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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154730
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】基板反り防止装置及び搬送加熱装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 1/008 20060101AFI20231013BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
B23K1/008 E
H05K3/34 507H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064251
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】390005223
【氏名又は名称】株式会社タムラ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003236
【氏名又は名称】弁理士法人杉浦特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100123973
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 拓真
(74)【代理人】
【識別番号】100082762
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 正知
(72)【発明者】
【氏名】眞田 卓摩
【テーマコード(参考)】
5E319
【Fターム(参考)】
5E319AA03
5E319AA06
5E319AB05
5E319AC01
5E319BB02
5E319CC36
5E319GG15
(57)【要約】
【課題】フラックスによって反り防止レールとレールガイドが固着して反り防止レールが曲がることを防止する。
【解決手段】複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、加熱装置に対して被加熱物を搬入する搬送コンベアを有する搬送加熱装置において、被加熱物の下反りを抑制する反り防止体を案内する反り防止レールと、反り防止レールを下支えするレールガイドを備え、レールガイドが複数の加熱炉間に存在し、反り防止レールがレールガイドとの接触面に突起部を有する搬送加熱装置である。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の加熱炉が配列され、前記加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、前記加熱装置に対して被加熱物を搬入する搬送コンベアを有する搬送加熱装置において、
前記被加熱物の下反りを抑制する反り防止体を案内する反り防止レールと、前記反り防止レールを下支えするレールガイドを備え、
前記レールガイドが前記複数の加熱炉間に存在し、前記反り防止レールが前記レールガイドとの接触面に突起部を有する搬送加熱装置。
【請求項2】
前記反り防止レールに対してレールガイド支持具が取り付けられ、前記レールガイド支持具に前記突起部を形成した請求項1に記載の搬送加熱装置。
【請求項3】
前記反り防止レールが分割された反り防止レールを前記レールガイド支持具によって連結した構成である請求項2に記載の搬送加熱装置。
【請求項4】
前記突起部が前記被加熱物の搬送方向に延びるリブ状の突起である請求項1から3のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【請求項5】
前記突起部が前記被加熱物の搬送方向に対して傾斜した方向に延びるリブ状の突起である請求項1から3のいずれかに記載の搬送加熱装置。
【請求項6】
搬送される被加熱物の下面を支持する反り防止体と、前記反り防止体が取り付けられた反り防止チェーンと、前記反り防止チェーンを案内するチェーンガイドを有する反り防止レールと、前記反り防止レールを下支えするレールガイドと、前記レールガイドに対する前記反り防止レールの接触面に形成された突起部とを備えた反り防止装置。
【請求項7】
前記チェーンガイドが樹脂によって形成されている請求項6に記載の反り防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばリフロー装置に対して適用される基板反り防止装置及び搬送加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品またはプリント基板に対して、予めはんだ組成物を供給しておき、リフロー炉の中に基板を搬送チェーン等の搬送コンベアで搬送するリフロー装置が使用されている。リフロー装置は、基板を搬送する搬送コンベアと、この搬送コンベアによって被加熱物例えばプリント基板が供給されるリフロー炉本体とを備えている。リフロー炉は、例えば、搬入口から搬出口に至る搬送経路に沿って、複数のゾーンに分割されており、これらの複数のゾーンがインライン状に配列されている。複数のゾーンは、その機能によって、加熱ゾーン、冷却ゾーンなどの役割を有する。
【0003】
加熱ゾーンでは、被加熱物(ワークと称する)に対して熱風が吹きつけられることによって、はんだ組成物内のはんだを溶融させてプリント基板の電極と電子部品とがはんだ付けされる。リフロー装置では、加熱時の温度を所望の温度プロファイルにしたがって制御することによって、所望のはんだ付けがなされる。すなわち、最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部とされ、次の区間がほぼ一定温度のプリヒート(予熱)部とされ、次の区間がリフロー(本加熱)部とされ、最後の区間が冷却部とされる。
【0004】
このようなリフロー装置による実装方法において、最近では、電子機器の小型化、薄型化に伴い、ワークとしてのプリント基板の厚みが薄いものとなり、プリント基板の反りが発生しやすくなっている。プリント基板の反り(下反り、以下同様)を防止するために、リフロー装置内を搬送中のプリント基板の下面を反り防止体としての突起によって支える反り防止装置が知られている。突起は、基板搬送用の搬送チェーンと同期して送られる反り防止チェーンに取り付けられている。反り防止チェーンを支えて案内するために、搬送方向に延びる反り防止レールが設けられている。反り防止レールが長尺物であることから炉内の所定の場所(間隔)に、撓みを抑制する目的で搬送方向と直交する方向(幅方向と称する)にレールガイドが設けられている。レールガイドは、反り防止レールを面で受けて下支えしている。
【0005】
リフロー装置においては、生産中にフラックスヒュームが発生する。フラックスヒュームは、冷却されることによって凝縮する。特に加熱ゾーンと冷却ゾーンの間といった温度低下する箇所のレールガイド上においては、フラックスヒュームが粘性体となって堆積する。リフロー装置にて生産中においては炉内が高温環境にさらされているため、影響は無いが生産終了後の品種切り替え時には炉内の温度が低下し、フラックスの影響で反り防止レールとレールガイドが固着してしまうことがある。すなわち、レールガイドの面と反り防止レールの面が接触しているので、フラックス固着の影響が大きい。
【0006】
リフロー装置では、品種切り換えによってプリント基板のサイズを変更する場合、搬送チェーンの幅方向の間隔を可変するようになされている。反り防止体は、プリント基板の裏面の中央に位置することが効果的であるので、搬送チェーンの間隔の変更に対応して反り防止レールの幅方向の位置を変更する必要が生じる。しかしながら、反り防止レールとレールガイドが固着した状態で反り防止レールの位置変更を行うと、固着したフラックスの影響で反り防止レールが曲がってしまい、以降の生産に多大な影響を及ぼすおそれがあった。
【0007】
例えば特許文献1には、フラックス塗布装置において、フラックスが固化することによってナットに対してネジ軸が回転できなくなる問題を解決するために、ナットのネジ山の一部を切り欠いて非噛合部を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2016-215276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かかる特許文献1に記載のものは、ネジ軸を円滑に回転させる目的及び構成のものであり、上述したような反り防止レールとレールガイドが固着する問題の解決とは、目的及び構成が異なったものである。さらに、反り防止レールとレールガイドの接触箇所にローラガイドを設けることが考えられるが、ローラガイドは、リフロー装置のコストアップの要因になる。
【0010】
したがって、本発明の目的は、フラックス固着による生産機会の損失を抑制することができる基板反り防止装置及び搬送加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、複数の加熱炉が配列され、加熱炉によって被加熱物に対して熱風を吹きつけるように構成された加熱装置と、加熱装置に対して被加熱物を搬入する搬送コンベアを有する搬送加熱装置において、
被加熱物の下反りを抑制する反り防止体を案内する反り防止レールと、反り防止レールを下支えするレールガイドを備え、
レールガイドが複数の加熱炉間に存在し、反り防止レールがレールガイドとの接触面に突起部を有する搬送加熱装置である。
また、本発明は、搬送される被加熱物の下面を支持する反り防止体と、反り防止体が取り付けられた反り防止チェーンと、反り防止チェーンを案内するチェーンガイドを有する反り防止レールと、反り防止レールを下支えするレールガイドと、レールガイドに対する反り防止レールの接触面に形成された突起部とを備えた反り防止装置である。
【発明の効果】
【0012】
少なくとも一つの実施形態によれば、加熱及び冷却によって反り防止レールが伸縮し、反り防止レールの変位によって堆積したフラックスを掻き落とすことができ、フラックスによって反り防止レールとレールガイドが固着することを防止することができる。なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本発明中に記載されたいずれの効果であってもよい。また、以下の説明における例示された効果により本発明の内容が限定して解釈されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略を示す略線図である。
図2図2は、リフロー時の温度プロファイルの例を示すグラフである。
図3図3A図3B及び図3Cは、本発明を適用できる反り防止装置の説明に用いる略線図、反り防止装置の断面図及び反り防止レールの断面図である。
図4図4は、リフロー装置のワーク搬送面を上から見た平面図である。
図5図5は、図4の一部の拡大平面図である。
図6図6A及び図6Bは、レールガイド金具を使用した例の断面図及び底面図であり、図6C及び図6Dは、レールガイド金具を使用した例の断面図及び底面図である。
図7図7A及び図7Bは、レールガイド金具とレールガイドが接している部分の側面図及び底面図であり、図7Cは,レールガイドの一例の平面図である。
図8図8A図8B及び図8Cは、レールガイド金具の断面図及び底面図、並びにレールガイド金具の正面図であり、図8D図8E及び図8Fは、レールガイド金具の断面図及び底面図、並びにレールガイド金具の正面図である。
図9図9A及び図9Bは、レールガイド金具とレールガイドが接している部分の側面図及び底面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施形態について説明する。なお、説明は、以下の順序で行う。
<1.リフロー装置の一例>
<2.一実施形態>
<3.変形例>
なお、以下に説明する一実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限定されないものとする。
【0015】
<1.リフロー装置の一例>
図1は、本発明を適用できる従来のリフロー装置の概略的構成を示す。プリント配線板の両面に表面実装用電子部品が搭載されたワークが搬送コンベヤの上に置かれ、搬入口101からリフロー装置の加熱装置内に搬入される。搬送コンベヤが所定速度で矢印方向(図1に向かって左から右方向)へワークを搬送し、ワークが搬出口102から取り出される。搬送コンベアの搬送方向が水平方向とされている。
【0016】
加熱装置は、搬入口101から搬出口102に至る搬送経路に沿って、複数の加熱炉が配列され、加熱炉によってワークに対して熱風(熱せられた雰囲気ガス)を吹きつけるように構成されている。複数の加熱炉(ゾーンと称する)がインライン状に配列されている。入口側から7個のゾーンZ1~Z7が加熱ゾーンであり、出口側の2個のゾーンZ8及びZ9が冷却ゾーンである。冷却ゾーンZ8及びZ9に関連して強制冷却ユニット103が設けられている。加熱ゾーンZ1~Z7のそれぞれは、それぞれ送風機、ヒータ、吹き出しパネルなどを含む上部加熱炉及び下部加熱炉を有する。なお、このゾーン数は、一例であり、異なる数のゾーンを有する構成としてもよい。
【0017】
上述した複数のゾーンZ1~Z9がリフロー時の温度プロファイルにしたがってワークの温度を制御する。図2に温度プロファイルの一例の概略を示す。横軸が時間であり、縦軸がワーク例えば電子部品が実装されたプリント配線板の表面温度である。最初の区間が加熱によって温度が上昇する昇温部R1であり、次の区間がほぼ一定温度のプリヒート(予熱)部R2であり、次の区間がリフロー(本加熱)部R3であり、最後の区間が冷却部R4である。
【0018】
昇温部R1は、常温からプリヒート部R2(例えば150℃~170℃)まで基板を加熱する期間である。プリヒート部R2は、例えば等温加熱を行い、フラックスを活性化し、電極、はんだ粉の表面の酸化膜を除去し、また、プリント配線板の加熱ムラをなくすための期間である。リフロー部R3(例えばピーク温度で220℃~240℃)は、はんだが溶融し、接合が完成する期間である。リフロー部R3では、はんだの溶融温度を超える温度まで昇温が必要とされる。リフロー部R3は、プリヒート部R2を経過していても、温度上昇のムラが存在するので、はんだの溶融温度を超える温度までの加熱が必要とされる。最後の冷却部R4は、急速にプリント配線板を冷却し、はんだ組成を形成する期間である。なお、無鉛ハンダの場合では、リフロー部R3における温度は、より高温(例えば240℃~260℃)となる。
【0019】
図2において、曲線1は、鉛フリーはんだの温度プロファイルの一例を示す。Sn-Pb共晶はんだの場合の温度プロファイルの一例は、曲線2で示すものとなる。鉛フリーはんだの融点は、共晶はんだの融点より高いので、プリヒート部R2及びリフロー部R3における設定温度が共晶はんだに比して高いものとされている。
【0020】
図1に示すリフロー装置では、図2における昇温部R1の温度制御を、主としてゾーンZ1及びZ2が受け持つ。プリヒート部R2の温度制御は、主としてゾーンZ3、Z4及びZ5が受け持つ。リフロー部R3の温度制御は、ゾーンZ6及びZ7が受け持つ。冷却部R4の温度制御は、ゾーンZ8及びゾーンZ9が受け持つ。上述した複数の加熱炉間(ゾーン間)には、隙間が存在する。
【0021】
<2.一実施形態>
各ゾーンには、上部加熱炉及び下部加熱炉が対向して設けられ、上部加熱炉と下部加熱炉との対向間隙内で、プリント回路基板の片面又は両面に表面実装用電子部品が搭載されたワークが搬送コンベアによって搬送される。上部加熱炉内及び下部加熱炉内は、雰囲気ガスである例えば窒素(N2)ガスが充満している。上部加熱炉は、吹き出しパネルを介してワークに対して下方に熱風(熱せられた雰囲気ガス)を噴出してワークを加熱し、下部加熱炉は、吹き出しパネルを介してワークに対して上方に熱風を噴出してワークを加熱する。なお、熱風と共に赤外線を照射しても良い。上部加熱炉及び下部加熱炉は、それぞれモータにより回転されるファン(回転羽根)、ヒータなどを有している。
【0022】
プリント基板等のワークWに対して図3A図3B及び図3Cに示すような反り防止装置が設けられている。反り防止装置は、反り防止体11と、反り防止体11が取り付けられた反り防止チェーン12と、反り防止チェーン12を案内する反り防止レール13とを有する。反り防止チェーン12は、例えばローラチェーンである。ワークWを搬送する搬送コンベアの移動と反り防止チェーン12の移動とが同期したものとされる。
【0023】
反り防止チェーン12は、搬送コンベアの搬送面の高さよりも下側(より低い)位置で移送される。ワークWの下面側を支えることによって下反り防止を行う反り防止体11が反り防止チェーン12から上方に突出されている。下反り防止体11は、例えば反り防止チェーン12の各リンクプレートに対して取り付けられている金属性の板状体または棒状体である。下反り防止体11によって、ワークWの下面が支えられるので、ワークWが加熱時にマウントされている電子部品の重みによって下側に撓むことが防止される。ワークWの搬送方向において、複数箇所で反り防止体11がワークWの下面に接触することが好ましい。ワークWと反り防止体11の互いの送りが同期しているので、反り防止体11が安定してワークWを支えることが可能となる。
【0024】
反り防止レール13は、2本の搬送コンベアの間のほぼ中央位置で、搬送方向に延長するレールであって、反り防止チェーン12を案内するための下側ガイド14及び上側ガイド15を有する。反り防止レール13は、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属からなるものである。反り防止レール13は、ワークWの搬送範囲に設置されている長いレールであるので、その撓みを防止するためにレールガイド21によって下支えられている。
【0025】
なお、図3Cに示すように、金属レール16に対して下側樹脂ガイド17を嵌入した複合反り防止レールを使用してもよい。図示しないが、上側ガイドも樹脂製とされる。上側樹脂ガイド及び下側樹脂ガイド17は、例えばポリアミドイミド樹脂の成型品である。ポリアミドイミド樹脂は、耐磨耗性、耐熱性、耐久性が優れた性質を有する。また、カーボンを含有せずに導電性を有しないものである。したがって、上側樹脂ガイド及び下側樹脂ガイド17と反り防止チェーン12との摩擦によって生じたくずが樹脂(非導電性)であるため、くずによって基板上でショートが発生するおそれがない。
【0026】
図4は、リフロー装置のワーク搬送面を上から見た平面図である。図1のリフロー装置が9個のゾーンZ1~Z9を有する構成であるのに対して、図4のリフロー装置が10個のゾーンZ1~Z10を有する構成である。ゾーンZ1~Z9が加熱ゾーンであり、ゾーンZ10が冷却ゾーンである。各ゾーンの下側加熱炉の吹き出しパネルの上面に、ワークを搬送するために、2本の搬送コンベア22a及び搬送コンベア22b(2本の搬送コンベアを特に区別する必要がない場合には、単に搬送コンベア22と称する)が平行して設けられている。
【0027】
搬送コンベア22の間のほぼ中央位置に搬送コンベア22と平行して反り防止レール13が設けられている。高さ方向では、反り防止体11の先端がワークの下面に接するように、搬送コンベア22の位置より低い位置に反り防止レール13が設置されている。搬送コンベア22の間隔は、ワークの幅に応じて幅方向の間隔が調整可能とされている。搬送コンベア22の間隔を変更した場合、反り防止レール13と搬送コンベア22の位置関係が保持されるようになされている。
【0028】
レールガイド21は、搬送方向で所定の間隔でもって、ゾーン(加熱炉)間の隙間に設けられる。例えばゾーンZ1及びゾーンZ2の間、ゾーンZ3及びゾーンZ4の間、ゾーンZ5及びゾーンZ6の間、ゾーンZ7及びゾーンZ8の間、ゾーンZ9及びゾーンZ10の間にそれぞれ設けられる。ゾーンZ9及びゾーンZ10の間には、2本のレールガイド21が設けられる。一例として、レールガイド21は、搬送コンベア22bが設けられている側面から内方に向けて突出され、その先端が反り防止レール13より搬送コンベア22a側に突出するようになされている。レールガイド21の長さは、搬送コンベア22の間隔が最大の場合の中央位置よりやや外方に突出するものとされる。レールガイド21は、断面がL字状の金属製のブラケットである。
【0029】
図4の○で囲んで示すA部分を拡大して示したのが図5である。この例では、反り防止レール13に対してレールガイド支持具例えば断面U字状の金属製のレールガイド金具23Aが取り付けられている。一例として、反り防止レール13は、複数本の分割された反り防止レールをレールガイド金具23Aによって連結したものである。レールガイド21の支持面がレールガイド金具23の底面に設けた突起部と接触するようになされている。なお、反り防止レール13は、分割部分を連結した構成に限らず、1本のレールであってもよい。
【0030】
レールガイド21の支持面とレールガイド金具23Aの底面(又は反り防止レール13の底面)の接触箇所又はその付近にフラックスが付着すると、品種切り換え時の冷却の結果、フラックスの粘性が増したり、フラックスが固化したりして、レールガイド21とレールガイド金具23Aが固着することがある。この状態で、ワークの幅を変更することに伴い反り防止レール13を幅方向に動かそうとすると、固着箇所が動かないので、反り防止レール13に曲がりが生じてしまい、以降の生産にとっての障害となる。
【0031】
しかしながら、本発明の一実施形態では、レールガイド金具23Aの底面、すなわち、レールガイド21との接触面に突起部を設けているので、かかる問題を回避することができる。突起部の例について以下に説明する。
【0032】
図6A及び図6Bは、レールガイド支持具例えば反り防止レール13の側面及び底面と密着するようなL字状断面を有するレールガイド金具23Bを反り防止レール13に対してボルトで固定した例の断面図及び底面図である。レールガイド金具23Bの底面の幅方向のほぼ中心位置に反り防止レール13の延長方向(ワークの搬送方向)と平行して延びるリブ状の突起部24が形成されている。突起部24は、矩形の断面を有し、突起部24の先端面がレールガイド21の支持面と接触する。
【0033】
図6C及び図6Dは、レールガイド支持具例えば反り防止レール13の底面と密着するようなI字状断面を有するレールガイド金具23Cを反り防止レール13に対してボルトで固定した例の断面図及び底面図である。レールガイド金具23Bの底面の幅方向のほぼ中心位置に反り防止レール13の延長方向(ワークの搬送方向)と平行して延びるリブ状の突起部24が形成されている。突起部24は、矩形の断面を有し、突起部24の先端面がレールガイド21の支持面と接触する。
【0034】
図7A及び図7Bは、レールガイド金具23Bとレールガイド21が接している部分の側面図及び底面図であり、図7Cは、レールガイド21の一例の平面図である。図7Bからも分かるように、レールガイド21と突起部24の接する面の面積を突起部24を形成しない例と比して小さいものとできる。リフロー装置の生産中に発生したフラックスヒュームによって、反り防止レール13、レールガイド21、レールガイド金具23Bに対してフラックスが付着し、堆積する。品種切り換え時などで生産動作が休止すると、炉内が冷却され、フラックスの粘性が増し、固化する。
【0035】
上述したように、レールガイド21と突起部24の接する面を小さいものとできるので、接触面内及び接触箇所付近に堆積するフラックスの量を少なくすることができる。さらに、この加熱及び冷却の温度変化によって図7A及び図7Bにおいて矢印で示すように、反り防止レール13の収縮及び熱膨張が発生する。反り防止レール13の片側が固定されているため、反り防止レール13は搬送方向に収縮及び熱膨張が発生し、この収縮膨張による摺動によって、レールガイド金具23Bとレールガイド21の固着状態を解消したり、接触面内及び接触箇所付近に堆積したフラックスを掻き落とすことができる。その結果、反り防止レール13が幅方向に移動した時に、反り防止レール13が曲がることを防止することができる。レールガイド金具23Bと同様の作用をレールガイド金具23Cが有する。
【0036】
図8A図8B及び図8Cは、レールガイド金具23Aを反り防止レール13に対してボルトで固定した例の断面図及び底面図、並びに反り防止レール13の両側面及び底面と密着するようなU字状断面を有するレールガイド金具23Aの正面図である。レールガイド金具23B及びレールガイド金具23Cと同様に、レールガイド金具23Aは、底面の幅方向のほぼ中心位置に反り防止レール13の延長方向(ワークの搬送方向)と平行して延びるリブ状の突起部24を有する。突起部24の先端面がレールガイド21の支持面と接触する。
【0037】
図8D図8E及び図8Fは、レールガイド支持具例えばレールガイド金具23Dを反り防止レール13に対してボルトで固定した例の断面図及び底面図、並びにレールガイド金具23Aと同様のU字状断面を有するレールガイド金具23Dの正面図である。レールガイド金具23Dは、他のレールガイド金具のように、反り防止レール13の延長方向(ワークの搬送方向)に延びるリブ状の突起部25を有する。突起部25の先端面がレールガイド21の支持面と接触する。この突起部25は、底面の幅方向の中心線に対して傾斜した方向に形成されている点で突起部24と相違している。
【0038】
図9A及び図9Bは、レールガイド金具23Dとレールガイド21が接している部分の側面図及び底面図である。図9Bからも分かるように、レールガイド21と突起部25の接する面を小さいものとできる。したがって、レールガイド21と突起部25の接する面を小さいものとできるので、接触面内及び接触箇所付近に堆積するフラックスの量を少なくすることができる。さらに、この加熱及び冷却の温度変化によって図9A及び図9Bにおいて矢印で示すように、反り防止レール13の収縮及び熱膨張が発生する。反り防止レール13の片側が固定されているため、反り防止レール13は搬送方向に収縮及び熱膨張が発生し、この収縮膨張による摺動によって、レールガイド金具23Bとレールガイド21の固着状態を解消したり、接触面内及び接触箇所付近に堆積したフラックスを掻き落とすことができる。その結果、反り防止レール13が幅方向に移動した時に、反り防止レール13が曲がることを防止することができる。さらに、レールガイド金具23Dの底面の突起部25が傾斜した方向に形成されているので、反り防止レール13の搬送方向の摺動によって反り防止レール13の幅方向へ摺動するため、フラックスを掻き落とすことができる範囲を直線状の突起部24に比して広くすることができる。
【0039】
なお、レールガイド金具23A、23B、23C又は23Dの全体又は突起部24(突起部25)の先端面を含む一部に対してメッキ処理などの表面処理を行い、レールガイド21とレールガイド金具間の摩擦抵抗を減少させたり、摩擦によって金属くずが発生することを抑制したりしてもよい。さらに、レールガイド金具を設けないで反り防止レール13自体の底面に突起部を形成するようにしてもよい。この場合、反り防止レール13のレールガイド21と接する付近にのみ突起部を形成してもよい。
【0040】
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば複数の搬送炉が平行して配置されている複数レーンの構成に対しても本発明を適用することができる。また、本発明は、プリント基板に限らず、フレキシブル基板、リジッド基板とフレキシブル基板とを貼り合わせた基板、これらを組み合わせたリジッドフレキ基板のリフローに対しても適用できる。さらに、リフロー装置に限らず、樹脂の硬化のための加熱装置等に対しても適用できる。また、上述の実施形態において挙げた構成、方法、工程、形状、材料および数値などはあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料および数値などを用いてもよい。また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料および数値などは、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
Z1~Z10・・・ゾーン、101・・・搬入口、102・・・搬出口、103・・・強制冷却ユニット、11・・・反り防止体、12・・・反り防止チェーン、13・・・反り防止レール、21・・・レールガイド、23A,23B,23C,23D・・・レールガイド金具、24,25・・・突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9