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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154664
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20231013BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064144
(22)【出願日】2022-04-07
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100148301
【弁理士】
【氏名又は名称】竹原 尚彦
(74)【代理人】
【識別番号】100176991
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100217696
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 英行
(72)【発明者】
【氏名】寺嶋 涼平
(72)【発明者】
【氏名】山口 考二郎
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EB12
2C056EB29
2C056EB36
2C056EC69
2C056EC79
2C056FA10
2C056HA27
2C056HA58
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AS11
2C061BB10
2C061HK11
2C061HV32
(57)【要約】
【課題】使用する治具を適切に選択して、印刷に必要な情報を取得する。
【解決手段】印刷システム1は、印刷データを出力する印刷制御装置4と、印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置2と、印刷装置2のテーブル25上に載置される治具3と、を有する。治具3は、複数用意されている。治具3の各々に、治具3を識別するための治具IDが付されている。印刷制御装置4は、テーブル25上に載置された治具3の治具IDに基づいて、テーブル25上に載置された治具3の治具情報を取得する治具情報取得部411と、画像データ420と治具情報に基づいて、印刷データを生成する印刷データ生成部412と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを出力する印刷制御装置と、
前記印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置と、
前記印刷装置のテーブル上に載置される治具と、を有する印刷システムであって、
前記治具は、複数用意されており、
前記治具の各々に、前記治具を識別するための識別子が付されており、
前記印刷制御装置は、
前記テーブル上に載置された治具の識別子に基づいて、前記テーブル上に載置された治具の治具情報を取得する治具情報取得部と、
印刷用の画像データと、前記治具情報に基づいて、前記印刷データを生成する印刷データ生成部と、を有する、印刷システム。
【請求項2】
前記治具には、印刷の対象物の支持領域が設けられており、
前記治具情報には、前記支持領域の情報が少なくとも含まれる、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記印刷データ生成部は、
前記支持領域の情報に基づいて、前記支持領域に支持されている印刷の対象物に、前記画像データを印刷するための印刷データを生成する、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記支持領域は、前記印刷の対象物を前記治具上の所定位置に位置決めする部位であり、
前記支持領域の情報には、前記治具における支持領域の総数と、前記治具における支持領域の配置を示す情報が、少なくとも含まれている、請求項2に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷制御装置は、
前記治具情報を記憶する記憶部を有しており、
前記記憶部では、前記識別子と前記治具情報との対応関係が記憶されており、
前記治具情報取得部は、前記識別子に関連付けられた前記治具情報を、前記記憶部から取得する、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項6】
印刷データを出力する印刷制御装置と、
前記印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置と、
前記印刷装置のテーブル上に載置される治具と、
前記テーブルに載置された治具を撮像するカメラと、を有する印刷システムであって、
前記印刷制御装置は、
前記治具の撮像画像から、前記治具の治具情報を生成する治具情報生成部と、
印刷用の画像データと、前記治具情報に基づいて、前記印刷データを生成する印刷データ生成部と、を有する、印刷システム。
【請求項7】
前記治具は、複数用意されており、
前記治具の各々に、前記治具を識別するための識別子が付されており、
前記印刷制御装置は、
前記テーブル上に載置された治具の識別子に基づいて、前記テーブル上に載置された治具の治具情報を取得する治具情報取得部と、
前記治具情報生成部が生成した治具情報と、前記治具情報取得部が取得した治具情報との差異を算出する差異算出部と、を有し、
前記印刷データ生成部は、前記差異に基づいて前記印刷データを修正する、請求項6に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記治具情報取得部が取得した治具情報と、前記治具情報生成部が生成した治具情報と差異に基づいて、前記治具の使用の可否を判断する判断部を有する、請求項7に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記印刷制御装置は、
前記治具情報を記憶する記憶部を有しており、
前記記憶部では、前記識別子と前記治具情報との対応関係が記憶されており、
前記治具情報取得部は、前記識別子に関連付けられた前記治具情報を、前記記憶部から取得する、請求項7に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記印刷制御装置は、
前記記憶部に記憶された治具情報を、治具情報生成部が生成した治具情報に更新する更新部を有する、請求項9に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記治具情報生成部は、前記テーブル上に新規の治具が載置された際に、前記新規の治具の撮像画像から、前記治具情報を生成し、
前記更新部は、取得した前記新規の治具情報を、新たな識別子と関連付けて、前記記憶部に登録する、請求項10に記載の印刷システム。
【請求項12】
治具情報取得部は、前記治具の撮像画像から、前記識別子の情報を取得する、請求項7から請求項11の何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項13】
前記治具には、印刷の対象物の支持領域が設けられており、
前記治具情報には、前記支持領域の基準からのズレ量が含まれる、請求項6から請求項11の何れか一項に記載の印刷システム。
【請求項14】
前記印刷データ生成部は、
前記印刷用の画像データから前記印刷データを生成すると共に、前記ズレ量を参照して、前記印刷データを修正する、請求項13に記載の印刷システム。
【請求項15】
前記印刷制御装置は、
印刷に用いる治具として指定された治具の識別子と、前記テーブル上に載置された治具の識別子とが不一致である場合に、識別子の不一致を報知する報知部を有する、請求項6から請求項11の何れか一項に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、位置決め用の治具を用いて、対象物に対する印刷を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-151891号公報
【0004】
治具の各々には、対象物の支持枠として機能する開口部が設けられている。
例えば、複数の対象物に対する印刷を同時期に行う場合には、複数の開口部を持つ治具が用いられる。
【0005】
開口部の各々は、対応する対象物の外形に整合する形状で形成される。そのため、治具における開口部の配置や総数は、同時期に行う印刷の規模に応じて異なるものとなる。よって、同じ対象物に対する印刷であっても、開口の配置や総数が異なる治具が複数存在する。
対象物に対する印刷は、同時期に行う印刷の規模に応じて決まる1つの治具が選択されて、選択された治具を用いて実施される。選択された治具は、繰り返し使用される。
【0006】
治具は、使用にあたり、印刷装置のテーブル上に載置される。印刷制御装置は、テーブル上での治具の配置と、治具が備える各開口部の配置に基づいて、インクジェットヘッドから吐出するインク滴の着弾位置や着弾量を制御する。
そのため、治具を使用するに当たり、テーブル上での治具の位置を示す情報や、各開口部の形状を示す情報を取得する必要がある。
【0007】
上記したように、同じ対象物に対する印刷であっても、開口の配置や総数が異なる治具が複数存在する。そのため、治具が取り違えられる場合もあり、かかる場合、誤った情報に基づいて印刷が開始される可能性がある。
そこで、使用する治具を適切に選択して、印刷に必要な情報を取得できるようにすることが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1) 印刷データを出力する印刷制御装置と、
前記印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置と、
前記印刷装置のテーブル上に載置される治具と、を有する印刷システムであって、
前記治具は、複数用意されており、
前記治具の各々に、前記治具を識別するための識別子が付されており、
前記印刷制御装置は、
前記テーブル上に載置された治具の識別子に基づいて、前記テーブル上に載置された治具の治具情報を取得する治具情報取得部と、
印刷用の画像データと、前記治具情報に基づいて、印刷データを生成する印刷データ生成部と、を有する、印刷システムである。
【0009】
このように構成すると、人の手で治具の形状を測定することなく、テーブル上に載置された治具の治具情報を印刷制御装置側で取得できる。よって、印刷データの生成に必要な治具情報を簡便に取得できる。
【0010】
(2)前記治具には、印刷の対象物の支持領域が設けられており、
前記治具情報には、前記支持領域の情報が少なくとも含まれる。
【0011】
このように構成すると、人の手で支持領域の形状などを測定することなく、テーブル上に載置された治具の治具情報と共に、支持領域の情報を印刷制御装置側で取得できる。よって、印刷データの生成に必要な情報を簡便に取得できる。
【0012】
(3) 前記印刷データ生成部は、
前記支持領域の情報に基づいて、前記支持領域に支持されている印刷の対象物に、前記画像データを印刷するための印刷データを生成する。
【0013】
このように構成すると、支持領域で支持された印刷の対象物に、画像データに基づく情報を、位置精度良く印刷できる。
【0014】
(4)前記支持領域は、前記印刷の対象物を前記治具上の所定位置に位置決めする部位であり、
前記支持領域の情報には、前記治具における支持領域の総数と、前記治具における支持領域の配置を示す情報が、少なくとも含まれている。
【0015】
このように構成すると、治具情報に含まれる支持領域の情報を取得して、治具における支持領域の総数と、治具における支持領域の配置を特定できるので、印刷データの生成に必要な治具情報を簡便に取得できる。
【0016】
(5)前記印刷制御装置は、
前記治具情報を記憶する記憶部を有しており、
前記記憶部では、前記識別子と前記治具情報との対応関係が記憶されており、
前記治具情報取得部は、前記識別子に関連付けられた前記治具情報を、前記記憶部から取得する。
【0017】
このように構成すると、治具に付された識別子から治具情報を取得できるので、印刷の準備に要する時間をより短くできる。
【0018】
本発明は、
(6)印刷データを出力する印刷制御装置と、
前記印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置と、
前記印刷装置のテーブル上に載置される治具と、
前記テーブルに載置された治具を撮像するカメラと、を有する印刷システムであって、
前記印刷制御装置は、
前記治具の撮像画像から、前記治具の治具情報を生成する治具情報生成部と、
印刷用の画像データと、前記治具情報に基づいて、印刷データを生成する印刷データ生成部と、を有する、印刷システムである。
【0019】
このように構成すると、テーブル上に載置された治具の治具情報を、人の手を介さずに、印刷制御装置側で取得できる。よって、印刷データの生成に必要な治具情報を簡便に取得できる。
【0020】
(7)前記治具は、複数用意されており、
前記治具の各々に、前記治具を識別するための識別子が付されており、
前記印刷制御装置は、
前記テーブル上に載置された治具の識別子に基づいて、前記テーブル上に載置された治具の治具情報を取得する治具情報取得部と、
前記治具情報生成部が生成した治具情報と、前記治具情報取得部が取得した治具情報との差異を算出する差異算出部と、を有し、
前記印刷データ生成部は、前記差異に基づいて前記印刷データを修正する。
【0021】
印刷装置において治具は、繰り返し使用される。そのため、治具の形状は、経時的に変化する。その結果、治具は、使用回数の増加に伴い、当初の形状からのズレが大きくなる。
上記ように構成すると、治具の形状の経時的な変化が差異として現れるので、差異に基づいて印刷データを修正することで、対象物での印刷のズレを抑制できるようになる。これにより、印刷時の歩留まりの改善が期待できる。
【0022】
(8)前記治具情報取得部が取得した治具情報と、前記治具情報生成部が生成した治具情報との差異に基づいて、前記治具の使用の可否を判断する判断部と、を有する。
【0023】
治具が繰り返し使用されると、当初の形状からのズレが大きくなる。治具の基準情報は、治具の当初の形状を反映しているので、基準情報との差異に基づいて、印刷データを修正することで、対象物での印刷のズレを抑制できるようになる。これにより、印刷時の歩留まりの改善が期待できる。
【0024】
(9)前記印刷制御装置は、
前記治具情報を記憶する記憶部を有しており、
前記記憶部では、前記識別子と前記治具情報との対応関係が記憶されており、
前記治具情報取得部は、前記識別子に関連付けられた前記治具情報を、前記記憶部から取得する。
【0025】
このように構成すると、治具に付された識別子から治具情報を取得できるので、印刷の準備に要する時間をより短くできる。
【0026】
(10)前記印刷制御装置は、
前記記憶部に記憶された治具情報を、治具情報生成部が生成した治具情報に更新する更新部を有する。
【0027】
このように構成すると、テーブルに載置された治具を撮像するだけで、載置された治具の治具情報の更新と、生成した治具情報に基づく印刷データの修正を行える。
これにより、印刷の準備に要する時間をより短くできる。対象物に対する印刷における歩留まりの改善が期待できる。
【0028】
(11)前記治具情報生成部は、前記テーブル上に新規の治具が載置された際に、前記新規の治具の撮像画像から、前記治具情報を生成し、
前記更新部は、取得した前記新規の治具情報を、新たな識別子と関連付けて、前記記憶部に登録する。
【0029】
このように構成すると、新規な治具を印刷装置で用いる際に、治具上の支持領域の形状を測定し、印刷制御装置に入力する必要が無い。
よって、印刷の準備に要する時間をより短くできる。また、支持領域の形状を測定する場合には、測定ミスや、測定した形状データを印刷制御装置に入力するときの入力ミスが起こる可能性がある。上記のように、撮像画像から、形状データを含む治具情報が生成されて、参照テーブルに登録されるので、参照テーブルに登録された治具情報の精度が向上する。また、精度が高い治具情報を考慮して、印刷データが生成されるので、印刷における歩留まりの改善が期待できる。
【0030】
(12)治具情報取得部は、前記治具の撮像画像から、前記識別子の情報を取得する。
【0031】
このように構成すると、テーブルに載置された治具の特定と、特定した治具の治具情報に基づく印刷データの修正を行える。
これにより、印刷の準備に要する時間をより短くできる。対象物に対する印刷における歩留まりの改善が期待できる。
【0032】
(13)前記治具には、印刷の対象物の支持領域が設けられており、
前記治具情報には、前記支持領域の基準からのズレ量が含まれる。
【0033】
このように構成すると、治具情報に、支持領域の情報が含まれているので、印刷を実施する前に、治具上の支持領域を測定し、測定結果を印刷制御装置に入力する必要が無い。
よって、印刷の準備に要する時間をより短くできる。
【0034】
(14)前記印刷データ生成部は、
前記印刷用の画像データから前記印刷データを生成すると共に、前記支持領域の基準からのズレ量を参照して、前記印刷データを修正する。
【0035】
印刷装置では、支持領域に支持された対象物に対して印刷が行われる。そのため、支持領域の情報は、対象物の配置を示す情報として利用できる。
印刷データを生成する際に、治具上における対象物の配置を考慮することで、対象物での印刷のズレを抑制できるようになる。これにより、印刷時の歩留まりの改善が期待できる。
【0036】
(15)前記印刷制御装置は、
印刷に用いる治具としてされた治具の識別子と、前記テーブル上に載置された治具の識別子とが不一致である場合に、識別子の不一致を報知する報知部を有する。
【0037】
このように構成すると、テーブル上に載置する治具の置き間違えを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、使用する治具を適切に選択して、印刷に必要な情報を取得できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】第1実施形態にかかる印刷システムの概略構成図である。
図2】印刷装置の要部拡大図である。
図3】治具の斜視図である。
図4】治具の要部拡大図である。
図5】第1実施形態にかかる印刷制御装置の概略図である。
図6】治具テンプレートの構成を説明する図である。
図7】治具テンプレートで規定される開口部と、治具データベースで規定される開口部との差異を説明する図である。
図8】治具データベースの構成を説明する図である。
図9】第1実施形態にかかる印刷制御装置における処理を説明するフローチャートである。
図10】印刷後の図柄Dのズレや傾きを説明する図である。
図11】第1実施形態にかかる印刷制御装置における処理の変形例を説明するフローチャートである。
図12】第2実施形態にかかる印刷システムの概略構成図である。
図13】カメラの撮像画像の一例を説明する図である。
図14】第2実施形態にかかる印刷制御装置の概略図である
図15】第2実施形態にかかる印刷制御装置における処理を説明するフローチャートである。
図16】撮像画像の処理を説明する図である。
図17】第2実施形態にかかる印刷制御装置において、新規の治具の治具情報を参照テーブルに登録する過程を説明するフローチャートである。
図18】第2実施形態にかかる印刷制御装置における処理の変形例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る印刷システム1の概略構成図である。
図2は、印刷装置2の要部拡大図であって、キャリッジ22と治具3との位置関係を模式的に示した図である。
なお、各図面における符号「Y」は、印刷装置2における主走査方向を意味する。符号「X」は、印刷装置2における副走査方向を意味する。符号「Z」は、印刷装置2の設置状態を基準とした鉛直線方向を意味する。
【0041】
図1に示すように、印刷システム1は、印刷装置2と、治具3と、印刷制御装置4と、を有する。
印刷装置2は、フラッドヘッドタイプのインクジェットプリンタである。印刷装置2は、印刷制御装置4から入力される印刷データに基づいて、治具3に支持された対象物Tに対する印刷を実施する。
【0042】
印刷装置2では、水平に配置されたガイドレール21で、キャリッジ22が支持されている。キャリッジ22は、ガイドレール21の長手方向(主走査方向Y)に移動可能に設けられている。
図2に示すように、キャリッジ22には、複数のインクジェットヘッド23(23a~23d)と、UV照射装置24が搭載されている。以下においては、インクジェットヘッド23a~23dを区別しない場合には、単純にインクジェットヘッド23と表記する。
【0043】
キャリッジ22の下方には、テーブル25が位置している。テーブル25上には、印刷の対象物Tを支持するための治具3が載置される。テーブル25は、副走査方向Xに移動可能である。対象物Tに対する印刷を行う際には、テーブル25が副走査方向Xに移動して、治具3を、ガイドレール21の直下の位置まで搬送する。なお、テーブル25は、鉛直線方向Zにも移動可能であっても良い。
【0044】
対象物Tに対して印刷を行う際には、キャリッジ22が、ガイドレール21上を主走査方向Yに移動する。この際に、各インクジェットヘッド23(23a~23d)から、治具3で支持された対象物Tの表面にインク滴が吐出される。
これにより、対象物Tの表面に情報が形成される。ここで、対象物Tの表面に形成される情報とは、一例として、文字、図柄、写真、画像、そして、文字と図柄と写真と画像との任意の組み合わせである。
印刷に用いられるインクが、紫外線硬化型のインクである場合には、対象物Tの表面に着弾したインク滴に、UV照射装置24から紫外線を照射して、インク滴を固化、定着させる。なお、各インクジェットヘッド23(23a~23d)からのインク滴の吐出は、印刷制御装置4が出力する印刷データに基づいて行われる。
【0045】
ここで、対象物Tは、印刷の対象物を意味する。身分証明書として利用される樹脂性のプレートや、携帯端末用の樹脂性のカバーなどが、対象物Tの一例である。
【0046】
図3は、治具3の斜視図である。図4は、治具3の一部を拡大して示した平面図である。
なお、図3では、治具3に設けた一部の開口部31に、対象物Tが支持されている状態を示している。図4では、開口部31に対する対象物Tのセットから、開口部31で支持された対象物Tに対する印刷までの過程を模式的に示している。
【0047】
図1に示すように、治具3は、対象物Tをテーブル25上の所定位置に配置するために用いられる。
図3および図4に示すように、治具3は、一例として樹脂材料で形成される。治具3は、板状の基部30を有する。平面視において基部30は、矩形形状を成している。基部30には、対象物Tを支持するための開口部31が設けられている。開口部31は、対象物Tの支持領域である。開口部31は、対象物Tを支持するための部位である。
【0048】
図3に示す治具3では、複数の対象物Tを支持するために、複数の開口部31が設けられている。複数の対象物Tに対して同時期に印刷を行えるようにするためである。
本実施形態では、開口部31は、基部30を厚み方向に貫通している。治具3をテーブル25上に載置すると、開口部31の各々は、インクジェットヘッド23が位置する上方に開口を向けて配置される(図2参照)。
【0049】
図4に示すように、平面視において開口部31は、対象物Tの外形と整合する形状で形成される。例えば、図4に示すように、対象物Tが、略矩形形状の樹脂プレートである場合、開口部31は、対象物Tの外形と整合する幅Wと長さLの矩形形状となる。
図2に示すように、対象物Tは、テーブル25上に載置された治具3の開口部31の各々に、ひとつずつセットされる。
開口部31内において対象物Tは、印刷面をインクジェットヘッド23側の上方に向けた状態で支持される。この状態において、印刷面Taは、インクジェットヘッド23のインク吐出面231に対して略平行に配置される。
【0050】
対象物Tに印刷を行う際には、治具3が、テーブル25上の所定位置に配置される。
ここで、テーブル25上には、治具を位置決めするためのマーカMK(図13参照)が設けられている。治具3を、マーカMKを基準として配置することで、治具3がテーブル25上の所定位置に位置決めされる。
治具3の開口部31の各々では、対象物Tが支持されている。印刷装置2は、開口部31で支持された対象物Tの各々に対して印刷を実施する。これにより、治具3で支持された対象物Tの各々に情報(図柄D)が印刷される(図4参照)。
【0051】
ここで、平面視における対象物Tの形状は、長方形(矩形形状)、楕円形、円形など、様々である。そのため、治具3の開口部31の形状は、対象物T毎に異なるものとなる。よって、印刷装置2では、対象物T毎に専用の治具3が用意されている。
さらに、同じ対象物Tであっても、印刷規模に応じて開口部31の総数が異なる場合や、対象物Tの配置が異なる場合もある。そのため、同じ対象物Tであっても、開口部31の配置が異なる治具3が用意される。
よって、対象物T毎に複数の治具3が用意される。そのため、区別が付きにくい治具3が複数存在することになる。
【0052】
実施形態にかかる印刷システム1では、治具3の各々に、治具3を識別するための識別子が割り当てられている。識別子は、治具3に割り当てられた固有の識別番号である。
治具3の各々には、識別子を特定するためのバーコードBkが付されている(図3参照)。
本実施形態では、バーコードBkが印刷されたラベルシールが、治具3の側面に貼り付けている。そして、治具3に付されたバーコードBkを、後記する印刷制御装置4に接続されたハンディスキャナ53(図5参照)で読み取ることで、治具3に割り当てられた識別子を、印刷制御装置4側で特定できるようになっている。
【0053】
なお、バーコードBkは、治具3に直接刻印しても良い。また、識別子を特定することが可能な他の手段、例えば3次元コードや、QRコード(登録商標)等の他の2次元コードを、バーコードBkに代えて採用しても良い。
【0054】
図5は、印刷制御装置4の概略図である。
印刷制御装置4は、印刷装置2での印刷を制御する。
印刷制御装置4は、処理部41と、記憶部42と、入出力ポート(I/O)43と、を有する。処理部41と、記憶部42と、入出力ポート43は、バス44を介して、互いに接続されている。
印刷制御装置4の入出力ポート43には、入力装置51と、出力装置52と、ハンディスキャナ53が接続されている。
また、入出力ポート43には、ネットワークNTを介して、印刷装置2が接続されている。
なお、印刷制御装置4は、有線、無線を問わず、印刷装置2と1対1で接続する構成を排除するものではない。
【0055】
入力装置51は、印刷制御装置4に対して指示を入力するためのインタフェースである。入力装置51として、キーボード、マウス、タッチパネル、そして印刷装置2の作業者が所持する端末などが例示される。
出力装置52は、文字や画像、そして音声などの情報を出力するためのインタフェースである。出力装置52として、モニタ、ラベルプリンタ、スピーカ、そして印刷装置2の作業者が所持する端末などが例示される。ラベルプリンタは、後記するバーコードが印刷されたシールを作成するためのプリンタである。
【0056】
ハンディスキャナ53は、治具3に付された識別子を読み取る読取装置である。
本実施形態では、識別子としてバーコードBkを用いている。よって、ハンディスキャナ53は、バーコードBkを読み取って、バーコードBkにより特定される識別子の情報を取得する。ハンディスキャナ53は、取得した識別子の情報を、印刷制御装置4の処理部41に出力する。
【0057】
処理部41は、CPUやGPUなどのプロセッサであり、記憶部42に記憶されたプログラムに基づいて、プログラムで規定された処理を実行する。
記憶部42は、例えばHDDやSSD、そしてメモリなどの情報の保持と書き換えが可能な記録媒体である。
記憶部42には、処理部41で実施される各処理のプログラムなどが記憶される。さらに、記憶部42には、処理の過程で生成される情報が一時的に記憶される。
【0058】
なお、記憶部42としての機能を、ネットワークNTを介して印刷制御装置4に接続された外部サーバ55に持たせても良い。
【0059】
記憶部42には、各種のプログラムの他に、画像データ420と、治具テンプレート421と、治具データベース422と、印刷データ423が記憶される。
【0060】
画像データ420は、対象物Tに印刷する情報を規定するデータである。例えば、図4に示す図柄Dを印刷する場合には、図柄Dの基本データ(図柄の範囲、図柄の形状、図柄の色など)が、画像データ420に相当する。記憶部42には、複数の画像データ420が記憶されている。
【0061】
図6の(a)、(b)は、治具テンプレート421を説明する図である。
治具テンプレート421は、印刷装置2で使用される治具3の基準情報を規定するデータである。印刷装置2で使用される治具3は、複数ある。そして、治具3の開口部31は、形状、サイズ、配置が、治具毎に異なる。
そのため、記憶部42には、治具テンプレート421(421_1~421_n)が、複数登録されている。ここで、「n」は、任意の整数である。
図6の(b)に示すように、テンプレートテーブルでは、治具テンプレート421が、テンプレートの識別子(ID)と関連付けて記憶されている。
【0062】
テンプレートテーブルには、次の情報が情報項目として含まれている。
(a)治具のサイズ(テンプレートサイズ)を規定する情報(サイズ情報)、(b)治具に設けられた開口部の数(開口数)、(c)治具に設けられた開口部の形状(基本形状)、(d)治具に設けられた各開口部の情報(開口部情報)。
【0063】
サイズ情報では、X-Y平面における治具の外形が特定できる。治具の外形は、X方向の幅とY方向の幅で規定される。
開口数は、治具における開口部の並びと、開口部の総数が特定できる。例えば、開口数が「4×3」と表記されている場合には、開口部がX方向に4個、Y方向に3個並んで配置されて、合計12個(=4×3)の開口部が設けられていることを特定できる。
開口部の形状は、「矩形」、「楕円」などの開口部の基本形状を特定できる。
【0064】
開口部情報には、(d1)各開口部(開口1~開口n)各々の位置(基準座標)と、(d2)開口部31の大きさを規定する情報(サイズ)が含まれる。
開口部情報は、開口部毎に用意されている。例えば、開口数が6個である場合、合計6個の開口部情報が含まれる。
【0065】
治具テンプレート421は、治具3の設計データ(CADデータ)である。
治具3は、治具テンプレート(設計データ)に基づいて作成される。そのため、治具テンプレート421で規定された情報(サイズ情報、開口部情報)は、設計データに基づいて作成した治具3の作成当初の形状を示す基準情報に相当する。
そのため、治具3の作成に用いた治具テンプレート421を参照することで、治具3の作成当初の形状を特定できる。
【0066】
図7は、治具テンプレートで規定される開口部31と、治具データベースで規定される開口部との差異を説明する図である。
図8は、治具データベース422の構成例を説明する図である。
治具データベース422では、治具テンプレート421に基づいて作成された治具3の情報(治具情報)が、治具3に割り当てられた固有の識別番号(治具ID)に関連付けて登録されている。
【0067】
本実施形態では、治具データベース422に以下の情報項目が含まれている。
(a)治具IDを取得するためのバーコード画像、(b)治具3の作成に用いたテンプレートの情報(テンプレート情報)、(c)治具3が備える各開口部31の情報(開口部情報)。
なお、上記の情報項目は、一例であり、これらのものに限定されない。
【0068】
テンプレート情報は、治具の作成に用いられた治具テンプレートを特定するための情報である。
テンプレート情報には、テンプレートの識別子と、前記した治具のサイズ情報、開口数、基本形状が情報項目として含まれている。
図8の場合、治具IDが「001」である治具は、以下の点が特定できる。
・テンプレートNo.TP1の治具に基づいて作成された治具である。
・治具のサイズが、テンプレートNo.TP1に紐付けられたサイズ(〇×□)である。
・治具に設けた開口部の総数(開口数)が8個(=4×2)である。
・開口部の基本形状が「矩形」である。
【0069】
開口部情報は、治具3に設けた各開口部31の情報である。
開口部情報には、以下の情報が情報項目として含まれている。
(d)治具における開口部(開口1~開口n)各々の基準座標、(e)開口部各々のサイズ、(f)開口部各々の基準位置からのズレ量。
【0070】
基準座標は、治具3の平面形状を規定する二次元領域(X-Y平面)における開口部31の座標(位置)を特定できる。
開口部のサイズは、開口部のX方向とY方向の大きさを特定できる。
【0071】
開口部のズレ量は、開口部の基準位置からのズレを特定できる。
図7に示すように、作成当初の治具では、各開口部のサイズは、治具テンプレートに紐付けられた開口部のサイズと同じである(図中、実線参照)。治具は繰り返し利用されるので、開口部の位置が経時的に変化する(図中、破線参照)。
【0072】
本実施形態では、開口部の経時的な変化を、X方向とY方向のズレ量で特定するようにしている。
例えば、図7において符号「OP4」を付した開口部は、図中実線で示す当初の位置から、X方向にΔX4、Y方向にΔY4ズレている。符号「OP3」を付した開口部は、図中実線で示す当初の位置から、Y方向にΔY3ズレている。
これらズレ量が、治具データベースにおいて、ズレ量(X)、ズレ量(Y)の値として登録されている(図8参照)。そして、開口部毎に、当初の位置からのズレ量を特定できるようになっている。
よって、基準位置からのズレ量とは、治具テンプレートで規定される開口部の位置と、治具における開口部の現時点における位置とのズレの程度を意味する。
【0073】
なお、治具データベース422に含まれる開口部情報は、適宜更新される。開口部情報の更新は、治具5の使用前、使用後などに実施される。開口部情報の更新は、一例として、作業者が、治具における各開口部のサイズを測定し、測定結果を入力することで行われる。また、後記するカメラによる治具の撮像画像の処理により、治具における各開口部のサイズを特定し、開口部情報が自動で更新されるようにしても良い。
【0074】
印刷制御装置4では、治具IDに基づいて、治具データベース422を参照すると、現時点における治具と開口部の形状を特定するための治具情報を取得できる。治具情報により、治具3のテンプレート情報(サイズ情報、開口数、基本形状)と、開口部情報(各開口部の基準座標、現時点のサイズ、基準位置からのズレ量)が特定できる。
【0075】
図5の説明に戻って、印刷データ423は、治具3で支持された対象物Tの各々に、図柄Dなどの情報を印刷する為のデータである。
前記したように治具3では、複数の対象物Tが、対応する開口部31(支持領域)で支持されている。印刷データ423は、対象物Tの各々に、画像データ420で規定される図柄Dを印刷するためのデータである。
印刷データ423は、治具情報、具体的には治具3の開口部31の情報(開口部31の基準座標、現時点のサイズ、基準位置からのズレ量)と、画像データ420に基づいて作成される。
【0076】
図5に示すように、処理部41は、機能ブロックとして、治具情報取得部411と、印刷データ生成部412を有する。
【0077】
治具情報取得部411は、テーブル25に載置された治具3の治具IDが入力されると、治具データベース422を参照して、治具IDに関連付けられた治具情報を取得する。
【0078】
印刷データ生成部412は、入力装置51を介した指示入力により、印刷条件が決定されると、記憶部42を参照して、印刷条件で指定された画像データ420を取得する。
印刷データ生成部412は、取得した画像データ420を用いて、治具5で保持された対象物Tの各々に印刷するための印刷データを生成する。
【0079】
印刷データ生成部412は、治具情報取得部411が取得した治具情報に基づいて、生成した印刷データ423の修正の要否を判断する。
印刷データ生成部412は、印刷した印刷データ423の修正が必要であると判断されると、印刷データ423を修正する。
印刷データ生成部412は、印刷データを印刷装置2に出力すると共に、記憶部42に記憶する。
印刷データ生成部412は、いわゆるリッピングソフトウェアの機能を実現する。
【0080】
このように、印刷制御装置4は、生成した印刷データ423を、印刷装置2に出力する。
印刷制御装置4は、印刷データ423の出力に先立って、テーブル25に載置された治具5の治具情報を参照し、生成した印刷データ423を、必要に応じて修正する。
印刷制御装置4は、生成した印刷データ423が修正された場合には、修正後の印刷データ423を、印刷装置2に出力する。
印刷装置2は、入力された印刷データ423に基づいて、対象物Tに対する印刷を実施する。
【0081】
以下、治具3を用いた対象物Tに対する印刷を実施する過程を説明する。
図9は、治具3を用いた対象物Tに対する印刷の過程における印刷制御装置4での処理を説明するフローチャートである。
【0082】
印刷システム1では、対象物Tに対する印刷を行う際に、作業者の入力装置51を介した入力により、印刷条件が指定される。
具体的には、作業者により、印刷条件が入力される(ステップS101)。そして、治具配置印刷の選択(ステップS102)と、治具配置印刷の選択に伴う治具テンプレートの選択(ステップS103)が行われると、印刷データ生成部412が、印刷データを生成する(ステップS104)。
【0083】
ここで、印刷条件の入力とは、対象物Tに印刷する情報(図柄)、印刷する情報(図柄)の色調などの印刷にかかる指示入力を意味する。
治具配置印刷の選択とは、印刷装置2で行う印刷モードとして、治具5で支持された対象物Tに対して印刷する印刷モードが指示されたことを意味する。
治具テンプレートの選択とは、複数の治具の中から、対象物Tに対する印刷で用いる治具が指定されたことを意味する。
【0084】
ステップS104において印刷データ生成部412は、治具5で支持された対象物Tに対して印刷するための印刷データを生成する。
具体的には、印刷データ生成部412は、ステップS101で入力された印刷条件に基づいて、記憶部42から画像データ420を取得する。そして、印刷データ生成部412は、取得した画像データ420と、ステップS101で入力された印刷条件と、ステップS103で選択された治具テンプレートの情報と、に基づいて印刷データを生成する。
【0085】
印刷に用いる治具3が、印刷装置2のテーブル25上に載置されると、治具3に付されたバーコードBkが、ハンディスキャナ53により読み取られる。そうすると、治具3を特定するための治具IDが、治具情報取得部411に入力される(ステップS105、Yes)。
治具IDが入力されると、治具情報取得部411は、治具データベース422を参照して、治具IDに関連付けられた治具情報を取得する(ステップS106)。
【0086】
続いて、印刷データ生成部412は、治具情報取得部411により治具情報が取得されると、印刷データの修正の要否を判断する(ステップS107)。
ここで、治具情報取得部411が取得した治具情報には、治具5の各開口部の基準位置からのズレ量が含まれている。
印刷データ生成部412は、ズレ量が、閾値よりも大きい開口部の有無を確認する。そして、印刷データ生成部412は、ズレ量が閾値よりも大きい開口部を特定する。印刷データ生成部412は、ズレ量が閾値よりも大きい開口部に支持された対象物に対する印刷データを修正する(ステップS108)。
【0087】
ズレ量が閾値を超えた開口部31では、対象物Tが、本来あるべき位置から外れた位置で保持される。この状態の対象物Tに対して印刷を行うと、図10の(b)、(c)に示すように、印刷後の図柄Dのズレや傾きが大きくなる。その結果、本来あるべき位置で保持された対象物Tに対して印刷を行ったもの(図10の(a)参照)が合格品となるのに対して、図10の(b)、(c)に示すものは不合格となる。
そのため、印刷データを修正することで、ズレ量が閾値を超えた開口部で支持された対象物に対する印刷を、ズレ量を加味しつつ適切に行えるようにしている。
これにより、情報(図柄D)が印刷された対象物Tの歩留まりの向上が期待できる。
【0088】
印刷データ生成部412は、ステップS107で生成した印刷データ、またはステップS108で修正した印刷データを、印刷装置2に出力する(ステップS109)。
これにより、印刷データは、印刷制御装置4の入出力ポート43から、ネットワークNTを介して印刷装置2に向けて出力される。
【0089】
印刷装置2では、入力された印刷データに基づいて、キャリッジ22の主走査方向Yへの移動、インクジェットヘッド23からのインク滴の吐出、UV照射装置24から照射される紫外線量が制御される。
そして、最終的に、治具3で支持された対象物T各々の表面に、図柄などの情報が印刷される。
上記したように、印刷データの印刷装置2への出力に先立って、治具情報を参照して、印刷データの修正の要否を判断する。これにより、繰り返し使用に起因する治具3の経時変化により、対象物Tを保持する開口部の位置が、基準位置から閾値以上ズレている場合には、開口部のズレ量に基づいて印刷データが修正される。
よって、治具3で支持された対象物Tの各々に、対象物Tの実際の位置を反映した印刷を行うことができる。これにより、対象物Tにおける図柄の位置ずれなどを抑えつつ印刷を行うことができる。
【0090】
このように、治具データベース422に、治具3各々の治具情報が登録されており、治具情報には、治具が持つ開口部の現時点の開口部情報(各開口部の基準座標、現時点のサイズ、基準位置からのズレ量)が含まれている。
治具3に付されたバーコードBkを読み取ることで、治具データベース422から治具情報を読み出して、生成した印刷データの修正に利用できる。
【0091】
従来の場合、印刷装置2の作業者の作業手順は、大まかに以下の通りである。(I)印刷で使用する治具3を、複数の治具3の中から見つけてテーブル25上に載置する。(II)載置した治具3上の各開口部31の形状を測定し、治具3の大きさ、治具3における開口部31の座標、各開口部31の現時点のサイズ、各開口部の基準位置からのズレ量などを求めて、治具情報として、印刷制御装置4に入力する。
これにより、印刷制御装置4が、入力された治具情報を参照して、画像データ420から生成した印刷データ423を必要に応じて修正して、印刷装置2に出力する。印刷装置2は、入力された印刷データに基づいて、対象物Tに対する印刷を実施する。
【0092】
そのため、入力した治具情報に、入力ミスや測定ミスに起因する誤りを含むことがあった。
上記のように、テーブル25上に載置された治具3の情報が、治具IDに関連づけて、治具データベース422にあらかじめ登録されている。そのため、治具3に付されたバーコードBkの読み取りにより治具IDを取得し、取得した治具IDに基づいて、治具データベース422を参照することで、治具の各開口部の形状を実際に測定することなく、治具情報を取得できる。
これにより、治具3の各開口部31の形状を測定する作業を省略できる。
【0093】
以上の通り、実施の形態にかかる印刷システム1は、以下の構成を有する。
(1)印刷システム1は、
印刷データを出力する印刷制御装置4と、
印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置2と、
印刷装置2のテーブル25上に載置される治具3と、を有する。
治具3は、複数用意されている。
治具3の各々に、治具3を識別するための治具ID(識別子)が付されている。
印刷制御装置4は、
テーブル25上に載置された治具3の治具IDに基づいて、テーブル25上に載置された治具3の治具情報を取得する治具情報取得部411と、
印刷用の画像データ420と治具情報に基づいて、印刷データを生成する印刷データ生成部412と、を有する。
【0094】
このように構成すると、印刷装置2の作業者が、印刷に必要な治具情報を、実測して印刷制御装置4に入力する必要が無い。例えば、治具IDをハンディスキャナ53で読み取る場合には、治具IDの読み取りを行うだけで、テーブル25上に載置された治具3の情報を印刷制御装置4側で取得できる。よって、印刷データの生成に必要な治具情報を簡便に取得できる。
【0095】
(2)治具3には、印刷の対象物Tの支持領域となる開口部31が設けられている。
治具情報には、開口部31の情報が少なくとも含まれる。
【0096】
開口部31の情報には、開口部の数(開口数)、開口部31の位置(基準座標)、開口部31のサイズ、開口部の基準位置からのズレ量などを示す情報が含まれる。
このように構成すると、治具情報を参照することで、治具3における開口部31に関する情報を取得できる。
開口部31に関する情報は、治具3で支持された対象物Tの配置を特定できる情報であり、画像データ420から印刷データ423を生成する際に必要となる情報である。
上記のように構成すると、印刷データ423の生成に先立って、開口部31の情報を取得するために、開口部31の形状などを実際に測定する必要が無い。よって、印刷データの生成に必要な情報を簡便に取得できる。
【0097】
また、治具3上の各開口部31の形状を測定して治具情報を取得する場合、取得した治具情報を印刷制御装置4に入力する必要が生ずる。この場合、開口部31の形状を測定する際の測定ミスや、測定した情報を印刷制御装置4に入力する際の入力ミスが起こる可能性がある。
上記のように構成すると、治具情報を参照することで、治具3における開口部31に関する情報を取得できるので、測定ミスや入力ミスに起因する印刷ミスの発生可能性を低減できる。よって、対象物Tに対する印刷における歩留まりの改善が期待できる。
さらに、印刷の準備に要する時間をより短くできる。
【0098】
(3)印刷データ生成部412は、
開口部31の情報に基づいて、開口部31に支持されている印刷の対象物Tに、画像データ420により規定される情報を印刷するための印刷データを生成する。
【0099】
印刷データでは、画像データで規定される情報が、支持領域で支持された対象物Tの各々に適切に印刷されるように設定されている。そのため、上記のように構成すると、支持領域で支持された印刷の対象物に、画像データに基づく画像を、位置精度良く印刷できる。
【0100】
(4)開口部31は、印刷の対象物Tを治具3上の所定位置に位置決めする部位である。
開口部31の情報には、治具3における開口部31の総数(開口数)と、治具3における開口部31の配置(基準座標)を示す情報が、少なくとも含まれている。
【0101】
このように構成すると、印刷装置2のテーブル25上に載置された治具3の治具IDから、印刷データ423の生成に必要な情報を簡便に取得できる。
【0102】
(5)印刷制御装置4は、
治具情報を記憶する記憶部42を有する。
記憶部42には、治具IDと治具3との対応関係を規定する参照テーブルが記憶されている。参照テーブルでは、開口部31のテンプレート情報と開口部情報を含む治具情報が、治具IDに関連付けて登録されている。
治具情報取得部411は、治具IDに関連付けられた治具情報を、記憶部42の参照テーブルから取得する。
【0103】
このように構成すると、治具3に付された治具IDを取得するだけで、開口部31の形状を特定可能な治具情報を取得できる。治具情報が参照テーブルに記憶されているので、印刷装置2の作業者が、印刷に必要な治具情報を、実測して印刷制御装置4に入力する必要が無い。よって、印刷の準備に要する時間をより短くできる。
【0104】
(6)印刷データ生成部412は、
画像データ420から印刷データを生成すると共に、開口部31の情報を参照して、印刷データを修正する。
【0105】
開口部31の情報には、各開口部31の基準位置からのズレ量が規定されている。
対象物Tに対する印刷は、開口部31に支持された対象物Tに対して行われる。開口部31の基準位置からのズレ量を参照して、印刷データを修正することで、対象物Tでの印刷のズレを抑制できるようになる。これにより、印刷時の歩留まりの改善が期待できる。
【0106】
[変形例1]
図11は、第1実施形態にかかる印刷制御装置4における処理の変形例を説明する図である。
前記した第1実施形態では、印刷データの生成後に、印刷データの修正の要否を判断する場合を例示した。
変形例1では、印刷制御装置4が、テーブル25上に載置された治具3の適否を確認した上で、印刷データを生成する。
そのため、印刷制御装置4は、テーブル25上に載置された治具3と、印刷に用いられる治具3が不一致である場合に、治具IDの不一致を報知する報知部413を有する(図5参照)。
【0107】
図11に示すように、作業者により、印刷条件が入力される(ステップS201)。そして、治具配置印刷の選択(ステップS202)と、治具配置印刷の選択に伴う治具テンプレートの選択(ステップS203)が行われると、治具情報取得部411が、印刷に使用する治具3の情報(治具情報)を、出力装置52のディスプレイ上に表示させる(ステップS204)。
【0108】
ステップS203における治具テンプレートの選択により、印刷に用いられる治具が決定される。治具テンプレートの選択に伴い、印刷に用いられる治具の治具IDもまた、決定される。そのため、決定された治具IDが、治具情報取得部411により、出力装置52上に表示される(ステップS204)。
【0109】
これにより、印刷装置2の作業者が、次の印刷で用いる治具3を特定できることになる。
印刷に用いる治具3が、印刷装置2のテーブル25上に載置されると、治具3に付されたバーコードBkが、ハンディスキャナ53により読み取られる。そうすると、バーコードにより特定される治具IDが、治具情報取得部410に入力される(ステップS205、Yes)。
【0110】
治具IDが入力されると、治具情報取得部410は、治具テンプレートの選択に伴って使用が決定された治具の治具IDと、ハンディスキャナ53から入力された治具IDとが一致するか否かを確認する(ステップS206)。
【0111】
治具IDが一致しない場合(ステップS206、No)、報知部413が、治具IDが不一致であることを報知(エラー報知)する(ステップS210)。
治具IDが一致する場合(ステップS206、Yes)、治具情報取得部410は、治具IDに基づいて、治具データベース422を参照する。そして、治具情報取得部410は、治具IDに関連付けられた治具情報を取得する(ステップS207)。
【0112】
印刷データ生成部412は、治具情報が取得されると、印刷データを生成する(ステップS208)。
具体的には、印刷データ生成部412は、ステップS101入力された印刷条件に基づいて、記憶部42から画像データ420を取得する。そして、印刷データ生成部412は、取得した画像データ420と、ステップS101入力された印刷条件と、ステップS207で取得された治具情報と、に基づいて印刷データを生成する。
【0113】
前記したように、治具情報には、現時点における各開口部の基準位置からのズレ量が含まれている。そして、ズレ量を考慮して、印刷データを生成する。
これにより、ズレ量が閾値を超えた開口部で支持された対象物に対する印刷データが、ズレ量を加味しつつ修正されるので、対象物Tに対して情報(図柄D)の印刷を適切に行える。
【0114】
印刷データ生成部412は、生成した印刷データを、入出力ポート43から、ネットワークNTを介して印刷装置2に向けて出力する(ステップS109)。
【0115】
これにより、印刷装置2では、入力された印刷データに基づいて、キャリッジ22の主走査方向Yへの移動、インクジェットヘッド23からのインク滴の吐出、UV照射装置24から照射される紫外線量が制御される。
そして、最終的に、治具3で支持された対象物T各々の表面に、図柄などの情報が印刷される。
【0116】
(7)印刷制御装置4は、
印刷に用いる治具として指定された治具3の治具IDと、テーブル25上に載置された治具3の治具IDとが不一致である場合に、治具IDの不一致を報知する報知部413を有する。
【0117】
このように構成すると、テーブル25上に載置する治具3の置き間違えを防ぐことができる。
さらに、印刷データの作成にあたり、治具情報を参照することで、治具3で支持された対象物Tの各々に、対象物Tの位置を把握した上で、印刷が行われる。これにより、図柄の位置ずれなどを抑えつつ印刷を行うことができる。
【0118】
また、治具データベース422に、治具3各々の治具情報が登録されている。そのため、治具3に付されたバーコードBkを読み取ることで、治具データベース422から治具情報を読み出して、印刷データの生成に利用できる。
【0119】
従来の場合、印刷装置2の作業者の作業手順は、大まかに以下の通りである。(I)印刷で使用する治具3を、複数の治具3の中から見つけてテーブル25上に載置する。(II)載置した治具3上の各開口部31の形状を測定し、治具3の大きさ、治具3における開口部31の配置、各開口部31の形状を規定するデータ(治具情報)を印刷制御装置4に入力する。
これにより、印刷制御装置4が、入力された治具情報を参照して画像データ420から印刷データ423を生成する。
【0120】
そのため、テーブル25上に載置する治具を間違えることや、入力した治具情報に、入力ミスや測定ミスに起因する誤りを含むことがあった。
【0121】
上記のように構成すると、テーブル25上に載置された治具3の識別子が、治具3に付されたバーコードBkの読み取りにより取得できるので、印刷に使用する治具3の誤りの有無を印刷前に確認できる。
また、治具3の治具情報が、治具IDに関連付けて治具データベース422に登録されているので、バーコードBkを読み取るだけで、治具情報を取得できる。これにより、治具3上の各開口部31の形状を測定する作業を省略できる。
【0122】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態にかかる印刷システム1Aの概略構成図である。
図12に示すように、印刷システム1Aは、印刷装置2と、治具3と、印刷制御装置4Aと、カメラ54と、を有する。
印刷システム1Aは、カメラ54を備えるという点において、前記した印刷システム1と相違する。以下においては、前記した印刷システム1と相違する部分を主として説明する。共通する部分については、必要に応じて説明する。
【0123】
図12に示すように、カメラ54は、印刷装置2のテーブル25の上方に配置されている。
前記したように印刷装置2のテーブル25は、副走査方向Xに移動可能である。テーブル25に治具3を載置する際には、テーブル25が副走査方向Xに移動して、カメラ54の直下の位置まで移動する。
【0124】
カメラ54は、テーブル25の全体を、テーブル25上に載置された治具3を含めて撮像可能な位置に配置されている。
カメラ54は、グレースケール画像を出力可能なカメラである。カメラ54による撮像画像は、印刷制御装置4Aに入力される。なお、カメラ54は、二値画像を出力可能なカメラであっても良い。
【0125】
図13は、カメラ54の撮像画像の一例を説明する図である。
図13は、テーブル25に載置された治具3を上方から見たときの撮像画像である。この図13では、対象物Tを支持していない状態の治具3が示されている。
【0126】
テーブル25の上面には、マーカMKが複数設けられている。マーカMKは、テーブル25に載置された治具3の位置を特定するために設けられている。撮像画像には、テーブル25に載置された治具3と共に、マーカMKが含まれる。マーカMKは、テーブル25上での座標が既知であり、マーカMKと治具3との相対的な位置関係に基づいて、テーブル25上での治具3の配置(傾きや位置ずれの有無)が特定できるようになっている。
テーブル25は、治具3よりも明度が低い色を有している。後記する二値化画像において、テーブル25の領域と、治具3の領域を区別可能にするためである。なお、二値化画像は、カメラ54による撮像画像の2値化処理により得られる。
【0127】
図14は、第2実施形態にかかる印刷制御装置4Aの概略図である。
処理部41は、機能ブロックとして、治具情報生成部414と、差異算出部415と、更新部416と、判断部417を、さらに有している。
治具情報生成部414は、テーブル25上に載置された治具3の撮像画像から、治具情報を生成する。治具情報は、治具3のテンプレート情報(サイズ情報、開口数、基本形状)と、開口部情報(各開口部の基準座標、現時点のサイズ)を含んでいる。
【0128】
差異算出部415は、治具3の撮像画像から得られる治具情報と、治具データベース422で規定される治具情報とを比較して、治具3の各開口部の基準位置からのズレ量を算出する。
更新部416は、治具データベース422を更新する。また、更新部416は、テーブル25上に載置された治具3が、治具データベース422に登録されていない新規の治具である場合に、新規の治具の治具情報を、治具データベース422に登録する。
治具情報の新規登録は、治具情報生成部414で取得した治具情報と、新たに割り振られた治具IDとを関連付けて、治具データベース422に登録することで行われる。なお、新規の治具3の基準情報(CADデータ)で規定される治具情報を、治具IDと関連付けて登録しても良い。
判断部417は、治具3の撮像画像から得られる治具情報と、治具データベース422で規定される治具情報との差異(ズレ量)に基づいて、治具3の使用可否を判断する。
【0129】
以下、対象物Tに対する印刷過程での印刷制御装置4Aにおける処理を説明する。
図15は、治具3を用いた対象物Tに対する印刷過程における印刷制御装置4Aでの処理を説明するフローチャートである。
【0130】
前記したように、対象物Tに対する印刷は、同時期に行う印刷の規模に応じて決まる1つの治具3が選択されて、選択された治具3を用いて実施される。選択された治具3は、繰り返し使用される。
治具3の繰り返し使用は、開口部31(図13参照)の歪みや、開口部31の周縁の削れなどを生じる。その結果、治具3は、使用回数の増加に伴い、当初の形状からのズレが大きくなる。
印刷システム1Aの印刷制御装置4Aは、テーブル25上に載置された治具3の撮像画像から、治具3の現時点の治具情報を生成する。そして、印刷制御装置4Aは、生成した治具情報に基づいて、以下を実施する。
(a)治具3の使用可否の判断、(b)印刷装置2に出力する印刷データの生成、(c)治具データベース422の更新。
【0131】
印刷システム1Aでは、対象物Tに対する印刷を行う際に、作業者の入力装置51を介した入力により、印刷条件が指定されて、印刷データが生成される。
具体的には、作業者により、印刷条件が入力される(ステップS301)。そして、治具配置印刷の選択(ステップS302)と、治具配置印刷の選択に伴う治具テンプレートの選択(ステップS303)が行われると、印刷データ生成部412が、印刷データを生成する(ステップS304)。
【0132】
ステップS304において印刷データ生成部412は、治具5で支持された対象物Tに対して印刷するための印刷データを生成する。
【0133】
印刷に用いる治具3が、印刷装置2のテーブル25上に載置されると、治具3に付されたバーコードBkが、ハンディスキャナ53により読み取られる。そうすると、治具3を特定するための治具IDが、治具情報取得部411に入力される(ステップS305、Yes)。
治具IDが入力されると、治具情報取得部411は、治具データベース422を参照して、治具IDに関連付けられた治具情報を取得する(ステップS306)。
【0134】
続いて、カメラ54による撮像が実施されて、治具情報生成部414に撮像画像が入力される(ステップS327)。
治具情報生成部414は、入力された撮像画像の画像処理の2値化処理により、2値化画像を生成する(ステップS308)。
治具情報生成部414は、2値化画像に対するブロブ処理などを行って、撮像画像に含まれる治具3の治具情報(テンプレート情報、開口部情報)を生成する(ステップS309)。ここで、テンプレート情報には、治具のサイズ情報および開口数と、開口部の基本形状を示す情報が含まれる。開口部情報には、各開口部の座標、サイズを示す情報が含まれる。
【0135】
ここで、撮像画像から治具情報の生成までを具体的に説明する。
図16は、撮像画像の処理を説明する図である。なお、図16の(a)、(b)に示す2値化画像では、黒色で表示される領域に交差したハッチングを付している。
撮像画像からの治具情報の生成は、以下の手順にて行われる。
(a)治具情報生成部414が、撮像画像の2値化処理により、2値化画像(モノクロ画像)を生成する(図16の(a)参照)。ここで、入力される撮像画像はグレースケール画像であるので、任意の閾値を基準として、グレースケール画像の各画素を「0」と「1」の何れかに分類することで、2値化画像が生成される。
【0136】
(b)治具情報生成部414が、2値化画像(モノクロ画像)に対するブロブ解析を実施して、治具3の開口部31に相当する領域の位置および範囲を特定する。
本実施形態では、治具3のほうが、テーブル25よりも明度が高い色を有している。そして、治具3に設けた開口部31は貫通孔であるので、2値化画像では、開口部31とテーブル25の領域が「黒」、治具3の開口部31を囲む枠の領域が「白」で表示される(図16の(b)参照)。
【0137】
(c)治具情報生成部414が、エッジフィルタなどを用いて、2値化画像における開口部31の周縁に相当する画素の座標を特定し、治具情報(開口部情報)を生成する。
さらに、治具情報生成部414が、2値化画像における治具3の周縁に相当する画素の座標を特定し、治具情報(テンプレート情報)を生成する。
図16の(b)では、治具3の外形を示すサイズ情報は、治具3の外周に相当する画素を繋いだ連続線Paを規定する。また、開口部31のサイズは、開口部31の周縁に相当する画素を繋いだ連続線Pbを規定する。開口部31の座標は、開口部31の領域の重心や、開口部31の領域の角部(例えば、左上の角部)の位置に基づいて規制される。開口数は、治具3の領域に含まれる開口部の総数から規定される。
【0138】
図16の(b)の場合、治具3の枠相当領域である連続線Paから、治具3の外形を示すサイズ情報が規定される。治具3の枠相当領域内における連続線Pbで囲まれたブロックBKが、開口部相当領域となる。この開口部相当領域の総数から、開口数が規定される。
開口部相当領域を形成する連続線Pbから、各開口部(各ブロックBK)のX-Y平面上での座標から、各開口部の位置(座標)が規定される。連続線PbのX-Y方向の長さ(ドット数)から、開口部のサイズが規定される。
【0139】
図15のフローチャートに戻って、2値化画像から治具情報が生成されると(ステップS309)、差異算出部415が、ステップS306で取得した基準情報424と、ステップS308で生成した治具情報とを比較する(ステップS310)。
【0140】
ここで、治具情報の比較の一例を説明する。
ステップS306で取得した治具情報には、各開口部の基準座標と、サイズを示す情報が含まれている。ステップS308で生成した治具情報にも、各開口部の基準座標と、サイズを示す情報が含まれている。
差異算出部415は、ステップS306で取得した治具情報の各開口部の基準座標およびサイズと、それぞれステップS308で生成した治具情報の各開口部の基準座標およびサイズとの差異を、各開口部31の基準位置からのズレ量として算出する。
本実施形態では、各開口部のズレ量が、X方向と、Y方向の各々について算出される(図8参照)。
【0141】
そして、算出した差異があらかじめ決められた第1閾値範囲内である場合には、差異算出部415が、テーブル25に載置された治具3が使用可能であると判定する。
【0142】
ここで用いる第1閾値は、開口部31の位置ずれや歪みの許容限度を規定する。ズレ量が、この許容範囲を超えると、後記する印刷データの修正では、開口部31の位置ずれや歪みの影響を排除できないことを意味する。
【0143】
ズレ量が第1許容範囲を超えた開口部31では、対象物Tが、本来あるべき位置から外れた位置で保持される。この状態の対象物Tに対して印刷を行うと、図10の(b)、(c)に示すように、印刷後の図柄Dのズレや傾きが大きくなる。その結果、本来あるべき位置で保持された対象物Tに対して印刷を行ったもの(図10の(a)参照)が合格品となるのに対して、図10の(b)、(c)に示すものは不合格となる。
【0144】
本実施形態では、算出したズレ量が、開口部31の位置ずれや歪みの許容限度から外れており、かつ印刷データの修正で対応できない場合は、テーブル25に載置された治具3は使用不可であるとして(ステップS311、No)、エラー報知(ステップS316)を実施する。
【0145】
一例として、報知部413は、治具3が使用不可である文字情報や、治具3の更新を求める文字情報を、出力装置52を構成するディスプレイ上に表示する。
このように、対象物Tに対する印刷の前に、治具3の使用の可否が判断されるので、治具3に、経年劣化や摩耗による変形が生じていた場合に、治具の更新を促すことで、印刷の歩留まり低下を事前に防ぐことができる。
【0146】
一方、テーブル25に載置された治具3が使用可能である場合(ステップS311、Yes)、印刷データ生成部412は、印刷データの修正の要否を判断する(ステップS312)。
印刷データ生成部412は、前記したステップS310で算出した差異が、あらかじめ決められた第2閾値範囲内である場合には、ステップS304で生成した印刷データを修正せずに、印刷装置2に出力する(ステップS314)。
【0147】
一方、印刷データ生成部412は、前記したステップS310で算出した差異が、あらかじめ決められた第2閾値範囲外である場合には、印刷データを修正(ステップS313)したのち、印刷装置2に出力する(ステップS314)。
【0148】
これにより、印刷装置2では、入力された印刷データに基づいて、治具3で支持された対象物T各々の表面に、図柄などの情報が印刷される。
【0149】
図15のフローチャートに戻って、印刷データの出力(ステップS314)が終了すると、更新部416が、治具データベース422(治具情報)を更新する(ステップS315)。
ここで、前記したステップS310で生成されたズレ量は、現時点における治具の形状と、各開口部の形状を反映する。
そのため、更新部416は、治具データベース422において、治具IDに関連づけられた治具情報の各情報項目のうち、ズレ量の項目を少なくとも更新する。
【0150】
例えば、治具IDが「001」である治具の開口1のX方向のズレ量が、「+0.3」であった場合には、開口部31のズレ量(X)の値を、「+0.1」から「+0.3」に修正する。
【0151】
これにより、治具3を用いた印刷が実行される度に、治具3の形状や、各開口部31のサイズ、ズレ量が、現時点の治具3の状態を反映した値に修正される。
よって、治具3を用いた印刷の終了後や開始前に、作業者が、治具3のサイズや、各開口部31のサイズなどを測定して、印刷制御装置4に入力する手間を、省略できるようになっている。
【0152】
さらに、次回以降の印刷において、治具3の現状に即した治具情報を、取得できるようになる。
なお、印刷データの修正の要否を判断して、印刷データの修正が必要ないと判断された場合に、ステップS315の処理をスキップするようにしても良い。
【0153】
このように、対象物Tに対する印刷の開始前に、テーブル25上の治具3の撮像画像の処理により、治具3の開口部31のサイズを含む治具情報を生成する。そして、生成した治具情報と、治具テンプレート421内の治具情報(比較情報)との比較により、治具3の使用の可否を判断する。
よって、図柄などの情報が大きくズレて印刷される可能性がある場合には、治具3の使用不可が報知されるので、印刷不良を持つ対象物の生産を好適に抑制できる。すなわち、印刷時の歩留まりの改善が期待できる。
また、治具3の使用が可能である場合には、現時点の治具情報により規定される開口部の形状などに基づいて、印刷装置2に対する印刷データが修正される。このことによっても、印刷不良を持つ対象物の生産を好適に抑制できる。
【0154】
なお、第2実施形態では、治具3に付されたバーコードBkをハンディスキャナ53で読み取る場合を例示した。
バーコードBkをカメラによる撮像画像に写る位置に配置して、撮像画像からバーコードで規定する識別子の番号を取得するようにしても良い。
この場合には、ハンディスキャナ53を廃止して、ハンディスキャナ53を使用した読み取り作業を省くことができるので、生産効率の向上が期待できる。
【0155】
また、第2実施形態では、治具データベース422内の治具情報(比較情報)と、治具情報生成部414が生成した治具情報との差異に基づいて、印刷データを修正する場合を例示した。
治具テンプレート421内の治具情報(基準情報)と、治具情報生成部414が生成した治具情報との差異に基づいて、印刷データを修正するようにしても良い。
【0156】
第2実施形態では、治具データベース422の参照テーブルに記憶されている治具情報が、印刷の都度、更新されているので、参照テーブルに記憶されている治具情報は、治具情報生成部414が生成した治具情報に次いで新しいものとなる。参照テーブルに記憶されている治具情報と、生成した治具情報との差異を用いることで、印刷データ生成部412が生成した印刷データの修正量が少なくなる。これにより、印刷データの修正に要する時間の短縮が期待できる。
【0157】
図17は、新規の治具の治具情報の生成過程を説明するフローチャートである。
図17に示すように、治具データベース422に登録されていない新規の治具3がテーブルに載置されると(ステップS401、Yes)、カメラ54による撮像が実施されて、治具情報生成部414に撮像画像が入力される(ステップS402)。
【0158】
治具情報生成部414は、入力された撮像画像の画像処理の2値化処理により、2値化画像を生成する(ステップS403)。
治具情報生成部414は、2値化画像に対するブロブ処理などを行って、撮像画像に含まれる治具3の治具情報(テンプレート情報、開口部情報など)を生成する(ステップS404)。
【0159】
更新部416は、新規の治具3に対して生成された治具情報を、新たに割り振られた治具IDとを関連付けて、治具データベース422に登録する(ステップS405)。
【0160】
これにより、新規な治具3を印刷装置2で用いる際に、治具3の形状や、治具3上の開口部31の形状を測定し、印刷制御装置4Aに入力する必要が無い。よって、印刷の準備に要する時間をより短くできる。
すなわち、印刷時の手順が減少するので、作業者への負担が低減される。治具データベース422に登録することで、治具の管理コストの低減も期待できる。
【0161】
以上の通り、第2実施形態にかかる印刷システム1Aは、以下の構成を有している。
(7)印刷システム1Aは、
印刷データを出力する印刷制御装置4Aと、
印刷データに基づいて印刷を実行する印刷装置2と、
印刷装置2のテーブル25上に載置される治具3と、
テーブル25に載置された治具3を撮像するカメラ54と、を有する。
印刷制御装置4Aは、
治具3の撮像画像から、治具3の治具情報を生成する治具情報生成部414と、
印刷データ423と治具情報に基づいて、印刷データを生成する印刷データ生成部412を有する。
【0162】
このように構成すると、印刷装置2の作業者が、印刷に必要な治具情報を、実測して印刷制御装置4Aに入力する必要が無い。テーブル25に載置された治具3の撮像で得られた撮像画像の処理により、治具情報が生成される。
テーブル25上に載置された治具3の治具情報を、人の手を介さずに、印刷制御装置4A側で取得できる。よって、印刷データの生成に必要な治具情報を簡便に取得できる
【0163】
(8)治具3は、複数用意されている。
治具3の各々に、治具3を識別するための治具ID(識別子)が付されている。
印刷制御装置4Aは、
テーブル25上に載置された治具3の治具IDに基づいて、テーブル25上に載置された治具3の治具情報を取得する治具情報取得部411と、
治具情報生成部414が生成した治具情報と、治具情報取得部411が取得した治具情報との差異を算出する差異算出部415と、を有する。
印刷データ生成部412は、差異に基づいて印刷データを修正する。
【0164】
印刷装置2において治具3は、繰り返し使用される。そのため、治具3の形状は、経時的に変化する。その結果、治具3は、使用回数の増加に伴い、当初の形状からのズレが大きくなる。
上記ように構成すると、治具3の形状の経時的な変化が差異として現れるので、差異に基づいて印刷データを修正することで、対象物Tでの印刷のズレを抑制できるようになる。
また、治具3で支持された対象物Tの位置ずれ(水平方向への変位)だけでなく、回転(水平線回りの回転)にも対処できる。
これにより、印刷時の歩留まりの改善が期待できる。
【0165】
(8)治具情報取得部411が取得した治具情報と、治具情報生成部414が生成した治具情報との差異に基づいて、治具3の使用の可否を判断する判断部417を有する。
【0166】
治具3が繰り返し使用されると、当初の形状からのズレが大きくなる。治具情報取得部411が取得した治具情報と、治具情報生成部414が生成した治具情報との差異が大きい場合には、印刷データの修正だけでは、対象物での印刷のズレを抑制できない可能性もある。
そのため、対象物での印刷のズレを抑制できるか否かを判定するための閾値(第1閾値)を設けて、差異が閾値を超えた場合には、治具3の使用中止を判断する。
これにより、対象物での印刷のズレを抑制できない治具の使用を排除できるので、印刷時の歩留まりの改善が期待できる。
【0167】
(9)印刷制御装置4Aは、
治具情報を記憶する記憶部42を有する。
記憶部42には、治具IDと治具3との対応関係を規定する参照テーブルが記憶されている。参照テーブルでは、開口部31の情報(テンプレート情報、開口部情報)を含む治具情報が、治具IDに関連付けて登録されている。
治具情報取得部411は、治具IDに関連付けられた治具情報を、記憶部42の参照テーブルから取得する。
【0168】
このように構成すると、治具3に付された治具IDを取得するだけで、開口部31の情報(テンプレート情報、開口部情報)を含む治具情報を取得できるので、印刷の準備に要する時間をより短くできる。
【0169】
(10)印刷制御装置4Aは、
記憶部42に記憶された治具情報を、治具情報生成部414が生成した治具情報に更新する更新部416を有する。
【0170】
このように構成すると、テーブル25に載置された治具3を撮像するだけで、載置された治具3の治具情報の更新と、生成した治具情報に基づく印刷データの修正を行える。
これにより、印刷の準備に要する時間をより短くできる。対象物Tに対する印刷における歩留まりの改善が期待できる。
【0171】
(11)治具情報生成部414は、テーブル25上に新規の治具が載置された際に、新規の治具の撮像画像から、治具情報を生成する。
更新部416は、取得した新規の治具情報を、新たな識別子と関連付けて、記憶部42の参照テーブルに登録する。
【0172】
このように構成すると、新規な治具3を印刷装置2で用いる際に、作業者が、治具3の形状や、治具3上の開口部31の形状を測定し、印刷制御装置4Aに入力する必要が無い。
よって、印刷の準備に要する時間をより短くできる。また、作業者が開口部31の形状を測定する場合には、測定ミスや、測定した形状データを印刷制御装置に入力するときに入力ミスが起こる可能性がある。上記のように、撮像画像から、形状データを含む治具情報が生成されて、参照テーブルに登録されるので、参照テーブルに登録された治具情報の精度が向上する。また、精度が高い治具情報を考慮して、印刷データが生成されるので、印刷における歩留まりの改善が期待できる。
また、治具3の撮像だけで、治具情報を生成できるので、従来のよう治具情報を生成するために行う治具の形状測定を必要としない。よって、治具の数が多くなっても、治具情報を登録しておくことが可能になる。
【0173】
(13)治具情報生成部414は、治具3の撮像画像から、治具IDの情報を取得する。
【0174】
このように構成すると、ハンディスキャナ53を廃止して、ハンディスキャナ53を使用した読み取り作業を省くことができるので、生産効率の向上が期待できる。
【0175】
(14)治具3には、印刷の対象物Tの支持領域となる開口部31が設けられている。
開口部31の情報(開口部情報)には、開口部31の基準からのズレ量が含まれる。
【0176】
開口部31の基準からのズレ量は、X-Y座標における基準サイズからのズレ量(ズレ量(X)、ズレ量(Y))である。
上記のように構成すると、治具情報を参照することで、開口部31の基準からのズレ量が判るので、印刷を実施する前に、治具3上の各開口部31の形状を測定し、印刷制御装置4Aに入力する必要が無い。
よって、印刷の準備に要する時間をより短くできる。また、開口部31の形状を測定する際の測定ミスや、測定した情報を印刷制御装置4Aに入力する際の入力ミスが起こる可能性を低減できる。これにより、測定ミスや入力ミスに起因する印刷ミスの発生可能性を低減できる。よって、対象物Tに対する印刷における歩留まりの改善が期待できる。
【0177】
(15)印刷データ生成部412は、
印刷データ423から印刷データを生成すると共に、開口部31の基準からのズレ量を参照して、印刷データを修正する。
【0178】
開口部31に支持された対象物Tに印刷を行うので、X-Y座標における基準サイズからのズレ量(ズレ量(X)、ズレ量(Y))は、対象物Tの配置を示す情報として利用できる。
印刷データを作成する際に、治具3上における対象物Tの配置を考慮することで、対象物Tでの印刷のズレを抑制できるようになる。これにより、印刷時の歩留まりの改善が期待できる。
【0179】
(16)印刷時に使用する治具3の治具IDと、テーブル25上に載置された治具3の治具IDとが不一致である場合に、治具IDの不一致を報知する報知部413を有する。
【0180】
このように構成すると、テーブル25上に載置する治具3の置き間違えを防ぐことができる。
【0181】
[変形例2]
図18は、第2実施形態にかかる印刷制御装置4Aにおける処理の変形例を説明する図である。
前記した第2実施形態では、印刷データの生成後に、印刷データの修正の要否を判断する場合を例示した。
変形例2では、印刷制御装置4が、テーブル25上に載置された治具3の適否を確認した上で、印刷データを生成する。
【0182】
図18に示すように、作業者により、印刷条件が入力される(ステップS501)。そして、治具配置印刷の選択(ステップS502)と、治具配置印刷の選択に伴う治具テンプレートの選択(ステップS503)が行われると、治具情報取得部411が、印刷に使用する治具3の情報(治具情報)を、出力装置52のディスプレイ上に表示させる(ステップS504)。
【0183】
ステップS503における治具テンプレートの選択により、印刷に用いられる治具が決定される。治具テンプレートの選択に伴い、印刷に用いられる治具の治具IDもまた、決定される。そのため、決定された治具IDが、治具情報取得部411により、出力装置52上に表示される(ステップS504)。
【0184】
これにより、印刷装置2の作業者が、次の印刷で用いる治具3を特定できることになる。
印刷に用いる治具3が、印刷装置2のテーブル25上に載置されると、治具3に付されたバーコードBkが、ハンディスキャナ53により読み取られる。そうすると、バーコードにより特定される治具IDが、治具情報取得部410に入力される(ステップS505、Yes)。
【0185】
治具IDが入力されると、治具情報取得部410は、治具テンプレートの選択に伴って使用が決定された治具の治具IDと、ハンディスキャナ53から入力された治具IDとが一致するか否かを確認する(ステップS506)。
【0186】
治具IDが一致しない場合(ステップS506、No)、報知部413が、治具IDが不一致であることを報知(エラー報知)する(ステップS517)。
治具IDが一致する場合(ステップS506、Yes)、治具情報取得部410は、治具IDに基づいて、治具データベース422を参照する。そして、治具情報取得部410は、治具IDに関連付けられた治具情報を取得する(ステップS507)。
【0187】
以下の処理(ステップS508~ステップS517)は、前記した図15の処理(ステップS307~S316)と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0188】
このように構成することによっても、テーブル25上に載置された治具3の識別子が、治具3に付されたバーコードBkの読み取りにより取得できるので、印刷に使用する治具3の誤りの有無を印刷前に確認できる。
また、治具3の治具情報が、治具IDに関連付けて治具データベース422に登録されているので、バーコードBkを読み取るだけで、治具情報を取得できる。これにより、治具3上の各開口部31の形状を測定する作業を省略できる。
【0189】
本願発明は、上記した実施の形態の態様に限定されるものではなく、本願発明の技術的な思想の範囲内で適宜変更可能である。
上記した第1実施形態と第2実施形態を組み合わせて運用する印刷システムであっても良い。
【符号の説明】
【0190】
1、1A 印刷システム
2 印刷装置
21 ガイドレール
22 キャリッジ
23 インクジェットヘッド
231 インク吐出面
24 UV照射装置
25 テーブル
3 治具
30 基部
31 開口部
4、4A 印刷制御装置
41 処理部
411 治具情報取得部
412 印刷データ生成部
413 報知部
414 治具情報生成部
415 差異算出部
416 判断部
417 更新部
42 記憶部
420 画像データ
421 治具テンプレート
422 治具データベース
423 印刷データ
43 入出力ポート
44 バス
51 入力装置
52 出力装置
53 ハンディスキャナ
54 カメラ
55 外部サーバ
Bk バーコード
D 図柄
T 対象物
W 幅
Wb 離間距離
Wa 離間距離
X 副走査方向
Y 主走査方向
Z 鉛直線方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18