(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154448
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】LED照明装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
F21V 15/00 20150101AFI20231013BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20231013BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20231013BHJP
F21V 15/01 20060101ALI20231013BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231013BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20231013BHJP
【FI】
F21V15/00 100
F21V31/00 300
F21V23/00 160
F21V15/01 380
F21Y115:10
F21Y103:10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063727
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】595003440
【氏名又は名称】エイテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和雄
(72)【発明者】
【氏名】坂元 洋
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】簡単にキャップ部を形成することができ、雨水の浸入や塵埃の混入を長期に渡って阻止することが可能なLED照明装置の製造方法およびLED照明製造装置並びにLED照明装置を提供する。
【解決手段】LED照明装置10は、光源となるLED素子と、LED素子が列状に搭載された基板部12と、基板部12が収納されたケース部13と、ケース部13の端部13eの開口を塞ぐキャップ部14とを備えている。このLED照明装置10の製造方法は、ケース部13の端部13eをキャップ部14の型に形成されたキャビティ22cを有する成形型22(第2成形型222)に配置して、成形型22に液状樹脂を充填して、キャップ部14を成形により製造する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを備えたLED照明装置の製造方法であって、
前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造するLED照明装置の製造方法。
【請求項2】
前記ケース部の端部に前記キャップ部を成形するときに、前記ケース部の端部の開口に液状樹脂の流入を阻止する閉鎖部材を装着する請求項1記載のLED照明装置の製造方法。
【請求項3】
前記基板部の端部に形成され、前記LED素子の電源用電線に接続された端子部に、電源用電線を接続するときに、前記電源用電線を前記基板部の長さ方向と交差する方向へ接続する請求項1または2記載のLED照明装置の製造方法。
【請求項4】
前記成形型により成形する際に、前記ケース部の尾根部側を露出する切り欠き部が前記キャップ部の縁部に対応する位置に形成された前記成形型により成形する請求項1または2記載のLED照明装置の製造方法。
【請求項5】
光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを備えたLED照明装置の製造装置であって、
前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型と、
前記成形型に液状樹脂を充填する供給部とを備えたLED照明装置の製造装置。
【請求項6】
光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぎ、成形により形成されたキャップ部とを備えたLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源となるLED素子と、LED素子が列状に搭載された基板部と、基板部が収納されたケース部と、ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを有するLED照明装置の製造方法およびLED照明製造装置並びにLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光源となるLED素子が基板部に列状に搭載されたLED素子が列状に配置されたLED照明装置が知れられている。このLED照明装置では、基板部がケース部の端部の開口から挿入され、収納される。そして、ケース部の開口から水、塵埃が入り込まれないように、キャップ部により塞がれる。
【0003】
このようなLED照明装置について、特許文献1-3に記載されたものが知られている。
特許文献1に記載のLED灯具は、内部空間に複数のLEDチップが実装された基板を収容するレンズが扁平した筒形状に形成され、また、レンズの両側に設けられる一組のエンドキャップとレンズの両端との間には、これらの両者間を液密に密着させるガスケットが介在している。
【0004】
特許文献2に記載の帯状フレキシブル発光体は、帯状のフレキシブル基板を、絶縁性を有するフレキシブルチューブの中に内挿し、基板に接続された導線が挿通する挿通孔を有する樹脂製のキャップ部材に接着剤を塗布し、キャップ部材がフレキシブルチューブの端部を覆うように取り付けて密閉している。
【0005】
特許文献3に記載の照明装置および照明装置の製造方法は、発光素子が実装される回路基板が筒状のカバーの内側に配置され、カバーの両端部が、封止樹脂部により、それぞれ封止されている。この封止樹脂部は、筒状のカバーの筒軸方向に直交する第1方向側からカバーの端部を覆うように配置される第1樹脂部材を第1金型に配置すると共に、カバーの第1方向とは反対方向の第2方向側からカバーの端部を覆うように配置される第2樹脂部材を第2金型に配置して、第1金型と第2金型とを突き合わせた状態で加熱して形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-21633号公報
【特許文献2】特開2015-72841号公報
【特許文献3】特開2020-68150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載のLED灯具では、エンドキャップがビスにより止められているため、屋外に設置したときに、筒形状のレンズとエンドキャップとの間の隙間から雨水が浸入するおそれがある。
【0008】
また、特許文献2に記載の帯状フレキシブル発光体では、樹脂製のキャップ部材に接着剤を塗布し、キャップ部材がフレキシブルチューブの端部を覆うように取り付けて密閉している。接着剤が経年劣化すると、やはり、キャップ部材とフレキシブルチューブとの隙間から雨水が浸入するおそれがある。
【0009】
更に、特許文献3に記載の照明装置および照明装置の製造方法では、第1樹脂部材および第2樹脂部材を成形した後に、第1金型と第2金型とを突き合わせた状態で加熱して封止樹脂部を形成しているため、工程が複雑であるため工数を要する。
【0010】
そこで本発明は、簡単にキャップ部を形成することができ、雨水の浸入や塵埃の混入を長期に渡って阻止することが可能なLED照明装置の製造方法およびLED照明製造装置並びにLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のLED照明装置の製造方法は、光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを備えた方法であって、前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造することを特徴としたものである。
【0012】
本発明のLED照明装置は、光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぎ、成形により形成されたキャップ部とを備えたことを特徴としたものである。
【0013】
本発明によれば、ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部を成形により形成されているため、キャップ部を1回の成形で完成させることができ、キャップ部をケース部に密着させた状態とすることができる。
【0014】
前記ケース部の端部に前記キャップ部を成形するときに、前記ケース部の端部の開口に液状樹脂の流入を阻止する閉鎖部材を装着することができる。閉鎖部材により開口を閉鎖した状態とすることで、ケース部の端部にキャップ部を成形するときに、ケース部の端部の開口に液状樹脂が流入することを阻止することができる。
【0015】
前記基板部の端部に形成され、前記LED素子の電源用電線に接続された端子部に、電源用電線を接続するときに、前記電源用電線を前記基板部の長さ方向と交差する方向へ接続することができる。
キャップ部を成形するための成形型を長さ方向に沿って並べても電源用電線が邪魔にならないため、成形型の凹部を隣接して配置することができる。
【0016】
前記成形型により成形する際に、前記ケース部の尾根部を露出する切り欠き部が前記キャップ部の縁部に対応する位置に形成された前記成形型により成形することができる。
キャップ部に切り欠き部が形成されていることで、基板部に搭載された最端部のLED素子からの光がキャップ部に邪魔される範囲を減少させることができ、最端部のLED素子からの光の一部をケース部から出射させることができる。
【0017】
本発明のLED照明装置の製造装置は、光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを備えたLED照明装置の製造装置であって、前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型と、前記成形型に液状樹脂を充填する供給部とを備えたことを特徴としたものである。
本発明のLED照明装置におけるキャップ部は、本発明のLED照明装置の製造装置により製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、キャップ部を1回の成形で完成させることができ、キャップ部をケース部に密着させた状態とすることができるので、簡単にキャップ部を形成することができ、雨水の浸入や塵埃の混入を長期に渡って阻止することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施の形態に係るLED照明装置を説明するための図であり、(A)はLED照明装置を示す斜視図、(B)はLED照明装置からキャップ部と閉鎖部材とが外れた状態の斜視図である。
【
図2】
図1に示す基板部を説明するための斜視図である。
【
図3】
図1に示すケース部を説明するための斜視図である。
【
図4】(A)はキャップ部の側面図、(B)はキャップ部の背面側から見た斜視図、(C)は閉鎖部材の斜視図である。
【
図5】
図1に示すLED照明装置の製造方法を説明するための図であり、(A)は基板部が挿入されたケース部を示す斜視図、(B)はケース部の端部の底部を削り、基板部のパッドを露出させた状態の斜視図、(C)はパッドに電源用電線を接続した状態の斜視図、(D)はケース部の第1空間部を閉鎖部材により封鎖した状態の斜視図である。
【
図6】
図1に示すケース部を成形する樹脂成形装置の斜視図である。
【
図7】
図6に示す樹脂成形装置の成形型を説明するための図であり、(A)は第1成形型(上型)を説明するための図、(B)は第2成形型(下型)を説明するための図である。
【
図8】
図1に示すキャップ部の成形を説明するための図であり、(A)は
図7(B)に示す第2成形型(下型)に成形前のケース部をセットした状態の図、(B)は成形後のケース部の図である。
【
図9】
図1に示すLED照明装置の長手方向に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施の形態に係るLED照明装置を図面に基づいて説明する。なお、
図1(B)においては、キャップ部はケース部に密着していることから取り外せるものではないが、説明の便宜上、キャップ部をケース部から分離した状態で表示している。
【0021】
図1(A)および同図(B)に示すLED照明装置10は、例えば、長さが数十cmのものから約10mのものまでに形成された帯状のLEDライトである。
LED照明装置10は、光源となるLED素子11と、LED素子11が列状に搭載された基板部12と、基板部12が収納されたケース部13と、ケース部13の端部13eの開口を塞ぐキャップ部14とを備えている。
【0022】
図2に示すように、LED素子11は、表面実装用(SMD:Surface Mount Device)のLEDチップである。LED素子11のほか、基板部12には、図示しない電流制限用の抵抗や、逆流阻止用のダイオードなどが実装されている。
基板部12は、電気部品を搭載するパッドとパターン配線と電源用電線が形成された長尺状のフレキシブル配線基板により形成されている。
基板部12は、長さ方向F1に見てT字状に形成されており、逆三角形状に形成された頭部12AにLED素子11が実装され、脚部12Bに抵抗、ダイオードや、必要に応じて電源用電線に沿って、例えば網線による電源用の補助電線が実装されている。また、基板部12の端部12eには、電源用電線15(
図1参照)が一対接続されるパッド12pが形成されている。
【0023】
図3に示すケース部13は、長尺のチューブ状に形成されている。ケース部13は、幅方向F2の幅が広い広幅部13Aと、幅が狭い狭幅部13Bとから形成されている。広幅部13Aと狭幅部13Bとは一体的に形成されている。
【0024】
また、ケース部13は、LED素子11(
図1(B)参照)の発光方向がドーム状に形成された光拡散部131と、LED素子11が搭載された基板部12が収納される筒状の収納部132とを備えている。
【0025】
光拡散部131は、尾根部131tが円弧状に形成されている。光拡散部131の内部には、光拡散を有効に機能させるための第1空間部13a(拡散用空間)が形成されている。また、収納部132には、LED素子11が搭載された基板部12が収納される第2空間部13b(収納用空間)が形成されている。この第1空間部13aと第2空間部13bとは、光透過性の仕切り板13cにより区画されている。
従って、仕切り板13cの位置から尾根部131tまでが光拡散部131であり、仕切り板13cの位置から底部132cまでが収納部132となる。
【0026】
図4(A)および同図(B)に示すように、キャップ部14は、
図1(B)に示すケース部13の端部13eを覆うように形成されている。キャップ部14は、端部13eの開口形状に形成された蓋部141と、蓋部141の周縁からケース部13の端部13eの方向へ延びる縁部142とを備えている。キャップ部14の底面部には、一対の電源用電線15(
図1参照)を通過させるための貫通孔144が形成されている。
【0027】
また、縁部142には、ケース部13の尾根部131t側を露出する切り欠き部145が形成されている。本実施の形態では、切り欠き部145は、
図3に示すケース部13の広幅部13Aの底部近くから尾根部131tに向かうと急激に切り欠き部分が大きくなり、仕切り板13cの位置から尾根部131tまで同じ幅に切り欠かれている。
【0028】
図1(B)に示すように、キャップ部14の内側であってケース部13の開口には、閉鎖部材16が装着されている。
図4(C)に示す閉鎖部材16は、板状の本体部161と、本体部161から突出した挿入部162とを備えている。
本体部161は、
図3に示すケース部13における第1空間部13a(拡散用空間)を塞ぐと共に仕切り板13cを超えて第2空間部13b(収納用空間)の一部を塞ぐ大きさに形成されている。
図4(C)に示す挿入部162は、外形が、
図3に示す第1空間部13aの開口形状に形成されている。挿入部162は、第1空間部13aに挿入されることで閉鎖部材16がケース部13に保持される。
【0029】
次に、
図1(A)および同図(B)に示すLED照明装置10の製造方法を図面に基づいて説明する。まず、
図2に示すLED素子11が搭載されたフレキシブル配線基板である基板部12を準備する。
【0030】
次に、
図3に示すケース部13を準備する。ケース部13は、合成ゴム、例えば、シリコーンゴムにより形成されている。ケース部13の周壁のうち、少なくとも仕切り板13cは光透過性(以下、透明または半透明を含む)であり、光拡散部131は光透過性の合成樹脂又は合成ゴムに光拡散剤を入れた光拡散材料で形成されている。収納部132は光透過性の合成樹脂又は合成ゴムで成形し、それ以外を光拡散材料で形成されている。
このケース部13を形成する方法としては、成形工程のコストダウンを図るため、一般的に使用されている二色成形法を用いる。光透明性の合成樹脂又は合成ゴムと拡散剤入りの光拡散材料の2種類の材料を二色成形機に組込んだ成形型に注入して成形することにより、収納部132に光拡散部131を設けたケース部13を一体で成形することができる。
【0031】
図5(A)に示すように、次に、LED素子11が搭載された基板部12をケース部13の第2空間部13b(収納用空間)に、端部13eの開口から差し込み、順次奥行き方向に進めて収納する。そして、第2空間部13b(収納用空間)に対して、充填用樹脂を注入する。
【0032】
図5(B)に示すように、次に、電源用電線15(
図1参照)が一対接続される基板部12のパッド12pに対応するケース部13における端部13eの底部132c(
図5(A)参照)を削り、パッド12pを露出させる。
そして、
図5(C)に示すように、それぞれのパッド12pに電源用電線15を半田付けにより接続する。この電源用電線15の接続は、LED照明装置10(
図1参照)が1本のみ、または中継して使用されるときの最終段である場合には、基板部12の一方の端部だけであり、次段へ中継する場合には、基板部12の両方の端部に行う。
【0033】
図5(D)に示すように、閉鎖部材16の挿入部162(
図4(C)参照)をケース部13の端部13eにおける第1空間部13a(
図5(C)参照)に閉鎖部材16を装着して閉鎖する。そして、本実施の形態に係る製造装置である、樹脂成形装置にセットする。
ここで、樹脂成形装置について図面に基づいて説明する。
【0034】
図6に示す樹脂成形装置20は、熱硬化性樹脂である液状樹脂を成形型に充填する供給部21と、キャップ部14(
図1参照)を成形するための第1成形型221(上型)および第2成形型222(下型)による成形型22と、第2成形型222を支柱部223に沿って昇降させる昇降部(図示せず)とを備えている。
成形型は、金属製としたり、樹脂製としたりすることができる。
【0035】
図7(A)および同図(B)に示すように、成形型22(第1成形型221,第2成形型222)は、キャップ部14(
図1参照)の形状に形成された凹部となるキャビティ22cを有している。
第1成形型221および第2成形型222には、供給部21から延びるスプール22sが貫通して形成されている。スプール22sには、第1成形型221,第2成形型222のキャビティ22cに向かってライナー22Lが延びて、ゲート22gを介してキャビティ22cに接続されている。
【0036】
第1成形型221および第2成形型222には、キャップ部14が成形される以外のケース部13を保持する凹部22hが形成されている。
【0037】
第1成形型221および第2成形型222のキャビティ22cの縁部には、電源用電線15を避けるための切り欠き部22kが形成されている。
この切り欠き部22kは、ケース部13(
図1参照)の長さ方向F1に対して交差する方向に対応するキャビティ22cの縁部に形成されている。本実施の形態では、切り欠き部22kは、ケース部13の長さ方向F1に対して直交する方向に形成されている。
切り欠き部22kには、電源用電線15が配置される溝22tが形成されている。
【0038】
第2成形型222には、溝22tに配線された電源用電線15を押さえるための固定部材224がねじ止めにより取り付けられる。
第1成形型221には、第2成形型222と型締めしたときに、固定部材224が収納される凹部221rが形成されている。
【0039】
このように構成された
図6に示す樹脂成形装置20に、
図5(D)に示す基板部12が収納されたケース部13の端部13eをセットする。セットするときには、
図8(A)に示すように、第2成形型222のキャビティ22cにケース部13の端部13eをセットする。
図8(A)に示す例では、第2成形型222の左側のキャビティ22cにセットされたケース部13は、基板部12から電源用電線15が接続されている。また、右側のキャビティ22cにセットされたケース部13は、基板部12に電源用電線15が接続されていない。なお、左側では、基板部12に接続された電源用電線15を押さえ固定する固定部材224は省略されている。
【0040】
このような状態で第2成形型222に、基板部12(
図1参照)が収納され、閉鎖部材16が装着されたケース部13がセットされると、
図6に示す樹脂成形装置20を動作させる。樹脂成形装置20が動作すると、図示しない昇降部が第2成形型222を上昇させ、第1成形型221に型締めする。
【0041】
次に、供給部21から液状樹脂が成形型22に充填されることで、
図7(A)および同図(B)に示すスプール22s、ライナー22L、ゲート22gを介してキャビティ22cへ流れる。そして、成形型22が加熱されることで、キャビティ22c内の液状樹脂が硬化して、
図8(B)に示すように、ケース部13の端部13eキャップ部14が成形される。
【0042】
このようにして、キャップ部14が成形されることで、キャップ部14はケース部13と密着した状態で形成される。従って、簡単にキャップ部14を形成することができ、雨水の浸入や塵埃の混入を長期に渡って阻止することが可能である。
【0043】
また、キャップ部14を成形するときに、例えば、
図1(B)に示す閉鎖部材16によりケース部13の端部13eの開口を閉鎖せずに、液状樹脂を、
図6に示す成形型22に充填すると、
図1(B)に示す第1空間部13a(拡散用空間)に液状樹脂が流入してしまい、キャップ部14の成形に大量の液状樹脂が必要となるだけでなく、光拡散部131による拡散性に影響を与えてしまう。
しかし、
図1(B)に示す閉鎖部材16により端部13eの開口を閉鎖することにより、第1空間部13aへの液状樹脂の流入を防止することができる。
【0044】
図7(A)および同図(B)に示す本実施の形態に係る成形型22には、キャビティ22cが、長さ方向F1に2つ形成されている。そして、成形型22の凹部22hがケース部13の長さ方向F1に対して直交する方向に対応するキャビティ22cのそれぞれの外側の縁部に形成されている。
従って、
図8(A)に示すように、基板部12を内蔵したケース部13をキャビティ22cにセットしたときに、基板部12に接続する電源用電線15が、互いに邪魔することなく延ばすことができるので、
図7(A)および同図(B)に示す2つのキャビティ22cを接近させることができる。従って、成形型22を小型化することができる。
【0045】
また、成形型22のキャビティ22cが長さ方向F1に2つ並んでいるため、2本の異なるケース部13の一方の端部13eにキャップ部14を同時に成形することができ、1本のケース部13の両方の端部13eにキャップ部14を同時に成形することができる。
また、長さ方向F1に直交する方向の2つのキャビティ22cにケース部13を2つ並べて、4本のケース部を並べて、キャップ部14を成形することができる。
【0046】
また、キャビティ22cによりキャップ部14が成形されることで、
図1(A)に示すように、キャップ部14の縁部142には、ケース部13の尾根部131t側を露出する切り欠き部145が形成されている。
従って、
図9に示すように、基板部12に搭載された最端部のLED素子11からの光がキャップ部14に邪魔される範囲を減少させることができ、最端部のLED素子11からの光の一部をケース部13から出射させることができる。
【0047】
また、切り欠き部145が大きく形成されていることで、キャップ部14の縁部142とケース部13との接触幅が狭くても、キャップ部14が成形により形成されているため、キャップ部14は十分にケース部13と密着している。そのため、キャップ部14がケース部13から外れることはない。
【0048】
本実施の形態に係るLED照明装置10では、ケース部13に、空洞部となる第1空間部13aと、基板部12が配置され、充填用樹脂が注入される第2空間部13bとが形成されている。
本発明は、第2空間部に基板部が配置されると共に、充填用樹脂が注入され、第1空間部が形成されていないケース部でも適用することが可能である。
また、本発明は、第2空間部に基板部が配置されるが、充填用樹脂が注入されておらず、そして、第1空間部が形成されていないケース部でも適用することが可能である。この場合、キャップ部を成形するときには、第2空間部に閉鎖部材により開口を閉鎖するのが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、各種の屋外、屋内の照明、電飾、誘導灯等の分野において好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
10 LED照明装置
11 LED素子
12 基板部
12e 端部
12A 頭部
12B 脚部
12p パッド
13 ケース部
13A 広幅部
13B 狭幅部
13a 第1空間部
13b 第2空間部
13c 仕切り板
13e 端部
131 光拡散部
131t 尾根部
132 収納部
132c 底部
14 キャップ部
141 蓋部
142 縁部
144 貫通孔
145 切り欠き部
15 電源用電線
16 閉鎖部材
161 本体部
162 挿入部
20 樹脂成形装置
21 供給部
22 成形型
22c キャビティ
22h 凹部
22k 切り欠き部
22s スプール
22L ライナー
22g ゲート
22t 溝
221 第1成形型
221r 凹部
222 第2成形型
223 支柱部
224 固定部材
F1 長さ方向
F2 幅方向
【手続補正書】
【提出日】2023-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを備えたLED照明装置の製造方法であって、
前記ケース部は、光透過性の仕切り板で前記基板部が収納される収納用空間と前記LED素子の光拡散を有効に機能させるための拡散用空間とに区画され、
前記収納用空間には前記基板部を収納した後に充填用樹脂を注入し、
前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着し、
前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、
前記キャップ部を成形により製造するLED照明装置の製造方法。
【請求項2】
前記収納用空間に充填用樹脂を注入した後に、前記ケース部の端部の底部を削って、前記収納用空間に収納された前記基板部のパッドを露出させている
請求項1記載のLED照明装置の製造方法。
【請求項3】
前記基板部の端部に形成され、前記LED素子の電源用電線に接続された端子部に、電源用電線を接続するときに、前記電源用電線を前記基板部の長さ方向と交差する方向へ接続する請求項1または2記載のLED照明装置の製造方法。
【請求項4】
前記成形型により成形する際に、前記ケース部の尾根部側を露出する切り欠き部が前記キャップ部の縁部に対応する位置に形成された前記成形型により成形する請求項1または2記載のLED照明装置の製造方法。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、光源となるLED素子と、LED素子が列状に搭載された基板部と、基板部が収納されたケース部と、ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを有するLED照明装置の製造方法に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
そこで本発明は、簡単にキャップ部を形成することができ、雨水の侵入や塵埃の混入を長期に渡って阻止することが可能なLED照明装置の製造方法を提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明のLED照明装置の製造方法は、光源となるLED素子と、前記LED素子が列状に搭載された基板部と、前記基板部が収納されたケース部と、前記ケース部の端部の開口を塞ぐキャップ部とを備えた方法であって、前記ケース部は、光透過性の仕切り板で前記基板部が収納される収納用空間と前記LED素子の光拡散を有効に機能させるための拡散用空間とに区画され、前記収納用空間には前記基板部を収納した後に充填用樹脂を注入し、前記ケース部の端部の開口に閉鎖部材を装着し、前記ケース部の端部を前記キャップ部の型に形成された凹部を有する成形型に配置して、前記成形型に液状樹脂を充填して、前記キャップ部を成形により製造することを特徴としたものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、前記収納用空間に充填用樹脂を注入した後に、前記ケース部の端部の底部を削って、前記収納用空間に収納された前記基板部のパッドを露出させている。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】