(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154649
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】アキシャルギャップ型モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 9/19 20060101AFI20231013BHJP
H02K 16/02 20060101ALI20231013BHJP
H02K 9/06 20060101ALI20231013BHJP
H02K 5/20 20060101ALI20231013BHJP
H02K 1/20 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H02K9/19 A
H02K16/02
H02K9/06 E
H02K5/20
H02K1/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064115
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】太田 智
【テーマコード(参考)】
5H601
5H605
5H609
【Fターム(参考)】
5H601AA16
5H601BB12
5H601CC01
5H601CC15
5H601CC21
5H601DD09
5H601DD12
5H601DD18
5H601DD22
5H601DD30
5H601DD32
5H601DD47
5H601EE18
5H601GA02
5H601GA22
5H601GA33
5H601GB48
5H601GC03
5H601GC14
5H601GE01
5H601GE02
5H601GE19
5H601JJ04
5H601JJ05
5H605AA01
5H605BB05
5H605BB17
5H605CC01
5H605CC02
5H605DD13
5H605EB06
5H609BB15
5H609BB19
5H609PP01
5H609PP02
5H609PP05
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ02
5H609QQ05
5H609QQ09
5H609QQ11
5H609RR06
5H609RR26
5H609RR37
5H609RR41
5H609RR46
5H609RR52
5H609RR55
(57)【要約】
【課題】冷却について改善したアキシャルギャップ型モータを提供することである。
【解決手段】アキシャルギャップ型モータは、中心軸に沿って延びるシャフトと、前記シャフトの径方向外側に固定されるロータと、前記ロータの軸方向にエアギャップを介して配置されるステータと、前記ステータを収容するステータケースと、少なくとも一部が前記ステータの軸方向一方側に配置されるブラケットと、を備え、前記ステータケースは、前記ステータを冷却する冷却液が流れる第1流路を有し、前記ブラケットは、前記第1流路からの冷却液が流れる第2流路を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に沿って延びるシャフトと、
前記シャフトの径方向外側に固定されるロータと、
前記ロータの軸方向にエアギャップを介して配置されるステータと、
前記ステータを収容するステータケースと、
少なくとも一部が前記ステータの軸方向一方側に配置されるブラケットと、
を備え、
前記ステータケースは、前記ステータを冷却する冷却液が流れる第1流路を有し、
前記ブラケットは、前記第1流路からの冷却液が流れる第2流路を有する、
アキシャルギャップ型モータ。
【請求項2】
前記ロータは、該ロータの回転と共に回転し、前記第2流路に向けて送風する羽部を有する、
請求項1に記載のアキシャルギャップ型モータ。
【請求項3】
前記ステータケースは、前記第2流路からの冷却液が流れる第3流路を有する、
請求項1又は2に記載のアキシャルギャップ型モータ。
【請求項4】
前記ロータは、前記ステータの軸方向一方側に配置された第1ロータであり、
前記シャフトの径方向外側に固定され、前記ステータの軸方向一方側に配置された第2ロータをさらに備える、
請求項3に記載のアキシャルギャップ型モータ。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記第1ロータを軸方向一方側から覆う第1ブラケットであり、
前記第2ロータを軸方向他方側から覆う第2ブラケットをさらに備え、
前記第2ブラケットは、前記第3流路からの冷却液が流れる第4流路を有する、
請求項4に記載のアキシャルギャップ型モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アキシャルギャップ型モータに関する。
【背景技術】
【0002】
ステータと軸方向に対応するロータを有するアキシャルギャップ型モータが知られている。このようなアキシャルギャップ型モータにおいてはステータが発熱することが知られている。特許文献1では、冷却媒体をステータに直接供給することで、ステータを冷却する構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、ステータに供給した冷却媒体を吐出する構成を開示するのみであって、ステータの熱で温度が上がった冷却媒体を冷却するには、冷却媒体を冷却するクーラーを外部に設けるなどの対策をする必要があり、アキシャルギャップ型モータを用いたシステムが大型化するという問題があった。このため、従来はアキシャルギャップ型モータの冷却に改善の余地があった。
【0005】
本発明は、冷却について改善したアキシャルギャップ型モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るアキシャルギャップ型モータは、中心軸に沿って延びるシャフトと、前記シャフトの径方向外側に固定されるロータと、前記ロータの軸方向にエアギャップを介して配置されるステータと、前記ステータを収容するステータケースと、少なくとも一部が前記ステータの軸方向一方側に配置されるブラケットと、を備え、前記ステータケースは、前記ステータを冷却する冷却液が流れる第1流路を有し、前記ブラケットは、前記第1流路からの冷却液が流れる第2流路を有する。
【0007】
上記の一態様のアキシャルギャップ型モータにおいて、前記ロータは、該ロータの回転と共に回転し、前記第2流路に向けて送風する羽部を有する。
【0008】
上記の一態様のアキシャルギャップ型モータにおいて、前記ステータは、前記第2流路からの冷却液が流れる第3流路を有する。
【0009】
上記の一態様のアキシャルギャップ型モータにおいて、前記ロータは、前記ステータの軸方向一方側に配置された第1ロータであり、前記シャフトの径方向外側に固定され、前記ステータの軸方向一方側に配置された第2ロータをさらに備える。
【0010】
上記の一態様のアキシャルギャップ型モータにおいて、前記ブラケットは、前記第1ロータを軸方向一方側から覆う第1ブラケットであり、前記第2ロータを軸方向他方側から覆う第2ブラケットをさらに備え、前記第2ブラケットは、前記第3流路からの冷却液が流れる第4流路を有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、冷却について改善したアキシャルギャップ型モータを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1に係るモータの斜視図である。
【
図2】
図1のモータ100を、中心軸Jを通りX軸と直交する面で切断して示す側断面図である。
【
図3】
図1のモータ100からブラケット110を外して示す斜視図である。
【
図4】ブラケット110を-Z側から見た側面図である。
【
図8】
図1のモータ100からブラケット120を外して軸方向他方側から見た側面図である。
【
図9】ブラケット120を+Z側から見た側面図である。
【
図11】本発明の実施例2に係るモータの斜視図である。
【
図12】
図11のモータ500を、中心軸Sを通りX軸と直交する面で切断して示す側断面図である。
【
図13】ブラケット510を-Z側から見た側面図である。
【
図14】
図11のモータ500からブラケット510を外して+Z側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るアキシャルギャップ型モータについて説明する。なお、以下の図面においては、各構成をわかり易くするために、実際の構造と各構造における縮尺及び数等を異ならせる場合がある。
【0014】
また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。XYZ座標系において、Z軸方向は、
図1に示す中心軸Jの軸方向と平行な方向とする。Y軸方向は、中心軸Jに対する径方向のうち
図1の上下方向とする。X軸方向は、Z軸方向及びY軸方向の両方と直交する方向とする。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のいずれにおいても、図中に示す矢印が指す側を+側、反対側を-側とする。
【0015】
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「他方側」と呼ぶ。なお、一方側及び他方側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Jに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Jに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Jから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。
【0016】
なお、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に軸方向(Z軸方向)に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、本明細書において、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、軸方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また「平行」とは、厳密に平行な場合に加えて、互いに成す角が45°未満の範囲で傾いた場合も含む。
【実施例0017】
図1は、本発明の実施例1に係るモータの斜視図である。
図1のモータ100は、アキシャルギャップ型モータの一例である。
図2は、
図1のモータ100を、中心軸Jを通りX軸と直交する面で切断して示す側断面図である。
【0018】
モータ100は、中心軸Jに沿って延びるシャフト200と、シャフト200の径方向外側に固定されるロータ140と、シャフト200の径方向外側に固定されるロータ150と、ステータ160と、を備える。ロータ140は、ステータ160の軸方向一方側にエアギャップを介して配置される。ロータ150は、ステータ160の軸方向他方側にエアギャップを介して配置される。本実施例では、ステータの軸方向両側にロータを備える例について説明するが、本発明は、ステータの軸方向片側にのみロータを備える構成にも適用可能である。シャフト200は、中心軸Jを回転軸にして回転可能なように軸受171及び軸受172によって軸支される。
【0019】
ステータ160は、ステータコア162(
図5参照)と、ステータコア162に巻き回されたステータコイル161と、を有する。ステータ160は、ステータコア162及びステータコイル161を周方向に複数配置して構成される。本実施例では、ステータ160は、ステータコア162及びステータコイル161を周方向に12個配置して構成される。ステータコア162は、電磁鋼板を径方向に積層した積層鋼板によって構成される。
【0020】
ステータ160は、ステータケース130に収容される。ステータケース130は、収容部130aと、軸方向と直交する面を有する板形状の蓋部130bと、を有する。収容部130aは、軸方向と直交する面を有する板形状の底部130cと、底部130cから軸方向一方側に延びる円筒形状である円筒部130dと、円筒部130dよりも大径であって底部130cから軸方向一方側に延びる円筒形状である円筒部130eと、を有する。底部130cは、円筒部130dと円筒部130eとの間で軸方向と直交する面を有する。円筒部130dと円筒部130eとは同軸である。ステータケース130は、円筒部130dと円筒部130eと底部130cとで囲まれた領域に、ステータ160を収容する。蓋部130bは、円筒部130dと円筒部130eとの間で軸方向と直交する面を有する。蓋部130bは、円筒部130dと円筒部130eと底部130cとで囲まれた領域の軸方向一方側の開口を塞ぐ。蓋部130bは、例えばボルトによって円筒部130eに固定される。
【0021】
ステータケース130の蓋部130bと円筒部130dと円筒部130eと底部130cとで囲まれた領域は、仕切り板130g(
図7参照)及び仕切り板130f(
図7参照)によって、上側(以下「上側領域」という)と下側(以下「下側領域」という)とに仕切られる。ステータケース130は、外部からオイルが流入する流入口131を有する。流入口131からのオイルは、下側領域に流入し、この下側領域に収容されたステータコア162及びステータコイル161を冷却する。
【0022】
円筒部130dは、軸方向他方側から軸方向一方側に延び、軸方向一方側に開口する流路132aを有する。蓋部130bは、流路132aの軸方向一方側の開口と繋がり、径方向外側に延びる流路133aを有する。蓋部130bは、流路133aと繋がり、軸方向一方側に延び、軸方向一方側に開口する流路134aを有する。
【0023】
円筒部130dは、軸方向他方側から軸方向一方側に延び、軸方向一方側に開口する流路132bを有する。蓋部130bは、流路132bの軸方向一方側の開口と繋がり、径方向外側に延びる流路133bを有する。蓋部130bは、流路133bと繋がり、軸方向一方側に延び、軸方向一方側に開口する流路134bを有する。底部130cは、軸方向一方側から軸方向他方側に延び、軸方向一方側及び軸方向他方側に開口する流路135を有する。
【0024】
ロータ140は、ロータコア141と、周方向に複数配置されたロータマグネット142と、を有する。ロータコア141は、軸方向他方側の面にロータマグネット142を固定し、軸方向一方側に羽部141aを有する。
【0025】
ロータ150は、ロータコア151と、周方向に複数配置されたロータマグネット152と、を有する。ロータコア151は、軸方向一方側の面にロータマグネット152を固定し、軸方向他方側に羽部151aを有する。
【0026】
ブラケット110は、少なくとも一部がステータ160の軸方向一方側に配置される。ブラケット110の一部は、ステータ160の一部よりも軸方向他方側に位置してもよい。ブラケット110は、有底円筒形状であって、ロータ140を軸方向一方側から覆う。ブラケット110は、円筒部130eと同軸である。ブラケット110は、円筒部110aと、底部110cと、を有する。底部110cは、軸方向と直交する面を有する。円筒部110aは、底部110cから軸方向他方側に延びる円筒形状である。
【0027】
底部110cは、軸方向一方側及び軸方向他方側に貫通する貫通孔110kと、軸方向一方側で貫通孔110kと連通し軸方向他方側に貫通する孔110mと、を有する。孔110mは、貫通孔110kよりも大径である。軸受171は、孔110mに嵌まり、孔110mと貫通孔110kと径の違いによる段差位置で固定される。
【0028】
円筒部110aは、径方向に貫通する貫通孔110bを周方向に複数有する。底部110cは、外周側で周方向の全周に亘る外周部110fと、外周部110fよりも径方向内側で周方向の全周に亘る内周部110hと、内周部110hよりも径方向内側で貫通孔110k及び孔110mを有する中央部110iと、外周部110fから中央部110iまでを径方向に結び周方向に複数配置された放射状部110gと、を有する。底部110cは、外周部110fと放射状部110gと内周部110hとで囲まれ、軸方向に貫通する貫通孔110dを有する。底部110cは、内周部110hと放射状部110gと中央部110iで囲まれ、軸方向に貫通する貫通孔110eを有する。
【0029】
ブラケット110は、軸方向他方側端において流路134aと連通し、軸方向一方側に延びる流路111aと、径方向外側端において流路111aの軸方向一方側端と連通し、径方向内側に延びる流路112aと、を有する。
【0030】
ブラケット110は、軸方向他方側端において流路134bと連通し、軸方向一方側に延びる流路111bと、径方向外側端において流路111bの軸方向一方側端と連通し、径方向内側に延びる流路112bと、を有する。
【0031】
ブラケット120は、少なくとも一部がステータ160の軸方向他方側に配置される。ブラケット120の一部は、ステータ160の一部よりも軸方向一方側に位置してもよい。ブラケット120は、有底円筒形状であって、ロータ150を軸方向一方側から覆う。ブラケット120は、円筒部130eと同軸である。ブラケット120は、円筒部120aと、底部120cと、を有する。底部120cは、軸方向と直交する面を有する。円筒部120aは、底部120cから軸方向一方側に延びる円筒形状である。ブラケット120は、別途説明の無い限り、ブラケット110と同様の形状である。
【0032】
ブラケット120は、軸方向一方側端において流路135と連通し、軸方向他方側に延びる流路123と、径方向外側端において流路123の軸方向他方側端と連通し、径方向内側に延びる流路122bと、を有する。ブラケット120は、オイルを外部へ流出する流出口121を有する。ブラケット120は、流路122aを有する。流路122aは、径方向内側から径方向外側に延び、径方向外側に開口する。流路122aは、流出口121に連通する。
【0033】
図3は、
図1のモータ100からブラケット110を外して示す斜視図である。ロータコア141の軸方向一方側の面に設けられた羽部141aは、ロータ140の回転に伴ってブラケット110に設けられたオイルの流路に向けて送風し、流路内を流れるオイルを冷却する。蓋部130bの軸方向一方側の面には、流路134a及び流路134bが開口している。
【0034】
図4は、ブラケット110を-Z側から見た側面図である。ブラケット110の軸方向他方側の面には、流路111a及び流路111bが開口している。流路111aは、蓋部130bの流路134aに連通する。流路111bは、蓋部130bの流路134bに連通する。
【0035】
図5は、
図2のA-A断面図である。すなわち、
図5は、流路112a及び流路112bの位置で切断して示す断面図である。ブラケット110は、底部110c内に流路112a、流路112b、流路114、流路115及び流路116を有する。
【0036】
流路114は、外周部110f内を周方向の全周に亘る流路である。流路116は、内周部110h内を周方向の全周に亘る流路である。流路112a及び流路112bは、Y軸に沿って延びる放射状部110g内を通り、流路114及び流路116と連通する流路である。流路115は、複数の放射状部110gのうちY軸に沿って延びるもの以外を通り、流路114及び流路116と連通する流路である。オイルは、流路112a、流路112b、流路114、流路115及び流路116を流れることで放熱する。また、羽部141aによる送風によってブラケット110が冷却されることにより、流路112a、流路112b、流路114、流路115及び流路116を流れるオイルをより冷却することができる。
【0037】
図6は、
図2のB-B断面図である。すなわち、
図6は、蓋部130bの流路133a及び流路133bの位置で切断して示す断面図である。蓋部130bは、Y軸に沿って延びる流路133a及び流路133bを有する。
【0038】
図7は、
図2のC-C断面図である。すなわち、
図7は、円筒部130dの流路132a及び流路132bの軸方向他方側端の位置で切断して示す断面図である。
【0039】
円筒部130dは、仕切り板130g及び仕切り板130fの下側で径方向外側に開口する流路136a及び流路137aを有する。円筒部130dは、周方向一端が流路136aの径方向内側端と連通し、周方向他端が流路137aの径方向内側端と連通する流路138aを有する。流路138aは、流路132aの軸方向他方端と連通する。
【0040】
上述のように、ステータケース130の蓋部130bと円筒部130dと円筒部130eと底部130cとで囲まれた領域は、仕切り板130g及び仕切り板130fによって、上側と下側とに仕切られる。下側領域は、流入口131から流入したオイルによって満たされる。これにより、下側領域に収容されたステータコア162及びステータコイル161はオイルで冷却される。また、下側領域がオイルで満たされると、流路136b及び流路137bの径方向外側端から円筒部130d内にオイルが流入する。
【0041】
円筒部130dは、仕切り板130g及び仕切り板130fの上側で径方向外側に開口する流路136b及び流路137bを有する。円筒部130dは、周方向一端が流路136bの径方向内側端と連通し、周方向他端が流路137bの径方向内側端と連通する流路138bを有する。流路138bは、流路132bの軸方向他方端と連通する。
【0042】
流路132bから流路138bに流れてきたオイルは、流路136b及び流路137bの径方向外側端から流れ出て、上側領域に流れ込む。上側領域がオイルで満たされると、オイルで上側領域に収容されたステータコア162及びステータコイル161が冷却される。また、上側領域がオイルで満たされると、オイルは流路135から軸方向他方側へと流れる。
【0043】
図8は、
図1のモータ100からブラケット120を外して軸方向他方側から見た側面図である。流路135は、底部130c内を軸方向他方側に延び、軸方向他方側に開口する。
【0044】
図9は、ブラケット120を+Z側から見た側面図である。流路135の軸方向他方側端は、ブラケット120の流路123の軸方向一方側端と連通する。
【0045】
図10は、
図2のD-D断面図である。すなわち、
図10は、流路122a及び流路122bの位置で切断して示す断面図である。ブラケット120は、底部120c内に流路122a、流路122b、流路124、流路125及び流路126を有する。
【0046】
流路124は、底部120cの外周部内を周方向の全周に亘る流路である。流路126は、底部120cの内周部内を周方向の全周に亘る流路である。流路122a及び流路122bは、Y軸に沿って延びる底部120cの放射状部内を通り、流路124及び流路126と連通する流路である。流路125は、複数の放射状部のうちY軸に沿って延びるもの以外を通り、流路124及び流路126と連通する流路である。オイルは、流路122a、流路122b、流路124、流路125及び流路126を流れることで放熱する。また、羽部151aによる送風によってブラケット120が冷却されることにより、流路122a、流路122b、流路124、流路125及び流路126を流れるオイルをより冷却することができる。
【0047】
本実施例では、上述のように、オイルは、流入口131、ステータケース130の下側、ブラケット110、ステータケース130の上側、ブラケット120及び流出口121の順に流れる。本実施例において、流出口121と流入口131との間を、ポンプを介して接続すれば、ステータケース130の下側にはブラケット120で冷却されたオイルが供給され、ステータケース130の上側にはブラケット110で冷却されたオイルが供給されるため、オイルを冷却する外部のクーラー等を必要とせずに、ステータ160の冷却を行うことができる。
また、以下の説明においては、Z軸方向の正の側(+Z側)を「一方側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「他方側」と呼ぶ。なお、一方側及び他方側とは、単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定しない。また、特に断りのない限り、中心軸Sに平行な方向(Z軸方向)を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Sを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼ぶ。径方向において中心軸Sに近づく側を「径方向内側」と呼び、中心軸Sから遠ざかる側を「径方向外側」と呼ぶ。
モータ100は、中心軸Sに沿って延びるシャフト700と、シャフト700の径方向外側に固定されるロータ540と、シャフト700の径方向外側に固定されるロータ550と、ステータ560と、を備える。ロータ540は、ステータ560の軸方向一方側にエアギャップを介して配置される。ロータ550は、ステータ560の軸方向他方側にエアギャップを介して配置される。
ロータ540は、軸方向一方側に羽部541aを有する。ロータ550は、ロータコア551と、周方向に複数配置されたロータマグネット552と、を有する。ロータコア551は、軸方向一方側の面にロータマグネット152を固定し、径方向外側に羽部560を有する。
本実施例では、オイルは、流入口531b、ステータケース530の下側領域、ブラケット510、ステータケース530の上側領域及び流出口531aの順に流れる。本実施例において、流出口531aと流入口531bとの間を、ポンプを介して接続すれば、ステータケース530にはブラケット510で冷却されたオイルが供給されるため、オイルを冷却する外部のクーラー等を必要とせずに、ステータ560の冷却を行うことができる。
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行ってもよい。加えて、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。