(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154650
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20231013BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20231013BHJP
H05K 3/46 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
H05K1/02 B
H05K3/00 N
H05K3/46 L
H05K3/46 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064116
(22)【出願日】2022-04-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 通昌
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英之
(72)【発明者】
【氏名】石川 清大
(72)【発明者】
【氏名】大野 彩美
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA22
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC14
5E316CC32
5E316CC37
5E316DD22
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5E316EE01
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5E316FF07
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5E316GG15
5E316GG17
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5E316HH33
5E338AA03
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB12
5E338BB54
5E338CD02
5E338EE32
(57)【要約】
【課題】深い凹部又は可撓性の領域の形成が可能な配線基板の製造方法の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板の製造方法は、第1面3f及び第2面3sを有していて絶縁基板を備える出発基板300を用意することと、第1面3fを部分的に覆う剥離膜6を設けることと、剥離膜6、及び剥離膜6に覆われていない第1面3fを覆う絶縁層12aを形成することと、平面視で剥離膜6の縁部と重なる部分を含む金属層を絶縁層12a上に形成することと、出発基板300の第2面3s側から出発基板300を貫通して剥離膜6を平面視における周囲から分離させる溝を形成することと、出発基板300のうちの剥離膜6と平面視で重なる剥離部分を除去することと、を含んでいる。絶縁層12aを形成することは、剥離膜6及び第1面3fの上に固体状態の樹脂シート122aを積層することを含んでいる。
【選択図】
図3D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有していて前記第1面と前記第2面との間に絶縁基板を備える出発基板を用意することと、
前記第1面を部分的に覆う剥離膜を設けることと、
前記剥離膜、及び前記剥離膜に覆われていない前記第1面を覆う第1絶縁層を形成することと、
平面視で前記剥離膜の縁部と重なる部分を含む第1金属層を前記第1絶縁層上に形成することと、
前記出発基板の前記第2面側から前記出発基板を貫通して前記剥離膜を平面視における周囲から分離させる第1溝を形成することと、
前記出発基板のうちの前記剥離膜と平面視で重なる剥離部分を除去することと、
を含む、配線基板の製造方法であって、
前記第1絶縁層を形成することは、前記剥離膜及び前記第1面の上に固体状態の樹脂シートを積層することを含んでいる。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記樹脂シートを積層することは、接着剤を介して前記樹脂シートを前記第1面に接合することを含んでいる。
【請求項3】
請求項2記載の配線基板の製造方法であって、
前記樹脂シートは熱可塑性樹脂を含み、
前記接着剤は熱硬化性樹脂を含んでいる。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、前記剥離膜を設けることは、
前記剥離膜を含む膜体を前記第1面の全面を覆うように積層することと、
前記膜体のうちの前記剥離膜以外の所定の領域を除去することと、
を含んでいる。
【請求項5】
請求項4記載の配線基板の製造方法であって、
前記出発基板を用意することは、前記絶縁基板における前記第1面側の表面のうちの前記剥離膜に覆われる領域の縁部を覆う第2金属層を形成することを含み、
前記所定の領域を除去することは、前記第1絶縁層の形成の前に、前記膜体を前記剥離膜と前記所定の領域とに分離する第2溝を前記絶縁基板と反対の側から形成することを含んでいる。
【請求項6】
請求項5記載の配線基板の製造方法であって、前記第2溝を形成することは、前記絶縁基板と反対の側から前記剥離膜の縁部に沿って前記膜体にレーザー光を照射することを含んでいる。
【請求項7】
請求項5記載の配線基板の製造方法であって、さらに、前記第1溝の形成の前に、前記出発基板の前記第2面側から前記出発基板及び前記第2金属層を貫通して前記剥離膜の縁部に達する第3溝を形成することを含んでいる。
【請求項8】
請求項7記載の配線基板の製造方法であって、前記第3溝を形成することは、
前記出発基板の前記第2面側からレーザー光を照射することによって前記第2金属層の一部を前記第3溝の形成経路に沿って露出させることと、
前記第2金属層の前記一部をエッチングによって除去することと、
を含んでいる。
【請求項9】
請求項8記載の配線基板の製造方法であって、さらに、
前記出発基板の前記第2面の上に絶縁層を介して第3金属層を積層することと、
前記第2金属層の前記一部の除去と共に、前記第1金属層及び前記第3金属層をパターニングすることと、
を含んでいる。
【請求項10】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、さらに、
前記第1絶縁層の上に、所定の数の第2絶縁層及び第1導体層を交互に積層することによって、前記第1絶縁層を含む第1積層体を形成することと、
前記出発基板の前記第2面側に、所定の数の第3絶縁層及び第2導体層を交互に積層することによって第2積層体を形成することと、
を含み、
前記剥離部分を除去することは、前記第2積層体のうちの前記剥離膜と平面視で重なる部分を除去することを含んでいる。
【請求項11】
請求項10記載の配線基板の製造方法であって、前記第1溝として、前記第2積層体を貫通する溝が形成される。
【請求項12】
請求項10記載の配線基板の製造方法であって、前記所定の数の第2絶縁層それぞれを積層することは、熱硬化性樹脂を含む第1層を形成することと、熱可塑性樹脂を含む第2層を前記第1層の上に積層することと、を含んでいる。
【請求項13】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、さらに、前記第1金属層のうちの前記第1溝に重なる部分を除去することを含んでいる。
【請求項14】
請求項1記載の配線基板の製造方法であって、
前記第1溝を形成することは、前記第1溝で前記剥離膜を囲むことを含んでおり、
前記剥離部分を除去することは、前記絶縁基板を貫通して前記第1絶縁層からなる底面を有する部品収容部を形成することを含んでいる。
【請求項15】
請求項1記載の配線基板の製造方法を用いることを含むリジッドフレキシブル配線基板の製造方法であって、
前記剥離部分を除去することは、前記絶縁基板を含まない可撓性領域を設けることを含んでいる。
【請求項16】
請求項15記載のリジッドフレキシブル配線基板の製造方法であって、
前記剥離膜の縁部の一部又は前記剥離部分の除去による露出面の縁部の一部に沿って前記絶縁基板を切断することを含んでいる。
【請求項17】
請求項16記載のリジッドフレキシブル配線基板の製造方法であって、
前記第1溝は前記剥離膜の縁部の前記一部以外の部分に沿って形成され、
前記絶縁基板は前記剥離膜の縁部の前記一部に沿って切断される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャビティを有するプリント配線板の製造方法が開示されている。この方法は、一方の面に形成された剥離フィルムを備えるコア基板の両面それぞれの上にビルドアップ層を形成し、剥離フィルム上に形成されたビルドアップ層のうちの剥離フィルム上の部分を除去することを含んでいる。ビルドアップ層の除去される部分の周囲には、このビルドアップ層側からのコア基板の一方の面へのレーザー光の照射によって溝が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の製造方法では、形成されるキャビティの深さは、コア基板の片面に形成されるビルドアップ層の厚さに制限されると考えられる。所望の電気回路を構成すべくコア基板の片面に積層されるビルドアップ層の層数では、十分な深さのキャビティが形成され得ないことがある。また、部分的に可撓性を有するプリント配線板の製造は困難であると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対面である第2面を有していて前記第1面と前記第2面との間に絶縁基板を備える出発基板を用意することと、前記第1面を部分的に覆う剥離膜を設けることと、前記剥離膜、及び前記剥離膜に覆われていない前記第1面を覆う第1絶縁層を形成することと、平面視で前記剥離膜の縁部と重なる部分を含む第1金属層を前記第1絶縁層上に形成することと、前記出発基板の前記第2面側から前記出発基板を貫通して前記剥離膜を平面視における周囲から分離させる第1溝を形成することと、前記出発基板のうちの前記剥離膜と平面視で重なる剥離部分を除去することと、を含んでいる。そして、前記第1絶縁層を形成することは、前記剥離膜及び前記第1面の上に固体状態の樹脂シートを積層することを含んでいる。
【0006】
本発明の実施形態によれば、十分な深さを有する凹部を有する配線基板、又は、可撓性を有する領域と十分な剛性を有する領域とを併せ持つ配線基板を、比較的容易に製造し得ることがある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態によって製造される配線基板の一例を示す断面図。
【
図2A】本発明の実施形態によって製造される配線基板の形態の一例を示す斜視図。
【
図2B】本発明の実施形態によって製造される配線基板の形態の他の例を示す斜視図。
【
図3A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図3B】本発明の実施形態における剥離膜の配置例を示す平面図。
【
図3C】本発明の実施形態における剥離膜の他の配置例を示す平面図。
【
図3D】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図3E】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図3F】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図3G】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図3H】本発明の実施形態における第1溝の経路の一例を示す平面図。
【
図3I】本発明の実施形態における第1溝の経路の他の例を示す平面図。
【
図3J】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図4A】本発明の実施形態における切断工程の一例を示す平面図。
【
図4B】本発明の実施形態における切断工程の他の例を示す平面図。
【
図5A】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図5B】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図5C】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図5D】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図5E】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図5F】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【
図5G】本発明の他の実施形態の配線基板の製造方法の一例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
一実施形態の配線基板の製造方法が図面を参照しながら説明される。
図1には、一実施形態の配線基板の製造方法(以下、単に「一実施形態の方法」及び「本実施形態の方法」とも称される)によって製造される配線基板の一例である配線基板100の断面図が示されている。また、
図2A及び
図2Bには、配線基板100の形態の一例及び他の例を概略的に示す斜視図が示されている。本実施形態の方法が理解され易いように、先ず、配線基板100の構造が概説される。なお、配線基板100は本実施形態の方法によって製造される配線基板の一例に過ぎない。例えば、本実施形態の方法で製造される配線基板に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数は、
図1の配線基板100に含まれる導体層及び絶縁層それぞれの数に限定されない。また、以下の説明で参照される各図面では、開示される実施形態が理解され易いように特定の部分が拡大して描かれていることがあり、大きさや長さに関して、各構成要素が互いの間の正確な比率で描かれていない場合がある。
【0009】
図1に示されるように、配線基板100は、絶縁層30及び2つの導体層31を含むコア基板3と、コア基板3の一方の面に積層されている第1積層体1と、コア基板3の他方の面に積層されている第2積層体2と、を含んでいる。絶縁層30は、絶縁層30の厚さ方向と略直交する2つの主面(第1主面3a及び第2主面3b)を有している。第1主面3a及び第2主面3bそれぞれの上に導体層31が形成されている。第1積層体1は、絶縁層30の第1主面3a、及び第1主面3a上の導体層31の上に積層されている。一方、第2積層体2は、絶縁層30の第2主面3b、及び第2主面3b上の導体層31の上に積層されている。
【0010】
第1積層体1は、絶縁層30の第1主面3aの上に積層されている絶縁層12a(第1絶縁層)、及び絶縁層12a上に形成されている導体層11bを含んでいる。第1積層体1は、さらに、絶縁層12a及び導体層11bの上に積層されている複数の絶縁層12b(第2絶縁層)と複数の導体層11a(第1導体層)とを含んでいる。具体的には、2つの絶縁層12bのそれぞれと2つの導体層11aのそれぞれとが交互に積層されている。一方、第2積層体2は、絶縁層30の第2主面3bの上に積層されている、複数の絶縁層22及び複数の導体層21を含んでいる。具体的には、3つの絶縁層22のそれぞれと3つの導体層21のそれぞれとが交互に積層されている。
【0011】
配線基板100では、絶縁層30は、配線基板100が含む絶縁層のうちで最も厚く、絶縁層30の第1主面3aの上に形成されている絶縁層12a、12b及び導体層11a、11bの数と、絶縁層30の第2主面3bの上に形成されている絶縁層22及び導体層21の数とは同じである。すなわち、絶縁層30は、配線基板100の積層構造の中心に位置している。故に、絶縁層30及びその両面の導体層31によって、配線基板100のコア基板3が構成される。
【0012】
実施形態の配線基板の製造方法の説明では、配線基板100の厚さ方向(すなわち絶縁層30の厚さ方向)において絶縁層30から遠い側は、「外側」、「上側」若しくは「上方」、又は単に「上」とも称され、絶縁層30に近い側は、「内側」、「下側」若しくは「下方」、又は単に「下」とも称される。さらに、各導体層及び各導体層に含まれる導体パターン、並びに各絶縁層において、絶縁層30と反対側を向く表面は「上面」とも称され、絶縁層30側を向く表面は「下面」とも称される。なお配線基板100の厚さ方向は「Z方向」とも称される。
【0013】
絶縁層30には、その貫通孔の内壁に沿って絶縁層30の両面の導体層31同士を接続するスルーホール導体33が形成されている。スルーホール導体33は2つの導体層31と一体的に形成されており、筒状のスルーホール導体33の内部は、例えば、エポキシ樹脂などの任意の樹脂を含む樹脂体34で充填されている。
【0014】
絶縁層12a、各絶縁層12b、及び各絶縁層22には、これら絶縁層のいずれかを貫通して各絶縁層の両側の導体層同士を接続するビア導体13及びビア導体23が形成されている。絶縁層12aを貫通するビア導体13は導体層31と導体層11bとを接続している。絶縁層12bを貫通するビア導体13は、絶縁層12bを挟む導体層11bと導体層11aとを接続するか、絶縁層12bを挟む導体層11a同士を接続している。絶縁層22を貫通するビア導体23は、絶縁層22を挟む導体層31と導体層21とを接続するか、絶縁層22を挟む導体層21同士を接続している。
【0015】
図1の配線基板100には、さらに、第1積層体1における第2積層体2と反対側の表面を覆う被覆層41、及び、第2積層体2における第1積層体1と反対側の表面を覆う被覆層42が設けられている。被覆層41には、被覆層41の直ぐ下の導体層11aの一部を露出させる開口41aが設けられており、被覆層42には、被覆層42の直ぐ下の導体層21を露出させる開口42aが設けられている。
【0016】
図1並びに
図2A及び
図2Bに示されるように、配線基板100は、平面視で互いに隣接する第1領域1a及び第2領域1bを有している。第1領域1aは、第1積層体1の一部と、第2積層体2及びコア基板3それぞれの全部を含んでいる。一方、第2領域1bは、第1積層体1のうちの第1領域1aに含まれる部分以外の部分のみを含んでいる。すなわち、第2領域1bはコア基板3を含んでいない。なお「平面視」は、配線基板100をその厚さ方向と平行な視線で見ることを意味している。
【0017】
第1領域1aは、
図2Aに示される形態例のように、第2領域1bを平面視で囲んでいてもよく、
図2Bに示される形態例のように、平面視における第1方向(
図2Bの例ではX方向)において第2領域1bの両側だけに位置していてもよい。
図2Aの例では、第2領域1bは、平面視で第1領域1aに囲まれており、配線基板100の表面に、第2領域1bによる凹部101が形成されている。凹部101は配線基板100に内蔵される部品がその内部に載置される部品収容部として機能し得る。
【0018】
一方、
図2Bの例の第2領域1bは、第1方向と直交する第2方向(
図2Bの例ではY方向)において、コア基板3を含む第1領域1aと接していない。そのため、
図2Bの例において第2領域1bは可撓性を有する領域であり得る。従って、
図2Bの例の配線基板100は、第2領域1bにおいて柔軟性且つ可撓性を有していて第2領域1bにおいて屈曲可能なリジッドフレキシブル配線基板であり得る。換言すると、その一部が第2領域1bに含まれる第1積層体1は、それぞれが柔軟性を有し得る材料で形成されていて柔軟性を阻害しない厚さを有している導体層及び絶縁層で構成されていてもよい。図示されていないが、配線基板100は、1方向において隣接しているそれぞれ1つの第1領域1a及び第2領域1bだけを含んでいてもよい。
【0019】
第1積層体1は、積極的に曲げることを意図して形成されていてもよい。例えば、第1積層体1を構成する各絶縁層及び各導体層は、一般的なフレキシブルプリント配線基板(FPC)を構成する絶縁層及び導体層に用いられる材料で形成され、FPCを構成する絶縁層及び導体層が有する厚さと同様の厚さを有していてもよい。絶縁層12a及び各絶縁層12bそれぞれの厚さは、例えば、10μm~100μm程度であり得る。第1積層体1の厚さは、例えば、50μm~500μm程度であり得る。なお、実施形態の配線基板の製造方法の説明において「可撓性」及び「可撓」は、いずれも、対象物(例えば第1積層体1)が、その内部に損傷を生じることなく20°以上の角度で1回以上いずれかの位置で曲がり得る程度の柔軟性を意味する。
【0020】
一方、第2積層体2は、第1積層体1よりも高い剛性を有していてもよい。第1領域1aだけに含まれる第2積層体2及びコア基板3は、少なくとも、実使用において想定され得る外力で顕著且つ容易に変形しない程度の剛性を有し得る。例えば、第2積層体2を構成する各絶縁層及び各導体層並びにコア基板3は、一般的なリジッド配線基板を構成する絶縁層及び導体層に用いられる材料で形成され、リジッド配線基板を構成する絶縁層及び導体層が有する厚さと同様の厚さを有していてもよい。各絶縁層22の厚さは、例えば、10μm~100μm程度である。また、絶縁層30の厚さは、例えば、100μm~1000μm程度である。コア基板3及び第2積層体2全体の厚さは、例えば、100μm~1200μm程度である。なお、コア基板3及び第2積層体2全体として有する「剛性」は、コア基板3及び第2積層体2の内部の導体層及び絶縁層に損傷を生じさせずに5°以上の角度で曲がり得ない程度の非変形容易性(曲がり難さ)を意味する。
【0021】
コア基板3、第1積層体1、又は第2積層体2を構成する各導体層(導体層31、11a、11b、21)は、任意の導体パターンを含み得る。導体層31、11a、11b、21、スルーホール導体33、ビア導体13、及びビア導体23は、例えば銅やニッケルなどの任意の金属で形成されている。各導体層は、
図1では簡略化されて単一の層で構成されるように示されているが、具体的には、2以上の層を含む多層構造を有し得る。例えば導体層31及び導体層11bは、それぞれ、金属箔と、無電解めっき膜若しくはスパッタリング膜と、電解めっき膜とを含む3層構造を有し得る。導体層11a及び導体層21は、導体層11bと同様の3層構造を有し得るが、無電解めっき膜若しくはスパッタリング膜と電解めっき膜とを含む2層構造を有していてもよい。スルーホール導体33、ビア導体13、及びビア導体23は、無電解めっき膜若しくはスパッタリング膜と電解めっき膜とを含む2層構造を有し得る。
【0022】
コア基板3に含まれる絶縁層30、及び、第2積層体2に含まれる絶縁層22は、主に、適切な絶縁性を有する任意の樹脂によって形成されている。絶縁層30又は絶縁層22を形成する樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂(BT樹脂)、及びフェノール樹脂のような熱硬化性樹脂が例示される。
図1に示される例では、絶縁層30及び絶縁層22は、それぞれ、例えば、ガラス繊維やアラミド繊維からなる補強材30aを含んでいる。絶縁層30及び絶縁層22は、さらに、例えば二酸化ケイ素やアルミナなどの粒体からなるフィラー(図示せず)を含んでいてもよい。
【0023】
第1積層体1に含まれる絶縁層12a及び絶縁層12bも、主に、適切な絶縁性を有する任意の樹脂によって形成されている。絶縁層12a、12bは、例えば、エポキシ樹脂、BT樹脂、及びフェノール樹脂などの絶縁層22の形成樹脂と同様の熱硬化性樹脂や、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂などの熱硬化性樹脂を含み得る。絶縁層12a、12bは、さらに、フッ素樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フッ化エチレン(PTFE)樹脂、ポリエステル(PE)樹脂、及び変性ポリイミド(MPI)樹脂のような熱可塑性樹脂を含んでいてもよい。絶縁層12a、12bは、さらに、例えば二酸化ケイ素やアルミナなどの粒体からなるフィラー(図示せず)を含んでいてもよい。一方、
図1に示される例では、第1積層体1を構成する絶縁層12a及び絶縁層12bは補強材を含んでいない。例えばガラス繊維などからなる補強材を絶縁層12a及び絶縁層12bが含んでいないので、第1積層体1に適度な柔軟性が備えられる。
【0024】
被覆層41及び被覆層42も、絶縁性を有する任意の樹脂によって形成され得る。被覆層41は、例えばPI樹脂やPET樹脂などで形成され、一般的なFPCにおいて導体層を保護すべく設けられる所謂カバーレイの機能を有していてもよい。被覆層42は、例えば感光性を有するエポキシ樹脂やPI樹脂などで形成される。被覆層42は、配線基板100における第2積層体2側の表面のソルダーレジストとして機能し得る。
【0025】
図1の例の配線基板100において、第1積層体1を構成する絶縁層12a及び絶縁層12bは、それぞれ、第1層121及び第2層122を含む2層構造を有している。絶縁層12a及び絶縁層12bそれぞれにおいて、第1層121は第2層122の下側に配置されている。従って、第1層121は、絶縁層12a及び各絶縁層12bそれぞれに関して第2積層体2側の導体層(例えば絶縁層12aに対する導体層31)と接している。一方、第2層122は、絶縁層12a及び各絶縁層12bそれぞれに関する第2積層体2側と反対側の導体層(例えば絶縁層12aに対する導体層11b)と接している。
【0026】
2層構造を有する絶縁層12a及び絶縁層12bそれぞれにおいて、第1層121は熱硬化性樹脂を含み、第2層122は熱可塑性樹脂を含み得る。第1層121に含まれる熱硬化性樹脂は、例えば、前述した、エポキシ樹脂、PI樹脂、又は、PET樹脂などである。第2層122に含まれる熱可塑性樹脂は、例えば、前述した、フッ素樹脂、LCP、PTFE樹脂、PE樹脂、及びMPI樹脂などである。
【0027】
上記フッ素樹脂、LCP、PTFE樹脂、PE樹脂、及びMPI樹脂などの熱可塑性樹脂は、例えば2~3程度の比較的低い比誘電率、及び1×10-4~1×10-3程度の低い誘電正接を有し得る。そのため、第2層122がこれら熱可塑性樹脂を含んでいると、第1積層体1の中を伝播する高周波信号に関する誘電損失が小さく、高いシグナルインティグリティ(信号品質)で高周波信号が伝送されると考えられる。一方、PI樹脂などの熱硬化性樹脂は、LCPなどの熱可塑性樹脂よりも、金属に対する密着性が高いことがある。そのため、導体層11a、11b、又は導体層31を覆う第1層121が、PI樹脂などの上記に例示の熱硬化性樹脂を含んでいると、導体層11a、11b、又は導体層31と、絶縁層12b、12aとの間に、高い剥離強度が得られると考えられる。なお、第2層122と、その表面上に形成される導体層との間には、例えば、第2層122の表面の粗化処理によって十分な剥離強度が確保されると考えられる。
【0028】
従って、第1積層体1において、高周波信号の良好な伝送が実現されると共に、各導体層と各絶縁層との界面剥離が抑制されることがある。なお、
図1の例のように第1積層体1を構成する全ての絶縁層が2層構造を有していなくてもよい。一部の絶縁層だけが第1層121と第2層122とを含む2層構造を有していてもよく、全部の絶縁層が、第1絶縁層121又は第2絶縁層122だけを含んでいてもよい。また、第1層121の厚さと第2層122の厚さとの比率は、絶縁層12a及び各絶縁層12bそれぞれの間で互いに異なっていてもよい。例えば、第2層122の厚さは、絶縁層12a又は絶縁層12bそれぞれの厚さの20%以上、80%以下であってもよく、60%以上、80%以下であってもよい。第2層122を厚くすることによって、高周波信号の伝送損失が小さくなることがある。
【0029】
図1に例示される配線基板100が製造される場合を例に、一実施形態(第1実施形態)の配線基板の製造方法が、
図3A~
図3Jを参照しながら説明される。なお、以下に説明される製造方法において形成される各構成要素は、特に異なる記載が無い限り、
図1の配線基板100の説明において対応する構成要素の材料として例示された材料を用いて形成され得る。
【0030】
図3Aに示されるように、一実施形態の配線基板の製造方法は、出発基板300を用意することを含んでいる。出発基板300は、出発基板300の厚さ方向と略直交すると共に互いに相反する方向を向く外面(第1面3f及び第1面3fの反対面である第2面3s)を有していて第1面3fと第2面3sとの間に絶縁基板を備えている。この絶縁基板は、配線基板100の完成時には、配線基板100の説明において前述された絶縁層30として機能する。そのため、出発基板300が備えるこの絶縁基板は「絶縁基板30」とも称され、参照される各図面において絶縁層30と同じ符号「30」が付される。絶縁基板30は、例えばエポキシ樹脂、BT樹脂、又はフェノール樹脂などの任意の絶縁性樹脂で構成されている。
図3Aの例では、絶縁基板30は、例えばガラス繊維からなる補強材30aを含んでいる。絶縁基板30は、例えば、100μm~1200μm程度の厚さを有し、好ましくは前述した程度の剛性を備えている。
【0031】
出発基板300は、絶縁基板30が有する2つの主面(第1主面3a及び第2主面3b)のうちの第1主面3a上に金属層31f(第2金属層)を備え、第2主面3b上に金属層31sを備えている。金属層31f及び金属層31sそれぞれの一部又は全部は、完成状態の配線基板100において導体層31(
図1参照)として機能する。出発基板300の第1面3fは、絶縁基板30の第1主面3a、及び金属層31fにおける絶縁基板30と反対方向を向く表面31faによって構成される。出発基板300の第2面3sは、絶縁基板30の第2主面3b、及び金属層31sにおける絶縁基板30と反対方向を向く表面31saによって構成される。
【0032】
金属層31f、31sを構成する金属は、例えば銅やニッケルなどである。金属層31a、31sは、単層であってもよく、多層構造を有していてもよい。金属層31f、31sは、それぞれ任意の金属パターンを有し得る。
図3Aの例の金属層31fは、平面視で、完成状態の配線基板100の第2領域1b(
図1参照)となる領域に金属パターンを含んでいない。なお、配線基板100の第2領域1bとなる領域は、以下では単に「第2領域1b」とも称される。同様に、配線基板100の第1領域1aとなる領域は、以下では単に「第1領域1a」とも称される。以下の説明で参照される図面においても「第1領域」、「第2領域」にはそれぞれ、符号「1a」、符号「1b」が適宜付される。
【0033】
出発基板300の用意では、例えば、絶縁基板30を絶縁層として含む両面銅張積層板が用意され、貫通孔33aが例えばドリル加工によって形成される。貫通孔33aの内壁及び両面銅張積層板の表面に、金属層31f、31sそれぞれの一部を構成する無電解めっき膜やスパッタリング膜などの金属膜が形成され、その上に、この金属膜を給電層として用いる電解めっきによって電解めっき膜が形成される。その後、適切なマスクを用いるウェットエッチングなどによって電解めっき膜などがパターニングされ、所定の金属パターンを有する金属層31f、31sが形成される。貫通孔33aの内壁にはスルーホール導体33が形成される。
図3Aの例では、スルーホール導体33の内側にエポキシ樹脂のような適切な樹脂を注入することによって、スルーホール導体33の内部が樹脂体34で充填されている。例えばこのようにして出発基板300が用意される。出発基板300は、完成状態の配線基板100においてコア基板3(
図1参照)として機能する。
【0034】
図3Aに示されるように、本実施形態の配線基板の製造方法は、さらに、出発基板300の第1面3fを部分的に覆う剥離膜6を設けることを含んでいる。
図3Aの例では、剥離膜6は、絶縁基板30の第1主面3a上に直接設けられる。剥離膜6は、平面視で第2領域1bに設けられる。例えば、第2領域1bと平面視で略同じ形状で略同じ大きさの剥離膜6が形成される。換言すると、剥離膜6の平面形状及び平面視における大きさによって、第2領域1bの平面形状及び平面視における大きさが略確定される。好ましくは、剥離膜6は、平面視で、第1領域1aと第2領域1bとの境界線からはみ出ないように設けられる。
【0035】
図3Aの例において、剥離膜6は、出発基板300側に向けられる粘着層61と、粘着層61に積層された剥離層62とを有している。粘着層61は、絶縁基板30を構成するエポキシ樹脂やBT樹脂などの絶縁性樹脂や、金属層31fを形成する銅やニッケルなどの金属に対して十分な粘着性を発現し得る材料で形成される。一方、剥離層62は、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、又はLCPなどの、後工程で剥離膜6を覆う樹脂と強固に接着しない材料を用いて形成される。このような剥離膜6を設けることによって、後述される剥離部分R(
図3J参照)の除去が容易になり得る。粘着層61の材料としては、特に制限はないが、半硬化や液状の樹脂成分、天然ゴムやデンプンなどの糊成分などが例示される。剥離層62の材料としては、全硬化した樹脂、特には熱硬化性の樹脂が好ましく、エポキシ樹脂、PI樹脂、及びアクリル樹脂が例示される。また剥離膜6の構造は、半硬化や液状の樹脂成分を接着層として用いてその後硬化させることによって得られた、粘着層61と剥離層62の両方の役割を持つ一層からなる構造であってもよい。
【0036】
剥離膜6を設ける方法の一例では、出発基板300の第1面3f(絶縁基板30の第1主面3a及び金属層31fの表面31fa)の全面に、粘着層61及び剥離層62それぞれの材料からなる2つの樹脂膜を含む膜体60が形成される。そして、膜体60のうちの第2領域1bの周囲の部分であって、剥離膜6を構成する部分以外の不要部分が除去される。その結果、第2領域1bと略同じ形状及び略同じ大きさを有する剥離膜6が、第2領域1bに設けられる。このような方法によれば、所定の形状及び大きさの剥離膜6を、高度な位置合わせを行うことなく容易に所定の位置に設けることができると考えられる。
【0037】
膜体60の不要部分の除去は、任意の方法で行われ得る。例えば、膜体60の不要部分は、適切な露光マスクを用いる露光と現像とを含むフォトリソグラフィによって除去され得る。この場合、適切な感光材を含むPI樹脂などを用いて膜体60が形成される。或いは、膜体60の不要部分は、適切なレジストマスクを介してプラズマガスが噴射されるドライエッチングによって除去されてもよい。このように、本実施形態の方法において剥離膜6を設けることは、剥離膜6を含む膜体60を出発基板300の第1面3fの全面を覆うように積層することと、膜体60のうちの剥離膜6以外の所定の領域を除去することと、を含み得る。なお、剥離膜6は、予め、第2領域1bと略同じ形状及び略同じ大きさを有する形体に裁断又は成型されたうえで、出発基板300の第1面3f上に適切な位置決めを経て、載置及び貼着されてもよい。
【0038】
図3B及び
図3Cには、本実施形態の方法における剥離膜6の2つの配置例が示されている。
図3B及び
図3Cは、剥離膜6が設けられた出発基板300の第1面3f側からの平面図である。
図3Bの例では、剥離膜6は、第1領域1aに周囲を囲まれた第2領域1bに重なるように設けられている。剥離膜6と出発基板300の外縁との間には、平面視で第1領域1aが介在している。
図3Bの例において剥離膜6は、第2領域1bと略同形状である矩形(より具体的には正方形)の平面形状を有しており、平面視で四方を第1領域1aに囲まれている。このように剥離膜6を設けることによって、例えば部品収容部として機能し得る凹部101(
図2A参照)を、第2領域1bに容易に形成し得ることがある。
【0039】
図3Cの例では、剥離膜6は、第1方向(
図3Cの例ではX方向)において第1領域1aに挟まれている第2領域1bに重なる領域に設けられている。
図3Cの例でも、第2領域1bと略同形状である矩形(より具体的には正方形)の平面形状を有する剥離膜6が設けられている。剥離膜6は、平面視で第1方向において第1領域1aに挟まれている。一方、第1方向と直交する第2方向(
図3Cの例ではY方向)において剥離膜6は平面視で第1領域1aに接していない。第2方向と略直交する剥離膜6の2つの辺は、それぞれ、出発基板300の対向する2つの外縁に沿っていて略重なっている。このように剥離膜6を設けることによって、第2領域1bからなる屈曲可能な可撓性の領域と、可撓性の領域を支持する剛性を備えた第1領域1aからなる領域とを含むリジッドフレキシブル配線基板を容易に製造し得ることがある。
【0040】
図3D及び
図3Eに示されるように、本実施形態の方法は、さらに、剥離膜6、及び剥離膜6に覆われていない出発基板300の第1面3fを覆う絶縁層12a(第1絶縁層)を形成することを含んでいる。まず、
図3Dに示されるように、樹脂シート121aが、剥離膜6に覆われていない出発基板300の第1面3fの上に配置される。剥離膜6に覆われていない第1面3fの全面を覆う大きさの樹脂シート121aが用意され、剥離膜6に覆われていない第1面3fの上に配置される。樹脂シート121aは、平面視で第1領域1aに設けられる。樹脂シート121aは、第2領域1bと第1領域1aとの境界部において、樹脂シート121aの縁部が剥離膜6の上に重なるように配置されてもよい。樹脂シート121aは、半硬化状態、すなわち、所謂Bステージ状態の絶縁性樹脂の成形品であり、その材料としては、例えば、エポキシ樹脂、PI樹脂、PET樹脂などの熱硬化性樹脂が例示される。
【0041】
さらに、フィルム状に成形された樹脂からなる固体状態の樹脂シート122aが、剥離膜6、及び出発基板300の第1面3f上に配置された樹脂シート121aの上に積層される。樹脂シート122aを形成する樹脂としては、フッ素樹脂、LCP、PTFE樹脂、PE樹脂、及びMPI樹脂などの熱可塑性樹脂、及び、エポキシ樹脂、BT樹脂、及びPI樹脂などの熱硬化性樹脂が例示される。
図3Dの例では、樹脂シート122aにおける出発基板300と反対側に向けられる表面には、例えば銅やニッケルなどからなる金属箔110が接合されている。出発基板300への積層前に樹脂シート122aに金属箔110が接合されているので、その積層後に出発基板300上で、軟化若しくは溶融するまで樹脂シート122aを加熱して金属箔110と樹脂シート122aとを接合する必要がない。そのため、樹脂シート122aの熱変形温度や融点が高い場合でも、出発基板300に過剰な熱ストレスが加わることを回避することができる。
【0042】
図3Dの例では、出発基板300の第2面3sに樹脂シート220が積層されている。樹脂シート220はBステージ状態の絶縁性樹脂の成形品であり、その材料としては、例えば、エポキシ樹脂、BT樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が例示される。樹脂シート220は、
図3Dの例のように、例えばガラス繊維からなる補強材30aを含み得る。樹脂シート220における出発基板300と反対側の表面に、さらに、例えば銅やニッケルなどからなる金属箔210が積層される。なお、
図3Dの例のように予め金属箔210が表面に接合されたシート状の樹脂が、樹脂シート220として、出発基板300の第2面3sに積層されてもよい。
【0043】
出発基板300、並びに、その第1面3f又は第2面3sに積層された、剥離膜6、樹脂シート121a、樹脂シート122a、及び樹脂シート220が、金属箔110、210と共に加熱及び加圧される。好ましくは、固体状態の樹脂シート122aが溶解しない温度、例えば、150℃~250℃程度の温度で、出発基板300及び樹脂シート121aなどが加熱される。樹脂シート121aは、固体状態の樹脂シート122aと出発基板300とを接合する接着剤として機能する。すなわち、この加熱及び加圧によって、半硬化状態の樹脂シート121aと樹脂シート122aとが接合されると共に、樹脂シート121aと出発基板300とが接合される。その結果、
図3Eに示されるように、出発基板300の第1面3f上に絶縁層12aが形成される。絶縁層12aは、固体状態まで完全に硬化した樹脂シート121a(
図3D参照)からなる第1層121と、加熱及び加圧の前から固体状態であった樹脂シート122a(
図3D参照)からなる第2層122とを含んでいる。
【0044】
一方、半硬化状態の樹脂シート220(
図3D参照)と出発基板300も互いに接合される。金属箔210(
図3D参照)が単に樹脂シート220上に積層されていた場合は、金属箔210と樹脂シート220も互いに接合される。その結果、出発基板300の第2面3s上には、主に固体状態の樹脂からなる絶縁層22(第3絶縁層)が形成される。
【0045】
図3Dを参照して前述したように絶縁層12aの形成において、固体状態の樹脂シート122aが、剥離膜6、及び出発基板300の第1面3f上に配置された樹脂シート121aの上に積層される。すなわち、本実施形態の方法において絶縁層12aを形成することは、剥離膜6及び出発基板300の第1面3fの上に固体状態の樹脂シート122aを積層することを含んでいる。なお「固体状態」は、樹脂シート122aが熱可塑性樹脂で形成されている場合、その熱可塑性樹脂がガラス転移点以下の温度において取り得る状態である。一方、樹脂シート122aが熱硬化性樹脂で形成されている場合、「固体状態」は、樹脂シート122aが完全に硬化している状態(所謂Cステージの状態)である。
【0046】
このように固体状態の樹脂シート122aが剥離膜6の上に積層され、しかも、前述したように、剥離膜6において樹脂シート122aと相対する剥離層62は、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、又はLCPなどの樹脂シート122aに含まれ得る樹脂と強固に接着しない材料を用いて形成されている。すなわち、樹脂シート122aと剥離膜6(具体的には剥離層62)とは、強固に接着せず、しかし好ましくは隙間なく、単に互いに付着する。そのため、後述される剥離部分R(
図3J参照)の除去工程において、剥離膜6と絶縁層12aの第2層122とを容易に分離することができる。
【0047】
一方、第2層122は、接着剤としての機能を果たす樹脂シート121a(
図3D参照)からなる第1層121を介して出発基板300に十分な強度で接合されている。このように、本実施形態の方法において樹脂シート122aを出発基板300の第1面3fに積層することは、樹脂シート121aのような接着剤を介して樹脂シート122aを出発基板300の第1面3fに接合することを含んでいる。前述したように、樹脂シート122aは熱可塑性樹脂を含んでいてもよく、樹脂シート122aと出発基板300との間の接着剤となる樹脂シート121aは、熱硬化性樹脂を含み得る。
【0048】
図3Eに示されるように、絶縁層12aにおける出発基板300と反対側の表面には、導体層11bが形成されている。また、絶縁層22における出発基板300と反対側の表面には、導体層21(第2導体層)が形成されている。導体層11bは、
図3Dに示される金属箔110を含む多層構造を有する金属層(第1金属層)である。導体層21は、
図3Dに示される金属箔210を含む多層構造を有する金属層である。
図3Eの例では、絶縁層12aには、導体層11bと金属層31fとを接続するビア導体13が形成されており、絶縁層22には、導体層21と金属層31sとを接続するビア導体23が形成されている。
【0049】
導体層11b及び導体層21、並びにビア導体13及びビア導体23は、サブトラクティブ法、及び、金属箔を用いるセミアディティブ法などの任意の方法で、任意の導体パターンを含むように形成され得る。例えば、セミアディティブ法が用いられる場合、金属箔110(
図3D参照)及び絶縁層12aを貫く貫通孔13a、並びに、金属箔210(
図3D参照)及び絶縁層22を貫く貫通孔23aが、炭酸ガスレーザーなどのレーザー光の照射によって形成される。各金属箔上及び各貫通孔内に例えば無電解めっきなどで金属膜(図示せず)が形成される。この金属膜を給電層として用いると共に適切な開口を有するめっきレジスト(図示せず)を用いるパターンめっき(電解めっき)によってめっきレジストの開口内に電解めっき膜(図示せず)が形成される。各貫通孔の内部にはビア導体13又はビア導体23が形成される。めっきレジストの除去後に、給電層として用いられた金属膜、並びに金属箔110及び金属箔210の不要部分が例えばウェットエッチングなどによって除去される。その結果、所望の導体パターンを含む導体層11b及び導体層21それぞれが形成される。
【0050】
導体層11bは、導体パターン112を含んでいる。導体パターン112は、平面視で剥離膜6の縁部と重なる位置に形成されている。導体パターン112は、後工程で出発基板300側から照射されるレーザー光のストッパとして機能し得る。
図3Eの例では、導体パターン112は、平面視で剥離膜6の縁部と重なり且つ剥離膜6の中央部とは重ならない枠状の平面形状を有している。しかし、導体パターン112は、平面視で剥離膜6の中央部と重なる部分を有していてもよい。例えば、導体パターン112は、剥離膜6よりも大きく且つ剥離膜6と略相似の平面形状を有し、剥離膜6の全部と重なるように設けられていてもよい。このように本実施形態の方法は、絶縁層12a上に、少なくとも平面視で剥離膜6の縁部と重なる部分を含む第1金属層(導体層11b)を形成することを含んでいる。後工程において、後述される絶縁層12b(
図3F参照)などへのレーザー光によるダメージが回避されることがある。
【0051】
図3Fに示されるように、本実施形態の方法は、さらに、絶縁層12aの上に、所定の数の絶縁層12b(第2絶縁層)及び導体層11a(第1導体層)を交互に積層することによって、絶縁層12aを含む第1積層体1を形成することを含み得る。さらに、本実施形態の方法は、出発基板300の第2面3s側に、所定の数の絶縁層22(第3絶縁層)及び導体層21(第2導体層)を、さらに交互に積層することによって第2積層体2を形成することを含み得る。第1積層体1の形成と第2積層体2の形成は、同時に行われてもよく、いずれかが先に行われてもよい。なお、
図1の配線基板100の製造では、第2積層体2を構成する絶縁層22及び導体層21のうちの最下層の絶縁層22及び導体層21は、
図3Eを参照して説明された工程で既に形成されている。
【0052】
図3Fの例では、絶縁層12a及び導体層11bの上に、2組の絶縁層12b及び導体層11aを積層することによって、第1積層体1が形成されている。しかし、第1積層体1の形成のために積層される絶縁層12b及び導体層11aの数は、
図3Fの例に限定されない。また、
図3Fの例では、
図3Eを参照して説明された工程で既に形成されている絶縁層22及び導体層21の上に、さらに2組の絶縁層22及び導体層21を積層することによって、第2積層体2が形成されている。しかし、第2積層体2の形成のために積層される絶縁層22及び導体層21の数は、
図3Fの例に限定されない。
【0053】
図3Fの例では、絶縁層12aと同様に、第1層121と、第1層121に積層された第2層122とを含む絶縁層12bが形成されている。第1層121は、絶縁層12a及び導体層11b上に、又は、既に形成されている絶縁層12b及び導体層11a上に、例えば絶縁層12aの形成時と同様に樹脂シート(図示せず)を熱圧着することによって形成される。第2層122は、例えば絶縁層12aの形成時と同様に、固体状態の樹脂シート(図示せず)を、第1層121を形成する樹脂シートを接着剤として用いて、絶縁層12a又は既に形成されている絶縁層12bと接合することによって形成される。
【0054】
絶縁層12bを構成する第1層121は、絶縁層12aの第1層121と同様に、例えば、エポキシ樹脂、PI樹脂、PET樹脂などの熱硬化性樹脂を含み得る。また、絶縁層12bを構成する第2層122は、絶縁層12aの第2層122と同様に、フッ素樹脂、LCP、PTFE樹脂、PE樹脂、及びMPI樹脂などの熱可塑性樹脂を含んでいてもよく、エポキシ樹脂、BT樹脂、及びPI樹脂などの熱硬化性樹脂を含んでいてもよい。このように、所定の数の絶縁層12bそれぞれを積層することは、熱硬化性樹脂を含む第1層121を形成することと、熱可塑性樹脂を含む第2層122を第1層121の上に積層することとを含み得る。熱可塑性樹脂を含む第2層122を形成することによって、導体層11aにおいて高周波信号の良好な伝送特性が得られることがある。また、熱硬化性樹脂を含む第1層121を第2層122の下地として形成することによって、導体層11b又は導体層11aと絶縁層12bとの良好な密着性が得られることがある。
【0055】
各絶縁層12bには、ビア導体13の形成位置に貫通孔が形成され、例えばセミアディティブ法によって、所望の導体パターンを有する各導体層11aが形成される。各絶縁層12bに形成された貫通孔には、各導体層11aの形成と共に、ビア導体13が形成される。
【0056】
図3Fに示される工程でさらに形成される第2積層体2の各絶縁層22は、既に形成されている絶縁層22及び導体層21の上に、例えば
図3D及び
図3Eを参照して説明された工程と同様に樹脂シート220(
図3D参照)を熱圧着することによって形成される。
図3Fに示される例では、
図3Fに示される工程でさらに形成される絶縁層22は補強材30aを含んでいる。形成された各絶縁層22には、ビア導体23の形成位置に貫通孔が形成され、例えばセミアディティブ法によって、所望の導体パターンを有する各導体層21が形成される。各絶縁層22に形成された貫通孔には、各導体層21の形成と共に、ビア導体23が形成される。
【0057】
図1の例の配線基板100が製造される場合、さらに被覆層41及び被覆層42が形成される。被覆層41及び被覆層42は、それぞれ、例えばエポキシ樹脂やPI樹脂などからなる樹脂膜をスプレーコーティングやカーテンコーティング、又は印刷塗布などで成膜することによって形成される。被覆層41、42には、例えばフォトリソグラフィ技術によって開口41a、42aが設けられる。第1積層体1上の被覆層41は、或いは、PI樹脂やPET樹脂などからなるフィルムを第1積層体1における第2積層体2側と反対の表面に貼り付けることによって形成されてもよい。
【0058】
図3Gに示されるように、本実施形態の方法は、さらに、剥離膜6を平面視における周囲の部分から分離させる溝G1(第1溝)を、剥離膜6の縁部に沿って形成することを含んでいる。
図3Gに示されるように、出発基板300の第2面3s側から出発基板300を貫通する溝G1が形成される。
図3Gの例では第2積層体2が形成されているので、溝G1として、第2積層体2における出発基板300と反対側の表面から第2積層体2を貫通する溝が形成されている。
【0059】
溝G1は、平面視で剥離膜6の縁部に沿って形成される。溝G1は、例えば、溝G1が平面視で剥離膜6の外縁と重なるように形成される。溝G1の形成によって、出発基板300及び第2積層体2が、第1領域1aと第2領域1bとに分離される。剥離膜6と絶縁層12aの第1層121とが分離される。
図3Gの例では、出発基板300を貫通してさらに絶縁層12aの第2層122を貫く溝G1が形成されている。そのため、溝G1の形成によって、導体層11bを構成する金属層の一部が、溝G1内に露出している。結果として溝G1の形成によって、後工程で除去される剥離部分Rが、絶縁基板300の厚さ方向と直交する方向において剥離部分R以外の部分から分離される。溝G1は、例えば炭酸ガスレーザーやYAGレーザーなどのレーザー光の照射によって形成される。この場合、導体層11bを構成する金属層(具体的には導体パターン112を構成する金属パターン)がレーザー光のストッパとして機能する。
【0060】
図3H及び
図3Iには、本実施形態の方法における溝G1の経路の2つの例が示されている。
図3H及び
図3Iは、溝G1が形成された後の製造途上の配線基板の第2積層体2側からの平面図である。
図3Hの例では、先に参照した
図3Bの例のように剥離膜6が設けられており、剥離膜6を囲む枠状の経路で溝G1が形成されている。枠状の溝G1は第1領域1aに囲まれている。一方、第2領域1bのうちの剥離膜6よりも出発基板300(
図3G参照)側の部分は、溝G1によって第1領域1aから分離されている。このように本実施形態の方法において溝G1を形成することは、平面視において溝G1で剥離膜6を囲むことを含んでいてもよい。
図3Hの例のように溝G1を形成することによって、例えば部品収容部として機能し得る凹部101(
図2A参照)を容易に形成し得ることがある。
【0061】
図3Iの例では、先に参照した
図3Cの例のように設けられている剥離膜6の対向する2つの辺それぞれに沿って溝G1が形成されている。剥離膜6は、第1方向(X方向)において第1領域1aに挟まれている第2領域1bに設けられている。第1方向と直交する第2方向(Y方向)沿って互いに平行な2つの溝G1が形成されている。2つの溝G1は、それぞれ、製造途上の配線基板を第2方向に沿って横切っており、製造途上の配線基板の第1方向に沿う2つの外縁の両方に達している。2つの溝G1は、第1方向に沿って並ぶ第1領域1aと第2領域1bとの間にそれぞれ介在している。このように溝G1を形成することによってリジッドフレキシブル配線基板を容易に製造し得ることがある。
【0062】
図3Jに示されるように、本実施形態の方法は、出発基板300のうちの剥離膜6と平面視で重なる剥離部分R、及び剥離膜6を除去することを含んでいる。剥離部分Rは、任意の方法で除去され得る。例えば、吸着治具(図示せず)などに剥離部分Rが吸着されて第1積層体1から引き離される。また、超音波を加えることによって剥離部分Rと第1積層体1との密着性が弱められ、両者が互いから分離されてもよい。
図3Jの例では、第2積層体2が形成されているので、第2積層体2のうちの剥離膜6と平面視で重なる部分を含む剥離部分Rが除去される。このように実施形態の方法において剥離部分Rを除去することは、第2積層体2のうちの剥離膜6と平面視で重なる部分を除去することを含み得る。
【0063】
図3Jに示されるように、剥離膜6は、剥離部分Rと共に除去されてもよい。前述したように、剥離膜6の粘着層61は出発基板300を構成するエポキシ樹脂やBT樹脂などに対して十分な粘着性を発現し得る材料で形成され、一方、剥離層62は、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、又はLCPなどの樹脂と強固に接着しない材料を用いて形成されている。そのため、剥離部分Rを第1積層体1から引き離すことによって、剥離部分Rと共に剥離膜6も除去され得る。しかし、剥離膜6は、剥離部分Rの除去とは別に、例えば、剥離部分Rの除去に続いて除去されてもよい。
【0064】
図3Jの例では、剥離部分R及び剥離膜6の除去の前に、導体層11b(具体的には導体パターン112)を構成する金属層(第1金属層)のうちの溝G1に露出している部分が、除去されている。このように本実施形態の方法は、さらに、導体層11bを構成する金属層のうちの溝G1に重なる部分を、除去することを含んでいてもよい。溝G1に露出している導体層11bの一部を除去することによって、酸化した導体層11bの表面の露呈による美観の低下を少なくし得ることがある。導体層11bのうちの溝G1に露出している部分は、例えばエッチングによって除去される。このエッチングの間、例えばPET樹脂などからなる適切な保護フィルム(図示せず)を被覆層41、42の表面に貼り付けることによって、導体層11a及び導体層21における開口41a又は開口42aへの露出部分が保護され得る。以上の工程を経ることによって、
図1の配線基板100が完成する。
【0065】
なお、溝G1を形成する工程は、被覆層41、42の形成前に行われてもよい。この場合、被覆層41、42の形成時に、既に形成されている溝G1内に被覆層42の原料が浸入し得るが、被覆層41、42の形成時に溝G1を覆う適切なマスキングを施すことによって、被覆層42の原料の浸入を防ぐことができる。また、原料が浸入した場合も、そのマスキングによって、被覆層41、42のフォトリソグラフィ時の露光による浸入した原料の硬化を防ぐことができ、浸入した原料を、現像による開口41a、42aの形成と共に取り除き得ることもある。また溝G1を形成する工程は、被覆層41、42の形成よりもさらに前の最外の導体層21のパターン形成前に行われてもよい。この場合、導体層11b(具体的には導体パターン112)を構成する金属層(第1金属層)のうちの溝G1に露出する部分は、最外の導体層21のパターン形成時のウェットエッチングなどによる金属膜(給電層)などの不要部分の除去と共に、除去され得る。
【0066】
先に参照した
図3Hの例のように溝G1が形成される場合、剥離部分Rの除去によって、配線基板100における出発基板300の第2面3s側の表面に凹部101が形成される。凹部101は、絶縁層12a(具体的にはその第2層122)からなる底面を有している。凹部101には、配線基板100の使用において配線基板100内に部品を内蔵するための部品収容部として機能し得る。従って、本実施形態の方法において剥離部分Rを除去することは、絶縁基板30を貫通して絶縁層12aからなる底面を有する部品収容部(凹部101)を形成することを含み得る。本実施形態の方法によれば、少なくとも絶縁基板30の厚さよりも大きな深さを有する凹部101が形成される。従って、より厚い部品を内蔵することが可能な配線基板を製造し得ることがある。
【0067】
一方、先に参照した
図3Iの例のように溝G1が形成される場合、剥離部分Rの除去によって、剛性を有する絶縁基板30を含まず、且つ、絶縁基板30を含む第1領域1aによって第2方向(
図3IのY方向)において拘束されない第2領域1bが得られる。絶縁基板30を含まない第2領域1bは、柔軟性を有し、しかも第1方向(X方向)だけで第1領域1aに拘束されるので可撓性を有し得る。従って剥離部分Rを除去することによって、第2領域1bにおいて例えば第2方向を屈曲軸とする屈曲が可能なリジッドフレキシブル配線基板が得られてもよい。すなわち、
図3A~
図3Jを参照して説明された本実施形態の配線基板の製造方法を用いるリジッドフレキシブル配線基板の製造方法が提供されてもよい。その場合、剥離部分Rを除去することは、絶縁基板30を含まない可撓性領域を設けることを含み得る。
【0068】
本実施形態の方法によれば、絶縁基板30と絶縁層12aとの間に剥離膜6が設けられるので、絶縁基板30のうちの剥離膜6と重なっている部分を絶縁層12aと容易に分離することができる。そのため、前述したように、絶縁基板30の厚さよりも大きな深さを有する深い凹部101の形成が可能であると考えられる。配線基板に深い凹部が求められる場合、絶縁基板30のような剛性を有する基板で構成されるコア基板の片側に、多くの導体層と絶縁層とを積層することによってコア基板を貫かずに深い凹部の形成が可能なことがある。しかし、コア基板の一面に他面よりも多くの絶縁層及び導体層を積層することは、多層配線基板の製造において非効率であると考えられる。一方、所望の電気回路の構成のために必要な層数の半数ずつの絶縁層及び導体層がコア基板の両側それぞれに形成されるだけでは、求められる深さの凹部がコア基板上に形成され得ないことがある。しかし本実施形態の方法によれば、絶縁基板30の一部を絶縁層12aから容易に分離できるので、深い凹部を、無用に多くの絶縁層や導体層を積層することなく、効率的に形成することができると考えられる。
【0069】
また、本実施形態の方法によれば、絶縁基板30のような剛性を有する基板の一部を容易に除去できるので、除去された後に残る可撓性を有し得る領域と、その領域以外の剛性を有する領域とを含むリジッドフレキシブル配線基板が容易に製造されると考えられる。
【0070】
なお、先に参照した
図3B及び
図3Hの例のように剥離膜6及び第2領域1bが平面視において周囲全体を第1領域1aに囲まれていても、リジッドフレキシブル配線基板が、本実施形態の方法を用いて製造され得る。
図4A及び
図4Bには、それぞれ、そのようなリジッドフレキシブル配線基板の製造方法において、
図3A~
図3Jを参照して説明された工程の他に、さらに行われる切断工程に関する2つの例が示されている。
【0071】
図4A及び
図4Bは、溝G1が形成された後の製造途上の配線基板の第2積層体2側からの平面図である。
図4Aの例では、溝G1が、
図3Hの例のように、略矩形の平面形状を有する剥離膜6を平面視で囲むように形成されている。そして、絶縁基板30(
図3J参照)を含む製造途上の配線基板の全体が2本の切断線Cそれぞれにおいて切断される。2本の切断線Cは、それぞれ、剥離膜6における第2方向(
図4AのY方向)において対向する2つの辺に沿って設定される。少なくとも2本の切断線Cは、平面視で全体として枠状に形成されている溝G1の外側の内壁よりも剥離膜6の内周側に設定される。
図4Aの例のように、製造途上の配線基板を切断することによって、第2方向において第1領域1aに拘束されない第2領域1bが得られる。そして剥離部分Rを除去することによって第2領域1bに可撓性が備えられ、リジッドフレキシブル配線基板が得られる。
【0072】
なお、切断線Cでの切断は、剥離部分Rの除去の前に行われてもよく、剥離部分Rの除去の後に行われてもよい。剥離部分Rの除去後に切断が行われる場合、2つの切断線Cは、それぞれ、剥離部分Rの除去によって露出する露出面(具体的には
図3Jに示される絶縁層12aの第2層122における剥離部分R側の表面)の対向する2つの辺に沿って設定される。このように、本実施形態の方法を含むリジッドフレキシブル配線基板の製造方法は、剥離膜6の縁部の一部、又は剥離部分Rの除去による露出面の縁部の一部に沿って、絶縁基板30を含む製造途上の配線基板を切断することを含み得る。
【0073】
図4Bの例においても、略矩形の平面形状を有する剥離膜6及び第2領域1bが平面視において周囲全体を第1領域に囲まれている。それにも関わらず、第1方向(
図4BのX方向)において対向する剥離膜6の2つの辺それぞれだけに沿う2つの溝G1が形成されている。形成されている2つの溝G1は、いずれも、第1方向と直交する第2方向(
図4BのY方向)だけに沿っている。一方、2つの切断線Cは、それぞれ、剥離膜6における、溝G1と略直交する第1方向に沿う2つの辺に沿って設定される。換言すると、剥離膜6の外縁における切断線Cに沿う部分(この部分は以下では「切断部」とも称される)以外の部分に沿って溝G1が形成されている。2つの溝G1は、それぞれ、2つの切断線Cの一方の設定箇所から他方の設定箇所まで達するように形成される。そして、2つの切断線Cは、それぞれ、2つの溝G1の両方を横切るように設定される。
【0074】
このように設定された2つの切断線Cそれぞれで製造途上の配線基板を切断することによって、剥離部分Rが、第2方向において第1領域1aによる拘束から解放される。そして剥離部分Rを除去することによって第2領域1bに可撓性が備えられ、リジッドフレキシブル配線基板が得られる。このように、本実施形態の方法を含むリジッドフレキシブル配線基板の製造方法では、溝G1は、剥離膜6の縁部の一部である上記切断部以外の部分に沿って形成されてもよい。そして、
図4Aの例と同様に、絶縁基板30(
図3J参照)を含む製造途上の配線基板は、剥離膜6の縁部の一部である上記切断部に沿って切断されてもよい。
【0075】
つぎに、
図1に例示される配線基板100と略同様の配線基板が製造される場合を例に、他の実施形態(第2実施形態)の配線基板の製造方法が、
図5A~
図5Gを参照して説明される。以下の説明では、他の実施形態の配線基板の製造方法は、単に「他の実施形態の方法」又は「本実施形態の方法」とも称される。一方、
図3A~
図3Jを参照して説明された一実施形態の配線基板の製造方法は「一実施形態の方法」とも称されるが、以下では「本実施形態の方法」とは称されない。加えて、一実施形態の方法及び他の実施形態の方法は、一括して、単に「実施形態の方法」とも総称される。
図5A~
図5Gに示される例で製造される配線基板は、絶縁層30の第1主面3a上の導体パターンについて、
図1の例の配線基板100と僅かに異なり得る。しかし、その点を除いて、
図5A~
図5Gに示される例で製造される配線基板は、
図1の例の配線基板100と同様の構造を有し得る。以下の説明では、
図3A~
図3Jを参照して説明された一実施形態の方法に含まれる工程と同様の工程の説明は、適宜省略される。
【0076】
図5Aに示されるように、出発基板300が用意される。本実施形態の方法においても、
図3Aを参照して説明された方法と同様の方法で出発基板300が用意され得る。しかし
図5Aに例示される本実施形態の方法で用意される出発基板300は、金属パターン31fbを含む金属層31f(第2金属層)を備えている。金属パターン31fbは、絶縁基板30の第1主面3aのうちの剥離膜6に覆われることになる領域CAを覆うように設けられている。なお、第1主面3aは、絶縁基板30における出発基板300の第1面3f側の表面であって、金属層31fの表面31faと共に第1面3fを構成している。
【0077】
金属パターン31fbは、後述される剥離膜6の切り出しの際に絶縁基板30を守る保護層として機能する。従って、金属パターン31fbは、好ましくは、領域CAの外側にはみ出る余白部分を有するように形成される。少なくとも領域CAの縁部を枠状に覆う金属パターン31fbが形成される。従って、金属パターン31fbは、領域CAの全体を覆っていなくてもよい。枠状の金属パターン31fbが形成される場合、金属パターン31fbは、好ましくは領域CAの縁部の全周に渡って連続的に、且つ、領域CAの外側に余白部分を備える程の幅を有するように形成される。
【0078】
金属パターン31fbは、先に
図3Aを参照して説明された金属層31fの形成時のパターニングにおいて適切なエッチングマスクを用いることによって形成され得る。このように、実施形態の方法において出発基板300を用意することは、絶縁基板30における出発基板300の第1面3f側の表面(第1主面3a)のうちの剥離膜6に覆われる領域CAの縁部を覆う部分を含む金属層31fを形成することを含み得る。
【0079】
図5Aに示されるように、本実施形態の方法においても、
図3Aを参照して説明された方法と同様に、剥離膜6を形成すべく、剥離膜6を含む膜体60が、出発基板300の第1面3fの全面を覆うように積層される。
図5Aの例でも、膜体60は、粘着層61と剥離層62とを含んでいる。なお膜体60は、必ずしも出発基板300の第一面3fの全面を覆わなくてもよい。後述する溝G2によって切り出される剥離膜6よりもその大きさが大きければ、サイズに関する制限はない。
【0080】
そして
図5Bに示されるように、本実施形態では、膜体60のうちの剥離膜6となる領域とその領域以外の所定の領域とを分離する溝G2(第2溝)が形成される。溝G2は、後述される絶縁層12a(第1絶縁層、
図5C参照)の形成の前に、膜体60に関して絶縁基板30と反対の側から形成される。溝G2は、溝G2によって切り出されるべき剥離膜6の外縁に沿って枠状に、好ましくはその全周に渡って連続的に形成される。溝G2の形成によって、金属パターン31fbの一部が、溝G2の底面に露出する。
【0081】
溝G2は、任意の方法で形成される。例えば、炭酸ガスレーザー光やYAGレーザー光、又はUVレーザー光などを用いる任意のレーザー加工、又は任意の機械加工によって形成され得る。例えばレーザー加工が用いられる場合は、炭酸ガスレーザー光などが、剥離膜6の縁部に沿って膜体60に照射される。そのような溝G2の形成において、金属層31f(具体的には金属パターン31fb)が、絶縁基板30を守る保護層として、特にレーザー光のストッパとして機能し得る。
【0082】
膜体60のうちの溝G2によって剥離膜6と分離された所定の領域は、例えば膜体60の粘着層61と出発基板300とが粘着層61の自然乾燥などによって強固に粘着する前に剥離される。若しくは膜体60として、剥離膜に初期状態では強固な接着性を有さない程度の粘着層が塗布されたPETフィルムやカプトンテープ(PIテープ)を用いることによって、手作業で、若しくはピンセットのような簡易的な治具を使用して、剥離膜6と分離された所定の領域を簡単に剥離することができる。このように、実施形態の方法において剥離膜6を設けることは、剥離膜6を含む膜体60を出発基板300の第1面3fの全面を覆うように積層することと、膜体60のうちの剥離膜6以外の所定の領域を除去することと、を含み得る。そして膜体60における剥離膜6以外の所定の領域を除去することは、絶縁層12a(
図5C参照)の形成の前に、膜体60を剥離膜6と剥離膜6以外の所定の領域とに分離する溝G2を絶縁基板300と反対の側から形成することを含み得る。さらに、溝G2を形成することは、絶縁基板300と反対の側から剥離膜6の縁部に沿って膜体60にレーザー光を照射することを含み得る。このような剥離膜6の形成方法によれば、フォトリソグラフィやプラズマエッチングを用いるよりも、容易に、且つ安価に、所望の形状及び大きさの剥離膜6を所望の位置に正確に設け得ることがある。
【0083】
図5Cに示されるように、
図3D及び
図3Eを参照して説明された方法と同様の方法で絶縁層12a(第1絶縁層)及び絶縁層22(第3絶縁層)が形成される。
図5Cの例においても、絶縁層12a及び絶縁層22の出発基板300と反対側の表面には、それぞれ、金属箔110及び金属箔210が備えられている。
【0084】
図5Dに示されるように、出発基板300を貫く溝G31が形成され、さらに、
図5Eに示されるように、出発基板300に加えて金属層31fも貫く溝G3(第3溝)が形成される。
図5D及び
図5Eに示される例では、さらに絶縁層22も貫く溝G3及び溝G31が形成されている。まず、
図5Dに示されるように、金属箔210及び絶縁層22を貫いて金属層31fの一部を露出させる溝G31が形成される。溝G31は、出発基板300の第2面3s側からの、例えば炭酸ガスレーザー光やYAGレーザー光などの適切なレーザー光の照射によって形成される。溝G31の形成のためのレーザー光は、平面視で剥離膜6の縁部に沿って、且つ金属パターン31fbからはみ出ないように、そして、金属層31fに達する溝G31が形成されるように、照射される。結果として、次に形成される溝G3(
図5E参照)の経路に沿って金属層31fの一部を露出させる溝G31が形成される。また、溝G31は、
図3Gを参照して前述された溝G1の形成経路に沿って形成されてもよい。従って、溝G31は、先に参照された
図3H又は
図3Iに例示の経路で形成されてもよい。
【0085】
図5Dの例では、
図5Eに示されるビア導体13の形成のための貫通孔13aが、金属箔110を貫いて絶縁層12aに形成されている。同様に、
図5Eに示されるビア導体23の形成のための貫通孔23aが、金属箔210を貫いて絶縁層22に形成されている。貫通孔13a及び貫通孔23aは、例えばレーザー加工やドリル加工のような任意の方法で形成され得る。レーザー加工が用いられる場合、溝G31を形成するためのレーザー光と同種のレーザー光を照射することによって、溝G31の形成工程と同じ工程で溝G31の形成と連続して貫通孔13a及び貫通孔23aが形成されてもよい。また、貫通孔13a及び貫通孔23aは、溝G31の形成に用いられるレーザー光と異なる種類のレーザー光の照射によって形成されてもよい。
【0086】
図5Eに示されるように、導体層11b及び導体層21、並びにビア導体13及びビア導体23が形成される。導体層11b及び導体層21、並びにビア導体13及びビア導体23は、
図3Eを参照して説明された方法と同様の方法で形成され得る。すなわち、導体層11bは、金属箔110(
図5D参照)の上に無電解めっき膜及び電解めっき膜などの金属膜を形成して絶縁層12a上に金属箔110を含む多層構造の金属層(第1金属層)を形成することによって形成される。同様に、導体層21は、金属箔210(
図5D参照)の上に無電解めっき膜及び電解めっき膜などの金属膜を形成して絶縁層22上に多層構造の金属層(第3金属層)を形成することによって形成される。絶縁層12a上に形成される金属層(導体層11b)及び絶縁層22上に形成される金属層(導体層21)は、
図3Eを参照して説明されたように、金属箔110、210などに対するエッチングによってパターニングされる。その結果、所望の導体パターンを含む導体層11b及び導体層21それぞれが形成される。
【0087】
図5Eに示される例では、金属層31f(第2金属層)のうち
図5Dにおいて溝G31の底面に露出している部分が除去されている。その結果、出発基板300及び絶縁層22を貫通する溝G31(
図5D参照)を含み、さらに金属層31fを貫通する溝G3が形成されている。溝G3の形成によって、剥離膜6の縁部が溝G3の底面に露出する。剥離膜6の縁部が露出するので、後述されるように剥離膜6を貫通する溝G1(
図5G参照)をレーザー光の照射のような簡便な方法で形成することができる。すなわち、溝G3は、溝G1の形成の前に形成される。
【0088】
金属層31fの露出部分の除去は、ウェットエッチングなどの任意の方法で行われ得る。この金属層31fの露出部分の除去は、導体層11bを構成する金属層、及び導体層21を構成する金属層それぞれのパターニングと共に、ウェットエッチングなどの適切なエッチングによって除去されてもよい。効率的に、金属層31fの露出部分を除去することができる。
【0089】
このように、実施形態の方法は、溝G1(
図5G参照)の形成の前に、出発基板300の第2面3s側から出発基板300及び金属層31fを貫通して剥離膜6の縁部に達する溝G3を形成することを含み得る。そして、溝G3を形成することは、出発基板300の第2面3s側からレーザー光を照射することによって金属層31fの一部を溝G3の形成経路に沿って露出させる溝G31(
図5D参照)を形成することと、金属層31fの一部であって溝G31の底面に露出する部分をエッチングによって除去することと、を含み得る。
【0090】
さらに、実施形態の方法は、出発基板300の第2面3sの上に、絶縁層22を介して、導体層21を構成する金属層(第3金属層)を積層することを含み得る。導体層21及び溝G31が形成される場合、実施形態の方法は、さらに、金属層31fの一部(金属層31fにおける溝G31の底面への露出部分)の除去と共に、導体層11bを構成する金属層(第1金属層)及び導体層21を構成する金属層(第3金属層)をパターニングすることを含み得る。後工程で形成される溝G1(
図5G参照)の形成を容易にする溝G3が効率的に形成されると考えらえる。
【0091】
図5Fに示されるように、第1積層体1及び第2積層体2が形成される。第1積層体1及び第2積層体2は、
図3Fを参照して説明された方法と同様の方法で形成される。
図5Fに示される例では、溝G3は、溝G3の形成後に最初に形成される第2積層体2内の絶縁層22(第2積層体2において出発基板300側から2つめの絶縁層)を構成する樹脂によって充填されている。すなわちこの絶縁層22の形成のための熱圧着時に軟化した樹脂が溝G3内に流れ込んで溝G3が充填されている。第2積層体2が空洞を有しないので、温度変化時のクラックや層間剥離などが生じ難いと考えられる。
【0092】
図5Gに示されるように、剥離膜6を平面視における周囲の部分から分離させる溝G1(第1溝)が形成される。溝G1は、
図3Gを参照して説明された方法と同様の方法で形成され得る。また、溝G1は、
図3H及び
図3Iに例示の経路で形成され得る。溝G1は、第2積層体2内の絶縁層22で充填された溝G3(
図5F参照)をなぞるように形成されてもよい。溝G1は、溝G3を埋める樹脂を除去するように形成されてもよい。溝G1の形成によって、導体層11bの一部が溝G1内に露出すると共に、配線基板100から除去される剥離部分Rが、配線基板100の厚さ方向と直交する方向において剥離部分R以外の部分から分離される。導体層11bの導体パターン112が、溝G1の形成のために照射され得るレーザー光のストッパとして機能することがある。
【0093】
溝G1の形成後、
図3Jを参照して説明された方法と同様の方法で、剥離部分Rが除去される。剥離膜6も剥離部分Rと共に、又は剥離部分Rの除去後に除去される。導体層11bのうちの溝G1に露出する部分が除去されてもよい。以上の工程を経ることによって、本実施形態の方法によって製造される配線基板100が完成する。なお、本実施形態の方法においても、
図4A及び
図4Bを参照して説明されたように、製造途上の配線基板が、所定の切断線に沿って切断されてもよい。本実施形態によれば、前述したように、フォトリソグラフィやプラズマエッチングを用いるよりも、容易に、且つ安価に、所望の形状及び大きさの剥離膜6を所望の位置に正確に設け得ることがある。
【0094】
実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されない。例えば、各導体層は任意の方法で形成され得る。他の実施形態の方法における溝G3は、溝G2の形成後、溝G1の形成前の任意の工程で形成され得る。実施形態の配線基板の製造方法には、前述された各工程以外に任意の工程が追加されてもよく、前述された工程のうちの一部が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
100 配線基板
101 凹部(部品収容部)
1 第1積層体
1a 第1領域
1b 第2領域(可撓性領域)
11a 導体層(第1導体層)
11b 導体層(第1金属層)
12a 絶縁層(第1絶縁層)
12b 絶縁層(第2絶縁層)
121 第1層
122 第2層
121a 樹脂シート(接着剤)
122a 樹脂シート
2 第2積層体
21 導体層(第2導体層、第3金属層)
22 絶縁層(第3絶縁層)
30 絶縁層(絶縁基板)
300 出発基板
3f 出発基板の第1面
3s 出発基板の第2面
31f 金属層(第2金属層)
31s 金属層
6 剥離膜
60 膜体
C 切断線
CA 剥離膜に覆われる領域
G1 溝(第1溝)
G2 溝(第2溝)
G3 溝(第3溝)
R 剥離部分