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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154522
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】多目的折り畳み台
(51)【国際特許分類】
   A47C 19/00 20060101AFI20231013BHJP
   A47C 4/04 20060101ALI20231013BHJP
   A47C 5/00 20060101ALI20231013BHJP
   A47B 3/00 20060101ALI20231013BHJP
   A47B 3/12 20060101ALI20231013BHJP
   E06C 1/39 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
A47C19/00 B
A47C19/00 Z
A47C4/04 Z
A47C5/00 A
A47B3/00 B
A47B3/12 A
E06C1/39 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063877
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】519197158
【氏名又は名称】神戸ダンボール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】佐野 弘治
【テーマコード(参考)】
2E044
3B053
【Fターム(参考)】
2E044AA06
2E044BA04
2E044BA06
2E044EC06
3B053FA01
3B053FB08
3B053LA01
(57)【要約】
【課題】天板からの荷重を支える構造物が、折り畳んだときに天板から突出せず、収納状態において出張り部分のない多目的折り畳み台を実現する。
【解決手段】第1蛇腹板11と第2蛇腹板12を有する側板部13と、使用状態では、側板部13の上側を覆う天板14と、天板14の中央部を支える中央支持部15とを少なくとも備えたベッド1である。側板部13は、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12のそれぞれの切れ込み部が?み合わされて、長手方向に伸縮自在に形成されている。中央支持部15は、天板14の中央部の下側面に取り付けられている。ベッド1は、収納状態では、側板部13が長手方向に圧縮されて天板14が山形に折り曲げられる。このとき、中央支持部15は、天板14の下側で側板部13と干渉しない位置まで上昇する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1蛇腹板と第2蛇腹板を有する側板部と、使用状態では、前記側板部の上側を覆う天板と、前記天板の中央部を支える中央支持部とを少なくとも備えた多目的折り畳み台であって、
前記側板部は、前記第1蛇腹板と前記第2蛇腹板のそれぞれの切れ込み部が?み合わされて、長手方向に伸縮自在に形成されており、
前記天板は、前記天板の中央部に前記側板部の長手方向と交差する向きに折り目が形成されて、正面視して前記折り目付近が最も高くなるように山型に折り曲げ可能に形成されており、
前記中央支持部は、前記天板の中央部の下側面に取り付けられており、
収納状態では、前記側板部が長手方向に圧縮されて前記天板が折り曲げられると、前記中央支持部が前記側板部と干渉しない位置まで上昇する、多目的折り畳み台。
【請求項2】
前記折り目は、第1折り目と第2折り目からなり、
前記天板は、前記第1折り目と前記第2折り目の間の頂上部と、前記頂上部以外の斜面部とを備え、
前記中央支持部は、前記頂上部の下側面に取り付けられた支持部本体と、前記支持部本体と前記斜面部の下側面との間を接続するガイド板とを備えた、請求項1に記載の多目的折り畳み台。
【請求項3】
前記側板部は、同じ向きに配置された第1側板部と第2側板部からなり、
前記第1側板部と前記第2側板部を連結する連結部をさらに備えた、請求項1又は2に記載の多目的折り畳み台。
【請求項4】
前記連結部は、所要の距離を空けて配置された第1連結部と第2連結部からなり、
使用状態では、前記第1連結部と第2連結部の間に前記中央支持部が位置している、請求項3に記載の多目的折り畳み台。
【請求項5】
前記連結部は、平面視においてコの字状に折り曲げられた曲折部を有している、請求項4に記載の多目的折り畳み台。
【請求項6】
前記側板部、前記天板、前記中央支持部、前記連結部が、いずれも段ボールによって形成されている、請求項1又は2に記載の多目的折り畳み台。
【請求項7】
前記天板の両端に、使用状態では、前板となる前板部と、後板となる後板部がそれぞれ連設されている、請求項1又は2に記載の多目的折り畳み台。
【請求項8】
前記第1側板部と前記第2側板部の間にゴム紐が張設されている、請求項3に記載の多目的折り畳み台。
【請求項9】
ベッドとして使用することが可能な請求項1又は2に記載の多目的折り畳み台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地震、津波、台風等の自然災害発生時の避難所等において使用され、あるいは日常生活においても使用される多目的折り畳み台に関するものである。本発明の多目的折り畳み台は、例えばベッド、椅子、ソファー、テーブル、荷物置き、脚立等に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な場所で多目的に使用できる折り畳み台が知られている。一般に、折り畳み台は、使用しないときには、なるべく嵩張らないようにすることが求められる。そのため、折り畳み台は、収納時には、できるだけコンパクトで出張りが少なく厚みが薄い形状となるための構成を備えている。
【0003】
非特許文献1には、この種の折り畳み台として、図10図11に示すような構造のダンボールベッド100が掲載されている。ダンボールベッド100は、それぞれが長方形状に形成された複数の第1仕切り板101及び第2仕切り板102を備えている。
【0004】
第1仕切り板101と第2仕切り板102には、それぞれ所要の位置に切れ目が形成されている。具体的に、第1仕切り板101の長手方向の途中には、第2仕切り板102の配置に合わせて下端から上向きに切れ目が形成されている。一方、第2仕切り板102の長手方向の途中には、第1仕切り板101の配置に合わせて上端から下向きに切れ目が形成されている。これらの切れ目同士が噛合わされて平面視して格子状の脚部103が形成されている。
【0005】
脚部103の上面を覆う四角形状の天板104には、全体を4分割するように水平折り目105a,105b,105cが設けられており、天板104は中央の水平折り目105bの位置で左右対称な2つの部分天板106,107に分割されている。また、複数の第1仕切り板101には、全体を4分割するように垂直折り目108a,108b,108cがそれぞれ設けられている。
【0006】
ダンボールベッド100では、天板104は、収納状態では、正面視してM字状に折り曲げられる(図11(c)参照)。また、各第1仕切り板101は、収納状態では、平面視してM字状に折り曲げられる(図11(c)参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】『防災用「パッと!ベッド!」(段ボールベッド)』,[online],太陽インダストリー株式会社,[令和4年2月16日検索],インターネット<https://www.taiyo-industry.co.jp/jigyo/prevention-goods>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来のダンボールベッド100は、収納状態においては、図11(a)に示すように、第1仕切り板101が垂直折り目108a,108cにおいて山形に折り曲げられて、第1仕切り板101の折り曲げ部分と第2仕切り板102の一部が天板104からはみ出す。そのため、ダンボールベッド100は、収納状態では、第1仕切り板101の折り曲げ部分と第2仕切り板102の一部が天板104から突出し、図11(b)に示すように、出張り部分109となる。
【0009】
つまり、ダンボールベッド100は、天板104からの荷重を支える構造物(具体的には、第1仕切り板101と第2仕切り板102からなる脚部103)を、収納状態では、天板104の側方に逃がす構成を採用している。そのため、収納状態において出張り部分109が生じる。
【0010】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、天板からの荷重を支える構造物が、折り畳んだときに天板から突出せず、収納状態において出張り部分のない多目的折り畳み台を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1蛇腹板と第2蛇腹板を有する側板部と、使用状態では、側板部の上側を覆う天板と、天板の中央部を支える中央支持部とを少なくとも備えた多目的折り畳み台であって、
側板部は、第1蛇腹板と第2蛇腹板のそれぞれの切れ込み部が?み合わされて、長手方向に伸縮自在に形成されており、
天板は、天板の中央部に側板部の長手方向と交差する向きに折り目が形成されて、正面視して折り目付近が最も高くなるように山型に折り曲げ可能に形成されており、
中央支持部は、天板の中央部の下側面に取り付けられており、
収納状態では、側板部が長手方向に圧縮されて天板が折り曲げられると、中央支持部が側板部と干渉しない位置まで上昇する。
【0012】
本発明では、折り目は、第1折り目と第2折り目からなり、天板は、第1折り目と第2折り目の間の頂上部と、頂上部以外の斜面部とを備え、中央支持部は、頂上部の下側面に取り付けられた支持部本体と、支持部本体と斜面部の下側面との間を接続するガイド板とを備えていてもよい。
【0013】
本発明では、側板部は、同じ向きに配置された第1側板部と第2側板部からなり、第1側板部と第2側板部を連結する連結部をさらに備えていてもよい。
【0014】
本発明では、連結部は、所要の距離を空けて配置された第1連結部と第2連結部からなり、使用状態では、第1連結部と第2連結部の間に中央支持部が位置するように構成していてもよい。
【0015】
本発明では、連結部は、平面視においてコの字状に折り曲げられた曲折部を有するものでもよい。
【0016】
本発明では、側板部、天板、中央支持部、連結部は、いずれも段ボールによって形成されたものでもよい。
【0017】
本発明では、天板の両端に、使用状態では、前板となる前板部と、後板となる後板部がそれぞれ連設されていてもよい。
【0018】
本発明では、ベッドとして使用することが可能となるように、側板部、天板、中央支持部の各形状及びサイズが規定されていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、多目的折り畳み台が、第1蛇腹板と第2蛇腹板を有する側板部と、使用状態では、側板部の上側を覆う天板と、天板の中央部を支える中央支持部とを少なくとも備える。側板部は、第1蛇腹板と第2蛇腹板のそれぞれの切れ込み部が?み合わされて、長手方向に伸縮自在に形成されている。天板は、天板の中央部に側板部の長手方向と交差する向きに折り目が形成されて、正面視して折り目付近が最も高くなるように山型に折り曲げ可能に形成されている。そして、中央支持部は、天板の中央部の下側面に取り付けられており、収納状態において、側板部が長手方向に圧縮されて天板が折り曲げられると、中央支持部が側板部と干渉しない位置まで上昇する。
【0020】
本発明では、天板からの荷重を支える中央支持部が、収納状態において天板からはみ出さず、出張りは生じない。本発明では、折り畳まれた第1蛇腹板及び第2蛇腹版も天板の範囲を超えず、外部に露出しない。本発明によれば、コンパクトで出張りがなく厚みが薄い形状に収納できる多目的折り畳み台を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、実施形態に係る多目的折り畳み台について、使用状態を斜め上方向から見た斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る多目的折り畳み台について、使用状態を上方から見た平面図である。
図3図3は、図1の多目的折り畳み台について、上下を反転させた状態で、斜め上方向から見た斜視図である。
図4図4は、図1の多目的折り畳み台について、折り畳みを開始した直後の状態を正面方向から見た正面図である。
図5図5(a)は、図1の多目的折り畳み台について折り畳みが半分程度進んだ状態を正面方向から見た正面図であり、図5(b)は、図1の多目的折り畳み台について折り畳みが完了した状態を正面方向から見た正面図である。
図6図6は、実施形態に係る多目的折り畳み台の天板を広げて平坦面に平置きにした状態の平面図である。
図7図7(a)は、実施形態に係る多目的折り畳み台の第1蛇腹板を広げて平坦面に平置きにした状態の平面図であり、図7(b)は、実施形態に係る多目的折り畳み台の第2蛇腹板を広げて平坦面に平置きにした状態の平面図である。
図8図8(a)は、実施形態に係る多目的折り畳み台の連結部を広げて平坦面に平置きにした状態の平面図であり、図8(b)は、実施形態に係る多目的折り畳み台の中央支持部を広げて平坦面に平置きにした状態の平面図であり、図8(c)は、実施形態に係る多目的折り畳み台のガイド板を広げて平坦面に平置きにした状態の平面図である。
図9図9(a)はゴム紐を側方から見た図であり、図9(b)は、実施形態の変形例に係る多目的折り畳み台について、上下を反転させた状態で、斜め上方向から見た斜視図である。
図10図10は、従来の折り畳み台の使用状態を示す平面図である。
図11図11(a)は、図9の折り畳み台の折り畳み途中の状態を示す平面図であり、図11(b)は、図9の折り畳み台の折り畳み途中の状態を示す側面図であり、図11(c)は、図9の折り畳み台の折り畳み途中の状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明の一例であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0023】
本明細書では、平面視したときに天板14が直下に見える使用状態における置き方を基準にして、上下、左右、前後の方向を規定する。図1及び図2に示すように、左右方向とは、第1側板部13a及び第2側板部13bの長手方向と一致する方向を意味する。前後方向とは、折り目18の長手方向と一致する方向を意味する。
【0024】
本実施形態は、自然災害発生時の避難所において使用されるベッド1である。ベッド1は、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12を有する側板部13と、使用状態で側板部13の上側を覆う天板14と、使用状態で天板14の中央部を支える中央支持部15とを備える。
【0025】
[使用状態のベッド]
天板14を広げた状態(以下、「使用状態」と言う。)のベッド1について、図1図3を参照しながら説明を行う。
【0026】
ベッド1は、図2に示すように、使用状態において平面視した形状は正方形(980mm×980mm)である。ベッド1を2つ横並べにすると、一般的なサイズのベッド(1960mm×980mm)と同じサイズとなる。ベッド1は、多目的折り畳み台に相当する。
【0027】
側板部13は、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12のそれぞれの切れ込み部が?み合わされて、長手方向に伸縮自在に形成されている。第1蛇腹板11と第2蛇腹板12は、それぞれ長方形状の部材であるが、図3に示すように、長手方向の途中で山折りと谷折りの箇所が設けられている。第1蛇腹板11と第2蛇腹板12は、それぞれジグザグ状に折り曲げられると共に互いの切れ込み部が噛み合わされて側板部13を形成している。
【0028】
側板部13は、同じ向きに配置された第1側板部13aと第2側板部13bからなる。第1側板部13aは、ベッド1の一方の側部を支持するための部材である。第2側板部13bは、第1側板部13aと対向する位置にあり、ベッド1の他方の側部を支持するための部材である。
【0029】
天板14は、その中央部に側板部13の長手方向と交差する向き(図2において前後方向)に折り目18が形成されている。具体的に、折り目18は、第1折り目19と第2折り目20の2本の折り目からなる。天板14は、正面視して折り目18の部分が最も高くなるように山型に折り曲げ可能に形成されている(図5参照)。天板14は、第1折り目19と第2折り目20の間の領域である頂上部21と、頂上部21以外の領域である斜面部22を備える。斜面部22は、頂上部21の左右両端に連設されている。
【0030】
天板14の両端には、使用状態で、前板となる前板部41と、後板となる後板部42がそれぞれ連続配置されている。前板部41は、使用状態においてユーザの頭部側を支持する部材である。後板部42は、使用状態においてユーザの足先側を支持する部材である。ベッド1を2つ並べて使用する場合、前板部41及び後板部42は、ユーザの背中や腰部付近を支持する部材にもなる。
【0031】
中央支持部15は、天板14の中央部の下側面に、例えば接着剤により取り付けられている。中央支持部15は、頂上部21の下側面に取り付けられた支持部本体16と、支持部本体16と斜面部22の下側面との間を接続するガイド板17を備えている。
【0032】
第1側板部13aと第2側板部13bの間には、これらを連結する連結部23が取り付けられている。連結部23は、所要の距離を空けて配置された第1連結部23aと第2連結部23bからなる。具体的に、各連結部23a,23bは、カタカナの「コ」の字状に折り曲げられた曲折部24をそれぞれ有している。図3に示すように、使用状態では、前記第1連結部23aと第2連結部23bの間に中央支持部15が位置している。
【0033】
側板部13、天板14、中央支持部15、連結部23は、いずれも段ボールによって形成されている。天板14のコーナー部には、収納状態における形状を維持するための固定手段として、面ファスナー51が取り付けられている。面ファスナー51は、第1側板部13a側に1つ、第2側板部13b側に1つ設けられている。面ファスナー51には、ループ状のファスナー面を有しており、これと係止される鉤状のファスナー面(不図示)は天板14に取付けられている。
【0034】
[収納状態のベッドについて]
天板14を折り畳んだ状態(以下、「収納状態」と言う。)のベッド1について、図4図5を参照しながら説明を行う。
【0035】
ベッド1を収納するときは、折り畳みを開始した直後の状態を正面方向から見た図4に示すように、先ず、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12からなる第1側板部13a及び第2側板部13bの両端部を長手方向の中心方向に向けて圧縮すると共に、天板14の頂上部21の部分を上方に持ち上げるようにする。
【0036】
すると、第1折り目19及び第2折り目20が山折り線となって、天板14が側面視して山型の形状に折り曲げられる。このとき、天板14の頂上部の下側に取付けられている中央支持部15は、図4図5(a)に示すように、側板部13と干渉しない位置まで上昇する。具体的に、中央支持部15のうち、頂上部21の下側面に取り付けられた支持部本体16は、その形状を変化させることなく上昇する。一方、支持部本体16と斜面部22の下側面との間を接続するガイド板17は、谷折り線17aにおいて折り曲げが進行しながら上昇する。
【0037】
最終的に、ベッド1は、図5(b)に示す形状で折り畳みが完了し、折り畳まれた状態を維持するために面ファスナー51を係止する。ベッド1は、収納状態では、天板14の中央部分の荷重を支える構造物である中央支持部15が、天板14の頂上部21の下に収まっている。折り畳まれた第1蛇腹板11及び第2蛇腹版12も、天板14の範囲を超えず、外部に露出しない。ベッド1では、収納状態において天板14からはみ出して出張り部分となる構造物はない。
【0038】
[各部材の構成について]
本実施形態では、多目的に使用することができるベッド1を構成できるように、側板部13、天板14、中央支持部15の各部材の形状及びサイズが規定されている。以下、各部材の構成について、図6図8を参照しながら説明を行う。
【0039】
天板14、前板部41、後板部42は、段目方向が長手方向を向いた1つの段ボール片で構成されている。図6に示す段ボール片の左右方向の長さは1580mm、前後方向の長さは980mmである。天板14には、山折りの折り目である第1折り目19と第2折り目20が設けられている。天板14の長手方向の中央部には頂上部21が、中央部21の左右には斜面部22が形成されている。また、左右の斜面部22には、それぞれ山折りの折り目41a,42aを介して、前板部41と後板部42が連続している。サイズの一例を示すと、頂上部21の幅は80mm、斜面部22の幅は450mm、前板部41及び後板部42の幅は300mmである。
【0040】
なお、一般に段ボールは、「ライナー」と呼ばれる2枚の平らな紙の間に「中芯」と呼ばれる波型の紙が挟まった構造を有している。中芯の波の部分は「フルート」と呼ばれている。フルートが表れる端面である「フルート端面」には中芯とライナーによって形成された孔が開口している。この孔が形成された方向が「段目方向」である。段ボールは、段目方向と交差する向きに加わる力に対する強度は高く、段目方向と平行な向きに加わる力に対する強度は低い。
【0041】
第1蛇腹板11及び第2蛇腹板12は、段目方向が長手方向を向いた横長の段ボール片からなる。図7(a)及び(b)に示す段ボール片の左右方向の長さは1260mm、前後方向の長さは300mmである。
【0042】
第1蛇腹板11及び第2蛇腹板12には、それぞれ所要の位置に切れ目11a,12a及び11b,12bが形成されている。具体的に、第1蛇腹板11の途中には、第2仕切り板102の切れ目12aの位置に合わせて上端から下向きに切れ目11aが形成されている。一方、第2蛇腹板12の途中には、第1仕切り板101の切れ目11aの位置に合わせて下端から上向きに切れ目12aが形成されている。これらの切れ目同士が噛合わされて第1側板部13a及び第2側板部13bが形成されている。なお、切れ目11b,12bは第1連結部23a及び第2連結部23bと?合わせるための切れ目であり、いずれも下端から上向きに形成されている。
【0043】
第1連結部23a及び第2連結部23bは、段目方向が長手方向を向いた横長の段ボール片からなる。図8(a)に示す段ボール片の左右方向の長さは1370mm、前後方向の長さは300mmである。
【0044】
第1連結部23aには、所要の位置に切れ目23aaが形成されている。具体的に、第1連結部23aの途中には、第1連結部23a交差する第1連結部23a及び第2連結部23bの切れ目11b,12bの位置に合わせて上端から下向きに切れ目23aaが形成されている。第1連結部23bについても同様に切れ目23abが形成されている。
【0045】
中央支持部15のうち、支持部本体16は、段目方向が短手方向を向いた横長の段ボール片からなる。図8(b)に示す段ボール片の左右方向の長さは1065mm、前後方向の長さは300mmである。支持部本体16には、所要の位置に切れ目16aが形成されている。切れ目16aはガイド板17と?合わせるための切れ目であり、いずれも下端から上向きに形成されている。
【0046】
中央支持部15のうち、ガイド板17は、段目方向が短手方向を向いた段ボール片からなる。図8(c)に示す段ボール片の左右方向の長さは520mm、前後方向の長さは220mmである。ガイド板17には、所要の位置に、支持部本体16の切れ目16aと?合わせるための切れ目17bが上端から下向きに形成されている。ベッド1ではガイド板17は2枚用いる。ガイド板17には谷折り線17aが2箇所設けられている。ガイド板17は、ベッド1の収納時には、天板14の斜面部22に押されて、谷折り線17aで折り曲げられた形状となる。
【0047】
以上に説明した各部材は、すべて段ボールであり、各切れ目を?合わせると共に、のりしろの部分を接着剤で接合することでベッド1を製作する。
【0048】
[本実施形態の効果等]
本実施形態では、ベッド1が、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12を?み合わせた側板部13と、使用状態では、側板部13の上側を覆う天板14と、天板14の中央部にかかる荷重を支える中央支持部15を備える。側板部13は、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12の折り曲げ部分の角度変更が自在に行え、長手方向に伸縮することができる。天板14には、その中央部に使用状態では側板部13の長手方向と交差する方向に折り目18が形成されている。ベッド1は、正面視して折り目18の付近が最も高くなるように山型に折り曲げ可能である。そして、中央支持部15は、天板14の中央部の下側面に取り付けられており、収納状態において、側板部13が長手方向に圧縮されて天板14が折り曲げられると、中央支持部15は側板部13と干渉しない位置まで上昇する。
【0049】
ベッド1は、天板14からの荷重を支える中央支持部15が、収納状態において天板14からはみ出さず、出張りは生じない。ベッド1では、折り畳まれた第1蛇腹板11及び第2蛇腹版12についても天板14の範囲を超えず、外部に露出しない。ベッド1は、コンパクトで出張りがなく厚みが薄い形状に収納できる多目的折り畳み台である。
【0050】
本実施形態では、折り目18は、第1折り目19と第2折り目19からなる。天板14は、第1折り目19と第2折り目20の間の頂上部21と、頂上部21以外の斜面部22とを備える。頂上部21は、所要の幅(具体的には80mm)を有している。そのため、本実施形態では、中央支持部15を天板14の下部に設け易くなる。加えて、中央支持部15は、頂上部21の下側面に取り付けられた支持部本体16と、支持部本体16と斜面部22の下側面との間を接続するガイド板17とを備える。
【0051】
ここで、ガイド板17が存在せず、支持部本体16のみで中央支持部15を構成する場合は、使用状態において中央支持部15の強度が不足する上、頂上部21の幅を大きく設計せざるを得ない。これに対し、本実施形態は、中央支持部15が、頂上部21の下側面に取り付けられた支持部本体16と、支持部本体16と斜面部22の下側面との間を接続して収納時には折り畳まれるガイド板17とで構成されるので、使用状態において中央支持部15の強度が向上する。また、本実施形態では、頂上部21の幅を可能な限り小さなサイズとし、収納時におけるベッド1の幅をスリムにすることが可能となる。
【0052】
もっとも、ガイド板17は、製作コストなども勘案して必要に応じて設ければよい。ガイド板17を設けない場合は、中央支持部15の形状は直方体状のものでもよい。この場合は、天板14は頂上部21の幅を若干広く設計し、頂上部21の裏面と直方体状の中央支持部15の上面を両面テープで接着すればよい。
【0053】
本実施形態では、側板部13は、同じ向きに配置された第1側板部13aと第2側板部13bからなり、第1側板部13aと第2側板部13bを連結する連結部23を備える。そのため、使用状態のベッド1において、第1側板部13aと第2側板部13bの安定度が増す。
【0054】
本実施形態では、連結部23は、所要の距離を空けて配置された第1連結部23aと第2連結部23bからなる。使用状態では、第1連結部23aと第2連結部23bの間に中央支持部15が位置している。そのため、使用状態のベッド1において、中央支持部15の周囲における荷重も十分に支えることが可能となる。
【0055】
本実施形態では、第1連結部23aと第2連結部23bは、平面視においてコの字状に折り曲げられた曲折部14を有している。そのため、使用状態のベッド1において、中央支持部15の周囲を取り囲むように第1連結部23aと第2連結部23bが配置され、天板14の下部において荷重を支える構造物のスペース効率が向上する。
【0056】
本実施形態では、側板部13、天板14、中央支持部15、連結部23は、いずれも段ボールによって形成されている。そのため、一定期間使用後は燃えるゴミとして廃棄処分が簡単であり、地球環境に配慮した製品を提供できる。
【0057】
本実施形態では、天板14の両端に、使用状態では、前板となる前板部41と、後板となる後板部42がそれぞれ連設されている。ベッド1では、これらを1枚の段ボール片で構成しているため、部材の点数を減らすことが可能になる。
【0058】
本実施形態では、ベッド1として使用することが可能となるように、側板部13、天板14、中央支持部15の各形状及びサイズが規定されている。特に、本実施形態では、2つ横並べにすると一般的なサイズのベッドと同じサイズとなるように、ベッド1のサイズを規定している。そのため、ベッド1の使用目的は限定されず、避難所の生活において必要であれば、テーブルや椅子としても使用できる。
【0059】
[実施形態の変形例]
上述の実施形態において、図9(b)に示すように、第1側板部13aの長手方向の中央部と第2側板部13bの長手方向の中央部の間にゴム紐25を張設してもよい。ゴム紐25は適度な伸縮性を有し、図9(a)に示すように、その両端にそれぞれ結び目による係止部25aを設けている。第1側板部13aと第2側板部13bには、それぞれ長手方向の中央部に下端から上向きに(図9(b)では上端から下向きに)に所要の長さの切れ目を設けている。そして、係止部25を切れ目に挟み込むことでゴム紐25を第1側板部13aと第2側板部13bの間に取り付ける。
【0060】
このようにすれば、天板14を開いてベッド1を設置する際に、ゴム紐25の作用により第1側板部13aと第2側板部13bが外側方向に歪むのが抑制され、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12の展開がスムーズとなる。そのため、ゴム紐25を設けない場合と比較すると、ベッド1をより速やかに使用状態に展開できるようになる。
【0061】
また、ベッド1を収納するときは、ゴム紐25の作用により第1側板部13aと第2側板部13bの間の距離が一定に保たれるので、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12の折り畳みがスムーズとなる。そのため、ゴム紐25を設けない場合と比較すると、ベッド1をより速やかに収納状態に折り畳むことが可能になる。なお、図9(b)の変形例において、ゴム紐25を設ける位置やゴム紐25を取り付ける数は特に限定されない。
【0062】
上述の実施形態において、ベッド1は、平面視したときに正方形状のものに限らず、長方形状のものでもよい。
【0063】
上述の実施形態において、第1蛇腹板11と第2蛇腹板12のジグザグの形状は、山折りと谷折りのセットによる折り曲げのパターンが1回に限らず、2回以上繰り返されるものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、ベッド、椅子、ソファー、テーブル、荷物置き、脚立等、多目的に適用可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ベッド(多目的折り畳み台)
11 第1蛇腹板
12 第2蛇腹板
13 側板部
13a 第1側板部
13b 第2側板部
14 天板
15 中央支持部
16 支持部本体
17 ガイド板
18 折り目
19 第1折り目
20 第2折り目
21 頂上部
22 斜面部
23 連結部
23a 第1連結部
23b 第2連結部
24 曲折部
41 前板部
42 後板部
図1
図2
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