(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015447
(43)【公開日】2023-02-01
(54)【発明の名称】電子部品構造体の製造装置、プラズマ照射装置、および電子部品構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/60 20060101AFI20230125BHJP
H05K 3/32 20060101ALI20230125BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
H05K3/32 B
H01L21/60 311Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021119234
(22)【出願日】2021-07-20
(71)【出願人】
【識別番号】501410137
【氏名又は名称】アキム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 博
(72)【発明者】
【氏名】山崎 誠
【テーマコード(参考)】
5E319
5F044
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319BB16
5E319CC12
5E319CD01
5E319CD60
5E319GG20
5F044KK03
5F044LL09
5F044PP15
5F044PP16
5F044PP17
5F044PP19
(57)【要約】
【課題】性能の高い製品を製造可能であるとともに、製造効率の向上を図ることができる電子部品構造体の製造装置等を提供する。
【解決手段】
第一回転テーブル2に電子部品100を搬入して配置する第一搬入部4と、第二回転テーブル3にFPC300を搬入して配置する第二搬入部7と、第一回転テーブル2に搬入された電子部品100の電極の表面にプラズマガスGを照射する第一照射部30と、プラズマガスGが照射された電子部品100の電極の表面にACF200を設ける導電材設置部6と、ACF200が設けられた電子部品100の電極の表面に対してFPC300の電極の表面を第二回転テーブル3の表面が広がるテーブル面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する圧着部9と、圧着済みの電子部品100およびFPC300のセットである電子部品構造体Pを第二回転テーブル3から搬出する搬出部12と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造装置であって、
載置台と、
前記載置台に、前記電子部品および前記基板のうちの一方の部品を搬入して配置する第一搬入部と、
前記載置台に前記電子部品および前記基板のうちの他方の部品を搬入して配置する第二搬入部と、
前記第一搬入部によって前記載置台に搬入された前記一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第一照射部と、
前記プラズマガスが照射された前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設ける導電材設置部と、
前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品の電極の表面に対して前記他方の部品の電極の表面を、前記載置台の表面が広がる載置台面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する圧着部と、
圧着済みの前記一方の部品および前記他方の部品のセットである前記電子部品構造体を前記載置台から搬出する搬出部と、
を備える電子部品構造体の製造装置。
【請求項2】
前記圧着部によって前記一方の部品と前記他方の部品とが圧着される前に、前記第二搬入部によって前記載置台に搬入された前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第二照射部をさらに備える請求項1に記載の電子部品構造体の製造装置。
【請求項3】
電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造装置であって、
載置台と、
前記載置台に、前記電子部品および前記基板のうちの一方の部品を搬入して配置する第一搬入部と、
前記載置台に前記電子部品および前記基板のうちの他方の部品を搬入して配置する第二搬入部と、
前記第二搬入部によって前記載置台に搬入された前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第二照射部と、
前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設ける導電材設置部と、
前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品の電極の表面に対して、前記プラズマガスが照射された前記他方の部品の電極の表面を、前記載置台の表面が広がる載置台面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する圧着部と、
圧着済みの前記一方の部品および前記他方の部品のセットである前記電子部品構造体を前記載置台から搬出する搬出部と、
を備える電子部品構造体の製造装置。
【請求項4】
前記載置台を、搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送する搬送機構を備え、
前記第一搬入部は、前記搬送機構における第一搬入領域に前記一方の部品を搬入して配置し、
前記導電材設置部は、前記搬送機構における第一搬入領域よりも下流側の導電材設置領域で前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設け、
前記第二搬入部は前記搬送機構における前記導電材設置領域よりも下流側の第二搬入領域に前記他方の部品を搬入して配置し、
前記第一照射部は、前記導電材設置領域と同じ位置に配置された第一プラズマ照射領域において前記一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する1または2に記載の電子部品構造体の製造装置。
【請求項5】
前記載置台を、搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送する搬送機構を備え、
前記第一搬入部は、前記搬送機構における第一搬入領域に前記一方の部品を搬入して配置し、
前記導電材設置部は、前記搬送機構における第一搬入領域よりも下流側の導電材設置領域で前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設け、
前記第二搬入部は前記搬送機構における前記導電材設置領域よりも下流側の第二搬入領域に前記他方の部品を搬入して配置し、
前記第二照射部は、前記第二搬入領域と同じ位置に配置された第二プラズマ照射領域において前記他方の部品の電極の表面に、前記プラズマガスを照射する請求項2または3に記載の電子部品構造体の製造装置。
【請求項6】
前記載置台を、搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送する搬送機構を備え、
前記第一搬入部は、前記搬送機構における第一搬入領域に前記一方の部品を搬入して配置し、
前記導電材設置部は、前記搬送機構における第一搬入領域よりも下流側の導電材設置領域で前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設け、
前記第二搬入部は前記搬送機構における前記導電材設置領域よりも下流側の第二搬入領域に前記他方の部品を搬入して配置し、
前記第一照射部は、前記導電材設置領域と同じ位置に配置された第一プラズマ照射領域において前記一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射し、
前記第二照射部は、前記第二搬入領域と同じ位置に配置された第二プラズマ照射領域において前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する請求項2に記載の電子部品構造体の製造装置。
【請求項7】
前記圧着部は、前記第二プラズマ照射領域と同じ位置に配置された圧着領域において、前記一方の部品の電極と前記他方の部品の電極とを圧着する請求項5または6に記載の電子部品構造体の製造装置。
【請求項8】
前記異方性導電材は、異方性導電フィルムであり、
前記圧着領域として、搬送経路の上流側に位置する上流側圧着領域と、搬送経路の下流側に位置する下流側圧着領域を備えており、
前記下流側圧着領域において、前記上流側圧着領域で圧着された前記一方の部品の電極と前記他方の部品の電極とを、追加的に圧着する請求項7に記載の電子部品構造体の製造装置。
【請求項9】
前記搬送機構として、第一回転軸線回りの一方へ回転する第一回転テーブルと、前記第一回転テーブルに併設されて第二回転軸線回りの一方へ回転する第二回転テーブルと、を備え、
前記第一搬入部は、前記第一回転テーブルにおける前記第一搬入領域に前記一方の部品を搬入し、
前記導電材設置部は、前記第一搬入領域よりも、前記搬送方向となる前記第一回転テーブルにおける回転方向の下流側の前記導電材設置領域で前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設け、
前記第二搬入部は、前記第二回転テーブルにおける前記第二搬入領域に前記他方の部品を搬入し、
前記第一回転テーブルの回転方向に前記導電材設置領域の下流側に配置された前記第一回転テーブルにおける受け渡し領域から、前記第二搬入領域に対して前記搬送方向となる前記第二回転テーブルの回転方向に離れた前記第二回転テーブルにおける受け取り領域へ、前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品を受け渡す受渡部をさらに備える請求項4から8のいずれか一項に記載の電子部品構造体の製造装置。
【請求項10】
電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造の際に用いられるプラズマ照射装置であって、
前記電子部品および前記基板のうちの少なくとも一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する照射部を備えるプラズマ照射装置。
【請求項11】
電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造方法であって、
載置台に、前記電子部品および前記基板のうちの一方の部品を搬入して配置する第一搬入ステップと、
前記載置台に前記電子部品および前記基板のうちの他方の部品を搬入して配置する第二搬入ステップと、
前記第一搬入ステップで前記載置台に搬入された前記一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第一照射ステップと、
プラズマガスが照射された前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設ける導電材設置ステップと、
前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品の電極の表面に対して前記他方の部品の電極の表面を、前記載置台の表面が広がる載置台面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する圧着ステップと、
圧着済みの前記一方の部品および前記他方の部品のセットである前記電子部品構造体を前記載置台から搬出する搬出ステップと、
を含む電子部品構造体の製造方法。
【請求項12】
前記圧着ステップの前に、前記第二搬入ステップで前記載置台に搬入された前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第二照射ステップをさらに含む請求項8に記載の電子部品構造体の製造方法。
【請求項13】
電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造方法であって、
載置台に、前記電子部品および前記基板のうちの一方の部品を搬入して配置する第一搬入ステップと、
前記載置台に前記電子部品および前記基板のうちの他方の部品を搬入して配置する第二搬入ステップと、
前記第一搬入ステップで前記載置台に搬入された前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設ける導電材設置ステップと、
前記第二搬入ステップで前記載置台に搬入された前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する照射ステップと、
前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品の電極の表面に対して、プラズマガスが照射された前記他方の部品の電極の表面を、前記載置台の表面が広がる載置台面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する圧着ステップと、
圧着済みの前記一方の部品および前記他方の部品のセットである前記電子部品構造体を前記載置台から搬出する搬出ステップと、
を含む電子部品構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品構造体を製造する製造装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板に一種として、FPC(Flexible printed circuits)と呼ばれるフレキシブル基板が一般に知られている。この種の基板は、非常に薄く柔軟性に優れるため、カメラや携帯電話等の電子機器の可動部分に使用されたり、電子機器の小型化・薄型化に伴う基板の設置スペースの制約により折り曲げ部分に使用されたりしている。
【0003】
ここで一般に電子部品がFPCに接続される際には、ACF(Anisotropic Conductive Film)と呼ばれる異方性導電フィルム等の異方性導電材を介して電子部品とFPCとが電気的に接続されて一体化されることがある。
【0004】
特許文献1には、電子部品としての半導体チップが基板へ、異方性導電接着剤を介して電気的に接続される製造装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように異方性導電材を用いて二つの部品を接続する際には、仮に異方性導電材が設けられる電子部品およびFPCの電極の表面に汚れ等が付着していると、これら電子部品とFPCとの間の通電不良が発生してしまい、最終製品(電子部品とFPCとを接続してなる電子部品構造体)の性能、および歩留まりが低下してしまう可能性がある。
【0007】
そこで本発明は、フレキシブル基板への電子部品を電気的に接続してなる電子部品構造体を製造する際、性能の高い製品を製造可能であるとともに、製造効率の向上を図ることができる製造装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る製造装置は、電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造装置であって、載置台と、前記載置台に、前記電子部品および前記基板のうちの一方の部品を搬入して配置する第一搬入部と、前記載置台に前記電子部品および前記基板のうちの他方の部品を搬入して配置する第二搬入部と、前記第一搬入部によって前記載置台に搬入された前記一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第一照射部と、前記プラズマガスが照射された前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設ける導電材設置部と、前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品の電極の表面に対して前記他方の部品の電極の表面を、前記載置台の表面が広がる載置台面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する圧着部と、圧着済みの前記一方の部品および前記他方の部品のセットである前記電子部品構造体を前記載置台から搬出する搬出部と、を備えている。
【0009】
また上記製造装置は、前記圧着部によって前記一方の部品と前記他方の部品とが圧着される前に、前記第二搬入部によって前記載置台に搬入された前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第二照射部をさらに備えていてもよい。
【0010】
本発明の他の態様に係る製造装置は、電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造装置であって、載置台と、前記載置台に、前記電子部品および前記基板のうちの一方の部品を搬入して配置する第一搬入部と、前記載置台に前記電子部品および前記基板のうちの他方の部品を搬入して配置する第二搬入部と、前記第二搬入部によって前記載置台に搬入された前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第二照射部と、前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設ける導電材設置部と、前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品の電極の表面に対して、前記プラズマガスが照射された前記他方の部品の電極の表面を、前記載置台の表面が広がる載置台面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する第圧着部と、圧着済みの前記一方の部品および前記他方の部品のセットである前記電子部品構造体を前記載置台から搬出する搬出部と、を備えている。
【0011】
また上記製造装置は、前記載置台を、搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送する搬送機構を備え、前記第一搬入部は、前記搬送機構における第一搬入領域に前記一方の部品を搬入して配置し、前記導電材設置部は、前記搬送機構における第一搬入領域よりも下流側の導電材設置領域で前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設け、前記第二搬入部は前記搬送機構における前記導電材設置領域よりも下流側の第二搬入領域に前記他方の部品を搬入して配置し、前記第一照射部は、前記導電材設置領域と同じ位置に配置された第一プラズマ照射領域において前記一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射してもよい。
【0012】
また上記製造装置は、前記載置台を、搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送する搬送機構を備え、前記第一搬入部は、前記搬送機構における第一搬入領域に前記一方の部品を搬入して配置し、前記導電材設置部は、前記搬送機構における第一搬入領域よりも下流側の導電材設置領域で前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設け、前記第二搬入部は前記搬送機構における前記導電材設置領域よりも下流側の第二搬入領域に前記他方の部品を搬入して配置し、前記第二照射部は、前記第二搬入領域と同じ位置に配置された第二プラズマ照射領域において前記他方の部品の電極の表面に、前記プラズマガスを照射してもよい。
【0013】
また上記製造装置は、前記載置台を、搬送方向の上流側から下流側に向けて搬送する搬送機構を備え、前記第一搬入部は、前記搬送機構における第一搬入領域に前記一方の部品を搬入して配置し、前記導電材設置部は、前記搬送機構における第一搬入領域よりも下流側の導電材設置領域で前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設け、前記第二搬入部は前記搬送機構における前記導電材設置領域よりも下流側の第二搬入領域に前記他方の部品を搬入して配置し、前記第一照射部は、前記導電材設置領域と同じ位置に配置された第一プラズマ照射領域において前記一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射し、前記第二照射部は、前記第二搬入領域と同じ位置に配置された第二プラズマ照射領域において前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射してもよい。
【0014】
また上記製造装置は、前記圧着部は、前記第二プラズマ照射領域と同じ位置に配置された圧着領域において、前記一方の部品の電極と前記他方の部品の電極とを圧着してもよい。
【0015】
また上記製造装置は、前記異方性導電材は、異方性導電フィルムであり、前記圧着領域として、搬送経路の上流側に位置する上流側圧着領域と、搬送経路の下流側に位置する下流側圧着領域を備えており、前記下流側圧着領域において、前記上流側圧着領域で圧着された前記一方の部品の電極と前記他方の部品の電極とを、追加的に圧着してもよい。
【0016】
また上記製造装置は、前記搬送機構として、第一回転軸線回りの一方へ回転する第一回転テーブルと、前記第一回転テーブルに併設されて第二回転軸線回りの一方へ回転する第二回転テーブルと、を備え、前記第一搬入部は、前記第一回転テーブルにおける前記第一搬入領域に前記一方の部品を搬入し、前記導電材設置部は、前記第一搬入領域よりも、前記搬送方向となる前記第一回転テーブルにおける回転方向の下流側の前記導電材設置領域で前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設け、前記第二搬入部は、前記第二回転テーブルにおける前記第二搬入領域に前記他方の部品を搬入し、前記第一回転テーブルの回転方向に前記導電材設置領域の下流側に配置された前記第一回転テーブルにおける受け渡し領域から、前記第二搬入領域に対して前記搬送方向となる前記第二回転テーブルの回転方向に離れた前記第二回転テーブルにおける受け取り領域へ、前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品を受け渡す受渡部をさらに備えていてもよい。
【0017】
また本発明の一態様に係るプラズマ照射装置は、電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造の際に用いられるプラズマ照射装置であって、前記電子部品および前記基板のうちの少なくとも一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する照射部を備えている。
【0018】
また本発明の一態様に係る製造方法は、電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造方法であって、載置台に、前記電子部品および前記基板のうちの一方の部品を搬入して配置する第一搬入ステップと、前記載置台に前記電子部品および前記基板のうちの他方の部品を搬入して配置する第二搬入ステップと、前記第一搬入ステップで前記載置台に搬入された前記一方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第一照射ステップと、プラズマガスが照射された前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設ける導電材設置ステップと、前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品の電極の表面に対して前記他方の部品の電極の表面を、前記載置台の表面が広がる載置台面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する圧着ステップと、圧着済みの前記一方の部品および前記他方の部品のセットである前記電子部品構造体を前記載置台から搬出する搬出ステップと、を含んでいる。
【0019】
また上記製造方法は、前記圧着ステップの前に、前記第二搬入ステップで前記載置台に搬入された前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する第二照射ステップをさらに含んでいてもよい。
【0020】
また本発明の一態様に係る製造方法は、電子部品に異方性導電材を介して基板を接続してなる電子部品構造体の製造方法であって、載置台に、前記電子部品および前記基板のうちの一方の部品を搬入して配置する第一搬入ステップと、前記載置台に前記電子部品および前記基板のうちの他方の部品を搬入して配置する第二搬入ステップと、前記第一搬入ステップで前記載置台に搬入された前記一方の部品の電極の表面に前記異方性導電材を設ける導電材設置ステップと、前記第二搬入ステップで前記載置台に搬入された前記他方の部品の電極の表面に、プラズマガスを照射する照射ステップと、前記異方性導電材が設けられた前記一方の部品の電極の表面に対して、プラズマガスが照射された前記他方の部品の電極の表面を、前記載置台の表面が広がる載置台面方向に交差する方向に対向させた状態で圧着する圧着ステップと、圧着済みの前記一方の部品および前記他方の部品のセットである前記電子部品構造体を前記載置台から搬出する搬出ステップと、を含んでいる。
【発明の効果】
【0021】
上記の製造装置等によれば、電子部品構造体を製造する際、性能の高い製品を製造可能であるとともに、製造効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る製造装置の全体平面図である。
【
図2】(A)は上記製造装置の導電材設置部を示す正面図であって、第一回転テーブルの径方向内側から見た図であり、(B)は同導電材設置部で利用されるACFテープを説明する底面図である。
【
図3】上記製造装置の第一照射部を示す正面図であって、第一回転テーブルの径方向から見た図である。
【
図4】(A)は上記製造装置の第一アライメント調整部を示す正面図であって、第一回転テーブルの周方向から見た図であり、(B)は上記製造装置の第二アライメント調整部を示す正面図であって、第二回転テーブルの周方向から見た図である。
【
図5】上記製造装置の移載圧着部及び第二照射部を示す正面図であって、第二回転テーブルの径方向内側から見た図である。
【
図6】上記製造装置の下流側圧着部を示す正面図であって、第二回転テーブルの径方向内側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本実施形態の製造装置1は、電子部品100に異方性導電フィルム(異方性導電材)200を介してフレキシブル基板300を接続してなる電子部品構造体Pを製造する装置である。以下、異方性導電フィルム200をACF200とし、フレキシブル基板300をFPC300と呼称する。
【0024】
<全体構成>
図1に示すように本実施形態の製造装置1は、第一回転テーブル2と、第一回転テーブル2に併設された第二回転テーブル3と、第一回転テーブル2に配置された第一搬入部4、第一アライメント調整部5、導電材設置部6および第一照射部30と、第二回転テーブル3に配置された第二搬入部7、第二アライメント調整部8、移載圧着部(上流側圧着部)9、下流側圧着部10および第二照射部40とを備えている。さらに製造装置1は、第一回転テーブル2と第二回転テーブル3との間で電子部品100の受け渡しを行う受渡部11と、第二回転テーブル3に配置された搬出部12とを備えている。
【0025】
<第一回転テーブル>
第一回転テーブル2は例えばインデックス式の搬送テーブル(搬送機構)であって、円形状をなしている。つまり、第一回転テーブル2は、円形の移動軌跡にそって載置台を搬送する搬送機構となり、第一回転テーブル2の回転方向は電子部品100の搬送方向に一致する。第一回転テーブル2の回転中心となる第一回転軸線O1は鉛直方向に延びている。第一回転テーブル2の上面2aは上方を向いている。すなわち第一回転テーブル2の表面が広がる方向であるテーブル面方向は、水平方向に一致する。第一回転テーブル2は第一回転軸線O1回りの一方へ回転される。第一回転テーブル2の回転速度や回転開始動作および回転停止動作は、不図示の制御装置によって制御される。
【0026】
第一回転テーブル2の上面2aには、周方向に等間隔で複数の載置台13が配置される。ここでは90度間隔で、合計4つの載置台13が配置される。なお、この載置台13の上面(以下、載置面)には、電子部品100が収容・位置決めされる収容孔13aが複数(ここでは2個)形成される(
図2参照)。
【0027】
<第二回転テーブル>
第二回転テーブル3は、第一回転テーブル2と同様に例えばインデックス式の搬送テーブル(搬送機構)であって、円形状をなしている。つまり、第二回転テーブル3は、円形の移動軌跡にそって載置台を搬送する搬送機構となり、第二回転テーブル3の回転方向は電子部品100の搬送方向に一致する。第二回転テーブル3の回転中心となる第二回転軸線O2は鉛直方向に延びている。第二回転軸線O2は第一回転テーブル2の第一回転軸線O1と平行に延びている。よって、第二回転テーブル3は第一回転テーブル2に対して水平方向に併設されている。また第二回転テーブル3の上面3aは上方を向いている。すなわち第二回転テーブル3の表面が広がる方向であるテーブル面方向は、水平方向に一致する。第二回転テーブル3は第二回転軸線O2回りの一方へ回転される。本実施形態では第二回転テーブル3の回転方向は第一回転テーブル2の回転方向と一致している。第二回転テーブル3の動作は、第一回転テーブル2と同様に不図示の制御装置によって制御される。
【0028】
第二回転テーブル3の上面3aには、周方向に等間隔で複数の載置台14が配置される。ここでは45度間隔で、合計8つの載置台14が配置される。なお、この載置台14の上面(以下、載置面)には、ACF200が転写された電子部品100が収容・位置決めされる収容孔14aが複数(ここでは4個)形成される(
図4参照)。複数の収容孔14aは、第二回転テーブル3の接線方向に並んで配置される。
【0029】
<第一搬入部>
第一搬入部4は、第一回転テーブル2の第一搬入領域A1において載置台13の載置面の上方に電子部品100を搬入して載置する。電子部品100は、例えばカメラモジュールや通信モジュール等の部品の組立体でもよいし、部品単体であってもよい。本実施形態では電子部品100は複数個(例えば2個)ずつ第一回転テーブル2に載置される。具体的に電子部品100は、載置台13の載置面に支持される。本実施形態では、載置台13の一部は第一回転テーブル2の径方向外側に突出している。そして載置台13における第一回転テーブル2から突出した部分に電子部品100が配置されている。電子部品100は第一回転テーブル2の周方向に沿って第一回転テーブル2の接線方向に並んで配置される。
【0030】
第一搬入部4は、複数の電子部品100をストックするストッカ4aと、電子部品100をストッカ4aから第一回転テーブル2へ向けて移送する移送機構4bとを有している。移送機構4bは電子部品100を保持して第一回転テーブル2に移動させるチャック(不図示)を有している。チャックには例えば吸引によって電子部品100を支持するバキュームチャックが採用される。
【0031】
<導電材設置部>
導電材設置部6は、第一搬入部4に対して第一回転テーブル2の回転方向の下流側(前方側)の導電材設置領域A2に配置されている。本実施形態では導電材設置領域A2は、互いに第一回転テーブル2の回転方向に互いに離れた位置に配置された前段側設置領域A2aと後段側設置領域A2bとを含んでいる。前段側設置領域A2aと後段側設置領域A2bとは回転方向に90度ずれた位置に配置されている。また前段側設置領域A2aは第一搬入領域A1に対して第一回転テーブル2の回転方向に90度ずれた位置に配置されている。すなわち第一搬入領域A1、前段側設置領域A2a、および後段側設置領域A2bは回転方向に互いに等角度ずれて配置されている。そして前段側設置領域A2aおよび後段側設置領域A2bの各々には、一つずつ導電材設置部6が設けられている。
【0032】
図2に示すように各々の導電材設置部6は、第一回転テーブル2の載置台13の載置面の上方に配置されたボンディングヘッド20と、ボンディングヘッド20と載置面との間に緩衝材400を供給する緩衝材供給部21と、緩衝材400と載置面との間にACF200を供給する導電材供給部22とを有している。
【0033】
ボンディングヘッド20は不図示の制御装置によって、所定のタイミングで第一回転軸線O1の方向(
図1参照)、すなわち鉛直方向に上下動させられるようになっている。
【0034】
緩衝材供給部21は、供給ローラ21aによって、テープ状をなす緩衝材(緩衝材テープ)400を連続的にボンディングヘッド20の下方に供給し、回収ローラ21bによって回収する。緩衝材400は、ボンディングヘッド20が載置台13の載置面に向けて下降した際にボンディングヘッド20に接触して下方に押圧される。緩衝材400はボンディングヘッド20による圧力をボンディングヘッド20の加圧面の面方向(水平方向)に平均化するとともに放熱する機能を有する。
【0035】
導電材供給部22は、供給ローラ22aによって、リールに収容されたテープ状をなすACFテープ202を緩衝材400の下方に供給し、回収ローラ22bによって回収する。
図2(B)に示すように、ACFテープ202は、セパレーターとなるPET素材等の支持フィルム201に対して、接着剤中に導電性粒子を分散させた異方性導電フィルム(ACF)200が積層された構造となる。ボンディングヘッド20が載置面に向けて下降した際にACFテープ202に対して緩衝材400が上方から接触し、ACFテープ202がボンディングヘッド20によって下方に押圧される。下方に押圧されたACFテープ202は、
図1に示すように第一回転テーブル2の回転によって第一搬入領域A1から導電材設置領域A2に移動した電子部品100の電極の表面に接触し、ACF200が転写される。
【0036】
なお詳しくは後述するが、最初に第一搬入領域A1の載置台13に配置された全て(2個)の電子部品100は、第一回転テーブル2の90度の回転によって前段側設置領域A2aに移送される。前段側設置領域A2aでは、一方の電子部品100に対してACF200が転写される。なお、その間に、新たに第一搬入領域A1に移送される載置台13に2個の電子部品100が配置される。前段側設置領域A2aで一方の電子部品100へのACF200の転写が完了した載置台13は、第一回転テーブル2の90度の回転によって、後段側設置領域A2bまで移送され、そこで他方の電子部品100に対してACF200が転写される。同時に、第一搬入領域A1の載置台13が前段側設置領域A2aに移送されて、一方の電子部品100に対してACF200が転写される。
【0037】
ここで導電材設置部6には、載置台13に支持された電子部品100を、載置台13ごと第一回転テーブル2から切り離して上方に持ち上げた状態とし、載置台13が基準位置に位置決めされるように、載置台13の水平面位置、水平面に対する傾き、鉛直軸回り角度を調整する基準位置調整機構が設けられてもよい。基準位置調整機構は、第一回転テーブル2の上面2aから載置台13を離間させた状態で、かつ載置台13を水平に配置した状態で下方から載置台13を支持したまま、導電材設置部6による電子部品100へのACF200の貼り付けを可能とする。
【0038】
<第一照射部>
図1に戻って、第一照射部30は、第一搬入部4によって第一回転テーブル2に搬入された電子部品100の電極の表面にプラズマガスGを照射する。第一照射部30は本実施形態では例えば、前段側設置領域A2aおよび後段側設置領域A2bの各々における導電材設置部6に一つずつ設けられている。第一照射部30は、導電材設置領域A2と同じ位置に配置された第一プラズマ照射領域C1においてACF200が電子部品100に貼り付けられる前に、電子部品100の電極の表面にプラズマガスGを照射する。
【0039】
図3に示すように第一照射部30は、プラズマガスGを発生させ、電子部品100の電極の表面に向けて照射するようになっている。ここで第一照射部30は、プラズマガスGとして例えば大気圧プラズマを発生する。大気圧プラズマとは、大気圧下で例えば誘電体バリア放電を用いて生成されるプラズマガスである。
【0040】
<第一アライメント調整部>
図1に戻って、第一アライメント調整部5は、前段アライメント調整部5X及び後段アライメント調整部5Yを有する。前段アライメント調整部5Xは、前段側設置領域A2aに配置されており、導電材設置部6によって、載置台13の一方の電子部品100にACF200が貼り付けられる前に、一方の電子部品100の電極表面と、ACFテープ202のACF200とが、第一回転軸線O1の方向から見て正しく重なるように、第一回転軸線O1に直交する面方向及び/または第一回転軸線O1の周方向となる相対位置(アライメント)を調整可能とする。同様に、後段アライメント調整部5Yは、後段側設置領域A2bに配置されており、導電材設置部6によって、載置台13の他方の電子部品100にACF200が貼り付けられる前に、他方の電子部品100の電極表面と、ACFテープ202のACF200とが、第一回転軸線O1の方向から見て正しく重なるように、これらの相対位置(アライメント)を調整可能とする。なおアライメント調整は、プラズマガスGの照射の前に実施されるとよいが、プラズマガスGの照射の後に実施されてもよい。
【0041】
図4(A)に示すように第一アライメント調整部5(5X,5Y)は、
図1に示す前段側設置領域A2aおよび後段側設置領域A2bにおいて、電子部品100の電極とACF200との間で、第一回転テーブル2の径方向に進退可能に設けられたセンサ5aを有している。センサ5aは、例えばCCD(Charge Coupled Device)を使用したカメラを上下両方に備え、電子部品100の電極の表面の位置、およびACF200の位置をほぼ同時に撮像することで、電子部品100とACF200との相対位置を検知可能となっている。なおセンサ5aは光電センサやレーザーセンサ等であってもよく、特に限定されない。また、センサ5aは、プリズムや光ファイバー等の光学部品によって、上方側の映像と下方側の映像を所定場所まで案内(導光)し、それをCCD等によってデジタル映像に変換する構造であってもよい。電子部品100の電極の表面の位置と、ACF200の位置とが第一回転軸線O1の方向から見て正しく重なったことをセンサ5aが検知するまで、不図示の制御装置によって両者の相対位置が制御されるようになっている。なお、この位置決めは、導電材設置部6全体を水平面方向(第一回転テーブル2を基準とする場合は径方向及び周方向)に移動させてもよく、また、ACFテープ202のみをテープ進行方向及び/又はテープ幅方向に移動させてもよく、また、載置台13を水平面方向(第一回転テーブル2を基準とする場合は径方向及び周方向)に移動させてもよい。
【0042】
<第二搬入部>
図1に戻って第二搬入部7は、第二回転テーブル3の第二搬入領域B1において第二回転テーブル3の載置台14の載置面の上方にFPC300を搬入する。本実施形態では、載置台14に、複数(ここでは4個)のACF200付きの電子部品100が搭載されているので、4個の電子部品100のACF200のそれぞれに対して、FPC300が貼り付けられる。
【0043】
第二搬入部7は、例えば複数のFPC300をストックするストッカ7aと、複数のFPC300をストッカ7aから第二回転テーブル3へ向けて列状に移送する移送機構7bとを有している。移送機構7bの下流側には、移送されたFPC300を保持して載置台14上の電子部品100に移載すると同時に、仮圧着する移載圧着部9が配置される。従って、この第二搬入領域B1は、PFC300を圧着する上流側圧着領域B3を兼ねている。詳細は後述するが、第二搬入領域B1(上流側圧着領域B3)は、後述する受け取り領域B2に対して回転方向に45度ずれた位置(45度下流側の位置)に配置される。
【0044】
<移載圧着部(上流側圧着部)>
図5に示すように、移載圧着部9は、吸引圧着ヘッド9aと、吸引圧着ヘッド9aに設けられたヒータ9bと、吸引圧着ヘッド9a及びヒータ9bをまとめて水平面方向、鉛直軸回り方向及び上下方向に移動させる移動機構9cを有している。ヒータ9bは、吸引圧着ヘッド9aがFPC300を押圧する際に、圧着ヘッド9aの温度が所定の温度(例えば70〔℃〕)となるように圧着ヘッド9aを加熱する。
【0045】
吸引圧着ヘッド9aは、いわゆる吸着バッドを兼ねており、PFC300を吸引保持する。吸引圧着ヘッド9aは、移送機構7bの下流側において、FPC300の電極面と反対側の面を吸引保持し、電子部品100の表面に設けられたACF200の上方に移動してから下降することで、FPC300の電極面とACF200を密着させ、更に、FPC300の上方から加熱しながら押圧する。結果、FPC300の電極の表面が、ACF200に仮圧着される。本実施形態では例えば5〔kgf〕の力で0.6〔秒〕の間、押圧が行われて電子部品100とFPC300とが仮圧着される。
【0046】
吸引圧着ヘッド9aは、移動機構9cによって第二回転テーブル3の接線方向に移動可能となる。結果、上流側圧着領域B3で静止する載置台14上に接線方向に並列配置される電子部品100の各々に対して、FPC300を順番に載置・仮圧着可能となる。
【0047】
ここで上流側圧着領域B3には、載置台14に支持された電子部品100を、載置台14ごと上方に持ち上げた状態とし、載置台14が基準位置に位置決めされるように、水平面位置、水平面に対する傾き、鉛直軸回り角度を調整する基準位置調整機構が設けられてもよい。基準位置調整機構は、第二回転テーブル3の上面3aから載置台14を離間させた状態で、かつ載置台14を水平に配置した状態で下方から載置台14を支持したまま、移載圧着装置9による電子部品100へのFPC300の移載・仮圧着を可能とする。
【0048】
<受渡部>
受渡部11は、第一回転テーブル2と第二回転テーブル3との間に配置されている。受渡部11は、第一回転テーブル2における受け渡し領域A3から、第二回転テーブル3における受け取り領域B2へ、ACF200が設けられた電子部品100を受け渡し、第二回転テーブル3の載置台14の載置面に電子部品100を載置する。なお、受渡部11は、受け渡し領域A3から搬出した電子部品100を一時的にストックするバッファテーブル11eを有する。
【0049】
第一回転テーブル2の受け渡し領域A3は、導電材設置領域A2に対して第一回転テーブル2の回転方向の下流側で、かつ第一搬入領域A1の上流側に配置されている。具体的には、受け渡し領域A3は、導電材設置領域A2の後段側設置領域A2bに対して、回転方向に90度ずれた位置に配置されている。また受け渡し領域A3は第一搬入領域A1に対して回転方向の逆方向に90度ずれた位置に配置されている。
【0050】
また第二回転テーブル3の受け取り領域B2は、第二搬入領域B1に対して第二回転テーブル3の回転方向にずれた位置に配置されている。具体的には、受け取り領域B2は第二搬入領域B1に対して回転方向の逆方向に45度ずれた位置に配置されている。換言すると、第二搬入領域B1は、受け取り領域B2に対して第二回転テーブル3の回転方向の下流側に配置されている。
【0051】
本実施形態では受渡部11によって電子部品100は複数個(例えば4個(第一回転テーブル2から一度に受け渡される数量の2倍))ずつ、第二回転テーブル3に載置される。これは、第一回転テーブル2における電子部品100単位のサイクルタイムが、第二回転テーブル3における電子部品100単位のサイクルタイムよりも短いことに起因している。具体的に電子部品100は、載置台14の載置面に支持される。本実施形態では、載置台14の少なくとも一部は上面3aから第二回転テーブル3の径方向外側に突出している。そして載置台14における第二回転テーブル3から突出した部分に電子部品100が配置されている。電子部品100は第二回転テーブル3の周方向に沿って第二回転テーブル3の接線方向に並んで配置される。
【0052】
受渡部11は、電子部品100を第一回転テーブル2から第二回転テーブル3へ向けて移送する移送機構11aを有している。移送機構11aは電子部品100を保持して第二回転テーブル3に移動させるチャック11bを有している。チャックには例えば電子部品100を挟んで把持するメカニカルチャックが採用される。チャックは、電子部品100に転写されたACF200に触れない位置で、電子部品100を挟んで支持するようになっている。
【0053】
受け取り領域B2において載置台14に載置された電子部品100が、第二回転テーブル3の回転によって第二搬入領域B1に配置されると、移載圧着部9によって、電子部品100の各々にFPC300が配置、仮圧着されるようになっている。
【0054】
ここで、第一回転テーブル2には第一回転テーブル2上の電子部品100の様子を監視する第一検査カメラ16が設置されている。第一検査カメラ16は、第一回転テーブル2の回転方向に、導電材設置領域A2における後段側設置領域A2bと、受け渡し領域A3との間の第一検査領域A4に配置されている。本実施形態では第一検査領域A4は、後段側設置領域A2bに対して第一回転テーブル2の回転方向に45度ずれた位置に配置されている。第一検査カメラ16は電子部品100へのACF200の貼り付け不良等を監視する。貼り付け不良の電子部品100は、例えば不図示の排出装置によって受け渡し領域A3よりも上流側において第一回転テーブル2の外部へ排出される等して、第二回転テーブル3へは受け渡されないようになっている。
【0055】
<第二照射部>
図1に戻って、第二照射部40は、第二搬入部7によって第二回転テーブル3に搬入されたFPC300の電極の表面にプラズマガスGを照射する。第二照射部40は本実施形態では例えば、移載圧着部9に設けられている。第二照射部40は、上流側圧着領域B3と同じ位置に配置された第二プラズマ照射領域C2においてFPC300が電子部品100に圧着される前に、FPC300の電極の表面にプラズマガスGを照射する。
図6に示すように第二照射部40は、第一照射部30と同様にプラズマガスGとして例えば大気圧プラズマを発生させ、FPC300の電極の表面に向けて照射するようになっている。
【0056】
<下流側圧着部>
図1に戻って、下流側圧着部10は、第二回転テーブル3において、上流側圧着領域B3(第二搬入領域B1)よりも回転方向の下流側の下流側圧着領域B4に配置されている。本実施形態では下流側圧着領域B4は、互いに第二回転テーブル3の回転方向に90度離れた位置に、前段側圧着領域B4aと後段側圧着領域B4bとを含んでいる。前段側圧着領域B4aは上流側圧着領域B3に対して第二回転テーブル3の回転方向に90度ずれた位置に配置されている。すなわち上流側圧着領域B3、前段側圧着領域B4a、および後段側圧着領域B4bは回転方向に互いに等角度ずれて配置されている。そして前段側圧着領域B4aおよび後段側圧着領域B4bの各々に、一つずつ下流側圧着部10が設けられている。よって上流側圧着領域B3が一箇所のみ配置されていることに対して、下流側圧着領域B4は複数箇所に配置され、下流側圧着領域B4は、上流側圧着領域B3よりも多く配置されている。
【0057】
各々の下流側圧着部10は、
図4に示すように、第二回転テーブル3の載置台14の載置面の上方に配置された複数(ここでは2個)の圧着ヘッド10aと、各々圧着ヘッド10aに設けられたヒータ10bと、圧着ヘッド10aと載置面上の載置台14との間に緩衝材400を供給する緩衝材供給部10cとを有している。圧着ヘッド10aは、不図示の制御装置によって所定のタイミングで鉛直方向に上下動させられるようになっている。下流側圧着部10は下流側圧着領域B4において、上流側圧着領域B3で仮圧着済みの電子部品100およびFPC300のセット(以下、部品セットと称する場合がある)を追加的に圧着(本圧着)する。本実施形態では、例えば一回の圧着動作あたりで、10〔kgf〕の力で1.5〔秒〕間、押圧が行われ、ACF200を介在させた状態で、電子部品100とFPC300(部品セット)とが本圧着される。すなわち下流側圧着部10は移載圧着部9に比べて長時間、高い面圧で、圧着動作を継続するようになっている。
【0058】
前段側圧着領域B4aの下流側圧着部10は、載置台14上の4つの部品セットのうち、半数(2つ)の部品セットを圧着する。後段側圧着領域B4bの下流側圧着部10は、載置台14上の4部品セットとなる電子部品100(ACF200)及びFPC300のうち、残りの半数(2つ)の部品セットを圧着するようになっている。特に本実施形態では、前段側圧着領域B4aの下流側圧着部10では、並列配置される複数(4つ)の部品セットにおいて、圧着する複数(2つ)の部品セットの間に、未加熱(仮圧着状態か本圧着済み)の部品セットが介在するようになっている。このようにすることで、一方の圧着ヘッド10aによる熱が、隣接する他方の圧着ヘッド10aに悪影響を及ぼさないようにできる。
【0059】
ヒータ10bは、圧着ヘッド10aがFPC300を押圧する際に、圧着ヘッド10aの温度が所定の温度(例えば120〔℃〕)となるように圧着ヘッド10aを加熱する。
【0060】
緩衝材供給部10cは、供給ローラ10dによって緩衝材(緩衝材テープ)400を、連続的に圧着ヘッド10aの下方においてFPC300の上方に供給し、回収ローラ10eによって回収する。緩衝材400は、圧着ヘッド10aが載置台14の載置面に向けて下降した際に圧着ヘッド10aに接触して下方に押圧される。すなわち緩衝材400は、FPC300に対して上方から接触可能となるように供給される。
【0061】
ここで下流側圧着部10においても移載圧着部9と同様に、載置台14に支持された電子部品100を、載置台14ごと第二回転テーブル3から切り離して上方に持ち上げた状態とし、で載置台14が基準位置に位置決めされるように、載置台14の水平面位置、水平面に対する傾き、鉛直軸回り角度を調整する基準位置調整機構が設けられてもよい。基準位置調整機構は、第二回転テーブル3の上面3aから載置台14を離間させた状態で、かつ載置台14を水平に配置した状態で下方から載置台14を支持したまま、下流側圧着部10による電子部品100とFPC300との圧着を可能とする。
【0062】
なお詳しくは後述するが、仮圧着状態の電子部品100およびFPC300の4セットが載置される載置台14は、第二回転テーブル3の合計90度の回転によって、上流側圧着領域B3から前段側圧着領域B4aに移送される。なお、途中(45度回転位相)の第二検査領域B6で、載置台14は一時的に待機することになる。前段側圧着領域B4aに到着した、仮圧着状態の電子部品100およびFPC300の4セットは、その内の2セットが本圧着されるように不図示の制御装置で制御される。
【0063】
その後、第二回転テーブル3の90度の回転によって、載置台14は、前段側圧着領域B4aから後段側圧着領域B4bに移送されるが、この際も途中(45度回転位相)で載置台14は一時的に待機する。後段側圧着領域B4bに到着した、電子部品100およびFPC300の4セットは、仮圧着状態の残りの2セットが本圧着されるように不図示の制御装置で制御される。後段側圧着領域B4bで残りの2セットが本圧着されると、載置台14上の4セットの全ての本圧着が完了する。なお、後段側圧着領域B4bでの本圧着の際に、上流側圧着領域B3で仮圧着された新たな電子部品100およびFPC300の4セットが前段側圧着領域B4aに位置決めされていることから、そのうちの2セットが同時に本圧着される。
【0064】
<第二アライメント調整部>
図1に戻って、第二アライメント調整部8は、移載圧着部9によって電子部品100とFPC300とが仮圧着される前に、移載圧着部9によって搬入されたFPC300の電極の表面と、電子部品100の電極の表面とが第二回転軸線O2の方向から見て正しく重なるように、これらの電極同士の相対位置(アライメント)を調整可能とする。この相対位置は、第二回転軸線O2に直交する平面方向及び/又は第二回転軸線O2に対する回転方向の位置となる。
【0065】
図6(B)に示すように、第二アライメント調整部8は、第一アライメント調整部5とほぼ同様の構造となる。すなわち第二アライメント調整部8は、電子部品100の電極(またはACF200)の表面と、FPC300の電極の表面の間で、第二回転テーブル3の径方向及び/又は周方向に進退可能に設けられたセンサ8aを有している。センサ8aは、例えばCCD(Charge Coupled Device)を使用したカメラを上下両方に備え、電子部品100の電極の表面、およびFPC300の電極の表面の位置を撮像することで、電子部品100とFPC300との相対位置を検知可能としている。なおセンサ8aは、光電センサやレーザーセンサ等であってもよく、特に限定されない。また、センサ8aは、プリズムや光ファイバー等の光学部品によって、上方側の映像と下方側の映像を所定場所まで案内(導光)し、それをCCD等によってデジタル映像に変換する構造であってもよい。電子部品100の電極(またはACF200)の表面の位置とFPC300の電極の表面の位置とが第一回転軸線O1の方向から見て正しく重なったことをセンサ8aが検知するまで、不図示の制御装置によって両者の相対位置が制御されるようになっている。なお、この位置決めは、移載圧着部9全体を水平面方向(第二回転テーブル3を基準とする場合は径方向及び周方向)に移動させる。しかし、載置台14を水平面方向に移動させてもよい。
【0066】
<搬出部>
搬出部12は、第二回転テーブル3の搬出領域B5において、本圧着済みの電子部品100およびFPC300のセット、すなわち電子部品構造体Pを第二回転テーブル3の外へ搬出する。搬出領域B5は、下流側圧着領域B4における後段側圧着領域B4bに対して、第二回転テーブル3の回転方向の下流側に90度ずれた位置に配置されている。
【0067】
搬出部12は、第二回転テーブル3の外部へ向けて電子部品構造体Pを移送する移送機構12aと、移送機構12aによって移送された電子部品構造体Pをストックするストッカ12bとを有している。移送機構12aは電子部品構造体Pを保持するチャック(不図示)を有している。チャックには例えば吸引によって電子部品構造体Pを支持するバキュームチャックが採用される。
【0068】
ここで第二回転テーブル3には、第二回転テーブル3上の仮圧着された電子部品100およびFPC300のセットの様子を監視する第二検査カメラ18が設置されている。第二検査カメラ18は、第二回転テーブル3の回転方向に、上流側圧着領域B3(第二搬入領域B1)と下流側圧着領域B4との間の第二検査領域B6に配置されている。本実施形態では第二検査領域B6は、上流側圧着領域B3に対して第二回転テーブル3の回転方向に45度ずれた位置に配置されている。第二検査カメラ18は電子部品100とFPC300との圧着不良を監視する。圧着不良の電子部品100おおびFPC300のセットについては、例えば不図示の排出装置によって、下流側圧着領域B4よりも上流側において第二回転テーブル3の外部へ排出されることが好ましい。このようにすると、下流側圧着領域B4で本圧着されないようになっている。また、下流側圧着領域B4よりも上流側で排出しない場合は、下流側圧着領域B4において、下流側圧着部10が、圧着不良の電子部品100おおびFPC300のセットのみに対する圧着ヘッド10aの下降動作を停止することが好ましい。
【0069】
<製造方法>
次に、電子部品構造体Pを製造する方法について説明する。以下の説明では、上記の製造装置1を用いて電子部品構造体Pを製造する方法について説明するが、必ずしも製造装置1を用いて電子部品構造体Pを製造する場合に限定されない。
【0070】
初めに、第一搬入部4によって、2個の電子部品100を第一回転テーブル2の第一搬入領域A1の載置台13に搬入する(第一搬入ステップ)。第一搬入ステップは連続的に実施される。その後、第一回転テーブル2を90度回転させることで、載置台13及び2個の電子部品100を導電材設置領域A2における前段側設置領域A2aに移送する。この際、途中の45度位相において一時停止することで、後述する第一検査領域A4における検査時間を確保してもよい。
【0071】
前段側設置領域A2aに位置決めされた2つの電子部品100のうちの一方の電極の表面に、第一照射部30によってプラズマガスGを照射する(第一照射ステップ)。次いで、前段側設置領域A2aにおいてプラズマガスGが照射された一方の電極の表面に、導電材設置部6のボンディングヘッド20によってACF200を押圧して転写する(導電材設置ステップ)。貼り付け完了後、加熱された緩衝材400を移動させることで、緩衝材400の蓄熱状態を、ボンディングヘッド20から外部へ逃がすことができる。
【0072】
次に、第一回転テーブル2を90度回転させることで、前段側設置領域A2aの2つの電子部品(一方にはACF200が転写される)を、後段側設置領域A2bに移送する。この際、途中の45度位相において一時停止することで、後述する第一検査領域A4における検査時間を確保してもよい。
【0073】
後段側設置領域A2bに位置決めされた2つの電子部品100のうちの他方(残り)の電極の表面に、第一照射部30によってプラズマガスGを照射する(第一照射ステップ)。次いで、この後段側設置領域A2bにおいてプラズマガスGが照射された残りの電子部品100の電極の表面に、導電材設置部6のボンディングヘッド20によってACF200を押圧して転写する(導電材設置ステップ)。なお、この際に、前段側設置領域A2aには、新たな2つの電子部品が移送されていることから、そのうちの一方の電極の表面にACF200を押圧して転写する。
【0074】
つまり、本実施形態では各領域A2a、A2bにおいて同時に導電材設置ステップが実施される。
【0075】
その後、第一回転テーブル2を90度回転させ、後段側設置領域A2bの2つの電子部品100を受け渡し領域A3に配置する。受け渡し領域A3では、ACF200が貼り付けられた電子部品100を、受渡部11を利用して、第二回転テーブル3の受け取り領域B2に受け渡す(受け渡しステップ)。
【0076】
なお、2つの電子部品100は、後段側設置領域A2bから受け渡し領域A3まで移送される途中で、第一検査領域A4を通過する。第一検査領域A4の第一検査カメラ16は、極短時間で、電子部品100を撮像することで、電子部品100へのACF200の貼り付け不良等を判定する。
【0077】
第一回転テーブル2における上記の各ステップは連続して次々に実施される。よって第一搬入部4によって第一回転テーブル2に電子部品100が連続的に搬入され、前段側設置領域A2a及び後段側設置領域A2bを通過していく間に、ACF200が連続的に電子部品100に貼り付けられていく。
【0078】
受け取り領域B2で待機する載置台14に対して、合計4個の電子部品100(ACF200付き)の受け渡しが完了すると、、第二回転テーブル3を45度回転させて、これらの電子部品100電子部品100(ACF200付き)を第二搬入領域B1に配置する。この際、第二搬入領域B1に搬入されたFPC300の電極の表面に、第二照射部40によってプラズマガスGを照射する。なお、プラズマガスGの照射エリアは、第二搬入領域B1に限られない。例えば、移送機構7bから第二搬入領域B1までFPC300を移送する経路の途中であってもよい。
【0079】
次いで、第二搬入領域B1では、移載圧着部9によって、FPC300が電子部品100のACF200仮圧着される(第二搬入ステップ、第二照射ステップ及び上流側圧着ステップ)。
【0080】
具体的に、第二搬入領域B1(上流側圧着領域B3)では、移載圧着部9の吸引圧着ヘッド9aによって、第二搬入部7によって搬入されるFPC300を吸引保持して電子部品100の上方まで移載し、FPC300に対して第二照射部40によってプラズマガスGを照射してから、更に吸引圧着ヘッド9aを下降させることで、FPC300を押圧して電子部品100とFPC300とをACF200を介して仮圧着する(上流側圧着ステップ)。上流側圧着領域B3では、合計4回の移載・洗浄・圧着動作を繰り返すことによって、上流側圧着領域B3に配置された4つの電子部品100のそれぞれに対して順番にFPC300を仮圧着する。つまり、上流側圧着領域B3において、第二搬入ステップ及び上流側圧着ステップは連続的に複数回実施される。なお、この間に、上流側の受け取り領域B2でも、新たな電子部品100が載置台14に載置される。
【0081】
その後、第二回転テーブル3を45度回転させて、載置台14を第二検査領域B6に位置決めし、第二検査カメラ18によって電子部品100とFPC300を同時に撮像することで、両者の仮圧着状態を判定する。仮圧着の状態で不良が検知された場合は、その電子部品100およびFPC300については、下流側における本圧着を回避する。この検査中においても、上流側の第二搬入領域B1(上流側圧着領域B3)では、次の電子部品100の群に対して、第二搬入ステップ及び上流側圧着ステップが実施される。
【0082】
第二検査領域B6における検査が完了すると、第二回転テーブル3を45度回転させて、載置台14を前段側圧着領域B4a(下流側圧着領域B4)に配置する。前段側圧着領域B4aでは、仮圧着済みの電子部品100およびFPC300の4セットのうちの一部となる2セットについて、下流側圧着部10の圧着ヘッド10aによってFPC300を押圧することで、電子部品100へFPC300を本圧着する(下流側圧着ステップ)。本圧着後は、緩衝材400を移動させることで、下流側圧着ステップの際に圧着ヘッド10aやその周囲に溜まった熱を、外部へ逃がしてリセットする。この本圧着工程(下流側圧着ステップ/前段側)中に、上流側の第二検査領域B6では、次の電子部品100およびFPC300の4つのセットの検査が実施される。
【0083】
前段側圧着領域B4a(下流側圧着領域B4)での一部のセットの本圧着が完了したら、第二回転テーブル3を45度回転させて、載置台14を、前段側圧着領域B4aと後段側圧着領域B4bの中間待機位置B7に待機させる(待機ステップ)。この待機時間中に、上流側で本圧着された電子部品100およびFPC300を放熱することで、載置台14全体の熱の均質化を図る。待機中に、上流側の前段側圧着領域B4a(下流側圧着領域B4)では、一部の電子部品100およびFPC300のセットの本圧着(下流側圧着ステップ)が実施される。
【0084】
待機ステップが完了したら、第二回転テーブル3を45度回転させて、載置台14を後段側圧着領域B4b(下流側圧着領域B4)に配置する。後段側圧着領域B4bでは、仮圧着済みの電子部品100およびFPC300の4セットのうち、本圧着されていない残りの2セットについて、下流側圧着部10の圧着ヘッド10aによってFPC300を押圧することで、電子部品100へFPC300を本圧着する(下流側圧着ステップ)。本圧着後、緩衝材400を移動させることで、下流側圧着ステップの際に圧着ヘッド10aやその周囲に溜まった熱を、外部へ逃がしてリセットする。なお、この本圧着工程(下流側圧着ステップ/後段側)中に、上流側の中間待機位置B7では、電子部品100およびFPC300が待機している。
結果として、前段側圧着領域B4aおよび後段側圧着領域B4bでは、電子部品100およびFPC300の2セットが同時に本圧着される。単一の載置台14で考えると、各領域B4a、B4bを通過することで、下流側圧着ステップが2回に分けて行われる。
【0085】
後段側圧着領域B4b(下流側圧着領域B4)での本圧着(下流側圧着ステップ/後段側)が完了したら、第二回転テーブル3を45度回転させて、中間待機領域B8で一時待機させてから(待機ステップ)、更に第二回転テーブル3を45度回転させて、本圧着された電子部品構造体Pを搬出領域B5に配置する。搬出領域B5では搬出部12によって電子部品構造体Pを第二回転テーブル3から搬出する。
【0086】
第二回転テーブル3における上記の各ステップは連続して次々に実施される。よって電子部品100とFPC300とが連続的に圧着され、電子部品構造体Pが製造される。搬出部12によって搬出された電子部品構造体Pは、通電検査、必要に応じて補強用の樹脂の塗布および硬化のステップを経て出荷準備がなされる。
【0087】
以上説明した本実施形態の製造装置1によれば、第一回転テーブル2に配置された電子部品100の電極の表面にプラズマガスGを照射するため、ACF200が貼り付けられる電子部品100の電極の表面に付着した有機物等を分解、洗浄することができる。また、プラズマガスGの照射によって電極の表面の分子とプラズマ中のイオン・電子が反応することで電極の表面の活性化が行われ、電極の表面の接着性を向上することができる。よって電子部品100とACF200との間の密着性を向上でき、通電不良を回避できる。この結果、最終製品である電子部品構造体Pを製造する際、性能の高い製品を製造可能であるとともに、製品の歩留まり向上による製造効率の向上を図ることができる。
【0088】
また、第二回転テーブル3に配置されたFPC300の電極の表面にプラズマガスGを照射するため、ACF200が貼り付けられた電子部品100の電極の表面に対して圧着されるFPC300の電極の表面に付着した有機物等を分解、洗浄することができ、電極の表面の活性化を行い、電極の表面の接着性を向上することができる。よってACF200を介した電子部品100の電極の表面とFPC300の電極の表面との間の密着性を向上でき、電子部品100とFPC300との間の通電不良を回避できる。この結果、最終製品である電子部品構造体Pを製造する際、性能の高い製品を製造可能であるとともに、製品の歩留まり向上による製造効率の向上をさらに図ることができる。
【0089】
また搬送テーブルとしての第一回転テーブル2に電子部品100が搬入して配置され、第二回転テーブル3にFPC300が搬入して配置された状態で、電子部品100およびFPC300の電極の表面にプラズマガスGが照射される。このため、電子部品100を搬送しつつ、電子部品構造体Pの製造工程の流れの中でプラズマガスGの照射を行うことができる。特に第一照射部30および第二照射部40がプラズマガスGとして大気圧プラズマを発生させる装置である場合、装置のコンパクト化が可能であり、第一照射部30を第一回転テーブル2に配置し、第二照射部40を第二回転テーブル3に配置したとしても、製造装置1全体の大型化を回避することができる。
【0090】
また本実施形態では、第一照射部30は導電材設置部6に設けられ、導電材設置領域A2において電子部品100にプラズマガスGを照射する。また第二照射部40は移載圧着部9に設けられ、上流側圧着領域B3においてFPC300にプラズマガスGを照射する。このため、プラズマガスGが照射された直後に電子部品100にACF200を貼り付け、また、プラズマガスGが照射された直後にFPC300と電子部品100とを圧着することができる。したがってプラズマガスGによって電子部品100およびFPC300の電極の表面の接着性を向上させた状態のままでACF200の貼り付け作業、および圧着作業を行うことが可能となり、電子部品100とFPC300との通電不良の発生を回避することができる。
【0091】
また搬送テーブルとして、第一回転テーブル2および第二回転テーブル3を用いて電子部品100へのACF200の貼り付け、および電子部品100とFPC300との圧着を行うことができる。このため、電子部品構造体Pの製造を高速化でき、かつ、製造装置1の省スペース化を達成することができる。
【0092】
また、第二回転テーブル3において、上流側圧着領域B3がFPC300の搬入される第二搬入領域B1と同じ位置に配置されているため、これらの領域B1、B3が異なる位置に配置されている場合と比較して、製造装置1のさらなる省スペース化を達成できる。更に、第二搬入領域B1と上流側圧着領域B3が同位置となることで、電子部品100に対するFPC300の搬入および位置決めが完了すると同時に、仮圧着が実行されるため、両者の相対位置のずれを抑制できる。
【0093】
また上流側圧着領域B3で電子部品100とFPC300との仮圧着が行われた後に、下流側圧着領域B4で本圧着が行われる。仮圧着時は、FPC300を移載圧着部9によって吸引保持する必要があるため、吸引圧着ヘッド9aとFPC300の間に緩衝材400を介在させることが困難となり、吸引圧着ヘッド9aに熱が籠りやすい。また、単一の上流側圧着領域B3ですべての電子部品100およびFPC300のセットを本圧着しようとすると、この上流側圧着領域B3に熱がたまりやすく、不安定な雰囲気環境となる。そこで本実施形態では、仮圧着と本圧着に分離することで、仮圧着における加熱量・加圧力・加圧時間を抑制し、最初の圧着時における電子部品100に貼り付けられたACF200とFPC300との間の気泡発生による通電不良を回避する。一方で、圧着ヘッドの温度や雰囲気環境が最適化される下流側の下流側圧着領域Bにおいて、本圧着で電子部品100とFPC300とを強固に圧着することができる。
【0094】
また、上流側圧着領域B3では、電子部品100とFPCの位置決めと仮圧着を同時に行う点で、ある程度の作業時間を要するものの、本圧着を下流側(下流側圧着領域B4)させている分だけ作業時間を抑制できる。一方、下流側圧着領域B4では、本圧着のために作業時間を要するものの、電子部品100とFPCの位置決め工程を上流側(上流側圧着領域B3)に分離させている分だけ作業時間を抑制できる。このように上流側圧着領域B3と下流側圧着領域B4に作業時間を合理的に分配しつつ、これらを同時並行に進行させることで、電子部品構造体Pの製造の高速化が可能となる。
【0095】
更に、本実施形態では、下流側圧着領域B4についても、複数の領域B4a、B4bに分散させている。結果、各領域B4a、B4bにおける本圧着する部品セットの数を抑制することができると同時に、本圧着する部品セットの距離を確保できるので、本圧着される部品セット同士の熱影響を低減できる。
【0096】
また第一アライメント調整部5によって、電子部品100の電極の表面とACF200を高精度に位置調整できる。さらに、第一アライメント調整部5のセンサ5aにCCDカメラを用いることで、簡易な構造で電子部品100とACF200の位置調整ができる。
【0097】
同様に第二アライメント調整部8によって、電子部品100の電極とFPC300の電極を高精度で位置調整でき、電子部品構造体Pの通電不良を回避でき、製品の歩留まりを向上させ、生産効率を向上することができる。また、第二アライメント調整部8のセンサ8aにCCDカメラを用いることで、簡易な構造で電子部品100の電極とFPC300の電極を確実に位置調整できる。
【0098】
また、第一回転テーブル2において、ACF200を貼り付ける導電材設置領域A2は複数配置され、ACF200の貼り付け作業を複数の領域A2a、A2bで同時進行することができる。よって、導電材設置ステップがボトルネックとなることを回避でき、電子部品構造体Pの製造の高速化が可能となる。
【0099】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、上記実施形態おける各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0100】
例えば第一照射部30および第二照射部40のいずれか一方のみが設けられてもよい。また、第一照射部30は、第一回転テーブル2において導電材設置領域A2よりも上流側で、かつ第一搬入領域A1よりも下流側の領域においてプラズマガスGを電子部品100に照射してもよい。また第二照射部40は、第二回転テーブル3において上流側圧着領域B3よりも上流側で、かつ受け取り領域B3よりも下流側の領域においてプラズマガスGをFPC300に照射してもよい。
【0101】
例えば、異方性導電材としてACF200ではなく、異方性導電接着剤を電子部品100の電極の表面に塗布してもよい。この場合、上流側圧着ステップおよび下流側圧着ステップの両方を実行せず、一方のみで本圧着まで完了させばよい。すなわち仮圧着のステップは不要である。
【0102】
また、受け取り領域B2よりも第二回転テーブル3の回転方向の上流側に第二搬入領域B1を配置してもよい。つまり、第二搬入領域B1において、載置台14に対して先にFPC300を載置しておき、受け取り領域B2おいて、このFPC300に対して電子部品100を位置調整してもよい。この場合、上流側圧着領域B3は、受け取り領域B2と同じ位置に配置されてもよい。すなわち、受け取り領域B2において第二回転軸線O2の方向に電子部品100の電極の表面とFPC300の電極の表面とが重なるように電子部品100が第一回転テーブル2から第二回転テーブル3に受け渡され、その場で上流側圧着ステップ(仮圧着)が実施されてもよい。
【0103】
また、上記実施形態では、第一回転テーブル2において、電子部品100に対してACF200を張り付ける場合を例示したが、これとは逆に、第一搬入部4によってFPC300が第一回転テーブル2に搬入されてFPC300の電極の表面にACF200が貼り付けられてもよい。またこの場合、第二回転テーブル3では第二搬入部7によって第二回転テーブル3へ電子部品100が搬入されて、電子部品100がFPC300と圧着されるようにしても良い。
【0104】
さらに上記実施形態では、第一回転テーブル2の回転運動に沿った円形の移動軌跡に沿って、第一搬入部4、および導電材設置部6を含む導電材設置装置を配置する構造を例示したが、本発明はこれに限定されず、直線的な移動軌跡(U字状やL字状の移動軌跡を含む)に沿ってこれらが配置される構造であってもよい。また、第二回転テーブル3の回転運動に沿った円形の移動軌跡に沿って、第二搬入部7、移載圧着部9、および下流側圧着部10を含む圧着装置を配置する構造を例示したが、本発明はこれに限定されず、直線的な移動軌跡(U字状やL字状の移動軌跡を含む)に沿ってこれらが配置される構造であってもよい。
【0105】
更に、本実施形態では、第一回転テーブル1と第二回転テーブル2に分けて部品を搬送する場合を例示したが、本発明はこれに限定されず、単一の回転テーブルまたは直線的な移動軌跡(U字状やL字状の移動軌跡を含む)に沿って、第一搬入ステップ、導電材設置ステップ、第二搬入ステップ、上流側圧着ステップ、下流側圧着ステップ、搬出ステップを実行してもよい。
【0106】
また、第二回転テーブル3、第二搬入部7、移載圧着部9、および下流側圧着部10を含む圧着装置を単体で用いて電子部品構造体Pを製造してもよい。この場合、圧着装置単体では、第二回転テーブル3の受け取り領域B2は、ACF200が貼り付けられた電子部品100が搬入される第一搬入領域となる。
【0107】
また第一照射部30および第二照射部40のうちの少なくとも一方を備えるプラズマ照射装置を、他の製造装置に適用してもよい。
【0108】
また通電検査、補強用の樹脂の塗布および硬化等のステップについても、第一回転テーブル2および第二回転テーブル3と同様に、回転テーブルを用いた搬送装置上で実施されてもよい。
【0109】
更に、本実施形態では、ポリイミド樹脂等で構成される絶縁層の表面に電極が形成されるフレキシブル基板を例示したが、本発明の基板はこれに限定されない。ポリイミド樹脂の絶縁層の代わりにシリコーン樹脂シート等を採用し、その表面に電極が形成されるシート状のシリコーン基板であってもよく、その他の種類の基板であってもよい。
【0110】
また本実施形態では、回転テーブル2,3と載置台13,14が別部材となっている場合を例示したが、回転テーブル2,3自体が載置台を兼ねることもできる。
【0111】
また製造の各ステップでは、電子部品100やFPC300の個々に設けられたバーコードを読み取り、トレーサビリティを可能としてもよい。また下流側圧着ステップでは、下流側圧着部10によって圧着時の荷重、温度、時間等を記録するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明の製造装置等によれば、電子部品構造体を製造する際、性能の高い製品を製造可能であるとともに、製造効率の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0113】
1 (電子部品構造体の)製造装置
2 第一回転テーブル
2 第一回転テーブル
2a 上面
3 第二回転テーブル
3a 上面
4 第一搬入部
5 第一アライメント調整部
5a センサ
6 導電材設置部
7 第二搬入部
8 第二アライメント調整部
9 移載圧着部
10 下流側圧着部
11 受渡部
12 搬出部
13 載置台
14 載置台
16 第一検査カメラ
18 第二検査カメラ
20 ボンディングヘッド
21 緩衝材供給部
22 導電材供給部
30 第一照射部
40 第二照射部
100 電子部品
200 異方性導電フィルム(ACF)
300 フレキシブル基板(FPC)
400 緩衝材
A1 第一搬入領域
A2 導電材設置領域
A2a 前段側設置領域
A2b 後段側設置領域
A3 受け渡し領域
A4 第一検査領域
B1 第二搬入領域
B2 受け取り領域
B3 上流側圧着領域
B4 下流側圧着領域
B4a 前段側圧着領域
B4b 後段側圧着領域
B5 搬出領域
B6 第二検査領域
C1 第一プラズマ照射領域
C2 第二プラズマ照射領域
O1 第一回転軸線
O2 第二回転軸線
P 電子部品構造体
G プラズマガス