(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154746
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】硬化性組成物および積層体
(51)【国際特許分類】
C08F 290/06 20060101AFI20231013BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
C08F290/06
B32B27/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064286
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000162434
【氏名又は名称】協立化学産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】戸田 瑛
(72)【発明者】
【氏名】森本 正浩
(72)【発明者】
【氏名】小酒井 一輝
【テーマコード(参考)】
4F100
4J127
【Fターム(参考)】
4F100AJ04A
4F100AJ04C
4F100AK03A
4F100AK03C
4F100AK25B
4F100AK42A
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4F100BA03
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4F100DD05B
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4F100EJ422
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4F100GB41
4F100HB212
4F100HB21B
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4F100HB40B
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4F100JK06G
4J127AA03
4J127AA07
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB221
4J127BC021
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4J127EA13
4J127FA13
(57)【要約】
【課題】インクジェット適性に優れ、且つ、優れた接着力を有する硬化性組成物、および当該硬化性組成物を用いて形成された剥離しにくい積層体を提供すること。
【解決手段】分子量2,000以上の(メタ)アクリルオリゴマー(A)と、(メタ)アクリルモノマー(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有し、前記(メタ)アクリルモノマー(B)が、アクリルモノマー(B1)と、(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)とを含み、粘度が50mPa・s以下である、硬化性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子量2,000以上の(メタ)アクリルオリゴマー(A)と、(メタ)アクリルモノマー(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有し、
前記(メタ)アクリルモノマー(B)が、アクリルモノマー(B1)と、(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)とを含み、
粘度が50mPa・s以下である、硬化性組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリルオリゴマー(A)と前記(メタ)アクリルモノマー(B)の合計100質量部中、前記(メタ)アクリルモノマー(B)が80~98質量部である、請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリルモノマー(B)100質量部中、前記アクリルモノマー(B1)が80~98質量部である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記(メタ)アクリルモノマー(B)の合計100質量部中、前記(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)が15~40質量部である、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記(メタ)アクリルオリゴマー(A)と前記(メタ)アクリルモノマー(B)の合計100質量部に対し、前記ラジカル重合開始剤(C)を1~5質量部含有する、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記複素環が、置換基としてアルキル基またはオキシ基(=O)を有する複素環を含む、請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
分子量2,000以上の(メタ)アクリルオリゴマー(A)と、(メタ)アクリルモノマー(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有し、
前記(メタ)アクリルモノマー(B)が、アクリルモノマー(B1)と、(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)とを含み、
前記(メタ)アクリルオリゴマー(A)と前記(メタ)アクリルモノマー(B)の合計100質量部中、前記(メタ)アクリルモノマー(B)が80~98質量部であり、
前記(メタ)アクリルモノマー(B)100質量部中、前記アクリルモノマー(B1)が80~98質量部であり、前記(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)が15~40質量部であり、
前記(メタ)アクリルオリゴマー(A)と前記(メタ)アクリルモノマー(B)の合計100質量部に対し、前記ラジカル重合開始剤(C)を1~5質量部含有し、
粘度が50mPa・s以下である、硬化性組成物。
【請求項8】
前記複素環が、置換基としてアルキル基またはオキシ基(=O)を有する複素環を含む、請求項7に記載の硬化性組成物。
【請求項9】
無溶剤である、請求項1又は7に記載の硬化性組成物。
【請求項10】
インクジェットインクである、請求項1又は7に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
第1の基材上に、請求項1又は7に記載の硬化性組成物の硬化物層と、第2の基材とをこの順に有する、積層体。
【請求項12】
前記第1の基材および/または前記第2の基材が、シクロオレフィンコポリマーを含む、請求項11に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性組成物および積層体に関し、詳しくは2つの基材の接着に適した硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂、ガラス、シリコン等の基材に微細な流路が形成されたマイクロ流路デバイス(フローセル)が知られている。マイクロ流路デバイスは、当該マイクロ流路内で試薬や検体等を含む流体に対し、混合、分離、化学反応等の処理を行い、得られた試料の光学測定などを行うことができる。マイクロ流路内の流体輸送は毛細管現象などを利用するほか、振動や遠心力などの外力を利用することがある。外力を利用する場合にはマイクロ流路上に蓋となる基材を貼り合わせる必要がある。
【0003】
微細加工された基材を貼り合わせる場合、接着剤は所定の微細パターンに印刷することが求められる。微細パターンの印刷にはインクジェット方式が適している。インクジェット方式により印刷する場合、接着剤は低粘度であることが求められる。
例えば特許文献1には、分子量5,000以上の(メタ)アクリルオリゴマーと、(メタ)アクリルモノマーと、ラジカル重合開始剤を含有し、粘度が150mPa・s以下である硬化性樹脂組成物が開示されている。
【0004】
特許文献2には、塗工性およびアクリル系樹脂との接着性に優れ、硬度にも優れる接着剤組成物として、エチレン性不飽和基を1つ有する不飽和化合物(A)及びウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)を含有し、不飽和化合物(A)が環状構造を有し、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物(B)がエーテル構造及び/又はカーボネート構造を有する特定の活性エネルギー線硬化性接着組成物が開示されている。
【0005】
前記マイクロ流路デバイスの基材としてシクロオレフィンコポリマー(以下、COPということがある)が検討されている。COPは耐薬品性に優れており、且つ、透明性、低複屈折などの特徴から光学測定に適しているためマイクロ流路デバイスの基材として適している。
一方、COPは濡れ性が低く、COP基材を接着剤で貼り合せる場合その接着力が不十分となる課題があった。COPの接着性を改善する手法としては、COP基材表面の親水化処理や、微細加工などCOP基材側の処理が知られているが、接着剤の接着力の更なる向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-210578号公報
【特許文献2】特開2017-210607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、インクジェット適性に優れ、且つ、優れた接着力を有する硬化性組成物、および当該硬化性組成物を用いて形成された剥離しにくい積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1] 分子量2,000以上の(メタ)アクリルオリゴマー(A)と、(メタ)アクリルモノマー(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有し、
前記(メタ)アクリルモノマー(B)が、アクリルモノマー(B1)と、(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)とを含み、
粘度が50mPa・s以下である、硬化性組成物。
【0009】
[2] 前記(メタ)アクリルオリゴマー(A)と前記(メタ)アクリルモノマー(B)の合計100質量部中、前記(メタ)アクリルモノマー(B)が80~98質量部である、[1]の硬化性組成物。
【0010】
[3] 前記(メタ)アクリルモノマー(B)100質量部中、前記アクリルモノマー(B1)が80~98質量部である、[1]または[2]の硬化性組成物。
【0011】
[4] 前記(メタ)アクリルモノマー(B)の合計100質量部中、前記(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)が15~40質量部である、[1]~[3]のいずれかの硬化性組成物。
【0012】
[5] 前記(メタ)アクリルオリゴマー(A)と前記(メタ)アクリルモノマー(B)の合計100質量部に対し、前記ラジカル重合開始剤(C)を1~5質量部含有する、[1]~[4]のいずれかの硬化性組成物。
【0013】
[6] 前記複素環が、置換基としてアルキル基またはオキシ基(=O)を有する複素環を含む、[1]~[5]のいずれかの硬化性組成物。
【0014】
[7] 無溶剤である、[1]~[6]のいずれかの硬化性組成物。
【0015】
[8] インクジェットインクである、[1]~[7]のいずれかの硬化性組成物。
【0016】
[9] 第1の基材上に、[1]~[8]のいずれかの硬化性組成物の硬化物層と、第2の基材とをこの順に有する、積層体。
【0017】
[10] 前記第1の基材および/または前記第2の基材が、シクロオレフィンコポリマーを含む、[9]の積層体。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、インクジェット適性に優れ、且つ、優れた接着力を有する硬化性組成物、および当該硬化性組成物を用いて形成された剥離しにくい積層体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る硬化性組成物及び積層体について順に詳細に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリルモノマーとは、アクリルモノマー及びメタクリルモノマーのうち少なくとも一方を表し、(メタ)アクリルオリゴマーや(メタ)アクリロイル基などもこれに準ずる。
アクリルモノマー(B1)を「モノマー(B1)」、(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)を「モノマー(B2)」ということがある。他のモノマーやオリゴマーなどもこれらに準ずる。
また、数値範囲を示す「~」は特に断りがない限り、その下限値及び上限値を含むものとする。
【0020】
[硬化性組成物]
本発明に係る硬化性組成物(以下、単に本硬化性組成物ということがある)は、分子量2,000以上の(メタ)アクリルオリゴマー(A)と、(メタ)アクリルモノマー(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有し、前記(メタ)アクリルモノマー(B)が、アクリルモノマー(B1)と、(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)とを含み、粘度が50mPa・s以下であることを特徴とする。
本硬化性組成物は、モノマー(B)として、上記モノマー(B1)と上記モノマー(B2)を含む。モノマー(B1)が有するアクリロイル基と、モノマー(B2)が有する複素環は、いずれも基材との密着性を向上して硬化後に剥離しにくい積層体を製造することができる。モノマー(B2)の複素環は特にCOP基材に対する密着性の向上に適している。またモノマー(B2)は(メタ)アクリロイル基を有すため、複素環を有しながらオリゴマー(A)やモノマー(B1)との相溶性を改善し、粘度を抑えることができる。
本硬化性組成物は例えば溶剤を添加することなく粘度を50mPa・s以下に抑えることができるため、インクジェットインクとしての適性に優れるとともに、例えば基材への塗工後、乾燥処理などをすることなくすぐに硬化処理することができる。
【0021】
本硬化性組成物は、少なくともオリゴマー(A)と、(メタ)アクリルモノマー(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有するものであり、本発明の効果を奏する範囲で更に他の成分を含有してもよいものである。以下、本硬化性組成物に含まれ得る各成分について説明する。
【0022】
<分子量2,000以上の(メタ)アクリルオリゴマー(A)>
本硬化性組成物においてオリゴマー(A)は分子量2,000以上のものを用いる。分子量が2,000以上のオリゴマーを用いることで接着強度に優れた硬化物を得ることができる。接着強度の点からオリゴマー(A)の分子量は2,500以上が好ましく、3,000以上がより好ましい。一方、オリゴマー(A)の分子量の上限は、組成物の粘度を50mPa・s以下に調整し得る範囲で適宜選択することができる。粘度を抑える点から、オリゴマー(A)の分子量は100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、30,000以下が更に好ましく、20,000未満が特に好ましい。
なおオリゴマー(A)の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて換算した重量平均分子量である。
【0023】
オリゴマー(A)は、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基(CH2=CR-C(=O)-;ただしRは水素原子またはメチル基)を有すればよく、(メタ)アクリロイル基を2個以上有することが好ましく、2個有することが更に好ましい。(メタ)アクリロイル基を有することでオリゴマー(A)は硬化性を備える。
接着強度の点などから、オリゴマー(A)は、中でも、(メタ)アクリロイル基を、主鎖の両側末端に有するオリゴマーが好ましい。
【0024】
オリゴマー(A)の主鎖としては、例えば、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリジエンなどのポリマー鎖が挙げられ、例えば、2種以上のポリマー鎖が連結したブロック構造を有していてもよい。組成物の粘度を抑え、密着性、電気絶縁性、耐水性、透明性などの点から、ポリウレタン又はポリジエンが好ましい。なおオリゴマー(A)は1種類を単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0025】
(ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー)
ポリウレタンを有する(メタ)アクリルオリゴマー(以下、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーともいう)は、2個以上のウレタン結合(-NH-C(=O)-O-)を有する主鎖(ポリウレタン)を備えるオリゴマーである。
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品としては、UV-3700B(日本合成製:分子量38,000)、UA10000B(ケーエスエム社製:分子量25,000)、UA01(ケーエスエム社製:分子量19,000)、UN7700(根上工業株式会社製:分子量20,000)、UN-9200A(根上工業株式会社製:分子量15,000)、UN-9000H(根上工業株式会社製:分子量5,000)、EB230(ダイセルサイテック株式会社製:分子量5,000)等が挙げられる。
【0026】
また、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ポリイソシアネートとポリオールとを反応させてイソシアネート末端を有するポリウレタンを形成した後、当該ポリウレタンにヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させることで得ることができる。具体的な製造条件などは、例えば、特開2008-260898号公報を参照することができる。
【0027】
上記ポリイソシアネートは、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有すればよく、得られるオリゴマーの密着性などの点から、ジイソシアネートが好ましい。
ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニルメタンポリイソシアネート、変性ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート累;上記芳香族イソシアネートの水素添加物(水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート)や、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなどの脂環式ジイソシアネート類;リジンジイソシアネートなどが挙げられ、これらのジイソシアネートとポリオールとを反応させて得られる末端イソシアネート基のウレタンプレポリマーを用いてもよい。
【0028】
上記ポリオールは、1分子中に2個以上のヒドロキシ基を有すればよく、得られるオリゴマーの密着性などの点から、ジオールが好ましい。
ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール;上記ジオールと多塩基酸(例えば、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等)との反応によって得られるポリエステルポリオール;上記ジオールとカプロラクトンとの反応によって得られるポリカプロラクトンジオール;ポリカーボネートポリオール(例えば、1,6-ヘキサンジオールとジフェニルカーボネートとの反応によって得られるポリカーボネートジオール等);ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA等のポリエーテルポリオールが挙げられる。
また、上記ポリオールとして、2個以上のヒドロキシ基を導入した水素添加ポリジエンを用いてもよい。2個以上のヒドロキシ基を導入した水素添加ポリジエンとしては、例えば、水素添加された、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリペンタジエン、ポリヘキサジエン、ポリオクタジエン、ポリシクロペンタジエン、ポリジシクロペンタジエン、ポリエチリデンノルボルネンなどのポリジエンに、2以上のヒドロキシ基を導入することで得られる。
なお、上記水素添加物および水添とは、不飽和結合に水素を添加して飽和結合になったものをいう。
【0029】
ポリイソシアネート及びポリオールは各々1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。上記ポリオールは、重合時の硬化収縮率が低く、密着性、電気絶縁性、耐水性及び透明性に優れる点から、2個以上のヒドロキシ基を導入した水素添加ポリジエンを含むことが好ましい。
【0030】
また、上記ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートは、1分子中に1個以上のヒドロキシ基を有すればよく、得られるオリゴマーの密着性などの点から、1分子中に1個の水酸基を有することが好ましい。
ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変成ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類などが挙げられ、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0031】
(ポリジエンを有する(メタ)アクリルオリゴマー)
上記ポリジエンを有する(メタ)アクリルオリゴマーとしては、ポリイソプレン又はポリブタジエンを有する(メタ)アクリルオリゴマーが挙げられ、ポリジエンは水素添加物であってもよい。なお、本発明において、ウレタン結合とポリジエンとを有するオリゴマーは、上記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして取り扱うものとする。
ポリジエンを有する(メタ)アクリルオリゴマーは市販品を用いることができる。例えば、ポリイソプレンを骨格にもつ(メタ)アクリレートオリゴマーの市販品としては、UC-1(クラレ社製:分子量25,000)、UC-203(クラレ社製:分子量35,000)等が挙げられる。
【0032】
オリゴマー(A)中の(メタ)アクリロイル基は(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。オリゴマー(A)が(メタ)アクリロイルオキシ基を有することで、後述するモノマー(B2)との相溶性がより向上し、組成物の保存安定性が向上する。
【0033】
<(メタ)アクリルモノマー(B)>
本硬化性組成物は、(メタ)アクリルモノマー(B)として、アクリルモノマー(B1)と、(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)とを組み合わせて用い、更に本発明の効果を奏する範囲で更に他のモノマーを含んでいてもよいものである。モノマー(B1)とモノマー(B2)とを組み合わせることで、組成物の粘度上昇を抑えながら、基材との密着性を向上して硬化後に剥離しにくい積層体を製造することができる。
モノマー(B)は分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を有すればよく、低粘度で、硬化性に優れ、かつ硬化時の収縮が小さい点から、(メタ)アクリロイル基を1個有する単官能モノマーが好ましい。また、組成物の粘度を抑える点から、モノマー(B)は、室温(25℃)で粘度が10mPa・s以下、好ましくは8mPa・s以下の液状であることが好ましい。
なお、例えば、アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマーのように、モノマー(B1)及びモノマー(B2)の両方に該当するモノマーがある。本発明においてこのようなモノマーは、モノマー(B1)及びモノマー(B2)のどちらにも該当するものとして含有割合等を規定する。
【0034】
(アクリルモノマー(B1))
アクリルモノマー(B1)は、アクリロイル基(CH2=CH-C(=O)-)を有するモノマーの中から適宜選択して用いることができる。
アクリロイル基を有するモノマー(B1)を有することで、基材との密着性を向上して硬化後に剥離しにくい積層体を製造することができる。
モノマー(B1)としては、例えば、直鎖又は分岐を有するアルキルアクリレート、脂環を有するアクリレート、芳香環を有するアクリレート、複素環を有するアクリレート、ヒドロキシ基を有するモノマー、アクリルアミドなどが挙げられる。モノマー(B1)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
モノマー(B1)の具体例としては、
メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソステアリルアクリレート等の直鎖又は分岐を有するアルキルアクリレート;
2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート、及び、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチルアクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等のモノマーを含む、ヒドロキシ基を有するモノマー;
シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アダマンチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、イソボルニルアクリレート等の脂環を有するアクリレート;
ベンジルアクリレート、フェニルアクリレートなどの芳香環を有するアクリレート;
メチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-メトキシエチルアクリルアミド、N-エトキシエチルアクリルアミド、等のアクリルアミド;
アクリル酸、カルボキシエチルアクリレートなどのカルボキシ基を有するモノマー;
ジメチルアミノメチルアクリレート等のアミノ基を有するモノマー;
後述する複素環を有するアクリレート;
アリルアクリレート;等が挙げられる。
【0036】
モノマー(B1)は、中でも、直鎖又は分岐を有するアルキルアクリレート、ヒドロキシ基を有するモノマー、脂環を有するアクリレート及び芳香環を有するアクリレートより選択される1種以上を有することが好ましく、直鎖又は分岐を有するアルキルアクリレートと、脂環を有するアクリレートと、芳香環を有するアクリレートとを組み合わせて用いることがより好ましい。
【0037】
上記直鎖又は分岐を有するアルキルアクリレートは、組成物の粘度を下げ、得られる硬化物に柔軟性を付与する点から、アルキル基の炭素数が6~30アルキルアクリレートが好ましく、直鎖のアルキルアクリレートがより好ましい。またアルキルアクリレートのアルキル基の炭素数は中でも6~20が好ましく、8~16がより好ましい。
上記ヒドロキシ基を有するモノマーは、組成物の硬化性や基材との密着性の点からヒドロキシアルキルアクリレートが好ましい。ヒドロキシアルキル基の炭素数は中でも1~20が好ましく、2~16がより好ましい。
上記脂環を有するアクリレートは、脂環及び当該脂環が有する置換基を含めた炭素数が8以上であることが好ましく、8~20であることがより好ましい。
【0038】
((メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2))
モノマー(B2)は、(メタ)アクリロイルオキシ基(CH2=CR-C(=O)-O-、ただしRは水素原子またはメチル基)と複素環を有するモノマーである。モノマー(B2)は複素環を有することで、基材(特にCOP基材)との密着性が向上し、本硬化性組成物をCOP基材に対する優れた接着剤とすることができる。また、モノマー(B2)は(メタ)アクリロイルオキシ基を有することで、複素環を有しながらオリゴマー(A)やモノマー(B1)との相溶性を改善し、粘度を抑えることができる。なおモノマー(B2)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0039】
複素環は、構造の安定性や、基材、特にシクロオレフィンとの親和性などの点から、4員環以上の環構造を有することが好ましく、5員環以上がより好ましい。
複素環が有していてもよいヘテロ原子としては、O、S、N、Siなどが挙げられ、中でもO又はNが好ましい。複素環中のヘテロ原子の数は1個以上であればよく、1~3個が好ましく、1~2個がより好ましい。
【0040】
複素環は環骨格を形成するC、N、Si原子が更に置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキシ基(=O)などが挙げられる。上記アルキル基としては炭素数1~6の直鎖又は分岐状アルキル基が好ましく、炭素数1~4のアルキル基がより好ましい。アルコキシ基としては炭素数1~4のアルコキシ基が好ましく、炭素数1~2のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
また、上記アルキル基及びアルコキシ基の水素原子は更にハロゲン原子、水酸基で置換されていてもよい。
以下の複素環の説明では、置換基としてオキシ基を有する複素環についてはオキシ基を含めて複素環骨格とする。
【0041】
複素環は芳香族性を有するものであってもよく、芳香族性を有しないものであってもよい。
芳香族性を有する環骨格としては、ピロール骨格、オキサゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリジン骨格、インドール骨格、キノリン骨格、ベンゾフラン骨格などが挙げられる。
また、芳香族性を有しない環骨格としては、ピペリジル骨格(下式(1))、マレイミド骨格(下式(2))、イソシアヌレート骨格(下式(3))、テトラヒドロフラン骨格(下式(4))、ジオキソラン骨格(下式(5))、環状トリメチロールプロパン骨格(下式(6))、オキセタン骨格(下式(7))、モルホリン骨格(下式(8))などが挙げられる。
【0042】
【化1】
ただし、式中の*は直接又は連結基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基と結合する結合手であり、式中の水素原子は、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基により置換されていてもよい。
【0043】
モノマー(B2)の複素環は、シクロオレフィンとの親和性などの点から、芳香族性を有しないものが好ましく、中でも下記式(1a)~(6a)で表される構造が好ましい。
【0044】
【化2】
ただし、式中の*は直接又は連結基を介して(メタ)アクリロイルオキシ基と結合する結合手であり、R
1は-CH
2CH
2OH又は(メタ)アクリロイルオキシ基を含む基である。
【0045】
(メタ)アクリロイルオキシ基と環構造を連結する連結基としては、炭素数1~6のアルキル基などが挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイルオキシ基がアクリロイルオキシ基である場合、当該化合物は、前記モノマー(B1)にも該当する。
【0046】
(他のモノマー)
(メタ)アクリルモノマー(B)は更に他のモノマーを含んでいてもよい。他のモノマーとしては、複素環を有しないメタクリルモノマー(B3)及び他のビニル系モノマーなどが挙げられる。
複素環を有しないメタクリルモノマー(B3)は、メタクリロイル基(CH2=C(CH3)-C(=O)-)を有するモノマーの中から適宜選択して用いることができる。
モノマー(B3)としては、例えば、直鎖又は分岐を有するアルキルメタクリレート、脂環を有するメタクリレート、芳香環を有するメタクリレート、ヒドロキシ基を有するモノマー、メタクリルアミドなどが挙げられる。モノマー(B3)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0047】
モノマー(B3)の具体例としては、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、イソステアリルメタクリレート等の直鎖又は分岐を有するアルキルメタクリレート;
2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート、及び、N-ヒドロキシメチルメタクリルアミド、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、2-メタクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-メタクリロイルオキシプロピルメタクリレート、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノメタクリレート等のモノマーを含むヒドロキシ基を有するモノマー;
シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート等の脂環を有するメタクリレート;
ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレートなどの芳香環を有するメタクリレート;
メチルメタクリルアミド、N-ブトキシメチルメタクリルアミド、N-メトキシエチルメタクリルアミド、N-エトキシエチルメタクリルアミド、等のメタクリルアミド;
メタクリル酸、カルボキシエチルメタクリレートなどのカルボキシ基を有するモノマー;
ジメチルアミノメチルメタクリレート等のアミノ基を有するモノマー;
アリルメタクリレート;等が挙げられる。
【0048】
モノマー(B3)は、中でも、直鎖又は分岐を有するアルキルメタクリレート、ヒドロキシ基を有するモノマー、脂環を有するメタクリレート及び芳香環を有するメタクリレートより選択される1種以上を有することが好ましい。
【0049】
上記直鎖又は分岐を有するアルキルメタクリレートは、組成物の粘度を下げ、得られる硬化物に柔軟性を付与する点から、炭素数6~30のアルキルメタクリレートが好ましく、直鎖のアルキルメタクリレートがより好ましい。また炭素数は中でも6~20が好ましく、8~16がより好ましい。
上記ヒドロキシ基を有するモノマーは、組成物の硬化性や基材との密着性の点からヒドロキシアルキルメタクリレートが好ましい。ヒドロキシアルキル基の炭素数は中でも1~20が好ましく、2~16がより好ましい。
上記脂環を有するメタクリレートは、脂環及び当該脂環が有する置換基を含めた炭素数が8以上であることが好ましく、8~20であることがより好ましい。
【0050】
また、他のビニル系モノマーとしては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、2-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニルなどが挙げられる。
モノマー(B)の各モノマーは市販品を用いることができる。
【0051】
(オリゴマー(A)とモノマー(B)の割合)
本硬化性組成物において、オリゴマー(A)とモノマー(B)の比率は適宜調整すればよい。組成物の粘度を抑え、密着性や接着強度を向上し、柔軟性を付与して剥離を抑制する点から、オリゴマー(A)とモノマー(B)の合計100質量部中、前記(メタ)アクリルモノマー(B)が80~98質量部あることが好ましく、82~95質量部がより好ましい。
モノマー(B1)の割合は基材との密着性の点から、モノマー(B)100質量部中モノマー(B1)が80~98質量部であることが好ましく、81~97質量部がより好ましい。
モノマー(B2)の割合は基材との密着性の点から、モノマー(B)100質量部中モノマー(B2)が15~40質量部であることが好ましく、20~35質量部がより好ましい。
【0052】
<ラジカル重合開始剤(C)>
本硬化性組成物は硬化を促進するため、ラジカル重合開始剤を含有する。ラジカル重合開始剤(C)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤(C)としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤が挙げられ、いずれであってもよく併用してもよい。本硬化性組成物は積層体の製造容易性などの点から光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましく、実質的に光ラジカル重合開始剤からなることが好ましい。なお、本発明においてラジカル重合開始剤は、光又は熱の作用により開始剤自身が開裂してラジカルを発生する開裂型開始剤が好ましい。開裂型開始剤は一度ラジカルを発生すると分解して開始剤の機能を失い反応性が低下する。そのため、例えばマイクロ流路中の試薬などと予期せぬ反応を生じる恐れが抑制される。またこのような開裂型開始剤は、硬化性に優れるとともに、分解後には光吸収性が低下して硬化物の着色が抑えられ透明性が向上する。以下のラジカル重合開始剤はいずれも開裂型開始剤の例である。
【0053】
(光ラジカル重合開始剤)
光ラジカル重合開始剤は、光の照射によりラジカルを発生する化合物であればよく、適宜選択して用いることができる。光ラジカル重合開始剤の具体例としては、ベンゾフェノン、ジアセチル、ベンジル、ベンゾイン、ω-ブロモアセトフェノン、クロロアセトン、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパノン多量体、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルホルメート、2,2-ジエトキシアセトフェノン及び4-N,N’-ジメチルアセトフェノン類等のカルボニル系光重合開始剤;ジフェニルジスルフィド及びジベンジルジスルフィド等のスルフィド系光重合開始剤;ベンゾキノン及びアントラキノン等のキノン系光重合開始剤;アゾビスイソブチロニトリル及び2,2’-アゾビスプロパン等のアゾ系光重合開始剤などの紫外光開始剤;2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイドなどの可視光開始剤が挙げられる。
【0054】
光ラジカル重合開始剤は、感度、硬化速度などの点から、カルボニル系光重合開始剤又は可視光開始剤が好ましく、更に、カルボニル系光重合開始剤及び可視光開始剤を併用することが好ましい。
カルボニル系光重合開始剤としては中でも、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン又は2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパノン多量体が好ましい。
また、可視光開始剤としては、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイドが好ましい。
【0055】
(熱ラジカル重合開始剤)
熱ラジカル重合開始剤としては、加熱によりラジカルを発生する化合物であればよく、適宜選択して用いることができる。熱ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾ化合物等が挙げられ、有機過酸化物が好ましい。
【0056】
有機過酸化物はペルオキシ基(-O-O-)を含む化合物であり、例えば、ジアシルペルオキシド類、ヒドロペルオキシド類、ジアルキルペルオキシド類、ペルオキシケタール類、ペルオキシエステル類、ペルオキシカーボネート類等が挙げられる。
【0057】
有機過酸化物の具体例としては、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド類;、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド(例えば、化薬アクゾ社製のカヤクメンH)、t-ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド類;t-ヘキシルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3-ビス(t-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、t-ブチルクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3のようなジアルキルペルオキシド類;2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ジ-t-ブチルペルオキシシクロヘキサン、2,2-ジ-t-ブチルペルオキブタンのようなペルオキシケタール類;1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、α-クミルペルオキ
シネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオデカノエート、t-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、t-ブチルペルオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、t-アミルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルペルオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-アミルペルオキシ3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルペルオキシアセテート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ヘキシルペルオキシベンゾエート、t-アミルペルオキシベンゾエートのようなペルオキシエステル類;ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカーボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t-ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、1,6-ビス(t-ブチルペルオキシカルボニルオキシ)ヘキサンのようなペルオキシカーボネート類等を挙げることができる。
【0058】
アゾ化合物としては、アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルイソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(イソブチレート)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等が挙げられる。
【0059】
ラジカル重合開始剤(C)は市販品を用いることができる。
ラジカル重合開始剤(C)は、硬化性及び硬化後の接着強度の観点から、オリゴマー(A)とモノマー(B)の合計100質量部に対し、前記ラジカル重合開始剤(C)を1~5質量部が好ましい。
【0060】
<任意添加成分>
本硬化性組成物は、本発明の効果を奏する範囲で更に他の成分を含有してもよい。このような成分としては、可塑剤、カップリング剤、重合禁止剤、接着付与剤、酸化防止剤、消泡剤、顔料、充填剤、連鎖移動剤、光安定剤、表面張力調整剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、抑泡剤、溶剤などが挙げられる。
【0061】
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、ヒドラジン系酸化防止剤等が挙げられ、耐熱性や耐光性の点から、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、例えば、ペンタエリトリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](Irganox1010、BASF製)、2,2’-チオジエチルビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオナート](Irganox1035、BASF製)、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール(Irganox1520L、BASF製)、アクリル酸2-tert-ブチル-4-メチル-6-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルベンジル)フェニル(スミライザーGM、住友化学製)、1-ジメチル-2-[(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(商品名:ADK STAB AO-80、ADEKA製)などが挙げられる。また、ヒンダードフェノール性水酸基が保護基で保護されて潜在化された潜在性酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化防止剤を用いる場合、当該酸化防止剤の含有割合は、本硬化性組成物全量100質量部に対して、0.0005~0.05質量部が好ましく、0.001~0.01質量部がより好ましい。
【0062】
重合禁止剤としては、例えば、4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジtert-ブチル-4-メチルフェノール、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4-tert-ブチルカテコールなどのフェノール系重合禁止剤;ヒドロキノン、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノンなどのヒドロキノン系重合禁止剤、ベンゾキノンなどのキノン系重合禁止剤;フェノチアジン、2-メトキシフェノチアジンなどのフェノチアジン系重合禁止剤などが挙げられ、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本硬化性組成物の保存安定性などの点から、フェノール系重合禁止剤またはヒドロキノン系重合禁止剤が好ましい。
重合禁止剤を用いる場合、当該重合禁止剤の含有割合は、本硬化性組成物全量100質量部に対して、0.00005~0.005質量部が好ましく、0.0001~0.001質量部がより好ましい。
【0063】
またカップリング剤としては、基材との密着性の点から、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどの各種反応性官能基を有するシランカップリング剤が好ましい。カップリング剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カップリング剤を用いる場合、当該カップリング剤の含有割合は、本硬化性組成物全量100質量部に対して、0.0001~0.01質量部が好ましく、0.005~0.05質量部がより好ましい。
【0064】
本硬化性組成物は、必要に応じて、溶剤を含有してもよい。一方、塗布後の乾燥工程が省略可能となる点や、硬化後の接着強度の観点からは無溶剤であることが好ましい。
なお本発明において無溶剤とは、なお、実質的に溶剤を含有しないことをいい、具体的には、本硬化性組成物中、0.1質量%以下、好ましくは、0.05質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下であることをいう。
【0065】
<組成物の粘度>
本硬化性組成物の粘度は、50mPa・s以下である。50mPa・s以下であることにより、インクジェット適性に優れたインクジェットインクとして用いることができる。また、基材上に薄い膜厚で塗布することが可能である。本硬化性組成物の粘度は、45mPa・s以下が好ましく、40mPa・s以下がより好ましい。本硬化性組成物の粘度の下限は、インクジェット塗布が可能である値であれば特に限定されず、粘度計で測定可能な粘度以下であってもよい。組成物の粘度の下限を限定することを意図するものではないが、組成物の粘度は、例えば、1mPa・s以上であってもよい。本発明において粘度は、大気圧下、25℃で、コーンプレート型粘度計を用いて測定した値である。
【0066】
粘度は、例えば、オリゴマー(A)の分子量を小さくする;組成物中のオリゴマー(A)含有比率を小さくする;モノマー(B)として粘度の低いものを選択する;などの手法により低い値となる傾向がある。上述の各構成を参考にこれらの手法によって調整することができる。粘度は溶剤を添加することによっても調整が可能であるが、塗布後の乾燥工程が省略可能となる点や、硬化後の接着強度の観点から溶剤を添加せずに調整することが好ましい。
【0067】
本硬化性組成物の調製方法は、モノマー(B)に、オリゴマー(A)と、ラジカル重合開始剤(C)と、必要に応じて用いられる任意添加成分とが分散可能な方法であれば特に限定されず、公知の混合手段を用いて混合することができる。
【0068】
<硬化性組成物の硬化方法>
本硬化性組成物が光ラジカル重合開始剤を含む場合、当該組成物はエネルギー線で硬化できる。本硬化性組成物が熱ラジカル重合開始剤を含む場合、当該組成物は加熱により硬化できる。本硬化性組成物が光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を含む場合、当該組成物はエネルギー線及び/又は加熱により硬化できる。
【0069】
上記エネルギー線は、特に限定されず、可視光線、紫外線、X線、電子線等の活性エネルギー線が挙げられる。エネルギー線は、紫外線が好ましい。紫外線の光源としては、紫外線(UV)が発せられる光源を使用することができる。紫外線の光源としては、例えば、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ、ハロゲンランプ、パルスキセノンランプ、LED等が挙げられる。
エネルギー線の照射は、エネルギー線の積算光量が500~10,000mJ/cm2となるように照射することが好ましい。積算光量は、1,000~8,000mJ/cm2であるのが好ましく1,000~6,000mJ/cm2であるのがより好ましい。
【0070】
熱硬化する場合は、加熱温度及び加熱時間は、組成物が熱硬化し、基材同士が接着する温度及び時間であれば特に限定されない。加熱温度は、好ましくは70~120℃であり、より好ましくは80~110℃である。加熱時間は、好ましくは10分~2時間、より好ましくは20分~100分である。
【0071】
(本硬化性組成物の用途)
本硬化性組成物は、基材の上に硬化物を形成するための組成物、及び、基材同士を貼り合せるための接着剤として用いることができ、好ましくは接着剤として用いることができる。また、本硬化性組成物は、低粘度であり、かつ、基材上に薄い膜厚で塗布することが可能であるため、インクジェットインクとして好適に用いることができる。本硬化性組成物は、インクジェット塗布による基材同士を貼り合せるための接着剤として用いることが好ましい。
【0072】
[積層体]
本発明に係る積層体(以下、本積層体ともいう)は、第1の基材上に、前記本硬化性組成物の硬化物層と、第2の基材とをこの順に有することを特徴とする。
本積層体は、第1の基材と第2の基材を前記本硬化性組成物の硬化物を介して貼り合せているため、接合強度に優れている。
【0073】
第1の基材及び第2の基材の材質は、特に限定されず、当該基材の用途等に応じて各々独立に選択すればよい。本硬化性組成物は透明性に優れることから、透明基材の貼り合わせにも適している。また本硬化性組成物を光硬化する場合には、少なくとも一方の基材が透明基材であることが好ましい。
基材の材質としては、例えば、トリアセチルセルロース等のアセチルセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレンやポリメチルペンテン等のオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルサルホンやポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリエーテルケトン、アクロニトリル、メタクリロニトリル、シクロオレフィンコポリマー(COP)等の透明樹脂や、ソーダ硝子、カリ硝子、鉛ガラス等の硝子、PLZT等のセラミックス、石英、蛍石等の透明無機材料等が挙げられる。
本硬化性組成物はCOPとの密着性に優れる点から、第1の基材および第2の基材の少なくとも一方がシクロオレフィンコポリマーを含む基材であることが好ましい。
【0074】
また、第1の基材および/または第2の基材は、マイクロ流路などの微細パターンが形成されていてもよい。本硬化性組成物はインクジェットによる塗布が可能であるため、微細パターンに対応した塗布が可能である。
【0075】
本硬化性組成物の硬化物層の厚みは特に限定されないが、基材の接合強度の観点から、1~100μmが好ましく、30~50μmがより好ましい。
【0076】
<積層体の製造方法>
本積層体の製造方法は特に限定されないが、例えば、第1の基材上に、前記本硬化性組成物を塗工して塗膜を形成し、当該塗膜上に第2の基材を配置し、本硬化性組成物を硬化することで積層体を得ることができる。
【0077】
硬化性組成物の塗工方法は、公知の方法の中から適宜選択することができる。具体例としては、スピンコーター、ダイコーター、ディスペンサー、インクジェット印刷、スクリーン印刷及びグラビア印刷などが挙げられる。本硬化性組成物はインクジェット印刷に適している。
【0078】
得られた塗膜上に第2の基材を配置する。第2の基材を配置した後、加圧処理してもよい。加圧処理は、ゴムローラ、平板プレス装置等を用いて行うことができる
【0079】
得られた積層体に対し光照射するか、又は積層体を加熱することで、硬化性組成物の塗膜を硬化して本積層体が得られる。なお、硬化条件は前述の通りである。
【0080】
本積層体の用途は特に限定されないが、例えば、COP製のマイクロ流路デバイスとして好適に用いることができる。
【実施例0081】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
[硬化性組成物の調製]
表1に記載の配合量(質量部)に従い、各成分容器(材質SUS)に秤量し、60~80℃、大気圧下にてスリーワンモーター(新東科学社製)を使用して200回転/分で30分~1時間攪拌した。その後、組成物の温度が25℃に戻ったことを確認してから、ラジカル重合開始剤を秤量して、大気圧下、25℃で、スリーワンモーターを用いて均一に混合し、実施例及び比較例の硬化性組成物を調製した。
【0083】
[物性の測定]
得られた硬化性組成物を用いて、以下のようにして、特性を測定した。
(粘度)
粘度計(RE105U:東機産業(株)製)を用い、大気圧下、25℃で、適切なコーンプレートと回転速度を選定して、液状の光硬化性樹脂組成物の粘度を測定した。
<評価基準>
〇(良) :粘度が50mPa・s以下であった。
×(不可):粘度が50mPa・sを超過した。
粘度が50mPa・s以下であれば、インクジェットインクとしての適性が認められる。
【0084】
(密着性)
上記で得られた各硬化性樹脂組成物0.2gを厚さ50μmのスペーサーを配置したCOP板(日本ゼオン製 ZEONEX330R)上に滴下して、3×10cmに切ったCOPフィルム(日本ゼオン製 ZF-14)と貼り合せ、ゴムローラー(SN-版画 ゴムローラー 1号)で約1kgの力をかけながらフィルム上を5往復させて液を基材に伸ばした。その後、メタルハライドランプ(アイグラフィックス製ECS-401GX)にて3000mJ/cm2の光を照射して硬化させた。これらの試験片を用い、引っ張り試験機(ミネベア製 TG-2kN)にて引っ張り速度300mm/分での180°ピール試験を行なった。約10mm引き剥がしてピール強度を算出した。
【0085】
(硬化性)
ガラスプレートおよびUV照射部を備えたレオメーター(Anton Paar社製、MCR-302)を用いて25℃、周波数1Hzの条件でせん断剛性率(G’)を測定した。
上記で得られた各硬化性樹脂組成物をガラスプレート上に滴下し、8mmφの平板プレートで100μmの厚みに制御し、余分な液をふき取った後、上記せん断剛性率の測定を開始した。高圧水銀ランプ(浜松ホトニクス社製、LIGHTNINGCURE LC-8)にて200mW/cm2の光を60sec照射し、照射を終えてから5分間静置した。この間測定を続け、測定終了時点のG’の値を100%とした。測定結果からUVの照射開始からG’が80%に達するまでの時間を求めた。当該時間が短いほど、組成物が短時間で硬化するため、粘度の低い組成物であっても所望のパターンを維持しやすく、硬化性に優れていると評価できる。
【0086】
【0087】
<オリゴマー(A)>
・UA-01:ケーエスエム社製 水添ポリイソプレン系ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量19,000);製品はウレタンアクリレートオリゴマー85質量%、ラウリルアクリレート15質量%含有、ただし、表1中の数値はオリゴマーの質量部を示す。)
<モノマー(B1)>
・IBOA:日本触媒社製 イソボルニルアクリレート
LA:共栄社化学社製 ラウリルアクリレート、及び上記UA-01に含まれるラウリルアクリレートの合計
・SR-395:アルケマ社製 イソデシルアクリレート
・4-HBA:大阪有機化学工業社製 4-ヒドロキシブチルアクリレート
<モノマー(B1)かつ(B2)>
・ビスコート150D:大阪有機化学工業社製 テトラヒドロフルフリルアルコール-アクリル酸多量体エステル
<モノマー(B2)>
・LA-82 :ADEKA社製 メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル
<他のモノマー(B3)>
・BZ:共栄社化学社製 ベンジルメタクリレート
・IB:共栄社化学社製 イソボルニルメタクリレート
・HO-250:共栄社化学社製 2-ヒドロキシエチルメタクリレート
<ラジカル重合開始剤(C)>
・Omnirad-184:IGM Resins B.V.製 1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(光重合開始剤)
・KIP-150:Lamberti製 2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパノン多量体(光重合開始剤)
・Omnirad-819:IGM Resins B.V.製(Bis(2,4,6-trimethylbenzoyl)phenylphosphine oxide(光重合開始剤)
・Irganox1010:BASF製 Pentaerythritol tetrakis(3-(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxyphenyl)propionate) (酸化防止剤)
・BHT:関東化学社製 ジブチルヒドロキシトルエン(重合禁止剤)
・KBM-403:信越化学工業社製 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)
・KBM-503:信越化学工業社製 3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(シランカップリング剤)
【0088】
表1の通り、分子量2,000以上の(メタ)アクリルオリゴマー(A)と、アクリルモノマー(B1)と、(メタ)アクリロイルオキシ基と複素環を有するモノマー(B2)とを含む(メタ)アクリルモノマー(B)と、ラジカル重合開始剤(C)とを含有し、粘度が50mPa・s以下である実施例1~6の硬化性組成物は、いずれも、インクジェット適性を有し、COP基材の貼り合せに好適に適用できることが示された。