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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154787
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】故障点位置特定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/08 20200101AFI20231013BHJP
【FI】
G01R31/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064348
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】392022721
【氏名又は名称】株式会社和田電業社
(71)【出願人】
【識別番号】503032382
【氏名又は名称】古屋 一彦
(71)【出願人】
【識別番号】597019609
【氏名又は名称】株式会社 シーディエヌ
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】野田 龍三
(72)【発明者】
【氏名】和田 功
(72)【発明者】
【氏名】古屋 一彦
【テーマコード(参考)】
2G033
【Fターム(参考)】
2G033AA01
2G033AB01
2G033AC08
2G033AD20
2G033AD21
2G033AD25
2G033AG14
(57)【要約】
【課題】ノイズ等の影響を受けにくく、精度良く故障点位置を特定することのできる故障点位置特定装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様によれば、故障点位置特定装置が提供される。この故障点位置特定装置は、第1の電源と、端子間電圧測定部と、大地間電圧特定部と、位置算出部とを備える。第1の電源は、対象回路の第1の端子及び対象回路の第2の端子に接続され、対象回路に所定の電流を流する。対象回路は、電力回路の組にして用いられる配電線のうち漏電部を含まない健全線と、配電線のうち漏電部を含む漏電線とのそれぞれの一端を短絡し、健全線の他端を第1の端子とし、漏電線の他端を第2の端子として構成される。端子間電圧測定部は、第1の端子と、第2の端子との間の端子間電圧を測定する。大地間電圧特定部は、第2の端子と、大地の間の大地間電圧を特定する。位置算出部は、健全線の長さと、漏電線の長さと、端子間電圧と、大地間電圧とに基づいて、漏電部の位置を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
故障点位置特定装置であって、
第1の電源と、端子間電圧測定部と、大地間電圧特定部と、位置算出部とを備え、
前記第1の電源は、対象回路の第1の端子及び前記対象回路の第2の端子に接続され、前記対象回路に所定の電流を流し、
前記対象回路は、電力回路の組にして用いられる配電線のうち漏電部を含まない健全線と、前記配電線のうち漏電部を含む漏電線とのそれぞれの一端を短絡し、前記健全線の他端を前記第1の端子とし、前記漏電線の他端を第2の端子として構成され、
前記端子間電圧測定部は、前記第1の端子と、前記第2の端子との間の端子間電圧を測定し、
前記大地間電圧特定部は、前記第2の端子と、大地の間の大地間電圧を特定し、
前記位置算出部は、前記健全線の長さと、前記漏電線の長さと、前記端子間電圧と、前記大地間電圧とに基づいて、前記漏電部の位置を算出する
故障点位置特定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の故障点位置特定装置において、
前記位置算出部は、前記大地間電圧を前記端子間電圧で除した値に、前記健全線の長さと前記漏電線の長さとの和を乗じた値を、前記第2端子から前記漏電部までの距離として算出する
故障点位置特定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の故障点位置特定装置において、
前記大地間電圧特定部は、第2の電源を備え、
前記第2の電源は、前記第2の端子と大地の間との間に所定の電圧を印加し、前記漏電部に漏電を生じさせる
故障点位置特定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の故障点位置特定装置において、
前記大地間電圧特定部は、基準抵抗を備え、
前記第2の電源は、直流電圧源であり、
前記基準抵抗は、前記第2の端子と大地の間との間に、前記第2の電源と直列に接続され、
前記基準抵抗の両端間の電圧と、前記第2の電源の電圧とに基づいて、前記大地間電圧を特定する
故障点位置特定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の故障点位置特定装置において、
前記第1の電源は、直流電源であり、
前記基準抵抗の両端間の電圧は、前記第1の電源を第1の極性で接続した場合の電圧と、前記第1の電源を第2の極性で接続した場合の電圧との和及び差であり、
前記第2の極性は、前記第1の極性を反転した極性である
故障点位置特定装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の故障点位置特定装置において、
前記第1の電源は、交流電源である
故障点位置特定装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の故障点位置特定装置において、
前記第1の電源は、定電流源である
故障点位置特定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、故障点位置特定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配線系統等における地絡事故点等の故障位置を検出する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4-204391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されたものは、故障のない健全線及び故障を含む漏電線に電圧を印加し、両者に流れる電流の差異を検出することで行っている。この場合、漏電部の抵抗が100kΩであると仮定し、印加する電圧を500Vとすると、健全線及び漏電線に流れる電流は5mA程度となる。ここで、健全線等の配線抵抗を0.1Ωとすれば、測定に際にして、0.5mV程度の分圧状態を測定することになり、信号差としては、0.1mV程度の測定制度が必要となる。このように低い信号レベルの場合、熱起電力や外部の誘導電圧等により、信号電圧にノイズ電圧が混入し、安定な測定が困難となり、結果として、検出する故障点位置の精度も低いものとなる。
【0005】
本発明では上記事情を鑑み、ノイズ等の影響を受けにくく、精度良く故障点位置を特定することのできる故障点位置特定装置を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、故障点位置特定装置が提供される。この故障点位置特定装置は、第1の電源と、端子間電圧測定部と、大地間電圧特定部と、位置算出部とを備える。第1の電源は、対象回路の第1の端子及び対象回路の第2の端子に接続され、対象回路に所定の電流を流する。対象回路は、電力回路の組にして用いられる配電線のうち漏電部を含まない健全線と、配電線のうち漏電部を含む漏電線とのそれぞれの一端を短絡し、健全線の他端を第1の端子とし、漏電線の他端を第2の端子として構成される。端子間電圧測定部は、第1の端子と、第2の端子との間の端子間電圧を測定する。大地間電圧特定部は、第2の端子と、大地の間の大地間電圧を特定する。位置算出部は、健全線の長さと、漏電線の長さと、端子間電圧と、大地間電圧とに基づいて、漏電部の位置を算出する。
【0007】
本発明の一態様によれば、故障点位置を精度良く特定することができるとともに、加熱事故を生じさせることもない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】故障点位置特定装置1の構成の概略を示した図である。
図2】配線系統の例を示した図である。
図3】故障点位置特定装置1を対象回路に接続した際の回路構成の例を示した図である。
図4】簡略化した対象回路を示した図である。
図5】漏電を生じさせる場合の故障点位置特定装置1を対象回路に接続した際の回路構成の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0010】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサーバからダウンロード可能に提供されてもよいし、外部のコンピュータで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピューティング)するように提供されてもよい。
【0011】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハードウェア資源と、これらのハードウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0012】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0013】
1.故障点位置特定装置の構成
図1は、故障点位置特定装置1の構成の概略を示した図である。同時に示すように、故障点位置特定装置1は、第1の電源である電源11と、端子間電圧測定部12と、大地間電圧特定部13と、位置算出部14とを備える。
【0014】
電源11は、対象回路の第1の端子及び対象回路の第2の端子に接続され、対象回路に所定の電流を流す。対象回路は、電力回路の組にして用いられる配電線のうち漏電部を含まない健全線と、配電線のうち漏電部を含む漏電線とのそれぞれの一端を短絡し、健全線の他端を第1の端子とし、漏電線の他端を第2の端子として構成される。ここで、対象回路の具体例を説明する。図2は、配線系統の例を示した図である。同図に示す変圧器2に接続されている三相3線の配線のうち、S相の配線に漏電部が存在するとすれば、R相の配線を健全線21、S相の配線を漏電線22とする。また、健全線21に代えて、T相の配線を健全線23として用いてもよい。変圧器3、変圧器4に接続される配線に漏電部が存在する場合にも同様である。なお、図2では、三相3線と単相3線の配線系統を示しているが、対象回路は、これに限ること無く、単相2線、直流2線であってもよい。また、対象回路として、配線の一端を短絡するが、この短絡は、負荷側であってもよく、変圧器側であってもよい。
【0015】
また、電源11は、直流電源であってもよく、交流電源であってもよい。電源11は、いずれの場合も、健全線21と漏電線22に、これらの配線材が許容する電流以下の電流を流す電圧を印加するものであればよく、電源11を定電流源とするようにしてもよい。
【0016】
端子間電圧測定部12は、第1の端子と、第2の端子との間の端子間電圧を測定する。この端子間電圧は、例えば、4端子法によって測定を行う。
【0017】
大地間電圧特定部13は、第2の端子と、大地の間の大地間電圧を特定する。例えば、大地間電圧特定部13は、第2の電源を備え、この第2の電源は、第2の端子と大地の間との間に所定の電圧を印加し、漏電部に漏電を生じさせる。また、大地間電圧特定部13は、基準抵抗を備えるようにしてもよい。この基準抵抗は、第2の端子と大地の間との間に、第2の電源と直列に接続される。そして、大地間電圧特定部13は、基準抵抗の両端間の電圧と、第2の電源の電圧とに基づいて、大地間電圧を特定する。第2の電源は、直流電圧源である。なお、電源11が直流電源である場合には、基準抵抗の両端間の電圧は、電源11を第1の極性で接続した場合の電圧と、電源11を第2の極性で接続した場合の電圧との和及び差である。第2の極性は、第1の極性を反転した極性である。ところで、第2の電源は直流電圧源であるものとしたが、第2の電源は、交流電源を用いることもできる。第2の電源に交流電源を用いる場合、第1の電源である電源11が交流電源であれば、それぞれの周波数を異なるものとなるようにすることで、第1の電源と第2の電源の両者に交流電源を用いることができる。また、第2の電源には、直流、交流ともに、電流源を用いることもできる。なお、漏電は一般的に直流の負電圧で行う事が決められているため、ここでは、第2の電源を直流電圧源として説明している。
【0018】
位置算出部14は、健全線の長さと、漏電線の長さと、端子間電圧と、大地間電圧とに基づいて、漏電部の位置を算出する。具体的には、位置算出部14は、大地間電圧を端子間電圧で除した値に、健全線の長さと漏電線の長さとの和を乗じた値を、第2端子から漏電部までの距離として算出する。
【0019】
この位置算出部14は、論理回路等で構成してもよく、コンピュータを用いてもよい。コンピュータは、例えば、処理部、記憶部、一時記憶部、外部装置接続部等を通信バスで通信可能に接続したものであり、処理部は、例えば、中央処理装置(Central Processing Unit:CPU)により実現されるもので、記憶部に記憶された所定のプログラムに従って動作し、種々の機能を実現する。記憶部は、様々な情報を記憶する不揮発性の記憶媒体である。これは、例えばROM(Read Only Memory)やソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスにより実現される。もちろん、ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive:HDD)であってもよい。一時記憶部は、揮発性の記憶媒体である。これは、例えばランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリにより実現され、処理部が動作する際に一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶する。外部装置接続部は、例えばユニバーサルシリアルバス(Universal Serial Bus:USB)や高精細度マルチメディアインターフェース(High-Definition Multimedia Interface:HDMI(登録商標))といった規格に準じた接続部である。また、当該コンピュータに、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network:LAN)規格に準じた通信手段を設けるようにしてもよい。
【0020】
2.故障点位置の特定
次に、故障点位置の特定方法について説明する。図3は、故障点位置特定装置1を対象回路に接続した際の回路構成の例を示した図である。同図に示すように、対象回路は、健全線21と漏電線22の一端を短絡して構成され、健全線21の他端を端子T1、漏電線22の他端を端子T2とする。また、健全線21と漏電線22の長さは、いずれもLであるものとする。漏電線22は、漏電部221が存在し、その漏電抵抗222の値は、Rであるものとする。漏電抵抗222は、素子として抵抗を接続したものではなく、漏電部221と大地間の抵抗を表したものである。この対象回路の端子T1と端子T2の間に、故障点位置特定装置1の電源11を接続し、その電圧がVであるとすれば、端子T1と端子T2の間の端子間電圧はVとなる。この端子間電圧は、端子間電圧測定部12により測定される。
【0021】
ここで、健全線21の抵抗値をr、漏電線22の端子T2から漏電部221までの抵抗値をr、漏電線22の漏電部221から短絡点Sまでの抵抗値をrとすると、漏電部221と大地間の電圧Vは、数1に示す式で表すことができる。
【数1】
【0022】
ところで、対象回路の配線の抵抗値、つまり、r+r+rを0.1Ωであるとし、端子間電圧Vが1Vとなる電圧Vを印加したとすると、健全線21と漏電線22を流れる電流は、10Aとなる。その一方で、漏電抵抗222の値Rは、漏電を生じていなければ、1kΩ以上である。端子間電圧Vが1Vであれば、電圧Vは最大でも1Vであるため、漏電部221を流れる電流は、1mA以下となり、対象回路の配線を流れる電流の1/10000程度のものとなる。したがって、対象回路は、漏電抵抗222の存在を無視して、図4に示すような回路とみなすことができる。図4は、簡略化した対象回路を示した図である。なお、特許文献1に記載されたものでは、0.5mVレベルであった対象回路の配電線電圧が、独立して外部設定できるので1V以上にすることが可能であり、ノイズに対して大幅に強いレベルとすることができる。
【0023】
図4に示す回路において、健全線21と漏電線22は、同じ配線材なので、数2に示す関係が成り立つ。
【数2】
この数2を数1に代入すると、数3に示す式となる。
【数3】
【0024】
ここで、健全線21の配線長Lとその抵抗値r、漏電線22の漏電部221から端子T2までの配線長Lとその抵抗値rは比例するので、r/rとなり、数3は、数4と表すことができる。
【数4】
これにより、数5から漏電部221の端子T2からの距離であるLを求めることができる。
【数5】
【0025】
3.漏電状態での故障点位置の特定
次に、漏電部221に漏電を生じさせた状態での故障点位置の特定について説明する。図5は、漏電を生じさせる場合の故障点位置特定装置1を対象回路に接続した際の回路構成の例を示した図である。同図に示すように、故障点位置特定装置1の大地間電圧特定部13が備える第2の電源である電源131と、基準抵抗132を直列に接続し、これらを端子T2と大地の間に接続する。また、電源11は、スイッチ111により、端子T1と端子T2の間に印加する電圧の極性を反転させることができるようにする。電源11に交流電源を用いる場合には、スイッチ111は省略することができる。なお、ここでは、電源131の電圧をV、基準抵抗132の抵抗値をRとする。なお、以下の説明では、説明の簡略化のため、大地-基準抵抗132-電源131-漏電線22の端子T2から漏電部221まで-漏電抵抗222-大地を流れる電流が、健全線21及び漏電線22を流れる電流よりも十分小さいものとして無視できるものとし、RとRとの和に比べrは十分に小さく、rを無視できるものとする。
【0026】
電源11が直流電源であり、スイッチ111により、端子T1と電源11の正電極が接続され、端子T2と電源11の負電極が接続された場合の基準抵抗132の両端の電圧をVr1とすると、Vr1は、数6により表される。
【数6】
【0027】
また、端子T1と電源11の負電極が接続され、端子T2と電源11の正電極が接続された場合の基準抵抗132の両端の電圧をVr2とすると、Vr2は、数7により表される。
【数7】
【0028】
数6と数7から、Vを求めると、数8のようになり、このVを数5に代入することで、漏電部221の端子T2からの距離であるLを求めることができる。
【数8】
【0029】
このとき、漏電部221の漏電抵抗222の値Rは、数9で求めることができる。また、数9のVは、数10により求める。
【数9】
【数10】
【0030】
なお、スイッチ111に代えて、電源131の極性を切り替えるスイッチを設けることにより、同様の結果を得ることもできる。
【0031】
また、電源11に交流電源を用いた場合には、数9で漏電抵抗222の値Rを求めることができる。このとき、V、Vは、直流電圧の値である。そして、基準抵抗132の両端に生じる交流電圧をvとすると、数11でVを求めることができる。この場合、Vは交流電圧である。
【数11】
【0032】
数11で求めたVを数5に代入することで、漏電部221の端子T2からの距離であるLを求めることができる。
【0033】
4.その他
本発明は、次に記載の各態様で提供されてもよい。
前記故障点位置特定装置において、前記位置算出部は、前記大地間電圧を前記端子間電圧で除した値に、前記健全線の長さと前記漏電線の長さとの和を乗じた値を、前記第2端子から前記漏電部までの距離として算出する故障点位置特定装置。
前記故障点位置特定装置において、前記大地間電圧特定部は、第2の電源を備え、前記第2の電源は、前記第2の端子と大地の間との間に所定の電圧を印加し、前記漏電部に漏電を生じさせる故障点位置特定装置。
前記故障点位置特定装置において、前記大地間電圧特定部は、基準抵抗を備え、前記第2の電源は、直流電圧源であり、前記基準抵抗は、前記第2の端子と大地の間との間に、前記第2の電源と直列に接続され、前記基準抵抗の両端間の電圧と、前記第2の電源の電圧とに基づいて、前記大地間電圧を特定する故障点位置特定装置。
前記故障点位置特定装置において、前記第1の電源は、直流電源であり、前記基準抵抗の両端間の電圧は、前記第1の電源を第1の極性で接続した場合の電圧と、前記第1の電源を第2の極性で接続した場合の電圧との和及び差であり、前記第2の極性は、前記第1の極性を反転した極性である故障点位置特定装置。
前記故障点位置特定装置において、前記第1の電源は、交流電源である故障点位置特定装置。
前記故障点位置特定装置において、前記第1の電源は、定電流源である故障点位置特定装置。
もちろん、この限りではない。
【符号の説明】
【0034】
1 :故障点位置特定装置
2 :変圧器
3 :変圧器
4 :変圧器
11 :電源
12 :端子間電圧測定部
13 :大地間電圧特定部
14 :位置算出部
21 :健全線
22 :漏電線
23 :健全線
111 :スイッチ
131 :電源
132 :基準抵抗
221 :漏電部
222 :漏電抵抗
S :短絡点
T1 :端子
T2 :端子
図1
図2
図3
図4
図5