(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154560
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】自在継手および該自在継手を用いた自立式の手すり
(51)【国際特許分類】
E04F 11/18 20060101AFI20231013BHJP
A61H 3/00 20060101ALI20231013BHJP
F16C 11/04 20060101ALI20231013BHJP
F16C 11/10 20060101ALI20231013BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
E04F11/18
A61H3/00 Z
F16C11/04 E
F16C11/10 B
F16B7/18 D
F16B7/18 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063961
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124648
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 和夫
(74)【代理人】
【識別番号】100154450
【弁理士】
【氏名又は名称】吉岡 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕貴
【テーマコード(参考)】
2E301
3J039
3J105
4C046
【Fターム(参考)】
2E301JJ06
2E301KK08
2E301LL23
2E301MM06
3J039AA08
3J039AB04
3J039BB01
3J039CA03
3J039GA02
3J039GA06
3J105AA12
3J105AB02
3J105AB24
3J105AC01
3J105BC02
3J105BC13
3J105DA02
4C046AA22
(57)【要約】
【課題】1つの手すり棒を途中から2つの手すり棒に分岐することが可能であり、手すり棒の取付角度を自在に調節することができ自在継手及び該自在継手を用いた自立式の手すりを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】本発明によれば、自立式の手すりに用いるための自在継手において、第1の連結節と、第2の連結節と、第3のホルダー部と、前記第1,第2の連結節および前記第3のホルダー部のそれぞれを、平面視において、3つの異なる方向に連結するための継手本体とを備えており、そして前記継手本体は前記第1の連結節および前記第2の連結節を水平方向に回転可能に同軸上に軸支するための平坦な水平摺動面と、前記第3のホルダー部を垂直方向に回転可能に軸支するための平坦な垂直摺動面と、支柱に取り付けるための受け部とを有している自在継手及び該自在継手を用いた自立式の手すりが提供される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自立式の手すりに用いるための自在継手において、
第1の連結節と、
第2の連結節と、
第3のホルダー部と、
前記第1,第2の連結節および前記第3のホルダー部のそれぞれを、平面視において、3つの異なる方向に連結するための継手本体とを備えており、そして前記継手本体は、
前記第1の連結節および前記第2の連結節を水平方向に回転可能に同軸上に軸支するための平坦な水平摺動面と、
前記第3のホルダー部を垂直方向に回転可能に軸支するための平坦な垂直摺動面と、
支柱に取り付けるための受け部とを有していることを特徴とする自在継手。
【請求項2】
前記第1および第2の連結節の回転軸は、前記受け部の中心軸と同軸上に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の自在継手。
【請求項3】
前記第3のホルダー部の回転軸は、前記水平摺動面の上方であって且つ前記第1および第2の連結節の回転軸と交差しないように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の自在継手。
【請求項4】
一の端部に手すり棒の端部と接続するための短筒状又は短柱状の嵌合部を有しており、他の端部は、前記第1の連結節により垂直方向に回転可能に軸支されている第1のホルダー部と、
一の端部に手すり棒の端部と接続するための短筒状又は短柱状の嵌合部を有しており、他の端部は、前記第2の連結節により垂直方向に回転可能に軸支されている第2のホルダー部とをさらに備えており、そして
前記第3のホルダー部の、前記継手本体により軸支されている側とは反対側の端部は、手すり棒の端部と接続するための短筒状又は短柱状の嵌合部を有していることを特徴とする請求項1に記載の自在継手。
【請求項5】
ベースプレートと、
前記ベースプレートに立設された第1の支柱と、そして
前記第1の支柱の上端部に取り付けられた請求項1から4のいずれか1項に記載の自在継手と
を備えていることを特徴とする自立式の手すり。
【請求項6】
前記ベースプレートは、平面視において略矩形であることを特徴とする請求項5に記載の自立式の手すり。
【請求項7】
前記ベースプレートは、平面視において略正方形であることを特徴とする請求項6に記載の自立式の手すり。
【請求項8】
前記第1の支柱は、前記ベースプレートの中心部に立設されていることを特徴とする請求項7に記載の自立式の手すり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自立式の手すりを連結するための自在継手および該自在継手を用いた自立式の手すりに関し、特に3つの異なる方向に延びた手すり棒を角度自在に且つ着脱容易に連結する自在継手および該自在継手を用いた自立式の手すりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、足腰が弱い高齢者や要介護支援者、身体障害者等が屋内や屋外で歩行する際の補助具として仮設の手すりが知られている。また、仮設の手すりとしては、例えば特開2022-8113号公報(特許文献1)に記載されているように、ベースプレートと、ベースプレートに立設された支柱と、該支柱に取り付けられた継手とを備え、該継手に手すり棒を接続することにより構成される自立式の手すりや、特開2013-92034号公報(特許文献2)に記載されているように、床面と天井との間を突っ張るように設置される支柱と、該支柱に取り付けられた継手とを備え、該継手に手すり棒を接続することにより構成される非自立式の手すりが知られている。
【0003】
ところで、仮設の手すりは、高齢者等が屋内や屋外を自由に行き来できるように、屋内や屋外の生活動線に沿って万遍なく配置する必要がある。このため、例えば1つの生活動線が途中から2つに分岐している場合、一方の生活動線に沿って1つ目の仮設の手すりを配置する必要があることは勿論のこと、途中から分岐した他方の生活動線に対しても、該生活動線に沿って2つ目の仮設の手すりを配置する必要が生じる。
【0004】
ところが、上述した自立式の手すりや非自立式の手すりの場合、生活動線に沿って、1つの手すり棒を途中から2つの手すり棒に分岐するのに適した手すり、別言すれば、3つの異なる方向に延びた手すり棒を連結するのに適した手すりや、該手すりに用いるのに適した手すり棒の連結継手が開発されていないという実情があった。
【0005】
このため、1つの生活動線が途中から2つに分岐している場合、上述した1つ目の仮設の手すりに対して2つ目の仮設の手すりを連結することができず、手すり棒同士が離れてしまう結果、高齢者等の歩行を十分に補助できないという問題があった。
【0006】
また、複数の手すり棒からなる自立式の手すりにおいては、各手すりが独立して自立できるように、基本的に各手すり棒の端部や連結点には、該端部や連結点を支持するための支柱および該支柱を支持するためのベースプレートが設けられる。このため、特に自立式の手すりにおいては、生活動線の分岐点において、上述のように手すり棒同士が分離してしまうと、分離した手すり棒の端部毎に支柱およびベースプレートを増設しなければならず、手すり棒を支持する部品に無駄が生じるという問題もあった。
【0007】
一方、自立式の手すり等の仮設の手すりに用いられるものではないが、例えば特開2005-308011号公報(特許文献3)に記載されているように、階段等に恒久的に取り付ける手すりを支持するためのブラケットに用いる継手として、3つの異なる方向に延びた手すり棒を角度自在に連結する自在継手(以下、「球体嵌合型継手」という。)が開発されている。
【0008】
しかしながら、特許文献3に記載の自在継手は、継手本体において、複数の開口した球面を有する凹状嵌合部へ球体状の凸状嵌合部を嵌合させることにより複数の手すり棒を角度自在に連結するものであるので、本質的に、継手本体に対する手すり棒の取付角度の調節範囲が極めて狭くなり、また、手すり棒の連結部の着脱も容易でないという問題があった。このため、特に屋内外の現場合わせで、複数の手すり棒の取付角度や長さを調節しなければならない自立式の手すりにおいて、特許文献3に記載の球体嵌合型継手を適用すると、一般的に折れ曲がりや起伏が多い生活動線に合わせて自由に自立式の手すりを配置することが困難となるばかりでなく、適当な長さの手すり棒等へ交換することも困難となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2022-8113号公報
【特許文献2】特開2013-92034号公報
【特許文献3】特開2005-308011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、自立式の手すりに用いられる継手において、生活動線に沿って1つの手すり棒を途中から2つの手すり棒に分岐することが可能であり、手すり棒の取付角度を自在に調節する(少なくとも、球体嵌合型継手よりも手すり棒の取付角度の調節範囲を大きくする)ことができ、そして手すり棒の連結を着脱容易にする自在継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者等は、自立式の手すりにおいて、手すり棒を連結するための継手について鋭意検討を重ねた結果、手すり棒と接続するための3つの異なる方向に延びた短い腕を連結するための継手本体において、2つの異なる方向に向いた特定の摺動面を設け、上記3つの短い腕を該摺動面に回転可能に軸支すれば上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明によれば、自立式の手すりに用いるための自在継手において、第1の連結節と、第2の連結節と、第3のホルダー部と、第1,第2の連結節および第3のホルダー部のそれぞれを、平面視において、3つの異なる方向に連結するための継手本体とを備えており、そして継手本体は、第1の連結節および第2の連結節を水平方向に回転可能に同軸上に軸支するための平坦な水平摺動面と、第3のホルダー部を垂直方向に回転可能に軸支するための平坦な垂直摺動面と、支柱に取り付けるための受け部とを有していることを特徴とする自在継手が提供される。
【0013】
また、本発明の自在継手は、一の端部に手すり棒の端部と接続するための短筒状又は短柱状の嵌合部を有しており、他の端部は、第1の連結節により垂直方向に回転可能に軸支されている第1のホルダー部と、一の端部に手すり棒の端部と接続するための短筒状又は短柱状の嵌合部を有しており、他の端部は、第2の連結節により垂直方向に回転可能に軸支されている第2のホルダー部とをさらに備えており、そして第3のホルダー部の、継手本体により軸支されている側とは反対側の端部は、手すり棒の端部と接続するための短筒状又は短柱状の嵌合部を有していてもよい。
【0014】
本発明では、継手本体に水平摺動面を設け、第1の方向に延びた第1の連結節と、第1の方向とは異なる第2の方向に延びた第2の連結節とが該水平摺動面上で軸支されているので、第1の連結節および第2の連結節は継手本体に対して水平方向に略180°という広範囲の連結角度で回転可能になる。また、第1の連結節に第1のホルダー部を垂直方向に回転可能に軸支させ、第2の連結節に第2のホルダー部を垂直方向に回転可能に軸支させると、第1および第2のホルダー部が継手本体に対して垂直方向に略180°という広範囲の連結角度で回転可能になるので、第1および第2のホルダー部に接続された手すり棒は、三次元的に、水平方向にも垂直方向にも略180°という広範囲の連結角度で回転可能になる。
【0015】
なお、本明細書において「略180°という広範囲」の連結角度で回転可能とは、少なくとも90°以上180°以下の範囲の連結角度で回転可能であることを意味している。
【0016】
また、本発明では、継手本体に垂直摺動面を設け、上述した第1および第2の方向とは異なる第3の方向に延びた第3のホルダー部が該水平摺動上で軸支されているので、第3のホルダー部は継手本体に対して垂直方向に略180°という広範囲の連結角度で回転可能になる。また、本発明によれば、各連結節やホルダー部は、一般的なボルトを用いて簡単に軸支することができるので、各連結節やホルダー部の着脱が容易になる。
【0017】
本発明の自在継手において、第1および第2の連結節の回転軸は継手本体の受け部の中心軸と、換言すれば、該受け部を支柱に取り付けた後の該支柱の中心軸と同軸上に配置されていることが好ましい。
【0018】
本発明によれば、第1の連結節と第2の連結節とが継手本体の水平摺動面上で同軸上に軸支されているので、それぞれの連結節に対して別々の軸支手段を設ける必要がなく、継手本体の外形をコンパクトにすることができるようになる。また、第1および第2の連結節の回転軸を継手本体の受け部の中心軸と同軸上に配置すると、第1および第2の連結節に伝達される荷重を直に支柱で受けて床面や地面で支持することができるので、本発明の自在継手を使用した手すりの耐荷重性や安定性を向上させることができる。
【0019】
本発明の自在継手において、第3のホルダー部の回転軸は、継手本体の水平摺動面の上方であって且つ第1および第2の連結節の回転軸と交差しないように配置されていることが好ましい。
【0020】
第3のホルダー部の回転軸と第1および第2の連結節の回転軸とを上述のような配置にすると、第3のホルダー部と第1および第2の連結節とは、相互に干渉することなく、広範囲の連結角度で自在に回転することが可能になる。また、第3のホルダー部の上面部と、水平摺動面上に積み重ねた第1または第2の連結節の上面部とを略同じレベルに(略水平に)配置することができるので、連結部分の段差の発生を抑制し、本発明の自在継手を使用した手すりの使い勝手や安全性を向上させることができる。
【0021】
本発明の自在継手は、自立式の手すりの一部品として利用することが可能であり、その場合、ベースプレートと、ベースプレートに立設された第1の支柱と、そして支柱の上端部に本発明の自在継手を取り付けた自立式の手すりとして構成することが好ましい。
【0022】
本発明の自立式の手すりによれば、3つの異なる方向に延びた手すり棒を着脱容易に、且つ取付角度自在に連結することができるので、1つの生活動線が途中から2つに分岐しているような場合においても、すなわち、生活動線が3つの異なる方向に延びているような場合においても、さらに、該生活動線に折れ曲がりや起伏があるような場合においても、全ての生活動線に沿って切れ目なく手すり棒を配置することができるようになる。
【0023】
また、本発明の自立式の手すりを用いれば、手すり棒の分岐点において、複数の自立式の手すりを用いる必要がなく、本発明の自在継手を1つの支柱と1つのベースプレートとで支持すれば足りるので、手すり棒を支持する部品等の重複使用による無駄を削減することができる。
【0024】
本発明の自立式の手すりにおいて、ベースプレートは、平面視において略矩形であることが好ましく、平面視において略正方形であることがより好ましい。なお、本明細書において「略矩形」、「略正方形」および「略長方形」とは、四隅の角部が直角で且つ各辺が直線状の厳密な意味での矩形、正方形および長方形のみならず、角部を切り落としたり又は丸いRを設ける等して角取りされているような態様、或いは曲がった辺を有する矩形、正方形および長方形が含まれていることを意味している。
【0025】
手すり棒を支持する支柱のベースプレートの形状が略矩形または略正方形であると、3つの手すり棒がどの水平方向に向いて連結されていても、各手すり棒により支柱に働く、該支柱を傾転させようとするいかなる向きのモーメントに対しても万遍なく対抗することができるようになるので、本発明の自立式の手すりの自立性が向上する。
【0026】
また、上述のように、全方向について支柱に働くモーメントに対抗する力が、より一層放射方向に均等に生じるようにするためには、支柱をベースプレートの中心部に立設することが好ましい。
【0027】
なお、本発明の自立式の手すりにおいて、同様の効果を得るためには、ベースプレートを平面視において円形としてもよく、さらに、支柱をベースプレートの中心部に立設してもよい。ただし、ベースプレートの形状を円形とすると、切断のみで加工が可能な略矩形または略正方形のベースプレートに比べて打ち抜き加工等が必要となり、原材料の歩留まりも低下するという不利益を生じる場合がある。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、自立式の手すりに用いるための自在継手において、第1の連結節と、第2の連結節と、第3のホルダー部と、第1,第2の連結節および第3のホルダー部のそれぞれを、平面視において、3つの異なる方向に連結するための継手本体とを備えており、そして継手本体は、第1の連結節および第2の連結節を水平方向に回転可能に同軸上に軸支するための平坦な水平摺動面と、第3のホルダー部を垂直方向に回転可能に軸支するための平坦な垂直摺動面と、支柱に取り付けるための受け部とを有している自在継手を提供することができる。
【0029】
このため、本発明の自在継手によれば、第1および第2の連結節と、第3のホルダー部に直接的にまたは間接的に接続された手すり棒を、広範囲の取付角度で回転自在に、且つ着脱容易に連結することができるようになる。
【0030】
また、本発明では、継手本体に垂直摺動面を設け、上述した第1および第2の方向とは異なる第3の方向に延びた第3のホルダー部が該水平摺動上で軸支されているので、第3のホルダー部は継手本体に対して垂直方向に略180°という広範囲の連結角度で回転可能になる。
【0031】
本発明によれば、ベースプレートと、ベースプレートに立設された第1の支柱と、そして本発明の自在継手を支柱の上端部に取り付けた自立式の手すりを提供することができる。
【0032】
このため、本発明の自立式の手すりによれば、3つの異なる方向に延びた手すり棒を着脱容易に、且つ取付角度自在に連結することができるので、1つの生活動線が途中から2つに分岐しているような場合においても、該生活動線に折れ曲がりや起伏があるような場合においても、全ての生活動線に沿って切れ目なく手すり棒を配置することができようになる。
【0033】
また、本発明の自立式の手すりを用いれば、手すり棒の分岐点において、複数の自立式の手すりを用いる必要がなく、本発明の自在継手を1つの支柱と1つのベースプレートとで支持すれば足りるので、手すり棒を支持する部品等の重複使用による無駄を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の一実施形態に係る自在継手を用いた自立式の手すりシステムのレイアウト例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示される自立式の手すりシステムに用いた本発明の一実施形態に係る自在継手を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示される本発明の一実施形態に係る自在継手の分解図である。
【
図4】
図2に示される本発明の一実施形態に係る自在継手の継手本体を示す斜視図である。
【
図5】
図2に示される本発明の一実施形態に係る自在継手の第1の連結節を示す斜視図である。
【
図6】
図2に示される本発明の一実施形態に係る自在継手の第2の連結節を示す斜視図である。
【
図7】
図2に示される本発明の一実施形態に係る自在継手の第1,第2および第3のホルダー部を示す斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、従来の自在継手を用いた仮設の手すり(自立式の手すり)システムのレイアウト例を示す平面図であり、
図8(b)は、本発明の一実施形態に係る自在継手を用いた自立式の手すりシステムのレイアウト例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の一実施形態に係る自在継手および該自在継手を用いた自立式の手すりについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示される実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で各種の変更が可能である。
【0036】
図1には、本発明の一実施形態に係る自在継手1a等を用いた自立式の手すりシステム10のレイアウト例を示す斜視図が表されている。なお、符号X,Y,Zはそれぞれ左右方向,前後方向,上下方向を示している。このため、本願明細書において「水平」とはX-Y平面と平行であるものを意味し、「垂直」とはZ軸と平行であるものを意味している。ただし、これらの方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎない。
【0037】
図1に示されるように、自立式の手すりシステム10は、第1の自立式の手すり11aと、第2の自立式の手すり11bと、第3の自立式の手すり11cと、第4の自立式の手すり11dと、そして第1,第3の自立式の手すり11a,11cとの間で架け渡される第1の手すり棒14aと、第1,第4の自立式の手すり11a,11dとの間で架け渡される第2の手すり棒14bと、第1,第2の自立式の手すり11a,11bとの間で架け渡される第3の手すり棒14cとから構成されている。
【0038】
第1の自立式の手すり11aは、第1のベースプレート12aと、第1のベースプレート12aに立設された第1の支柱13aと、そして第1の支柱13aの上端部に取り
付けられた、本発明の一実施形態に係る第1の自在継手1aとを備えている。
【0039】
第2の自立式の手すり11bは、第2のベースプレート12bと、第2のベースプレート12bに立設された第2の支柱13bと、そして第2の支柱13bの上端部に取り付けられた第2の自在継手1bとを備えている。また、第3の自立式の手すり11cは、第3のベースプレート12cと、第3のベースプレート12cに立設された第3の支柱13cと、そして第3の支柱13cの上端部に取り付けられた第3の自在継手1cとを備えている。自立式の手すりシステム10では、第2の自立式の手すり11bと第3の自立式の手すり11cとは同様の形態であるので、第2,第3の自立式の手すり11b,11cを構成する第2,第3のベースプレート12b,12cも、第2,第3の支柱13b,13cも、第2,第3の自在継手1b,1cも、それぞれ互換性のある同様の形態を有している。
【0040】
第4の自立式の手すり11dは、第4のベースプレート12dと、第4のベースプレート12dに立設された第4の支柱13dおよび第5の支柱13eとを備えており、そして、第4の支柱13dの上端部には第4の自在継手1dが取り付けられている。また、第4の自立式の手すり11dでは、第4の支柱13dと第5の支柱13eとの間に、一の端部は第4の自在継手1dを介して、他の端部は第5の支柱13eの上端部に接続アダプター7により、直接に第4の手すり棒14dが架け渡されている。このため、第4の手すり棒14dは、第4の手すり棒14dの端部が第5の支柱13eの上端部に直接取り付けることができるように、途中で90°曲がったL字形の形状を有している。
【0041】
なお、自立式の手すりシステム10では、第1~第5の各支柱13a~13eは、互換性等を考慮してそれぞれ同様の形態の支柱が用いられており、また、それぞれに伸縮可能である。ただし、第1~第5の各支柱13a~13eは必ずしも同じ形態である必要がなく、また伸縮可能である必要もない。
【0042】
また、自立式の手すりシステム10では、第1~第3の各手すり棒14a~14cはそれぞれ同様の形態の手すり棒が用いられており、また、それぞれに伸縮可能である。ただし、第1~第3の各手すり棒14a~14cは必ずしも同じ形態である必要がなく、また伸縮可能である必要もない。
【0043】
以下、上述した自立式の手すりシステム10を構成する第1~第4の自立式の手すり11a~11dおよび第1~第3の手すり棒14a~14cについて説明する。
【0044】
<第1の自立式の手すり>
上述したように、第1の自立式の手すり11aは、第1のベースプレート12aと、第1のベースプレート12aに立設された第1の支柱13aと、そして第1の支柱13aの上端部に取り付けられた、本発明の一実施形態に係る第1の自在継手1aとを備えている。以下、第1の自立式の手すり11aを構成する自在継手、ベースプレートおよび支柱について説明する。
【0045】
[自在継手(第1の自在継手)]
(1)自在継手の概要
図2には、
図1に示される自立式の手すりシステム10の中、第1~第3の手すり棒14a~14cと接続された本発明の一実施形態に係る第1の自在継手1aを示す斜視図が表されている。また、
図3には、
図2に示される第1の自在継手1aの分解図が示されている。
【0046】
図2,3に示されるように、本実施形態の第1の自在継手1aは、第1の連結節2aと、第2の連結節2bと、第3のホルダー部3cと、第1,第2の連結節2a,2bおよび第3のホルダー部3cのそれぞれを、平面視において3つの異なる方向に連結するための継手本体4とを備えている。また、第1の自在継手1aでは、第1の連結節2aには第1のホルダー部3aが連結され、第2の連結節2bには第2のホルダー部3bが連結されていてもよい。
【0047】
この場合、第1の連結節2aは、継手本体4に対して水平方向に回転可能に接続され、第1のホルダー部3aは第1の連結節2aに対して垂直方向に回転可能に接続され、そして第1のホルダー部3aには第1の手すり棒14aが取り付けられている。このため、第1の手すり棒14aは、継手本体4に対して水平方向にも垂直方向にも、三次元的に第1の手すり棒14aの取付け角度を調節することができる。
【0048】
第2の連結節2bは、継手本体4に対して水平方向に回転可能に接続され、第2のホルダー部3bは第2の連結節2bに対して垂直方向に回転可能に接続され、そして第2のホルダー部3bには第2の手すり棒14bが取り付けられている。このため、第2の手すり棒14bも第1の手すり棒14aと同様に、継手本体4に対して水平方向にも垂直方向にも、三次元的に第2の手すり棒14bの取付け角度を調節することができる。
【0049】
第3のホルダー部3cは、継手本体4に対して垂直方向に回転可能に接続され、そして第3のホルダー部3cには第3の手すり棒14cが取り付けられている。このため、第3の手すり棒14cは、継手本体4に対して垂直方向に第3の手すり棒14cの取付け角度を調節することができる。なお、図示しないが、継手本体4には、第3のホルダー部3cに代えて、垂直方向に回転可能な第3の連結節を連結し、第3の連結節には水平方向に回転可能となるように第3のホルダー部3cを連結し、そして第3のホルダー部3cへ第3の手すり棒14cを取り付けてもよく、この場合、第3の手すり棒14cは、継手本体4に対して水平方向にも垂直方向にも、三次元的に第3の手すり棒14cの取付け角度を調節することができるようになる。
【0050】
(2)継手本体
図4には、
図2に示される自在継手1aの継手本体4を示す斜視図が表されている。
図4に示されるように、継手本体4は、第1の支柱13aの上端の開口部へ内挿または外挿し、ボルト50(
図3参照)により、該第1の支柱13aに取り付けられる受け部42と、該受け部42の側面から上方へ延び、且つ上方において水平方向へ屈曲した略L字形の方向変換部43とを有している。
【0051】
受け部42の上部には平坦な水平摺動面40が形成されており、該水平摺動面40の中心付近には、ボルト51(
図3参照)を挿通することにより、第1の連結節2aと第2の連結節2bとを回転可能に軸支するための縦孔44が形成されている。また、方向変換部43の側部には平坦な垂直摺動面41が形成されており、該垂直摺動面41の中心付近には、ボルト52(含むナット、
図3参照)を挿通することにより、第3のホルダー部3cを回転可能に軸支するための横孔45が形成されている。
【0052】
(3)第1の連結節
図5には、
図2に示される自在継手1aの第1の連結節2aを示す斜視図が表されている。
図5に示されるように、第1の連結節2aは水平方向に短く延びており、その一の端部には平坦な水平摺動面20aが形成されており、他の端部には平坦な垂直摺動面21aが形成されている。また、第1の連結節2aでは、垂直摺動面21aに代えて、他の端部に手すり棒を接続するための筒状の受口(図示せず)を設けてもよい。
【0053】
第1の連結節2aの水平摺動面20aの中心付近には、ボルト51(
図3参照)を挿通することにより、第1の連結節2aを、第2の連結節2bおよび継手本体4に対して回転可能に連結するための縦孔22aが形成されており、垂直摺動面21aの中心付近には、ボルト53(含むナット、
図3参照)を挿通することにより、第1のホルダー部3aを回転可能に軸支するための横孔23aが形成されている。
【0054】
(4)第2の連結節
図6には、
図2に示される自在継手1aの第2の連結節2bを示す斜視図が表されている。
図6に示されるように、第2の連結節2bは水平方向に短く延びており、その一の端部の上部には平坦な水平摺動面20b
1が形成されており、同じ端部の下部には平坦な水平摺動面20b
2が形成されており、さらに、他の端部には平坦な垂直摺動面21bが形成されている。また、第2の連結節2bでは、垂直摺動面21aに代えて、他の端部に手すり棒を接続するための筒状の受口(図示せず)を設けてもよい。
【0055】
また、第2の連結節2bの上部の水平摺動面20b
1および下部の水平摺動面20b
2の中心付近には、ボルト51(
図3参照)を挿通することにより、第2の連結節2bを、第1の連結節2aおよび継手本体4に対して回転可能に連結するための縦孔22bが形成されており、垂直摺動面21bの中心付近には、ボルト54(含むナット、
図3参照)を挿通することにより、第2のホルダー部3bを回転可能に軸支するための横孔23bが形成されている。
【0056】
(5)ホルダー部
図7には、
図2に示される自在継手1aの第1,第2,第3のホルダー部3a,3b,3cを示す斜視図が表されている。第1のホルダー部3aと、第2,第3のホルダー部3b,3cとの違いは、基本的に、第2,第3のホルダー部3b,3cが、接続される第2,第3の手すり棒14b,14cの形状、外径に適合させるためのアダプター34を備えているのに対して、第1のホルダー部3aは該アダプター34を備えていないことであり、他の構成は同じである(
図3参照)。
【0057】
図7に示されるように、第1~第3のホルダー部3a~3cは水平方向に短く延びており、その一の端部には第1の手すり棒14aや後述するアダプター34を接続するための筒状の受口30が形成されており、他の端部には平坦な垂直摺動面31が形成されている。なお、本実施形態では、第1の手すり棒14aおよびアダプター34を接続するための第1~第3のホルダー部3a~3cの嵌合部は筒状の受口形状であるが、例えば接続対象が筒状であれば、円柱状の差し棒形状としてもよい。
【0058】
また、第1~第3のホルダー部3a~3cの受口30には、第1の手すり棒14aの端部やアダプター34の端部を内挿または外挿し、ボルト55(
図3参照)により、該第1の手すり棒14aやアダプター34を固定するための縦孔32(
図3参照)が形成されており、垂直摺動面31の中心付近には、ボルト52,53,54(含むナット、
図3参照)を挿通することにより、第1,第2および第3のホルダー部3a,3bおよび3cのそれぞれを、第1,第2の連結節2a,2bおよび継手本体4に対して回転可能に連結するための横孔33が形成されている。
【0059】
(6)アダプター
上述したように、本実施形態では、第2,第3のホルダー部3b,3cはアダプター34を備えている(
図3参照)。アダプター34は、第2,第3のホルダー部3b,3cの受口30の形状、内径を調整するためものであるので、オリジナルの受口30の形状、内径が手すり棒の形状、外径と適合するのであればアダプター34を用いる必要はない。
【0060】
アダプター34は、
図7に示されるように筒状の形状を有しており、その一の端部には、第2,第3のホルダー部3b,3cの受口30へ挿入するための挿入部35と、他の端部には、第2,第3の手すり棒14b,14cの端部を内挿または外挿し、ボルト55(
図3参照)により、該第2,第3の手すり棒14b,14cを固定するための受口36が形成されている。なお、アダプター34と、第2,第3のホルダー部3b,3cとの接続は、ボルト55(
図3参照)により連結させてもよいし、接着により連結させてもよい。また、第2,第3の手すり棒14b,14cと接続するためのアダプター34の嵌合部は筒状の受口であるが、例えば接続対象が筒状であれば、短い円柱状の棒のような形状であってもよい。
【0061】
(7)各部品の連結態様
本実施形態では、第1の連結節2aの水平摺動面20aおよび第2の連結節2bの上部下部の水平摺動面20b1,20b2が、ボルト51により、継手本体4の水平摺動面40上へ同軸上で回転可能に連結されている。また、継手本体4において、第3のホルダー部3cを支持する方向変換部43は、受け部42の水平摺動面40の中心軸420から偏位した位置に配置されているので、第1の連結節2aおよび第2の連結節2bは方向変換部43と干渉することなく、継手本体4に対して水平方向に略180°という広範囲の連結角度で回転可能になる。
【0062】
また、上述のように、第1の連結節2aおよび第2の連結節2bの回転軸200abは、継手本体4の受け部42の中心軸420と、換言すれば、該受け部42を第1の支柱13aに取り付けた後の該第1の支柱13部aの中心軸130(
図3参照)と同軸上に配置されるので、それぞれの連結節2a,2bに対して別々の軸支手段を設ける必要がなく、継手本体4の外形をコンパクトにすることができる。また、第1,第2の連結節2a,2bに伝達される荷重を直に第1の支柱13aで受けて床面や地面で支持することができるので、第1の自在継手1aを使用した自立式の手すり11aの耐荷重性や安定性を向上させることができる。
【0063】
また、第1の連結節2aの垂直摺動面21a上には、ボルト53により、さらに第1のホルダー部3aの垂直摺動面31を回転可能に連結してもよく、第2の連結節2bの垂直摺動面21b上には、ボルト54により、さらに第2のホルダー部3bの垂直摺動面31を回転可能に連結してもよい。この場合、第1のホルダー部3aは第1の連結節2aに対して垂直方向に略180°という広範囲の連結角度で回転可能となり、継手本体4に対しては三次元的に、水平方向にも垂直方向にも略180°という広範囲の連結角度で回転可能になる。また、第2のホルダー部3bは第2の連結節2bに対して垂直方向に略180°という広範囲の連結角度で回転可能となり、継手本体4に対しては三次元的に、水平方向にも垂直方向にも略180°という広範囲の連結角度で回転可能になる。
【0064】
本実施形態では、第3のホルダー部3cの垂直摺動面21cが、ボルト54により、継手本体4の垂直摺動面41上へ回転可能に連結されている。このため、第3のホルダー部3cは、継手本体4に対して垂直方向に略180°という広範囲の連結角度で回転可能になる。また、図示しないが、第3のホルダー部3cに代えて、第1の連結節2aのような連結節(図示せず)の水平摺動面を90°回転させて継手本体4の垂直摺動面21上へ回転可能に連結し、さらに、第3のホルダー部3cの垂直摺動面31を90°回転させて、水平方向へ回転した上記の連結節の垂直摺動面へ回転可能に連結することで、第3のホルダー部3cを、継手本体4に対して三次元的に、水平方向にも垂直方向にも略180°という広範囲の連結角度で回転できるようにしてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、第3のホルダー部3cの回転軸330は、継手本体4の水平摺動面20aの上方であって且つ第1,第2の連結節2a,2bの回転軸200abと交差しないように配置されるので、第3のホルダー部3cは、第1,第2の連結節2a,2bと干渉することなく、広範囲の連結角度で回転可能になる。また、第3のホルダー部3cの上面部と、継手本体4の水平摺動面40上に積み重ねた第1の連結節2aの上面部とを略同じレベルに(略水平に)配置することができるので、連結部分の段差の発生を抑制し、第1の自在継手1aを使用した自立式の手すり11aの使い勝手や安全性を向上させることができる。
【0066】
なお、本実施形態では、第1の自在継手1aを構成する継手本体4、第1,第2の連結節2a,2b、第1~第3のホルダー部3a~3cおよびアダプター34に用いられる材料に特に限定はないが、アルミニウム等の金属材料、塩化ビニル等の硬質樹脂材料またはそれらを組み合わせた複合材料から形成されていることが好ましい。また、本実施形態では、継手本体4、第1,第2の連結節2a,2b、第1~第3のホルダー部3a~3cおよびアダプター34を連結するためのボルト(一部ナットを含む)50,51,52,53,54,55に一般的なボルト(一部ナットを含む)を用いることができるので、上記各部品同士の着脱が極めて容易になる。
【0067】
[ベースプレート(第1のベースプレート)]
図1に示されるように、第1の自立式の手すり11aに用いられる第1のベースプレート12aは、平面視において略矩形に形成されており、より詳しくは平面視において略正方形に形成されている。また、第1のベースプレート12aには、後述する第1の支柱13aを取り付けるための複数の孔(図示せず)を備えた取付部120が設けられている。取付部120の数は1つでもよいが、第1の支柱13aの取付位置を変更できるように、複数の取付部120を設けてもよい。
【0068】
なお、本実施形態では、第1のベースプレート12aに用いられる材料に特に限定はないが、ある程度の重量による安定性の付与、成形・加工の容易性、耐久性等を考慮して鉄やステンレスなどの金属材料から形成されていることが好ましい。
【0069】
特に、第1の自立式の手すり11aにおいて第1のベースプレート12aの形状を略正方形とすると、3つの手すり棒14a,14b,14cがどの水平方向に向いて連結されていても、各手すり棒14a,14b,14cにより第1の支柱13aに働く、該第1の支柱13aを傾転させようとするいかなる向きのモーメントに対しても万遍なく対抗することが可能となり、第1の自立式の手すり11aの自立性が向上する。
【0070】
そのため、上述のように、全方向に対して第1の支柱13aに働くモーメントに対向する力が、より一層放射方向に均等に生じるようにするためには、第1の支柱13aを第1のベースプレート12aの中心部に立設することが好ましい。なお、本実施形態において、第1のベースプレート12aの中心部とは、略矩形または略正方形の第1のベースプレート12a上に描かれる2本の対角線の交点部分を意味する。
【0071】
また、同様の効果を得るためには、第1のベースプレート12aを平面視において円形(図示せず)に形成してもよく、さらに、第1の支柱13aをベースプレートの中心部に立設してもよい。ただし、第1のベースプレート12aの形状を円形とすると、切断のみで加工が可能な略矩形または略正方形のベースプレートに比べて打ち抜き加工等が必要となり、原材料の歩留まりも低下するという不利益を生じる場合がある。
【0072】
[支柱(第1の支柱)]
図3に示されるように、第1の支柱13aは、外筒131と、外筒131にスライド可能に挿入される内筒132とを有している。また、外筒131の下端には、第1のベースプレート12aの取付部120と整合させて固定するための脚部133(
図1参照)が取り付けられている。
【0073】
第1の支柱13aは、脚部133をボルト等の固定手段(図示せず)を用いて取付部120に固定することにより、第1のベースプレート12aに立設することができる。なお、図示しないが、第1のベースプレート12aが複数の取付部120を有している場合、第1の支柱13aを立設する取付部120を選択することにより、第1の支柱13aの取付位置を変更することができる。また、外筒131と内筒132とのスライド長を調整し、ネジ等の係止手段(図示せず)を用いて外筒131と内筒132とをスライド不能に固定することにより、第1の支柱13aの全体の長さ(高さ)を自由に調節することができる。
【0074】
なお、本実施形態では、第1の支柱13aの外筒131および内筒132に用いられる材料に特に限定はないが、強度が高く、成形・加工の容易性、耐久性等を考慮してアルミニウムやステンレスなどの金属材料から形成されていることが好ましい。
【0075】
<第2,第3の自立式の手すり>
第2の自立式の手すり11bは、第2のベースプレート12bと、第2のベースプレート12bに立設された第2の支柱13bと、そして第2の支柱13bの上端部に取り付けられた第2の自在継手1bとを備えている。また、第3の自立式の手すり11cは、第3のベースプレート12cと、第3のベースプレート12cに立設された第3の支柱13cと、そして第3の支柱13cの上端部に取り付けられた第3の自在継手1cとを備えており、第2の自立式の手すり11bと同様の形態を有している。以下、第2,第3の自立式の手すり11b,11cを構成する自在継手、ベースプレートおよび支柱について説明する。
【0076】
[自在継手(第2,第3の自在継手)]
図1に示されるように、第2,第3の自在継手1b,1cは、平面視において2つの異なる方向に連結するための継手本体と、該継手本体に対して水平方向に回転可能に連結された連結節と、該連結節に対して垂直方向に回転可能に連結されたホルダー部と、そして、横向きにU字状に湾曲し、継手本体に対して水平方向に回転可能に連結された把手部6とから構成されている。なお、第3の自在継手1cでは、ホルダー部はその受口の形状、内径を調整するためのアダプターを備えている。
【0077】
第2,第3の自在継手1b,1cにおいて、上述した第1の自在継手1aとの違いは、第1の自在継手1aの継手本体4が水平方向へ屈曲した略L字形の方向変換部43とを有しているのに対して、第2,第3の自在継手1b,1cの継手本体はそのような方向変換部を有していない点にある。
【0078】
また、他の相違点として、第2,第3の自在継手1b,1cは、第1の自在継手1aで用いられている第2の連結節2bに代えて、水平方向に短く延びており、その一の端部の上部には平坦な水平摺動面が形成され、同じ端部の下部にも平坦な水平摺動面が形成されており、さらに、他の端部には横向きにU字状に湾曲した把手本体が形成された把手部6が、ボルトにより、第2,第3の自在継手1b,1cの継手本体の水平摺動面上に回転可能に連結されている点にある。
【0079】
上述した構成以外では、第2,第3の自在継手1b,1cは、基本的に第1の自在継手1aと同様の構成を有しているので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。
【0080】
[ベースプレート(第2,第3のベースプレート)]
図1に示されるように、第2,第3の自立式の手すり11b,11cに用いられる第2,第3のベースプレート12b,12cは、平面視において略矩形に形成されており、より詳しくは平面視において略長方形に形成されている。また、第2,第3のベースプレート12b,12cには、それぞれ第2,第3の支柱13b,13cを取り付けるための複数の孔(図示せず)を備えた3つの取付部120が1列に設けられている。
【0081】
特に第2の自立式の手すり11bでは、連結された第3の手すり棒14cが転倒防止部材として機能するために第3の手すり棒14cに沿う方向に倒れ難くなり、そして第3の自立式の手すり11cでは、連結された第1の手すり棒14aが転倒防止部材として機能するために第1の手すり棒14aに沿う方向に倒れ難くなる。このため、第2の自立式の手すり11bでは、第2のベースプレート12bの形状を、第3の手すり棒14cに沿う方向を短辺とし、第3の手すり棒14cと直交する方向を長辺とすることができ、第3の自立式の手すり11cでは、第3のベースプレート12bの形状を、第1の手すり棒14aに沿う方向を短辺とし、第1の手すり棒14aと直交する方向を長辺とすることができる。
【0082】
なお、上述した構成以外では、第2,第3のベースプレート12b,12cは、基本的に第1のベースプレート12aと同様の構成を有しているので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。
【0083】
[支柱(第1,第2の支柱)]
第2,第3の自立式の手すり11b,11cにおいて、第1,第2の支柱13b,13cの構成は第1の支柱13aと同様の構成を有しているので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。
【0084】
<第4の自立式の手すり>
第4の自立式の手すり11dは、第4のベースプレート12dと、第4のベースプレート12dに立設された第4の支柱13dおよび第5の支柱13eとを備えており、そして、第4の支柱13dの上端部には第4の自在継手1dが取り付けられている。また、第4の自立式の手すり11dでは、第4の支柱13dと第5の支柱13eとの間に、一の端部は第4の自在継手1dを介して、他の端部は第5の支柱13eの上端部に接続アダプター7により、直接に第4の手すり棒14dが架け渡されている。以下、第4の自立式の手すり11dを構成する自在継手、ベースプレート、支柱および手すり棒について説明する。
【0085】
[自在継手(第4の自在継手)]
図1に示されるように、第4の自在継手1dは、平面視において2つの異なる方向に連結するための継手本体と、該継手本体に対して水平方向に回転可能に連結された連結節と、該連結節に対して垂直方向に回転可能に連結されたホルダー部とから構成されている。
【0086】
第4の自在継手1dの継手本体は、図示しないが、第4の支柱13dの上端の開口部へ内挿または外挿し、ボルトにより、該第4の支柱13dに取り付けられる受け部と、該受け部の上部に形成された平坦な水平摺動面と、第4の手すり棒14dを接続するために、該水平摺動面の端部から横方向へ延びた筒状の受口とを有している。
【0087】
第4の自在継手1dでは、その継手本体が上述したような形態および構成を有している以外は、基本的に第1の自在継手1aと同様の形態および構成を有しているので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。
【0088】
[ベースプレート(第4のベースプレート)]
図1に示されるように、第4の自立式の手すり11dに用いられる第4のベースプレート12dは、平面視において略矩形に形成されており、より詳しくは平面視において略長方形に形成されている。また、第4のベースプレート12dには、第4,第5の支柱13d,13eを取り付けるための複数の孔(図示せず)を備えた3つの取付部が2列に配設されている。
【0089】
特に第4の自立式の手すり11dでは、連結された第2の手すり棒14bが転倒防止部材として機能するために第2の手すり棒14bに沿う方向に倒れ難くなる。このため、第4の自立式の手すり11dでは、第4のベースプレート12dの形状を、第2の手すり棒14bに沿う方向を短辺とし、第2の手すり棒14bと直交する方向を長辺とすることができる。
【0090】
なお、上述した構成以外では、第4のベースプレート12dは、基本的に第1~第3のベースプレート12a~12cと同様の構成を有しているので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。
【0091】
[支柱(第4,第5の支柱)]
第4の自立式の手すり11dにおいて、第4,第5の支柱13d,13eは、第1~第3の支柱13a~13cと同様の構成を有しているので、ここではそれらの詳細な説明を省略する。ただし、第5の支柱13eには、後述する第4の手すり棒14dを取り付けるために、一の端部が第5の支柱13eの上端部に内挿され、他の端部が第4の手すり棒14dの端部に外挿される接続アダプター7が取り付けられている(
図1参照)。
【0092】
[手すり棒(第4の手すり棒)]
第4の自立式の手すり11dにおいて、第4の手すり棒14dは、アルミニウム等の金属材料、塩化ビニル等の硬質樹脂材料またはそれらを組み合わせた複合材料からなる中空のパイプから形成されており、第4の手すり棒14dの一の端部を第4の支柱13dに取り付けた自在継手1dへ横向きに接続し、他の端部を接続アダプター7を介して第5の支柱13eの上端部に縦向きに接続できるように、途中で90°曲がったL字形の形状を有している。
【0093】
<手すり棒(第1~第3の手すり棒)>
自立式の手すりシステム10において、第1,第2,第3の手すり棒14a,14b,14cは、全て同様の形態および構成を有している。第1~第3の手すり棒14a~14cは、図示しないが、それぞれ外筒と、該外筒にスライド可能に挿入される内筒とを有している。第1~第3の手すり棒14a~14cは、外筒と内筒とのスライド長を調整し、ネジ等の係止手段を用いて外筒と内筒とをスライド不能に固定することにより、その全体の長さ(高さ)を自由に調節することができる。
【0094】
自立式の手すりシステム10において、第1の手すり棒14aは、第1の自在継手1aの第1のホルダー部3aおよび第3の自在継手1cのホルダー部を介して、第1,第3の自立式の手すり11a,11cに対して3次元的に回転可能に接続される。第2の手すり棒14bは、第1の自在継手1aの第2のホルダー部3bおよび第4の自在継手1dのホルダー部を介して、第1,第4の自立式の手すり11a,11dに対して3次元的に回転可能に接続される。そして、第3の手すり棒14bは、第1の自立式の手すり11aに対して、第1の自在継手1aの第3のホルダー部3cを介して垂直方向に回転可能に接続され、第2の自立式の手すり11bに対して、第2の自在継手1bのホルダー部を介して3次元的に回転可能に接続される。
【0095】
また、第1の自在継手1aの第2のホルダー部3bおよび第3のホルダー部3c、第3の自在継手1cのホルダー部には、上述した第1~第3の手すり棒14a~14cの中、外筒よりも外径が小さな内筒が接続されるので、各ホルダー部の受口には内径を縮径するためのアダプター34が取り付けられている(
図1参照)。
【0096】
なお、本実施形態では、第1~第3の手すり棒14a~14cに用いられる材料に特に限定はないが、強度が高く、成形・加工の容易性、耐久性等を考慮してアルミニウム等の金属材料、塩化ビニル等の硬質樹脂材料またはそれらを組み合わせた複合材料からなる中空のパイプから形成されていることが好ましい。
【0097】
<自立式の手すりシステム>
図8(a)には、従来の自在継手を用いた仮設の手すり(自立式の手すり)システム15のレイアウト例を示す平面図が表されており、
図8(b)には、本発明の一実施形態に係る自在継手1aを用いた第1の自立式の手すり11aを含む、自立式の手すりシステム10のレイアウト例を示す平面図が表されている。
【0098】
[従来の仮設の手すり(自立式の手すり)システム]
従来の仮設の手すり(自立式の手すり)システム15では、3つの異なる方向に延びた手すり棒を連結するのに適当な自在継手や該自在継手を備えた仮設の手すりがなかった。このため、例えば
図8(a)に示されるように、1つの生活動線oが途中から分岐して2つ目の生活動線pを有している場合、1つ目の生活動線oに対しては、生活動線oに沿って第1,第2,第3の仮設の手すり16a,16b,16cを設置し、各仮設の手すり16a,16b,16cを第1,第2の手すり棒17a,17bで接続すると共に、分岐した2つ目の生活動線pに対しては、生活動線pに沿って第4および第5の仮設の手すり16dおよび16eを設置し、第4,第5の仮設の手すり16d,16eを第3の手すり棒17cで接続しなければならなかった。
【0099】
このため、従来の仮設の手すり(自立式の手すり)システム15では、分岐した2つ目の生活動線pに沿って、第1の仮設の手すり16aと第4の仮設の手すり16dとの間に連続して手すり棒を設けることができず、第1の仮設の手すり16aと第4の仮設の手すり16dとが離れてしまう結果、仮設の手すりシステム15の使用者の歩行を十分に補助ないという問題があった。また、1つ目の生活動線oの分岐点において、2つ目の生活動線pに沿って第3の手すり棒17cを設置するために、第4の仮設の手すり16dを、第1の仮設の手すり16aから独立して設けなければならないという問題があった。
【0100】
[本実施形態の自立式の手すりシステム]
本実施形態の自立式の手すりシステム10では、3つの異なる方向に延びた手すり棒を連結することができる本発明の一実施形態に係る第1の自在継手1aおよび該自在継手1aを備えた自立式の手すり11aが用いられている。このため、例えば
図8(b)に示されるように、1つの生活動線oが途中から分岐して2つ目の生活動線pを有している場合、1つ目の生活動線oに対しては、生活動線oに沿って第1,第3,第4の自立式の手すり11a,11c,11dを設置し、自立式の手すり11a,11c,11dを第1,第2の手すり棒14a,14bで接続した上で、分岐した2つ目の生活動線pに対しては、生活動線pに沿って第2の自立式の手すり11bのみを設置すれば、第3の手すり棒14cを、第1の自立式の手すり11aから第2の自立式の手すり11bへ切れ目なく架け渡することができる。
【0101】
すなわち、本発明の一実施形態に係る第1の自在継手1aおよび該自在継手1aを備えた自立式の手すり11aを用いれば、分岐点を中心に、生活動線が3つの異なる方向に延びているような場合においても、全ての生活動線o,pに沿って切れ目なく手すり棒14a,14b,14cを配置することができる。
【0102】
また、本実施形態の自立式の手すりシステム10では、第1の自在継手1aは、第1,第2,第3のホルダー部3a,3b,3cに接続された第1,第2,第3の手すり棒14a,14b,14cを広範囲の取付角度で回転自在に連結することができるので、第1の自立式の手すり11aと、第2,第3,第4の自立式の手すり11b,11c,11dとの間に階段のような大きな段差や起伏、折れ曲がり等がある場合においても、従来の球体嵌合型継手とは異なり、第1,第2,第3の手すり棒14a,14b,14cを切れ目なく接続し、配置することができる。
【0103】
また、本実施形態の第1の自立式の手すり11aを用いれば、手すり棒の分岐点において、他の仮設の手すり(自立式の手すり)16d(
図8(a)参照)を用いることなく、第3の手すり棒14cを第1の自立式の手すり11aに接続することができるので、第3の手すり棒14cを支持するための余計な部品等の使用による無駄を削減することができる。
【符号の説明】
【0104】
1a,1b,1c,1d・・・第1,2,3,4の自在継手
2a,2b・・・第1,2の連結節
20a・・・水平摺動面
20b1,20b2・・・水平摺動面
200ab・・・第1,2の連結節の回転軸
21a,21b・・・垂直摺動面
22a,22b・・・縦孔
23a,23b・・・横孔
3a,3b,3c・・・第1,2,3のホルダー部
30・・・・受口
31・・・・垂直摺動面
32・・・・縦孔
33・・・・横孔
330・・・ホルダー部の回転軸
34・・・・アダプター
35・・・・挿入部
36・・・・受口
4・・・・・継手本体
40・・・・水平摺動面
41・・・・垂直摺動面
42・・・・受け部
420・・・受け部の中心軸
43・・・・方向変換部
44・・・・縦孔
45・・・・横孔
50,51,52,53,54,55・・・ボルト
6・・・・・把手部
7・・・・・接続アダプター
10・・・・自立式の手すりシステム
11a,11b,11c,11d・・・第1,2,3,4の自立式の手すり
12a,12b,12c,12d・・・第1,2,3,4のベースプレート
120・・・取付部
13a,13b,13c,13d,13e・・・第1,2,3,4,5の支柱
130・・・第1の支柱の中心軸
131・・・外筒
132・・・内筒
133・・・脚部
14a,14b,14c,14d・・・第1,2,3,4の手すり棒
15・・・・従来の仮設の手すり(自立式の手すり)システム
16a,16b,16c,16d,16e・・・第1,2,3,4,5の仮設の手すり
17a,17b,17c・・・第1,2,3の手すり棒
X・・・・左右方向
Y・・・・前後方向
Z・・・・上下方向
o・・・・1つ目の生活動線
p・・・・2つ目の生活動線