(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023154835
(43)【公開日】2023-10-20
(54)【発明の名称】車両用コンソールボックス
(51)【国際特許分類】
E05B 83/32 20140101AFI20231013BHJP
E05C 9/04 20060101ALI20231013BHJP
E05C 21/00 20060101ALI20231013BHJP
B60R 7/04 20060101ALI20231013BHJP
【FI】
E05B83/32
E05C9/04
E05C21/00 A
B60R7/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022064435
(22)【出願日】2022-04-08
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楢木 真吾
【テーマコード(参考)】
2E250
3D022
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL12
3D022CA07
3D022CB01
3D022CC03
3D022CD14
3D022CD17
(57)【要約】
【課題】開口に対して双方向から開閉可能なリッドを備え、リッドを一方向に開けた状態で、誤って、他方のノブを操作しても、一方向に開けた状態のリッドがコンソールボックス本体から外れを確実に防止すること。
【解決手段】車両用コンソールボックス1のリッド3は、リッド3の一方向の開きをロックする一方のロック機構10と、一方のロック機構10をロック解除する一方のノブ43と、リッド3の他方向の開きをロックする他方のロック機構10と、他方のロック機構10をロック解除する他方のノブ43と、一方のロック機構10がロック解除された状態において、他方のノブ43の操作を規制する規制部材60と、一方のロック機構10がロック解除された状態を個別に保持する一方の第1保持部材55と、一方の第2保持部材53と、他方のロック機構10がロック解除された状態を個別に保持する他方の第1保持部材55と、他方の第2保持部材53を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンソールボックス本体に形成された収納部の開口に対して双方向から開閉可能なリッドを備えた車両用コンソールボックスであって、
前記リッドは、
前記リッドの一方向の開きをロックする一方のロック機構と、
前記一方のロック機構をロック解除する一方のノブと、
前記リッドの他方向の開きをロックする他方のロック機構と、
前記他方のロック機構をロック解除する他方のノブと、
前記一方のロック機構がロック解除された状態において、前記他方のノブの操作を規制する規制部材と、
前記一方のロック機構がロック解除された状態を個別に保持する一方の第1保持部材と、一方の第2保持部材と、
前記他方のロック機構がロック解除された状態を個別に保持する他方の第1保持部材と、他方の第2保持部材と、を備える車両用コンソールボックス。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用コンソールボックスであって、
前記一方の第1保持部材および前記他方の第1保持部材は、前記リッドの開き動作を弾性部材の付勢力によって補助するアシスト機能を備え、
前記一方の第1保持部材による前記一方のロック機構がロック解除された状態における前記保持または前記他方の第1保持部材による前記他方のロック機構がロック解除された状態における前記保持は、双方に形成された係合爪の係合によって行われる車両用コンソールボックス。
【請求項3】
請求項1~2のいずれか1つに記載の車両用コンソールボックスであって、
前記一方の第1保持部材と前記一方の第2保持部材とによる前記一方のロック機構がロック解除された状態における前記個別の前記保持または前記他方の第1保持部材と前記他方の第2保持部材とによる前記他方のロック機構がロック解除された状態における前記個別の前記保持は、前記一方向に開いたまたは前記他方向に開いた前記リッドを全閉状態に戻すことで解消される車両用コンソールボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用コンソールボックスに関し、詳しくは、コンソールボックス本体に形成された収納部の開口に対して双方向から開閉可能なリッドを備えた車両用コンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロント席の左右のどちらの乗員からでも利便性が良い車両用コンソールボックスとして、コンソールボックス本体に形成された収納部の開口に対して双方向(左右方向)から開閉可能なリッドを備えた技術が知られている(特許文献1)。この技術では、車両用コンソールボックスは、一方のノブを操作してリッドを一方向に開けると、この一方向に開けたリッドを閉じるまで他方のノブの操作を規制する規制部材を備えている。そのため、リッドを一方向に開けた状態で、誤って、他方のノブを操作しても、一方向に開けた状態のリッドがコンソールボックス本体から外れることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、一方向に開けたリッドの傾きにともなって重力で傾く振り子部材が規制部材を規制状態に保持している。すなわち、規制部材による規制状態(他方のノブの操作を規制した状態)を1部材(振り子部材)が保持している。そのため、リッドを一方向に開けた状態で、誤って、振り子部材の傾きが戻されると、規制部材の規制状態が解消されることがあった。すなわち、リッドを一方向に開けた状態で、他方のノブの操作を許容する状態となることがあった。したがって、この許容した状態で、誤って、他方のノブを操作すると、一方向に開けた状態のリッドがコンソールボックス本体から外れてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、開口に対して双方向から開閉可能なリッドを備えた車両用コンソールボックスにおいて、リッドを一方向に開けた状態で、誤って、他方のノブを操作しても、一方向に開けた状態のリッドがコンソールボックス本体から外れてしまうことを確実に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つの特徴によると車両用コンソールボックスは、コンソールボックス本体に形成された収納部の開口に対して双方向から開閉可能なリッドを備えている。リッドは、一方のロック機構と、一方のノブと、他方のロック機構と、他方のノブと、規制部材と、一方の第1保持部材と、一方の第2保持部材と、他方の第1保持部材と、他方の第2保持部材を備える。一方のロック機構は、リッドの一方向の開きをロックする。一方のノブは、一方のロック機構をロック解除する。他方のロック機構は、リッドの他方向の開きをロックする。他方のノブは、他方のロック機構をロック解除する。規制部材は、一方のロック機構がロック解除された状態において、他方のノブの操作を規制する。一方の第1保持部材と、一方の第2保持部材は、一方のロック機構がロック解除された状態を個別に保持する。他方の第1保持部材と、他方の第2保持部材は、他方のロック機構がロック解除された状態を個別に保持する。
【0007】
そのため、2部材による個別の保持が同時に解消されなければ、リッドを一方向に開けた状態で、他方のノブの操作を許容する状態となることがない。したがって、規制部材による規制状態の保持が解消され難い。結果として、リッドを一方向に開けた状態で、誤って、他方のノブを操作しても、一方向に開けた状態のリッドがコンソールボックス本体から外れてしまうことを確実に防止できる。
【0008】
本開示の他の特徴によると、一方の第1保持部材および他方の第1保持部材は、リッドの開き動作を弾性部材の付勢力によって補助するアシスト機能を備えている。一方の第1保持部材による一方のロック機構がロック解除された状態における保持または他方の第1保持部材による他方のロック機構がロック解除された状態における保持は、双方に形成された係合爪の係合によって行われる。
【0009】
そのため、リッドの一方向の開き動作の補助および一方のロック機構10がロック解除された状態の保持を簡便な構造で実施できる。このことは、リッドの他方向の開き動作の補助および他方のロック機構がロック解除された状態の保持においても同様である。
【0010】
また、本開示の他の特徴によると、一方の第1保持部材と一方の第2保持部材とによる一方のロック機構がロック解除された状態における個別の保持は、一方向に開いたリッドを全閉状態に戻すことで解消される。また、他方の第1保持部材と他方の第2保持部材とによる他方のロック機構がロック解除された状態における個別の保持は、他方向に開いたリッドを全閉状態に戻すことで解消される。
【0011】
そのため、これらの保持の解消のために、わざわざ別途に操作を必要としない。したがって、これらの保持の解消を簡便に実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態に係る車両用コンソールボックスの分解斜視図である。
【
図5】
図2のV-V線断面図であり、想像線でリッドを右開きした状態を示している。
【
図6】
図2のVI-VI線断面図であり、想像線でリッドを左開きした状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態を、
図1~6を用いて説明する。なお、以下の説明にあたって、上下、前後、左右の各方向は、車両用コンソールボックス1を車両(図示しない、自動車)に組み付けた状態を基準としたときの上下、前後、左右の各方向を示している。
【0014】
図1、2に示すように、車両用コンソールボックス1は、主として、コンソールボックス本体2と、リッド3とから構成されている。以下に、これらコンソールボックス本体2と、リッド3とを個別に説明する。
【0015】
はじめに、コンソールボックス本体2を説明する(
図1参照)。コンソールボックス本体2は、内部に物品を収納可能に上方が開口した収納部(いずれも図示しない)を備えている。コンソールボックス本体2の開口の縁には、開口20aを有する矩形枠状のベゼル20が複数の取付爪20bを介して組み付けられている。ベゼル20の開口20aは、コンソールボックス本体2の開口に対して略一致している。
【0016】
ベゼル20の前部20cには、前ヒンジ受体21が左右方向に沿って形成されている。前ヒンジ受体21の左右の端部には、後述する前ロッド45のピン45bを進退可能(抜き挿し可能)なピン孔21aが形成されている。ベゼル20の後部20dには、後ヒンジ受体22が左右方向に沿って形成されている。後ヒンジ受体22の左右の端部には、後述する後ロッド50の後端部50bを進退可能(抜き挿し可能)なピン孔22aが形成されている。
【0017】
後ヒンジ受体22の前端部には、段差面22bを有する段差部22cが左右方向に沿って形成されている。段差面22bは、後述する跳上部材55のアーム体55bを押し当て可能となっている。ベゼル20は、剛性を有する合成樹脂によって一体的に成形されている。コンソールボックス本体2は、このように構成されている。
【0018】
次に、リッド3を説明する(
図1~4参照)。リッド3は、ベゼル20の開口20a(コンソールボックス本体2の開口)を塞ぐ蓋部材である。リッド3は、矩形状のベース30と、ベース30の上側を覆い意匠パネルであるアウタ部材と、ベース30の下側を覆うインナ部材(いずれも図示しない)とを備えている。
【0019】
図1に示すように、ベース30の左右の前寄り位置には、ノブ43を組み付けるための取付枠41がそれぞれ組み付けられている。取付枠41には、左右方向に沿ってスライド可能にノブ43が組み付けられている。取付枠41とノブ43の間には、第1圧縮ばね42が介装されている。そのため、左右のノブ43は、押し込みの操作を受けると、この受けた押し込み操作が戻されるように付勢(
図1において、矢印A方向に付勢)されている。ノブ43の内面には、傾斜壁43bを有する押当部43aが形成されている。
【0020】
ベース30の左右の位置には、前ロッド45が前後方向に沿ってスライド可能にそれぞれ組み付けられている。前ロッド45の前端部45aには、丸軸状のピン45bが形成されている。前ロッド45の前寄り位置には、張出部45cが形成されている。張出部45cには、傾斜壁45dが形成されている。前ロッド45の前後方向の略中央位置には、引掛片45fが形成されている。
【0021】
前ロッド45の前後方向の略中央位置には、後述するカム46の長孔46bに挿し込み可能な挿込ピン45gが形成されている。前ロッド45の後端部45hには、係合爪45iが形成されている。ベース30に形成されている第1突片31と前ロッド45の引掛片45fとの間には、引っ張りばね51が掛け留めされている。そのため、左右の前ロッド45は、前から後ろに向けてスライド操作を受けると、この受けたスライド操作が戻されるように付勢(
図1において、矢印B方向に付勢)されている。
【0022】
ベース30の左右の後寄り位置には、前後方向に沿った貫通孔32aを有する案内部材32がそれぞれ形成されている。また、ベース30の左右の後寄り位置には、丸軸状の後ロッド50が前後方向に沿ってスライド可能にそれぞれ組み付けられている。後ロッド50の前端部50aは、上に向けて屈曲している。後ロッド50は、案内部材32の貫通孔32aおよび後述する跳上部材55の貫通孔55eに挿し込まれている。
【0023】
ベース30の左右の位置には、カム46が段付き螺子47を介して旋回可能にそれぞれ組み付けられている。カム46の一端部46aには、長孔46bが形成されている。長孔46bには、前ロッド45の挿込ピン45gが挿し込まれている。カム46の他端部46cには、長孔46dが形成されている。長孔46dには、後ロッド50の前端部50aが挿し込まれている。
【0024】
これらベース30における左の前ロッド45、左の後ロッド50、左のカム46およびベゼル20における左のピン孔21a、左のピン孔22aが左のロック機構10に相当する。これと同様に、これらベース30における右の前ロッド45、右の後ロッド50、右のカム46およびベゼル20における右のピン孔21a、右のピン孔22aが右のロック機構10に相当する。
【0025】
ベース30の後寄り位置には、内部33bに後述する跳上部材55を収納する跳上受体33が左右方向に沿って形成されている。跳上受体33の左右には、跳上部材55の軸体55aを回転可能に受ける半円弧状の軸受部33aがそれぞれ形成されている。跳上部材55は、軸体55aとアーム体55bを備えている。跳上部材55が、特許請求の範囲に記載の「第1保持部材」に相当する。軸体55aとアーム体55bには、軸方向(前後方向)に貫通する貫通孔55eが同一軸上に形成されている。
【0026】
軸体55aには、前ロッド45の係合爪45iに係合可能な係合爪55dを有する係合部55cが形成されている(
図4参照)。跳上部材55は、アーム体55bが跳上受体33の内部33bに収納された状態で、軸体55aが跳上受体33の軸受部33aに組み付けられている。そのため、跳上部材55のアーム体55bは、軸方向(前後方向)の軸回り方向に回転可能となる。
【0027】
ベース30と跳上部材55のアーム体55bの間には、弾性部材である第1トーションばね56が介装されている。そのため、左右の跳上部材55は、アーム体55bが跳上受体33の内部33bに退行する操作を受けると、この受けた退行する操作が戻されるように付勢(
図1において、矢印C方向に付勢)されている。跳上部材55の貫通孔55eと第1トーションばね56と案内部材32の貫通孔32aには、Eリング58によって抜け防止が施された状態でピンシャフト57が挿し込まれている。
【0028】
ピンシャフト57には、軸方向に沿って貫通する貫通孔57aが形成されている。ピンシャフト57の貫通孔57aには、後ロッド50後端部50bが突出するように後ロッド50が挿し込まれている。また、ベース30の左右の前寄り位置には、左右方向に沿った一対の第2突片35がそれぞれ形成されている。一対の第2突片35には、保持部材53が左右方向を軸方向とする軸回りに回転可能に組み付けられている(
図3参照)。保持部材53が、特許請求の範囲に記載の「第2保持部材」に相当する。
【0029】
ベース30と保持部材53の間には、第2トーションばね54が介装されている。そのため、左右の保持部材53は、一端部53aがベース30から遠ざかる操作を受けると、この受けた操作が戻されるように付勢(
図3において、矢印D方向に付勢)されている。また、ベース30の前後方向の中央寄り位置には、左右方向に沿った一対の第3突片36がそれぞれ形成されている。一対の第3突片36には、規制部材60が左右方向に沿ってスライド可能に組み付けられている。規制部材60の先端部60b(左端部)には、傾斜壁60aが形成されている。
【0030】
ベース30と規制部材60の間には、圧縮ばね61が介装されている。そのため、規制部材60は、先端部60bが左の前ロッド45の張出部45cの角部45eから遠ざかる操作を受けると、この受けた操作が戻されるように付勢(
図2において、矢印E方向に付勢)されている。ベース30は、剛性を有する合成樹脂によって一体的に成形されている。リッド3は、このように構成されている。
【0031】
上述したように構成されているコンソールボックス本体2の前ヒンジ受体21の左右のピン孔21aには、リッド3の左右の前ロッド45の各ピン45bが挿し込まれている(進出している)。また、コンソールボックス本体2の後ヒンジ受体22の左右のピン孔22aには、リッド3の左右の後ロッド50の各後端部50bが挿し込まれている(進出している)。これらの挿し込みによって、コンソールボックス本体2にリッド3が組み付けられて車両用コンソールボックス1が出来上がる。この組み付け状態における車両用コンソールボックス1では、コンソールボックス本体2の開口(ベゼル20の開口20a)がリッド3によって塞がれている。すなわち、リッド3が全閉状態となっている。
【0032】
また、このリッド3の全閉状態では、リッド3の左右の前ロッド45のピン45bがコンソールボックス本体2の左右のピン孔21aに進出した状態となっている。また、これと同様に、リッド3の左右の後ロッド50の後端部50bがコンソールボックス本体2の左右のピン孔22aに進出した状態となっている。そのため、コンソールボックス本体2に対してリッド3がロックされた状態(ロック機構10のロック状態)となっている。
【0033】
続いて、車両用コンソールボックス1の動作を説明する。この動作の説明にあたって、リッド3を右開き(一方向の開き)する場合と、リッド3を左開き(他方向の開き)する場合とを個別に説明する。これらいずれの場合でも、リッド3が全閉状態から説明を開始する。
【0034】
はじめに、リッド3を右開きする場合を説明する。まず、右のノブ43を押し込む操作を行う。すると、右のノブ43の傾斜壁43bが右の前ロッド45の傾斜壁45dを押し当てる。これにより、右の前ロッド45が引っ張りばね51の付勢力に抗して後方へスライドする。そのため、右の前ロッド45のピン45bがコンソールボックス本体2の右のピン孔21aから退行(脱落)する。
【0035】
このスライドにより、右の前ロッド45に連結されている右のカム46が、平面視において、反時計回り方向に回転する。この右のカム46の回転により、右のカム46に連結されている右の後ロッド50が前方へスライドする。そのため、右の後ロッド50の後端部50bがコンソールボックス本体2の右のピン孔22aから退行(脱落)する。これらの退行によって、右のロック機構10がロック解除される。すなわち、右のノブ43を押し込む操作によって、右のロック機構10をロック解除できる。
【0036】
そのため、左の前ロッド45のピン45bと左の後ロッド50の後端部50bを左のヒンジの軸とする軸回りにリッド3を右開きできる(
図5参照)。
図5において、想像線で示す状態がリッド3を右開きした状態である。したがって、車両用コンソールボックス1の内部(コンソールボックス本体2の収納部)に右側から物品を出し入れできる。なお、上述したように右の前ロッド45が引っ張りばね51の付勢力に抗して後方へスライドすると、この後方へスライドした右の前ロッド45の張出部45cと規制部材60の基端部60cが左右方向において僅かな隙を介した状態で対面している。
【0037】
次に、リッド3を左開きする場合を説明する。まず、左のノブ43を押し込む操作を行う。すると、左のノブ43の傾斜壁43bが左の前ロッド45の傾斜壁45dを押し当てる。これにより、左の前ロッド45が引っ張りばね51の付勢力に抗して後方へスライドする。そのため、左の前ロッド45のピン45bがコンソールボックス本体2の左のピン孔21aから退行(脱落)する。
【0038】
このスライドにより、左の前ロッド45に連結されている左のカム46が、平面視において、時計回り方向に回転する。この左のカム46の回転により、左のカム46に連結されている左の後ロッド50が前方へスライドする。そのため、左の後ロッド50の後端部50bがコンソールボックス本体2の左のピン孔22aから退行(脱落)する。これらの退行によって、左のロック機構10がロック解除される。すなわち、左のノブ43を押し込む操作によって、左のロック機構10をロック解除できる。
【0039】
そのため、右の前ロッド45のピン45bと右の後ロッド50の後端部50bを右のヒンジの軸とする軸回りにリッド3を左開きできる(
図6参照)。
図6において、想像線で示す状態がリッド3を左開きした状態である。したがって、車両用コンソールボックス1の内部(コンソールボックス本体2の収納部)に左側から物品を出し入れできる。
【0040】
なお、上述したように左の前ロッド45が引っ張りばね51の付勢力に抗して後方へスライドすると、この後方へスライドした左の前ロッド45の張出部45cの角部45eが規制部材60先端部60bの傾斜壁60aを押し当てる。そのため、規制部材60が圧縮ばね61の付勢力に抗して右へスライドする。したがって、右の前ロッド45の張出部45cと規制部材60の基端部60cが前後方向において僅かな隙を介した状態で対面している。
【0041】
なお、上述したようにリッド3を右開きすると、第1トーションばね56の付勢力により、アーム体55bがコンソールボックス本体2の跳上受体33の内部33bから進出するように左の跳上部材55が回転する(
図5参照)。このとき、左の跳上部材55のアーム体55bがコンソールボックス本体2の後ヒンジ受体22の段差面22bを押し当てる。
【0042】
そのため、この押し当ての反力がリッド3に作用する。したがって、このリッド3に作用する反力がリッド3の右開き動作の補助力となる。すなわち、左の跳上部材55は、リッド3の右開き動作を補助するアシスト機能を備えている。結果として、軽い操作荷重でリッド3を右開きできる。
【0043】
また、上述したようにリッド3を右開きすると、既に、右の前ロッド45が後方へスライドしている。そのため、上述したように右の跳上部材55が回転すると、この回転した右の跳上部材55の係合部55cの係合爪55dが右の前ロッド45の係合爪45iに係合する(
図4参照)。
図4において、想像線に示す状態が、右の跳上部材55の係合爪55dと右の前ロッド45の係合爪45iの係合状態を示している。したがって、右の前ロッド45の後方へスライドした状態(右のロック機構10がロック解除された状態)が右の跳上部材55によって保持される。
【0044】
また、上述したようにリッド3を右開きすると、リッド3の右の保持部材53の一端部53aとコンソールボックス本体2の前ヒンジ受体21の干渉が解消される。そのため、第2トーションばね54の付勢力により、一端部53aが反時計回り方向に右の保持部材53が回転する。
【0045】
すると、右の保持部材53の他端部53bが右の前ロッド45の張出部45cの前縁に係合する(押し当てる)(
図3参照)。
図3において、想像線に示す状態が、右の保持部材53の他端部53bと右の前ロッド45の張出部45cの係合状態を示している。したがって、右の前ロッド45の後方へスライドした状態が右の保持部材53によって保持される。これらのことは、リッド3の左開きにおいても同様である。
【0046】
なお、リッド3を右開きしているとき、誤って、左のノブ43を押し込む操作を行った場合を説明する。この場合、既に説明したように、後方へスライドした右の前ロッド45の張出部45cと規制部材60の基端部60cが左右方向において僅かな隙を介した状態で対面している。そのため、規制部材60の右方へのスライドが規制されている。したがって、左の前ロッド45も後方へのスライドが規制されているため、左のノブ43の押し込み操作も規制されている。結果として、リッド3を右開きしているとき、誤って、左のノブ43を押し込む操作を行った場合でも、この左のノブ43を押し込む操作を受け付けることがない。
【0047】
これとは逆に、リッド3を左開きしているとき、誤って、右のノブ43を押し込む操作を行った場合を説明する。この場合、既に説明したように、右の前ロッド45の張出部45cと規制部材60の基端部60cが前後方向において僅かな隙を介した状態で対面している。そのため、右の前ロッド45も後方へのスライドが規制されている。したがって、右のノブ43の押し込み操作も規制されている。結果として、リッド3を左開きしているとき、誤って、右のノブ43を押し込む操作を行った場合でも、この右のノブ43を押し込む操作を受け付けることがない。
【0048】
なお、右開きしたリッド3を閉じると(リッド3を全閉状態に戻すと)、右の跳上部材55のアーム体55bがコンソールボックス本体2の後ヒンジ受体22の段差面22bを押し当てる。すると、第1トーションばね56の付勢力に抗して、アーム体55bがコンソールボックス本体2の跳上受体33の内部33bに退行するように跳上部材55が回転する。そのため、この回転した右の跳上部材55の係合部55cの係合爪55dと右の前ロッド45の係合爪45iの係合が解消する。したがって、右の跳上部材55による右の前ロッド45の後方へスライドした状態の保持が解消する。
【0049】
これと同時に、リッド3の右の保持部材53の一端部53aとコンソールボックス本体2の前ヒンジ受体21が干渉する。すると、第2トーションばね54の付勢力に抗して、一端部53aが時計回り方向に右の保持部材53が回転する。そのため、この回転した右の保持部材53の他端部53bと右の前ロッド45の張出部45cの前縁の係合が解消する。したがって、右の保持部材53による右の前ロッド45の後方へスライドした状態の保持が解消する。
【0050】
これらの保持の解消により、右の前ロッド45が引っ張りばね51の付勢力によって前方へスライドする。これと同時に、右のカム46を介して右の後ロッド50も後方へスライドする。ゆえに、右の前ロッド45のピン45bがコンソールボックス本体2の右のピン孔21aに進出する(戻される)と同時に、右の後ロッド50の後端部50bもコンソールボックス本体2の右のピン孔22aに進出する(戻される)。結果として、右のロック機構10がロック状態に戻される。これらのことは、左開きしたリッド3を閉じる場合でも同様である。
【0051】
本発明の実施形態に係る車両用コンソールボックス1は、上述したように構成されている。この車両用コンソールボックス1によれば、コンソールボックス本体2に形成された収納部の開口に対して双方向(左右方向)からリッド3を開閉できる。この車両用コンソールボックス1は、一方のロック機構10がロック解除された状態において、他方のノブ43の操作を規制する規制部材60を備えている。また、車両用コンソールボックス1は、左のロック機構10がロック解除された状態を個別に保持する左の跳上部材55と左の保持部材53を備えている。また、車両用コンソールボックス1は、右のロック機構10がロック解除された状態を個別に保持する右の跳上部材55と右の保持部材53を備えている。すなわち、従来技術とは異なり、規制部材60による規制状態(他方のノブの操作を規制した状態)を2部材(跳上部材55と保持部材53)が個別に保持している。そのため、2部材による個別の保持が同時に解消されなければ、リッド3を一方向に開けた状態で、他方のノブ43の操作を許容する状態となることがない。したがって、規制部材60による規制状態の保持が解消され難い。結果として、リッド3を一方向に開けた状態で、誤って、他方のノブ43を操作しても、一方向に開けた状態のリッド3がコンソールボックス本体2から外れてしまうことを確実に防止できる。
【0052】
また、この構成によれば、右の跳上部材55は、リッド3の右開き動作を補助するアシスト機能を備えている。また、右の跳上部材55による右の前ロッド45の後方へスライドした状態(右のロック機構10がロック解除された状態)の保持は、右の跳上部材55の係合爪55dが右の前ロッド45の係合爪45iに係合することによって行われる。そのため、リッド3の右開き動作の補助および右のロック機構10がロック解除された状態の保持を簡便な構造で実施できる。このことは、リッド3の左開き動作の補助および左のロック機構10がロック解除された状態の保持においても同様である。
【0053】
また、この構成によれば、右開きしたリッド3を閉じると(リッド3を全閉状態に戻すと)、右の跳上部材55による右の前ロッド45の後方へスライドした状態の保持が解消する。これと同時に、右の保持部材53による右の前ロッド45の後方へスライドした状態の保持が解消する。そのため、これらの保持の解消のために、わざわざ別途に操作を必要としない。したがって、これらの保持の解消を簡便に実施できる。
【0054】
以上、実施形態について説明したが、この実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。例えば、保持部材53と跳上部材55の前後の位置関係が逆になっても構わない。
【符号の説明】
【0055】
1 車両用コンソールボックス
2 コンソールボックス本体
3 リッド
10 ロック機構
43 ノブ
60 規制部材
53 保持部材(第2保持部材)
55 跳上部材(第1保持部材)