(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154502
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】給液装置
(51)【国際特許分類】
F04B 49/02 20060101AFI20231013BHJP
H02P 29/024 20160101ALI20231013BHJP
【FI】
F04B49/02 311
H02P29/024
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063841
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000148209
【氏名又は名称】株式会社川本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】玉川 充
(72)【発明者】
【氏名】坂野 聖治
【テーマコード(参考)】
3H145
5H501
【Fターム(参考)】
3H145AA06
3H145AA23
3H145BA03
3H145BA07
3H145BA39
3H145CA21
3H145DA46
3H145EA20
3H145EA26
3H145EA36
5H501AA05
5H501BB08
5H501CC05
5H501FF01
5H501FF05
5H501HA05
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL52
5H501MM02
5H501MM06
5H501MM09
(57)【要約】
【課題】始動頻度過多を検出する精度を改善する。
【解決手段】本発明の一態様に係る給液装置は、制御部と、電流検出部と、状態検出部と、計数部と、始動頻度過多検出部と、を備える。制御部は、ポンプを駆動するモータに負荷電流を供給するための始動指令と、負荷電流の供給を停止するための停止指令とを互いに異なるタイミングで発生する。電流検出部は、負荷電流を検出する。状態検出部は、始動指令又は停止指令と電流検出部の出力とに基づき、モータの運転又は停止状態を検出する。計数部は、状態検出部の出力に基づき、運転又は停止状態の検出回数を計数する。始動頻度過多検出部は、予め設定された時間内における、検出回数に基づいてモータの始動頻度過多を検出し、当該始動頻度過多の検出結果を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプを駆動するモータに負荷電流を供給するための始動指令と、前記負荷電流の供給を停止するための停止指令とを互いに異なるタイミングで発生する制御部と、
前記負荷電流を検出する電流検出部と、
前記始動指令又は前記停止指令と前記電流検出部の出力とに基づき、前記モータの運転又は停止状態を検出する状態検出部と、
前記状態検出部の出力に基づき、前記運転又は停止状態の検出回数を計数する計数部と、
予め設定された時間内における、前記検出回数に基づいて前記モータの始動頻度過多を検出し、当該始動頻度過多の検出結果を出力する始動頻度過多検出部と、
を備えた給液装置。
【請求項2】
前記状態検出部は、前記始動指令に応じて、前記負荷電流の値が一瞬連続運転時の最大電流値より高く設定された始動電流判定値を超えた後、前記停止指令を発生するまで、前記負荷電流の値が前記始動電流判定値より低く設定された連続運転時の最低電流判定値を超え、且つ、前記始動電流判定値を下回った場合、前記運転又は停止状態のうちの運転状態を検出し、
前記計数部は、前記運転状態を検出した前記状態検出部の出力に基づき、前記運転状態の検出回数を計数する、
請求項1に記載の給液装置。
【請求項3】
前記状態検出部は、前記停止指令が発生した後にも前記負荷電流の値が前記最低電流判定値を超えた場合、前記停止指令に応じて前記負荷電流の供給を遮断する電磁接触器に関する異常を検出し、当該異常の検出結果を出力する、
請求項2に記載の給液装置。
【請求項4】
前記電磁接触器に関する異常は、当該電磁接触器における接点の溶着である、
請求項3に記載の給液装置。
【請求項5】
前記状態検出部は、前記始動指令に応じて、前記負荷電流の値が一瞬前記始動電流判定値を超えた後、前記負荷電流の値が前記始動電流判定値より低く且つ連続運転時の最大電流値より高く設定された異常判定値を超えた場合、前記始動指令に応じて前記負荷電流の供給を実行する電磁接触器に関する異常を検出し、当該異常の検出結果を出力する、
請求項2に記載の給液装置。
【請求項6】
前記電磁接触器に関する異常は、当該電磁接触器における接点の摩耗である、
請求項5に記載の給液装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記異常の検出結果を受けると、警報及び前記停止指令のうちの少なくとも一方を発生する、請求項3又は4に記載の給液装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記始動頻度過多の検出結果を受けると、警報及び前記停止指令のうちの少なくとも一方を発生する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の給液装置。
【請求項9】
前記電流検出部は、前記モータに供給される3相分の負荷電流のうち、2相分の電流波形を検出し、
前記状態検出部は、前記2相分の電流波形における各々の瞬時電流と、当該各々の瞬時電流を含む3相分の瞬時電流の総和がゼロであることとに基づいて、前記検出していない1相分の電流波形を計算し、得られた計算結果に基づく3相分の瞬時電流の値に応じて前記負荷電流の値を得る、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の給液装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給液装置に関する。
【背景技術】
【0002】
清水水中ポンプ等の給液装置では、短時間に始動と停止を繰り返す始動頻度過多が発生することにより、モータが熱蓄積後、焼損してしまう場合がある。このため、給液装置では、始動頻度過多を検出して、モータを焼損から保護することが望ましい。なお、始動頻度過多は、起動頻度過多又はチャタリング等とも呼ばれる。
【0003】
この種の始動頻度過多を検出する技術としては、幾つかの方式が知られている。例えば、複数台のポンプの増減台動作の際に、流路内の圧力に基づいてチャタリングを検出する方式が知られている。また例えば、吐出側圧力と水量とに基づいて停止と再始動が繰り返されるポンプについて、始動した回数(再始動回数)又は停止した回数をカウントし、測定期間内に当該回数が基準値を上回った場合に、始動頻度過多を判定する方式が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6581801号公報
【特許文献2】特許第4804747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上のような技術は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、始動頻度過多を検出する精度を改善できる余地がある。
【0006】
本発明は、始動頻度過多を検出する精度を改善し得る給液装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る給液装置は、制御部と、電流検出部と、状態検出部と、計数部と、始動頻度過多検出部と、を備えている。前記制御部は、ポンプを駆動するモータに負荷電流を供給するための始動指令と、前記負荷電流の供給を停止するための停止指令とを互いに異なるタイミングで発生する。前記電流検出部は、前記負荷電流を検出する。前記状態検出部は、前記始動指令又は前記停止指令と前記電流検出部の出力とに基づき、前記モータの運転又は停止状態を検出する。前記計数部は、前記状態検出部の出力に基づき、前記運転又は停止状態の検出回数を計数する。前記始動頻度過多検出部は、予め設定された時間内における、前記検出回数に基づいて前記モータの始動頻度過多を検出し、当該始動頻度過多の検出結果を出力する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、始動頻度過多を検出する精度を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を例示する模式図。
【
図2】第1の実施形態における動作例を説明するためのフローチャート。
【
図3】第2の実施形態における動作例を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら実施形態の説明を述べる。なお、以降、説明済みの要素と同一または類似の要素には同一または類似の符号を付し、重複する説明については基本的に省略する。例えば、複数の同一または類似の要素が存在する場合に、各要素を区別せずに説明するために共通の符号を用いることがあるし、各要素を区別して説明するために当該共通の符号に加えて枝番号及び/又は英小文字を用いることもある。
【0011】
なお、以降の説明において便宜上、給液装置について清水水中ポンプとしてのポンプ装置を例に挙げて述べるが、給液装置は、清水に限らず、汚水、排水、温泉水又は海水などの液体を供給先に供給するポンプ装置であってもよい。また、ポンプ装置は、受水槽又は井戸等に設置される水中ポンプを例に挙げて述べるが、これに限らず、水道本管に直結されるポンプであってもよい。また、電源とモータとの間に介在する電磁接触器については、制御盤が保持する場合を例に挙げて述べるが、制御盤に保持されずに制御盤から離れた場所に配置してもよい。
【0012】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るポンプ装置の構成を例示する模式図である。このポンプ装置1は、井戸等の水中に配置される縦軸の多段のポンプ11と、ポンプ11に接続されたモータ12と、モータ12に相毎のケーブル13を介して電力を供給する電磁接触器21とを備えている。電磁接触器21は、制御盤20に収容されており、電磁接触器21の入力側には相毎の電源配線14を介して3相3線式の交流電源30が接続されている。ポンプ装置1は、給液装置の一例である。
【0013】
ここで、ポンプ11は、例えば井戸に配置され、少なくともその一部が井戸内の流体、例えば井戸水、の水面下に位置する多段の深井戸用水中ポンプである。ポンプ11は回転軸を有し、当該回転軸がモータ12の回転子の軸に接続されている。ポンプ11は、井戸等の水中に配置されたモータ12に電力が供給されると、モータ12内の回転子が回転し、当該回転に追従して回転軸が回転する。ポンプ11の回転軸の回転により、複数のケーシング内のインペラが回転し、ケーシング内の水を増圧し、吐出ケーシングからポンプ11の二次側へと送水する。
【0014】
モータ12は、例えば水中モータであり、例えばポンプ11の直下の井戸水中に配置される。モータ12は、ケーブル13を介して電磁接触器21に接続される。電磁接触器21からケーブル13を介して電力が供給されると、モータ12は、回転子が回転し、当該回転に追従してポンプ11の回転軸を回転させることで、当該ポンプ11を駆動する。モータ12は、負荷装置の一例である。
【0015】
制御盤20は、電磁接触器21と、制御部22と、記憶部26と、通信部27と、入力部28と、表示部29と、スピーカ29aとを備えている。制御部22は、電圧検出部23と、R相電流検出回路24Rと、T相電流検出回路24Tと、マイコン25とを備えている。なお、電圧検出部23、記憶部26、通信部27、入力部28、表示部29及びスピーカ29aは、適宜、省略してもよい。すなわち、制御部22及び電磁接触器21は、制御盤の一例である。また、制御部22及び電磁接触器21と、表示部29及び/又はスピーカ29aとは、制御盤の他の一例である。また、ポンプ11、モータ12及び制御盤20は、給液装置の一例である。
【0016】
電磁接触器21は、制御部22に制御され、交流電源30から電源配線14を介して供給される電力をケーブル13を介してモータ12に供給する。補足すると、電磁接触器21は、制御部22が発生する始動指令に応じて、電源配線14とケーブル13との間の接点を閉塞することにより、モータ12への負荷電流の供給を実行する。また、電磁接触器21は、制御部22が発生する停止指令に応じて、電源配線14とケーブル13との間の接点を開放することにより、モータ12への負荷電流の供給を遮断する。なお、電磁接触器21は、必ずしも制御盤20に収容される必要はなく、制御盤20の外部に配置してもよい。
【0017】
電圧検出部23は、ポンプ11を駆動するモータ12である負荷装置に電力を供給する電磁接触器21に入力される3相分の交流電圧に基づいて、当該3相分の線間電圧波形を検出する。具体的には、電圧検出部23は、交流電源30と電磁接触器21との間の電源配線14から3相分の線間電圧波形を検出する。
【0018】
R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tは、電磁接触器21から出力される3相分の交流電流のうち、2相分の電流波形を検出する。具体的には、R相電流検出回路24Rは、電磁接触器21とモータ12との間のケーブル13から変流器CT_Rを介してR相の電流波形を検出する。同様に、T相電流検出回路24Tは、電磁接触器21とモータ12との間のケーブル13から変流器CT_Tを介してT相の電流波形を検出する。なお、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tは、変流器に限らず、シャント抵抗を用いて電流波形を検出してもよい。また、制御部22は、S相電流検出回路を更に備えてもよい。R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tは、モータ12に供給される負荷電流を検出する電流検出部の一例である。
【0019】
マイコン25は、制御盤20内の各部を統括して制御する制御中枢である。マイコン25は、プログラムやデータを記憶するメモリ(図示しない)と、このメモリに記憶されるプログラムやデータに基づく処理を実行するプロセッサ(図示しない)を備え、これらにより各種制御機能を実現する。なお、マイコン25は、CPU (central processing unit)、GPU (graphics processing unit)、FPGA (field programmable gate array)、DSP (digital signal processor)、またはその他の汎用または専用のプロセッサなどでもよい。
【0020】
マイコン25が実現する各種制御機能には、例えば、ポンプ制御を行う制御機能25aと、ポンプ装置1を保護する保護機能25bとが含まれる。
【0021】
制御機能25aは、ポンプ11を駆動するモータ12に負荷電流を供給するための始動指令と、当該負荷電流の供給を停止するための停止指令とを互いに異なるタイミングで発生する。例えば、制御機能25aは、通信部27又は入力部28からの入力に基づき、始動指令又は停止指令を発生する。また、制御機能25aは、発生した始動指令又は停止指令に応じて電磁接触器21を制御することにより、モータ12への負荷電流の供給を実行又は遮断する。また、制御機能25aは、保護機能25bから始動頻度過多の検出結果を受けると、警報及び停止指令のうちの少なくとも一方を発生する。また同様に、制御機能25aは、保護機能25bから電磁接触器21に関する異常の検出結果を受けると、警報及び停止指令のうちの少なくとも一方を発生する。例えば、制御機能25aは、警報を発生してスピーカ29a等から出力することにより、始動頻度過多の異常や電磁接触器21の異常に応じた点検、修理、交換などのメンテナンス作業を促すことができる。また例えば、制御機能25aは、停止指令を発生して電磁接触器21によりモータ12への負荷電流の供給を遮断することで、ポンプ11を停止状態に制御することができる。制御機能25aは、制御部の一例である。
【0022】
保護機能25bは、制御機能25aで発生した始動指令又は停止指令と、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力とに基づいて、モータ12の始動頻度過多を検出し、当該始動頻度過多の検出結果を制御機能25aに出力する。なお、保護機能25bとしては、以下の(i)~(iii)に示す如き、状態検出機能25b1、計数機能25b2及び始動頻度過多検出機能25b3を適宜、含んでいてもよい。また、状態検出機能25b1、計数機能25b2及び始動頻度過多検出機能25b3は、保護機能25bの機能分担の一例であり、これに限定されない。同様に、制御機能25a及び保護機能25bは、マイコン25内の機能分担の一例であり、これに限定されない。すなわち、マイコン25内の各機能間において、ある機能を他の機能が実行するように実施してもよい。例えば、制御機能25aによる警報出力の機能を保護機能25bが実行してもよい。
【0023】
(i)状態検出機能25b1は、制御機能25aで発生した始動指令又は停止指令と、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力とに基づき、モータ12の運転又は停止状態を検出する。
【0024】
また、状態検出機能25b1は、モータ12に供給される3相分の負荷電流のうち、2相分の電流波形を検出するR相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力に基づいて、当該3相分の負荷電流の値を得るようにしてもよい。例えば、状態検出機能25b1は、2相分の電流波形における各々の瞬時電流と、当該各々の瞬時電流を含む3相分の瞬時電流の総和がゼロであることとに基づいて、検出していない1相分の電流波形を計算し、得られた計算結果に基づく3相分の瞬時電流の値に応じて負荷電流の値を得てもよい。状態検出機能25b1は、状態検出部の一例である。
【0025】
(ii)計数機能25b2は、状態検出機能25b1の出力に基づき、当該運転又は停止状態の検出回数を計数する。例えば、計数機能25b2は、運転状態を検出した状態検出機能25b1の出力に基づき、当該運転状態の検出回数を計数する。あるいは、計数機能25b2は、停止状態を検出した状態検出機能25b1の出力に基づき、当該停止状態の検出回数を計数する。すなわち、モータ12の始動回数としては、モータ12が運転状態となった回数を計数してもよく、モータ12が停止状態となった回数を計数してもよい。なお、モータ12の運転状態は、モータ運転状態と呼んでもよい。モータ12の停止状態は、モータ停止状態と呼んでもよい。計数機能25b2は、計数部の一例である。
【0026】
(iii)始動頻度過多検出機能25b3は、予め設定された時間(以下、設定時間ともいう)内における、当該検出回数に基づいてモータ12の始動頻度過多を検出し、当該始動頻度過多の検出結果を制御機能25aに出力する。例えば、始動頻度過多検出機能25b3は、当該検出回数が設定時間内に設定回数を超えた場合に、モータ12の始動頻度過多を検出してもよい。始動頻度過多検出機能25b3は、始動頻度過多検出部の一例である。
【0027】
なお、(i)~(iii)に示した機能に限らず、保護機能25bは、電圧検出部23の出力に基づいて電源電圧不平衡率を計算し、当該電源電圧不平衡率が閾値より大きい場合に、電源電圧不平衡率に関する異常を検出してもよい。また同様に、保護機能25bは、電圧検出部23の出力に基づいて、正弦波形が検出されない線間電圧を検出し、当該検出した線間電圧に応じて、3相のうちの欠相状態にあるR相、S相又はT相を導出することにより、欠相に関する異常を検出してもよい。また、保護機能25bは、当該異常の検出結果を制御機能25aに出力してもよい。この場合、制御機能25aは、前述同様に、異常の検出結果を受けると、警報及び停止指令のうちの少なくとも一方を発生してもよい。
【0028】
記憶部26は、例えば、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)又はHDD(Hard Disk Drive)である。記憶部26は、マイコン25内のメモリに記憶しないデータを記憶する。例えば、記憶部26は、ポンプ装置1の運転データのログ、異常検出のログ、メンテナンス情報などのように、リアルタイムの制御に用いるデータではなく、長期保存のためのデータを記憶する。但し、これに限らず、記憶部26は、リアルタイムの制御に用いるデータのうち、制御パラメータや閾値などのデータを保存してもよい。
【0029】
通信部27は、制御部22により制御され、無線通信技術を用いて、通信端末などの外部装置と通信可能な任意の通信インタフェースである。具体的には、通信部27は、例えば、Bluetooth(登録商標) Low Energyの規格(以下、BLE規格ともいう)、Wi-Fi(登録商標)、NFCなどの(近距離)無線通信技術、またはUSBなどの有線通信技術を用いて、通信端末等の外部装置に接続可能となっている。また、通信部27は、BLE規格などにより、スピーカ29aやマイク等を無線接続してもよい。なお、BLE規格は、BLEのバージョン4.0以上の規格であればよく、BLEの通信方式と互換性があればよい。これに伴い、「BLE規格」は、「Bluetooth 4.0以上の規格」と呼んでもよい。
【0030】
入力部28は、例えば、ボタンスイッチやセレクトスイッチを含む操作パネルやタッチスクリーンなどのユーザ入力を受け付ける装置と、図示しない水位センサやフロートスイッチなどのセンサとを含み得る。セレクトスイッチは、ポンプ運転指令を入力するものであり、ユーザの操作に応じて、ポンプの自動・停止・手動を切り替えるスイッチなどが適宜、使用可能となっている。
【0031】
表示部29は、マイコン25の処理に応じて、動画像、静止画像、テキスト、警報などを表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどの表示デバイスや、ポンプ装置1のステータスを表示するLED(Light Emitting Diode)点灯部などを含み得る。表示デバイスは、タッチスクリーンのように入力部28の機能を備えていてもよい。表示部29は、制御機能25aに制御され、警報を出力する出力部の一例である。
【0032】
スピーカ29aは、制御部22から送出された音声情報に基づいて、警報又はガイド等の音声出力を行う装置であり、制御盤20に埋め込んでもよく、床置き又は壁掛けしてもよい。スピーカ29aは、有線又は無線を介して制御部22に接続可能となっている。スピーカ29aは、制御機能25aに制御され、警報を出力する出力部の他の一例である。
【0033】
次に、以上のように構成されたポンプ装置の動作例について
図2のフローチャートを参照しながら説明する。
【0034】
ステップST1において、ポンプ装置1の制御盤20では、マイコン25が、例えば、通信部27又は入力部28からの入力に基づき、始動指令又は停止指令を発生する。あるいは、マイコン25は、保護機能25bによる異常の検出結果に基づき、停止指令を発生する。しかる後、マイコン25は、発生した始動指令又は停止指令を電磁接触器21に送出する。
【0035】
一方、電磁接触器21では、始動指令又は停止指令を受けたか否かに応じて、接点の開閉状態を変化させる。すなわち、電磁接触器21は、発生した指令を受けない場合には(ST1:No)、現在の接点の開閉状態を維持し、指令を受けるまで待機する。また、電磁接触器21は、発生した指令を受けた場合には(ST1:Yes)、ステップST2に移行する。
【0036】
ステップST1の後、ステップST2において、電磁接触器21は、マイコン25から受けた指令に応じてモータ12を始動又は停止させる。具体的には、電磁接触器21は、受けた始動指令に応じて接点を閉塞状態にして、モータ12への負荷電流の供給を実行する。一方、電磁接触器21は、受けた停止指令に応じて接点を開放状態にして、モータ12への負荷電流の供給を遮断する。
【0037】
ステップST2の後、ステップST3において、制御盤20では、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tが、電磁接触器21から出力される3相分の交流電流のうち、2相分の電流波形を検出する。また、マイコン25は、R相電流検出回路24R及びT相電流検出回路24Tの出力が示す2相分の電流波形に基づいて、検出していないS相の電流波形を計算する。すなわち、マイコン25は、当該2相分の電流波形における各々の瞬時電流と、当該各々の瞬時電流を含む3相分の瞬時電流の総和がゼロであることとに基づいて、検出していない1相分の電流波形を計算する。これにより、マイコン25では、3相分の電流波形が得られる。また、マイコン25は、当該3相分の電流波形における各々の瞬時電流の値に基づいて、負荷電流の値を計算する。負荷電流の値としては、例えば、実効値を計算する。なお、ステップST3は、ステップST2で負荷電流の供給が実行された場合に行われる。すなわち、ステップST3は、ステップST2で負荷電流の供給が遮断された場合には行われない。
【0038】
ステップST3の後、ステップST4において、マイコン25は、負荷電流を検出したか否かを判定し、判定結果に応じてステップST5又はST6に移行する。
【0039】
ステップST4の判定結果が否の場合(ST4:No)、ステップST5において、マイコン25は、モータ12が停止状態であると判断し、モータ停止状態の検出回数を計数してステップST7に移行する。
【0040】
一方、ステップST4の判定の結果、負荷電流を検出した場合(ST4:Yes)、ステップST6において、マイコン25は、モータ12が運転状態であると判断し、モータ運転状態の検出回数を計数する。
【0041】
ステップST6の後、ステップST7において、マイコン25は、設定時間内で計数した検出回数が設定回数を超えたか否かを判定する。この判定の結果、否の場合(ST7:No)にはステップST1に戻り、ステップST1~ST7の処理を繰り返し実行する。
【0042】
一方、ステップST7の判定の結果、当該検出回数が設定回数を超えた場合(ST7:Yes)には、ステップST8において、マイコン25は、モータ12の始動頻度過多を検出し、ポンプ装置1が異常状況であると判断する。
【0043】
ステップST8の後、マイコン25は、始動頻度過多の検出結果に基づいて停止指令を発生し、停止指令を電磁接触器21に送出してモータ12への負荷電流の供給を遮断することで、ポンプ11を強制停止させる。なお、強制停止に加えて、又は強制停止に代えて、マイコン25は、始動頻度過多の検出結果に基づいて、警報をスピーカ29a等から出力させてもよい。
【0044】
上述したように第1の実施形態によれば、給液装置は、制御部と、電流検出部と、状態検出部と、計数部と、始動頻度過多検出部とを備えている。制御部は、ポンプ11を駆動するモータ12に負荷電流を供給するための始動指令と、負荷電流の供給を停止するための停止指令とを互いに異なるタイミングで発生する。電流検出部は、負荷電流を検出する。状態検出部は、始動指令又は停止指令と電流検出部の出力とに基づき、モータ12の運転又は停止状態を検出する。計数部は、状態検出部の出力に基づき、運転又は停止状態の検出回数を計数する。始動頻度過多検出部は、予め設定された時間内における、当該検出回数に基づいてモータ12の始動頻度過多を検出し、当該始動頻度過多の検出結果を出力する。
【0045】
従って、モータ12の始動頻度過多を検出する際に、モータ12への負荷電流の検出に基づいて運転状態・停止状態を高精度に検出する構成により、始動頻度過多を検出する精度を改善することができる。補足すると、第1の実施形態によれば、従来技術における流路内の圧力や水量に基づいて始動頻度過多(チャタリング)を検出する場合に比べ、より直接的にモータの運転又は停止状態を検出できるため、始動頻度過多の検出精度を改善することができる。
【0046】
また、第1の実施形態によれば、制御部は、始動頻度過多の検出結果を受けると、警報及び停止指令のうちの少なくとも一方を発生してもよい。この場合、前述した効果に加え、始動頻度過多に起因したモータの焼損を阻止することが可能となる。例えば、警報を発生する場合には、始動頻度過多への対応を促すことができる。また、停止指令を発生する場合には、始動頻度過多のモータを停止させることにより、モータを焼損から保護することができる。
【0047】
また、第1の実施形態によれば、電流検出部は、モータに供給される3相分の負荷電流のうち、2相分の電流波形を検出してもよい。状態検出部は、当該2相分の電流波形における各々の瞬時電流と、当該各々の瞬時電流を含む3相分の瞬時電流の総和がゼロであることとに基づいて、検出していない1相分の電流波形を計算し、得られた計算結果に基づく3相分の瞬時電流の値に応じて負荷電流の値を得るようにしてもよい。この場合、前述した効果に加え、1相分の電流波形を検出するためのハードウェア構成(例、S相の変流器、S相電流検出回路)を省略することができる。補足すると、2相分の変流器及び電流検出回路を用いて、3相分の電流波形を得ることができる。
【0048】
<第2の実施形態>
第2の実施形態は、第1の実施形態の具体例であり、複数の判定値を用いて起動頻度過多の検出精度の向上を図る形態である。なお、第2の実施形態は、複数の判定値を用いたことに伴い、起動頻度過多の異常に限らず、他の異常を検出可能としている。
【0049】
具体的には例えば、マイコン25の状態検出機能25b1は、始動指令に応じて、負荷電流の値が一瞬、連続運転時の最大電流値より高く設定された始動電流判定値を超えた後、停止指令を発生するまで、負荷電流の値が始動電流判定値より低く設定された連続運転時の最低電流判定値を超え、且つ、始動電流判定値を下回った場合、運転又は停止状態のうちの運転状態を検出してもよい。なお、各判定値は、”連続運転時の最低電流判定値<連続運転時の最大電流値<始動電流判定値<モータ始動電流(一瞬流れる負荷電流)”という関係を満たす値に予め設定されている。
【0050】
また例えば、状態検出機能25b1は、停止指令が発生した後にも負荷電流の値が最低電流判定値を超えた場合、停止指令に応じて負荷電流の供給を遮断する電磁接触器21に関する異常を検出し、当該異常の検出結果を出力してもよい。ここでいう電磁接触器21に関する異常は、当該電磁接触器における接点の溶着である。なお、各判定値は、”連続運転時の最低電流判定値<接点溶着時の負荷電流≦連続運転時の最大電流値”という関係を満たす値に予め設定されている。
【0051】
また例えば、状態検出機能25b1は、始動指令に応じて、負荷電流の値が一瞬、始動電流判定値を超えた後、負荷電流の値が始動電流判定値より低く且つ連続運転時の最大電流値より高く設定された異常判定値を超えた場合、始動指令に応じて負荷電流の供給を実行する電磁接触器21に関する異常を検出し、当該異常の検出結果を出力してもよい。ここでいう電磁接触器21に関する異常は、当該電磁接触器21における接点の摩耗である。なお、各判定値は、”連続運転時の最大電流値<異常判定値<接点摩耗時の負荷電流<始動電流判定値<モータ始動電流”という関係を満たす値に予め設定されている。また、これに限らず、異常判定値は、連続運転時の最大電流値と同じ値に設定してもよい。
【0052】
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0053】
次に、以上のように構成されたポンプ装置の動作例について
図3のフローチャートを用いて説明する。
図3中、
図2のステップ番号に関連するステップ番号については、末尾に英小文字を付している。
【0054】
ステップST1a~ST1bにおいて、ポンプ装置1の制御盤20では、マイコン25が、例えば、通信部27又は入力部28からの入力に基づき、始動指令又は停止指令を発生する。あるいは、マイコン25は、保護機能25bによる異常の検出結果に基づき、停止指令を発生する。しかる後、マイコン25は、発生した始動指令又は停止指令を電磁接触器21に送出する。
【0055】
一方、電磁接触器21では、始動指令又は停止指令を受けたか否かに応じて、接点の開閉状態を変化させる。すなわち、電磁接触器21は、始動指令を受けた場合(ST1a:Yes)には、ステップST2aに移行して接点を閉塞状態にする。また、電磁接触器21は、始動指令を受けず(ST1a:No)、停止指令を受けた場合(ST1b:Yes)には、ステップST2bに移行して接点を開放状態にする。また、始動指令及び停止指令のいずれも受けない場合(ST1b:No)には、電磁接触器21は、現在の接点の開閉状態を維持し、ステップST1aに戻る。
【0056】
ステップST1aの後、ステップST2aにおいて、電磁接触器21は、マイコン25から受けた始動指令に応じてモータ12を始動させる。具体的には、電磁接触器21は、受けた始動指令に応じて接点を閉塞状態にして、モータ12への負荷電流の供給を実行する。
【0057】
ステップST2aの後、ステップST3が前述同様に実行される。
【0058】
ステップST3の後、ステップST4a~ST4bにおいて、マイコン25は、始動指令に応じて、負荷電流の値が一瞬、連続運転時の最大電流値より高く設定された始動電流判定値を超えた後、停止指令を発生するまで、負荷電流の値が始動電流判定値より低く設定された連続運転時の最低電流判定値を超え、且つ、始動電流判定値を下回った場合、運転又は停止状態のうちの運転状態を検出する。例えば、ステップST4aにおいて、マイコン25は、始動指令に応じて、一瞬だけ始動電流判定値を超える負荷電流の値を検出したか否かを判定し、否の場合(ST4a:No)にはステップST4b、ST6をスキップしてステップST7に移行する。一方、負荷電流の値が一瞬だけ始動電流判定値を超えた場合(ST4a:Yes)には、ステップST4bに移行する。
【0059】
ステップST4aの後、ステップST4bにおいて、マイコン25は、始動電流判定値と連続運転時の最低電流判定値との間の負荷電流の値を検出したか否かを判定し、否の場合(ST4b:No)にはステップST6をスキップしてステップST7に移行する。一方、始動電流判定値と最低電流判定値との間の負荷電流の値を検出した場合(ST4b:Yes)には、ステップST6に移行する。
【0060】
ステップST4bの後、ステップST6において、マイコン25は、モータ12が運転状態であると判断し、モータ運転状態の検出回数を計数してステップST7に移行する。
【0061】
一方、ステップST1bの後、ステップST2bにおいて、電磁接触器21は、受けた停止指令に応じて接点を開放状態にして、モータ12への負荷電流の供給を遮断する。
【0062】
ステップST2bの後、ステップST4c及びST8aにおいて、マイコン25は、停止指令が発生した後にも負荷電流の値が最低電流判定値を超えた場合、停止指令に応じて負荷電流の供給を遮断する電磁接触器21に関する異常を検出する。例えば、ステップST4cにおいて、マイコン25は、最低電流判定値を超える負荷電流の値を検出したか否かを判定する。ステップST4cの判定の結果、負荷電流の値を検出した場合(ST4c:Yes)にはステップST8aにおいて、マイコン25は、停止指令に応じて負荷電流が遮断されない異常を検出し、電磁接触器21の接点が溶着した異常状況を判断する。しかる後、ステップST9に移行する。一方、ステップST4cの判定の結果、否の場合にはステップST5に移行する。
【0063】
ステップST4cの後、ステップST5において、マイコン25は、モータ12が停止状態であると判断し、モータ停止状態の検出回数を計数してステップST7に移行する。
【0064】
ステップST7において、マイコン25は、設定時間内で計数した検出回数が設定回数を超えたか否かを判定する。この判定の結果、否の場合(ST7:No)にはステップST7aに移行する。
【0065】
ステップST7の後、ステップST7a及びST8cにおいて、マイコン25は、負荷電流の値が始動電流判定値より低く且つ連続運転時の最大電流値より高く設定された異常判定値を超えた場合、始動指令に応じて負荷電流の供給を実行する電磁接触器21に関する異常を検出する。例えば、ステップST7aにおいて、マイコン25は、異常判定値を超える負荷電流の値を検出したか否かを判定する。ステップST7aの判定の結果、負荷電流の値を検出した場合(ST7a:Yes)にはステップST8cにおいて、マイコン25は、最大電流値より高い負荷電流が流れる異常を検出し、電磁接触器21の接点が摩耗した異常状況を判断する。しかる後、ステップST9に移行する。一方、ステップST7aの判定の結果、否の場合(ST7a:No)にはステップST1aに移行してステップST1a~ST7の処理を繰り返し実行する。
【0066】
一方、ステップST7の判定の結果、当該検出回数が設定回数を超えた場合(ST7:Yes)には、ステップST8bにおいて、マイコン25は、モータ12の始動頻度過多を検出し、ポンプ装置1が異常状況であると判断する。
【0067】
ステップST8a、ST8b又はST8cの後、ステップST9において、マイコン25は、異常の検出結果を受けると、警報及び停止指令のうちの少なくとも一方を発生する。例えば、ステップST8aの後の場合、マイコン25は、接点溶着の検出結果に基づいて停止指令を発生し、停止指令を電磁接触器21の前段に配置された漏電遮断器(図示せず)に送出してモータ12への負荷電流の供給を遮断することで、ポンプ11を強制停止させる。また、ステップST8bの後の場合、マイコン25は、ステップST9を前述同様に実行する。また、ステップST8cの後の場合、マイコンは、接点摩耗の検出結果に基づいて停止指令を発生し、停止指令を電磁接触器21に送出してモータ12への負荷電流の供給を遮断することで、ポンプ11を強制停止させる。なお、ステップST8a~ST8cのいずれの後の場合でも、ステップST9において、強制停止に加えて、又は強制停止に代えて、警報をスピーカ29a等から出力させてもよい。
【0068】
上述したように第2の実施形態によれば、状態検出部は、始動指令に応じて、負荷電流の値が一瞬、連続運転時の最大電流値より高く設定された始動電流判定値を超えた後、停止指令を発生するまで、負荷電流の値が前記始動電流判定値より低く設定された連続運転時の最低電流判定値を超え、且つ、始動電流判定値を下回った場合、運転又は停止状態のうちの運転状態を検出する。また、計数部は、運転状態を検出した状態検出部の出力に基づき、運転状態の検出回数を計数する。従って、前述した効果に加え、始動時のみ一瞬の過負荷を検出した後に運転電流を検出することで1回分の通常運転を検出するので、1回分の通常運転をより高い精度で検出することができる。補足すると、モータ始動時に一時的に定格電流の数倍の大きさで流れる始動電流を検出する構成により、第1の実施形態に比べ、より直接的にモータの始動を検出できるため、より一層、始動頻度過多の検出精度を改善することができる。
【0069】
また、第2の実施形態によれば、状態検出部は、停止指令が発生した後にも負荷電流の値が最低電流判定値を超えた場合、停止指令に応じて負荷電流の供給を遮断する電磁接触器に関する異常を検出し、当該異常の検出結果を出力する。この場合、電磁接触器に関する異常は、当該電磁接触器における接点の溶着である、と推測してもよい。これにより、前述した効果に加え、停止指令の後に負荷電流を遮断できない電磁接触器に関する異常を検出することができる。また、接点が溶着したため、停止指令を出しても電磁接触器にて負荷電流を遮断できないと推測することができる。
【0070】
また、第2の実施形態によれば、状態検出部は、始動指令に応じて、負荷電流の値が一瞬、始動電流判定値を超えた後、負荷電流の値が始動電流判定値より低く且つ連続運転時の最大電流値より高く設定された異常判定値を超えた場合、始動指令に応じて負荷電流の供給を実行する電磁接触器に関する異常を検出し、当該異常の検出結果を出力する。この場合、電磁接触器に関する異常は、当該電磁接触器における接点の摩耗である、と推測してもよい。これにより、前述した効果に加え、最大電流値より高い負荷電流を供給する電磁接触器に関して異常を検出することができる。また、電磁接触器の接点摩耗(接点荒れによる接触抵抗の増大)のため、最大電流値よりも高い負荷電流の値となっていることを推測することができる。
【0071】
また、第2の実施形態によれば、制御部は、異常の検出結果を受けると、警報及び停止指令のうちの少なくとも一方を発生する。これにより、前述した効果に加え、電磁接触器の異常に起因したモータ12の故障を阻止することが可能となる。例えば、警報を発生する場合には、電磁接触器の異常への対応を促すことができる。また、停止指令を発生する場合には、異常状態の電磁接触器を停止させることにより、給液装置を故障から保護することができる。
【0072】
(変形例)
なお、一実施形態では、1台のポンプ11に適用する場合を例示したが、これに限らず、複数台のポンプの各々を起動又は停止させる増減台動作の構成に適用してもよい。
【0073】
また、一実施形態では、縦軸の多段のポンプ11を例示したが、これに限らず、例えば横軸の多段のポンプ、縦軸の単段のポンプ、横軸の単段のポンプ、のいずれとしてもよい。また、一実施形態では、水中ポンプを例示したが、これに限らず、種々の陸上ポンプ等の任意のポンプ装置に適用してもよい。
【0074】
上述の実施形態は、本発明の概念の理解を助けるための具体例を示しているに過ぎず、本発明の範囲を限定することを意図されていない。実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々な構成要素の付加、削除または転換をすることができる。
【0075】
上述の実施形態では、いくつかの機能部を説明したが、これらは各機能部の実装の一例に過ぎない。例えば、1つの装置に実装されると説明された複数の機能部が複数の別々の装置に亘って実装されることもあり得るし、逆に複数の別々の装置に亘って実装されると説明された機能部が1つの装置に実装されることもあり得る。
【0076】
また、以上のような給液装置は、以下の[1]~[5]に示すように表現してもよい。
【0077】
[1]制御部からの始動指令及び停止指令によりモータを駆動して給液する給液装置において、給液装置への通電状態をモータ負荷電流検出の有無にてモータ運転状態・停止状態の判断を行い、予め設定された設定時間内における運転状態または停止状態の検出回数が予め設定された設定回数を超えた場合、モータを含む給液装置または制御部が異常状況であると判断し、強制停止または外部警報発報を行う保護機能を備えた給液装置。このように、設定時間内に運転状態・停止状態の検出回数が設定回数を超えると、始動頻度過多の異常状況を判断する場合に、電流検出によって運転状態・停止状態を高精度に検出できるので、始動頻度過多を検出する精度を改善することができる。
【0078】
[2]上記[1]において、上記保護機能は、モータ始動電流検出用として連続運転最大運転電流値より予め高く設定された第1設定負荷電流値(始動電流判定値)と、最低運転電流値検出用として上記第1設定負荷電流値より下回り予め設定された第2設定負荷電流値(最低電流判定値)を使用し、制御部からモータ始動指令後、一瞬上記第1設定負荷電流値を超える電流値を検出し、その後、制御部から停止指令が出されるまで上記第2設定負荷電流値を超える電流値を継続して検出して運転した場合、始動頻度過多と判断し強制停止または外部警報発報を行う、給液装置。このように、始動時のみ一瞬過負荷検出した後に運転電流を検出することで1回分の通常運転を検出するので、1回分の通常運転をより高い精度で検出することができる。
【0079】
[3]上記[1]又は[2]において、上記保護機能は、モータ電流値として、少なくとも2相電流を検出し、2相電流を検出する場合には「U相+V相+W相=0[A]」を利用して3相電流を判断する、給液装置。このように、「U相+V相+W相=0A」という瞬時電流の関係を利用して、2相分の電流検出結果から三相分の交流電流を測定することができる。
【0080】
[4]上記[1]~[3]のいずれかにおいて、上記保護機能は、上記制御部から停止指令が出た後にも上記第2設定負荷電流を超える電流値を検出した場合、電磁接触器の接点が溶着したと判断し、強制停止または外部警報発報を行う、給液装置。このように、停止指令(停止信号)が出た後で電流検出した場合、電磁接触器の溶着不良を推測することができる。
【0081】
[5]上記[1]~[3]のいずれかにおいて、上記保護機能は、上記第1設定負荷電流値より低く、連続運転最大運転電流値より予め高く設定された第3設定負荷電流値(異常判定値)を使用し、制御部からモータ始動指令後、一瞬でも上記第1設定負荷電流値を検出し、上記第3設定負荷電流値を超えた場合、電磁接触器の接点摩耗と判断し、制御盤を保護するために強制停止または外部警報発報を行う、給液装置。このように、始動電流を検出し、且つ最大電流値超えを検出した場合、電磁接触器の接点不良を推測することができる。なお、最大電流値超えを検出すればよいので、第3設定負荷電流値(異常判定値)は、連続運転最大運転電流値と同じ値に設定してもよい。
【0082】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0083】
1・・・ポンプ装置、11・・・ポンプ、12・・・モータ、13・・・ケーブル、14・・・電源配線、20・・・制御盤、21・・・電磁接触器、22・・・制御部、23・・・電圧検出部、24R・・・R相電流検出回路、24T・・・T相電流検出回路、25・・・マイコン、25a・・・制御機能、25b・・・保護機能、25b1・・・状態検出機能、25b2・・・計数機能、25b3・・・始動頻度過多検出機能、26・・・記憶部、27・・・通信部、28・・・入力部、29・・・表示部、29a・・・スピーカ。