特開 2023-154676 可動シンカーを備える横編機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023154676

(43)【公開日】2023-10-20

(54)【発明の名称】可動シンカーを備える横編機

(51)【国際特許分類】

   D04B 15/06 20060101AFI20231013BHJP

【ＦＩ】

D04B15/06 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022064174

(22)【出願日】2022-04-07

(71)【出願人】

【識別番号】000151221

【氏名又は名称】株式会社島精機製作所

(72)【発明者】

【氏名】宮本 昌紀

【テーマコード（参考）】

4L054

【Ｆターム（参考）】

4L054AA01

4L054AB02

4L054AB09

4L054KA23

4L054NA07

(57)【要約】

【課題】 ファインゲージになっても、可動シンカーのシンカーストロークの切換えを安定して行うことが可能な、可動シンカーを備える横編機を提供する。
【解決手段】 可動シンカーを備える横編機１は、１Ｘ１の針抜き編成に使用する。可動シンカー６と制御爪７とは、編針間に、１本おきに配置する。針抜き編成では、第一編針３を使用し、不使用となる第二編針４に対して、可動シンカー６は、羽根４ｂが無い側方に配置して、羽根４ｂ側には配置しない。制御爪７は、可動シンカー６の尾部を係止する位置を揺動で切換えてシンカーストロークを換える。制御爪７の揺動の軸となるワイヤー８は、針床２の長手方向に挿通される。ワイヤー８は、第二ニードルプレート２２の尾部側に設けるワイヤー支持部２２ａで支持する。制御爪７の厚さを大きくすることができるので、制御爪７の剛性を高めるとともに、揺動を安定に行わせることができる。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

針床の長手方向に並設されるニードルプレート間に形成される針溝に編針を収容し、
ニードルプレートに、
可動シンカーを揺動可能に支持するシンカー支持部を部分的な切除で、および
可動シンカーを収容する薄肉部を該長手方向の一方側からの板厚の減少で、
それぞれ設け、
可動シンカーの尾部側に配置する制御爪を可動シンカーの尾部に作用させて、針床の歯口側に臨む可動シンカーの先端部が進退するシンカーストロークの切換えが可能な、
可動シンカーを備える横編機において、
編針は、当該針床に属する編地の編成に使用する第一編針と該編地の編成に不使用となる第二編針とが、予め針床の長手方向に関して交互となる１Ｘ１の針抜き編成で使用され、
該長手方向の一方から他方に向かって、
第一編針と第二編針との間に配置され、シンカー支持部および薄肉部が設けられて可動シンカーを収容し、薄肉部の尾部側が制御爪を収容する空間に臨む形状を有する第一ニードルプレートと、
第一ニードルプレート薄肉部に収容される可動シンカーに隣接する第二編針と、該第二編針に対して次に隣接している第一編針との間に配置され、第一ニードルプレートで薄肉部の尾部側が臨む空間に対応する部分に、制御爪の揺動軸となるワイヤーを支持するワイヤー支持部が設けられる第二ニードルプレートと、
が交互に配置される、
ことを特徴とする可動シンカーを備える横編機。

【請求項2】

前記可動シンカーは、第一ニードルプレートのみに設けられ、薄肉部に収容され、シンカー支持部で揺動可能に支持される、
ことを特徴とする請求項１記載の可動シンカーを備える横編機。

【請求項3】

前記第二ニードルプレートは、前記第一ニードルプレートの前記薄肉部および前記シンカー支持部を含む歯口側部分が欠如する形状を有する、
ことを特徴とする請求項２記載の可動シンカーを備える横編機。

【請求項4】

前記制御爪は、前記可動シンカーの板厚よりも、前記長手方向の厚みが大きい、
ことを特徴とする請求項１から３までのいずれか一つに記載の可動シンカーを備える横編機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、新たな編目形成時にシンカーループを形成し、ばね付勢で旧編目を押下げる際のシンカーストロークも切換え可能な、可動シンカーを備える横編機に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、横編機での編目形成は、歯口に進退する編針が編糸を引込むニードルループと、歯口に臨むシンカーに編糸が掛かることによるシンカーループとの二つのループを形成することで行われている。シンカーを可動式にすれば、新たな編目を形成する際に編針から離脱する旧編目を、歯口下方に押込む機能を持たせることもできる。可動シンカーを備える横編機では、使用する編糸の性状などに応じて、シンカーのシンカーストロークを大小に切換え可能にしているものもある（たとえば、特許文献１参照）。

【0003】

横編機の編針は、針床に並ぶ針溝に沿って、先端のフックが歯口に進退して編目形成を行う。針溝は、針床の基板に並設される板状のニードルプレート間に形成される。特許文献１では、ニードルプレート間で編針１本に対して、その一側方に可動シンカーと制御爪（特許文献１では保持部材）とが一対で配置される。可動シンカーと制御爪とは、ニードルプレートを針床の長手方向となる厚み方向に加工して形成する薄肉部に同位相となるように収めている。このような可動シンカーを備える横編機では、針床の長手方向に沿って、ニードルプレート、可動シンカーおよび制御爪、ヤーンガイドスペーサー、ニードルスペーサー、ニードルプレートの積層順で、各部材が配置される。特許文献１のようなシンカーストロークの切換えは、薄肉部で歯口から遠ざかる尾部側に収容する制御爪を使用して行われる。制御爪は、針床の長手方向に挿通するピアノ線を軸として揺動し、可動シンカーの尾部に係合する。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特許第４０１６０２８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

横編機で細かな編目を得るためには、細い編糸を使用することが必要になる。細かな編目を細い糸で編成するためには、各部材の板厚を薄くして、針床の長手方向に沿っての編針の配列ピッチを小さくするファインゲージ化が必要となる。また、前後で対向する一対の針床を備える横編機で筒状編地を編成するためには、一方の針床に属する編地の編成に使用する編針と該編地の編成に不使用となる編針とが、予め針床の長手方向に関して交互となるように配置される１Ｘ１の針抜きに編成も行われる。不使用の編針は、他方の針床に属する編地の編成での目移しなどに利用する。ファインゲージになるほど、各部材の板厚を薄くしてもスペース面で配置が困難になる。各部材の厚みを薄くすると、各部材の剛性も低下する。特に可動シンカーのシンカーストロークを切換えるために用いる制御爪は、板厚が薄くなるほど、カムでの制御や可動シンカーと係合する保持などの作用が不安定で困難になる。

【0006】

本発明の目的は、ファインゲージになっても、可動シンカーのシンカーストロークを安定して切換えることが可能な、可動シンカーを備える横編機を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、針床の長手方向に並設されるニードルプレート間に形成される針溝に編針を収容し、
ニードルプレートに、
可動シンカーを揺動可能に支持するシンカー支持部を部分的な切除で、および
可動シンカーを収容する薄肉部を該長手方向の一方側からの板厚の減少で、
それぞれ設け、
可動シンカーの尾部側に配置する制御爪を可動シンカーの尾部に作用させて、針床の歯口側に臨む可動シンカーの先端部が進退するシンカーストロークの切換えが可能な、
可動シンカーを備える横編機において、
編針は、当該針床に属する編地の編成に使用する第一編針と該編地の編成に不使用となる第二編針とが、予め針床の長手方向に関して交互となる１Ｘ１の針抜き編成で使用され、
該長手方向の一方から他方に向かって、
第一編針と第二編針との間に配置され、シンカー支持部および薄肉部が設けられて可動シンカーを収容し、薄肉部の尾部側が制御爪を収容する空間に臨む形状を有する第一ニードルプレートと、
第一ニードルプレートの薄肉部に収容される可動シンカーに隣接する第二編針と、該第二編針に対して次に隣接している第一編針との間に配置され、第一ニードルプレートで薄肉部の尾部側が臨む空間に対応する部分に、制御爪の揺動軸となるワイヤーを支持するワイヤー支持部が設けられる第二ニードルプレートと、
が交互に配置される、
ことを特徴とする可動シンカーを備える横編機である。

【0008】

また本発明で、前記可動シンカーは、第一ニードルプレートのみに設けられ、薄肉部に収容され、シンカー支持部で揺動可能に支持される、
ことを特徴とする。

【0009】

また本発明で、前記第二ニードルプレートは、前記第一ニードルプレートの前記薄肉部および前記シンカー支持部を含む歯口側部分が欠如する形状を有する、
ことを特徴とする。

【0010】

また本発明で、前記制御爪は、前記可動シンカーの板厚よりも、前記長手方向の厚みが大きい、
ことを特徴とする。

【発明の効果】

【0011】

本発明によれば、第一ニードルプレートと第二ニードルプレートとは、交互に配置される。第一ニードルプレートは、可動シンカーを収容する薄肉部の尾端側を空間にして、揺動して可動シンカーのシンカーストロークを切換える制御爪を収容する。制御爪の揺動の軸となるワイヤーは、第二ニードルプレートで支持する。第一ニードルプレートは、薄肉部を設けて制御爪を収容したり、ワイヤー支持部を設けたりする必要はない。ファインゲージになって、ニードルプレートの板厚が小さくなっても、可動シンカーのシンカーストロークの切換えを安定して行うことが可能となる。

【0012】

また本発明によれば、針床に属する編地の編成に使用する第一編針と不使用の第二編針とが交互に配置される１Ｘ１の針抜き編成で、使用する可動シンカーの配置も一つおきにして、シンカーストロークの切換えを安定させることができる。

【0013】

また本発明によれば、第二ニードルプレートは、第一ニードルプレートで必要な、薄肉部およびシンカー支持部を含む歯口側部分の加工を不要とすることができる。

【0014】

また本発明によれば、制御爪は、ワイヤーの挿通による支持幅を大きく確保することができ、制御爪の剛性を高めるとともに、揺動を安定に行わせることができる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】図１は、本発明の一実施例である可動シンカーを備える横編機１の針床２での部品配置を模式的に示す平面図である。

【図2】図２は、図１の可動シンカーを備える横編機１で可動シンカー６およびその周囲の構成を示す側面断面図である。

【図3】図３は、図２に示す可動シンカー６および制御爪７の動作を示す簡略化した側面図である。

【図4】図４は、図1に示す第一ニードルプレート２１および第二ニードルプレート２２の側面図である。

【図5】図５は、図１に示す第一ヤーンガイドスペーサー３１および第二ヤーンガイドスペーサー３２の側面図である。

【発明を実施するための形態】

【0016】

以下、図１から図５は、本発明の一実施例としての可動シンカーを備える横編機１の構成を示す。各図で対応する部分は，同一の参照符を付して示し、重複する説明を省略する場合がある。また説明の便宜上、図示を省略する部分がある。

【実施例0017】

図１は、本発明の一実施例である可動シンカー６を備える横編機１の針床２での部品配置を模式的に示す。可動シンカー６を備える横編機１は、図の横方向となる針床２の長手方向に、当該針床２に属する編地の編成に使用する第一編針３と不使用の第二編針４とが交互に配置され、１Ｘ１の針抜き編成専用で使用する。針床２は、図の縦方向となる前後方向に、歯口５を挟むように一対が配置される。各針床２に属する編地を、前後で編成方向を切換えながら編幅の両側で前後の針床２に属する編地を連結するように編成すれば、筒状の編地を編成することができる。１Ｘ１の針抜き編成は、対向する針床２の不使用の第二編針４を利用して、目移しを伴う編成や、裏目の編成を行うことができる。本実施例では、編針の密度を１インチ（２５．４ｍｍ）当たり２４本としている。したがって、針床２に配置する部品は、針床２の長手方向となる厚みが１ｍｍ以下となるものが多いけれども、図示の便宜上、厚みについては誇張して示す。

【0018】

可動シンカー６を備える横編機１では、使用する第一編針３も不使用の第二編針４も、基本的に同等である。第一編針３および第二編針４は、歯口５に臨む先端にフック３ａ，４ａを有し、フック３ａ，４ａよりも基端側に離れた針幹の側方に、目移し用の羽根３ｂ，４ｂを有する。本実施例の可動シンカー６を備える横編機１は、可動シンカー６と制御爪７とを、１本おき、たとえば、可動シンカー６は、第一編針３の羽根３ｂ側のみに配置して、羽根３ｂが無い側方には配置しない。第二編針４に対して、可動シンカー６は、羽根４ｂが無い側方に配置して、羽根４ｂ側には配置しない。制御爪７は、可動シンカー６の尾部を係止する位置を揺動で変えて、シンカーストロークの切換えが可能である。制御爪７の揺動の軸となるワイヤー８は、針床２の長手方向に挿通される。制御爪７は、ワイヤー８を挿通させ、ワイヤー８の支持を受けるワイヤー孔７ｃを有する。針床２は、基板２０に第一ニードルプレート２１と第二ニードルプレート２２とが交互に配置される。第一ニードルプレート２１と第二ニードルプレート２２との間は針溝となり、第一編針３と第二編針４とが交互に収容される。第一ニードルプレート２１の尾部側は制御爪７を収容する空間となり、ワイヤー８は、第二ニードルプレート２２の尾部側に設けるワイヤー支持部２２ａで支持する。制御爪７は、可動シンカー６の板厚よりも、長手方向の厚みが大きい。制御爪７の厚さを可動シンカー６の板厚よりも大きくするので、制御爪７の剛性を高めることができる。また、制御爪７は、ワイヤー孔７ｃへのワイヤー８の挿通による支持幅を大きく確保することができ、ワイヤー８を軸とする揺動を安定に行わせることができる。

【0019】

第一ニードルプレート２１と第二編針４との間には、第一ヤーンガイドスペーサー３１が配置される。第二ニードルプレート２２と第一編針３との間には、第二ヤーンガイドスペーサー３２が配置される。第一ヤーンガイドスペーサー３１は歯口５に臨む先端に、編糸脱落防止部３１ａを有するけれども、第二ヤーンガイドスペーサー３２は編糸脱落防止部を有しない。第一ヤーンガイドスペーサー３１の編糸脱落防止部３１ａは、可動シンカー６の右側から、第二編針４、第二ヤーンガイドスペーサー３２および第一編針３の下方を通り、次の可動シンカー６の左側まで、２つの針溝を横断する。第一ヤーンガイドスペーサー３１や第二ヤーンガイドスペーサー３２にそれぞれ隣接してニードルスペーサーが設けられる。ただし、ニードルスペーサーの図示は省略する。ニードルスペーサーは、針溝で、第一編針３や第二編針３の上方の隙間を埋める。

【0020】

図２は、図１の可動シンカー６を備える横編機１で可動シンカー６およびその周囲の構成を示す。第一編針３は、フック３ａが歯口５に進退するように、図の横方向に移動する。第二編針４も同様に移動する。これらの編針の移動について、図では水平となるように記載しているけれども、実際の横編機では、歯口５側が高くなるように傾斜している。可動シンカー６は、歯口５側の先端に設ける先端腕６ａと、揺動支点部６ｂと、尾端腕６ｃとを有する。先端腕６ａには、編目形成時に編糸が掛かってシンカーループを形成する編糸掛部６ｄと、編目形成時にノックオーバーされる旧編目を歯口５の下方に押込む編目押込部６ｅを備える。可動シンカー６は、第一ニードルプレート２１に設けられる薄肉部２１ａに収容され、シンカー支持部２１ｂで支持される揺動支点部６ｂを中心として先端腕６ａが歯口５に進退するように揺動する。薄肉部２１ａは、図の手前側から奥側で、針床２に対しては長手方向の片側から板厚を減少させて形成される。シンカー支持部２１ｂは、第一ニードルプレート２１の部分的な切除で、半円状の孔として形成される。可動シンカー６の揺動は、ばね９で付勢される。本実施例のばね９は、可動シンカー６と別体であるけれども、一体化することもできる。ばね９による付勢で編目押込部６ｅが旧編目を押込むシンカーストロークは、制御爪７の段部７ａと可動シンカー６の尾端腕６ｃとの係合によって切換えられる。この切換えは、制御爪７に設けるバット７ｂに、針床２の長手方向に走行するキャリッジに搭載されるカム（図示は省略）を作用させて行う。可動シンカー６は、第一ニードルプレート２１と第一ヤーンガイドスペーサー３１との間に挟まれ、第一ヤーンガイドスペーサー３１の尾部に設ける突起３１ｂで切換え状態を保持させる。

【0021】

図３は、図２に示す可動シンカー６および制御爪７の動作を簡略化して示す。図３（ａ）は、制御爪７の段部７ａの下側で可動シンカー６の尾端腕６ｃを係止し、シンカーストロークを小さくしている状態を示す。図３（ｂ）は、制御爪７の段部７ａの上側で可動シンカー６の尾端腕６ｃを係止し、シンカーストロークを大きくしている状態を示す。本実施例では、制御爪７によるシンカーストロークの切換えは２段階であるけれども、段部７ａの形状を変えて段の数を増やせば、切換えの段数を増やすこともできる。

【0022】

図４は、図1に示す第一ニードルプレート２１および第二ニードルプレート２２の形状を示す。第一ニードルプレート２１は、第一編針３と第二編針４との間に配置され、シンカー支持部２１ｂおよび薄肉部２１ａが設けられて可動シンカー６を収容し、薄肉部２１ａの尾部側が制御爪７を収容する空間に臨む形状を有する。第二ニードルプレート２２は、第一ニードルプレート２１の薄肉部２１ａに収容される可動シンカー６に隣接する第二編針４と、その第二編針４に対して次に隣接している第一編針３との間に配置される。第二ニードルプレート２２は、第一ニードルプレート２１の薄肉部２１ａの尾部側が臨む空間に対応する部分に、制御爪７の揺動軸となるワイヤー８を支持するワイヤー支持部２２ａが設けられる。また本実施例の第二ニードルプレート２２は、第一ニードルプレート２１の薄肉部２１ａに相当する部分およびシンカー支持部２１ｂを含む歯口側部分も欠如されている形状を有する。第二ニードルプレート２２の形状は、欠如される部分が大きくなるので、スペースを広げることができる。

【0023】

図５は、図１に示す第一ヤーンガイドスペーサー３１および第二ヤーンガイドスペーサー３２の形状を示す。第一ヤーンガイドスペーサー３１は、歯口側の先端に編糸脱落防止部３１ａを有し、歯口から離れる尾端側に突起３１ｂを有する。第二ヤーンガイドスペーサー３２は、歯口側の先端から離れながら下方に延びて、第二ニードルプレート２２の先端部の上面で支持される突出部３２ａを有する。

【0024】

以上説明したように、本実施例の可動シンカー６を備える横編機１は、第一編針３と第二編針４とが交互に並ぶ１Ｘ１の針抜き編成で使用し、編針間に立設するニードルプレートも、第一ニードルプレート２１と第二ニードルプレート２２とを交互に配置する。第一ニードルプレート２１は、可動シンカー６を収容する薄肉部２１ａの尾端側が空間となる形状を有し、この空間に可動シンカー６のシンカーストロークを切換える制御爪７が配置される。制御爪７の揺動軸となるワイヤー８は、第二ニードルプレート２２に設けられるワイヤー支持部２２ａで支持されるので、第一ニードルプレート２１は、板厚を薄くして制御爪７を収容する空間を設けたり、ワイヤー支持部を設けたりする必要はない。ファインゲージになって、ニードルプレートの板厚が小さくなっても、制御爪７の板厚を大きくすることができ、制御爪７による可動シンカー６のシンカーストロークの切換えを安定して行うことが可能となる。

【0025】

なお、第二ニードルプレート２２は、薄肉部やシンカー支持部を設ければ、可動シンカーを収容することもできる。ただし、第二ニードルプレート２に収容する可動シンカーは、制御爪を作用させてシンカーストロークを切換えるようにすることはできない。本実施例のように、第二ニードルプレート２２は、可動シンカーを収容しないようにすれば、薄肉部およびシンカー支持部を含む歯口側部分の加工を不要とすることができる。

【符号の説明】

【0026】

１ 可動シンカーを備える横編機
２ 針床
３ 第一編針
３ａ，４ａ フック
３ｂ，４ｂ 羽根
４ 第二編針
５ 歯口
６ 可動シンカー
６ａ 先端腕
６ｂ 揺動支点部
６ｃ 尾端腕
６ｅ 編目押込部
７ 制御爪
７ａ 段部
７ｃ ワイヤー孔
８ ワイヤー
２１ 第一ニードルプレート
２１ａ 薄肉部
２１ｂ シンカー支持部
２２ 第二ニードルプレート
２２ａ ワイヤー支持部
３１ 第一ヤーンガイドスペーサー
３１ａ 編糸脱落防止部
３２ 第二ヤーンガイドスペーサー

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】