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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154551
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】車両用サンバイザ
(51)【国際特許分類】
   B60J 3/02 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
B60J3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063938
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】599041329
【氏名又は名称】共和産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原口 貴史
(57)【要約】
【課題】使用感や組立性を良好にしながらバニティミラーの脱落や破損を抑制できる車両用サンバイザが必要とされている。
【解決手段】車両用サンバイザ1は、板状のバイザ本体2と、バイザ本体2の表面のミラー用凹部6に設置されるミラー枠8と、ミラー枠8に保持される鏡4を有する。ミラー枠8に直径165mmの頭部モデルHが接触する瞬間に頭部モデルHと鏡4との間にクリアランスC1が形成されるようにミラー枠8は、鏡4からの突出高さを有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用サンバイザであって、
板状のバイザ本体と、
前記バイザ本体の表面のミラー用凹部に設置されるミラー枠と、
前記ミラー枠に保持される鏡を有し、
前記ミラー枠に直径165mmの頭部モデルが接触する瞬間に前記頭部モデルと前記鏡との間にクリアランスが形成されるように前記ミラー枠は、前記鏡からの突出高さを有する車両用サンバイザ。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用サンバイザであって、
前記ミラー枠は、矩形状で、長手方向と直交する方向に対向する2辺から外方に張出す張出部を有し、
前記バイザ本体は、前記ミラー枠の前記張出部に対向するストッパ壁を有し、
前記頭部モデルが前記ミラー枠に当たり、前記ミラー枠が変形して前記ミラー枠の前記張出部の先端が前記ストッパ壁に面当たりするとともに、前記張出部が前記ストッパ壁に面当たりした際に前記鏡と前記頭部モデルとの間にクリアランスが形成される車両用サンバイザ。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用サンバイザであって、
前記ミラー枠は、前記張出部の先端から前記バイザ本体の厚み方向に前記バイザ本体に向けて突出する突出部を有する車両用サンバイザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラー付き車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遮光等を目的として車室内に設置される車両用サンバイザとして、バニティミラーやカードホルダ等の付属品が取付けられた車両用サンバイザが知られている。例えば車両用サンバイザは、遮光部分となる板状のバイザ本体と、バイザ本体に取付けられたバニティミラーを有する。バイザ本体は、一端が車室天井面に接続された支軸によって回動可能に支持される。バイザ本体は、車室天井面に沿った格納位置と、上下方向に沿って起立した使用位置の間で回動可能である。バイザ本体を使用位置に移動させた時、バニティミラーの鏡面が車室内側の乗員側を向く。前席に着座した乗員は、バイザ本体を使用位置まで移動させることで自身の顔面等をバニティミラーの鏡面に映し出すことができる。
【0003】
従来の車両用サンバイザにおいて、例えば事故等で乗員の頭部がバニティミラーの鏡面に不測に衝突した場合、バニティミラーがバイザ本体から脱落してしまうおそれがある。特許文献1には、バニティミラーの裏面(鏡面の反対面)側に落込空間を設けた車両用サンバイザが開示されている。仮に事故等で乗員の頭部がバニティミラーに接近した場合でも、バニティミラーが落込空間に退避する。これによりバニティミラーの脱落が防止される。特許文献2には、例えばポリプロピレン等の合成樹脂製、あるいは鉄、アルミニウム等の金属製の補強材をバニティミラーの裏面に接着し、バニティミラーを補強する車両用サンバイザが開示されている。これにより衝撃によるバニティミラーの破損や脱落が抑制される。
【0004】
しかしながらバニティミラーの裏面側に落込空間を設ける場合、バイザ本体を厚く設ける必要がある。バニティミラーの裏面に補強材を接着させる場合、部品点数が増えて組立て時の手間や製造コストが増加してしまう。また、わずかながらバイザ本体を厚く設ける必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4261139号公報
【特許文献2】特許第4261144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のようにバニティミラーを備えた車両用サンバイザには、種々改良の余地があった。したがって使用感や組立性を良好にしながらバニティミラーの脱落や破損を抑制できる車両用サンバイザが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一つの特徴によると車両用サンバイザは、板状のバイザ本体と、バイザ本体の表面のミラー用凹部に設置されるミラー枠と、ミラー枠に保持される鏡を有する。ミラー枠に直径165mmの頭部モデルが接触する瞬間に頭部モデルと鏡との間にクリアランスが形成されるようにミラー枠は、鏡からの突出高さを有する。
【0008】
したがって頭部モデルは、鏡に接触するよりも先にミラー枠に接触する。そのため、例えば事故等において乗員の頭部が鏡に接触することを抑制できる。これにより鏡の脱落や破損を抑制できる。しかもバイザ本体の厚さを厚くすることなく車両用サンバイザを設けることができる。また、部品点数を増やすことなく車両用サンバイザを設けることができる。かくして使用感や組立性を良好にしながら鏡の脱落や破損を抑制できる。
【0009】
本開示の他の特徴によるとミラー枠は、矩形状で、長手方向と直交する方向に対向する2辺から外方に張出す張出部を有する。バイザ本体は、ミラー枠の張出部に対向するストッパ壁を有する。頭部モデルがミラー枠に当たり、ミラー枠が変形してミラー枠の張出部の先端がストッパ壁に面当たりするとともに、張出部がストッパ壁に面当たりした際に鏡と頭部モデルとの間にクリアランスが形成される。
【0010】
したがって頭部モデルがミラー枠に接触した瞬間からさらに鏡に接近するように押し込まれる時、ミラー枠を外方へ拡げようとする力が作用する。しかしミラー枠の張出部とバイザ本体のストッパ壁とが面当たりすることにより、ミラー枠の拡大が抑制される。そのため鏡と頭部モデルとの間にクリアランスが確保される。これによりバイザ本体の厚さや部品点数を変えることなく、乗員の頭部が車両用サンバイザに衝突する際の鏡の脱落や破損を抑制できる。
【0011】
本開示の他の特徴によるとミラー枠は、張出部の先端からバイザ本体の厚み方向にバイザ本体に向けて突出する突出部を有する。したがって突出部を設けることで張出部がストッパ壁を乗り越えることを抑制できる。そのためミラー枠の拡大を抑制できる。そのため鏡と頭部モデルとの間のクリアランスを維持できる。これにより乗員の頭部が鏡に不測に衝突することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車室内部の一部と天井面に取付けられた車両用サンバイザの斜視図である。
図2】本実施形態に係る車両用サンバイザの斜視図である。
図3】ミラーカバーが開き位置に位置する状態の車両用サンバイザの斜視図である。
図4】ミラーユニットとミラー用凹部を示す車両用サンバイザの分解斜視図である。
図5】ミラー枠の裏面図である。
図6図3中のVI-VI線断面矢視図である。
図7図3中のVI-VI線断面矢視図に相当し、図6に示す状態よりも頭部モデルが鏡に接近した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示の一つの実施形態について図1図7を用いて説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが、同じ機能を有する同じ要素を意味する。図1に示すように車両用サンバイザ1は、車室20内においてフロントガラス23近傍の天井面21に装着される。車両用サンバイザ1は板状のバイザ本体2と、バイザ本体2の表側に設けられたミラーユニット3を有する。以下の説明において、車室20の左右に基づいて車両用サンバイザ1の左右方向を規定する。車両用サンバイザ1の表側を上側、裏側を下側として、車両用サンバイザ1の上下方向を規定する。
【0014】
図1に示すようにバイザ本体2は、左右方向に長い略矩形状の板状に形成される。バイザ本体2は、左右方向に長い略矩形状の平板状の第1芯材2aと第2芯材2bを有する(図6参照)。バイザ本体2は、表側(上側)の第1芯材2aと裏側(下側)の第2芯材2bを厚み方向に重ねることで形成される。バイザ本体2の表面には、表皮14が被覆される。
【0015】
図1図2に示すように車両用サンバイザ1は、バイザ本体2を支持する支軸11を有する。支軸11は、略L字状の棒であって、左右方向に延出する横軸11aと、横軸11aに対して略直交して延出する縦軸11bを有する。縦軸11bの先端には、ブラケット12が装着される。ブラケット12は、縦軸11bを取付けるための縦軸取付孔12aと、天井面21に取付けるための車室取付孔12bを有する。ブラケット12を天井面21に取付けることにより、支軸11は横軸11aを左右方向に延出させた姿勢で天井面21に支持される。バイザ本体2は、横軸11aの軸線を中心にして回動可能である。バイザ本体2は、フロントガラス23に沿った使用位置Pと天井面21に沿った格納位置Kとの間で回動する。
【0016】
図2に示すように車両用サンバイザ1は、横軸11aの左方の延長線上に円柱状のサポート軸13を有する。バイザ本体2の端面には、凹部2dが形成される。凹部2dの対向する一対の面には、それぞれ軸取付孔2eが設けられる。サポート軸13の両端は、軸取付孔2eに取付けられる。そのためサポート軸13は、凹部2d内に配置される。サポート軸13は、天井面21に装着されたフック22に取外し可能に引掛けられる。
【0017】
図2図3図4に示すようにミラーユニット3は、左右方向に長い略矩形箱形のミラー枠8を有する。ミラー枠8の上部は、上方に向けて開口する開口部3aの縁に沿った矩形状である。ミラー枠8は、例えば樹脂で形成される。ミラー枠8は、第1芯材2aの表面(上面)に凹設されたミラー用凹部6に装着される。ミラー枠8には、矩形平板状の鏡(バニティミラー)4と、鏡4の鏡面側を覆うミラーカバー5が取付けられる。ミラーカバー5は、例えば樹脂で形成される。鏡4は、鏡面4aを上方に向けた姿勢でミラー枠8に取付けられる。
【0018】
図2図3図6に示すようにミラーカバー5は、鏡4の上方で左右方向にスライド可能である。ミラー枠8の内周面には、左右方向に直線状に延出する一対のガイドレール8aが形成される。一対のガイドレール8aは、ミラー枠8の長手方向と直交する方向に対向する2辺に沿って設けられる。ミラーカバー5の両端は、一対のガイドレール8aと係合する。これによりミラーカバー5は、一対のガイドレール8aに案内されて左右方向にスライド可能である。ミラーカバー5の上面には、上方に向けてわずかに張り出した取手5aが設けられる。取手5aに乗員の指を引掛けることにより、ミラーカバー5を左右方向にスライドさせることができる。ミラーカバー5は、閉じ位置に移動することで鏡4を覆う。ミラーカバー5を開き位置にスライドしてバイザ本体2の内部に移動させることで、鏡4が露出する。
【0019】
図4図6に示すように第1芯材2aは、左右方向に長い略矩形状である。第1芯材2aは、例えば樹脂で形成される。第2芯材2bは、第1芯材2aの外形に倣った略矩形状である。第2芯材2bは、例えば樹脂で形成される。第1芯材2aの縁部と第2芯材2bの縁部には、相互に係合する係合ピンとボス部が設けられる。例えば第1芯材2aの縁部の下面から下方に向かって延出する複数の係合ピンが設けられ、第2芯材2bの縁部の上面に複数のボス部が設けられる。複数の係合ピンと複数のボス部をそれぞれ係合させることにより、第1芯材2aと第2芯材2bが一体に取付けられる。
【0020】
図4図6に示すようにミラー用凹部6は、左右方向に長い矩形箱形であり、底面6aと起立面6bと水平面6cを有する。底面6aは、ミラー用凹部6の下端で上下方向に対して略直交する方向に延出する。起立面6bは、底面6aの端縁から上方に向けて延出する。水平面6cは、ミラー用凹部6の長手方向と直交する方向に対向する2辺において、起立面6bの上端から上下方向に対して略直交する方向に外方に向けて延出する。水平面6cは、ミラー用凹部6の外周縁に設けられたストッパ壁7まで延出する。ストッパ壁7は、ミラー用凹部6の長手方向と直交する方向に対向する2辺において上下方向に延出する。ストッパ壁7の上端は、第1芯材2aの上面に連結される。換言すると底面6aと水平面6cと第1芯材2aの上面は、相互に略平行でありかつ上下方向に段差を有して設けられる。ミラー用凹部6の右端の起立面6bには、ミラー用凹部6の内方に向けて突出した複数の係合爪6dが設けられる。
【0021】
図5に示すようにミラー枠8の下部には、複数のミラー保持爪8bと複数の爪係合部8cと複数のリブ8dが設けられる。複数のミラー保持爪8bは、ミラー枠8の長手方向に延出する2辺に設けられる。複数のミラー保持爪8bは、鏡4の下面と係合して鏡4を脱落しないように保持する。複数の爪係合部8cは、ミラー枠8の右側部に設けられる。爪係合部8cは、左右方向に貫通する貫通孔を具備するループ形状である。複数の爪係合部8cは、ミラー用凹部6に設けられた複数の係合爪6d(図4参照)に引き掛けられる。複数のリブ8dは、ミラー枠8の左側部から左方に向けて直線状に延出する。複数のリブ8dは、ミラー用凹部6の左端からバイザ本体2内に挿入される。かくして爪係合部8cと係合爪6dの係合、およびリブ8dと第1芯材2aの係合により、ミラー枠8がミラー用凹部6内で保持される。
【0022】
図6に示すようにミラー枠8は、一対のガイドレール8aの上方に一対の上面8eを有する。上面8eは、ミラー枠8の長手方向と直交する方向に対向する2辺に沿って設けられる。上面8eは、平面、またはミラー枠8の内方から外方に向けて上方へ湾曲する断面形状が略円弧状の曲面である。ミラー枠8は、上面8eが設けられる領域から外方へ張出す一対の張出部9を有する。一対の張出部9は、ミラー枠8の長手方向と直交する方向に対向する2辺の左端から右端まで左右方向に亘って連続して設けられる。
【0023】
図6に示すように張出部9の先端9aは、上下方向に延出する平面状または曲面で形成される。張出部9は、先端9aから下方に向けて突出する突出部9bを有する。ストッパ壁7は、張出部9と対向して上下方向に延出する。換言すると先端9aとストッパ壁7は、鏡4の鏡面4aに対して略直交する方向に延出する。ストッパ壁7の上下方向の長さは、突出部9bを含む先端9aの上下方向の長さよりも長い。先端9aの上端と突出部9bの下端は、強い力で押圧された場合に局所的に大きな押圧力が生じないように丸みを帯びた形状に形成される。張出部9の先端9aとストッパ壁7の間には、表皮14を介して隙間が設けられる。張出部9の下面とミラー用凹部6の水平面6cとの間には、表皮14を介して隙間が設けられる。ミラー枠8とミラー用凹部6の起立面6bとの間には、表皮14を介して隙間が設けられる。鏡4の下面4bとミラー用凹部6の底面6aとの間には、ミラーユニット3を組付ける際に相互に接触しない程度の隙間が設けられる。
【0024】
図6に示すように人間の頭部を模擬した直径165mmの頭部モデルHを上方から下方に向けて鏡4に接近させる。この時、先ず一対の上面8eが頭部モデルHの表面と接触する。鏡4の鏡面4aは、一対の上面8eの間において一対の上面8eよりも下方に位置する。そのため鏡4の鏡面4aと頭部モデルHの間には、クリアランスC1が形成されている。したがって頭部モデルHは鏡4に接触しない。
【0025】
図7に示すように頭部モデルHをさらに下方に向けて押圧すると、押圧力が上面8eにおいてミラー枠8を外方へ拡げる力に変換される。ミラー枠8とミラー用凹部6との間、および張出部9とストッパ壁7との間には、ミラー枠8の内外方向(鏡4の鏡面4aの面方向に沿った方向)に隙間が確保されている。張出部9を含むミラー枠8は、外方へ拡げる力によって鏡4の鏡面4aの面方向に沿って拡張する。張出部9の先端9aは、ストッパ壁7に当接するまでミラー枠8の外方に向けて移動する。先端9aは、ストッパ壁7に対して略面直方向に面当たりする。これにより張出部9を含むミラー枠8の拡張が停止する。
【0026】
しかも先端9aとストッパ壁7は上下方向に所定以上の長さを有する。さらに先端9aには、下方に向けて突出する突出部9bが設けられる。そのため一対の張出部9は、両方ともストッパ壁7を乗り越えることなく停止する。この時、鏡4の鏡面4aと頭部モデルHの間には、クリアランスC1よりは小さいクリアランスC2が依然として確保される。そのため頭部モデルHは、ミラー枠8が拡張した場合でも鏡4に接触しない。また、ミラー枠8の拡張が所定量以下で抑えられるため、鏡4はミラー枠8に保持されたまま脱落しない。
【0027】
上述するように車両用サンバイザ1は、図6に示すように板状のバイザ本体2と、バイザ本体2の表面のミラー用凹部6に設置されるミラー枠8と、ミラー枠8に保持される鏡4を有する。ミラー枠8に直径165mmの頭部モデルHが接触する瞬間に頭部モデルHと鏡4との間にクリアランスC1が形成されるようにミラー枠8は、鏡4からの突出高さを有する。
【0028】
したがって頭部モデルHは、鏡4に接触するよりも先にミラー枠8に接触する。そのため、例えば事故等において乗員の頭部が鏡4に接触することを抑制できる。これにより鏡4の脱落や破損を抑制できる。しかもバイザ本体2の厚さを厚くすることなく車両用サンバイザ1を設けることができる。また、部品点数を増やすことなく車両用サンバイザ1を設けることができる。かくして使用感や組立性を良好にしながら鏡4の脱落や破損を抑制できる。
【0029】
図4図6図7に示すようにミラー枠8は、矩形状で、長手方向と直交する方向に対向する2辺から外方に張出す張出部9を有する。バイザ本体2は、ミラー枠8の張出部9に対向するストッパ壁7を有する。頭部モデルHがミラー枠8に当たり、ミラー枠8が変形してミラー枠8の張出部9の先端9aがストッパ壁7に面当たりするとともに、張出部9がストッパ壁7に面当たりした際に鏡4と頭部モデルHとの間にクリアランスC2が形成される。
【0030】
したがって頭部モデルHがミラー枠8に接触した瞬間からさらに鏡4に接近するように押し込まれる時、ミラー枠8を外方へ拡げようとする力が作用する。しかしミラー枠8の張出部9とバイザ本体2のストッパ壁7とが面当たりすることにより、ミラー枠8の拡大が抑制される。そのため鏡4と頭部モデルHとの間にクリアランスC2が確保される。これによりバイザ本体2の厚さや部品点数を変えることなく、乗員の頭部が車両用サンバイザ1に衝突する際の鏡4の脱落や破損を抑制できる。
【0031】
図6図7に示すようにミラー枠8は、張出部9の先端9aからバイザ本体2の厚み方向にバイザ本体2に向けて突出する突出部9bを有する。したがって突出部9bを設けることで張出部9がストッパ壁7を乗り越えることを抑制できる。そのためミラー枠8の拡大を抑制できる。そのため鏡4と頭部モデルHとの間のクリアランスC2を維持できる。これにより乗員の頭部が鏡4に不測に衝突することを抑制できる。
【0032】
以上、本開示の具体的な実施形態について説明したが、本願で開示する技術は、要旨を変更しない範囲で種々変更を加えた形態でも実施可能なものである。本開示では、一対のストッパ壁7をミラー用凹部6の長手方向と直交する方向に対向する2辺に沿って設ける構成を例示した。これに代えて、例えばストッパ壁7を上記2辺に加えてミラー用凹部6の左右2辺に沿って設けても良い。本開示では、張出部9をミラー枠8の長手方向と直交する方向に対向する2辺に設ける構成を例示した。これに代えて、例えば張出部9を上記2辺に加えてミラー枠8の左右両端の2辺に設けても良い。
【0033】
断面円弧状の上面8eを有するミラー枠8を例示した。これに代えて、例えばミラー枠8の上面8eを略平面状に形成しても良い。鏡4の鏡面4aに対して略直交する方向に延出するストッパ壁7を例示した。これに代えて、ストッパ壁7を上方に向かうにしたがってミラー枠8の内側に向かうようにわずかに傾斜させて延出する構成としても良い。これにより先端9aがストッパ壁7を乗り越えることをより抑制できる。張出部9の先端9aとストッパ壁7をそれぞれ平面状に設け、ミラー枠8が拡がる際に相互に面当たりする構成を例示した。これに代えて、例えば先端9aを断面円弧状の曲面で設ける構成としても良い。あるいはストッパ壁7を凹曲面状に設ける構成としても良い。また、先端9aとストッパ壁7の双方を曲面で設ける構成としても良い。いずれの構成であってもミラー枠8が拡がる際に相互に面当たりしかつ先端9aがストッパ壁7を乗り越えられないように位置保持される構成であれば良い。樹脂製の第1芯材2aと第2芯材2bの2部品を組み合わせてバイザ本体2を設ける構成を例示した。これに加えてバイザ本体2は、例えば発泡ポリプロピレンやウレタン等を用いた構成であっても良い。すなわちバイザ本体2は、ミラー枠8を保持するためのミラー用凹部6を形成できる構成であれば良い。
【符号の説明】
【0034】
1…車両用サンバイザ
2…バイザ本体、2a…第1芯材、2b…第2芯材、2d…凹部、2e…軸取付孔
3…ミラーユニット、3a…開口部
4…鏡(バニティミラー)、4a…鏡面、4b…下面
5…ミラーカバー、5a…取手
6…ミラー用凹部、6a…底面、6b…起立面、6c…水平面、6d…係合爪
7…ストッパ壁
8…ミラー枠、8a…ガイドレール、8b…ミラー保持爪、8c…爪係合部
8d…リブ、8e…上面
9…張出部、9a…先端、9b…突出部
11…支軸、11a…横軸、11b…縦軸
12…ブラケット、12a…縦軸取付孔、12b…車室取付孔
13…サポート軸
14…表皮
20…車室
21…天井面
22…フック
23…フロントガラス
P…使用位置
K…格納位置
H…頭部モデル
C1,C2…クリアランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7