(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154497
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】ナビゲーションシステム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/26 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
G01C21/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063828
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】島田 叡
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB02
2F129BB03
2F129BB04
2F129EE55
2F129FF04
2F129FF08
2F129FF09
2F129FF41
2F129GG17
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】 右折レーン付近における渋滞をあらかじめ認識して回避させることにより渋滞を抑制することである。
【解決手段】 ナビゲーションシステム1は、他車のGNSS情報および他車の方向指示器の情報を取得する通信部80と、通信部80により取得された他車のGNSS情報の変化量および他車の方向指示器の情報に基づいて、車線の渋滞を判定する制御部20を有する。制御部20は、交差点手前において、他車のGNSS情報の変化量が少なく、他車の方向指示器が右折の指示である場合に、当該交差点における右折レーンに渋滞が生じていると判定し、自車が右側車線を走行している場合は左側車線に車線変更するよう経路案内情報を案内させることを特徴とする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSS情報を取得して自車の経路案内情報を案内するナビゲーションシステムであって、
他車のGNSS情報および他車の方向指示器の情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記他車のGNSS情報の変化量および前記他車の方向指示器の情報に基づいて、車線の渋滞を判定する制御手段を有し、
前記制御手段は、交差点手前において、前記他車のGNSS情報の変化量が少なく、前記他車の方向指示器が右折の指示である場合に、当該交差点における右折レーンに渋滞が生じていると判定し、自車が右側車線を走行している場合は左側車線に車線変更するよう前記経路案内情報を案内させる、
ことを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記経路案内情報が前記交差点を右折させる旨の情報である場合に目的地への別のルートを案内させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記別のルートとして、渋滞が発生していると判定した前記交差点より自車の進行方向に一つ先の交差点で右折を案内する場合は、右側車線を走行中においては左側車線への変更を案内させる、
ことを特徴とする請求項2に記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記別のルートとして前方に存在する最初の交差点からみて一つ先の交差点で右折もしくは左折を案内する場合は、左側車線を走行中において前記最初の交差点における右折レーンに渋滞が生じていた場合には直進を案内させ、右側車線を走行中において前記最初の交差点における左側車線に渋滞が生じていた場合には直進を案内させる、
ことを特徴とする請求項2または3に記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、所定の施設の手前において、前記他車のGNSS情報の変化量が少なく、前記他車の方向指示器が左折の指示である場合に、当該所定の施設手前の左側車線に渋滞が生じていると判定し、自車が左側車線を走行している場合は右側車線に車線変更するよう前記経路案内情報を案内させる、
ことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の車線を有する道路において、右折車両の挙動を特定し右折渋滞を解消するために、車両が交差点に接近したとき、先行車両の右折ウインカーの有無、先行車両の速度、減速度、先行車両との車間距離等に基づいて、先行車両が、直進車両であるか、右折の可能性がある車両であるか、右折車両であるかを判断する技術が知られている(以下の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自車両が直進または右折する予定の交差点において長い右折渋滞や左折渋滞が発生している場合に、上記した従来技術においては、先行車両が、直進車両であるか、右折の可能性がある車両であるか、右折車両であるかを判断するだけで右折レーンにおける右折車両や直進・左折レーンにおける左折車両の渋滞情報は不明である。このため、自車両が右側車線(第2通行帯)を直進しており、そのまま直進しようとしている場合であって、右折レーンの渋滞により右側車線まで渋滞が延びている場合、直進することができなくなる。その場合、直進できなくなった車が左側車線(第1通行帯)へ合流しようとするため、その地点以降で渋滞が発生しやすくなる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、右折レーンもしくは左折レーン付近における渋滞をあらかじめ認識して回避させることにより渋滞を抑制することができるナビゲーションシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るナビゲーションシステムの一側面は、GNSS情報を取得して自車の経路案内情報を案内するナビゲーションシステムであって、他車のGNSS情報および他車の方向指示器の情報を取得する取得部と、取得部により取得された他車のGNSS情報の変化量および他車の方向指示器の情報に基づいて、車線の渋滞を判定する制御手段を有し、制御手段は、交差点手前において、他車のGNSS情報の変化量が少なく、他車の方向指示器が右折の指示である場合に、当該交差点における右折レーンに渋滞が生じていると判定し、自車が右側車線を走行している場合は左側車線に車線変更するよう経路案内情報を案内させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係るナビゲーションシステムの他の側面は、制御手段が、経路案内情報が交差点を右折させる旨の情報である場合に目的地への別のルートを案内させることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るナビゲーションシステムの他の側面は、制御手段は、別のルートとして、渋滞が発生していると判定した交差点より自車の進行方向に一つ先の交差点で右折を案内する場合は、右側車線を走行中においては左側車線への変更を案内させることを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係るナビゲーションシステムの他の側面は、制御手段が、別のルートとして前方に存在する最初の交差点からみて一つ先の交差点で右折もしくは左折を案内する場合は、左側車線を走行中において最初の交差点における右折レーンに渋滞が生じていた場合には直進を案内させ、右側車線を走行中において最初の交差点における左側車線に渋滞が生じていた場合には直進を案内させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るナビゲーションシステムの他の側面は、制御手段が、所定の施設の手前において、他車のGNSS情報の変化量が少なく、他車の方向指示器が左折の指示である場合に、当該所定の施設手前の左側車線に渋滞が生じていると判定し、自車が左側車線を走行している場合は右側車線に車線変更するよう経路案内情報を案内させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、右折レーンもしくは左折レーン付近における渋滞をあらかじめ認識して回避させることにより渋滞を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムの構成を示した図である。
【
図2】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムの処理の概要を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムにおける渋滞回避の一例を説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステムの動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<一実施の形態>
以下に、本発明の一実施の形態に係るナビゲーションシステム1について説明する。
図1は、本発明の一実施形態であるナビゲーションシステム1の概略構成図である 。
【0014】
[ナビゲーションシステム1の構成]
本実施形態のナビゲーションシステム1は、ナビゲーション装置10とサーバー11を有して構成される。
図2に示すように、例えば、交差点付近に存在する各車両のナビゲーション装置から、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム:米国のGPS(Global Positioning System)、日本の準天頂衛星(QZSS)、ロシアのGLONASS、欧州連合のGalileo等の衛星測位システムの総称)情報、ウインカー情報(方向指示器情報)、前方方向の映像(以下、個々に区別する必要がない場合、待機車あふれ検出情報と称する)が、サーバー11にアップロードされる。サーバー11は、待機車あふれ検出情報およびVICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)などの交通情報をナビゲーション装置10に提供する。なお、GNSS情報は、以下の説明では便宜上GPS情報と称する。
【0015】
ナビゲーション装置10を搭載する車両において、ナビゲーション装置10は、サーバー11から提供された待機車あふれ検出情報等を利用して、待機車あふれを考慮した案内を行う。具体的には、例えば、交差点を直進して通過するルートを案内する際、
図3に示すように、交差点において右折待機車が右折レーンから右側車線にあふれ、右側車線が渋滞している状態(以下、この状態を、適宜、右折レーンあふれ状態と称する)である場合、右側車線を走行している際には左側車線に変更する案内する処理(以下、この処理を、事前車線変更処理と称する)を実行する。右折する車両専用の右折レーンが設けられている場合において、右折する車が多いときは、右折レーンからはみ出て右側車線が渋滞する(
図3参照)。そのため、交差点より先の道路が空いているにも関わらず、右側車線にて交差点を通過する場合、減速や停止する必要がありさらに渋滞が増大する。そこで、ナビゲーション装置10は、例えば通過する交差点が右折レーンあふれ状態である場合、事前に左側車線への変更を促すことで、自車両は減速または停止することなく交差点を通過することができる。
【0016】
ナビゲーション装置10は、制御部20と、GPS受信装置30と、記憶装置40と、入力装置50と、ディスプレイ60と、音声入出力装置70と、通信部80と、撮像装置90を有する。
【0017】
制御部20は、ナビゲーション装置10の各種処理を行う。例えば、ユーザーが入力装置50から入力した目的地情報を受け取り、GPS受信装置30から得られた位置情報に基づいて自車の現在地を求める。これらの情報に加えて、制御部20は、記憶装置40内の地図データベース(図示せず)に格納されている道路地図情報から走行経路を探索する。その探索結果に基づいて、制御部20は、ディスプレイ60を介して、ユーザーに誘導経路や走行車線や目的地への到着予想時刻などを案内するための表示を行う。制御部20は、このように通常のナビゲーション処理を行う。制御部20はまた、事前車線変更処理(詳細は後述する)を実行する。
【0018】
GPS受信装置30は、自車が存在する地点を特定するためのGPS衛星の信号を受信する。記憶装置40は、制御部20の処理に必要な情報を記録する装置で、交通情報データベース41の他、通信部80を介してサーバー11から取得された待機車あふれ検出情報(他車のGPS情報42、他車の撮像画像(他車に備えられている撮像カメラで撮像された撮像画像)43および他車のウインカー情報44)を記憶する。
【0019】
入力装置50は、目的地の設定などユーザーがナビゲーション装置10を操作するときに入力作業をする装置である。
【0020】
ディスプレイ60は、ユーザーに情報を表示する装置であり、液晶ディスプレイなどで構成される。音声入出力装置70は、音声でユーザーに情報を出力したり、ユーザーが音声でナビゲーション装置10を操作したりする場合に音声を認識してユーザーからの入力を受け取る装置である。
【0021】
通信部80は、サーバー11から待機車あふれ検出情報を受信(取得)し、適宜、記憶装置40に記憶する。ナビゲーション装置10は、通信部80を介して自車の走行位置情報をサーバー11を有する交通情報センターに提供し、交通情報センターは、その走行位置情報を基準にしてユーザーが必要とする所定の範囲(例えば、数kmから数十km四方のエリア)に絞った交通情報(渋滞や交通規制に関する情報)を、目的地への到着予想時刻を含めて、各ユーザーのナビゲーション装置10に配信する。なお、配信される交通情報は、交通情報センターから交通情報受信装置(図示せず)を介して受信される。交通情報受信装置は、例えば、電波ビーコンや光ビーコンやFM多重放送という手段によりVICS(登録商標)センターから提供される情報を受信する。
【0022】
撮像装置90は、車両の周囲、特に前方の他の車両を撮像するための撮像カメラ(例えば、フロントドライブレコーダー)であるが、これに限定されない。例えば車両の周囲、特に後方の他の車両を撮像するためのリアカメラ(リアドライブレコーダーも含む)やサイドカメラ等を追加する構成でもよい。
【0023】
[ナビゲーション装置10における処理]
以下に、
図2~
図5を参照して、ナビゲーション装置10における処理(事前車線変更処理)の一例を説明する。なお、ディスプレイ60には地図情報が予め表示され、GPS受信装置30を介してGPS(図示せず)から取得されたGPS情報(緯度経度情報)が自車の現在地として設定される。また、以下の説明では、交差点のうち、誘導経路上で、進行方向において自車の現在地に最も近い前方の交差点を「前方交差点」と称する。
図3に示した三車線は、左側の通行帯が第1通行帯(左側車線)で、中央の通行帯が第2通行帯(右側車線)で、右の通行帯が右折レーンである。この三車線の先に交差点(図示せず)が存在し、当該交差点は前方交差点である。
【0024】
例えば、通常のナビゲーション処理において交差点を直進して通過する案内を行うタイミングになると、ステップS101において、制御部20は、記憶装置40から、待機車あふれ検出情報の中の他社のGPS情報を取得する。なお記憶装置40には、通信部80を介して、サーバー11から取得された待機車あふれ検出情報が記憶されているものとする。ステップS102において、制御部20は、取得した他車のGPS情報に基づいて、これから直進して通過する前方交差点の手前における他車のGPS情報の変化量が所定の基準値より小さいか否かを判定する。所定の基準値は、渋滞と認められる程度の変化量であり、あらかじめ設定される。
【0025】
ステップS102において、前方交差点の手前におけるGPS情報の変化量が所定の基準値より大きいと判定された場合には、ステップS101に戻る。前方交差点の手前におけるGPS情報の変化量が所定の基準値より小さいと判定した場合、ステップS103において、制御部20は、記憶装置40から、待機車あふれ検出情報の中の他社のウインカー情報を取得し、ステップS104において、ウインカー情報に基づいて右折ウインカーが出ているか否かを判定する。
【0026】
ステップS104において右折ウインカーが出ていると判定した場合、ステップS105において、制御部20は、GPS受信装置30より取得された自車のGPS情報に基づいて自車が(右側車線(第2通行帯)を走行しているか否かを判定する。自車が右側車線(第2通行帯)を走行していると判定された場合には、ステップS106において、制御部20は、ディスプレイ60および音声入出力装置70の少なくとも一方に自車の左側車線(第1通行帯)への車線変更を案内させる。ステップS105において自車が右側車線(第2通行帯)を走行していないと判定された場合には、ステップS107において、制御部20は、ディスプレイ60および音声入出力装置70の少なくとも一方に自車をそのまま直進させる旨を案内させる。ステップS106またはステップS107の後は処理はステップS101に戻る。
【0027】
一方、ステップS104において右折ウインカーが出ていないと判定された場合には、ステップS108において、制御部20は、左折ウインカーが出ているか否かを判定する。左折ウインカーが出ていると判定された場合には、ステップS109において、制御部20は、GPS情報に基づいて自車が左側車線(第1通行帯)を走行しているか否かを判定する。自車が左側車線を走行していると判定された場合には、ステップS110において、制御部20は、ディスプレイ60および音声入出力装置70の少なくとも一方に自車の右側車線(第2通行帯)への車線変更を案内させる。案内終了後はステップS101に戻る。ステップS109において自車が第左側車線を走行していないと判定された場合には、ステップS111において、制御部20は、ディスプレイ60および音声入出力装置70の少なくとも一方に自車をそのまま直進させる旨を案内させる。案内終了後はステップS101に戻る。ステップS108において左折ウインカーが出ていないと判定された場合には、ステップS101に戻る。
【0028】
なお、ステップS106およびステップS110における案内は車線変更の案内であるが、前方交差点のさらに一つ先の交差点の渋滞情報を取得してそちらの方が目的地への到着時間を早められる場合には当該一つ先の交差点で右左折する旨の案内を出すようにしてもよい。
【0029】
なお、上記した事前車線変更処理(ステップS101~S111)の内、右側車線渋滞の判断(ステップS101~S104)もしくは左側車線渋滞(ステップS101~S104、S108)までの判断処理を制御部20ではなくてサーバー11で行うようにしてもよい。
【0030】
以上のように、前方交差点の手前における他車のGPS情報の変化量が所定の基準値より小さく(ステップS102でYes)、その他車が右折ウインカーを出している場合(ステップS104でYes)、右折レーンあふれ状態であるとして、事前に車線を左側車線に変更する旨の案内を行うようにしたので(ステップS106)、減速または停車することなく前方交差点を通過することができる。
【0031】
また、GPS情報および左折ウインカー情報に基づいて左折渋滞(左折車あふれ)を次の交差点よりも前の位置(地点)検知し、前もって右側車線(第2通行帯)への車線変更の案内を行っているので、左折渋滞(左折車あふれ)による交通渋滞を抑制することができる。なお、左折渋滞(左折車あふれ)とは、例えば第1通行帯沿いに人気大型施設等がありその施設の駐車場が満車状態で施設の駐車場入り口付近で渋滞が発生している状態等が挙げられるがこれに限定されない。
【0032】
上記においては、交差点を直進して通過する場合を前提としたが、交差点を右折する場合においても、その交差点が右折レーンあふれ状態である場合は、交差点を右折する以外の別ルートがある場合、その別ルートを案内することができる。例えば前方交差点より手前の交差点を右折する案内をすることができる。また前方交差点より先の交差点の右折を案内することもできる。この場合は、上述したように、前方交差点においては左側車線への車線変更を促すことになる。なお別ルートを案内する場合、右折レーンあふれ状態の交差点を右折する場合に比べ、目的地への到着時間がより短くなる別のルートを案内することができる。
【0033】
また、右折渋滞(右折車あふれ)もしくは左折渋滞(左折車あふれ)が起きている地点で右折もしくは左折する予定の車に対して、検知された右左折渋滞情報に基づく車線変更案内により渋滞の発生している地点よりも手前の位置(地点)において車線変更を促しているので、事前のルート変更によりナビゲーション案内の到着時間遅れを回避することができる。
【0034】
以下に、
図2、
図4および
図5を参照して、ナビゲーション装置10における処理の他の例を説明する。なお、
図5のステップS201~S204、ステップS206は
図4のステップS101~S104、ステップS108と同じであるので、それらの処理については、以下の説明では省略する。
【0035】
ステップS204で、右折ウインカーが出ていると判定された場合には、ステップS205において、制御部20は、自車および他車の撮像装置(撮像カメラ)90から撮像画像を取得する。ステップS207において、制御部20は、取得された撮像画像に基づいて自車の前方が渋滞であることが確認されたか否かを判定する。この渋滞確認については、撮像装置90からの撮像画像に基づいて所定の画像解析処理を行い所定数以上の車両が確認された場合に渋滞確認の判定がなされる。この画像解析処理の技術は公知であるので説明は省略する。一方、右折ウインカーが出ていないと判定された場合には、ステップS206において、制御部20は、左折ウインカーが出ているか否かを判定する。左折ウインカーが出ていると判定された場合には、ステップS205に移行する。左折ウインカーが出ていないと判定された場合には、ステップS201に戻る。
【0036】
ステップS207において、取得された撮像画像に基づいて自車の前方が渋滞であることが確認された場合には、ステップS208において、制御部20は、その渋滞が右折レーンで発生している渋滞であるか否かを判定する。一方、ステップS207において、取得された撮像画像に基づいて自車の前方が渋滞でないことが確認された場合にはステップS201に戻る。
【0037】
ステップS208において、渋滞が右折レーンで発生している渋滞であると判定された場合には、ステップS209において、制御部20はGPS情報に基づいて自車が右側車線(第2通行帯)を走行しているか否かを判定する。自車が右側車線(第2通行帯)を走行していると判定された場合には、ステップS210において、制御部20は、ディスプレイ60および音声入出力装置70の少なくとも一方により自車の左側車線(第1通行帯)への車線変更を案内させる。案内終了後はステップS201に戻る。ステップS209において自車が右側車線(第2通行帯)を走行していないと判定された場合には、ステップS211において、制御部20は、ディスプレイ60および音声入出力装置70の少なくとも一方に自車をそのまま直進させる旨を案内させる。案内終了後はステップS201に戻る。
【0038】
ステップS208において、渋滞が右折レーンで発生している渋滞でないと判定された場合には、ステップS212において、制御部20は、前方交差点の左側車線(第1通行帯)が渋滞(左折車あふれ)していると判定する。続いて、ステップS213において、制御部20はGPS情報に基づいて自車が左側車線(第1通行帯)を走行しているか否かを判定する。自車が左側車線(第1通行帯)を走行していると判定された場合には、ステップS214において、制御部20は、ディスプレイ60および音声入出力装置70の少なくとも一方に自車の右側車線(第2通行帯)への車線変更を案内させる。案内終了後はステップS201に戻る。
【0039】
一方、ステップS213において自車が第1通行帯を走行していないと判定された場合には、ステップS215において、制御部20は、ディスプレイ60および音声入出力装置70の少なくとも一方により自車をそのまま直進させる旨を案内させる。案内終了後はステップS201に戻る。なお、ステップS211およびステップS215における案内は車線変更の案内であるが、前方交差点のさらに一つ先の交差点の渋滞情報を取得してそちらの方が目的地への到着時間を早められる場合には一つ先の交差点で右左折する旨の案内を出すようにしてもよい。
【0040】
なお、上記した事前車線変更処理(ステップS201~S215)の内、右側車線渋滞の判断(ステップS201~S205、S207、S208)もしくは左側車線渋滞(ステップS201~S204、S206、S205、S207、S208、S212)までの判断処理を制御部20ではなくてサーバー11で行うようにしてもよい。
【0041】
したがって、上記実施の形態によれば、GPS情報、ウインカー情報に加えて他車の撮像カメラの撮像画像も渋滞判定の条件にしているので、右折渋滞(右折車あふれ)もしくは左折渋滞(左折車あふれ)を次の交差点よりも前の位置(地点)で検知する精度を向上させることができる。したがって、右折車あふれ及び左折車あふれによる交通渋滞をより確実に抑制することができる。
【0042】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0043】
[効果のまとめ]
ナビゲーションシステム1は、GNSS情報を取得して自車の経路案内情報を案内するナビゲーションシステム1であって、他車のGNSS情報および他車の方向指示器の情報を取得する通信部80(サーバー11)と、通信部80(サーバー11)により取得された他車のGNSS情報の変化量および他車の方向指示器の情報に基づいて、車線の渋滞を判定する制御部20(サーバー11)を有する。制御部20(サーバー11)は、交差点手前において、他車のGNSS情報の変化量が少なく、他車の方向指示器が右折の指示である場合に、当該交差点における右折レーンに渋滞が生じていると判定し、自車が右側車線を走行している場合は左側車線に車線変更するよう経路案内情報を案内させることを特徴とする。
上記構成によれば、GNSS情報およびウインカー情報に基づいて右折渋滞(右折車あふれ)を次の交差点よりも前の位置(地点)検知し、前もって右折レーンへの車線変更の案内を行っているので、右折あふれによる交通渋滞を抑制することができる。
【0044】
ナビゲーションシステム1において、制御部20が、経路案内情報が交差点を右折させる旨の情報である場合に目的地への別のルートを案内させることを特徴とする。
上記構成によれば、右折渋滞(右折車あふれ)が起きている地点からみて前方に存在する最初の交差点までの車線変更の案内だけでなく、目的地への到着時間がより短くなる別のルートがあれば当該別ルートの案内を行うことによって、ナビゲーション案内の予想外の到着時間遅れを回避することができる。
【0045】
ナビゲーションシステム1において、制御部20が、別のルートとして、渋滞が発生していると判定した前記交差点より自車の進行方向に一つ先の交差点で右折を案内する場合は、右側車線を走行中においては左側車線への変更を案内させることを特徴とする。
上記構成によれば、別のルートとして前方に存在する最初の交差点からみて一つ先の交差点で右折を案内する場合に、現在走行中の車線が渋滞であると判断したときには前もって渋滞が発生していないと判断された側の車線への変更を案内する。したがって、到着時間の遅れを回避する可能性を高めることができる。
【0046】
ナビゲーションシステム1において、制御部20は、別のルートとして前方に存在する最初の交差点からみて一つ先の交差点で右折もしくは左折を案内する場合は、左側車線を走行中において最初の交差点における右折レーンに渋滞が生じていた場合には直進を案内させ、右側車線を走行中において前記最初の交差点における左側車線に渋滞が生じていた場合には直進を案内させることを特徴とする。上記構成によれば、別のルートとして前方に存在する最初の交差点からみて一つ先の交差点で右折を案内する場合に、現在走行中の車線以外の車線が渋滞であると判断したときには前もって直進をするように案内する。したがって、到着時間の遅れを回避する可能性をより高めることができる。
【0047】
ナビゲーションシステム1において、制御部20は、所定の施設の手前において、他車のGNSS情報の変化量が少なく、他車の方向指示器が左折の指示である場合に、当該施設手前の左側車線に渋滞が生じていると判定し、自車が左側車線を走行している場合は右側車線に車線変更するよう経路案内情報を案内させることを特徴とする。
上記構成によれば、GNSS情報およびウインカー情報に基づいて左折渋滞(左折車あふれ)を次の交差点よりも前の位置(地点)検知し、前もって右側車線への車線変更の案内を行っているので、左折車あふれによる交通渋滞を抑制することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 ナビゲーションシステム
10 ナビゲーション装置
11 サーバー
20 制御部
30 GPS受信装置
40 記憶装置
50 入力装置
60 ディスプレイ
70 音声入出力装置
80 通信部
90 撮像装置