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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154576
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】設備運営システム及び設備運営方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0631 20230101AFI20231013BHJP
【FI】
G06Q10/06 302
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022063992
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】天野 光司
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】澤田 一真
(72)【発明者】
【氏名】仲 恭平
(72)【発明者】
【氏名】山田 寛
(72)【発明者】
【氏名】座間 雄大
(72)【発明者】
【氏名】井村 祐介
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】設備運営の自動化に寄与すること。
【解決手段】記憶装置は、機器管理及び実績に関するデータを含む既存データと、既存データのパス構造に関する情報と、設備運営の業務に関するミッション情報と、ミッション情報のパス構造に関する情報と、を記憶する。演算装置は、既存データ及び既存データのパス構造に基づいて、既存データに含まれる用語のデータ意味に関する情報を抽出し、複数の用語間の関連度に関する情報を生成する。また、ミッション情報、ミッション情報のパス構造及び用語間の関連度に関する情報に基づいて、設備運営に関する複数の業務それぞれの意味に関する情報と複数の業務の時系列の情報と、を含むミッション管理情報を生成する。そして、ミッション管理情報に基づいて、設備運営に関する機器の制御指示データを生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と、
演算装置と、
設備運営に関する機器の制御を行う制御装置を、備え、
前記記憶装置は、
少なくとも機器管理に関するデータ及び機器の実績データを含む複数の種類の既存データと、前記複数の種類の既存データのパス構造に関する情報と、設備運営における複数の業務に関する情報であるミッション情報と、前記ミッション情報のパス構造に関する情報と、を格納し、
前記演算装置は、
前記複数の種類の既存データ及び前記複数の種類の既存データのパス構造に基づいて、前記複数の種類の既存データに含まれる用語のデータ意味に関する情報を抽出し、抽出された当該データ意味に関する情報に基づいて、複数の前記用語間の関連度に関する情報を生成し、
前記ミッション情報、前記ミッション情報のパス構造及び前記用語間の関連度に関する情報に基づいて、設備運営に関する複数の業務それぞれの意味に関する情報と前記複数の業務の時系列の情報と、を含むミッション管理情報を生成し、
前記制御装置から取得した情報及び前記ミッション管理情報に基づいて、実施予定の業務を特定し、
特定した前記実施予定の業務及び前記ミッション管理情報に基づいて前記制御装置の制御指示データを生成し、当該制御指示データを前記制御装置へ送信する
ことを特徴とする設備運営システム。
【請求項2】
前記複数の種類の既存データである業務データは、前記業務に用いられる表現における用語と、意味を識別する構造化された識別情報とを含み、
前記構造化された識別情報は、階層構造のディレクトリ、データベーススキーマの表、データベーススキーマの列および行識別子、マニュアル文書の章節構造における包含関係のうち、少なくともいずれかに基づく構造化包含関係を示し、
前記演算装置は、前記構造化包含関係を用いて、前記用語の意味の辞書を作成する
ことを特徴とする請求項1に記載の設備運営システム。
【請求項3】
前記演算装置は、前記識別情報を文字単位で分解し、間引きの実行及び/又は略語の自動生成を行って、表現における用語と構造化された識別情報を比較し、比較情報同士の差分を符号距離として求めて、前記業務データ間の関係を評価することを特徴とする請求項2に記載の設備運営システム。
【請求項4】
前記演算装置は、包含関係を表す区切り文字入りの文字列の識別子の連結個数を調整して比較し、表現における用語と意味を識別する構造化された識別情報が完全一致しなくても意味を解釈し、辞書を生成することを特徴とした請求項3に記載の設備運営システム。
【請求項5】
前記演算装置は、前記制御装置、制御用計算機、及び/又はユーザ端末からの入力をトリガーとし、実行すべき業務情報の優先度を構造化識別情報の一致率に基づいて決定し、入力された情報に対応する情報として出力することを特徴とした請求項1に記載の設備運営システム。
【請求項6】
前記演算装置は、ユーザ端末から補正及び/又は承認が行われた業務を認知して選出優先度を制御し、自動生成されたが無承認の情報よりも、承認が行われた業務を優先的に選出して実行することを特徴とした請求項1に記載の設備運営システム。
【請求項7】
前記演算装置は、前記ユーザ端末、前記制御装置、及び/又は制御用計算機からの実行情報より、複数のベンダから供給された複数の分析プログラムについて、業務自動化に寄与した分析プログラムの種類と評価軸および寄与率を管理し、選出業務の選出優先度を制御することを特徴とした請求項6に記載の設備運営システム。
【請求項8】
前記演算装置は、分析プログラムの寄与率を基に、前記ベンダに対する支払額を計算することを特徴とした請求項7に記載の設備運営システム。
【請求項9】
前記演算装置は、ユーザ端末、前記制御装置、制御用計算機からの実行情報より、現在の実施している業務と、将来実施すべき業務を認知し、業務に必要な自動運転レベルと運転員の運転スキルのレベルを管理するテーブルを持つことを特徴とする請求項1に記載の設備運営システム。
【請求項10】
前記複数の種類の既存データである業務データは、前記業務に用いられる表現における用語と、意味を識別する構造化された識別情報とを含み、
前記演算装置は、ユーザ端末、前記制御装置、制御用計算機からの実行情報より、現在の実施している業務と、将来実施すべき業務を認知し、運転員の運転スキルのレベルと前記構造化された識別情報により特定されるガイダンスヒント情報とを対応付けて管理するテーブルを持つことを特徴とする請求項9に記載の設備運営システム。
【請求項11】
前記演算装置は、
ユーザ端末、前記制御装置、制御用計算機からの実行情報より、現在の実施している業務と、将来実施すべき業務を認知するステップと、
ユーザ端末を使用している1人以上の運転員の個別の運転スキルのレベルを認知するステップと、
自動運転レベルと、運転員の運転スキルのレベルが一致しない場合に、一致する運転員を招集する指示を出すステップと
を実行することを特徴とする請求項1に記載の設備運営システム。
【請求項12】
前記演算装置は、
ユーザ端末、前記制御装置、制御用計算機からの実行情報より、現在の実施している業務と、将来実施すべき業務を認知するステップと、
ユーザ端末を使用している1人以上の運転員の個別の運転スキルのレベルを認知するステップと、
自動運転レベルと、運転員の運転スキルのレベルが一致しない場合に、自動運転レベルを運転員のスキルのレベルに合わせて自動変更するステップと
を実行することを特徴とする請求項1に記載の設備運営システム。
【請求項13】
前記複数の種類の既存データである業務データは、前記業務に用いられる表現における用語と、意味を識別する構造化された識別情報とを含み、
前記演算装置は、
前記設備運営に関する機器の運転員に要求される運転スキルのレベルに応じて、マニュアル文書から前記構造化された識別情報に対応する部分を欠落させることで、欠落部分の知識を問う教育用文書を作成することを特徴とする請求項1に記載の設備運営システム。
【請求項14】
前記演算装置は、運転員に運転スキルのレベルを対応付けてさらに管理し、前記運転員に当該運転員のレベルに応じた前記教育用文書を提示して欠落部分の入力を要求し、入力結果に基づいて前記運転員のレベルを更新することを特徴とする請求項13に記載の設備運営システム。
【請求項15】
設備運営に関する機器の制御を行う設備運営方法であって、
記憶装置が、
少なくとも機器管理に関するデータ及び機器の実績データを含む複数の種類の既存データと、前記複数の種類の既存データのパス構造に関する情報と、設備運営における複数の業務に関する情報であるミッション情報と、前記ミッション情報のパス構造に関する情報と、を格納するステップと、
演算装置が、
前記複数の種類の既存データ及び前記複数の種類の既存データのパス構造に基づいて、前記複数の種類の既存データに含まれる用語のデータ意味に関する情報を抽出し、抽出された当該データ意味に関する情報に基づいて、複数の前記用語間の関連度に関する情報を生成するステップと、
前記ミッション情報、前記ミッション情報のパス構造及び前記用語間の関連度に関する情報に基づいて、設備運営に関する複数の業務それぞれの意味に関する情報と前記複数の業務の時系列の情報と、を含むミッション管理情報を生成するステップと、
前記機器の制御装置から取得した情報及び前記ミッション管理情報に基づいて、実施予定の業務を特定するステップと、
特定した前記実施予定の業務及び前記ミッション管理情報に基づいて前記制御装置の制御指示データを生成し、当該制御指示データを前記制御装置へ送信するステップと
を含むことを特徴とする設備運営方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の運営を行う設備運営システム及び設備運営方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラント運営効率化支援のため、アーティフィシャルインテリジェンス(以降AI)を活用し、設備運営の効率化に寄与する過去情報を提供するシステムが提案されてきた。これらAIは、分類機能を提供することが可能である。即ち、入力した情報がどのようなカテゴリの情報であるか、もしくは、入力に対して出力が何であるべきか、を提供することができる。このようなAIを利用したシステムの例として、特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【0003】
また、マルチベンダからAIが提供される場合や、マルチベンダが生成するデータを活用する場合には、異なる表現が用いられたり、異なる結果が導出されることがある。マルチベンダから提供されるAIやデータであっても、関連する表現や結果が判定できることが望ましい。関連するシステムの例として、特許文献2に記載の技術が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-201764号公報
【特許文献2】特開2021-57047号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の技術では、センサ入力値など計測可能な情報から、製造業務、または、プラント業務として何を行うべきかの過去歴を受け取ることができる。また、マルチベンダ提供のAIによる差を検知することができる。しかしながら、これらを単に組み合わせるだけでは、マルチベンダ連携と人が介在していた作業の自動化を行うことが困難であるため、製造業務、または、プラント業務の自動運営を行う事は出来ないという課題がある。ここで、上述のマルチベンダ連携と人が介在していた作業について説明する。従来、マルチベンダにより提供されるデータや、人が入力するデータは表現や形式が異なっていたり、誤ったデータが誤入力されている場合があるため、それらの情報の関連性を自動で管理することは困難であった。そのため、業務運営のために、マルチベンダから提供された情報と、人が作成した時系列の業務運営情報であるミッション情報の関連性を人が判定する必要があった。そのため、業務の自動運営を実現するためには、上述した表現や形式が異なっていたり、誤入力を含む場合でも、各種の情報の異なり具合や包含する意味、関連性を自動で管理できることが必要である。以上より、製造業務またはプラント業務の自動運営を行うために、人が入力したデータやマルチベンダから提供された入力情報、処理過程及び出力結果に対して、それぞれの情報が業務においてどのような意味を包含しているのかという情報と、時系列の業務運営情報であるミッション情報を含む各種の情報の関連性とを判別可能に表現し、設備の制御のために管理できることが望まれる。
上述の、特許文献1及び特許文献2においては、設備運営のための時刻情報を含むミッション情報の管理という観点や、業務において取得した種々の情報が包含する意味や関連性を判別可能に表現し、設備の制御のために管理するといった点について考慮されていない。
本発明では、以上の点を考慮してなされたもので、製造業務、または、プラント業務の運営の自動化に貢献するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の設備運営システムは、記憶装置と、演算装置と、設備運営に関する機器の制御を行う制御装置を、備え、前記記憶装置は、少なくとも機器管理に関するデータ及び機器の実績データを含む複数の種類の既存データと、前記複数の種類の既存データのパス構造に関する情報と、設備運営における複数の業務に関する情報であるミッション情報と、前記ミッション情報のパス構造に関する情報と、を格納し、前記演算装置は、前記複数の種類の既存データ及び前記複数の種類の既存データのパス構造に基づいて、前記複数の種類の既存データに含まれる用語のデータ意味に関する情報を抽出し、抽出された当該データ意味に関する情報に基づいて、複数の前記用語間の関連度に関する情報を生成し、前記ミッション情報、前記ミッション情報のパス構造及び前記用語間の関連度に関する情報に基づいて、設備運営に関する複数の業務それぞれの意味に関する情報と前記複数の業務の時系列の情報と、を含むミッション管理情報を生成し、前記制御装置から取得した情報及び前記ミッション管理情報に基づいて、実施予定の業務を特定し、特定した前記実施予定の業務及び前記ミッション管理情報に基づいて前記制御装置の制御指示データを生成し、当該制御指示データを前記制御装置へ送信する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設備運営の自動化に寄与することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】マルチベンダ連携型の設備運営自動化の全体構成を示すブロック図である。
図2】マルチベンダ連携型による設備運営自動化システムが、実施する分析管理処理の説明図である。
図3】マルチベンダ連携型による設備運営自動化システムが、ユーザ端末向けに実施する処理の説明図である。
図4】設備運営自動化システムの処理の概要を示すフローチャートである。
図5】構造化専門用語辞書の構造を示したものである。
図6】構造化専門用語辞書のうち、承認スコアの計算ルールの管理テーブルである。
図7】設備運営ミッション管理機能の処理における、履歴データから、ミッション管理情報を生成するデータの変換のうち相対時間でのミッション情報の集約について説明した図である。
図8】設備運営ミッション管理機能が相対時刻によるミッション管理情報を活用し、ミッションの前後関係情報の関係リンク情報を生成する場合の情報の変化を説明した図である。
図9】ミッション管理情報を、ユーザ端末の表示装置にて表示した例である。
図10】ミッション管理機能が、制御装置および制御用計算機7からの情報から現在の状況を判断し、自動運営ミッションとして実行すべきランキングを表示装置に表示する画面例である。
図11】データモデル・API分析管理機能が構造化専門用語辞書を作成する処理フローである。
図12】専門用語分析管理機能の処理フローである。
図13】専門用語辞書から入力補助辞書を生成するフローである。
図14】入力補助辞書の例である。
図15】分析を行うAIや、選出実行されたミッションの寄与度や、寄与度の応じた支払情報等を管理する情報が追加されたシステム構成図である。
図16】寄与度と支払情報の管理テーブル例である。
図17】設備運営ミッション管理機能が、寄与率と支払情報を計算するフローである。
図18】マルチベンダにおけるAIや、分析プログラムの寄与度の管理情報をユーザ端末の表示装置にて表示した例である。
図19】ユーザ端末1の表示画面に、設備運営自動化システムが管理する情報を検索する場合に表示する画面例である。
図20】専門用語分析管理機能が、ユーザからの検索文字列を受けた時の処理フローである。
図21】検索結果の情報を表示装置に表示した例である。
図22】ユーザにミッション管理情報を提示するとともに、補正を許可する画面の例である。
図23】設備運営を自動化するレベルと運転員のスキルレベルを考慮した設備運営自動化システムの概念図である。
図24】ミッション管理情報に対して、自動化レベルの情報を追加したテーブル例である。
図25】自動化レベルと運転員スキルレベル対応情報のうち、自動運転レベルと運転員レベルの組み合わせとして可能な組み合わせを定義したテーブル例である。
図26】運転員スキルレベルと対応したガイダンスヒントの構造化IDの階層を定義したテーブル例である。
図27】ユーザ端末1の表示装置において、ミッション管理情報に自動運転レベル及び、担当オペレータの対応の画面例である。
図28】自動運転レベルとオペレータのレベルに合わせたガイダンスを虫食い状態で表示し、オペレータのレベルに合わせたヒントが表示されている画面例である。
図29】自動レベルと運転員レベル管理による設備運営自動化処理と、運転レベル及び運転員のレベルに合わせたガイダンス内容の自動生成のフローである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態例について、図を参照して説明する。
なお、本明細書及び図において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【実施例0010】
図1は、マルチベンダ連携型の設備運営自動化の全体構成を示すブロック図である。
マルチベンダ連携型による設備運営自動化システム100は、ユーザ端末1と、設備運営自動化システムとしてのサーバシステム2を備える。
ユーザ端末1は、その内部にCPU(Central Processing Unit)1-3及び主記憶装置1-4を備えたコンピュータであり、表示装置1-1や補助記憶装置であるディスク1-2などの周辺機器が接続される。
ユーザ端末1は、ユーザ9への情報の提供、ユーザ9からの情報検索に必要な条件や、作業命令情報をサーバシステム2に送信する役割を果たす。ユーザの誤入力や、表現の揺らぎの訂正はサーバシステム側単独でも可能であるが、入力補助辞書1-5を主記憶装置1-4に保持している。ユーザ9は、ユーザ端末1を介してサーバシステム2と連携させて業務を行う。
【0011】
サーバシステム2は、1又は複数のサーバ3と、1又は複数のデータベースストレージ4を有しており、テーブルスキーマにより定義された表形式のデータ構造に情報が収められている。この場合、「データベースストレージ/テーブルスキーマID/テーブル列ID/テーブル行識別用Key値」が識別情報(構造化ID)として作成できる。
【0012】
サーバシステム2は、1又は複数のファイルサーバ5を有する。ファイルサーバ5の下にディレクトリID5-1で識別可能なディレクトリ構造を持ち、さらにその中にデータファイルのIDを持った情報を管理しており、例えば、ファイルデータとして履歴データ5-aや、API(Application Programming Interface)定義5-b、設備運営やプラント運営の手順をまとめたミッション情報5-c等を管理している。
各ファイルの中身には、制御対象や設備運営の種類を識別する各種識別情報と値、単位等の情報が含まれている。
【0013】
この場合、ファイルサーバのID、ディレクトリ階層構造を含むディレクトリIDにより、構造化された識別情報である構造化IDは、例えば次のように得られる。ファイルデータのIDの場合には、「ファイルサーバID/ディレクトリID/ファイルデータID」が構造化IDとして作成できる。APIファイルデータIDの場合には、「ファイルサーバID/ディレクトリID/API-ID」が構造化IDとして作成できる。制御対象や設備運営の各種識別情報を有するミッションデータIDの場合には、「ファイルサーバID/ディレクトリID/ミッションID」が構造化IDとして作成できる。このように、構造化IDは、階層構造のディレクトリ、データベーススキーマの表、データベーススキーマの列および行識別子、マニュアル文書の章節構造における包含関係、インデントによる包含関係など、各種データに示される包含関係や、別紙参照、備考、注釈等のデータの関連性を示す情報から作成される。各種データに示される包含関係のことをパス構造とも呼ぶ。なお、文書の章節構造における包含関係は、文書タイトル、章立て、節、見出し、単語のように、文書に設けられた階層から特定できる。構造化IDは、各種データ自体やその管理に用いられるパス構造に示される包含関係を同一の形式で表すよう構造化したものであり、いわば構造化包含関係を示すものである。
【0014】
ここで、1又は複数のサーバ3の一つであるサーバ3-aを例示し、サーバ3の構成を説明する。サーバ3は、演算装置であるCPU3-1、主記憶装置であるメモリ3-2、ネットワークインターフェースカード(NIC)3-3、ディスクコントローラ3-4、補助記憶装置であるディスク3-5を有し、これらはバス3-6にて接続されている。
CPU3-1は、メモリ3-2にプログラムやデータを展開し、プログラムを順次実行することで、各種機能を実現する。
具体的には、メモリ3-2には、OS(Operating System)3-7、専門用語分析管理機能3-8、データモデル・API分析管理機能3-9、設備運営ミッション管理機能3-10などの処理実行機能が展開される。そのほか、メモリ3-2には、構造化専門用語辞書3-11や、ミッション管理情報3-12など、処理実行機能が必要とするデータも展開される。
【0015】
OS3-7は、サーバ3の基本的な動作の制御を担うプログラム群である。
そのほか、メモリ3-2には、構造化専門用語辞書3-11や、ミッション管理情報3-12など、処理実行機能が必要とするデータも展開される。専門用語分析管理機能3-8、データモデル・API分析管理機能3-9、設備運営ミッション管理機能3-10などの処理実行機能は、ディレクトリや、データベース等の構造化されたIDや、ファイルデータとして存在する、履歴データ5-aや、API定義5-b、設備運営やプラント運営の手順をまとめたミッション情報5-c等を対象として分析等の処理を行う。すなわち、システムの分析の対象には、機器管理に関するデータ、機器の実績データを含む複数の種類の既存データである業務データが含まれる。また、業務データには、後述するように業務に用いられる表現における用語が含まれる。
マルチベンダ連携型による設備運営自動化システム100には、マルチベンダから提供される制御装置6や、制御用計算機7が存在し、これらの装置と通信する場合は、ファイルデータやAPI定義5-bに従い通信を行い、それらの動作ログは履歴データ5-aに貯められていく。
【0016】
図2は、マルチベンダ連携型による設備運営自動化システム100が、実施する分析管理処理8の説明図である。図2に示すように、設備運営自動化システムが実施する処理には、構造化専門用語辞書3-11とミッション管理情報3-12を生成する処理を含む。
構造化専門用語辞書の作成について説明する。データベースストレージ4や、ファイルサーバ5に蓄えられている情報は、一律の表現、一律の詳細度、一律の意味で表記されているわけではない。そのため、より効率的に設備運営を自動化するためには、コンピュータシステムが認知できるデータから情報を処理することが望ましい。
サーバ3は、後述する、図11図12等に記載された処理により、既存データのディレクトリ構造やテーブル情報から、抽象側のデータ意味を抽出し、構造化IDの親側識別子を生成する。さらに、プログラムAPIの定義もコンピュータシステムが認知するデータであるため、プログラムAPI内に含まれる名前空間などの階層構造やデータの意味識別子を抽出し、構造化IDの親側識別子を生成する。
ここで、用語のデータ意味とは、処理対象となるデータ自体やその管理に用いられる用語について、処理に関与する者が共通認識として認識している意味を示す。例えば、同一のグループで異なる用語が同一の意味と認識されていれば、それらの用語は同一のデータ意味の表記ゆれである。一方、同一の用語であっても異なるグループで異なる意味で用いられていれば、この用語はグループによって異なるデータ意味を持つことになる。そこで、用語がどこで使用されているかを階層構造で識別し、その用語の使用実績を分析することで、表記ゆれやグループへの依存に対応したデータ意味に関する情報を得ることができる。
そして、生成した親側識別子とより詳細な子側識別子の関係を活用して、完全一致しない用語同士の類似度や略語であるか否か等を検知して、第1の辞書である構造化専門用語辞書を作成する。この情報が、設備運営自動化システムの第1の生成物である。ここでいう、構造化専門用語辞書とは、複数の用語間の関連度に関する情報である。また、構造化IDを比較するにあたり、その全ての階層を比較するのではなく、対象の識別子の近傍を比較することで、構造化IDが完全一致しなくても意味を解釈し、辞書を生成することができる。例えば、マニュアルに含まれている「操作A」の文字列が、「…/装置X/冷却/操作A/動作C/…」の階層構造で複数の箇所で使用されていれば、その前後が不一致であっても、同一の意味として認識する。これは、包含関係を表す区切り文字「/」が入った文字列の識別子について、その連結個数(親側識別子と子側識別子をどこまで比較するか)を調整して比較する処理である。
【0017】
制御装置6や、制御用計算機7から集まるデータが格納されているDBデータや、ファイル形式のログデータは、機械が自動生成することにより、揺らぎが少ない情報が収集できる。これらのログデータは専門用語のほか、ミッションを理解するために必要な時系列の情報を有しており、単に用語を集めた辞書とは異なり前後関係、並列関係、分化や統合の関係を伴う情報が含まれている。サーバ3は、これらのデータを分析し、構造化専門用語辞書を作成する。この情報が、先に生成された第1の辞書を活用してさらに定義を増やした、設備運営自動化システムの第1の生成物である。
【0018】
また、管理対象データの管理のために用いられる、既存データにおける階層、データ、項目や値などに用いられる用語は、その業務に関わる人物(業務関係者)にとって、十分に汎用的かつ明確な用語であると認識されている可能性が高い。また、これらに用いられる用語は、表記の揺らぎも少なく、業務に関連している可能性が高い。したがって、管理対象データの管理に用いられる用語についても業務データとして分析対象とすることが有効と考えられる。
【0019】
設備やプラントの運営を行うための複数の業務であるミッションについての情報であるミッションに関する情報は、ミッション情報5-cに格納される。ミッション情報5-cは、設備運営における複数の業務の対象、条件、状態、目標値、制御値、変化率など業務を遂行するのに必要な情報と、それらの情報の時系列の関係、または、前後関係の情報を示すものである。ミッション情報は、マニュアルのように自然言語で書かれており、コンピュータシステムが認識するには難しい。そのため、先に自動生成した第一の生成物である構造化専門用語辞書を活用し、上位概念や下位概念、略語、イニシャル表記等を可能な限りコンピュータで分析する。章立ての構成や、番号の附番、インデント等により自然言語で作成されたミッションデータを分析し、説明可能なデジタルミッション管理情報を生成する。この情報が、設備運営自動化システムの第2の生成物である。ここで、ミッション情報に含まれるディレクトリや、章立ての構成、番号の附番、インデント等の、特定の用語に関連する情報を特定するのに必要な情報をミッション情報のパス構造と呼ぶ。そして、サーバ3は、第1の生成物を作成する際と同様に、ミッション情報から、ミッション情報のパス構造や情報の意味識別子を抽出し、構造化IDの識別子を生成する。ミッション情報のパス構造に含まれる情報の出現順序は、ミッション管理情報に含まれる情報の時系列的な前後関係に対応することが多いため、ミッション情報のパス構造に基づいてミッション管理情報に含まれる情報の時系列的な前後関係を解析することができる。
【0020】
図3は、マルチベンダ連携型による設備運営自動化システムが、ユーザ端末向けに実施する処理9の説明図である。たとえAIを使ったとしても、人による揺らぎを低減させるための機能をユーザ端末1側に提供しないと、図2で説明した分析処理は、許容範囲や符号距離判定、AIによる距離判定を誤る可能性がある。そのため、サーバ3における分析管理処理8の精度を高めるために、ユーザが入力する用語の思考や選別を既知の情報と対応させて表示し、ユーザの入力を補助するための情報を入力補助辞書として生成する。この情報が、設備運営自動化システムの第3の生成物である。
【0021】
この第3の辞書を活用することにより、システムで使用されるデータ意味に関してガバナンスを聞かせて、自動運転につなげる効果を提供する。サーバ3は、第1~第3の生成物を用いて、ディレクトリの名称やファイル名称、保全で実施した内容を表現する用語を統一したり、業務関係者にアナウンスをすることで、人が担っていた処理を自動化することが可能となる。
【0022】
図4は、設備運営自動化システムの処理の概要を示すフローチャートである。
まず、記憶装置であるデータベースストレージ4やファイルサーバ5などが、分析対象データを格納する(ステップS300)。分析対象データには、機器管理に関するデータ及び機器の実績データを含む複数の種類の既存データと、複数の種類の既存データのパス構造に関する情報と、設備運営における複数の業務に関する情報であるミッション情報と、ミッション情報のパス構造に関する情報とが含まれる。
演算装置であるサーバ3は、分析対象データから、関連度に関する情報である構造化専門用語辞書を生成する(ステップS301)。構造化専門用語辞書の生成は、複数の種類の既存データ及び複数の種類の既存データのパス構造に基づいて、複数の種類の既存データに含まれる用語のデータ意味に関する情報を抽出し、抽出された当該データ意味に関する情報に基づいて複数の用語間の関連度を評価することで行う。
さらに、サーバ3は、ミッション管理情報を生成する(ステップS302)。ミッション管理情報は、ミッション情報、ミッション情報のパス構造及び構造化専門用語辞書に基づいて生成される。ミッション管理情報は、設備運営に関する複数の業務それぞれの構造化IDと複数の業務の時系列の情報とを含む。加えて、サーバ3は、入力補助辞書を生成する。ステップS302で生成されたデータは、業務がどのような情報で運営されたか、およびどのように運営されたかを示すものであり、生成されたデータを分析結果として表示出力することができる。
【0023】
サーバ3は、制御装置6から取得した情報及びミッション管理情報に基づいて、実施予定の業務を特定する(ステップS303)。
サーバ3は、特定した実施予定の業務及びミッション管理情報に基づいて制御装置5の制御指示データを生成し、当該制御指示データを制御装置6へ送信する(ステップS304)。このように、設備運営自動化システムは、マルチベンダが生成する情報や、人の介在が必要な処理を認知し、人が介在せずに行える処理や、設備運営自動化システムが代行できる処理を実行する。
【0024】
図5は、構造化専門用語辞書の構造を示したものである。このデータはユーザ端末1の表示装置1-1からも内容を確認することができる。
図5は、構造化専門用語辞書のうち管理されている情報のテーブル3-11Aを示している。構造化専門用語辞書のテーブル3-11Aは、設備運営自動化システムにおいて一意に識別できる用語の構造化IDの列3-11A-1と、その用語を表現された表記データの列3-11A-2、さらにその用語の構造化専門品詞情報と使用実績を管理する列3―11A-3、およびその用語がどれだけ承認された用語であるかを識別する承認スコア列3-11A-4を有する。
【0025】
用語1を管理している行3-11A-aの行は、表現方法として「用語1」が使われたことが3-11A-2列よりわかり、それは、構造化IDとしては「共通根ID/用語1」で管理されていることを意味していることが3-11A-1列からわかる。さらに、その「用語1」は、専門品詞として「名詞/企業A/装置名称/フィルタ装置」であること、また「名詞/企業A/装置名称/交換部品」という構造化専門品詞情報を有していることが3-11A-3列よりわかる。さらに、それらの用語は使用量がどれほどあったかの統計情報が管理されている。承認スコアの列3-11A-4には「100」が設定されており、一度人の手を介して修正が行われ、非常に信頼性の高い構造化専門用語情報になっていることが判断できる。
【0026】
用語2を管理している行3-11A-bの行は、表現方法として「用語2」が使われたことが3-11A-2列よりわかる。しかしそれは、構造化IDとしては「共通根ID/用語1」となっており「用語1」と同じ意味で使用されている別表記として管理されていることを意味していることが3-11A-1列からわかる。さらに、その「用語2」は、専門品詞として「名詞/企業A/装置名称/フィルタ装置」であること、また「名詞/企業A/装置名称/交換部品」という構造化専門品詞情報を有していることが3-11A-3列よりわかる。さらに、それらの用語は使用量がどれほどあったかの統計情報が管理されている。使用量からは、同一の意味である別表記の「用語1」と比べると少数であることが分かる。承認スコアの列3-11A-4には「49」が設定されており、専門用語を専門用語分析管理機能3-8や、データモデル・API分析管理機能が自動的に収集し、まだ人による補正や入力補助実績による訂正などが行われていない、信頼度がまだ高いとは言えない情報であることが判断できる。
【0027】
用語3を管理している行3-11A-cの行は、表現方法として「用語3」が使われたことが3-11A-2列よりわかる。それは、構造化IDとしては「共通根ID/用語2」となっていることを意味していることが3-11A-1列からわかる。さらに、その「用語2」は、専門品詞としてマルチベンダ「名詞/企業B/保全シート/API/API1/入力フォームA1」であること、また「名詞/企業B/装置名称/交換部品」という構造化専門品詞情報を有していることが3-11A-3列よりわかる。さらに、それらの用語は使用量がどれほどあったかの統計情報が管理されている。
【0028】
承認スコアの列3-11A-4には「80」が設定されており、専門用語を専門用語分析管理機能3-8や、データモデル・API分析管理機能が自動的に収集し、入力補助実績による訂正などが行われているが、人による確認や補正が行われていない状態であることが分かる。
【0029】
図6は、構造化専門用語辞書のうち、承認スコアの計算ルールの管理テーブル3-11Bである。
承認スコアの計算ルールの管理テーブル3-11Bは、検知されたアクションを識別するアクションID3-11B-1に対して、承認スコアの計算方式3-11B-2の情報を有し、承認スコアとして与えることができる数値の範囲3-11B-3を有している。
人による補正が行われた構造化専門用語3-11Bの行に対するアクション3-11B-aは、承認スコアが「100」となることを示している。
自動処理により辞書が生成され、かつ入力補助の実績による訂正が行われた場合3-11B-bは、承認スコアが「50-99」の間で付与される。
自動処理により辞書が生成され、入力補助の実績も人による補正も発生したことがない場合3-11B-cは、承認スコアが「0-49」の間で付与されるという定義が管理されている。
これにより、3-11Aに管理されている用語に対して承認スコアを活用した信頼度を評価することができる。このように、ユーザ端末から補正及や承認が行われた業務を認知すると、用語の承認スコアが上昇する。用語の承認スコアが上昇すると、自動生成されたが無承認の用語よりも、ミッション管理情報に採用されやすくなる。すなわち、承認スコアの上昇は、業務の選出の優先度を制御することになる。この結果、承認が行われた業務を優先的に選出して実行することができる。
【0030】
ミッション管理情報3-12は、ミッション情報5-cと第一の生成物である構造化専門用語辞書に基づいて生成することが可能である。このように作成されたミッション管理情報3-12は、ミッション情報5-cに含まれた各手順等の情報の時系列の関係や前後関係の情報も含んでいる。さらに、ミッション管理情報3-12は、上述の方法に加えて、後述の図7の説明において例示するように、履歴データ5-aの保持する時系列に関する情報を含めて生成することができる。それにより、各手順が実際に行われた履歴に基づいて各手順の時系列の関係を補正することができ、より対象の設備状況を反映したミッション管理情報3-12を生成することができる。なお、ここで手順と呼ぶものは、本実施例において、設備運営における単位操作、処理、工程、ミッションとも言い換えられる。
図7は、設備運営ミッション管理機能3-10の処理における、履歴データ5-aおよびミッション情報5-cから、ミッション管理情報3-12を生成するデータの変換のうち相対時間でのミッション情報の集約について説明した図である。
履歴データ5-Aの情報には、多くの場合、対象にかかわる用語と、目標値や現状値、または状態にかかわる用語、そしてその単位情報等5-A-1が含まれ、その情報が発生したログ時刻5-A-2が管理されている。これらの情報を統計処理等を行いながら集約するためには、ログ時刻5-A-2から、相対時刻3-11A-2情報に変換する必要がある。
【0031】
完全に発生時刻が異なる過去データを統計処理するために、内容を示した情報部分5-A-1にて管理される情報の前後関係情報を活用して対象を選定し(処理S3-11-1aおよび処理S3-11-1b)、3-11A-2aないし3-11A-2dの値に対し情報を追加する。
ミッション管理情報のうち相対時刻に関する管理テーブル3-11Aのうち、対象の用語、状態の用語、単位の用語などに対して、構造化専門用語辞書によって変換が行われた構造化IDが列3-11A-1に管理されている。この3-11A-1例には、構造化専門品詞を含む構造化IDが管理され、完全一致から部分一致までの構造化IDマッチング率、および使用量が管理される。3-11Aの各行の前後関係を管理するために相対時刻3-11A-2が管理されている。
【0032】
図8は、設備運営ミッション管理機能3-10が相対時刻によるミッション管理情報3-11Aを活用し、ミッションの前後関係情報の関係リンク情報3-11B-1を生成する場合の情報の変化を説明している。
設備運営ミッション管理機能3-10は、関係リンク生成処理S3-11-1Cを行い、構造化専門用語の構造化ID間の関係3-11B-1aの関係リンクを生成する。
3-11B-1aには、構造化IDとその使用量、相対時刻、承認スコアが、FromとToの前後関係が確認できる表記と共に管理されている。
【0033】
図9は、ミッション管理情報3-12を、ユーザ端末1の表示装置1-1にて表示した例を示す。表示例1-1aでは、シーングラフ表現で表示した例である。
表示例1-1bでは、サンキー表現で表示した例であり、矢印の太さでミッション管理情報3-12に管理されている使用量を表現している。表示例1-1Cでは、ガントチャート表現で表示した例であり、構造化IDの情報を活用した構造化スイムレーン表現と、その処理が行われる相対時刻におけるガントチャートが表示されている。
これらは相対時刻で表示しているが、ミッションのスタート時刻が定まった場合は、将来の時刻で表示することも可能である。
ミッション管理情報3-12を、履歴データ5-aやAPI定義5-bから生成することによって、自然言語として書かれ、コンピュータが認識が困難なミッション情報5-Cを解読する準備が整う。またミッション管理3-12データにミッション情報5-Cを対比させることにより、履歴データ5-aがどのミッションを実施したログであるかを判定することもできる。
【0034】
図10は、設備運営ミッション管理機能3-10が、制御装置6および制御用計算機7からの情報や、ユーザ端末からの入力をトリガーとしてから現在の状況を判断し、自動運営ミッションとして実行すべきランキングを表示装置1-1に表示する画面例1-1dである。
自動運営画面では、現在の状況情報から選出されたミッションの構造化ID1-1d-1と、そのミッションがどれだけ現状にマッチしているかを示すミッションマッチングスコア1-1d-2が表示される。そのミッションの対象やスコアをクリック1-1d-3すると、詳細ミッションプレビュー1-1d-4に対象のミッションが選出され、内容1-1d-5が表示される。
【0035】
詳細設備パフォーマンスプレビューでは、現在発生している不具合などの箇所がサンバーストダイアグラム1-1d-8に表示される。不具合箇所をクリックし、不具合対策のミッションが選定されると、パフォーマンスの損失額の予測1-1d-6が表示される。
【0036】
図11は、データモデル・API分析管理機能3-9が構造化専門用語辞書を作成する処理フローである。データモデル・API分析管理機能3-9は、データベース4と、ファイルのディレクトリ5領域をクローリングし分析データを選定するS001。次に、選定データが残っておりすべて分析実施をしていない場合(S002(No))、選出したデータのディレクト構造やファイル名、データベースを構造化IDに変換し管理情報を生成する(S003)。一方、すべて分析が終わった場合(S002(Yes))は動作を終了する。
【0037】
分析対象が存在する場合、ファイルの中身を開き選出したデータの構造化IDとファイルやデータベース内部の情報を形態素解析し用語の前後に余分な(句読点、助詞、接続詞、空白文字、記号など)、専門用語の候補とならない文字が含まれないか確認し不要なら除去し言葉の塊を分ける(S004)。
【0038】
次に、専門用語を文字単位で分解し、登録済の専門用語との差の大きさを測定する。この差はハミング距離などの技法を使いて求める。データモデル・API分析管理機能3-9は、求めた差を、大小比較が可能な距離として識別する(S005)。3-11Bの承認スコアのルールに従い、スコアを登録する。処理S005の距離の差を活用し、スコアに優劣をつける(S006)。次に抽出した専門用語と専門的な品詞の構造化IDを生成し、構造化専門用語辞書3-11に登録する(S007)。
【0039】
図12は、専門用語分析管理機能3-8の処理フローである。専門用語分析管理機能3-8は、データベース4と、ファイルのディレクトリ5領域をクローリングし分析データを選定する(S011)。次に、選定データが残っておりすべて分析実施をしていない場合(S012(No))、選出したデータのディレクト構造やファイル名、データベースを構造化IDに変換し管理情報を生成する(S013)。一方、すべて分析が終わった場合(S012(Yes))は動作を終了する。
【0040】
分析対象が存在する場合、ファイルの中身を開き選出したデータの構造化IDとファイルやデータベース内部の情報を形態素解析し用語の前後に余分な(句読点、助詞、接続詞、空白文字、記号など)、専門用語の候補とならない文字が含まれないか確認し不要なら除去し言葉の塊を分ける(S014)。
【0041】
次に、専門用語を文字単位で分解し、登録済の専門用語との差の大きさを測定する。この差はハミング距離などの技法を使い求める。専門用語分析管理機能3-8は、求めた差を、大小比較が可能な距離として識別する(S015)。自然言語や略語を処理するため、専門用語の頭文字をとった略語や、途中文字を間引いた略語を生成し、登録済の専門用語辞書と比較する(S016)。次に、3-11Bの承認スコアのルールに従い、スコアを登録する。処理S015の距離の差を活用し、スコアに優劣をつける(S017)。次に抽出した専門用語と専門的な品詞の構造化IDを生成し、構造化専門用語辞書3-11に登録する(S018)。
【0042】
図13は、構造化専門用語辞書3-11から入力補助辞書1-5を生成するフローである。専門用語分析管理機能3-8は、自らが揺らぎを訂正できる精度を高め、使用される用語にガバナンスを効かせるために入力補助辞書を生成する。先ず、専門用語分析管理機能3-8は、構造化専門用語辞書3-11を取り込み順次定義を読みこむ(S021)。次に、辞書を全部処理したか確認し(S022)、処理すべき定義が存在しない場合(S022(Yes))は動作を終了する。処理すべき定義が存在する場合(S022(No))、次に承認スコアが100か確認する(S023)。100の場合、承認され周知することが可能なレベルであると判断し(S023(Yes))、OSと文字入力機能が指定するデータ形式で、入力補助辞書を出力する(S024)。一方、承認スコアが99未満である場合、周知するほどの信頼性がないと判断し(S023(No))、次の定義を読み込むサイクルに戻る。
【0043】
図14は、入力補助辞書1-5の例である。前述の専門用語分析管理機能3-8による、入力補助辞書生成フロー(S021ないしS024)により生成された情報1-5は、ユーザ9が入力装置を使って入力したときの最初の文字表現である「よみ」情報1-5-1と、漢字やアルファベット返還後の用語1-5-2、ユーザ端末のOSや、文字入力機能が指定する分類情報1-5-3、変換が行われるときの優先度1-5-4等の情報を有している。
【実施例0044】
前述、実施例1では主に、マルチベンダから生成される情報を分析し、構造化専門用語辞書3-11や、ミッション管理情報3-12、入力補助辞書1-5の自動生成及び、それらを使った設備運営自動化システム100の動きを説明した。
【0045】
以降、実施例2では、設備運営自動化システムが選出したミッションや、IDなどが選出した結果の寄与度や支払い情報を管理する方法を示す。
図15は、図1とほぼ同様の構成だが、分析を行うAIや、選出実行されたミッションの寄与度や、寄与度に応じた支払情報等を管理する情報(寄与度と支払情報3-13)が追加されている。
【0046】
図16は、寄与度と支払情報3-13の管理テーブル例である。寄与度と支払情報の管理テーブルは、対象の処理を識別する構造化ID3-13-1と、AIが関与するデータと、ミッション、および出力結果の情報3-13-2、寄与度3-13-3、支払金額3-10-4が管理されている。
【0047】
図17は、設備運営ミッション管理機能3-10が、寄与率と支払情報を計算するフローである。設備運営ミッション管理機能3-10は、ミッションが遂行されたイベントをユーザ端末1や、制御装置6、制御用計算機7より取得すると(S031)、マルチベンダAIや分析プログラムが寄与したかを判定する(S032)。寄与していなければ(S032(No))、更新処理を終了する。もし、寄与するマルチベンダAIや、分析プログラムが存在したら(S032(Yes))、構造化専門用語辞書3-11の使用量、ミッション管理情報3-12の承認スコアの更新と、寄与度と支払情報を更新する(S033)。
【0048】
図18は、マルチベンダにおけるAIや、分析プログラムの寄与度の管理情報をユーザ端末1の表示装置1-1にて表示した例である。
マルチベンダ各社の寄与度と支払画面1-1eでは、寄与したAIや分析アプリのランキングの構造化ID部1-1e-1が表示され、分析アプリのランキングスコア1-1e-2が表示される。構造化ID部1-1e-1もしくはランキングスコア1-1e-2をクリック(1-1e-3)すると、詳細情報が表示される(1-1e―4)。AIが寄与したミッション工程プレビューでは、AIや分析プログラムがミッションのどこに寄与したかをハイライト表示で示す(1-1e-5)。
また、実績から計算したAIの支払額等、ランキングや支払い額の遷移1-1e-6などを表示する。
【実施例0049】
前述、実施例1及び実施例2では主に、設備運営自動化システム100が自動的に稼働する処理を説明した。
【0050】
以降、実施例3では、ユーザ9が設備運営自動化システム100にさらなる情報を入力することで自動運営の精度を向上させる方法を説明する。
【0051】
図19は、ユーザ端末1の表示画面1-1に、設備運営自動化システム100が管理する情報を検索する場合に表示する画面例1-1fである。画面には入力フォームを有し、ユーザ9は検索したい言葉をスペースなど区切り文字を含めて入力することができる。
【0052】
図20は、専門用語分析管理機能3-8が、ユーザからの検索文字列を受けた時の処理フローである。専門用語分析管理機能3-8は、受信した入力文字のスペース部で文字列を分割する(S041)。その後、構造化専門用語辞書3-11、ミッション管理情報3-12、寄与度と支払情報3-13等を検索し、合致する情報を取得する(S042)。候補の情報を、構造目的、ミッション目的、寄与度目的など目的ごとにランキングし、ユーザ端末1に送信する(S043)。専門用語分析管理機能3-8は、検索者の操作ログを部分集合として管理し、構造化IDと関係リンクを自動生成し、構造化専門用語辞書3-11や、ミッション管理情報3-12、寄与度と支払情報3-13等を更新する。
以上の処理ステップにより、承認スコアが更新され、設備運営自動化システムが管理する情報の信頼度がより向上する。
【0053】
図21は、検索結果S043の情報を表示装置1-1に表示した例1-1gである。通常の検索では、結果のランキングは出現頻度や、利用数トレンド等によりランキングされてしまうため、目的別の順位にならない。しかし、設備運営自動化システムは、現状情報等も含めて管理するため、その時にあった目的別のランキング表示を行う。
【0054】
図22は、ユーザにミッション管理情報を提示するとともに、補正を許可する画面の例である。シーン表現1-1h、サンキー表現1-1i、ガントチャート表現1-1jに対してマウスポインタ1-1-1にてクリックすることで修正箇所を指定して修正することができる。修正では、表現の修正、管理テーブルの修正、関係リンクの修正当を行うことができる、削除設定ボタン1-1-3による定義の削除や、確定設定ボタン1-1-2により修正することができる。これらのユーザによる明示的な修正や確定設定により、承認スコアを更新し、管理情報をより精度を高めることができるようになる。
【0055】
上述してきたように、業務で使用する情報の辞書及び、それらが時系列で処理される順序を含むミッションの情報を管理することで、これまでの入力に対する出力しか表示しないAIと異なり、表示や制御を時間軸の概念で早送りや巻き戻しのような相対時刻の次元で情報を扱うことができる。
これにより、設備運営のための時刻情報を含むミッション管理が実現できる。
AIが求める情報や、結果のラベリング管理に構造化IDを使うことで、分析プログラムがどの業務に寄与するのかを管理することができる。
構造化IDを区切り文字単位、さらには文字単位で分解し、間引きや組み合わせを行うことで、人が生成する揺らぎのある略語等を認知し、補正すると共に、業務の自動化を行う事ができるようになる。
また、構造化IDを活用して管理している情報に、人からの入力情報を近づけ、外乱を含む未知の情報を可能な限り既知の情報に修正できるようにするための入力補助辞書を提供することで、分析するための計算機コストを下げると共に、人が介在して認知しなおし、対応付けを処理していた業務を自動化することが可能となる。
【実施例0056】
前述、実施例1では主に、マルチベンダから生成される情報を分析し、構造化専門用語辞書3-11や、ミッション管理情報3-12、入力補助辞書1-5の自動生成及び、それらを使った設備運営自動化システム100の動きを説明した。
【0057】
以降、実施例4では、設備運営自動化システムが、自動運転レベルの変更や運転員のレベルに応じた協調動作をするための実施例について説明する。
図23は、図1とほぼ同様の構成だが、設備運営を自動化するレベルと運転員のスキルレベル対応表3-14が追加されている。
【0058】
図24は、ミッション管理情報3-12に対して、自動化レベルの情報を追加したテーブル3-12Cの例である。本テーブル3-12には、ミッションのID列3-12C-1、ミッションに関係する関係リンク情報3-12C-2、および、自動化レベル3-12C-3列が存在する。
特に、自動化レベルでは、全く人が関与しなくてもよい「ブル自動化」レベル、人は突然の運転権の委譲に対応する必要があるが、目を離してもよい「アイズオフ」。高いスキルを持つ運転員が必要な「スキルA」、低いスキルの運転員でも対応できる「スキルB」が登録されている。これらはミッションを遂行する上で必要となる、自動化レベル要件となる。
【0059】
図25は、自動化レベルと運転員スキルレベル対応情報3-14のうち、自動運転レベルと運転員レベルの組み合わせとして可能な組み合わせを定義したテーブル3-14Aの例である。本テーブル3-14Aは、ミッションのID列3-14A-1、ミッションに関係する関係リンク情報3-14A-2、および、自動運転レベルと運転員レベルの組み合わせとして可能な組み合わせ3-14A-3列が存在する。
【0060】
図26は、運転員スキルレベルと対応したガイダンスヒントの構造化IDの階層を定義したテーブル3-14Bの例である。本テーブル3-14Bには、運転員の識別ID3-14B-1と、その運転員が有する運転資格の対象設備の定義列3-14B-2、運転員のレベル定義列3-14B-3、各運転員の運転資格と運転レベルを考慮したガイダンスヒントの定義列3-14B-4が存在する。
特にガイダンスヒントは、マニュアルや資格試験問題の重要部位の表現用語を取り除き、虫食い状態のガイダンス情報を生成し、虫食い状態の箇所に当てはまる言葉のヒントを、表示するときに構造化専門品詞に置き換え、どの階層まで詳細化したヒントを提供するかを設定する情報である。
【0061】
構造化ID1階層とすると「共通根ID」しかヒントが出ないため、ほぼヒントはない状態である。「構造化ID2階層」から「構造化ID5階層」へと構造化IDが長くなるほど、詳しいヒントが表示される。
【0062】
自動化レベルと運転員スキルレベル対応情報3-14において運転員Aは対象設備に対するスキルがあまり高くなく運転員レベルがスキルBであるため、ガイダンスヒントにおける構造化IDの階層3-14B-4aは、5階層となっている。
一方、運転員Bは対象設備に対するスキルが高く運転員レベルがスキルAとなっているためガイダンスヒントは少なく、構造化IDの階層3-14B-4bは、3階層となっている。
別紙詳細とは、マニュアルには表示しきれない、別冊の詳解情報へも情報をたどっていきガイダンスを表示することを示している。
【0063】
図27は、ユーザ端末1の表示装置1-1において、ミッション管理情報3-14に自動運転レベル及び、担当オペレータの対応を表示装置1-1に表示した画面例である。シーン表現1-1kでは、ミッションに関係する情報と共に自動運転レベル「運転レベル/アイズオフ」が表示されており、運転員Aと運転員Bと共同で設備運営をする予定になっていることが表示されている。修正はマウスポインタ1-1-1にて対象を指定して修正操作を行い、確定設定ボタン1-1-2、もしくは削除設定ボタン1-1-3にて編集を確定させる。
【0064】
ガントチャート表現1-1mでは、自動運転レベルや、運転員のカテゴリも構造化スイムレーンにて示されており、時系列での作業において自動運転と運転員のかかわりを確認することができる。
【0065】
図28は、自動運転レベルとオペレータのレベルに合わせたガイダンスを虫食い状態で表示し、オペレータのレベルに合わせたヒントが表示されている画面例である。
設備運営ミッション管理機能3-10は、ユーザ端末1に対し、現在の実行状況を送信し、表示端末1-1の画面1-1nにおいて、その現在実行位置が1-1-4のカーソルに表示されている。
画面1-1pは、運転員A向けガイダンス画面の例を示している。自動化レベルと運転員スキルレベル対応情報3-14において運転員Aは対象設備に対するスキルがあまり高くなく運転員レベルがスキルBであるため、ガイダンスヒントにおける構造化IDの階層3-14B-4aは、5階層となっている。そのため、運転員A向けガイダンス画面では、ヒントが「共通根ID/C1/Aセクション/計測設備種別/超音波センサ/I1」の6階層の情報中5階層の「共通根ID/C1/Aセクション/計測設備種別/超音波センサ/*」として5階層まで明記されており、6階層目は「*」文字で隠されたガイダンスが生成されている。
【0066】
一方、画面1-1qは、運転員B向けガイダンス画面の例を示している。自動化レベルと運転員スキルレベル対応情報3-14において運転員Bは対象設備に対するスキルが高く運転員レベルがスキルAとなっているためガイダンスヒントは少なく、対象設備名称だけでなく、確認閾値も虫食いで隠されたガイダンスが生成されている。自動化レベルと運転員スキルレベル対応情報3-14において運転員Bにおける構造化IDの階層3-14B-4aは、3階層となっている。そのため、運転員B向けガイダンス画面では、ヒントが「共通根ID/C1/Aセクション/計測設備種別/超音波センサ/I1」の6階層の情報中3階層の「共通根ID/C1/Aセクション/*」として3階層まで明記されており、それ以降は「*」文字で隠されたガイダンスが生成されている。
【0067】
この虫食いガイダンスは、設備運営ミッション管理機能3-10が設備自動運営で使用するパラメータ情報を理解しているため、虫食い問題が生成できる。これにより、ガイダンス情報により、人と設備自動運営システムは、同様の人間の言語による思考に即した概念で、プラント運営を自動的に実施し、場合によっては人に対してその操作を移譲することができるようになる。
【0068】
このように、運転者のレベルに応じて、ガイダンスの情報量を調整することができる。さらに、運転員に要求される運転スキルのレベルに応じて、マニュアル文書から構造化IDに対応する用語等を欠落させることで、欠落部分の知識を問う教育用文書を作成することができる。そして、運転員に当該運転員のレベルに応じた教育用文書を提示して欠落部分の入力を要求し、入力結果に基づいて運転員のレベルを更新することで、運転員の教育と評価を効率的に行うことができる。
【0069】
図29は、自動レベルと運転員レベル管理による設備運営自動化処理と、運転レベル及び運転員のレベルに合わせたガイダンス内容の自動生成のフローである。
設備運営ミッション管理機能3-10は、制御装置6や、制御用計算機7から受信する実行状況を、ミッション管理情報3-12にて管理する、現在実行中のミッションに対応付け、実行箇所を選定する(S051)。
【0070】
設備運営ミッション管理機能3-10は、画面1-1gを表示するのに必要な情報を生成し、ユーザ端末1に送信する(S052)。
設備運営ミッション管理機能3-10は、ミッション管理情報3-12にて管理しているミッションの実行箇所に対する相対時刻を一つ未来に進めた箇所の情報を取得する(S053)。
【0071】
設備運営ミッション管理機能3-10は、ミッション管理情報3-12から取得した実行箇所に対する相対時刻を一つ未来に進めた箇所の情報にの関係設備を関係リンク情報3-12C-2より取得する(S054)。
設備運営ミッション管理機能3-10は、自動化レベルと運転員スキルレベル対応情報3-14より、関係設備に対する運転員レベル3-14A-3を確認し、現在の自動運転レベルと、ユーザ端末1を活用しているユーザのスキルレベルが一致しているか確認する(S055)。
【0072】
設備運営ミッション管理機能3-10は、運転員レベル3-14A-3と現在運転している運転員レベルが一致しているか、もしくは包含できる運転員レベルか確認する(S056)。
もし、運転員レベル3-14A-3と現在運転している運転員レベルが一致していない、もしくは包含できる運転員レベルでない場合は(S056(No))、運転レベルが合致する運転員をリスト化し招集するように指示を出す。運転員が招集できない場合は、設備運営ミッション管理機能3-10は自動化レベルと運転員スキルレベル対応情報3-14を検索し、現在の運転員で運転できるモードを選択し、自動運転レベルを変更する(S037)。
【0073】
もし、運転員レベル3-14A-3と現在運転している運転員レベルが一致している、もしくは包含できる運転員レベルである場合は(S056(Yes))、設備運営ミッション管理機能3-10は、ユーザ端末1を用いている各ユーザの運転員IDより、対象ガイダンスを表示するためのガイダンスヒント3-13-B-4を取得し、ミッション情報と、設備自動運営用制御情報の関係を認知し、人間が制御を認知する情報と、自動制御用命令を融合させ、運転員の運転レベルに応じたガイダンスを生成する(S058)。
その後、設備運営ミッション管理機能3-10は、各ユーザのユーザ端末1に対して、
それぞれ生成した運転レベルに応じたガイダンス情報を送信する(S059)。
これらS051ないし、S059の処理を繰り返すことにより、設備運営ミッション管理機能は、運転レベルの制御と運転員へのレベルに応じたガイダンスを生成し、設備運営自動化と運転員との連携及び、運転員のレベル向上を両立させる処理を実行する。
【0074】
上述してきたように、業務で使用する情報の辞書及び、それらが時系列で処理される順序を含むミッションの情報を管理することで、設備運営自動化で担う制御命令と、人が認識して操作する内容の関係を管理することができるようになる。
さらに、ミッション情報を虫食いにするガイダンスを生成させることで、設備運営自動化システムが自動化している部位と、人に操作が移譲される可能性がある設備対象、操作方法、判断基準、制御目標価、制御目標状態などを機械と運転員双方が認識することができるようになる。
ミッション情報を運転員のレベルに合わせて虫食いにする箇所、およびヒント抽象度や具体度合いを制御するために構造化IDの長さの調整を行うことで、運転員レベルに合わせたガイダンスを生成することができる。
【0075】
本システムでは、別紙参照といった、1つのミッション情報には書ききれない相互関係も管理するため、スキルの高い運転人には別紙参照の情報を出さない、もしくは、ミッション情報も節や章といった抽象度の高いガイダンスしか出さないという処理ができ、スキルの高い運転員の思考の速さに合わせたガイダンスが可能となる。
一方で、スキルが低い運転員には別紙参照といった1つのミッション情報には書ききれない相互関係も追って表示し、章や節の階層構造を深くたどって、細かい運転指示をガイダンスするまで動作し、設備運営自動化が実施可能な範囲を詳細に確認することもできる。
【0076】
画面1-1pおよび、画面1-1qの虫食い箇所は、実際にこたえを入力することが可能で、入力補助辞書1-5のサポートを使いながら、答え合わせをすることができる。この時、入力補助辞書には虫食い問題の答えとなる選択肢が登録されているため、人の思考と設備運営自動化システムの扱う情報をガイダンスと教育問題を通しながら一致させていくことができるようになる。
さらに、表示や制御を時間軸の概念で早送りや巻き戻しのような相対時刻の次元で情報を扱うことができる。
これにより、設備運営のための時刻情報を含むミッション管理が実現できる。
【0077】
各実施例により説明してきたように、開示の設備運営自動化システムは、記憶装置としてのファイルサーバ5と、演算装置としてのサーバ3、と、設備運営に関する機器の制御を行う制御装置6を、備える設備運営システムである。
ファイルサーバ5は、少なくとも機器管理に関するデータ及び機器の実績データを含む複数の種類の既存データと、前記複数の種類の既存データのパス構造に関する情報と、設備運営における複数の業務に関する情報であるミッション情報と、前記ミッション情報のパス構造に関する情報と、を格納する。
サーバ3は、前記複数の種類の既存データ及び前記複数の種類の既存データのパス構造に基づいて、前記複数の種類の既存データに含まれる用語のデータ意味に関する情報を抽出し、抽出された当該データ意味に関する情報に基づいて、複数の前記用語間の関連度に関する情報を生成し、前記ミッション情報、前記ミッション情報のパス構造及び前記用語間の関連度に関する情報に基づいて、設備運営に関する複数の業務それぞれの意味に関する情報と前記複数の業務の時系列の情報と、を含むミッション管理情報3-12を生成し、前記制御装置から取得した情報及び前記ミッション管理情報3-12に基づいて、実施予定の業務を特定し、特定した前記実施予定の業務及び前記ミッション管理情報3-12に基づいて前記制御装置6の制御指示データを生成し、当該制御指示データを前記制御装置6へ送信する。
かかる構成及び動作により、マルチベンダを連携させ、人の介在が必要だったプラントなどの設備運営の自動化に寄与することができる。
【0078】
また、前記複数の種類の既存データである業務データは、前記業務に用いられる表現における用語と、意味を識別する構造化された識別情報とを含み、前記構造化された識別情報は、階層構造のディレクトリ、データベーススキーマの表、データベーススキーマの列および行識別子、マニュアル文書の章節構造における包含関係のうち、少なくともいずれかに基づく構造化包含関係を示す。
サーバ3は、前記構造化包含関係を用いて、前記用語の意味の辞書である構造化専門用語辞書3-11を作成する。
このため、従来の形態素解析では対応できなかった専門用語の辞書を自動生成することができる。
【0079】
また、サーバ3は、前記識別情報を文字単位で分解し、間引きの実行及び/又は略語の自動生成を行って、表現における用語と構造化された識別情報を比較し、比較情報同士の差分を符号距離として求めて、前記業務データ間の関係を評価する。
このため、的確なデータ意味を自動的に特定することができる。
【0080】
また、サーバ3は、包含関係を表す区切り文字入りの文字列の識別子の連結個数を調整して比較し、表現における用語と意味を識別する構造化された識別情報が完全一致しなくても意味を解釈し、辞書を生成する。
このため、同一の意味で用いられる用語の揺らぎを補正することができる。
【0081】
また、サーバ3は、前記制御装置6、制御用計算機7、及び/又はユーザ端末1からの入力をトリガーとし、実行すべき業務情報の優先度を構造化識別情報の一致率に基づいて決定し、入力された情報に対応する情報として出力する。
このため、入力された情報と生成済みの構造化識別情報との差分を評価し、出力することができる。
【0082】
また、サーバ3は、ユーザ端末1から補正及び/又は承認が行われた業務を認知して選出優先度を制御し、自動生成されたが無承認の情報よりも、承認が行われた業務を優先的に選出して実行する。
このため、ユーザの入力により業務の評価を修正し、ユーザが行っていた作業を忠実に自動化することができる。
【0083】
また、サーバ3は、前記ユーザ端末1、前記制御装置6、及び/又は制御用計算機7からの実行情報より、複数のベンダから供給された複数の分析プログラムについて、業務自動化に寄与した分析プログラムの種類と評価軸および寄与率を管理し、選出業務の選出優先度を制御する。
さらに、サーバ3は、分析プログラムの寄与率を基に、前記ベンダに対する支払額を計算することができる。
このため、マルチベンダ環境において、複数のプログラムを比較評価し、ベンダへの支払い等に反映させることができる。
【0084】
また、サーバ3は、ユーザ端末1、前記制御装置6、制御用計算機7からの実行情報より、現在の実施している業務と、将来実施すべき業務を認知し、業務に必要な自動運転レベルと運転員の運転スキルのレベルを管理するテーブル(スキルレベル対応表3-14)を持つ。
さらに、サーバ3は、ユーザ端末、前記制御装置、制御用計算機からの実行情報より、現在の実施している業務と、将来実施すべき業務を認知し、運転員の運転スキルのレベルと前記構造化された識別情報により特定されるガイダンスヒント情報とを対応付けて管理するテーブル(3-14B)を持つ。
そして、サーバ3は、自動運転レベルと、運転員の運転スキルのレベルが一致しない場合に、一致する運転員を招集する指示を出すことができる。
また、サーバ3は、自動運転レベルと、運転員の運転スキルのレベルが一致しない場合に、自動運転レベルを運転員のスキルのレベルに合わせて自動変更することができる。
このため、機械による制御が困難な場合は、自動運転レベルと運転員の運転スキルのレベルを一致させ、自動運転から運転員による運転への移行が必要となった場合に、運転員の運転スキルに応じた円滑な移行を行わせることができ、機械と人の相互運営を実現する。
【0085】
また、サーバ3は、前記設備運営に関する機器の運転員に要求される運転スキルのレベルに応じて、マニュアル文書から前記構造化された識別情報に対応する部分を欠落させることで、欠落部分の知識を問う教育用文書を作成することができる。
さらに、サーバ3は、運転員に運転スキルのレベルを対応付けてさらに管理し、前記運転員に当該運転員のレベルに応じた前記教育用文書を提示して欠落部分の入力を要求し、入力結果に基づいて前記運転員のレベルを更新することができる。
このため、運転員の教育と評価を効率化することができる。
【0086】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、かかる構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
【符号の説明】
【0087】
1:ユーザ端末、1-1:表示装置、1-2:ディスク、1-3:CPU、1-4:主記憶装置、1-5:入力補助辞書、2:サーバシステム、3:サーバ、3-1:CPU、3-2:メモリ、3-3:ネットワークインターフェースカード(NIC)、3-4:ディスクコントローラ、3-5:ディスク、3-6:バス、3-7:OS、3-8:専門用語分析管理機能、3-9:データモデル・API分析管理機能、3-10:設備運営ミッション管理機能、3-11:構造化専門用語辞書、3-12:ミッション管理情報、3-13:寄与度と支払情報、4:データベースストレージ、5:ファイルサーバ、5-1:ディレクトリID、5-a:履歴データ、5-b:API定義、5-c:ミッション情報、
9:ユーザ、100:設備運営自動化システム
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