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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154636
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】自動車用収納バッグシステム。
(51)【国際特許分類】
   B60N 3/00 20060101AFI20231013BHJP
   A45C 13/00 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B60N3/00 Z
A45C13/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064086
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000251060
【氏名又は名称】林テレンプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】石倉 弘章
【テーマコード(参考)】
3B045
3B088
【Fターム(参考)】
3B045AA51
3B045CE07
3B088CA06
(57)【要約】
【課題】複数のバッグを用いて多数の物品を収納可能であるとともに、複数のバッグを容易に持ち運ぶことができ、かつ使用されないバッグが車室内に保持されても美観を損なうことが抑制できる自動車用収納バッグシステムを提供する。
【解決手段】自動車用収納バッグシステムが、大きさが異なる3つ以上のバッグ1a~1eを含み、各々のバッグ1a~1eは、当該バッグよりも小さいバッグを内部に収納可能であり、最も大きいバッグ1aは、当該バッグ1a以外の全てのバッグ1b~1eを内部に収納可能であり、各々のバッグ1a~1eには、自動車の内装材6に直接または間接的に取り付けるための取付部材、または取付部材に係合する係合部が、それぞれ設けられている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大きさが異なる3つ以上のバッグを含み、
各々の前記バッグは、当該バッグよりも小さい前記バッグを内部に収納可能であり、
最も大きい前記バッグは、当該バッグ以外の全ての前記バッグを内部に収納可能であり、
各々の前記バッグには、自動車の内装材に直接または間接的に取り付けるための取付部材、または前記取付部材に係合する係合部が、それぞれ設けられていることを特徴とする、自動車用収納バッグシステム。
【請求項2】
前記取付部材は、自動車の内装材に直接または間接的に取り付けられるベルトであり、前記係合部は、前記ベルトが挿通される被挿通部である、請求項1に記載の自動車用収納バッグシステム。
【請求項3】
自動車の内装材、または内装材に取り付けられるパネルに、前記ベルトが挿通される孔部が設けられている、請求項2に記載の自動車用収納バッグシステム。
【請求項4】
前記係合部は、前記係合部が設けられているバッグが前記内装材に直接または間接的に保持された状態における当該バッグの上端部からの距離が一定である、請求項2または3に記載の自動車用収納バッグシステム。
【請求項5】
前記バッグは開閉可能であり、全ての前記バッグの開閉方向が同一である、請求項1から3のいずれか1項に記載の自動車用収納バッグシステム。
【請求項6】
前記バッグは、内部に物品を保持する保持部が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載の自動車用収納バッグシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用収納バッグシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の内部には、乗員が携帯している小さな物品を一時的に収納する収納部が設けられている。乗員が乗降の度にそれらの物品を収納部に出し入れすることが煩雑である場合には、物品を収納したバッグを車内に持ち込んで、自動車の内装材に設けられているブラケット等の保持部に保持することが考えられる。その場合、複数の乗員がそれぞれのバッグを車室内に保持しようとすると、形状が異なる複数のバッグを車室内に点在させるために、取付形態が異なる様々な種類の複数のブラケット等の保持部が必要である。また、自動車の内装材の形状が各バッグに対応可能であるとは限られず、各バッグを整然と保持するスペースが確保できず、保持できないバッグが存在する可能性がある。また、多様なバッグが様々な形態で車室内に保持されるために、車室内が乱雑に見えるといった問題がある。
【0003】
特許文献1には、自動車の車室内に設けられた係止部に係合可能な係合部を有する車両用携帯バッグが開示されている。乗員が自動車に乗っている時には、物品を収納しているバッグの係合部を係止部に係合させることにより、バッグを車室内に保持する。そして、乗員が自動車から降りる際には、係合部の係止部との係合を解除して、バッグを車室から取り外して持ち運ぶ。それにより、乗員の乗降時の物品の出し入れの煩雑さが回避される。さらに、この車両用携帯バッグを複数個設けると、複数のバッグを車室内に整然と保持することができる。
【0004】
特許文献2~6には、複数のバッグを一括して取り扱うことができる構成や、バッグの内部に複数の収納部分を設けた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平01-021073号公報
【特許文献2】実用新案登録第3226368号公報
【特許文献3】特開2002-142830号公報
【特許文献4】特開平11-32828号公報
【特許文献5】特許第4857104号公報
【特許文献6】特許第6006832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された車両用携帯バッグを複数設けると、それらのバッグを車室外に持ち運ぶ際には、それらのバッグがかさばるため取り扱いにくく不便であった。また、一部のバッグに物品が収納されないとしても、物品を収納しないバッグも車室内に保持され、それらは使用されないにも拘わらず美観を損なっていた。
【0007】
特許文献2~6に記載されたバッグは、自動車の車室内の収納手段として用いられることを想定されたものではなく、前述した特許文献1の問題点を解決し得るものではない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、複数のバッグを用いて多数の物品を収納可能であるとともに、複数のバッグを容易に持ち運ぶことができ、かつ使用されないバッグが車室内に保持されても美観を損なうことが抑制できる自動車用収納バッグシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自動車用収納バッグシステムは、大きさが異なる3つ以上のバッグを含み、各々の前記バッグは、当該バッグよりも小さい前記バッグを内部に収納可能であり、最も大きい前記バッグは、当該バッグ以外の全ての前記バッグを内部に収納可能であり、各々の前記バッグには、自動車の内装材に直接または間接的に取り付けるための取付部材、または前記取付部材に係合する係合部が、それぞれ設けられていることを特徴とする。
前記取付部材は、自動車の内装材に直接または間接的に取り付けられるベルトであり、前記係合部は、前記ベルトが挿通される被挿通部であってよい。
自動車の内装材、または内装材に取り付けられるパネルに、前記ベルトが挿通される孔部が設けられていてよい。
前記係合部は、前記係合部が設けられているバッグが前記内装材に直接または間接的に保持された状態における当該バッグの上端部からの距離が一定であってよい。
前記バッグは開閉可能であり、全ての前記バッグの開閉方向が同一であってよい。
前記バッグは、内部に物品を保持する保持部が設けられていてよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、複数のバッグを用いて多数の物品を収納可能であるとともに、複数のバッグを容易に持ち運ぶことができ、かつ使用されないバッグが車室内に保持されても美観を損なうことが抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施形態の自動車用収納バッグシステムの複数のバッグを示す斜視図である。
図2】最も大きいバッグの内部に、それ以外のバッグが収納された状態を示す斜視図である。
図3】(a)はバッグが閉じた状態の表面側の斜視図、(b)はその裏面側の斜視図、(c)はバッグが開いた状態の内側の斜視図である。
図4】本発明の第1の実施形態の、バッグを内装材にパネルを介して間接的に保持するための構造を示す断面図である。
図5】本発明の第1の実施形態の取付部材であるベルトの正面図である。
図6図4に示すパネルの正面図である。
図7】本発明の第1の実施形態の取付部材の係止部の他の例であるブラケットの斜視図である。
図8】最も大きいバッグの内部にそれ以外のバッグが収納され、バッグが閉じており、内装材に取り付けられた状態を模式的に示す正面図である。
図9】最も大きいバッグの内部にそれ以外のバッグが収納され、バッグが開いており、内装材に取り付けられた状態を模式的に示す正面図である。
図10】複数のバッグが別々に内装材に取り付けられた状態を模式的に示す正面図である。
図11】本発明の第2の実施形態の、バッグを内装材にパネルを介して間接的に保持するための構造を示す断面図である。
図12】本発明の第3の実施形態の、バッグを内装材にパネルを介して間接的に保持するための構造を示す断面図である。
図13】本発明の第4の実施形態の、バッグを内装材にパネルを介して間接的に保持するための構造を示す断面図である。
図14】本発明の第5の実施形態の、バッグを内装材に直接保持するための構造を示す断面図である。
図15】本発明の第6の実施形態の、バッグを内装材にパネルを介して間接的に保持するための構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の自動車用収納バッグシステムの複数のバッグを示す斜視図である。図1に示す例では、大きさが異なる5種類のバッグ1a~1eを有しており、最小のバッグ1eを2個有している。各々のバッグは、当該バッグよりも小さいバッグを内部に収納可能である。すなわち、バッグ1aはバッグ1bを、バッグ1bはバッグ1cを、バッグ1cはバッグ1dを、バッグ1dは2個のバッグ1eを、それぞれ内部に収納可能である。このように各バッグを順番に収納することにより、最も大きいバッグ1aが、それ以外の全てのバッグ1b~1eを内部に収納可能である。図2は、バッグ1b~1eがバッグ1aの内部に収納された状態を模式的に示している。
【0013】
本実施形態の複数のバッグ1a~1eは、大きさが異なるが、実質的に同様な構成を有している。図3~4,11~15には単一のバッグのみを示しているが、これは複数のバッグを代表するものであり、符号1を付与している。本明細書中では、複数のバッグ1a~1eのうちのいずれであるか特定する必要がない場合には、符号1で表す。各バッグ1a~1eのいずれも、図3~4,11~15に示すバッグ1と実質的に同じ構成を有するものとみなす。図3(a)にバッグ1が閉じた状態の表面側の斜視図を示し、図3(b)にその裏面側の斜視図を示し、図3(c)にバッグ1が開いた状態の内側の斜視図を示している。バッグ1は四角形状の外形を有し、外周部に、少なくとも3つの側面、好ましくは4つの側面全てにわたって延びるファスナー2が設けられている。ファスナー2を閉めるとバッグ1は閉じられ、ファスナー2が完全に開かれるとバッグ1の2つの主面が180度以上の角度をなすように開くことができる。バッグ1の外表面には、後述する自動車の内装材に直接または間接的に取り付けるための取付部材(ベルトなど)に係合する係合部が設けられている。図3に示す例では、係合部として、ベルトが挿通される被挿通部が設けられている。この被挿通部は、例えばウェビング3と呼ばれる帯状部材である。ウェビング3は、少なくとも2箇所がバッグ1の外表面に固定され、固定された部分の間の中間部分がバッグ1の外表面に固定されずバッグ1の外表面との間に隙間を生じさせることができる。この隙間にベルトを挿通することができる。バッグ1の内部には、物品を保持する保持部、例えば内部ウェビング4や内部ポケット(図示せず)が設けられている。内部ウェビング4への差し込みや内部ポケット内への挿入によって様々な物品をバッグ1の内部に保持可能である。
【0014】
本実施形態の自動車用収納バッグシステムでは、バッグ1を自動車の内装材(ドアトリムのポケット、リアクォーターウィンドウ、デッキサイドトリム、バックドアトリム、座席の背面部等)に直接または間接的に取り付けて保持することができる。図4は、本実施形態の自動車用収納バッグシステムの、バッグ1を内装材6にパネル8を介して間接的に取り付けて保持するための構造を示す断面図である。図5は、本実施形態においてバッグ1を自動車の内装材6に直接または間接的に取り付けるための取付部材であるベルトの正面図である。具体的には、本実施形態では、図4,5に示すように、取付部材として、両端部にフック状の係止部5aを備えたベルト5が用いられる。そして、図4に示すように、本実施形態では、自動車の内装材6にパネル8を取り付け、このパネル8にベルト5を用いてバッグ1を取り付けることで、バッグ1を内装材6に間接的に取り付けて保持する。このように自動車の内装材6にバッグ1等の部材を間接的に取り付けるためのパネル8等の保持部材を設ける機構を、一般にMOLLEシステムと称し、そのパネル8をMOLLEパネルと称する。本実施形態では、MOLLEシステムを用いてバッグ1を自動車の内部に保持する。図6に示すように、パネル8には多数の孔部8aが設けられている。このパネル8が、図示しない固定部材(例えばネジ等)によって内装材6に固定されている。ベルト5は、パネル8の多数の孔部8aのうちのいずれかの孔部8aの内周縁に一方の係止部5aが引っ掛けられ、他の孔部8aの内周縁に他方の係止部5aが引っ掛けられることで、パネル8に固定可能である。このベルト5を、バッグ1のウェビング3を挿通させた状態で、ベルト5のウェビング3への挿通部分の両側に位置する係止部5aをそれぞれ孔部8aの内周縁に引っ掛けて、ベルト5をパネル8に固定する。その結果、バッグ1が、パネル8を介して間接的に内装材6に保持される。ただし、内装材6にベルト5の係止部5aを引っ掛け可能な孔部が形成され、パネル8等の保持部材を介在させずにバッグ1を内装材6に直接取り付ける構成にすることもできる。なお、図4に示すようにファスナー2を閉めてバッグ1を閉じた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも、図示しないがファスナー2を開いてバッグ1を開いた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも可能である。バッグ1a~1eはいずれもこのような構成を有しているが、各バッグ1a~1eの大きさに応じて、内部ウェビング4や内部ポケットの数が異なる場合がある。
【0015】
図7は、バッグ1の取付部材であるベルト5の両端部に設けられた係止部の他の例であるブラケット9の斜視図である。このブラケット9は、ベルト通し穴9aが設けられており、ベルト通し穴9aにベルト5が挿通されることでベルト5の端部に保持される。ブラケット9は、ベルト5の長手方向に直交する断面が長方形状であり、その長辺および短辺の長さは、パネル8の孔部8a(または内装材6の孔部(図示せず))の大きさに合わせて設定される。従って、ベルト5の端部のブラケット9を、パネル8の孔部8a(または内装材6の孔部)を通過させた状態で、ベルト5をねじってブラケット9を90度回転させると、ブラケット9の一部が孔部の内周縁に引っ掛かって離脱不能になる。このようにして、ベルト5の両端部のブラケット9をそれぞれパネル8の孔部8a(または内装材6の孔部)に引っ掛けることで、ベルト5がパネル8(または内装材6)に取り付けられる。この構成でも、前述した構成と同様にベルト5をバッグ1のウェビング3を挿通させた状態で、ベルト5の両端部のブラケット9をパネル8(または内装材6)に取り付けることで、バッグ1を直接または間接的に内装材6に取り付けることができる。
【0016】
前述したように、最も大きいバッグ1aが、それ以外の全てのバッグ1b~1eを内部に収納可能である。従って、各バッグ1a~1eに収納する物品が無いか、または収納する物品が小型かつ少数である場合には、バッグ1b~1eを全て、最も大きいバッグ1aに収納した状態で、図8に模式的に示すようにバッグ1aを内装材6に直接または間接的に取り付けることができる。それにより、バッグ1a~1eが車室内の美観を損なうことを最小限に抑えることができる。また、このようにして内装材6に直接または間接的に保持されているバッグ1a~1eはかさばらないため、一括して容易に取り扱うことができ、車室外に容易に持ち運ぶことができる。なお、最も大きいバッグ1aにそれ以外の全てのバッグ1b~1eを収納する場合に限られず、複数のバッグ1a~1eのうちの一部のみを一括して収納することもできる。各バッグ1a~1eのそれぞれへの物品の収納状態に応じて、一部のバッグ1を他のバッグ1に収納した状態で内装材6に直接または間接的に保持することにより、車室内においてバッグ1a~1eが占めるスペースを必要最小限に抑えることができる。
【0017】
図8に示す例では、全てのバッグ1a~1eを閉じた状態で、一括して内装材6に直接または間接的に保持している。しかし、図9に模式的に示すように、全てのバッグ1a~1eを開いた状態で重ね合わせて、一括して内装材6に直接または間接的に保持することも可能である。このように複数のバッグ1a~1eを開いた状態で重ね合わせて一括して保持するために、各バッグ1a~1eは開閉可能であり、全てのバッグ1a~1eの開閉方向が同一であることが好ましい。言い替えると、全てのバッグ1a~1eの開閉方向が同一になるように、各バッグ1a~1eの向きを揃えて配置することが好ましい。具体的には、図9に示す例では、全てのバッグ1a~1eが、ファスナーを開いた状態で主面が左右に開く。すなわち、全てのバッグ1a~1eの開閉方向が同一である。また、このように複数のバッグ1a~1eを開いた状態で重ね合わせて一括して保持するために、図示しないが、バッグ1の外側表面とバッグ1の内側表面とが互いに係合する係合機構を有していることが好ましい。例えば、バッグ1の外側表面のウェビング3と内側表面の内部ウェビング4とが、面ファスナー機構等によって互いに接合可能な構成にすることができる。
【0018】
本実施形態のバッグ1a~1eはそれぞれ、外表面にウェビング3などの係合部を有しており、ベルト5などの取付部材を用いて、それぞれ個別に内装材6に直接または間接的に保持することができる。従って、図10に模式的に示すように、全てのバッグ1a~1eを横一列に並べて内装材6に直接または間接的に保持することもできる。この場合、各バッグ1a~1eが内装材6に直接または間接的に保持された状態における当該バッグ1a~1eの上端部から係合部(ウェビング3)までの距離Lが全て一定であると、各バッグ1a~1eの上端部の高さが揃った状態で整然と保持されるため好ましい。
【0019】
バッグ1の外側表面に商品名などのロゴを表示する場合には、図8に示すように1つのバッグ1aの外側表面にロゴの全ての文字を表示してもよいが、図10に示すようにバッグ1a~1eの各々の外側表面にロゴの文字の一部をそれぞれ表示して、全てのバッグ1a~1eを横一列に並べて保持した際にロゴの全体が表示されるようにしてもよい。特に、ロゴの文字が貼り付けおよび剥離可能なシールからなり、図8に示すような表示形態と、図10に示すような表示形態と、その他の任意の表示形態とを自由に選択できる構成にすることも可能である。ただし、ロゴの文字をバッグ1の外側表面に縫い付けた構成にすることもできる。
【0020】
以上説明した通り、本実施形態の自動車用収納バッグシステムによると、図8に模式的に示すように、大きなバッグ1の内部に小さなバッグ1を収容し、各バッグ1が閉じた状態で一括して内装材6に直接または間接的に保持することができる。また、図9に模式的に示すように、複数のバッグ1を開いた状態で重ね合わせて、一括して内装材6に直接または間接的に保持することもできる。図10に模式的に示すように、各バッグ1を閉じた状態で別々に内装材6に直接または間接的に保持することもできる。図示しないが、各バッグ1を開いた状態で別々に内装材6に直接または間接的に保持することもできる。さらに、図示しないが、複数のバッグ1のうちの一部のバッグ1を選択して、選択したバッグ1のみを閉じた状態または開いた状態で一括して内装材6に直接または間接的に保持することも可能である。本実施形態によると、前述した様々な保持形態で複数のバッグ1を内装材6に直接または間接的に保持することが可能であり、その保持形態を任意に選択することができる。これは、各々のバッグ1は当該バッグ1よりも小さいバッグ1を内部に収納可能であり、最も大きいバッグ1aは、それ以外の全てのバッグ1b~1eを内部に収納可能であり、各々のバッグ1a~1eには、内装材6に取り付けるための取付部材(例えばベルト5)に係合する係合部(例えばウェビング3)がそれぞれ設けられていることで、初めて可能になったものである。
【0021】
図8,10に示すようにバッグ1を閉じた状態で内装材6に直接または間接的に保持すると、車室内の美観をあまり損ねない。特に、バッグ1の外側表面およびベルト5を、車室の内装材6に合わせた色(例えば黒色)にすると、車室内においてバッグがあまり目立たないため好ましい。一方、図9に示すようにバッグ1を開いた状態で内装材6に直接または間接的に保持すると、バッグ1に収納された物品を乗員が取り出しやすい。バッグ1の内側表面は、内部に収納した物品を見やすくするように明るい色(例えば白色)にすることが好ましい。
【0022】
図11は、本発明の第2の実施形態の自動車用収納バッグシステムの、バッグ1を内装材6に間接的に保持するための構造を示す断面図である。本実施形態では、ベルト5に、図4,5に示すような係止部5aは設けられておらず、ベルト5の両端部にホック5bまたはボタン(図示せず)等が設けられている。この構成では、ベルト5を、バッグ1のウェビング3を挿通させた状態で、ベルト5のウェビング3への挿通部分の両側に位置する部分をそれぞれ、パネル8の孔部8aを通過させてパネル8の裏側(バッグ1に面する側と反対側)に引き回してベルト5の両端部を互いに重ね合わせ、ホック5bまたはボタンによって連結させる。こうして、第1の実施形態と同様に、ベルト5を用いてバッグ1を内装材6に間接的に保持することができる。なお、本実施形態で、パネル8を用いずに、バッグ1およびベルト5を内装材6に直接取り付ける構成にすることもできる。また、ファスナー2を閉めてバッグ1を閉じた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも、ファスナー2を開いてバッグ1を開いた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも可能である。この点以外は、第1の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0023】
図12は、本発明の第3の実施形態の自動車用収納バッグシステムの、バッグ1を内装材6に間接的に保持するための構造を示す断面図である。本実施形態では、ベルト5の少なくとも両端部の互いに対向する部分が面ファスナーになっている。この構成では、第2の実施形態と同様に、ベルト5を、バッグ1のウェビング3を挿通させた状態で、ベルト5のウェビング3への挿通部分の両側に位置する部分をそれぞれ、パネル8の孔部8aを通過させてパネル8の裏側(バッグ1に面する側と反対側)に引き回してベルト5の両端部を互いに重ね合わせ、面ファスナーによって連結させる。こうして、第1,2の実施形態と同様に、ベルト5を用いてバッグ1を内装材6に間接的に保持することができる。なお、本実施形態で、パネル8を用いずに、バッグ1およびベルト5を内装材6に直接取り付ける構成にすることもできる。ファスナー2を閉めてバッグ1を閉じた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも、ファスナー2を開いてバッグ1を開いた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも可能である。この点以外は、第1,2の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0024】
図13は、本発明の第4の実施形態の自動車用収納バッグシステムの、バッグ1を内装材6に間接的に保持するための構造を示す断面図である。本実施形態では、バッグ1の裏側(パネル8に面する側)の外側表面に、ウェビング3ではなく、面ファスナー7が設けられている。そして、本実施形態のベルト5は、両端部のみならず、バッグ1の面ファスナー7と対向する部分が面ファスナーになっている。この構成では、ベルト5の一部を、バッグ1の面ファスナー7に接合させた状態で、ベルト5の面ファスナー7との接合部分の両側に位置する部分をそれぞれ、パネル8の孔部8aを通過させてパネル8の裏側(バッグ1に面する側と反対側)に引き回してベルト5の両端部を互いに重ね合わせ、面ファスナーによって連結させる。こうして、第1~3の実施形態と同様に、ベルト5を用いてバッグ1を内装材6に間接的に保持することができる。なお、本実施形態で、パネル8を用いずに、バッグ1およびベルト5を内装材6に直接取り付ける構成にすることもできる。ファスナー2を閉めてバッグ1を閉じた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも、ファスナー2を開いてバッグ1を開いた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも可能である。この点以外は、第1~3の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0025】
図14は、本発明の第5の実施形態の自動車用収納バッグシステムの、バッグ1を内装材6に直接保持するための構造を示す断面図である。本実施形態では、バッグ1を自動車の内装材6に取り付けるための取付部材であるベルト5が、内装材6に直接設けられている。すなわち、本実施形態の内装材6には、図6に示すようなパネル8は設けられておらず、2本のベルト5が内装材6に直接取り付けられるか、または一体的に形成されている。そして、両ベルト5の先端部(内装材6側と反対側の先端部)が面ファスナーになっている。この構成では、一方のベルト5を、バッグ1のウェビング3を挿通させた状態で、そのベルト5の先端部と他方のベルトの先端部とを互いに重ね合わせ、面ファスナーによって連結させる。こうして、第1~4の実施形態と同様に、ベルト5を用いてバッグ1を内装材6に直接またはベルトを設けたパネルを用いて間接的に保持することができる。なお、ファスナー2を閉めてバッグ1を閉じた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも、ファスナー2を開いてバッグ1を開いた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも可能である。この点以外は、第1~4の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0026】
図15は、本発明の第6の実施形態の自動車用収納バッグシステムの、バッグ1を内装材6に間接的に保持するための構造を示す断面図である。本実施形態では、バッグ1の裏側(パネル8に面する側)の外側表面に、ベルト5が直接設けられている。すなわち、本実施形態のバッグ1には、ウェビング3等の係合部は設けられておらず、ベルト5の中間部分がバッグ1に取り付けられるか、または一体的に形成されている。この構成では、バッグ1に直接設けられているベルト5を、第3の実施形態と同様に、パネル8の孔部8aを通過させてパネル8の裏側(バッグ1に面する側と反対側)に引き回してベルト5の両端部を互いに重ね合わせ、面ファスナーによって連結させる。こうして、第1~5の実施形態と同様に、ベルト5を用いてバッグ1を内装材6に間接的に保持することができる。なお、本実施形態で、パネル8を用いずに、バッグ1およびベルト5を内装材6に直接取り付ける構成にすることもできる。ファスナー2を閉めてバッグ1を閉じた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも、ファスナー2を開いてバッグ1を開いた状態で内装材6に直接または間接的に保持することも可能である。この点以外は、第1~5の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0027】
本発明の自動車用収納バッグシステムによると、様々な物品を収納したバッグ1を、自動車の内装材6に直接または間接的に容易に保持することができ、かつ容易に取り外して持ち運ぶことができる。従って、乗員の乗降時の物品の収納および持ち運びの煩雑さが解消される。特に、複数のバッグ1を用いるため、多くの物品を収納可能であり、その多くの物品のそれぞれに関して、前述したように収納および持ち運びが煩雑でない。そして、複数のバッグ1の一部にのみ物品が収納されて、残りのバッグ1には物品が収納されない(使用されない)場合などに、複数のバッグ1(特に物品が収納されない複数のバッグ1)を一括して取り扱うことができ、非常に簡便である。さらに、内装材6に直接または間接的に保持されるバッグ1が車室内において占めるスペースを小さくして、美観を損なうことを最小限に抑えることができる。
【0028】
本発明によると、複数のバッグ1を一括して自動車の内装材6に直接または間接的に保持することと、複数のバッグ1をそれぞれ別々に内装材6に直接または間接的に保持することと、複数のバッグ1のうちの一部を一括して内装材6に直接または間接的に保持して残りのバッグ1を別々に内装材6に直接または間接的に保持することとが任意に選択できる。また、バッグ1を閉じた状態で内装材6に直接または間接的に保持することと、バッグ1を開いた状態で内装材6に直接または間接的に保持することとが任意に選択できる。さらに、大きさの異なる複数のバッグ1を有しているため、収納する物品に応じて適切な大きさのバッグを選んで収納することができる。このように、様々な収納形態を乗員が任意に容易に選択でき、自由度が大きいため、状況に応じて十分な収納性を確保しつつ、美観を損なうことを最小限に抑えることが容易にできる。
【0029】
本発明は、前述した各実施形態を任意に組み合わせた構成にすることも可能であり、その他の変更を加えることも可能である。例えば、バッグ1を内装材6に直接または間接的に取り付けるための取付部材はベルト5に限られず、その他の構成であってもよい。そして、取付部材に係合する係合部は、ウェビング3や面ファスナーに限られず、取付部材の形態に応じた様々な構成が採用される。バッグ1に複数の係合部を設け、複数の係合部のうちのいずれかを選択して取付部材に係合させることによって、バッグ1の取付位置や姿勢を任意に変更することができる構成にしてもよい。図3(b)に示すように、ウェビング3の一部がバッグ1の外表面(例えば布からなる表皮部分)に縫い付けられて、ウェビング3が1つまたは複数の縫い目によって長手方向において複数の区画に分けられている場合には、取付部材(ベルト5)を通す位置(区画)を変えることで、バッグ1の取付位置の微調整が可能である。この構成は、特にバッグ1を取り付けるパネル8の孔部8a(または内装材6の孔部(図示せず))の数が少ない場合であっても、バッグ1の取付位置の自由度が大きくなるため好ましい。ウェビング3に一定の間隔で複数の縫い目が設けられていると、バッグ1の取付位置も一定の間隔で調整できる。また、このようにウェビング3に縫い目が設けられていると、バッグ1がパネル8または内装材6に取り付けられた状態で横方向(ウェビング3の長手方向)に滑って位置ずれすることを抑えられるという効果がある。さらに、ウェビング3等の係合部が上下方向(ウェビング3の長手方向に直交する方向)に複数並べて設けられていると、バッグ1の取付位置を上下方向において微調整することができる。あるいは、内装材6またはパネル8に多数の孔部を設け、複数の孔部のうちのいずれかを選択して取付部材を取り付けることによって、バッグ1の取付位置や姿勢を任意に変更することができる構成にしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1,1a~1e バッグ
2 ファスナー
3 ウェビング(係合部、被挿通部)
4 内部ウェビング(保持部)
5 ベルト(取付部材)
5a 係止部
5b ホック
6 内装材
7 面ファスナー
8 パネル
8a 孔部
9 ブラケット
9a ベルト通し穴
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