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特開2023-154454吹き戻しに使用される伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻し
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  • 特開-吹き戻しに使用される伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻し 図1
  • 特開-吹き戻しに使用される伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻し 図2
  • 特開-吹き戻しに使用される伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻し 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154454
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】吹き戻しに使用される伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻し
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/18 20060101AFI20231013BHJP
   A63H 5/00 20060101ALI20231013BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
A63B23/18
A63H5/00 W
A61H1/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063737
(22)【出願日】2022-04-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-08-12
(71)【出願人】
【識別番号】522029981
【氏名又は名称】株式会社創英
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】砂子 喜優
【テーマコード(参考)】
2C150
4C046
【Fターム(参考)】
2C150AA05
2C150DE01
2C150EB11
2C150EB35
2C150EB41
4C046AA45
4C046AA48
4C046BB19
(57)【要約】      (修正有)
【課題】吹き戻しに使用される伸縮体であって、長手方向の長さを長くしても折れ難くい伸縮体を提供する。
【解決手段】使用者が空気を吹き込むと伸縮体が伸び、空気を吹き込まない状態では前記伸縮体が渦巻状に巻き戻される吹き戻し、に使用される伸縮体であって、前記伸縮体は、基材と、前記基材に巻き戻し力を付与する線状体12と、を含み、前記基材は、使用者が空気を吹き込む開口部を有し、前記開口部以外は閉じられており、前記開口部から空気が吹き込まれると略筒状に変形できるように形成され、前記基材が渦巻状に巻かれた状態の内面側を第1面11a、外面側を第2面11bと規定し、前記基材の伸長方向を長手方向と規定した際に、前記線状体は、前記第1面および前記第2面の両面に長手方向に配置されている伸縮体。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者が空気を吹き込むと伸縮体が伸び、空気を吹き込まない状態では前記伸縮体が渦巻状に巻き戻される吹き戻し、に使用される伸縮体であって、
前記伸縮体は、
基材と、
前記基材に巻き戻し力を付与する線状体と、
を含み、
前記基材は、
使用者が空気を吹き込む開口部を有し、
前記開口部以外は閉じられており、前記開口部から空気が吹き込まれると略筒状に変形できるように形成され、
前記基材が渦巻状に巻かれた状態の内面側を第1面、外面側を第2面と規定し、前記基材の伸長方向を長手方向と規定した際に、前記線状体は、前記第1面および前記第2面の両面に長手方向に配置されている
伸縮体。
【請求項2】
前記第1面および前記第2面に配置される線状体の数が同じである
請求項1に記載の伸縮体。
【請求項3】
前記第1面および前記第2面に配置される線状体の数が、前記第2面の方が多い
請求項1に記載の伸縮体。
【請求項4】
前記第1面に配置される線状体の巻き戻し力の総和をP1と規定し、前記第2面に配置される線状体の巻き戻し力の総和をP2と規定した際に、
P1=P2、または、P1<P2である
請求項1に記載の伸縮体。
【請求項5】
前記基材が、
第1基材および第2基材から形成され、
前記開口部を除き、前記第1基材および前記第2基材の周辺部が接着剤で接着されている
請求項1に記載の伸縮体。
【請求項6】
口吹体に接続するための専管体が前記開口部に形成されている
請求項1~5の何れか一項に記載の伸縮体。
【請求項7】
請求項1~5の何れか一項に記載の伸縮体と、
前記伸縮体の前記開口部に接続する口吹体と、
を含む
吹き戻し。
【請求項8】
請求項6に記載の伸縮体と、
前記専管体に接続する口吹体と、
を含む
吹き戻し。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願における開示は、吹き戻しに使用される伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻しに関する。
【0002】
吹き戻しは、古くから吹き戻し玩具として知られている。この吹き戻しは、線状のバネ材を含む筒状の伸縮体(袋状部)の長手方向に沿って、伸縮体の一端部から空気を吹き込むと伸縮体が伸び、空気を吹き込まない状態では、バネ材の弾性力によって伸縮体が渦巻状に巻かれるものである。
【0003】
このような吹き戻しは、従来、主に子供の玩具として使用されていたが、近年、健康促進や治療、美容などの目的に利用可能な吹き戻しが開発されてきている。例えば、特許文献1には、より長く適切に使用するために、線状体の断面を円形を上下から潰した形状にすることが記載されている。また、特許文献2には、口吹体から空気を吹き込む力が所定値以上でないと、伸縮体が伸びない吹き戻しが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6966820号公報
【特許文献2】特許第5878229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載のとおり、吹き戻しは、伸縮体の一端部から空気を吹き込むと伸縮体(袋状部)が長手方向に沿って伸びる構造となっている。今後、吹き戻しの使用目的に応じて、伸縮体の長手方向をより長くすることも想定される。しかしながら、従来の伸縮体を単純に長くした場合、伸縮体が折れてしまうという問題が発生した。そのため、本発明者らは、伸縮体の構造について鋭意研究を行ったところ、
(1)特許文献1および特許文献2等に記載の従来の伸縮体は、渦巻状に巻かれた状態の内面側のみに線状体が配置されていること、
(2)渦巻状に巻かれた状態の内面側および外面側の両方に線状体を配置すると、内面側のみに線状体を配置した場合より、伸縮体の長手方向の長さを長くしても、伸縮体が折れ難くなること、
を新たに見出した。
【0006】
すなわち、本出願における開示の目的は、吹き戻しに使用される、新たな構造を採用した伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻し、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願の開示は、以下に示す、吹き戻しに使用される伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻しに関する。
【0008】
(1)使用者が空気を吹き込むと伸縮体が伸び、空気を吹き込まない状態では前記伸縮体が渦巻状に巻き戻される吹き戻し、に使用される伸縮体であって、
前記伸縮体は、
基材と、
前記基材に巻き戻し力を付与する線状体と、
を含み、
前記基材は、
使用者が空気を吹き込む開口部を有し、
前記開口部以外は閉じられており、前記開口部から空気が吹き込まれると略筒状に変形できるように形成され、
前記基材が渦巻状に巻かれた状態の内面側を第1面、外面側を第2面と規定し、前記基材の伸長方向を長手方向と規定した際に、前記線状体は、前記第1面および前記第2面の両面に長手方向に配置されている
伸縮体。
(2)前記第1面および前記第2面に配置される線状体の数が同じである
上記(1)に記載の伸縮体。
(3)前記第1面および前記第2面に配置される線状体の数が、前記第2面の方が多い
上記(1)に記載の伸縮体。
(4)前記第1面に配置される線状体の巻き戻し力の総和をP1と規定し、前記第2面に配置される線状体の巻き戻し力の総和をP2と規定した際に、
P1=P2、または、P1<P2である
上記(1)に記載の伸縮体。
(5)前記基材が、
第1基材および第2基材から形成され、
前記開口部を除き、前記第1基材および前記第2基材の周辺部が接着剤で接着されている
上記(1)に記載の伸縮体。
(6)口吹体に接続するための専管体が前記開口部に形成されている
上記(1)~(5)の何れか一つに記載の伸縮体。
(7)上記(1)~(5)の何れか一つに記載の伸縮体と、
前記伸縮体の前記開口部に接続する口吹体と、
を含む
吹き戻し。
(8)上記(6)に記載の伸縮体と、
前記専管体に接続する口吹体と、
を含む
吹き戻し。
【発明の効果】
【0009】
本出願で開示する伸縮体は、従来の伸縮体と比較して、長手方向の長さを長くしても折れ難くなる。したがって、吹き戻しの適用範囲が拡大する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、吹き戻しを伸ばした状態の平面図である。
図2図2は、伸縮体が渦巻状に巻き戻された状態の正面図である。
図3図3は、図1のX-X’矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本出願で開示する吹き戻しに使用される伸縮体(以下、単に「伸縮体」と記載することがある。)および当該伸縮体を含む吹き戻しについて、詳しく説明する。なお、図面において示す各構成の位置、大きさ、範囲などは、理解を容易とするため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、本出願の開示は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0012】
また、本明細書において、
(1)「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、
(2)数値、数値範囲、及び定性的な表現(例えば、「同一」、「同じ」等の表現)については、当該技術分野において一般的に許容される誤差を含む数値、数値範囲及び性質を示している、
(3)「略〇〇状」と記載した場合、正確な〇〇状に加え、凡そ〇〇状と把握される形状を含む、
と解釈される。
【0013】
(伸縮体および吹き戻しの実施形態)
図1乃至図3を参照して、伸縮体の実施形態および吹き戻しの実施形態について説明する。図1は、吹き戻しを伸ばした状態の平面図である。図2は、伸縮体が渦巻状に巻き戻された状態の正面図である。図3は、図1のX-X’矢視断面図である。
【0014】
図1および図2に示す例では、吹き戻し10は、伸縮体1と、専管体2、口吹体3と、を含む。なお、説明の便宜上、伸縮体1の実施形態および吹き戻し10の実施形態を纏めて説明するが、伸縮体1の実施形態において、口吹体3は必須の構成ではない。また、伸縮体1の実施形態において、専管体2は必須の構成ではないが、任意付加的に含まれてもよい。
【0015】
伸縮体1は、使用者が空気を吹き込むと伸び、空気を吹き込まない状態では渦巻状に巻き戻される。伸縮体1は、基材11と、基材11に巻き戻し力を付与する線状体12と、を含む。基材11は、使用者が空気を吹き込む開口部11cを有し、開口部11c以外は閉じられている。そのため、基材11は、開口部11cから空気が吹き込まれると略筒状に変形できる袋状の部材である。
【0016】
図3に示す例では、基材11は、渦巻状に巻かれた時に内面側(第1面11a)となる第1基材11a、および、渦巻状に巻かれた時に外面側(第2面11b)となる第2基材11bを、開口部11cを除き周辺部を接着剤13で接着することで形成している。代替的に、特許文献1および2に記載されているように、略長方形のシートを折り曲げることで基材11を形成してもよい。開口部11cから空気が吹き込まれると略筒状に変形できる袋状に形成されれば、基材11の形成方法に特に制限はない。
【0017】
なお、特許文献1および2に記載されている略長方形のシートを折り曲げて袋状の基材11を形成する方法は、第1面11aまたは第2面11bの何れかの面に基材11が積層されることになる。そのため、基材11が積層する部分の長さ、および、接着剤層の厚さによっては、第1面11aおよび第2面11bの強度等の特性が変わる可能性がある。一方、図3に示す例では、第1基材11aおよび第2基材11bに同じ材料を用いれば、第1面11aと第2面11bの強度等の特性はほぼ同じにできる。本出願で開示する伸縮体は、基材11に巻き戻し力を付与する線状体12を、第1面11aおよび第2面11bの両面に配置することを特徴としている。製造した伸縮体1の品質を安定化するためには、線状体12の巻き戻し力以外の条件は、一定であることが望ましい。したがって、限定されるものではないが、本出願で開示する伸縮体1の基材11としては、図3に示す基材11の方が好ましい。
【0018】
なお、本明細書において「略筒状」とは、開口部11cから空気が吹き込まれることで基材11が潰れた状態(図3に示す状態)から、膨らむ状態(図示は省略)になることを意味する。したがって、基材11が膨らんだ際の断面は、略円形に限定されず、略楕円形等の形状であってもよい。
【0019】
伸縮体1の長さ(長手方向、図1に示す例では符号L)は、健康促進や治療、美容等の吹き戻し10の使用目的や、使用者の口腔機能状態や体調等の使用者状況などに応じて設定することができる。本出願で開示する伸縮体1は、伸縮体1の長さを長くできる。後述する実施例に示す通り、伸縮体1の長さは、限定されるものではないが、600mm以上、650mm以上、700mm以上、800mm以上、900mm以上、1000mm以上、1100mm以上、1200mm以上、1300mm以上にできる。上限は、後述する実施例および比較例に示すとおり、配置する線状体12の本数に応じて設定すればよい。
【0020】
伸縮体1の幅(図1に示す例ではW)も、使用目的等に応じて適宜設定すればよい。限定されるものではないが、幅Wは、例えば、20mm以上、25mm以上、30mmmm以上が挙げられる。また、幅Wは、例えば、50mm以下、45mm以下、40mm以下、35mm以下が挙げられる。
【0021】
図1に示す例では、伸縮体1を伸ばした状態の基材11の平面視の形状は、略長方形である。基材11の平面視の形状は、本出願で開示する伸縮体1の機能を奏する範囲内であれば略長方形に限定されない。例えば、開口部11c側の幅Wが長く、先端側(11cとは反対側)に行くほど幅Wが短くなる略台形状、あるいは、開口部11c側の幅Wが短く、先端側(11cとは反対側)に行くほど幅Wが長くなる略台形状であってもよい。
【0022】
基材11に用いる材料は、上記のとおり、開口部11cから空気が吹き込まれると略筒状に変形できる材料であれば特に制限はない。所定の厚み、強度、密度、耐久性を有する紙、樹脂シート等が挙げられる。
【0023】
線状体12は、外力を加えない状態(伸縮体1に空気を吹き込まない状態)では、基材11を渦巻状(コイル状)に巻くことができ、真っ直ぐに伸ばして外力を解除すると、基材11を渦巻状に巻き戻す力が作用するものである。個々の線状体12が有する巻き戻す力(弾性力・弾性係数)は、第1面11aおよび第2面11bに配置する線状体12の本数等に応じて適宜設定すればよい。線状体12は、例えば、ステンレス等の材料で作製した針金等が挙げられる。線状体12の断面は略円形であってもよいし、特許文献1に記載のように断面が横長形状で、横面が第1面11aおよび第2面11bに沿うように配置されてもよい。
【0024】
線状体12は、第1面11aおよび第2面11bの両面の長手方向に配置されている。特許文献1および2等に記載の従来の吹き戻しでは、線状体が配置されるのは、第1面11a側のみである。したがって、本出願で開示する伸縮体1は、従来技術に開示されていない新規の構造である。
【0025】
線状体12は、第1面11aおよび第2面11bの両面の長手方向に配置されていれば、それぞれの面に配置される線状体12の数に特に制限はないが、後述する実施例および比較例に示す通り、同じ巻き戻し力の針金を用いた場合は、第2面11bに配置される線状体12の数は、第1面11aに配置される線状体12の数と同じであることが好ましく、第1面11aに配置される線状体12の数より多い方がより好ましい。
【0026】
また、実施例および比較例の結果から、第1面11aに配置される線状体12の巻き戻し力の総和をP1と規定し、第2面11bに配置される線状体12の巻き戻し力の総和をP2と規定した際に、P1=P2が好ましく、P1<P2がより好ましいと規定してもよい。巻き戻し力の総和で規定する場合、個々の線状体12の巻き戻し力は異なっていてもよい。例えば、第2面11bに配置する個々の線状体12の巻き戻し力の方が、第1面11aに配置する個々の線状体12の巻き戻し力より大きい場合、P1=P2、または、P1<P2となれば、第2面11bに配置される線状体12の数が、第1面11aに配置される線状体12の数より少なくてもよい。
【0027】
線状体12は、第1面11aおよび第2面11bに接着剤等を用いて固定すればよい。なお、伸縮体1は、任意付加的に、第1面被覆シート14aおよび第2面被覆シート14bを含んでもよい。第1面被覆シート14aおよび第2面被覆シート14bを含む場合は、線状体12を第1面11aおよび第1面被覆シート14aで挟むように保持し、第2面11bおよび第2面被覆シート14bで挟むように保持できる。したがって、線状体12を第1面11aおよび第2面11bにより強固に固定できる。なお、図3に示す例は、理解を容易にするため、第1面被覆シート14aおよび第2面被覆シート14bは、端部以外は第1面11aおよび第2面11bから離間して記載されている。第1面被覆シート14aおよび第2面被覆シート14bは、線状体12部分を除き、第1面11aおよび第2面11bに接着するように配置すればよい。第1面被覆シート14aおよび第2面被覆シート14bは、基材11と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
【0028】
伸縮体1は、任意付加的に、専管体2を含んでもよい。専管体2は、略筒状で基材11の開口部11cに接続される専管部である。専管体2は、例えば、所定の材質を有する紙材や樹脂等で構成された円筒体で、一端部が開口部11cから基材11の内部に挿入される。基材11と専管体2は、オーバーラップする部分を接着剤等で接着してもよいし、基材11と専管体2の境界部分を、ビニルテープなどで固定してもよい。
【0029】
口吹体3は、袋状の基材11の内部に流入する空気量を調整する流量調整機構を有する場合がある。また、伸縮体1は、使用目的に応じて巻き戻し力が異なる伸縮体1を複数準備し、好適な伸縮体1と口吹体3を組合わせて使用する場合がある。伸縮体1が専管体2を含む場合は、伸縮体1と口吹体3の接続が容易になる。なお、伸縮体1と口吹体3の組み合わせを変更しない場合は、伸縮体1に口吹体3を直接接続し、固定してもよい。
【0030】
口吹体3は、略筒状で、使用者が口にくわえて空気を吹き込む口吹部である。伸縮体1に直接口吹体3を接続する、或いは、伸縮体1が専管体2を含む場合には専管体2に口吹体3を接続することで、吹き戻し10を提供できる。口吹体3は、本技術分野で公知の口吹体3を用いることができる。口吹体3は、例えば、樹脂等で形成すればよく、必要に応じて流量調整機構等を含んでいてもよい。
【0031】
以下に実施例を掲げ、本出願で開示する実施形態を具体的に説明するが、この実施例は単に実施形態の説明のためのものである。本出願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
【実施例0032】
[伸縮体の作製]
<材料>
・第1基材および第2基材:グラシン紙(日本製紙社製、厚さ:30.5g/m2
・針金:SUS304(直径:0.2mm)
【0033】
<製造方法>
以下の手順により伸縮体を作製した。
(1)2枚のグラシン紙(第1基材および第2基材)を、開口部を除き接着剤で張り合わせることで、袋状の基材を作製した。
(2)後述する表1に示す本数の針金を、第1面に配置し、紙製の第1面被覆シートを第1面に接着することで、針金を第1面に被覆固定した。
(3)引き続き、第2面に針金を配置するため、上記(2)で作製した基材を一度巻き取った。
(4)巻き取った基材を延伸し、後述する表1に示す本数の針金を、第2面に配置し、第1面被覆シートと同じ材料の第2面被覆シートを第2面に接着することで、針金を第2面に被覆固定した。
(5)針金を配置した基材を、表1に示す様々な長さにカットした。なお、幅は、33mmであった。
(6)カットした針金を配置した基材を金属棒でしごき、針金に巻き戻し力を付与することで伸縮体を作製した。
なお、上記(2)および(4)の工程において、針金を1本配置する場合は、幅W方向の中間位置に配置した。また、針金を2本以上配置する場合は、針金の本数をnと規定した際に、W/n+1の間隔で、幅W方向の端部から均等の間隔となるように配置した。また、比較例1~3は、第2面に針金を配置しなかった以外は、上記と同様の手順で作製した。
【0034】
[吹き戻しの作製]
上記[伸縮体の作製]で作製した伸縮体に、紙で作製した専管体の一端を挿入し、樹脂で作製した口吹体を専管体の他端に挿入することで吹き戻しを作製した。なお、専管体の一端は、開口部から基材の内部に約10mm挿入し、伸縮体と専管体の境界付近をビニールテープで固定した。専管体と口吹体の境界付近も、ビニールテープで固定した。
【0035】
[作製した吹き戻しの評価]
作製した吹き戻しに空気を吹き込むことで巻き戻されている伸縮体を伸長させ、空気を吹き込むことを止めることで伸縮体を巻き戻す動作、を繰り返すことで伸縮体の評価を行った。評価基準は以下のとおりである。
〇:50回以上の伸縮動作をしても折れなかった。
△:5回以内の伸縮動作で折れた。
×:1回目の伸縮動作で折れた。
なお、折れるとは、空気を吹き込んで伸縮体が伸長した後、空気を吹き込むことを中止することで伸縮体が巻き戻される際に伸縮体が折れることを意味する。
【0036】
表1に、伸縮体の長さ、第1面および第2面に配置した針金の本数、並びに、評価結果を示す。なお、表1に示す実施例1~12および比較例1~3の評価結果は、それぞれ、10個の平均値である。
【表1】
【0037】
表1から明らかなように、第1面のみに針金を配置した従来の伸縮体と比較して、第1面に加え、第2面にも針金を配置することで、伸縮体を顕著に長くできることを確認した。また、第2面に配置される針金の数を増やすと伸縮体を長くしても折れ難くなる傾向が見られたことから、第1面および第2面に配置される針金の数は同じにすることが好ましく、第1面より第2面に配置される針金の数を多くする方がより好ましいことを確認した。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本出願で開示する伸縮体および該伸縮体を含む吹き戻しは、伸縮体の長手方向の長さを長くしても、従来の伸縮体より折れ難い。したがって、健康促進、治療、美容、おもちゃ等に吹き戻しを使用する際の適用範囲が拡大する。健康機器産業、医療産業、玩具産業等に有用である。
【符号の説明】
【0039】
1…伸縮体、11…基材、11a…第1基材(第1面)、11b…第2基材(第2面)、11c…開口部、12…線状体、13…接着剤、14a…第1面被覆シート、14b…第2面被覆シート、2…専管体、3…口吹体、10…吹き戻し
図1
図2
図3