(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154684
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】建設現場用の帳票作成システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20231013BHJP
G06Q 10/20 20230101ALI20231013BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064185
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】依田 篤士
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 靖昌
(72)【発明者】
【氏名】池内 一成
(72)【発明者】
【氏名】本田 健
(72)【発明者】
【氏名】上田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小野 久美子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
5L049CC07
(57)【要約】
【課題】信頼性を維持しつつ、低コストで実現できる、建設現場用の帳票作成システムを提供する。
【解決手段】帳票作成システムは、複数の情報端末間でのメッセージの送受信を繰り返すことで帳票を作成する。情報端末は、ウェブアプリケーションとして提供される端末情報処理部23を備える。端末情報処理部23は、メッセージをサーバ5に送信するに際し、情報端末とサーバ5との通信状態を確認し、通信状態が遮断されている場合に、メッセージ内に画像情報または音声情報が含まれていれば、これらを文字列データに変換して一時保存メッセージを作成し、一時保存メッセージをローカルストレージ234に保存し、通信状態が疎通していることが確認されると、文字列データを画像情報または音声情報に逆変換して一時保存メッセージからメッセージを復元し、メッセージをサーバ5へと送信する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報端末間でのメッセージの送受信を、サーバを介して繰り返すことで帳票を作成する、建設現場用の帳票作成システムであって、
前記帳票は、前記建設現場での工事記録及び改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票を含み、
前記複数の情報端末の各々は、
前記メッセージ及び前記帳票を表示する情報表示部と、
当該情報端末が有する音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に、前記メッセージを作成する端末情報処理部と、
前記端末情報処理部により制御されて、前記メッセージを前記サーバに送信し、前記サーバから作成された前記帳票を受信するデータ送受信部を備え、
前記端末情報処理部は、ウェブアプリケーションとして提供され、
前記サーバは、
前記複数の情報端末から前記メッセージを取得する情報取得部と、
前記メッセージに基づいて前記帳票を作成する情報処理部と、
前記メッセージ及び前記帳票を保管するデータ蓄積部と、
を備えており、
前記端末情報処理部は、前記データ送受信部により前記メッセージをサーバに送信するに際し、
前記情報端末と前記サーバとの通信状態を確認し、前記通信状態が遮断されている場合に、前記メッセージ内に前記画像情報または前記音声情報が含まれていれば、これらを文字列データに変換して一時保存メッセージを作成し、当該一時保存メッセージをローカルストレージに保存し、
前記通信状態が疎通していることが確認されると、前記文字列データを前記画像情報または前記音声情報に逆変換して前記一時保存メッセージから前記メッセージを復元し、前記メッセージを前記サーバへと送信することを特徴とする建設現場用の帳票作成システム。
【請求項2】
前記端末情報処理部は、前記データ送受信部により前記メッセージをサーバに送信するに際し、前記通信状態が遮断されている場合に、
前記メッセージに前記画像情報が含まれていれば前記画像情報とともに前記メッセージを表示して、通信の失敗に関する警告を表示し、
前記ローカルストレージの使用量と空き容量を表示し、前記空き容量が作成した前記一時保存メッセージよりも小さければ、既に前記ローカルストレージに保存されている前記一時保存メッセージを、当該一時保存メッセージに前記画像情報が含まれていれば前記画像情報とともに表示して、空き容量の不足に関する警告を表示し、
前記端末情報処理部は、前記通信状態が疎通していることが確認されると、前記一時保存メッセージから前記メッセージを復元し、前記メッセージを前記サーバへと送信した後に、前記ローカルストレージ内の前記一時保存メッセージを削除して、前記通信の失敗に関する警告及び前記空き容量の不足の警告を非表示とする
ことを特徴とする請求項1に記載の建設現場用の帳票作成システム。
【請求項3】
前記端末情報処理部は、前記データ送受信部により前記メッセージを前記サーバに送信するに際し、前記通信状態が遮断されている場合において、一定時間が経過した後、または前記情報端末の位置が変化した際に、前記情報端末と前記サーバとの通信状態を再確認し、前記通信状態が疎通していることが確認されると、前記メッセージを復元して前記サーバへと送信し、
前記ローカルストレージの空き容量が閾値以下の場合は、前記情報表示部に機能の一時停止を表示し、空き容量が前記閾値以上の場合は正常状態であることを表示することを特徴とする請求項1または2に記載の建設現場用の帳票作成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報端末間でのメッセージの送受信を、サーバを介して繰り返すことで帳票を作成する、建設現場用の帳票作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等においては、現場監督や現場の安全管理者(以下、これを現場責任者と称する)から現場の作業担当者に対し、各種の作業指示、確認や対応が必要な事項の指摘等、各種のリクエストがなされている。作業担当者は、リクエストの内容に基づいた作業や業務を実施した後、現場責任者に、リクエストに対応した作業や業務を実施したことを報告している。これらのリクエスト、及びリクエストに対する対応内容は、現場責任者側と作業者担当者側の双方により、日報等の帳票に記録されている。つまり、日報等の帳票には、現場責任者側と作業者担当者側とのやりとりが記録されている。
このような帳票を自動で生成することが望まれている。例えば、特許文献1には、テキスト情報を端末に入力すると、入力されたテキスト情報に対応するキーワードを抽出し、情報が入力される複数の入力項目の中から一つの入力項目を特定し、特定された入力項目に、抽出されたキーワードを入力する構成が開示されている。特許文献1のような構成を、建設現場での帳票の自動生成に応用することが考えられる。
このような、建設現場での帳票の自動生成に関し、特許文献2には、工事現場における対象部の是正前情報と、是正前の対象部の是正前映像データと、を紐付けて指導書に記録し、是正後情報と、是正後の対象部を撮影して得られた是正後映像データと、を紐付けて報告書に記録する構成が開示されている。このような構成において、是正前情報、是正前映像データ、是正後情報、是正後映像データは、携帯情報端末を用いて記録される。
また、特許文献3には、情報端末を用いたメッセージのやりとりを、サーバを介して繰り返すことで帳票を作成する建設現場用の帳票作成システムの構成が開示されている。
【0003】
特許文献1~3に記載されたような構成では、いずれも、スマートフォンやタブレット端末等の情報端末が用いられている。このような情報端末は、複数のメーカーから市販されており、搭載されるOS(オペレーティングシステム)も複数種存在する。上記したような構成のシステムを実現するには、情報端末側の処理が複数種のOS上で動作するように製作しなければならず、OSの数に依存して開発コストがかさむ。
建設現場用の帳票作成システムを、信頼性を維持しつつも、低コストで実現することが、望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/004363号公報
【特許文献2】特開2020-95399号公報
【特許文献3】特開2021-163367号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性を維持しつつ、低コストで実現できる、建設現場用の帳票作成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、建設現場用の帳票作成システムでは、複数の人間が、情報端末を用いて、メッセージの送受信を繰り返すことで、メッセージに基づいてサーバ上に帳票が作成される。また、情報端末では、サーバから作成された帳票を受信する。ここで、メッセージの送受信を、サーバを介して繰り返すに際に、情報端末とサーバとの通信状態が遮断されている場合は、メッセージを一時保存メッセージとして、ローカルストレージに一時的に退避させることで、画像情報や音声情報の消失を抑制することができる。また、通信状態が疎通していることが確認されると、画像情報または音声情報に逆変換して一時保存メッセージからメッセージを復元し、メッセージをサーバへと送信することで、情報端末の利用者は、通信状態、及び空き容量不足の問題が解消し、メッセージの送信が完了したことを認識できる点に着眼し、本発明に至った。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用する。
すなわち、本発明の建設現場用の帳票作成システムは、複数の情報端末間でのメッセージの送受信を、サーバを介して繰り返すことで帳票を作成する、建設現場用の帳票作成システムであって、前記帳票は、前記建設現場での工事記録及び改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票を含み、前記複数の情報端末の各々は、前記メッセージ及び前記帳票を表示する情報表示部と、当該情報端末が有する音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に、前記メッセージを作成する端末情報処理部と、前記端末情報処理部により制御されて、前記メッセージを前記サーバに送信し、前記サーバから作成された前記帳票を受信するデータ送受信部を備え、前記端末情報処理部は、ウェブアプリケーションとして提供され、前記サーバは、前記複数の情報端末から前記メッセージを取得する情報取得部と、前記メッセージに基づいて前記帳票を作成する情報処理部と、前記メッセージ及び前記帳票を保管するデータ蓄積部と、を備えており、前記端末情報処理部は、前記データ送受信部により前記メッセージをサーバに送信するに際し、前記情報端末と前記サーバとの通信状態を確認し、前記通信状態が遮断されている場合に、前記メッセージ内に前記画像情報または前記音声情報が含まれていれば、これらを文字列データに変換して一時保存メッセージを作成し、当該一時保存メッセージをローカルストレージに保存し、前記通信状態が疎通していることが確認されると、前記文字列データを前記画像情報または前記音声情報に逆変換して前記一時保存メッセージから前記メッセージを復元し、前記メッセージを前記サーバへと送信することを特徴とする。
このような構成によれば、情報端末の端末情報処理部により、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に、メッセージを作成する。作成されたメッセージは、端末情報処理部により制御されて、データ送受信部により、サーバに送信される。サーバの情報処理部は、情報端末から取得したメッセージに基づいて、帳票を作成する。サーバのデータ蓄積部は、情報端末から送信されたメッセージ、及び作成された帳票を蓄積する。作成された帳票は、サーバから情報端末に送信される。情報端末のデータ送受信部は、サーバから、作成された帳票を受信する。
このようにして、情報端末を用いて、複数の人間が、メッセージの送受信を繰り返すと、メッセージに基づいて帳票が作成され、データ蓄積部に保管される。したがって、複数の人間の各々が情報端末で帳票に情報を入力しなくても、帳票を作成することができる。
上記のような帳票作成システムの情報端末において、メッセージを作成し、データ送受信部を制御してメッセージを送信する処理を行う端末情報処理部は、情報端末のOS上で直接動作するアプリケーションとしてではなく、複数種のOS上で共通して動作するウェブブラウザの上で動作する、ウェブアプリケーションとして提供されている。このため、端末情報処理部を開発するに際し、ウェブブラウザ上で動作するように製作すればよく、OS上で動作するアプリケーションとして、複数種のOSに対応するように製作する必要がない。このため、帳票作成システムの開発コストが低減される。
ここで、メッセージの送受信を、サーバを介して繰り返すに際し、通信状態等によって、メッセージが送受信できないことがある。特に上記のような形態においては、端末情報処理部はウェブアプリケーションとして提供されるため、例えばメッセージの送信に失敗すると、送信しようとしたメッセージが消失することがある。これに対応するため、本帳票作成システムにおいては、以下のような構成を有する。
まず、端末情報処理部は、データ送受信部によりメッセージをサーバに送信するに際し、情報端末とサーバとの通信状態を確認する。端末情報処理部は、情報端末とサーバとの通信状態が遮断されている場合に、メッセージを一時保存メッセージとして、ウェブブラウザで実行されるHTML(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)の機能としてのローカルストレージに保存する。ここで、上記のような構成においては、メッセージは、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されるところ、ローカルストレージには文字列形式としてデータが保存されるため、画像情報や音声情報などのバイナリデータは、そのままでは、ローカルストレージには保存できない。そこで、端末情報処理部は、メッセージ内に画像情報または音声情報が含まれていれば、これらを文字列データに変換して、一時保存メッセージを作成し、作成した一時保存メッセージを、ローカルストレージに保存する。その後、端末情報処理部は、情報端末とサーバとの通信状態が疎通していることが確認されると、文字列データを、画像情報または音声情報に逆変換して一時保存メッセージからメッセージを復元し、メッセージをサーバへと送信する。このように、情報端末とサーバとの通信状態が遮断されている場合に、メッセージに含まれる画像情報または音声情報を、ウェブアプリケーションのローカルストレージに一時的に退避させることで、画像情報や音声情報の消失を抑制することができる。したがって、建設現場用の帳票作成システムの信頼性を高めることができる。
このように、帳票作成システムの情報端末側の機能をウェブアプリケーションとして実現しながらも、信頼性の低下を抑制することによって、信頼性を維持しつつ、低コストで実現できる、建設現場用の帳票作成システムを提供することができる。
【0007】
本発明の一態様においては、前記端末情報処理部は、前記データ送受信部により前記メッセージをサーバに送信するに際し、前記通信状態が遮断されている場合に、前記メッセージに前記画像情報が含まれていれば前記画像情報とともに前記メッセージを表示して、通信の失敗に関する警告を表示し、前記ローカルストレージの使用量と空き容量を表示し、前記空き容量が作成した前記一時保存メッセージよりも小さければ、既に前記ローカルストレージに保存されている前記一時保存メッセージを、当該一時保存メッセージに前記画像情報が含まれていれば前記画像情報とともに表示して、空き容量の不足に関する警告を表示し、前記端末情報処理部は、前記通信状態が疎通していることが確認されると、前記一時保存メッセージから前記メッセージを復元し、前記メッセージを前記サーバへと送信した後に、前記ローカルストレージ内の前記一時保存メッセージを削除して、前記通信の失敗に関する警告及び前記空き容量の不足の警告を非表示とする。
このような構成によれば、データ送受信部によりメッセージをサーバに送信するに際し、通信状態が遮断されている場合に、端末情報処理部は、メッセージに画像情報が含まれていれば画像情報とともにメッセージを表示して、通信の失敗に関する警告を表示する。これにより、情報端末の利用者は、通信が失敗したことを明確に認識することができる。
また、端末情報処理部は、ローカルストレージの使用量と空き容量を表示し、空き容量が作成した一時保存メッセージよりも小さければ、既にローカルストレージに保存されている一時保存メッセージを、この一時保存メッセージに画像情報が含まれていれば画像情報とともに表示して、空き容量の不足に関する警告を表示する。これにより、情報端末の利用者は、ローカルストレージの空き容量が不足していることを認識できるので、帳票作成システムを更に継続して使用してメッセージを送信しようとして、当該メッセージが消失することを抑制可能である。
さらに、端末情報処理部は、通信状態が疎通していることが確認されると、一時保存メッセージからメッセージを復元し、メッセージをサーバへと送信した後に、ローカルストレージ内の一時保存メッセージを削除して、通信の失敗に関する警告及び空き容量の不足の警告を非表示とする。これにより、一時的に通信状態が遮断され、メッセージを送信できない状況であったとしても、通信状態が疎通した後に、端末情報処理部によって、一時保存メッセージから復元したメッセージをサーバに自動的に送信することができる。また、復元したメッセージのサーバへの送信後、通信の失敗に関する警告及び空き容量の不足に関する警告が非表示とされることで、情報端末の利用者は、通信状態、及び空き容量不足の問題が解消し、メッセージの送信が完了したことを認識することができる。
【0008】
本発明の一態様においては、前記端末情報処理部は、前記データ送受信部により前記メッセージを前記サーバに送信するに際し、前記通信状態が遮断されている場合において、一定時間が経過した後、または前記情報端末の位置が変化した際に、前記情報端末と前記サーバとの通信状態を再確認し、前記通信状態が疎通していることが確認されると、前記メッセージを復元して前記サーバへと送信し、前記ローカルストレージの空き容量が閾値以下の場合は、前記情報表示部に機能の一時停止を表示し、空き容量が前記閾値以上の場合は正常状態であることを表示する。
このような構成によれば、通信状態が遮断されている場合に、一定時間が経過した後、または情報端末の位置が変化した際に、情報端末とサーバとの通信状態を再確認し、通信状態が疎通していることが確認されると、メッセージを復元してサーバへと送信する。これにより、通信状態が遮断されていることによって、メッセージを送信できなかった場合であっても、時間経過または情報端末の位置の変化を契機として通信状態を再確認し、通信状態が疎通したときに、メッセージを自動的に再送信することができる。
また、ローカルストレージの空き容量が閾値以下の場合は、情報表示部に機能の一時停止を表示し、空き容量が前記閾値以上の場合は正常状態であることを表示することによって、情報端末の利用者は、ローカルストレージの空き容量が不足しているか否かを認識できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、信頼性を維持しつつ、低コストで実現できる、建設現場用の帳票作成システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る建設現場用の帳票作成システムの全体構成を示す模式図である。
【
図2】
図1の建設現場用の帳票作成システムの情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図3】建設現場用の帳票作成システムのサーバの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図4】情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
【
図5】サーバによって作成される帳票の一例を示すものである。
【
図6】情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
【
図7】情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
【
図8】従来からのウェブアプリケーションにおいて、情報端末とサーバとの通信状態が遮断されている場合における、情報端末とサーバとの間でのデータの送受信を示すチャート図である。
【
図9】本実施形態のウェブアプリケーションにおいて、情報端末とサーバとの通信状態が疎通している場合における、情報端末とサーバとの間でのデータの送受信を示すチャート図である。
【
図10】本実施形態のウェブアプリケーションにおいて、情報端末とサーバとの通信状態が遮断されている場合における、情報端末とサーバとの間でのデータの送受信を示すチャート図である。
【
図11】サーバとの通信状態が遮断されている場合に、情報端末の情報表示部に表示される警告の一例を示す図である。
【
図12】ローカルストレージの空き容量が不足している場合に、情報端末の情報表示部に表示される警告の一例を示す図である。
【
図13】情報端末が、例えば機内モードに設定される等して、通信ができない場合における、情報端末とサーバとの間でのデータの送受信を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、複数の情報端末間でのメッセージの送受信を、サーバを介して繰り返すことで帳票を作成する、建設現場用の帳票作成システムである(例えば、
図1)。実施形態の建設現場用の帳票作成システムでは、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に、メッセージを作成する端末側情報処理部と、前記メッセージをサーバに送信し、前記サーバから作成された帳票を受信するデータ送受信部との機能がウェブアプリケーションとして実現されている。
以下、添付図面を参照して、本発明による建設現場用の帳票作成システムを実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
本発明の実施形態に係る建設現場用の帳票作成システムの全体構成を示す模式図を
図1に示す。
図1に示されるように、建設現場用の帳票作成システム1は、複数の情報端末2と、サーバ5と、を備えている。建設現場用の帳票作成システム1は、情報端末2を用いたメッセージ(を含むデータ)の送受信を、あたかも複数の人間が会話を行うように、サーバ5を介して繰り返すことで帳票100を作成する。情報端末2は、当該情報端末2のOS(オペレーティングシステム)上で動作するアプリケーションとして、ウェブブラウザを有している。本実施形態では、建設現場用の帳票作成システム1の、情報端末2側の機能、特に、後に説明する、情報端末2の処理全体を統括して制御する端末情報処理部は、このウェブブラウザ上で動作する、ネットワーク9を介して所定のURL(Uniform Resource Locator)にアクセスすることによって実行されるウェブアプリケーションとして、HTML(ハイパーテキスト・マークアップ・ランゲージ)を用いて実現される。
帳票100は、建設現場での工事記録及び改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票を含む。ここでいう建設現場での工事記録は、建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データに関する記録情報である。
【0012】
情報端末2は、建設現場に関わる現場監督や現場管理者、各種の作業を請け負う改善担当者(改善作業責任者)や改善担当者の管理下で実際に作業を担当する作業者等の利用者等を含む、関係者がそれぞれ利用する。情報端末2は、本実施形態においては、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型情報端末である。情報端末2は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置等を備えたハードウェアと、予め設定されたOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションソフトウェア等のコンピュータプログラムとが協働することで、建設現場用の帳票作成システム1の情報端末2として所要の機能を発揮する。情報端末2は、インターネット、LAN(ローカルエリアネットワーク)、公衆電話通信網等の無線、あるいは有線のネットワーク9を介し、サーバ5との間でデータ通信が可能となっている。
【0013】
図2は、
図1の建設現場用の帳票作成システムの情報端末の機能的な構成を示すブロック図である。
図2に示されるように、各情報端末2は、テキスト情報入力部21と、音声情報入力部27と、画像情報入力部22と、端末情報処理部23と、データ記憶部24と、データ送受信部25と、情報表示部26と、イベント処理部28と、を機能的に備えている。上記のように、建設現場用の帳票作成システム1は、複数の人間が会話を行うようなインターフェースにより帳票100を作成する。このため、各情報端末2は、会話に相当する、利用者による、他の利用者に伝達すべき文章を形成するテキスト情報や、音声情報、画像情報の入力を受け付ける。また、各情報端末2は、後述するサーバ5から受信する帳票100のデータに基づいて、帳票100を表示する。
【0014】
テキスト情報入力部21は、情報端末2の利用者による外部からのテキスト情報(テキストデータ)の入力を受け付ける。テキスト情報入力部21は、例えば、情報端末2に設けられたタッチパネル等による文字入力操作により、外部からのテキスト情報の入力を受け付ける。
音声情報入力部27は、情報端末2の利用者による外部からの、例えば情報端末2に設けられたマイクを介した音声情報の入力を受け付ける。
画像情報入力部22は、利用者が撮影した写真(動画でもよい)等の画像情報(画像データ)を入力する。画像情報入力部22は、例えば、情報端末2に設けられたカメラであり、カメラで撮像した写真の画像情報を入力する。画像情報入力部22は、例えば利用者がタッチパネル等で手書き操作を行うことで、例えば矢印や丸印等のマークを写真の画像中に入力することもできる。
【0015】
端末情報処理部23は、ウェブアプリケーションとして提供される。具体的には、端末情報処理部23は、利用者が情報端末2を用いて特定のURLにアクセスすることで実行するウェブアプリケーションとして製作されている。端末情報処理部23は、ウェブアプリケーションとして、情報端末2のウェブブラウザ上で動作することで、後に説明するデータ送受信部25、情報表示部26等を含む各構成要素を適宜制御し、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報、音声情報入力部27で入力された音声情報、及び画像情報入力部22で入力された画像情報のサーバ5への送信処理、サーバ5から受信した帳票100のデータ(帳票データ)に基づく帳票100の表示処理等をはじめとする、各種の処理を実行する。
端末情報処理部23は、情報端末2が有する音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に、メッセージを作成する。すなわち、本実施形態においては、メッセージは、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上により形成されている。端末情報処理部23は、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報のみを、メッセージとして、サーバ5に送信するよう、データ送受信部25を制御することができる。あるいは、端末情報処理部23は、画像情報入力部22で入力された画像情報のみを、メッセージとして、サーバ5に送信するよう、データ送受信部25を制御することができる。更には、端末情報処理部23は、音声情報入力部27で入力された音声情報のみを、メッセージとして、サーバ5に送信するよう、データ送受信部25を制御することができる。
端末情報処理部23は、テキスト情報と、音声情報入力部27で入力された音声情報、画像情報入力部22で入力された画像情報とを基に、これらを任意に組み合わせてメッセージを作成したうえで、作成したメッセージを、サーバ5に送信するよう、データ送受信部25を制御することもできる。この場合には、端末情報処理部23は、テキスト情報と音声情報、画像情報とを互いに関連付けて作成したメッセージを、サーバ5に送信するよう、データ送受信部25を制御する。
また、端末情報処理部23は、データ送受信部25を介してサーバ5から帳票100のデータを受信した場合、受信したデータに基づいて、情報表示部26に帳票100を表示させる。更に、端末情報処理部23は、情報表示部26に帳票100が表示された状態で、テキスト情報入力部21によるテキスト情報の入力、音声情報入力部27による音声情報の入力、または画像情報入力部22による画像情報の入力を可能とする。
【0016】
データ記憶部24は、ハードウェア的には、情報端末2に搭載されたメモリである。データ記憶部24は、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報、音声情報入力部27で入力された音声情報、画像情報入力部22で入力された画像情報、及び、これら音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されたメッセージ、サーバ5から受信した帳票100、等のデータを記憶する。
データ送受信部25は、ハードウェア的には、例えば外部のネットワーク9を介したデータの送受信を行うネットワークインターフェースカードである。データ送受信部25は、端末情報処理部23における制御に基づき、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されたメッセージのサーバ5への送信、サーバ5からの帳票100のデータの受信等を行う。また、データ送受信部25は、定期的に、あるいは端末情報処理部23からの要求に応じ、情報端末2とサーバ5との通信状態を確認する機能を有する。データ送受信部25は、定期的に、あるいは端末情報処理部23からの要求があった場合に、情報端末2からサーバ5への通信状態が疎通しているか、遮断されているかを確認する。
情報表示部26は、情報端末2に設けられたモニター画面等であり、端末情報処理部23における制御に基づき、各種の情報を表示する。情報表示部26は、例えば、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されたメッセージや、サーバ5から受信した帳票100等を表示する。
イベント処理部28は、情報端末2が、例えば機内モードに設定される等して、データ送受信部25を介した通信が可能であるか否かを示すイベント信号を出力する。
【0017】
サーバ5は、サーバ用のコンピュータ装置からなる。サーバ5は、CPU(Central Processing Unit)、メモリ、記憶装置等を備えたハードウェアと、予め設定されたOS(オペレーティングシステム)やアプリケーションソフトウェア等のコンピュータプログラムとが協働することで、建設現場用の帳票作成システム1のサーバ5として所要の機能を発揮する。サーバ5は、ネットワーク9を介し、各情報端末2との間でデータ通信が可能となっている。サーバ5は、ネットワーク9を介して複数の情報端末2から送信されるメッセージを受信し、当該メッセージを形成する、テキスト情報入力部21で入力されたテキスト情報、音声情報入力部27で入力された音声情報、及び画像情報入力部22で入力された画像情報に基づき、帳票100を自動的に作成する。サーバ5は、作成した帳票100のデータを、ネットワーク9を介して各情報端末2に送信する。
サーバ5は、上記のようなサーバ用のコンピュータ装置であってもよいし、複数のコンピュータ装置を含んでこれらを接続して設けたコンピュータネットワーク環境、またはクラウド環境の、いわゆるクラウドサーバであってもよい。
【0018】
図3は、建設現場用の帳票作成システムのサーバの機能的な構成を示すブロック図である。
図3に示すように、サーバ5は、情報取得部51と、データ蓄積部52と、情報処理部53と、指示連絡部54と、を機能的に備えている。
情報取得部51は、ネットワーク9を介し、複数人の情報端末2から送信される音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されたメッセージを取得する。情報取得部51は、複数人の情報端末2間でメッセージの送受信が行われるに際し、複数人の情報端末2のそれぞれから送信される、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されたメッセージを取得する。
【0019】
データ蓄積部52は、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等の記憶装置からなる。データ蓄積部52は、情報取得部51で取得した、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されたメッセージ、後述する情報処理部53で処理を行うために必要な各種の情報、情報処理部53で逐次作成する帳票100のデータ等を記憶(蓄積)している。具体的には、データ蓄積部52は、帳票100として作成される、建設現場における安全関係書類、品質管理書類、予算管理書類、及び工程管理書類に記載される工事情報データ、工事進捗データ、及び過去の帳票100のデータを記憶している。
【0020】
情報処理部53は、情報取得部51で取得した音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されたメッセージに基づいて、帳票100を作成する処理を実行する。情報処理部53は、情報取得部51により、メッセージとして、音声情報が取得された場合に、既知の音声認識技術により、音声情報をテキスト情報に変換する。
情報処理部53は、情報取得部51で取得されたテキスト情報、または情報取得部51で取得された音声情報を音声認識技術により変換したテキスト情報から、帳票100の作成に関連するキーワードを抽出する。情報処理部53でテキスト情報からキーワードを抽出するためのアルゴリズムについては、具体的に限定する意図はなく、適宜のアルゴリズムを用いることができる。
情報処理部53は、抽出されたキーワード、または抽出されたキーワードと、このキーワードが含まれていたテキスト情報に関連付けられた画像情報とを、帳票100の、当該キーワードや画像情報に対応する項目に入力し、帳票100を更新する。
情報処理部53は、更新された帳票100のデータを、ネットワーク9を介して各情報端末2へ送信する。情報処理部53は、帳票100が更新される度に、各情報端末2に作成、更新された帳票100を送信する。
【0021】
指示連絡部54は、情報処理部53において、帳票100に工事記録や指摘事項が入力された場合に、複数人の情報端末2に工事記録や指摘事項を送信する。
また、指示連絡部54は、情報処理部53において、帳票100に指摘事項への対応がなされたことが入力された場合に、複数人の情報端末2に対応済み情報を送信する。
更に、指示連絡部54は、情報処理部53において、帳票100に指摘事項への対応が確認済みであることが入力された場合に、複数人の情報端末2に確認済み情報を送信する。
【0022】
次に、上記したような建設現場用の帳票作成システム1で帳票を作成していく際の、複数の利用者間で送受信されるメッセージの一例を以下に示す。ここでの説明は、帳票が、改善されるべき指摘事項の管理に関するものである場合におけるものであるが、他の帳票、例えば工事記録が入力される帳票の場合でも、基本的には同様である。
図4は、情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。既に説明したように、端末情報処理部23は、ウェブアプリケーションとして実現されている。したがって、
図4において、情報表示部26には、情報端末2のOS上で起動されたウェブブラウザ上で動作するように、画面が表示されている。
例えば、まず初めに、利用者の情報端末2Aにより、建設現場において改善されるべき指摘事項等のリクエストの入力がなされる。指摘事項の入力を行う利用者は、例えば、建設現場内の各所のチェック等を行う現場責任者である。現場責任者は、建設現場において改善されるべき指摘事項の入力を、情報端末2Aのテキスト情報入力部21における文字入力操作や音声情報入力部27における音声入力により行う。また、現場責任者の情報端末2Aの画像情報入力部22により、建設現場において改善されるべき指摘事項を示すための写真である画像情報P1の画像情報が入力される。情報端末2Aの情報表示部26には、現場責任者が入力したテキスト情報M1と、現場責任者が入力した画像情報P1とが表示される。また、端末情報処理部23は、入力されたテキスト情報M1、音声情報、及び画像情報P1を基にメッセージを作成し、データ送受信部25によりネットワーク9を介してサーバ5に送信する。
例えば、
図4の例では、建設現場に設けられた足場201と、足場201の上方に支柱202を介して設けられた手すり203とが設けられた箇所において、足場201上に安全確保のために必要な「巾木が設けられていない」ことを指摘するテキスト情報M1が、情報端末2Aの利用者である現場責任者によって、指摘事項として入力されている。ここで、テキスト情報M1としては、例えば、「C工区東側外周X1Y7で足場に巾木がありません。至急巾木を設置してください。」といったものになる。また、テキスト情報M1とともに、現場責任者によって入力(撮影)された、巾木が設けられていない箇所を示す写真である画像情報P1が、現場責任者の情報端末2Aの情報表示部26に表示される。画像情報P1中には、巾木が設けられていない場所を示す丸印等のマークK1が現場責任者により入力されていてもよい。
図4に示されるような場合においては、テキスト情報M1と画像情報P1が、それぞれ個別のメッセージを形成するようにしてもよいし、一定の時間範囲内に入力されたテキスト情報M1と画像情報P1が1つのメッセージを形成するように、まとめられてもよい。あるいは、ウェブブラウザ上に、テキスト情報M1と画像情報P1の各々を個別に入力するようなインターフェースと送信ボタンを設け、各インターフェースにテキスト情報M1と画像情報P1の各々を入力した後に送信ボタンを押下することで、送信ボタンが押下された時点で各インターフェースに入力されていたテキスト情報M1と画像情報P1が一つのメッセージとして送信されるようにしてもよい。音声情報が送信される場合においても同様である。
【0023】
サーバ5の情報取得部51は、情報端末2Aから送信されたメッセージを受信(取得)する。サーバ5のデータ蓄積部52は、受信したメッセージのデータを記憶する。続いて、情報処理部53が、メッセージのデータに含まれる、テキスト情報M1や音声情報から、帳票100の作成に関連するキーワードを抽出する。情報処理部53は、テキスト情報M1に含まれる、建設現場において改善されるべき指摘事項を示すキーワードとして、例えば、「指摘場所」、「指摘内容」、「改善指示内容」等を示す文言を抽出する。例えば、
図5の例では、情報処理部53は、テキスト情報M1に含まれるキーワードとして、「指摘場所」=「C工区東側外周X1Y7」、「指摘内容」=「足場に巾木が無い」、「改善指示内容」=「足場に巾木を設置」といった文言を抽出する。
【0024】
続いて、情報処理部53は、帳票100を起票し、抽出されたキーワード、または抽出されたキーワードと、このキーワードが含まれていたメッセージに含まれていた画像情報P1とを、帳票100の、当該キーワード等に関連する項目に対応付けて入力する。
図5は、サーバによって作成される帳票の一例を示すものである。
更に、情報処理部53は、サーバ5にメッセージを送信した情報端末2Aを特定することで、情報端末2Aで指摘事項を入力した利用者(指摘者=現場責任者)を特定する。これには、例えば、予め、データ蓄積部52に、情報端末2Aの利用者を識別するログイン情報等の識別情報を蓄積しておく。また、情報処理部53は、抽出されたキーワードに基づき、指摘事項に対する対応作業を担当する改善担当者を特定する。これには、例えば、予め、データ蓄積部52に、指摘対象の分野(
図5の例では、足場、巾木)と、指摘対象を改善する作業を担当する会社や担当者(改善担当者)名とを関連付けて蓄積しておく。これにより、情報処理部53は、抽出されたキーワードに基づいて、指摘事項に対する対応作業を担当する改善担当者名、及び会社名を自動的に特定する。
情報処理部53は、
図5に示すような所定の書式の帳票100を起票し、抽出されたキーワード及び当該キーワードに基づいて生成される情報を、帳票100の、指摘者名、指摘日、指摘場所、指摘内容、改善指示内容、指摘事項に対する改善作業を担当する改善担当者等の各項目に対応付けて入力する。また、情報処理部53は、情報端末2Aから送信された画像情報P1を、帳票100に、改善前の画像として入力する。情報処理部53は、帳票100への情報を入力した後に、帳票100をデータ蓄積部52に記憶させる。
【0025】
図6は、情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図6においても、情報表示部26には、情報端末2のOS上で起動されたウェブブラウザ上で動作するように、画面が表示されている。
サーバ5の情報処理部53は、起票され更新された帳票100のデータを、ネットワーク9を介して各情報端末2へ送信する。また、サーバ5の指示連絡部54は、情報端末2Aから送信されたテキスト情報M1を、必要に応じて加工し、ネットワーク9を介して、改善担当者を含む関係者全員の各情報端末2へ送信する。本実施形態においては、
図4に示されるような、情報端末2Aから送信されたテキスト情報M1に改善担当者が記載されていない場合に、改善担当者を明確にするために、
図6に示されるように、情報処理部53で特定された改善担当者名が、テキスト情報M1に追記される。指示連絡部54はまた、情報端末2Aから送信された画像情報P1を、ネットワーク9を介して、改善担当者を含む関係者全員の各情報端末2へ送信する。
図6に示されるように、サーバ5から送信されたデータを、ネットワーク9を介して受信した、改善担当者を含む関係者全員の各情報端末2では、受信したデータに基づき、情報表示部26に、帳票100、テキスト情報M1、及び画像情報P1が表示される。このとき、帳票100は、テキスト情報M1の背景、または新たな画面情報として情報表示部26に表示する。
このように、指示連絡部54は、帳票100に指摘事項が入力された場合に、複数人の情報端末2に指摘事項としてテキスト情報M1や画像情報P1を送信する。
このようにして建設現場において改善されるべき指摘事項を示すテキスト情報M1を受信した改善担当者は、テキスト情報M1や帳票100に含まれる情報を確認し、指摘事項に対応した作業を作業者に実施させる。
【0026】
図7は、利用者の情報端末に表示される表示内容の一例を示すものである。
図7においても、情報表示部26には、情報端末2のOS上で起動されたウェブブラウザ上で動作するように、画面が表示されている。
指摘事項に対応する所定の改善作業を完了した後、改善担当者(利用者)が、自身の情報端末2Bに、建設現場において改善されるべき指摘事項に対し、所定の改善作業を実施したことを示すテキスト情報M2を入力する。テキスト情報M2の入力は、情報端末2Bのテキスト情報入力部21における文字入力操作により行う。また、改善担当者の情報端末2Bの画像情報入力部22により、実施した改善作業結果を示すために撮影した写真である画像情報P2が入力される。改善担当者の情報端末2Bでは、改善担当者が入力したテキスト情報M2と、画像情報P2とが表示される。端末情報処理部23は、入力されたテキスト情報M2、音声情報、及び画像情報P2を、個別の、あるいは1つにまとめられたメッセージとして、データ送受信部25によりネットワーク9を介してサーバ5に送信する。
例えば、
図7の例では、指摘事項に対する改善作業として、足場201上に安全確保のために必要な巾木204が追加設置されたことを指摘するテキスト情報M2が、改善担当者の情報端末2Bの情報表示部26に表示されている。ここで、指摘事項に対する改善作業を行った改善担当者が入力するテキスト情報M2としては、例えば、「足場に巾木を設置しました。確認願います。」といったものになる。また、テキスト情報M2とともに、改善担当者により画像情報入力部22で入力(撮影)された、巾木204が設置された箇所の画像情報P2が表示される。画像情報P2中には、巾木204が設置された箇所を示す丸印等のマークK2が利用者により入力されていてもよい。また、情報端末2Bの情報表示部26は、サーバ5から送信されて情報端末2Bが受信した帳票100を、テキスト情報M2や画像情報P2の背景、または新たな画面情報として表示する。
【0027】
サーバ5の情報取得部51は、情報端末2Bから送信されたメッセージを受信(取得)すると、データ蓄積部52は、受信したメッセージを形成するテキスト情報M2、音声情報、及び画像情報P2を記憶する。続いて、サーバ5の情報処理部53が、テキスト情報M2や音声情報から、帳票100の作成に関連するキーワードを抽出する。さらに、情報処理部53が、抽出されたキーワード、または抽出されたキーワードと、このキーワードが含まれていたメッセージに含まれていた画像情報P2とを、帳票100の、当該キーワード等に関連する項目に対応付けて入力し、帳票100を更新する。
このようにして、上記した建設現場用の帳票作成システム1では、複数の利用者間で、会話形式のメッセージの送受信が行われる過程で、帳票100に情報が逐次自動的に入力され、帳票100が更新されていく。
【0028】
ここで、上記したような建設現場用の帳票作成システム1では、ネットワーク9を介して情報端末2とサーバ5との間で、メッセージ、または帳票100のデータを送受信する際に、通信状態が悪化することがある。本実施形態においては、情報端末2側の機能をウェブアプリケーションとして提供するが、この場合には、従来の構成では、特に情報端末2からサーバ5にメッセージを送信する際に通信状態が悪化すると、送信しようとしたメッセージが消失する可能性がある。
図8は、従来からのウェブアプリケーションにおいて、情報端末とサーバとの通信状態が遮断されている場合における、情報端末とサーバとの間でのデータの送受信を示すチャート図である。
図8に示すように、従来からのウェブアプリケーションにおいては、情報端末2からサーバ5にメッセージのデータを送信する場合、まず、情報端末2では、情報端末2で作成したメッセージのデータを、情報端末2のメモリからなるデータ記憶部24に一時的に保存させる(ステップS101)。次いで、情報端末2は、メッセージのデータを、ネットワーク9を介してサーバ5に送信し(ステップS102)、データ記憶部24に一時保存していたメッセージのデータをクリアする(ステップS103)。
これらの処理は、一連の、不可分の処理として、まとめて実行される。このため、情報端末2とサーバ5と間の通信状態が遮断されている場合には、情報端末2から送信したメッセージのデータは、サーバ5に到達せず、そのうえ、情報端末2で作成したメッセージのデータが消失してしまう。
【0029】
これに対し、本実施形態における建設現場用の帳票作成システム1では、情報端末2とサーバ5と間の通信状態が遮断された場合、情報端末2からサーバ5に送信しようとしていたメッセージのデータを、ウェブブラウザで実行されるHTMLの機能としてのローカルストレージに一時的に記憶させる。
このように、本実施形態の建設現場用の帳票作成システム1は、HTMLの機能としてのローカルストレージを使用するものであるため、情報端末2側の機能は、ローカルストレージの機能を有する版数のHTML、例えばHTML5を用いて製作されている。
端末情報処理部23では、情報端末2とサーバ5と間の通信状態が遮断された状態から回復し、情報端末2とサーバ5との間の通信状態が疎通した場合、ローカルストレージ234に一時的に記憶させたメッセージのデータを、ネットワーク9を介してサーバ5に再送信する。以下、これらの処理について詳述する。
【0030】
図9は、本実施形態のウェブアプリケーションにおいて、情報端末とサーバとの通信状態が疎通している場合における、情報端末とサーバとの間でのデータの送受信を示すチャート図である。
図9に示すように、情報端末2のデータ送受信部25は、予め設定された時間間隔毎に、ネットワーク9を介したサーバ5との通信状態の確認を行っている。具体的には、データ送受信部25は、ネットワーク9を介し、サーバ5に対し、通信状態の疎通確認のための信号を、所定の時間間隔毎に送信する(ステップS201)。情報端末2とサーバ5との通信状態が疎通している場合、サーバ5は、情報端末2からの疎通確認のための信号を受け取ると、疎通確認が成功したことを示す信号を、ネットワーク9を介して情報端末2のデータ送受信部25に返信する(ステップS202)。データ送受信部25とサーバ5は、所定の時間間隔毎に、ステップS201、S202を繰り返している。
情報端末2において、利用者がウェブアプリケーション上で、すなわち端末情報処理部23の制御下で、音声情報の入力、テキスト情報の入力、写真(静止画)や動画の撮影を行うことによる画像情報の入力等を行うと、端末情報処理部23は、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に、メッセージを作成する。端末情報処理部23は、メッセージが作成されると、メッセージのデータ(音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ)を、情報端末2のメモリからなるデータ記憶部24に保存させる(ステップS211)。次いで、端末情報処理部23は、データ送受信部25によるサーバ5との通信状態の確認結果を基に、通信状態を確認し、
図9のように通信状態が疎通している場合には、メッセージのデータを、データ記憶部24から取り出し(ステップS212)、データ送受信部25を制御して、取り出したデータを、ネットワーク9を介してサーバ5に送信する(ステップS213)。端末情報処理部23は、データ送受信部25を制御してメッセージのデータをサーバ5に送信すると、データ記憶部24に記憶されていたメッセージのデータをクリアする(ステップS214)。
サーバ5は、ネットワーク9を介して、情報端末2から送信されたメッセージのデータを受信すると、データの送信が成功したことを示す信号を、ネットワーク9を介して情報端末2に返信する(ステップS215)。端末情報処理部23は、サーバ5から、データの送信が成功したことを示す信号をデータ送受信部25が受信すると、メッセージの送信処理を終了する。
【0031】
図10は、本実施形態のウェブアプリケーションにおいて、情報端末とサーバとの通信状態が遮断されている場合における、情報端末とサーバとの間でのデータの送受信を示すチャート図である。
図10に示すように、情報端末2のデータ送受信部25は、
図9の場合と同様に、ネットワーク9を介したサーバ5との通信状態の確認を行うため、ネットワーク9を介し、サーバ5に対し、通信状態の疎通確認のための信号を、所定の時間間隔毎に送信する(ステップS301)。情報端末2とサーバ5との通信状態が遮断されている場合、サーバ5から疎通確認が成功したことを示す信号は返信されない。データ送受信部25は、通信状態の疎通確認のための信号の送信後、所定時間内にサーバ5からの返信がなければ、端末情報処理部23に対し、サーバ5への送信が失敗したことを示す信号を通知する(ステップS302)。
一方、情報端末2の端末情報処理部23で、メッセージが作成された場合、端末情報処理部23は、メッセージのデータ(音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ)を、情報端末2のメモリからなるデータ記憶部24に保存させる(ステップS311)。次いで、端末情報処理部23は、情報端末2とサーバ5との通信状態を確認する。端末情報処理部23は、ステップS302で通知された、サーバ5への送信が失敗したことを示す信号に基づいて、情報端末2とサーバ5との通信状態が遮断されていることを確認した場合、メッセージのデータを、データ記憶部24から取り出し(ステップS312)、取り出したデータを、一時保存メッセージとして、ローカルストレージ234に保存する(ステップS313)。
【0032】
ローカルストレージは、base64形式の文字列データをフォーマットとして受け付け、記憶する仕様となっている。このため、メッセージ内に、バイナリデータである画像情報または音声情報が含まれている場合には、端末情報処理部23は、これら画像情報または音声情報を、base64形式の文字列データに変換して、一時保存メッセージを作成する。端末情報処理部23は、作成した一時保存メッセージを、ローカルストレージ234に保存する。
メッセージがテキスト情報のみの場合には、一時保存メッセージは、テキスト情報に対応する、base64形式の文字列データとなる。メッセージが画像情報または音声情報のみの場合には、一時保存メッセージは、画像情報または音声情報が変換された、画像情報または音声情報に対応する、base64形式の文字列データとなる。メッセージが、例えばテキスト情報と画像情報を含む場合には、一時保存メッセージは、テキスト情報に対応する、base64形式の文字列データと、画像情報が変換された、画像情報に対応する、base64形式の文字列データとが、例えば連結されたものとなる。
このようにして、文字列データしか保存することができないローカルストレージに、バイナリデータである画像情報や音声情報を保存する。
【0033】
この間、データ送受信部25は、一定時間が経過する毎に、情報端末2とサーバ5との通信状態を再確認するため、ネットワーク9を介し、サーバ5に対し、通信状態の疎通確認のための信号を、繰り返し送信する(ステップS301)。また、データ送受信部25は、情報端末2から取得される情報端末2の位置情報に基づき、情報端末2の位置が変化した際にも、情報端末2とサーバ5との通信状態を再確認するため、ネットワーク9を介し、サーバ5に対し、通信状態の疎通確認のための信号を送信する。
その後、データ送受信部25から送信した、通信状態の疎通確認のための信号がサーバ5に到達し(ステップS303)、サーバ5から疎通確認が成功したことを示す信号を受け取った場合(ステップS304)、データ送受信部25は、端末情報処理部23に対し、サーバ5との通信状態の疎通確認が取れたことを示す信号を通知する(ステップS305)。
【0034】
データ送受信部25は、サーバ5との通信状態が疎通していることが確認されると、ローカルストレージ234から一時保存メッセージのデータを取り出す(ステップS314)。このとき、ステップS313で、一時保存メッセージが画像情報または音声情報を文字列データに変換することで作成されたデータを含む場合には、端末情報処理部23は、ローカルストレージ234から一時保存メッセージを取り出した後に、文字列データを画像情報または音声情報に逆変換して画像情報または音声情報を生成することで、一時保存メッセージからメッセージを復元する。
メッセージがテキスト情報のみの場合には、端末情報処理部23は、一時保存メッセージから、テキスト情報に対応する、base64形式の文字列データを取得し、これを基にテキスト情報を復元する。メッセージが画像情報または音声情報のみの場合には、端末情報処理部23は、一時保存メッセージから、画像情報または音声情報が変換された、画像情報または音声情報に対応する、base64形式の文字列データを取得し、これを基に、画像情報または音声情報を復元する。メッセージが、例えばテキスト情報と画像情報を含む場合には、端末情報処理部23は、一時保存メッセージから、テキスト情報に対応する、base64形式の文字列データと、画像情報が変換された、画像情報に対応する、base64形式の文字列データとを、それぞれ、取得し、これを基にテキスト情報と画像情報を復元する。
【0035】
端末情報処理部23は、データ送受信部25を制御して、ローカルストレージ234から取り出した一時保存メッセージから取得され、復元、生成されたメッセージのデータを、ネットワーク9を介してサーバ5に送信する(ステップS315)。サーバ5は、ネットワーク9を介して、情報端末2から送信されたメッセージのデータを受信すると、データの送信が成功したことを示す信号を、ネットワーク9を介して情報端末2に返信する(ステップS316)。端末情報処理部23は、情報端末2が、サーバ5から、データの受信が成功したことを示す信号を受信すると、ローカルストレージ234に記憶されていた一時保存メッセージのデータをクリアし(ステップS317)、メッセージの送信処理を終了する。
【0036】
なお、上記のステップS302で、端末情報処理部23に、サーバ5への送信が失敗したことを示す信号が通知されて以降、ステップS317で、ローカルストレージ234に記憶されていた一時保存メッセージのデータをクリアするまでの間、端末情報処理部23は、情報端末2の情報表示部26に、警告を表示する。
図11は、サーバとの通信状態が遮断されている場合に、情報端末の情報表示部に表示される警告の一例を示す図である。
図11に示すように、端末情報処理部23は、データ送受信部25によりメッセージをサーバ5に送信するに際し、通信状態が遮断されている場合に、メッセージに画像情報が含まれていれば、その画像情報とともにメッセージを情報表示部26に表示するとともに、通信の失敗に関する警告J1を表示する。この警告J1に含まれる文言としては、例えばメッセージにテキスト情報と画像情報の双方が含まれている場合には、「通信に失敗し、次の内容を送信できませんでした。文言:(送信しようとしたテキスト情報)、写真:(送信しようとした画像情報)。上記の内容はローカルストレージに保存し、通信が可能となり次第送信します。」といったものになる。メッセージにテキスト情報のみが含まれている場合には、上記の警告J1には、写真すなわち画像情報は表示されなくともよいし、メッセージに画像情報のみが含まれている場合には、上記の警告J1には、テキスト情報は表示されなくともよい。
なお、ウェブブラウザが終了されたり、表示されているページがリロードされたりした場合には、ローカルストレージ234の内容は消去される。そのため、上記の警告J1に加え、例えば「以降、通信が可能となるまで、ウェブブラウザを終了したり、ページをリロードしたりしないようにしてください」等の文言を、更なる警告として表示するようにしてもよい。
【0037】
端末情報処理部23は、通信状態が遮断されている場合に、ローカルストレージ234の使用量と空き容量を表示する。本実施形態においては、端末情報処理部23は、
図11に示されるように、使用量V1と空き容量V2を、インジケータマークやアイコンにより表示する。使用量と空き容量は、具体的な数値として表示してもよい。
図11の例においては、ローカルストレージ234の空き容量V2が所定の閾値以上であり、まだ容量に余裕がある正常状態にあることを示している。このような状態においては、使用量V1と空き容量V2を示すインジケータは、例えば青や緑などの、淡い、安全を意識させる色で表示されている。
【0038】
図12は、ローカルストレージの空き容量が不足している場合に、情報端末の情報表示部に表示される警告の一例を示す図である。
端末情報処理部23は、
図12の例のように、ローカルストレージ234の空き容量V2が、ステップS313で作成した一時保存メッセージよりも小さく、ローカルストレージ234に一時保存メッセージを保存できない場合には、既にローカルストレージ234に保存されている一時保存メッセージを、この一時保存メッセージに画像情報が含まれていれば画像情報とともに表示して、空き容量の不足を警告するための、警告J2を表示する。この警告J2に含まれる文言としては、例えば、「ローカルストレージには、既に、次の内容が保存されており、新たな内容を保存できません。文言:(既にローカルストレージに保存されている一時保存メッセージ中のテキスト情報)、写真:(既にローカルストレージに保存されている一時保存メッセージ中の画像情報)。現在保存されている内容を削除しますか?」といったものとなる。一時保存メッセージにテキスト情報のみが含まれている場合には、上記の警告J2には、写真すなわち画像情報は表示されなくともよいし、一時保存メッセージに画像情報のみが含まれている場合には、上記の警告J2には、テキスト情報は表示されなくともよい。
この場合においては、「はい」、「いいえ」に相当するボタンを続いて表示して、「はい」が選択された場合には、既にローカルストレージに保存されている一時保存メッセージを削除して、新たに作成した一時保存メッセージをローカルストレージ234に保存し、「いいえ」が選択された場合には、新たに作成した一時保存メッセージを破棄して、既にローカルストレージに保存されている一時保存メッセージを維持するようにしてもよい。
【0039】
端末情報処理部23は、
図12の例においては、ローカルストレージ234の空き容量V2が所定の閾値以下であり、容量に余裕がなく、新たにメッセージを作成してもローカルストレージ234に保存できない可能性がある、すなわち機能が一時停止される可能性がある状態にあることを示している。このような状態においては、使用量V1と空き容量V2を示すインジケータは、例えば赤などの、危険を意識させる色で表示されている。なお、正常状態か機能が一時停止した状態かの表示は、
図11、
図12に示されるようなインジケータの色で区別するのではなく、正常状態か否かを示すための、専用のアイコン等を用いて、これにより識別させるのでも構わない。あるいは、ポップアップウィンドウ等に機能の一時停止を文字情報として表示してもよい。
特に、このような、新たにメッセージを作成してもローカルストレージ234に保存できないことがほぼ明らかであるような場合においては、例えば、「これ以上メッセージを新規に保存できません。以降、通信状態が正常となるまで、携帯電話に付属のカメラアプリによって写真を撮影し、後に通信状態が正常となった後に、撮影された写真をシステムに登録してください」等のように、機能の一時停止を示すとともに、代替手段を示すような警告を表示するようにしてもよい。
このような警告を表示することで、利用者は、例えば、写真や動画の撮影を行うのであれば、情報端末2に搭載されているカメラ等の、他のアプリケーションを利用するように、誘導される。このような他のアプリケーションによって撮影された写真は、例えば、情報端末2の情報表示部26に表示される、画像登録ボタン(図示なし)等を利用者が選択し、その後表示される案内に従うこと等により、帳票作成システム1に画像情報として登録するように、構成することが可能である。
【0040】
端末情報処理部23は、ステップS305で、サーバ5との通信状態が疎通していることが確認され、ステップS314で一時保存メッセージからメッセージを取得して復元し、ステップS315でメッセージをサーバ5へと送信した後に、ステップS317でローカルストレージ234内の一時保存メッセージを削除し、通信の失敗に関する警告J1や、空き容量の不足に関する警告J2等の、現時点で表示されている警告や、インジケータを非表示とする。
【0041】
図13は、情報端末が、例えば機内モードに設定される等して、通信ができない場合における、情報端末とサーバとの間でのデータの送受信を示すチャート図である。
メッセージが作成された場合、端末情報処理部23は、メッセージのデータ(音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ)を、情報端末2のメモリからなるデータ記憶部24に保存させる(ステップS411)。
このとき、情報端末2が、例えば機内モードに設定される等して、データ送受信部25を介した通信ができない状態である場合、イベント処理部28は、端末情報処理部23に対し、データ送受信部25の通信機能がOFFであることを通知する(ステップS412)。
端末情報処理部23は、ステップS412で通知された、データ送受信部25の通信機能がOFFであることを示す信号に基づいて、情報端末2とサーバ5との通信状態が遮断されていることを確認した場合、メッセージのデータを、データ記憶部24から取り出し(ステップS413)、取り出したデータを、一時保存メッセージとして、ローカルストレージ234に保存する(ステップS414)。
図10の場合と同様に、メッセージ内に、バイナリデータである画像情報または音声情報が含まれている場合には、端末情報処理部23は、これら画像情報または音声情報を、base64形式の文字列データに変換して、一時保存メッセージを作成する。端末情報処理部23は、作成した一時保存メッセージを、ローカルストレージ234に保存する。
【0042】
その後、情報端末2が、例えば機内モードから解除される等して、データ送受信部25を介した通信が可能な状態となった場合に、イベント処理部28は、端末情報処理部23に対し、データ送受信部25の通信機能がONとなったことを通知する(ステップS415)。
端末情報処理部23は、データ送受信部25の通信機能がONとなったことを示す通知を受け取ると、データ送受信部25に対し、サーバ5との通信状態の疎通確認を要求する(ステップS416)。要求を受けたデータ送受信部25は、ネットワーク9を介したサーバ5との通信状態の確認を行うため、ネットワーク9を介し、サーバ5に対し、通信状態の疎通確認のための信号を送信する(ステップS417)。サーバ5から疎通確認が成功したことを示す信号を受け取ると(ステップS418)、データ送受信部25は、端末情報処理部23に対し、サーバ5との通信状態の疎通確認が取れたことを示す信号を通知する(ステップS419)。
【0043】
端末情報処理部23は、サーバ5との通信状態が疎通していることが確認されると、ローカルストレージ234から一時保存メッセージのデータを取り出す(ステップS420)。このとき、ステップS414で、一時保存メッセージが画像情報または音声情報を文字列データに変換することで作成されたデータを含む場合には、端末情報処理部23は、ローカルストレージ234から一時保存メッセージを取り出した後に、文字列データを画像情報または音声情報に逆変換して画像情報または音声情報を生成することで、一時保存メッセージからメッセージを復元する。
端末情報処理部23は、データ送受信部25を制御して、ローカルストレージ234から取り出した一時保存メッセージから取得され、復元、生成されたメッセージのデータを、ネットワーク9を介してサーバ5に送信する(ステップS421)。サーバ5は、ネットワーク9を介して、情報端末2から送信されたメッセージのデータを受信すると、データの送信が成功したことを示す信号を、ネットワーク9を介して情報端末2に返信する(ステップS422)。端末情報処理部23は、情報端末2が、サーバ5から、データの受信が成功したことを示す信号を受信すると、ローカルストレージ234に記憶されていた一時保存メッセージのデータをクリアし(ステップS423)、メッセージの送信処理を終了する。
【0044】
上述したような建設現場用の帳票作成システム1は、複数の情報端末2間でのメッセージの送受信を、サーバ5を介して繰り返すことで帳票100を作成する、建設現場用の帳票作成システム1であって、帳票100は、建設現場での工事記録及び改善されるべき指摘事項の管理に関する帳票100を含み、複数の情報端末2の各々は、メッセージ及び帳票100を表示する情報表示部26と、情報端末2が有する音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に、メッセージを作成する端末情報処理部23と、端末情報処理部23により制御されて、メッセージをサーバ5に送信し、サーバ5から作成された帳票100を受信するデータ送受信部25を備え、端末情報処理部23は、ウェブアプリケーションとして提供され、サーバ5は、複数の情報端末2からメッセージを取得する情報取得部51と、メッセージに基づいて帳票100を作成する情報処理部53と、メッセージ及び帳票100を保管するデータ蓄積部52と、を備えており、端末情報処理部23は、データ送受信部25によりメッセージをサーバ5に送信するに際し、情報端末2とサーバ5との通信状態を確認し、通信状態が遮断されている場合に、メッセージ内に画像情報または音声情報が含まれていれば、これらを文字列データに変換して一時保存メッセージを作成し、一時保存メッセージをローカルストレージ234に保存し、通信状態が疎通していることが確認されると、文字列データを画像情報または音声情報に逆変換して一時保存メッセージからメッセージを復元し、メッセージをサーバ5へと送信する。
このような構成によれば、情報端末2の端末情報処理部23により、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に、メッセージを作成する。作成されたメッセージは、端末情報処理部23により制御されて、情報端末2のデータ送受信部25により、サーバ5に送信される。サーバ5の情報処理部53は、情報端末2から取得したメッセージに基づいて、帳票100を作成する。サーバ5のデータ蓄積部52は、情報端末2から送信されたメッセージ、及び作成された帳票100を蓄積する。作成された帳票100は、サーバ5から情報端末2に送信される。情報端末2のデータ送受信部25は、サーバ5から、作成された帳票100を受信する。
このようにして、情報端末2を用いて、複数の人間が、メッセージの送受信を繰り返すと、メッセージに基づいて帳票100が作成され、データ蓄積部52に保管される。したがって、の人間の各々が情報端末2で帳票100に情報を入力しなくても、帳票100を作成することができる。
上記のような帳票作成システム1の情報端末2において、メッセージを作成し、データ送受信部25を制御してメッセージを送信する処理を行う端末情報処理部23は、情報端末2のOS上で直接動作するアプリケーションとしてではなく、複数種のOS上で共通して動作するウェブブラウザの上で動作する、ウェブアプリケーションとして提供されている。このため、端末情報処理部23を開発するに際し、ウェブブラウザ上で動作するように製作すればよく、OS上で動作するアプリケーションとして、複数種のOSに対応するように製作する必要がない。このため、帳票作成システム1の開発コストが低減される。
ここで、メッセージの送受信を、サーバ5を介して繰り返すに際し、通信状態等によって、メッセージや帳票100が送受信できないことがある。特に上記のような形態においては、端末情報処理部23はウェブアプリケーションとして提供されるため、例えばメッセージの送信に失敗すると、送信しようとしたメッセージが消失することがある。これに対応するため、本帳票作成システム1においては、以下のような構成を有する。
まず、端末情報処理部23は、データ送受信部25によりメッセージをサーバ5に送信するに際し、情報端末2とサーバ5との通信状態を確認する。端末情報処理部23は、情報端末2とサーバ5との通信状態が遮断されている場合に、メッセージを一時保存メッセージとして、ウェブブラウザで実行されるHTMLの機能としてのローカルストレージ234に保存する。ここで、上記のような構成においては、メッセージは、音声情報、テキスト情報、及び画像情報の少なくとも1つ以上を基に作成されるところ、ローカルストレージには文字列形式としてデータが保存されるため、画像情報や音声情報などのバイナリデータは、そのままでは、ローカルストレージ234には保存できない。そこで、端末情報処理部23は、メッセージ内に画像情報または音声情報が含まれていれば、これらを文字列データに変換して、一時保存メッセージを作成し、作成した一時保存メッセージを、ローカルストレージ234に保存する。その後、端末情報処理部23は、情報端末2とサーバ5との通信状態が疎通していることが確認されると、文字列データを、画像情報または音声情報に逆変換して一時保存メッセージからメッセージを復元し、メッセージをサーバ5へと送信する。このように、情報端末2とサーバ5との通信状態が遮断されている場合に、メッセージに含まれる画像情報または音声情報を、ウェブアプリケーションのローカルストレージ234に一時的に退避させることで、画像情報や音声情報の消失を抑制することができる。したがって、建設現場用の帳票作成システム1の信頼性を高めることができる。
このように、帳票作成システム1の情報端末2側の機能をウェブアプリケーションとして実現しながらも、信頼性の低下を抑制することによって、信頼性を維持しつつ、低コストで実現できる、建設現場用の帳票作成システム1を提供することができる。
【0045】
また、端末情報処理部23は、データ送受信部25によりメッセージをサーバ5に送信するに際し、通信状態が遮断されている場合に、メッセージに画像情報が含まれていれば画像情報とともにメッセージを表示して、通信の失敗に関する警告J1を表示し、ローカルストレージ234の使用量と空き容量を表示し、空き容量が作成した一時保存メッセージよりも小さければ、既にローカルストレージ234に保存されている一時保存メッセージを、一時保存メッセージに画像情報が含まれていれば画像情報とともに表示して、空き容量の不足に関する警告J2を表示し、端末情報処理部23は、通信状態が疎通していることが確認されると、一時保存メッセージからメッセージを復元し、メッセージをサーバ5へと送信した後に、ローカルストレージ234内の一時保存メッセージを削除して、通信の失敗に関する警告J1及び空き容量の不足に関する警告J2を非表示とする。
このような構成によれば、データ送受信部25によりメッセージをサーバ5に送信するに際し、通信状態が遮断されている場合に、端末情報処理部23は、メッセージに画像情報が含まれていれば画像情報とともにメッセージを表示して、通信の失敗に関する警告を表示する。これにより、情報端末2の利用者は、通信が失敗したことを明確に認識することができる。
また、端末情報処理部23は、ローカルストレージ234の使用量と空き容量を表示し、空き容量が作成した一時保存メッセージよりも小さければ、既にローカルストレージ234に保存されている一時保存メッセージを、この一時保存メッセージに画像情報が含まれていれば画像情報とともに表示して、空き容量の不足に関する警告J2を表示する。これにより、情報端末2の利用者は、ローカルストレージ234の空き容量が不足していることを認識できるので、帳票作成システム1を更に継続して使用してメッセージを送信しようとして、当該メッセージが消失することを抑制可能である。
さらに、端末情報処理部23は、通信状態が疎通していることが確認されると、一時保存メッセージからメッセージを復元し、メッセージをサーバ5へと送信した後に、ローカルストレージ234内の一時保存メッセージを削除して、通信の失敗に関する警告及び空き容量の不足の警告を非表示とする。これにより、一時的に通信状態が遮断され、メッセージを送信できない状況であったとしても、通信状態が疎通した後に、端末情報処理部23によって、一時保存メッセージから復元したメッセージをサーバ5に自動的に送信することができる。また、復元したメッセージのサーバ5への送信後、通信の失敗に関する警告J1及び空き容量の不足に関する警告J2が非表示とされることで、情報端末2の利用者は、通信状態、及び空き容量不足の問題が解消し、メッセージの送信が完了したことを認識することができる。
【0046】
また、端末情報処理部23は、データ送受信部25によりメッセージをサーバ5に送信するに際し、通信状態が遮断されている場合において、一定時間が経過した後、または情報端末2の位置が変化した際に、情報端末2とサーバ5との通信状態を再確認し、通信状態が疎通していることが確認されると、メッセージを復元してサーバ5へと送信し、ローカルストレージ234の空き容量が閾値以下の場合は、情報表示部26に機能の一時停止を表示し、空き容量が閾値以上の場合は正常状態であることを表示する。
このような構成によれば、通信状態が遮断されている場合に、一定時間が経過した後、または情報端末2の位置が変化した際に、情報端末2とサーバ5との通信状態を再確認し、通信状態が疎通していることが確認されると、メッセージを復元してサーバ5へと送信する。これにより、通信状態が遮断されていることによって、メッセージを送信できなかった場合であっても、時間経過または情報端末2の位置の変化を契機として通信状態を再確認し、通信状態が疎通したときに、メッセージを自動的に再送信することができる。
また、ローカルストレージ234の空き容量が閾値以下の場合は、情報表示部26に機能の一時停止を表示し、空き容量が閾値以上の場合は正常状態であることを表示することによって、情報端末2の利用者は、ローカルストレージ234の空き容量が不足しているか否かを認識できる。
【0047】
(実施形態の変形例)
なお、本発明の建設現場用の帳票作成システムは、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、建設現場用の帳票作成システム1で帳票100を作成していく例を示したが、その具体的な構成、帳票100を作成するための手順等については、何ら限定するものではない。
例えば、上記実施形態では、建設現場において改善されるべき指摘事項の例として、足場への巾木の設置を挙げたが、もちろん、これ以外の指摘事項に対しても適用可能である。例えば、建設現場における安全の確保、建設現場における注意事項、指示事項等の共有のため、現場責任者から各担当者(作業者)への各種の通知、および通知に対する各担当者からの確認等を、建設現場用の帳票作成システム1によるメッセージの送受信で行いつつ、帳票100への自動記録を行うようにしてもよい。具体例としては、玉掛け作業に使用するワイヤーの色、建設現場への車両の出入り予定、揚重作業の実施予定、打ち合わせの実施予定、悪天候等による作業中止通知など、様々なものがある。
また、現場責任者に限らず、各担当者(作業者)が気づいた改善事項や、担当者間における問い合わせ等を、建設現場用の帳票作成システム1によるメッセージの送受信で行いつつ、帳票100への自動記録を行うようにしてもよい。具体例としては、資材の残量減少に伴う資材補充のリクエスト、機材の使用の有無の問い合わせ、等である。
また、機材や足場等の定期点検の報告、機材等の使用届、各種作業の分担連絡、資材発注先との資材発注、産業廃棄物等の処理依頼等を行うに際し、建設現場用の帳票作成システム1によるメッセージの送受信で行いつつ、帳票100への自動記録を行うようにしてもよい。
また、作業現場の作業員による自主検査や、現場責任者による受入検査、施工スケジュール(計画)の提出及びそれに対する承認、作業人員の調整等を行うに際し、建設現場用の帳票作成システム1によるメッセージの送受信で行いつつ、帳票100への自動記録を行うようにしてもよい。
このように、帳票は、施工の品質や安全、予算管理、工程管理に関連するものを含んでいてもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 帳票作成システム 53 情報処理部
2、2A、2B 情報端末 100 帳票
5 サーバ 234 ローカルストレージ
23 端末情報処理部 J1 通信の失敗に関する警告
25 データ送受信部 J2 空き容量の不足に関する警告
26 情報表示部 V1 使用量
51 情報取得部 V2 空き容量
52 データ蓄積部