメラベクターがより高い筋肉形質導入を有しており、ハプロイドベクター28m-2vp3からのものが最良であった(
図27D)。この結果は、AAV2由来のN末端およびAAV8由来のC末端を有するキメラVP1/VP2が、ハプロイドAAV82ベクターの高い肝臓形質導入の原因であることを示している。
【0484】
キメラハプロイドベクターからの核へのビリオントラフィッキングの増加
AAV形質導入は多くの段階を伴う。結合後、AAVビリオンは、エンドサイトーシスを介してエンドソームに取り込まれる。エンドソームから脱出した後、AAVビリオンは、導入遺伝子発現のために核へ移動する。どの段階がハプロイドベクターからの高い形質導入をもたらすかを判定した。まず、AAVベクター結合アッセイを実施し、他のベクターよりも少ない28m-2VP3ビリオンがHuh7細胞に結合することが見いだされた(
図28)。次に、核内のAAVゲノムコピー数を検出し、異なるAAVベクター間で差は見いだされなかった。興味深いことに、AAVゲノムコピー数を結合したビリオンと比較して、より多くのAAVビリオンが核内で観察された(
図28)。これらの結果は、トラフィッキングにAAVベクター28m-2VP3がより効率的であることを示している。
【0485】
ハプロイドAAVベクターの高い形質導入は、ビリオンの安定性からもたらされない
以下の実験を、ウイルスビリオンを加熱することによって実施した。ウイルスを異なる温度で半時間加熱し、次いで、無傷または非無傷のビリオンを認識する一次抗体A20 ADK8またはB1を使用したウェスタンブロットにアプライした。
図29に示される通り、ウイルスを70℃で加熱したとき、全てのウイルスビリオンが崩壊した。AAV82ベクターを除き、異なる温度に関係なく、AAVハプロイドベクター間で加熱に対する安定性に違いはなかった。このデータは、増強された形質導入が、ハプロイドビリオンの安定性に関連しない可能性があることを示している。
【0486】
ハプロイドベクターのVP1 N末端露出に対する酸性条件の効果
AAVベクターのエンドサイトーシス後に酸性エンドソームでVP1/VP2 N末端がビリオン表面上に露出することが実証されている。VP1/VP2末端は、AAVベクター用のホスホリパーゼ(phosophlipase)A2およびNLSドメインを含有し、これは、AAVウイルスがエンドソームから脱出して核に移動するのを助ける。AAVハプロイドベクターをPBSと異なるpH値で30分間インキュベートし、次いで、ウェスタンブロット分析にアプライし、抗体A1を使用してVP1のN末端を検出した。結果は、ウイルスを異なるpHで処理したときにいかなるVP1 N末端も露出しなかったことを示した(
図30)。
【0487】
本明細書に提示されるデータは、1つのAAVベクターカプシド由来のVP1/VP2および代替物由来のVP3を有するハプロイドベクターから増強された形質導入を達成できることを示す。
【0488】
プラスミドおよび部位特異的変異誘発
VP12およびVP3を発現するように使用されたプラスミドは全て、部位特異的変異誘発によって作製した。QuikChange II XL Site-Directed mutagenesis Kit(Agilent)を使用して製造業者のマニュアルに従って、変異誘発を実施した。オーバーラッピングPCRによって、AAV2カプシドのN末端(1201aa)およびAAV8カプシドのC末端を含有した断片を生成した。次いで、その断片を、pXRのSwaIおよびNotI部位にクローニングした。DNA配列決定によって、変異および構築物の全てを検証した。
【0489】
ウイルスの生産
三重プラスミドトランスフェクション系によって組換えAAVを生産した。15cmのディッシュのHEK293細胞に、9ugのAAV導入遺伝子プラスミドpTR/CBA-Luc、12ugのAAV RepおよびCap遺伝子を含有するAAVヘルパープラスミドおよび15ugのAdヘルパープラスミドpXX6-80をトランスフェクトした。トランスフェクションの60時間後、HEK293細胞を収集して溶解した。上清をCsCl勾配超遠心分離に供した。ウイルス力価を定量PCRによって決定した。
【0490】
インビトロ形質導入アッセイ
組換えウイルスによって平底24ウェルプレート中1×104vg/細胞で、Huh7細胞およびC2C12細胞を形質導入した。48時間後、細胞を採取し、ルシフェラーゼアッセイ系(Promega, Madison, WI)によって評価した。
【0491】
動物研究
この研究において実施された動物実験は、C57BL/6マウスおよびFIX-/-マウスで実行した。UNC動物実験委員会(IACUC)によって承認されている通りのNIHガイドラインに従ってマウスを維持した。6週齢の雌C57BL/6マウスに、注射を介して1×1010vgの組換えウイルスを注射した。D-ルシフェリン基質(Nanolight Pinetop, AZ)の腹腔内(i.p.)注射後、Xenogen IVIS Lumina(Caliper Lifesciences, Waltham, MA)を使用して注射の1週間後にルシフェラーゼ発現を撮像した。Living Image(PerkinElmer, Waltham, MA)を使用して、生物発光画像を分析した。筋肉形質導入のために、5×109のAAV/Luc粒子を6週齢の雌C57BL/6の腓腹筋に注射した。マウスを指定の時点に撮像した。
【0492】
肝臓におけるAAVゲノムコピー数の検出
細かく切り刻んだ肝臓をプロテアーゼKによって処理し、Pure Link Genomic DNA mini Kit(Invitrogen, Carlsbad, CA)によってトータルゲノムDNAを単離した。qPCRアッセイによってルシフェラーゼ遺伝子を検出した。マウスラミン遺伝子は、内部対照の役割を担った。
【0493】
統計分析
データを平均±SDとして提示した。スチューデントのt検定を使用して、全ての統計分析を行った。P値<0.05を統計的に有意な差と見なした。
【0494】
【0495】
【0496】
【0497】
(表3)
表中、(X)→任意のアミノ酸への変異
(-)→任意のアミノ酸の挿入
注記:位置2の挿入は、挿入の部位によって示される
【0498】
【0499】
(表5)トリプロイドウイルスAAV2/8に対する中和抗体力価および交差反応性
【0500】
(表6)ハプロイドウイルスAAV2/8/9に対する中和抗体力価および交差反応性
【0501】
【0502】
配列情報
SEQUENCE LISTING
<110> The University of North Carolina at Chapel Hill
<120> RATIONAL POLYPLOID ADENO-ASSOCIATED VIRUS VECTORS AND METHODS OF
MAKING AND USING THE SAME
<150> US 62/678,675
<151> 2018-05-31
<150> US 62/668,056
<151> 2018-05-07
<160> 142
<170> PatentIn version 3.5
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<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 49
Glu Trp Cys Glu Tyr Leu Gly Gly Tyr Leu Arg Cys Tyr Ala
1 5 10
<210> 50
<211> 14
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (2)..(2)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (4)..(5)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (8)..(8)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (11)..(11)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (13)..(13)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 50
Tyr Xaa Cys Xaa Xaa Gly Pro Xaa Thr Trp Xaa Cys Xaa Pro
1 5 10
<210> 51
<211> 14
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 51
Ile Glu Gly Pro Thr Leu Arg Gln Trp Leu Ala Ala Arg Ala
1 5 10
<210> 52
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (3)..(4)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (5)..(5)
<223> Xaa is Y, W, F or H
<400> 52
Leu Trp Xaa Xaa Xaa
1 5
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<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (1)..(1)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (3)..(4)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 53
Xaa Phe Xaa Xaa Tyr Leu Trp
1 5
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<211> 13
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 54
Ser Ser Ile Ile Ser His Phe Arg Trp Gly Leu Cys Asp
1 5 10
<210> 55
<211> 13
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 55
Met Ser Arg Pro Ala Cys Pro Pro Asn Asp Lys Tyr Glu
1 5 10
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<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 56
Cys Leu Arg Ser Gly Arg Gly Cys
1 5
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<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 57
Cys His Trp Met Phe Ser Pro Trp Cys
1 5
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<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (2)..(3)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 58
Trp Xaa Xaa Phe
1
<210> 59
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 59
Cys Ser Ser Arg Leu Asp Ala Cys
1 5
<210> 60
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 60
Cys Leu Pro Val Ala Ser Cys
1 5
<210> 61
<211> 13
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 61
Cys Gly Phe Glu Cys Val Arg Gln Cys Pro Glu Arg Cys
1 5 10
<210> 62
<211> 13
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 62
Cys Val Ala Leu Cys Arg Glu Ala Cys Gly Glu Gly Cys
1 5 10
<210> 63
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 63
Ser Trp Cys Glu Pro Gly Trp Cys Arg
1 5
<210> 64
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 64
Tyr Ser Gly Lys Trp Gly Trp
1 5
<210> 65
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 65
Gly Leu Ser Gly Gly Arg Ser
1 5
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<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 66
Leu Met Leu Pro Arg Ala Asp
1 5
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<211> 9
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<213> Artificial
<220>
<223> peptide
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Cys Ser Cys Phe Arg Asp Val Cys Cys
1 5
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<211> 9
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<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 68
Cys Arg Asp Val Val Ser Val Ile Cys
1 5
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<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 69
Met Ala Arg Ser Gly Leu
1 5
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<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 70
Met Ala Arg Ala Lys Glu
1 5
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<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 71
Met Ser Arg Thr Met Ser
1 5
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<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 72
Lys Cys Cys Tyr Ser Leu
1 5
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<211> 14
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 73
Met Tyr Trp Gly Asp Ser His Trp Leu Gln Tyr Trp Tyr Glu
1 5 10
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<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 74
Met Gln Leu Pro Leu Ala Thr
1 5
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<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 75
Glu Trp Leu Ser
1
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<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 76
Ser Asn Glu Trp
1
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<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 77
Thr Asn Tyr Leu
1
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<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 78
Trp Asp Leu Ala Trp Met Phe Arg Leu Pro Val Gly
1 5 10
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<211> 13
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 79
Cys Thr Val Ala Leu Pro Gly Gly Tyr Val Arg Val Cys
1 5 10
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<211> 13
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 80
Cys Val Ala Tyr Cys Ile Glu His His Cys Trp Thr Cys
1 5 10
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<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 81
Cys Val Phe Ala His Asn Tyr Asp Tyr Leu Val Cys
1 5 10
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<211> 10
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 82
Cys Val Phe Thr Ser Asn Tyr Ala Phe Cys
1 5 10
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<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 83
Val His Ser Pro Asn Lys Lys
1 5
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<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 84
Cys Arg Gly Asp Gly Trp Cys
1 5
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<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (1)..(1)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (6)..(6)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 85
Xaa Arg Gly Cys Asp Xaa
1 5
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<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (1)..(2)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (3)..(3)
<223> Xaa is S or T
<220>
<221> misc_feature
<222> (4)..(4)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 86
Pro Xaa Xaa Xaa
1
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<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 87
Ser Gly Lys Gly Pro Arg Gln Ile Thr Ala Leu
1 5 10
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<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (10)..(10)
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<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (11)..(11)
<223> Xaa is N or A
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (12)..(12)
<223> Xaa is L or Y
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (14)..(14)
<223> Xaa is N, M or R
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (15)..(15)
<223> Xaa is R or K
<400> 88
Ala Ala Ala Ala Ala Ala Ala Ala Ala Xaa Xaa Xaa Thr Xaa Xaa
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<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 89
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1 5
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<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 90
Ala Thr Trp Leu Pro Pro Arg
1 5
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<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 91
His Thr Met Tyr Tyr His His Tyr Gln His His Leu
1 5 10
<210> 92
<211> 19
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 92
Ser Glu Val Gly Cys Arg Ala Gly Pro Leu Gln Trp Leu Cys Glu Lys
1 5 10 15
Tyr Phe Gly
<210> 93
<211> 18
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 93
Cys Gly Leu Leu Pro Val Gly Arg Pro Asp Arg Asn Val Trp Arg Trp
1 5 10 15
Leu Cys
<210> 94
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 94
Cys Lys Gly Gln Cys Asp Arg Phe Lys Gly Leu Pro Trp Glu Cys
1 5 10 15
<210> 95
<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 95
Ser Gly Arg Ser Ala
1 5
<210> 96
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 96
Trp Gly Phe Pro
1
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<211> 5
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (3)..(4)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (5)..(5)
<223> Xaa is Y, W, F or H
<400> 97
Leu Trp Xaa Xaa Xaa
1 5
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<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (1)..(1)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (3)..(4)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<400> 98
Xaa Phe Xaa Xaa Tyr Leu Trp
1 5
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<211> 17
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 99
Ala Glu Pro Met Pro His Ser Leu Asn Phe Ser Gln Tyr Leu Trp Tyr
1 5 10 15
Thr
<210> 100
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (4)..(4)
<223> Xaa is W or F
<400> 100
Trp Ala Tyr Xaa Ser Pro
1 5
<210> 101
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 101
Ile Glu Leu Leu Gln Ala Arg
1 5
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<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 102
Asp Ile Thr Trp Asp Gln Leu Trp Asp Leu Met Lys
1 5 10
<210> 103
<211> 16
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 103
Ala Tyr Thr Lys Cys Ser Arg Gln Trp Arg Thr Cys Met Thr Thr His
1 5 10 15
<210> 104
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 104
Pro Gln Asn Ser Lys Ile Pro Gly Pro Thr Phe Leu Asp Pro His
1 5 10 15
<210> 105
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 105
Ser Met Glu Pro Ala Leu Pro Asp Trp Trp Trp Lys Met Phe Lys
1 5 10 15
<210> 106
<211> 16
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 106
Ala Asn Thr Pro Cys Gly Pro Tyr Thr His Asp Cys Pro Val Lys Arg
1 5 10 15
<210> 107
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 107
Thr Ala Cys His Gln His Val Arg Met Val Arg Pro
1 5 10
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<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 108
Val Pro Trp Met Glu Pro Ala Tyr Gln Arg Phe Leu
1 5 10
<210> 109
<211> 8
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 109
Asp Pro Arg Ala Thr Pro Gly Ser
1 5
<210> 110
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 110
Phe Arg Pro Asn Arg Ala Gln Asp Tyr Asn Thr Asn
1 5 10
<210> 111
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 111
Cys Thr Lys Asn Ser Tyr Leu Met Cys
1 5
<210> 112
<211> 11
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (2)..(2)
<223> Xaa is R or Q
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (3)..(3)
<223> Xaa is L or R
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (5)..(5)
<223> Xaa is G or N
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (6)..(7)
<223> Xaa can be any naturally occurring amino acid
<220>
<221> MISC_FEATURE
<222> (9)..(9)
<223> Xaa is A or N
<400> 112
Cys Xaa Xaa Thr Xaa Xaa Xaa Gly Xaa Gly Cys
1 5 10
<210> 113
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 113
Cys Pro Ile Glu Asp Arg Pro Met Cys
1 5
<210> 114
<211> 12
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 114
His Glu Trp Ser Tyr Leu Ala Pro Tyr Pro Trp Phe
1 5 10
<210> 115
<211> 9
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 115
Met Cys Pro Lys His Pro Leu Gly Cys
1 5
<210> 116
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 116
Arg Met Trp Pro Ser Ser Thr Val Asn Leu Ser Ala Gly Arg Arg
1 5 10 15
<210> 117
<211> 20
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 117
Ser Ala Lys Thr Ala Val Ser Gln Arg Val Trp Leu Pro Ser His Arg
1 5 10 15
Gly Gly Glu Pro
20
<210> 118
<211> 20
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 118
Lys Ser Arg Glu His Val Asn Asn Ser Ala Cys Pro Ser Lys Arg Ile
1 5 10 15
Thr Ala Ala Leu
20
<210> 119
<211> 4
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 119
Glu Gly Phe Arg
1
<210> 120
<211> 6
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 120
Ala Gly Leu Gly Val Arg
1 5
<210> 121
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 121
Gly Thr Arg Gln Gly His Thr Met Arg Leu Gly Val Ser Asp Gly
1 5 10 15
<210> 122
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 122
Ile Ala Gly Leu Ala Thr Pro Gly Trp Ser His Trp Leu Ala Leu
1 5 10 15
<210> 123
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 123
Ser Met Ser Ile Ala Arg Leu
1 5
<210> 124
<211> 7
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 124
His Thr Phe Glu Pro Gly Val
1 5
<210> 125
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 125
Asn Thr Ser Leu Lys Arg Ile Ser Asn Lys Arg Ile Arg Arg Lys
1 5 10 15
<210> 126
<211> 15
<212> PRT
<213> Artificial
<220>
<223> peptide
<400> 126
Leu Arg Ile Lys Arg Lys Arg Arg Lys Arg Lys Lys Thr Arg Lys
1 5 10 15
<210> 127
<211> 4636
<212> DNA
<213> Artificial
<220>
<223> AAV1
<400> 127
ctctcccccc tgtcgcgttc gctcgctcgc tggctcgttt gggggggtgg cagctcaaag 60
agctgccaga cgacggccct ctggccgtcg cccccccaaa cgagccagcg agcgagcgaa 120
cgcgacaggg gggagagtgc cacactctca agcaaggagg ttttgtaagt ggtgatgtca 180
tatagttgtc acgcgatagt taatgattaa cagtcaggtg atgtgtgtta tccaatagga 240
tgaaagcgcg cgcatgagtt ctcgcgagac ttccggggta taaaggggtg agtgaacgag 300
cccgccgcca ttctctgctc tgaactgcta gaggaccctc gctgccatgg ctaccttcta 360
cgaagtcatt gttcgcgtcc catttgacgt ggaggaacat ctgcctggaa tttctgacag 420
ctttgtggac tgggtaactg gtcaaatttg ggagctgcct cccgagtcag atttgaattt 480
gactctgatt gagcagcctc agctgacggt tgctgacaga attcgccgcg tgttcctgta 540
cgagtggaac aaattttcca agcaggaatc caaattcttt gtgcagtttg aaaagggatc 600
tgaatatttt catctgcaca cgcttgtgga gacctccggc atctcttcca tggtcctagg 660
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