(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154800
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】電極、電解層、二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/38 20060101AFI20231013BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20231013BHJP
H01M 10/0562 20100101ALI20231013BHJP
H01M 4/134 20100101ALI20231013BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20231013BHJP
H01G 11/06 20130101ALI20231013BHJP
H01G 11/68 20130101ALI20231013BHJP
H01G 11/30 20130101ALI20231013BHJP
H01G 11/56 20130101ALI20231013BHJP
H01M 10/052 20100101ALN20231013BHJP
H01M 10/054 20100101ALN20231013BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M10/0562
H01M4/134
H01M4/13
H01G11/06
H01G11/68
H01G11/30
H01G11/56
H01M10/052
H01M10/054
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064371
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】505008752
【氏名又は名称】廣岡 真志
(72)【発明者】
【氏名】廣岡 真志
【テーマコード(参考)】
5E078
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5E078AA01
5E078AA02
5E078AA05
5E078AA06
5E078AB06
5E078AB12
5E078BA30
5E078DA12
5E078HA02
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AK02
5H029AK11
5H029AL02
5H029AL11
5H029AM00
5H029AM12
5H029HJ02
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA12
5H050BA15
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA02
5H050CA17
5H050CB02
5H050CB11
5H050HA02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】少ない容積でも高エネルギーの電極、放熱作用と早いイオン移動を促し急速充電が可能な電解層と、電解層と外装部材が、冷却することにより、優れた電池特性を得ることが可能な二次電池を提供する。
【解決手段】高エネルギー密度を有するニオブアルミニウム合金(Nb
3Al、Nb
2Al、Nb
7Al等)、ニオブアルミウム複合酸化物(Nb
3Al、Nb
2Al、Nb
7Al合金の酸化物)を含む正極活物質層13及び負極活物質層15と、速いイオン移動が可能な固体電解質層17、放熱作用があり低膨張な固体電解層17、放熱シート及びラミネートフィルムが、膨張収縮で挙動する電極の電析に起因する内部短絡の発生を抑制し、高いリサイクル寿命を得る手段を提供する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニオブアルミニウム合金(Nb3Al、Nb2Al、Nb7Al等)、
ニオブアルミウム複合酸化物( Nb3Al、Nb2Al、Nb7Al合金
の酸化物)を含む電極。
【請求項2】
前記電極にタンタル、チタン、ハーフニュウム、ジルコニュウム、
スズ、モリブデンから選られる1種以上の元素が添加されたことを
特徴とする請求1項に記載の電極。
【請求項3】
前記電極に含まれる、負極と正極と、電解質とを有する二次電池で
あって、前記正極及び前記負極並びに前記電解層と梱包される外装部材
とが設けられたことを特徴とする請求項1~2項に記載の二次電池。
【請求項4】
前記電解質はイオンを高速移動させるイオンを含有する弾性部材
であることを特徴とする請求項3~4項に記載の電解質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、正極および負極と共に電解層を備えた二次電池、
ならびにその二次電池を用いた電池パック、電動車両、電力貯蔵
システム、電動工具および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機などの多様な電子機器が広く普及しており、その電子機
器の小型化、軽量化および長寿命化が要望されている。そこで、電源
として、電池、特に小型かつ軽量で高エネルギー密度を得ることが
可能な二次電池の開発が進められている。
【0003】
二次電池は、上記した電子機器に限らず、他の用途への適用も検討
されている。一例を挙げると、電子機器などに着脱可能に搭載される
電池パック、電気自動車などの電動車両、家庭用電力サーバなどの
電力貯蔵システム、および電動ドリルなどの電動工具である。
【0004】
この二次電池は、正極および負極と共に電解液を備えている。電解
液の組成は、電池特性に大きな影響を及ぼすため、その電解液の構成
に関しては、さまざまな検討がなされている。
【0005】
ここで、現在一般に普及しているリチウムイオン二次電池は、電解
質に可燃性の有機電解液を用いている。このような液系リチウムイオ
ン二次電池では、液漏れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の
電池よりも厳しく求められる。
【0006】
そこで近年、活物質又は電解層に酸化物系や硫化物系の固体電解質
を用いた全固体リチウムイオン二次電池等の全固体電池に関する研究
開発が盛んに行われている。固体電解質は、固体中でイオン伝導が
可能なイオン伝導体を主体として構成される材料である。このため、
全固体リチウムイオン二次電池においては、従来の液系リチウムイオ
ン二次電池のように可燃性の有機電解液に起因する各種問題が原理的
に発生しない。また一般に、高電位・大容量の正極材料、大容量の
負極材料を用いると電池の出力密度およびエネルギー密度の大幅な
向上が図れる。活物質として炭素性材料、コバルトや酸化物系材料を
用いた全固体リチウムイオン二次電池は、その有望な候補である。
(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1に開示された技術においては、負極に炭素材料
具体的には、人造黒鉛、黒鉛炭素繊維等、エネルギー密度には限界が
あった。更に、固体電解層は、多孔質帯であり、電極と固体電解層の
密着率が低くなり、高い容量を有する金属リチウムの特性を犠牲にし
ている。このため、金属リチウムが本来有している高い容量を有効に
活用することができず、電池のエネルギー密度を十分に向上させる
ことができないという問題がある。
【0009】
そこで本発明は、二次電池において、高容量のニオブアルミニウ
ム合金、ニオブアルミニウム複合酸化物(請求項2の添加材を含む)
を電極として導入することによりエネルギー密度が向上される。
加えて、正極及び負極に挟まれている固体電解層を通電性を有す
るゴム等の弾性部材にすることにより、固体電解層接触面と電極
(正極と負極)接触面の密着率が向上し、イオン伝導が促進される金属
イオンを含入することにより更なるイオン電導効率が向上し好適な
急速充電、固体電解層と外装部材を放熱ゴムにすることにより膨張
収縮で挙動する電極の電析に起因する内部短絡の発生を抑制し高い
リサイクル寿命を得る手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の二次電池は、ニオブアルミニウム合金、ニオブアルミ
ウム複合酸化物( Nb3Al、Nb2Al、Nb7Al合金の酸化
物)を含む電極が設けられたことを特徴とする。
【0011】
前記電極として、ニオブアルミウム合金、ニオブアルミウム複合
酸化物することにより大容量のエネルギー密度と、誘電率を確保する
ことが可能である。
集電帯は、ニオブアルミ合金、純アルミニウム(純99%以上)、
無酸素銅(純度99%以上)等があるが好ましくはニオブアルミ合金
が、集電能力向上と通電抵抗が向上される。
【0012】
前記電極にタンタル、チタン、ハーフニュウム、ジルコニュウム、
スズ、モリブデンから選られる1種以上の元素が添加されたことを
特徴とする。
【0013】
前記電極にタンタル、チタン、ハーフニュウム、ジルコニュウ
ム、スズ、モリブデンから選られる1種以上の元素が添加された
ことにより、より好適な誘電及び放電能力が促進される。
その結果、充電時間短縮、エネルギー密度の向上となる。
【0014】
前記固体電解層は例えば水素化ニトリルゴム、シリコン、
アクリルゴム、フッ素ゴム等にリチュウムイオン、をベースとして
銀イオン、アルミイオン、銅イオン等のいずれ2種を添加すること
によりイオン移動効率が上昇し、更なる急速充電が可能となる。
前記固体電解層の前記正極と前記負極とを接地面に押圧させて
成型することにより、前記接地面はイオン移動に好適な密着が
可能となる。
【0015】
前記外装部材の内側に放熱ゴム例えば水素化ニトリルゴム、
シリコン、アクリルゴム、フッ素ゴム等外側にアルミニウム等の
ラミネートでラップ加工することにより内側のセルから発生した熱
を放熱することができる。
【0016】
前記固体電解層は例えば水素化ニトリルゴム、シリコン、アクリ
ルゴム、フッ素ゴム等にリチュウムイオン、をベースとして銀イオ
ン、アルミイオン、銅イオン等のいずれ2種を添加することにより
高速イオン移動が可能となり更なる急速充電が可能となる。
前記固体電解層の前記正極と前記負極とを接地面に押圧させて成型
することにより、前記接地面はイオン移動に好適な密着が可能とな
る。
【0017】
前記外装部材の内側に放熱ゴム例えば水素化ニトリルゴム、
シリコン、アクリルゴム、フッ素ゴム等外側にアルミニウム等の
ラミネートでラップ加工することにより内側の前記負極、前記
正極、前記固体電解層から総称するセルから発生した熱を放熱
することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、二次電池において、ニオブアルミウム
ニオブアルミウム複合酸化物電極備えることにより、高容量のエ
ネルギー密度の向上と、固体電解層をイオンの高速移動を可能に
する活動イオンを複合させたゴム等の弾性部材を設けたことによ
り、電極との密着率とイオンの高速移動が向上し好適な急速充電
が可能となる。更に外装部材を放熱効果があるゴム、アルミニウ
ム等でセルを梱包する備えたことにより、内部短絡の発生を抑止
し、電池のリサイクル寿命を向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明に係る全固体電池の一実施形態である扁平積層型 電池の外観を表した斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1および
図2に示す積層型電池の発電要素を構成する 単電池層の断面図である。
【
図4】
図4は、本発明に係る全固体電池の一実施形態である双極型 (バイポーラ型)の全固体リチウムイオン二次電池を模式的に 表した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、適宜図面を参照しながら、ここで開示される二次電池の好適な
実施形態を、リチウムイオン二次電池を例にして説明する。
以下の実施形態は、当然ながらここに開示される技術を特に限定する
ことを意図したものではない。
ここで開示される全固体二次電池は、以下に説明するリチウムイオン
二次電池に限定されるものではなく、例えば、ナトリウムイオン二次電
池、マグネシウムイオン二次電池、あるいはリチウムイオンキャパシタ
(いわゆる物理電池に包含される)等もここでいう全固体二次電池、
液体電解二次電池に包まれる。
【0021】
以下、図面を参照しながら、上述した本形態の実施形態を説明する
が、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められ
るべきであり、以下の形態のみに制限されない。なお、図面寸法比率
は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0022】
図1は、本発明に係る全固体電池の一実施形態である扁平積層型
電池の外観を表した斜視図である。
図2は、
図1に示す2-2線に
沿う断面図である。積層型とすることで、電池をコンパクトにかつ
高容量化することができる。なお、本明細書においては、
図1およ
び
図2に示す扁平積層型の双極型でないリチウムイオン二次電池
(以下、単に「積層型電池」とも称する)を例に挙げて詳細に説明す
る。ただし、本形態に係り全固体電池の内部における電気的な接続
形態(電極構造)で見た場合、非双極型(内部並列接続タイプ)電池
及び双極型(内部直列接続タイプ)電池のいずれにも適用しうるもの
である。
【0023】
≪第1の実施形態≫
図1に示されるように、積層型電池10aは、長方形状の扁平な
形状を有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電
板25、負極集電板27が引き出されている。
図2に示されるように、
発電要素21は、積層型電池10aを電池内側外装材(放熱シート
29a)電池外側外装材(ラミネートフィルム29b)によって
包まれ、その周囲は熱融着されており、発電要素21は、正極集電板
25および負極集電板27を外部に引出した状態で密封されている。
【0024】
なお、本形態に係る全固体電池は、積層型の平面形状のものに制限
されるものではない。巻回型の全固体電池では、円筒型形状のもので
あってもよいし、こうした円筒型形状のものを変形させて、長方形状
の扁平な形状にしたようなものであってもよいなど、特に制限される
ものではない。上記円筒型の形状のものでは、その外装材にラミネー
トフィルムを用いてもよいし、従来の円筒缶(金属缶)を用いてもよ
いなど、特に制限されるものではない。好ましくは、発電要素がアル
ミニウムを含むラミネートフィルムの内部に収容される。
【0025】
また、
図1に示される集電板(25、27)の取り出しに関して
も、特に制限されるものではない。正極集電板25と負極集電板27
とを同じ辺から引き出すようにしてもよいし、正極集電板25と負極
集電板27をそれぞれ複数に分けて、各辺から取り出しようにしても
よいなど、
図1に示されるものに制限されるものではない。また、
巻回型のリチウムイオン電池では、タブに変えて、例えば、円筒缶
(金属缶)を利用して端子を形成すればよい。
【0026】
図2に示すように、本実施形態の積層型電池10aは、実際に充放
電反応が進行する扁平略矩形の発電要素21が、電池外装材である
ラミネートフィルム29bの内部に封止された構造を有する。
ここで、発電要素21は、正極と、固体電解質層17と、負極と
を積層した構成を有している。正極は、正極集電体11の両面に正極
活物質を含有する正極母材層13が配置された構造を有する。
負極は、負極集電体12の両面に負極活物質を含有する負極母材層
15が配置された構造を有する。
具体的には、1つの正極活物質層13とこれに隣接する負極活物
質層15とが、固体電解質層17を介して対向するようにして、
正極、固体電解質層17および負極がこの順に積層されている。
これにより、隣接する正極、固体電解質層および負極は、1つの
単電池層19を構成する。したがって、
図1に示される積層型電池
10aは、単電池層19が複数積層されることで、電気的に並列
接続されてなる構成を有するともいえる。
【0027】
図2に示されるように、発電要素21の両最外層に位置する最外層
正極集電体には、いずれも片面のみに正極活物質層13が配置されて
いるが、両面に活物質層が設けられてもよい。すなわち、片面にのみ
活物質層を設けた最外層専用の集電体とするのではなく、両面に活物
質層がある集電体をそのまま最外層の集電体として用いてもよい。
【0028】
正極集電体11及び負極集電体12は、各電極(正極および負極)
と導通される正極集電板(タブ)25および負極集電板(タブ)27
がそれぞれ取り付けられ、発電要素21を包み込むように電池外装材
である発電要素21側に
図2に示される放熱ラバー29aその外側に
ラミネートフィルム29b有している。正極集電板25および負極集
電板27はそれぞれ、必要に応じて正極リード及び負極リード(図示
せず)を介して、各電極の正極集電体11および負極集電体13に
超音波溶接やロウ付けなどにより接地面積を広く取り付けてもよい。
【0029】
図3は、
図1および
図2に示す積層型電池10aの発電要素21を
構成する単電池層19の断面図である。
図3では、単電池層19を
構成する正極集電体11と、正極活物質層13と、固体電解質層17
と、負極活物質層15と、負極集電体12と、がこの順に積層されて
いる。
【0030】
正極活物質層13及び負極活物質層15として、ニオブアルミウム
合金(Nb3Al、Nb2Al、Nb7Al等)より好適なのは Nb3
Al、ニオブアルミウム複合酸化物(Nb3Al、Nb2Al、Nb7
Al等)より好適なのは、Nb3Al酸化物 、成型方法は、インゴッ
トを基本とするが、粉末による焼結でも構わない。
前記正極活物質層13及び負極活物質層15は、誘電率が高く、高い
エネルギー密度が確保することが可能である。
又、正極集電体11および負極集電体13は、ニオブアルミ合金
(Nb3Al、Nb2Al、Nb7Al等)より好適な材料は、Nb3
Alである。純アルミニウム(純99%以上)、無酸素銅(純度99%
以上)等でも構わない。より集電体の高い集電能力と通電抵抗が向上
がなされる。その結果、好適な1サイクルあたりのバッテリー寿命が
長くなる。
【0031】
正極活物質層13及び負極活物質層15は、ニオブアルミウム
合金(Nb3Al、Nb2Al、Nb7Al等)より好適な材料は、
Nb3 Al、ニオブアルミウム複合酸化物(Nb3Al、Nb2Al、
Nb7Al等)より好適なのは Nb3 Alをベース材料とするが、
正極活物質層13及び負極活物質層15に、タンタル、チタン、
ハーフニュウム、ジルコニュウム、スズ、モリブデンから選られる
1種以上の元素が添加されたことにより、好適な誘電及び放電能力が
促進される。
その結果、充電時間短縮、エネルギー密度の向上となる。
【0032】
固体電解層17はリチュウムイオンを移動させるゴム例えば、
天然ゴムNR、ニトリルゴムNBR、水素化ニトリルゴムH-NBR、
シリコンゴムSI(ケイ素ゴム)、フッ素ゴムFKM、ウレタンゴム
U、アクリルゴムACM、イソプレンゴムIR、スチレンゴムSBR
(スチレン・ブタジエンゴム)、ブタジエンゴムBRブチルゴム
IIR(イソブチエン・イソプレンゴム)、エチレン・プロピレンゴム
EPM、エチレン・ プロピレン・ジエンゴムEPDM、エチレン・
酢ビゴムEVA、クロロプレンゴムCR、ハイパロンCSM(クロロ
スルホン化ポリエチレン)、塩素化ポリエチレンゴムCM、 エピク
ロルヒドリンゴムCO/ECO、多硫化ゴムT(チオコールゴム)
例えば使用状況に適合させると水素化ニトリルゴムH-NBR、シリコ
ンSI、アクリルゴムACM、エチレン・プロピレン・ジエン
ゴム、EPDMフッ素ゴムFKM、例えば水素化ニトリルゴム、シリコ
ン、アクリルゴム、フッ素ゴム等である。
【0033】
上記のゴム材料には、必要に応じて活性イオンが添加されうる。
例えばLi、Ag、Nb、Ni、Al、Cu、Pt、Cr、
Sn、Zn、In、およびSbからなる群から選択される少なくとも
1種の金属イオンもしくはこれらの金属を含む合金または金属酸化物
イオンも含むことができる。その結果、リチュウムイオン移動効率を
促進することができる。固体電解層17は、低膨張な弾性体であるの
で、常に正極活物質層13及び負極活物質層15の接触面に押圧する
ことになり好適な密着面積確保が可能である。
上記、イオン移動効率の向上と接着面積向上がなされると好適な
急速充電性能が保たれる。
【0034】
放熱ラバー29aは、例えば、天然ゴムNR、ニトリルゴムNBR
水素化ニトリルゴムH-NBR、シリコンゴムSI(ケイ素ゴム)、
フッ素ゴムFKM、ウレタンゴムU、アクリルゴムACM、イソプレン
ゴムIRスチレンゴムSBR(スチレン・ブタジエンゴム)、ブタジ
エンゴムBRブチルゴムIIR(イソブチエン・イソプレンゴム)、
エチレン・プロピレンゴムEPM、エチレン・プロピレン・ジエン
ゴムEPDM、エチレン・酢ビゴムEVA、クロロプレンゴムCR、
ハイパロン、CSM(クロロスルホン化ポリエチレン)、塩素化ポリエ
チレンゴムCM、 エピクロルヒドリンゴムCO/ECO、多硫化
ゴムT(チオコールゴム)例えば使用状況に適合させると水素化
ニトリルゴムH-NBR、シリコンSI、アクリルゴムACM、
エチレン・プロピレン・ジエンゴムEPDMフッ素ゴムFKMが特に
防振効果の内部保護と放熱作用があり好適に用いられる。
【0035】
放熱シート29aの外側のラミネートフィルム29bは、アルミニ
ウム等放熱作用がある材質であり、放熱シート29aをラップ加工す
ることにより内側の発電要素21及び放熱ラバー29aから発生した
熱を放熱することができる。
【0036】
図示は省略するが、放熱シート29a中に、液体(水、油等)を注入
し循環ポンプで循環冷却する構造にしても良い。そのようにすれば、
常時電気性能を発揮できる温度に保てることが可能となる。
【0037】
図示は省略するが、正極リードおよび負極リードは、集電体
(11、12)と集電板(25、27)との間を電気的に接続して
いる。正極および負極リードの構成材料としては、公知のリチウ
ムイオン二次電池において用いられる材料が同様に採用されうる。
なお、外装から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触
して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)
に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより
被覆することが好ましい。
【0038】
≪第2の実施形態≫
本発明の固体電解層17は、ゴム材料ベースを主体に説明をしてき
ましがそれに捕らわれず樹脂が挙げられる。例えば、ポリエチレン
(PE;高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン
(LDPE)など)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリイミド
(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリアミド(PA)、ポリテ
トラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SB
R)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート
(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ塩化ビニル
(PVC)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、またはポリスチレン
(PS)などが挙げられる。かよう材料は、優れた耐電位性または耐溶
媒性を有しうる 。
【0039】
上記の樹脂材料には、第1の実施形態のゴム材料同様必要に応じて
導電性イオンが添加する事が可能である。添加導電イオンは、上記
記載の導電イオン同様なので説明を省略する。
【0040】
≪第3の実施形態≫
固体電解質17は、水を含んだ水系電解質であってもよい。
水系電解質は、水系電解液と高分子材料とを複合化したゲル状の水系
電解質であってもよい。高分子材料としては、例えば、ポリフッ化
ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエ
チレンオキサイド(PEO)等を挙げることができる。
【0041】
水系電解質の電気分解を抑制するために、LiOH又はLi2SO 4
などを添加し、pHを調整することができる。
pHは、3-13であることが好ましく、4-12であることがよ
り好ましい。
【0042】
上記水系電解質を用いる場合には、電流を遮断するセパレータが
用いられる。
セパレータは、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン
(PP)、セルロース、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を
含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性
の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔
質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一
定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
【0043】
≪第4の実施形態≫
なお、正極活物質層13及び負極活物質層15の両極ともにニオ
ブアルミウム合金(Nb3Al、Nb2Al、Nb7Al等)としてい
るが、正極活物質層13のみ、硫黄を含まない正極活物質としては、
例えば、LiCoO2 、LiMnO2 、 LiNiO2 、Li
VO2 、Li(Ni-Mn-Co)O2 等の層状岩塩型活物質、Li
Mn2O4 等のスピネル型活物等有活物質等を用いても構わない。
【0044】
≪第5の実施形態≫
例えば、本発明に係る全固体リチウムイオン二次電池が適用される
電池の種類として、集電体の一方の面に電気的に結合した正極活物
質層と、集電体の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層とを
有する双極型電極を含む、双極型(バイポーラ型)の電池も挙げら
れる。
【0045】
図4は、本発明に係る全固体電池の一実施形態である双極型(バイ
ポーラ型)の全固体リチウムイオン二次電池(以下、単に「双極型二
次電池」とも称する)を模式的に表した断面図である。
図4に示す
双極型二次電池10bは、実際に充放電反応が進行する略矩形の発電
要素21が、電池外装体である放熱ラバー29a及びラミネートフィ
ルム29bの内部に封止された構造を有する。
【0046】
図4に示すように、本形態の双極型二次電池10bの発電要素21
は、集電体11の一方の面に電気的に結合した正極活物質層13が
形成され、集電体11の反対側の面に電気的に結合した負極活物質層
15が形成された複数の双極型電極23を有する。各双極型電極23
は、固体電解質層17を介して積層されて発電要素21を形成する。
なお、固体電解質層17は、固体電解質が層状に成形されてなる構成
を有する。
図4に示すように、一の双極型電極23の正極活物質層
13と前記一の双極型電極23に隣接する他の双極型電極23の負極
活物質層15との間に固体電解質層17が挟まれて配置されている。
【0047】
隣接する正極活物質層13、固体電解質層17、および負極活物質
層15は、一つの単電池層19を構成する。したがって、双極型二次
電池10bは、単電池層19が積層されてなる構成である。
なお、発電要素21の最外層に位置する正極側の最外層集電体
11aには、片面のみに正極活物質層13が形成されている。
また、発電要素21の最外層に位置する負極側の最外層集電体
11bには、片面のみに負極活物質層15が形成されている。
【0048】
さらに、
図4に示す双極型二次電池10bでは、正極側の最外層集
電体11aに隣接するように正極集電板(正極タブ)25が配置さ
れ、これが延長されて電池外装体であるラミネートフィルム29bか
ら導出している。一方、負極側の最外層集電体11bに隣接するよう
に負極集電板(負極タブ)27が配置され、同様にこれが延長されて
ラミネートフィルム29bから導出している。
【0049】
なお、単電池層19の積層回数は、所望する電圧に応じて調節す
る。また、双極型二次電池10bでは、電池の厚みを極力薄くしても
十分な出力が確保できれば、単電池層19の積層回数を少なくしても
よい。双極型二次電池10bでも、使用する際の外部からの衝撃、
環境劣化を防止するために、発電要素21を電池外装体であるラミネ
ートフィルム29bに減圧封入し、正極集電板25および負極集電板
27をラミネートフィルム29bの外部に取り出した構造とするのが
よい。
【0050】
組電池は、電池を複数個接続して構成した物である。詳しくは少な
くとも2つ以上用いて、直列化あるいは並列化あるいはその両方で
構成されるものである。直列、並列化することで容量および電圧を
自由に調節することが可能になる。
【0051】
電池が複数、直列にまたは並列に接続して装脱着可能な小型の組電
池を形成することもできる。そして、この装脱着可能な小型の組電池
をさらに複数、直列にまたは並列に接続して、高体積エネルギー
密度、高体積出力密度が求められる車両駆動用電源や補助電源に適し
た大容量、大出力を持つ組電池(電池モジュール、電池パックなど)
を形成することもできる。何個の電池を接続して組電池を作製する
か、また、何段の小型組電池を積層して大容量の組電池を作製するか
は、搭載される車両(電気自動車)の電池容量や出力に応じて決めれ
ばよい。
【0052】
電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電池を車両に搭載す
ることができる。本発明では、長期信頼性に優れた高寿命の電池を構
成できることから、こうした電池を搭載するとEV走行距離の長い
プラグインハイブリッド電気自動車や、一充電走行距離の長い電気自
動車を構成できる。電池またはこれらを複数個組み合わせてなる組電
池を、例えば、自動車ならばハイブリッド車、燃料電池車、電気自動
車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バスなどの商用車、軽自動
車など)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)に用いることに
より高寿命で信頼性の高い自動車となるからである。ただし、用途が
自動車に限定されるわけではなく、例えば、他の車両、例えば、電車
などの移動体の各種電源であっても適用は可能であるし、無停電電源
装置などの載置用電源として利用することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 積層型電池、
11 正極集電体、
12 負極集電体、
13 正極活物質層、
15 負極活物質層、
17 固体電解質層、
19 単電池層、
21 発電要素、
25 正極集電板、
27 負極集電板、
2 9 a 放熱シート、
29b ラミネートフィルム。