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特開2023-154533積載重量計測装置及びこれを備えた運搬車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154533
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】積載重量計測装置及びこれを備えた運搬車両
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/12 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
G01G19/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063898
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】518199849
【氏名又は名称】大煌工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000208204
【氏名又は名称】大林道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】山下 将弘
(72)【発明者】
【氏名】福本 勝司
(57)【要約】      (修正有)
【課題】秤量台の縦板と荷台の縦壁との間の隙間からの積載物の侵入を防いで積載重量を正確に計測することができる積載荷重計測装置を提供すること。
【解決手段】矩形平板状のベース板3の四周縁から縦板4を垂直に起立させて構成される矩形容器状の秤量台2を複数のロードセル(荷重センサ)5によって車両100の荷台110上に設置して構成される積載重量計測装置1において、秤量台2のベース板3の形状及び寸法を、荷台110の底板111の形状及び寸法と略同一に設定し、秤量台2の縦板4と荷台110の底板111の四周縁から垂直に起立する縦壁112との間に微小隙間δを形成する。そして、秤量台2の縦板4の上端に、微小隙間δを上方から覆うフランジ状の庇部4aを設けても良い。または、秤量台2の縦板4の外周面に、先端部が荷台110の縦壁112の内周面に弾性接触して微小隙間δを上方から塞ぐ弾性シール部材20を設けても良い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形平板状のベース板の四周縁から縦板を垂直に起立させて構成される矩形容器状の秤量台を複数の荷重センサによって車両の荷台上に設置して構成される積載荷重計測装置であって、
前記荷台は、底板の四周縁から垂直に起立する縦壁の少なくとも左右の側壁に、枠体から面部材を除去して複数の開口部を形成し、
前記秤量台は、ベース板の形状及び寸法を、前記荷台内部の底板の形状及び寸法と僅かに小さく設定し、当該秤量台の縦板と前記荷台の底板の四周縁から垂直に起立する縦壁との間に微小隙間を形成したことを特徴とする積載重量計測装置。
【請求項2】
前記秤量台の縦板の上端縁に、前記微小隙間を上方から覆うフランジ状の庇部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の積載重量計測装置。
【請求項3】
前記秤量台の縦板の外周面に、先端部が前記荷台の縦壁の内周面に弾性接触して、前記微小隙間を上方から塞ぐ弾性シール部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の積載荷重計測装置。
【請求項4】
前記荷台の縦壁の内周面に、先端部が前記秤量台の縦板の外周面に弾性接触して前記微小隙間を上方から塞ぐ弾性シール部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の積載荷重計測装置。
【請求項5】
前記荷台の底板上に、車幅方向に沿う3つの補強プレートを車両前後方向前端と後端及び中間部にそれぞれ固着するとともに、各補強プレート上の車幅方向両端部に前記荷重センサをそれぞれ配置したことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の積載荷重計測装置。
【請求項6】
前記秤量台をカーボン繊維又はグラス繊維の成形材によって構成したことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の積載荷重計測装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の積載荷重計測装置を備えていることを特徴とするダンプトラック等の運搬車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンプトラック等の運搬車両(以下、単に「車両」という。)に積載される積載物の重量を直接計測するための車載型の積載重量計測装置及びこれを備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建設工事や土木工事において発生した土砂などは、通常、ダンプトラックなどの大型の車両によって処理場や処分場などへと運搬される。ダンプトラックなどの大型の車両は、一度に多くの土砂などを運搬することができるが、既定の積載重量を超える過積載状態で車両が道路を走行すると、道路に与える物理的ダメージや事故発生時の交通遮断や交通渋滞の影響などが大きくなる。
【0003】
そこで、車両の積載荷重を計測し、過積載を未然に防ぐことが望まれる。従来、車両の積載荷重を計測する装置やシステムが今までに種々提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0004】
しかしながら、特許文献1,2において提案された積載重量計測装置や計測システムは、台貫計として地上の所定場所に設置されており、積載物を積載した車両を台貫計に載せた状態で該車両と積載物との合計重量を計測し、その計測値から車両単体の重量を差し引いて積載物の重量(積載重量)を算出することが行われているため、積載重量の誤差が大きくなるという問題がある。また、台貫計で積載重量を計測する場合には、積載前の車両重量を台貫計で計測し、積載物を積載した後、再度、台貫計で計測し、両者の差から積載重量を求めることになるが、建設現場の限られた敷地で2回計測する車両の動線を確保することが難しい上に、計測に要する時間も長くなるという問題もある。
【0005】
上記問題のために、誤差を予め見込んで過少(少な目)の積載物を車両に積載する場合には、車両が1回で運搬することができる積載物の量が少なくなるために運搬効率が悪く、車両の往復回数が増えるという問題がある。この問題を解消するためには、過少分(不足分)の積載物を追加すれば良いが、そのためには車両が積載場所と台貫計との間を往復する必要があり、時間的なロスが大きいという新たな問題が発生する。
【0006】
そこで、本出願人は、車両に積載された積載物の重量(積載重量)を直接且つ高精度に計測することができる車載型の積載重量計測装置を先に提案した。この積載重量計測装置は、積載物を積載するための略矩形トレー状の秤量台を、車両の荷台上に設置された複数の荷重センサによって少なくとも水平方向に移動可能に支持して構成されている。このような積載重量計測装置によれば、車両の荷台に設置された秤量台に積載される積載物の重量を複数の荷重センサによって直接計測するため、車両の重量に関係なく、積載重量のみを直接且つ高精度に計測することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9-113339号公報
【特許文献2】特開平10-148565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記積載重量計測装置においては、秤量台の四周縁から僅かに垂直に起立した縦板と、車両の荷台の四周縁から垂直に起立した縦壁との間に隙間が形成されるため、この隙間から土砂やアスファルトなどの積載物の一部が屑として侵入し、この侵入した屑が秤量台の底面と荷台の上面との間の空間に堆積し、荷重センサによる積載荷重の正確な計測を阻害し、或いは計測自体を不可能とするという問題が発生する。
【0009】
したがって、本発明の第1の目的は、秤量台の縦板と荷台の縦壁との間の隙間からの積載物の侵入を防いで積載重量を正確に計測することができる積載荷重計測装置を提供することにある。
【0010】
また、積載荷重計測装置の重量が大きいため、この積載重量計測装置が荷台に設置された車両の総重量が大きくなるという問題がある。
【0011】
したがって、本発明の第2の目的は、軽量化を図ることができる車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、矩形平板状のベース板の四周縁から縦板を、荷台の底板の縁から垂直に起立した縦壁と略同高の垂直に起立させて構成される矩形容器状の秤量台を複数の荷重センサによって車両の荷台上に設置して構成される積載荷重計測装置であって、前記秤量台の前記ベース板の形状及び寸法を、前記荷台の底板の形状及び寸法と略同一(若干小さく)に設定し、前記秤量台の前記縦板と前記荷台の縦壁との間に微小隙間を形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記秤量台の前記縦板の上端縁に、前記微小隙間を上方から覆うフランジ状の庇部を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記秤量台の前記縦板の外周面に、先端部が前記荷台の前記縦壁の内周面に弾性接触して前記微小隙間を上方から塞ぐ弾性シール部材を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記荷台の前記縦壁の内周面に、先端部が前記秤量台の前記縦板の外周面に弾性接触して前記微小隙間を上方から塞ぐ弾性シール部材を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1~4の何れかに記載の発明において、前記荷台の前記底板上に、車幅方向に沿う3つの補強プレートを車両前後方向前端と後端及び中間部にそれぞれ固着するとともに、各補強プレート上の車幅方向両端部に前記荷重センサをそれぞれ配置したことを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1~5の何れかに記載の発明において、前記秤量台をカーボン繊維又はグラス繊維の成形材によって構成したことを特徴とする。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1~6の何れかに記載の積載荷重計測装置を荷台上に設置した車両がダンプトラック等の運搬車両であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1に記載の発明によれば、秤量台の縦板と荷台の底板の四周縁から垂直に起立する縦壁との間に、積載物の屑などが通過し得ない微小隙間を形成したため、秤量台の底面と荷台の上面との間への積載物の屑などの侵入が確実に防がれ、積載物の重量(積載重量)を常に正確に計測することができる。
【0020】
請求項2に記載の発明によれば、秤量台の縦板の上端縁に設けられた庇部によって微小隙間が上方から覆われ、請求項3及び請求項4に記載の発明によれば、弾性シール部材によって微小隙間が上方から覆われるため、秤量台の底面と荷台の上面との間への積載物の屑などの侵入が確実に防がれ、積載物の重量(積載重量)を常に正確に計測することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明によれば、荷台の底板の撓み変形が3つの補強プレートによって抑制され、しかも、計6個の荷重センサが剛性の高い補強ブレーA上に設置されるため、秤量台上に積載された積載物の重量(積載重量)が6個の荷重センサによって高精度に計測される。また、積載物の積載状態に場所的な偏りがあっても、計6個の荷重センサによって積載物の重量(積載重量)が高精度に計測される。なお、荷重センサの個数は6個が最適であり、それ以外の個数では、その計測精度が積載物の場所的な偏りの影響を受けることが実験的に確認された。
【0022】
請求項6に記載の発明によれば、秤量台を軽量なカーボン繊維又はグラス繊維の成形材によって構成することによって、該秤量台を備える積載重量計測装置の軽量化を図ることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、前記積載荷重計測装置を搭載した車両は、荷台の縦壁のうちの左右の側壁に複数の開口部を形成しているから、荷台延いては車両全体の軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明に係る車両の側面図である。
図2】本発明に係る積載重量計測装置の破断平面図である。
図3図2のA-A線断面図である。
図4図2のB-B線断面図である。
図5】本発明に係る積載重量計測装置の荷重センサによる積載重量計測システムの構成図である。
図6】本発明の別実施形態1を示す図4と同様の図である。
図7図6のC部拡大詳細図である。
図8】本発明の別実施形態2を示す図4と同様の図である。
図9図8のD部拡大詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明に係る積載重量計測装置を備えた車両の側面図であり、図1に示す車両100は、ダンプトラックであって、その前端部のキャビン101から後方には荷台110が水平に延びている。ここで、荷台110は、その後端部を中心として図1に鎖線にて示すように上方(図示矢印方向)に回動可能であって、このように荷台110が回動して水平に対して傾斜することによって、該荷台110に積載された土砂などの積載物Wが落下して荷台110から降ろされる。
【0027】
ところで、荷台110には、本発明に係る後述の積載重量計測装置1(図2図5参照)が設置されているが、この積載重量計測装置1の構成を図2図5に基づいて以下に説明する。
【0028】
図2は本発明に係る積載重量計測装置の破断平面図、図3図2のA-A線断面図、図4図2のB-B線断面図、図5は積載重量計測装置の荷重センサによる積載重量計測システムの構成図である。なお、以下の説明においては、図2図4に示す矢印方向をそれぞれ「前後」、「左右」及び「上下」方向とする。
【0029】
本発明に係る積載重量計測装置1は、前述のようにダンプトラック100の荷台110に設置されるものであって、図2図4に示すように、上方が開口する矩形容器状の秤量台2を有している。この秤量台2は、長方形のベース板3と、このベース板3の四周縁から垂直に起立する縦板4とで構成されている。ここで、縦板4は、ベース板3の前端縁から垂直に起立する前板4Aと、ベース板3の後端縁から垂直に起立する後板4Bと、ベース板3の左右の側端縁から垂直に起立する側板4Cとで構成されている。なお、後板4Bは、不図示のヒンジによって上端縁を中心として上下に回動可能に支持されており、秤量台2に積載物Wを積載する場合には、後壁4Bの回動は、不図示のロック機構によってロックされている。
【0030】
また、図2図4に示す荷台110の長方形の底板111の四周縁には、垂直縦壁112が起立している。具体的には、縦壁112は、荷台110の底板111の前端縁から垂直に起立する前壁112Aと、底板111の後端縁から垂直に起立する後壁112Bと、底板111の左右の側端縁から垂直に起立する左右の側壁112Cとで構成されている。ここで、図3及び図4に示すように、荷台110の縦壁112(前壁112Aを除く後壁112Bと左右の側壁112C)と秤量台2の縦板4(前板4Aを除く後板4Bと左右の側板4C)とは、略同じ高さになるように各高さ寸法が設定されている。
【0031】
なお、荷台110の後壁112Bは、不図示のヒンジによって上端縁を中心として上下に回動可能に支持されており、積載物Wをおろすとき以外は後壁112Bの回動は不図示のロック機構によってロックされている。したがって、荷台110(実際には、積載重量測定装置1の秤量台2)に積載物Wを積載するときや積載物Wを積載した車両100が走行しているときには、後壁112Bは、垂直に起立した状態を維持している。
【0032】
ところで、本実施の形態においては、図2に示すように、秤量台2のベース板3の形状及び寸法は、荷台110の底板111の形状及び寸法と略同一に(若干小さく)設定されており、秤量台2の縦板4(前壁4Aと後壁4B及び左右の側板4C)と荷台110の縦壁112(前壁112Aと後壁112B及び左右の側壁112C)との間には、積載物Wの破片や屑などが通過し得ない程度の微小隙間δが形成されている。なお、秤量台2は、図示しないが、その前端部において荷台110の前端部に前後左右に微小隙間δと同等又はδよりも小さな量だけ移動可能に連結されている。
【0033】
また、図2及び図3に示すように、車両100の荷台110の底板111上には、車幅方向に沿うチャンネル状の3つの補強プレート113が前端部と後端部及び前後方向中間部にそれぞれ固着されている。そして、図2に示すように、各補強プレート113上の左右両端部には、荷重センサであるロードセル5がそれぞれ配置されている。ここで、各ロードセル5は、図3及び図4に示すように、補強プレート113と秤量台2のベース板3との間に、高さ調整用のシム6を介してそれぞれ設けられている。
【0034】
したがって、本実施の形態では、計6つのロードセル5が配置されており、図2に示すように、秤量台2は、その四隅部と前後方向中央の左右の計6箇所がロードセル5によって荷台100に対して支持されている。ここで、各ロードセル5は、荷重を電気信号に変換するセンサであって、図5に示すように、符号「LC1」~「LC6」にて示す6つのロードセル5は、和算基板7に電気的に接続されている。そして、和算基板7は、信号線8を介して指示計9に接続されている。なお、和算基板7は、図1に示すように、車両100の後端部に配置されており、指示計9は、車両100のキャビン101の内部に設置されている。
【0035】
また、図5に示すように、車両100に搭載された直流電源であるバッテリ10(図1参照)からの電力(DC24V)は、DC/ACコンバータ11によって交流(AC100V)に変換されて指示計9と外部指示計12に供給される。ここで、DC/ACコンバータ11と外部表示器12は、図1に示すように、車両100のキャビン101と荷台110の前端に立設された前壁112Aの上部にそれぞれ配置されている。
【0036】
以上のように構成された積載重量計測装置1が荷台110に設置された車両100においては、積載物Wは、積載重量計測装置1の矩形容器状の秤量台2に積載されてその重量が計測される。
【0037】
すなわち、秤量台2に積載された積載物Wの重量は、6つのロードセル5によって検出され、その検出信号が図5に示す和算基板7へと送信される。すると、和算基板7において、各ロードセル5から送信される検出信号に基づいて所定の計算式によって積載重量が算出され、その結果が信号線8を経て指示計9へと送信されて該指示計9に表示されるとともに、同じ結果が指示計9から信号線13を経て外部表示器12へと送信されて該外部表示器12にデジタル表示される。
【0038】
而して、本実施の形態に係る積載重量計測装置1においては、車両100(図1参照)の荷台110に設置された秤量台2に積載される積載物Wの重量(積載重量)を計6つのロードセル5によって直接計測するため、車両100の重量に関係なく、積載重量のみを直接且つ高精度に計測することができる。特に、秤量台2は、水平方向に移動可能であるため、この秤量台2上の積載物Wの正味の重量(垂直荷重)のみを直接且つ高精度に計測することができる。このため、計測誤差を予め見込んで過少(少な目)の積載物Wを車両100に積載する必要がなく、車両100による積載物Wの運搬効率が高められる。
【0039】
また、本実施の形態に係る積載重量計測装置1においては、荷台110の底板111の撓み変形が3つの補強プレート113によって抑制され、しかも、計6つのロードセル5が剛性の高い補強ブレート113上に設置されるため、秤量台2上に積載された積載物Wの重量(積載重量)が6つのロードセル5によって高精度に計測される。この場合、積載物Wの積載状態に場所的な偏りがあっても、計6つのロードセル5によって積載物Wの重量(積載重量)が高精度に計測される。なお、ロードセル5の個数は6つが最適であり、それ以外の個数では、その計測精度が積載物Wの場所的な偏りの影響を受けることが実験的に確認された。
【0040】
そして、本実施の形態に係る積載重量測定装置1においては、前述のように秤量台2のベース板3の形状及び寸法を、荷台110の底板111の形状及び寸法と略同一に(若干小さく)設定し、秤量台2の縦板4(前壁4Aと後壁4B及び左右の側板4C)と荷台110の縦壁112(前壁112Aと後壁112B及び左右の側壁112C)との間に微小隙間δを形成したため、積載物Wの破片や屑などが微小隙間δを通過して秤量台2の底面と荷台110の上面との間の空間に入り込んでそこに堆積することがない。このため、秤量台2の底面と荷台110の上面との間の空間に入り込んで堆積した積載物Wの一部によって積載物Wの重量の一部が受けられることがなく、積載重量の全てが6つのロードセル5によって高精度に測定される。
【0041】
さらに、本実施の形態に係る積載重量計測装置1においては、図3及び図4に示すように、秤量台2の四周縁から縦板4(前板4Aと後板4B及び左右の側板4C)をそれぞれ垂直に荷台110の後壁112B、側壁112Cと略同高に起立させて当該秤量台2を上方が開口する矩形容器としたため、該秤量台2に積載された積載物Wが車両100(図1参照)の荷台110の縦壁112(前壁112Aと後壁112B及び左右の側壁112C)に接触することがない。このため、荷台110の縦壁112(前壁112Aと後壁112B及び左右の側壁112C)が積載物Wから横方向の力を受けることがない。したがって、積載物Wが荷台110の縦壁112(前壁112Aと後壁112B及び左右の側壁112C)に接触する場合に両者間に発生する上向き(反重力方向)の摩擦力分だけ積載物Wの重量(垂直荷重)が減じられることがなく、秤量台2上の積載物Wの重量(積載重量)のみが直接且つ高精度に計測される。
【0042】
ところで、本実施の形態では、秤量台2を鋼材で構成したが、秤量台2を軽量なカーボン繊維又はグラス繊維の成形材によって構成すれば、該秤量台2とこれを備える積載重量計測装置1の軽量化を図ることができる。
【0043】
また、車両100の荷台110の縦壁112のうち、少なくとも左右の側壁112Cは、ラダー状の枠体を残して枠内の鋼製面部材を除去することにより、図1に示す複数(図示例では、各4つ)の矩形の開口部112a(図1には、一方の側壁112Cに形成されたもののみを示す)を形成して、荷台110の軽量化を図っている。この場合、荷台110の側壁112Cの内側に位置する秤量台2の左右の側板4Cが開口部112aから露出するから、露出部分の外表面に文字や記号などの種々の情報を表示し、第三者が荷台110の左右の側壁112Cの開口部112aから前記情報を視認できるようにすることができる。
【0044】
なお、以上の実施の形態では、秤量台2のベース板3の形状及び寸法を、荷台110の底板111の形状及び寸法と略同一に(若干小さく)設定し、秤量台2の縦板4(前壁4Aと後壁4B及び左右の側板4C)と荷台110の縦壁112(前壁112Aと後壁112B及び左右の側壁112C)との間に微小隙間δを形成することによって、積載物Wの一部(破片や屑)が微小隙間δを通過しないようにしたが、微小隙間δを上方から塞ぐ構成を採用すれば、積載物Wの一部が微小隙間δを通過する事態の発生を確実に防ぐことができる。その例を別形態1,2として図6図9を参照しながら以下に説明する。
【0045】
図6は別形態1を示す図4と同様の図、図7図6のC部拡大詳細図であり、これらの図に示す例では、秤量台2の縦壁4(図6は左右の側板4Cのみを示す)の上端縁を外側に向かって直角に折り曲げてフランジ状の庇部4aを形成し、この庇部4aによって微小隙間δを上方から覆うようにしている。
【0046】
上述のように、秤量台2の縦壁4の上端縁に沿って形成された庇部4aによって微小隙間δを上方から覆うと、積載物Wの破片や屑などの微小隙間δの通過が確実に防がれるため、秤量台2の底面と荷台110の上面との間に積載物Wの一部が侵入して堆積することがなく、積載物Wの重量(積載重量)が常に正確に計測される。なお図示しないが、荷台110の側壁112Cの上端面112aと庇部4aの下面の間にも、微小隙間δと同様の隙間が設定されている。
【0047】
また、図8は別形態2を示す図4と同様の図、図9図8のD部拡大詳細図であり、これらの図に示す例では、秤量台2の縦板4(図示例では、左右の側板4C)の外周面に、先端部が荷台110の縦壁112(図示例では、左右の側壁112C)の内周面に弾性接触して微小隙間δを上方から塞ぐ弾性シール部材20を設けている。弾性シール部材20の設置位置は、荷台110の側壁112C又は秤量台2の側板4Cの上端近傍が好ましい。
【0048】
上述のように、秤量台2の縦板4の外周面に設けられた弾性シール部材20によって微小隙間δを上方から覆うようにすると、積載物Wの破片や屑などの微小隙間δからの通過が弾性シール部材20によって確実に防がれるため、秤量台2の底面と荷台110の上面との間に積載物Wの一部が侵入して堆積することがなく、積載物Wの重量(積載重量)を常に正確に計測することができる。
【0049】
なお、図示しないが、上記と同様の弾性シール部材を荷台110の縦壁112の内周面に設け、この弾性シール部材の先端部を秤量台2の縦板4の外周面に弾性接触させて微小隙間δを当該シール部材によって上方から覆うようにしても、積載物Wの破片や屑などの微小隙間δから通過が弾性シール部材によって確実に防がれるため、秤量台2の底面と荷台110の上面との間に積載物Wの一部が侵入して堆積することがなく、積載物Wの重量(積載重量)を常に正確に計測することができる。
【0050】
ところで、以上の実施の形態においては、荷重センサとしてロードセル5を使用したが、荷重センサとしては、荷重を電気信号に変換するものであれば、他の任意のものを使用することができる。
【0051】
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
1 積載重量計測装置
2 秤量台
3 秤量台のベース板
4 秤量台の縦板
4A 前板
4B 後板
4C 側板
4a 庇部
5 ロードセル(荷重センサ)
7 和算基板
9 指示計
10 バッテリ
11 DC/ACコンバータ
12 外部表示器
20 弾性シール部材
100 車両(運搬車両)
110 荷台
111 荷台の底板
112 荷台の縦壁
112A 前壁
112B 後壁
112C 側壁
112a 荷台側壁の開口部
113 補強プレート
W 積載物
δ 微小隙間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9