(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154695
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】シールド掘進機の方向制御システムおよび方向制御方法
(51)【国際特許分類】
E21D 9/093 20060101AFI20231013BHJP
【FI】
E21D9/093 C
E21D9/093 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064207
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】松原 健太
(72)【発明者】
【氏名】林 成卓
(72)【発明者】
【氏名】中本 淳
(72)【発明者】
【氏名】荒井 総一郎
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AA01
2D054AA02
2D054GA02
2D054GA04
2D054GA25
2D054GA56
2D054GA62
(57)【要約】
【課題】掘進指示値と実測値との間のずれを加味したうえで方向制御を行うことのできるシールド掘進機の方向制御システムおよび方向制御方法を提供する。
【解決手段】方向制御システムは、ストローク差およびジャイロ方位について先行の掘進方向区間における実測値を取得する処理と、ストローク差およびジャイロ方位について初期指示値と実測値との差異を算出する処理と、ストローク差の差異を変換したジャイロ方位変換値とジャイロ方位の差異を変換したストローク差変換値とを算出する処理と、ストローク差の実測値とストローク差変換値とに基づくストローク差修正指示値を算出するとともにジャイロ方位の実測値とジャイロ方位変換値とに基づくジャイロ方位修正指示値を算出する処理と、初期指示値、修正指示値、および、重み付け値を用いて、後続の掘進方向区間のストローク差指示値とジャイロ方位指示値とを算出する処理と、を実行する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する複数の掘進方向区間で構成された掘進予定範囲をストローク差指示値とジャイロ方位指示値とに基づいて掘進するシールド掘進機の方向制御システムであって、
ストローク差およびジャイロ方位の各々について、先行の掘進方向区間における実測値と後続の掘進方向区間における初期指示値とを取得し、
前記ストローク差および前記ジャイロ方位の各々について、前記初期指示値と前記実測値との差異を算出し、
前記ストローク差の差異を前記ジャイロ方位に変換したジャイロ方位変換値と前記ジャイロ方位の差異を前記ストローク差に変換したストローク差変換値とを算出し、
前記ストローク差の実測値と前記ストローク差変換値とに基づくストローク差修正指示値を算出するとともに前記ジャイロ方位の実測値と前記ジャイロ方位変換値とに基づくジャイロ方位修正指示値を算出し、
前記ストローク差の初期指示値、前記ストローク差修正指示値、および、前記ストローク差の重み付け値を用いて、前記後続の掘進方向区間についての前記ストローク差指示値を算出し、
前記ジャイロ方位の初期指示値、前記ジャイロ方位修正指示値、および、前記ジャイロ方位の重み付け値を用いて、前記後続の掘進方向区間についての前記ジャイロ方位指示値を算出する
シールド掘進機の方向制御システム。
【請求項2】
実績ストローク差と実績水平力点の回帰分析によって、推奨力点の水平方向成分である推奨水平力点を算出可能な回帰式を導出し、
前記回帰式に対し、前記ストローク差の実測値と前記ストローク差指示値との差を説明変数として入力することで前記推奨水平力点を算出する
請求項1に記載のシールド掘進機の方向制御システム。
【請求項3】
前記重み付け値として、掘進管理者によって設定された値を取得する
請求項1または2に記載のシールド掘進機の方向制御システム。
【請求項4】
シールド偏差およびテールクリアランスの各々についての実測値と管理値とを取得し、
前記シールド偏差の実測値、前記シールド偏差の管理値、前記テールクリアランスの実測値、および、前記テールクリアランスの管理値を重み付け関数に入力して前記重み付け値を算出する
請求項1または2に記載のシールド掘進機の方向制御システム。
【請求項5】
連続する複数の掘進方向区間で構成された掘進予定範囲をストローク差指示値とジャイロ方位指示値とに基づいて掘進するシールド掘進機の方向制御方法であって、
前記シールド掘進機の方向制御システムが、
ストローク差およびジャイロ方位の各々について、先行の掘進方向区間における実測値と後続の掘進方向区間における初期指示値とを取得する工程と、
前記ストローク差および前記ジャイロ方位の各々について、前記初期指示値と前記実測値との差異を算出する工程と、
前記ストローク差の差異を前記ジャイロ方位に変換したジャイロ方位変換値と前記ジャイロ方位の差異を前記ストローク差に変換したストローク差変換値とを算出する工程と、
前記ストローク差の実測値と前記ストローク差変換値とに基づくストローク差修正指示値を算出するとともに前記ジャイロ方位の実測値と前記ジャイロ方位変換値とに基づくジャイロ方位修正指示値を算出する工程と、
前記ストローク差の初期指示値、前記ストローク差修正指示値、および、前記ストローク差の重み付け値を用いて、前記後続の掘進方向区間についての前記ストローク差指示値を算出する工程と、
前記ジャイロ方位の初期指示値、前記ジャイロ方位修正指示値、および、前記ジャイロ方位の重み付け値を用いて、前記後続の掘進方向区間についての前記ジャイロ方位指示値を算出する工程と、を実行する
シールド掘進機の方向制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド掘進機の方向制御システムおよび方向制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド掘進機は、掘進方向の自動制御化が検討されている。例えば、特許文献1では、シールド掘進機を計画線形に沿うよう掘進させるべく、ジャッキ推力の作用力点として推奨する推奨力点を算出している。推奨力点の水平方向成分である推奨水平力点は、実績ストローク差と実績水平力点の回帰分析の結果に基づいて算出されている。また、推奨力点の垂直方向成分である推奨垂直力点は、実績ピッチング角度差と実績垂直力点の回帰分析に基づいて算出されている。これにより、オペレーターは、推奨力点を参照して目標力点を決定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シールド掘進機による掘進の方向制御は、水平方向についてはストローク差などの掘進指示値に基づいて行われる。また、その掘進指示値は、掘進予定範囲を構成する複数の掘進方向区間についてまとめて設定されることが一般的である。
【0005】
しかしながら、シールドジャッキの推力などの影響を受けてセグメントに変位が生じるため、1つの掘進方向区間についての掘進が終了したとき、掘進指示値と実測値との間にずれが生じる。そのため、そのずれを加味したうえで後続の掘進方向区間における方向制御が行われることが望ましい。なお、セグメントの変位の影響を受けないジャイロ方位に基づいて掘進する方法もあるが、ジャイロ方位の掘進指示値を具現化するためにストローク差が過大になってしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するシールド掘進機の方向制御システムは、連続する複数の掘進方向区間で構成された掘進予定範囲をストローク差指示値とジャイロ方位指示値とに基づいて掘進するシールド掘進機の方向制御システムであって、ストローク差およびジャイロ方位の各々について、先行の掘進方向区間における実測値と後続の掘進方向区間における初期指示値とを取得し、前記ストローク差および前記ジャイロ方位の各々について、前記初期指示値と前記実測値との差異を算出し、前記ストローク差の差異を前記ジャイロ方位に変換したジャイロ方位変換値と前記ジャイロ方位の差異を前記ストローク差に変換したストローク差変換値とを算出し、前記ストローク差の実測値と前記ストローク差変換値とに基づくストローク差修正指示値を算出するとともに前記ジャイロ方位の実測値と前記ジャイロ方位変換値とに基づくジャイロ方位修正指示値を算出し、前記ストローク差の初期指示値、前記ストローク差修正指示値、および、前記ストローク差の重み付け値を用いて、前記後続の掘進方向区間についての前記ストローク差指示値を算出し、前記ジャイロ方位の初期指示値、前記ジャイロ方位修正指示値、および、前記ジャイロ方位の重み付け値を用いて、前記後続の掘進方向区間についての前記ジャイロ方位指示値を算出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、掘進指示値と実測値との間に生じたずれを加味したうえでシールド掘進機の方向制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】シールド掘進機および方向制御システムの一実施形態の概略構成を示す図である。
【
図2】シールド掘進機を模式的に示す正面図である。
【
図3】シールド掘進機による掘進予定範囲、掘進方向区間、および、計測点を示す図である。
【
図4】シールド制御装置の操作盤上の力点を示す図である。
【
図5】(a)はシールド掘進機の計画線形に対する水平方向の逸脱量を示す図であり、(b)はシールド掘進機の計画線形に対する垂直方向の逸脱量を示す図である。
【
図6】方向制御装置の構成を示す機能ブロック図である。
【
図7】掘進指示値補正部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図8】実指示値算出処理を示すフローチャートである。
【
図9】目標力点推奨部の構成を示す機能ブロック図である。
【
図10】推奨力点算出処理を示すフローチャートである。
【
図11】ジャイロ方位の重み付け値の設定例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1~
図10を参照して、方向制御方法および方向制御システムの第1実施形態について説明する。
【0010】
まず、
図1~
図4を参照しつつ、シールド掘進機20、ジャッキ推力の作用力点、実力点E、推奨力点R、目標力点G、掘進指示値(掘進指示書)の概略について、その概略を説明する。
【0011】
(シールド掘削機)
図1および
図2に示すように、シールド掘進機20は、シールド工法によってトンネル10を形成する際に用いられる。シールド工法では、シールド掘進機20による掘削によってトンネル10が形成されたのち、そのトンネル10の内壁面を覆うように複数のセグメント11によって覆工体が形成される。
【0012】
シールド掘進機20は、外殻体21、シールドジャッキ22、および、シールド制御装置23を備える。外殻体21は、筒状をなしている。上述した覆工体は、外殻体21の内部における後側にて形成される。外殻体21の先端には、外殻体21の中心軸を回転中心として回転可能なカッターヘッド24が設けられている。シールドジャッキ22は、外殻体21の周方向において所定の間隔で、かつ、外殻体21の周面に沿うように設けられている。シールドジャッキ22は、上述した覆工体から掘進用の反力を得る。シールド制御装置23は、カッターヘッド24の回転や各シールドジャッキ22の伸張など、シールド掘進機20の駆動を制御する。
【0013】
シールド掘進機20は、カッターヘッド24を回転させながらシールドジャッキ22を伸張させることで地盤を掘進する。シールド掘進機20の掘進方向は、複数のシールドジャッキ22によるジャッキ推力の作用力点の位置により制御される。
【0014】
(ジャッキ推力の作用力点)
図2に示すように、作用力点の位置は、各シールドジャッキ22に設定されるジャッキ圧の配置パターン(ジャッキパターン)により決定される。具体的には、作用力点の位置は、シールド掘進機20の掘進に寄与するジャッキ圧が設定されるシールドジャッキ22の配置と掘進に寄与しないジャッキ圧が設定されるシールドジャッキ22の配置とにより決定される。シールド掘進機20は、ジャッキパターンにより作用力点の位置を変化させることで、その作用力点に応じた掘進方向へ掘進する。
【0015】
(掘進指示値)
図3に示すように、シールド掘進機20を用いたトンネル施工の際、掘進管理者は、掘進予定範囲L1における計画線形Lに沿ってシールド掘進機20が掘進するように、初期指示値である掘進指示値が設定された掘進指示書を作成する。掘進指示値は、掘進予定範囲L1を区分けした連続する複数の掘進方向区間L2ごとに設定される。なお、
図3においては、セグメント11の1リング分の幅を掘進方向区間L2、3区画分の掘進方向区間L2を掘進予定範囲L1とした事例を示している。
【0016】
掘進指示値は、ストローク差の掘進指示値とジャイロ方位の掘進指示値とを含んでいる。また、掘進指示値は、ピッチング角度差、水レベル値、および、コピーカッターの位置・伸び量の各々についての掘進指示値を含んでいる。
【0017】
ストローク差は、
図2で示すようなシールド掘進機20において、左右端に位置するシールドジャッキ22の伸縮量(シールドジャッキストローク)の差である。ジャイロ方位は、ジャイロセンサによる計測値である。
【0018】
ピッチング角度差は、掘進方向区間L2を掘進した前後におけるピッチング角の差、具体的には掘進方向区間L2を掘進した前後における上下方向のシールド掘進機20の傾斜角度の差である。水レベル値は、水レベル計による計測値である。
【0019】
なお、掘進指示値が設定される掘進方向区間L2の距離や掘進予定範囲L1の区間数もなんら限定されるものではない。シールド掘進機20のオペレーターは、掘進指示値を満足するように方向制御システム30を用いてシールド掘進機20の掘進方向を制御することで、シールド掘進機20を計画線形Lに沿って掘進させる。
【0020】
(推奨力点R、目標力点G、および、実力点E)
図4に示すように、方向制御システム30は、計画線形Lに沿ってシールド掘進機20を掘進させる作用力点として、推奨力点Rを算出する。推奨力点Rは、過去の実績データに基づいて、次の掘進方向区間L2において目標力点Gとして推奨される作用力点である。シールド掘進機20のオペレーターは、算出された推奨力点Rを参照しつつ、ジャッキ推力の目標力点Gを決定する。
【0021】
作用力点は、水平力点と垂直力点とで構成される。水平力点および垂直力点は、複数のシールドジャッキ22の各々におけるジャッキ推力の合力に基づいて算出される。水平力点は、水平方向成分の作用点であって、シールド掘進機20の中心軸線Aを通る水平方向線上の作用点である。垂直力点は、垂直方向成分の作用点であって、水平方向線と直交し、かつ、シールド掘進機20の中心軸線Aを通る垂直方向線上の作用点である。
【0022】
方向制御システム30は、1区画分の掘進方向区間L2を掘進するごとに取得する実績ストローク差、実績ピッチング角度差、実績水平力点、実績垂直力点に基づいて、推奨力点Rを算出する。
【0023】
実績ストローク差と実績水平力点は、1区画分の掘進方向区間L2を掘進した後におけるストローク差と水平力点である。実績ピッチング角度差と実績垂直力点は、1区画分の掘進方向区間L2を掘進した後におけるピッチング角度差と垂直力点である。
【0024】
ところで、推奨力点Rは、シールド掘進機20の姿勢やテールクリアランス(シールド掘進機20とセグメント11のすき間)、余掘り量など、シールド掘進機20の方向制御に影響を及ぼす要因の全てを反映しているわけではない。このため、シールド掘進機20のオペレーターは、推奨力点Rを参照しつつ、シールド掘進機20の性能や地盤の状況、過去の経験等を加味してジャッキ推力の目標力点Gを決定する。オペレーターは、決定した目標力点Gを、方向制御システム30を通じてシールド制御装置23に入力する。シールド制御装置23は、ジャッキ推力の実力点Eが目標力点Gを追従するように各シールドジャッキ22のジャッキ圧を制御する。なお、シールド制御装置23は、オペレーターが決定した目標力点Gが実力点Eとなるようにオペレーター自身が手動で指示したジャッキパターンに基づいて、各シールドジャッキ22のジャッキ圧を制御してもよい。
【0025】
(シールド掘進機の方向制御システム)
図1、
図5~
図10を参照して、方向制御システム30について説明する。
図1に示すように、方向制御システム30は、シールド掘進機20に設置されたシールド制御装置23と相互通信可能に構成されている。方向制御システム30は、相互通信可能に構成された掘進管理装置40と方向制御装置50とを備える。
【0026】
なお、シールド制御装置23、掘進管理装置40、および、方向制御装置50は、情報処理装置を中心に構成されている。情報処理装置は、たとえばcircuitry、すなわち、ASICのような1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上の処理回路、或いは両者の組み合わせによって実現することができる。処理回路は、CPUと、CPUによって実行されるプログラムを記憶したメモリ(ROMおよびRAM等)と、を有する。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0027】
(掘進管理装置)
掘進管理装置40は、シールド掘進機20に搭載された各種の計測機器25の計測値に基づいて、掘進作業中の各種情報の収集・計算・記録・蓄積を行うとともに、シールド掘進機20の稼働状況を監視する装置である。
【0028】
計測機器25は、水平方向に関する計測値として、ストローク差とジャイロ方位とを計測する。計測機器25は、垂直方向に関する計測値として、ピッチング角度差と水レベルとを計測する。計測機器25は、水平方向および垂直方向の各々におけるテールクリアランスを計測する。
【0029】
図5(a)および
図5(b)に示すように、掘進管理装置40は、シールド掘進機20の位置・姿勢、および、施工計画に基づく計画線形Lに対する水平方向の逸脱量Dhおよび垂直方向の逸脱量Dv等を把握する。
【0030】
また、掘進管理装置40は、シールドジャッキ22のジャッキ推力に基づいて、実力点Eについての水平力点および垂直力点を算出する。掘進管理装置40は、上述した計測機器25の計測値に基づいて、シールド掘進機20のストローク差やピッチング角度差の現在値など、シールド掘進機20の稼働状態に関するデータを取得する。
【0031】
シールド掘進機20の稼働状態に関するデータとして、掘進管理装置40は、例えば、推奨力点Rの算出に用いられる推奨力点算出用データを取得する。
推奨力点算出用データの取得において、掘進管理装置40は、
図3に示した掘進方向区間L2の1区間分を掘進するごとに、各種の計測機器25の計測値などに基づいてシールド掘進機20の位置を計測する。この計測結果に基づいて、掘進管理装置40は、シールド掘進機20のストローク差およびピッチング角度差、これらストローク差およびピッチング角度差に対応する作用力点(水平力点および垂直力点)を算出する。また、掘進管理装置40は、上記1区間分を掘進したときのカッターヘッド24の回転方向(右方向もしくは左方向)を取得する。
【0032】
そして、掘進管理装置40は、算出結果および回転方向を示すデータを推奨力点算出用データ(実績ストローク差、実績ピッチング角度差、実績水平力点、実績垂直力点、実績回転方向)として記録する。掘進管理装置40は、掘進方向区間L2の1区間分を掘進するごとに推奨力点算出用データを方向制御装置50に送信する。
【0033】
(方向制御装置)
図6に示すように、方向制御装置50は、入力装置51、出力装置52、処理装置53、ファイル装置54、および、メインメモリ55を備えている。
【0034】
入力装置51は、例えばキーボードやマウス、スキャナー、スイッチなど、オペレーターによって操作可能な装置である。出力装置52は、ディスプレイやプリンターなど、オペレーターが各種情報を確認可能な装置である。
【0035】
処理装置53は、メインメモリ55に格納された各種プログラムやデータに基づいて各種の処理を実行する。処理装置53は、プログラムの実行により機能する機能部として、掘進指示値補正部61、目標力点推奨部62、および、ジャッキパターンを抽出するパターン抽出部63を備える。
【0036】
掘進指示値補正部61は、掘進指示値を補正した値である実指示値を算出する。目標力点推奨部62は、推奨力点算出用データなどに基づいて推奨力点Rを算出する。パターン抽出部63は、推奨力点Rおよび目標力点Gの各々について、作用点が近似するジャッキパターンを抽出する。
【0037】
ファイル装置54は、半導体メモリ又はハードディスクドライブ等からなる記憶装置である。ファイル装置54には、指示データファイル65が格納されている。指示データファイル65には、掘進指示書において設定された掘進指示値が格納されている。掘進指示値は、入力装置51を介して方向制御装置50に入力されて指示データファイル65に保存される。掘進指示値は、掘進予定範囲L1を構成する各掘進方向区間L2の掘進指示値がまとめて入力される。
【0038】
ファイル装置54には、実指示値データファイル66が格納されている。実指示値データファイル66には、各掘進方向区間L2を掘進する際に実際に指示した実指示値が格納されている。
【0039】
ファイル装置54には、推奨力点Rに関する記憶部分として、データファイル67、回帰分析情報ファイル68、および、推奨力点設定用ファイル69が格納されている。
ファイル装置54には、ジャッキパターンファイル73などが格納されている。ジャッキパターンファイルには、作用力点と当該作用力点を具現化するジャッキパターンとが関連付けられたデータが保存されている。
【0040】
(実指示値算出部)
図7および
図8を参照して、方向制御装置50の掘進指示値補正部61について説明する。
【0041】
掘進指示値補正部61は、掘進方向区間L2の掘進が完了したときの計測値などに基づいて、次の掘進方向区間L2の掘進指示値を補正した値であって、次の掘進方向区間L2についての実指示値を算出する。第1実施形態の掘進指示値補正部61は、水平方向、すなわちストローク差およびジャイロ方位の各々について掘進指示値を補正して実指示値を算出する。ストローク差の実指示値はストローク差指示値であり、ジャイロ方位の実指示値はジャイロ方位指示値である。なお、掘進指示値補正部61は、掘進予定範囲L1を構成する最初の掘進方向区間L2については掘進指示値を実指示値として算出する。
【0042】
図7に示すように、掘進指示値補正部61は、プログラムの実行により機能する機能部として、計測データ取得部75、差異算出部76、変換部77、修正指示値算出部78、重み設定部79、および、実指示値算出部80を備える。
【0043】
図8に示すように、実指示値を算出するにあたり、掘進指示値補正部61は、実測値取得処理(ステップS101)、差異算出処理(ステップS102)、変換処理(ステップS103)、修正指示値算出処理(ステップS104)、重み設定処理(ステップS105)、算出処理(ステップS106)を実行する。こうした一連の処理は、掘進予定範囲L1を構成する最初の掘進方向区間L2の掘進が終了すると、以降の掘進方向区間L2を掘進する前に実行される。
【0044】
実測値取得処理(ステップS101)において、計測データ取得部75は、計測機器25の計測結果に基づいて、掘進方向区間L2の掘進が完了したときのストローク差の計測値とジャイロ方位の計測値とを各々の実測値として取得する。
【0045】
差異算出処理(ステップS102)において、差異算出部76は、計測データ取得部75が取得したストローク差の計測値と次の掘進方向区間L2についてのストローク差の掘進指示値との差異であるストローク差異を算出する。
【0046】
また、差異算出部76は、計測データ取得部75が取得したジャイロ方位の計測値と次の掘進方向区間L2についてのジャイロ方位の掘進指示値との差異であるジャイロ方位差異を算出する。
【0047】
変換処理(ステップS103)において、変換部77は、差異算出部76が算出したストローク差異をジャイロ方位に変換したジャイロ方位変換値を算出する。また、変換部77は、差異算出部76が算出したジャイロ方位差異をストローク差に変換したストローク差変換値を算出する。
【0048】
修正指示値算出処理(ステップS104)において、修正指示値算出部78は、計測データ取得部75が取得したストローク差の計測値と変換部77が算出したストローク差変換値とに基づいて、次の掘進方向区間L2におけるストローク差修正指示値を算出する。また、修正指示値算出部78は、計測データ取得部75が取得したジャイロ方位の計測値と変換部77が算出したジャイロ方位変換値とに基づいて、次の掘進方向区間L2におけるジャイロ方位修正指示値を算出する。
【0049】
重み設定処理(ステップS105)において、重み設定部79は、ストローク差およびジャイロ方位の各々についての実指示値を算出する際の重み付け値である重みWs,Wjを設定する。第1実施形態において、重み設定部79は、掘進管理者が設定した値であって入力装置51を通じて入力された値を重みWs,Wjとして設定する。この重みWs,Wjは、ストローク差とジャイロ方位のうちでどちらを重視するかを規定したものである。ストローク差の重みWsおよびジャイロ方位の重みWjは、0以上1以下の値であり、かつ、合計値(=Ws+Wj)が1となるように設定される。
【0050】
ストローク差を重視する場合、ストローク差の重みWsがジャイロ方位の重みWjよりも大きくなるように設定される。この場合、シールド掘進機20とセグメント11との位置関係を優先して掘進させることを重視することとなる。
【0051】
一方、ジャイロ方位を重視する場合、ジャイロ方位の重みWjがストローク差の重みWsよりも大きくなるように設定される。この場合、掘進方向の線形性、すなわち計画線形Lを優先して掘進させることを重視することとなる。
【0052】
算出処理(ステップS106)において、実指示値算出部80は、ストローク差について、次の掘進方向区間L2における初期指示値である掘進指示値、ストローク差修正指示値、ストローク差の重みWsに基づいて、ストローク差の実指示値(ストローク差指示値)を算出する。ストローク差の重みWsがジャイロ方位の重みWjよりも大きい場合、実指示値算出部80は、ストローク差修正指示値よりも掘進指示値に近い値をストローク差の実指示値として算出する。一方、ストローク差の重みWsがジャイロ方位の重みWjよりも小さい場合、実指示値算出部80は、掘進指示値よりもストローク差修正指示値に近い値をストローク差の実指示値として算出する。
【0053】
例えば、ストローク差の重みWsが1である場合、実指示値算出部80は、掘進指示値を実指示値として算出する。一方、重みWsが0である場合、実指示値算出部80は、ストローク差修正指示値を実指示値として算出する。すなわち、実指示値算出部80は、「Ws×掘進指示値+(1-Ws)×ストローク差修正指示値」を実指示値として算出する。
【0054】
また、実指示値算出部80は、ジャイロ方位について、次の掘進方向区間L2における初期指示値である掘進指示値、ジャイロ方位修正指示値、ジャイロ方位の重みWjに基づいて、ジャイロ方位の実指示値(ジャイロ方位指示値)を算出する。ジャイロ方位の重みWjがストローク差の重みWsよりも大きい場合、実指示値算出部80は、ジャイロ方位修正指示値よりも掘進指示値に近い値をジャイロ方位の実指示値として算出する。一方、ジャイロ方位の重みWjがストローク差の重みWsよりも小さい場合、実指示値算出部80は、掘進指示値よりもジャイロ方位修正指示値に近い値をジャイロ方位の実指示値として算出する。
【0055】
例えば、ジャイロ方位の重みWjが1である場合、実指示値算出部80は、掘進指示値を実指示値として算出する。重みWjが0である場合、実指示値算出部80は、ジャイロ方位修正指示値を実指示値として算出する。すなわち、実指示値算出部80は、「Wj×掘進指示値+(1-Wj)×ジャイロ方位修正指示値」を実指示値として算出する。
【0056】
実指示値算出部80は、算出したストローク差の実指示値とジャイロ方位の実指示値とを実指示値データファイル66に格納する。なお、実指示値算出部80は、掘進予定範囲L1を構成する最初の掘進方向区間L2については、ストローク差およびジャイロ方位の掘進指示値を実指示値として実指示値データファイル66に格納する。また、実指示値算出部80は、掘進指示値の補正を行わないピッチング角度差および水レベル値については、各々の掘進指示値を実指示値として実指示値データファイル66に格納する。
【0057】
(目標力点推奨部)
図9および
図10を参照して、方向制御装置50の目標力点推奨部62について説明する。目標力点推奨部62は、掘進管理装置40が送信した推奨力点算出用データをファイル装置54のデータファイル67に格納して蓄積する。目標力点推奨部62は、推奨力点算出用データを用いた回帰分析を通じて推奨力点Rを算出する。推奨力点Rは、水平方向成分である推奨水平力点Rhと垂直方向成分である推奨垂直力点Rvとによって構成される。目標力点推奨部62は、回帰分析に必要な数量の推奨力点算出用データがデータファイル67に蓄積されると、掘進方向区間L2の1区間分を掘進するごとに推奨力点算出処理を実行する。
【0058】
図9に示すように、目標力点推奨部62は、プログラムの実行により機能する機能部として、実目標値算出部81、回帰分析部82、回転情報取得部83、回帰式選択部84、および、推奨力点算出部85を有する。
【0059】
図10に示すように、推奨力点算出処理では、まず、実目標値設定処理(ステップS201)が行われる。実目標値設定処理は、ストローク差の実目標値、および、ピッチング角度差の実目標値が設定される処理である。
【0060】
この処理において、実目標値算出部81は、ファイル装置54のデータファイル67に格納されているストローク差の現在値(実績ストローク差の最新値)を取得する。同様に、ピッチング角度差の現在値(実績ピッチング角度差の最新値)を取得する。また、実目標値算出部81は、次の掘進方向区間L2の実指示値を実指示値データファイル66から取得する。
【0061】
実目標値算出部81は、取得したストローク差の現在値とストローク差の実指示値との差をストローク差の実目標値として算出する。また、実目標値算出部81は、ピッチング角度差の現在値とピッチング角度差の実指示値との差をピッチング角度差の実目標値として算出する。実目標値算出部81は、算出したストローク差の実目標値およびピッチング角度差の実目標値をファイル装置54の推奨力点設定用ファイル69に格納する。
【0062】
次に、回帰分析処理(ステップS202)が行われる。回帰分析処理は、推奨力点算出用データを用いた回帰分析によって、推奨水平力点Rhを算出可能な回帰式、および、推奨垂直力点Rvを算出可能な回帰式が導出される処理である。
【0063】
この処理において、回帰分析部82は、データファイル67に格納されている推奨力点算出用データから、カッターヘッド24の回転方向が右方向である実績ストローク差と当該実績ストローク差に対応する実績水平力点とを回帰分析に必要な数の推奨力点算出用データを抽出する。回帰分析部82は、抽出した推奨力点算出用データについて回帰分析を行い、右回転時における実績ストローク差と実績水平力点の関係を示す回帰式を取得する。また、同様の手順で、回帰分析部82は、カッターヘッド24の回転方向が左方向である推奨力点算出用データを用いた回帰式、および、右回転および左回転の双方を含む推奨力点算出用データを用いた回転方向を加味しない回帰式、これらを取得する。回帰分析部82は、取得した回帰式を、推奨水平力点Rhを算出可能な回帰式として回帰分析情報ファイル68に格納する。
【0064】
また、回帰分析部82は、推奨水平力点Rhを算出する回帰式と同様の方法にて、推奨垂直力点Rvを算出可能な回帰式を推奨力点算出用データに基づいて取得する。回帰分析部82は、取得した回帰式を、推奨垂直力点Rvを算出可能な回帰式として回帰分析情報ファイル68に格納する。
【0065】
次に、回帰式選択処理(ステップS203)が行われる。回帰式選択処理は、回帰式が選択される処理である。この処理においては、次の掘進方向区間L2で予定するカッターヘッド24の回転方向情報が方向制御装置50に入力される。回転方向情報が入力されると、回転情報取得部83は、入力された回転方向に対応する回帰式(右回転用もしくは左回転用)と、回転方向を加味しない回帰式の2種類の回帰式とを、回帰分析情報ファイル68から抽出する。
【0066】
回帰式が抽出されると、回帰式選択部84は、推奨水平力点Rhおよび推奨垂直力点Rvの各々について、2種類の回帰式のなかから好適な回帰式を任意の手段で選択する。回帰式選択部84は、選択した回帰式を推奨力点設定用ファイル69に格納する。
【0067】
次に、算出処理(ステップS204)が行われる。算出処理は、推奨力点設定用ファイル69に格納されている実目標値や回帰式を用いて推奨力点Rが算出される処理である。この処理において、推奨力点算出部85は、推奨水平力点Rhについて選択された回帰式にストローク差の実目標値を説明変数として入力することで推奨水平力点Rhを算出する。また、推奨力点算出部85は、推奨垂直力点Rvについて選択された回帰式にピッチング角度差の実目標値を説明変数として入力することで推奨垂直力点Rvを算出する。推奨力点算出部85は、算出した推奨力点Rをファイル装置54の推奨力点設定用ファイル69に格納する。なお、
図4で示すように、推奨力点Rは、方向制御装置50からシールド制御装置23へと送信されることにより、シールド制御装置23の操作盤上の選択画面26に表示されてもよい。また、掘進指示値のほか、重みWs,Wjや実指示値についても、方向制御装置50からシールド制御装置23へと送信されることにより、シールド制御装置23の操作盤上の選択画面26に表示されてもよい。
【0068】
(作用)
掘進方向区間L2をシールド掘進機20で掘進する際、方向制御システム30は、掘進管理者によって設定された重みWs,Wjに基づいて実指示値を算出する。また、方向制御システム30は、実指示値に基づく推奨力点Rを算出する。
【0069】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)上述した方向制御システム30によれば、ストローク差およびジャイロ方位について設定された重みWs,Wjに基づいて、ストローク差およびジャイロ方位の実指示値が算出される。これにより、先行の掘進方向区間L2の掘進が完了したときの掘進指示値と実測値とのずれを加味したうえで後続の掘進方向区間L2の掘進を行うことができる。また、重みWs,Wjが設定されることにより、ストローク差とジャイロ方位のどちらを重視するか、すなわち、シールド掘進機20とセグメント11との位置関係を重視するか、掘進方向の線形性を重視するかを設定することができる。
【0070】
(1-2)実績ストローク差は、ストローク差の実指示値に基づいて掘進を行った実績である。そのため、推奨水平力点Rhを算出可能な回帰式は、過去におけるストローク差の実指示値の影響を受けた式となる。そして、その回帰式に対して、ストローク差の計測値とストローク差の実指示値との差が説明変数として入力される。そのため、推奨力点Rとして、過去におけるその時々の状況においてストローク差とジャイロ方位のどちらを重視したかを加味した力点を算出することができる。すなわち、掘進方向の線形性、および、シールド掘進機20とセグメント11との位置関係、これらを適切な状態に保持できる力点を推奨力点Rとして算出することができる。
【0071】
(1-3)ストローク差の重みWsおよびジャイロ方位の重みWjが掘進管理者によって設定される。これにより、その時々の状況に応じて、ストローク差とジャイロ方位のどちらを重視するかを掘進管理者が設定することができる。
【0072】
(第2実施形態)
図11を参照して、方向制御方法および方向制御システムの第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の方向制御方法および方向制御システムは、第1実施形態における方向制御方法および方向制御システムとは主要な構成が同じである。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。具体的には、実測値取得処理(ステップS101)と重み設定処理(ステップS105)が異なる。
【0073】
実測値取得処理(ステップS101)において、計測データ取得部75は、ストローク差およびジャイロ方位のほか、水平方向についてのシールド偏差x2およびテールクリアランスx4を取得する。計測データ取得部75は、各種の計測値に基づいてシールド偏差x2を算出してもよいし、他のシステムからの入力により取得してもよい。
【0074】
重み設定処理(ステップS105)において、重み設定部79は、シールド偏差管理値x1およびテールクリアランス管理値x3を取得する。これらシールド偏差管理値x1およびテールクリアランス管理値x3は、掘進指示書に含まれており、指示データファイル65に格納されている。重み設定部79は、シールド偏差x2、シールド偏差管理値x1、テールクリアランスx4、および、テールクリアランス管理値x3に基づいて、重みWs,Wjを算出する。
【0075】
具体的には、重み設定部79は、下記の式(1)(2)で構成される重み付け関数に各種の値を代入することにより、ストローク差の重みWsおよびジャイロ方位の重みWjを算出する。
【0076】
Ws=(x3/x4)/[(x2/x1)+(x3/x4)] … (1)
Wj=(x2/x1)/[(x2/x1)+(x3/x4)] … (2)
図11は、シールド偏差管理値x1を50、テールクリアランス管理値x3を10とした場合について重み設定部79が算出する重みWjの一例を示している。
図11に示すように、重み設定部79は、テールクリアランスx4が小さいほどにはストローク差が重視されるように、また、シールド偏差x2が大きいほどジャイロ方位が重視されるように重みWs,Wjを設定する。
【0077】
第2実施形態によれば、上記(1-1)および(1-2)に記載した効果に加えて、下記の効果を得ることができる。
(2-1)方向制御システム30によれば、ストローク差の重みWsおよびジャイロ方位の重みWjが自動的に設定される。これにより、ストローク差とジャイロ方位のどちらを重視するかをその時々の状況に応じた適切な値に自動的に設定することができる。
【0078】
(2-2)上述した式(1)(2)を用いて重みWs,Wjが算出されることにより、シールド偏差やテールクラアランスの管理値からのずれに応じて、ストローク差の重みWsおよびジャイロ方位の重みWjを設定することができる。
【0079】
第1および第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第1および第2実施形態および以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0080】
・第1および第2実施形態の掘進指示値補正部61は、垂直方向についての計測値に基づいて掘進指示値を補正した値を実指示値として算出してもよい。
・ストローク差の重みWsおよびジャイロ方位の重みWjの決定方法は、式(1)(2)に限定されない。例えば、重み付け関数は、シールド偏差よりもテールクリアランスの計測値の精度が高い場合などに、重みWs,Wjに対する影響がテールクリアランスに関する値の方が大きくなるように設定されてもよい。
【0081】
・第1および第2実施形態において、方向制御システム30は、実指示値に基づいて算出される推奨力点Rを参照してオペレーターが入力した目標力点Gあるいはジャッキパターンをシールド制御装置23に入力する構成とした。これに限らず、方向制御システム30は、推奨力点Rを目標力点Gとしてシールド制御装置23に入力する構成であってもよい。この場合、シールド制御装置23は、その推奨力点Rが実力点Eとなるように各シールドジャッキ22のジャッキ圧を制御する。
【符号の説明】
【0082】
10…トンネル、11…セグメント、20…シールド掘進機、21…外殻体、22…シールドジャッキ、23…シールド制御装置、24…カッターヘッド、25…計測機器、26…選択画面、30…方向制御システム、40…掘進管理装置、50…方向制御装置、51…入力装置、52…出力装置、53…処理装置、54…ファイル装置、55…メインメモリ、61…掘進指示値補正部、62…目標力点推奨部、63…パターン抽出部、65…指示データファイル、66…実指示値データファイル、67…データファイル、68…回帰分析情報ファイル、69…推奨力点設定用ファイル、73…ジャッキパターンファイル、75…計測データ取得部、76…差異算出部、77…変換部、78…修正指示値算出部、79…重み設定部、80…実指示値算出部、81…実目標値算出部、82…回帰分析部、83…回転情報取得部、84…回帰式選択部、85…推奨力点算出部。