(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154457
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
B32B 27/38 20060101AFI20231013BHJP
C08G 59/02 20060101ALI20231013BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20231013BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20231013BHJP
H02K 3/30 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B32B27/38
C08G59/02
B32B15/08 E
B32B15/08 U
H01F37/00 J
H02K3/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063743
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000229597
【氏名又は名称】日本パーカライジング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 勇太
(72)【発明者】
【氏名】和智 大介
(72)【発明者】
【氏名】有吉 裕亮
(72)【発明者】
【氏名】小澤 かおり
【テーマコード(参考)】
4F100
4J036
5H604
【Fターム(参考)】
4F100EH46B
4F100EH61B
4F100EJ42
4F100EJ42B
4F100JG04
4J036AA01
4J036AA05
4J036AB01
4J036AB02
4J036AB03
4J036AC01
4J036AD08
4J036AE07
4J036AG04
4J036AJ02
4J036AJ03
4J036AJ14
4J036CA03
4J036CA08
4J036CA09
4J036CA13
4J036CA17
4J036CA19
4J036CA20
4J036CA22
4J036CA24
4J036CA30
4J036CB04
4J036CB05
4J036CC01
4J036DC27
4J036GA07
4J036GA09
4J036GA10
4J036GA11
4J036GA29
4J036HA12
4J036JA01
4J036JA05
4J036JA08
4J036KA01
5H604DA15
5H604DB01
(57)【要約】
【課題】高温耐久性に優れた電子部品を提供することを課題とする。
【解決手段】金属部分を有し、該金属部分の全部又は一部に皮膜を有する電子部品であって、前記皮膜が特定のアニオン性エポキシ樹脂又はその塩、を含む、電子部品により、課題を解決する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属部分を有し、該金属部分の全部又は一部に皮膜を有する電子部品であって、
前記皮膜が、
下式(1)で表される構造単位と、下式(2)及び下式(3)で表される構造単位のうち少なくとも一つと、下式(4)及び下式(5)で表される構造単位のうち少なくとも一つと、を含むアニオン性エポキシ樹脂又はその塩、
を含む、電子部品。
【化1】
[式(1)中、R
1は下式(1a)、下式(2a)又は下式(3a)で表される構造である。式(2)中、R
7は下式(4a)又は下式(5a)で表される構造である。式(3)中、R
8は下式(6a)又は下式(7a)で表される構造である。式(4)中、R
9は下式(8a)又は下式(9a)で表される構造である。式(5)中、R
10は下式(10a)又は下式(11a)で表される構造である。]
【化2】
[式(1a)中、R
2は、単結合、C(CH
3)
2、CH(CH
3)、CH
2、S、O又はSO
2である。式(2a)中、R
3~R
6は各々独立して、水素原子、メチル基、アルキルカルボニル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。式(5a)中、R
17は水素原子又はアルキル基である。式(8a)中、R
11~R
13は各々独立して、水素原子、メチル基又はアルコキシ基を表す。式(10a)中、R
14及びR
15は各々独立して、水素原子、メチル基又はアルコキシ基を表す。]
【請求項2】
前記電子部品がモーターを構成する電子部品、バスバー、リアクトル、電線及び焼結磁石からなる群から選択される、請求項1に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特定の樹脂を含む表面処理剤を用いて、優れた皮膜を金属材料上に形成する検討がなされている。例えば、特許文献1には、特定の構造を有するアニオン性エポキシ樹脂等を含む表面処理剤を用いて金属材料に表面処理をすることで、エッジカバー性及び絶縁性に優れた皮膜を形成できる旨、開示されている。
一方、種々の製品に用いられる電子部品は、使用環境が多様化しつつある。このような状況下において、電子部品には使用される環境下において高い耐久性を満たすことが求められている。特許文献2には、金属磁性粉を含む絶縁体を用いた電子部品において、その絶縁体上に樹脂のコーティング膜を形成することで、耐湿性や耐薬品性等に優れた電子部品を得ることができる旨、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-116552号公報
【特許文献2】国際公開第2016/013643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の通り、電子部品にはその使用される環境下において高い耐久性を満たすことが求められている。例えば、自動車等で用いられる電子部品には、高温環境下でも長時間にわたって絶縁性等の性能が持続すること(高温耐久性)が求められる。特許文献2に開示されているコーティング膜が形成された電子部品は、上記高温耐久性の観点において、改善の余地が残されている。本発明は、上記高温耐久性に優れた電子部品を提供することを課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
[1]金属部分を有し、該金属部分の全部又は一部に皮膜を有する電子部品であって、
前記皮膜が、
下式(1)で表される構造単位と、下式(2)及び下式(3)で表される構造単位のうち少なくとも一つと、下式(4)及び下式(5)で表される構造単位のうち少なくとも一つと、を含むアニオン性エポキシ樹脂又はその塩、
を含む、電子部品。
【化1】
[式(1)中、R
1は下式(1a)、下式(2a)又は下式(3a)で表される構造である。式(2)中、R
7は下式(4a)又は下式(5a)で表される構造である。式(3)中、R
8は下式(6a)又は下式(7a)で表される構造である。式(4)中、R
9は下式(8a)又は下式(9a)で表される構造である。式(5)中、R
10は下式(10a)又は下式(11a)で表される構造である。]
【化2】
[式(1a)中、R
2は、単結合、C(CH
3)
2、CH(CH
3)、CH
2、S、O又はSO
2である。式(2a)中、R
3~R
6は各々独立して、水素原子、メチル基、アルキルカルボニル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。式(5a)中、R
17は水素原子又はアルキル基である。式(8a)中、R
11~R
13は各々独立して、水素原子、メチル基又はアルコキシ基を表す。式(10a)中、R
14及びR
15は各々独立して、水素原子、メチル基又はアルコキシ基を表す。]
[2]前記電子部品がモーターを構成する電子部品、バスバー、リアクトル、電線及び焼結磁石からなる群から選択される、[1]に記載の電子部品。
などである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、高温耐久性に優れた皮膜を有する電子部品を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態に係る金属部分の全部又は一部に皮膜を有する電子部品及びその製造方法について説明する。
【0008】
<電子部品>
本実施形態において用いることのできる電子部品は、金属部分を有する電子部品であり、表面の全部または一部が金属で構成されている電子部品であれば特に制限はない。電子部品の種類としては、例えば、モーターを構成する電子部品(ステータ(固定子)、ロータ(回転子)及びリード線等)、バスバー、リアクトル、電線、焼結磁石等を挙げることができる。
【0009】
電子部品の表面の全部又は一部を構成する金属としては、特に制限されるものではないが、例えば、鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等が挙げられる。上記金属は、電子部品の全部又は一部の表面上に膜の形態で構成されていてもよい。上記金属の膜としては、各種金属材料(合金材料を含む);セラミック;ガラス;樹脂フィルム;シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、サファイア、ガラス、リン化ガリウム(GaP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、リン化インジウム(InP)、窒化ガリウム(GaN)等のウェハー;等の材料の表面上に、スパッタリング法、CVD法、レーザー蒸着、インクジェット法、パターンめっき転写法、ダマシン法等で形成したものを具体的に挙げることができる。なお、上記材料と、上記金属の膜との間に、別の膜(例えば、チタン又はチタン合金の膜等)が蒸着法やスパッタリング法等で形成されたものであってもよい。チタン合金としては、チタンとチタン以外の金属元素を含み、チタンが最も多く含まれているものであれば特に制限されるものではない。具体的には、JIS H 4600:2012に定められている、チタン-パラジウム合金系、チタン-ニッケル-クロム-ルテニウム-パラジウム合金系、チタン-タンタル合金系、チタン-パラジウム-コバルト合金系、チタン-ニッケル-ルテニウム合金系、チタン-アルミニウム合金系、チタン-アルミニウム-バナジウム合金系などが挙げられる。
【0010】
また、電子部品が有する金属部分の大きさは特に限定されるものではなく、電子部品の種類により異なるが、典型的には、自動車ボディーなどのような大きな部品ではない。
その大きさの一例としては、長径が1mm以上であり、10mm以上であってよく、また1000mm以下であり、500mm以下であってよく、300mm以下であってよい。
【0011】
上記電子部品については、例えば、以下に示すものが具体例として挙げられる。
【0012】
国際公開第2019/077793号公報には、マイカを含むマイカ層(7)と、このマイカ層(7)に積層され、フィラー粒子(10)および補強材(11)を含む補強層(8)とで構成される絶縁被覆材(6)を有する固定子コイルが開示されている。上記固定子コイルを対象として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0013】
特開2019-116552号公報には、固定子鉄心12と固定子コイル11の隙間を充填し両者を絶縁及び固着する絶縁シート1が開示されている。上記固定子鉄心12と固定子コイル11の隙間の充填に、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0014】
特開2020-114179号公報には、回転電気の固定子10に備えられているカラー13及びコイルエンド12aについて、カラー13の外周部13cとコイルエンド12aの内周部12bとの間に弾性のある物体(例えば、絶縁紙)を介在させることができる旨、記載されている。上記弾性のある物体として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0015】
特開2019-6924号公報には、固定子鉄心21と、固定子鉄心21の内周部に多数個設けられているスロット15と、スロット15に巻回された固定子コイル60と、を含む固定子20について、上記固定子コイル60を電気機器絶縁用樹脂組成物の硬化物で被覆することが記載されている。また、特開2016-124878号公報には、上記固定子コイル60に樹脂組成物601を被覆することが記載されている。上記固定子コイル60に対して、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0016】
特開2015-171249号公報には、ステッピングモーター10に用いられる固定子コア11に絶縁コーティングをすることが記載されている。上記固定子コア11に対して、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0017】
特開2021-60263号公報には、多数の突出磁極(13)を有する1個のみの輪状ステータ(10)を用いた二重冗長系レゾルバが記載されている。上記二重冗長系レゾルバは、上記各突出磁極(13)のうち、一対の突出磁極(13)を1個の部品とした1個の分割コア(21)の間が非磁性体(20)によって絶縁されていることが記載されている。上記分割コア(21)間の非磁性体(20)として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0018】
特開2020-18080号公報には、輪状ステータ1及び各磁極2の全面に、各磁極2に巻回されるステータ巻線10との間の絶縁を得るための輪状絶縁キャップ4が設けられていることが記載されている。上記輪状絶縁キャップ4として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0019】
特開2020-145854号公報及び特開2020-145854号公報には、複数の芯部が環状に配置されたモータコアと、上記芯部に挿入される空芯コイルと、を備えるステータにおいて、上記芯部と上記空芯コイルとの間に絶縁紙が配置されていることが記載されている。上記絶縁紙に代わるものとして、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0020】
国際公開第2021/153540号公報には、モータステータ30は、電磁鋼板を重ね合わせて形成され、ステータコア31と、インシュレータ34と、励磁コイル35とを含んでいることが記載されている。上記インシュレータ34として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0021】
特開2021-118674号公報に開示さているモータは、望ましい態様として、ステータコアとモータ巻線とを絶縁する絶縁材を有していることが記載されている。上記絶縁材として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0022】
特開2020-102898号公報には、ステータ100を構成するコイル部20が、複数の平角導線20aが互いに接合されることにより形成されており、上記平角導線20aは、導電性部材20bの周囲を絶縁被膜20cが覆うように形成されている旨、記載されている。上記絶縁被膜20cとして、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0023】
特開2021-52462号公報には、ロータ10の円筒状の覆い部材13の外周面に樹脂被膜14が形成されていることが記載されている。上記樹脂被膜14として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0024】
特開2019-176616号公報には、モータMTが有している静止部3が、板状の配線部材36と、電流が流れる導電部材(リード線)306とを有しており、上記リード線は絶縁体による被覆を有している旨、記載されている。上記絶縁体による被覆として、
本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0025】
特開2021-89890号公報には、複数の機器の端子部同士を、それらの端子部間に配設される通電部材を介して通電状態に接続する端子間接続構造が開示されている。上記端子間接続構造の通電部品54に用いられるバスバー56、ボルト84等に本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0026】
特開2021-48001号公報には、インバーターやコンバーター等の電力変換装置内にて電流を伝送するための配線部材として用いられる、絶縁層を有するバスバー(絶縁バスバー10)が開示されている。上記絶縁バスバーの絶縁層2として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0027】
特開2021-57139号公報には、互いの間に間隙が存する状態で同一平面内に配置され且つ前記間隙内に充填された間隙充填部を含む絶縁性樹脂層によって絶縁状態で連結された第1及び第2バスバーを有するバスバーアッセンブリが開示されている。また、上記バスバーアッセンブリの絶縁性樹脂層30を形成する絶縁性樹脂材には、インシュリード(登録商標)が好適に利用されることが記載されている。上記絶縁性樹脂材として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0028】
特開2019-153501号公報には、平角導体と、上記平角導体を被覆する絶縁皮膜とを備えた絶縁平角導体が開示されている。また上記絶縁平角導体を用いたコイルが開示されている。上記絶縁被覆として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0029】
特開2019-197779号公報には、リアクトルを構成するコイル1の導線10が絶縁材料により被覆されていることが記載されている。上記絶縁材料による被覆として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0030】
特開2019-87540号公報には、鉄道車両用の絶縁電線が開示されている。上記絶縁電線は導体110の外周上に複層の層が配置された構成をしている。これらの複数の層のうち、導体110と接する半導電層130について、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0031】
特開2019-117793号公報には、電子機器類の内部配線に使用される絶縁電線及びケーブルが開示されている。上記絶縁電線は、導体と、上記導体の外周に被覆された塩化ビニル樹脂組成物からなる絶縁層から形成されているが、上記絶縁層として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0032】
特開2019-106387号公報には、鉄道車両、自動車、機器用などに適用される多層絶縁電線及び多層絶縁ケーブルが開示されている。上記多層絶縁電線の一実施形態である2層絶縁電線10は、導体11と、導体11に被覆された絶縁内層12と、絶縁内層12に被覆された絶縁外層13とを備えているが、上記絶縁内層12について、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0033】
特開2021-111448号公報には、産業用モータ等のモータに使用されるエナメル線が開示されている。上記エナメル線は、導体と、絶縁皮膜とから構成されているは、上記絶縁皮膜について、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0034】
特開2021-141011号公報には、モータや変圧器などの各種電気機器等に用いられる電気コイルが開示されている。上記電気コイルには絶縁銅線が巻回されており、上記絶縁銅線は、銅線と、銅線の表面を被覆する絶縁皮膜とを有している。上記銅線の表面
を被覆する絶縁皮膜として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0035】
特開2020-161410号公報には、車両用モーターのコイル等に用いられる絶縁電線が開示されている。上記絶縁電線は、複数の素線部11を有する導電部1と、導電部1の外周を覆う絶縁層2と、を有している。上記絶縁層2について、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0036】
特開2021-153109号公報には、家電・産業用モータ、電気自動車(EV)やハイブリッド自動車(HEV)の駆動用モータや電動パワーステアリング(EPS)用モータなどの製品で使用される焼結磁石が開示されている。上記焼結磁石には樹脂塗料を用いた表面処理を行って良い旨記載されており、上記表面処理として、本実施形態に係る皮膜を適用することができる。
【0037】
<皮膜>
本実施形態に係る電子部品は金属部分を有し、該金属部分の全部又は一部に皮膜を有する。前記皮膜は、アニオン性エポキシ樹脂(以降、樹脂と表記する。)又はその塩を含む。前記皮膜によって本実施形態に係る電子部品は高温耐久性が向上し長寿命化が可能となり、もって資源の有効活用を図ることができる。
【0038】
<樹脂又はその塩>
本実施形態に係る樹脂は、下式(1)で表される構造単位と、下式(2)及び下式(3)で表される構造単位のうち少なくとも一つと、下式(4)及び下式(5)で表される構造単位のうち少なくとも一つと、を含む。
【化3】
【0039】
樹脂における構造単位の組み合わせとしては、式(1)、式(2)及び式(4)の各構造単位の組み合わせ;式(1)、式(2)及び式(5)の各構造単位の組み合わせ;式(1)、式(3)及び式(4)の各構造単位の組み合わせ;式(1)、式(3)及び式(5)の各構造単位の組み合わせ;式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)の各構造単位の組み合わせ;式(1)、式(2)、式(3)及び式(5)の各構造単位の組み合わせ;式(1)、式(2)、式(4)及び式(5)の各構造単位の組み合わせ;式(1)、式(3)、式(4)及び式(5)の各構造単位の組み合わせ;式(1)、式(2)、式(3)、式(4)及び式(5)の各構造単位の組み合わせ;等を挙げることができる。
【0040】
式(1)において、R1は下式(1a)、下式(2a)又は下式(3a)で表される構造である。
【化4】
【0041】
R1が式(1a)である場合、式(1a)中、R2は、単結合、C(CH3)2、CH(CH3)、CH2、S、O又はSO2である。R1が式(2a)である場合、式(2a)中、R3~R6は各々独立して、水素原子、メチル基、アルキルカルボニル基、アルコキシ基又はアルコキシカルボニル基を表す。なお、式(1)の構造単位として、これらの構造単位のうち、1の構造単位が樹脂に含まれていてもよいが、2以上の構造単位が含まれていてもよい。
【0042】
式(2)において、R
7は下式(4a)又は下式(5a)で表される構造である。
【化5】
【0043】
R7が式(5a)である場合、式(5a)中、R17は水素原子又はアルキル基である。なお、式(2)の構造単位として、これらの構造単位のうち、1の構造単位が樹脂に含まれていてもよいが、両方の構造単位が含まれていてもよい。
【0044】
式(3)において、R
8は下式(6a)又は下式(7a)で表される構造である。
【化6】
【0045】
なお、式(3)の構造単位として、これらの構造単位のうち、1の構造単位が樹脂に含まれていてもよいが、両方の構造単位が含まれていてもよい。
【0046】
式(4)において、R
9は下式(8a)又は下式(9a)で表される構造である。
【化7】
【0047】
R9が式(8a)である場合、式(8a)中、R11~R13は各々独立して、水素原子、メチル基又はアルコキシ基を表す。なお、式(4)の構造単位として、これらの構造単位のうち、1の構造単位が樹脂に含まれていてもよいが、2以上の構造単位が含まれていてもよい。
【0048】
式(5)において、R
10は下式(10a)又は下式(11a)で表される構造である。
【化8】
【0049】
R10が式(10a)である場合、式(10a)中、R14及びR15は各々独立して、水素原子、メチル基又はアルコキシ基を表す。好ましくは、R14及びR15が水素原子である。なお、式(5)の構造単位として、これらの構造単位のうち、1の構造単位が樹脂に含まれていてもよいが、2以上の構造単位が含まれていてもよい。
【0050】
上述のような樹脂は、式(6)で表される構造単位をさらに含んでいてもよい。
【化9】
【0051】
式(6)において、R16は炭素数1~20のアルキレン基である。アルキレン基は、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はメチレン基から選ばれる1種の置換基を1又は2個以上有していてもよく、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基及びメチレン基から選ばれる2種以上の置換基をそれぞれ1個又は2個以上有していてもよい。R16が炭素数2~20のアルキレン基である場合、該アルキレン基における隣り合う炭素原子を介して環を構成してもよい。環は、アルキル基及びアルケニル基から選択される1又は2以上の置換基を有していてもよく、アルキル基及び/又はアルケニル基の2個の置換基を有することが好ましい。環が2個の置換基を有する場合、該2個の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。環としては、例えば、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、デカリン環において2つの炭素-炭素結合が2重結合であるビシクロ環(例えば、ビシクロ[4.4.0]デカン-1,7-ジエン等)を挙げることができる。
【0052】
より好適には、アルキレン基は、炭素数が2~18であり、かつ、メチレン基を1個、炭素数が5~9のアルキル基を1個若しくは2個、又は、炭素数が5~9の、アルキル基
、アルケニル基及びアルカジエニル基から選ばれる1種又は2種の置換基を2個、有するか;あるいは、アルキレン基は、炭素数が2~18であり、隣り合う炭素原子を介して上記環のいずれかを構成し、環は、それぞれ独立に、炭素数が5~9の、アルキル基、アルケニル基又はアルカジエニル基である2個の置換基を有する。
【0053】
上記アルキレン基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状でもよい。アルキレン基としては、例えば、炭素数1~20のアルキレン基を挙げることができ、より具体的には、メチレン鎖、エチレン鎖、プロピレン鎖、ブチレン鎖、ペンチレン鎖、ヘキシレン鎖、へプチレン鎖、オクチレン鎖、ノニレン鎖、デシレン鎖、ウンデシレン鎖、ドデシレン鎖等の炭素数1~12のアルキレン基を挙げることができる。
【0054】
上記アルキル基、並びに、アルキルカルボニル基、アルコキシ基及びアルコキシカルボニル基におけるアルキル基としては、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよい。これらアルキル基としては、例えば、炭素数1~20のアルキル基を挙げることができ、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の炭素数1~12のアルキル基を挙げることができる。
【0055】
上記アルケニル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状でもよい。アルケニル基としては、例えば、炭素数2~20のアルケニル基を挙げることができ、より具体的には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基等の炭素数2~12のアルケニル基を挙げることができる。
【0056】
上記アルカジエニル基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状でもよい。アルカジエニル基としては、例えば、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基、ヘプタジエニル基、オクタジエニル基、ノナジエニル基、デカジエニル基等の炭素数4~10のアルケニル基を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
なお、式(6)の構造単位として、これらの構造単位のうち、1の構造単位が樹脂に含まれていてもよいが、2以上の構造単位が含まれていてもよい。
【0058】
本実施形態に係る樹脂の重量平均分子量は、通常1000以上1000000以下の範囲内であり、好ましくは20000以上100000以下の範囲内である。本明細書における重量平均分子量の値は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレンで換算した値である。
【0059】
本実施形態に係る樹脂の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルエタノールアミン塩、ジメチルエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;テトラメチルアミン塩、テトラエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;メチルベンジルアミン塩、ジメチルベンジルアミン塩等のベンジルアミン塩;ピロリジン塩、ピペリジン塩等の脂環式アミン塩;等が挙げられる。
【0060】
<樹脂又はその塩の製造方法>
本実施形態に係る樹脂又はその塩は、該樹脂又は該塩における構造単位の組み合わせに従い、有機溶媒に、式(1)で表される構造単位を有する化合物(以下、「化合物(1)」と称する)、式(2)で表される構造単位を有する化合物(以下、「化合物(2)」と称する)、式(3)で表される構造単位を有する化合物(以下、「化合物(3)」と称する)、式(4)で表される構造単位を有する化合物(以下、「化合物(4)」と称する)
、式(5)で表される構造単位を有する化合物(以下、「化合物(5)」と称する)等を適宜配合し、また、必要に応じて式(6)で表される構造単位を有する化合物(以下、「化合物(6)」と称する)をさらに配合し、所定の温度で重合反応を行うことにより製造することができる。なお、必要に応じて、反応触媒をさらに配合し、重合反応を行ってもよい。重合反応温度は特に制限されるものではないが、通常70℃以上200℃以下の範囲内である。反応時間は特に制限されるものではないが、通常10分間以上24時間以内の範囲内である。
【0061】
化合物(1)としては、例えば、式(1)で表される構造単位の両末端に水素原子が結合したジヒドロキシ化合物;式(1)で表される構造単位の両末端にグリシジル基が結合したジグリシジルエーテル化合物;該ジヒドロキシ化合物の片末端又は両末端におけるヒドロキシ基と、2以上のグリシジルオキシ基を有するポリグリシジルオキシ化合物におけるエポキシ基とを反応させた反応物;該ジグリシジルエーテル化合物の片末端又は両末端におけるエポキシ基と、2以上のヒドロキシ基を有するポリオール化合物におけるヒドロキシ基とを反応させた反応物;等が挙げられる。
【0062】
ジグリシジルエーテル化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、1,6-ジヒドロキシナフタレン等の両末端におけるヒドロキシ基の水素原子がグリシジル基に置換した化合物が挙げられる。
【0063】
ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールE、ビスフェノールF、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、等のビスフェノール化合物;カテコール、3-メチルカテコール、4-メチルカテコール、3-メトキシカテコール、3’,4’-ジヒドロキシアセトフェノン、3,4-ジヒドロキシ安息香酸エチル、2,3-ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,4-ジヒドロキシ-2-メチル安息香酸メチル、2’,3’-ジヒドロキシ-4’-メトキシアセトフェノン、レゾルシノール、5-メトキシレゾルシノール、2-メチルレゾルシノール、5-メチルレゾルシノール、3’,5’-ジヒドロキシアセトフェノン、2’,6’-ジヒドロキシアセトフェノン、2’,4’-ジヒドロキシアセトフェノン、3,5-ジヒドロキシ安息香酸メチル、2,6-ジヒドロキシ安息香酸メチル、3,5-ジヒドロキシ-4-メトキシ安息香酸メチル、2,4-ジヒドロキシ-6-メトキシ安息香酸エチル、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、2’,5’-ジヒドロキシアセトフェノン、2,3-ジメチルヒドロキノン、2,6-ジメチルヒドロキノン、トリメチルヒドロキノン、テトラメチルヒドロキノン等のジヒドロキシベンゼン化合物;2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,8-ジヒドロキシナフタレン、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン;等が挙げられる。
【0064】
ポリグリシジルオキシ化合物としては、例えば、ジグリシジルエーテル化合物の他、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,3-プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル等を挙げることが
できる。なお、ポリグリシジルオキシ化合物として、後述の、トリグリシジルエーテル化合物、テトラグリシジルエーテル化合物等を用いてもよい。
【0065】
ポリオール化合物としては、例えば、ジヒドロキシ化合物の他、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、シクロヘキシルジメタノール、1,3-アダマンタンジオール等が挙げられる。なお、ポリオール化合物として、後述の、トリヒドロキシ化合物、テトラヒドロキシ化合物等を用いてもよい。
【0066】
化合物(2)としては、例えば、式(2)で表される構造単位における3つの末端に水素原子が結合したトリヒドロキシ化合物;式(2)で表される構造単位における3つの末端にグリシジル基が結合したトリグリシジルエーテル化合物;該トリヒドロキシ化合物における1以上のヒドロキシ基と、上記ポリグリシジルオキシ化合物におけるエポキシ基とを反応させた反応物;該トリグリシジルエーテル化合物における1以上のエポキシ基と、上記ポリオール化合物におけるヒドロキシ基とを反応させた反応物;等が挙げられる。
【0067】
トリグリシジルエーテル化合物としては、例えば、α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン又はトリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン等の3つの末端におけるヒドロキシ基の水素原子がグリシジル基に置換した化合物が挙げられる。
【0068】
トリヒドロキシ化合物としては、例えば、α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン又はトリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン等が挙げられる。
【0069】
化合物(3)としては、例えば、式(3)で表される構造単位における4つの末端に水素原子が結合したテトラヒドロキシ化合物;式(3)で表される構造単位における4つの末端にグリシジル基が結合したテトラグリシジルエーテル化合物;該テトラヒドロキシ化合物における1以上のヒドロキシ基と、上記ポリグリシジルオキシ化合物におけるエポキシ基とを反応させた反応物;該テトラグリシジルエーテル化合物における1以上のエポキシ基と、上記ポリオール化合物におけるヒドロキシ基とを反応させた反応物;等が挙げられる。
【0070】
テトラグリシジルエーテル化合物としては、例えば、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン又は1,1’-メチレンビス(2,7-ナフタレンジオール)等の4つの末端におけるヒドロキシ基の水素原子がグリシジル基に置換した化合物が挙げられる。
【0071】
テトラヒドロキシ化合物としては、例えば、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1’-メチレンビス(2,7-ナフタレンジオール)等が挙げられる。
【0072】
化合物(4)としては、例えば、式(4)で表される構造単位の両末端にヒドロキシ基若しくはアミノ基が結合した化合物又はその塩;該構造単位において1方の末端にヒドロキシ基が、他方の末端にアミノ基が、それぞれ結合した化合物又はその塩;等が挙げられる。より具体的には、ヒドロキノンスルホン酸、4,6-ジヒドロキシナフタレン-2-スルホン酸、2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-スルホン酸、3-アミノ-4-ヒドロキシベンゼンスルホン酸、6-アミノ-1-ヒドロキシ-3-ナフタレンスルホン酸、
6-アミノ-4-ヒドロキシ-2-ナフタレンスルホン酸、5-アミノ-1-ヒドロキシ-3-ナフタレンスルホン酸、1-アミノ-2-ヒドロキシ-4-ナフタレンスルホン酸、2,5-ジアミノベンゼンスルホン酸、2,4-ジアミノベンゼンスルホン酸、3,5-ジアミノ-2,4,6-トリメチルベンゼンスルホン酸、3,4-ジアミノナフタレン-1-スルホン酸等の化合物又はその塩が挙げられる。
【0073】
化合物(5)としては、例えば、式(5)で表される構造単位の両末端に水素原子が結合した化合物又はその塩等が挙げられる。より具体的には、3-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸、2,4-ジメチルアニリン-5-スルホン酸、2-アミノベンゼンスルホン酸、4-アミノトルエン-3-スルホン酸、4-メトキシアニリン-2-スルホン酸、2-アミノ-3,5-ジメチルベンゼンスルホン酸、5-アミノトルエン-2-スルホン酸、4-アミノ-3-メチルベンゼンスルホン酸、2-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸、4-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸等の化合物又はその塩が挙げられる。
【0074】
化合物(4)の塩又は化合物(5)の塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルエタノールアミン塩、ジメチルエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;テトラメチルアミン塩、テトラエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;メチルベンジルアミン塩、ジメチルベンジルアミン塩等のベンジルアミン塩;ピロリジン塩、ピペリジン塩等の脂環式アミン塩;等が挙げられる。
【0075】
化合物(6)としては、例えば、式(6)で表される構造単位の両末端に水素原子が結合したジカルボン酸化合物が挙げられる。より具体的には、ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2,2-ジメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、2-エチルアゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,15-ペンタデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,17-ヘプタデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸、1,19-ノナデカンジカルボン酸、1,20-イコサンジカルボン酸、イタコン酸、フタル酸、ダイマー酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキセンジカルボン酸等が挙げられる。上記ダイマー酸としては、例えば、市販の、ハリダイマー200、250又は270S(各ハリマ化成グループ株式会社);ツノダイム205、216、228、395又は346(各筑野食品工業株式会社);Unydyme 14、14R、T-17、18、T-18、22、T-22、27、35、M-9、M-15、M-35若しくは40、又はCentury D-75、D-77、D-78若しくはD-1156、又はSylvatal 7001若しくは7002(各アリゾナケミカル社);Empol 1016、1003、1026、1028、1061、1062、1008又は1012(各BASF社);水素化ダイマー酸(average Mn~570;Sigma-Aldrich社)等が挙げられる。
【0076】
各化合物(1)~(6)の配合量は、製造しうる樹脂における各構造単位の比率に応じて適宜設定すればよい。
【0077】
有機溶媒としては、化合物(1)~(6)を溶解できるものであれば特に制限されないが、例えば、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル等のグリコールエーテル系有機溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケト
ン系有機溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン等のアミド系有機溶媒を用いることができる。これらの有機溶媒は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
反応触媒としては、上記重合反応を促進するものであれば特に制限されないが、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の3級アミン;テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩;等を用いることができる。これらの反応触媒は1種を用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0079】
上述のように製造した樹脂において、式(1)、式(2)、式(3)、式(4)、式(5)、式(6)等で表される構造単位が含まれるか否かの確認は、核磁気共鳴装置を用いて1H NMR及び/又は13C NMRを測定することにより行うことができる。
【0080】
本実施形態に係る皮膜に含まれる、樹脂又はその塩の形態は、そのままの形態であっても、架橋物の形態であってもよい。また、樹脂又はその塩と、ポリイソシアネート化合物等の硬化剤との架橋物の形態であってもよい。
【0081】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI:ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0082】
本実施形態に係る皮膜には、電子部品の金属部分を構成する元素のカチオンが含まれていてもよい。後述する表面処理剤に酸及び/又は酸化剤が含まれる場合には、表面処理剤に電子部品を接触した際に電子部品の金属部分がエッチングされ、エッチングにより生じた金属部分を構成する元素のカチオンが皮膜中に取り込まれる。
【0083】
本実施形態に係る皮膜の厚さとしては、特に制限されるものではないが、通常0.1μm以上1000μm以下の範囲内である。
【0084】
<金属部分の全部又は一部に皮膜を有する電子部品の製造方法>
本実施形態に係る金属部分の全部又は一部に皮膜を有する電子部品の製造方法(以下、単に「製造方法」と称する)は、樹脂又はその塩を含む表面処理剤を、電子部品の金属部分の全部又は一部に接触させる第1工程と、接触させた表面処理剤(未硬化の皮膜)を焼き付ける第2工程とを含む。なお、この製造方法は、第1工程と第2工程との間に、必要に応じて、未硬化の皮膜を水洗する工程を行ってよい。
【0085】
本実施形態に係る表面処理剤は、樹脂又はその塩を含む。上記表面処理剤に含まれる樹脂又はその塩は、エマルションの形態で用いてもよい。また、上記表面処理剤は、表面処理剤に使用される公知の、酸、酸化剤、各種添加剤等をさらに含んでいてもよい。
【0086】
上記エマルションは、例えば、転相乳化法によって樹脂又はその塩を水中に分散させることで得ることができる。分散させる際の温度は特に制限されるものではないが、5℃以上50℃以下であることが好ましい。
【0087】
上記エマルションは、ブロック化ポリイソシアネート等の硬化剤をさらに含んでもよい。また、硬化剤とともに硬化触媒を含ませてもよい。これらを含ませる場合、上記エマルションは、樹脂又はその塩と、硬化剤と、硬化触媒と、を予め混合した後、転相乳化法によって水中に混合物を分散させることで得ることができる。
【0088】
上記ブロック化ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基にブロック剤を反応させ、イソシアネート基を保護することにより得ることができる。
【0089】
ブロック剤としては、例えば、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクタム等のラクタム系化合物、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物、フェノール、パラ-t-ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール系化合物、n-ブタノール、2-エチルヘキサノール等のアルコール類又はエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル系化合物等が挙げられる。これらのブロック剤は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、上記ポリイソシアネート化合物の種類によって適切なものを選択することができる。
【0090】
硬化触媒としては、例えば、すず系触媒、ビスマス系触媒、チタン系触媒、ジルコニウム触媒、アミン系触媒、カルボキシレート系触媒、トリアルキルホスフィン系触媒等、公知の触媒を用いることができる。これらの硬化触媒は、1種用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0091】
上記酸及び酸化剤としては、例えば、弗化水素酸又はその塩、弗化珪素酸又はその塩、弗化チタン酸又はその塩、硝酸鉄(III)、硫酸鉄(III)、メタンスルホン酸鉄(III)
、フッ化鉄(III)、塩化鉄(III)、クエン酸鉄(III)等の水溶性鉄化合物、酢酸、燐
酸、硫酸、硝酸、過酸化水素、過塩素酸、過マンガン酸等の過酸化物等が挙げられる。これらの酸又は酸化剤は単独若しくは2種以上組み合わせて使用することができる。なお、塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、メチルエタノールアミン塩、ジメチルエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;テトラメチルアミン塩、テトラエチルアミン塩等のアルキルアミン塩;メチルベンジルアミン塩、ジメチルベンジルアミン塩等のベンジルアミン塩;ピロリジン塩、ピペリジン塩等の脂環式アミン塩;等が挙げられる。
【0092】
添加剤としては、例えば、pH調整剤、ORP調整剤、キレート剤、耐候剤、抗菌剤、抗カビ剤、顔料、充填材、防錆剤、顔料、染料、造膜助剤、無機架橋剤、有機架橋剤(例えばカルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メラミン系架橋剤等)、シランカップリング剤、ブロッキング防止剤、粘度調整剤、レベリング剤、消泡剤、分散安定剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、無機、有機充填剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0093】
上記表面処理剤は、例えば、水性媒体に、樹脂又はその塩を、必要に応じて、さらに、酸、酸化剤、各種添加剤等を加えて混合することにより製造することができる。また、上記エマルションを表面処理剤として用いてもよいし、上記エマルションに酸、酸化剤、各種添加剤等を加えて混合したものを表面処理剤として用いてもよい。
【0094】
上記第1工程における接触方法としては、例えば、ディップ(浸漬)法、塗布法、スプレー法、流しかけ法、電着塗装法等が挙げられるが、これらに制限されるものではない。接触の温度及び時間は特に制限されるものではないが、それらは、通常5℃以上50℃以
下の範囲内と、0.1秒以上1時間以内の範囲内である。
【0095】
上記第2工程における接触させた表面処理剤を焼き付ける方法は、例えば、100℃以上250℃以下の温度範囲内、1分以上2時間以下の時間範囲内で行われるが、これらの条件に特に制限されるものではない。
【0096】
本実施形態に係る製造方法は、第1工程の前に電子部品の表面に対して脱脂処理工程を行ってもよい。脱脂処理は、電子部品に応じて適した脱脂処理剤を用いて公知の方法により行うことができる。なお、脱脂処理剤としては、例えば、公知の、酸性脱脂剤、アルカリ性脱脂剤、溶剤脱脂剤等が挙げられるがこれらに制限されるものではない。脱脂処理方法としては、特に限定されないが、例えば、スクラブ洗浄、スプレー洗浄(噴射洗浄)、ディップ(浸漬)洗浄等の方法が挙げられる。
【0097】
本実施形態に係る製造方法は、脱脂処理工程後、第1工程前に、電子部品の表面上を水洗する水洗工程を行ってもよいが、水洗工程後、第1工程前にさらに電子部品の表面上を乾燥する乾燥工程を行ってもよい。乾燥方法としては、公知の方法を適用できる。
【0098】
また、第1工程前の脱脂処理工程、水洗工程、乾燥工程等の後であって、第1工程前に、電子部品の金属部分に対して化成処理皮膜を形成させる化成処理工程を行なってもよい。化成処理は、公知の化成処理剤に電子部品を接触させることにより行われる。なお、化成処理方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法を適用することができる。なお、化成処理工程後、第1工程前に、水洗工程を行ってもよいし、さらに、水洗工程後、第1工程前に乾燥工程を行ってもよい。
【実施例0099】
本発明について、実施例及び比較例を用いて説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0100】
製造例1
256.2gのA1と、148.5gのA2と、32.3gのB1と、26.9gのC1とを、536.0gのN-メチル-2-ピロリドンに加え、撹拌しながら120℃に加温した。その後、その温度を維持しながら0.6gのジメチルベンジルアミンを加えて1.5時間反応させた。その後、反応溶液を冷却し、固形分濃度46.4%、重量平均分子量約50,000のアニオン性エポキシ樹脂を得た。得られたアニオン性エポキシ樹脂646.6gを別の容器に量り取り、その後、脱イオン水353.4gをゆっくりと添加し、転相乳化法によって固形分濃度30%の樹脂エマルションを製造した。
【0101】
製造例2~15、17
各成分の仕込み量(質量部で表記)を表1に示す量とした以外は、製造例1と同様の方法で、製造例2~15、17の樹脂エマルションを得た。
【0102】
【0103】
表1中の各記号は、以下の成分をそれぞれ示す。
<成分A>
A1:ビスフェノールAのジグリシジルエーテル化合物(jER#828EL、三菱ケミカル社製)
A2:ビスフェノールA(出光興産社製)
A3:1,6-ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル化合物(EPICLON
HP-4032D、DIC社製)
A4:レゾルシノール(東京化成工業社製)
<成分B>
B1:α,α,α’-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼンにおける3つのヒドロキシ基における水素原子がグリシジル基に置換された化合物(TECHMORE VG-3101L、プリンテック社製)
B2:1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンのトリグリシジルエーテル化合物(jER#1032H60、三菱ケミカル社製)
B3:1,1’-メチレンビス(2,7-ナフタレンジオール)のテトラグリシジルエーテル化合物(EPICLON HP-4710、DIC社製)
B4:1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテル化合物(jER#1031S、三菱ケミカル社製)
<成分C:全て東京化成工業社製>
C1:ヒドロキノンスルホン酸カリウム
C2:2,3-ジヒドロキシナフタレン-6-スルホン酸ナトリウム
C3:4-アミノベンゼンスルホン酸ナトリウム
C4:2-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸ナトリウム
<成分D>
D1:ジカルボン酸化合物(ハリダイマー270S、ハリマ化成社製)
【0104】
<ブロック化ポリイソシアネート>
ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(コスモネートM-200、三井化学社製)452.3gにメチルイソブチルケトン 77.1gを加え、70℃に加温した後、ブチルセロソルブ 470.7gをゆっくり滴下し、滴下終了後90℃に加温した。続けて、90℃の条件下で12時間反応させ、イソシアネート基を完全にブロックしたブロック化ポリイソシアネート硬化剤を得た。なお、イソシアネート基がブロックされたことは、赤外吸収スペクトル測定により、未反応のイソシアネート基由来の吸収がみられるかどうかを確認することで行った。
【0105】
製造例16
各成分の仕込み量を表1に示す量とした以外は、製造例1と同様の方法でアニオン性エポキシ樹脂を得た。得られたアニオン性エポキシ樹脂442.1g、上記合成したブロック化ポリイソシアネート97.7g、及びジオクチル錫(ネオスタンU-820、日東化成社製)6.7gを混合し、その後、脱イオン水453.5gをゆっくりと添加し、転相乳化法によって固形分濃度30%の樹脂エマルションを製造した。
【0106】
<表面処理剤>
製造例1の樹脂エマルション 333.0gに、黒色顔料(SANDYE DP BLACK CN、山陽色素社製)5.5g、NSD-300(日本パーカライジング社製)53.0g及び脱イオン水608.5gを添加し、25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを3.5に調整した後、過酸化水素水を用いてORP(酸化還元電位)を380-420mVに調整し、固形分濃度10%の表面処理剤を調製した。同様に、製造例2から製造例17の樹脂エマルションを用いて、表面処理剤を調製した。
さらに、アクリル-エステル系共重合体(Nipol SX1706A(日本ゼオン社製))の樹脂エマルションを、表面処理剤の固形分濃度が10%になるように用いた以外は、製造例1と同様の方法でアクリル-エステル系共重合体を含む表面処理剤を調製した。
【0107】
<金属材料>
金属材料として、冷延鋼板(SPCC-SD)、アルミニウム合金板(A5052)、及び銅合金板(C1020P)を用いた。
【0108】
<脱脂処理>
アルカリ性脱脂剤[ファインクリーナーE2001(日本パーカライジング社製)のA剤及びB剤がそれぞれ13g/kg及び7g/kgとなるように水に混合した脱脂剤]を用いて、45℃で2分間スプレーすることによって金属材料の表面上を脱脂した。
【0109】
<表面処理>
脱脂した金属材料を、調製した表面処理剤に25℃で1分間浸漬した後、金属材料を水洗した。水洗した金属材料を180℃(PMT:焼付時の金属材料の最高温度)で20分間焼き付け、表面上に膜厚20μmの皮膜を有する試験板を得た。
【0110】
各実施例及び比較例で使用した表面処理剤中の樹脂エマルション及び金属材料については表2に示した通りである。
【0111】
<評価試験>
作製した各試験板を用いて、各種評価試験を行った。各評価試験の結果は表2に示した。
【0112】
<絶縁性試験>
各試験板の皮膜の絶縁破壊電圧を、耐電圧試験機(TOS9201、菊水電子工業株式会社製)を用いて測定した。測定は、初期電圧を50V、昇圧速度を50V/秒とし、カットオフ電流を1.0mAの条件にて行った。得られた絶縁破壊電圧を皮膜の膜厚で除した、単位膜厚あたりの絶縁破壊電圧を用いて、皮膜の絶縁性を評価した。
【0113】
<高温高湿試験>
各試験板を、温度85℃、相対湿度85%に設定した恒温恒湿機(ETAC HIFLEX 楠本化成製)内に3000時間静置した。恒温恒湿機内に静置する前(初期)及び静置から3000時間後のそれぞれの時点における試験板の皮膜の単位膜厚あたりの絶縁破壊電圧を測定し、各皮膜の初期の絶縁破壊電圧に対する3000時間静置後の絶縁破壊
電圧の比(高温高湿試験後の絶縁性保持率)を算出した。得られた比に基づいて、下記の基準にて高温高湿試験の評価を行い、A又はBの評価となったものを合格とした。
A:高温高湿試験後の絶縁性保持率が0.9以上
B:高温高湿試験後の絶縁性保持率が0.6以上0.9未満
C:高温高湿試験後の絶縁性保持率が0.6未満
【0114】
<冷熱サイクル試験>
各試験板を、温度サイクル試験機(ETAC WINTEC 楠本化成製)に静置し、下記1.から4.の順で試験機内の温度を変化させた(1.から4.の温度変化を1サイクルとする)。
1.-50℃で30分保持する
2.150℃へ昇温する
3.150℃で30分保持する
4.-50℃へ冷却する
温度サイクル試験機内に静置する前(初期)及び1000サイクル静置後のそれぞれの時点における試験板の皮膜の単位膜厚あたりの絶縁破壊電圧を測定し、各皮膜の初期の絶縁破壊電圧に対する1000サイクル静置後の絶縁破壊電圧の比(冷熱サイクル試験後の絶縁性保持率)を算出した。得られた比に基づいて、下記の基準にて冷熱サイクル試験の評価を行い、A又はBの評価となったものを合格とした。
A:冷熱サイクル試験後の絶縁性保持率が0.9以上
B:冷熱サイクル試験後の絶縁性保持率が0.6以上0.9未満
C:冷熱サイクル試験後の絶縁性保持率が0.6未満
【0115】
<高温暴露試験>
各試験板を、150℃に設定したオーブン内に3000時間静置した。オーブン内に静置する前(初期)及び静置から3000時間後のそれぞれの時点における試験板の皮膜の単位膜厚あたりの絶縁破壊電圧を測定し、各皮膜の初期の絶縁破壊電圧に対する3000時間静置後の絶縁破壊電圧の比(高温暴露試験後の絶縁性保持率)を算出した。得られた比に基づいて、下記の基準にて高温暴露試験の評価を行い、A又はBの評価となったものを合格とした。
A:高温暴露試験後の絶縁性保持率が0.9以上
B:高温暴露試験後の絶縁性保持率が0.6以上0.9未満
C:高温暴露試験後の絶縁性保持率が0.6未満
【0116】