(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154799
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】標識認識方法、標識認識装置、運転支援方法及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20231013BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20231013BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231013BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/16 C
G06T7/00 650A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064370
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】上保 和之
(72)【発明者】
【氏名】平 靖久
(72)【発明者】
【氏名】大河原 正篤
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF05
5H181FF14
5H181FF22
5H181FF32
5L096AA06
5L096BA04
5L096FA66
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
5L096JA09
(57)【要約】
【課題】支線車線が本線車線に合流する状況や支線車線が本線車線から分岐する状況で撮影した画像に基づいて制限速度標識を誤認識するのを抑制する。
【解決手段】標識認識方法では、自車両が走行する走行車線が本線車線であるか支線車線であるかを判定し(S1、S5)、自車両に搭載されたカメラによって、自車両の前方の領域における撮像画像から制限速度標識を認識し(S3)、撮像画像から一方通行標識を認識することにより制限速度標識に一方通行標識が併設されているか否かを判定し(S4)、走行車線が支線車線であると判定し、且つ制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用し(SS6)、走行車線が本線車線であると判定し、且つ制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用しない(S7)。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両が走行する走行車線が本線車線であるか、合流車線若しくは分岐車線である支線車線であるかを判定する処理と、
前記自車両に搭載されたカメラによって、前記自車両の前方の領域における撮像画像を取得する処理と、
前記撮像画像から制限速度標識を認識する処理と、
前記撮像画像から一方通行標識を認識することにより前記制限速度標識に一方通行標識が併設されているか否かを判定する処理と、
前記走行車線が支線車線であると判定し、且つ前記制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、前記制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用し、前記走行車線が本線車線であると判定し、且つ前記制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、前記制限速度標識が指定する速度を前記速度情報として採用しない処理と、
をコントローラに実行させる、
ことを特徴とする標識認識方法。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記制限速度標識に一方通行標識が併設されていないと判定した場合に、前記制限速度標識が電光標識であり且つ前記制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上であるか否かを判定する処理と、
前記走行車線が本線車線であり、前記制限速度標識が電光標識であり、且つ前記制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上であると判定した場合に、前記制限速度標識が指定する速度を前記速度情報として採用する処理と、
を実行することを特徴とする請求項1に記載の標識認識方法。
【請求項3】
請求項1又は2の標識認識方法によって採用された前記速度情報に基づいて、前記コントローラが前記自車両の運転を支援する運転支援方法。
【請求項4】
自車両に搭載され、前記自車両の前方の領域を撮影するカメラと、
自車両が走行する走行車線が本線車線であるか、合流車線若しくは分岐車線である支線車線であるかを判定する処理と、前記カメラによって取得した撮像画像から制限速度標識を認識する処理と、前記撮像画像から一方通行標識を認識することにより前記制限速度標識に一方通行標識が併設されているか否かを判定する処理と、前記走行車線が支線車線であると判定し、且つ前記制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、前記制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用し、前記走行車線が本線車線であると判定し、且つ前記制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、前記制限速度標識が指定する速度を前記速度情報として採用しない処理と、を実行するコントローラと、
を備えることを特徴とする標識認識装置。
【請求項5】
請求項4に記載の標識認識装置を備え、採用した前記速度情報に基づいて前記コントローラが前記自車両の運転を支援する運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標識認識方法、標識認識装置、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両前方を撮影するようにカメラにより撮影された画像から制限速度標識を認識して制限速度の情報を検出し、制限速度の情報を表示装置に表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
支線車線が本線車線に合流する状況や支線車線が本線車線から分岐する状況で撮影した画像から制限速度標識を認識する場合、自車両が走行する走行車線でない車線に対して設置された制限速度標識を、自車両が走行する走行車線に対して設置された制限速度標識と誤認する虞がある。
本発明は、支線車線が本線車線に合流する状況や支線車線が本線車線から分岐する状況で撮影した画像に基づいて制限速度標識を誤認するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による標識認識方法では、自車両が走行する走行車線が本線車線であるか、合流車線若しくは分岐車線である支線車線であるかを判定する処理と、自車両に搭載されたカメラによって、自車両の前方の領域における撮像画像を取得する処理と、撮像画像から制限速度標識を認識する処理と、撮像画像から一方通行標識を認識することにより制限速度標識に一方通行標識が併設されているか否かを判定する処理と、走行車線が支線車線であると判定し、且つ制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用し、走行車線が本線車線であると判定し、且つ制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用しない処理と、をコントローラに実行させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、支線車線が本線車線に合流する状況や支線車線が本線車線から分岐する状況で撮影した画像に基づいて制限速度標識を誤認識するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の運転支援装置を搭載する車両の概略構成の一例を示す図である。
【
図3】自車両が合流車線を走行する様子を示す模式図である。
【
図4】自車両が本線車線を走行する様子を示す模式図である。
【
図5】自車両が分岐車線を走行する様子を示す模式図である。
【
図6】自車両が本線車線を走行する様子を示す模式図である。
【
図7】実施形態の運転支援方法の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面は模式的なものであって、現実のものとは異なる場合がある。また、以下に示す本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の構造、配置等を下記のものに特定するものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0009】
(構成)
図1は、実施形態の運転支援装置を搭載する車両の概略構成の一例を示す図である。自車両1に搭載された運転支援装置10は、センサ11と、測位装置12と、地図データベース(地
図DB)13と、車載機器14と、ナビゲーションシステム15と、表示装置16と、音声出力装置17と、入力装置18と、車両挙動制御装置19と、コントローラ20を備える。これらの装置は、相互に情報の送受信を行うために、たとえばCAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続されている。
【0010】
センサ11は、自車両1の走行状態を検出する。たとえば、センサ11は、自車両1の前方を撮像する前方カメラ、自車両1の後方を撮像する後方カメラ、自車両1の左右の側方を撮像する側方カメラ等のカメラを含む。また、センサ11は、自車両1の前方の障害物を検出する前方レーダ、自車両1の後方の障害物を検出する後方レーダ、自車両1の左右の側方に存在する障害物を検出する側方レーダ等のレーダを含む。さらに、センサ11は、自車両1の車速を検出する車速センサなどを含む。
【0011】
測位装置12は、GPSユニット、ジャイロセンサ、および車速センサなどを備える。測位装置12は、GPSユニットにより複数の衛星通信から送信される電波を検出し、自車両1の位置情報を周期的に取得する。また、測位装置12は、取得した自車両1の位置情報と、ジャイロセンサから取得した角度変化情報と、車速センサから取得した車速とに基づいて、自車両1の現在位置を検出する。
【0012】
地図データベース13は、各種施設や特定の地点の位置情報を含む三次元高精度地図情報を格納し、コントローラ20からアクセス可能とされたメモリである。三次元高精度地図情報は、データ取得用車両を用いて実際の道路を走行した際に検出された道路形状に基づく三次元地図情報である。三次元高精度地図情報は、地図情報とともに、カーブ路及びそのカーブの大きさ(たとえば曲率又は曲率半径)、道路の合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置などの詳細かつ高精度の位置情報が、三次元情報として関連付けられた地図情報である。
【0013】
三次元高精度地図情報は、道路単位の情報よりも詳細な車線単位の情報を含む。以下、三次元高精度地図情報に含まれる車線単位の情報を「車線情報」と表記することがある。
例えば三次元高精度地図情報は、車線情報として、車線基準線(例えば車線内の中央の線)上の基準点を示す車線ノードの情報と、車線ノード間の車線の区間態様を示す車線リンクの情報、車線種別情報を含む。車線種別情報は、各々の車線が、本線車線であるか、本線車線に合流する合流車線であるか、本線車線から分岐する分岐車線であるかを示す情報を含んでよい。以下の説明において、本線車線に合流する合流車線と本線車線から分岐する分岐車線とを総称して「支線車線」と表記することがある。
【0014】
また、三次元高精度地図情報は、道路の制限速度を示す制限速度情報を含む。制限速度情報は、例えば制限速度標識に関する情報(以下「制限速度標識情報」と表記する)を含んでよい。
制限速度標識情報は、道路や車線に設置された制限速度標識の設置位置とその制限速度の情報を含む。さらに制限速度標識情報は、制限速度標識が設置されている道路や車線(すなわち制限速度標識によって制限速度が規制又は指定される道路や車線)と、制限速度標識とを紐付ける(すなわち、対応付ける又は関連付ける)紐付け情報とを含んでいる。
また、制限速度情報は、例えば道路や車線に紐付けた速度情報によって制限速度を指定してもよい。
【0015】
車載機器14は、自車両1に搭載された各種機器であり、乗員の操作により動作する。このような車載機器としては、ハンドル、アクセルペダル、ブレーキペダル、方向指示器、ワイパー、ライト、クラクション、その他の特定のスイッチなどが挙げられる。
ナビゲーションシステム15は、測位装置12から自車両1の現在の位置情報を取得し、ナビゲーション用の地図情報に自車両1の位置を重ね合わせてディスプレイなどに表示する。また、ナビゲーションシステム15は、目的地が設定された場合に、その目的地までの目標走行経路を設定し、設定した目標走行経路を乗員に案内するナビゲーション機能を備える。このナビゲーション機能は、ディスプレイの地図上に目標走行経路を表示し、音声等によって目標走行経路を乗員に知らせる。ナビゲーションシステム15で設定された目標走行経路は、コントローラ20が備えるルート走行支援機能でも利用される。ルート走行支援機能は、設定された目標走行経路に基づいて、自車両1を目的地まで自律走行させる機能である。
【0016】
表示装置16は、たとえば、ナビゲーションシステム15が備えるディスプレイ、ルームミラーに組み込まれたディスプレイ、メータ部に組み込まれたディスプレイ、フロントガラスに映し出されるヘッドアップディスプレイ等の各種ディスプレイを含む。表示装置16は、コントローラ20の制御に従って、各種の提示情報を乗員に報知する。
音声出力装置17は、ナビゲーションシステム15が備えるスピーカ、オーディオ装置のスピーカ、ブザー等の聴覚的情報を出力する装置である。音声出力装置17は、コントローラ20の制御に従って、各種の提示情報を乗員に報知する。
【0017】
入力装置18は、たとえば、乗員の手動操作による入力が可能なボタンスイッチ、ディスプレイ画面上に配置されたタッチパネル、又は乗員の音声による入力が可能なマイクなどの装置である。乗員が入力装置18を操作することで、表示装置16や音声出力装置17により提示された提示情報に対する設定情報を入力することができる。
図2は、本実施形態の入力装置18の一部を示す図である。入力装置18は、例えばハンドルのスポーク部などに配置されたボタンスイッチ群であってよい。入力装置18は、コントローラ20が備える自律走行制御機能のオン/オフ等を設定する際に使用する。入力装置18は、メインスイッチ181と、リジューム・アクセラレートスイッチ182と、セット・コーストスイッチ183と、キャンセルスイッチ184と、車間調整スイッチ185と、車線変更支援スイッチ186とを備える。
【0018】
メインスイッチ181は、コントローラ20の自律走行制御機能をオン/オフするスイッチである。リジューム・アクセラレートスイッチ182は、自律走行制御機能をオフしたのちオフ前の設定速度で自律走行制御機能を再開することを設定したり、設定速度を上げるスイッチである。セット・コーストスイッチ183は、自律走行制御機能を開始するスイッチである。自律走行制御機能を開始するには、メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、セット・コーストスイッチ183を押下する。またセット・コーストスイッチ183は、設定速度を下げるスイッチである。キャンセルスイッチ184は、自律走行制御機能を解除するスイッチである。車間調整スイッチ185は、先行車両との車間距離を設定するためのスイッチである。車線変更支援スイッチ186は、コントローラ20が車線変更の開始を乗員に確認した場合に車線変更の開始を指示する(承諾する)ためのスイッチである。
なお、
図2に示すボタンスイッチ群以外にも、方向指示器の方向指示レバーやその他の車載機器14のスイッチを入力装置18として用いることができる。例えば、コントローラ20から自動で車線変更を行うか否かを提案された場合に、乗員が方向指示レバーを操作すると、提案された車線変更ではなく、方向指示レバーが操作された方向に向かって車線変更を行う。
【0019】
車両挙動制御装置19は、自車両1の車両挙動を制御する。たとえば、車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により自車両1が設定速度で定速走行する場合には、自車両1が設定速度となるように、加減速度および走行速度を実現するための駆動機構の動作およびブレーキ動作を制御する。また、車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により自車両1が先行車両に追従走行する場合にも、同様に駆動機構及びブレーキの動作を制御する。なお、駆動機構の動作制御は、エンジン自動車にあっては内燃機関の動作、電気自動車系にあっては走行用モータの動作を含む。また、ハイブリッド自動車にあっては、内燃機関と走行用モータとのトルク配分を含む。
また車両挙動制御装置19は、自律走行制御機能により、後述するレーンキープ制御、車線変更支援機能、追い越し支援機能又はルート走行支援機能を実行する場合に、駆動機構とブレーキの動作制御に加えて、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、自車両1の操舵制御を実行する。
【0020】
コントローラ20は、自車両1の走行を制御するための1つ又は複数の電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)であり、プロセッサ21と、記憶装置22等の周辺部品とを含む。プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。記憶装置22は、半導体記憶装置や、磁気記憶装置、光学記憶装置等を備えてよい。記憶装置22は、レジスタ、キャッシュメモリ、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを含んでよい。
以下に説明するコントローラ20の機能は、例えばプロセッサ21が、記憶装置22に格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
なお、コントローラ20を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、コントローラ20は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を備えてもよい。例えばコントローラ20はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
【0021】
コントローラ20は、自車両1の走行状態に関する情報を取得する走行情報取得機能と、自車両1の走行速度及び/又は操舵を自律制御する自律走行制御機能とを実現する。コントローラ20の走行情報取得機能は、自車両1の走行状態に関する走行情報を取得する機能である。たとえば、コントローラ20は、走行情報としてセンサ11の前方カメラ、後方カメラ及び側方カメラにより撮像された車両外部の画像情報を取得してよい。また、コントローラ20は、走行情報として前方レーダ、後方レーダ及び側方レーダによる検出結果を取得する。さらに、コントローラ20は、走行情報としてセンサ11の車速センサにより検出された自車両1の車速情報も走行情報として取得する。
【0022】
さらに、コントローラ20は、走行情報として、自車両1の現在の位置情報を測位装置12から取得する。また、コントローラ20は、設定された目的地及び目的地までの目標走行経路を走行情報としてナビゲーションシステム15から取得する。さらに、コントローラ20は、走行情報として、カーブ路及びそのカーブの大きさ(たとえば曲率又は曲率半径)、合流地点、分岐地点、料金所、車線数の減少位置などの位置情報を走行情報として地図データベース13から取得する。加えて、コントローラ20は、走行情報として、乗員による車載機器14の操作情報を、車載機器14から取得する。
【0023】
コントローラ20の自律走行制御機能は、自車両1の走行を乗員の操作に依ることなく自律制御する機能である。コントローラ20の自律走行制御機能は、自車両1の走行速度を自律制御する自律速度制御機能と、自車両1の操舵を自律制御する自律操舵制御機能とを含む。以下、本実施形態の自律速度制御機能と自律操舵制御機能について説明する。なお、本発明において自律走行制御機能は、自律速度制御機能のみを含んでいれば足り、自律走行制御機能は必ずしも自律操舵制御機能を含んでいなくてもよい。
【0024】
《自律速度制御機能》
自律速度制御機能は、先行車両を検出しているときは、自車両1が走行中の道路や車線の制限速度、又は乗員が設定した車速を上限にして、車速に応じた車間距離を保つように車間制御を行いつつ先行車両に追従走行する機能である。
一方、先行車両を検出していない場合には、自律速度制御機能は、自車両1が走行中の道路や車線の制限速度、又は乗員が設定した車速で定速走行を行う。前者を車間制御、後者を定速制御ともいう。
コントローラ20は、センサ11のカメラにより撮影した撮像画像から制限速度標識を認識し、制限速度標識が指定する速度を制限速度として設定する機能を含む。制限速度標識の認識方法については後述する。
【0025】
定速制御は、センサ11の前方レーダ等により、自車線の前方に先行車両が存在しないことが検出された場合に実行される。定速制御では、設定された走行速度を維持するように、車速センサによる車速データをフィードバックしながら、車両挙動制御装置19によりエンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御する。
車間制御は、センサ11の前方レーダ等により、自車線の前方に先行車両が存在することが検出された場合に実行される。車間制御では、設定された走行速度を上限にして、設定された車間距離を維持するように、前方レーダにより検出した車間距離データをフィードバックしながら、車両挙動制御装置19によりエンジンやブレーキなどの駆動機構の動作を制御する。
【0026】
《自律操舵制御機能》
自律操舵制御機能は、ステアリングアクチュエータの動作を制御することで、自車両1の操舵制御を実行する機能である。
自律操舵制御機能は、例えば、レーンキープ機能、車線変更支援機能、追い越し支援機能、及びルート走行支援機能などを含む。
レーンキープ機能とは、例えば車線の中央付近を走行するようにステアリングアクチュエータを制御して、乗員のハンドル操作を支援する機能である。
【0027】
メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、セット・コーストスイッチ183が押下されると、コントローラ20は所定の自律走行制御開始条件が成立するか否かを判定する。自律走行制御開始条件が成立すると判定した場合に、コントローラ20は、自律操舵制御機能のレーンキープ機能を実行する。
または、メインスイッチ181により自律走行制御機能をオンした後に、自律走行制御開始条件が成立すると、コントローラ20は、セット・コーストスイッチ183が押下されるのを待つ。セット・コーストスイッチ183が押下されると、コントローラ20は、自律走行制御を開始して自律操舵制御機能のレーンキープ機能を実行する。
【0028】
《車線変更支援機能》
車線変更支援機能は、乗員が方向指示レバーを操作すると方向指示器を点灯し、所定の車線変更開始条件を満たした場合に、自動車線変更の一連の処理である車線変更操作を開始する。車線変更支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種の走行情報に基づいて、所定の車線変更開始条件が成立したか否かを判断する。
車線変更支援機能は、車線変更開始条件を満たした場合に車線変更操作を開始する。車線変更操作では、自車両1を隣接車線へ横移動させ、隣接車線への移動が完了すると方向指示器を消灯し、隣接車線でのレーンキープ機能の実行を開始する。
【0029】
《追い越し支援機能》
追い越し支援機能は、自車線の前方に自車両1よりも遅い先行車両が存在し、かつ、所定の追い越し提案条件を満たした場合に、追い越し情報を表示装置16により乗員に提示する。ここで、追い越し情報とは、先行車両の追い越しを行なうことを乗員に提案するための情報である。追い越し支援機能は、追い越し情報の提示に対し、乗員が入力装置18の車線変更支援スイッチ186を操作して承諾し、かつ、予め設定された追い越し開始条件を満たした場合に、方向指示器を点灯して上述した車線変更操作を開始する。追い越し支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種走行情報に基づいて、追い越し提案条件及び追い越し開始条件が成立したか否かを判断する。
【0030】
《ルート走行支援機能》
ルート走行支援機能は、設定された目標走行経路に分岐地点や合流地点、出口や料金所等の走行方向変更地点が存在し、走行方向変更地点までの距離が所定距離以内であり、かつ、所定のルート走行提案条件を満たした場合に、ルート走行情報を表示装置16により提示し、走行方向変更地点への車線変更を提案する。また、ルート走行支援機能は、車線変更の提案が車線変更支援スイッチ186の操作により承諾され、かつ、所定のルート走行開始条件を満たした場合に車線変更操作を開始する。
ルート走行支援機能は、走行情報取得機能により取得した各種走行情報に基づいて、ルート走行提案条件及びルート走行開始条件が成立したか否かを判断する。
【0031】
《制限速度標識の認識方法》
上記のとおりコントローラ20は、センサ11のカメラにより撮影した撮像画像から制限速度標識を認識する機能を有する。
制限速度標識の認識結果は、自車両1の運転支援制御に利用可能である。例えばコントローラ20は、制限速度標識が指定する速度を制限速度として設定し、設定した制限速度に基づく自車両1の運転支援制御を実行する。
運転支援制御は、例えば、制限速度に基づく自車両1の自律速度制御であってよい。この場合にコントローラ20は、自車両1の走行速度を制限速度に維持する定速制御を行ってよい。また例えばコントローラ20は、制限速度を上限速度として用いて車間制御を行ってもよい。
【0032】
また運転支援制御は、例えば、運転者への制限速度の提示であってもよい。例えばコントローラ20は、認識した制限速度を、表示装置16に表示してよい。例えば、メータ部に組み込まれたディスプレイ、フロントガラスに映し出されるヘッドアップディスプレイに表示する。
また、コントローラ20は、認識した制限速度に基づく音声メッセージを音声出力装置17から出力してよい。例えば、コントローラ20は、制限速度を知らせる音声メッセージや、制限速度が変わったことを知らせる音声メッセージ、自車両1の車速が制限速度を超えていることを知らせる音声メッセージを音声出力装置17から出力してよい。
【0033】
制限速度標識を認識する際に、コントローラ20は、自車両1の前方の領域を撮影する車載されたセンサ11の前方カメラから、自車両1の前方の領域を表す撮像画像を取得する。なお、前方カメラの上下方向及び左右方向の角度は、少なくとも自車線に隣接した車線に設置された制限速度標識を認識できるように設置され、又は画角が調整されている。また、制限速度標識を認識するカメラを、複数設置してもよい。コントローラ20は、取得した撮像画像から制限速度標識を認識する。例えばコントローラ20は、パターンマッチングなどの既知の画像認識処理により撮像画像から制限速度標識を認識してよい。
またコントローラは、自車両1から制限速度標識までの距離と方向を推定する。自車両1から制限速度標識までの距離は、例えば制限速度標識の支持構造物の接地位置の座標を撮像画像から検出することで推定できる。
【0034】
上記のとおり、支線車線(合流車線)が本線車線に合流する状況や、支線車線(分岐車線)が本線車線から分岐する状況で撮影した撮像画像から制限速度標識を認識する場合、自車両が走行する走行車線でない車線に対して設置された制限速度標識を、自車両が走行する走行車線に設置された制限速度標識と誤認する虞がある。
例えば、自車両1の走行車線が本線車線である場合に、支線車線に対して設置された制限速度標識を、自車両1の走行車線(すなわち本線車線)の制限速度標識と誤認する虞がある。
同様に、自車両1の走行車線が支線車線である場合に、本線車線に対して設置された制限速度標識を、自車両1の走行車線(すなわち支線車線)の制限速度標識と誤認する虞がある。
【0035】
そこで、コントローラ20は、撮像画像から認識した制限速度標識が、支線車線に対して設置された標識(すなわち、支線車線の制限速度を規制又は指定する標識)であるか否かを判断するために、撮像画像から一方通行標識を認識する。コントローラ20は、パターンマッチングなどの既知の画像認識処理により撮像画像から一方通行標識を認識してよい。
そして、制限速度標識に一方通行標識が併設されているか否かを判定する。一方通行標識が併設されている制限速度標識は、支線車線に対して設置された標識であると推定できるからである。
【0036】
ここで、制限速度標識に一方通行標識が「併設」されているとは、例えば制限速度標識に近接して一方通行標識が設置されている状態を意味し、例えば制限速度標識と一方通行標識とが同一の支持物(柱やビーム)に固定されている場合や、制限速度標識と一方通行標識との間の離間距離が所定距離未満であることを含む。コントローラ20は、制限速度標識と一方通行標識とが認識された撮像画像に対して画像認識処理を施すことによって、制限速度標識に一方通行標識が併設されているか否かを判定してよい。
【0037】
また、コントローラ20は自車両1が走行する走行車線が、本線車線であるのか支線車線であるのかを判定する。
例えばコントローラ20は、測位装置12によって測定された自車両1の現在位置と、地図データベース13に格納された三次元高精度地図情報とに基づいて、自車両が現在走行している車線を、自車両1が走行する走行車線として特定してよい。コントローラ20は、自車両1が走行する走行車線として特定した車線の車線種別情報に基づいて、自車両1が走行する走行車線が本線車線であるのか支線車線であるのかを判定してよい。
【0038】
また例えばコントローラ20は、ナビゲーションシステム15が設定した目標走行経路と三次元高精度地図情報とに基づいて、自車両1が走行する走行車線が、本線車線であるのか支線車線であるのかを判定してもよい。
例えば、ナビゲーションシステム15が設定した目標走行経路が、本線車線のある道路上を走行し続ける経路である場合には、自車両1が走行する走行車線が本線車線であると判定してよい。一方で、ナビゲーションシステム15が設定した目標走行経路が、本線車線のある道路から分岐路へ進む経路である場合には、自車両1が走行する走行車線が分岐車線(支線車線)であると判定してよい。また、ナビゲーションシステム15が設定した目標走行経路が、合流路から、本線車線のある道路へ進む経路である場合には、自車両1が走行する走行車線が合流車線(支線車線)であると判定してよい。
【0039】
コントローラ20は、自車両1が走行する走行車線が支線車線であると判定し、且つ制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、撮像画像から認識した制限速度標識を自車両1が走行する走行車線に設置された制限速度標識と判定し、制限速度標識が指定する速度を、運転支援制御に用いる制限速度の速度情報として採用する。例えば、コントローラ20は、制限速度標識が指定する制限速度に基づいて、自車両1の運転支援制御を実行する。
【0040】
図3及び
図4は、本線車線L1及びL2に合流車線L3が合流区間Smで合流する状況を示す模式図である。地点Pmsは合流区間Smが始まる合流開始地点であり、地点Pmeは合流区間Smが終了する合流終了地点である。
制限速度標識Sg1は合流区間Smに設置されており、自車両1が合流車線L3を走行していても(
図3参照)、自車両1が本線車線L1を走行していても(
図4参照)、センサ11の前方カメラが撮影した自車両1前方の撮像画像から制限速度標識Sg1を認識することがある。
コントローラ20は、自車両1が合流車線L3を走行し(
図3参照)、かつ制限速度標識Sg1に一方通行標識Sg2が併設されていると判定すると、制限速度標識Sg1が指定する速度を制限速度の速度情報として採用し、採用した制限速度に基づいて運転支援制御を実行する。
【0041】
図5及び
図6は、本線車線L1及びL2から分岐車線L4が分岐区間Sjで分岐する状況を示す模式図である。地点Pjsは分岐区間Sjが始まる分岐開始地点であり、地点Pjeは分岐区間Sjが終了する分岐終了地点である。
制限速度標識Sg1は分岐区間Sjに設置されており、自車両1が分岐車線L4を走行していても(
図5参照)、自車両1が本線車線L1を走行していても(
図6参照)、センサ11の前方カメラが撮影した自車両1前方の撮像画像から制限速度標識Sg1を認識することがある。
コントローラ20は、自車両1が分岐車線L4を走行し(
図5参照)、かつ制限速度標識Sg1に一方通行標識Sg2が併設されていると判定すると、制限速度標識Sg1が指定する速度を制限速度の速度情報として採用し、採用した制限速度に基づいて運転支援制御を実行する。
【0042】
一方で、
図4及び
図6に示すように、自車両1が走行する走行車線が本線車線L1であると判定し、且つ制限速度標識Sg1に一方通行標識Sg2が併設されていると判定した場合には、撮像画像から認識した制限速度標識Sg1が指定する速度を、運転支援制御に用いる制限速度の速度情報として採用しない。例えば、コントローラ20は、運転支援制御において、制限速度標識Sg1が指定する制限速度を使用しない。
この場合、例えばコントローラ20は、運転支援制御に現在使用されている制限速度を継続して運転支援制御に使用してよい。また、地図データベース13の三次元高精度地図情報から、自車両1が走行する走行車線の制限速度情報を取得して、制限速度情報が示す制限速度に基づいて運転支援制御を実行してもよい。
【0043】
撮像画像から認識した制限速度標識に一方通行標識が併設されていないと判定した場合には、コントローラ20は、制限速度標識が電光標識であり且つ制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上であるか否かを判定してよい。コントローラ20は、例えばパターンマッチングなどの既知の画像認識処理により撮像画像から電光標識であるか否かを判定してよい。
そして、自車両1が走行する走行車線が本線車線であり、制限速度標識が電光標識であり、且つ制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上であると判定した場合に、制限速度標識が指定する速度を運転支援制御に用いる制限速度の速度情報として採用してよい。例えば、コントローラ20は、制限速度標識が指定する制限速度に基づいて、自車両1の運転支援制御を実行してよい。
その理由は、電光標識の制限速度標識は本線車線に設置されることが多く、高速道路等の自動車専用道路の本線車線には最低速度が設定されているからである。このため、上記の閾値速度は、例えば本線車線の最低速度に設定してよい。例えば高速道路の本線車線の場合には、閾値速度は時速60キロメートルであってよい。
【0044】
撮像画像から認識した制限速度標識が電光標識でないか、又は制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上でない場合には、コントローラ20は、地図データベース13の三次元高精度地図情報の制限速度標識情報を参照することにより、撮像画像から認識した制限速度標識が、三次元高精度地図情報において自車両1が走行する走行車線に紐付けられているか否かを判定してもよい。
撮像画像から認識した制限速度標識が、自車両1が走行する走行車線に紐付けられている場合に、コントローラ20は、制限速度標識が指定する速度を運転支援制御に用いる制限速度の速度情報として採用してよい。例えば、コントローラ20は、制限速度標識が指定する制限速度に基づいて、自車両1の運転支援制御を実行してよい。
【0045】
例えばコントローラ20は、撮像画像から認識した制限速度標識までの距離及び方向と、測位装置12によって測定された自車両1の現在位置とに基づいて、制限速度標識の設置位置を算出する。撮像画像から認識した制限速度標識の設置位置と、三次元高精度地図情報の制限速度標識情報が表す制限速度標識の設置位置とを照合することにより、撮像画像から認識した制限速度標識の制限速度標識情報を取得してよい。コントローラ20は、制限速度標識情報の紐付け情報に基づいて、制限速度標識に紐付けられた車線が、自車両1が走行する走行車線か否かを判定してよい。
【0046】
撮像画像から認識した制限速度標識が、自車両1が走行する走行車線に紐付けられていない場合には、コントローラ20は、自車両1から制限速度標識までの距離に基づいて、制限速度標識が指定する速度を運転支援制御に用いる制限速度の速度情報として採用するか否かを判定してよい。
例えばコントローラ20は、自車両1から制限速度標識までの距離が所定距離以下である場合には制限速度標識が指定する速度を採用する。所定距離より大きい場合には制限速度標識が指定する速度を採用しない。この場合、例えばコントローラ20は、運転支援制御に現在使用されている制限速度を継続して運転支援制御に使用してよい。また、地図データベース13の三次元高精度地図情報から、自車両1が走行する走行車線の制限速度情報を取得して、制限速度情報が示す制限速度に基づいて運転支援制御を実行してもよい。
【0047】
(動作)
実施形態の運転支援方法の一例のフローチャートである。
ステップS1においてコントローラ20は、自車両1が走行する走行車線が、本線車線であるのか支線車線であるのかを判定する。
ステップS2においてコントローラ20は、センサ11の前方カメラから、自車両1の前方の領域における撮像画像を取得する。
ステップS3においてコントローラ20は、取得した撮像画像から制限速度標識を認識する。
【0048】
ステップS4においてコントローラ20は、制限速度標識に一方通行標識が併設されているか否かを判定する。制限速度標識に一方通行標識が併設されている場合(ステップS4:Y)に処理はステップS5へ進む。制限速度標識に一方通行標識が併設されていない場合(ステップS4:N)に処理はステップS8へ進む。
ステップS5において、自車両1が走行する走行車線が支線車線である場合(ステップS5:Y)に処理はステップS6へ進む。自車両1が走行する走行車線が本線車線である場合(ステップS5:N)に処理はステップS7へ進む。
【0049】
ステップS6においてコントローラ20は、制限速度標識が指定する速度を、運転支援制御に用いる制限速度の速度情報として採用する。その後に処理はステップS13へ進む。ステップS7においてコントローラ20は、制限速度標識が指定する速度を、運転支援制御に用いる制限速度の速度情報として採用しない。その後に処理はステップS13へ進む。
【0050】
ステップS8においてコントローラ20は、制限速度標識が電光標識であり且つ制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上であるか否かを判定する。制限速度標識が電光標識であり且つ制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上である場合(ステップS8:Y)に処理はステップS9へ進む。制限速度標識が電光標識でないか、制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上でない場合(ステップS8:N)に処理はステップS10へ進む。
ステップS9において、自車両1が走行する走行車線が本線車線である場合(ステップS9:Y)に処理はステップS6へ進む。自車両1が走行する走行車線が本線車線でない場合(ステップS9:N)に処理はステップS10へ進む。
【0051】
ステップS10においてコントローラ20は、撮像画像から認識した制限速度標識が、地図データベース13において自車両1が走行する走行車線に紐付けられているか否かを判定する。自車両1が走行する走行車線に制限速度標識が紐付けられている場合(ステップS10:Y)に処理はステップS6へ進む。自車両1が走行する走行車線に制限速度標識が紐付けられていない場合(ステップS10:N)に処理はステップS11へ進む。
【0052】
ステップS11においてコントローラ20は、自車両1から制限速度標識までの距離が所定距離以下か否かを判定する。自車両1から制限速度標識までの距離が所定距離以下である場合(ステップS11:Y)に処理はステップS6へ進む。自車両1から制限速度標識までの距離が所定距離以下でない場合(ステップS11:N)に処理はステップS12へ進む。
ステップS12においてコントローラ20は、制限速度標識が指定する速度を、運転支援制御に用いる制限速度の速度情報として採用しない。その後に処理はステップS13へ進む。
【0053】
ステップS13においてコントローラ20は、設定した制限速度に基づく自車両1の運転支援制御を実行する。ステップS7又はS12において制限速度標識が指定する速度を採用しない場合、運転支援制御に現在使用されている制限速度を継続して運転支援制御に使用してよい。また、地図データベース13の三次元高精度地図情報から、自車両1が走行する走行車線の制限速度情報を取得して、制限速度情報が示す制限速度に基づいて運転支援制御を実行してもよい。その後に処理は終了する。
【0054】
(実施形態の効果)
(1)コントローラ20は、自車両1が走行する走行車線が本線車線であるか、合流車線若しくは分岐車線である支線車線であるかを判定する処理と、自車両に搭載されたカメラによって、自車両1の前方の領域における撮像画像を取得する処理と、撮像画像から制限速度標識を認識する処理と、撮像画像から一方通行標識を認識することにより制限速度標識に一方通行標識が併設されているか否かを判定する処理と、走行車線が支線車線であると判定し、且つ制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用し、走行車線が本線車線であると判定し、且つ制限速度標識に一方通行標識が併設されていると判定した場合には、制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用しない処理と、を実行する。
これにより、支線車線が本線車線に合流する状況や支線車線が本線車線から分岐する状況で撮影した画像に基づいて制限速度標識を誤認するのを抑制できる。
【0055】
(2)コントローラ20は、制限速度標識に一方通行標識が併設されていないと判定した場合に、制限速度標識が電光標識であり且つ制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上であるか否かを判定する処理と、走行車線が本線車線であり、制限速度標識が電光標識であり、且つ制限速度標識が指定する速度が閾値速度以上であると判定した場合に、制限速度標識が指定する速度を速度情報として採用する処理と、を実行してもよい。
これにより、制限速度標識に一方通行標識が併設されていない場合に、支線車線が本線車線に合流する状況や支線車線が本線車線から分岐する状況で撮影した画像に基づいて制限速度標識を誤認するのを抑制できる。
【0056】
(3)コントローラ20は、上記(1)又は(2)により採用した速度情報に基づいて、自車両1の運転支援制御を実行してよい。
これにより、支線車線が本線車線に合流する状況や支線車線が本線車線から分岐する状況で撮影した画像に基づいて制限速度標識を認識した場合に、自車両1が走行する走行車線でない車線に設置された制限速度標識に基づいて、不適切な運転支援制御を行うのを抑制できる。
【符号の説明】
【0057】
1…自車両、10…運転支援装置、11…センサ、12…測位装置、13…地図データベース、14…車載機器、15…ナビゲーションシステム、16…表示装置、17…音声出力装置、18…入力装置、19…車両挙動制御装置、20…コントローラ