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特開2023-154611画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラム
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  • 特開-画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラム 図1
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  • 特開-画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラム 図15
  • 特開-画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラム 図16
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154611
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/04 20060101AFI20231013BHJP
   H04N 1/12 20060101ALI20231013BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B65H7/04
H04N1/12
H04N1/00 567M
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064050
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 俊輔
【テーマコード(参考)】
3F048
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
3F048AA08
3F048AB02
3F048BA03
3F048BB02
3F048BC04
3F048CA02
3F048CA05
3F048CB03
3F048DA01
3F048DB11
3F048DB13
3F048DC13
3F048EB02
5C062AA05
5C062AA35
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB17
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB30
5C062AB31
5C062AB32
5C062AB33
5C062AB35
5C062AB41
5C062AB43
5C062AB44
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC11
5C062AC27
5C062AC34
5C062AC60
5C062AC70
5C062AE15
5C062AF09
5C062AF14
5C072AA01
5C072BA05
5C072CA05
5C072DA02
5C072DA25
5C072EA05
5C072EA06
5C072EA07
5C072NA01
5C072NA04
5C072RA02
5C072UA06
5C072UA14
5C072WA02
5C072XA01
5C072XA04
(57)【要約】
【課題】載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を精度良く推定することが可能な情報処理装置、画像読取装置、推定方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】画像読取装置は、載置台と、載置台に載置された複数の媒体を順次搬送するローラと、ローラにより搬送された媒体を撮像する撮像部と、特定の間隔毎に、載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する検出部と、検出部により特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定する推定部と、推定部により推定された残数又は撮像完了時間を出力する出力制御部と、を有する。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像読取装置と、情報処理装置と、を有し、
前記複数の画像読取装置のそれぞれは、
載置台と、
前記載置台に載置された複数の媒体を順次搬送するローラと、
前記ローラにより搬送された媒体を撮像する撮像部と、
特定の間隔毎に、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する検出部と、
前記検出部により前記特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、前記載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定する推定部と、
前記推定部により推定された残数又は撮像完了時間を前記情報処理装置に送信する送信部と、を有し、
前記情報処理装置は、
前記複数の画像読取装置のそれぞれから前記残数又は前記撮像完了時間を受信する受信部と、
前記受信部により受信された残数又は撮像完了時間を表示する表示制御部と、
を有することを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記載置台は、上昇可能に設けられ、
前記載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、前記載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体が前記ローラと当接する位置に前記載置台が配置されるように前記載置台を制御する制御部をさらに有し、
前記検出部は、前記載置台の配置位置に基づいて、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、媒体の搬送開始前に、前記載置台を利用者が媒体を載置するための初期位置に配置し、
前記載置台の移動量を検出するためのセンサをさらに有し、
前記検出部は、前記初期位置からの前記移動量に基づいて、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する、請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記載置台との間の距離を検出するためのセンサをさらに有し、
前記検出部は、前記距離に基づいて、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する、請求項2に記載の画像処理システム。
【請求項5】
媒体を透過する超音波の透過強度を検出するための超音波センサをさらに有し、
前記検出部は、
前記透過強度に基づいて、媒体毎の厚さを検出し、
前記検出した媒体毎の厚さに基づいて、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する、請求項1または2に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記検出部は、所定数の媒体のそれぞれの厚さのトリム平均により、媒体毎の厚さを検出する、請求項1または2に記載の画像処理システム。
【請求項7】
前記推定部は、特定の数の媒体が搬送される間に前記検出部により検出された厚さの変化量に基づいて、前記残数又は前記撮像完了時間を補正する、請求項1または2に記載の画像処理システム。
【請求項8】
載置台と、
前記載置台に載置された複数の媒体を順次搬送するローラと、
前記ローラにより搬送された媒体を撮像する撮像部と、
特定の間隔毎に、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する検出部と、
前記検出部により前記特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、前記載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定する推定部と、
前記推定部により推定された残数又は撮像完了時間を出力する出力制御部と、
を有することを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
前記載置台は、上昇可能に設けられ、
前記載置台に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、前記載置台に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体が前記ローラと当接する位置に前記載置台が配置されるように前記載置台を制御する制御部をさらに有し、
前記検出部は、前記載置台の配置位置に基づいて、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する、請求項8に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記制御部は、媒体の搬送開始前に、前記載置台を利用者が媒体を載置するための初期位置に配置し、
前記載置台の移動量を検出するためのセンサをさらに有し、
前記検出部は、前記初期位置からの前記移動量に基づいて、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する、請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記載置台との間の距離を検出するためのセンサをさらに有し、
前記検出部は、前記距離に基づいて、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する、請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項12】
媒体を透過する超音波の透過強度を検出するための超音波センサをさらに有し、
前記検出部は、
前記透過強度に基づいて、媒体毎の厚さを検出し、
前記検出した媒体毎の厚さに基づいて、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する、請求項8または9に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記検出部は、所定数の媒体のそれぞれの厚さのトリム平均により、媒体毎の厚さを検出する、請求項8または9に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記推定部は、特定の数の媒体が搬送される間に前記検出部により検出された厚さの変化量に基づいて、前記残数又は前記撮像完了時間を補正する、請求項8または9に記載の画像読取装置。
【請求項15】
ローラにより、載置台に載置された複数の媒体を順次搬送し、
撮像部により、前記ローラにより搬送された媒体を撮像し、
特定の間隔毎に、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出し、
前記特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、前記載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定し、
前記推定された残数又は撮像完了時間を出力する、
ことを特徴とする推定方法。
【請求項16】
載置台と、前記載置台に載置された複数の媒体を順次搬送するローラと、前記ローラにより搬送された媒体を撮像する撮像部と、を有する画像読取装置の制御プログラムであって、
特定の間隔毎に、前記載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出し、
前記特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、前記載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定し、
前記推定された残数又は撮像完了時間を出力する、
ことを前記画像読取装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、載置台に載置された複数の媒体を順次搬送し撮像するスキャナ等の画像読取装置を複数用いて、媒体を撮像した画像を管理する画像処理システムが利用されている。このような画像処理システムでは、利用者が効率よく画像読取装置を利用できるように、各画像読取装置の載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を利用者に通知することが求められている。
【0003】
原稿トレーに載置された原稿の重量を検出し、検出値に基づいて原稿の枚数を判定する原稿読取り記録装置が開示されている(特許文献1を参照)。この原稿読取り記録装置は、給送した原稿の枚数と、原稿給送の前後における原稿トレーに載置された原稿の重量の差とから原稿トレーに載置された原稿の枚数を判定し、判定された原稿の枚数から複写完了時間を算出して表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-348137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像読取装置では、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を精度良く推定できることが求められている。
【0006】
本発明の目的は、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を精度良く推定することが可能な画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る画像処理システムは、複数の画像読取装置と、情報処理装置と、を有し、複数の画像読取装置のそれぞれは、載置台と、載置台に載置された複数の媒体を順次搬送するローラと、ローラにより搬送された媒体を撮像する撮像部と、特定の間隔毎に、載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する検出部と、検出部により特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定する推定部と、推定部により推定された残数又は撮像完了時間を情報処理装置に送信する送信部と、を有し、情報処理装置は、複数の画像読取装置のそれぞれから残数又は撮像完了時間を受信する受信部と、受信部により受信された残数又は撮像完了時間を表示する表示制御部と、を有する。
【0008】
本発明の一側面に係る画像読取装置は、載置台と、載置台に載置された複数の媒体を順次搬送するローラと、ローラにより搬送された媒体を撮像する撮像部と、特定の間隔毎に、載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出する検出部と、検出部により特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定する推定部と、推定部により推定された残数又は撮像完了時間を出力する出力制御部と、を有する。
【0009】
本発明の一側面に係る推定方法は、ローラにより、載置台に載置された複数の媒体を順次搬送し、撮像部により、ローラにより搬送された媒体を撮像し、特定の間隔毎に、載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出し、特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定し、推定された残数又は撮像完了時間を出力する。
【0010】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、載置台と、載置台に載置された複数の媒体を順次搬送するローラと、ローラにより搬送された媒体を撮像する撮像部と、を有する画像読取装置の制御プログラムであって、特定の間隔毎に、載置台に載置されている媒体全体の厚さを検出し、特定の間隔毎に検出された厚さに基づいて、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定し、推定された残数又は撮像完了時間を出力することを画像読取装置に実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラムは、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を精度良く推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像処理システム1の一例の構成図である。
図2】画像読取装置100を示す斜視図である。
図3】画像読取装置100を示す斜視図である。
図4】画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図5】載置台103の駆動機構等について説明するための模式図である。
図6】ピックローラ115等について説明するための模式図である。
図7】画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
図8】第1記憶装置150及び第1処理回路160の概略構成を示す図である。
図9】情報処理装置200の概略構成を示すブロック図である。
図10】第2記憶装置210及び第2処理回路220の概略構成を示す図である。
図11】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図12】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図13】表示画面1300の一例を示す模式図である。
図14】表示処理の動作の例を示すフローチャートである。
図15】表示画面1500の一例を示す模式図である。
図16】他の実施形態に係る第1処理回路360の概略構成を示す図である。
図17】他の実施形態に係る第2処理回路420の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一側面に係る画像処理システム、画像読取装置、推定方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0014】
図1は、実施形態に従った画像処理システム1の一例の構成図である。
【0015】
画像処理システム1は、複数の画像読取装置100と、情報処理装置200とを有する。複数の画像読取装置100及び情報処理装置200は、ネットワークNを介して、相互に通信接続されている。画像読取装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像するイメージスキャナ等である。媒体は、用紙、薄紙、厚紙又はカード等である。画像読取装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。情報処理装置200は、パーソナルコンピュータ、ノート型パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン等である。情報処理装置200は、クラウドネットワークに設けられたサーバ等でもよい。ネットワークNは、インターネット、イントラネット等である。
【0016】
図2及び図3は、画像読取装置100を示す斜視図である。
【0017】
図2及び図3において矢印A1は略鉛直方向(高さ方向)を示し、矢印A2は媒体搬送方向を示し、矢印A3は媒体排出方向を示し、矢印A4は媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3と直交する幅方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A2又は媒体排出方向A3の下流のことをいう。
【0018】
画像読取装置100は、第1筐体101、第2筐体102、載置台103、サイドガイド104、排出台105、第1操作装置106及び第1表示装置107等を備える。
【0019】
第2筐体102は、第1筐体101の内側に配置され、媒体つまり時、又は、画像読取装置100内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより第1筐体101に回転可能に係合している。
【0020】
載置台103は、いわゆるホッパであり、載置面103aを有し、搬送される媒体を載置可能に第1筐体101に係合している。載置台103は、第1筐体101及び第2筐体102の媒体供給側の側面に、高さ方向A1に移動可能に、即ち上昇及び下降可能に設けられる。図2に示すように、載置台103は、媒体を搬送していないときは媒体が容易に載置されるように下端の位置に配置される。以下では、図2に示すように、媒体が搬送されておらず且つ利用者が媒体を載置するための載置台103の位置を初期位置と称する場合がある。一方、図3に示すように、載置台103は、媒体を搬送するときは最も上側に載置された媒体が、後述するピックローラと当接する位置まで上昇する。なお、図3では、視認性を高めるために、媒体の表示は省略されている。以下では、図3に示すように、最も上側に載置された媒体がピックローラと当接し且つ媒体を搬送可能な載置台103の位置を搬送位置と称する場合がある。
【0021】
サイドガイド104は、載置台103の載置面103a上に、幅方向A4に移動可能に設けられる。サイドガイド104は、載置台103に載置された媒体の幅に合わせて位置決めされ、媒体の幅方向を規制する。図2に示す例では、二つのサイドガイド104が、幅方向A4に間隔を空けて配置されている。サイドガイド104の数は一つでもよい。
【0022】
排出台105は、第2筐体102上に形成される。排出台105は、第1筐体101及び第2筐体102の排出口から排出された媒体を載置する。
【0023】
第1操作装置106は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。第1表示装置107は、出力部の一例である。第1表示装置107は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。なお、第1表示装置107は、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイでもよい。その場合、第1操作装置106は、タッチパネルから入力信号を取得するインタフェース回路を有する。
【0024】
図4は、画像読取装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0025】
画像読取装置100内部の搬送経路は、第1媒体センサ111、変位センサ112、載置台センサ113、測距センサ114、ピックローラ115、ピックローラセンサ116、給送ローラ117、分離ローラ118、超音波センサ119、第1~第6搬送ローラ120a~f、第1~第6従動ローラ121a~f、第2媒体センサ122及び撮像装置123等を有している。
【0026】
なお、ピックローラ115、給送ローラ117、分離ローラ118、第1~第6搬送ローラ120a~f及び/又は第1~第6従動ローラ121a~fのそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ117、分離ローラ118、第1~第6搬送ローラ120a~f及び/又は第1~第6従動ローラ121a~fは、それぞれ幅方向A4に間隔を空けて並べて配置される。
【0027】
第1筐体101の、第2筐体102と対向する面は媒体搬送路の第1ガイド101aを形成し、第2筐体102の、第1筐体101と対向する面は媒体搬送路の第2ガイド102aを形成する。
【0028】
第1媒体センサ111は、載置台103に、即ち給送ローラ117及び分離ローラ118より上流側に配置され、載置台103における媒体の載置状態を検出する。第1媒体センサ111は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサにより、載置台103に媒体が載置されているか否かを判別する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。なお、第1媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、第1媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0029】
変位センサ112は、センサの一例である。変位センサ112は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。変位センサ112は、第1筐体101の媒体供給側の側面に、且つ、載置台103の載置面103aの裏面と対向するように固定して配置される。即ち、変位センサ112は、初期位置に配置された載置台103より下方に配置される。変位センサ112は、発光器及び受光器を含む。発光器は、LED(Light Emitting Diode)等であり、上方に向けて、即ち載置台103の載置面103aの裏面に向けて光(赤外光)を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、載置面103aの裏面で反射した光を受光する。変位センサ112は、受光器が受光した光に応じた電気信号である変位信号を生成して出力する。
【0030】
変位信号は、発光器が光を照射してから受光器が光を受光するまでの時間及び受光器が受光した光の光量を示す。したがって、変位信号は、変位センサ112から載置台103までの距離に応じて変化する。即ち、変位センサ112は、載置台103との間の距離を検出し、載置台103の移動量を検出する。なお、載置面103aの裏面において、発光器及び受光器と対向する位置には、ミラー等の反射部材が設けられてもよい。また、発光器及び受光器の何れか一方は載置面103aの裏面に配置され、発光器及び受光器は相互に対向するように設けられてもよい。
【0031】
測距センサ114は、センサの一例である。測距センサ114は、赤外線近接距離センサであり、赤外線の照射から反射までの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。測距センサ114は、第2筐体102に、載置台103の載置面103aと対向するように固定して配置される。即ち、測距センサ114は、搬送位置に配置された載置台103より上方に配置される。特に、測距センサ114は、載置台103上で媒体が載置されない領域、即ち幅方向A4において、最も外側に配置されたサイドガイド104より外側の領域と対向するように配置される。測距センサ114は、発光器及び受光器を含む。発光器は、LED等であり、下方に向けて、即ち載置台103の載置面103aに向けて光(赤外光)を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、載置面103aで反射した光を受光する。測距センサ114は、受光器が受光した光に応じた電気信号である測距信号を生成して出力する。
【0032】
測距信号は、発光器が光を照射してから受光器が光を受光するまでの時間及び受光器が受光した光の光量を示す。したがって、測距信号は、測距センサ114から載置面103aまでの距離に応じて変化する。即ち、測距センサ114は、載置台103との間の距離、特に載置面103aとの間の距離を検出し、載置台103の移動量を検出する。なお、載置面103aにおいて、発光器及び受光器と対向する位置には、ミラー等の反射部材が設けられてもよい。また、発光器及び受光器の何れか一方は載置面103aに配置され、発光器及び受光器は相互に対向するように設けられてもよい。
【0033】
ピックローラ115は、ローラの一例である。ピックローラ115は、第2筐体102に設けられ、媒体搬送路と略同一の高さまで上昇した載置台103に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接して、その媒体を下流側に向けて搬送する。これにより、ピックローラ115は、載置台103に載置された複数の媒体を順次搬送する。
【0034】
給送ローラ117は、第2筐体102内に、ピックローラ115より下流側に設けられ、載置台103に載置されてピックローラ115により搬送された媒体をさらに下流側に向けて給送する。分離ローラ118は、第1筐体101内に、給送ローラ117と対向して設けられる。分離ローラ118は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられる。給送ローラ117及び分離ローラ118は、媒体の分離動作を行い、媒体を分離して一枚ずつ給送する。給送ローラ117は、分離ローラ118に対して上側に配置されており、画像読取装置100は、いわゆる上取り方式により媒体を給送する。
【0035】
超音波センサ119は、給送ローラ117より下流側且つ第1搬送ローラ120aより上流側に配置される。超音波センサ119は、超音波発信器119a及び超音波受信器119bを含む。超音波発信器119a及び超音波受信器119bは、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。超音波発信器119aは、超音波を発信する。一方、超音波受信器119bは、超音波発信器119aにより発信され、媒体を透過した超音波を受信し、受信した超音波に応じた電気信号である超音波信号を生成して出力する。即ち、超音波信号は、媒体を透過する超音波の透過強度を示し、超音波センサ119は、媒体を透過する超音波の透過強度を検出する。複数の媒体が重なって搬送される場合、媒体を透過する超音波は、重なって搬送される媒体の間の空気層で減衰する。また、媒体を透過する超音波は、その媒体の厚さが大きいほど減衰する。したがって、画像読取装置100は、超音波信号に基づいて、媒体の重送を検出するとともに、媒体の厚さを検出することができる。
【0036】
第1~第6搬送ローラ120a~f及び第1~第6従動ローラ121a~fは、給送ローラ117及び分離ローラ118より下流側に、それぞれ相互に対向して設けられ、給送ローラ117及び分離ローラ118により給送された媒体を下流側に向けて搬送する。第6搬送ローラ120f及び第6従動ローラ121fは、媒体を排出台105に排出する。
【0037】
第2媒体センサ122は、その配置位置に搬送された媒体を検出する。第2媒体センサ122は、媒体搬送方向A2において第2搬送ローラ120bより下流側、即ち給送ローラ117より下流側に、且つ撮像装置123より上流側に配置される。第2媒体センサ122は、媒体搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、媒体搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられた導光管とを含む。発光器は、LED等であり、媒体搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射され、導光管により導かれた光を受光する。第2媒体センサ122は、受光器が受光する光の強度に基づいて、第2媒体センサ122の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0038】
なお、第2媒体センサ122は、第2搬送ローラ120b又は第1搬送ローラ120aより上流側に配置されてもよい。また、導光管の代わりに、ミラー等の反射部材が使用されてもよい。また、発光器及び受光器は、媒体搬送路を挟んで対向して設けられてもよい。また、第2媒体センサ122は、媒体が接触している場合、又は、媒体が接触していない場合に所定の電流を流す接触検知センサ等により、媒体の存在を検出してもよい。
【0039】
撮像装置123は、撮像部の一例である。撮像装置123は、媒体搬送方向A2において、第1~第2搬送ローラ120a~bより下流側に配置される。撮像装置123は、ピックローラ115、給送ローラ117、分離ローラ118、第1~第2搬送ローラ120a~b及び第1~第2従動ローラ121a~bにより搬送された媒体を撮像する。撮像装置123は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置123a及び第2撮像装置123bを含む。
【0040】
第1撮像装置123aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置123aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置123aは、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0041】
同様に、第2撮像装置123bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置123bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置123bは、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0042】
なお、画像読取装置100は、第1撮像装置123a及び第2撮像装置123bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0043】
載置台103に載置された媒体は、ピックローラ115、給送ローラ117がそれぞれ媒体給送方向A5、A6に回転することによって、第1ガイド101aと第2ガイド102aの間を媒体搬送方向A2に向かって搬送される。画像読取装置100は、給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有する。給送モードは、利用者により第1操作装置106又は画像読取装置100と通信接続する情報処理装置200を用いて設定される。給送モードが分離モードに設定されている場合、分離ローラ118は、矢印A7の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転又は停止する。これにより、分離された媒体以外の媒体の給送が制限される(重送の防止)。一方、給送モードが非分離モードに設定されている場合、分離ローラ118は、矢印A7の反対方向、即ち媒体給送方向に回転する。
【0044】
媒体は、第1ガイド101aと第2ガイド102aによりガイドされながら、第1~第2搬送ローラ120a~bが矢印A8~9の方向に回転することによって、撮像装置123の撮像位置に送り込まれ、撮像装置123によって撮像される。さらに、媒体は、第3~第6搬送ローラ120c~fがそれぞれ矢印A10~13の方向に回転することによって排出台105上に排出される。
【0045】
図5は、載置台103の駆動機構及び載置台センサ113について説明するための模式図である。
【0046】
図5に示すように、画像読取装置100は、さらに第1モータ131及び伝達機構132を有する。
【0047】
第1モータ131は、後述する処理回路からの制御信号によって、載置台103を上昇させるための第1駆動力、及び、載置台103を下降させるための第2駆動力を発生させる。
【0048】
伝達機構132は、第1モータ131からの駆動力を載置台103に伝達する。伝達機構132は、ベルト133、第1~第5ギア134a~134e及びラック135等を有する。
【0049】
第1モータ131の回転軸と、第1ギア134aのプーリ部分との間には、ベルト133が張架される。第1ギア134aのギア部分は、第2ギア134bの大きい方のギア部分と歯合される。第2ギア134bの小さい方のギア部分は、第3ギア134cの大きい方のギア部分と歯合される。第3ギア134cの小さい方のギア部分は、第4ギア134dと歯合される。第4ギア134dは、第5ギア134eの大きい方のギア部分と歯合される。第5ギア134eの小さい方のギア部分は、ピニオンとして機能し、ラック135と歯合される。ラック135は、歯切りされた面が、第5ギア134eの小さい方のギア部分と対向し、且つ、高さ方向A1に沿って延伸するように、載置台103の下流側端部に固定される。ラック135は、高さ方向A1に沿って形成された不図示のレール等の案内部に沿って、上下に移動可能に設けられる。
【0050】
伝達機構132は、幅方向A4の両端部にそれぞれ設けられる。これにより、画像読取装置100は、載置台103を安定して移動させることができる。なお、伝達機構132は、幅方向A4の一方の端部にのみ設けられてもよい。これにより、画像読取装置100は、伝達機構132の部品数を少なくして装置コスト及び装置重量を低減させることができる。
【0051】
第1モータ131が第1駆動力を発生させた場合、ベルト133が矢印A21の方向に回転する。それに伴い、第1~第5ギア134a~134eがそれぞれ矢印A21~A25の方向に回転し、ラック135が上昇して、載置台103が上昇する。一方、第1モータ131が第2駆動力を発生させた場合、ベルト133が矢印A21の反対方向に回転する。それに伴い、第1~第5ギア134a~134eがそれぞれ矢印A21~A25の反対方向に回転し、ラック135が下降して、載置台103が下降する。このように、伝達機構132は、第1モータ131からの駆動力を載置台103に伝達する。
【0052】
また、載置台103の下流側の端部には、遮蔽部材136が、下流側に向けて突出するように配置される。遮蔽部材136は、載置台103が初期位置に配置された場合に載置台センサ113と対向し、且つ、載置台103が初期位置に配置されていない場合に載置台センサ113と対向しない位置に配置される。載置台センサ113は、遮蔽部材136を挟んで相互に対向して配置された発光器及び受光器を含む。発光器は、LED等であり、受光器に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射された光を受光する。載置台センサ113は、受光器が受光する光の強度に基づいて、載置台センサ113の位置に遮蔽部材136が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第1検出信号を生成して出力する。載置台センサ113は、載置台103が初期位置に配置されている状態と、載置台103が初期位置に配置されていない状態とで、第1検出信号の信号値が変化するように設けられる。
【0053】
図6は、ピックローラ115及びピックローラセンサ116について説明するための模式図である。
【0054】
図6に示すように、画像読取装置100は、さらにアーム137を有する。アーム137は、媒体搬送方向A2に沿って延伸し且つ下流側端部137aを中心に回転(揺動)可能に、第2筐体102に設けられる。アーム137の上流側端部137bには、ピックローラ115が取り付けられる。アーム137の上方には、付勢部材137cが取り付けられる。付勢部材137cは、ねじりコイルばね等のばね部材、又は、ゴム部材等であり、アーム137に下方に向かう付勢力を付与する。なお、付勢部材137cは省略され、アーム137には自重により下方に向かう力のみが付与されてもよい。
【0055】
アーム137が下方に向けて付勢されることにより、ピックローラ115は、載置台103に載置された媒体を下方に押圧しながら、媒体を適切に搬送することができる。また、アーム137が高さ方向A1に移動可能に設けられることにより、ピックローラ115は、媒体と当接していない場合には最も下方の位置に配置され、載置台103に載置された媒体と当接している場合にはその媒体によって押し上げられる。これにより、載置台103に載置される媒体のうち最も上側に載置された媒体の位置(高さ)が、ある程度変化しても、ピックローラ115は、最も上側に載置された媒体に適切に接触してその媒体を搬送させることができる。したがって、画像読取装置100は、媒体を一枚給送するたびに載置台103を移動させる必要がなく、媒体読取処理にかかる処理時間を短くすることができる。
【0056】
ピックローラセンサ116は、アーム137を挟んで相互に対向して配置された発光器及び受光器を含む。発光器は、LED等であり、受光器に向けて光を照射する。一方、受光器は、フォトダイオード等であり、発光器により照射された光を受光する。ピックローラセンサ116は、受光器が受光する光の強度に基づいて、ピックローラセンサ116の位置にアーム137が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2検出信号を生成して出力する。ピックローラセンサ116は、ピックローラ115が最も下方の位置に配置されている状態と、ピックローラ115が載置台103に載置された媒体により押し上げられている状態とで、第2検出信号の信号値が変化するように設けられる。
【0057】
図7は、画像読取装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0058】
画像読取装置100は、前述した構成に加えて、第2モータ141、第1通信装置142、第1記憶装置150及び第1処理回路160等をさらに有する。
【0059】
第2モータ141は、一又は複数のモータを含む。第2モータ141は、第1処理回路160からの制御信号によって、ピックローラ115、給送ローラ117、分離ローラ118、第1~第6搬送ローラ120a~fを回転させて媒体を搬送させる。なお、第1~第6従動ローラ121a~fは、第1~第6搬送ローラ120a~fに従動回転するのでなく、第2モータ141の駆動力に従って回転するように設けられてもよい。
【0060】
第1通信装置142は、出力部の一例である。第1通信装置142は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有する。第1通信装置142は、情報処理装置200と通信可能であり、情報処理装置200と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。なお、第1通信装置142は、無線信号を送受信するアンテナと、所定の無線通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有し、情報処理装置200と通信接続してもよい。所定の無線通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)等である。また、第1通信装置142は、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、情報処理装置200と電気的に接続してもよい。
【0061】
第1記憶装置150は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第1記憶装置150には、画像読取装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第1記憶装置150にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0062】
また、第1記憶装置150は、データとして、載置台103が初期位置に配置されているときの載置面103aの高さ方向A1における位置を記憶する。また、第1記憶装置150は、ピックローラ115の下端位置(第2検出信号の信号値が、ピックローラ115が載置台103に載置された媒体により押し上げられている状態を示すピックローラ115の下端位置のうち最も下側の位置)を記憶する。また、第1記憶装置150は、利用者により設定されたプロファイルを記憶する。プロファイルには、画像読取装置100により生成される画像の解像度に関する設定等が含まれる。プロファイルは、利用者により第1操作装置106又は情報処理装置200を用いて設定される。
【0063】
第1処理回路160は、予め第1記憶装置150に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。第1処理回路160として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0064】
第1処理回路160は、第1操作装置106、第1表示装置107、第1媒体センサ111、変位センサ112、載置台センサ113、測距センサ114、ピックローラセンサ116、超音波センサ119、第2媒体センサ122、撮像装置123、第1モータ131、第2モータ141、第1通信装置142及び第1記憶装置150等と接続され、これらの各部を制御する。第1処理回路160は、第1媒体センサ111及び第2媒体センサ122から受信した信号に基づいて、第1モータ131及び第2モータ141の駆動制御、撮像装置123の撮像制御等を行う。第1処理回路160は、撮像装置123から入力画像を取得し、第1通信装置142を介して情報処理装置200に送信する。また、第1処理回路160は、変位センサ112、載置台センサ113、測距センサ114、ピックローラセンサ116及び/又は超音波センサ119から受信した信号に基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定する。第1処理回路160は、推定結果を第1表示装置107に表示し、又は、第1通信装置142を介して情報処理装置200に送信する。
【0065】
図8は、第1記憶装置150及び第1処理回路160の概略構成を示す図である。
【0066】
図8に示すように、第1記憶装置150には、制御プログラム151、検出プログラム152、推定プログラム153及び出力制御プログラム154等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第1処理回路160は、第1記憶装置150に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第1処理回路160は、制御部161、検出部162、推定部163及び出力制御部164として機能する。
【0067】
図9は、情報処理装置200の概略構成を示すブロック図である。
【0068】
情報処理装置200は、第2操作装置201、第2表示装置202、第2通信装置203、第2記憶装置210及び第2処理回路220等を有する。
【0069】
第2操作装置201は、キーボード、マウス等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による操作を受け付け、利用者の入力に応じた信号を第2処理回路220に出力する。第2表示装置202は、液晶、有機EL等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、第2処理回路220からの指示に従って、画像データをディスプレイに表示する。なお、第2表示装置202は、タッチパネル機能付きの液晶ディスプレイでもよい。その場合、第2操作装置201は、タッチパネルから入力信号を取得するインタフェース回路を有する。
【0070】
第2通信装置203は、TCP/IP等の通信プロトコルに従った有線通信インタフェース回路を有する。第2通信装置203は、画像読取装置100と通信可能であり、画像読取装置100と通信接続して各種の画像及び情報を送受信する。なお、第2通信装置203は、無線信号を送受信するアンテナと、所定の無線通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有し、画像読取装置100と通信接続してもよい。所定の無線通信プロトコルは、例えば無線LAN等である。また、第2通信装置203は、USB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、画像読取装置100と電気的に接続してもよい。
【0071】
第2記憶装置210は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又は、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、第2記憶装置210には、情報処理装置200の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて第2記憶装置210にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM、DVD-ROM等である。
【0072】
第2処理回路220は、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPUである。第2処理回路220として、DSP、LSI、ASIC、FPGA等が用いられてもよい。
【0073】
第2処理回路220は、第2操作装置201、第2表示装置202、第2通信装置203及び第2記憶装置210等と接続され、これらの各部を制御する。第2処理回路220は、第2通信装置203を介して画像読取装置100から、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間の推定結果を受信し、第2表示装置202に表示する。
【0074】
図10は、第2記憶装置210及び第2処理回路220の概略構成を示す図である。
【0075】
図10に示すように、第2記憶装置210には、受信プログラム211及び表示制御プログラム212等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。第2処理回路220は、第2記憶装置210に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、第2処理回路220は、受信部221及び表示制御部222として機能する。
【0076】
図11及び図12は、画像読取装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0077】
以下、図11及び図12に示したフローチャートを参照しつつ、画像読取装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第1記憶装置150に記憶されているプログラムに基づき主に第1処理回路160により画像読取装置100の各要素と協働して実行される。図11及び図12に示すフローチャートは、画像読取装置100の電源起動時に実行される。
【0078】
最初に、制御部161は、第2駆動力を発生させるように第1モータ131を制御し、載置台103を下降させて初期位置に配置する(ステップS101)。制御部161は、載置台センサ113から定期的に第1検出信号を取得し、第1検出信号の信号値が、載置台103が初期位置に配置されていることを示す場合に、載置台103が初期位置に配置されたと判定する。このように、制御部161は、媒体の搬送開始前に、載置台103を、利用者が媒体を載置するための初期位置に配置する。
【0079】
検出部162は、載置台103が初期位置に配置された状態で、変位センサ112から変位信号を受信し、受信した変位信号に基づいて、変位センサ112から載置台103(載置面103aの裏面)までの基準距離を特定する。画像読取装置100は、変位信号の信号値と、変位センサ112から光の反射位置までの距離との関係を対応付けた第1テーブルを予め第1記憶装置150に記憶しておく。検出部162は、その第1テーブルを参照し、受信した変位信号の信号値に対応する距離を第1基準距離として特定する。なお、検出部162は、変位センサ112から変位信号を複数回受信し、受信した複数の変位信号の信号値の統計値(平均値、中央値、最小値又は最大値等)に基づいて、第1基準距離を特定してもよい。これにより、検出部162は、載置台103が振動している場合でも、載置台103の位置を高精度に検出することができる。
【0080】
次に、制御部161は、利用者により第1操作装置106又は情報処理装置200を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を第1操作装置106又は第1通信装置142から受信するまで待機する(ステップS102)。
【0081】
次に、制御部161は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS103)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部161は、ステップS102へ処理を戻し、新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0082】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部161は、第1駆動力を発生させるように第1モータ131を制御し、載置台103を上昇させて、載置台103を搬送位置にセットする(ステップS104)。
【0083】
制御部161は、第1駆動力を発生させるように第1モータ131を制御しつつ、載置台103に載置された媒体がピックローラ115と当接しているか否かを判定する。制御部161は、ピックローラセンサ116から定期的に第2検出信号を取得する。制御部161は、第2検出信号の信号値が、ピックローラ115が載置台103に載置された媒体により押し上げられていることを示す場合に、載置台103に載置された媒体がピックローラ115と当接していると判定する。載置台103に載置された媒体がピックローラ115と当接した場合、制御部161は、載置台103を停止させるように、第1モータ131を制御する。このように、制御部161は、載置台103に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がピックローラ115と当接する位置に載置台103が配置されるように第1モータ131を制御する。
【0084】
次に、検出部162は、載置台103の移動量を検出する(ステップS105)。検出部162は、変位センサ112から変位信号を受信し、受信した変位信号に基づいて、変位センサ112から載置台103(載置面103aの裏面)までの第1距離を特定する。検出部162は、第1記憶装置150に記憶された第1テーブルを参照し、受信した変位信号の信号値に対応する距離を第1距離として特定する。検出部162は、ステップS101の処理と同様に、複数の変位信号の信号値の統計値に基づいて第1距離を特定してもよい。検出部162は、第1距離と、ステップS101で特定した第1基準距離との差を、載置台103の初期位置からの移動量として検出する。
【0085】
次に、検出部162は、検出した載置台103の移動量に基づいて、載置台103の載置面103aの現在位置を検出する(ステップS106)。検出部162は、第1記憶装置150に記憶された、載置台103が初期位置に配置されているときの載置面103aの位置より、ステップS105で検出した移動量だけ上側の位置を、載置面103aの現在位置として検出する。一般に、変位センサ112の配置位置又は光の照射方向は、装置毎にばらつきを有する。そのため、変位センサ112から出力される変位信号から直接、載置面103aの現在位置が算出される場合、算出される現在位置は、変位センサ112のばらつきに起因する誤差を含む可能性がある。検出部162は、載置台103の初期位置からの移動量を用いることにより、載置面103aの現在位置をより高精度に検出することができる。
【0086】
次に、検出部162は、検出した載置面103aの現在位置、即ち載置台103の配置位置に基づいて、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する(ステップS107)。検出部162は、検出した載置面103aの現在位置と、第1記憶装置150に記憶されたピックローラ115の下端位置との間の距離を、載置台103に載置されている媒体全体の厚さとして検出する。
【0087】
このように、検出部162は、載置台103の配置位置に基づいて、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する。これにより、検出部162は、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを高精度に検出することができる。特に、検出部162は、載置台103の初期位置からの移動量に基づいて、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する。これにより、検出部162は、載置台103に載置されている媒体全体の厚さをより高精度に検出することができる。
【0088】
次に、推定部163は、検出部162により検出された厚さに基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数(総数)、又は、載置台103に載置されている全ての媒体の撮像が完了するまでの撮像完了時間を推定する(ステップS108)。
【0089】
推定部163は、検出部162により検出された厚さを一般的なPPC(Plain Paper Copier)用紙の一枚当たりの厚さ(例えば[90μm])で除算することにより、載置台103に載置されている媒体の残数(総数)を算出する。また、推定部163は、第1記憶装置150から、利用者により設定されたプロファイルを読み出し、生成される画像の解像度を特定する。推定部163は、特定した解像度に基づいて、各ローラによる媒体の搬送速度を特定し、最も使用頻度が高い媒体のサイズ(例えばA4の縦サイズ)から、特定した搬送速度を除算することにより、媒体の一枚当たりの搬送時間を算出する。推定部163は、算出した媒体の残数(総数)に、算出した媒体の一枚当たりの搬送時間を乗算することにより、撮像完了時間を算出する。
【0090】
次に、出力制御部164は、推定部163により推定された媒体の残数(総数)又は撮像完了時間を出力する(ステップS109)。出力制御部164は、推定部163により推定された媒体の残数(総数)又は撮像完了時間を第1表示装置107に表示することにより出力する。なお、出力制御部164は、推定部163により推定された媒体の残数(総数)又は撮像完了時間を、第1通信装置142を介して情報処理装置200に送信することにより出力してもよい。出力制御部164は、送信部の一例である。
【0091】
図13は、第1表示装置107に表示される表示画面1300の一例を示す模式図である。
【0092】
図13に示すように、表示画面1300には、推定部163により推定された媒体の残数及び総数と、撮像完了時間とが含まれる。利用者は、表示画面1300を参照することにより、現在載置台103に載置されている媒体群に対するスキャン処理が完了するまでの時間を高精度に予想することができる。これにより、利用者は、排出台105に排出された媒体群の取り出し、又は、次に処理すべき媒体群の載置台103へのセットのために、画像読取装置100の近くに滞在し続けるか、画像読取装置100から離れて別の業務を行うかを適切に判断することができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。なお、表示画面1300において、媒体の総数は表示されなくてもよい。また、表示画面1300において、媒体の残数及び撮像完了時間のうちの何れか一方は表示されなくてもよい。
【0093】
次に、制御部161は、ピックローラ115、給送ローラ117、分離ローラ118、第1~第6搬送ローラ120a~f及び/又は第1~第6従動ローラ121a~fを回転させて、媒体を搬送させるように、第2モータ141を制御する(ステップS110)。
【0094】
次に、検出部162は、現在搬送中の媒体の厚さを検出し、第1記憶装置150に記憶する(ステップS111)。
【0095】
検出部162は、まず、媒体の先端が超音波センサ119の位置を通過するまで待機する。検出部162は、第2媒体センサ122から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から媒体が存在することを示す値に変化したときに、媒体の先端が第2媒体センサ122の位置を通過したと判定する。検出部162は、媒体の先端が第2媒体センサ122の位置を通過した時に、媒体の先端が超音波センサ119の位置を通過したと判定する。なお、検出部162は、媒体の搬送(給送)を開始してから所定時間が経過した時に、媒体の先端が超音波センサ119の位置を通過したと判定してもよい。
【0096】
媒体の先端が超音波センサ119の位置を通過した場合、検出部162は、超音波センサ119から超音波信号を受信し、受信した超音波信号に基づいて、媒体の厚さを検出する。画像読取装置100は、超音波信号の信号値と、超音波センサ119が発信した超音波が透過した媒体の厚さとの関係を対応付けたテーブルを予め第1記憶装置150に記憶しておく。検出部162は、そのテーブルを参照し、受信した超音波信号の信号値に対応する厚さを現在搬送中の媒体の厚さとして特定する。このように、検出部162は、超音波センサ119から出力された超音波信号に基づいて、即ち、超音波センサ119により検出された、媒体を透過する超音波の透過強度に基づいて、搬送される媒体毎の厚さを検出する。
【0097】
なお、検出部162は、受信した超音波信号に基づいて、媒体の重送が発生したか否かをさらに判定してもよい。検出部162は、超音波信号の信号値が重送閾値以上である場合、媒体の重送が発生していないと判定し、超音波信号の信号値が重送閾値未満である場合、媒体の重送が発生したと判定する。重送閾値は、例えば一枚のPPC用紙が搬送されているときの超音波信号の信号値と、用紙の重送が発生しているときの超音波信号の信号値との間の値に設定される。
【0098】
検出部162により媒体の重送が発生したと判定された場合、制御部161は、異常処理を実行する。制御部161は、異常処理として、第2モータ141を停止して、媒体の給送及び搬送を停止する。また、制御部161は、異常処理として、媒体の重送が発生したことを示す情報を第1表示装置107に表示し又は第1通信装置142を介して情報処理装置200に送信することにより利用者に通知する。なお、制御部161は、異常処理として、現在搬送中の媒体を排出してから媒体読取処理を停止させてもよい。また、制御部161は、異常処理として、第2モータ141を駆動し、媒体を逆送させて載置台103に一旦戻してから再給送するように搬送部を制御してもよい。これにより、利用者は、媒体を載置台103に再載置して再給送する必要がなくなり、制御部161は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0099】
次に、制御部161は、撮像装置123から入力画像を取得し、取得した入力画像を、第1通信装置142を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS112)。
【0100】
制御部161は、まず、媒体の後端が撮像装置123の撮像位置を通過するまで待機する。制御部161は、第2媒体センサ122から定期的に第2媒体信号を取得し、第2媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から媒体が存在しないことを示す値に変化したときに、媒体の後端が第2媒体センサ122の位置を通過したと判定する。制御部161は、媒体の後端が第2媒体センサ122の位置を通過してから第1所定時間が経過したときに、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定する。第1所定時間は、媒体が第2媒体センサ122の位置から撮像位置まで移動するのに要する時間にマージンを加えた値に設定される。媒体の後端が撮像装置123の撮像位置を通過した場合、制御部161は、撮像装置123から入力画像を取得する。
【0101】
また、制御部161は、媒体の搬送を開始してから、媒体の後端が撮像装置123の撮像位置を通過するまでの経過時間を、媒体の搬送時間として第1記憶装置150に記憶する。または、制御部161は、直前に搬送された媒体の後端が撮像装置123の撮像位置を通過してから、現在搬送されている媒体の後端が撮像装置123の撮像位置を通過するまでの経過時間を、媒体の搬送時間として第1記憶装置150に記憶する。
【0102】
次に、検出部162は、第1記憶装置150に記憶された、直近に搬送された所定数の媒体のそれぞれの厚さのトリム平均を算出する(ステップS113)。所定数は、2以上の任意の値(例えば10)に設定される。検出部162は、最大値側から所定割合(例えば10%)のデータを除去することにより、トリム平均を算出する。例えば、所定数が10であり、所定割合が10%である場合、検出部162は、第1記憶装置150に記憶された、直近の10個の媒体の厚さのうち、最大値を除く9個の媒体の厚さの平均値をトリム平均として算出する。これにより、検出部162は、まれに搬送される厚紙等の影響を受けないように、搬送される媒体の厚さの平均値を算出することができる。
【0103】
なお、検出部162は、最小値側から所定割合(例えば10%)のデータをさらに除去することにより、トリム平均を算出してもよい。これにより、検出部162は、まれに搬送される薄紙等の影響を受けないように、搬送される媒体の厚さの平均値を算出することができる。また、まだ所定数の媒体が搬送されていない場合、検出部162は、一般的なPPC用紙の一枚当たりの厚さ(例えば[90μm])を不足分の媒体の厚さとしてトリム平均を算出してもよい。
【0104】
このように、検出部162は、所定数の媒体のそれぞれの厚さのトリム平均により、媒体毎の厚さを検出する。これにより、検出部162は、まれに搬送される、通常の媒体と異なる種類の媒体による外れ値の影響を受けることなく、搬送される各媒体の厚さを高精度に検出することができる。
【0105】
次に、検出部162は、算出した所定数の媒体のそれぞれの厚さのトリム平均に基づいて、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出(更新)する(ステップS114)。検出部162は、ステップS113で算出したトリム平均を、現在搬送中の媒体の厚さとみなす。検出部162は、直前にステップS107、S114又はS122で検出していた媒体全体の厚さから、算出したトリム平均を減算した減算値を、現在載置台103に載置されている媒体全体の厚さとして検出する。これにより、検出部162は、載置台103に載置されている媒体全体の厚さの検出値を、リアルタイムに且つ高精度に更新することができる。
【0106】
このように、検出部162は、各媒体の搬送間隔毎に、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する。各媒体の搬送間隔は、特定の間隔の一例である。
【0107】
次に、推定部163は、検出部162により各媒体の搬送間隔毎に検出(更新)された厚さに基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を補正(推定)する(ステップS115)。
【0108】
推定部163は、ステップS108の処理と同様に、検出部162により更新された厚さを一般的なPPC用紙の一枚当たりの厚さで除算することにより、載置台103に載置されている媒体の残数を算出する。また、推定部163は、ステップS108の処理と同様に、算出した媒体の残数に、利用者により設定されたプロファイルから算出した媒体の一枚当たりの搬送時間を乗算することにより、撮像完了時間を算出する。これにより、推定部163は、載置台103に載置されている媒体の残数及び撮像完了時間の推定値を、リアルタイムに且つ高精度に更新することができる。
【0109】
なお、推定部163は、搬送される媒体毎の厚さに基づいて、即ち所定数の媒体のそれぞれの厚さのトリム平均に基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を補正してもよい。例えば、推定部163は、検出部162により更新された厚さを、ステップS113で算出したトリム平均で除算することにより、載置台103に載置されている媒体の残数を算出する。一般に、載置台103にまとめて載置されて搬送される媒体の種類(厚さ)は同じである可能性が高い。推定部163は、搬送されている媒体の厚さに基づいて載置台103に載置されている媒体の残数を補正することにより、媒体の残数をより高精度に推定することができる。
【0110】
また、推定部163は、算出した媒体の残数に、第1記憶装置150に記憶しておいた、実際の媒体の搬送に要した搬送時間の平均値(又はトリム平均)を乗算することにより、撮像完了時間を算出してもよい。一般に、載置台103にまとめて載置されて搬送される媒体のサイズは同じである可能性が高い。推定部163は、搬送されている媒体のサイズに基づいて載置台103に載置されている媒体の撮像完了時間を補正することにより、撮像完了時間をより高精度に推定することができる。
【0111】
また、推定部163は、補正した媒体の残数に基づいて、ステップS108で推定していた媒体の総数を補正してもよい。その場合、推定部163は、補正した媒体の残数に、現在までに搬送した媒体の数を加算することにより、媒体の総数を算出(補正)する。
【0112】
次に、出力制御部164は、ステップS109の処理と同様にして、推定部163により推定された媒体の残数(総数)又は撮像完了時間を出力する(ステップS116)。
【0113】
次に、制御部161は、第1媒体センサ111から受信する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS117)。
【0114】
載置台103に媒体が残っている場合、制御部161は、ステップS104の処理と同様にして、載置台103に載置された媒体がピックローラ115と当接しているか否かを判定する(ステップS118)。
【0115】
載置台103に載置された媒体がピックローラ115と当接している場合、制御部161は、ステップS111へ処理を戻し、次に搬送される媒体について入力画像を取得するとともに、その媒体の厚さに基づいて媒体の残数又は撮像完了時間を更新する。
【0116】
一方、載置台103に載置された媒体がピックローラ115と当接していない場合、制御部161は、第1駆動力を発生させるように第1モータ131を制御し、載置台103を上昇させて、載置台103を搬送位置にセットする(ステップS119)。制御部161は、ステップS104の処理と同様にして、載置台103を搬送位置にセットし、載置台103に載置された媒体をピックローラ115と当接させる。
【0117】
上記したように、ピックローラ115は、付勢部材137cにより下方に向けて押圧されており、特定の数の媒体が搬送される間、載置台103が移動しなくても、載置台103に残っている媒体のうち最も上側に載置された媒体に当接し続ける。制御部161は、載置台103に載置された媒体のうちの特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台103に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がピックローラ115と当接する位置に載置台103が配置されるように載置台103を制御する。これにより、画像読取装置100は、載置台103を第1モータ131によって移動させる頻度を低減させて、媒体読取処理にかかる処理時間を短くすることができる。
【0118】
次に、検出部162は、載置台103の移動量を検出する(ステップS120)。検出部162は、ステップS105の処理と同様にして、変位センサ112から変位信号を受信し、受信した変位信号に基づいて、変位センサ112から載置台103(載置面103aの裏面)までの第1距離を特定する。検出部162は、今回特定した第1距離と、直前にステップS105又はS120で特定していた第1距離との差を、載置台103の移動量として検出する。
【0119】
次に、検出部162は、検出した載置台103の移動量に基づいて、載置台103の載置面103aの現在位置を検出(更新)する(ステップS121)。検出部162は、直前にステップS106又はS121で検出していた、載置台103の載置面103aの位置より、ステップS120で検出した移動量だけ上側の位置を、載置面103aの現在位置として検出する。上記したように、一般に、変位センサ112の配置位置又は光の照射方向は、装置毎にばらつきを有する。そのため、変位センサ112から出力される変位信号から直接、載置面103aの現在位置が算出される場合、算出される現在位置は、変位センサ112のばらつきに起因する誤差を含む可能性がある。検出部162は、載置台103の移動量を用いることにより、載置面103aの現在位置をより高精度に検出することができる。
【0120】
次に、検出部162は、ステップS107の処理と同様にして、検出した載置面103aの現在位置、即ち載置台103の配置位置に基づいて、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出(更新)する(ステップS122)。
【0121】
このように、検出部162は、載置台103の配置位置に基づいて、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する。これにより、検出部162は、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを高精度に検出することができる。特に、検出部162は、載置台103の初期位置からの累積した移動量に基づいて、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する。これにより、検出部162は、載置台103に載置されている媒体全体の厚さをより高精度に検出することができる。
【0122】
また、検出部162は、特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台103を上昇させ、載置台103を上昇させる間隔毎に、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する。載置台103を上昇させる間隔は、特定の間隔の一例である。
【0123】
次に、推定部163は、検出部162により載置台103を上昇させる間隔毎に検出(更新)された厚さに基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を補正(推定)する(ステップS123)。
【0124】
推定部163は、ステップS108の処理と同様に、検出部162により更新された厚さを一般的なPPC用紙の一枚当たりの厚さで除算することにより、載置台103に載置されている媒体の残数を算出する。また、推定部163は、ステップS108の処理と同様に、算出した媒体の残数に、利用者により設定されたプロファイルから算出した媒体の一枚当たりの搬送時間を乗算することにより、撮像完了時間を算出する。これにより、推定部163は、載置台103に載置されている媒体の残数及び撮像完了時間の推定値を、リアルタイムに且つ高精度に更新することができる。
【0125】
なお、推定部163は、ステップS120で検出部162により検出された載置台103の移動量に基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を補正してもよい。ステップS120で検出部162により検出された載置台103の移動量は、直前に載置台103を移動させてから今回載置台103を移動させるまでの間に搬送した媒体全体の厚さに相当する。即ち、推定部163は、特定の数の媒体が搬送される間に検出部162により検出された、媒体全体の厚さの変化量に基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を補正してもよい。
【0126】
例えば、推定部163は、ステップS120で検出された載置台103の移動量を、直前に載置台103を移動させてから今回載置台103を移動させるまでの間に搬送した媒体の数で除算することにより、その間に搬送した各媒体の厚さの平均値を算出する。推定部163は、ステップS120で検出部162により更新された、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを、各媒体の厚さの平均値で除算することにより、載置台103に載置されている媒体の残数を算出する。上記したように、一般に、載置台103にまとめて載置されて搬送される媒体の種類(厚さ)は同じである可能性が高い。推定部163は、搬送されている媒体の厚さに基づいて載置台103に載置されている媒体の残数を補正することにより、媒体の残数をより高精度に推定することができる。
【0127】
また、推定部163は、算出した媒体の残数に、第1記憶装置150に記憶しておいた、実際の媒体の搬送に要した搬送時間の平均値(又はトリム平均)を乗算することにより、撮像完了時間を算出してもよい。上記したように、一般に、載置台103にまとめて載置されて搬送される媒体のサイズは同じである可能性が高い。推定部163は、搬送されている媒体のサイズに基づいて載置台103に載置されている媒体の撮像完了時間を補正することにより、撮像完了時間をより高精度に推定することができる。
【0128】
また、推定部163は、補正した媒体の残数に基づいて、ステップS108で推定していた媒体の総数を補正してもよい。その場合、推定部163は、補正した媒体の残数に、現在までに搬送した媒体の数を加算することにより、媒体の総数を算出(補正)する。
【0129】
次に、出力制御部164は、ステップS109の処理と同様にして、推定部163により推定された媒体の残数(総数)又は撮像完了時間を出力する(ステップS124)。次に、制御部161は、ステップS111へ処理を戻し、次に搬送される媒体について入力画像を取得するとともに、その媒体の厚さに基づいて媒体の残数又は撮像完了時間を更新する。
【0130】
一方、ステップS117において、載置台103に媒体が残っていなかった場合、制御部161は、各ローラを停止させるように、第2モータ141を制御し(ステップS125)、ステップS101へ処理を戻す。この場合、制御部161は、ステップS101において載置台103を下降させて初期位置に配置し、ステップS102において新たに操作信号を受信するまで待機する。以上により、媒体読取処理の説明を終了する。
【0131】
なお、ステップS105及びS120において、検出部162は、測距センサ114から出力される測距信号に基づいて、載置台103の移動量を検出してもよい。
【0132】
その場合、ステップS101において、検出部162は、載置台103が初期位置に配置された状態で、測距センサ114から測距信号を受信し、受信した測距信号に基づいて、測距センサ114から載置台103(載置面103a)までの第2基準距離を特定する。画像読取装置100は、測距信号の信号値と、変位センサ112から光の反射位置までの距離との関係を対応付けた第2テーブルを予め第1記憶装置150に記憶しておく。検出部162は、その第2テーブルを参照し、受信した測距信号の信号値に対応する距離を第2基準距離として特定する。なお、検出部162は、測距センサ114から測距信号を複数回にわたって受信し、受信した複数の測距信号の信号値の統計値(平均値、中央値、最小値又は最大値等)に基づいて、第2基準距離を特定してもよい。これにより、検出部162は、載置台103が振動している場合でも、載置台103の位置を高精度に検出することができる。
【0133】
一方、ステップS105及びS120において、検出部162は、測距センサ114から測距信号を受信し、受信した測距信号に基づいて、測距センサ114から載置台103の載置面103aまでの第2距離を特定する。検出部162は、第1記憶装置150に記憶された第2テーブルを参照し、受信した測距信号の信号値に対応する距離を第2距離として特定する。なお、検出部162は、ステップS101の処理と同様に、複数の測距信号の信号値の統計値に基づいて第2距離を特定してもよい。検出部162は、第2距離と、ステップS101で特定した第2基準距離との差を、載置台103の初期位置からの移動量として検出する。
【0134】
また、ステップS105及びS120において、検出部162は、第1モータ131を駆動させた駆動量に基づいて、載置台103の移動量を検出してもよい。その場合、画像読取装置100は、第1モータ131を駆動させた駆動量と載置台103の移動量との間の関係を対応付けたテーブルを予め第1記憶装置150に記憶しておく。検出部162は、制御部161から、第1モータ131を駆動させた駆動量を取得し、第1記憶装置150に記憶されたテーブルを参照して、取得した駆動量から載置台103の移動量を検出する。
【0135】
画像読取装置100は、第1モータ131の駆動量に基づいて載置台103の移動量を検出することにより、特別なセンサを使用することなく、載置面103aの現在位置を検出することができる。したがって、画像読取装置100は、装置コストの増大を抑制しつつ、載置面103aの現在位置を検出することができる。但し、載置台103の移動時には微小な振動が発生する可能性がある。そのため、画像読取装置100は、変位センサ112又は測距センサ114を利用することにより、より高精度に、載置面103aの現在位置を検出することができる。
【0136】
また、ステップS105及びS106、又は、S120及びS121において、検出部162は、載置台103の移動量を検出せずに、変位センサ112から受信した変位信号から直接、載置面103aの現在位置を検出してもよい。その場合、画像読取装置100は、変位信号の信号値と、載置面103aの位置との関係を対応付けたテーブルを予め第1記憶装置150に記憶しておく。検出部162は、そのテーブルを参照し、受信した変位信号の信号値に対応する位置を載置面103aの現在位置として検出する。なお、検出部162は、複数の変位信号の信号値の統計値に基づいて、載置面103aの現在位置を検出してもよい。
【0137】
変位センサ112から出力される変位信号は、変位センサ112から載置台103までの距離に応じて変化する。即ち、この場合、検出部162は、変位センサ112と載置台103との間の距離に基づいて、載置面103aの現在位置を検出し、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する。これにより、画像読取装置100は、媒体の厚さをより簡易に検出することができ、媒体読取処理にかかる時間を低減させることができる。
【0138】
同様に、ステップS105及びS106、又は、S120及びS121において、検出部162は、載置台103の移動量を検出せずに、測距センサ114から受信した測距信号から直接、載置面103aの現在位置を検出してもよい。その場合、画像読取装置100は、測距信号の信号値と、載置面103aの位置との関係を対応付けたテーブルを予め第1記憶装置150に記憶しておく。検出部162は、そのテーブルを参照し、受信した測距信号の信号値に対応する位置を載置面103aの現在位置として検出する。なお、検出部162は、複数の測距信号の信号値の統計値に基づいて、載置面103aの現在位置を検出してもよい。
【0139】
測距センサ114から出力される測距信号は、測距センサ114から載置台103の載置面103aまでの距離に応じて変化する。即ち、この場合、検出部162は、測距センサ114と載置台103の載置面103aとの間の距離に基づいて、載置面103aの現在位置を検出し、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出する。これにより、画像読取装置100は、媒体の厚さをより簡易に検出することができ、媒体読取処理にかかる時間を低減させることができる。
【0140】
これらの場合、ステップS123において、検出部162は、直前に検出した載置面103aの位置と今回検出した載置面103aの位置との間の距離を、媒体全体の厚さの変化量として検出する。そして、推定部163は、検出部162により検出された、媒体全体の厚さの変化量に基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を補正する。
【0141】
また、ステップS113の処理は省略されてもよい。その場合、ステップS114において、検出部162は、例えば、最新の媒体全体の厚さから、所定数の媒体のそれぞれの厚さの平均値を減算した減算値を、現在載置台103に載置されている媒体全体の厚さとして検出する。また、検出部162は、最新の媒体全体の厚さから、現在搬送中の媒体の厚さを減算した減算値を、現在載置台103に載置されている媒体全体の厚さとして検出してもよい。これらの場合も、検出部162は、載置台103に載置されている媒体全体の厚さの検出値を、リアルタイムに更新することができる。
【0142】
また、ステップS113~S116の処理、及び、ステップS120~S124の処理のうちの何れか一方は省略されてもよい。
【0143】
また、画像読取装置100において、ピックローラセンサ116は省略されてもよい。その場合、ステップS104及びS119において、制御部161は、所定駆動量だけ第1モータ131を駆動させる。載置台103を初期位置から移動させる際の所定駆動量は、初期位置に配置された載置台103の載置面103aと、可動範囲内の所定位置に配置されたピックローラ115の下面との間の距離だけ載置台103を移動させるための駆動量に設定される。その場合、載置台103に大量の媒体が載置された場合、ピックローラ115が可動範囲内で最も上側の位置に配置された後も、第1モータ131は駆動し続けるため、消費電力が増大する。しかしながら、この場合も、制御部161は、媒体と当接する位置に載置台103を移動させることができる。
【0144】
また、ステップS118において、制御部161は、ピックローラ115を所定位置に配置してから所定数の媒体が搬送されたか否かを判定する。所定数は、その所定位置と、ピックローラ115の可動範囲内で最も下側の位置との間の距離を、画像読取装置100がサポートする媒体の最大厚さで除算した除算値以下の値に設定される。所定数は、1に設定されてもよい。ピックローラ115を所定位置に配置してから、まだ所定数の媒体が搬送されていない場合、制御部161は、ステップS111へ処理を戻し、載置台103を移動させない。一方、ピックローラ115を所定位置に配置してから所定数の媒体が搬送された場合、制御部161は、ステップS119へ処理を移行し、載置台103を上昇させる。この場合、所定駆動量は、その所定位置と、ピックローラ115の可動範囲内で最も下側の位置との間の距離だけ載置台103を移動させるための駆動量に設定される。
【0145】
この場合も、制御部161は、特定の数の媒体が搬送されるたびに、載置台103に載置された媒体のうち最も上側に載置された媒体がピックローラ115と当接する位置に載置台103が配置されるように載置台103を制御する。
【0146】
また、画像読取装置100において、超音波センサ119の代わりに厚さセンサが利用されてもよい。厚さセンサは、超音波センサが配置される位置に配置される。厚さセンサは、発光器及び受光器を含む。発光器及び受光器は、媒体の搬送路の近傍に、搬送路を挟んで対向して配置される。発光器は、受光器に向けて光(赤外光又は可視光)を照射する。一方、受光器は、発光器により照射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である厚さ信号を生成して出力する。即ち、厚さ信号は、媒体の厚さを示し、厚さセンサは、媒体の厚さを検出する。複数の媒体が重なって搬送される場合、重なって搬送される媒体の厚さの合計は大きくなる。また、発光器により照射され媒体を透過する光は、媒体の厚さが大きいほど減衰する。したがって、画像読取装置100は、厚さ信号に基づいて、媒体の重送を検出するとともに、媒体の厚さを検出することができる。例えば、厚さセンサは、媒体の厚さが大きい程、信号値が大きくなるように厚さ信号を生成する。
【0147】
なお、厚さセンサとして、反射光センサ、圧力センサ又は機械式センサが用いられてもよい。反射光センサは、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器のペアと、他方の側に設けられた発光器及び受光器のペアとを含む。反射光センサは、一方のペアが媒体の一方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間と、他方のペアが媒体の他方の面に光を照射してから反射光を受光するまでの時間とから、各ペアと媒体の各面までの距離を検出する。反射光センサは、二つのペアの間の距離から、検出した各距離を減算した減算値を媒体の厚さとして示す厚さ信号を生成する。圧力センサは、媒体の厚さに応じて変化する圧力を検出し、検出した圧力を媒体の厚さとして示す厚さ信号を生成する。機械式センサは、媒体に接するローラの移動量を検出し、検出した移動量を媒体の厚さとして示す厚さ信号を生成する。
【0148】
この場合、ステップS111において、媒体の先端が媒体センサの位置を通過した場合、検出部162は、厚さセンサから厚さ信号を受信し、受信した厚さ信号に基づいて、媒体の厚さを検出する。画像読取装置100は、厚さ信号の信号値と、媒体の厚さとの関係を対応付けたテーブルを予め第1記憶装置150に記憶しておく。検出部162は、そのテーブルを参照し、受信した厚さ信号の信号値に対応する厚さを、現在搬送中の媒体の厚さとして特定する。このように、検出部162は、厚さセンサから出力された厚さ信号に基づいて、即ち、厚さセンサにより検出された媒体の厚さに基づいて、搬送される媒体毎の厚さを検出する。
【0149】
また、検出部162は、受信した厚さ信号に基づいて、さらに、媒体の重送が発生したか否かを判定してもよい。検出部162は、厚さ信号の信号値が重送閾値以下である場合、媒体の重送が発生していないと判定し、厚さ信号の信号値が重送閾値より大きい場合、媒体の重送が発生したと判定する。重送閾値は、例えば一枚のPPC用紙が搬送されているときの厚さ信号の信号値と、用紙の重送が発生しているときの厚さ信号の信号値との間の値に設定される。
【0150】
図14は、情報処理装置200の表示処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0151】
以下、図14に示したフローチャートを参照しつつ、情報処理装置200の表示処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め第2記憶装置210に記憶されているプログラムに基づき主に第2処理回路220により情報処理装置200の各要素と協働して実行される。
【0152】
最初に、受信部221は、第2通信装置203を介して複数の画像読取装置100のうちの何れかの画像読取装置100から、載置台103に載置されている媒体の残数(総数)又は撮像完了時間を受信するまで待機する(ステップS201)。受信部221は、複数の画像読取装置100のそれぞれから、推定部163により推定された、載置台103に載置されている媒体の残数(総数)又は撮像完了時間を受信する。
【0153】
受信部221が、何れかの画像読取装置100から媒体の残数(総数)又は撮像完了時間を受信した場合、表示制御部222は、受信部221により受信された残数(総数)又は撮像完了時間を第2表示装置202に表示する(ステップS202)。次に、表示制御部222は、ステップS201へ処理を戻し、ステップS201~S202の処理を繰り返す。
【0154】
図15は、第2表示装置202に表示される表示画面1500の一例を示す模式図である。
【0155】
図15に示すように、表示画面1500には、情報処理装置200と通信接続する画像読取装置100毎に、受信部221が受信した媒体の残数と、撮像完了時間とが含まれる。表示画面1500には、各画像読取装置100から受信した最新の残数及び撮像完了時間が表示される。利用者は、表示画面1500を参照することにより、画像読取装置100毎に、現在載置台103に載置されている媒体群に対するスキャン処理が完了するまでの時間を高精度に予想することができる。これにより、利用者は、次に利用すべき画像読取装置100を適切に選択し、且つ、その画像読取装置100を利用可能になる時間を認識することができる。したがって、画像読取装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。なお、表示画面1500において、媒体の総数がさらに表示されてもよい。また、表示画面1500において、媒体の残数及び撮像完了時間のうちの何れか一方は表示されなくてもよい。
【0156】
以上詳述したように、画像処理システム1は、載置台103に載置されている媒体全体の厚さをリアルタイムに検出し、検出した厚さに基づいて媒体の残数又は撮像完了時間を推定する。これにより、画像処理システム1は、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を精度良く推定することが可能となった。
【0157】
一般に、スキャナ等の画像読取装置は、利用者が指定した数の用紙を印刷しながら搬送させるプリンタ等と異なり、搬送される媒体の数を認識しておらず、載置台に載置された媒体がなくなるまで画像読取処理を実行する。したがって、従来、画像読取処理の利用者は、載置台に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を認識することができなかった。例えば500~700枚程度の大量の媒体を順次搬送することが可能な大型の画像読取装置では、全ての媒体の搬送が完了するまでに3分間以上の長時間が必要となる場合がある。
【0158】
画像処理システム1は、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定し、利用者に通知する。これにより、利用者は、画像読取装置100に排出された媒体を回収するタイミング、又は、次に利用すべき画像読取装置100等を適切に判断することが可能となり、画像処理システム1は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0159】
例えば、選挙において大量の投票用紙のスキャンを行う場合、又は、帳票を扱う業務で大量の帳票のスキャンを行う場合のように、複数(少数)の利用者で多数の画像読取装置100を利用して大量の媒体をスキャンする場合がある。このような場合、大量の媒体のスキャンにかかるトータル時間は、装置の稼働率(利用者により媒体がセットされるまでの待ち時間)に大きく依存する。画像処理システム1の利用者は、通知された媒体の残数又は撮像完了時間に基づいて、媒体をスキャンさせる画像読取装置100を適切に選択するとともに、選択した画像読取装置100が利用可能となる時間を認識することができる。したがって、利用者は、画像読取装置100を効率良く利用することができ、画像処理システム1は、大量の媒体のスキャン処理を短時間に完了させることができる。
【0160】
また、画像読取装置100は、載置台103に載置されている媒体全体の重量でなく、媒体全体の厚さに基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定する。したがって、画像読取装置100は、載置台103に載置されている媒体のサイズによらず、媒体の残数又は撮像完了時間を高精度に推定することができる。特に、画像読取装置100は、それぞれ異なるサイズ(面積)を有する媒体がまとめて搬送される場合でも、媒体の残数又は撮像完了時間を高精度に推定することができる。
【0161】
図16は、他の実施形態に係る画像読取装置の第1処理回路360の概略構成を示す図である。
【0162】
第1処理回路360は、画像読取装置100の第1処理回路160の代わりに使用され、第1処理回路160の代わりに、媒体読取処理等を実行する。第1処理回路360は、制御回路361、検出回路362、推定回路363及び出力制御回路364等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0163】
制御回路361は、制御部の一例であり、制御部161と同様の機能を有する。制御回路361は、第1操作装置106又は第1通信装置142から操作信号を、第1媒体センサ111から第1媒体信号を、第2媒体センサ122から第2媒体信号を受信する。制御回路361は、受信した各信号に基づいて第1モータ131及び第2モータ141を制御するとともに、撮像装置123から入力画像を取得し、第1通信装置142に出力する。
【0164】
検出回路362は、検出部の一例であり、検出部162と同様の機能を有する。検出回路362は、変位センサ112から変位信号を、載置台センサ113から第1検出信号を、測距センサ114から測距信号を、ピックローラセンサ116から第2検出信号を、超音波センサ119から超音波信号を受信する。検出回路362は、受信した各信号に基づいて、載置台103に載置されている媒体全体の厚さを検出し、検出結果を推定回路363に出力する。
【0165】
推定回路363は、推定部の一例であり、推定部163と同様の機能を有する。推定回路363は、検出回路362から、載置台103に載置されている媒体全体の厚さの検出結果を受信する。推定回路363は、受信した検出結果に基づいて、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を推定し、推定結果を出力制御回路364に出力する。
【0166】
出力制御回路364は、出力制御部の一例であり、出力制御部164と同様の機能を有する。出力制御回路364は、推定回路363から、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間の推定結果を受信し、受信した推定結果を第1表示装置107又は第1通信装置142に出力する。
【0167】
以上詳述したように、画像処理システムは、画像読取装置が第1処理回路360を用いる場合においても、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を精度良く推定することが可能となった。
【0168】
図17は、他の実施形態に係る情報処理装置の第2処理回路420の概略構成を示す図である。
【0169】
第2処理回路420は、情報処理装置200の第2処理回路220の代わりに使用され、第2処理回路220の代わりに、表示処理等を実行する。第2処理回路420は、受信回路421及び表示制御回路422等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0170】
受信回路421は、受信部の一例であり、受信部221と同様の機能を有する。受信回路421は、第2通信装置203から、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間の推定結果を受信し、表示制御回路422に出力する。
【0171】
表示制御回路422は、表示制御部の一例であり、表示制御部222と同様の機能を有する。表示制御回路422は、受信回路421から、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間の推定結果を受信し、第2表示装置202に出力する。
【0172】
以上詳述したように、画像処理システムは、情報処理装置が第2処理回路420を用いる場合においても、載置台103に載置されている媒体の残数又は撮像完了時間を精度良く推定することが可能となった。
【符号の説明】
【0173】
1 画像処理システム、100 画像読取装置、103 載置台、103a 載置面、112 変位センサ、114 測距センサ、115 ピックローラ、123 撮像装置、161 制御部、162 検出部、163 推定部、164 出力制御部、200 情報処理装置、221 受信部、222 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17