(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154807
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】清掃支援装置および清掃支援方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231013BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064379
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】IAT弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 功介
(72)【発明者】
【氏名】アーマド アズリ
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 篤
(72)【発明者】
【氏名】羽生 悟志
(72)【発明者】
【氏名】新海 善弘
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 優花
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】 清掃業者が依頼者の希望に沿った清掃作業を効率良く行う。
【解決手段】 本発明の清掃支援装置は、ユーザが利用する所定のエリアにおいて、前記所定のエリアを利用する前記ユーザの状況から推定される不快感情と、前記不快感情を発生したタイミングにおけるユーザの位置とに基づいて、前記ユーザが前記不快感情を発生した不快領域を特定する領域特定部と、前記不快領域の状況から前記ユーザに前記不快感情を発生させた不快原因を特定する原因特定部と、前記領域特定部にて特定された前記不快領域と、前記原因特定部により特定された前記不快原因とを所定の通知先に通知する通知部と、を有するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが利用する所定のエリアにおいて、前記ユーザの状況から推定される不快感情と、前記不快感情を発生したタイミングにおける前記ユーザの位置とに基づいて、前記ユーザが前記不快感情を発生した不快領域を特定する領域特定部と、
前記不快領域の状況から前記ユーザに前記不快感情を発生させた不快原因を特定する原因特定部と、
前記領域特定部にて特定された前記不快領域と、前記原因特定部により特定された前記不快原因とを所定の通知先に通知する通知部と、
を有する清掃支援装置。
【請求項2】
前記領域特定部は、前記ユーザが前記不快感情を発生したタイミングにおける前記ユーザの視線に基づいて、前記不快領域を特定する、請求項1に記載の清掃支援装置。
【請求項3】
前記領域特定部は、前記不快感情の発生回数に基づいて、前記不快領域を特定する、請求項1に記載の清掃支援装置。
【請求項4】
ユーザが利用する所定のエリアにおいて、前記ユーザの状況から推定される不快感情と、前記不快感情を発生したタイミングにおける前記ユーザの位置とに基づいて、前記ユーザが前記不快感情を発生した不快領域を特定するステップと、
前記不快領域の状況から前記ユーザに前記不快感情を発生させた不快原因を特定するステップと、
特定された前記不快領域、および前記不快原因を所定の通知先に通知するステップと、
を有する清掃支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃支援装置および清掃支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
清掃業者は、清掃作業を行う場合に、点検者が、建物における汚れの程度や当該汚れが生じている場所を予め確認することで、清掃作業を効率良く行う支援システムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、汚れに対する認識は、人物によって異なるため、上述したように清掃業者が建物における汚れ等を確認して優先的に清掃する場所と、依頼者が優先的に清掃を行ってほしいと希望する場所(例えば、不快と感じる場所)とは一致しない場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、清掃業者が依頼者の希望に沿った清掃作業を効率良く行うための清掃支援装置および清掃支援方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る清掃支援装置は、ユーザが利用する所定のエリアにおいて、前記ユーザの状況から推定される不快感情と、前記不快感情を発生したタイミングにおける前記ユーザの位置とに基づいて、前記ユーザが前記不快感情を発生した不快領域を特定する領域特定部と、前記不快領域の状況から前記ユーザに前記不快感情を発生させた不快原因を特定する原因特定部と、前記領域特定部にて特定された前記不快領域と、前記原因特定部により特定された前記不快原因とを所定の通知先に通知する通知部と、を有するものである。
【0007】
また、本発明の清掃支援方法は、ユーザが利用する所定のエリアにおいて、前記ユーザの状況から推定される不快感情と、前記不快感情を発生したタイミングにおける前記ユーザの位置とに基づいて、前記ユーザが不快感情を発生した不快領域を特定するステップと、前記不快領域の状況から前記ユーザに前記不快感情を発生させた不快原因を特定するステップと、特定された前記不快領域、および前記不快原因を所定の通知先に通知するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清掃業者が依頼者の希望に沿った清掃作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態における清掃支援システムの概略の一例を示す図である。
【
図2】人物の感情を、快適度と覚醒度とで表した図である。
【
図3】清掃支援装置11の清掃支援処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】(a)は建物内部に存在する汚れの場所、および複数のユーザが建物内部に存在する汚れを認識しているか否かを示す図、(b)は複数のユーザにおける汚れの認識具合を示す図、(c)は建物内部の各領域に対して不快感情を感じた人数をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<一実施の形態>
図1は、本発明の一実施形態である清掃支援システムの構成を示すブロック図である。清掃支援システム1は、清掃支援装置11、撮像装置12、生体検出装置13および端末装置14を含む。清掃支援装置11、撮像装置12、生体検出装置13および端末装置14は、ネットワーク2を介して通信可能に構成されている。
【0011】
清掃支援装置11は、清掃を行う所定のエリアにおいて、所定のエリアを利用するユーザが不快と感じている不快領域を特定するとともに、不快と感じる不快原因を特定し、特定したそれらの情報を含む情報(以下、清掃情報と称する)を、清掃を行う者(以下、作業者とも称する場合がある)の端末装置14に通知する。なお、清掃支援装置11は、清掃を行う所定のエリアにいるユーザの撮像装置12により撮像された画像や生体検出装置13により検出された生体情報に基づいて、上記に説明した不快領域や不快原因を特定する。
【0012】
ところで、清掃の対象となる汚れなどに対する感じ方は人物によって異なる。例えば、汚れ(物の散乱、ゴミ等を含む)が存在し、それをユーザが認識しても、不快と感じる場合と不快と感じない場合がある。清掃を希望するユーザとしては、汚れと認識しているが不快に感じていないところよりも、不快と感じているところを優先的に清掃してほしい。したがって、ユーザが不快と感じている不快領域と、不快と感じる不快原因を特定し、清掃を行う者に通知することで、清掃を行う者は、一律に清掃するのではなく、ユーザが不快と感じている汚れを優先して清掃することができる。その結果、ユーザの満足度と清掃の効率を向上させることができる。
【0013】
ここで、清掃支援装置11は、清掃作業を行う作業者が所持し、清掃作業を行うエリアに持ち運んでもよいし、当該作業者が従事する清掃会社の建物内に設置されていてもよい。
【0014】
撮像装置12は、清掃を行うエリア(例えば、建物内部)に設置され、そのエリアを撮像する。なお、撮像装置12は、建物内部の間取り(部屋や区画の配置)に合わせて複数の位置に設置されてもよいし、1つの位置に設置されてもよい。
【0015】
生体検出装置13は、ユーザの生体情報を検出する。ここで、ユーザの生体情報は、ユーザの感情を推定し得る生体情報であり、例えばユーザの脳波、心拍数、脈拍数、皮膚発汗の有無等の情報や、ユーザが発する音声の情報の他に、ユーザの位置情報を含む。したがって、生体検出装置13としては、例えばバイタルセンサ、マイク、GPS(global positioning system)機器などが挙げられる。バイタルセンサは、当該バイタルセンサを装着したユーザの脳波、心拍数、脈拍数、皮膚発汗の有無等の情報を取得する。また、マイクは、バイタルセンサを装着したユーザが発する音声情報を取得する。GPS機器は、バイタルセンサを装着したユーザの位置情報を取得する。
【0016】
端末装置14は、清掃作業を行う作業者が所持する、例えばスマートフォンなどの携帯通信端末機や、タブレット式の通信端末機である。端末装置14は、清掃支援装置11から提供された清掃情報33を表示する。作業者は、この清掃情報33に基づいてユーザが不快と感じている汚れを認識できるので、それを優先して清掃する。
【0017】
清掃支援装置11の構成について説明する。清掃支援装置11は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22およびRAM(Random Access Memory)23を有する。CPU21、ROM22およびRAM23は、バス24を介して接続されている。バス24には、I/O(Input/Output)ポート25がさらに接続されている。I/Oポート25には、入力装置26、表示装置27、通信装置28および記憶装置29が接続されている。
【0018】
入力装置26は、清掃支援装置11に各種データ、指令を入力するためのものである。入力装置26は、例えばキーボードやマウスなどである。
【0019】
表示装置27は、各種のデータを表示するものである。表示装置27は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)パネルや、EL(Electronic Luminescent)パネルなどである。
【0020】
通信装置28は、ネットワーク2を介して、撮像装置12、生体検出装置13および端末装置14の各々との間で信号やデータの送受信を行う。
【0021】
記憶装置29は、例えばハードディスクドライブである。記憶装置29は、支援システムアプリケーションプログラム(以下、単に支援システムアプリケーションとも称する)31や、支援システムアプリケーション31の作動環境を形成するオペレーティングプログラム(図示省略)を記憶する。また、記憶装置29は、支援システムアプリケーション31を実行したときに使用される間取り情報32や、支援システムアプリケーション31を実行したときに生成される清掃情報33なども記憶されている。また、記憶装置29には、撮像装置12により撮像された画像、生体検出装置13により検出されたユーザの生体情報が適宜記憶される。
【0022】
ここで、支援システムアプリケーション31は、例えば光学ディスクや磁気ディスクなどの記憶媒体に記憶させておき、図示を省略したディスクドライブにより読み取ることで実行できるようにしてもよい。また、支援システムアプリケーション31は、清掃支援装置11との間で信号の送受信が可能なネットワークサーバ(図示省略)に記憶されるものであってもよい。同様にして、間取り情報32や清掃情報33は、記憶装置29に記憶されるのではなく、図示を省略したネットワークサーバに記憶されるものであってもよい。
【0023】
CPU21は、記憶装置29に記憶された支援システムアプリケーション31を実行することで、画像解析部41、領域特定部42、原因特定部43および通知部44として機能する。
【0024】
画像解析部41は、撮像装置12により撮像された画像を解析して、当該画像に含まれるユーザの顔画像や、汚れと推定される画像(以下、汚れ画像と称する)を抽出する。画像に含まれる顔画像を抽出する方法としては、例えば、ユーザの顔の特徴量を予め記憶装置29などに記憶しておき、画像から得られる特徴量と比較することでそれらを抽出する方法がある。また、汚れの抽出は、例えば清掃を行った直後の画像を予め取得しておき、清掃を行った直後の画像と、現在のエリアの画像とを比較する、また、ユーザの顔の抽出と同様に、汚れの特徴量と画像から得られる特徴量と比較することで、それらを抽出する方法がある。
【0025】
画像解析部41は、画像から顔画像が抽出されると、抽出した顔画像の特徴量(不快であることを示す表情など)の情報を領域特定部42に出力する。画像解析部41は、画像から汚れ画像が抽出されると、抽出した汚れ画像の特徴量の情報を原因特定部43に出力する。
【0026】
領域特定部42は、ユーザが不快感情を発生したか否かを検出する。例えば、領域特定部42は、ディープラーニングなどの機械学習によって、ユーザの生体情報および顔画像の特徴量の情報を入力としたユーザの感情を推定するアルゴリズムを学習モデルとして予め作成しておく。そして、領域特定部42は、機械学習によって作成された学習モデルを用いて、ユーザの感情を推定する。
【0027】
生体情報を用いて現在の感情を推定する従来の推定方法としては、例えば
図2に示すように、快適度および覚醒度の2軸によって構成されるラッセルの円環モデルを用いる方法が知られている。快適度は、
図2中、快適であるほど正の値をとり、不快であるほど負の値をとる。また、覚醒度は、
図2中、覚醒しているほど正の値をとり、眠気が大きいほど負の値をとる。領域特定部42は、ユーザの感情を快適度および覚醒度で数値化し、快適度が0以下の値(
図2の第2象限または第3象限)になったとき、不快感情が発生したと判定する。上記した生体情報を用いて現在の感情を推定する方法は一例なので、これに限るものではない。
【0028】
領域特定部42は、不快感情が発生したタイミングにおけるユーザの位置情報を取得し、ユーザが不快感情を発生した領域(以下、不快領域と称する)の情報として原因特定部43に供給する。領域特定部42は、間取り情報32を利用して、ユーザの位置情報からユーザの不快感情が発生した部屋を特定し、その部屋を示す情報を不快領域の情報(以下、不快領域情報)として原因特定部43に供給することもできる。
【0029】
不快感情が発生した時のユーザの位置は、生体情報にユーザの位置情報が含まれている場合は、不快感情が発生したタイミングのユーザの位置情報が示す位置とする。また不快感情が発生した時のユーザを撮像した撮像装置12が設置されている位置、撮像装置12の撮像倍率、撮像装置12の画角などの情報から算出することもできる。なお、ユーザが所有するスマートフォンなどの端末装置(図示省略)から位置情報を取得できる場合には、当該端末装置から取得される位置情報を用いることもできる。
【0030】
原因特定部43は、領域特定部42から不快領域情報が供給されると、不快領域情報が示す不快領域の状況を把握し、不快感情の原因を特定する。例えば、原因特定部43は、撮像装置12により撮像された不快領域の画像を分析し、物の散乱、床の汚れ、ゴミなどの汚れを不快原因として特定する。領域特定部42により特定された不快領域と原因特定部43により特定された不快原因とが対応付けられることで、清掃の対象となるユーザの不快感情が発生した汚れ領域を特定できる。
【0031】
通知部44は、領域特定部42により特定された不快領域、および原因特定部43により特定された不快原因を含む情報を清掃情報33として、通信装置28を介して端末装置14に送信する。清掃情報33は、上述した不快領域情報と不快原因を含む情報とを含むものであるが、この他に、例えば清掃するエリアの間取り情報32に、不快領域情報や不快原因の情報を対応付けたマップデータであってもよい。なお、このマップデータには、間取り情報32に、不快領域情報や不快原因の情報だけでなく、汚れの度合いの情報を追加してもよい。なお、汚れの度合いの情報は、入力装置26により予め入力してもよいし、上述した画像から特定してもよい。
【0032】
また、通知部44は、清掃情報33を必要に応じて加工処理し、通信装置28を介してユーザが所有するスマートフォンなどの端末装置(図示省略)に送信してもよい。なお、通知部44によって通知される所定の通知先は、必要に応じて任意に設定してもよい。
【0033】
清掃支援装置11の清掃支援処理を、
図3のフローチャートを参照して説明する。清掃支援処理が開始され、撮像装置12による画像の撮像、および生体検出装置13による生体検出が開始され、清掃情報を作成する指令が入力されると、ステップS1において、領域特定部42は、それらの情報に基づいて不快感情の検出を開始し、不快感情が発生したか否かを判定する。
【0034】
ステップS1で不快感情が発生したと判定した場合、領域特定部42は、ステップS2において、不快感情が発生した領域(不快領域)を特定する。
【0035】
次に、ステップS3において、原因特定部43は、撮像装置12により撮像された、不快領域の画像を分析し、床の汚れ、ゴミなどの汚れを不快原因として特定する。
【0036】
ステップS4において、通知部44は、領域特定部42により特定された不快領域、および原因特定部43により特定された不快原因を、清掃情報33に反映して更新する。
【0037】
ステップS4で、清掃情報が更新され、またはステップS1で不快感情が発生していないと判定された場合、ステップS5に進み、領域特定部42は、清掃情報33の生成を終了する指令が入力されたか否かを判定し、終了指令が入力されていないと判定した場合、ステップS1に戻り、それ以降の処理を同様に実行する。
【0038】
ステップS5で、清掃情報33の生成を終了させる指令が入力されたと判定された場合、ステップS6において、通知部44は、清掃情報33を、通信装置28を介して端末装置14に送信する。
【0039】
その後、清掃支援処理は終了する。
【0040】
<汚れ状態のフィードバック>
端末装置14には、清掃情報33に対応する画像(以下、清掃マップと称する)が表示される。作業者は、端末装置14に表示される清掃マップを確認しながら、ユーザの不快感情が発生している不快領域を優先的に清掃する。なお、作業者は、ユーザの不快感情が発生した領域を目視してその汚れ度合いなどの情報を清掃マップに入力することで、清掃情報33に反映させるようにもできる。その清掃情報33を利用することで、不快感情、不快原因の特定等の精度を向上させることができる。
【0041】
<自走式清掃ロボットの利用>
上記に説明した実施の形態では、清掃作業を行う作業者が有する端末装置14に清掃情報33を送信する場合を説明しているが、例えば依頼者が有する自走式清掃ロボット(図示せず)に清掃情報33を送信することも可能である。自走式清掃ロボットは、清掃情報33に基づいて、依頼者の不快感情が発生した不快領域を優先的に清掃する。
【0042】
<不快感情の種類の利用>
上記に説明した実施の形態では、不快感情の有無を特定しているが、不快感情を細分化(例えば、緊張、恐怖、悲しみ等)することも可能である。不快感情を細分化する場合には、例えば端末装置14にて、上述した清掃マップを表示したとき、不快感情が生じた場所が、細分化された感情毎に色分けして表示される。これにより、作業者は、色分けされた清掃マップに基づいた清掃作業を効率的に行うことが可能となる。
【0043】
また、建物内部の間取りを複数の領域に分割し、分割した領域のそれぞれに対して、依頼者の不快感情を対応付けた清掃情報33を生成することも可能である。
【0044】
<ウェアラブルカメラの利用>
上記に説明した実施の形態では、建物内部の複数の位置に撮像装置12を設置している場合を説明しているが、例えば一般家庭が居住する建物では、複数の位置に撮像装置12を設置していないことがほとんどである。したがって、一般家庭が居住する建物に対して清掃の依頼を行う場合には、例えば撮像装置12としてユーザの頭部に装着可能なウェアラブルカメラ(アクションカメラとも呼ばれる)を用いることが考えられる。この場合、依頼者は、生体検出装置13を装着する他、ウェアラブルカメラを装着して、建物内部を点検する。ウェアラブルカメラを用いることで、依頼者が建物内部を点検するときの依頼者の視線に合わせた画像が取得できる。しかしながら、ウェアラブルカメラでは、建物内部を点検する依頼者を撮像することができない。したがって、ウェアラブルカメラを用いる場合には、生体検出装置13により取得された生体情報を用いて、ユーザに不快感情が発生しているか否かを特定すればよい。また、撮像装置12は、ウェアラブルカメラの他に、ドローンと呼ばれる無人浮遊機に搭載した小型カメラであってもよい。
【0045】
<清掃エリア>
上記に説明した実施の形態では、清掃作業を行う場所を建物内部としているが、清掃を行う場所は、建物内部に限定されるものではなく、庭、公園などの野外の施設であってもよい。
【0046】
<汚れの種類に応じた清掃情報>
上記に説明した実施の形態では、汚れの種類については言及していないが、汚れの種類や汚れの度合いに関する情報を清掃情報に含めるようにすることもできる。その情報を参照することで、作業者は、汚れに応じた清掃器具等を事前に準備することができる。
【0047】
<汚れに向けられる視線の動きの利用>
上記に説明した実施の形態では、領域特定部42は、ユーザの不快感情が発生した場所、または部屋等を不快領域としたが、ユーザの視線を利用してより精度よく汚れの場所を特定することもできる。
【0048】
領域特定部42は、ユーザが不快感情を発生したタイミングにおけるユーザの視線の動きに基づいて、不快領域(汚れの場所)を特定する。より詳しくは、領域特定部42は、撮像装置12により撮像されたユーザの顔画像を画像解析部41により解析して得られるユーザの視線の動き(向き)に基づいて、汚れの場所を特定する。視線の検出については、例えば顔の向きや目の周囲(目頭、目尻、瞳など)の特徴点から検出する公知の技術を用いる。
【0049】
汚れによってユーザに不快感情が生じる際、ユーザの視線は以下のように動くことが考えられる。
・汚れ対象に見ようとする。すなわち汚れ対象に視線が向けられる。
・短時間注視する。すなわち視線が一時停止する。
・汚れ対象を見た後直ぐに目を背ける。すなわち視線が大きく動く。
・二度見したりする。すなわち、同じ位置に視線が戻る。
【0050】
そこで、領域特定部42は、上述した視線の動きの特徴に基づいて汚れが存在する場所をより詳細に特定することもできる。また、上述した視線に合わせて不快感情が発生することも考えられるので、上述した視線の動きの特徴を考慮して不快感情検出の精度を向上させることもできる。
【0051】
<不快の強度の利用>
上記に説明した実施の形態では、不快感情の発生の有無について清掃情報33を生成するようにしたが、不快感情の度合い(強度)を検出し、その情報を含む清掃情報33を生成することもできる。作業者が、ユーザがより強い不快を感じた場所を知ることができれば、その場所をより丁寧に清掃するなど、ユーザの満足度が向上する清掃を提供することができる。
【0052】
<不快感情発生の回数の利用>
上記に説明した実施の形態では、不快感情の発生の有無について清掃情報33を生成するようにしたが、不快感情発生の回数を検出し、その情報を含む清掃情報33を生成することもできる。例えばユーザが不快感情を発生した場所にいる場合には、ユーザは、不快感情を繰り返し感じる。すなわち、ユーザが不快感情を繰り返し感じた場所には、汚れが存在する可能性が高まる。
【0053】
なお、不快感情発生の回数は、1人のユーザが特定の領域に対して感じる回数の他、複数のユーザが同一の領域に対して感じる累計回数を含めてもよい。
【0054】
<複数のユーザの不快感情の利用>
上記に説明した実施の形態では、ユーザが一人の場合を例として説明したが、ユーザが複数の場合も提供することができる。
図4(a)に示すように、例えば建物の内部において、汚れD1が領域A2に、汚れD2が領域A3に、汚れD3が領域A4に各々存在している。また、ユーザXが領域A1に,ユーザYが領域A3に、ユーザZが領域A4にいるものとする。
【0055】
このとき、
図4(b)に示すように、ユーザXは、領域A2に存在する汚れD1を不快であると感じている一方で、領域A3に存在する汚れD2や領域A4に存在する汚れD3は、認識していない(気づいていない)。
【0056】
また、ユーザYは、領域A2に存在する汚れD1や領域A3に存在する汚れD2を不快であると感じている。同時に、ユーザYは、領域A2に存在する汚れD1に対して、領域A3に存在する汚れD2よりも不快であると感じている。また、ユーザYは、領域A4に存在する汚れD3は、汚れていないと認識している。
【0057】
さらに、ユーザZは、領域A4に存在する汚れD3に対して少し不快であると感じている。一方、ユーザZは、領域A1に存在する汚れD1や領域A3に存在する汚れD2に対しては汚れていないと認識している。
【0058】
この場合、
図4(c)に示すように、領域A1から領域A4の4つの領域のうち、例えば領域A2に対する不快と感じる人数が一番多い(2名)。また、領域A3および領域A4は、不快と感じる人数は同数であるが、不快に感じる度合いに関して、領域A3が領域A4よりも高い。したがって、この場合の清掃作業の優先度は、領域A2、領域A3、領域A4、領域A1となる。
【0059】
図4においては、清掃作業の優先順位を決定する際に、不快であると感じるユーザの数を優先しているが、汚れの種類や度合いを考慮して、清掃作業の優先順位を決定してもよい。
【0060】
(効果のまとめ)
本発明の清掃支援装置11は、ユーザが利用する所定のエリアにおいて、ユーザの状況から推定される不快感情と、不快感情を発生したタイミングにおけるユーザの位置とに基づいて、ユーザが不快感情を発生した不快領域を特定する領域特定部42と、不快領域の状況からユーザに不快感情を発生させた不快原因を特定する原因特定部43と、領域特定部42にて特定された不快領域と、原因特定部43により特定された不快原因とを所定の通知先に通知する通知部44と、を有する。
【0061】
この構成によれば、清掃を行う者(作業者)は、人物が不快感情を感じた場所を優先して清掃作業を行うことができる。また、不快原因を通知することで、清掃作業を行う際に必要となる清掃器具を予め準備して、対象となる場所に移動できるので、清掃作業を効率的に行うことができる。
【0062】
また、領域特定部42は、ユーザが不快感情を発生したタイミングにおけるユーザの視線に基づいて、不快領域を特定するものである。
【0063】
この構成によれば、ユーザの視線を利用してより精度良く汚れの場所を特定することができる。
【0064】
また、領域特定部42は、不快感情の発生回数に基づいて、不快領域を特定するものである。
【0065】
この構成によれば、一人のユーザが不快感情を複数回感じた領域、又は複数のユーザ全てが不快感情を感じた領域を利用することで、精度良く汚れの場所を特定することができる。
【0066】
また、本発明の清掃支援方法によれば、ユーザが利用する所定のエリアにおいて、ユーザの状況から推定される不快感情と、不快感情を発生したタイミングにおけるユーザの位置とに基づいて、ユーザが不快感情を発生した不快領域を特定するステップと、不快領域の状況からユーザに不快感情を発生させた不快原因を特定するステップと、特定された不快領域、および不快原因を所定の通知先に通知するステップと、を有するものである。
【0067】
この構成によれば、清掃を行う者(作業者)は、人物が不快感情を感じた場所を優先して清掃作業を行うことができる。また、不快原因を通知することで、清掃作業を行う際に必要となる清掃器具を予め準備して、対象となる場所に移動できるので、清掃作業を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
1 清掃支援システム
11 清掃支援装置
12 撮像装置
13 生体検出装置
14 端末装置
28 通信装置
32 間取り情報
33 清掃情報
41 画像解析部
42 領域特定部
43 原因特定部
44 通知部