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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154468
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】表示入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/044 20060101AFI20231013BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231013BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20231013BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20231013BHJP
   H05B 33/26 20060101ALI20231013BHJP
   H05B 33/28 20060101ALI20231013BHJP
   H01H 13/00 20060101ALN20231013BHJP
   H01H 13/02 20060101ALN20231013BHJP
   G09G 3/20 20060101ALN20231013BHJP
   G09G 3/3208 20160101ALN20231013BHJP
【FI】
G06F3/044 Z
G09F9/00 366A
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/26
H05B33/28
H01H13/00 B
H01H13/02 A
G09G3/20 691D
G09G3/20 621K
G09G3/20 670E
G09G3/3208
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063765
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 遼河
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 誠也
【テーマコード(参考)】
3K107
5C080
5C380
5G206
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB00
3K107BB02
3K107BB08
3K107CC41
3K107EE66
3K107HH00
5C080AA06
5C080BB01
5C080BB05
5C080DD09
5C080DD22
5C080DD27
5C080EE17
5C080EE25
5C080EE27
5C080FF03
5C080FF10
5C080GG02
5C080GG12
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ07
5C080KK20
5C080KK23
5C380AA01
5C380AB01
5C380AB04
5C380AB28
5C380AB46
5C380AC13
5C380BA13
5C380BA28
5C380CE04
5C380CE19
5C380CF05
5C380CF27
5C380CF51
5C380CF61
5C380CF62
5C380CF66
5C380DA32
5C380DA33
5C380DA34
5C380DA39
5C380DA57
5C380DA58
5C380FA02
5C380FA03
5C380FA21
5C380FA22
5C380FA23
5C380GA11
5C380HA08
5G206AS27H
5G206AS27Q
5G206AS32H
5G206AS32Q
5G206GS27
5G435AA00
5G435BB05
5G435CC05
5G435EE49
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】検出対象の検出精度を向上させることができる表示入力装置を提供する。
【解決手段】表示入力装置1は、検出対象が接近又は接触する操作入力面30の下方に配置された陽電極20と、陽電極20と対向するように配置された陰電極22と、陽電極20と陰電極22に挟まれ、陽電極20及び陰電極22間に流れる電流に応じて発光する発光部としての有機EL層21と、有機EL層21を発光させる発光モード、及び陽電極20を検出対象の接近又は接触を検出する検出電極とする検出モードを有し、検出モードの際、陰電極22を開放する第1の制御、又は陽電極20と陰電極22を等電位とする第2の制御を行う制御部8と、を備えて概略構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象が接近又は接触する操作入力面の下方に配置された陽電極と、
前記陽電極と対向するように配置された陰電極と、
前記陽電極と前記陰電極に挟まれ、前記陽電極及び前記陰電極間に流れる電流に応じて発光する発光部と、
前記発光部を発光させる発光モード、及び前記陽電極を前記検出対象の接近又は接触を検出する検出電極とする検出モードを有し、前記検出モードの際、前記陰電極を開放する第1の制御、又は前記陽電極と前記陰電極を等電位とする第2の制御を行う制御部と、
を備えた表示入力装置。
【請求項2】
前記発光部を駆動して発光させる駆動部と、
前記陽電極を前記検出電極として前記検出対象の接近又は接触を検出する検出部と、
前記発光モードと前記検出モードにおいて前記陽電極と前記駆動部又は前記検出部との接続を切り替える切替部と、
を備えた、
請求項1に記載の表示入力装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記発光モードの場合、前記陽電極と前記駆動部とを電気的に接続すると共に前記陰電極と接地回路とを電気的に接続するように前記切替部を制御し、前記検出モードの場合、前記第1の制御として前記陽電極と前記検出部とを電気的に接続すると共に前記陰電極を開放するように前記切替部を制御する、
請求項2に記載の表示入力装置。
【請求項4】
前記陽電極と電気的に接続すると共に、前記陰電極と前記切替部を介して電気的に接続した場合、前記陽電極と前記陰電極を等電位とする等電位部を有し、
前記制御部は、前記発光モードの場合、前記陽電極と前記駆動部とを電気的に接続すると共に前記陰電極と接地回路とを電気的に接続するように前記切替部を制御し、前記検出モードの場合、前記第2の制御として前記陽電極と前記検出部とを電気的に接続すると共に、前記陰電極と前記等電位部とを電気的に接続して前記陽電極と前記陰電極とを等電位とするように前記切替部を制御する、
請求項2に記載の表示入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、透明電極と背面電極との間に、蛍光層と絶縁層を積層して構成されるEL発光層を備えたEL照光式タッチスイッチが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このEL照光式タッチスイッチは、EL発光層の透明電極の電位の変化によって、透明絶縁被膜に対する指の接触を検知するタッチ判定回路と、EL発光層を発光駆動するため、透明電極の電位を基準とした交流電圧を出力するEL駆動回路と、が並列に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09-251820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来のEL照光式タッチスイッチは、EL発光層が大きな容量成分を有するため、タッチによる電位の変化が小さく、検出精度が低い問題がある。
【0006】
従って本発明の目的は、検出対象の検出精度を向上させることができる表示入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、検出対象が接近又は接触する操作入力面の下方に配置された陽電極と、陽電極と対向するように配置された陰電極と、陽電極と陰電極に挟まれ、陽電極及び陰電極間に流れる電流に応じて発光する発光部と、発光部を発光させる発光モード、及び陽電極を検出対象の接近又は接触を検出する検出電極とする検出モードを有し、検出モードの際、陰電極を開放する第1の制御、又は陽電極と陰電極を等電位とする第2の制御を行う制御部と、を備えた表示入力装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、検出対象の検出精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1(a)及び図1(b)は、表示入力装置の一例を示す図であり、図1(c)は、表示入力装置のブロック図の一例である。
図2図2(a)は、表示入力装置の発光モードの一例を示す図であり、図2(b)は、検出モードの一例を示す図であり、図2(c)は、発光モードと検出モードの周期の一例に関する図である。
図3図3は、表示入力装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4図4(a)は、表示入力装置の発光モードの一例を示す図であり、図4(b)は、検出モードの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る表示入力装置は、検出対象が接近又は接触する操作入力面の下方に配置された陽電極と、陽電極と対向するように配置された陰電極と、陽電極と陰電極に挟まれ、陽電極及び陰電極間に流れる電流に応じて発光する発光部と、発光部を発光させる発光モード、及び陽電極を検出対象の接近又は接触を検出する検出電極とする検出モードを有し、検出モードの際、陰電極を開放する第1の制御、又は陽電極と陰電極を等電位とする第2の制御を行う制御部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
この表示入力装置は、検出モードの際、第1の制御又は第2の制御によって発光部に流れる電流を抑制して発光部の容量成分の影響を小さくするので、この構成を採用しない場合と比べて、検出対象の検出精度を向上させることができる。
【0012】
[第1の実施の形態]
(表示入力装置1の概要)
図1(a)及び図1(b)は、第1の実施の形態に係る表示入力装置の一例を示す図であり、図1(c)は、表示入力装置のブロック図の一例である。図2(a)は、第1の実施の形態に係る表示入力装置の発光モードの一例を示す図であり、図2(b)は、検出モードの一例を示す図であり、図2(c)は、発光モードと検出モードの周期の一例に関する図である。
【0013】
なお以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率や形状は、実際の比率や形状とは異なる場合がある。また図1(c)、図2(a)、図2(b)、図4(a)及び図4(b)では、主な信号、情報や電流の流れを矢印で示している。
【0014】
表示入力装置1は、一例として、車両に搭載されている。この表示入力装置1は、一例として、図1(a)に示すように、後述する複数の有機EL(Electro-Luminescence)素子2を有し、車両の車載装置の表示部として車載装置に関する表示画像10を表示する機能と、表示画像10として表示されたアイコン11に対する操作入力を受け付ける機能と、を備えている。この表示入力装置1は、一例として、図1(c)に示すように、表示させる画像の情報である表示画像情報Sに基づいて表示画像10を表示する機能を有している。
【0015】
操作入力とは、例えば、検出対象としての操作指9による、操作入力面30に対する接近又は接触によるタッチ操作などである。なお操作入力面30に対する接近とは、後述する静電検出部61の感度が高い際、検出対象が操作入力面30に接触する前のフローティング状態で検出可能となることを示している。
【0016】
車載装置は、一例として、車両全体の設定や自動運転機能の制御を行う車両制御装置、車室内の温度を調整する空調装置、現在地の地図や目的地までの誘導を行うナビゲーション装置、シートの位置や傾きなどを制御するシート装置、音楽や映像を再生する音楽及び映像再生装置などである。
【0017】
また表示入力装置1は、一例として、図1(b)に示すように、タッチ操作によって予め定められた機能がオン状態とオフ状態とに切り替わるスイッチであっても良い。この表示入力装置1は、意匠12を有し、有機EL素子2を照明として使用することにより、操作入力面30に意匠12を表示する。この意匠12は、一例として、操作入力面30に形成された遮光膜をレーザなどで除去して形成される。なお意匠12は、タッチ操作を受け付ける場所が複数の場合、その場所に応じて複数設けられる。
【0018】
表示入力装置1は、図1(c)に示すように、検出対象が接近又は接触する操作入力面30の下方に配置された陽電極20と、陽電極20と対向するように配置された陰電極22と、陽電極20と陰電極22に挟まれ、陽電極20及び陰電極22間に流れる電流に応じて発光する発光部としての有機EL層21と、有機EL層21を発光させる発光モード、及び陽電極20を検出対象の接近又は接触を検出する検出電極とする検出モードを有し、検出モードの際、陰電極22を開放する第1の制御、又は陽電極20と陰電極22を等電位とする第2の制御を行う制御部8と、を備えて概略構成されている。
【0019】
本実施の形態では、検出モードの際、陰電極22を開放する、つまり陰電極22側をハイインピーダンス化することで陽電極20から陰電極22に流れる電流を抑制する第1の制御について説明する。また本実施の形態では、検出対象は、ユーザの操作指9とするがこれに限定されず、スタイラスペンなどの検出可能なものであっても良い。
【0020】
また表示入力装置1は、図1(c)に示すように、有機EL層21を駆動して発光させる駆動部としての表示駆動部60と、陽電極20を検出電極として操作指9の接近又は接触を検出する検出部としての静電検出部61と、発光モードと検出モードにおいて陽電極20と表示駆動部60又は静電検出部61との接続を切り替える切替部としてのスイッチング回路4と、を備えている。
【0021】
制御部8は、発光モードの場合、陽電極20と表示駆動部60とを電気的に接続すると共に陰電極22と接地回路5とを電気的に接続するようにスイッチング回路4を制御し、検出モードの場合、第1の制御として陽電極20と静電検出部61とを電気的に接続すると共に陰電極22を開放するようにスイッチング回路4を制御する。
【0022】
(有機EL素子2の構成)
表示入力装置1は、複数の有機EL素子2を備えている。この有機EL素子2は、図1(c)に示すように、陽電極20と、有機EL層21と、陰電極22と、を備え、保護部3によって保護されている。なお発光部は、有機EL層21に限定されず、陽電極20と陰電極22の間に流れる電流の電気エネルギーを発光のための光エネルギーに変換するものであれば良い。
【0023】
陽電極20は、一例として、ITO(スズドープ酸化インジウム:Indium Tin Oxide)を用いて板形状に形成されている。この陽電極20は、スイッチング回路4を切り替えることにより、表示駆動部60又は静電検出部61と電気的に接続するように構成されている。
【0024】
有機EL層21は、ホール輸送層、発光層及び電子注入層などが積層され、陽電極20と陰電極22とに挟まれている。この有機EL層21は、陽電極20と陰電極22間に流れる電流によって発光し、光211を陽電極20及び保護部3を介して出力する。
【0025】
図1(c)では、有機EL層21の発光機能を発光素子210で示し、有機EL層21の寄生容量成分を素子容量212として表している。
【0026】
陰電極22は、例えば、銅やアルミニウムなどを用いた導電性金属や導電性合金によって板形状に形成されている。陰電極22は、複数の有機EL素子2ごとに設けられている。
【0027】
この陰電極22は、図2(b)及び図2(c)に示すように、スイッチング回路4を切り替えることにより、開放されたり、接地回路5と電気的に接続されたりするように構成されている。
【0028】
(保護部3の構成)
保護部3は、一例として、ポリカーボネートなどの透明樹脂やガラスなどによって板形状に形成されている。保護部3は、表面が操作入力面30となっている。また保護部3の裏面31側には、複数の有機EL素子2が配置されている。
【0029】
(スイッチング回路4の構成)
スイッチング回路4は、一例として、図2(a)及び図2(b)に示すように、陽電極20と表示駆動部60又は静電検出部61との接続の切り替えと、陰電極22と接地回路5との接続及び非接続の切り替えと、を行うように構成されている。スイッチング回路4は、図1(c)に示すように、制御部8から出力される切替信号Sに基づいてそれらの接続の切り替えを行う。
【0030】
スイッチング回路4は、陽電極20と電気的に接続される第1の接点40と、表示駆動部60と電気的に接続する第2の接点41と、静電検出部61と電気的に接続する第3の接点42と、陰電極22と電気的に接続する第4の接点43と、接地回路5と電気的に接続する第5の接点44と、を備えている。
【0031】
なお本実施の形態の陽電極20と陰電極22は、有機EL素子2と同数である。従って第1の接点40~第5の接点44は、有機EL素子2ごとに設けられている。
【0032】
スイッチング回路4は、発光モードの際、図2(a)に示すように、第1の接点40と第2の接点41を電気的に接続すると共に、第4の接点43と第5の接点44を電気的に接続する。この接続により、表示駆動部60から出力される電流Iは、陽電極20、有機EL層21及び陰電極22を介して接地回路5に流れ、有機EL層21が発光する。有機EL層21から出力された光211は、陽電極20及び保護部3を介して外に出力される。
【0033】
スイッチング回路4は、検出モードの際、図2(b)に示すように、第1の接点40と第3の接点42を電気的に接続すると共に、第4の接点43と第5の接点44を非接続とする。この接続により、陽電極20は、静電検出部61から出力された電流Iが陽電極20から陰電極22に流れず、陽電極20が充電される。
【0034】
(接地回路5の構成)
接地回路5は、表示入力装置1の電位の基準を定める回路として構成されている。
【0035】
(表示駆動部60の構成)
表示駆動部60は、図1(c)に示すように、制御部8が出力する表示制御信号Sに基づいて表示信号Sを生成し、スイッチング回路4を介して有機EL素子2を駆動するように構成されている。表示駆動部60は、一例として、定電流出力回路であり、PWM(Pulse Width Modulation)制御により、電流Iの電流量を制御して輝度などを制御している。表示信号Sは、一例として、PWM信号である。
【0036】
(静電検出部61の構成)
静電検出部61は、タッチ操作を検出する検出電極としての陽電極20に一定の電荷を充電し、電位の変化からタッチ操作の有無を判定する、自己容量方式のタッチ検出を行うように構成されている。静電検出部61は、検出した静電容量と比較するためのしきい値610を有している。
【0037】
静電検出部61は、図1(c)に示すように、制御部8から出力される検出制御信号Sに基づいて陽電極20を充電するため、スイッチング回路4を介して電流Iを供給し、また充電した陽電極20から電流Iを読み出して容量の変化としきい値610の比較からタッチ操作の有無を検出するように構成されている。静電検出部61は、タッチ操作が検出された場合、検出情報Sを生成して制御部8に出力する。制御部8は、取得した検出情報Sに基づいてタッチ操作がなされたと判定すると、接続された車載装置に、なされた操作の情報である操作情報Sを出力する。車載装置は、取得した操作情報Sに基づいてタッチ操作に割り当てられた機能を実行する。
【0038】
(制御部8の構成)
制御部8は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部8が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部8は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。
【0039】
制御部8は、上述のように、発光モードと検出モードを有する。制御部8は、一例として、図2(c)に示すように、発光モードと検出モードとを周期的に繰り返すように構成されている。発光モードの周期、及び検出モードの周期は、一例として、図2(c)に示すように、周期T及び周期Tである。発光モードと検出モードは、人が切替を認知できない程度の短期間に切り替わるようにされている。なお発光モードと検出モードとは、同じ周期である場合、一例として、100Hz程度の周期で切り替わる。また表示入力装置1がスイッチとして構成され、長押しに対応する場合、一例として、検出モードが0.5秒程度継続する。
【0040】
この周期T及び周期Tは、同じであっても良いし、異なっても良い。なお発光モードの周期Tは、一例として、検出モードの周期Tより長い方が好ましい。以下では、本実施の形態の表示入力装置1の発光モードと検出モードについて説明する。
【0041】
・発光モードについて
制御部8は、発光モードの際、図1(c)及び図2(a)に示すように、スイッチング回路4に切替信号Sを出力すると共に、表示駆動部60に表示制御信号Sを出力する。
【0042】
スイッチング回路4は、取得した切替信号Sに基づいて第1の接点40と第2の接点41を電気的に接続させて陽電極20と表示駆動部60を電気的に接続すると共に、第4の接点43と第5の接点44を電気的に接続して陰電極22と接地回路5を電気的に接続する。
【0043】
表示駆動部60は、取得した表示制御信号Sに基づいて表示信号Sを生成してスイッチング回路4を介して有機EL素子2に出力する。有機EL素子2は、図2(a)に示すように、表示信号Sに基づく電流Iにより、発光して光211を出力する。
【0044】
・検出モードについて
制御部8は、検出モードの際、図1(c)及び図2(b)に示すように、スイッチング回路4に切替信号Sを出力すると共に、静電検出部61に検出制御信号Sを出力する。
【0045】
スイッチング回路4は、取得した切替信号Sに基づいて第1の接点40と第2の接点41の電気的な接続から第1の接点40と第3の接点42の電気的な接続に切り替えて陽電極20と静電検出部61を電気的に接続すると共に、第4の接点43と第5の接点44の電気的な接続から第4の接点43と第5の接点44の電気的な接続を解除して陰電極22を開放(オープン)、つまりハイインピーダンスの状態とする。
【0046】
静電検出部61は、取得した検出制御信号Sに基づいて電流Iを、スイッチング回路4を介して陽電極20に供給し、陽電極20を充電する。そして静電検出部61は、陽電極20が充電された後、電流Iの供給を停止し、陽電極20から電流Iを読み出す。
【0047】
静電検出部61によって読み出される電流Iは、図2(b)に示すように、操作指9が陽電極20に接近することによって生じる静電容量90によって充電の際の電流Iよりも小さくなり、電流Iから算出される静電容量よりも電流Iから算出される静電容量の方が大きくなる。静電検出部61は、この静電容量の変化量が予め与えられたしきい値610よりも大きい場合、タッチ操作がなされたと判定してタッチ操作がなされたことを示す検出情報Sを制御部8に出力する。
【0048】
なお表示入力装置1は、発光モードと検出モードとの切り替わりの際、陰電極22と接地回路5を電気的に接続することにより、陽電極20及び陰電極22に溜まった電荷を放電するように構成されている。
【0049】
以下に、本実施の形態の表示入力装置1の動作の一例について図3のフローチャートに従って説明する。なお表示入力装置1は、電源が投入された後、発光モードから開始するものとする。
【0050】
(動作)
表示入力装置1の制御部8は、電源が投入されると、まず発光モードを実行する。制御部8は、表示駆動部60に表示制御信号Sを出力して発光モードを開始する(Step1)。
【0051】
制御部8は、発光モードの開始からの時間を計測する。制御部8は、ステップ2の「Yes」が成立する、つまり発光モードの周期Tが終了し、検出モードに切り替わる時間が到来すると(Step2:Yes)、検出モードを開始する(Step3)。
【0052】
制御部8は、検出モードの開始からの時間を計測する。制御部8は、静電検出部61がタッチ操作を検出した場合(Step4:Yes)、操作情報Sを車載装置に出力し(Step5)、ステップ6に処理を進める。
【0053】
ここでステップ4において制御部8は、タッチ操作を検出せず(Step4:No)、検出モードの周期Tが終了して発光モードに切り替える場合(Step6:Yes)、ステップ1に処理を進める。
【0054】
またステップ6において制御部8は、検出モードの周期Tが終了しない場合(Step6:No)、ステップ4に処理を進める。
【0055】
(第1の実施の形態の効果)
本実施の形態に係る表示入力装置1は、検出対象の検出精度を向上させることができる。具体的には、表示入力装置1は、検出モードの際、陰電極22と接地回路5との電気的な接続を解除して開放、つまりハイインピーダンス化することで陽電極20から有機EL層21を介して陰電極22に流れる電流を抑制することができる。有機EL層21は、素子容量212が操作指9と陽電極20との間に生じる静電容量90と比べて非常に大きい。そのため、陽電極20、有機EL層21を介して陰電極22に電流が流れると、操作指9による静電容量の変化が小さくて検出し難い。しかし表示入力装置1は、陰電極22側をハイインピーダンス化することで、陽電極20及び有機EL層21を介して陰電極22に流れる電流を抑制することができるので、静電容量の変化が有機EL層21の素子容量212に影響され難くなり、検出精度が向上する。
【0056】
表示入力装置1は、人が認知できない程度の周期で発光モードと検出モードとを切り替えるので、見かけ上、表示と操作入力とを両立させることができる。
【0057】
表示入力装置1は、検出感度が高いので、保護部3に対する接触のみならず、接近、つまり検出対象のホバー状態の検出を行うことができる。このホバー状態の検出とは、保護部3から離れた位置で検出対象を検出することである。
【0058】
表示入力装置1は、タッチ操作の検出のための検出電極を必要としないので、別途検出電極を設ける場合と比べて、製造工程を簡略化でき、また薄型化することができる。
【0059】
表示入力装置1は、有機EL素子2から出力された光211をタッチ検出のための検出電極を経由せずに出力することができるので、別途検出電極を設ける場合と比べて、透過率が向上して光を効率よく利用でき、高輝度化が容易となる。
【0060】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、陽電極20と陰電極22を等電位とする第2の制御を行う点で第1の実施の形態と異なっている。
【0061】
図4(a)は、第2の実施の形態に係る表示入力装置の発光モードの一例を示す図であり、図4(b)は、検出モードの一例を示す図である。なお以下に記載する実施の形態において、第1の実施の形態と同じ機能及び構成を有する部分は、第1の実施の形態と同じ符号を付し、その説明は省略するものとする。
【0062】
表示入力装置1の制御部8は、図4(a)及び図4(b)に示すように、検出モードの際、陽電極20と陰電極22を等電位とする第2の制御を行うように構成されている。
【0063】
また表示入力装置1は、陽電極20と電気的に接続すると共に、陰電極22とスイッチング回路4を介して電気的に接続した場合、陽電極20と陰電極22を等電位とする等電位部を有する。制御部8は、発光モードの場合、陽電極20と表示駆動部60とを電気的に接続すると共に陰電極22と接地回路5とを電気的に接続するようにスイッチング回路4を制御し、検出モードの場合、第2の制御として陽電極20と静電検出部61とを電気的に接続すると共に、陰電極22と等電位部とを電気的に接続して陽電極20と陰電極22とを等電位とするようにスイッチング回路4を制御する。
【0064】
本実施の形態の等電位部は、一例として、図4(a)及び図4(b)に示すように、ボルテージフォロア回路7であるがこれに限定されず、陽電極20と陰電極22とが等電位となるように充電する構成であれば良い。
【0065】
また陰電極22は、有機EL素子2ごとに、つまり複数の陽電極20と対となる電極として設けられても良いし、複数の陽電極20に対して共通する1つの電極として設けられても良い。
【0066】
(ボルテージフォロア回路7の構成)
ボルテージフォロア回路7は、オペアンプ70によって構成されている。このオペアンプ70は、非反転入力端子71(+端子)が陽電極20とスイッチング回路4との間のノード74に電気的に接続され、反転入力端子72(-端子)が出力端子73とスイッチング回路4との間のノード75に電気的に接続されている。
【0067】
このボルテージフォロア回路7は、1倍の増幅率を有し、非反転入力端子71に入力する電圧Vが出力端子73からそのまま出力される。従ってタッチ操作がない状態では、陽電極20の電圧Vは、陰電極22の電圧Vと等しくなるので、有機EL層21には電流が流れない。以下では、本実施の形態の表示入力装置1の発光モードと検出モードについて説明する。
【0068】
・発光モードについて
制御部8は、発光モードの際、図1(c)及び図4(a)に示すように、スイッチング回路4に切替信号Sを出力すると共に、表示駆動部60に表示制御信号Sを出力する。
【0069】
スイッチング回路4は、取得した切替信号Sに基づいて第1の接点40と第2の接点41を電気的に接続させて陽電極20と表示駆動部60を電気的に接続すると共に、第4の接点43と第5の接点44を電気的に接続して陰電極22と接地回路5を電気的に接続する。
【0070】
表示駆動部60は、取得した表示制御信号Sに基づいて表示信号Sを生成してスイッチング回路4を介して有機EL素子2に出力する。有機EL素子2は、図4(a)に示すように、表示信号Sに基づく電流Iにより、発光して光211を出力する。
【0071】
・検出モードについて
制御部8は、検出モードの際、図1(c)及び図4(b)に示すように、スイッチング回路4に切替信号Sを出力すると共に、静電検出部61に検出制御信号Sを出力する。
【0072】
スイッチング回路4は、取得した切替信号Sに基づいて第1の接点40と第2の接点41の電気的な接続から第1の接点40と第3の接点42の電気的な接続に切り替えて陽電極20と静電検出部61を電気的に接続すると共に、第4の接点43と第5の接点44の電気的な接続から第4の接点43と第6の接点45の電気的な接続に切り替えてボルテージフォロア回路7と陽電極20及び陰電極22とを電気的に接続する。
【0073】
このボルテージフォロア回路7と陽電極20及び陰電極22との接続により、静電検出部61から陽電極20に供給される電流Iによって充電された陽電極20の電圧Vと陰電極22の電圧Vとが等電位となる。
【0074】
静電検出部61は、陽電極20が充電された後、電流Iの供給を停止し、陽電極20から電流Iを読み出す。
【0075】
静電検出部61によって読み出される電流Iは、図4(b)に示すように、操作指9が陽電極20に接近することによって生じる静電容量90によって充電の際の電流Iよりも小さくなり、電流Iから算出される静電容量よりも電流Iから算出される静電容量の方が大きくなる。静電検出部61は、この静電容量の変化量が予め与えられたしきい値610よりも大きい場合、タッチ操作がなされたと判定してタッチ操作がなされたことを示す検出情報Sを制御部8に出力する。
【0076】
ここでボルテージフォロア回路7により、陽電極20と陰電極22が等電位に保たれるので、タッチ操作によって充電された電流Iが電流Iと変化した場合であっても有機EL層21に電流が流れることを抑制することができる。
【0077】
なお表示入力装置1は、発光モードと検出モードとの切り替わりの際、陰電極22と接地回路5を電気的に接続することにより、陽電極20及び陰電極22に溜まった電荷を放電するように構成されている。
【0078】
本実施の形態の表示入力装置1は、第1の実施の形態の図3のフローチャートに従って動作を行う。
【0079】
(第2の実施の形態の効果)
本実施の形態の表示入力装置1は、検出モードの際、陽電極20と陰電極22とをボルテージフォロア回路7によって等電位とすることにより、有機EL層21の素子容量212の影響を抑制してタッチ操作時の容量変化のみを検出することができるので、この構成を採用しない場合と比べて、タッチ操作の検出精度が向上する。
【0080】
表示入力装置1は、オペアンプ70によって構成されるボルテージフォロア回路7によって陽電極20と陰電極22とを等電位とすることができるので、この構成を採用しない場合と比べて、構成が簡素となってコストを抑制することができる。
【0081】
表示入力装置1は、検出モードの際、陽電極20と陰電極22とを等電位とすることから複数の陽電極20に対して1つの陰電極22を備える構成であっても良いし、複数の陽電極20ごとに対となる陰電極22を備える構成であってもタッチ操作の検出精度を向上させることができる。
【0082】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、タッチ操作の検出が必要な場合と必要ない場合とで発光モードと検出モードとを切り替えたり、切り替えなかったりする点で他の実施の形態と異なっている。
【0083】
本実施の形態の表示入力装置1は、制御部8がタッチ操作の検出が必要な場合、発光モードと検出モードとを切り替え、タッチ操作の検出が必要でない場合、発光モードのみとする第3の制御を行うように構成されている。
【0084】
制御部8は、電気的に接続された車載装置から取得した表示画像情報Sに基づいて表示画像10を表示する際、この表示画像10にタッチ操作を受け付ける画像が含まれていない場合、周期的な発光モードと検出モードの切り替えを行わずに発光モードのみとする。
【0085】
また制御部8は、発光モードのみの状態で、新たに取得した表示画像情報Sに基づく表示画像10にタッチ操作を受け付ける画像が含まれていた場合、周期的に発光モードと検出モードとを切り替えるように構成されている。
【0086】
(動作)
表示入力装置1の制御部8は、車載装置から取得した表示画像情報Sに基づいてタッチ操作を受け付ける画像が存在するか否か判定する。制御部8は、タッチ操作を受け付ける場合、第1の実施の形態のステップ1に処理を進める。
【0087】
また制御部8は、タッチ操作を受け付ける画像がない場合、発光モードのみとする。続いて制御部8は、新たに取得した表示画像情報Sに基づいてタッチ操作を受け付ける画像が存在する場合、第1の実施の形態のステップ1に処理を進める。
【0088】
(第3の実施の形態の効果)
本実施の形態の表示入力装置1は、タッチ操作を受け付けない場合、発光モードのみとなるので、発光モードと検出モードとを切り替える場合と比べて、輝度の低下を抑制することができる。
【0089】
以上述べた少なくとも1つの実施の形態の表示入力装置1によれば、検出対象の検出精度を向上させることが可能となる。
【0090】
上述の実施の形態及び変形例に係る表示入力装置1は、例えば、用途に応じて、その一部が、コンピュータが実行するプログラム、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって実現されても良い。
【0091】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1…表示入力装置、2…有機EL素子、4…スイッチング回路、5…接地回路、7…ボルテージフォロア回路、8…制御部、20…陽電極、21…有機EL層、22…陰電極、30…操作入力面、60…表示駆動部、61…静電検出部
図1
図2
図3
図4