(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154490
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】アタッチメント及び点検用飛行体
(51)【国際特許分類】
F16M 13/02 20060101AFI20231013BHJP
B64C 27/08 20230101ALI20231013BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231013BHJP
B64D 9/00 20060101ALI20231013BHJP
F16M 13/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
F16M13/02 Z
B64C27/08
B64C39/02
B64D9/00
F16M13/00 Z
F16M13/02 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063810
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000203977
【氏名又は名称】日鉄テックスエンジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(72)【発明者】
【氏名】武田 和仁
(72)【発明者】
【氏名】川合 伸吾
(57)【要約】
【課題】ドローンに搭載された測定機器がドローンのホバリング中に対象物に接触した状態を維持できるアタッチメント及び点検用飛行体を提供する。
【解決手段】アタッチメント6は、対象物に接触可能な超音波プローブ5が設置される架台61と、架台61をアタッチメント6の幅方向及び上下方向に並進移動可能に、かつアタッチメント6のロール方向及びピッチ方向に回転可能に支持する支持手段64と、支持手段64の前面側に設けられ、超音波プローブ5の測定面が対象物に接触した状態で対象物に吸着する吸着手段と、を備える。吸着手段は、アタッチメント6の幅方向に離して配置され、対象物に吸着される一対の磁石6Bを備えてもよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドローンに取り付けられるアタッチメントであって、
対象物に接触可能な測定機器が設置される架台と、
前記架台を前記アタッチメントの幅方向及び上下方向に並進移動可能に、かつ前記アタッチメントのロール方向及びピッチ方向に回転可能に支持する支持手段と、
前記支持手段に設けられ、前記測定機器の先端側の測定面が前記対象物に接触した状態で前記対象物に吸着する吸着手段と、
を備えるアタッチメント。
【請求項2】
前記吸着手段は、前記アタッチメントの幅方向に離して配置され、前記対象物に吸着される一対の吸着部材を備える、
請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記アタッチメントの幅方向に延び、前記架台を軸周りに回転可能に、かつ軸方向に並進移動可能に支持する軸部材と、
前記軸部材を前記アタッチメントの幅方向に対向する一対の先端部で支持するアーム部材と、をさらに備え、
前記軸部材には、前記アーム部材の各先端部と前記架台との間にそれぞれ互いを付勢する第1の付勢手段が取り付けられている、
請求項1又は2に記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記支持手段は、上側部材と、前記上側部材から下方に離して配置される下側部材と、前記上側部材及び前記下側部材のそれぞれに接続され、互いに離して配置された一対の棒状部材と、を備え、
前記アーム部材の基端部は、各棒状部材が挿通され、各棒状部材よりも大きな一対の貫通孔を備え、
各棒状部材には、前記上側部材と前記アーム部材の基端部との間、及び前記下側部材と前記アーム部材の基端部との間に配置され、それぞれ互いを付勢するように第2の付勢手段が取り付けられている、
請求項3に記載のアタッチメント。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のアタッチメントと、
前記測定面が前記アタッチメントから突出するように前記アタッチメントに取り付けられた測定機器と、
前記アタッチメントが取り付けられたドローンと、
前記ドローンに取り付けられた状態で前記測定機器に通信可能に接続され、前記測定機器から測定データを取得する制御ユニットと、
を備える点検用飛行体。
【請求項6】
前記測定機器は、対象物の厚みを測定する超音波プローブである、
請求項5に記載の点検用飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメント及び点検用飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
煙突や高層ストラクチャーといった鋼構造物の老朽診断のために、鋼構造物の厚み測定が行われている。高所にある鋼構造物の厚み測定では、現場に仮設足場を構築し、次いで作業者が仮設足場に赴き、手作業で鋼構造物の厚み測定を行うことが一般的である。このような手法では、仮設足場の構築や作業員の測定作業に多くの時間を要するため、省力化を図ることが要請されている。
【0003】
そこで、近年、普及してきたドローンを活用し、ドローンに搭載した厚み測定器を鋼構造物に接触した状態で位置決めすることで鋼構造物の厚み測定を行うことが考えられる。例えば、特許文献1には、最初に対象物に接触させる一対の脚と、一対の脚と離れた位置に設けられ、一対の脚に続いて対象物に接触させるアームと、を備え、対象物に対して位置決めが可能なドローンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のドローンでは、対象物に一対の脚とアームとを接触させることで対象物に対してドローン本体を位置決めしている。このため、特許文献1のドローンに厚み測定器を搭載しても、外乱によりホバリング中のドローンがふらつくと、厚み測定器が対象物から離れてしまうという問題がある。このような問題は、ドローンに厚み測定器を搭載した場合に限られず、他の測定機器を搭載した場合にも存在している。
【0006】
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、ドローンに搭載された測定機器がドローンのホバリング中に対象物に接触した状態を維持できるアタッチメント及び点検用飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るアタッチメントは、
ドローンに取り付けられるアタッチメントであって、
対象物に接触可能な測定機器が設置される架台と、
前記架台を前記アタッチメントの幅方向及び上下方向に並進移動可能に、かつ前記アタッチメントのロール方向及びピッチ方向に回転可能に支持する支持手段と、
前記支持手段に設けられ、前記測定機器の先端側の測定面が前記対象物に接触した状態で前記対象物に吸着する吸着手段と、
を備える。
【0008】
前記吸着手段は、前記アタッチメントの幅方向に離して配置され、前記対象物に吸着される一対の吸着部材を備えてもよい。
【0009】
前記アタッチメントの幅方向に延び、前記架台を軸周りに回転可能に、かつ軸方向に並進移動可能に支持する軸部材と、
前記軸部材を前記アタッチメントの幅方向に対向する一対の先端部で支持するアーム部材と、をさらに備え、
前記軸部材には、前記アーム部材の各先端部と前記架台との間にそれぞれ互いを付勢する第1の付勢手段が取り付けられてもよい。
【0010】
前記支持手段は、上側部材と、前記上側部材から下方に離して配置される下側部材と、前記上側部材及び前記下側部材のそれぞれに接続され、互いに離して配置された一対の棒状部材と、を備え、
前記アーム部材の基端部は、各棒状部材が挿通され、各棒状部材よりも大きな一対の貫通孔を備え、
各棒状部材には、前記上側部材と前記アーム部材の基端部との間、及び前記下側部材と前記アーム部材の基端部との間に配置され、それぞれ互いを付勢するように第2の付勢手段が取り付けられてもよい。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る点検用飛行体は、
前記アタッチメントと、
前記測定面が前記アタッチメントから突出するように前記アタッチメントに取り付けられた測定機器と、
前記アタッチメントが取り付けられたドローンと、
前記ドローンに取り付けられた状態で前記測定機器に通信可能に接続され、前記測定機器から測定データを取得する制御ユニットと、
を備える。
【0012】
前記測定機器は、対象物の厚みを測定する超音波プローブであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ドローンに搭載された測定機器がドローンのホバリング中に対象物に接触した状態を維持できるアタッチメント及び点検用飛行体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係る点検システムの構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る点検用飛行体の構成を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るアタッチメントの構成を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るアタッチメントの構成を示す側面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るアタッチメントの構成を示す平面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るアタッチメントの支持手段がロール方向に傾斜する様子を示す図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る制御ユニットのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るコンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る制御ユニット及びコンピュータが実行する点検処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係るアタッチメント及び点検用飛行体を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面においては、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。実施の形態では、ドローンの前後方向をX軸方向、ドローンの左右方向(幅方向)をY軸方向、X軸方向及びY軸方向に垂直な方向(上下方向)をZ軸方向とする直交座標系を使用する。
【0016】
図1は、実施の形態に係る点検システム1の構成を示す概略図である。点検システム1は、空中でホバリングした状態で超音波プローブを鋼構造物に接触させ、接触した位置における鋼構造物の厚み測定を行う点検用飛行体2と、操作者の操作に応じて点検用飛行体2の動作を制御する制御信号を供給するコントローラ3と、点検用飛行体2により検出され鋼構造物の厚みに関する測定データ(波形データ)を取得するコンピュータ4と、を備える。コントローラ3及びコンピュータ4は、無線LAN(Local Area Network)のような通信ネットワークを用いて点検用飛行体2に対して通信可能に接続されている。
【0017】
コントローラ3は、操作者による操作を受け付ける操作部を備え、操作者による操作を受け付けることで点検用飛行体2に制御信号を送信する。コントローラ3の操作部は、例えば、点検用飛行体2の速度及び姿勢を操作するためのジョイスティックを備える。コンピュータ4は、点検用飛行体2から取得した測定データを内部に記憶すると共に操作者に向けて表示する。コンピュータ4は、例えば、タブレット端末である。
【0018】
図2は、実施の形態に係る点検用飛行体2の構成を示す斜視図である。点検用飛行体2には、超音波プローブ5と、超音波プローブ5が設置されるアタッチメント6と、前面側にアタッチメント6が取り付けられたドローン7と、ドローン7に取り付けられた状態で超音波プローブ5に接続され、超音波プローブ5からの測定データを記憶すると共にコンピュータ4に送信する制御ユニット8と、を備える。超音波プローブ5とドローン7と制御ユニット8とは、互いに通信可能に接続されている。
【0019】
超音波プローブ5は、対象物の厚みを非破壊で測定する超音波厚み計を構成する要素の1つであり、発信した超音波が測定対象の反射面で反射して戻ってくる性質を利用し、超音波を送受信する。超音波厚み計では、超音波を発信してから戻るまでの時間及び対象物における超音波の速度に基づいて鋼構造物の厚み測定を演算する。
【0020】
アタッチメント6は、超音波プローブ5を保持する本体6Aと、本体6Aの幅方向に対向する両端部に設けられ、鋼構造物に吸着する一対の磁石6Bと、を備える。一対の磁石6Bは、吸着手段の一例であり、各磁石6Bは、吸着手段を構成する吸着部材の一例である。点検用飛行体2が鋼構造物の目標位置に到達すると、一対の磁石6Bを鋼構造物の目標位置に吸着させ、鋼構造物に対して超音波プローブ5が位置ずれしたり回転したりしないように固定する。磁石6Bの磁力は、ホバリング中にドローン7がふらついても鋼構造物から外れず、かつドローン7の推進力を増大させると鋼構造物から外れる程度に設定する。なお、
図2では、理解を容易にするため、アタッチメント6の構成を簡略化して図示している。
【0021】
ドローン7は、制御ユニット8からの制御信号に基づいて空中を飛行し、ユーザの指定する位置に超音波プローブ5を移動させる装置である。ドローン7は、制御ユニット8を搭載するボディ71と、ボディ71から放射状に延びる複数のアーム72と、各アーム72の先端部に回転可能に支持されたロータ73と、ボディ71の下方に延びる脚部74と、を備える。ロータ73には、モータが接続され、モータには、バッテリーから供給された電力の周波数及び電圧を調整してモータの回転を制御するインバータが接続されている。ドローン7のインバータは、制御ユニット8に通信可能に接続され、コントローラ3からの制御信号に基づいてバッテリーから供給された電力の周波数及び電圧を調整し、ドローン7の飛行を制御する。
【0022】
図3~
図5は、それぞれ実施の形態に係るアタッチメント6を示す正面図、側面図、平面図であり、
図6は、実施の形態に係るアタッチメントの支持手段がロール方向に傾斜する様子を示す図である。
図6では、理解を容易にするために、部材の一部を省略して図示している。アタッチメント6は、超音波プローブ5を保持した状態でドローン7に支持され、ドローン7に対する超音波プローブ5の位置及び姿勢が変化可能となるように超音波プローブ5を保持する装置である。
【0023】
アタッチメント6は、超音波プローブ5が固定される架台61と、架台61をピッチ方向(Y軸周り)に回転可能かつ幅方向(Y軸方向)に並進移動可能に支持する軸部材62と、軸部材62の両端部を一対の先端部63aで支持する二叉のアーム部材63と、アーム部材63の基端部63bをロール方向(X軸周り)に回転可能かつ上下方向(Z軸方向)に並進移動可能に支持し、ドローン7に固定される支持手段64と、を備える。各先端部63aの端部には、磁石6Bがそれぞれ取り付けられている。一対の磁石6Bは、ドローン7がホバリングをしている最中に鋼構造物の目標位置に吸着することにより、超音波プローブ5が鋼構造物の厚さを安定して測定できるように補助する。
【0024】
架台61は、超音波プローブ5を固定する載置部61aと、載置部61aの両端に設けられ、載置部61aに対して垂直に延びる一対の板状部材61bと、を備える。載置部61aは、アタッチメント6の幅方向(Y軸方向)に延びる複数の棒状部材で構成されている。板状部材61bは、XZ平面に配置された三角形状の部材である。板状部材61bの底辺部には、載置部61aが接続され、底辺部に対向する頂点部には、軸部材62が挿通される貫通孔が形成されている。貫通孔は、円形状の断面を有する。
【0025】
軸部材62は、板状部材61bの貫通孔に相補的な円形状の断面を有し、貫通孔に収容された状態で板状部材61bをY軸周りに回転可能かつY軸方向に並進移動可能に支持する。軸部材62には、互いに対向する板状部材61bとアーム部材63の各先端部63aとの間に配置され、Y軸方向に延びる一対のコイルバネ62aが取り付けられている。コイルバネ62aは、第1の付勢手段の一例であり、架台61が軸部材62の軸方向に付勢された場合に、架台61とアーム部材63の先端部63aとの間で圧縮される。この反発力により架台61がY軸方向の元の位置に戻される。
【0026】
アーム部材63は、
図5に示されるように、アタッチメント6の幅方向(Y軸方向)に対向するように配置された2つの先端部63aと、2つの先端部を両端で接続する基端部63bと、を備える二叉形状の部材である。アーム部材63の先端部63aの先端側には、それぞれ鋼構造物に吸着可能な磁石6Bが設けられている。基端部63bには、後述する支持手段64の棒状部材64cが挿通可能な一対の貫通孔63eが設けられている。
【0027】
支持手段64は、上側部材64aと、上側部材64aの下方に配置された下側部材64bと、上側部材64a及び下側部材64bに垂直な向き(Z軸方向)に延び、互いに上側部材64a及び下側部材64bの幅方向(Y軸方向)に離して配置された一対の棒状部材64cと、各棒状部材64cに2つずつ取り付けられ、棒状部材64cが挿通されたアーム部材63の基端部63bを上下から付勢するコイルバネ64dと、を備える。コイルバネ64dは、第2の付勢手段の一例である。
【0028】
各棒状部材64cがアーム部材63の基端部63bに設けられた貫通孔63eに挿通されているため、アーム部材63は棒状部材64cの軸方向(Z軸方向)に移動できる。また、アーム部材63の基端部63bは、棒状部材64c毎に2つのコイルバネ64dで上下から挟まれているため、基端部63bが上側部材64aに向けて付勢された場合に、コイルバネ64dが基端部63bと上側部材64aの間で圧縮される。また、基端部63bが下側部材64bに向けて付勢された場合に、コイルバネ64dが基端部63bと下側部材64bの間で圧縮される。この反発力により基端部63bがZ軸方向の元の位置に戻される。
【0029】
また、
図6に示すように、基端部63bの貫通孔63eは、棒状部材64cよりも大きく形成され、ある程度の遊びを有する。このため、基端部63bが上側部材64a及び下側部材64bに対して傾斜することが許容され、架台61をロール方向(X軸周り)に旋回させることができる。
【0030】
アタッチメント6は、上記の構成を備えるため、ドローン7に対して超音波プローブ5をアタッチメント6のピッチ方向及びロール方向に回転可能に、かつアタッチメント6の幅方向及び上下方向に並進移動可能に支持する。このため、鋼構造物の目標位置でホバリング中のドローン7がふらついたとしても、アタッチメント6がドローン7のふらつきを吸収し、磁石6Bが鋼構造物に吸着した状態を維持できる。
以上が、アタッチメント6の構成である。
【0031】
図7は、実施の形態に係る制御ユニット8のハードウェア構成を示すブロック図である。制御ユニット8は、ドローン7に搭載された状態で超音波プローブ5に接続され、超音波プローブ5からの測定データを取得してコンピュータ4に送信する装置である。制御ユニット8は、例えば、マイクロコンピュータである。制御ユニット8は、通信部81と、記憶部82と、制御部83と、を備える。制御ユニット8の各部は、内部バス(図示せず)を介して相互に接続されている。
【0032】
通信部81は、例えば、コンピュータ4に接続することが可能なインターフェースである。
【0033】
記憶部82は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリを備える。記憶部82は、制御部83で実行されるプログラムや各種のデータ、例えば、超音波プローブ5の測定データを記憶する。また、記憶部82は、各種のデータを一時的に記憶し、制御部83が処理を実行するためのワークメモリとしても機能する。
【0034】
制御部83は、プロセッサを備え、制御ユニット8の各部の制御を行う。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。制御部83は、時刻をカウントするための内部タイマを備える。制御部83は、記憶部82に記憶されているプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。具体的には、制御部83は、コントローラ3からの制御信号に基づいて超音波プローブ5の動作を制御する。また、制御部83は、超音波プローブ5の測定デ-タを取得し、取得日時及び取得位置に対応付けて記憶部82に記憶させると共にリアルタイムでコンピュータ4に送信する処理を実行する。測定データの取得位置に関する情報は、例えば、GPS(Global Positioning System)により検出されたドローン7の位置情報である。
以上が、制御ユニット8のハードウェア構成である。
【0035】
図8は、実施の形態に係るコンピュータ4のハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ4は、操作部41と、表示部42と、通信部43と、記憶部44と、制御部45と、を備える。コンピュータ4の各部は、内部バス(図示せず)を介して相互に接続されている。
【0036】
操作部41は、ユーザの指示を受け付け、受け付けた操作に対応する操作信号を制御部45に供給する。表示部42は、制御部45から供給されるデータに基づいて、ユーザに向けて各種の画像を表示する。操作部41と表示部42とは、例えば、タッチパネルによって構成されている。タッチパネルは、ユーザの操作を受け付ける操作画面を表示すると共に、操作画面においてユーザが接触操作を行った位置に対応する操作信号を制御部45に供給する。
【0037】
通信部43は、例えば、制御ユニット8に接続することが可能なインターフェースである。
【0038】
記憶部44は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリを備える。記憶部44は、制御部45で実行されるプログラムや各種のデータを記憶する。また、記憶部44は、各種のデータを一時的に記憶し、制御部45が処理を実行するためのワークメモリとしても機能する。
【0039】
制御部45は、プロセッサを備え、コンピュータ4の各部の制御を行う。プロセッサは、例えば、CPUである。制御部45は、記憶部44に記憶されているプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。具体的には、制御部45は、制御ユニット8から超音波プローブ5の測定データをリアルタイムで取得し、測定データを取得日時及び取得位置に対応付けて記憶部44に記憶させると共に表示部42に表示させる。また、制御部45は、超音波プローブ5の測定データに基づいて鋼構造物の厚みを算出し、記憶部44に記憶させると共に表示部42に表示させてもよい。
【0040】
また、制御部45は、操作部41から測定開始の指示を受け付けると、測定開始を指示する旨の制御信号を制御ユニット8に送信し、操作部41から測定停止の指示を受け付けると、測定停止を指示する旨の制御信号を制御ユニット8に送信する。
以上が、コンピュータ4のハードウェア構成である。
【0041】
(点検処理)
図9のフローチャートを参照して、実施の形態に係るコンピュータ4及び制御ユニット8が実行する点検処理の流れを説明する。点検処理は、ドローン7をホバリングさせた状態で鋼構造物の目標位置の厚みを測定し、厚みに関する測定データをユーザに提供する処理である。点検処理は、ユーザによる測定開始の指示を受け付けた時点で開始する。ユーザは、ドローン7の操作者であってもよく、当該操作者以外であってもよい。
【0042】
ユーザが測定開始の指示を与える前に、ドローン7の操作者に依頼して鋼構造物の目標位置にドローン7を移動させる。鋼構造物の目標位置に超音波プローブ5が接触すると、磁石6Bが鋼構造物に吸着する。ドローン7の操作者は、この状態を維持するようにドローン7をホバリングさせる。ホバリング中のドローン7は外乱により姿勢が変化するが、
図3~
図6に示すようにアタッチメント6がY軸方向及びZ軸方向に並進移動し、X軸周り及びY軸周りに回転するように構成されているため、鋼構造物の目標位置から超音波プローブ5が外れることがない。鋼構造物の目標位置に超音波プローブ5が安定して接触していることを確認した時点で、以下の点検処理を開始させる。
【0043】
まず、コンピュータ4の操作部41がユーザからの測定開始の指示を受け付けると、制御部45は、超音波プローブ5による測定を開始する旨の制御信号を制御ユニット8に送信させる(ステップS11)。
【0044】
制御ユニット8の制御部83は、コントローラ3からの制御信号を通信部81に受信すると(ステップS21)、超音波プローブ5による厚み測定を開始させ(ステップS22)、超音波プローブ5の測定データを取得日時及び取得位置に対応付けてリアルタイムでコントローラ3に送信させる(ステップS23)。
【0045】
コンピュータ4の制御部45は、制御ユニット8からの測定データを通信部43に受信させると(ステップS12)、測定データを取得日時及び取得位置に対応付けて測定データを記憶部44に記憶させると共に表示部42に表示させ(ステップS13)、処理を終了する。
以上が、点検処理の流れである。
【0046】
点検処理の終了後、ユーザは、必要であればドローン7の操作者に依頼して鋼構造物の新たな目標位置にドローン7を移動させ、新たな目標位置に超音波プローブ5が接触するようにドローン7をホバリングさせる。この状態で再び点検処理を実行させ、新たな目標位置における測定データを取得すればよい。
【0047】
以上説明したように、実施の形態に係るアタッチメント6は、対象物に接触可能な超音波プローブ5が設置される架台61と、架台61をドローン7の幅方向及び上下方向に並進移動可能に、かつドローン7のロール方向及びピッチ方向に回転可能に支持する支持手段64と、支持手段64の前面側に設けられ、超音波プローブ5の測定面が鋼構造物に接触した場合に鋼構造物に吸着する一対の磁石6Bと、を備える。このため、超音波プローブ5を鋼構造物の目標位置に接触させた状態でドローン7をホバリングさせた状態でドローン7の姿勢がふらついたとしても超音波プローブ5を目標位置に接触させた状態を維持できる。このため、ユーザが高所に赴くことなく簡単に鋼構造物の厚み測定を行うことができる。
【0048】
本発明は上記の実施形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
【0049】
(変形例)
上記実施の形態では、ドローン7の前面側にアタッチメント6が取り付けられていたが、本発明はこれに限られない。アタッチメント6は、例えば、ドローン7の側面側又は背面側に取り付けられてもよい。
【0050】
上記実施の形態では、アタッチメント6に2つの磁石6Bを備えていたが、本発明はこれに限られない。例えば、超音波プローブ5に鋼構造物に吸着可能な磁石6Bを取り付けてもよい。また、磁石6Bの数は、2つに限られず、ドローン7がふらついたときに鋼構造物に接触している超音波プローブ5が位置ずれしたり回転したりすることを防止できれば、1つでも3つ以上であってもよい。
【0051】
上記実施の形態では、磁石6Bの横断面が円形であったが、本発明はこれに限られない。磁石6Bの横断面は、例えば、正方形、長方形、多角形、楕円形であってもよい。
【0052】
上記実施の形態では、磁石6Bは、永久磁石であったが、本発明はこれに限られない。例えば、磁石6Bは、電磁石であってもよい。電磁石は、制御ユニット8に接続され、制御ユニット8によりオンオフ可能となるように構成されてもよい。制御ユニット8は、超音波プローブ5を鋼構造物の目標位置に接触させた状態でドローン7をホバリングさせた後、電磁石をオンにして鋼構造物に吸着させ、測定終了後に目標位置から離れる前に電磁石をオフにするように制御するとよい。
【0053】
上記実施の形態では、吸着部材が磁石6Bであったが、本発明はこれに限られない。吸着部材は、例えば、粘着シートが貼り付けられた部材や粘着剤が塗布された部材に置き換えてもよい。
【0054】
上記実施の形態では、アタッチメント6に超音波プローブ5を搭載していたが、本発明はこれに限られない。アタッチメント6に搭載される測定機器は超音波プローブ5に限られず、例えば、表面粗さ計であってもよい。また、上記実施の形態では、超音波プローブ5を鋼構造物の厚み測定に用いていたが、本発明はこれに限られない。例えば、超音波プローブ5を鋼構造物のき裂や空洞の大きさの測定、異物の検知に用いてもよい。
【0055】
上記実施の形態では、鋼構造物を対象物として測定を行っていたが、本発明はこれに限られない。鋼構造物以外の対象物、例えば、車両、船舶、軌条、鉄筋コンクリート構造物の測定を行ってもよい。
【0056】
上記実施の形態では、コンピュータ4及び制御ユニット8の記憶部44、82に各種データが記憶されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、各種データは、その全部又は一部が通信ネットワークを介して外部の制御装置やコンピュータに記憶されてもよい。
【0057】
上記実施の形態では、コンピュータ4及び制御ユニット8は、それぞれ記憶部44、82に記憶されたプログラムに基づいて動作していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、プログラムにより実現された機能的な構成をハードウェアにより実現してもよい。
【0058】
上記実施の形態では、コンピュータ4及び制御ユニット8が実行する処理は、上述の物理的な構成を備える装置が記憶部44、82に記憶されたプログラムを実行することによって実現されていたが、本発明は、プログラムとして実現されてもよく、そのプログラムが記録された記憶媒体として実現されてもよい。
【0059】
また、上述の処理動作を実行させるためのプログラムを、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disk Read-Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、MO(Magneto-Optical Disk)のようなコンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体に格納して配布し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、上述の処理動作を実行する装置を構成してもよい。
【0060】
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1 点検システム
2 点検用飛行体
3 コントローラ
4 コンピュータ
41 操作部
42 表示部
43 通信部
44 記憶部
45 制御部
5 超音波プローブ
6 アタッチメント
6A 本体
6B 磁石
61 架台
61a 載置部
61b 板状部材
62 軸部材
62a コイルバネ
63 アーム部材
63a 先端部
63b 基端部
63e 貫通孔
64 支持手段
64a 上側部材
64b 下側部材
64c 棒状部材
64d コイルバネ
7 ドローン
71 ボディ
72 アーム
73 ロータ
74 脚部
8 制御ユニット
81 通信部
82 記憶部
83 制御部