(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154538
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】調光制御装置および調光制御方法
(51)【国際特許分類】
H05B 45/335 20200101AFI20231013BHJP
G09G 3/36 20060101ALI20231013BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20231013BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20231013BHJP
H05B 45/12 20200101ALI20231013BHJP
H05B 47/11 20200101ALI20231013BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H05B45/335
G09G3/36
G09G3/20 612A
G09G3/34 J
G09G3/20 631U
G09G3/20 670C
G09G3/20 611E
G09G3/20 642C
H05B45/12
H05B47/11
G02F1/133 535
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063907
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】梅原 佑介
【テーマコード(参考)】
2H193
3K273
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZG02
2H193ZG14
2H193ZG50
2H193ZG51
2H193ZH07
3K273AA05
3K273BA04
3K273CA02
3K273EA10
3K273EA24
3K273EA36
3K273FA03
3K273FA14
3K273FA22
3K273FA26
3K273FA28
3K273FA32
3K273FA41
5C006AF53
5C006AF63
5C006BF39
5C006EA01
5C006FA23
5C080AA10
5C080DD06
5C080EE28
5C080JJ02
5C080JJ04
5C080JJ05
5C080JJ07
(57)【要約】
【課題】定電圧モードから通常モードへの切り替え時に発生する画面のチラつきを抑制可能な「調光制御装置および調光制御方法」を提供する。
【解決手段】調光制御装置1に調光指示が与えられた場合、調光パルスの周波数を低周波側に変化させることで、バックライト電源2において第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを発生させる周波数変更部12と、周波数の変更後に、調光パルスのデューティ比を調光指示に対応するデューティ比に変更するデューティ変更部13とを備え、調光指示が与えられた場合に、調光パルスのデューティ比を変えずに調光パルスの周波数を変更することで動作モードの切り替えを発生させた後、調光パルスのデューティ比を変更することで、動作モードの切り替えにより電圧ドロップが生じても、輝度レベルが上下することなく徐々に上昇していくようにする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光パルスのデューティ比に応じて調光が実行され、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数より多い場合に適用される第1動作モードと、上記オン・デューティ期間に含まれる上記電源動作クロックの数が所定数以下の場合に適用される第2動作モードとを有する電源装置に対し、上記調光パルスを供給することによって調光の制御を行う調光制御装置であって、
調光指示が与えられた場合に、上記調光パルスの周波数を低周波側に変化させることで、上記第2動作モードから上記第1動作モードへの切り替えを発生させる周波数変更部と、
上記周波数変更部による上記周波数の変更後に、上記調光パルスのデューティ比を上記調光指示に対応するデューティ比に変更するデューティ変更部とを備えた
ことを特徴とする調光制御装置。
【請求項2】
上記デューティ変更部は、上記第2動作モードから上記第1動作モードへの切り替えによって電圧ドロップが発生するタイミングを示す情報をあらかじめ記憶しておき、上記周波数変更部による上記周波数の変更後、上記電圧ドロップの発生開始と同期するタイミングで上記調光パルスのデューティ比を変更することを特徴とする請求項1に記載の調光制御装置。
【請求項3】
上記調光指示が与えられた場合に、上記第2動作モードから上記第1動作モードへの切り替えが発生する調光指示であるか否かを判定する判定部を更に備え、
上記周波数変更部は、上記判定部により上記切り替えが発生する調光指示であると判定された場合にのみ上記調光パルスの周波数を低周波側に変化させることで、上記第2動作モードから上記第1動作モードへの切り替えを発生させ、
上記デューティ変更部は、上記判定部により上記切り替えが発生する調光指示であると判定された場合には、上記周波数変更部による上記周波数の変更後に上記調光パルスのデューティ比を変更する一方、上記判定部により上記切り替えが発生しない調光指示であると判定された場合には、上記周波数変更部による上記周波数の変更が行われていない上記調光パルスのデューティ比を変更する
ることを特徴とする請求項1または2に記載の調光制御装置。
【請求項4】
上記周波数変更部は、上記デューティ変更部による上記デューティ比の変更後に、上記調光パルスの周波数を高周波側に変化させて元の周波数に戻すことを特徴とする請求項3に記載の調光制御装置。
【請求項5】
調光パルスのデューティ比に応じて調光が実行され、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数より多い場合に適用される第1動作モードと、上記オン・デューティ期間に含まれる上記電源動作クロックの数が所定数以下の場合に適用される第2動作モードとを有する電源装置に対し、調光制御装置から上記調光パルスを供給することによって調光の制御を行う調光制御方法であって、
上記調光制御装置に調光指示が与えられた場合に、上記調光制御装置の周波数変更部が、上記調光パルスの周波数を低周波側に変化させることで、上記第2動作モードから上記第1動作モードへの切り替えを発生させる第1のステップと、
上記周波数変更部による上記周波数の変更後に、上記調光制御装置のデューティ変更部が、上記調光パルスのデューティ比を上記調光指示に対応するデューティ比に変更する第2のステップとを有する
ことを特徴とする調光制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光制御装置および調光制御方法に関し、特に、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数に応じて動作モードが切り替わるようになされた電源装置に対して調光パルスを供給することによって調光の制御を行う調光制御装置に用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、PWM(Pulse Width Modulation)パルスのデューティ比を変えることによって調光を行うようになされた電源装置が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1に記載の電源装置では、一方のLED負荷へ出力する電流を変更するための調光用の信号を受信した場合は、当該一方のLED負荷へ出力する電流が、受信した調光用の信号に応じた電流となるように一方のPWM回路を制御するとともに、他方のLED負荷へ出力する電流が変動しないように他方のPWM回路を制御する。
【0003】
また、特許文献2に記載の画像表示システムは、目的とする光源の輝度が比較的大きい第1夜画モードと、目的とする光源の輝度が比較的小さい第2夜画モードとを有し、第2夜画モードの場合においては、PWM信号のオン期間を所定の基準期間に固定しつつ周波数を変更することにより、オン期間を基準期間以上に保持しながらデューティ比を小さくすることができるようにしている。
【0004】
ところで、LCDのバックライト電源は通常の電源とは異なり、調光のために外部PWMパルスにより内部スイッチをオン/オフできるようになっている。この場合、オフ・デューティ期間にはフィードバックループが切れることから、電源内部のエラーアンプはオン・デューティ期間においてのみ動作し、その期間で出力電圧の調整(レギュレーション)を行っている。
【0005】
一方、調光階調は数百~数千の解像度を要求されることから、低輝度時のオン・デューティ期間は非常に短くなる。そのため、このオン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックが少なくなると、出力電圧が不安定になる。そこで、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数がある一定数以下となる場合には、バックライト電源の動作モードを通常モードから定電圧モードに切り替えることがよく行われている。定電圧モードは、負荷端子の電圧が一定となるよう動作するモードである。
【0006】
しかしながら、以上のように低デューティ比時に定電圧モードで動作するバックライト電源においては、高デューティ比による調光への移行によって動作モードが定電圧モードから通常モードへ切り替わるタイミングで、電圧のドロップが一瞬発生することがある。この瞬間的な電圧ドロップが発生すると、輝度レベルが瞬間的に低下し、画面チラつきが発生するという問題があった。
【0007】
図7は、この従来の問題を説明するための波形図であり、従来の調光制御と輝度レベルの変化を示している。
図7に示すように、バックライト電源が定電圧モードで動作している期間T0のある時点tにおいて、外部PWMパルスのデューティ比を変更してオン・デューティ期間を長くすると、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生し、その直後の期間T1において輝度レベルはいったんデューティ比に応じた所与のレベルまで上昇する。しかし、動作モードの切り替えに起因して、その後の期間T2において、LEDに供給されるアノード電圧とカソード電圧が想定の電圧よりも大きく低下する電圧ドロップが瞬間的に発生し、この電圧ドロップが発生する期間T2において輝度レベルは低下する。電圧ドロップが解消された後の期間T3では、輝度レベルは期間T1のときと同じ所与のレベルに戻って落ち着く。
【0008】
このように、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生すると、暗い(デューティ比変更前)→明るい(デューティ比変更後)→暗い(動作モード切り替え後の電圧ドロップ)→明るい(デューティ比変更後)のように輝度レベルが上下するため、画面がチラついたように見えてしまう。
【0009】
なお、動作モード切り替わり時の電圧ドロップによる輝度変動への対応として、位相補償の定数や出力コンデンサの容量を大きくすることによって改善を図ることも可能である。しかしながら、この場合は中型の電解コンデンサを配置することが必要になるが、より薄型化が求められる近年のディスプレイ製品には、構造上の高さ制限の関係から高背の電解コンデンサを配置することができない。電解コンデンサに代えてセラミックコンデンサを用いることも可能であるが、大型ディスプレイの場合にはLED灯数が増加するため、必要な容量をセラミックコンデンサで賄うには大きな基板スペースとコストが必要になってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012-221714号公報
【特許文献2】特開2016-170864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、PWMの低デューティ比時に定電圧モードで動作するバックライト電源において、出力コンデンサの容量を大きくする等の対応とは異なる方法で、定電圧モードから通常モードへの切り替え時に発生する画面のチラつきを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本発明では、調光パルスのデューティ比に応じて調光が実行され、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数より多い場合に適用される第1動作モードと、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数以下の場合に適用される第2動作モードとを有する電源装置に対して調光パルスを供給する調光制御装置において、調光指示が与えられた場合、調光パルスの周波数を低周波側に変化させることで、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えを発生させた後に、調光パルスのデューティ比を調光指示に対応するデューティ比に変更するようにしている。
【発明の効果】
【0013】
上記のように構成した本発明によれば、調光指示が与えられた場合に、調光パルスの周波数が低周波側に変化させられ、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数より多くなることにより、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えが発生する。このとき、調光パルスのデューティ比は変わっていないので、輝度レベルは元のまま維持される。そのため、動作モードの切り替えに起因してその後に電圧ドロップが発生しても、いったん上昇した輝度レベルが低下するという現象は起こらない。そして、周波数の変更後に、調光パルスのデューティ比が調光指示に対応するデューティ比に変更されることで、輝度レベルが調光指示に対応するレベルに上昇していく。これにより、第2動作モードから第1動作モードへの切り替えにより電圧ドロップが生じても、輝度レベルは上下することなく徐々に上昇していくことになる。このため、第2動作モードから第1動作モードへの切り替え時に発生する画面のチラつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本実施形態による調光制御装置を含む表示システムのハードウェア構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態による調光制御装置の機能構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態の調光制御装置が生成する調光パルスの波形を模式的に示す図である。
【
図4】本実施形態による調光制御と輝度レベルの変化を示す波形図である。
【
図5】本実施形態による調光制御装置の動作例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態の調光制御装置が生成する調光パルスの波形を模式的に示す図である。
【
図7】従来の調光制御と輝度レベルの変化を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による調光制御装置を含む表示システムのハードウェア構成例を示す図である。本実施形態の表示システムは、ハードウェア構成として、調光制御装置1、バックライト電源2、LCD3および画像処理IC4を備えて構成される。調光制御装置1は、例えば、コンピュータのCPU、RAM、ROMなどを含むマイコンまたはSoC(System-on-a-chip)により構成される。
【0016】
LCD3は、各種の画像を表示するものであり、複数のLEDから成るバックライトを備えている。LCD3に表示する画像は、画像処理IC4により生成される。画像処理IC4は、図示しない電子機器から供給される画像データに基づいて、LCD3に表示すべき各種の画像を生成する。バックライト電源2は、特許請求の範囲の電源装置に相当するものであり、LCD3のバックライトを駆動する。バックライトの駆動は、調光制御装置1から供給されるPWMによる調光パルスを用いて行う。
【0017】
バックライト電源2は、調光制御装置1から供給される調光パルスのデューティ比に応じてバックライトの調光を行うことが可能に構成されている。また、バックライト電源2は、調光パルスのオン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数より多い場合に適用される第1動作モード(通常モード)と、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数以下の場合に適用される第2動作モード(定電圧モード)とを有する。
【0018】
調光制御装置1は、外部から入力される調光指示に応じて、PWMによる調光パルスを生成し、バックライト電源2に供給する。例えば、調光制御装置1は、図示しない照度センサにより検出される周囲環境の照度に基づいて図示しない電子機器により生成される調光指示に基づいて、LCD3の表示輝度を調整するための調光パルスを生成してバックライト電源2に供給する。あるいは、調光制御装置1は、電子機器に対するユーザの操作に応じて電子機器により生成される調光指示に基づいて、LCD3の表示輝度を調整するための調光パルスを生成してバックライト電源2に供給するようにしてもよい。
【0019】
図2は、本実施形態による調光制御装置1の機能構成例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態の調光制御装置1は、機能構成として、調光パルス生成部10および判定部11を備えている。このうち、調光パルス生成部10は、より具体的な機能構成として、周波数変更部12およびデューティ変更部13を備えている。
【0020】
これらの機能ブロック11~13は、上述したマイコンまたはSoCが備えるROM、あるいはハードディスクまたは半導体メモリ等の記憶媒体に記憶されたプログラムが動作することによって実現される。なお、これらの機能ブロック11~13の全てまたは一部をハードウェアまたはDSP(Digital Signal Processor)により構成することも可能である。
【0021】
判定部11は、外部から調光指示が与えられた場合に、バックライト電源2において第2動作モード(定電圧モード)から第1動作モード(通常モード)への切り替えが発生する調光指示であるか否かを判定する。定電圧モードから通常モードへの切り替えは、調光パルスのオン・デューティ期間に含まれるバックライト電源2の電源動作クロックの数が所定数以下の状態から、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数より多い状態に変化する場合に発生する。つまり、オン・デューティ期間のデューティ比が所定値以下の低輝度発光状態から、デューティ比が所定値より大きい高輝度発光状態に変化する場合に定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する。
【0022】
ここで、デューティ比は、調光指示の内容によって決まる。例えば、バックライトをn段階で調光可能に構成されている場合、調光制御装置1は、調光指示に応じてデューティ比が異なるnパターンの調光パルスの何れかを生成する。どのパターンの調光パルスを生成するかによって、その調光パルスのオン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が決まる。判定部11は、このような関係性をもとに、調光パルス生成部10が現在生成している調光パルスのデューティ比と、外部より供給された調光指示に基づいてこれから生成すべき調光パルスのデューティ比とをもとに、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する調光指示であるか否かを判定することが可能である。
【0023】
周波数変更部12は、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する調光指示であると判定部11により判定された場合に、現在生成中の調光パルスのデューティ比を維持したまま、当該調光パルスの周波数を低周波側に変化させ、周波数を変更した調光パルスをバックライト電源2に供給することで、定電圧モードから通常モードへの切り替えをバックライト電源2に発生させる。デューティ比が変わらなくても、調光パルスの周波数が低くなるとオン・デューティ期間が長くなり、その中に含まれるバックライト電源2の電源動作クロックの数が増える。これにより、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数以下の状態から所定数より多い状態に変化すると、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する。
【0024】
本実施形態では、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数より多くなるのに十分な程度に調光パルスの周波数を低くする。例えば、n段階でバックライトの輝度レベルを調整可能になされたnパターンの調光パルスのうち、最もデューティ比が小さい調光パルスのオン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数の1/mである場合、周波数変更部12は、調光パルスの通常の周波数と比べて1/m未満となる値の周波数に調光パルスの周波数を変更する。周波数を1/m未満とすれば、オン・デューティ期間の長さはm倍より長くなり、その期間に含まれる電源動作クロックの数はm倍より多くなって所定数を超える。このような値の周波数は、シミュレーションまたは実測を通じてあらかじめ設定しておくことが可能である。
【0025】
一方、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生しない調光指示であると判定部11により判定された場合は、周波数変更部12の処理は実行しない。
【0026】
デューティ変更部13は、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する調光指示であると判定部11により判定された場合に、周波数変更部12により周波数が変更された調光パルスのデューティ比を、調光指示に対応するデューティ比に変更する。そして、デューティ比を変更した調光パルスをバックライト電源2に供給する。
【0027】
ここで、デューティ変更部13は、定電圧モードから通常モードへの切り替えによって電圧ドロップが発生するタイミングを示す情報をあらかじめ記憶しておき、周波数変更部12による周波数の変更後、電圧ドロップの発生開始と同期するタイミングで調光パルスのデューティ比を変更するのが好ましい。電圧ドロップが発生するタイミングは、
図7に示す期間T2の開始時点であり、これは事前のシミュレーションまたは実測により求めることが可能である。
【0028】
電圧ドロップが発生した場合、何も対処しなければ輝度レベルは低下するが、このタイミングに合わせてデューティ比を変更してオン・デューティ期間を長くすることにより、輝度レベルの低下を抑え、輝度レベルを徐々に上昇させていくことが可能となる。
【0029】
一方、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生しない調光指示であると判定部11により判定された場合、デューティ変更部13は、周波数変更部12による周波数の変更が行われていない調光パルスのデューティ比を、調光指示に対応するデューティ比に変更する。そして、デューティ比を変更した調光パルスをバックライト電源2に供給する。
【0030】
図3は、以上のように構成した調光制御装置1の動作例を説明するための図であり、調光制御装置1が生成する調光パルスの波形を模式的に示している。
図3(a)は、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する調光指示であると判定された場合に生成される調光パルスの遷移を示す。
図3(b)は、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生しない調光指示であると判定された場合に生成される調光パルスの遷移を示す。
【0031】
図3(a)において、最初の(S0)で示す調光パルスは、調光パルス生成部10が現在生成中の調光パルスであり、オン・デューティ期間に含まれるバックライト電源2の電源動作クロックの数が所定数以下であるため、バックライト電源2は定電圧モードで動作している。
【0032】
次の(S1)で示す調光パルスは、調光制御装置1に対して外部から調光指示が供給されたため、調光パルス生成部10により新たに生成された調光パルスである。ここでは、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する調光指示であると判定部11により判定されたため、周波数変更部12の処理を実行し、現在生成中の調光パルス、つまり(S0)で示す調光パルスのデューティ比を維持したまま、調光パルスの周波数を低周波側に変化させている。これにより、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数が所定数以下の状態から所定数より多い状態に変化し、バックライト電源2の動作モードは定電圧モードから通常モードへと切り替わる。
【0033】
次の(S2)で示す調光パルスは、(S1)において周波数変更部12による周波数の変更を実行した後、電圧ドロップの発生開始と同期するタイミングで新たに生成された調光パルスである。ここでは、デューティ変更部13により、(S1)において周波数変更部12により周波数が変更された調光パルスのデューティ比を、調光指示に対応するデューティ比に変更している。デューティ比を変更した後も、調光パルスのオン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数は所定数より多い状態が維持されているため、バックライト電源2の動作モードは通常モードのまま維持される。この状態で輝度レベルが上昇していく。
【0034】
図3(b)において、最初の(S0)で示す調光パルスは、調光パルス生成部10が現在生成中の調光パルスである。これは、
図3(a)の(S0)で示す調光パルスと同じもので、オン・デューティ期間に含まれるバックライト電源2の電源動作クロックの数が所定数以下であるため、バックライト電源2は定電圧モードで動作している。
【0035】
次の(S11)で示す調光パルスは、調光制御装置1に対して外部から調光指示が供給されたため、調光パルス生成部10により新たに生成された調光パルスである。ここでは、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生しない調光指示であると判定部11により判定されたため、周波数変更部12の処理は実行せずに(S0)で示す調光パルスの周波数を維持したまま、デューティ変更部13によりデューティ比を調光指示に対応するデューティ比に変更している。この場合、オン・デューティ期間に含まれる電源動作クロックの数は所定数以下のままであり、バックライト電源2の動作モードは定電圧モードに維持される。この状態で輝度レベルが上昇していく。
【0036】
図4は、
図3(a)のような遷移で調光パルスが生成される場合における輝度レベルの変化を示す波形図である。
図4において、期間T0は、
図3(a)の(S0)で示す調光パルスがバックライト電源2に供給されている期間であり、バックライト電源2は定電圧モードで動作している。時点t1は、外部から調光制御装置1に調光指示が供給されたタイミングを示す。ここで、判定部11は、供給された調光指示が、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する調光指示であると判定する。
【0037】
このような判定部11による判定結果に応じて、周波数変更部12は、期間T1において、調光パルスのデューティ比を維持したまま、調光パルスの周波数を低周波側に変化させる(
図3(a)の(S1)参照)。これにより、バックライト電源2の動作モードは定電圧モードから通常モードへと切り替わる。このとき、調光パルスのデューティ比が(S0)と同じ状態のまま維持されているので、期間T1においてバックライトの輝度レベルは上昇せず、期間T0のときの輝度レベルが維持されている。
【0038】
その後、電圧ドロップが発生するタイミングを示す情報としてあらかじめ記憶しておいた時点t2において、デューティ変更部13は、周波数変更部12により周波数が変更された調光パルスのデューティ比を、調光指示に対応するデューティ比に変更する(
図3(a)の(S2)参照)。時点t2以降の期間T2において、バックライトのLEDに供給されるアノード電圧とカソード電圧が想定の電圧よりも大きく低下する電圧ドロップが瞬間的に発生するが、この期間T2に合わせてデューティ比が変更されているため、電圧ドロップの発生期間T2において輝度レベルの低下は発生せず、輝度指示に応じた所与のレベルまで輝度レベルは徐々に上昇していく。そして、電圧ドロップが解消された後の期間T3において、輝度レベルは所与のレベルで安定する。
【0039】
以上のように、本実施形態によれば、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生するときに、暗い(輝度変更前)→暗い(周波数変更後)→明るい(デューティ変更後)のように輝度レベルが徐々に上昇していき、
図7のように輝度レベルが上下しないため、画面がチラついたように見えてしまう現象を抑制することができる。
【0040】
図5は、上記のように構成した本実施形態による調光制御装置1の動作例を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、バックライト電源2が定電圧モードで動作している状態において、外部から調光制御装置1に調光指示が供給されたときに開始する。
【0041】
まず、判定部11は、外部より供給された調光指示が、バックライト電源2において定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する調光指示であるか否かを判定する(ステップP1)。ここで、そのような動作モードの切り替えが発生する調光指示であると判定された場合、周波数変更部12は、調光パルスの周波数を低周波側に変化させる(ステップP2)。これにより、オン・デューティ期間に含まれるバックライト電源2の電源動作クロックの数が所定数以下の状態から所定数より多い状態に変化し、バックライト電源2の動作モードが定電圧モードから通常モードへと切り替わる。
【0042】
その後、デューティ変更部13は、定電圧モードから通常モードへの切り替えによって電圧ドロップが発生するタイミングとしてあらかじめ記憶されたタイミングになったか否かを判定する(ステップP3)。デューティ変更部13は、このタイミングになるまで待機する。
【0043】
そして、電圧ドロップの発生開始タイミングになったと判定された場合、デューティ変更部13は、ステップP2で周波数変更部12により周波数が変更された調光パルスのデューティ比を、調光指示に対応するデューティ比に変更する(ステップP4)。これにより、
図5に示すフローチャートの処理が終了する。
【0044】
上記ステップP1において、バックライト電源2において定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生しない調光指示であると判定された場合は、ステップP2による周波数変更部12の処理は実行せず、デューティ変更部13によるデューティ比の変更処理を直ちに実行する(ステップP4)。これにより、
図5に示すフローチャートの処理が終了する。
【0045】
以上詳しく説明したように、本実施形態では、バックライト電源2において定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生するような調光指示が調光制御装置1に与えられた場合、調光制御装置1からバックライト電源2に供給する調光パルスの周波数を低周波側に変化させることで、定電圧モードから通常モードへの切り替えを発生させた後に、調光パルスのデューティ比を調光指示に対応するデューティ比に変更するようにしている。
【0046】
このように構成した本実施形態によれば、調光制御装置1に調光指示が与えられた場合に、まずは調光パルスの周波数が低周波側に変化させられることで、定電圧モードから通常への切り替えが発生する。このとき、調光パルスのデューティ比は変わっていないので、輝度レベルは元のまま維持される。そのため、動作モードの切り替えに起因してその後に電圧ドロップが発生しても、いったん上昇した輝度レベルが低下するという現象は起こらない。そして、周波数の変更後に、調光パルスのデューティ比が調光指示に対応するデューティ比に変更されることで、輝度レベルが調光指示に対応するレベルに上昇していく。これにより、定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生するときに、輝度レベルは上下することなく徐々に上昇していくことになる。このため、定電圧モードから通常モードへの切り替え時に発生する画面のチラつきを抑制することができる。
【0047】
なお、
図6に示すように、周波数変更部12は、(S2)においてデューティ変更部13が調光パルスのデューティ比の変更した後に、(S3)において調光パルスの周波数を高周波側に変化させることにより、(S0)のときと同じ元の周波数に戻すようにしてもよい。定電圧モードから通常モードへの切り替えが生じると判定されたことを受けて周波数の変更を行っているので、調光パルスの周波数を元に戻した後も、調光パルスのオン・デューティ期間に含まれるバックライト電源2の電源動作クロックの数は所定数より多い状態が維持されており、バックライト電源2の動作モードは通常モードのまま維持される。
【0048】
また、上記実施形態では、バックライト電源2において定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生する調光指示であると判定された場合に限り周波数変更部12の処理を実行する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、バックライト電源2が定電圧モードで動作しているときに調光制御装置1に調光指示が供給された場合には周波数変更部12の処理を実行するようにしてもよい。
【0049】
この場合、本来は定電圧モードから通常モードへの切り替えが発生しない調光指示であるにもかかわらず、周波数の変更によって通常モードへの切り替えが発生することが起こり得る。この場合でも、画面のチラつきを抑制することは可能である。また、調光パルスのデューティ比の変更後に調光パルスの周波数を高周波側に変化させて元に戻すようにすれば、バックライト電源2の動作モードを通常モードから定電圧モードに戻すことも可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、電圧ドロップが発生するタイミングを示す情報をあらかじめ記憶しておき、電圧ドロップの発生開始と同期するタイミングで調光パルスのデューティ比を変更する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、周波数変更部12により周波数を変更してから所定時間後のタイミングで調光パルスのデューティ比を変更するようにしてもよい。この場合は、バックライトの輝度レベルが若干上下することが起こり得るが、電圧ドロップの発生開始タイミングから極端に大きく乖離するタイミングでなければ、ユーザが殆ど実感しないほどの小さい変動幅となり、画面のチラつきを殆ど気にならない程度に抑制することが可能である。
【0051】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 調光制御装置
2 バックライト電源
3 LCD
10 調光パルス生成部
11 判定部
12 周波数変更部
13 デューティ変更部